【ミリマス】765学園物語 √FW (465)
朝、ふと目を覚ます
…夢を見ていた
内容は既に朧気だがとても幸せな夢だった
P「…気分が良いな」
寝起きにもかかわらず気力が充実している
ベッドから抜け出し、制服に着替えて階段を降りる
今日は新年度の始業式、新しい一年が始まる
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1458224404
P「おはよう」
このみ「あらおはよう、今日は早いわね」
P「なんか目が覚めちゃってさ」
このみ「ならちょうど良いわ、朝食の準備手伝ってくれない?」
P「わかった」
この人はこのみ姉さん、俺の姉だ
見た目はちっこいが中身は誰もが認めるお姉さんだ
桃子「…おはよ」
P「おはよう桃子」
このみ「桃子ちゃんおはよう」
眠たそうに目を擦りながらリビングに入ってきたのは桃子
ちょっと素直じゃない俺の自慢の妹だ
桃子「顔洗ってくるね」
P「いってらっしゃい」
このみ「早く作っちゃいましょ」
P「了解」
このみ「鍵は閉めた?」
P「問題なし」
桃子「ふたりとも、はいハンカチ」
このみ「ありがとう桃子ちゃん」
P「じゃあ行こう」
桜並木を三人並んで歩く
P「今日から新年度か…担任はどんな先生になるかな」
このみ「うちの教師陣は一癖も二癖もあるから誰が担任でもきっと面白いことになるわよ」
桃子「お兄ちゃん、担任の先生が風花先生になってもセクハラしちゃ駄目だからね」
P「しねーよそんなこと、大体風花先生は保健教師なんだから担任はやらないだろ」
桃子「ふーん…」
雑談しながら歩いていると目の前に校舎が見えてきた
ここが俺達の通っている小中高大一貫の巨大学園、765学園だ
このみ姉さん、桃子と別れ自分の学年のクラス表を見に行く
掲示板に張り出されているクラス表で自分の名前を探していると後ろから声をかけられた
「あれ、Pじゃんおはよー」
声のした方を向き、声の主を探していると
「こっちこっち」
肩を叩かれたので振り向く
すると俺の頬に指がめり込んだ
「にゃはは引っ掛かったー」
P「…恵美か」
恵美「おはよー」
彼女は所恵美、中等部の頃から名前は知っていたが高等部に進級してからとある一件を得て何かと連むようになった
気の良い性格なので話しやすい良い友達だ
P「恵美はもうクラスの確認終わったのか?」
恵美「うんにゃ、あたしも今来たとこでさ、せっかくだし一緒に探そっか」
P「そうだな」
名前はすぐに見つかった
Aクラス、それが今年一年過ごすクラスだ
P「俺はAクラスだった、恵美は?」
恵美「あたしもAだったから同じクラスだね~」
P「そっか、じゃあ今年一年よろしくな」
恵美「うんうんよろしく!」
P「それじゃあ教室に行こうぜ」
恵美「おっけー」
教室の扉を開けると何かが飛び付いてきた
P「かふっ」
そのまま廊下で押し倒される
「P-!」
押し倒された状態のまま抱きしめられ、胸に顔を埋める形になる
その柔らかさに一瞬だけ顔が緩みそうになるが背中に回された手の締め付けでそんな余裕はなかった
P「あ、がががが」
やばい折れる
恵美「はいはい海美-?そのまま極めてるとP死んじゃうよー?」
海美「あ、ごめんごめん」
海美が離れ解放される
恵美「もー、加減しなよ-?」
海美「はーい」
恵美「ほら、手貸してあげるから立って立って」
P「あ、ああ悪い」
恵美の手を取り立ち上がる
P「サンキュー恵美」
立ち上がり恵美に礼を言う
恵美「良いって別に」
P「…海美?」
海美「なにー?」
P「いきなり飛び付くのは危ないからやめろっていつも言ってるだろ?」
海美「うー、ごめんね?今日なんかすっごく良い夢を見てPを見たらなんかすっごく抱き付きたくなっちゃって」
P「もう怒ってないから良いよ」
海美「うん、ありがと」
恵美「はいはい、いちゃついてないで教室入るよ」
P「そうだな」
一旦ここまで!
「全く、新年度早々騒がしい奴らだな」
P「お前もその騒がしい愉快な仲間達の一人だろ?冬馬くんよ」
冬馬「勝手に愉快な仲間達扱いしてんじゃねえよ!」
「そうだよPくん、冬馬くんに仲間達はいないよ!」
冬馬「翔太ぁ!」
P「そうだったな、悪い、尼崎くん」
冬馬「よしわかった、表に出やがれその喧嘩買ってやる」
P「まあいきなり喧嘩だなんて野蛮ねこの人」
翔太「聞きました奥さん喧嘩を言い値で買い取ってくれるそうですわよ」
P「あら本当、ならちょっとぼった値吹っ掛けてみようかしら」
冬馬「お前ら…!」
P「冗談だよ」
翔太「そうそう」
冬馬「ったく、人で遊ぶのやめろよな」
P「安心しろ、俺達はお前だから遊んでるんだ」
冬馬「人で遊ぶなって言ってんだよ!」
冬馬達と馴れ合っていると田中さんのところに行っていた恵美が戻ってきた
恵美「なんでも良いけどそろそろ席に着いたほうが良いんじゃない?琴葉の目がどんどん細くなってきてるし」
琴葉「わ、私は別に」
P「それもそうだな、席順とか決まってるのか?」
恵美「好きに座って良いみたいだよ」
P「そうか」
海美「私Pの隣!」
恵美「じゃああたしは後ろの席貰おっかなー」
冬馬「おうおう羨ましいことで、両手に華だな?」
P「両手に華も何も二人は友達だろ」
海恵美「…」
冬馬「お、そうだな!」
P「?」
隣と後ろからジトッとした視線を感じる…何故だ
その後、担任となる黒井先生が自己紹介をしたり始業式で話を聞いたり
…どこかで見たことがあるような気がする銀髪の転入生がクラスに加わったりと色々あったが程なく放課後となった
P「さてと、放課後はどうするかな」
翔太と海美は部活動へ、冬馬は用事があるからとさっさと帰ってしまった
放課後の予定を考えていると恵美に声をかけられた
恵美「あ、Pもしかして暇?」
P「ん?まあ暇だが」
恵美「だったらあたしと一緒に遊びに行かない?琴葉もエレナも今日は相手なくてさ~」
P「いいぞ」
一旦ここまで
張り出されていたクラス表を見ると俺の所属するクラスはAクラスのようだ
リストには海美や冬馬など見知った連中がいたので今年もそんなに変わらないか
…などと考えながら階段を上っているとそれは起きた
踊り場から上に上がる瞬間突然何かがぶつかってきた
「きゃっ!」
小さな悲鳴と共に体に走る衝撃
完全に油断していたので後ろに倒れ込むが咄嗟に頭だけは守る
倒れた自分の上に何かが乗っているのがわかる
P「いてて…」
「ううっ…」
目を向けると金の髪が輝く紅い瞳の女の子が俺の腹の上に座り込んでいた
ミスった
>>27はお気になさらず
恵美と一緒に町に出る
P「それで、何かアテでもあるのか?」
恵美「いんや?特にないけど」
P「なんだそりゃ」
恵美「良いじゃん良いじゃん、適当にぶらぶらしてるだけでも案外楽しいし」
P「ま、恵美がそれでいいなら構わないが」
恵美「あ、新作出てんじゃん!ちょっと見に行こうよ!」
恵美が俺の手を取り走り出す
自分の手と全く違うその柔らかさに、少しだけドキッとした
恵美と手を繋ぎながらアクセサリーを見る
恵美の方は手を繋いでいることは特に意識していないようだ
恵美「これとかどう?」
P「ちょっと派手だな」
恵美「そう?じゃあこっちは?」
P「俺はまだこっちの方が好きだな」
恵美「そっか~」
P「ところで恵美」
恵美「んー?」
P「いつまで手を繋いでるんだ?」
恵美「え?」
恵美がようやく手元に視線を落とす
恵美「あっ…」
恵美の頬に朱が射す
恵美「…ね、Pが嫌じゃないならさ…」
恵美「このまま…デートしない?」
上目遣いでそう言われ顔が熱くなる
恵美「な、なーんて」
P「…わかった」
恵美「え?」
P「簡単なものだけど、このままデートにしよう」
恵美「あ…う、うん、よろしく」
結局手を繋いだまま店を回る
恵美曰く手を繋いでる方がデートっぽいからだそうだ
隣にいる恵美はずっと少し顔を伏せているが手を離そうとはせず、しっかり握ったままだ
P「…小腹が空いたな」
恵美「あ、じゃあさ」
ずっと顔を伏せていた恵美が口を開いた
恵美「あたしドリンクバー無料券持ってるからファミレス行こうよ」
一旦ここまで
あんまり間延びしないようにガンバリマス
ファミレス
P「何か軽い物でもつまむか…ポテトとか?」
恵美「良いね、じゃあそうしよっか」
フライドポテトとドリンクバーを注文する
注文を終えてすぐ、恵美はドリンクバーを取りに行った
程なくドリンクを二つ持った恵美が戻ってくる
恵美「お待たせ~、はいPの分」
P「サンキュー」
コップを受け取り一口飲む
P「恵美とこうやって二人だけでっていうのは珍しいよな」
恵美「そうだっけ?」
P「ああ、大抵はエレナか海美、冬馬あたりが一緒にいたからな」
恵美「そっか~じゃあ本当に久しぶりなんだね、二人きりって」
P「ああ」
恵美「…」
P「…」
…
く、空気が重い
普段なら何ともないはずなのにさっきのデート発言といいこの雰囲気といいどうしても恵美を意識してしまう
そうこうしてるうちに注文していたフライドポテトが運ばれてきた
P「お、来たな、熱いうちに食べるか」
恵美「そ、そだね、いや~実はあたしもお腹空いててさ~」
二人でポテトに手を伸ばす
すると同じポテトを取ろうとしたのか互いの指が触れてしまった
「あっ…」
咄嗟に手を引く
恵美を見ると自分の指を見つめていた
P「あ、すまんもしかして引っ掻いちゃったか?」
恵美「え?ああ、それは平気、むしろあたしの方が爪長いから引っ掻いてない?」
P「俺も大丈夫だ」
恵美「そっか、なら良かった」
もどかしい空気の中ようやくポテトに手を付ける、すると恵美のスマホが鳴った
恵美「ちょっとごめんね、あ、加蓮からだ」
P「友達か?」
恵美「うん、C組の子なんだけどね、最近仲良くなってさ」
誰かは知らないがこの空気を壊してくれたから感謝しよう
…心の片隅に、名残惜しいという気持ちが少しだけあった
ポテトを食べ終え、ファミレスを出る
P「この後どうする?」
恵美「んー、カラオケ行っても良いけど…また今後みんなで行こっか、ウチらだけで楽しむのも悪いしね」
P「恵美は友達想いだな」
恵美「えー?こんなの普通だって」
P「そっか、そうかな」
恵美「そうだよ」
P「じゃあ今日はこのくらいにしとくか、送るぞ?」
恵美「ありがと」
恵美を家まで送り、帰路につく
今日は楽しかった、いつもは複数人で遊ぶが二人だけというのも中々に新鮮だった
…しかし今日は変な雰囲気だった
気楽に付き合える女友達だけど、ふとした時にドキッとさせられる
恵美がどう思っているかはわからないけど
…また、ああいう雰囲気になるのも悪くないと思った
そんな考えが顔に出たのか夕飯の時に桃子にお兄ちゃん気持ち悪いと言われてへこんだ
北条さんちの加蓮さん
冬馬「学食行かねーか?」
翔太「良いね」
海美「さんせー!」
貴音「問題ありません」
冬馬「お前はどうする?」
P「あ、悪い今日はパン買ってきてるんだよ」
冬馬「そうか、なら仕方ねえな」
P「悪いな、また誘ってくれ」
冬馬「おう」
冬馬達と別れ席に戻り、パンを取り出すと恵美に声をかけられた
恵美「あれ、P一人?」
P「ああ、他は学食行ったよ」
恵美「じゃあさ、ウチらと一緒に食べない?一人じゃつまんないでしょ」
P「良いのか?」
恵美「良いって良いって!ほらほらこっちこっち」
恵美の向かった先にはエレナと田中さんがいた
琴葉「こんにちは」
P「こんにちは田中さん、エレナ」
エレナ「Pと一緒にゴハン食べるの久しぶりな気がするヨー」
P「そうだったか?」
琴葉「私は初めてかな」
恵美「んじゃ早速食べよっか」
席に着くとそれぞれが弁当箱を取り出す
それぞれ美味しそうだ
「いただきます」
俺もパンをちぎり口に運ぶ
恵美「Pはパンだけ?他にオカズとかは?」
P「いや、パンしか買ってないが」
恵美「じゃああたしのオカズ分けたげるよ、はい」
P「え?」
目の前に箸でつまんだ唐揚げが差し出される
恵美「食べないの?」
P「あ、ああー、じゃあ貰うよ」
唐揚げを口に入れる、その時恵美が唐揚げが落ちないように少しだけ箸をこちらに向けて動かしたので箸に口が触れた
P「…」
恵美「どう?」
P「あ、ああ…美味いよ」
緊張で正直味があまり良くわからない
恵美「へへー、その唐揚げあたしが揚げたんだよねー♪うん、美味しく出来てる!」
エレナ「メグミ、ダイタンだネ-!」
恵美「ん?何が?」
エレナ「ワタシ達の前であーんと間接キスだヨー」
恵美「…?」
恵美「あっ」
まるで爆発したかのように恵美の顔が真っ赤になった
恵美「いやいやいやいやち、違うから!」
恵美「今のは別にそう言うのじゃなくて唐揚げ置くとこないしだからと言って手のひらに乗せるのもそれはそれでなんか失礼だし特に深く考えずにそれなら箸から直接でいっかな~ってだけで本当に深い意味はないから!」
P「お、落ち着け」
まくしたててくる恵美をなだめる
P「すまんな、箸から指で受け取れば良かった、嫌だったろ?」
恵美「あたしは別に嫌じゃなかったけど…Pは嫌じゃなかった?」
P「俺も別に…恵美だったし」
恵美「え?」
P「何でもない」
恵美「もう、エレナが変なこと言うから」
エレナ「ゴメンゴメン、ちょっとからかいすぎたヨー」
琴葉「私は二人は結構お似合いだと思うけど…」
恵美「もー琴葉までー!そんなこと言われたらあたしは別に良いけどPが困るじゃん」
P「いや、俺は別に…」
恵美「それにあたしなんかより海美の方がお似合いだって」
P「…」
恵美「それよりも早く食べないと昼休み終わっちゃうじゃん、早く食べよ!」
P「そうだな」
姦しい昼食を楽しんだ
一旦ここまで
GWは皆で釣り(前回と一緒)と周りドタキャンの二人きりキャンプ(テントは一つ)のどっちが良いだろうか
二人キャンプ了解
一旦ここまでと言ったけど導入だけちょこっと
昼休み
恵美「そういやさ」
パスタを食べながら恵美が聞いてくる
恵美「P達ゴールデンウィークはどうすんの?」
P「ゴールデンウィークか」
冬馬「俺は特に予定はねーな」
翔太「僕もかなー、ゴールデンウィークはダンス部もお休みだし」
海美「私も」
恵美「じゃあさ、みんなでキャンプ行かない?」
貴音「キャンプ、ですか」
冬馬「キャンプか、GWは結構混むみたいだが構わねーぞ」
恵美「じゃあ予定立てないとね」
冬馬「ラッシュに巻き込まれたくないなら二日目に行って一泊二日が良いかもな」
P「一泊二日ならそんなに荷物も要らないか」
海美「それじゃあそっちの方向で進める?」
P「だな、詳しい話し合いは帰ってからでも出来るし」
冬馬「今は飯を食わねえとな」
GW二日目
現地集合だったので気持ち早めに現地に辿りつくと恵美は既に到着していた
P「おはよう」
恵美「おはよー、Pだけ?」
P「ああ、そっちも恵美だけか?」
恵美「うん、琴葉とエレナはまだ連絡つかないから電車だったりして」
P「冬馬達には連絡つかなかったが海美は朝起きたらもういなかったからとっくに来てると思ったんだが」
恵美のスマホの連絡アプリが鳴る
恵美「あ、琴葉とエレナからだ…え?」
P「どうしたんだ?」
恵美「二人とも来れないって」
P「ええ?随分急だな…っと」
自分のスマホの連絡アプリが鳴ったので確認すると
P「…マジかよ」
恵美「どしたの?」
P「冬馬も翔太も、海美も来れないって」
恵美「え?てことは…」
P「俺達二人だけだ」
恵美「えー!?」
P「…どうする?俺達もキャンセルして帰るか?」
恵美「でもキャンセル料払わないといけないし…」
P「テントのレンタルは確かこの人数だと一つしか借りられないから一緒に寝ることになるぞ?」
恵美「…」
P「やっぱりキャンセルして…」
恵美「い、良いよ」
P「えっ」
恵美「あ、あたしはPと一緒のテントでも気にしないから」
一旦ここまで
レンタル所で必要な物を借り、早速テントを張る作業に入る
説明書を見て四苦八苦しながらも何とか組み立てる
そして約二時間後、ようやくテントが完成した
P「やっと出来たな」
恵美「結構重労働だったねー、あたし汗掻いちゃった」
恵美が胸元を開けパタパタと扇いでいる
開いた胸元からは谷間が覗いており、そこに流れていく一筋の汗が見えた
その光景に目を奪われ、思わずガン見してしまう
視線に気付いたのか恵美はにやっと笑うと
恵美「あれあれー?P、もしかして見たい?」
P「そ、そんなことはない、ぞ?」
そう言いながらも目は逸らさない、まっすぐに胸だけを見つめていた
恵美「や、めちゃくちゃガン見しながら言っても説得力ないから」
P「ぐっ…」
恵美「けどやっぱりPも男の子なんだねー、あたしの胸でもガン見するなんて」
P「いや、恵美可愛いし…特殊性癖でもない限り誰だってガン見すると思うぞ」
恵美「かかか可愛い!?も、もーまたお世辞言って」
P「いや、お世辞じゃないんだが」
恵美「可愛いって言うのは琴葉とか海美に言ってあげなよ、あたしなんかじゃなくてさ」
P「恵美…」
恵美「そんなことよりお昼ご飯釣りに行こうよ、あたしお腹空いちゃってさ」
P「わかった、じゃあ釣り具借りてくるよ」
恵美「いってらっしゃい」
二人分の釣り具を借り、テントに戻ってくると恵美が三人の男に話し掛けられていた
…いや、あれはナンパか?
