モバP「ウチの飛鳥は口が寂しい」 (55)

のんびりと書いていきます


ちょっと前に書いたやつの続きです

二宮飛鳥「ボクのプロデューサーは手が寂しい」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1474015337/)

飛鳥が若干ポンコツ気味なのでご注意を

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1480647757

テクテク...


P「あー、ヤバイ...今日は本当に疲れた...」

P「ここのところ妙に身体がダルいなぁ...季節の変わり目だからか?」

P「とにかく早く仕事終わらせて一休みしたい...」


ガチャッ


P「ただ今戻りましたよ~っと...」

飛鳥「やあP、おかえり」

P「おぉ飛鳥、もう戻ってたのか?今日は確かティーン誌の撮影だったよな?」

飛鳥「その通りさ、だが思いのほか早く撮影が終わってね、それでこの時間に帰って来れたんだ」

P「へぇ、早く終わったってことはうまくいったみたいだな」

飛鳥「ああ、今日はココロとカラダの波長がうまく噛み合っている、ということかもね」

P「そりゃ結構、ところでなにやってるんだ?」

飛鳥「んっ?まあ...ボクも学生である以上向き合わなきゃならないこともあるということで...」

P「あー、なんだ学校の宿題か」

飛鳥「...有り体に言えばそうなるね」

二宮飛鳥(14)
http://i.imgur.com/u3Nhqkx.jpg
http://i.imgur.com/hI0704I.jpg

P「飛鳥は学校の成績はいい方だったっけ?」

飛鳥「可もなく不可もなくと言ったところかな、まあどちらかと言えば計算するよりも言葉を紡ぐような教科が得意さ」

P「へぇー、ようは文系ってことか、でも開いてるのは数学の教科書みたいだけど、数学の宿題なのか?」

飛鳥「そうさ、だからちょっと苦労しててね...」

P「ふーん...」

飛鳥「ふむ...ここはこの公式をあてはめれば...いや、違うな...」


P「......」ジーッ


P「...よし、じゃあ俺も協力してやろう!」

飛鳥「いいのかい?Pは他にやることがあるんじゃ...」

P「いやいや、飛鳥が困ってるのにほっとくわけにもいかないだろ」

飛鳥「...ははっ、お人よしだなキミは」

飛鳥「だが、そういうところは嫌いじゃないよ」

P「へいへいどーも、どれどれ...」

飛鳥「Pは数字に強い方なのかい?」

P「いや、どっちかって言うと俺も文系だよ、だけど中学生の数学くらい俺でもなんとか...」

飛鳥「なるほどね...ではお手並み拝見といこうか」

P「えーっと...げっ、結構難しいな...」

P「うーむ...」


ギュッ


P「おっと...」

飛鳥「フッ、考え事をしているとキミの手は勝手に動き出すからね、先手を打たせてもらったよ」ギュウウウウウ

P「そ、そうか...なんか...すまん」

飛鳥「いいさ、それよりも早く問題を解いて見せてくれ、中学生の数学くらい余裕なんだろ?」

P「お、おう...ま、任せてくれ...」

飛鳥「ふふっ♪」ギュウウウウウ

---翌日---


飛鳥(フッ、昨日はPに助けられてしまったな、おかげで宿題は無事に間に合った...)

飛鳥(とはいえPも相当に悩んでいたようだ...本人は否定していたが、あれはウソに違いない)

飛鳥(その証拠に...昨日のPの手とボクの手は...今までで一番触れ合っている時間が長かった...)

飛鳥(まだこの手にPのぬくもりが...Pの熱が残っているような感覚さえ覚える...)

飛鳥(...お礼に買ってきたこのクッキー、気に入ってもらえるといいが...)


ガチャッ


飛鳥「お疲れ様」

飛鳥「P、昨日は...あれ?」

飛鳥「...いないのか?」

ちひろ「あら飛鳥ちゃん、レッスン終わったんですね」

飛鳥「ちひろさんか...ああ、滞りなく終わったよ」

ちひろ「お疲れ様でした、じゃあコーヒーでも淹れましょうか」

飛鳥「ありがとう、ところでPは?外出しているのかい?」

ちひろ「プロデューサーさんはもうお帰りになりました」

飛鳥「帰った?珍しいな、まだこんな時間なのに...」

ちひろ「なんでも具合が悪いので早退するって...」

飛鳥「なん...だと...?」

ちひろ「ここのところ、体調が優れなかったみたいですよ?それなのにゆうべもかなり遅くまでお仕事をしてたみたいで...」

飛鳥「っ......!!」

ちひろ「飛鳥ちゃんも体調管理には気をつけてくださいね?身体を壊したりしたらプロデューサーさんも心配して...」

飛鳥「ちひろさん、悪いけど急用ができたんだ、失礼するよ」ダッ!

