まゆ「朋さんの誕生日」 (26)

まゆ「朋さんの誕生日プレゼントを買いに行きませんか?」

朋「えっ?」

まゆ「……ええっと」

まゆ「朋さん誕生日そろそろですよね?」

朋「そうね……7月1日だから、もう一週間もないわ」

まゆ「なので、朋さんの誕生日プレゼントを買いに行こうかと」

まゆ「朋さんと一緒に」

朋「……」

朋「……ちょっと待って、あたし今すっごく困惑してる」

朋「え、待って、あたしも行くの?」

まゆ「はい」

朋「あたしの誕生日プレゼントをあたしが買うの?」

まゆ「だって、せっかくの誕生日プレゼントなんですから」

まゆ「やっぱり朋さんが欲しがるもの、喜ぶものを買わなきゃ……って」

朋「あー……」

まゆ「なので、朋さんと一緒に買いに行きたいんですけど……」

朋「……」

朋「……大体これが欲しいとかは伝えるから、それじゃダメ?」

まゆ「嫌いな色だったりしたら嫌ですし……」

朋「……」

まゆ「……ダメですかぁ?」

朋「……」

朋「……まあ、いいけど」

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まゆ「というわけで、アクセサリーショップです」

朋「アクセサリーを買うってことは決まってるのね」

まゆ「はい……せっかくだから、いつも身に着けて欲しいなって」

朋「……」

まゆ「……だからこそ、朋さんの好きなものにしなくちゃって思ったので」

まゆ「ついてきて欲しかったんです」

朋「……そっか」

朋「……」

まゆ「……」

朋「……ん!」

朋「とりあえずはいろっか!」

まゆ「あ、はい……!」

朋「ちなみに、何をプレゼントしてくれるの?」

まゆ「それなんですけど……ネックレスにしようかなって」

朋「ネックレス?」

まゆ「はい……朋さんって、結構いろいろなネックレス持ってるじゃないですか」

朋「そうね……ほら、形によっても運気って変わるし」

朋「その日その日に合わせたのをつけたりしてるの」

まゆ「……」

朋「……でも、気に入ったものは結構つけてるから!」

朋「大丈夫!」

まゆ「……ごめんなさい、気を使わせちゃったみたいで」

朋「ううん、気にしないで」

朋「まゆちゃんからもらったのだったらお風呂に入るときも、寝るときもつけるわ!」

まゆ「いえ、さすがにそこまでは言いませんけど……」

まゆ「というか、ネックレスしたまま寝るって危ないんじゃ……」

朋「あはは、まあそれくらいの気持ちってことよ」

朋「せっかくのプレゼントを無駄になんてできないしね」

まゆ「……うふふ、ありがとうございます」

朋「いえいえ、ふふっ」

まゆ「それで、どのネックレスを選ぶかなんですけど」

まゆ「……まゆ、この前誕生日占いって言うのやってみたんです」

朋「えっ、占い!?」

まゆ「……そんなに驚くことですかぁ?」

朋「ううん、驚いたんじゃなくて……まゆちゃんが占いしてくれてうれしくって!」

まゆ「うふ……朋さんに影響されちゃったみたいです」

朋「そっか……ふふっ」

朋「やばっ、本当にうれしい……!」

まゆ「……まだ興味を持ったばかりですから……今度たくさん教えてくださいねぇ」

朋「もちろん!」

まゆ「……で、その誕生日占いで朋さんの誕生日を入れてみたら、誕生日カラーが黄色って出てきたんです」

朋「へぇ……黄色かぁ……」

まゆ「……朋さんならすでに占ってると思ったんですけど……知らなかったんですか?」

朋「うーん……知らなかったというより……」

朋「……あたし、別の占いで占ったときは赤色だったからさ」

まゆ「赤色……」

朋「で、別に不満もなかったからあたしのラッキーカラーは赤色ってことにしたんだけど」

朋「へぇ……黄色もあたしの色だったのねー」

