【ミリマス】765学園物語 √BMC (442)

朝、ふと目を覚ます

…夢を見ていた

内容は朧気だが、忘れてはいけない大切な約束をした夢

P「あれはなんの約束だったかな…」

忘れてはいけないはずなのに思い出せないもどかしさを抱えながらベッドから抜け出し、制服に着替えて階段を降りる

今日は新年度の始業式、新しい一年が始まる


前スレ
【ミリマス】765学園物語 √RRR
【ミリマス】765学園物語 - SSまとめ速報
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【ミリマス】765学園物語 √FW
【ミリマス】765学園物語 √FW - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1458224404/)

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1459499527

このみ姉さんや桃子と朝食を取り、学園へ向かう

もう何年も繰り返してきたことだ

P「今年も何も変わらないんだろうな…」

晴れた空を見ながらそうぼやく

別に何かに巻き込まれたいわけではないが退屈すぎるのもそれはそれで嫌なものだ

P「ちょっとした刺激でもあればそれが一番なんだけどな」

そんなことを考えていると学園に到着した

…クラス表を見に行くか

張り出されていたクラス表を見ると俺の所属するクラスはAクラスのようだ

リストには海美や冬馬など見知った連中がいたのでやっぱり今年もそんなに変わらないか

…などと考えながら階段を上っているとそれは起きた

踊り場から上に上がる瞬間突然何かがぶつかってきた

「きゃっ!」

小さな悲鳴と共に体に走る衝撃

完全に油断していたので後ろに倒れ込むが咄嗟に頭だけは守る

倒れた自分の上に何かが乗っているのがわかる

P「いてて…」

「ううっ…」

目を向けると紅い瞳の女の子が俺の腹の上に座り込んでいた

制服から察するに下級生だろうか

「あ、ごめんなさい大丈夫ですか?」

P「ああ、なんとか…君の方は?」

「わたしも大丈夫です」

「翼-!待ちなさーい!」

「やばっ!」

恐らく何かやらかしたのか、怒鳴り声に反応する女の子

「翼!」

黒い長髪の女の子が階段の上に現れる

「ごめんなさい先輩!わたし急いでるからまた後で!」

と言い残し走って逃げていった

「あ、待ちなさい!」

しかし紅い瞳の女の子の姿はもう見えなかった

「まったく!逃げ足速いんだから…!」

さっきの子を取り逃がしたからか目の前の女の子の機嫌は悪い

P「さっきの子…一体なんだったんだ?」

「大丈夫ですか」

黒い髪の女の子が声をかけてくる

P「ん、ああ、怪我とかはしてないみたいだ」

「それなら良かったです」

P「それよりもさっきの子は…」

「あの子は伊吹翼、私と同じクラスなんですが…ちょっと気ままな所があって」

P「あー、君がその伊吹さん?を制御する役割を与えられてる訳か」

「まあ、そんなところです」

静香「あ、自己紹介が遅れました、私、最上静香と言います」

静香「制服から察するに先輩…ですよね?良かったらクラスとお名前を教えていただけませんか?」

P「俺はP、高等部の2年A組だ」

静香「A組のP先輩ですね、わかりました」

静香「後ほど翼に謝罪にいかせますのでよろしくお願いします」

P「いや良いよ謝罪なんて」

静香「翼のためなんです」

P「…わかった」

静香「ありがとうございます、それでは失礼します」

そう言って最上さんは立ち去った

一旦ここまで

それはどうかな

Aクラスに辿り着くと冬馬と翔太、海美が話し掛けてくる

いつものように軽口を叩き合っていると、担任となる黒井先生が教室に入ってきた

黒井先生は奇妙な自己紹介をした後、転入生を紹介する

綺麗な銀の髪を持った転入生は四条貴音と名乗った

…さっきの下級生といい、今の四条さんといい

どうやら今年は今朝感じた退屈はあまりせずに済みそうだ

放課後、帰る準備をしていると教室に最上さんがやってきた

静香「失礼します、P先輩はいらっしゃいますか?」

P「呼んだ?」