「チャオ☆、エンジェルちゃん一人?」
恵美「いや、あたしは…」
「一人なら俺達と遊ばねーか?楽しませてやるぜ?」
「そうそう、僕達と楽しもうよ」
恵美「あたし友達と来てるから結構です」
恵美のやつ震えてるな、助けに行かないと
P「すいませんうちの連れに何か用ですか」
「なんだ?関係ない奴はすっこんでろよ」
恵美「P…」
P「もう一度言います、うちの連れに何か用ですか?」
「俺達はそっちの子に用があるんだよ、てめえはお呼びじゃねえ」
P「それは困りますね、俺は自分の女に手を出す害虫を見て黙っていられるほど人間が出来ていないので」
「んだと?てめえ俺達がこの辺りじゃ有名な『ジュピター』だと知って喧嘩売ってるんだろうな」
P「知りませんよ地元の人間じゃありませんし、そんなことより目障りなので早く消えてください」
「冬…羅刹、今日は日が悪い、出直そう」
「うるせえ、ここまで馬鹿にされて引き下がれるかよ!」
「あーあ、僕(冬馬くんが)どうなっても知らないよ」
「おらぁ!」
相手の男が右ストレートを放ってくる
が、めちゃくちゃ遅い、まるで手加減しているような…
まあいいか
P「っらぁ!」
容赦なく鳩尾を狙った
「」
「言わんこっちゃない」
「この結果は当然のものです」
P「引いてくれませんか?」
「元々俺達はそこの子に男の連れがいるってわかった時点で引くつもりだったんだけど」
「冬…羅刹くんが調子乗っちゃって…ごめんね?」
P「あ、いえ」
あっけなく引き下がったので少し拍子抜けだ
「まあ仲良くやりなよお二人さん、僕達は帰るから」
P「はあ、どうも」
「チャオ☆」
気絶した男を担いでジュピターは立ち去った
P「大丈夫だったか?」
恵美に声をかける
恵美「う、うん、Pがすぐに来てくれたから」
P「一人にして悪かった、怖くなかったか?」
恵美「平気、あの時と違ってPがいるってわかってたから」
P「なら良かった」
あまり影響はないようだがしばらくは一人にしない方が良いか
P「ま、気を取り直して昼飯を釣りに行くとしますか」
恵美「おー!」
釣りを始めて一時間
ある程度の釣果をあげ、そろそろ引き上げるか、と考えていた
恵美は30分ほど前から釣りに飽きたのか裸足になって川で遊んでいた
P「恵美-、そろそろ引き上げるか?」
恵美「ん、わかったー」
釣り竿を片付け、道具をまとめ終わったころ、恵美がすぐ近くまで来たのがわかった
P「それじゃあテントに、わぷっ」
突然恵美に水をかけられる…冷たい
恵美「にゃはは!冷たくて気持ちいいでしょ」
P「やったな!」
靴を脱いで川に入り水をかけ返す
恵美「わっと、と…やるじゃん!」
そのまま水遊びに発展し、時間を忘れて遊び続けた
…気が付いたら夕方だった
P「うわっ、空が赤いんだが」
恵美「ホントだ、時間を忘れて遊びすぎちゃったね…楽しかったけど」
恵美「うわちゃー…下着までびしょびしょだ」
その言葉で恵美の方を向くと、服が濡れて下着までくっきりと見えていた
P「!!」
恵美はちらりとこちらを見た後
恵美「は、恥ずかしいからさ、あんまこっち見ないで」
と顔を真っ赤にして言った
一旦ここまで
いやー天ヶ瀬冬馬くんの携帯を鬼ヶ島羅刹くんが持ってるなんて不思議だなー()
念の為持ってきていたバスタオルを恵美に渡し、テントに戻る
テントに戻ると、薪を集めて火を熾した
服を着替え、濡れた服と下着は火の側で乾かすことになった
乾かすのは恵美がやってくれたが、濡れた下着を渡すのはとても恥ずかしかった
恵美も同じだったのか、真っ赤になりながら下着と服を受け取り、火の側へ持っていった
P「ふう…暖かいな」
恵美「だねー、こうやって火を囲むのもキャンプの醍醐味かもね」
P「くしゅん」
濡れたまま戻ってきたため体の芯が冷えたのか、くしゃみが出る
恵美「濡れたままだったから風邪引いちゃった?」
P「いや、多分大丈夫だ」
と言いつつも再びくしゃみをする
すると恵美が体を寄せ、膝にかけていたブランケットを俺の肩にかけて一つのブランケットに二人で入る形になった
恵美「こうすれば、ちょっとは暖かくなるよね?」
P「あ、ああ…」
ぴったりと寄り添っているので恵美の体温が伝わってくる
…良い匂いもする
極力意識しないようにしながら体を暖め合った
P「そろそろ寝るか」
恵美「そだね、結構疲れちゃったから案外寝れそう」
P「だな」
テントに入り寝袋を敷く
勿論ある程度離しておく
恵美「なんで離してんの?これで良いじゃん」
しかし恵美によって寝袋は近付けられた
P「…」
恵美「大丈夫だって、あたしはPの事信じてるからさ」
P「あ、うん」
それはそれで…と思わなくもないが、信頼には応えないとな
P「おやすみ、恵美」
恵美「うん、おやすみ」
目を閉じるとすぐに眠気が襲ってきた
薄れゆく意識の中、恵美の声が聞こえた気がした
恵美「…もう寝ちゃった?」
P「…」
返事がない、学園でもそうだけどホント寝付きが良いんだから
体を起こして寝顔をのぞき込む
あたしは緊張して寝れないのに、暢気に寝ちゃって…
寝ているPの頬をつつく、するとむず痒そうに身を捩る
その反応が楽しくてつい何度もつついてしまう
P「うーん…」
恵美「おっとと…」
調子に乗りすぎて起こしちゃうとこだった
恵美「…ありがとね、色々と」
言葉が本人に届かないからこそ、素直になれる
卑怯だってわかってる、でもこうでもしないとあたしの気持ちは伝えられないから、伝えちゃいけないから
たとえ気持ちを伝えたってあたしじゃきっとPを幸せになんて出来ないし、それは他の娘の役目だと思うから
今日一日、独占させてもらった
こんな贅沢はこの先出来ないと思う
だからこの気持ちを胸に、明日からはまたいつものように友達として振る舞おう
あたしはこのまま友達として側にいられたら、それだけで満足だから
だからこれは最後のわがまま
恵美「…ごめんね」
あたしの最初で最後のキス、唇に触れるだけの子供でも出来るような幼稚なもの
これで最後だから
唇から離れた後、何故だか涙が止まらなかった
一旦ここまで
夜頃再開
P「…ん」
意識が覚醒する
思ったよりもぐっすりと眠れたようだ
…目を開くと恵美の顔がすぐ目の前にあった
P「な、なんで恵美が俺の部屋に!?」
思わず辺りを見渡す、すると今いる場所が自分の部屋ではなくテントだと言うことを思い出した
P「あ、そうか、確かキャンプに来たんだっけ…」
冷静になり状況を把握する
P「…改めて見ると相当近いな」
昨日のナンパは思ってた以上に怖かったのかも知れない
恵美を起こさないように体を起こして外に出る
露に濡れたキャンプ場の空気はひんやりとしていて、深呼吸すると心地良い
P「これもキャンプの醍醐味かな」
少しテンションが上がったので朝一番のコーヒーの準備を始めた
コーヒーが出来る頃、恵美がテントから出てきた
恵美「ふわぁ…おふぁよ…」
欠伸をしながら挨拶をする
P「おはよう、コーヒー飲むか?」
恵美「ん…ちょうだい」
コーヒーカップを受け取ると一口飲む
恵美「…熱い」
P「良く冷まして飲めよ?火傷するぞ」
恵美「うん」
ふー、ふーと恵美がコーヒーを冷ましているのを見ながら朝食の準備を始めた
恵美「手伝おうか?」
完全に目が覚めたのか恵美がしっかりとした口調で話しかけてくる
P「そうだな、じゃあベーコン焼いてくれ」
恵美「りょーかい」
二人並んで料理を作る
…なんか良いな、こういうのって
恵美「どうかした?」
無意識に恵美の方へ視線を送っていたのか、恵美がこちらを見た
P「いや、特に理由は…ん?」
恵美の顔に…正しくは眼に違和感を覚えた
P「恵美、目元が少し腫れてるみたいだけどどうかしたのか?あと涙の後みたいなのが…」
恵美「え?」
恵美が自分の目元へと指を伸ばし確かめる
恵美「あ、あははちょっと欠伸しすぎたかも!何でもないから気にしないで!」
はぐらかされた気がするが恵美自身が何ともないと言っているのならこれ以上聞くのはやめておこう
恵美「さ、ご飯も炊けたし食べようよ」
P「そうだな」
テントを片付け、キャンプ道具一式を返却する
荷物もまとめ終わり、後は帰るだけとなった
P「終わってみれば結構楽しかったな」
恵美「だね」
P「また来たいな」
恵美「今度は皆でね」
P「ああ」
俺達は電車で自分達の町へ帰っていった
球技大会なんてなかった
765学園では毎年一回、近所の砂浜を貸し切って学園全体での海水浴を実施している
この時持ってくる水着は特に指定されておらず、学園指定のセーラー水着でも自前の水着でも構わない
まあ毎年過激な水着を持ってくる生徒がいて問題になってるらしいけど…
そして待ちに待った海水浴の日、幸いにも梅雨は直前に明けており、元気な太陽が俺達を照らしていた
辺りを見渡すと皆思い思いに海を楽しんでいた
「むひょー!可憐ちゃんの水着姿!これは永久保存確定ですね!」
「あ、亜利沙さん、あんまり撮らないで…!」
「はいはい亜利沙、あんまり調子に乗らない」
「の、のり子さん!ありさのカメラを何卒…!何卒-!」
「志保ちゃーん!」
「可奈、暑いから抱き付かないでっていつも言ってるでしょ」
「えへへ、ごめんね?」
「まったく…」
「あ、志保ちゃんの水着、黒猫さんが描いてあって可愛いね!」
「べ、別に可愛くなくても良いの、私は」
「あ、私の水着は?」
「い、良いんじゃない?可愛くて」
「ありがとう志保ちゃん!」
「だから抱き付かないで」
「えへっ♪」
「もう…」
「な、なあまつり、ホントにこんな水着じゃないと駄目なのか?」
「もちろんなのです、昴ちゃんはとってもらぶりーなのでもっと自信を持つのです」
「そんなこと言ったって-!」
「うふふ、昴ちゃんとっても可愛いですよ~?」
「朋花まで!ううー恥ずかしい-!」
「真っ赤になって照れる昴ちゃん!これは永久保存確定ですね!」
「亜利沙」
「あっ」
「ねえねえ千早ちゃん」
「どうしたの?」
「この子、海辺の洞窟で拾ったんだけど」
「かっかー」
「春香によく似ているわね」
「でしょ!?それにこの子凄いんだ~海水に浸けると大きくなるの!」
「それは凄いわね」
「うん、だから見ててね?それ!」ブォン
「かっかー」バシャン
P「向こうの方が騒がしいな」
なにやら悲鳴が聞こえる気がするが気のせいだろう
海美「ね、ね!」
P「うん?」
海美「ビーチバレーしようよ!」
翔太「良いね」
冬馬「ビーチバレーか…へっ、叩きのめしてやるぜ!」
ビーチバレーか…うーん、あまりそういう気分ではないな
P「悪ぃ、ビーチバレーの気分じゃないかな」
海美「そっかー、ちょっと残念」
貴音「ではわたくしが参加しましょう」
P「また誘ってくれ」
砂浜をうろうろしていると恵美達を見かけたので声をかける
P「よう」
恵美「あれ、Pじゃん、一人?」
P「まあな」
琴葉「エレナ、ちょっと…」
エレナ「わかってるヨー」
P「何してたんだ?」
恵美「ウチらはちょっと泳ごっかな~って考えてたんだけどPもどう?」
P「じゃあご一緒させてもらおうかな」
恵美「琴葉とエレナもそれで…あれ?」
いつの間にか田中さんとエレナがいなくなっていた
意図せず二人きりになる
P「あ、あー、どうする?」
恵美「あたしは良いよ、このままで」
P「そうか?」
恵美「うん」
P「…」
キャンプが終わった辺りから恵美の態度に僅かな違和感を覚える
上手く言い表せないが…仮面を付けているような…何か壁のような物を感じる
P「あー、水着、よく似合ってるぞ」
恵美「そっか、ありがと」
P「…」
力を抜いて海に浮かぶ、このままゆらゆらと流されてしまいそうだ
P「はあ…」
思わず息が出る
恵美「こうやって…」
P「ん?」
恵美「こうやってただ何もせずに浮かんでると頭が空っぽになるね」
P「…ああ」
恵美「何も考えないで生きられたらきっと楽だろうなぁ…」
P「恵美、何かあったのか?この前からなんか変だぞ」
恵美「そんなことないよ、あたしはいつもと変わんないよ」
P「…」
浮かぶのをやめ、恵美の側に寄ろうとしたとき、少し高い波が俺達を飲み込んだ
P「ぶわっ!」
恵美「あぷっ!」
P「うえっ、海水飲んじまった…」
恵美「ぷはっ!げほっげほっ」
P「大丈夫か?」
恵美「う、うん、水は飲んじゃったけど…」
特に異常はないみたいだ
そう思っていたのだが
恵美「!」
恵美が突然肩まで沈んだ
P「大丈夫か!?」
恵美「だ、大丈夫!とりあえずこっち見ないで!」
P「けどいきなり沈んで…」
恵美「平気だから!あっち向いてて!」
P「あっちってどっちだよ…」
恵美「とにかくあたしがいないほう!」
P「なんだってんだ…」
仕方ないので恵美に背を向ける
その時、少し先の波間に漂う何かが見えた
P「ん…?」
目をこらしてみるとあれは…水着?