まゆ「……」

まゆ「……赤と黄色、どっちにすればいいんでしょう?」

朋「まゆちゃんの好きな方でいいと思うわよ」

朋「あたし、どっちの色も嫌いってわけじゃないし」

朋「……むしろ、黄色の方が好きかも」

まゆ「あ、そうなんですか……よかった……」

まゆ「えっと……それで、朋さんの誕生日カラーが黄色って出たので」

まゆ「黄色か、金色とか黄色に近い色のネックレスを探したいなって」

朋「……金色ならたっぷりあるわね」

朋「ほら、あの辺とか」

まゆ「あ、本当……」

まゆ「……じゃあ、とりあえずあっちに行きましょうか」

朋「そうね」

まゆ「……」

まゆ「……いろいろなのがありますねぇ」

朋「人によって好む形って変わってくるしねー」

まゆ「朋さんはどんなのが好きなんですか?」

朋「なんでも好きよ」

まゆ「……むぅ」

朋「あはは、冗談冗談」

朋「そうね……月とか、星とか……太陽とか」

朋「そういう……宇宙系の?」

朋「ああいうのが好き」

まゆ「なるほど……」

まゆ「じゃあ、たとえば……これとか?」

朋「あ、うん、こういうの好き!」

朋「ほら、今も似たようなのかけてるでしょ?」

まゆ「あ、本当……」

朋「今日はこれが運気が良いってのもあるけど……でも、それを度外視にしてもこういうのは好きよ」

まゆ「なるほど……」

まゆ「……じゃあ、こういう形のいいのを探そうかな……」

朋「……」

朋「……ふふ」

まゆ「あ、見てください朋さん」

朋「ん、いいのあった?」

まゆ「Tって文字のキーホルダーです」

朋「さっきまでの会話とまったく関係ないところ来たわね」

朋「っていうか、ネックレスですらないんだけど」

まゆ「近くにあったので、つい……」

まゆ「ほら、朋さんのイニシャルでもありますし」

朋「……まあ、そうだけどね」

朋「……あ、まゆちゃんも見つけたわ」

朋「ほら、M」

まゆ「あ、本当……」

朋「……まあ、見つけてどうするんだって話だけどね」

まゆ「ちょっと面白いなってだけですね」

朋「はんこ売り場で自分の苗字探すようなもんね」

まゆ「ああ……やります――やってる人もいるみたいですねぇ」

朋「……まゆちゃん可愛いわねー」

まゆ「まゆがやってるわけじゃありませんから……!」

朋「ふふっ」

まゆ「しかし、こうしてみると本当にいろんな種類がありますね」

まゆ「気に入る形のも結構ありますし……ひとつを選ぶのが大変です」

朋「ちなみに、今はどれが候補?」

まゆ「そうですね……これと……これと……これと……これと……」

朋「……本当に大量ね」

まゆ「朋さんはどれが好きですか?」

朋「うーん……」

朋「まゆちゃんが選んだ中だったら……これか……これか……」

まゆ「朋さんも結構選びますね」

朋「だって、どれも好きな感じだし……」

朋「……こういうのがアクセサリー買うときに困るのよね」

まゆ「わかります……絞り込んでから長いですよね」

朋「そうそう」

朋「全部買っちゃえば……とも思うんだけど」

まゆ「お金とかの問題もありますから……」

まゆ「やっぱり……ここまできたら、直感……」

朋「……まあ、それしかないわね」

朋「まゆちゃんがあたしに一番似合うってのを選んでくれたらそれでいいわよ」

まゆ「朋さんに一番似合うの……」

まゆ「……」

まゆ「……」

まゆ「……」

朋(……長考ね)

朋(そこまで考えてくれてるって思うと……ふふ)

まゆ「……よし、決めました……!」

まゆ「この三日月のにします!」

朋「……うん」

朋「あたしもこれ好き」

まゆ「うふふ……それじゃあ買ってきますねぇ」

朋「はーい」

朋「……」

朋(……まゆちゃんが買いに言ってる間、他のアクセサリーでも見てようかな)

