亜美真美「無尽合体キサラギ……?」 (91)

第一話『これからが彼女たちのはじまり』


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21××年 トーキョー


小鳥「はい、じゃあ今日はここまでにしよう」

「「センセーさよならー!」」


亜美「あー、やっと終わったあー……」

真美「亜美ー!」タタッ

亜美「あ、真美」

真美「今日はすいぶん遅かったね、終わるの」

亜美「もーホントだよー!ピヨちゃん、話がダッセンばっかでさー」

真美「今日の押しは誰と誰?」

亜美「ピヨちゃんのセンセーとそのライバルだってさ」

真美「うあー!ベッタベタだね!」

亜美「授業中なのに、うへへーってどこかに飛びだってたよ」

真美「あらら、そんなだとまーた婚期が遠のきそうだねー」

小鳥「誰の婚期が絶望的ですって?」

亜美「げえっ!」

真美「ピヨちゃん!」

小鳥「全く……亜美ちゃんも真美ちゃんも、担任の先生の悪口は教室から離れて言いなさい」

亜美「やだなピヨちゃん」

真美「悪口なんかじゃないっしょー」

小鳥「ホントかしら?」

亜美「そうそう!ピヨちゃんは、まだまだイケイケのキャピキャピだよん」

小鳥「そ、そうかしら?」

真美「うんうん!お肌だってプルンプルンだしね!」

小鳥「や、やだぁー亜美ちゃんも真美ちゃんも……」

亜美「これで、さらにエロエロにでもなっちゃえば、完璧だね!」

小鳥「え、エロエロ!?」

真美「例えばぁ……ワイシャツのボタン、もう一個開けてみれば?」

小鳥「……もう!先生をからかうんじゃありません!」

真美「えへへ、ゴメンなさーい」

小鳥「……って、こんなことしてる場合じゃないのよ!二人とも!」

真美「ん?どして?」

小鳥「さっき、二人のお父さんから学校に電話があってね」

亜美「パパから?」

小鳥「ええ、二人に伝えてほしいって」

小鳥「『学校が終わったら、すぐにお父さんの研究室に、必ず二人で来てほしい』ですって」

真美「研究室?」

亜美「二人で?」

小鳥「ええ、必ず伝えてほしいって、随分念を押されたわ」

真美「へー、何だろ?」

小鳥「それは分からないけど……確かに伝えたわよ」

亜美「うん、確かに伝えられたよん」

小鳥「それじゃ、私はこれで」

真美「ありがとね、ピヨちゃん!」

亜美「バイバーイ!」

真美「行こ!亜美」

亜美「アイサー!」

タタッ

小鳥「途中、変な人に着いて行っちゃダメよー!」

「「はーい」」

ガラガラ

小鳥「ふうー」

「音無先生、双海たちには会えました?」

小鳥「ええ、ちょうど、二人一緒にいてくれました」

「はは、あの二人はいっつも一緒にいますね」

小鳥「そうですねー」

「折角クラスを分けたというのに、あれじゃ全然意味がありませんよ」

小鳥「ふふっ、双子ちゃんって皆あんなに仲良しなんでしょうか?」

「どうんなんでしょうかねぇ」

小鳥「お父様の電話でも、『必ず二人で来るように』ってとても強調されていましたし」

「へえ」

小鳥「まあでも、あんなにカワイイ娘さんたちなら、どちらかを贔屓なんて出来ませんね」

「はは、そうですね」

小鳥「まさに、学園の『アイドル』って感じだなぁ……」

「……ところで音無先生」

小鳥「はい?」

「あの、さっきから気になっていたんですけど……」

小鳥「はい」

「どうして、ワイシャツのボタンをそんなに開けていらっしゃるんですか……?」

小鳥「あ、気がついちゃいました?」

「いや、あの……」

小鳥「うふふ、どうですか?色気、ダダ漏れですか?」

「さっきから、男性の先生方の視線が……」

小鳥「えっ?あっ……」

ジーッ

小鳥「み、見ないでえええええええええええ!!」

「亜美、真美、また明日ね!」

亜美「うん、じゃーね!」

「双海ー、この後カラオケいかねー?」

真美「ゴメン!今日は急いでるんだ!」

「えー、双海のリレーションズ聞きたかったのにー」

亜美「また今度ね!」


