幼女「ふぇぇ...これバレンタインのチョコだよぉ」父「おっ、何のチョコかなー」 (50)

『き の こ』





父「...」

幼女「ふぇぇ...お母さんと一緒に選んだんだよぉ」

父「え、あぁ、うん...あ、ありがとう。嬉しいよ」


父「きのこかよ」ボソッ

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幼女「も、もしかして嫌だったのぉ...?」

父「い、嫌ってわけじゃないんだけど、どうせならたけのこの方が良かったなぁ...なんて」


幼女「ふぇっ...」グサッ

幼女「ふぇぇ...おかあさん...」シクシク


父「ちょっ!?ま、待って!」





幼女「ふぇぇ...マミィ...」シクシク

母「あら?どうしたの?パパにちゃんとチョコあげた?」

幼女「うん...グスッ...でもたけのこの方が良かったって」シクシク

母「は?」

母「本当にそんなこと言われたの?」

幼女「いえすぅ...」シクシク

母「きのこよりたけのこの方がいいですって...?あの人ったら一体何を考えてるの」

幼女「そっち?」




母「ちょっとあなた、これはどういうことですか」

母「あの子がせっかくあげたチョコなのに、他のチョコの方がいいなんて」

母「しかも何?きのこよりたけのこの方がいいですって?どう考えてもきのこの方が美味しいでしょうが」


父「は?」

父「きのこよりたけのこの方が美味しい...だと?」

父「確かに幼女のチョコの件は謝る、だがきのこの方は聞き捨てならないな」

父「あれはどう考えてもたけのこの方が美味いだろう、きのこなんてただチョコが乗ってるだけじゃないか。チョコがコーティングされてるたけのこの方が旨味成分が出るに決まってる」


母「は?」


母「きのこがただ乗ってるだけなんて...本当に食べたことあるの?」

母「あれは乗ってるんじゃなくてバランスを取ってるだけ、チョコとクラッカーの部分が独立して新境地になってるデザインなの」

母「ただ塗っただけのたけのこなんかよりも芸術性、味、全てにおいて勝ってるわ」



幼女「ふぇぇ...意味分かんないよぉ...」

父「くくくっ、芸術性だと?卑猥なデザインの間違いじゃないのか」

父「知ってると思うがたけのこの方が売上は圧倒的だぞ。実際に世間がたけのこの方が上だと証明してるじゃないか」


母「売れてるから勝ってるとでも?まあたけのこは大衆的な味だから、その点は仕方ないわね」

母「あ、庶民的で下品な味と言った方が分かりやすかったかしら?」



幼女「ふ、ふぇぇ...そ、そろそろやめてよぉ...」オロオロ



父「大体、お前はいつもそうだ。味噌汁の器にご飯をかけたり...カレーのルーを左に盛ったり...普通逆だろ、ずれてるんだよ」

母「それはあなたの方でしょう、私に非常識を押し付けないで下さい」

父「...っ!このッ!!!!」ブンッ


バチンッ!!!!!!!


母「!?」ヒリヒリ

母「...な、殴ったわね、先に手を出すなんて。やっぱりたけのこ派は下品だわ」


父「お前が屁理屈を言うからだろうが!!!!大人しく負けを認めろ!!!!」



幼女「ふ、ふぇぇ...えらいこっちゃえらいこっちゃ...」ヨイヨイヨイ



母「ふん、暴力を振るって自分が優位に立ったつもり?笑っちゃうわね、脳までたけのこに寄生されてるのかしら」

母「一生たけのこでも食ってなさいよ猿。きのこは毒があるから、あなたの知能だと食べるのは難しいわ」


父「」ピキッ

男「このクソアマが!!!!」ガッ



バキッ!!!ボコッ!!!!グシャッ!!!!!!