朋(そろそろブレスレットも新しいの欲しいのよねぇ)

朋(あっちのほうかな――あ)

朋(……)

朋(……ペアネックレス)

朋「……」

朋「……」

朋「……」

まゆ「……何見てるんですかぁ?」

朋「ひゃっ!」

まゆ「……むぅ」

朋「いや、ごめん……ちょっと集中して見てて……気づかなかったわ」

まゆ「……別にいいですけど」

まゆ「そんなに驚かれるとは思いませんでした」

朋「いや、本当ごめんって」

まゆ「……別にいいんですけど」

まゆ「それで、何を見てたんですか?」

まゆ「……ペアネックレス?」

朋「うん……なんとなくね」

まゆ「そうですか……」

朋「……」

まゆ「……」

朋「……」

まゆ「……」

朋「……」

まゆ「……」

朋「まゆちゃん」

まゆ「ひゃっ!」

朋「……むぅ」

まゆ「まゆの真似しないでください……!」

朋「ふふ、ごめんごめん」

朋「まゆちゃんもあたしみたく集中してみてたみたいだから」

朋「つい、ね」

まゆ「……もう」

朋「それで……」

朋「……そのペアネックレス見て、何考えてたの?」

まゆ「……朋さんこそ」

まゆ「まゆが来るまで何考えてたんですか?」

朋「それは……」

朋「……」

まゆ「……」

朋「……」

まゆ「……」


………………

…………

……

朋「買っちゃたわね」

まゆ「買っちゃいましたね」

朋「……ふふっ」

まゆ「うふふ……色違いってだけですけどね」

朋「……まあ、そんなもんじゃない?」

まゆ「ですね」

まゆ「さすがに重ねてハートマークになる奴とかは――」

朋「――あたしたちには合わないわよね」

まゆ「はい」

まゆ「そもそも恥ずかしいっていうのもありますすし」

朋「……うん、あたしも」

朋「……」

まゆ「……」

まゆ「……あ、こっちのプレゼントのネックレスですけど」

まゆ「これは当日渡しますね」

朋「……まあ、誕生日プレゼントだしね」

朋「わかった……じゃ、誕生日を楽しみにしてるわ、ふふっ」

朋「……さて」

朋「じゃ、当初の予定も果たしたけど……」

朋「せっかくだし、もう少し遊んでこっか」

まゆ「はい……この辺だと何があるかな……?」

朋「そうね……あそこにカラオケとか……あっちはゲーセン……」

朋「……喫茶店もたくさんあるし……」

朋「……どこ行く?」

まゆ「……」

まゆ「……とりあえず歩きませんか?」

朋「……そうね」

朋「それで、行きたくなった場所に行きましょ!」


………………

…………

……

朋「あー、楽しかった!」

まゆ「そうですね……うふふ」

朋「……何よ」

まゆ「……ちょっと、思い出しちゃって」

まゆ「エアホッケーやってて『あたしの渾身の一撃を喰らいなさい!』って言ったのに重いっきりはずしたのを……うふふっ」

朋「忘れてっていったでしょ!」

まゆ「あんな綺麗な空振り忘れられません……♪」

朋「うぅ……!」

まゆ「うふふ……朋ちゃんかわいい♪」ナデナデ

朋「……」

朋「……まゆちゃんだってすっぽかして白いのこっちにぶっ飛ばしたじゃない」

まゆ「あれは……」

まゆ「……そういう攻撃です」

朋「どんな攻撃よ!」

朋「もう……屁理屈こねようとするまゆちゃんも可愛いわね」ナデナデ

まゆ「……」

まゆ「……うふふ」

朋「ふふっ」

朋「……さて」

朋「じゃ、また明日ね、まゆちゃん」

まゆ「はい、また明日」

まゆ「……」

まゆ「……」

まゆ(……これで)