ちひろ「えっ、ちょ...飛鳥ちゃんっ!?」

------


P「あー、頭いてぇ...」

P「くそぉ...こんなに悪化するなんて予想外だ...」

P「もっと暖かくしとけばこんなことには...」


ピンポーン♪


P「んっ?誰だこんな時に...」


ピンポーン♪ ピンポーンピンポーン...


P「ったく...なんなんだよこんな時に...」


ガチャッ


P「はーい、どなたで...って、あれ?」


飛鳥「P...」


P「えっ、飛鳥?お前なにやって...」


スッ...


飛鳥「キミは...キミってやつは...」

P「あ、飛鳥...?」

飛鳥「うるさい...!」グッ!

P「むにゅっ...う、うるふぁいってお前...」

飛鳥「本当に...キミはどこまでボクのココロをかき乱せば気が済むんだ...」

------


P(めっちゃビックリした...)

P(ドア開けたらいきなり目の前に飛鳥が立ってて...)

P(驚いてたら急に顔にほっぺをギューってされて...)

P(そのまま引っ張っていかれて布団に寝かされて...)

P(そんで...えーっと...)


飛鳥「......」ジーッ


P(俺は飛鳥に睨まれているという...)


飛鳥「......」ジーッ


P(さっきから一言も口にしない...)

P(ヤバい、なんか知らんがこれはめっちゃ不機嫌そうだ...)


飛鳥「......」


P(ど、どうすんだ...この空気...)

飛鳥「P...」

P「お、おう...」

飛鳥「えっと...その...ちょ、調子はどうだい?」

P「えっ、まあ...ちょっと頭が痛くて...少し熱があるけど...」

飛鳥「そ、そうか...大変だね...」

P「あ、ああ...でもそんなに酷くないし、薬も飲んだから明日には治ってると思うぞ」


P(なんだ?なんか様子が変だな...)


飛鳥「ちひろさんから聞いた、キミはここ最近体調が良くなかったと...」

P「あー、まあ...な」

飛鳥「なのに、昨日は夜遅くまで事務所に残っていた、とも...」

P「ああ、やらなきゃならない仕事があってな、少し時間かかっちゃって...」

飛鳥「......」

P「飛鳥?どうした?」

飛鳥「だったら...」

P「んっ?」


飛鳥「仕事が忙しいのなら...どうしてボクの宿題なんか手伝おうとするんだ!」

P「あ、飛鳥...?」

飛鳥「P!キミは合理性を欠いているぞ!自分の仕事が大変な時にボクの世話なんか焼いてる場合か!」

P「お、おい...」

飛鳥「ボクはキミが手伝ってくれなくたって自分の宿題くらいきちんと終わらせていたさ!ああ、そうだとも!キミの助けなんか必要なかった!」

P「あの...」

飛鳥「それなのにキミってやつは...頼んでもいないのに...自分のすべきことを放り出して...おまけに体調まで崩して...」

P「飛鳥...」

飛鳥「滑稽だよ、まるで道化だ!自己犠牲のつもりなのかい?だがボクを心配するあまり自分の心配を忘れるなんて愚か者もいいところだ!」

P「......」

飛鳥「フッ、これでキミもわかっただろう?他人に構いすぎるのも考え物さ、所詮ヒトは自分本意な生き物だ、親切にしたところで感謝の気持ちが帰ってくるとは限らな..」

P「飛鳥」


スッ...


P「そんなに泣くな...」ナデナデ


飛鳥「グシュッ...えぐっ...」


P「ゴメンな、心配かけて...」

飛鳥「本当さ...キミはオトナのくせに...いつもボクのココロを...」

P「ゴメンな...」

飛鳥「グスッ...違う...こんなことが言いたいんじゃない...」

P「いいんだ」ナデナデ

飛鳥「ゴメン...なさい...」

飛鳥「ボクが...えぐっ...宿題を...手伝わせたから...Pの仕事が...遅れて...ぐしゅっ...それで...夜まで残ることに...」

飛鳥「ボクの...せい...グスッ...で...」

P「気にするな、飛鳥はなにも悪くないんだ、ちょっと仕事が多かったからだ」

飛鳥「んぐっ...ぐしゅっ...グスッ...」

P「だから泣くな、なっ?泣かないでくれ」ナデナデ

飛鳥「うん...うん...」

------



P(飛鳥のやつ、責任感じてたのか...)

