P「恋人生活シ…シュミ」律子「シミュレーターです」 (28)

いつだったかのつづき

- 男子トイレ -

P「はぁ~。来社してまだ3時間も経ってないのに、随分疲れた」 ウ-ン

P「……それにしてもすごい時代になったなぁ」

P「まさか恋人生活をシミュレートできるだなんて……。完全に小説の世界だ」

P「ふぅ……。そろそろAV室に戻るかな」

P「雪歩を宥めるのに時間かかったし、もう皆で勝手に始めてるかな?」

P「しかし、次は誰が恋人役になるんだろうか……」

P「……」 ポワワーン

P「ハッ!? いかんいかん。あいつ等は現役のアイドルなんだ。邪な考えは――」

P「……」

P「さっさと戻ろっと……」 スタスタスタ

- AVルーム -

春香「あ、プロデューサーさん。ナイスタイミングです」

真美「げげっ! 兄ちゃん何でこのタイミングで戻ってくるんだよ→!」

P「? 何だ、ナイスタイミングってのは――」

律子「ちょうど今から真美の分が始まる所だったんですよ」 フッフッフ

P「あぁ、なるほど。そりゃ確かにナイスタイミングだわな」

真美「うぅぅ~。律っちゃん、さっきは悪かったYO→。だからぁ……」

律子「クックック……。今さら後悔してももう遅いのよ。じっくり目に焼き付けてやるんだから覚悟なさい!」

真美「ギャ→!!」

伊織「因果応報ね」 ヤレヤレ

P(縛りあげるよう指示したのは伊織だけどな)

     ウィーン     ガガガガガ...

- 恋人生活 真美の場合 -

真美「うぅ~。折角のデートなのに寝過ごしちゃうなんてぇ」 タッタッタッ

真美「ハァハァ……ふぅ。でも、ここまで来ればもう間に合うっしょ」 タッ...スタスタ

真美「ふう、疲れた。でも、久しぶりの兄ちゃんとのデート、楽しみだなぁ」

真美「兄ちゃん髪切ったの気付いてくれるかなぁ……」 ンフフ

真美「あ、そだ。最終チェックもしとかなきゃ」 ピタッ

真美「えーっと、大きめのショーウィンドウは――っと。……あ、あった」 テクテク

真美「~♪」 イソイソ

真美「髪良し。顔色良し。服……は、変じゃないよね?」 クルクル

真美「ん→……。まぁ良しっ!」

真美「さてさて。兄ちゃんはもう着いてるかな→?」 スタタタ

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あずさ「あら、可愛らしいわ」 ウフフ

貴音「よほど楽しみなんでしょうね」 クスッ

真「んー。街に結構いそうなタイプだよね、こういう感じの子」

春香「確かに。渋谷とか原宿あたりで、結構見かける気がするかな」

亜美「それより真美ってば。何だか普段より乙女っぽい服着てるよね→」

真美「そ、そんなの真美に聞かれても知らないYO! 機械が勝手にシミュレートした結果なんてぇ」

伊織「N○n-noとかSevent○enとか参考にしてそうな感じかしら」

美希「あー。それ分かる気がするの」

- 噴水前 -

P「うーん。ちょっと早く来すぎたかな?」

真美「フッフッフ……」 コソコソ

P「今のうちに今日のスケジュールのおさらいでもしておくか……」 ゴソゴソ

真美「~~~っ! 兄ちゃぁ→んっ!」 ガババッ

P「ぬわぁっ! ……って真美か。毎度毎度心臓に悪いなぁ」

真美「んふふ。オ・ハ・ヨ、兄ちゃん。待たせちゃったかな?」

P「いいや、全然。じゃあそろそろ行こうか」

真美「うんっ!」

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真「いや~。毎度ながら、気持ちいいくらいにイチャイチャしてるよね」

あずさ「もしかして、この世界にはフラ○デーとか女性○身とか無いのかしら?」

千早「でも申し訳程度には変装してますし、普通にあるんじゃないでしょうか?」

春香「まあ実際のところ、髪と化粧変えて目元隠せば案外バレないもんですけどね」

P「え? そうなん?」 ヒソヒソ

律子「そりゃ番組のドーランは基本キツ目の多いですし。まぁ、そもそもあの子たちには必要ないものですが」 ヒソヒソ

※ドーラン …… TV映りを良くするため、白粉レベルで肌を塗りつぶす化粧品のこと

- 映画館 -

P「あ、大人と中学生1枚づつで」

真美「ねえ兄ちゃん。どうせならポップコーンとコーラ買おうよ→」

P「こらこら。あんまりはしゃぐなって。あ、どうも」 ペコリ

真美「ん、何コレ。『てれほんかーど』? カードゲームか何かかな?」

P「えぇ。Mサイズ2つと塩とキャラメル1つづつを――あ、真美。そっち通路違う」

真美「何ここ。ゲームセンターもあるんじゃん! あっ、これ可愛い→」

P「あぁ~もう。そんなウロウロしてるとはぐれるぞ。ホラ、手を繋ぐぞ」 ギュッ

真美「ねぇ兄ちゃん。真美あれ欲しい→」 ギュ

P「後で取ってやるって。もうすぐ上映らしいから、ちょっと走るぞ」 テッテッテ

真美「あ~れ~。引っ張られるぅ~」 ケラケラ

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真美「何アレ!? あれじゃあ真美、ただのガキんちょみたいじゃん!」 プンスカ