まゆ(朋さんの誕生日までにやることはあと少し……)

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まゆ『朋さん、お誕生日おめでとうございます』

朋「……あ、まゆちゃんから」

朋「……あ、本当だ0時越えてる」

朋「もうあたしの誕生日になったんだ……」

朋『ありがと、まゆちゃん』

朋『ずいぶん早いわね』

まゆ『真っ先に伝えたかったので』

まゆ『これで朋さんもまた一歩大人になりましたね』

朋『そうね』

朋『また一歩まゆちゃんよりお姉ちゃんになっちゃった』

まゆ『そうですね』

まゆ『朋ちゃん』

朋『……』

まゆ『朋ちゃん♪』

朋『何よ!』

まゆ『なんでもありませんよぉ……うふ』

まゆ『あ、そうだ』

朋『ん?』

まゆ『まゆたちのパーティ……忘れないでくださいねぇ』

朋『忘れるわけないでしょ』

朋『お仕事終わったらちゃんとまゆちゃんの部屋に行くわ』

まゆ『うふふ……準備して待ってますねぇ』

朋『うん』

朋『それじゃ、お休み』

まゆ『はい、お休みなさい』

まゆ『良い夢を♪』

朋『まゆちゃんもね』

朋「……ふぅ」

朋「……」

朋「……」

朋「……」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


朋「……」コンコン

まゆ「はーい……あ、朋さん」ガチャ

朋「お待たせまゆちゃん」

まゆ「いいえ、今来たところですよぉ?」

朋「どこから来たのよ……」

まゆ「部屋の中から、朋さんの下へ……なんて」

朋「……なるほどって感心した自分がちょっと悔しいわ」

まゆ「うふふ」

まゆ「それじゃ、どうぞ」

朋「ん、ありがと……お邪魔します」

朋「わっ……もう用意できてるのね」

まゆ「準備して待ってましたから」

朋「や、そうだけど……まさか、ここまでとは」

まゆ「朋さんからどのくらいにつくかは聞いていたので……それにあわせて用意したんです」

まゆ「ケーキも、ジュースも、全部冷たい状態ですよ」

朋「そっか……ありがとね、まゆちゃん」

まゆ「いえいえ」

まゆ「それじゃ、朋さんはこちらに座ってください」

朋「ん」

まゆ「ケーキにろうそく立てて……」

朋「……ホールケーキ買ったのね」

まゆ「今日だけで消費しようとは考えてませんから」

まゆ「そんなことしたら……」

まゆ「まゆ、もっとレッスン頑張らないといけなくなります」

朋「あたしもね、ふふ」

まゆ「……よし、準備できました」

まゆ「それじゃ、電気消しますねぇ」

朋「んー」

まゆ「ハーッピバースデートゥーユー♪」

まゆ「ハーッピバースデートゥーユー♪」

まゆ「ハーッピバースデーディーアとーもちゃーん♪」

まゆ「……」

まゆ「ディーアとーもさーん♪」

朋「言い直さなくたっていいわよ!」

まゆ「ハーッピバースデートゥーユー♪」

まゆ「おめでとうございます、朋さん」パチパチ

朋「ありがと、まゆちゃん」

朋「すぅ……」

朋「ふーっ!」

まゆ「わっ、一発……」

朋「どうよ!」

まゆ「すごい……!」パチパチ

朋「ふふっ!」

朋「伊達に肺活量も鍛えてないわ!」

まゆ「切り分けました」

まゆ「残りは……明日にでも食べましょう」

朋「そうね」

朋「……それじゃ、いただきます!」

まゆ「いただきます」

朋「あむっ……んーっ、美味しい!」

まゆ「本当ですか?」

まゆ「よかった……」

朋「……もしかして、まゆちゃんが作ったの?」

まゆ「……うふふ」

朋「……すごいわね」

朋「クッキーとか作ってるのは知ってるし、食べたりもしたけど……ケーキも自作しちゃうなんて――」

