服以外全部溶かすスライム (25)
勇者(♂)「なあ格闘家、この『魔獣の森』って、魔王城を囲んでるから避けては通れない、最強最悪のモンスターの棲家なんだよな?」
格闘家(♀)「うん、そのはずなんだけど・・・ねえ?」
魔法使い(♂)「なんか、張り合いないよね。竜種とかいろいろ出て来るけど、ちょっと硬いだけで普通に倒せるし」
賢者(♀)「皆さん、あまり油断しないほうが・・・」
勇者「この程度のモンスターしか出てこないところなら油断してても問題なくね?」
格闘家「まあね。正直そのへんの封印迷宮の下層とかの方がレベルも高いしドロップも・・・えっ?」
魔法使い「・・・こんな魔王城目前のダンジョンで」
賢者「・・・スライム?」
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スライムというと某有名ゲームの影響で、最弱のモンスターであるというイメージが強いかもしれない。
しかし、このスライムというモンスターは意外と厄介なのである。
まず不定形であるため、物理攻撃は基本的に効かない。
また、大量に増殖するという特性をもち、その際突然変異体が生まれやすい。
スライムの突然変異体は、回復魔法を覚えていたり、変身能力を持っていたりと、通常にはない能力を持つ。
さらに、ほぼ液体のような性質を持つため、取りこまれてしまえばスライムに溺れて死ぬということすらある。
ただ、攻撃魔法、特に雷属性のものを使えば簡単に倒せてしまうため、やはり出現するのは低難易度のダンジョン、
突然変異体でも中程度のレベルのダンジョンあたりでぽつぽつ見かけるかなという程度のモンスターである。
格闘家「まあ私は格闘家だけど雷属性の魔法はけっこう使えるし、スライムも敵じゃないけどね」
勇者「・・・スライムといえばさ、あの『赤の洞窟』に出てきた突然変異体」
魔法使い「『赤の洞窟』・・・ああ、あの『服だけ溶かすスライム』の」
格闘家「ちょっと!何思い出してんのアンタたち!」
勇者「いやあ、格闘家と賢者が捕まった時のあのあられもない姿を」
賢者「あの時は、はしたない姿を見せてしまい・・・」
勇者「いえいえ、ご馳走様でした」
魔法使い「人の彼女の裸を見てご馳走様とか燃やされたいのかな?」
勇者「お前も人の彼女の裸を見ただろうが。お互い様だろ」
魔法使い「いやでも、二人とも、よかったよねえ・・・」
勇者「ああ、胸の大きさこそ賢者が大差で勝つものの、格闘家も引き締まった肢体にところどころ残った服の切れ端がまたいい味を出してて」
格闘家「いい加減にしなさい!!」ドゴォ
勇者&魔法使い「ふぐっ!?」
勇者「お、お前、魔王城を前にしてパーティの体力減らすとか・・・」ガクガク
魔法使い「ぼ、僕は防御魔法使ってないと物理防御は紙なんだから・・・」ガクガク
格闘家「自業自得でしょ。賢者ちゃん、回復魔法はいらないからね」
賢者「いいのでしょうか・・・」
魔法使い「・・・そ、それより勇者」
勇者「・・・わかってるよ。さすがにおかしいだろ、こんなの」
そんな、せいぜい下の上レベルのモンスターが、最終ダンジョン1個手前の『魔獣の森』にいる。
縄張り争いなどでモンスターの同士討ちも頻繁に発生するため、突然変異体といえどこんなところで生き残るのは難しいはず。
もしかすると、ここのモンスターたちと対等以上に渡り合えるような能力を持っているのではないか?
