ユッコ「孫ですか」 (38)


ユッコ『スプーンの準備は良いですか?』

さくら「はぁい」

ユッコ『ではご一緒に…むむーん!!』

さくら「むむーん!」

ユッコ『………曲がりませんね』

さくら「曲がりませぇん…」


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このssはモバP「孫だよ孫」の続きっぽいものです

でも別に読んでなくても大丈夫です


ユッコ『気を取り直してもう一度!むむむむーん!!』

さくら「むむむむーん!」


ガチャ


爺P(以下P)「ただいま戻りましたーっと」

さくら「!!おじいちゃん!おはよーございまぁす!」

P「おはよう村松。今日もまろっとしてるな」

さくら「えへへぇ」

P「ん?テレビ見てたのか?」

さくら「ちょっと前の、ユッコちゃんが出てたやつでぇす!」

P「ああ…あの結局スプーン曲がらなかった時のやつか」

さくら「曲がらなかったんですかぁ?」

P「スプーンはな」

さくら「??」


P「なんでも、その番組が放映されてる間、ビルが曲がっただの、スカイツリーが曲がっただの。幻覚症状が相次いだらしい」

さくら「ふんふむ」

P「他には素直だった子供がいきなり屁理屈こねくり始めたやら、でっかい橋の両端が捻じ切れた、なんて報告もあってな」

さくら「なぁるほど」

P「ただ番組が終わった直後に全部何事も無かったかのように沈下したんだとさ」

さくら「ちんかって?」

P「無事解決したってこと」

さくら「良かったぁ!」

P「ああ、全くだ」


P「で、村松、ちひろさんはどうした?」

さくら「ちょっと買い物にって出て行きましたぁ」

P「あ、ホントだ。ライン入ってる」



ちひろ『仕事もひと段落してるので今日はさくらちゃんと遊んであげてくださいな』



さくら「むむむーん…!」

P「…村松ー」

さくら「はぁい?」

P「暇か?」

さくら「スプーン曲げるのに忙しいでぇす」

P「楽しいのか?」

さくら「普通ですねぇ」

P「なるほどねぇ…」


ユッコ「呼ばれて飛び出てサイキック!おはようございます!」


ユッコ「……誰もいないんですかね?」



ムムム ムムーン



ユッコ「何やらテレビの方から不穏な気配が」


P「むむむむー…」

さくら「むむーん!むむむむー!!」

ユッコ「なんでしょうこの状況は」

さくら「あっ!ユッコちゃん!おはようございまぁす!」

P「おうおはようユッコ、早速で悪いが助けてくれ」

ユッコ「おはようございます…ってスプーン曲げやってるんですか?」

P「村松につられて始めたらこれが案外面白くてな」


さくら「あ!ちょっと曲がりましたぁ!」

P「えっマジ?見せて見せて」

ユッコ「ほほう…これはなかなか…」

さくら「えへへぇ、どやぁ!」

ユッコ「さくらちゃんにはサイキックの素質があるかもしれませんね!」

さくら「ほんとぉ!?やったぁ!!」


P「あ、ちょっとだけまずいかも」

ユッコ「何がですか?」

P「村松の持ってるスプーンさ」







P「普段ちひろさんが使ってるのだ」


さくら「」

ユッコ「」


さくら「やっちゃいましたぁ…」

P「どうにか出来ないか?サイキックかなんかで」

ユッコ「そうしたいのはやまやまなんですが、あいにく曲げるの専門なもので…」

さくら「今ならまだ…戻せまぁす……よね?」

P「まあ大丈夫だとは思うが…せっかくだ、プランBでいこう」

ユッコ「なんですかそれ?」

P「2人とも、出掛ける準備だ」

さくら「出掛けるんですかぁ?」


ユッコ「準備完了しました!」

さくら「しましたぁ!」

P「よし、先に車に乗り込め」

ガチャ バタン


P「ケータイ取り出しスススススっと」


ちひろ『おはようございますプロデューサーさん』

P『おはようちひろさん、まだ買い物中ですか?』

ちひろ『ええそうですけど…どうしました?』

P『ちょっと外に出てきます、村松とユッコ連れて』

ちひろ『あ、了解しました。お気をつけて』

P『ほいほーい』


P「待たせたな、行こうか」

ユッコ「誰と電話してたんですか?」

P「ん?愛人」

ユッコ「愛人!?」

さくら「おじいちゃんワルだったんですかぁ!?」

P「男はちょいワルな方がモテるんだぜ?」

さくら「はえーそうなんですかぁ…」

