朋「まゆちゃんと夏祭り」 (33)
朋「ねぇ、まゆちゃん」
まゆ「はい?」
朋「明後日にね、お祭りがあるんだって」
朋「よかったら一緒に行かない?」
まゆ「はい、もちろんいいですよ」
朋「あ、ほんと?」
まゆ「うふふ……まゆもその日はオフですから」
朋「ふふ、よかった」
朋「それじゃ、約束ね」
まゆ「はい」
まゆ「うふ……明後日が楽しみですねぇ」
朋「うん!」
朋「……そうだ!」
朋「まゆちゃん、浴衣持ってる?」
まゆ「……実家にはあったと思いますけど」
朋「あー、そっか」
朋「……花火大会もやるみたいだし、せっかくだから浴衣着て行きたいなーって思ったんだけど」
まゆ「朋さんは持ってるんですか?」
朋「うん」
朋「いつだったかにラッキーアイテムが浴衣だったことがあって……この前買ったから部屋にあるはずよ」
まゆ「……本当いろいろ持ってますね」
朋「まあね」
朋「……でも、まゆちゃんがもってないなら仕方ないかな」
朋「んじゃ、普通に普段着で行きましょうか」
まゆ「……いえ」
朋「ん?」
まゆ「よかったら朋さんも一緒に選んでくれませんか?」
朋「……へ?」
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朋「……本当に買いに着ちゃった」
まゆ「よろしくお願いしますねぇ」
朋「うん」
朋「……ちょっと責任重大で怖いけど……」
まゆ「うふ……別に朋さんに全部任せるわけじゃないんですから」
まゆ「一緒に選んでくれるだけでいいんですよ?」
朋「……そっか」
まゆ「はい」
朋「じゃあもっと気楽に――」
まゆ「――それで、朋さん。まゆに似合う浴衣はどれだと思いますか?」
朋「全部あたし任せにしてるじゃない!」
まゆ「うふ……冗談です♪」
朋「もう……」
朋「……とりあえず、端から順に見てきましょう」
まゆ「そうですね」
まゆ「……あ」
朋「ん……何かいいのあった?」
まゆ「ちょっと気になったのが……この薄い紫色のやつです」
朋「これ……あ、アサガオ柄ね」
まゆ「はい。かわいいなって……うふ」
朋「そっか、ふふっ」
朋「気に入ったならそこで試着してみたら?」
まゆ「……そうですね」
まゆ「それじゃ、さっき見つけた下駄と合わせて、ちょっと試着してきます」
朋「んー、じゃあ私はここで待ってるわね」
朋「……」
朋(……待ち時間って暇よね)
朋「……」
まゆ「……お待たせしました」
朋「あ、おかえり、まゆちゃん」
朋「……わっ、すっごく似合ってるじゃない!」
まゆ「あ、本当ですか?」
朋「うん! すっごいかわいい!」
まゆ「うふ……ありがとうございます」
まゆ「じゃあ……これに決めちゃおうかな……?」
朋「他のは見なくていいの?」
まゆ「はい……気に入りましたから」
まゆ「朋さんもかわいいって行ってくれたし……うふ」
朋「そっか」
まゆ「それじゃ、買ってきますねぇ」
朋「うん、いってらっしゃーい」
まゆ「お待たせしました」
朋「ううん、大丈夫よ」
朋「それじゃ……帰りましょうか」
まゆ「そうですね……変装道具なんかはもうありますし」
朋「そうじゃなかったら買い物もこれないしね、ふふ」
まゆ「……そうだ」
まゆ「朋さんはどんな浴衣持ってるんですか?」
朋「あたしは……まあ、普通のよ」
朋「薄桃色で、薔薇の柄のやつ」
まゆ「へぇ……」
まゆ「……藤の花じゃないんですね」
朋「や、あたしだってそんな安直なことしないわよ」
朋「それに、その意味もあんまり好きじゃないし」
まゆ「……意味ですか?」
朋「うん……浴衣の柄ってそれぞれ意味がこめられてるのよ。大体は柄に使われてる花の花言葉のね」
朋「で、藤の花の意味は『陶酔』や『恋に酔う』って言う意味だったはず」
まゆ「へぇ……」
まゆ「……物知りですねぇ」
朋「おまじないっぽいしね。昔調べてるうちに覚えちゃった」