賢者「・・・私の『能力』、使っておきますか?」コソッ
魔法使い「それはさすがにまだ早いかな。賢者ちゃんにも僕たちにもリスクが大きすぎるからね」コソッ
魔法使い「まあまずは僕がやるよ・・・魔法反射とか持ってるかもしれないから、避ける準備はしといてよね」
勇者「おうよ」
魔法使い「ふっ!!」バチィッ
攻撃呪文の威力と多彩さでは他の追随を許さない魔法使いが、無詠唱で電撃呪文を放つが
ジュワッ
魔法使い「!?」
格闘家「き、消えた!?」
賢者「魔法無効化ですか!?」
魔法使い「いや、消えたというよりはむしろ・・・」
勇者「・・・じゃあ次は俺がやってみるか。お前ら下がってろ」
そう言いつつ剣を抜いた勇者が何事か呟くと、勇者の剣が風を纏い轟々と音をたてはじめる。
勇者「電撃が効かないなら、風属性の魔法をまとった『真空斬撃』ならどうだ? 行くぜオラァッ!!」ダンッ
格闘家(あ、ヤバい勇者かっこいい惚れる)
勇者「セイッ!!」
ジュワッ
勇者「・・・えっ?」
賢者「剣が・・・溶けた?」
勇者「バ、バカな、『宵の迷宮』の最深部にあった、魔王をも斬れると言われる剣だぞ・・・!?」
魔法使い「それが・・・そんな、まるでバターみたいに」
賢者「・・・こうなれば、ありったけの攻撃魔法を試してみるしかないでしょうか」
魔法使い「・・・そうだね。賢者ちゃんも協力してね?」
賢者「はい・・・攻撃魔法では魔法使いさんに及ぶべくもありませんが・・・」
魔法使い「くそっ・・・水や氷属性から、即死や浄化、儀式魔法まで試したってのに・・・」ゼェゼェ
格闘家「さっきの勇者の剣みたいに、まるで魔法も溶かされてるみたいな」
勇者「魔法使い、後ろで休んでな。お前の魔法は威力が頭おかしいレベルな分、消費も激しいんだからな」
魔法使い「ご、ごめんね勇者。そうさせてもらうよ」
格闘家「・・・これ、逃げた方がよくない?」
勇者「いや、どうやら手遅れのようだぜ。後ろ見てみ?」
魔法使い「えっ?」
目の前のスライムがいつの間にか、その身体を大きく広げ網状のドームを形成しており、勇者たちは閉じ込められてしまっていた。
賢者「なっ!?」
勇者「伝説の剣を溶かすようなスライムの身体・・・無理やり突破するのはさすがに無理だろうぜ」
賢者「そ、そんな・・・私の判断ミスです。魔法使いさんを消耗させた上に退路まで・・・」
格闘家「ど、どうすればいいのっ!?」
魔法使い「賢者ちゃん、『空間転移』ならどう?」
賢者「私の今の技量では、私一人が転移するので精一杯で・・・他の皆さんを脱出させることは」
勇者「そうか・・・」
賢者「・・・仕方ありません。使いましょう」
魔法使い「賢者ちゃん!?」
賢者「ええ、あれを使えば、あのスライムに関する情報を引き出すこともできるでしょう」
魔法使い「で、でもそれじゃ賢者ちゃんが」
賢者「大丈夫です。まず引き出す情報は名前だけにしておきます。それならば私の被害も少なく済むでしょう」
勇者「おい二人とも、さっきから何の話を・・・」
賢者「私の固有の魔法『銀河書庫』で、銀河のどこかにあるとされるアカシックレコードに接続してあらゆる情報を瞬時に得ることができます」
格闘家「ええっ!? す、すごいじゃない賢者ちゃん! でも・・・」
勇者「・・・バラしてよかったのかよ、それ」
勇者パーティは、魔王を倒してしまえば普通はそのまま解散することになる。
場合によっては、その後に今のメンバー同士が敵対することもあるかもしれない。
また、脅威を取り除いた後の勇者パーティというものは往々にして一部の民衆から敵視されるものであり、
自分が追われる立場になったときのために、自分の情報を知るものは少なければ少ないほどいい。
そのため、よほど親しい間柄でもない限り自分の詳しい情報、ましてや切り札などは絶対に見せないものである。
賢者「いいえ・・・ですが、私は勇者さんや格闘家さんには死んでほしくありません」
格闘家「賢者ちゃん・・・」
魔法使い「でも、そんな魔法がノーリスクで使えるわけがない」
格闘家「えっ?」
賢者「はい、『銀河書庫』で引き出す情報のレベルによって、私は正気を失っていきます」
勇者「正気を?」
賢者「ええ、濫用しすぎれば私は廃人同然になってしまい、元の人格を取り戻すことはないでしょう」
賢者「しかし、情報を限定すれば正気を保っていられますし、時間を置けば精神の損耗も回復します」
賢者「・・・魔法使いさん、使ってもいいでしょうか?」
魔法使い「・・・うん、僕だけならともかく、勇者と格闘家ちゃんもピンチなわけだしね」
魔法使い「ただ、使いすぎないでよ? 賢者ちゃんが廃人になったら僕どうすればいいのさ」