ユッコ「私はちょいサイキックな男の人がいいですね!」

P「それは結構厳しい条件だな…さて行くか」

ブロロンブロロン


―某大型ショッピングモール―



P「着いたな」

ユッコ「着きましたね」

さくら「着きましたぁ」

ユッコ「広いですね」

さくら「迷子になりそう」

P「村松ァ!」

さくら「はい!」

P「合体するぞ!」

さくら「はぁい!!」

ユッコ「が、合体ですか?いったい何を…」


ギュム


ユッコ「あ、手を繋ぐだけですか」


ユッコ「それで、なぜわざわざショッピングモールまで?」

P「暇だったから」

ユッコ「ご隠居じゃないんですから…」

P「というのは冗談で。スプーン弁償にかこつけて必要なもん買いに来たのさ」

ユッコ「ということはやはり?」


P「ああ、あのスプーンもぶっちゃけ大したもんじゃない。曲げたって怒りもしないと思うぞ」

ユッコ「道理で割りと落ち着いてると思いました…でもそうするとさくらちゃん可哀相じゃありません?」

P「村松は普段から落ち着きがないからな、ちょっとくらい転んどいた方がいいかなと思ったんだが」

ユッコ「お節介が過ぎると思いますが」

P「こちとら爺なんだ、少しは見逃してくれ」


さくら「おじいちゃんとユッコちゃん仲良いですねぇ」

P「お?そう見える?」

ユッコ「これもエスパーのなせる技ですね!」

さくら「エスパーってかっこいい!」

ユッコ「……どうしましょうプロデューサー。このユッコ、不覚にも涙腺がやられそうです」

P「村松は良い子だからな」

さくら「私もエスパーになりたぁい!」

ユッコ「どうしましょうプロデューサー。今度は嫌な汗が出てきました」

P「村松は純粋な子だからな」


P「到着~」

ユッコ「ここは…小物屋さんですか?」

さくら「髪留めとかがいっぱい!」

P「小物だけじゃなくちょいとおしゃんてぃな食器も売ってたりする」

さくら「おしゃんてい?」

ユッコ「オシャレってことです」

P「なるほどなー」

ユッコ「知らずに使ってたんですか?」


さくら「このカチューシャおしゃんてい!」

ユッコ「順応が早いですね」

P「村松はナウナウなヤングだからな」

ユッコ「その言い回し気に入ってます?」

P「結構」

さくら「この時計もおしゃんてい!」


ユッコ「こっちのスプーンも良いですね…でもこのスプーンも捨てがたい…!」

さくら「ユッコちゃーん!」

ユッコ「むむ?どうしましたさくらちゃん」

さくら「ちひろさんにお返しするスプーンこれでいいかなぁ?」

ユッコ「ふむ、良いんじゃないでしょうか?なかなかのサイキック度があります」

さくら「そっかぁ!じゃあおじいちゃんにも聞いてくる!」

ユッコ「…あのスプーンを選ぶとは…さくらちゃん、只者じゃありませんね!」


さくら「おじーちゃーん!」

P「お、見繕ってきたか?」

さくら「みつくろ?」

P「見せてみ?」

さくら「えへへぇ!じゃーん!」


http://imgur.com/Ny1VQcB.jpg



P「………村松これスプーンか?」

さくら「スプーンのコーナーにあったよ?」

P「お箸置くやつにしか見えないんだが」

さくら「便利?」

P「便利かもなぁ」

さくら「じゃあ買っていこう!」


さくら「おじいちゃんは何見てたの?」

P「ヘアリボン。村松も前につけたことあったろ?」

さくら「…あったっけ?」

P「あったんだよ」

さくら「こーいん矢の如しですねぇ」

P「難しい言葉知ってるな村松」

さくら「勉強してますからぁ!」

P「他にも何か出来る?とんち以外で」


さくら「……今は昔」

P「どうした村松頭良さそうだぞ」

さくら「竹取の翁といふものありけり」

P「ヤバイ合ってるどうしよう」

さくら「野山に混じりて……混じりて…」

P「混じりて?」








さくら「………ついには滅びぬ」

P「滅びちゃったかー」


P「よしじゃあそれはお買い上げな」

さくら「はぁい!」

P「後はユッコか、まだ食器コーナーにいそうだな」

さくら「商品曲げてないといいですねぇ…」

P「大丈夫だろ、多分」


ユッコ「こっちの先割れが…いやいやこっちのフォルムも…」

P「スプーン両手に何難しい顔してるんだ」

ユッコ「あっプロデューサー!見てくださいよこのスプーン達!どれも逸材揃いだと思いませんか?」