亜美「いやいや~。いつも通りで合ってるじゃん(笑)」 クスクス

伊織「これってカップルというより、兄妹に見えるわね」

響「普通に『兄ちゃん』って呼んでるしなー」

雪歩「何だか手を繋ぐ行為も健全に見えますぅ」

P「健全も何も……。手を繋ぐなんてありふれた行為じゃないか。普通だよ普通」

律子「……!!」 バシンッ!!!

P「痛ってぇ!」

- 上映室 -

   アナタ ナシジャ イキテイケナイノ !!       ソレデモ ボクラ ハ デアウベキジャ ナカッタンダ !!

P(あ、いま台詞トチったな。監督よくこのカット許したなぁ) モグモグ

真美「うぅ~ん。ロマンチックぅ///」 ウットリ

P(この役なら……響か真ならもっと上手く動けたと思うんだけどなぁ) ゴクゴク

真美(ひゃ~っ! キ、キスシーンだ! ひゃ~っ!///) キャーキャー

P(顎が浮きすぎだな。これじゃあキスしてないのバレバレじゃないか) ゴックン ...フゥ

真美「……///」  ドキドキ

P(……ま、真美は楽しんでくれてるのは何よりだな) フッ

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春香「うわ、何この嫌な客」

伊織「批評家気取りの映画ファンほど、見てて情けなくなるものはないわね」

律子「最後の気障っぽい笑い方、似合ってなかったですよ」

真美「っていうか、デート中に他の子のことを考えるなんてどういうことだ→!」 プンプン

真「そもそもあの役って男の人の役じゃないですかー!」

響「そうだー! プロデューサーはデリカシーなさすぎるぞー!」

貴音「それにしても、あのぽっぷこぉん。聊か量が少な過ぎでは?」 ギュルルルルル

       ギャー  ギャー

千早「散々な評価ですが、何か言いたい事は?」

P「俺が何をしたって言うんだ……」

- 映画館エントランス -

真美「ふぃ~。楽しかったぁ→!」

P「それは良かった。じゃあ昼飯までどこに行こうか?」

真美「何言ってんのさ→! すぐそこにゲーセンあるんだから遊ぼうよYO→!」 グイグイ

P「そういやぬいぐるみか何か取る約束してたな。じゃあ行くか」

真美「うんっ! ……あれ?」

   ツギ ドコイコッカ  エーット フク シンサク ミタイカラ カイモノ ツキアッテヨ
                         ノド カワイタナー   ジャア スタバ ヨッテクベ ?
     ジツハ アナバ ノ デートスポット ミツケタンダ   エ マジ? ジャア ソコ イコウヨ

真美「……」

P「ほっ! それっ! あれ、なかなか取れねーなぁ」  ガチャガチャ

真美「ね、ねえ兄ちゃん。やっぱ今の取り消し。別のとこ行こうよ」 クイッ

P「へ? 何で。まだぬいぐるみ取れてないぞ?」 キョトン

真美「いいからっ! ね。もっとお洒落な場所行くのっ!」 グイグイ

P「??」

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亜美「あれ? ゲーセンで遊ばないんだ」

雪歩「他のカップルさんの話が気になったのかなぁ……?」

真「なるほど。思春期だねぇ」

春香「別にゲームセンターで遊ぶのも、チョイスとしても悪くはないんだけどねー」

あずさ「子供っぽく見られるのが嫌なのかしら?」

伊織「実際まだガキんちょなのにね」 ニシシ

真美「うぅ~……。律っちゃんの気持ちが分かってきたよ……」

律子「まだまだ。この程度、序の口だと知りなさい」

- ショッピングモール -

P「ここなら買い物も休憩するとこもあるし……どうだ? 真美」

真美「うん、バッチシ! さっすが兄ちゃん分かってるぅ→♪」

P「じゃあ一緒に見て回るか。ホラ、手を」 スッ

真美「うんっ! って……あ、ああぁぁぁっ!!」 シュタタタッ!!