しかもつい最近見たような…
P「あれ、まさか…」
恵美「ね、ねえ」
後ろから恵美の声が聞こえる
恵美「水着、拾ってきてくんない…?」
一旦ここまで
P「あ、ああ、わかった」
少し離れたところに浮いている水着を取りに行く
水着をあまり周りに見せないようにするため水の中に入れながら恵美の元へ戻る
P「み、水着、取ってきたぞ」
恵美「あ、ありがと」
水着を手渡すと恵美はこちらに背を向けて水着をつける
…変な緊張感があったな
恵美「ね、ねえ」
P「な、なんだ?」
恵美「後ろの紐…結んで欲しいんだけど…」
P「わ、わかった」
結びやすいように恵美が髪を前に持って行く
普段は髪に隠れて見えない白いうなじが見えた
P「…ゴクッ」
思わずつばを飲む
きれいなうなじに見とれていると恵美が急かしてくる
恵美「は、はやくしてよ、恥ずかしいし」
P「あ、ああ、すまん」
少しきつめに紐を結ぶ
P「きつめに結んだけど…どうだ、苦しくないか?」
恵美「う、うん、大丈夫…ありがと」
P「と、とりあえず一旦上がろう」
恵美「う、うん」
エレナ「サンバスクリュースパーイク!」
冬馬「おわぁっ!?」
海美「まずは足を狙って動けなくした方が確実だよ!」
エレナ「そうだネ!」
冬馬「て、てめぇら…!」
P「…」
恵美「…」
海から上がり、パラソルの下で遊んでいる生徒達を見る
みんな本当に楽しそうだ
P「なあ恵美」
恵美「ん?」
P「もしかして、俺何か怒らせるようなことしたか?」
恵美「なんで?」
P「この間のキャンプが終わった辺りからお前の態度に違和感というか…なんだか壁を感じてな」
P「だからもし怒らせてるなら謝りたいんだ」
恵美「さっきも言ったけどあたしはいつも通りだって」
P「だったら…」
P「だったらなんでそんな苦しそうな顔してるんだよ」
恵美「…そんな顔してない」
P「してるさ、気付いてないのか?」
恵美「…だから、あたしはいつも通りだって言ってるじゃん」
P「…」
恵美「あたしは別に怒ってないし苦しくもない、だから苦しそうに見えるのは見間違い」
そう言って恵美は笑った
だけどその表情はいつもの楽しそうな表情ではなく…
笑顔を無理矢理貼り付けたような楽しそうな表情からはほど遠いものだった
恐らくこれ以上聞いても意地になって答えを聞かせてはくれないだろう
残念だが一旦退くしかないようだ
こうして今年の海水浴は終わった
今回も夏休みの出来事を募集
提供感謝
夏休みの話し考えるので一旦ここまで
先に言っておくと恵美のプロデュース(意味深)は夏休みには始まりません
すっきりしないまま夏休みを迎えた
夏休みに入ってからは特に恵美と会う事もなく、そのことがますます俺の心をもやもやさせていた
以前はこんなことはなかった
でも最近は恵美のことばかりを考えてしまう
あの屈託のない素敵な笑顔をもう一度見たいと、そう思う
…その思いとは裏腹に、7月中に会うことはなかった
8月、あることを思いついた
早速実行に移すため、恵美に電話をかける
…
P「頼む、出てくれ…」
数コールの後、恵美が電話に出た
恵美『もしもし』
P「もしもし、恵美か?」
久しぶりに恵美の声を聞き、思わず声が弾む
恵美『どしたの?電話なんて』
P「ああ、実は恵美に頼みがあってな」
恵美『アタシに?』
P「ああ」
恵美『とりあえず聞かせてよ』
P「もうすぐ海美の誕生日があるだろ?」
恵美『うん』
P「せっかくだから何かプレゼントしてやりたくてさ」
恵美『…それで?』
P「だから恵美に手伝って欲しいんだよ、プレゼントを選ぶのを」
恵美『…っ、それは、アタシじゃなくても良いんじゃない?』
P「恵美だけが頼りなんだ、頼むよ」
恵美『…わかった、いつ行くの?』
P「明日は空いてるか?」
恵美『うん、大丈夫』
P「それじゃあ明日、迎えに行くから」
恵美『うん、じゃあね』
…
久しぶりに恵美に会える、ただその事に浮かれた
明日は気合いを入れないとな
翌日、約束の時間より早めに恵美の家に着くと恵美は既に玄関で待っていた
恵美「おはよ」
P「ああ、おはよう」
一緒に買い物に行く…何回もやってきたことなのに久しぶりに会った今、胸が高鳴っていた
P「そ、それじゃあ行こうか」
恵美「うん」
並んで歩き出す
今日は良い日になりそうだ
町に着くと早速プレゼント選びを始める
P「しかし、どういうプレゼントが良いんだろう」
恵美「うーん、気持ちの問題って言っちゃえばお終いなんだけど…やっぱり好きな物とか役に立つ物をあげたいよね」
P「だな」
恵美「海美の好きな物ってわかる?」
P「筋肉」
恵美「…」
P「…」
恵美「手堅くアクセサリーかな~」
P「アクセサリーか…海美は陸上部だし磁器アクセサリーとかがいいか」
恵美「だね、磁器アクセサリーなら運動中でも着けてられるし」
P「ならそれにするか…」
恵美「こういう店よりはスポーツ店行った方が良いんじゃない?」
P「それもそうか、じゃあ行こうか」
P「磁器アクセサリーと言ってもいっぱいあるんだな」
恵美「だね」
海美へのプレゼントを選びながらちらりと恵美を見る
恵美は真剣な表情でプレゼントを選んでいる
今日は恵美と一緒で良かった、きっと一人ではプレゼントを決められなかったに違いない
恵美「…どしたの?アタシをじっと見て」
P「いや…今日は恵美が来てくれて良かったなって」
恵美「…きっとアタシじゃなくて響やエレナでも変わんなかったと思うよ」
P「そんなことはない、俺が恵美に来て欲しかったんだ、だから今日はありがとう」
恵美「…これ以上勘違いさせないで」
P「えっ?」
恵美「なんでもない、決まったならレジ行こう」
P「あ、ああ」
P「今日は本当にありがとう、これなら海美も喜んでくれると思う」
恵美「…そっか、ならアタシも来た甲斐があるね!」
まただ
また…苦しそうな顔をしている
恵美「それじゃあ、アタシ帰るからさ、誕生日には…」
P「め、恵美」
帰ろうとした恵美を引き止める
恵美「…どしたの?」
P「あー、俺の都合で引っ張り出しちゃったわけだし…昼くらいなら奢るからさ、何か食べに行かないか?」
恵美「…」
P「…」
恵美「…わかった、じゃあファミレスいこ」
P「!ああ、行こう!」
その後夕方までファミレスでドリンクバーを楽しんだ
夏休みイベントを提供して貰っといて何だけど内容的に今回は夏休みは花火だけやってカカッとカット
…また恵美のことを考えていた
いつからだろう、気が付けば恵美のことばかり考えている気がする
今まではこんな気持ちにはならなかった
気になる異性のことをずっと考えてしまう…これが人を好きになるって事なのだろうか?
