肇「CDリリース特別企画『ドキドキ☆憧れデート~IN春の遊園地』、始まります」
加蓮「いえーい!」
飛鳥「い、いえーい! …くっ、やはりボクにはこのくだりが必要とは思えない…」
加蓮「まあまあ、これも様式美ってやつだから」
肇「不慣れでもちゃんと乗ってくれる飛鳥ちゃん、素敵です」
飛鳥「フッ…ボクだってプロだからね、やるべきことはやってみせるさ」
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加蓮「では改めて。こんにちは、北条加蓮だよ~」
肇「藤原肇です。よろしくお願いします」
飛鳥「ボクはアスカ。二宮飛鳥。今宵はボク達の織り成すセカイを楽しんでいって欲しい」
加蓮「今回のボーナストラックは新曲『未完成の歴史』を歌った三人でお届けするよ」
肇「自画自賛になってしまいますが、素晴らしい曲ですので何度でも聴いていただけると嬉しいです」
飛鳥「ボクとしては歌詞について触れたい所だけれど…それは別の機会に語るとしようか」
肇「近日中に三人でのラジオ出演も予定していますので、是非チェックしてくださいね」
加蓮「CD発売の翌週に放送予定だから、聞き逃したという人はアーカイブから聞いてねー」
飛鳥「ちなみにアーカイブは会員限定、つまりそういうことさ」
加蓮「さてさて、宣伝も挟んだところで本題にいこうか」
肇「この企画では春の遊園地を舞台に、私たち三人がそれぞれ彼女役・彼氏役・カメラマン役に分かれてお芝居に挑戦します」
飛鳥「今回の脚本…もとい、デートプランはボクらではなく、ファンの皆から募集したものを元に組み立てさせてもらったよ」
加蓮「私たちもドキドキしながらお芝居に挑戦するので、一緒にドキドキしながら聞いてくれたら嬉しいな」
肇「沢山のご応募ありがとうございました。採用されなかった方のお手紙もいくつか読ませていただきましたが、どれも刺激的なお話で…演じる前からドキドキしてしまいました」
飛鳥「前置きはこのくらいでいいだろう。早速舞台の幕をあけるとしようか」
肇「それでは一番手は私、藤原肇が彼女役を務めさせて頂きます。彼氏役はレンくんこと、加蓮ちゃんです。よろしくお願いしますね、加蓮ちゃん」
加蓮「はいはーい、引き受けました。こちらこそよろしくね、肇」
飛鳥「そしてボクは二人の睦み合いを観測する訳か。覗き見のようで気乗りはしないけど、与えられた役割はクリアしてみせるさ」
加蓮「あれ、そんなこと言う割にカメラの構え方が様になってる」
飛鳥「これでも予習はするタイプなんだ、意外だったかな?」
肇「ふふっ、頼もしいです」
飛鳥「む…肇さんのまっすぐな眼は少し気恥ずかしいね。ともかく準備は整った。さあ…往こうか」
肇「こっちこっち! 次はあれに乗りましょう、レンくん!」
レン「あはは、了解。でも、そんなに焦らなくてもアトラクションは逃げないのに」
肇「だってすごく楽しみで…あ、今ならすぐに乗れるみたいです!」
レン「本当だ。バーチャルシューティング…協力プレイかスコア勝負か選べるみたいだね。肇ちゃんはどっちがいい?」
肇「んー…せっかくなので勝負しましょう!」
レン「オッケー、負けないからね!」
レン「はい、オレの勝ちー」
肇「も、もう1回!」
レン「それはいいけど…結構負けず嫌いだよね、肇ちゃんって」
肇「コツは掴みました、次はきっと!」
肇「…………」
レン「は、肇ちゃん、人には向き不向きがあるから…」
肇「(ぷく)」
レン「(拗ねた顔も可愛い)」
肇「んー」
レン「ほら、そろそろお昼時だしさ。肇ちゃんが作ってきてくれたお弁当、食べたいなー」
肇「むぅ…じゃあ、ご飯の後にもう1回だけ!」
レン「本当に負けず嫌いだなぁ」
レン「いただきます」
肇「はい、召し上がれ」
レン「…んー、美味しい!」
肇「レンくんはいつも美味しそうに食べてくれるから作り甲斐があります。何かリクエストがあったら教えてくださいね」
レン「フライドポテト!」
肇「それは出来立てを食べられる時、ですね」
レン「ちぇっ」
レン「ごちそうさまー、美味しかったよ!」
肇「お粗末様でした」
レン「少し食休みしたらさっきのアトラクションに行こうか」
肇「ええ、次は負けません!」
レン「…ふふ」
肇「?」
レン「いや、今日は楽しそうな肇ちゃんがたくさん見られて嬉しいなーって。遊園地のおかげかな」