亜美「……ふいー、やっと校門っと」

真美「さーて、パパのトコまでどうやって行く?」

亜美「うーん、適当に、タクシーでも拾おうよー」

真美「そうだねー」

亜美「あ、ちょうどいいトコに!」

真美「ヘーイ!タクシー!」

ガチャ

「どちらまで?」

亜美「んーと、961コーポレーションまでお願いします!」

「はーい」

バタン

真美「いやーナイスタイミングでしたなぁ」

亜美「ホントホント!」

~♪

亜美「あ、このラジオ、ミキミキ!」

真美「新曲の奴だね!」

「お、お嬢ちゃんたちも美希ちゃん知ってるのかい?」

亜美「うん!メッチャ大ファンだよ!」

真美「おじちゃんも?」

「いやー、娘が大ファンでねえ」

「美希ちゃんのことを知らないと、まともに話も出来ないよ、ハハ……」

真美「そりゃー、チューガクセーのカリマスだからねー」

亜美「違うよ真美、カリマスじゃなくて、カマリスっしょ?」

真美「え?そうだっけ?」

「ハハ、カリスマのことかな」

亜美「あ、それかも」

「面白いお嬢ちゃんたちだねー」

亜美「へへ、でしょでしょ?」

「961コーポレーションには、お使いかい?」

真美「うん、パパが働いてるんだよ」

「へえ!すごいお父さんだね!」

亜美「うん!自慢のパパだよ!」

「ハハ、あんなところで働いていて、こんなカワイイ娘さんが二人……」

「お父さんが羨ましいねえ」

真美「あー!そんなこと言ったら、おじちゃんの娘さんが悲しむよ!」

亜美「そうだよー!」

「おっと、それは困るな」

「もちろん、うちの娘が世界一だよ、ハハハ!」

961コーポレーション

コンコン

黒井「……入りたまえ」

双海パパ「失礼します」

黒井「……うむ、双海クン」

双海パパ「はい」

黒井「今日、どうして呼ばれたかは分かっているかね?」

双海パパ「……はい」

黒井「まずは、プロジェクトの成果報告からお願いしようか」

双海パパ「はい」

双海パパ「調査の結果、やはり月からの放射線がここ数年、妙な変化を起こしています」

双海パパ「具体的には、人体の遺伝子構造の中の、テロメア、そして前頭葉に何らかの異常を引き起こす……」

黒井「ふむ……」

双海パパ「そして、その異常放射線は年々より強力に……」

黒井「やはりそうか」

双海パパ「はい」

黒井「……それで?」

双海パパ「……」

黒井「それで、その放射能への対処、その具体策は?」

双海パパ「そ、それは……その……」

黒井「……双海」

双海パパ「はい……」

黒井「今まで私が君のチームに与えていた予算は、一体何だったのだろうねえ……?」

双海パパ「それは……」

黒井「君が、ぜひ、必要だというから、それなりのスタッフも集めて機器も用意した……」

黒井「それなのに、大の大人がよってたかって、石ころ一つどうにもできんとはね」

双海パパ「し、しかし!あの希煌石(キラジェム)には間違いなく、異常放射能を緩和する力が……!」

黒井「フン、それも怪しいものだ」

黒井「それに、残念だが、もうタイムオーバーだ」

双海パパ「!!」

黒井「『異動』、だ双海」

双海パパ「ちょ、ちょっと待ってください!」

双海パパ「もう少し!もう少しなんです!本当にもう少しであの石の運用……!」

黒井「フン、そんなセリフを何度聞いたかな」

双海パパ「……くそ」トボトボ

双海パパ「くそ、くそ、くそお……!」

双海パパ「本当にもう少しなんだ……」

双海パパ「希煌石(キラジェム)も」

双海パパ「『キサラギ』も……!」


亜美「パパー!」

パパ「!亜美……」

真美「来たよーん!」

パパ「真美……」

パパ「ああ、よく来たな、亜美、真美」

亜美「ね、ね、パパ用事って何?」

真美「珍しいね!パパが真美たち呼ぶなんて!」

パパ「ああ、その話なんだけどな……」

パパ「……」

亜美「……パパ?」

真美「……ど、どうしたの?」

パパ「亜美、真美……、よく聞いてくれ」

パパ「実はな……」


ゴシャアアアアアアアアアアアン!!