P(自分のせいで俺が体調崩したんじゃないかって...)

P(バカだな、俺は飛鳥のプロデューサーだし、飛鳥が困ってたら助けるのは当たり前なのに...)

P(でもまあ、今後は体調管理にもっと気を配ろう)

P(また飛鳥にあんな風に大泣きされちゃ困るしな...)

P(それよりも今は...)


飛鳥「P、なにか食べるかい?リンゴでも剥こうか?」


P(飛鳥を早いとこ帰さねば...)

飛鳥「どうしたんだい?難しい顔をして、まだボーっとするのかい?」


P(お見舞いに来てくれたのは嬉しいけどあんまり長いことここにいると風邪が伝染りそうだし...)


飛鳥「...P?」


P(というかプロデューサーとはいえ、年頃の女の子を...しかも自分の担当するアイドルを部屋にあげるなんてあってはならないことだしな、いつどこで誰が見ているかわから...)


ギュッ


P「んっ?」


飛鳥「またなにか考え事をしていたようだね、手が寂しそうにしているよ」ギュウウウウウ

P「そ、そうか?」

飛鳥「ああ、なにかを触りたくて仕方ないと言った風にね、まったく...キミの手は本当に世話が焼ける...」

P「す、すまんな...」

飛鳥「いいんだ、それより今のキミは病人だ、なにかを考える前にすべきことは...眠る事だ」

P「まあ、それはそうだけど...」

飛鳥「わかっているなら仕事の事は忘れるべきだ、キミは普段からあちこち飛び回っているんだから少し翼を休めなくてはいけない」

P「あー、だけどそれよりまずお前を...」

飛鳥「P」ピトッ

P「むぐっ...」

飛鳥「ふぅ...知っているつもりだったが、どうやらキミは本当に底抜けのお人良しらしい、この状況でもボクのことを心配するなんてね...」

P「そりゃ当たり前だろ、俺はお前の...」

飛鳥「わかってる、時折キミが自分の身を省みない行動を取るのは全てボクを心配してくれるからこそ、だろう?」

飛鳥「...だが、ひとつだけ知っておいてほしいことがある」

P「?」

飛鳥「ボクを気遣ってくれるのは、イヤじゃない...」

飛鳥「でも、ボクのせいでキミに害が及ぶ事は...それだけはイヤだ」

飛鳥「そんなことになったら、ボクは自分を許せない、自分を制御できなくなる...」

飛鳥「現にさっきだってキミにあんな醜態を見られるハメに...まあそれはいいとして...」

飛鳥「だからその...つまり...」

飛鳥「...オホン」

飛鳥「ボクにも、君を心配させてくれ...」

P「心配?」

飛鳥「そうだ、キミから一方的に心配してもらうのは、なんというか...不公平だ」

飛鳥「ボクとキミは共同体...いわばパートナーだ、ならば相互に協力し合うのが妥当というものじゃないか」

飛鳥「ボクがキミの、キミがボクの足りない部分を補う、これこそパートナーのあるべき姿だと思わないか?」

P「まあ、それは...」

飛鳥「今キミが困っている、だとすればそれを助けるのはボクの役目だ」

飛鳥「だからP、キミは何も心配せず、ボクに協力を仰げばいいんだ」

飛鳥「そうすればボクはキミを守護ると約束する、どんなことがあってもね」

P「飛鳥...」

飛鳥「安心してくれ、ボクはここにいる、キミの傍にいる...」


ギュッ


飛鳥「こうしてしっかりと手を握っていてあげるから...」



飛鳥「...さあ、眠るんだ、何もかも忘れて...」



とりあえずここまで 続きは明日の朝にでも投下予定です

------


P「すぅ...すぅ...」


飛鳥「ようやく眠りに落ちたか...」


P「んっ...」


飛鳥(そういえば、これほど無防備なPを見るのは初めてかもしれないな...)

飛鳥(ボクの知っているPはいつも忙しそうに日々の仕事をこなしているし...)

飛鳥(なんだか奇妙な感じだな...)


P「んぅ...」


飛鳥「......」ジーッ


スッ...


飛鳥「ふふっ、ふふふふっ♪」ナデナデ...