朋「ちなみにまゆちゃんの選んだアサガオの浴衣は『愛情』『平静』『結束』なんかの意味があるわ」
まゆ「そうなんですか……」
朋「ほかにも結構いろんな花言葉があったはずだから、興味あがったら調べてみたら?」
まゆ「ふふ、そうですね……また暇なときにでも……」
まゆ「……」
まゆ「……ちなみに、朋さんの浴衣の薔薇柄にはどんな意味があるんですか」
朋「えっと……『愛嬌』『無邪気』『内気な恥ずかしさ』なんかがあったわね」
まゆ「内気な恥ずかしさですか……」
まゆ「……内気な恥ずかしさ」
朋「なんでそこだけ取り出すのよ!」
まゆ「いえ、別に……特に意味はありませんよ」
朋「悪意しか感じないわよ!」
まゆ「悪意だなんて……」
まゆ「ただ……うふふ」
朋「うー……!」
まゆ「朋さんはそれを知りながら買ったんですね……うふ」
朋「……いいじゃん、別に」
まゆ「うふふ」
朋「……あー、もう。教えなきゃよかったかも……」
――お祭り当日――
まゆ(……今日は朋さんと一緒にお祭りに行く日)
まゆ(だから、浴衣に着替えて、髪型も替えて……ついでに変装のためにメガネもして)
まゆ(もう準備は万端……なんですけど……)
まゆ「……」
まゆ「……来ませんねぇ」
まゆ(迎えに来る……って言っていたんですけど)
まゆ(……約束の時間になっても、ノックの音もありません)
まゆ(……)
まゆ(……もうまゆから朋さんを迎えにっちゃおうかな)
>>6 訂正
――お祭り当日――
まゆ(……今日は朋さんと一緒にお祭りに行く日)
まゆ(だから、浴衣に着替えて、髪も整えて……ついでに変装のためにメガネもして)
まゆ(もう準備は万端……なんですけど……)
まゆ「……」
まゆ「……来ませんねぇ」
まゆ(迎えに来る……って言っていたんですけど)
まゆ(……約束の時間になっても、ノックの音もありません)
まゆ(……)
まゆ(……もうまゆから朋さんを迎えにっちゃおうかな)
まゆ「……」コンコン
まゆ「……?」
まゆ「朋さーん?」コンコン
まゆ「……」
まゆ「……あら? スマホに何か……?」
朋『ごめん、まゆちゃん! まだ着替え終わってないからちょっと待ってて!』
まゆ「あら……」
まゆ「……」
まゆ『……手伝いましょうか?』
朋『一人でできるから! 大丈夫だから!』
朋『すぐ終わるから、ちょっと待ってて!』
まゆ『わかりました』
まゆ「……」
まゆ「……」
まゆ「……」
朋「ごめん、お待たせ!」
まゆ「……遅いです」
朋「いや、本当ごめん……浴衣着るのにちょっと手間取っちゃって」
まゆ「もう……」
朋「あはは……後でお詫びはちゃんとするから」
まゆ「……」
朋「とっ、とりあえず準備もできたから、行きましょ、うん!」
まゆ「……」
朋「そっ、そういやさ!」
朋「今日まゆちゃんいつもと髪形違うのね」
まゆ「あ、はい……そうですね」
まゆ「浴衣なので編みこんでアップにして……」
まゆ「……変でしたかぁ?」
朋「ううん、そんなことないわよ!」
朋「ただ、いつもと違う感じで……なんか不思議」
まゆ「不思議……」
まゆ「……髪型を変えると結構イメージが変わって見えたりしますからねぇ」
まゆ「朋さんだって、ちょっと印象違いますし」
朋「ん、そう?」
朋「いつもこんな感じでポニテにしてるけど」
まゆ「でも、今日はお団子ですから」
まゆ「またちょっと違った朋さんです」
朋「あー……まあ、そっか」
朋「やっぱまとめてるのとまとめてないのじゃ印象違う?」
まゆ「違いますねぇ」
朋「ふーん……」
まゆ「……でも、そのおかげで他の人からは気づかれないかもしれません」
朋「あ、確かにそうね、ふふ」
朋「メガネもしてるし」
まゆ「そうですね」
まゆ「……もしかしたら、印象が違って見えてるのはこのメガネのおかげかもしれませんけど」