パパ「!!」

亜美「な、何!?」

真美「何の音!?」

「主任!双海主任!」

パパ「な、何だ!どうした!?」

「大変です!例の放射能が!」

「重大レベルにまで引きあがっています!!」

パパ「何だって!?」

パパ「まだ日中だぞ!」

「は、はい!しかし実際に……」

「それに!もう既に被害が!」

パパ「なんだと!?」

「こっちです!A地点の定点カメラを!」

パパ「こ、これは……!」

「交通事故です!それも数十台を巻き込んだ!」

パパ「何てことだ……」

亜美「ぱ、パパ……?」

真美「ねえパパ!なにこれ、どういうこと!?」

パパ「お前たちはちょっと大人しくしていなさい!」

パパ「取りあえず、研究室中のカーテンを!放射線を中にいれるな!」

「は、はい!」

ガシャアアアアアアアン!

亜美「きゃあ!」

真美「今度は何!?」

パパ「音が、今度はラボの中から……!?」

「お、落ち着け!」

「そうだ、落ち着くんだ!」

「急にどうしたんだよ!」

パパ「一体何が……?」

パパ「!!」


「か、閣下……閣下……ハル閣下……」フラフラ

パパ「あいつ、まさか……」

「は、は、ハルカ様……閣下様……」

パパ「駄目だ!彼はもう放射線に『侵された』!!」

「ハルシュタイン閣下……!」

パパ「取り押さえろお!」

「ハルシュタイン閣下ぁあああああああ!」

ガッシャアアアアアン!!