静香「はい、今朝言ったとおり翼を連れてきました」

P「本当に連れてきたのか…別に良かったのに」

静香「そういうわけにはいきません、ほら翼」

翼「はーい…」

翼「P先輩、ぶつかっちゃってごめんなさい」

P「良いよ、気にしなくて」

P「それよりも君は怪我しなかったか?」

翼「あ、はい、P先輩がクッションになってくれたみたいで」

P「それなら良かったよ」

静香「まったく、階段は飛び降りちゃ駄目だっていつも言ってるでしょ?」

翼「だって静香ちゃんが追い掛けてくるから…」

静香「だってじゃないの、それで翼が怪我をするなら自業自得だけど他の人まで怪我させたらどうするの?今日だって先輩を…」

目の前で説教が始まってしまった

あんまり長引かれても困るので割って入る

P「ともかく、次から気を付けてくれたら良いから」

翼「はーい」

静香「すみませんでした」

静香「ほら翼、行くわよ」

二人は帰っていった

帰り道、何かをじっと見ている伊吹さんを見つけた

P「あれ、伊吹さん何してるんだ?」

翼「え?えっとー…」

P「P」

翼「あ、そうそうP先輩」

P「何か見てたのか?」

翼「そうなんです」

伊吹さんが指を指す、その方向を見ると男子生徒が女子生徒に告白しているところだった

P「出歯亀か?あんまり感心しないぞ」

翼「違います、観察です」

P「観察?」

女子生徒は男子生徒を興味なさそうに振った後、欠伸をしながらどこかへ行ってしまった

残された男子生徒はうなだれて真っ白になっていた

P「これまた随分ばっさり切られたな」

翼「美希先輩、あまりああいうのに興味ないみたいで…」

P「美希先輩…?美希ってあの星井美希か?」

翼「あのかどうかはわかりませんけど美希先輩は美希先輩ですよ?」

星井美希、男女、小中高大問わずに人気で、まるでアイドルのような扱い方をされている生徒だ

彼女に告白した男子生徒は数知れず、噂では一日100回を超えることもあるのだとか

P「なんで彼女を観察してたんだ?」

翼「実はわたし、美希先輩に憧れてるんです」

翼「美希先輩っていつもキラキラしてて、モテモテで、人生楽しそうだから」

翼「わたしも美希先輩を観察してそういう風に生きられたらなぁって」

P「な、なるほど…」

要は星井さんみたいになりたいってことか

寝落ちぃ…

P「伊吹さんはモテモテになりたいのか?」

翼「翼で良いですよ?伊吹さんってなんかあんまり慣れないんで」

P「そうか?じゃあ翼はモテモテになりたいのか?」

翼「というよりは美希先輩みたいに自由に生きてみたいです」

翼「あ、でもでも美希先輩に近付くにはモテモテになった方が良いですよね?」

P「いや、俺にはわからんけど」

翼「モテモテになる方法…どうすれば良いんだろ」

P「友達とかに聞いてみれば良いんじゃないか?最上さんとか」

翼「静香ちゃんはあんまり男の子に興味ないみたいで…むしろ良く怒るから逆に怖がられてます」

P「そ、そうか…」

翼「他には未来は未来だし杏奈ちゃんも百合子ちゃんもどっちかというとそういう方面は弱いんで駄目なんです」

P「…」

翼「だから周りに頼れる人は…そうだ!」

P「何か思い付いたのか?」

翼「はい!P先輩って確か高等部の2年でしたよね?」

P「ああ」

翼「じゃあじゃあ所恵美さん、知ってますか?」

P「恵美なら友達だけど…」

翼「恵美さんって結構モテるんですよね?」

P「んー、モテるかどうかは知らないけど友達はかなり多いな」

翼「じゃあ恵美さんに人が寄ってくる秘訣みたいなのを聞いてくれませんか?」

P「…俺が?」

翼「はい!」

P「まあ別に構わないが…」

翼「やったぁ!じゃあ明日の放課後、P先輩のクラスに行きますね!」

P「えっ」

翼「それじゃあわたしは帰ります!また明日!」

呆気にとられていると翼は鞄を持って走って行った

翌日、翼に頼まれたことを恵美に聞いてみる

P「恵美、ちょっと良いか?」

恵美「ん?どしたの?」

P「恵美はモテモテになる方法ってわかるか?」

恵美「……………………それを聞いてどうすんの?」

P「え?」

恵美「Pはモテモテになりたいの?」