朋「かもね、ふふ」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
まゆ「会場にはつきましたけど……」
朋「人多いわねー……」
まゆ「そうですね……はぐれないように気をつけないと」
朋「そうね……一回はぐれたらもう一回集合するの大変そう……」
まゆ「……スマホは持ってますよね?」
朋「さすがに持ってきてるわよ」
朋「だから万が一のときは安心だけどね」
朋「まあ、はぐれないことが一番だけど」
まゆ「……そうですね」
まゆ「気をつけていきましょう」
朋「うん」
朋「……じゃ、とりあえず適当に回っていきましょうか」
朋「あっ」
まゆ「……どうしたんですか?」
朋「ううん、射的があるなーって」
まゆ「何か欲しいものでもあるんですか?」
朋「いや、別に」
まゆ「……」
朋「でもあたし射的するのは好きよ、倒したときすっごいうれしいし!」
朋「……ね、まゆちゃん、ちょっとやっていい?」
まゆ「別にいいですよ」
朋「ありがと!」
朋「よっし、いくわよ……!」
まゆ「どれ狙うんですか?」
朋「んー……じゃ、とりあえずあのお菓子でいいや」
朋「あたしでも落とせそうだし」
まゆ「……」
朋「それじゃ……狙って……」
朋「……えいっ!」
朋「……あ」
まゆ「……だいぶはずれましたね」
朋「……えっと」
朋「今のは練習だから、ノーカンよ」」
まゆ「はぁ……」
朋「もっかい……今度こそ……!」
朋「狙って……すっごく狙って……!」
朋「……えいっ!」
まゆ「……まただいぶはずれましたね」
朋「……」
まゆ「……もしかして、朋さんって」
まゆ「……ノーコンですか?」
朋「ちっ、違うわよ!」
朋「キャッチボールとか、そういうのはぜんぜんできるし!」
朋「ただ……ちょっと、射的は苦手なだけで」
まゆ「……でも射的は好きなんですねぇ」
朋「うん……あたって、倒して、うれしいっていうのは本当だし」
朋「……まあ、いつも『おめでとう』ってすごい同情した声で言われるんだけど」
まゆ「いつもどれだけ挑戦してるんですか……」
朋「うう……アドバイスとかもらうし、結構調べたりもしたんだけど……でもやっぱりうまくいかないのよね……」
まゆ「……」
まゆ「……あの、朋さん、ちょっと貸してもらっていいですか?」
朋「……まゆちゃん?」
まゆ「まゆが手本を見せます」
朋「ま、まゆちゃん……?」
まゆ「……」
まゆ「……えいっ!」
朋「!?」
まゆ「よし……ゲット……♪」
朋「えっ、すごっ!?」
朋「うそ、まゆちゃん射的得意だったの!?」
まゆ「はい」
まゆ「どんな景品でも落とせますよ♪」
朋「なんか意外……」
まゆ「ふふ……朋さんと同じで、まゆも射的好きなんです」
まゆ「小さいころからお祭りに行ってはたくさんやってました♪」
朋「へぇ……」
朋「……あたしもたくさんやってたはずなんだけどなぁ」
まゆ「まゆはママからたくさん教わってたんです」
朋「まゆちゃんのお母さんも上手だったの?」
まゆ「はい……きっとまゆよりも」
朋「えぇ……あたしにとってはまゆちゃんでさえ天上の存在なのに……」
まゆ「このくらいならきっとすぐに追いつけると思います」
朋「そうかな……まゆちゃんも見てのとおり、あたしこんなんなんだけど」
まゆ「うふ……まゆが教えたら、きっとすぐに上手になりますよ」
朋「……ほんとに?」
まゆ「本当に……」
まゆ「……コツ、教えて欲しいですか?」
朋「すっごい教えて欲しい!」
まゆ「うふふ……それじゃ、まずですね――」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
朋「……」
まゆ「いいですよ、朋さん……そのまま……」
まゆ「……あ、手はもうちょっと前の方がいいかも……えっと、ここくらいに……」