コロコロコロ…

パパ「くそっ!」

「希煌石のガラスを破られました!」

亜美「!」

パパ「くそっ、全員一度ラボから出ろ!警備員に任せるぞ!」

亜美「ね、ねえ、真美……」グイグイ

真美「な、何……?」

パパ「亜美真美!何してるんだ!」

亜美「ねえ、あれ、カメラ……」

パパ「早く逃げるぞ!」

亜美「あれって……」


亜美「さっきのおじちゃんのタクシーじゃない……?」

真美「ま、まっさかー……」

真美「……」

真美「!!」

亜美「や、やっぱりそうだよね?」

真美「で、でも、そんな……」

真美「あ……」

真美「あ、亜美……タクシーのそばの……」

亜美「え?」

真美「倒れてる人……」

亜美「ウソでしょ……?」

真美「……おじちゃんだよ」

「閣下!閣下!」ガシャガシャ

パパ「二人とも!何してるんだ!」

亜美「タクシー、ベコベコだよ……?」

真美「う、うあ……」

亜美「それに、ぐったりしてるし……」

真美「や、やだよ……」

「忠誠を!ハルシュタイン閣下様!」

パパ「早く逃げなさい!」

亜美「た、確か、娘さんがいるって……」

真美「い、いや……」

パパ「亜美、真美ーー!!」

真美「いやあああああああああ!!」


カッ

「ぎゃああああああああああ!!」

パパ「うわっ!」

亜美「な、何!?」

真美「眩しっ!」

パパ「き、希煌石……!」

ドサッ

亜美「あ、さっきの人が!」

真美「倒れた……」

パパ「ど、どうして今このタイミングで希煌石が……?」

パパ「まさか、亜美と真美に反応して……!」

パパ「あ、亜美!真美!」

パパ「その石を持って付いてきなさい!」

亜美「え、パパ?」

真美「石って……?」

パパ「その光っている奴だ!詳しく説明している暇はない!」

パパ「とにかく、パパに付いてくるんだ!」

亜美「う、うん!」

真美「な、何なのさ……一体……」

パパ「こっちだ!」カンカンカン

亜美「ま、待ってよパパ!」カンカン

真美「足場が暗くてよく見えないよー!」カンカン

パパ「もう少しだから!」タタッ

パパ「……ここだ」

亜美「うわわ!」

真美「ぎゃあ!」ドシーン

真美「い、いきなり止まらないでよ亜美!」

亜美「しょうがないじゃんか!パパが急に……」

パパ「いいか、明かりをつけるぞ……」

亜美「うあ!」

真美「眩し!」

パパ「見なさい、二人とも……」

亜美「こ、これは……胸板……!?」

真美「巨大ロボット……!?」

パパ「正式名『IMR-765-S』通称『キサラギ』」

パパ「これが、パパのお仕事だ」

亜美「お仕事……」

真美「キサラギ……?」

パパ「詳しく説明している暇はない、でも……」

パパ「もう時間が無い、二人に掛けるしかないんだ」

亜美「え、な、何が……」

パパ「パパも、こんなに早く『アレ』が来るとは思ってもみなかった」

真美「アレ……?」

パパ「いいかい、よく聞きなさい」

パパ「さっきの交通事故も、パパの仲間がおかしくなったのも」

パパ「月から出ている放射能が原因なんだ」

真美「月って……」

パパ「そして、その放射能には、対処の方法が一つしかない」

パパ「それが、今亜美が持っている希煌石だ」

亜美「こ、これ?キラジェム……?」

パパ「そう、そいつの光が、唯一その放射能を緩和する」

パパ「そして、その希煌石にはもうひとつ」

パパ「この『キサラギ』を起動させる力がある」

真美「こ、このロボットを?」

亜美「起動、させる……」

パパ「すべては理論上の話だ」

パパ「これまで、一度として『キサラギ』が起動したことは無い」

パパ「それどころか、亜美と真美が来る今日まで、その石が光ったこともない!」

パパ「しかし!私たちにできることはもうこれしかない!」

パパ「頼む!その希煌石で『キサラギ』を起動させてくれ!」

亜美「そ、そんなこと言われても……」

真美「急にできるわけないよ!」

ドオオオオオン!