経験はないが…これが好きだという気持ちならば恋愛は大変だと思う
もう一度あの笑顔を見せて欲しい
もうあんな苦しそうな顔をさせたくない
俺に出来ることがあるなら、あの笑顔を守れるなら、俺はできる限りのことをしてあげたい
正直自惚れだと思う
俺が何かしたところで恵美が笑顔になれるとは限らないんだから
それでも
俺は俺に出来ることをやりたいと思った
夏祭り
学校近くにある神社を中心に町中で様々な屋台が出店し、打ち上げ花火で閉める1年に一度のイベントだ
今日、俺は恵美に想いを伝えようと思っている
冬馬「お前、なんか緊張してねえか?」
P「そそそそんなことはないぞ!?」
冬馬「ああもういいよわかった」
落ち着け…落ち着け俺…
冬馬「ま、何を悩んでるのかは知らねーが」
翔太「行き詰まったら僕たちにも話してよ、解決できるかはわからないけど話すだけで楽になることもあるからさ」
冬馬「そういうことだ」
P「冬馬…翔太…ありがとな」
冬馬「へっ、気にすんなよ」
冬馬「友達、だろ」
エレナ「お待たせだヨ-!」
女性陣が次々とやってくる
冬馬「おっ、ようやく来やがったか」
翔太「みんなよく似合ってるね~」
確かに、よく似合ってる
P「あ、恵美」
恵美「やっほ」
恵美の浴衣はよく似合っていた
普段の着崩した服装も似合っているが浴衣もそれに負けていなかった
P「よく似合ってる…」
恵美「そういうことは海美に言ってあげなって、あの子結構張り切ってたからさ」
P「恵美…なんでそうやって…」
自分のことを蔑ろにするんだ…
このみ「それじゃあみんな揃ってるみたいだし屋台を見に行きましょうか」
このみ姉さんが号令をかけ、みんなで屋台を見に行く
夏祭りは相変わらず色んな屋台が出店していた
焼きそばやお好み焼き、チョコバナナや綿飴りんご飴などの食べ物から射的、金魚すくい、型抜きなど定番のものは一通り揃っている
中にはご当地茜ちゃん人形射的などの色物や、北京ダック、ドーナツ、眼鏡、緑の不細工な着ぐるみなどの珍しいものもあった
だけど今はそれらの屋台よりも少し前を歩く恵美の方が気になっていた
屋台を見回っているとかたまっている団体とすれ違った
その際少し大きめの男と恵美がぶつかりそうになり、恵美がバランスを崩す
P「恵美!」
思わず手を取り引き寄せる
恵美「あ、ありがと…」
しかし団体が斜めに進んでいたため、このみ姉さん達と分断されてしまった
P「参ったな…」
恵美「今連絡取ってみたんだけど…花火が始まったらいつもの場所に集合だって」
P「…」
これは…ある意味チャンスかも知れない
P「恵美、なら花火の時間まで、一緒に見て回らないか」
恵美「えっ?」
P「どうせこの状態での合流は難しいだろう、だったら確実に合流するために花火まで待とう」
恵美「…わかった」
P「それじゃあ行こう、ほら」
手を差し出す
P「はぐれないために、な?」
恵美「…うん」
恵美が手を握った
その後は射的をしたり、謎のカメラマンに良い表情だからと写真を撮られたり
屋台を片っ端から食い潰す銀色の魔物の話を聞いたり路上ライブをしている二人のロックシンガーを見たりして夏祭りを楽しんだ
恵美「さっきのライブ凄かったね」
P「ああ、二人ともすごい迫力だった」
時計を見る、もうそろそろ花火の時間だ…
恵美「そろそろ行こっか」
P「…」
深呼吸をする
…覚悟を決めろ
恵美「P?」
P「恵美」
P「話があるんだ」
道を外れ、人気のないところへ行く
P「…」
恵美「それで、話って?」
P「ああ…」
もう一度深呼吸をする
しっかり目を開いて、恵美の目を見ながら伝える
P「恵美」
恵美「…」
P「好きだ、俺と付き合って欲しい」
恵美「…」
P「…」
一瞬の沈黙
恵美は顔を伏せているので表情はわからない
そのまま永遠のような、一瞬のような時間が過ぎ、花火が上がった
そして…
恵美「…ごめん」
一旦ここまで
眠れぬ夜に少しの投下を
恵美『…ごめん』
あの日の事を思い出す
あの夏祭りの日、俺は恵美に告白した
しかし、恵美の返事は拒否だった
P「…えっ…?」
恵美「アタシは…Pとは付き合えない」
P「なん…で…」
恵美「アタシじゃ駄目だから」
恵美「アタシよりもPの事を想ってる子がいるから」
恵美「だからアタシは、その子を差し置いてまで付き合うなんて出来ない」
恵美「邪魔なんて出来ない…」
恵美が背を向ける
恵美「き、聞かなかったことにするからさ、ま、また明日からは、友達、で…」
P「めぐ」
恵美「ごめん、今日は帰るね、みんなにも謝っておいて!」
こちらを見ず駆けだした
P「待ってくれ!恵美!」
しかし恵美は止まらない
やがて闇に紛れ、見えなくなった
P「…」
伸ばした手を力なく下げる
…俺は、フラれたのか
花火が次々とあがる中、ただそこに立ち尽くしていた
この日を最後に、夏休みの間恵美と会うことはなく
失意のまま、夏休みは終わりを迎えた
朝、目を覚ます
重い頭をふり、ため息をついた
P「…またあの日の夢か」
我ながら情けないとは思うが、未だ失恋のショックから立ち直れないでいた
P「そろそろ割り切らないと…」
頭ではわかっていても心はそう単純ではない
何時までも抜けない棘のように心を責め立てていた
P「学園、行きたくねえなぁ…」
P「…」
教室に入ると冬馬と翔太がやってきた
冬馬「その、よ」
翔太「なんというか…その…」
夏休み中の俺の態度で察したのか、二人が気まずそうに声をかけてくる
だが心配してくれている気持ちは十分に伝わってきた
P「…悪いな、心配かけて」
冬馬「気にすんなよ」
翔太「そうそう」
この二人の気持ちがありがたかった
二人と話していると恵美が教室に入ってきた
P「あっ…」
恵美を見ると胸が痛んだ
恵美は俺達のところへ来ると…
恵美「いやー夏祭りはごめんね!勝手に帰っちゃって」
何もなかったように話し始めた
恵美「あれから忙しくてさー、会う機会がなかったから」
楽しそうに笑う恵美
それに反応したのは冬馬だった
冬馬「所、てめぇ…何を楽しそうに…!」
P「冬馬」
恵美「だからごめんってば」
冬馬「そんな風に笑い話にして、こいつの気持ちも考えねえでよくもそんな…!」
P「冬馬!」
冬馬「っ」
首を振る
冬馬「ちっ、わかったよ…」
P「悪い」
冬馬「謝んな」
恵美「ほんとごめん、ちゃんと連絡しなかったから」
P「もう良いって、気にするなよ」
恵美「うん、ありがと」
翔太「…」
P「もうすぐチャイム鳴るぞ」
冬馬「しょうがねえ」
翔太「…そうだね」
今度こそ一旦ここまで
もうちょっとだけギスるんじゃ
>>164訂正
しかし恵美の返事は拒否だった ×
しかし恵美の返事は拒絶だった ○
…恵美との接触が目に見えて減った
今までなら話しに入ってきたり、一緒に食堂に行ったりしていたがそう言ったこともなく…
今までは近くに感じられた恵美との距離が、今は、見えない
P「…ふう」
何度も恵美に接触しようとするが、察知されているのかことごとく回避されていた
田中さんやエレナにも頼んでみたが俺の話をしようとするとすぐに話題を変えてしまうそうだ
P「…」
冬馬「今日も駄目だったみてえだな…」
P「ああ…」
恵美はあの日、また友達でと言っていた
しかしこうも避けられていては友達ですらない
例え付き合えなくても、また友達として喋ったり遊んだり…今はそれすら出来ない
P「…」
どうしたものかと考えていると田中さんが声をかけてきた
琴葉「Pくん、少しいい?」
P「あ、うん、大丈夫だけど」
琴葉「ごめんね、嫌なことを思い出させてしまうんだけど…夏祭りの日、恵美はなんて言って断ったの?」
P「…」
冬馬「田中、どういうつもりだ」
琴葉「…ごめんなさい、やっぱり忘れて」
P「…いや、聞いてくれるなら聞いて欲しい」
俺はあの日、恵美に言われたことを田中さんに伝えた
琴葉「…なるほど」
P「?」
琴葉「ありがとうPくん、それと、思い出させてしまってごめんなさい」
P「ああ、いや、気にしないで」
琴葉「ただ、Pくんの話を聞いて少しわかったことがあるの」
P「えっ?」
琴葉「それを試してみるわ…成功する保証は出来ないけれど…私に任せて」
P「…わかった、どちらにせよ今俺に出来ることは何もないから田中さん頼りになってしまうけど…お願いするよ」
琴葉「ええ、私も今の状態は嫌だから、やれることをやりたいの」
P「ありがとう」
田中さんに任せてみよう
後日の放課後
人気のなくなった校舎を当てもなく歩いていると言い合う声が聞こえてきた
P「…?なんだ…?」
うちの教室から聞こえてきているようだ
突然、教室の扉が開いた
恵美が飛び出し、俺の隣を走り去っていった
琴葉「恵美!逃げるの!?」
田中さんも同じように飛び出してくる
しかし既に廊下に恵美の姿はなく、田中さんはため息をついた
P「田中さん」
琴葉「あ…Pくん…」
田中さんは申し訳なさそうな顔で頭を下げる
琴葉「ごめんなさい、私の言葉じゃ恵美には届かなかった…」
P「田中さんのせいじゃない、だから顔を上げてほしい」
P「むしろ謝られると困るよ」
琴葉「…ありがとう」
P「けど恵美が飛び出していくなんて…」
琴葉「…話してみてわかったけど、今の恵美は自分の殻に閉じ籠もってる」
琴葉「いや…自分自身に閉じ込められてるって言った方が良いかも」
P「閉じ込められてる?」
琴葉「自分の心を殺して、言い聞かせて、それで何もなかったように振る舞おうとしている」
琴葉「でもそれじゃあ駄目、恵美はただ逃げてるだけだから」
琴葉「だからお願い、恵美を…助けてあげて」
田中さんがまっすぐに俺を見つめる
P「…もちろんだ、俺は恵美の事が好きだからな」
今の気持ちを正直に伝えた
琴葉「ありがとう」
恵美…
必ず、もう一度笑い合うために
冬馬「すっきりした顔してるじゃねーか」
P「冬馬」
翔太「何か進展でもあった?」
P「いや…でもな」
P「俺はもう諦めない」
冬馬「…へっ」
翔太「それでこそだね」
P「悪いな、もうしばらく迷惑かけちまいそうだ」
冬馬「前も言っただろ?気にすんなよ」
翔太「僕たちも出来る限りの協力をするよ」
P「ああ、ありがとう二人とも」
そしてチャンスがやってきた
今日は日直の日だが今回の相方は恵美だった
早めに学園に向かい黒井先生から日誌を預かる
職員室を出る直前、黒井先生に声をかけられた
黒井「おいへっぽこ」
P「へっぽこはやめてください」
黒井「貴様などへっぽこで十分だ」
黒井「…最近貴様と恵美ちゃんのおかげで我がクラスの空気が悪い、さっさと何とかするのだ」
P「はい」
黒井「せっかくこの私がお膳立てしてやったのだ、しっかり話し合ってくるが良い」
P「!」
そういえば最近日直が入れ替わったりしていた…黒井先生の差し金だったのか
P「…ありがとうございます!黒井先生!」
黒井「ウィ、スマートに決めてこい」
P「はい!」
黒井先生に礼をすると職員室を後にした
教室に戻ると既に恵美が来ていた
P「おはよう恵美」
恵美「あっ…おはよ」
そのまま日直のやることを確認する…振りをする
P「…なあ恵美」
恵美「…っ、なに、かな」
P「話があるんだ、放課後、空いてないか?」
恵美「…ごめん、放課後はちょっと」
P「なら今話をしよう」
恵美「…」
P「恵美」
P「俺と友達になってくれ」
恵美「えっ?」
P「だから、もう一度友達になろう」
恵美「…あっ…」
P「俺もあの日のことを意識しすぎて、それが態度に出ていたのかも知れない」
P「だから全てを忘れて、また友達になろう」
恵美「…………」
P「恵美?」
恵美「うん…そうだね…また友達から始めよっか」
P「ああ、またこれからよろしくな」
恵美「うん…」
こうして俺達はまた友達になった
一旦ここまで
てす
うはwwwwwwwwwおkwwwwwwww
あwwwりwwwがwwwとwwwさwwwんwww
これ貰うわwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
うんこ
酉バレしたようなので酉変更しました
恵美と再び友達になってからある程度の時間が過ぎた
最初はぎこちなかったが今では少しずつ、以前のような付き合いに戻ってきている
ただ恵美は以前と変わらず、時折苦しそうな表情を浮かべていた
そして文化祭が近付き始める
出し物も決まり学園全体が準備に入りクラス内でも居残りが増え始めたある日、俺は海美に呼び出された
それはある雨の日だった
出し物の準備を早めに切りあげ皆が帰った後、海美に教室に残っていて欲しいと言われた
少し教室で待っていると扉が開き、海美が教室へ入ってくる
P「海美」
海美「お待たせ」
P「どうしたんだ?教室で待っててくれなんて」
海美「うん、ちょっとね」
海美は窓辺によると窓に手を当て、外を見る
その横顔は愁いを帯びていた
しばらくそうやって外を眺めていたが、何かを決心したかのように目を瞑るとやがてこちらを向いた
海美「…」
P「…」
お互いにまっすぐ見つめ合う
そして海美が口を開いた
海美「…好き」
好き…その言葉の意味を理解する前に海美が抱き付いてくる
いつものような勢いではなく、ゆっくり背中に手を回した、包み込むような優しい抱き方だった
海美「…好き、あの時からずっと」
あの時…恐らく子供のころ、海美が迷子になったときのことだろう
あの日から海美はよく抱き付いてきたりするようになったり好き好き言うようになった
てっきり子供特有の好きなのだと思っていたけれど
…ここまで真剣だったんだな
海美「この気持ちは誰にも負けたくない」
海美「ずっと好き、大好き」
俺を抱きしめながら海美が告白を続ける
海美「大好き、だから」
海美「私の彼氏になってください」
P「…」
その時、再び教室の扉が開いた
…入ってきたのは恵美だった
恵美「…えっ」
恵美が鞄を落とし、俺達を見て固まった
P「恵美…」
恵美「えっ…えっ…と…その…」
恵美は少し顔を伏せた後…
恵美「お、おめでとう海美!想いを伝えられたんだね!ご、ごめんね邪魔しちゃって!あ、アタシは、き、消えるから、後は…」
恵美の頬を涙が伝った
恵美「あ、あれ…な、なんで…海美が想いを伝えられて…嬉しい…はずなのに」
恵美「…っ!」
恵美が走り出した
P「恵美!」
後を追い掛けようとするが優しい抱き方をしていた海美が、強く抱きしめてきた
海美「行かないで!」