幼女「ふ、ふぇっ!?こ、これアカンやつだぁ!」

幼女「け、警察...ポリスメンに助けてもらわないと!」ダッ







幼女「ふぇぇ!!!!おまわりさぁん!助けてぇ!」

警官「ん?どうしたんだい?」

幼女「お母さんとお父さんが喧嘩して、血がいっぱい出てるのぉ!このままだと内臓破裂の多臓器不全の心不全で死んじゃうぅ!!」

警官「!?」

タッタッタッ


警官「警察だ!そこを動くな!」チャキッ

幼女「ふぇぇ...銃向けちゃあかん」



シーン



警官「...ん?誰も居ないのか!?」

幼女「ふぇぇ...おかしいな。さっきまでドッカンバッタンやってたんだけど...」スタスタ




母「...」



幼女「あれぇ?お母さん、お父さんはどうしたのぉ?」



母「...ごめんね。ママ、ちょっと幼女ちゃんとしばらく会えないかも」ギュッ

幼女「ふぇ?」

警官「うっ、これは...」


父「」


警察「...酷いな、全身を刺されてるぞ、余程怨みがあったのか」






幼女(私の母は父を殺害し、逮捕された)

幼女(この事件はテレビで大きく報道された。バレンタインの日に起きた悲惨な事件、原因はきのこたけのこ...マスコミには格好のネタだろう)

幼女(本当なら、よくある珍事件で一週間ちょっとで飽きられて終わり。またすぐ次の騒動に世間は移る...はずだった)


幼女(まさか、この事件が世界を変えることになるなんて...今は誰も想像出来なかった)

~~~~ 二年後 ~~~~



幼女「ふぇぇ...シスターぁ、今日のご飯貰って来たよぉ」

修道女「ありがとう、幼女。いつもごめんね」




幼女(あの事件から一ヶ月が経った頃...またきのこたけのこが原因で殺人が起きた)

幼女(原因は討論で、馬鹿にされたきのこ派がたけのこ派の友人三人を殴り殺したらしい)

幼女(その日を境に、全国できのこたけのこの小競り合いが激しくなった。多分誰でも最初はふざけて面白半分でやってたと思う)

幼女(でも...まるで洗脳されたみたいに、本気でのめり込む人が多発した。思想のパンデミックとでも言うのだろうか)

幼女(そして...KT病(Kinoko,Takenoko症候群)は日本に留まらず、世界に進出した)

幼女(これが決定的だった。なんと、アメリカの大統領までもKT病に感染してしまったのだ)

幼女(そこからの流れは簡単だった、まずメキシコのきのこ派の大統領を公然の場で批判し、大統領権限で、きのこ派を公言する国に向けてミサイルを発射した)

幼女(誰がどう見てもクレイジーな行為に思えるが...もう手遅れだった。既にTK病は地球を支配し、独善的な正義が横暴する世界になっていた)

幼女(アメリカ、ロシア、中国、北朝鮮、ガーナ、コンゴ、マダガスカル...次々と世界はきのこたけのこへと墜ちて行った)

幼女(そして第三次世界大戦、きのこたけのこ大戦が始まったのである)


幼女(皮肉にも...愛を伝える日が原因で世界から愛は奪われた)

幼女(この戦争が原因で、人類の数は以前と比べて半分近く減ったと言われている)

幼女(時はまさに世紀末...もはや二年前とは別世界だ)

TV『本日のニュースです。ベネズエラで開催されていたきのこ祭りが、たけのこ派急襲に遭いました。死者は数百人と見られ...』



修道女「...酷い世の中になりましたね。毎日こんなニュースばかり」