亜美「!」

真美「!」

パパ「頼む、パパたちがこうしている間にも」

パパ「あの放射線の犠牲者が次々に!」

パパ「頼む!」

亜美「……」

真美「……」

亜美「真美」

真美「うん、亜美」

亜美・真美「やろう!一緒に!」

亜美「で、でもどうやって……?」

真美「真美にもわかんない、けど……」

亜美「とにかく、呼んでみるしかないっしょ!」

真美「う、うん!」

亜美「そ、それじゃ、この石一緒に握って!」

真美「うん!」

亜美「行くよ!」

真美「よしこい!」

亜美「せぇーのぉ!」

亜美・真美「『キサラギ』いいいいいいいいいい!!!」


「くっ」

亜美「!」

真美「え、い、今……」

亜美「今の、『キサラギ』が?」

真美「『何』?今の声……」

キサラギ「くっ」ゴゴゴゴゴゴゴ

パパ「や、やった!」

パパ「本当に、動いた!」


パパ「射出口開けろぉ!」

パパ「亜美、真美!」

パパ「急いで上に上るぞ!ヘリコプターがある!」

亜美「う、うん!」

真美「行こ!亜美!」

バララララララララ

パパ「す、すごい……」

亜美「はえー、あれが『キサラギ』……」

真美「凄い!すっごい四角い!」

真美「パパ、それで真美たちどうすればいいの?」

パパ「そうだな、とりあえず放射線をどうにかしなくちゃいけない」

亜美「放射線……」

パパ「待ってなさい、今通信室と連絡を……」

亜美「あっち!」

パパ「え?」

真美「うん、あっちだね」

パパ「な、何がだ?」

亜美「何って、放射線の出所に決まってんじゃん!」

真美「そうだよパパ!しっかりして!」

パパ「わ、わかるのか!?」

亜美「うん、何となくだけど……」

真美「パパ!あれを防げばいいんだよね!?」

パパ「そ、そうだ……でもどうやって……」

亜美「……そうだ!」

真美「何!?亜美?」

亜美「ね、ね真美、キサラギにあの電波塔に上ってもらおうよ」

真美「おお!いいねー!」

パパ「電波塔に上るだって!?」

パパ「そんなことができるのか?」

亜美「分かんない!」

パパ「わかんない!?」

真美「うん、でも……」

真美「今はやるっきゃないっしょ!」

亜美「行けえ!キサラギ!」

真美「あの電波塔だよ!間違っちゃダメだよ!」

キサラギ「くっ」ドシンドシン

パパ「おお、向かってるぞ!」

キサラギ「くっ」ガシンガシン

パパ「登ってるぞ!!」

亜美「もうちょっと!もうちょっとだよ!」

真美「頑張って!キサラギ!」

キサラギ「くぅ……」ヨジヨジ

亜美「よし!」

真美「あれだけ登れば……!」

亜美・真美「行ける!」

亜美「キサラギ!あっち!」

真美「放射線の方だよ!頑張って!」

キサラギ「くっ」グググ

亜美「もうちょっと!」

キサラギ「くっ」ググッ

真美「頑張れ!」

キサラギ「くっ」ググ

亜美・真美「向いた!」


カッ

ドドドドドドドドドドド

パパ「二人とも!一体なにをしているんだ!?」

亜美「キサラギの胸板で!放射線を反射してるんだよ!」

パパ「何だって!?」

真美「ほら!今放射線源とキサラギの跳ね返した放射線がぶつかり合ってるでしょ!?」

ドドドドドドドドドドド

パパ「全然分からないぞ!」

亜美・真美「行っけえーーーー!キサラギーーーーーーー!」

キサラギ「くっ!」

パパ(ど、どういうことだ!?)

パパ(放射線を放射線で打ち消すだって!?)

パパ(私たちのデータで考えると、そんなことできるはずが……)

パパ(放射線は唯一、希煌石の光でしか打ち消せないはずなのに……!)

