いつだったかのつづき
- 男子トイレ -
P「はぁ~。来社してまだ3時間も経ってないのに、随分疲れた」 ウ-ン
P「……それにしてもすごい時代になったなぁ」
P「まさか恋人生活をシミュレートできるだなんて……。完全に小説の世界だ」
P「ふぅ……。そろそろAV室に戻るかな」
P「雪歩を宥めるのに時間かかったし、もう皆で勝手に始めてるかな?」
P「しかし、次は誰が恋人役になるんだろうか……」
P「……」 ポワワーン
P「ハッ!? いかんいかん。あいつ等は現役のアイドルなんだ。邪な考えは――」
P「……」
P「さっさと戻ろっと……」 スタスタスタ
- AVルーム -
春香「あ、プロデューサーさん。ナイスタイミングです」
真美「げげっ! 兄ちゃん何でこのタイミングで戻ってくるんだよ→!」
P「? 何だ、ナイスタイミングってのは――」
律子「ちょうど今から真美の分が始まる所だったんですよ」 フッフッフ
P「あぁ、なるほど。そりゃ確かにナイスタイミングだわな」
真美「うぅぅ~。律っちゃん、さっきは悪かったYO→。だからぁ……」
律子「クックック……。今さら後悔してももう遅いのよ。じっくり目に焼き付けてやるんだから覚悟なさい!」
真美「ギャ→!!」
伊織「因果応報ね」 ヤレヤレ
P(縛りあげるよう指示したのは伊織だけどな)
ウィーン ガガガガガ...
- 恋人生活 真美の場合 -
真美「うぅ~。折角のデートなのに寝過ごしちゃうなんてぇ」 タッタッタッ
真美「ハァハァ……ふぅ。でも、ここまで来ればもう間に合うっしょ」 タッ...スタスタ
真美「ふう、疲れた。でも、久しぶりの兄ちゃんとのデート、楽しみだなぁ」
真美「兄ちゃん髪切ったの気付いてくれるかなぁ……」 ンフフ
真美「あ、そだ。最終チェックもしとかなきゃ」 ピタッ
真美「えーっと、大きめのショーウィンドウは――っと。……あ、あった」 テクテク
真美「~♪」 イソイソ
真美「髪良し。顔色良し。服……は、変じゃないよね?」 クルクル
真美「ん→……。まぁ良しっ!」
真美「さてさて。兄ちゃんはもう着いてるかな→?」 スタタタ
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あずさ「あら、可愛らしいわ」 ウフフ
貴音「よほど楽しみなんでしょうね」 クスッ
真「んー。街に結構いそうなタイプだよね、こういう感じの子」
春香「確かに。渋谷とか原宿あたりで、結構見かける気がするかな」
亜美「それより真美ってば。何だか普段より乙女っぽい服着てるよね→」
真美「そ、そんなの真美に聞かれても知らないYO! 機械が勝手にシミュレートした結果なんてぇ」
伊織「N○n-noとかSevent○enとか参考にしてそうな感じかしら」
美希「あー。それ分かる気がするの」
- 噴水前 -
P「うーん。ちょっと早く来すぎたかな?」
真美「フッフッフ……」 コソコソ
P「今のうちに今日のスケジュールのおさらいでもしておくか……」 ゴソゴソ
真美「~~~っ! 兄ちゃぁ→んっ!」 ガババッ
P「ぬわぁっ! ……って真美か。毎度毎度心臓に悪いなぁ」
真美「んふふ。オ・ハ・ヨ、兄ちゃん。待たせちゃったかな?」
P「いいや、全然。じゃあそろそろ行こうか」
真美「うんっ!」
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真「いや~。毎度ながら、気持ちいいくらいにイチャイチャしてるよね」
あずさ「もしかして、この世界にはフラ○デーとか女性○身とか無いのかしら?」
千早「でも申し訳程度には変装してますし、普通にあるんじゃないでしょうか?」
春香「まあ実際のところ、髪と化粧変えて目元隠せば案外バレないもんですけどね」
P「え? そうなん?」 ヒソヒソ
律子「そりゃ番組のドーランは基本キツ目の多いですし。まぁ、そもそもあの子たちには必要ないものですが」 ヒソヒソ
※ドーラン …… TV映りを良くするため、白粉レベルで肌を塗りつぶす化粧品のこと
- 映画館 -
P「あ、大人と中学生1枚づつで」
真美「ねえ兄ちゃん。どうせならポップコーンとコーラ買おうよ→」
P「こらこら。あんまりはしゃぐなって。あ、どうも」 ペコリ
真美「ん、何コレ。『てれほんかーど』? カードゲームか何かかな?」
P「えぇ。Mサイズ2つと塩とキャラメル1つづつを――あ、真美。そっち通路違う」
真美「何ここ。ゲームセンターもあるんじゃん! あっ、これ可愛い→」
P「あぁ~もう。そんなウロウロしてるとはぐれるぞ。ホラ、手を繋ぐぞ」 ギュッ
真美「ねぇ兄ちゃん。真美あれ欲しい→」 ギュ
P「後で取ってやるって。もうすぐ上映らしいから、ちょっと走るぞ」 テッテッテ
真美「あ~れ~。引っ張られるぅ~」 ケラケラ
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真美「何アレ!? あれじゃあ真美、ただのガキんちょみたいじゃん!」 プンスカ
亜美「いやいや~。いつも通りで合ってるじゃん(笑)」 クスクス
伊織「これってカップルというより、兄妹に見えるわね」
響「普通に『兄ちゃん』って呼んでるしなー」
雪歩「何だか手を繋ぐ行為も健全に見えますぅ」
P「健全も何も……。手を繋ぐなんてありふれた行為じゃないか。普通だよ普通」
律子「……!!」 バシンッ!!!