P「あ、おい! ……まったく。言ったそばから……今度はどうしたんだ?」

真美「これ、これだよ兄ちゃん!」 ガバッ

P「うん? ゲームソフトか? これそんなに珍しいのか」

真美「珍しいっていうか奇跡だよっ! もうどこ行っても売り切れで、手に入んないかと思ってた!」 キャッキャッ

P「ふーん……。分かった、買ってやるよ」

真美「えっ。いいの兄ちゃん?」

P「勿論、これぐらい大したことないさ。それに俺も遊んでみたいしな」

真美「やった→! 兄ちゃんアリガト! 大好きっ!」 ダキッ

P「こらこら。あんまり騒ぐと目立ってしまうぞ」

真美「えへへ。メンゴメンゴ……ん?」

   クスクス   ナカ イイネー  キョウダイカナ ?  カワイイネー
              アハハ          アノコ ドコカデ ミタ キガスル...
      アタシモ フク ホシーイ♡  ア ? キョヒ スル    エー !? ドウシテサー  フフフ

真美「……///」 カァァッ

P「しっかし、本当にゲーム好きなんだなぁ。そこまで喜んでくれると俺も嬉しいんだけどさ」

真美「も、もうっ! 兄ちゃんそんな大声で言わないでっ」 アセアセ

P「うん? 何焦ってんだ。ゲームは逃げないぞ?」

真美「だから……んもうっ! 真美向こうの服屋さん見てくるっ」 タタタッ

P「え? あ、おい。……行っちまった。何なんだ、一体?」

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あずさ「あらあら~。顔真っ赤だったわねぇ」

真「うーん。これ、周りの目を気にしてる感じかなぁ」

雪歩「何だか意外ですぅ。他の人の目は気にしないタイプだと思ってました」

律子「中学生ってのは他人の評価が気になる年頃なのよ。普段がアレだから気付かないけどね」

伊織「誰もそんなに注目なんかしてないのに……。思春期って大変ねぇ」

真美「いおりんだって中学生の癖にぃ~……」 ブツブツ

春香「ね。プロデューサーさんはどう思います?」

P「おい。今通行人が、どこかで見た事あるって言ってたぞ(震え声)」

千早「もはや恋人生活に目を向けてませんね」

伊織「コイツは一体何と戦っているのよ……」

- レストラン -

P「どうした。まだ注文決まらないのか?」

真美「もうちょっと待って……。えーっと、コレも食べたいし、でもコレも……」

P「どれで迷ってるんだ? 何々? ハンバーグと……エビフライか。なら俺がもう片方を注文するよ」

真美「う~ん……えっ? いいの、兄ちゃん?」

P「勿論。俺もその2つは好物だしな。その代わり平等に半分こだぞ?」 キリッ

真美「ん~? 当たり前じゃん。分かってるってば→」 クスクス

P「本当かー? ハンバーグとエビフライ食って、付け合わせだけ俺に寄越すのはなしだぞ?」

真美「っ!! そ、そんなことしないYO→」 アセアセ

P(やるつもりだったのかよ……)

真美「そ、それより兄ちゃんは何頼むつもりだったの?」

P「ん、俺か? そうだな……。この『3種のきのこと赤ワインのパイ』ってのを頼もうとしてたかな」

真美「赤ワイン……パイ……」

P「ん? なんだ。興味あったのか?」

真美「い、いや。そう言う訳じゃないけど……やっぱ兄ちゃんって大人なんだな――って」

P「そうか? 別にこれ位、子供も大人も関係なく頼みそうな気がするけどな。まぁ大人っぽいってのはあるかもしれんが」

真美「そう……」 ジーッ

P(……ははぁ。なるほどな)

真美「ねぇ、兄ちゃん……」

P「ダメっ!」 キッパリ

真美「え? ……えっ? ま、まだ真美なにも言ってないよ?」

P「他のにしたいっていうんだろ? ダメだ。もう俺の腹はハンバーグとエビフライを受け入れる体勢に入ってるんだ!」

真美「ぇ……」 キョトン

P「端的に言うと、俺はハンバーグとエビフライが食べたくて仕方がないんだ。だからダメだ」

真美「……ぷっ。何それ→。兄ちゃん子供みたいだYO?」

P「そうさ。俺が完全に大人だと思ってたら大間違いだぞ? まだまだこう言う所もある」 フフン

真美「威張って言うことじゃないじゃんっ! ……フフッ。でも兄ちゃんが食べたいっていうなら仕方ないなぁ→」

P「そう、仕方ない。だからここは真美が大人になって我慢してくれ」

真美「うん、そうする」 エヘッ

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貴音「おなかがすきました」 ギュルルルル

真「これ見てからの第一声がそれですか」

あずさ「フフッ。真美ちゃん可愛いわぁ~」

伊織「いつもこれくらい無邪気だったら良かったのに」

真美「もう真美、恥ずかしさで死んじゃいそうだYO……」

響「大人ぶる真美もなんだか新鮮な感じだぞー」

律子「まぁ……背伸びしてる子って、年上から見ると微笑ましいからね」

千早「それもそうと、どうやらプロデューサーも真美の真意に気付いたみたいね」

やよい「エヘヘッ。なんだか背伸びしてる長介を見てるみたい」

真美「やよいっちからも言われるなんて……」

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