なんだか恵美の機嫌が悪くなった気がする

P「いや、実は後輩に頼まれてな」

恵美「後輩に?」

P「ああ」

恵美「ふーん…ま、良いけど」

恵美「まあまずは見た目なんじゃない?人間内面が大事って言うけどそういうのは人付き合いしてからわかることだし」

恵美「見た目がだらしなかったらいくら内面が良くても…ってなるよね?」

P「確かに」

恵美「だからまずは自分を磨くところから初めて見ると良いんじゃない?」

P「参考になる」

恵美「まあPはそのままで良いと思うよ」

P「なんでだ?」

恵美「なんでも…モテモテになったら海美が可哀想だし」

P「ん?」

恵美「なんでもない」

P「ふむ…」

P「サンキューな恵美、今度何か奢るわ」

恵美「ドリンクバーで良いよ」

P「わかった」





そして放課後、翼が教室にやってくる

翼「P先輩P先輩、どうでした?」

P「そうだな、聞いてみたところをまずは自分を磨くところから始めてみるといいらしい」

翼「自分を磨く?」

P「身だしなみをきちっとしたり着飾ってみたり…かな」

翼「なるほど!確かに美希先輩は凄く可愛いし格好いいですもんね!」

翼「じゃあじゃあP先輩、さっそく行きましょ!」

P「はい?行くってどこに」

翼「わたしが自分磨きをしても感想をくれる人が居ないと変わったかどうかわからないじゃないですか」

翼「だからP先輩に見て貰ってどう変わったか教えて欲しいんです!」

P「ええ…」

翼「だからわたしのモテモテ大作戦に付き合って下さい!」

一旦昨日書く予定だったとこまで

翼に連れられ町に出る

…だが

翼「自分磨きってどうするんですか?」

P「…さあ?」

早速躓いていた

P「翼は身嗜みに気を使ってるみたいだし、なんとなくだけど派手なアクセサリーとかは似合わない気がする」

翼「じゃあどうしますか?」

P「うーん…」

少し考えていると

翼「あ、そうだ」

翼が何か閃いたように顔を上げる

翼「せっかくだし服が見たいです!」

P「服?」

翼「はい!なんか新作が出たみたいなんでどんなのか見てみたいなーって」

P「服か…わかった付き合うよ」

翼「やったぁ!じゃあじゃあ早く行きましょ!」

P「こらこら、引っ張るなって」



翼「P先輩、これとかどうですか?」

P「中々良いんじゃないか?」


翼「P先輩、あれ可愛いですよ!」

P「中々良いんじゃないか?」



翼「P先輩、これ結構セクシーですよ」

P「中々良いんじゃないか?」

結局服を買わずにぶらぶらと町を歩き回る

途中で見つけたアイスクリーム屋でアイスを買い、食べながらあーでもないこーでもないと良いながら作戦を考えているとふと気付いた

…これ、目的はともかくやってることはデートと変わらないんじゃ…

翼「あ、そういえばP先輩」

P「ん?」

翼「なんだかこれ、デートみたいですよね」

P「ぶっ」

翼に言われ吹き出してしまう

P「こほん、デートって言うのは好きな相手とするもんだ、俺達はそういう関係じゃないだろ?」

翼「そうですか?でもでも、静香ちゃんや未来と一緒に買い物したりお喋りするのもデートって言ってますよ?」

俺の知っているデートと翼の言うデートは微妙に違っているようだ

P「それより、どうだ、何かわかったか?」

翼「うーん…正直よくわかりません!」

P「そうか…」

翼「でもこうやって誰かと一緒に考えると何かわかるかも知れないので」

翼「またわたしのモテモテ大作戦に付き合って欲しいなぁ」

P「うーむ」

翼「だめぇ?」

P「…ま、どうせ暇だしな、また付き合うよ」

翼「やったぁ!ありがとうP先輩!」

翼がぴょこぴょこ跳ねる

翼を相手にしていると…何というか、甘えん坊の妹が出来たみたいだ

翼「それじゃあP先輩、わたし今日は帰りますね!」

P「送っていこうか?」

翼「大丈夫です、わたしの家結構近いですから!」

P「そうか、じゃあ気を付けてな」

翼「はーい!P先輩また明日!」

P「ああ、またな」

翼と別れて帰路につく

しかしモテモテになりたい…か

変わった目標だが何故だか応援してやりたくなる

似たような目標を持っている残念な人を知っているからだろうか

それとも…