朋「……」
まゆ「うん……後は、さっき教えたとおりに狙って……」
朋「……」
朋「……えいっ!」
朋「あっ!」
朋「あたった! まゆちゃん、あたったわ!」
朋「やった!」
まゆ「うふ……おめでとうございます」
朋「……まあ、落ちてないんだけどね」
まゆ「きっともう一回やれば落ちますよ」
まゆ「さあ……今度は、朋さんの力だけで……うふ」
朋「うん……えっと……まゆちゃんに教わったとおりに……」
朋「……」
朋「……えいっ!」
朋「!!」
朋「落ちた、やったっ!」
朋「まゆちゃん、まゆちゃん、見てた!?」
まゆ「はい、見てました」
まゆ「おめでとうございます……♪」
朋「ありがとっ!」
朋「まゆちゃんのおかげよ、ほんとに!」
まゆ「うふふ」
朋「ねぇ、ハイタッチしましょ、ハイタッチ!」
朋「ほら、ほらっ!」
まゆ「いいですよ……いぇいっ!」パン
朋「イェイ!」パン
朋「あー……本当うれしい……!」
まゆ「ふふ……ほら、すぐ上達しました」
朋「本当ね……まゆちゃんの教え方が上手だったからかしら」
朋「今まではぜんぜんできなかったのに……」
まゆ「ふふ……教えたかいがあります♪」
朋「ほんとありがとね、まゆちゃん……えっと」キョロキョロ
朋「……あ、あそこにわたあめあるし、あれおごるわ!」
まゆ「あ、そんな……いいですよ」
朋「いいのよ……ほら、さっきのお詫びもあるし」
朋「さ、行きましょ!」
まゆ「……あ、ちょっと待ってください!」
朋「ん?」
まゆ「まだ残弾が残ってるので……まゆが使い切りますね」
まゆ「えっと……じゃああのお菓子とあのお菓子を……」
朋「……」
まゆ「お待たせしました……あら、朋さんどうしました?」
朋「いや……本当、すごいなぁって……」
朋「プロのスナイパーみたい……」
まゆ「うふ……練習すればこのくらいは簡単にできますよ……♪」
朋「そうかなぁ……」
まゆ「それに、今日教えただけであんなに上手くなったんですから」
まゆ「上達するのもきっと早いです」
朋「……じゃ、次からがんばってみる」
朋「っと、じゃああのわたあめ買いましょうか」
まゆ「……本当にいいんですか?」
朋「ん、いいわよ」
朋「今日だってまゆちゃん待たせちゃったし、いろんなこと教わったし」
朋「お礼よ、そのお礼」
まゆ「……」
朋「すいませーん! わたあめ二つくださーい!」
朋「はい、まゆちゃん」
まゆ「ありがとうございます」
朋「あむ……んー、美味しい……!」
まゆ「そうですね……とっても甘くて……あむ……」
朋「ふふ」
朋「……ただ、これの難点って結構口の周りがべたつくのよね」
まゆ「まあそれは……仕方ないです」
朋「そうなんだけどねー……あむ」
朋「んー……あと何か面白そうなのあるかなー」
まゆ「……あ」
まゆ「朋さん、あれとかどうですか?」
朋「……あ、ヨーヨー釣りね」
まゆ「はい」
朋「いいじゃない、やりに行きましょ!」
朋「あ、よかったらわたあめ持ってよっか?」
まゆ「……いいんですか?」
朋「うん……持ったままだと落としちゃうかもしれないし」
朋「あたしはここでまゆちゃんの勇姿を見ておくわ」
まゆ「……わかりました」
まゆ「それじゃ、お願いします」
朋「うん、任された!」
朋「安心してね! 絶対に食べたりしないから!」
まゆ「……やっぱり自分で持ちます」
朋「なんでよ!」
まゆ「いえ……そう言葉に出されると……少し不安が……」
朋「食べないって言ってるでしょ!」
朋「大丈夫だって、あたしを信じてよ!」
まゆ「……」
朋「なんでそこで無言になるのよ!」
まゆ「……うふ、冗談です」
朋「……」
まゆ「……えっと、それじゃ一回分お願いします」
まゆ「……」
まゆ「……」
朋(……すっごい集中してるわね)
朋(今、後ろから声かけたらたぶんすっごいかわいい反応が帰ってくると思うけど……)