幼女「ふぇぇ...いつになったらこの淀んだ世界が終わりを迎えるんだろうねぇ...」

修道女「神に祈りを捧げればきっとまたいつか、以前のように平和な世界が来ますよ...きっと」

幼女「ふぇぇ...そうだねぇ」




ドンッ



モヒカン「オラァ!!!!食糧と水を寄越しなぁ!!!!!」バンッ



修道女「!?」

幼女「ふぇっ!?こ、こんなところにまでやつらがぁ!」

モヒカン「ヒャッハァー!俺はたけのこ聖十字軍の幹部だ!貴様ら俺に奉仕する義務がある!」


修道女「くっ...教会は保護区として、きのこたけのこには互いに干渉しないと法律で決まっています!あなたにあげる物なんてありません!」

幼女「そ、そうだぁ!そうだぁ!」



モヒカン「んん?あぁ、あったなァ...そんな法律」

モヒカン「だがなァ...今日、我がたけのこ聖帝様が新たな法律を作ったんだよ。たけのこ派以外の略奪を認める法律をなぁ!」



修道女「なっ...!?」

幼女「うそぉ!?」

モヒカン「クククゥ...分かったら早く出すもん出せよォ...ついでに金もなぁ!」


修道女「こ、ここには私達が暮らせる最低限の物資しかありません!今すぐ立ち去りなさい!」

幼女「退け、愚か者」



モヒカン「ケッ...なら仕方ねェな」

モヒカン「ならテメェの身体で支払ってもらおうかァ!!!!!」ビリッ



修道女「い、いやっ!離して!」ジタバタ

幼女「シ、シスターぁ!!!」


幼女「だ、誰かぁ!!!!助けてえええええええええええ!!!!!」

ドンッ


男「...」ヒュゥゥゥゥ

男「おい、そこのゴミ。手を離せ」




モヒカン「アン?」クルッ

修道女「え?」クルッ

幼女「...ふぇ?」クルッ



モヒカン「なんだァ?てめェ...この女の知り合いか?」



男「知らん。だがこのまま黙って貴様の悪行を見てるほど、俺は聖人ではない」



モヒカン「ハン...ヒーロー気取りの偽善者野郎が。どうやら喧嘩を売る相手を間違ったらしいなァ」

モヒカン「俺は竹子聖拳、竹子畜千拳の使い手!!!!細切れになりやがれェ!!!!」

修道女「竹子畜千拳!?」

幼女「ふぇぇ!知ってるのシスタぁー!」

修道女「えぇ、その俊敏で鋭利な拳から放たれる一撃は鉄を切り裂き、岩も貫くという...ダメです!あのままだとあの人が!」




モヒカン「ヒョオオオオオオオオオオウウウウウウウウ!!!!!」シュンッ

男「...」サッ



修道女「避けたっ!?」



男「遅いな」シュッ

モヒカン「がっ!?」ヨロッ


モヒカン「なっ...畜千拳の使い手の俺が...こんなやつに一撃で...」バタッ

修道女「す、すごい...あまりに早すぎて見えなかった...」

幼女「ふぇぇ...まさにショック...」


男「怪我はないか?」


修道女「は、はい!助かりました!」

幼女「ふぇぇ!お兄さんすごく強い!どこで習ったのそれぇ!」


男「そうか、なら俺は往く。このままきのこたけのこの奴等を許すわけには行かない」

男「この俺の拳で...世界を救ってみせる」グッ



幼女(す、すごい...この人なら、この腐敗と自由と暴力の真っ只中のイカれた世界を救ってくれるかも)

幼女(世紀末救世主だぁ!!!!)








男「そして世界を...コアラが溢れた平和な世界にしてみせる!」


幼女(あ、ダメだこいつ)






