【シンデレ落語ガールズ】夢の宝くじ (25)
古典落語「芝浜」(夢の長財布)を基にしたSSです
基となったお話に合わせた結果キャラが若干違うなどあるかもしれません
また、にょわにょわ語を使い慣れていないため文法・用法を間違えることもあるかもしれません
そのようなことがございましても温かい目でご容赦いただければ幸いです
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1530539805
美城プロダクションに所属するアイドルの双葉杏
ルックス・歌唱力・ダンサブル、どれを取っても申し分ない上に人間も悪くないが、飴依存症で怠け者
少ない印税が入るとすぐに飴を買ってしまい、仕事もろくにしないからか年中ダボダボの着古したTシャツを着ている有様
今年ももうそろそろ年末だというのに杏というと、起きて飴を舐めて寝ての繰り返しを2週間も続けていた
きらりは今まで我慢を重ねてきたが、それもついに限界を迎え、日曜日の朝に杏を叩き起こした
きらり「杏ちゃん、今日こそお仕事してくれないときらりプンプンなんだにぃ。このままじゃ親戚の子にあげるお年玉もないから事務所にアイドルしに行ってゆ」
杏「だからって日曜日に起こすことないじゃないかぁ」
きらり「ちゃんとかわうぃーお着替えも飴も用意したから早く行ってくるにぃ」
杏「飴!もう、しょうがないなぁ。ちょっくらアイドルしてきまーす」
杏「はぁ、ああは言ったもののめんどいなぁ。ちょっと遠回りして事務所に行こう」
茄子『年末ジャンボガシャ10億円、皆さんに幸せのお裾分けです』
杏「宝くじか、たまには買ってみようかな。すみませーん、1枚ください」
事務所
杏「おはよー、プロデューサー。今日のお仕事は何?杏寝てるだけのお仕事がいいなー」
P「待っていたぞ杏ぅ!!今日の仕事はファッションブランドの撮影と雑誌の取材、ラジオ収録とレコーディング、次のサイン会用のサイン色紙の作成その他諸々だぁ!!!」
杏「えぇ、そんなぁ」
杏「た…ただいまぁ。あーものすごく疲れた」
きらり「おかえり杏ちゃん、遅くまでお仕事お疲れ様だにぃ」
杏「ありがと、きらり。今日はこのまま寝るよ」
翌朝
杏「おはよ、きらりー。新聞あるー?」
きらり「杏ちゃんがこんな朝早くに1人で起きてくるなんて珍すぃこともあるにぃ。はい、これ新聞だゆ。テレビ欄でも見るのかにぃ?」
杏「おいおい、杏だってたまには朝早く起きることもあれば新聞を読むこともあるさ……と、あったあった」
きらり「うゆ?何を見つけたの?」
杏「んー、宝くじのページ。昨日一枚買ったんだ。当選番号は…あ、当たってる…?!」
きらり「すっごーい、何等だったにぃ?」
杏「2等、1億円!!やったぁ、これでアイドルも辞めて一生遊んで暮らせるぞ。よし、杏は寝ながらこれからの人生について考えるよ、おやすみ~」
きらり「あ、ちょっと杏ちゃん。んもう」
杏「むふふ、せっかく大金が手に入るんだからパッーと使ってみたいよねぇ…どんな風に使おうかなぁムニャムニャ」
夕方
杏「ふわぁー、よく寝た。頭もスッキリしたしちひろさんに電話しよう」
ちひろ『もしもし、ちひろです。何かありましたか、杏ちゃん?』
杏「うん、事務所のみんなと忘年会をしたくてさ。料金は私が持つからどこか会場とか料理とか用意してくれない?杏その辺面倒だからちひろにやって欲しいな」
ちひろ『それは構いませんが…大丈夫なんですか?』
杏「大丈夫、大丈夫。杏にまっかせなさーい」
ちひろ『分かりました。事務所全員入れるようなところを押さえておきますね!それでは」ガシャ
杏「80人くらいでパーティか。賑やかになりそうだなぁ」
夜
You got a mail.