P「痛ってぇ!」
- 上映室 -
アナタ ナシジャ イキテイケナイノ !! ソレデモ ボクラ ハ デアウベキジャ ナカッタンダ !!
P(あ、いま台詞トチったな。監督よくこのカット許したなぁ) モグモグ
真美「うぅ~ん。ロマンチックぅ///」 ウットリ
P(この役なら……響か真ならもっと上手く動けたと思うんだけどなぁ) ゴクゴク
真美(ひゃ~っ! キ、キスシーンだ! ひゃ~っ!///) キャーキャー
P(顎が浮きすぎだな。これじゃあキスしてないのバレバレじゃないか) ゴックン ...フゥ
真美「……///」 ドキドキ
P(……ま、真美は楽しんでくれてるのは何よりだな) フッ
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春香「うわ、何この嫌な客」
伊織「批評家気取りの映画ファンほど、見てて情けなくなるものはないわね」
律子「最後の気障っぽい笑い方、似合ってなかったですよ」
真美「っていうか、デート中に他の子のことを考えるなんてどういうことだ→!」 プンプン
真「そもそもあの役って男の人の役じゃないですかー!」
響「そうだー! プロデューサーはデリカシーなさすぎるぞー!」
貴音「それにしても、あのぽっぷこぉん。聊か量が少な過ぎでは?」 ギュルルルルル
ギャー ギャー
千早「散々な評価ですが、何か言いたい事は?」
P「俺が何をしたって言うんだ……」
- 映画館エントランス -
真美「ふぃ~。楽しかったぁ→!」
P「それは良かった。じゃあ昼飯までどこに行こうか?」
真美「何言ってんのさ→! すぐそこにゲーセンあるんだから遊ぼうよYO→!」 グイグイ
P「そういやぬいぐるみか何か取る約束してたな。じゃあ行くか」
真美「うんっ! ……あれ?」
ツギ ドコイコッカ エーット フク シンサク ミタイカラ カイモノ ツキアッテヨ
ノド カワイタナー ジャア スタバ ヨッテクベ ?
ジツハ アナバ ノ デートスポット ミツケタンダ エ マジ? ジャア ソコ イコウヨ
真美「……」
P「ほっ! それっ! あれ、なかなか取れねーなぁ」 ガチャガチャ
真美「ね、ねえ兄ちゃん。やっぱ今の取り消し。別のとこ行こうよ」 クイッ
P「へ? 何で。まだぬいぐるみ取れてないぞ?」 キョトン
真美「いいからっ! ね。もっとお洒落な場所行くのっ!」 グイグイ
P「??」
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亜美「あれ? ゲーセンで遊ばないんだ」
雪歩「他のカップルさんの話が気になったのかなぁ……?」
真「なるほど。思春期だねぇ」
春香「別にゲームセンターで遊ぶのも、チョイスとしても悪くはないんだけどねー」
あずさ「子供っぽく見られるのが嫌なのかしら?」
伊織「実際まだガキんちょなのにね」 ニシシ
真美「うぅ~……。律っちゃんの気持ちが分かってきたよ……」
律子「まだまだ。この程度、序の口だと知りなさい」
- ショッピングモール -
P「ここなら買い物も休憩するとこもあるし……どうだ? 真美」
真美「うん、バッチシ! さっすが兄ちゃん分かってるぅ→♪」
P「じゃあ一緒に見て回るか。ホラ、手を」 スッ
真美「うんっ! って……あ、ああぁぁぁっ!!」 シュタタタッ!!