~~~~~ 五年後 ~~~~



工場長「オラァ!もっと働けゴミ共ォ!!!!」


幼女「ひぇぇ...」ビクビク



幼女(...例のあの事件から七年が経った。世界はまだTとKで争っている)

幼女(あれから色々なことがあった...イギリスではキッド・カットの惨劇、アメリカでは11.11事件、日本ではベニテングダケの乱)

幼女(五年前に私が出会ったあの男はガラパゴス・コアラ軍のリーダーとして今でも日々戦ってるらしい。正直どうでもいい)

幼女(ついでにシスターはあの男に惚れてコアラ信者になった。みんな頭おかしい)


幼女(今、私は...このきのこ生産工場で働いている)

ブー!!!!!!



工場長「オラァ!名残惜しいが今日の労働は終わりだ!すぐ片付けろ!」


幼女(毎日...毎日...きのこにチョコをぶっ刺す仕事...私まで頭がおかしくなりそう)

幼女(それでも生きていくにはこの仕事しかない...本当マジで誰かどうにかしてよ)



工場長「ではこれより今日の給料を配る!きのこ様に感謝して受け取れゴミ共!」



幼女(給料...一日中働いて貰えるお金...でも...)

チャリンッ


『100円×2』


幼女「に、にゃひゃくえん...あれだけ働いてにゃひゃくえん...」

幼女「ふぇぇ...こ、工場長ぉ...」

幼女「も、もう少しお給料上げてくださいよぉ...一日二十時間も働いて200円って...時給10円ですよぉ...」


工場長「なんだ貴様!俺に指図するのか!」

工場長「他のやつを見ろ!200円でも文句一つ言わずにうちの商品を買ってるぞ!」



「や、やった...これで今日もきのこが買えるぞ」

「は、ははぁ...幸せだなぁ...毎日きのこが食えるなんて」



幼女「うぇぇ...そ、それは...」


工場長「分かったらさっさと家に帰って寝ろ!あと4時間でまた作業開始だからな!」


幼女「ふぇぇ...」

幼女「おぇぇ...こ、このままだとマジで死ぬぅ...」トボトボ

幼女「と、とりあえずどっかで水と何か食べ物を買おう...食べないとマジでやばい」



幼女「...ん?あれは...」





老婆「...」


『どうかお恵みを』



幼女(ぐ、ぐぇぇ...だ、だめ。これは私が稼いだおかねぇ...ここでもし、あの人にあげたら私が死ぬぅ...)

幼女(き、厳しいようだけど...今は弱肉強食の時代。自分で稼げない人は死ぬしかない)

幼女(わ、私は正しい。そう、何も間違ってなんて...)

老婆「...」



ササササササササッ!!!!!!!


チャリンッ


老婆「...!」




幼女「」ダダダダダダダダダッッ




老婆「あぁ...ありがとうございます...ありがとうございます...」






幼女「あぇぇ...や、やっちまったぁ...全財産の200円あげちゃった...見ず知らずのお婆さんに...」

幼女「うぇぇ...100円にしとけば良かったなぁ。それなら本当に最低限の物は買えたのにぃ」

幼女「ど、どうしようこれから...今から寝て、また起きて工場に...」

幼女「ふははぁ...ねぇよんな気力ぅ...」


ガツッ


幼女「ぶぇっ」ドサッ


幼女(あ、あぁ...もうあかんやつやこれ...た、立ち上がる気力もない)

幼女(う、うぅっ...私はここで死ぬんだ)


幼女(そうだ...元はと言えば私がきのこを買ってきたから世界は...なんで普通に手作りチョコにしなかったんだろう)

幼女(もし生まれ変われるなら...次はチョコなんて存在しない世界がいいな...)



幼女「...」



ザッ

「そこの倒れてる幼女さん、大丈夫ですか?ずいぶんやつれてるようですが」

幼女「...」



「まずいですね、このままだと栄養失調で死んでしまいます。何か食べさせないと」

「ほら、これを食べなさい。元気が出ますよ」



幼女「...ふぇ、だ、誰...」



「誰?そうですね...」

「神様、とでも言っておきましょうか」



幼女(あぁ...なんだ神様か)

幼女(知らないやつから貰った物は食べるなって言われてるけど...神様ならいいよね。別に)ムシャ


幼女(あぁ、何これ美味しい...こ、こんな...美味しい物がこの世にあった...なんて)

幼女「...」スゥ


「おや、どうやら安心して眠ってしまったようですね」

「これなら大丈夫でしょう。念のためにポケットに"コレ"を入れてあげますか」

「さ、私も先を急がなくては」フワァ













幼女「ん」パチッ

幼女「うぇぇ...どこだここ...あ、そうか。眠ってたのかぁ」

幼女「何か神様に会ったような気がするけど...夢か」

幼女「...あ、もうとっくに出勤の時間過ぎてるなぁ」

幼女「もういいや...あんなブラックサンダーなところ、こっちからお断りじゃ」

幼女「ふわぁぇぇ...とりあえず家に帰ろっとぉ」スクッ



パラリラ パラリラ ブンブンブーン



幼女「んぇぇ?なんだこのバイクの音」クルッ






肩パッドA「HYHAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!!!!!!!」

肩パッドB「YEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEE!!!!!!!!!!!」

肩パッドC「WOOOOOOOOOOOOOOOOO!!!!!!!!!!!!」





幼女「うわぇぇ」

肩パッドA「おいその幼女!食糧と金目の物を置いて行きなァ!!!!」


幼女(いくら世紀末だからって幼女にまでタカらないでよぉ...)