肇「それは…レンくんのおかげですよ」
レン「オレの?」
肇「確かに遊園地も楽しみでしたけれど、私はあなたと…レンくんと一緒に居られるのが一番嬉しいです」
レン「…そ、そっか」
肇「これからも傍に居てくださいね、レンくん」
レン「う、うん! …はぁ、狙い撃ちが上手いのか下手なのか…」
肇「レンくん?」
レン「なんでもなーい。ほら、そろそろ行こう。せっかくだから手を繋いで…さ」
肇「あ…はいっ!」
(桜の風 アコースティックバージョンジングル)
飛鳥「…カット!」
肇「ふぅ…お疲れ様でした。ちょっと恥ずかしかったですけど、楽しかったです! 今回のデートプランは五徳猫さんのお手紙を基にさせていただきました。投稿ありがとうございました」
加蓮「肇は素でもああいう事言いそうだよね。飛鳥から見てどうだった?」
飛鳥「これは…観測者の立場でも中々にダメージがあるものだね」
肇「だ、駄目だったでしょうか!?」
飛鳥「いいや、二人とも素晴らしい演技だったよ。だからこそ、さ…理解るだろう?」
加蓮「あはは、分からなくもないけど…次は飛鳥の出番だよ、大丈夫?」
飛鳥「是非も無いね。演じるべき役を、演じきるさ」
加蓮「そんな訳で次は私、北条加蓮が彼女役。彼氏役は飛鳥にお願いするね。役名は、えっと…アスムくん?」
飛鳥「ああ、その名前はプロデューサーからの要望でね。『アスカの男性名ならアスムがいいんじゃないか、漢字は違うけど』だそうだよ。その後しつこく勧められたお茶は丁重にお断りさせてもらったけれど、名前くらいは採用してあげようかと思ってね」
加蓮「時々よく分からないこと言うよね、プロデューサーさんって」
飛鳥「誰にだって拘りたいことはあるものさ」
肇「そして今回のカメラマンは藤原肇が務めます。それでは…アクション!」
アスム「お待たせ。ココアでよかったかな」
加蓮「うん、ありがと…ゴメンね、少し休めば大丈夫だから」
アスム「いや、キミに無理をさせてしまった僕にも責任はあるさ。入口の近くに医務室もあるようだけど…」
加蓮「もー、心配し過ぎ! ただの立ちくらみだから平気だって」
アスム「そうかい? じゃあ、しばらく休憩しようか」
加蓮「…うん、もう大丈夫! 次はどのアトラクションに行くつもりだったっけ?」
アスム「早いな、そんなに急がなくてもいいだろう」
加蓮「これ以上休んでたら回りきれなくなっちゃうよ。えーと、ジェットコースターは残り2つだから…」
アスム「…すまない、実は僕の方がちょっときついんだ。申し訳ないけれど、もう少しゆっくりさせてもらえないかな?」
加蓮「あれ、そうだったの? 全然気づかなかった…」
アスム「最後まで見栄を張りたかったけどね。次がジェットコースターとなるとそれも難しそうだ」
加蓮「もしかして、アスムくん絶叫マシン苦手だった?」
アスム「…いいかい加蓮さん。人は…飛べないんだ」
加蓮「…ぷっ」
アスム「わ、笑うのは酷くないかい!?」
加蓮「ご、ごめん、馬鹿にしてるわけじゃ、ふふ、ないんだよ?」
アスム「そうとしか見えないけどね」
加蓮「違うんだって。さっきジェットコースターに乗った時、横顔がきりっとしててかっこいいなーって思ったからさ。裏事情を知ったらなんだか可愛く思えてきちゃって」
アスム「最後までかっこいいと思われたかったよ。まったく、情けないな僕は」
加蓮「そんなことないってば。それじゃもう少し休憩だね…折角だし膝枕してあげよっか?」
アスム「いや、人目もあるしそれは…」
加蓮「いいからいいから。えいっ!」
アスム「うわっ!?」
アスム「…加蓮さんは偶に強引だね」
加蓮「嫌だった?」
アスム「その質問はずるいな…嫌なわけないさ」
加蓮「……ありがとね」
アスム「お礼を言うのは僕の方じゃないかな」
加蓮「私が言いたかったんだからいいのっ」
(HARURUNRUNアコースティックバージョンジングル)
肇「…はぁ~…凄いです、きゅんきゅんしちゃいました!」
加蓮「は、恥ずかしかったー!」
飛鳥「同感だ…」
加蓮「人目は少なかったけど、外で膝枕するのはハードル高いって…血圧上がっちゃいそう」
飛鳥「する方もだろうけれど、受け手も相当に羞恥心を刺激されるものだね、膝枕というものは…一つ勉強になったよ」
肇「お二人ともお疲れ様でした。膝枕もですけれど、最後のシーンのやり取りが本当に印象的で…かっこ悪い面を見せてでも加蓮ちゃんに気負わせないよう気遣うアスムくんに、それを察しつつ相手を立てて受け入れる加蓮ちゃん…素敵でした!」