P「う、海美」
海美「行かないで…私だけを見て」
P「海美…」
顔を上げた海美の目には涙が滲んでいた
二人も女の子を泣かせてしまった
俺は…最低だ…
それでも
俺は選ばなくてはならない
二人を泣かせた、さらにどちらかはまた泣かせてしまうのだろう
深く傷つけてしまうだろう
海美の肩に手を置く
P「…ごめん、海美とは付き合えない」
海美「…うん」
P「俺は…恵美が好きなんだ、だから、海美の気持ちには応えられない」
海美「…うん、なんとなく、わかってた」
P「…ごめん」
海美「謝らないでよ、Pの気持ちなんだから」
海美「…ね、私はフラれちゃったけど、幼なじみとして、これからも一緒にいていい?」
P「そんなの、聞くまでもないだろ」
P「俺の幼なじみはお前だけだよ」
海美「…うん、ありがと」
海美は体を離すと微笑んだ
海美「めぐみーを追い掛けてあげて?きっとPなら、見つけられるから」
海美「私のことだって見つけてくれたんだもん、絶対大丈夫!」
P「…ああ!」
海美に背を向けて歩き出す
P「海美」
海美「うん」
P「ありがとう」
海美「どういたしまして」
そして俺は走り出した
雨の中恵美を探して走り回る
学園の中にはいなかった、そして恐らくだが家にも帰っていないはずだ
少し立ち止まり考えを巡らせる
辺りはかなり暗くなってきているので急がなくてはならない
考えろ…恵美の行きそうな場所は…
…あった
一つだけ、ほぼ確実に一人になれるところが
俺はそこを目指し走り出した
恵美「…」
雨の降る中、佇んでいる恵美を見つけた
P「…やっぱりここだったか」
俺の声にビクッとし、恵美が振り向く
恵美「P…なんで…」
P「迎えに来た」
恵美「海美はどうしたの、告白されたんでしょ」
P「ああ」
恵美「それなら海美の側にいてあげなよ、カップルがいきなりパートナーを放りだして他の女の所に行くなんてあり得ないって」
P「海美とは付き合っていない」
恵美「…えっ?」
P「告白は断った、だから俺と海美は付き合っていない」
恵美「…なんで」
恵美「海美の気持ちは聞いたんでしょ…?ずっと想い続けてたのに、なんで…」
P「確かに海美の事は好きだ」
P「でもそれは幼なじみとして、だ、異性としてじゃない」
P「俺が好きなのは恵美なんだ」
恵美「なんで…アタシ断ったじゃん…夏祭りの日に」
P「ああ、断られたな」
恵美「だったらなんで…」
P「俺はまだ、恵美の気持ちを聞いていない」
恵美「…アタシの気持ち?」
P「ああ」
恵美「アタシの気持ちなら伝えた、夏祭りの日に」
P「いいや、聞いてないな」
恵美「っ!言ったでしょ!アタシよりあんたのことを想ってる子がいるのに付き合えないって!」
P「それのどこがお前の気持ちなんだ」
恵美「…えっ?」
P「自分より他の人の方が相手を想っているから付き合えない…これのどこにお前の気持ちがある」
P「お前は遠慮して逃げてるだけだろ!」
P「想いが負けてたら告白しちゃいけないのか!想いを伝えたらいけないのか!?」
P「違うだろうが!これは他人の介在する余地のない紛れもない当人同士の問題だ!」
P「それなのに他人のことを気にして…自分の気持ちを押し殺してどうするんだ!」
恵美「Pに何がわかるの!?」
恵美「海美は何年もあんたのことを想い続けてきたんだよ!?それを出逢ってまだ2年も経ってないアタシが壊して良いわけない!」
P「だから言ってるだろ!この話に海美は関係ない!俺が聞きたいのはお前の気持ちだ!」
P「それともお前は自分の気持ちを持っていない機械のような人間なのか!?」
恵美「違う!アタシは機械なんかじゃない!アタシの気持ちも知らないくせに勝手なこと言わないでよ!」
P「ああ知らないさ!だから聞かせてくれって言ってるんだよ!」
恵美「!」
P「機械じゃないって言うなら聞かせてくれ!お前の本当の気持ちを!」
恵美「そんなの…」
恵美「アタシもPのことが好きにきまってるでしょ…!」
恵美「好きだから、こうやって苦しんでるのに、どうしてアタシをいじめるの…」
恵美「Pも海美も…どっちも大切な人だから…二人には幸せになって欲しいから…」
恵美「だから自分の気持ちを凍らせて、頑張ってたのに…!」
恵美「もう…アタシに優しくしないでよ…」
P「…やっと言ってくれたな」
泣き出してしまった恵美を抱き締める
P「俺と海美が大切な人だって言う恵美の気持ちは嬉しい」
P「でもな、恵美がそう思うのと同じように、俺も海美も恵美が大切で、大好きなんだ」
恵美「…」
P「恵美には幸せになってほしいしいつでも笑っていて欲しい」
P「そして俺は出来るならば恵美の隣で一緒に歩いて行きたい」
P「自分の手で恵美を幸せにしたいんだ」
P「だからあの日言ったことをもう一度、言わせてくれ」
P「恵美」
P「好きだ、俺と付き合って欲しい」
恵美「本当にアタシで良いの…?他に可愛い子はいっぱいいるし良い子だって…」
P「俺は恵美が好きなんだ、他の子はどうでもいい」
恵美「アタシじゃ…Pを幸せに出来ないかもしれない…」
P「もし恵美が俺を幸せに出来なくてもその分俺が恵美を幸せにするだけだ」
P「…返事を聞かせてくれないか?」
その言葉を聞き、恵美が俺の頬に手を添え…
口づけを交わした
一旦ここまで
雨の中傘もささずにやり合っていたので二人ともずぶ濡れになってしまった
恵美を濡れたまま帰らせるのもアレだし何より少しでも長くいたかったので俺の家に来て貰うことにした
P「あがってくれ」
恵美「うん、お邪魔します」
P「とりあえず服を乾かした方が良さそうだな…乾かしておくし風邪引いたらいけないから先に風呂に入るか?」
恵美「あ、うん」
P「それじゃあ俺は上に上がってるから風呂からあがったら呼んでくれ」
階段を登ろうとしたとき、恵美が俺の手を掴んだ
恵美「…だめ」
P「恵美?」
恵美「アタシの風邪を心配するならPも同じじゃん、ずぶ濡れなんだし」
P「でもどうしようもないだろ、一緒に入るわけにもいかないし」
恵美「それでいいよ」
恵美「い、一緒に入ればアタシもPも風邪ひかないでしょ」
P「…ゑ?」
…どうしてこうなった
恵美「あ、あんまりこっちみないでね」
恵美と背中合わせに湯船に浸かる
意識しないようにするがすぐそばに恵美を感じてしまい全く落ち着けなかった
恵美「…ふう…温かい…」
P「ああ…」
冷えた体が温まっていくのを感じる
恵美「アタシさ、頑張るね」
P「ん」
恵美「今までのことも、これからのことも」
恵美「Pの彼女として恥ずかしくないように」
恵美「だからさ、アタシが間違えそうになったら…その時は」
P「わかってる、その時は俺も一緒に考えてやる」
恵美「え?」
P「何驚いてるんだ?言っただろ、一緒に歩いて行きたいって」
P「だから俺はお前を置いていったりなんかしない、同じ歩幅でいてやる」
恵美「…ホント、ありがとう」
背中にかかる恵美の重みが僅かに増した
きっともたれ掛かっているのだろう
心地良い重みを感じながら、のぼせる寸前まで湯船に浸かっていた
へへへ…すみませんね、まさかの寝落ちでさぁ…
あとちょっとだけ書きます
風呂からあがり、部屋に戻る
恵美に合うサイズの服がなかったので俺のジャージを着て貰うことにした
P「悪いな、俺のジャージなんかで」
恵美「ううん、大丈夫、それに…」
P「それに?」
恵美「Pの匂いがして…なんだか包まれてる気がして安心する」
P「そ、そうか」
恵美「今日二人は?」
P「ん?ああ、このみ姉さんは当直、桃子は休み前だから育ちゃんの家に泊まりに行くって言ってたな」
恵美「そっか…じゃあ二人きりだ」
P「…あっ…」
二人きりを意識すると急に風呂あがりの恵美の色っぽさが気になってくる
上気した頬、しっとりと濡れた髪、朱が射している肌…
着ているのはジャージなのに…なんというか
頭を振って邪念を振り払う
P「ふ、服はすぐに乾くはずだからさ!もう遅いし乾いたら家まで送るよ」
上擦りそうな声を必死に押し留め話し掛ける
すると恵美がとんでもないことを言い出した
恵美「その事なんだけど…」
恵美「今日、泊まってもいい?」
俺「達」は今、俺の部屋のベッドの中にいた
最初は客室に布団を敷く予定だったのだが恵美の希望で一緒に寝ることになった
恵美「ごめんね、ワガママ言っちゃって」
P「あ、ああ、いや、個人的には割と嬉しいからさ」
恵美「そっか…」
恵美がベッドのすぐ近くにある窓に目を向ける
恵美「この窓の向こうに海美の部屋があるんだよね」
P「ああ…」
さっき確認したが海美の部屋は電気が点いていなかった
もう寝ているのか、それとも…
恵美「海美は毎日、こんなに近くでPと顔を合わせられたんだね」
恵美「こんなに近くにいられて、ちょっとだけ羨ましい」
P「…」
恵美「だからアタシはちゃんと海美と話すよ、そうしないとPとちゃんとした恋人にはなれないから」
P「恵美」
恵美「これはアタシのケジメだから、お願い」
P「…止めないよ、恵美が決めたことだからな」
恵美「ありがとう」
恵美が俺の胸に顔を埋める
恵美「正直、アタシまだこれが現実だって信じ切れてない」
恵美「目が覚めたら自分の部屋で、今日の事は夢だったんじゃないかってなるのが…怖い」
P「…」
俺は何も言わずに恵美を抱き締める
恵美「あっ…暖かい…ねえ、このまま抱き締めて貰ってて良い?これが現実だって、わかるから」
P「もちろん、恵美が落ち着くまで抱き締めてやる」
恵美「ありがとう」
二人で抱き合いながら、眠りに落ちていった
一旦ここまで!
プロデュース(意味深)すると思った?
残念!まだしませんでした!
ちなみに当直のこのみ姉さんは差し入れを持ってきた莉緒とさきイカを食べてます
朝、頬をつつかれる感覚に目を覚ます
P「ん…なんだ…?」
恵美「あ、ごめん、起こしちゃった?」
P「恵美…?何してるんだ?」
恵美「ん、目が覚めたらPが隣にいて、昨日は夢じゃなかったんだな~って思ったら悪戯したくなっちゃった」
P「そうか…」
恵美の髪を撫でてやる
恵美「どうする?もう少し寝る?」
P「いや、起きるよ」
ベッドから降りると恵美も同じようにベッドから降りた
恵美が隣で伸びをする
恵美「なんか久しぶりにぐっすり寝れた気がする」
P「そうなのか?」
恵美「うん、最近ずっと色々考えててあまり眠れなかったから」
P「そうだったのか」
恵美「でもすっきりした」
P「色々溜め込んでたんだな」
恵美「みたい、Pに言われて自分の気持ちを吐き出したらすごく体が軽くなって…ホント、ありがとう」
P「あれは俺が恵美の気持ちが知りたかったからやっただけだよ」
恵美「それでも」
恵美「きっとあそこで吐き出さなかったらきっとアタシは隠してた自分の想いに潰されてたと思うから」
恵美「だから、ありがとう」
そう言って恵美は俺にキスをする
P「また不意打ち…二回とも不意打ちなんてずるいぞ恵美」
紅くなるのを誤魔化すように言う
P「二回目くらいはこっちから行こうと思ったのに」
恵美「Pは知らないと思うけど、実はこれ三回目なんだよね」
P「えっ!?」
恵美「キャンプの時にね、寝てるPに対してしちゃった」
P「マジかよ…」
恵美「あの時はPと海美をくっつけることばっかり考えててアタシは身を引くつもりだったから…」
恵美「だから最後の思い出としてしちゃった」
恵美「今こうやってPと二人でいられるなんて思わなかったから勿体ないことしちゃった」
P「埋め合わせていけばいいさ、まだまだ時間はあるんだし」
恵美「そだね、昔のアタシ自身が悔しがるくらい楽しい思い出を作ってこ」
どちらともなくキスをする
何度も、何度も何度も
互いを求め合うように
10回から先は数えなかった
恵美「…はあ…よく、さ…外国の映画とかで何回も何回もキスするシーンあるじゃん」
P「ああ」
恵美「アタシああいうの見て絶対こんなに何回もキスするわけないって思ってたけど…ん」
そう言いながらキスをしてくる
恵美「今なら登場人物の気持ちがわかるよ、こんなにも愛おしくて、こんなにもココロが求めて止まらない」
俺も同じ気持ちだった
恵美をベッドに押し倒す
P「め、恵美…俺、そろそろ我慢が…!」
恵美「…うん、良いよ…でも」
恵美「今はまだ駄目」
P「…えっ」
良いのに駄目なのか…?
恵美がするりと抜け出す
恵美「アタシがケジメをつけてから、ね」
P「」
恵美「ま、先にご飯食べようよ、まずはそれから」
P「」
恵美が部屋を出て階段を降りていった
お預けを食らった俺は背中を丸めて階段を降りていった
朝食を食べた後、今日の予定を考える
P「今日はどうするんだ?」
恵美「今日はやることがあるから」
P「あ、そうなのか?」
恵美「うん、だからPにお願い」
恵美「海美を呼んで欲しいの」
短くて悪いが一旦ここまで
乙
√BMCとか√FWの意味がまったくわからないから誰か教えて
海美に電話をかけると
「うん、良いよ」
と軽く了承された
恵美と二人、リビングで海美が来るのを待っていた
恵美が微かに震えているような気がして、握っていた手に少し力を入れる
すると落ち着いたのか、緊張して強張っていた恵美の手から力が抜けた気がした
海美「あ、いた」
…何故か海美は玄関からではなく上から降りてきた
P「お前な…お前な?」
海美「えへへ」
P「笑って誤魔化すな」
全く…
恵美「海美…」
海美「どうしたの、めぐみー?」
恵美「話がしたいんだけど…良い?」
海美「うん、良いよ、じゃあPの部屋にいこ?」
P「おい」
俺の部屋に移動する
最初は席を外そうと思っていたが恵美にいて欲しいと頼まれ、今は椅子に座って二人を見ていた
恵美「海美、あのね」
海美「うん」
恵美「アタシ…Pと付き合うことになったの」
海美「うん」
恵美「だから、まずはそれを言っておかないとって思って」
恵美「だってアタシは海美からPを…」
海美「めぐみー」
何かを言おうとした恵美を遮って海美が口を開く
海美「おめでとう!」
恵美「…え?」
海美「Pと付き合うことになったんでしょ?だったらもっと自信を持たなきゃ!」
恵美「えっ…で、でも」
恵美「あ、アタシは…アタシは海美からPを奪ったんだよ…?なのに…怒ってないの?」
海美「なんで私が怒るの?」
恵美「だ、だからアタシは」
海美「めぐみー、多分勘違いしてると思うんだけど」
海美「Pはめぐみーと付き合うまで誰のものでもなかったんだよ?」