P「ん~...」


飛鳥「フフッ、今キミが観ているのはどんな夢なのかな...」


ギュッ


飛鳥「んっ?」


P「ん~...」ニギニギ...

飛鳥「ははっ、寝ていてもこちらの手を握り返してくるなんて、よっぽど何かをいじくり回さないと気が済まないらしい」


P「すぅ...すぅ...」ニギニギ...


飛鳥「まったく...」


カプッ


飛鳥「はむっ...まったく...困った手だ♪」


P「う~ん...」


飛鳥「おっと、さすがに起こしてしまったかな」


P「...か」


飛鳥「?」


P「あすかぁ...」


飛鳥「っ!!」


P「むにゃ...」

飛鳥「へ、へぇ...これはさすがに予想外だ、まさか寝言でボクの名前を呼ぶとは...」

飛鳥「どうやら知らない間にボクとPの波長がここまで重なっていたよう...」


P「あすか...」


飛鳥「ま、また...」


P「あす...か...」


飛鳥「P...」


P「お前...さすがにハタチになってまでそのスタイルを保ってるってのどうなんだ...」


飛鳥「......」


ガブッ


P「んぐぅ~...」


飛鳥「...実は起きてるんじゃないのか?」


P「ぐぅ...」


飛鳥「どうやら本当に寝てるみたいだ...」


P「くぅ...」


飛鳥「あっ、手に歯形着いた...」

飛鳥「まったく...寝ている時でさえボクの心を乱そうとするとはね」

飛鳥「でも残念、キミの意識が夢の世界に囚われている以上、ボクの優位は動かない」

飛鳥「それに、キミがどんなにイニシアチブを取ろうとしてもボクはキミの手を捕まえてしまっている」

飛鳥「つまり今のキミは蜘蛛の巣で身動きができなくなっている蝶と同じ、その命運はボクの意思ひとつというわけさ」


P「んぅ...」


飛鳥「...隙を見せたキミが悪いんだ」


スッ...


飛鳥「ちょっと...ほんのちょっと...唇と唇が触れ合うだけなら...」

飛鳥「んっ...」


ピンポーン♪


飛鳥「っ!!」ビクッ!

ピンポーン♪ピンポーンピンポーン♪


飛鳥「だ、誰?」


カチャカチャ...カチャン


飛鳥「か、鍵を開けるつもりだ!この状況を見られるのはまずい...」

飛鳥「か、隠れなきゃ...」



ガチャッ



清良「失礼します、プロデューサーさん?」



P「すぅ...すぅ...」



清良「あらあら、よく寝てるわ♪」

清良「ちひろさんに言われて様子を見に来たんだけど...特に問題なさそうね」

清良「うーん...起こすのもかわいそうだし、お薬と食べ物だけ置いて帰りましょ」

清良「あっ、そういえば飛鳥ちゃんがいるかもって言われてたけど...」キョロキョロ...


Pの布団「っ!!」ビクッ


清良「...いないみたいね♪」

清良「それじゃプロデューサーさん、お大事に~」


バタン

柳清良(23)
http://i.imgur.com/tdAOSSG.jpg
http://i.imgur.com/xfqh3PW.jpg

モゾモゾ...


飛鳥(ふぅ...驚いた)

飛鳥(まさか誰かが入ってくるとは...セカイはいつだって油断ならないということか...)

飛鳥(いや、それよりこの状況...)

飛鳥(とっさに隠れようと思って、Pの布団の中に潜り込んでしまった...)


P「むにゃ...」


飛鳥(...暖かい)

飛鳥(これほどPと全身を密着させたのは...多分初めてだ...)

飛鳥(...もう少しだけ隠れていよう)

飛鳥(誰かがまた入ってくるかもしれないし、隠れていたほうが合理的だ...)

飛鳥(もう少し...だけ...)


------



P「んっ...」パチッ

P「あれ?寝てたのか...」

P「うーん...確か飛鳥が来て、それから...」

P「...んっ?なんか身体の右側が妙に重いな...」

P「いったいなん...だぁっ!?」


飛鳥「すぅ...すぅ...」


P「あ、飛鳥?なんで俺の布団の中に...」


飛鳥「んっ...」


P「おい飛鳥、飛鳥」ユサユサ...