P「まあ考えても仕方ないか、しばらくは付き合うとしよう」

何も変わらないと思っていた日常が少し変わった気がした

一旦ここまで
頭ではある程度ストーリーは出来てるものの翼も美希も実際に動かそうとすると凄く難しい
それだけに門司先生の凄さが良くわかる

申し訳ない本当に申し訳ないがこの√を一旦中断して練り直す時間を下さい

いや本当に申し訳ない
完成次第再開します
その間は√HWを細々と書くので良かったら

はい

一応このスレで再開予定です
可能な限り2カ月以内に戻ってきます

1週間もあけてしまって申し訳ない
水曜日辺りに√HWを立てる予定です

2、3日休憩を挟むと言ったな?あれは嘘だ

翌日、教室で恵美が話し掛けてきた

恵美「Pさ、昨日町にいなかった?」

P「ん?いたけど、それがどうかした?」

恵美「…隣にいた子、誰?」

P「隣?ああ、翼のことか」

恵美「あの子と、付き合ってるの?」

P「ああ、(モテるための特訓に)付き合ってるぞ」

恵美「…そっか」

P「どうしたんだ?」

恵美「んー、なんでもない、気にしないで」

P「?」

恵美「それじゃあP、お幸せに」

P「??」

昼休み、黒井先生に頼まれて屋上前にある机を取りに向かう

階段を登っていると、上からおにぎりが落ちてきた

P「おっと」

下に落ちていかないようにキャッチする

すると階段の上から声をかけられた

「あ、そこの人、この辺におにぎり落ちてなかった?」

P「おにぎり?もしかしてこれか?」

さっきキャッチしたおにぎりを見せる

「あ、キャッチしてくれたんだ、ありがとうなの」

P「はい」

おにぎりを手渡す

「あー、良かったの、おにぎりがなくなってたらミキはおにぎり成分が足りなくて午後の授業をサボらざるをえなかったの」

P「いやいや、授業は受けようぜ」

思わず突っ込んでしまった

そこで初めて相手をよく見た

眩しい金の髪、愛嬌のあるアホ毛

澄んだ碧の瞳、そして自己主張の強いプロポーション

学園のアイドルと言われている少女が、目の前にいた

P「君は…」

「あ、そう言えば名乗ってなかったの」

美希「わたしは星井美希だよ!よろしくね!」

P「星井…美希」

美希「そこの人、名前は?」

P「俺はP、高等部の2年だ」

美希「高等部ってことは先輩だね、よろしくなの」

P「ああ、よろしく」

美希「おにぎりを拾って貰ったお礼にこれをあげるの」

P「…パン?」

美希「ミキの後輩から貰ったけどミキ、パンよりおにぎりが好きだから食べないの」

美希「腐らせちゃうのも勿体ないから先輩にあげるの!」

P「あ、ああ…ありがとう」

美希「それじゃあミキ、これから屋上でランチタイムだからそろそろ行くね」

P「ああ」

美希「あはっ!先輩とはまた何処かで会いそうなの!じゃあねー」

星井美希は手を振ると再び階段を登っていった

あれが星井美希か…

飄々としていて、まるで気ままな猫のような印象を受けた

ああいう性格なら人気があるのも頷ける

もしこれからも遭遇する機会があるなら翼の作戦にも良い影響を与えられそうだ

星井さんから貰ったパンを見る

…チョコ梅パン?一体これを渡した後輩はどういう意図でこんなものを…

一口食べてみる

P「ごふっ」

一旦ここまで
今日は一応美希との遭遇まで
休憩するつもりだったのに指が動いてしまう不具合

放課後、アイスを食べながら歩いていると翼が話し掛けてきた

翼「P先輩!ゴールデンウィーク暇ですか?」

P「ゴールデンウィーク?確か予定はなかった筈だが」

翼「じゃあじゃあ、わたしとデートしましょう!」

P「デート?」

翼「はい!莉緒さんにモテる秘訣を聞いたらデートを重ねることだって言ってました」

P「まあ一理あるか」

翼「だから、わたしとデートしましょう!」

P「わかった、良いぞ」

翼「やったぁ!これでまた一歩美希先輩に近付ける!」

デートか…

ゴールデンウィークの出来事一つ

寝落ちしてた、申し訳ない

ゴールデンウィークに突入し、俺は約束通り翼とデートをすることになった

待ち合わせはこの辺だったはずだが…

辺りを見渡すと男に声をかけられている翼を発見した

ナンパだろうか?