幼女「ふぇぇ...私はただの幼女ですぅ...お金なんて持ってないですぅ...」ビクビク


肩パッドB「こんな夜中にただの幼女が出歩いてるわけねぇだろがァ!!!!いいからさっさとしろよハゲ!!!!」


幼女「ハゲはテメェのモヒカン頭だろうが」


肩パッドB「あ?」


幼女「ふぇぇ...なんでもないですぅ」


肩パッドC「おいおい、このTの刺青が見えねぇのかァ!?俺達はあの悪名高い妖竹のウド様の手下なんだぜェ!?」



幼女「自分で悪名高いとか言うな」

肩パッドC「あ?」

肩パッドA「オイオイオイ、テメェちょっと調子に乗ってるんじゃねえか?」

肩パッドB「あぁ、乗ってるわ。波に乗ってるわこいつ」



幼女「えぇぇ...そんな...」



肩パッドA「こうなりゃ身ぐるみ全部剥がしてやるぜェ!!!!変態に売ればそれなりの値段にはなるだろうからなァ!!!!」

肩パッドB「俺に売れよ」

肩パッドC「いや俺だろ」



幼女「なっ...!?」



肩パッドA「ヒャッハアアアアアアアアアアア!!!!覚悟しなァ!!!!」ダッ

幼女(や、やべぇ!このままだとマジで身ぐるみ剥がされるぅ!)

幼女(な、何かあげないと!何かないか!ポッケの中とか!)ガサゴソ


ガサッ...


幼女(ん?何かあるぞ)




幼女「ちょ、ちょっとストップぅ!タイム!」


肩パッドA「いいだろう」ピタッ


幼女(なにこれ...チョコのお菓子?こんなもの買った記憶がないんだけど)

幼女「あ、あのぉ...これ、つまらない物なんですけど、これで許してもらえないでしょうか?」スッ



肩パッドA「あ?なんだこれ..."アルフォート"?」

肩パッドB「おい冗談きついぜマイケルジョーダン、俺達はたけのこ派だぞ?」

肩パッドC「アァ、たけのこ以外の物は口にしないって誓ってるからなァ...この誓いは死ぬまで破らないぜ」


肩パッドA「フン...いつもならこんな物は捨てるが、今日は稀に見る空腹だ。仕方ないからちょっとだけ食ってやるか」クシャ



幼女「ふぇぇ...」



肩パッドA「まあどうせ不味いだろうがな、たけのこに勝る菓子なんてこの世に存在するはずが...」モグモグ

肩パッドA「!?」ビクッ


肩パッドB「どうした相棒?そんなに不味いのか」

肩パッドC「オイオイオイ、死ぬわアイツ」

肩パッドA「う、うめぇぞ」


肩パッドB「は?」

肩パッドC「おい今なんてった」


肩パッドA「うめぇよ...こ、これ...こんなに美味い菓子を食ったのは生まれて初めてだ...」ブルブル

肩パッドA「う、うま過ぎて涙と震えが止まんねぇ...」シクシク


肩パッドB「ふざけんなよヴォイ!お前たけのこ派だろうがッ!裏切んのか!!!」


肩パッドA「裏切るとかそんな問題じゃねえよ...お前らも食ってみろ。正直もう...きのことかたけのことかアホらしいよ...」シクシク


肩パッドB「て、テメェ...舐めてんのもいい加減に...」

肩パッドC「お、俺にも一口くれ!」

幼女「...」

幼女(な、何が起きてるのか理解出来ない)



肩パッドA「うめっ...うめぇよ」

肩パッドB「なんだこりゃ...反則だろ...」

肩パッドC「どえらうみゃ」



肩パッドA「おいお前、このアルフォートって菓子はどこに売ってるんだ!?もっと食わせろ!」


幼女「え、えぇぇ...いや私もどこにあるのかは知らないし...ジャスコにでも売ってるんじゃないですか」



肩パッドA「よし!ジャスコに行ってこれを買い占めるぞォ!おおおおおおおおおおおお!!!!!!」ブーン



幼女「...」

幼女(運命を切り開く菓子がいる。天に背く菓子がいる。それはお菓子の歴史二千年の宿命)

幼女(だが、今その永き血の歴史に終止符が打たれた。アルフォートという第三勢力の手によって)


幼女(それからしばらくも経たない内に、アルフォートの名は世界中を駆け巡った)

幼女(きのこたけのこ戦争は終わりを迎え、人類は新たな希望へとたどり着き、無事に愛を取り戻したのだ)

幼女(七年前...あの日までの生活に戻るのは大変かもしれない。でも決して不可能なことじゃない)

幼女(私達はもう、争う理由などなくなったのだから)


幼女(ありがとう、アルフォート。お前がナンバーワンだ)






おわり

おわりです
冷めたチョコじゃ愛せやしない

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