加蓮「あはは、肇には気に入って貰えたみたいだね。デートプランはミヤハラさんのものを採用させてもらいました、投稿ありがとう」
飛鳥「次回があるなら、ボクからはもう少し糖度を抑えた脚本を希望させてもらうよ」
加蓮「それじゃあ最後は飛鳥が彼女役だね。私はカメラマンっと」
飛鳥「もうボクの番か。柄ではないけれど、14歳なりにやってみせるさ。よろしく、肇さん」
肇「ええ、飛鳥ちゃんの彼氏役、誠心誠意務めさせて頂きます。役名はそのまま『ハジメ』でお願いします」
加蓮「まさかの名前変更なし!?」
肇「おじいちゃんに貰った名前、男っぽいのをここで活かすべきかと!」
飛鳥「フ、肇さんらしいね。では往こう、春の風と共に」
ハジメ「飛鳥ちゃんから観覧車に乗ろうなんて誘われるとは思わなかったな」
飛鳥「だろうね、ひねくれている自覚はあるさ」
ハジメ「ひねくれているとは思わないけど、こういうベタな乗り物は嫌がると思っていたから」
飛鳥「定番と言われる物に興味を引かれることもある。それに遊園地は何度か来たけれど、観覧車には乗ったことが無かったからね」
ハジメ「それで、どうかな。乗ってみた感想は」
飛鳥「そうだね…閉所と高所、そして風による不規則な揺れ。ジェットコースターほどではないけれど、人の恐怖を煽るには十分と言えるだろう」
ハジメ「あ、あはは、観覧車ってそういうものじゃないと思うんだけど…」
飛鳥「楽しみ方は人それぞれさ」
ハジメ「うーん…まあ、そうだね、飛鳥ちゃんが楽しめているなら良かった」
飛鳥「そういうハジメこそ、楽しめているかい?」
ハジメ「俺?」
飛鳥「ああ。自分で言うのもなんだけど、ボクはこういうヤツだからね。一緒に居て楽しいのか、疑問に思うこともある」
ハジメ「それは飛鳥ちゃんを過小評価しすぎかな。俺は飛鳥ちゃんと一緒に居られて楽しいし、今日こうやって遊園地デートが出来て嬉しいよ」
飛鳥「…フ、キミらしい言葉だ。変なことを聞いて悪かったね」
ハジメ「気にしない気にしない。ほら、あれ見て! さっき乗ったゴーカートがミニカーみたい」
飛鳥「本当だ。こうして見るセカイはちっぽけで…高所からの景色は否が応でもそれを感じさせる」
ハジメ「うんうん、飛鳥ちゃんはそうでなくちゃね」
飛鳥「…ボクが言うのもなんだが、本当に変わっているなキミは」
ハジメ「そろそろてっぺんだね」
飛鳥「ああ、残り半分…うわっ!?」
ハジメ「!? と、突風かな、結構揺れたね…大丈夫だった?」
飛鳥「あ、ああ…支えてくれてありがとう」
ハジメ「どういたしまして。びっくりしたけど、俺には役得だったかな」
飛鳥「まったく、キミというヤツは…そうだね、一つ前言を撤回しようか」
ハジメ「前言?」
飛鳥「この胸の高鳴りはキミのせいだということさ。高所や揺れのせいじゃなく…ね」
(未完成の歴史 アコースティックバージョン)
飛鳥「ふぅ…この手の演技はやはり慣れないな」
肇「お疲れ様でした、飛鳥ちゃん。ふふ、とっても可愛かったですよ」
飛鳥「からかわないでくれ。らしくない事をした自覚はあるんだ」
加蓮「私もいいお芝居だったと思うよ。台詞も飛鳥っぽかったし!」
飛鳥「そうかな、ボクならもっと…いや、何でもない。脚本のベースを提供してくれたのははしっとさんだ、投稿ありがとう」
肇「飛鳥ちゃんならどう言うのかも気になりますけれど、残念ながらそろそろお別れの時間ですね。加蓮ちゃん、お願いします」
加蓮「はーい。というわけでお送りしました『ドキドキ☆憧れデート~IN春の遊園地』、いかがだったでしょうか?」
飛鳥「生命が歌う季節、春という歓びを少しでも届けられたなら幸いだ」
肇「皆さんの心が春の暖かな陽気に包まれますように。せーの」
三人『ばいば~い』
以上になります。読んで頂きありがとうございました。
未完成の歴史、想像を超える出来でした…三人のハーモニーが絶え間なく殴りつけてくる感じが最高です。サビはさながらジェットストリームアタック。
まだ聴かれていない方は是非CD購入をご検討ください。同封の桜の風・HARURUNRUN・Spring Screaming、どれもいい曲ばかりですよ!
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