真姫「suzu」(3)
鬱注意
プロローグ
砂糖が乗った丸切りのレモンを見つめる。
その下には淡い赤色のブランデーが入ったグラス。
ニコラシカ。
このカクテルの名前だ。
私は今バーに来て、この静かな空間を楽しんでいる。
カウンターに座り、ジャズを聴き、二杯目のニコラシカを眺める。
気取っているわけではない。
ただこの空間とこのお酒が好きなんだ。
輪切りのレモンを半分に折って口に入れる。
レモンの酸味が口全体に広がり、更に後を追うように砂糖の甘みを感じる。
それからブランデーを一気に口の中へと流し込む。
これよこれ。
思わず口に出しそうなぐらい美味しい。
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