海美「だから私は自分のものにしたかったんだもん」
恵美「あっ…」
海美「だから私は悔しがりはしても怒ったりしないよ、怒る理由がないから」
恵美「う、海美…」
恵美の目から涙が滲み出す
海美「あ、でもね」
海美「めぐみーがあんまりネガティブなことばっかりやってると私が横からPを持ってっちゃうよ?」
恵美「それは嫌…!」
海美「でしょ?だったらちゃんと胸張らないと」
恵美「うん…うん…!」
海美「めぐみーと私がが選んだ人だもん、絶対幸せにしてくれるよ、間違いない」
恵美「うん…!」
海美「ほらほら泣かない泣かない、お化粧落ちちゃうよ」
恵美「アタシ今日化粧してない~…!」
恵美「海美…」
海美「ん?」
恵美「ありがとう…!」
海美「どういたしまして」
恵美「うわああぁぁぁん!」
海美「ちょ、め、めぐみー!」
恵美が海美にしがみついて泣き出した
P「…」
俺は黙って席を立つと
…リビングに避難した
しばらく恵美の泣き声が聞こえていた
一旦ここまで
22時過ぎくらいに再開予定
乙
うみみがええ子でよかった……(T-T)
ビンタするんじゃないかってハラハラしてた……
また何かあったら呼んでね、と海美は窓から帰って行った
P「良かったな、恵美」
恵美「うん、アタシ海美と友達なことを誇りに思うよ」
P「冬馬達にも報告しないとな」
恵美「アタシも…エレナや琴葉にいっぱい迷惑かけちゃったから」
P「まあぶちぶち言われるだろうけど」
恵美「みんなきっと喜んでくれるよね」
P「ああ」
恵美「うう…アタシ、ホント友達に恵まれて…」
P「ああ、ほら泣くな泣くな」
恵美「だって~…」
???「可愛いぼく…幸子ちゃんの胸を貸してあげてもいいんですよ!?」
P「恵美は泣き虫だなぁ」
あやすように抱き締める
恵美「ごめん…」
P「良いよ、別に」
頭をポンッと叩く
しかし密着していると…胸や恵美の体の柔らかさが…
恵美「…あっ」
恵美が小さく声を上げた
P「…」
立ち上がった僕の分身は、先ほどのお預けの影響かいつもより凶暴だった
恵美「…」
P「…」
恵美の顔は紅くなっていた
P「あー、いや、その」
恵美「その…さ…苦しい?」
P「正直」
恵美「そっか…」
恵美は立ち上がると俺の手を引いてベッドに倒れ込んだ
P「恵美…」
恵美「…うん、良いよ」
首に手を回しキスをしてくる
恵美「ただ…アタシ初めてだから…その、優しくしてね?」
恵美にライドしてアタックした、恵美はノーガードだった
息子「やぁ。」
よし!俺も君たちと一緒にアクセルシンクロォォォォォォォォォォォォォォォ!!!(ルパンダイブ)
プロデュースの後、抱き合いながら眠っていた俺達だったが夕方頃に目を覚ました
俺が目を覚ますと同時に恵美も目を覚まし、互いに見つめ合う
P「恵美…すごく良かったよ」
その言葉を聞いた恵美は真っ赤になって布団に潜り込んだ
恵美「は、恥ずかしくて顔見れないって!」
目だけ見えてる状態の恵美に合わせて俺も布団に潜り込む
P「なあ恵美、俺スタンドトリガーを引いたんだ」
恵美「何それ」
P「もう一度アタックできる」
恵美「えっ、ちょ、ちょっと待って!アタシまだ感覚が…!」
トリプルドライブ、ゲットトリプルクリティカルした
一旦ここまで
書き溜めしてないから更新鈍いけど許してクレベース
その場で思い付きながら書いてるからどこか矛盾してたりしてたらバンバン指摘ください
乙
しょうがないから俺も混ざって3Pしてくるわ
その後も8回のクリティカルトリガーを発動し、クタクタになった俺達は服を着るのも面倒になり布団に包まりながら温かいコーヒーを飲んでいた
恵美「や、もう激しすぎだって…初めてだったのに腰立たないじゃん」
P「よく言うよ、二回目からはノリノリだったじゃないか」
恵美「あ、あれは…気持ち良かったから…」
P「俺も気持ち良かったよ」
恵美「もう…」
コーヒーを一口飲む
恵美「けどこんなにやっちゃって、もしデキてたら責任取ってね?」
P「当たり前だろ、デキてようがデキてなかろうが、俺は最初から責任取るつもりなんだから」
恵美「そっか…ありがと」
肩に恵美の頭が乗る
幸せな空気に包まれていた時、突然部屋の扉が開いた
桃子「お兄ちゃんいないの?それとも寝て…る…」
部屋の扉を開けた桃子が俺達を見て固まった
P「…あっ」
まるで能面のような表情でさっさと服を着ろと桃子に命令され、急いで服を着た俺達はリビングでテーブルを挟んでこのみ姉さんと桃子と対峙していた
このみ姉さんは考えるような顔で、桃子ははっきりわかるくらいに不機嫌だった
このみ「それで」
P「はい」
このみ「二人は付き合ってるって事で良いのね?」
P「はい」
恵美「つ、付き合ってます…」
このみ「そ」
P「…」
恵美「…」
このみ「それならまずはPに聞くけど、本気なのね?」
P「もちろんだ、俺の人生すべてを恵美にかける」
このみ「そう、まああんたは良いわ、長い付き合いだから目を見れば本気なのはわかるし」
P「このみ姉さん…」
このみ「恵美ちゃんも、本気なのね?」
恵美「うん…じゃなくて、はい」
恵美「アタシも、人生すべてをPに預けても良いって思ってる…ます」
このみ姉さんがじっ…と恵美の目を見つめる
まるで心を覗き込んでいるように
やがて
このみ「うん、それなら私から言うことは何もないわ!二人とも、おめでとう」
P「このみ姉さん、ありがとう」
恵美「このみ先生、ありがとう!」
このみ「どうせ私が何か言ったところでどうにもならないのは目を見ればわかるわ」
このみ「二人とも強い意志を持ってるんだから、それを無くさないようにね」
P「ああ」
恵美「はい」
このみ「ただし恵美ちゃん!」
恵美「は、はい!」
このみ「これからは私の事はこのみ義姉さんと呼びなさい!」
恵美「…はい?」
このみ「いやーこの歳にもなって弟に浮いた話しが一つもなかったから心配してたのよねー」
P「余計なお世話だ…!」
恵美「ええっと…じゃあ…このみ義姉さん?」
このみ「良く出来ました!あ、それともう一つ!」
このみ姉さんがピンッと指を立てる
このみ「避妊はちゃんとすること!別にヤるのは止めないから」
P「…」
恵美「…」
このみ「ってそこはちゃんと返事しなさいよ!」
桃子「…」
P「も、桃子…」
テーブルについてから一言も発していない桃子に話し掛ける
桃子「…」
恵美「桃子」
恵美「アタシは本気だから」
恵美「アタシはPを愛してる、この先何があっても、死ぬまで…ううん、死んでもそれは変わらない」
恵美「だからアタシは…」
桃子「もう良いよ」
桃子が口を開いた
桃子「どうせ桃子が何言ったって無駄でしょ」
桃子が席を立つ
P「桃子…」
桃子「桃子はただお兄ちゃんが幸せなら何でも良いよ」
桃子「だから恵美さん、これだけは約束してよ」
桃子「絶対にお兄ちゃんを悲しませないって」
恵美「桃子…うん、もちろん!」
恵美「アタシの人生をかけて、誓うよ」
桃子「なら桃子はそれでいいよ」
桃子「じゃあこれからよろしく…め、恵美お義姉ちゃん」
恵美「も、桃子-!」
恵美が桃子に抱き付く
桃子「わぷ」
恵美「あーもー!何この子!ちょー可愛いんだけど!ねえP、桃子持って帰って妹にして良い!?」
桃子「ちょ、恵美さん苦しいから!」
P「落ち着け、持って帰らなくても結婚したら義妹になるから」
桃子「お兄ちゃん見てないで助けてよ!」
このみ「若いって良いわねー」
週明け、恵美と恋人になってから初めての登校だ
普段何も考えずに歩いていたこの道も、今は輝いて見えた
P「浮かれてんなぁ、俺」
最高の気分だった
教室に入ると冬馬達は既に来ていた
P「おはよう」
冬馬「よう」
翔太「おはよー」
P「報告があるんだ」
冬馬「良い報告みたいだな」
P「何でわかるんだ?」
翔太「すっきりした顔してるから、かな」
冬馬達に週末の出来事を話した
冬馬「はー…やっとかよ、所もお前も手間かけさせやがって」
P「悪いな」
翔太「でも良かったよね~、Pくんも恵美ちゃんも」
P「ああ、みんなのおかげだ」
貴音「それでも成し遂げられたのはあなた様の努力があってこそ、胸を張ってもよろしいかと」
P「貴音いつの間に…」
ついさっきまでいなかったはずなんだが
貴音「わたくしの出番は海水浴以来なので…」
P「何の話しだ?」
貴音「いえ、お気になさらず」
少しして恵美が教室に入ってくる
恵美「おはよー」
P「おはよう」
冬馬「おう」
翔太「おはよー」
貴音「おはようございます」
琴葉「あ、恵美…」
恵美「琴葉…エレナ…」
そういえばこの前恵美と田中さんはやり合ってたな…あの後どうなったんだろうか
恵美「琴葉、この前はごめんね」
琴葉「え?」
恵美「アタシはもう大丈夫、ちゃんと解決したから」
琴葉「恵美…それじゃあ」
恵美「うん、ちゃんと伝えたよ」
琴葉「良かった…恵美、おめでとう」
恵美「ありがとう、琴葉」
エレナ「これにて一件落着だネ!やっぱり皆仲良しが一番だヨー」
エレナが田中さんと恵美に抱き付く
P「みんなには迷惑かけちまったな」
冬馬「そうだな、迷惑料代わりに文化祭はきっちり働いて貰うから覚悟しとけよ」
P「おう」
放課後、文化祭の出し物であるメイド喫茶の内装作りを行う
女子達は衣装合わせをしていた
といっても恵美以外の衣装はある程度出来ていたので恵美の衣装合わせがメインになっていた
当初恵美は裏方をやりたかったそうだがクラス中から却下されたので今は渋々従っている
エレナ「みんなー、メグミの衣装出来たからちょっと見てヨ-!」
男子連中が手を止め扉を見る
恵美「ね、ねえ琴葉!やっぱり恥ずかしいって!」
琴葉「だーめ、ちゃんと披露しないと調整出来ないんだから」
恵美「そんなこと言ったって~…」
廊下から恵美と田中さんの声が聞こえてくる
やがて田中さんに手を引かれて恵美が教室に入ってきた
恵美が教室に入ってくると男子連中から歓声があがる
P「こ、これは…!」
恵美「うう~…」
少し短めのスカート、至る所についているフリル、盛り上がった胸部、羞恥で真っ赤になった顔
…すべてが完璧だった
P「」
言葉が出なかった
エレナ「皆の反応も良いみたいだネー」
琴葉「Pくんにも意見を聞こうと思って、恵美の彼氏だから」
周りの連中から冷やかされる
しかし俺は…
P「」
琴葉「…Pくん?」
P「…却下だ」
琴葉「え?」
P「却下だ!却下却下!」
エレナ「ええー?」
琴葉「な、なんで」
クラス中からブーイングが飛んでくる、しかしそんなことは知ったことではない
P「こんな恵美の姿を他人に晒してたまるか!メイド姿の恵美は俺だけのもんだ!」
再びブーイングが飛んでくる
P「恵美は当初の予定通り裏方!これを認めないなら俺達は文化祭には出ないぞ!」
冬馬「こ、こいつ…!」
琴葉「そう…なら仕方ないわね…ならこの衣装は破棄しましょう」
P「どうしても忙しい時はホールに出る、これが最大限の譲歩だ」
恵美「!?」
一旦ここまで
Pixivでカットしたプロデュース()の部分を書こうとした
しかし三行目くらいで止まった
俺に…エロは書けない…
いよいよ文化祭当日だ
完成した店舗に集まり、黒井先生の号令を待つ
黒井「良いか貴様ら、いくら客が来ようとも売り上げで負けては意味がないのだ」
黒井「だから勝て、特にBの高木やCの美城のポエムコロシアムなどというわけのわからんものに負けるなよ」
黒井「貴様達の健闘を祈る」
黒井先生の激励(?)を受け皆の顔が引き締まる
最近分かってきたことだが黒井先生は言葉こそ厳しいものの言ってること自体は高木先生や美城先生に負けるなんてやだやだ!と言うことなので深く受け止めないようにしている
急な仕事が入ったので今日は多分ここまで
ちょっとだけならいけそうなのでちょっとだけ投下
琴葉「それじゃあみんな、頑張りましょう!」
「おー!」
メイド喫茶、開店だ!
冬馬「5番テーブル!さっさと片付けろ!お客さんが待ってるだろうが!」
冬馬「3番テーブルの水まだか!もう5分も待たせてんだろ!」
修羅場だった
最初はメイド姿の生徒見たさに客が来ていたのだが、冬馬の料理が評判となり今ではメイドよりも料理の方が人気となっていた
冬馬「もっとテキパキ動け!流れが悪ぃぞ!」
P「冬馬」
冬馬「悪ぃが今構ってる暇はねえ、これから更に混むだろうからお前と所は先に休憩入れ」
P「良いのか?」
冬馬「ああ」
P「恩に着る」
着替えた恵美を連れて外に出る
辺りを見渡すと今年の文化祭はどこも盛況だった
「うどんは生き物…耳を澄ませば声が聞こえるの」
「静香ちゃん、うどんは食べ物だよ?何言ってるの?」
「…」
「あっ、待って静香ちゃん!死んじゃう!それで殴られたら死んじゃうから!」
「もやし炒めどうですかー?うっうー!とっても美味しいですよ-!」
「美味しそうね、高槻さん、ここにある分全部いただけないかしら」
「え?全部ですかぁ?」
「あらやよい、美味しそうじゃない、ここにある分全部買うわ」
「伊織ちゃんまで…」
「水瀬さん、横入りしないで」
「うるさいわね、やよいのもやし炒めは私の物よ」
「いいえ、私が先に」
「二人とも!喧嘩はめっ!ですよ!」
「私が間違ってたわ、ごめんなさい高槻さん」
「私が間違ってたわ、ごめんなさいやよい」
「うっうー!みんな仲良しが一番ですー!」
P「どこも人気あるな」
恵美「これだけ色んな出店があると色々と迷っちゃうね」
P「色々と見て回ろうぜ」
恵美「うん」
恵美と手を繋いで歩き出した
篠宮さんの店で恵美はコロンを買った、俺は催淫効果のあるアロマを買わされた
北条さんの店で恵美はネイルアートをしてもらった、代金としてフライドポテトを差し出したが北条さんは突然現れた女子二人に連れ去られてしまった
校庭では北沢さんと真がいつものように死闘を繰り広げていた、毎年毎年よく飽きないものだ
木下さんの店では木下農場でとれた林檎を使ったアイスを食べた、砂糖は使っていないそうだがとても甘かった
屋台を見て回っていると関西弁を喋る女の子に恵美が声をかけられた
「あれ、恵美やん、何してんの?」
恵美「あ、奈緒じゃん、やっほー」
P「知り合いか?」
恵美「うん、横山奈緒、B組の子」
P「へー」
相変わらず恵美の交友範囲は広いな
奈緒「ちょうどええわ、私の店すぐそこやから寄ってかへん?」
恵美「だって、どうする?」