P「あ、おい! ……まったく。言ったそばから……今度はどうしたんだ?」
真美「これ、これだよ兄ちゃん!」 ガバッ
P「うん? ゲームソフトか? これそんなに珍しいのか」
真美「珍しいっていうか奇跡だよっ! もうどこ行っても売り切れで、手に入んないかと思ってた!」 キャッキャッ
P「ふーん……。分かった、買ってやるよ」
真美「えっ。いいの兄ちゃん?」
P「勿論、これぐらい大したことないさ。それに俺も遊んでみたいしな」
真美「やった→! 兄ちゃんアリガト! 大好きっ!」 ダキッ
P「こらこら。あんまり騒ぐと目立ってしまうぞ」
真美「えへへ。メンゴメンゴ……ん?」
クスクス ナカ イイネー キョウダイカナ ? カワイイネー
アハハ アノコ ドコカデ ミタ キガスル...
アタシモ フク ホシーイ♡ ア ? キョヒ スル エー !? ドウシテサー フフフ
真美「……///」 カァァッ
P「しっかし、本当にゲーム好きなんだなぁ。そこまで喜んでくれると俺も嬉しいんだけどさ」
真美「も、もうっ! 兄ちゃんそんな大声で言わないでっ」 アセアセ
P「うん? 何焦ってんだ。ゲームは逃げないぞ?」
真美「だから……んもうっ! 真美向こうの服屋さん見てくるっ」 タタタッ
P「え? あ、おい。……行っちまった。何なんだ、一体?」
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あずさ「あらあら~。顔真っ赤だったわねぇ」
真「うーん。これ、周りの目を気にしてる感じかなぁ」
雪歩「何だか意外ですぅ。他の人の目は気にしないタイプだと思ってました」
律子「中学生ってのは他人の評価が気になる年頃なのよ。普段がアレだから気付かないけどね」
伊織「誰もそんなに注目なんかしてないのに……。思春期って大変ねぇ」
真美「いおりんだって中学生の癖にぃ~……」 ブツブツ
春香「ね。プロデューサーさんはどう思います?」
P「おい。今通行人が、どこかで見た事あるって言ってたぞ(震え声)」
千早「もはや恋人生活に目を向けてませんね」
伊織「コイツは一体何と戦っているのよ……」
- レストラン -
P「どうした。まだ注文決まらないのか?」
真美「もうちょっと待って……。えーっと、コレも食べたいし、でもコレも……」
P「どれで迷ってるんだ? 何々? ハンバーグと……エビフライか。なら俺がもう片方を注文するよ」
真美「う~ん……えっ? いいの、兄ちゃん?」
P「勿論。俺もその2つは好物だしな。その代わり平等に半分こだぞ?」 キリッ
真美「ん~? 当たり前じゃん。分かってるってば→」 クスクス
P「本当かー? ハンバーグとエビフライ食って、付け合わせだけ俺に寄越すのはなしだぞ?」
真美「っ!! そ、そんなことしないYO→」 アセアセ
P(やるつもりだったのかよ……)
真美「そ、それより兄ちゃんは何頼むつもりだったの?」
P「ん、俺か? そうだな……。この『3種のきのこと赤ワインのパイ』ってのを頼もうとしてたかな」
真美「赤ワイン……パイ……」
P「ん? なんだ。興味あったのか?」
真美「い、いや。そう言う訳じゃないけど……やっぱ兄ちゃんって大人なんだな――って」
P「そうか? 別にこれ位、子供も大人も関係なく頼みそうな気がするけどな。まぁ大人っぽいってのはあるかもしれんが」
真美「そう……」 ジーッ
P(……ははぁ。なるほどな)
真美「ねぇ、兄ちゃん……」
P「ダメっ!」 キッパリ
真美「え? ……えっ? ま、まだ真美なにも言ってないよ?」
P「他のにしたいっていうんだろ? ダメだ。もう俺の腹はハンバーグとエビフライを受け入れる体勢に入ってるんだ!」
真美「ぇ……」 キョトン
P「端的に言うと、俺はハンバーグとエビフライが食べたくて仕方がないんだ。だからダメだ」
真美「……ぷっ。何それ→。兄ちゃん子供みたいだYO?」
P「そうさ。俺が完全に大人だと思ってたら大間違いだぞ? まだまだこう言う所もある」 フフン
真美「威張って言うことじゃないじゃんっ! ……フフッ。でも兄ちゃんが食べたいっていうなら仕方ないなぁ→」
P「そう、仕方ない。だからここは真美が大人になって我慢してくれ」
真美「うん、そうする」 エヘッ
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貴音「おなかがすきました」 ギュルルルル
真「これ見てからの第一声がそれですか」
あずさ「フフッ。真美ちゃん可愛いわぁ~」
伊織「いつもこれくらい無邪気だったら良かったのに」
真美「もう真美、恥ずかしさで死んじゃいそうだYO……」
響「大人ぶる真美もなんだか新鮮な感じだぞー」
律子「まぁ……背伸びしてる子って、年上から見ると微笑ましいからね」
千早「それもそうと、どうやらプロデューサーも真美の真意に気付いたみたいね」
やよい「エヘヘッ。なんだか背伸びしてる長介を見てるみたい」
真美「やよいっちからも言われるなんて……」
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