ナンパしている男以外にも翼に声をかけようとしているのか、結構な人数が翼を遠巻きに見ていた

このままではナンパラッシュになってキリがなさそうなので、さっさと合流しよう

翼のほうへ近付くとこちらに気付いたのか、翼が手を振る

そして男に何かを言った後、こちらに走ってきた

P「おはよう、翼」

翼「おはようございますP先輩!あ、そうだ聞いて下さい!」

P「どうしたんだ?」

翼「ついにわたしもナンパされちゃいました!」

さっきの男はやっぱりナンパだったようだ

P「良かったじゃないか」

翼「はい!やっぱり莉緒さんの言ってた通りデートをするとモテるんですね!」

P「あ、うん、そうだな」

P「ところでなんて言って断ったんだ」

翼「あ、えーっと…今は夢中になってる人がいるから、また今度って」

P「夢中になってる人か…それって」

翼「はい!美希先輩のことです!」

P「あ、うん、やっぱりね」

俺は一瞬何を期待したのだろう

P「さて、それじゃあどうする?」

翼「服!服がみたいです!」

P「服ね、了解」

翼「ほらほらP先輩!早く早く!」

翼が腕を絡め、催促してくる

P「わかったわかった、引っ張るな」

周りの男達の視線が痛かった

最近の日課になりつつある翼との散策と同じようなものだと考えていた

しかし今日は散策ではなくデートで、翼もオシャレをしているし、心なしかいつもより距離が近い

というよりも腕を組んでいるため歳の割には大きいそこに腕が埋まっている

しかし指摘したら負けな気がして、あえて黙っておこう

決して感触を楽しみたいからではない

今日はデートということで、普段は行かないデパートで服を見ていた

しかし一緒に行動していたのは最初だけ、気が付いたら翼は何処かに行ってしまい、今は翼を探している状態であった

P「電話をかけても出ないし…翼の奴、どこに行ったんだ?」

確かデパートに入って、二つくらい店舗を回った辺りまでは一緒だったのを覚えている

だからこうしてその周辺を捜していたのだが…

P「やっぱりいないな…」

他の階に移動してしまったのだろうか

最悪、迷子センターに連絡をするか…

などと考えていると背中に誰かがぶつかってきた

「わぷ」

P「おっと」

振り返ると見覚えのある金髪が額を抑えていた

P「君は…」

美希「あ、先輩なの、こんにちはなの」

P「こんにちは、星井さん」

美希「美希で良いの」

P「いや、呼び捨ては…」

美希「美希」

P「…こんにちは、美希」

P「美希はなんでここに?」

美希「ミキはね、このデパートでやってる物産展を見に来たの」

P「物産展?」

美希「なの、そこで特別なおにぎりが売ってるって話を聞いたの」

美希「ミキはそのおにぎりに興味があって、食べてみたいって思うな」

P「特別なおにぎり…ね」

美希「でも購入制限があって一人三つしか買えないの」

美希「だからそこら辺の人に声をかけて、手伝ってもらおうかなって思ったの」

P「人手がいるって事か…じゃあ、手伝おうか?」

美希「良いの?」

P「どうせ今連れとはぐれて暇してたしな」

美希「ありがとうなの!じゃあ早くいこ!」

美希「ちょー美味えの!」

P「そりゃ良かった」

物産展は盛況で、おにぎりを買うのに30分ほどかかってしまった

美希「先輩のおかげなの!」

P「それほどでもないよ、それじゃあ俺は連れを捜す作業に戻るよ」

美希「それ、ミキも手伝っていい?」

P「え?」

美希「おにぎりのお礼なの」

P「んー、じゃあお願いしようかな」

P先輩どこ行っちゃったんだろ

気が付いたらP先輩が迷子になっちゃった

もしかしてつまらなくて先に帰っちゃったのかな…

もう少し捜してみて見付からなかったら迷子センターに聞いてみようかな…

P先輩を捜していると物産展のところまで来ていた

目玉商品はおにぎりだって、美希先輩が喜びそう

そんなことを考えていると、少し先にP先輩によく似た背中があった

声をかけようと思い、隣にいる人を見て、固まった

…美希先輩?