まゆ「……」
まゆ「……」
朋(……やめとこ)
朋(たぶんそれより――)
まゆ「……!」
まゆ「やった……!」
まゆ「朋さん、取れました……!」
朋「ふふ、おめでと!」
まゆ「~♪」
朋(――こっちのほうがかわいい反応だしね)
まゆ「よし、もういっこ……」
朋「……ふふ」
まゆ「結局2つ取れたので、1つ朋さんに上げますね」
朋「わっ、ありがと」
まゆ「いえいえ」
まゆ「……あっ、朋さんもわたあめありがとうございました」
朋「いえいえ……食べてないからね」
まゆ「うふ……本当ですね」
まゆ「それじゃ……えっと、行ってないのはあっちですね」
朋「ん、また歩きましょうか」
まゆ「はい」
まゆ「~♪」ビヨンビヨン
朋「……ヨーヨー楽しい?」
まゆ「結構楽しいです……♪」
朋「……ふふ」
まゆ「~♪」ビヨンビヨン
朋「~♪」ビヨンビヨン
朋「……あ、チョコバナナ! あたし好きなのアレ!」
朋「まゆちゃんも買う?」
まゆ「はい♪」
朋「あむあむ……ん~♪」
まゆ「……本当に好きなんですね」
朋「好き!」
朋「美味しいし!」
朋「あむ……♪」
まゆ「うふ……」
まゆ「……あ、わたあめなくなっちゃった」
朋「また買う?」
まゆ「……いえ、あれは1日に一本で十分です」
まゆ「それより飲み物の方が……あ、あそこに売ってる……」
朋「ん……あっ、リンゴ飴もある!」
朋「あれも食べよっと!」
まゆ「たくさん食べますね」
朋「だって、お祭りなんだもん!」
朋「食べなきゃ損!」
まゆ「……うふ、確かにそうかも」
まゆ「じゃ、まゆも一つ……♪」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
朋「……結構色々回ったわね」
まゆ「そうですね……おかげで少しおなかいっぱいです」
朋「ふふっ」
朋「さて、だいたい一通り回ったけど……」
まゆ「そうですね……次はどこに――」
まゆ「――きゃっ!」ドン
「あっ、ごめんなさい!」ダッ
朋「!」
朋「まゆちゃん、大丈夫!?」
まゆ「だ……大丈夫です……ちょっと転んだだけですから」
朋「転んだんじゃなくて、あいつが思いっきりぶつかってきたんじゃない!」
朋「まったく……人が多いんだから歩いてよ、危ないんだから!」
朋「……大丈夫、立てる?」スッ
まゆ「あ……ありがとうございます」グッ
朋「よいしょっと!」グイッ
まゆ「んしょ……!」
まゆ「ふぅ……」
まゆ「……浴衣、汚れちゃった」
朋「いや、浴衣なんて洗えば綺麗になるからいいわよ。それより、まゆちゃんはほんとに大丈夫?」
朋「痛いところとかない?」
まゆ「……まゆは子供じゃないんですけど」
朋「いや、まゆちゃん負けず嫌いだから痛くても隠しそうだし」
まゆ「……むぅ」
まゆ「大丈夫です……どこも痛くないありません」
朋「そう……それならいいんだけど」
朋「まったく……」
朋「……まったく!」
朋「……ああ、もう! どっか行っちゃったから怒るに怒れないじゃない!」
まゆ「すごい急いでたみたいですけど……何かあるんでしょうか?」
朋「急いでたからって――」ドン
朋「――あ」
まゆ「花火……」
朋「……もうそんな時間かー」
まゆ「これを近くで見るために急いでたんでしょうか……」
朋「たぶんね」
朋「……だからって、まゆちゃんにぶつかったことは許せないけど」
まゆ「……うふ」
まゆ「さて……まゆたちも行きましょうか」
朋「……」
朋「……あ、あのさ。それなんだけどね」
まゆ「……?」
朋「……あんまり近くに行っても、人もいっぱいだし、さっきみたいなことになるかもし
れないし」
朋「近すぎて首が痛くなるかもしれないじゃない」
まゆ「まあ……仕方ないとは思いますけど」
朋「……だからね、まゆちゃん。ちょっと離れたところに行かない?」
まゆ「離れたところ……ですか?」