賢者「ええ・・・では」
賢者「開け『銀河書庫』」
ズキィッ
賢者「くっ!?」クラッ
魔法使い「賢者ちゃん!?」
賢者「だ、だいじょうぶ、です、それより」
賢者「あのモンスターのなまえが、わかりました、あれは『ふくいがいぜんぶとかすスライム』です」
魔法使い「ふ・・・服以外全部溶かすスライム!?」
勇者「さっき言ってた『服だけ溶かすスライム』の逆バージョンか!」
格闘家「だから剣も魔法も全部溶かされたってこと!?」
魔法使い「でも、だとしたら服の上からの攻撃なら通るし、スライムをすり抜けたりもできる・・・?」
賢者「おそらくは・・・ただ、ふくというのが、どのくらいのはんいのものをさすのか」
勇者「賢者の着てるローブとかなら全身を包んだままスライムの体を抜けて外に出られるかもしれないけど・・・」
魔法使い「まあそのローブ使っても、賢者ちゃん以外は無理だよねえ。賢者ちゃんちっちゃいし」
格闘家「・・・賢者ちゃんなんであんなにちっちゃいのに胸だけ大きいのかなあ・・・なんで私の胸は・・・」
勇者「落ち着け格闘家」
魔法使い「そもそも賢者ちゃん1人なら『空間転移』で出られるから、ローブを使ってすり抜けるのはあまり意味ないかなあ」
格闘家「・・・服を使って倒す方向なら、どこを攻撃すればいいのかな? 普通のスライムでも物理攻撃は効かないのに」
勇者「ああ、そのことなら狙ってみたいところがある」
格闘家「えっ?」
勇者「こっちの方向、高さ1mくらいのところ・・・スライムの身体の中に、何か見えねえ?」
格闘家「えっ、ちょっとよくわからないけど」
勇者「『視覚強化』唱えてみ?」
格闘家「え、えっと・・・『視覚強化』!」
格闘家「・・・何か、小さい球みたいなものがある? 普通のスライムにはないよね?」
魔法使い「『視覚強化』した格闘家ちゃんとデフォで同じレベルの視力って勇者すごくない?」
勇者「あれ、このスライムの核みたいなもんじゃねえ?」
賢者「た、たしかに、そうかもしれません」
勇者「ただ、あれが仮に核だとして、魔法使いがメチャクチャ魔法撃ってる時も見てたんだけどよ」
勇者「あの核、たまに飛んでくる魔法に反応してめちゃくちゃ速く動いて躱してたんだよな。当たっても効かねえはずなのに」
勇者「だから、効果がありそうってのはそうだけど、馬鹿正直に狙っても躱されるかもしれねえ」
格闘家「・・・勇者、ちょっとその剣の柄ちょうだい」
勇者「え? さっき溶かされた剣の? いいけど」
格闘家「ありがと。それじゃあ・・・はあっ!!」ヒュボッ
ガオォン!!
勇者「うおぉっ!?」
魔法使い「ひゃああっ!?」
賢者「しょ、しょうげきは!?」
格闘家「・・・うん、見えた。マッハ1.6で投げられた柄に対する反応速度があれなら・・・」
魔法使い「えっちょっ格闘家ちゃん、音速超えて動けるの!?」
格闘家「うん、それでも今のは避けられちゃったけどね。でも・・・私なら当てられる」
勇者「格闘家! お前まさか・・・」
格闘家「賢者ちゃんの覚悟に応えたいの」
魔法使い「格闘家ちゃん?」
格闘家「私の切り札。雷属性の上位魔法を身に纏うことで、雷と同じ速さで動けるの」
魔法使い「雷の速さ!?」
勇者「・・・音速なんか比べ物にならねえ。秒速150kmだよ」
賢者「・・・びょうそく!?」
魔法使い「もしかして格闘家ちゃん、格闘家なのに雷属性の魔法だけ異常に得意だったのって」
格闘家「すっごく魔翌力消費激しいから普段は使わないけどね。ほんとは他の人に撃ってもらいたいけど、魔法使いくんは消耗してるし賢者ちゃんは『銀河書庫』の反動あるでしょ?」
勇者「格闘家、ちょっと待ってろ」ゴソゴソ
勇者「鎧の下に着てた道着だ。これなら間違いなく服だろうし、あのスライムにも触れるだろ」
格闘家「ありがと。それじゃ拳に巻いて・・・『雷装天鎧』!!」バチィッ
魔法使い「ひゃあっ!?」
勇者「離れとけよ魔法使い。まあお前の魔法防御力なら、巻き込まれても消し炭程度で済むかもしれねえけど」
魔法使い「消し炭程度!?」
格闘家「行くよ・・・はあっ!!」バチィッ
格闘家「・・・えっ?」
勇者「核に、当たって・・・ない!?」
ジュワッ
格闘家「きゃああああああああっ!!」
魔法使い「ス、スライムが腕に!!」
勇者「くっ!!」バッ
勇者「大丈夫か格闘家・・・うっ」
賢者「みぎうでが・・・かんぜんにとけて」
魔法使い「胴体まで少しやられてる・・・とにかく出血を止めないと! 『高位治癒』!!」ポウッ
魔法使い(くっ、既に魔翌力をだいぶ使ってるのもあるけど、やっぱり僕程度の『高位治癒』じゃあ気休めにしかならない!)