P先輩の隣に美希先輩がいた

美希先輩は上機嫌でP先輩の腕を取っていた

…楽しそう

P先輩もP先輩で満更でもないみたい

…良いなぁ

なんだか面白くないので、わたしは早足で二人に近付いていった

一旦ここまで
家にいると布団から離れられなくて困る

今思い出したけど√RRRで美希を同学年にしていた件
明らかに矛盾してるけどパラレルって事で許してクレシェンド

風邪引いちまった!
今日は無しで

熱も下がって回復したので明日より再開

美希「ところで先輩の捜してる人ってどんな人なの?」

P「えーっと」

俺は美希に翼の容姿を説明する

美希「ふーん…ミキは見たことないの」

P「そうなのか」

翼のことだから美希と接触してるもんだと思ってたけど…

P「とりあえず他のフロアを探しに行こう」

足を踏み出そうとした瞬間、左腕に誰かが絡まってきた

翼「P先輩!」

それは捜していた翼だった

P「翼!?一体どこにいたんだ」

翼「P先輩こそ、服を見てたらいきなりいなくなっちゃってて心配したんですよ!」

P「いきなりいなくなったのは翼のほう…いや、言っても仕方ないか」

美希「その子が捜してた子?」

翼「あ!美希先輩!」

美希「?ミキのこと知ってるの?」

翼「翼です!中等部2年の伊吹翼!覚えてないですか?」

美希「覚えてないの」

翼「そんなぁ~…」

美希「なんにせよ先輩、捜してる人が見付かってよかったね」

P「ああ、美希ありがとうな」

美希「ミキ何もしてないよ?」

P「一緒に捜すって言ってくれただろ?」

美希「んー、なんか良くわかんないけど…どういたしましてなの」

美希「それじゃあミキは帰るね、先輩、おにぎりありがとうなの」

P「ああ、それじゃあまた」

翼「P先輩、美希先輩とデートしてたんですか?良いなぁ…あれ?」

P「いや、デートじゃないから…どうした?」

翼「んー…なんでもないです!」

P「そうか?」

翼「はい!…んー?」

P「それじゃあデート、続けるとするか」

翼「はーい!」

その後、翼と買い物を続けた

買い物で手に入れた福引き券で福引きを回すと、ペアで行く二泊三日の温泉旅行が当たってしまい、押し付け合ったが結局俺が貰うことになった
このみ姉さんにでもあげるか…

一旦ここまで
翼は自分自身どっちに嫉妬しているかわかっていない

ちょっと予定を変更

765学園物語 HED

After
√RRR A
√FW A
√BMC A
√Pn A
√HW A

Another
√PG
√LR
√D
√MT
√TP
√SSL
√C

√CをAnotherへ、それに伴い√BMC、√Pnで765学園物語は終了になります

それと√HWで乗せたキャラ設定、Another組は志保とこのみさんを除き、微妙に設定が変化するので忘れてください

球技大会の日、俺は翼に頼まれて翼の競技を見に行くことになった

翼曰く美希はスポーツも万能なので上手く活躍できたらモテモテになれるかもしれないので見ていて欲しいそうだ

P「中等部のバスケはどこでやるんだ…?」

2年前と場所も変わっているので昔の記憶は当てにならない

なによりうちの学園は無駄に広いのだ

「ちょっとあんた」

後ろから声をかけられた

この生意気そうな声は…

P「…伊織か」

振り返ると予想通り、中等部プロデューサーの水瀬伊織が立っていた

伊織「あんた高等部の生徒でしょうが、中等部に何の用よ」

P「いや、翼に頼まれて中等部のバスケを見に行く所なんだ」