杏「お、ちひろさんから一斉送信メールだ。なになに、忘年会は明日の夕方、〇〇ホテルで行います。ドレスコードもあるので気をつけて下さいね。流石ちひろさん、仕事が早いな」
杏「おーい、きらりー。あれ、出かけてるのかな」
杏「机に書き置きがあるな、えーっと
『杏ちゃんへ きらりは年末特番の収録でPちゃんと一緒に遠くに行くので明後日の朝まで帰れないにぃ カレーラーメンを作って冷蔵庫に入れてあるので、きらりが居ない間はそれを食べてにぃ』
ってことは忘年会はこれなさそうだな」
翌日・パーティ会場
杏「あ、ちひろさん。予約とか色々ありがとね」
ちひろ「いえいえ、この程度なんてことないですよ。司会とかは杏ちゃんがやりますか?」
杏「うーん、その辺も任せちゃっていいかな。ちひろさんの方が上手そうだし、杏もやって貰った方が楽だからね」
ちひろ「はい、分かりました。では私が代わりを務めさせていただきますね」
ちひろ「まだ仕事納めじゃない方もいらっしゃるかもしれませんがとりあえず、今年もお疲れ様でした。乾杯ー」
かんぱーい
杏(あれ?そういえばうちの事務所こんなに人いたっけ?まあいっか)「かんぱーい」
一晩中飲めや歌えや、騒げや遊べやと好き放題し飴も2袋は平らげた杏
贅沢に帰りはタクシーを使い家路につきました
杏「ただいまー、いやーたまにはパーティに行くのもいいね」
………
杏「そうだった。きらりはまだ仕事だったな」
杏「さあ、今日は疲れたからもう寝て明日グータラしよう。もう杏は金輪際働く必要もないしね」
翌朝
きらり「杏ちゃん、杏ちゃん。起きて起きて」
杏「むぅお、何だよきらりぃ。もう杏は働かなくていいんだからゆっくり寝かしてくれぇ」
きらり「何を寝惚けてるにぃ、杏ちゃんが働いてくれないとお年玉どころか昨日杏ちゃんが開いたパーティのお支払いもできないにぃ」
杏「この宝くじで1億円当てたんだから大丈夫だって。もう一生遊んで暮らせるよ」
きらり「杏ちゃん、何を言ってゆの?」
杏「何って一昨日宝くじで1億円当たったって言ったろ。だから杏はもう働かなくても問題ナッシング」
きらり「杏ちゃん、いくら働きたくないからって宝くじで大当たりを引き当てる夢を見るなんてきらりん悲すぃ」
杏「夢?」
きらり「うん、杏ちゃん一昨日は夜にきらりが出かけるまで1度も起きて来なかったにぃ」
杏「なら一昨日の新聞で確かめてみようよ。そしたらきらりも杏が正しいって分かるはずだよ」
きらり「はい、これ一昨日の新聞」
杏「ありがときらり、確か宝くじのページはこのあた…あったあった……あれ?当たってない?」
きらり「確かに外れてるにぃ」
杏「じゃあ宝くじが当たったのは夢でパーティに行ったのも夢?」
きらり「残念だけどパーティの方は現実だゆ。ちひろさんから請求書が来てたにぃ」
杏「それじゃあ宝くじが当たったのは夢で、パーティに行ったのは夢じゃないってこと?いくらぐうたらして過ごしたいからってそんな夢をみるなんて、思ってもみなかった
…………そっか…うん、杏、目が覚めた。これからは心を入れ替えて真面目に働くよ、これ以上きらりに迷惑かけられないしね」
それからの杏はきっぱりと飴を辞め、毎朝早くから事務所に行き夜遅くまでお仕事やレッスンに励みました
元々物覚えのいい杏、すぐにダンスや台詞・演技を覚えられるので様々な営業や番組に引っ張りだこ
パーティの借金もすぐに返すことがでさきました
それから時は経ち、着実に実力と人気を積み重ねてきた2人は念願だったユニットソングを出すことができ……
杏「ふぅ、何とか今年中に無事に完成したね、あんきら狂騒曲」
きらり「杏ちゃん、今日はお話ししたいことがあるにぃ」
杏「どこか振り付け直したいところとかあるの?それとも歌詞を変えたいとか?」
きらり「ううん、お仕事の話じゃないの。これ…覚えてゆ?」
杏「これは……宝くじ?これがどうしたっていうのさ?」
きらり「この宝くじ、2等が1億円なの。杏ちゃん、宝くじと1億円で思い当たることない?」
杏「そう言えばこれ宝くじが当たったと勘違いして大騒ぎした時のやつか……いやぁ、あれは恥ずかしかったね」
きらり「実はね……本当は1億円当たってたの」
杏「な、なんだってぇ?!」
きらり「ゴメンね、杏ちゃん。でもね、きらりは本当に不安だったの。杏ちゃん言ってたでしょ、アイドル辞めて遊んで暮らすって。だから杏ちゃんがパーティ行ってる間に偽の新聞を作ってもらってたの」
杏「地味に手の込んだことをしてたんだね、きらりさん…」
きらり「杏ちゃんは心を入れ替えてくれて、一所懸命お仕事してくれたにぃ。杏ちゃんのお陰で2人だけのハピハピな曲も完成したし……
でもね、杏ちゃんがお仕事頑張ってくれてるのを見たらきらりいつもうにゅ~ってなってたの。今までずっと嘘ついててゴメンね、杏ちゃん……怒ってるよね……」
杏「杏がきらりに怒る訳ないじゃん。もしあの時1億円を手にしてたら杏仕事を辞めてずっとぐうたらしてた。終いにはもっと楽で贅沢をしようとしてFXに手を出して失敗して今頃ミイラになってたよ。
こうして2人の楽曲でライブができるのもきらりのお陰だよ。改めてお礼を言うよ、いつもありがとうきらり!」
きらり「本当に許してくれゆの……?」
杏「許すも何もきらりには感謝しかないよ」
きらり「うぇへへへ、きらりうれすぃ♪あのね、杏ちゃん。今日は杏ちゃんに食べてもらおうと思って特別なキャンディを買ってきたの☆久々だよにぃ?杏ちゃんとはいっぱいいーぱっいお話ししたいことがあるんだにぃ☆」
杏「いやぁ、やっぱり持つべきものは友だよね。今日は飴パーティだぁ!」
杏「……という夢を見たんだ」
お後がよろしいようで
歌丸師匠の落語、とても好きでした
他の師匠方と比べてもとても上手い落語で特に女性役は他の誰よりも上手かったと感じております
是非一度寄席で師匠の落語をお聴きしたいと思っておりましたが、叶わぬ願いとなってしまった事が非常に残念でなりません
桂歌丸師匠の御冥福をお祈りします
HTML化依頼をしてまいります
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