飛鳥「んぅ...」パチッ


P「起きたか?お前なんで...」


飛鳥「......」ジーッ


P「飛鳥?」


飛鳥「んっ...やれやれ、夢の中にまで出てくるとはね...まったくキミってやつは...」

P「はい?」

飛鳥「あっ、そういえばさっきは途中で邪魔が入ったんだった...」

P「あ、飛鳥?」

飛鳥「ちょうどいい、夢なら遠慮しなくてもいいか...」

P「おい、もしかしてお前寝ぼけ...」


チュッ


P「っ!!」

飛鳥「ん~...♪」ギュウウウウウウ


P「んむっ...こ、こら飛鳥!」


飛鳥「ふふっ、いい反応だ...確かにいきなりこんなことしたらきっとPはそういう感じで驚いて...」


P「おいこら!寝ぼけるな!起きろ!」

飛鳥「やれやれ、ずいぶんリアルな夢だ、夢なのに現実感があるなんて言い得て妙な...」

P「起きろってのこら!」

飛鳥「...あれ?」

P「目が覚めたか?」

飛鳥「P...?なんで...?」

P「俺が聞きたいよ、寝て起きたらお前が俺の布団に潜り込んでるし...」

飛鳥「...はっ!」

P「どうした?」

飛鳥「ちょ、ちょっと待ってくれ...思考が混乱している...!」

P「お、おう...」

飛鳥「今のは...夢じゃない...?」

飛鳥「ということは...ボクがさっき夢だと思って行った行動も全て...」


飛鳥「......っ!!」カアァァァァァ


P「あ、飛鳥?」


飛鳥「し、失礼する!お大事に!」ダッ!


P「あっ、ちょっと飛鳥!おーい!!」

タッタッタ...


飛鳥「はぁ...はぁ...」


茜「おぉ、飛鳥ちゃん!ランニングに行ってきたんですか!?」

飛鳥「あ、あぁ...まあ、そんなとこかな...」

茜「いいですね!いい汗かいてますね!青春ですねっ!顔も真っ赤になってまるで燃えているようです!」

飛鳥「ありがとう茜...じゃあボクは部屋に戻るから...」

茜「ちゃんとケアをしてくださいね!身体を冷やすと風邪を引きますよー!」






バタンッ


飛鳥「はぁ...はぁ...」

飛鳥「まさか...こんな...こんなこと...」

飛鳥「Pと...こんな形で...キ、キス...」

飛鳥「っ~~~!!」ジタバタジタバタ...