魔法使い(そもそも腕の完全欠損の治療なんて賢者ちゃんでも専用の儀式が必要なのに!)
格闘家「勇者ぁ、いたい、いたいよぉ・・・」グスッ
勇者「格闘家・・・」
魔法使い「とりあえず出血は止まったけど・・・これほどの重傷、たぶん『高位治癒』はかけ続けてないと格闘家ちゃんの命に関わるよ」
勇者「『睡魔の光』」ポウッ
格闘家「ふぇっ」
魔法使い「勇者!?」
格闘家「・・・zzz」
勇者「・・・こんな初歩の催眠呪文が効くほどの消耗・・・格闘家のこんな弱った姿なんて、見てられねえ」
勇者「それに、深く眠った状態なら『高位治癒』の効き目も少しはマシになるんじゃねえか?」
魔法使い「・・・うん、寝顔は穏やかだし、少なくとも痛みは感じてないと思うよ」
勇者「魔法使い・・・お前、どんな切り札を持ってる?」
魔法使い「えっ?」
勇者「俺の切り札は斬撃を複製して、最大7本同時発生させる『幻想斬華』だ。空間を隔てて発生させるから相手の防御を無視できる」
魔法使い「うっわ、エグい・・・」
勇者「こんなナイフでも発生させられるけど、雷速ですら攻撃が当たらなかった核に狙って当てるのは無理だろうぜ・・・はあっ!」ヴンッ
ジュワッ
勇者「ダメだな。そもそも魔法力がかき消されて攻撃が届いてねえわ」
魔法使い「勇者・・・」
魔法使い「わかったよ。僕の切り札は『時空消滅』だよ。時空間範囲攻撃だからあのスライムにも効く可能性はあるけど、制御が難しくてみんなを巻き込まない自信はない」
魔法使い「魔翌力消費も僕の魔法で一番激しいから今使えるかはわからない。本当にどうしようもなかったら命を削ってでも使うけど」
魔法使い「ただ、『時空消滅』を使ったら今格闘家ちゃんにかけ続けてる『高位治癒』も途切れちゃうし、何か対策をしないと」
ジュワッ
勇者&魔法使い「えっ?」
賢者「ぐうっ!!」
魔法使い「賢者ちゃん!!?」
賢者「・・・スライムに、小指の先を溶かさせました。虚ろな意識を覚ますためならこの程度・・・」
勇者「賢者・・・」
賢者「魔法使いさん、『銀河書庫』を再度使います」
魔法使い「えっ!? で、でもそれは」
賢者「探す情報は『服以外全部溶かすスライムの倒し方』です。これだけの強敵、倒し方を得る代償は大きいかもしれません」
賢者「何とかして倒し方は実行、せめて得た情報はお伝えするつもりですが・・・もしそれが叶わなければ『時空消滅』で魔法使いさんだけでも・・・」
魔法使い「賢者ちゃん・・・」
賢者「行きます・・・開け『銀河書庫』」
パキンッ
賢者「あっ」フラッ
魔法使い「賢者ちゃん!?」ガシッ
魔法使い(今の・・・『銀河書庫』を使った時の反応、今までと違った!)