まゆ「――実はそれ、お店で買ってきた奴です」

朋「なんで思わせぶりに笑ったのよ!」

まゆ「朋さんの反応が見たくて……うふ」

朋「……」

朋「まゆちゃんってこんなしたたかだったっけ……?」

まゆ「朋さんに影響されちゃったんだと思います……うふ♪」

朋「ごちそうさま……美味しかったー」

まゆ「おかわりもまだありますよ?」

朋「……あとでね」

まゆ「食べるんですねぇ」

朋「いや、美味しかったし……あとちょっとだけ」

まゆ「……じゃ、あとでまた切りましょう」

まゆ「とりあえず、まずプレゼントを朋さんに」

まゆ「どうぞ……この前買ったあのネックレスです」

朋「うん、ありがと」

朋「……どう、似合う?」

まゆ「……はい」

まゆ「想像した通りでした」

まゆ「とても似合ってます」

朋「よかった……ふふっ」

朋「大切に使わせてもらうわ」

まゆ「ありがとうございます」

まゆ「じゃ、次のプレゼントなんですけど」

朋「えっ?」

朋「……ま、まだあるの?」

まゆ「はい」

朋「聞いてないんだけど」

まゆ「サプライズですから」

朋「……」

まゆ「うふふ……まずはこれです」

朋「……紙?」

まゆ「まゆにいつでも甘えられる券です」

朋「何その肩たたき券みたいな」

まゆ「似たようなものですねぇ」

まゆ「10枚しかありませんから、大切に使ってくださいねぇ」

朋「……」

まゆ「……いりませんでしたか?」

朋「……」

朋「……」

朋「せっかくのまゆちゃんのプレゼントだから、もらっとくわ」

まゆ「……ありがとうございます」

まゆ「いつでもいいですからねぇ……今でも♪」

朋「いや、使わないわよ」

まゆ「……そうですか」

朋「……」

朋「……まだ」ボソッ

まゆ「で、後もうひとつが」

朋「まだあるんだ……」

まゆ「これです」

朋「これ……ミサンガ?」

まゆ「はい」

まゆ「ミサンガっておまじないに使うものですし、朋さんにぴったりかなって思って……」

まゆ「一から作りました」

朋「あ、まゆちゃんが編んでくれたんだ……」

朋「すごい上手ね……」

まゆ「うふ……まゆ、編み物も得意ですから」

まゆ「何だって編めちゃいますよ……♪」

朋「へぇ……」

朋「赤色と橙色とピンク色……ほぼ赤系統の色ね」

まゆ「まゆが調べた朋さんの誕生日カラーは黄色でしたが、朋さんが占ったのは赤色だったみたいなので……」

まゆ「赤系統の色で編んでみたんです」

朋「そっか……」

朋「……じゃ、知ってるわけじゃないんだ」

まゆ「……何をですか?」

朋「ミサンガの色にも、それぞれおまじないの効果が倍増する色ってあるの」

まゆ「そうなんですか?」

朋「うん」

朋「今回の色だと……桃色は恋愛、赤色も恋愛……それと運動、橙色が友情、笑顔」

まゆ「恋愛……」

まゆ「……」

まゆ「……ごめんなさい」

朋「……しがらみはなくなったって言ったでしょ」

朋「気にしすぎよ、まゆちゃん」

まゆ「……」

朋「……それに、この色ってのはそれぞれの効力を倍増させるだけ」

朋「別にそれ関連のお願い事しかできないわけじゃないわ」

まゆ「……」

朋「あとは……そう、ミサンガをつける場所にも意味合いが変わるの」

朋「利き手は恋愛、逆の手なら勉強……って感じに」

まゆ「……」

朋「……このミサンガあたしは右足――利き足につけるわ」

朋「ここにつけると友情運があがるの……だから、あたしはミサンガにこうお願いする」

朋「『まゆちゃんと、これからも仲良くいられますように』って」

朋「ふふっ、こんなのお願いしなくたって叶うのわかりきってるのにね」