朋「うん」
朋「……たぶんそこだったら人も少ないだろうし、快適に見れると思うの」
まゆ「……」
朋「いや、まゆちゃんが近くで見たいって言うなら別にいいんだけどね」
まゆ「……」
朋「……どう、かな?」
まゆ「……」
まゆ「……いいですよ」
朋「!」
まゆ「行きましょう……うふ」
朋「ありがと、まゆちゃん!」
朋「えっとね、じゃあこっち!」
>>25 訂正
まゆ「さて……まゆたちも行きましょうか」
朋「……」
朋「……あ、あのさ。それなんだけどね」
まゆ「……?」
朋「……あんまり近くに行っても、人もいっぱいだし、さっきみたいなことになるかもしれないし」
朋「近すぎて首が痛くなるかもしれないじゃない」
まゆ「まあ……仕方ないとは思いますけど」
朋「うん、仕方ないんだけど……でも、だからね、まゆちゃん」
朋「そういうことがない、ちょっと離れたほうに行かない?」
まゆ「離れたほう……ですか?」
朋「うん」
朋「……たぶんそこだったら人も少ないだろうし、快適に見れると思うの」
まゆ「……」
朋「いや、まゆちゃんが近くで見たいって言うなら別にいいんだけどね」
まゆ「……」
朋「……どう、かな?」
まゆ「……」
まゆ「……いいですよ」
朋「!」
まゆ「行きましょう……うふ」
朋「ありがと、まゆちゃん!」
朋「えっとね、じゃあこっち!」
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朋「ここ!」
まゆ「展望台ですかぁ」
朋「うん、見晴らしもいいし……ほら、あっちに花火が見える」
まゆ「本当……」
朋「……まあ、それでも人が0ってことはないんだけどね」
まゆ「でも、たぶん近くで見るよりずっと楽に見えます」
まゆ「人も密集してるわけじゃありませんし」
朋「そうね……」
まゆ「……」
朋「……」
まゆ「……きれいですね」
朋「うん……」
朋「……」
まゆ「……」
まゆ「……あの、朋さん」
朋「ん?」
まゆ「ありがとうございます」
まゆ「……きっとこの場所も朋さんが調べてくれたんですよね」
朋「まあ、うん……」
朋「……でも、パワースポットの情報調べてたら見つかっただけだけど」
まゆ「うふ……朋さんらしいですね」
まゆ「ちなみにパワースポットはどこにあるんですか?」
朋「んっとね……あっちの方だったはず」
まゆ「そうですか……」
朋「……」
まゆ「……」
朋「……興味持ったなら、また今度ね」
朋「今は夜だし、割と暗いところにあるから危ないわ」
まゆ「そうですね……」
まゆ「また、今度……」
朋「……」
まゆ「……」
朋「……」
まゆ「……あの、朋さん」
朋「……ねぇ、まゆちゃん」
まゆ「あっ」
朋「あっ」
まゆ「……」
朋「……まゆちゃん、どうぞ」
まゆ「いえ、大丈夫です、朋さんこそ、どうぞ」
朋「……じゃ、先に言うね」
朋「パワースポットに行く今度だけじゃなくてさ……えっと」
朋「来年も、一緒にここの祭りに行こう?」
まゆ「……もちろん」
まゆ「来年も一緒に……今日と同じくらい……ううん、それ以上に楽しく……」
朋「そうね……ふふっ」
朋「……で、これであたしの話はおしまいなんだけど……」
まゆ「……まゆの話も終わっちゃいました」
朋「えっ……?」
まゆ「うふ……」
まゆ「まゆも、来年も一緒にこのお祭りに行きたかったんです……♪」
おしまい
担当二人を組み合わせた何かが書きたかったので。
ネットで調べただけですが、アサガオの花言葉には『はかない恋』や『私はあなたに結びつく』などがあるそうですね。まゆにピッタリもしれない
誤字脱字、コレジャナイ感などはすいません。読んでくださった方ありがとうございました
前の朋まゆ
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