日野茜(17)
http://i.imgur.com/XwpmtAN.jpg
http://i.imgur.com/fSGRcej.jpg

---翌日---



飛鳥「けほっ、けほっ!」

飛鳥「...頭痛い」

------


P「じゃあちひろさん、ちょっと出かけてきます」

ちひろ「ええ、気を付けて行ってきてください」


バタン


P「さてと、途中で何か買ってから...」

清良「あら、お疲れ様ですプロデューサーさん」

P「あっ、お疲れ様です清良さん、昨日は寝てる間に様子を見に来ていただいたみたいで...」

清良「いえいえ、大したことがなくてよかったです、それよりどこかにお出かけですか?」

P「ええ、ちょっと飛鳥のところに...」

清良「ああ、そういえば体調を崩してるって...」

P「そうなんです、なのでこれから様子を見てこようかと...」

清良「うーん、誰かに風邪を伝染されたのかもしれませんねぇ」

P「そ、そうですね!この時期はそういうことも...」

清良「ええ、たとえば...誰か風邪を引いている人の布団に潜り込んでる時に伝染された、とか...」

P「なっ...ど、どうしてそれを...」

清良「あら、私は『誰か』って言っただけですよ?」

P「あっ...」

清良「うふふ、まあ大体気が付いてましたけどね♪」

P「き、清良さん...だ、誰か他の人には...」

清良「大丈夫です、誰にも言ってませんよ♪」

P「そ、そうですか...あの、どうかこの事は内密に...」

清良「わかってます、それよりプロデューサーさんこそお見舞いに行って狼にならないようにしてくださいね?」

P「な、なりませんって!」

清良「ふふっ、なら安心ですね♪」

P「はぁ...でも昨日は本当に驚きましたよ、目覚めたらいきなり飛鳥が布団の中に潜り込んでて...」

清良「飛鳥ちゃんも意外と積極的ですね、やっぱり恋をしてる女の子は大胆なのかも♪」

P「いや、恋ってのは大げさでしょうけど...」

清良「あらあら、プロデューサーさんはそう思ってても飛鳥ちゃんがそうだとは限りませんよ?」

P「うーん...そうかなぁ?」

清良「ニブい人...あっ、そういえば...」

P「なんですか?」



清良「一つだけ言っておきたいんですけど...」

---女子寮 飛鳥の部屋---



飛鳥「くっ...この頭痛...」

飛鳥「フッ、まさか体調を崩すなんて...」

飛鳥「だがこの痛み、これこそボクが生きているという確かな証左と...うぅぅ、頭痛い...」

飛鳥「...でも、Pと顔を合わせずに済んだのはよかったというべきか...」

飛鳥「はぁ...次に会った時になんて言えば...」


コンコン


飛鳥「んっ、誰だ...?」


茜『飛鳥ちゃん!起きてますか!?』


飛鳥「茜か...ああ、起きているよ」


茜『起きてるそうです!じゃあ私はこれで!』

『おう、ありがとな』


飛鳥「?」


ガチャッ


P「よう、大丈夫か?」

飛鳥「なっ...P!?ど、どうして...?」

P「いや、体調崩したって聞いたから様子を見に...」

飛鳥「そ、そうか...すまない...」

P「いやいいんだ、それより具合はどうだ?」

飛鳥「うん...多少頭痛がするのと咳が出るくらいで...けほっ!」

P「おいおい、大丈夫か?」

飛鳥「ああ...心配ないさ、キミこそ大丈夫なのかい?」

P「大丈夫だよ、本当ゴメンな、風邪が伝染ったみたいで...」

飛鳥「気にすることはない、それよりもキミが元気になったようでよかったよ」

P「昨日も言ったろ、軽い風邪だったんだからすぐに治るって」

飛鳥「き、昨日か...そ、そうだね...」

P「ああ、昨日な」


P「......」

飛鳥「......」


P「...なあ飛鳥、昨日のことなんだけど」

飛鳥「っ!!」ビクッ

飛鳥(い、いきなりその話題に触れてくるとは...)

飛鳥(ま、マズい...どう説明したら...)

飛鳥(考えろ、考えるんだ...!)


P「お前、俺の布団に潜り込んでたのは...」


飛鳥「あ、あぁ!そ、そのことか!すまないな、驚かせてしまったみたいだ!」

P「えっ?」

飛鳥「あ、あれはだね...そう、布団だけではキミが寒いだろうと思って暖めていたんだ!」

P「...暖める?」

飛鳥「そ、そうだ!寒いときには人肌で暖めるのが一番だと何かで読んだことがある!だからキミの布団にお邪魔させてもらったというわけさ!」

P「はぁ...」

飛鳥「しかしボクとしたことが迂闊だった、どうやらそうしているうちにいつの間にか眠りに落ちてしまったようだね、まったくボクとしたことがとんだ失態を...」

P「そうなのか...」

飛鳥「あぁ!それとキミに起こされたあとのボクは寝ぼけていたから普段のボクと違う行動を取ったかもしれないな!よ、よく覚えてなくて申し訳ないが...」

P「へぇ...」

飛鳥「すまない、お見舞いに行ったというのにキミには迷惑をかけてばかりだ...は、ははは...」

P「ふむ...」

飛鳥(く、苦しい...)

飛鳥(この言い訳はいくらなんでも苦しすぎる...)

飛鳥(いくらPでもこんな説明を受けて納得するとは到底思えない...)

飛鳥(だが...今のボクにはこれが精一杯だ...)


P「なるほど、俺を暖めるために...か」

飛鳥「あ、あぁ...」


P「......」

飛鳥「っ......」ドキドキドキドキ...


P「...飛鳥」

飛鳥「な、なんだい?」


スッ...


P「ありがとな」ナデナデ

飛鳥「...へっ?」

P「悪いな、そこまでお前に気を使わせて...」

飛鳥「えっ?気を使わせてっていうのは...」

P「いや、だからお前がわざわざ自分の身体を使ってまで俺を暖めようとしてくれたことだよ、すごく助かった」

飛鳥「...えっ?つまりキミは今の話を信じたって...ことかい?」

P「信じる?何を言ってるんだ、飛鳥がそう言うんだったらきっとその通りなんだろ?」

飛鳥「で、でも...」

P「それとも飛鳥はウソをつくような子だったのか?」

飛鳥「ま、まさか...」

P「だろ?俺の飛鳥がウソをつくわけがないさ、お前は正直だもんな」

飛鳥「う、うん...」

P「ありがとな飛鳥、でももうあんなことしちゃダメだぞ?お前の気持ちは嬉しいけど、飛鳥に風邪が伝染ったら元も子もないからな」ナデナデ

飛鳥「あ、あぁ...」

飛鳥(し、信じられない...あの言い訳で本当に納得するとは...)