賢者「・・・・・・」
魔法使い「賢者ちゃん!賢者ちゃん!!僕がわかる!?」
賢者「・・・・・・」
勇者「まさか・・・」スッ
勇者「・・・かろうじて、息はしてる。でも、外界からの刺激に反応をしてねえ。目を開けたまま、深く眠ってるみたいな」
魔法使い「そ、そんな」グスッ
魔法使い「ねえ起きてよ賢者ちゃん!たとえ僕らが助かっても、賢者ちゃんがそんなんじゃ」ポタッ
賢者「・・・・・・ないてるの?」
魔法使い「えっ」
賢者「ないちゃ、だめだよ、おとこのこでしょ?」
魔法使い「賢者ちゃん!!よかった、よかった・・・!」ギュッ
賢者「えへへー、まほうつかいくんに、ぎゅーってされるの、すきー」
勇者「マジか、あの状態から目覚めるとは・・・よかったけど、この状態じゃあスライムの倒し方の情報は期待できそうにねえな」
賢者「・・・まほうつかいくん、あのすらいむに、なかされたの?」
魔法使い「えっ」
賢者「じゃあ、やっつけないと、だね」フラッ
魔法使い「け、賢者ちゃん!?危ないよ!?」
賢者「だいじょうぶだよー、わたし、たおしかた、わかるよ」
魔法使い「ほ、ほんとに!?」
賢者「あのすらいむはねー、ふくのうえからの、こうげきなら、きくんだけど」
賢者「それで、かくをこわさないとだめなの」
勇者「ああ・・・でもさっき格闘家がやってもダメだったんだ」
賢者「それはねー、あのかくは、はやいこうげきと、つよいこうげきは、よけちゃうの」
魔法使い「速い攻撃と、強い攻撃は、避ける?」
賢者「えーっとねー、あのかくをこわすには、ゆっくりちかづいて、すっごくよわいこうげきをするの」
魔法使い「格闘家ちゃんの腕を一瞬で溶かすあのスライムに、ゆっくり近づいて、弱い攻撃・・・!?」
勇者「まともな神経してたらまずやらねえ選択だな」
賢者「でもねー、ひとのこぶしとか、はとか、かたいところだと、ちょっとつよいこうげきになっちゃうの」
勇者「じゃあどうすればいいんだ?」
賢者「ゆっくりちかづいて、ふくのうえから、やわらかいところではさんで、ちょっとずつこわすんだー」トテトテ
魔法使い「・・・えっ?」
賢者「じゃあやるよー」
勇者「・・・まさか」
賢者「えいっ」パフッ
勇者&魔法使い「!!!??」
賢者「ふとももで、はさんでもいいけど、このふくなら、おっぱいのほうがらくだし、あんぜんだよー」フニフニ
魔法使い「えっ、ちょっと」
賢者「いつも、まほうつかいくんに、やってるよりも、ゆっくりめにしてー」
魔法使い「ちょっと賢者ちゃん!?」
勇者「おい魔法使い!お前いつもあんなことやってもらってんのか!?」
魔法使い「そ、それは」
賢者「いつもは、このままなめたりしてるよー?」
勇者「こら魔法使いお前マジかこの野郎!」
魔法使い「ひっ」
勇者「正直、めちゃくちゃ羨ましい・・・格闘家も賢者ほどじゃなくても挟めるくらいあれば・・・」ガクッ
魔法使い「格闘家ちゃん眠っててよかったねほんとに」
賢者「あー、かくがこわれてきたよ」
魔法使い「ほ、ほんとに!?」
賢者「ほらー、もうすこしだよー、いけー、いっちゃえー」フニフニ
魔法使い「言い方!!」
勇者「お前ああいうの好きなのか!? 賢者みたいな子に責められるの好きなのかお前!」
魔法使い「すいません大好きです!!」
賢者「それー」
パキンッ
その後、近くの町まで辿り着き完全回復した勇者一行は再び『魔獣の森』に挑戦し、そのまま大した苦労もせずに魔王を討伐した。
『服以外全部溶かすスライム』は倒し方を知らないと詰むモンスターであるため、その危険性から倒し方の情報は勇者一行により多くの人に広められ、
その結果『賢者のおっぱいは世界で一番強い』『賢者が貧乳だったら世界は滅んでいた』などと賢者およびその胸部が称えられる一方、
それを唯一堪能できる魔法使いは『世界を手にした男』と呼ばれ嫉妬と怨嗟の声が向けられることとなった。
以上で完結です。ここまで読んでくれた方ありがとうございました。
おっぱいが世界を救うRPGやりたい
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