P「俺は構わないぞ」
奈緒「ん?もしかして隣の人彼氏さんなん?」
恵美「う、うん」
奈緒「はー、恵美にも春が来たんか-!めでたいなー」
恵美「な、奈緒!」
奈緒「冗談やって」
そう言うと横山さんはたこ焼き屋「アオノリ」に入っていった
恵美「奈緒はたこ焼き屋なんだ」
奈緒「そりゃそうやろ、他はともかくたこ焼きとかお好み焼きみたいなコナモンはそうそう負けへんで」
関西の人は子供の頃から家で焼いたりするので大抵の人が焼ける…らしい
奈緒「ちょっと待っててなー」
横山さんが器用にたこ焼きを回していく
しばらく待っていると
奈緒「お待ちどうさん!熱いから気い付けて食べや」
たこ焼きが差し出された
恵美「ありがと、いくら?」
奈緒「いやいや、これでお金取ったら私押し売りやんか」
奈緒「これはお祝いやねんからお金はいらんて」
恵美「お祝い?」
奈緒「恵美に彼氏が出来たお祝い」
恵美「な、奈緒!」
奈緒「なあ彼氏さん」
奈緒「恵美ってすぐ我慢して溜め込むからちゃんと支えたってな」
P「ああ、もちろん」
奈緒「なら安心やな!」
恵美「も、もう!ほら行くよ!」
P「おっとと…引っ張るなって」
奈緒「おおきにー!」
P「良い友達だな」
恵美「…うん」
P「どこかに座って色々と買った物食べようか」
恵美「そだね、アイス溶けちゃうし」
手頃なベンチを見つけ、二人で座る
さっそく買った物を食べ始めた
P「ん!冷たいけどすげえ美味い!」
恵美「ホントだ、美味しい!」
俺は林檎のアイス、恵美はミックスフルーツのアイスだ
恵美「ねえ、そっちはどんな味?」
P「食ってみるか?ほら」
恵美「あーん…ん、こっちも美味しいじゃん」
P「だろ?」
恵美「じゃあアタシのも、はいあーん」
P「あーん…うん、こっちも美味いな」
その後アイスを食べ終わり、たこ焼きも同じように食べさせ合った
一旦ここまで
食事を終え、再び出し物を見ていると珍しい物を見つけた
天体観測部がプラネタリウムをやっているようだ
P「これ、見ていかないか」
恵美「良いね」
受付を済ませ、中に入る
指定された席に座って待っていると、すこしぎこちないアナウンスの後、照明が落ちて始まった
スクリーンに色んな星座が映し出される
恵美「あ、あれ」
恵美がひとつの星座を指差す
P「あれは?」
恵美「あれは牡羊座、アタシの星座」
P「あれが…」
恵美「アタシは誕生日が4月15日だからさ」
P「…今年は誕生日、祝えなかったな」
恵美「そんなのアタシだって一緒」
恵美「Pの誕生日は2月27日でしょ?お互いもう過ぎちゃったから」
恵美「来年、最高の誕生日にすれば良いだけじゃん?」
P「…だな!」
恵美「あ、あれ魚座だよ、Pの星座」
P「しかし魚座か…大雑把に魚って言われてもって感じがするよな」
恵美「あ、それはちょっとわかるかも」
P「せめて種類がわかればな…多少なりとも愛着が湧くんだが」
恵美「帰りに部員に聞いてみたら?」
P「そうするか」
それから、二人でプラネタリウムを堪能した
プラネタリウムが終わった後、受付をしていた銀髪の子に魚座について聞いてみた
なんでも魚座の歴史はかなりのもので、ギリシャ神話よりも古く、メソポタミア文明が発祥だそうだ
当時の人々は身近な物をモデルに星座にしてきたので、メソポタミア文明当時の付近の川で主に取れた魚…鯉がモチーフになっているという説が有力だそうだ
P「鯉か…」
恵美「良かったじゃん、何かわかって」
P「ああ」
恵美「Pが鯉だからアタシも恋に落ちちゃったかな?鯉だけに」
P「…かもしれないな」
恵美「ふ、普通に返されると滑ったみたいで恥ずかしいんだけど?」
P「さあて、そろそろ戻るとするか」
恵美「ねえちょっと!」
俺達はクラスの出し物を手伝いに行った
文化祭が終わった
冬馬「」
結局冬馬は休まず働き、今は干からびて死んでいた
恵美「し、しんどかった…」
恵美や他の皆も疲労困憊…と言ったところか
プロデューサー業務を終わらせて手伝いに来てくれた田中さんもいつもと違い机に突っ伏していた
教室の扉が開き黒井先生が入ってくる
黒井「貴様達、今すぐ体育館に来い、伝えることがある」
琴葉「黒井先生…それはここでは駄目なのでしょうか…」
黒井「駄目だ」
ガクッと田中さんの頭が落ちる
一体体育館で何をやるというんだ…
体育館に着くとそこにはテーブルに並べられた大量のお菓子、ジュース、料理があった
さながらパーティーのようだった
P「こ、これは!?」
よく見るとBやCの生徒も集まっていた
美城「早く入りなさい、みな君達を待っている」
美城先生に言われ中に入る
高木「黒井がね、頑張った君達を労おうとこれを企画したんだよ」
黒井「高木ぃ!余計なことを言うんじゃない!」
琴葉「黒井先生…」
黒井「ふ、ふん、貴様らはポンコツなりによく頑張っていたからな!結果発表は週明けだが今日のところは貴様らの努力を評価してやろうと思っただけだ!」
相変わらず照れ屋な人だ
高木「まあそういう事だからね」
美城「羽目を外しすぎない程度に楽しむと良い」
歓声が上がった
P「…ふう」
会場から出て夜風に当たる
今日は楽しかった
色んな屋台を回れたしクラスの手伝いも目が回りそうだったが充実していた
そして何より…
恵美「こんなとこにいた」
その声に振り返ると恵美がジュースを両手に立っていた
恵美「お疲れさま」
P「ありがとう」
ジュースを受け取ると恵美は隣に座った
P「恵美も結局出ずっぱりだったな」
恵美「あんだけ忙しかったらね~」
恵美「でもま、途中からはあんまり恥ずかしくなかったかな」
P「恥ずかしがる暇がなかったからな」
恵美「かもね」
二人で笑い合う
恵美「アタシ今日はほんっとに楽しかった」
恵美「多分今までの文化祭の中で一番かも」
P「俺も楽しかった」
恵美「きっとPが居てくれたからだよね」
恵美「忙しくて最初以外は休憩別々だったけど」
恵美「アタシの中では最高の文化祭だったよ」
P「…」
恵美「でもね、アタシ思うんだ」
恵美「最高は塗り替えられるって」
恵美「この先もずっとずっと最高の文化祭にしていけばどんどん楽しくなるよね」
P「最高は塗り替えられる…か、良い言葉だな」
恵美「でしょ?そういう気持ちを持ってればきっといつだって前を向いて歩けるから」
恵美「だからさ!」
恵美が立ち上がる
恵美「塗り替えていこうよ、アタシと一緒に!」
恵美が手を差し出す
恵美「アタシと一緒に幸せを作っていこうよ、いつだって」
恵美の手を掴み立ち上がる
恵美「アタシはいつも、あなたと一緒にいるからさ!」
終わり
本筋はこれにて終了、残りの季節イベントはオマケとして書いていきます
あ、文化祭終わったらメイド恵美のティーポットにスポイトでミルクを注いだ
さて、とりあえず2本書いたわけですが、√RRRと√FWならどっちの方が良かったか教えて貰えたらありがたいです
おまけ
クリスマスパーティーを終え、田中さんやエレナを送った雪の降る帰り道、俺と恵美は手を繋ぎながら歩いていた
恵美「うう~…さっむい!アタシ寒いの苦手なのに雪まで降るなんて-!」
P「世間ではホワイトクリスマスとか言うけどそれは暖かい家に籠もってこそだと実感するな」
恵美「ホントそれ!あ、寒いからもうちょっとくっついてもいい?」
P「おう、むしろどんどんくっついてもいいぞ」
恵美「が、がっつきすぎだから」
P「なんにせよ早く帰ろうぜ」
恵美「そだね」
恵美「あ、でも…こうやってくっついて歩いてるとホワイトクリスマスも悪くないかなって思う」
P「確かに、触れ合ってる部分は暖かくて…いいな」
恵美「でしょ?だからもうちょっと触れ合ってたいけど、やっぱ寒いから早く帰ろっか!」
P「おう」
家に戻ると誰も居なかった
桃子は環と一緒に育ちゃんの家に行っている
このみ姉さんは莉緒さんと一緒に教師陣の飲み会に出掛けていった
つまり今は…
恵美「…二人っきりだね」
P「そうだな…」
恵美「と、とりあえずさ、片付けよっか」
P「ああ、俺ゴミ袋取ってくる」
恵美と二人でパーティーの後片付けをする
みんなある程度片付けてから帰ったのでそんなに散らかっているわけではないが、それでも散らかしたままでいい気はしない
片付けている途中、恵美が口を開いた
恵美「あ、ねえ、袋を見てたら思い出したんだけどさ」
恵美「Pはクリスマスに何か欲しいものとかある?」
P「俺か?うーん、俺は特には思い付かないな」
P「逆に恵美は何か欲しいものとかないのか?」
恵美「アタシ?アタシは今年はもう最高のプレゼントを貰っちゃったから」
P「最高のプレゼント?」
恵美「うん」
P「それってなんなんだ?」
恵美「P」
恵美「アタシにとって今年最高の…ううん、人生最高のプレゼント」
P「うっ…」
はっきり言われるとかなり照れる
P「と、とにかくお互い今は特に欲しいものはないってことだな」
恵美「そだね」
恵美「ちゃっちゃと片付けちゃってゆっくりしようよ」
P「ああ」
その後、ゴミをまとめ終わり、ソファーで一息つく
P「恵美は今日は泊まっていけるんだよな」
恵美「うん、両親揃って外泊だから家にはアタシ一人になるしねー」
P「両親は仲が良いんだな」
恵美「うん、仲良すぎて胸焼けするときもあるけど」
恵美「アタシもあの二人みたいにPとずっと仲良くいたいなーって思うかな」
そう言いながら肩に頭を預けてくる
P「そうだな…」
そんな恵美の肩を抱いて、引き寄せた
恵美がちょっとやることがあるからと言うので先に部屋に戻る
しばらく待っていると…サンタ服の恵美が入ってきた
恵美「じゃーん!どう?」
P「」
恵美「あ、あれ?」
P「」
P「…はっ!」
あまりの可愛さに意識が飛んでいた
P「そ、それ、どうしたんだ?」
恵美「いやー、やっぱりクリスマスと言えばサンタかなって思ってさー」
恵美がその場でくるっと回る
それを見て俺の中の何かが切れた
P「なあ恵美」
恵美「ん?」
P「さっきは特に欲しいものはないって言ったけど訂正させてくれ」
恵美「あ、なにか欲しいものある?今なら恵美サンタがプレゼントしてあげるけど」
P「俺の欲しいプレゼントは…」
恵美の手を引きベッドに押し倒す
恵美「え、ちょ」
P「俺の前にいる世界一可愛いサンタさんだ」
恵美「ちょ、ちょっと待って!アタシまだシャワー浴びてな…!」
サンタと煙突をドッキング、シンクロして愛と正義の使者でホワイトクリスマスした
一旦ここまで
年が明け、新年の挨拶を済ませた俺達は近くの神社へ初詣に来ていた
P「おー寒い寒い」
冬馬「仕方ねえだろ、冬なんだから」
翔太「炬燵入りたいよー」
冬馬「我慢しろ」
恵美「P、寒いならアタシが暖めてあげよっか?」
P「ぜひお願いしたい」
そう言うと恵美は俺の腕に抱き付く
抱き付かれている部分がじんわり暖かい
エレナ「二人はとってもホットだネ!」
琴葉「見てると恥ずかしいけど…恵美が幸せそうにしてるとちょっと羨ましいなって思う」
海美「だね」
冬馬「更に混む前におみくじとか賽銭済ましちまおうぜ」
P「じゃあ行くか」
少し並んだ後、賽銭箱に小銭を投げ入れ手を合わせる
願うことは最初から決まっている
しばらく手を合わせた後、列を離れた
恵美「Pは何をお願いしたの?」
P「ん、そんなの決まってるだろ?一生恵美と一緒にいられますようにってな」
恵美「にゃはは、じゃあアタシと一緒だね!」
冬馬「おらそこのバカップル、さっさとおみくじいくぞ」
P「誰がバカップルか」
冬馬「お前ら以外誰が居るんだよ」
冬馬の暴言に憤慨しながらもおみくじを引く
…吉か
なんだか無難なことしか書いてないな
P「恵美はどうだった?」
恵美「アタシ?アタシはね、大吉だったよ!」
冬馬「大吉か、珍しいじゃねえか」
P「俺ネットおみくじとか以外で大吉って初めて見た気がする」
恵美「アタシも大吉は初めてかなー、今年も良い年になりそう」
P「中身はなんて書いてあるんだ?」
恵美「えっとね、運命の人はすぐ側に、その人は一生アタシを支えてくれるって」
P「…大当たりだな」
恵美「…だね!」
二人で見つめ合う
ちらりと視界に入った冬馬たちは胸元をさすっていた
冬馬「なんか胸焼けしてきたからそろそろ帰ろうぜ」
P「おいおい体調不良か?体調管理はしっかりしろよー」
冬馬「…なあ、こいつぶっ飛ばして良いか」
翔太「冬馬くん、気持ちは分かるけど落ち着きなよ」
海美「あ、向こうで甘酒配ってるみたい、ちょっといってみよ!」
琴葉「甘酒、体が温まるからちょっと好き」
エレナ「そういえばワタシ甘酒飲んだことなかったナー」
恵美「じゃあ行こっか」
配られている甘酒を受け取り一口飲む
…うまい
恵美「そういえばアタシも小さい頃に一回飲んだっきりだ」
P「そうなのか?」
恵美「うん、何でか知らないけど親が飲ませてくんなかったから」
それを聞き嫌な予感がした
P「なあ恵美、飲むのはやめに…」
止める間もなく恵美はグイッと甘酒を飲み干す
恵美「…」
飲み終えた恵美の顔は真っ赤だった
P「め、恵美…?」
恵美「…もう1杯」
P「え?」
恵美「もう1杯!」
恵美が紙コップを突き出してくる
P「い、いや、恵美、これ以上は」
恵美「なんでよ、まだ1杯しか飲んでない!」
これはまずい、まさか甘酒1杯程度で酔っぱらうとは
恵美「もういい!」
恵美は辺りを見渡すと…
恵美「こらそこの…あまとう!」
冬馬「誰があまとうだ!」
恵美「甘酒取ってきて」
冬馬「は?お前今飲んでただろ?」
恵美「いいから取ってこい!」
冬馬「は、はい!」
冬馬…
翔太「ちょっとPくん、恵美ちゃんどうしたの?」
P「わからん、多分酔っ払ってる」
翔太「ええ…?恵美ちゃん甘酒1杯飲んだだけでしょ?」
P「ああ」
琴葉「Pくん、ちょっと」
P「どうしたんだ、田中さん」
琴葉「ごめんなさい、恵美がアルコールにすっごく弱いこと伝え忘れてて…」
P「ああ、いや、田中さんが気にする事じゃ…」
琴葉「恵美は酔うと絡んでくるから…その、頑張ってね?」
P「あ、ああ…」
冬馬「甘酒持ってきました」
恵美「ご苦労!」
冬馬から受け取った甘酒をまた一気に飲み干す
恵美「ぷはぁ~!美味い!」
冬馬「おい、おい!所どうなってんだよあれ!」
P「どうも酔っ払ってるみたいでな」
冬馬「はあ!?たかが甘酒1杯でか!?弱すぎんだろ…」
P「俺がなんとかするから、誰か水買ってきてくれ」