パパ「いや、今はそんなことどうでもいい!」

パパ「行けえ!キサラギいいいいい!!」

ドドドドドドドドドド

ドドドドドドドドド

ドドドドド


ドドド


ド……

亜美「や、やった!」

真美「止まった!」

961コーポレーション

黒井「双海!双海はどこだ!」

黒井「!」

黒井「双海ぃ!」

パパ「黒井社長!」

パパ「ご覧になられましたか!?今のキサラギ……」

黒井「ああ、見たよ」

パパ「で、では……」

黒井「ああ」

黒井「許可の下りていない『IMR-765-S』の独断での起動……」

黒井「『異動』に加えて『降格』だ双海」

双海「え……」

双海「ど、どういうことですか!?」

黒井「決まっているだろう、貴様は社の規範を犯した」

黒井「その降格だ」

双海「そ、そんな馬鹿な話がありますか!」

黒井「フン、首を切られないだけありがたいと思うんだな」

双海「そ、そんな……」

亜美「イドー?コウカク?」

真美「それってどういうこと?」

パパ「ゴメンな、亜美、真美……」

パパ「パパ、お仕事を失敗しちゃったんだ」

パパ「本当は今日、二人に実験の協力を頼むつもりで呼んだんだけれどね」

パパ「間に合わなかったみたいなんだ……」

パパ「だから、しばらく二人には会えないかもしれない」

亜美「え?え?」

真美「パパ、どうして?」

亜美「パパのお仕事って、あの『キサラギ』なんじゃないの!?」

真美「そうだよ!キサラギ、ちゃんと動いたじゃんか!」

パパ「それでも、少し遅かったみたいなんだ……」

亜美「どーしてさ!動けばいいんじゃないの!?」

真美「真美たちちゃんと動かしたでしょ!?」

黒井「!」

亜美「あえなくなるなんてヤだよ!」

真美「そうだよ!ママだってきっとヤだよ!」

黒井「……お前たち」

亜美「な、何?」

黒井「『キサラギ』を動かしたのは、お前たちなのか?」

真美「そうだよ?」

黒井「まさか、こんな子供が……?」

黒井「……」

亜美「ねえ、社長さん!社長さん偉いんでしょ!?」

亜美「パパ、何処にもいかないよね!?」

真美「そうだよ!キサラギ、ちゃんと動いたでしょ!?」

真美「パパのこと許してあげてよぉ!」

黒井「……」

黒井「……君たち」

黒井「……パパがお仕事首になるのは嫌か?」

亜美「う、うん!」

真美「ヤダ!」

黒井「そうか……それなら、こうしよう」

黒井「代わりに、君たちがパパのいくべきところに行きなさい」

パパ「!!」

パパ「社長!!」

黒井「貴様は黙っていろ」

亜美「そ、それって、どういうこと?」

真美「パパの行くべきところ……?」

パパ「ふざけるな!そんなことが……!」

黒井「もし君たちが代わりに、パパのいくべきところ、つまり」

黒井「ここから遠く離れた離島の支社に行くのならば」

黒井「パパはこのお仕事を続けられる」

黒井「しかし」

黒井「もし君たちが断るならば、君たちのパパは」

黒井「即刻、クビだ」

パパ「!!」

パパ「さっきと言ってることが違うじゃないか!」

黒井「双海、貴様に選択権は無い」

黒井「私は、この二人に選ばせているのだ」

パパ「ぐうっ……」

黒井「さあ、決めなさい」

黒井「君たちが離島に引っ越すか、お父さんがクビになるか」

黒井「……どっちだ?」

亜美「……そんなん決まってるっしょ」

真美「うん」

真美「真美たちが行くよ」

パパ「お前たち!」

黒井「よし、決まりだな」

黒井「何、双海、安心しろ」

黒井「子供に、それほど危険なことはさせんさ」

黒井「教育も受けさせるし、生活の面倒も十二分に見てやる」

パパ「……」

亜美「パパ、大丈夫だよ」

真美「うん、絶対無事に帰ってくるって!」

亜美「そうそう!宿題もちゃんとやるし、イタズラもあんまりしないよ!」

真美「あんまりね!」

パパ「……」

パパ「すまない、お前たち」

亜美「ぜーんぜん!」

真美「ヘーキだよ!」

数日後

小鳥「……急に転校だなんて、驚いたわ」

亜美「えへへ、ゴメンねピヨちゃん」

真美「真美たちもチョーびっくりしてるよ」

小鳥「……ぐすっ」

亜美「泣かないでよー」

真美「真美たち、絶対また帰ってくるかんね!」

小鳥「うん、うん……」

亜美「……皆にもよろしくね」

小鳥「うん……」

真美「もう胸元開けて廊下歩き回っちゃダメだかんね?」

小鳥「うん……」

亜美「淫コトリってクラスでも噂になってたんだよ?」

小鳥「ごめんなさい……」

小鳥「亜美ちゃん、真美ちゃん」ギュ

亜美「わっ」

真美「ちょ、ちょっとー」

小鳥「また会いましょうね!絶対に!」

亜美「……うん!」

真美「当然っしょ!」

亜美「あ、ほら、バス来たよ」

真美「ピヨちゃん苦しいよー」

小鳥「あ、ご、ごめんなさい」

亜美「そんじゃね!」

真美「またね!」

小鳥「ええ」

プシュー

亜美・真美「行って来まーす!」

バタン

小鳥「亜美ちゃーん!真美ちゃーん!」タタッ

小鳥「また会いましょうねー!」ブンブン

小鳥「きゃあ!」ズッテーン


亜美「うわっ痛そ!」

真美「んもー、あれじゃ、当分結婚できないね」

亜美「……ねえ真美」

真美「何?」

亜美「何だか成り行きで、大変なことになっちゃったけどさ」

真美「うん」

亜美「頑張ろうね」

真美「頑張ろうって、何をさ?」

亜美「いろいろだよ!」

真美「えー?何それ?」

亜美「いろいろ頑張って、一日でも早くまたこっちに戻ってこようってこと!」

真美「……うん、そだね」

亜美「がんばろうね!」

真美「うん、がんばろ!」


亜美「……でもさ」

真美「うん?」

亜美「ジッサイ、社長の言ってた島で何やるんだろね?」

真美「……さあ?」


                        つづけ

来週の無尽合体キサラギは

亜美です!何だか成り行きで大変なことになっちゃけど、こんななんもない島で一体何やんの?

え?勉強?運動?歌の練習?うあうあ~!そんなこと、こっちにいてもできったっしょ!?

でもでも、ピヨちゃんと約束したかんね!真美と一緒に頑張って、絶対そっこーお戻りさんだよ!

って、あれ?あの金髪の子、何処かで見たことあるような……?

次週、無尽合体キサラギ第2話『“準備”をはじめた少女たち』

お楽しみに!

おわりです、ありがとうございました

ぶっちゃけノリでスレ立てたから、最後まで完走できるといいね(他人事)

トリップ

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