飛鳥(少しは疑ったりしないのか...?)

飛鳥(いや...だがPはお人好しだし...あれで充分なのかも...)

飛鳥(それに...)


P『俺の飛鳥がウソをつくわけがないさ』


飛鳥(Pは...それほどまでにボクを信頼している、から...?)


飛鳥「ふっ、ふふっ...」

P「飛鳥?」

飛鳥「ふふふっ、あはは、あははははっ...」

P「どうした?急に笑い出して、何かおかしいのか?」

飛鳥「ふふふっ、そうじゃないんだ、ちょっと安心したというか...急に笑い出したりしてすまな...けほっ、けほっ」

P「おいおい、大丈夫か?病人なんだからおとなしくしてないとますます具合悪くなるぞ」

飛鳥「わかっている、でも...ふふ、ふふふふっ♪」

P「変なやつだな」

飛鳥「ああ、そうかもね、確かにボクは変なヤツかもしれない、だが...キミも負けず劣らず変なヤツだよ」

P「どういう意味だ?」

飛鳥「ふふっ、さあね♪」




P(...ほっ、少しは元気になったみたいだな)

P(まあ、あの慌て方からすると多分間違いなくウソついてるだろうけど...)

P(でも本当の事を指摘したら飛鳥が顔を合わせてくれなくなりそうだし、ここはだまされておくか...)

P(もともと、俺を心配してお見舞いに来てくれたから風邪が伝染ったんだし...)

P(それに清良さんからも...)

清良『お見舞いに行くんでしたら、飛鳥ちゃんを安心させてあげてくださいね?』

P『安心?』

清良『そうです、プロデューサーさんの話を聞く限りだと飛鳥ちゃんは慌てて帰っていったんですよね?』

P『ええ、まぁ...』

清良『だとしたら、飛鳥ちゃんそのことをすごく気に病んでると思うんです』

P『あー、そうかもしれませんね...普段の飛鳥ならあんなことしないでしょうし、あいつの性格なら今頃どういう言い訳をしようか考えてそうですけど...』

清良『でしょう?特に今は体調を崩してるんですから、無理にすべてを問いただすと飛鳥ちゃんがショックを受けるかもしれません』

P『うーん、まあ確かに...あの年頃の子なら顔を合わせてくれなくなるかも...』

清良『だから、飛鳥ちゃんと気まずくならないためにもあんまり深く問い詰めないであげてください、走って駆け付けるくらいプロデューサーさんを心配してたんですから...』

P『ですね、わかりました』

清良『ただ...添い寝するのはよくないのでそこは注意してあげてくださいね?いつプロデューサーさんが狼になるかもわかりませんし...』

P『だ、だからなりませんよ!』

P「ふぅ...」

飛鳥「んっ、どうしたんだい?ため息なんかついて」

P「いや別に、飛鳥がちょっと元気になったみたいだから俺も安心しただけさ」

飛鳥「フッ、そうか...そんなことで安心できるなんてどこまでもお人よしだな...」

P「そんなことってことはないだろ、心配してたんだぞ?」

飛鳥「わかっているさ、キミはそういうヤツだからね」

P「ならよろしい、おっとそういえば差し入れを買ってきたぞ」ガサガサ...