翔太「じゃあ僕が行って来るね」
P「頼んだ」
P「さてと」
恵美「ん~、なんか暑い…暑いから脱ぐ!」
海美「ちょちょちょめぐみー!」
エレナ「脱ぐのはマズいヨ!」
P「恵美、ほら乗れ」
恵美の前でしゃがみ込むと海美とエレナが恵美の背中を押し、おんぶしやすいように手伝ってくれた
恵美「おー、高ーい」
恵美は無邪気にはしゃいでいる
P「ほら恵美、眠いだろ?寝てても良いぞ」
恵美「ん~?アタシ別に眠くないけど」
P「そんなことないぞ、ほら寝てろ」
恵美「ん~…わかった、寝る」
そう言うと恵美はすぐに寝息をたてはじめた
P「莉緒さんとかこのみ姉さんの相手をしてて助かったよ」
P「と言うわけで俺達は帰る」
冬馬「わかった」
戻ってきた翔太から水を受け取り、神社を後にした
家に着き、恵美をベッドに降ろす
少し乱れた晴れ着、酔って紅くなった肌に少し…いや、結構ムラムラ来たが流石に寝込みを襲うわけにはいかないのでしばらく瞑想していると恵美が目を覚ました
恵美「んー…あれ?」
P「起きたか」
恵美「あれ、アタシいつの間に帰ってきたんだろ」
どうやらすぐ酔うだけじゃなくすぐ醒めるようだ
P「そんなことより恵美」
恵美「?」
P「今、二人きりなんだ」
恵美「な、なんでアタシに手を伸ばしてんの?ま、まだ昼間!昼間だから!」
今年も1年頑張ろうの気持ちを込めて感謝の一突きをした
一突きじゃすまなかった
一旦ここまで
√FWも残すところあと一、二回でござい
√RRRよりもだいぶ速いペースになって少し驚いてたり
バレンタイン
世の男子はチョコが貰えるかそわそわし、世の女子はチョコを受け取って貰えるか、これまたそわそわする
よく貰ったチョコの数が多いほどステータスになる、などと言われることもあるが個人的には本当に好きな人から貰えたら数は関係ないと思っている
うちの学園は毎年、バレンタインの日になるとチョコを求めて大量のゾンビが校内を徘徊している
どちらかというと女子の比率の方が高いのでもしかしたら貰えるかも、という淡い期待を抱くのだがうちの女子陣は身持ちが堅く、友チョコすらそうそう貰えない
そんなゾンビ達は昼になると食堂へ行く
佐竹さんが毎年チョコを配るからだ
バスケットボールくらいのチョコを毎年配布しているので、良く作れるもんだと思いながらいつもの面子で昼食を食べていた
冬馬「今年もやってんな」
翔太「うちの名物みたいなものだよね~」
P「冬馬は貰ってこないのか?」
冬馬「いらねーよ」
翔太「あれ、去年は貰ってなかったっけ?」
冬馬「あれな、全部食ったら死ぬぞ」
P「そりゃあな」
冬馬「食っても食っても減らねえチョコレート…味も正直かなり美味いんだがどんどん辛くなってくる」
冬馬「けど早く食わねーとな…溶けるんだよ」
翔太「ああー…」
冬馬「正直全部食い終わった時は死ぬかと思ったな」
P「やっぱりチョコは普通に食いたいか」
翔太「そういえばPくん恵美ちゃんからチョコ貰った?」
P「いや、まだだけど」
冬馬「そうなのか?とっくに貰ったと思ってたぞ」
P「恥ずかしいから放課後に渡すんだと」
冬馬「なるほどね」
P「っと、食堂も混んできたしそろそろ行くとするか」
冬馬「だな」
食堂からの帰り道、いつもよりもちょっと騒がしい廊下を歩く
…一瞬だけ美奈子チョコを二つ持っていた貴音が見えた気がした
「さあさあさあ寄ってらっしゃい見てらっしゃい!世の中のモテない男子生徒諸君のために茜ちゃんが特別にチョコを渡して進ぜよう!」
「茜ちゃ~ん、私にもチョコくれる?」
「げえっ!麗花ちゃん!」
「代わりに私の作ったチョコプリンあげるね」
「麗花ちゃん…」トゥンク
「あ、砂糖とお塩間違えちゃったかも」
「ぶふぅー!」
このみ「あずさちゃん、今夜1杯どう?」
「あら~お供するわね、このみちゃん」
莉緒「あらこのみ姉さん、もちろん私も行くわよ」
このみ「ちょうど良いチョコレートリキュールを出す店を見つけたからそこにしましょ?後は千鶴ちゃんと風花ちゃんも誘わないとね」
P「賑やかだ」
冬馬「みんな浮かれてんだよ」
教室に戻ると海美がそれに気付いてこちらに向かってきた
海美「あ、来た来た」
P「どうしたんだ?」
海美「はい、これ」
海美からチョコを手渡される
P「これ…」
海美「うん、最近ちょっと美奈子先生に教えて貰いながら料理とか練習してて」
海美「だから今年はちょっと作ってみた!」
P「そうか…ありがとな」
海美「美味しいよ!…多分」
P「おい」
恵美「…あっ」
P「あっ」
海美からチョコを受け取ったのを恵美に見られる
恵美「…」
P「め、恵美」
海美「あ、めぐみーにもあげるね!」
恵美「え?」
すると海美は鞄からもう一つチョコを取り出して恵美に渡した
恵美「あ、ありがと」
海美「練習で作ったらいっぱい出来ちゃったから…ごめんね?」
恵美「あ、謝んなくて良いって」
海美「あまとう達にもついでにあげる」
冬馬「あまとう言うな!」
翔太「ありがと海美ちゃん」
恵美「…」
P「め、恵美…」
恵美「ほら、そろそろ席着かないとチャイムなるよ」
P「あ、ああ…」
放課後、家に帰ると突然恵美に抱き付かれる
P「恵美…?」
恵美「アタシ、Pが海美からチョコを貰ってるのを見て…嫉妬した」
恵美「海美がそんなつもりじゃないってわかってるのに…アタシ、嫌な子だ」
P「…」
恵美の頭に手を置く
P「ごめんな、心配させちゃって」
恵美「ううん、悪いのはアタシだから」
P「恵美は嫉妬して嫌な子だって言うけど俺だってもし恵美が友チョコとはいえ他の男にチョコを渡してたら嫉妬する」
恵美「…」
P「だから気にしなくていい、むしろ嫉妬してくれるってことはそれだけ恵美に好かれてるって事だからな」
恵美「も、もう!何言ってんの!」
恵美「…でも、ありがと」
P「気にするなって、それよりも俺はそろそろ恵美のチョコが食べたい」
恵美「ん、わかった」
恵美の手作りチョコを堪能した
夜になり恵美を部屋に誘う
相変わらず顔を真っ赤にしていたが素直に着いてくる
今日はどうやって楽しもうか考えていると…
カシャン
P「え?」
恵美「…」
腕に手錠がかけられた
P「…えっ」
突然のことに動揺していると恵美に押し倒される
P「め、恵美!」
恵美「あ、アタシだってやられてばっかりじゃないから!」
バレンタインの3倍のお返しホワイトデーを強制徴収された
三月末、俺達は町に出ていた
デートをしながら歩いていると恵美と初めて出会った場所の近くに来ていた
P「…ここは」
恵美「平気」
P「そうか?」
恵美「うん」
脳裏によぎったのはあの日の出来事だった
二年前、特にやることもなかったので町で時間を潰していたところ、ガラの悪そうな男二三人に一人の女の子が路地裏に連れて行かれるのを見た
気付かれないように後を付ける
「離してよ!離してってば!」
聞こえてきた話しを整理すると男達は女の子をナンパしたが女の子がこれを拒否、頭にきた男達は女の子を路地裏に連れ込んで無理矢理…と言ったところだ
P「…なんて情けない連中だ」
一人の女の子に寄ってたかって無理矢理とは…
なんにせよ女の子がこの先されるであろう事を考えるとあまり悠長なことはしていられない
そう考えてまずは一発、女の子の肩を押さえつけていた男の後頭部につま先を突き刺した
完全な不意討ちに男の手が離れ、他の男達も予期せぬ闖入者に驚いて硬直する
P「逃げるぞ、走れ!」
「えっ!?う、うん!」
その隙に俺は女の子の手を取って走り出す
固まっていた男達は我に返り、俺達を追い掛けてきた
特に蹴られた男の怒りはすさまじかった
捕まったら殺されそうなので全力で逃げる
少し離れているが交番があるのでそこまで逃げ切ることを考えた
走って逃げるが次第に距離が詰まってくる
「はっ、はっ」
女の子の方もあまり長くは持たなさそうだ
P「…仕方ない」
三人くらいなら二分は稼げるか
P「俺が囮になるから君は逃げろ、交番まで行けたら何とかなるはずだ」
「え!?」
P「いくら頭に血が上ってても流石に国家権力とはやり合わないはずだしな」
足を止め、女の子に先を行かせる
P「もし出来たらお巡りさんを連れてきてくれると助かる、二三分は稼いどくからさ」
額に青筋を立てた男達と対峙する
幸いにも町中なのでそんなに狭くはない
仮にあの女の子が交番に行かなかったとしても人に紛れて見つけるのは難しいだろう
俺の方は常に三人を視界に入れておけばそうそう間違いはなさそうだし、運が良ければ誰かが通報してくれるかも知れない
男達が殴り掛かってくる
まずはそれを回避してスタミナを減らしていこう
数分後
P「はっ、はっ」
そろそろ回避に専念するのにも限界が来ている
男達のほうも攻撃が当たらない苛立ちか、動きがどんどん雑になってきてはいるがやはり厳しい
そんな時俺が蹴った男が懐から何かを取り出した
光を受けて輝いているそれは、ナイフだった
P「おいおいマジかよ」
流石にナイフまで持ち出してくるのは想定外だぞ
その動揺が顔に出たのか、ナイフを持った男が猛攻をかけてくる
P「っ!」
何とか回避するものの、ナイフに気を取られ他の二人から目を離してしまった
忍び寄ってきた男への対応が遅れ、頬に一発貰ってしまい地面を転がる
P「…つぅ」
男達が笑いながら俺に近付いてきたとき、ようやく警察がやってきた
慌ててナイフを隠して逃走する男達、しかし小さめの婦警さんに瞬く間に制圧されていた
起き上がると向こうから先ほどの女の子が走ってくるのが見えた
「大丈夫!?」
P「あー、大丈夫大丈夫」
「とりあえず冷やさないと!」
女の子は自販機で水を買い、それでハンカチを濡らして俺の頬に当てた
P「いつつ…」
「ごめん、アタシのせいで」
P「いや、君のせいじゃない」
「…なんで助けてくれたの?」
P「見ちゃったから、かな?」
「見た?」
P「うん、君が路地裏に連れ込まれるのを見たから」
「それだけの理由で…?それだけで怪我してまで見ず知らずのアタシを助けてくれたの?」
P「それだけって言うけど理由としては十分だと思うけど?それに俺はああいう連中が大嫌いだったからさ」
「…ありがとう」
P「気にしなくて良いよ…ってこんな時間か」
時計を見るともうすぐ夕食の時間だった
P「それじゃあ俺はこれで」
「あ、まって!せめてお礼くらい」
P「気にしなくて良いって、そんなつもりで助けたんじゃないから」
P「それじゃ!」
この後このみ姉さんと桃子に頬の事を指摘され、怒られたがその後女の子を助けたことを褒めて貰った
そして四月、高等部に進級したとき、俺は女の子と再会した
これが恵美との出会いだった
恵美「あの時」
P「ん?」
恵美「あの時Pが助けてくれなかったからアタシきっと死んでた」
P「…想像したくないな」
恵美「でもね、今はちょっとあいつらに感謝してるかな」
P「なんで」
恵美「Pと出逢わせてくれたから」
P「…」
恵美「あの出来事がなかったらきっとアタシ達はお互いの事を知らないままだったと思う」
恵美「アタシきっとそんなの耐えられない」
恵美「だから出逢わせてくれたこと、それだけは感謝してる」
P「それなら俺も同じだ」
P「あいつらが恵美に触れたことは今でも許さないけど、あいつらが恵美をナンパしたからいまこうやっていられる」
P「だからそこだけはお礼を言っとくかな」
二人で笑い合う
P「そういえばあいつら結局どうなったんだ?」
恵美「んー、確かあの時来てくれた婦警の人に全身の関節外されて泣いて謝ってた」
P「婦警恐いな」
P「っと、デートの時間がなくなっちまうからいこうぜ」
恵美「そだね」
P「今日は楽しもうぜ」
恵美「うん」
俺達は手を繋いで歩き出した
恵美と繋いだこの手を離さないように少し力を入れる、すると恵美も握り返してくる
ただそれだけなのに、とても幸せだった
ベタ&ベタ
とりあえず馴れ初めを書いてみたけど…頭の中にあったナンパされてる恵美を体張って助けたが俺TUEEEEEになってしまった
反省している
年度が替わり、俺達は進級した
その際に恵美とはクラスが離れてしまったがそれはそれ
むしろ帰りの待ち合わせが出来るようになり少し嬉しかったりする
けれどもやっぱり休み時間にしか会えないのは辛いので同じクラスだったら良かったのに、と思う
P「待たせた」
P「それじゃあいこうか」
恵美「うん」
校門で待っていた恵美と合流し、並んで歩く
恵美「あーあ、授業中にPがいないってつまんないなー」
P「そう言うなって、俺のほうだって恵美が授業中にいないんだから」
P「その分放課後は一緒にいるし」
恵美「そうだけどさー…」
P「ま、あと一年の辛抱だ、お互い頑張ろう」
恵美「うん」
P「ちょっと寄り道していいか?」
恵美「え?まあいいけど」
P「ありがとう」
そして向かったのはあの日、二人の想いが通じ合った場所だった
恵美「ここは相変わらず見晴らしが良いねー」
P「今年もきれいに桜が咲いてるな」
恵美「桜が散る前にみんなでお花見しようよ」
P「お、良いなそれ」
今日は4月15日
P「…なあ恵美」
恵美「ん?」
P「誕生日おめでとう、これ、受け取ってくれるか?」
恵美にネックレスを渡す
店で売っている物ではなくオーダーメイドの特注品だ
恵美「これ…」
P「対になるように作ってある、そして対になる部分は俺が持ってる」
P「ネックレスを合わせると一つの形になるんだ、俺と恵美が、いつまでも一緒にいられるようにと願って作った」
P「…受け取ってくれるか?」
恵美「…」
恵美「…もう、Pはいっつも不意打ちばっかり」
P「悪いな、そういう性分なんだ」
恵美「でも嬉しい」
恵美「…つけてくれる?」
P「ああ」
恵美の首にネックレスをつける
恵美「…どう?」
P「よく似合ってる、思った通りだ」
恵美「…ありがと」
そう言って笑った恵美の笑顔はとても輝いていた
この先何が起こるかなんて誰にもわからないけれど、楽しいことが増える毎日にしていきたいと思う
この笑顔が曇らないように、一緒に歩いて行きたい
P「それじゃあそろそろ戻ろう」
恵美「りょーかい」
二人並んで歩く
すると恵美が耳元に口を寄せ囁いた
恵美「ありがと、大好き」
終わり
オチは弱いと思ってるが他に思い付かなかった
次は…√BMCかな
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