兵士「魔物の大軍が現れましたァ!」賢者「私に任せておくがいい」 (20)

兵士「大変です!」

王「なにごとじゃ?」

兵士「王国の東方面に、魔物の大軍が現れましたァ!」

王「なんじゃと!?」

兵士「すでに関所は突破され、兵士長が軍を率いて対抗していますが、とても防ぎ切れません!」

賢者「私に任せておくがいい」

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兵士長「くそっ、なんという大軍だ!」

賢者「兵士長」

兵士長「これはこれは賢者殿!」

賢者「戦況は?」

兵士長「ご覧の通りです。魔物の勢いにまるで歯が立たず、死人と怪我人が増える一方です」

賢者「なるほど。まずは兵士たちを退避させてくれ」

兵士長「しかし、それでは……!」

賢者「いいから」

兵士長「かしこまりました!」

賢者「とりあえず、壁を作っておくか」

賢者「炎よ! 悪しき者から聖域を守れ! ファイヤー・ウォール!!!」

ボワァァァァァッ!!!

「ギィッ!?」 「ギャァァァス!」 「ギャォォォン!」





兵士長「す、すごい! 巨大な炎の壁が、魔物たちの進撃を食い止めた!」

賢者「今のうちに、生き残っている兵士を回復しておこう」

賢者「大地よ! その慈悲の力を示せ! アース・ヒーリング!!!」

パァァァ……

「う……」 「体が癒やされる……」 「助かったぁ……」





兵士長「おおっ、大地の力が兵士たちに活力を与えているのか!」

賢者「さて、本格的に攻撃するとしようか」

賢者「津波よ! 全てを洗い流せ! ジャイアント・ウェーブ!!!」

ザバァァァァァッ!!!





兵士長「なんという魔法! 地上にいる魔物がほぼ壊滅した!」

「ギエェェェ!」 「ギャァァァス!」 「ウオォォォォ!」

バッサバッサ…… バッサバッサ……



兵士長「賢者殿! 空からも魔物が!」

賢者「心配いらん。空飛ぶ魔物など、私の魔法の格好の餌食だ」

賢者「竜巻よ! 天からの災禍を切り裂け! トルネード・キャノン!!!」



ビュオオオオオオッ!!!

魔首領「おのれぇ……! たかが人間風情が……! だが、あの程度の魔法ではオレは倒せんぞ!」

兵士長「な!? まだ生き残りが!? しかも、ほとんどダメージを受けていない!」

賢者「なるほど、こいつは出来そうだ」

兵士長「どうしましょう!?」

賢者「長期戦になると厄介そうだな……ならば、いきなり必殺の一撃で仕留めればよい」

魔首領「?」

賢者「雷よ! 鉄槌を下せ! サンダー・クラッシュ!!!」



ズガガガガァァァンッ!!!

魔首領「チ、チクショウ……」ガクッ



兵士長「おお、一撃で……!」

賢者「おそらく変身などをして本領発揮するタイプだったのだろうが、その前に一撃で決めさせてもらった」

賢者「やはり一撃で決まるならば雷属性が一番いい」

兵士長「他の属性の魔法を見て、油断した敵を一発で仕留めたというわけですな!」

ワアァァァッ!

王「よくやってくれた、賢者よ」

賢者「いえ、これが私の仕事ですから」

兵士長「どんな魔法でも扱えるあなたが羨ましい!」

賢者「いえ、そこまで魔法は万能ではありませんよ」

賢者「では……さようなら」

王「これほどの手柄を立てながら、あの謙虚さ、見事じゃ」

兵士長「ええ、私も武人として見習いたいものです」

賢者「……ただいまー」

妻「あら、お帰りなさい」

賢者「今日は魔物の大軍を倒してきたよ」

妻「あそ」

妻「ちょうどよかった、コーヒー入れてちょうだい」

賢者「はい」

賢者「炎よ……」ボワッ

妻「終わったら、花の世話もお願いね」

賢者「はい」

賢者「水よ……」シャー…

妻「土を耕すのも忘れないでよ」

賢者「土よ……」モコモコ

妻「マッサージして」

賢者「はい」

賢者「雷よ」バチバチ

妻「あ~気持ちいい」

妻「暑くなっちゃった。風出してくれる?」

賢者「風よ」ビュオオオオ

妻「あ~……涼しい」

賢者「……」ビュオオオオ

賢者「女房の尻に敷かれないようになる魔法ってないのかなぁ……」









おわり

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