まゆ「……」

朋「でも、素敵なお願いだってあたしは思うわ」

朋「……こんな素敵なお願い事ができたのは、まゆちゃんがこのミサンガを編んでくれたからよ」

朋「ありがと、まゆちゃん」

まゆ「……」

まゆ「……ありがとうございます、朋さん」

朋「なんであたしがお礼を言われてるのよ、ふふっ」

まゆ「怖かったんです」

朋「ん?」

まゆ「まゆ、最初からミサンガを作ろうと思ってました」

まゆ「でも……朋さんが気に入ってくれなかったらどうしよう、って」

まゆ「……怖かった」

朋「……」

まゆ「それなら、朋さんの喜びそうなものは何かって、考えて」

まゆ「新しくプレゼントを用意して……それでも不安で」

まゆ「……それで、一緒にネックレスを買いに行ってもらったんです」

朋「……あたしも一緒に選べばあたしが気に入らないプレゼントになるはずないしね」

まゆ「はい……」

まゆ「ひとつでも気に入ったプレゼントがあれば、最悪な誕生日にはならないはず……って」

朋「……」

まゆ「……だから、本当はサプライズじゃないんです」

まゆ「ただ、逃げ道を用意してただけ……」

まゆ「まゆが臆病だっただけ……」

朋「……」

まゆ「……ごめ――」

朋「――ねぇ、まゆちゃん、プレゼントってこれで全部?」

まゆ「え……?」

まゆ「あ、はい……そうです」

朋「そっか……ねぇ、まゆちゃん」

朋「まゆちゃんのプレゼント……」

朋「このミサンガも」

朋「このネックレスも」

朋「……あと、この券も」

朋「どれも気に入って、どれもうれしいの」

朋「全部うれしい……本当に、全部!」

まゆ「!」

朋「だから……今日何回も言ったけど、言わせて」

朋「ありがとう、まゆちゃん!」

朋「今日は最高の誕生日だわ!」

朋「いやなことなんて何一つない、本当に最高の!」

まゆ「……!」

まゆ「……うふふ、こちらこそありがとうございます、朋さん」

まゆ「朋さんが喜んでくれたなら何よりです……♪」

まゆ「……♪」

まゆ「ところで、その券も気に入ってくれたんですね」

朋「あっ」

まゆ「……うふ」

まゆ「使いますか……?」

朋「……」

朋「……いや、使わないわよ」

まゆ「そうですか……じゃあ」

まゆ「まゆが甘えさせてください」

朋「えっ……?」

まゆ「えいっ」ギュッ

朋「きゃっ!」

まゆ「……ありがとうございます、朋さん」

まゆ「ありがとうございます……!」

朋「……もう」

朋「そんな、気に入らないかも、なんて考えなくたって大丈夫」

朋「まゆちゃんからのプレゼント、気に入らないわけないじゃない」

朋「喜ばないわけないじゃない」

朋「……まゆちゃんが真剣に考えてくれたものだったら、なおさら、ね?」

まゆ「……はい」

朋「……ちょっと気が早いけど、来年も楽しみにしてるわ」

朋「どんなプレゼントをまゆちゃんが選んでくれるのか……ね?」

まゆ「はい……!」

朋「……ふふ、よしよし」ナデナデ

まゆ「……やっぱり、朋さんはお姉さんですねぇ」

朋「今日、また一歩お姉さんになったもんね、ふふっ!」





おしまい

朋ちゃん誕生日おめでとう。
これからも、占いに惑わされず、占いを扱うアイドルとして天真爛漫に活躍する朋ちゃんをずっと応援してます

0時すぐに『誕生日おめでとう』を含めたレスを入れたかったのですが、無事成功してよかったです

誤字脱字、コレジャナイ感などはすいません。呼んでくださった方ありがとうございました

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