国王「――というわけなのじゃ」

賢者「なるほど……」

国王「これまで幾人もの兵士や術士が、奴の下僕にされてしまっておる」

国王「どうか、ヤツを倒して欲しい！」

賢者「かしこまりました」

賢者「“王国一の魔法使い”の異名にかけて必ずや闇魔術師を仕留めます！」

賢者（闇魔術師か……）

賢者（恐るべき黒い雷の魔法を使うらしいが、しょせん私の敵ではない）

賢者（必ずやこの私が仕留めてくれる！）

賢者「貴様が闇魔術師か」

闇魔術師「ククク、待っていたぞ……王国一の魔法使い」

賢者「それを知っていてなお、一対一に応じるとは……」

賢者「よほど自分に自信があるようだ」

闇魔術師「お前も我が雷で、下僕にしてくれよう！」

賢者「いくぞ！」

闇魔術師「ゆくぞ！」

賢者「雷よ！　天より轟いて、罪人に罰を与えよ！」ﾊﾟｧｧｧ…

闇魔術師「雷よ！　全てを引き裂く剣となり、我が敵を打ち砕け！」ﾊﾟｧｧｧ…



ズガガガァァァンッ！

闇魔術師「ぐうっ……！」

賢者「ふん……やはりこの程度か」

賢者「だが、今のが全力ではないだろう？　黒き雷とやらを見せてみろ」

闇魔術師「……よかろう」

賢者（黒い雷の魔法など聞いたことないが、このシールドはいかなる魔法でもはね返す！）ﾊﾞﾁﾊﾞﾁｯ

賢者（こうすれば、どんな魔法かを学習し、なおかつ勝つことができる！）

闇魔術師「我が黒き雷を喰らえッ！」ﾎﾟｲｯ

ﾎﾟﾄｯ

賢者「！？」

賢者（なんだ、この茶色い固まりは……！？）

賢者「いい匂いがする……」ｸﾝｸﾝ

賢者「どれ、ちょっと食べてみるか……」ﾓｸﾞｯ…

闇魔術師「……」ﾆﾔｯ

賢者「！！！」ﾋﾞﾋﾞﾋﾞｯ

賢者「な、なんだこのサクサクした歯ごたえは……！？」

賢者「さっぱりしていて、なおかつ濃厚な甘み……！」

賢者「たまらん！　もっと……もっと食べたい！」

闇魔術師「ククク……しかも、値段はたったの30え……30ゴールドだ」

賢者「30ゴールド！？」