飛鳥「差し入れ?」

P「寝てるだけだと口が寂しいんじゃないかと思ってな、ほら」

飛鳥「これは...」

P「桃の缶詰だ、風邪ひいたときはこれだろ」

飛鳥「へぇ、そういうものなのかい?」

P「俺はよくこれを食べさせてもらってたんだ、風邪ひいたときの唯一の楽しみだったなぁ」

飛鳥「苦しみの中で味わう甘露というわけか、確かに...待ちわびる気持ちはわからなくもないかもね」

P「だろ?具合悪い時だとことさら美味しく感じるんだ」

飛鳥「なるほど、Pがそこまで言うのなら...いただくとする...」

P「あぁ待て待て、起き上がらなくていい」

飛鳥「えっ?」

P「病人なんだからそのままでいろ、食べさせてやるから」

飛鳥「いや、さすがにそこまでは...」

P「いいんだ、昨日は俺が世話を焼いてもらったんだからお返しだ」

P「あーん」

飛鳥「はむっ...」

P「どうだ?」

飛鳥「...うん、甘い」

P「そうだろそうだろ、ほれほれもっと食べろ」

飛鳥「ちょっ...待っ...あむっ...」

P「遠慮なんかするな、病人は大人しく世話されてろ」

飛鳥「んぐっ...だからと言って...食べさせてもらうのはさすがに気が引けるんだが...」

P「何を言ってるんだよ、早く治さないといけないんだからこれくらい当たり前だ」

飛鳥「それはそうだが...キミは他にいろいろと仕事が...」

P「飛鳥、お前忘れたのか?」

飛鳥「忘れた?」

P「昨日言ってただろ、俺たちはパートナーだって」

飛鳥「...ああ、確かに言ったけど...」

P「相互に協力し合って、お互いに足りないところを補うんだろ?」

飛鳥「......」

P「だったら、今の俺の仕事はお前の看病をすることだ」

飛鳥「P...」

P「わかったか?わかったのなら早く風邪を治してまた一緒に頑張ろう」

飛鳥「...フッ、フフフ」

P「どうした?」

飛鳥「そうだったね...ボクたちはふたりでひとつだった...」

飛鳥「キミの悩みはボクの悩み、そしてボクの傷は...キミの傷...」

P「そう、そういうことだ」

飛鳥「...なら、もう少し甘えておこうかな」

P「それでいい、ほらあーん」

飛鳥「あーん...」


パクッ


P「美味しいだろ?」

飛鳥「...ああ」

飛鳥「甘くて美味しいよ、P...」

------



P「んじゃ、そろそろ行くけど何かあったらすぐに連絡するんだぞ?」

飛鳥「ああ、わかっているさ」

P「遠慮しなくてもいいからな?俺じゃなくても隣の部屋とかに...」

飛鳥「P、ボクは子供じゃない、大丈夫さ」

P「何を言ってるんだ14歳、まだまだ子供だよ、お前は」


飛鳥「......」ムスッ


P「とにかく早く寝て、早く治せよ?それじゃあな」


バタン


P「ふぅ、少しは元気になってくれたみたいでよかったよかった...」

P「さて、あとは帰って仕事仕事...」


ガチャッ


飛鳥「P...」

P「あれ、どうした飛鳥?」

飛鳥「帰る前にひとつだけ...いいかな?」

P「おう、どうかしたのか?」

飛鳥「なに、ちょっと...口が寂しくてね」

P「あー、まあ確かに寝てるだけだと暇だよな、じゃあちょっと食べるもの買ってくるから少しだけ待って...」

飛鳥「...いや、そうじゃない」

P「どういうことだ?」

飛鳥「...こういうことさっ」グイッ!

P「おわっ...!」


チュッ


飛鳥「んっ...」

P「っ!?」


飛鳥「ふぅ...」

P「えっ?えっ?あ、飛鳥?」

飛鳥「...今度は寝ぼけていないよ」

P「あっ...えっと...」

飛鳥「それと...14歳を...いや、ボクを侮らない方がいい」

飛鳥「ボクだって...いつまでもキミの言うような子供じゃないんだ...」

P「飛鳥...」

飛鳥「用件はそれだけさ、じゃあね、今日はどうもありがとう」

P「お、おう...」


バタン

P「...飛鳥」


清良『やはり恋をしてる女の子は大胆なのかも♪』



P「...まだまだ子供だと思ってたのに」

P「早いんだなぁ、女の子の成長って...」


茜「あっ、プロデューサー!お見舞いどうでしたか!?飛鳥ちゃんよろこんでましたか!?」


P「あぁ、まあな...」

茜「あれ?どうしたんですかプロデューサー!?顔が真っ赤です!」

P「えっ!?い、いや、なんでもない!」

茜「もしかしてプロデューサーも風邪ですか!?大変です!私が看病しましょうか!」

P「だ、だからなんでもなーい!」


------



飛鳥「はぁ...はぁ...」

飛鳥「熱が出そう...」

飛鳥「まったく...全部Pのせいだ...」

飛鳥「......」

飛鳥「...覚悟しろよ、P」

飛鳥「ボクだって日に日に...オトナになっているんだ...」

飛鳥「それに...ボクは意外としつこいぞ...」

飛鳥「少しずつ...少しずつ...」



飛鳥「キミとボクとの距離を...ゼロにしてみせる...!」



おわり

駄文失礼しました~
飛鳥は可愛いですがやっぱり書くのが難しいです
でもセリフをよーく読むとかなりデレてるのがわかります
あと飛鳥を書くときは背伸びした感を出したいです
ではまた~

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