さくら「わぁ!スプーンがいっぱぁい!」

P「何を持って逸材なの?」

ユッコ「曲げやすさ、握りやすさ、折れにくさでしょうか」

P「清々しいほどにエスパー目線で感心するよ」


さくら「ユッコちゃんこれなんてどうですかぁ!」

ユッコ「おお!それは逸材の中でも一際輝く原石ですね!私も目をつけていました!」

P「およそスプーンに対する会話とは思えないな」

ユッコ「いや本当ですよ?さくらちゃん結構良い選択眼持ってます」

P「ふむ……」チラ

さくら「うん?」


P「村松ァ!」

さくら「はぁい!」

P「お前に新たな称号を授けよう!」

さくら「しょうごう」

ユッコ「金メダルとおんなじくらいすごいってことです」

さくら「金メダル!」


P「その称号は…」

さくら「どきどき」

ユッコ「(サイキックドラムロール)」ジャカジャカジャカジャカ






ユッコ「」ジャン!!


P「スプーンソムリエ」

さくら「すぷーんそむりえ」


さくら「…なんかかっこいい!」

P「だろう?俺もそう思う」

ユッコ「確かにソムリエにふさわしいかもしれませんね!」

さくら「エスパーとどっちが強いかなぁ」

P「ユッコさん、お答えを」

ユッコ「そうですね…時と場合によるかもしれませんがおそらく」

P「村松、今だ!!」

さくら「覚悟ぉ!!」ピョイーン


さくら「こちょこちょこちょこちょ」

ユッコ「あっ!!勘弁してください!脇の下は弱いんですってばぁ!!」






ユッコ「」チーン

P「勝者、村松」

さくら「勝ちましたぁ」

ユッコ「ユッコ死すともエスパー死せず・・・がくっ」


P「ユッコは何買うか決めたのか?」

ユッコ「せっかくなのでさくらちゃんが選んでくれたスプーンにします」

P「じゃあお会計してご飯でも食べに行くか、奢るぞ」

さくら「ごはん!」

ユッコ「わーいご馳走様でーす!」

P「村松が」

さくら「私がですかぁ!?」

P「冗談だよ」

ユッコ「ボケないと喋れないんですか…」

P「その言い方は止めて」








さくら「たっだいまぁ!」

ちひろ「おかえりなさい」

さくら「あっちひろさん!あのあのえっと」

P「落ち着け村松、シミュレーション通りにやるんだ」

ユッコ「頑張って、さくらちゃん」

さくら「はぁい!…ちひろさん!」

ちひろ「はい、なんですか?」

さくら「ちひろさんのスプーン曲げちゃってごめんなさい!!」

ちひろ「あらあら、さくらちゃんだったの?てっきりユッコちゃんの仕業かと」

ユッコ「喜んでいいのか悲しむべきなのか難しいですね」


さくら「えっと・・・それでお詫びに新しいスプーンを買ってきましたぁ!」

ちひろ「ふむふむ」

さくら「なので、良かったら受け取ってくださぁい!」

ちひろ「わざわざ気を遣ってくれてありがとう、有難く頂くわね」

さくら「ここで抱きつく」ギュッ

ちひろ「えっ?」

P「シミュレーション通りに頼みます」ボソボソ

ちひろ「もう…ありがとうさくらちゃん」ギュッ

さくら「はぁい!」

ユッコ「これにて一件落着ですね」


P「あ、ちひろさん俺からも一個プレゼント」

ちひろ「わあ嬉しい、何でしょう?」

P「ちょっと変わった色のヘアリボン。チョイス、バイ村松」

ちひろ「珍しい配色ですね、でも洒落てますね」

P「ちひろさんの栗毛には似合うかと」

ちひろ「ふふっ、ありがとうございます」


ユッコ「あ!じゃあ私もちひろさんにプレゼントを!」

ちひろ「わーうれしーです」

ユッコ「私の時だけ雑じゃありませんか!?」

ちひろ「冗談ですよ冗談、それで何をくれるんですか?」

ユッコ「良くぞ聞いてくれました!なんと世にも珍しい…」

ちひろ「珍しい?」

ユッコ「サイキック芸です!」

ちひろ「平常運転で安心しました」


さくら「シュミレーション大成功でぇす!」

P「シミュレーションな」

さくら「あっ!ユッコちゃんのエスパーの続き見ないと!」

P「本人いるんだから目の前で見せてもらえばいいのに…」



サイキックーメキィ!!

アアッカッテキタスプーンガオレタ!!


P「……しばらくサイキック禁止にでもするか」



おわり

ツッコミユッコは正解だった
ボケ尽くしの中ですっごく爽やかな存在だ

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