伊織「翼に?あんたたち知り合いだったの?」

P「ああ、ちょっとな」

伊織「ふーん、あの子が男子に声をかけるなんて珍しいこともあるものね」

伊織「なんにせよあまり挙動不審だと不審者扱いされるわよ、気を付けなさいよね」

P「そんなに挙動不審だったか?」

伊織「高等部の生徒が中等部でキョロキョロしてたらどう考えても不審者じゃない」

P「それもそうだな」

伊織「翼の出るバスケなら第4体育館よ、場所はわかるわね?」

P「第4体育館ね、了解、ありがとう」

伊織に場所を教えてもらい、第4体育館へ向かおうとする

伊織「あんたたちがどういう関係かは知らないけど」

後ろから伊織が声をかけてくる

伊織「翼のこと、よく見てないとあの子を傷付けることになるわよ」

P「?どういう…」

伊織「秘密、自分で考えなさい」

伊織はこちらを振り向くことなく立ち去った

第4体育館

扉を開くとそこは別の世界だった

ユクゾ ユクゾ セッカッコー

テンショー テンショー

学生のレベルとは思えない、とてもハイレベルな「バスケ」が繰り広げられていた

翼はまだ競技に参加していないようだ

少し捜してみるとチームメイトと作戦会議をしているようだ

試合が終わってから声をかけるとするか

翼の試合が始まった

翼は運動神経が良いのか、要所要所で活躍していた

時に真っ直ぐに、時にトリッキーに

フィールドを縦横無尽に駆け回る翼は魅力的で

俺はすっかり目を奪われていた

そして翼達のワンサイドゲームで試合は決着した

試合後、自販機でスポーツドリンクを買って翼に声をかけた

P「翼、お疲れさま」

翼「P先輩!見ててくれました?」

P「ああ、見てたよ、凄く良かった」

翼「これならわたし、モテモテになれると思いますか!?」

P「ああ、あれだけ格好良かったら男子が放っておかないだろうな」

翼「やったぁ!」

翼が飛び付いてくる

汗の匂いと翼の匂いが混じり、少しドキッとした

P「おーよしよし」

翼の首に掛かっていたタオルで翼の頭を拭く

翼は特に何も言わず、されるがままだった

翼「P先輩」

P「ん?」

翼「P先輩は、さっきのわたしのこと、放っておきませんか?」

P「…もちろん、独り占めしたいぐらいだったよ」

翼「えへへ~…」

翼がはにかんだ

一旦ここまで
翼の髪の毛わしゃわしゃしたい

昨日は書く間もなく寝ちゃった、すまんね

翼の髪を拭いていると翼が目を瞑って気持ち良さそうにしていた

改めて翼って妹みたいだなーと思う

P「翼って妹みたいだな…」

思ったことがポロッと口から出てしまった

すると聞こえたのか、翼が目を開いて首をかしげた後

翼「…お兄ちゃん?」

と言った

P「ごふっ」

あまりの衝撃に吐血しそうになる

がくりと膝をついた俺を翼が心配そうに見ていた

翼「P先輩?」

P「…」

俺は立ち上がると

P「翼は可愛いなぁ!」

翼の頭をくしゃくしゃと撫でた

翼「わわっ!P先輩!?」

P「はっ!」

思わず翼の髪をなで回してしまった

P「す、すまん、うちの妹が反抗期で甘えてくることが無くなってたからつい…」

翼から手を離すと翼は少し考えた後

翼「P先輩がそれでいいなら、これからはPお兄ちゃん先輩って言いますよ?」

と抗いがたい事を口にした

一旦ここまで
昨日考えてた展開が起きたら忘れててメモしとけば良かったと後悔

P「ととととにかく、い、今はP先輩でいいから…」

翼「え~」

P「わかったか?」

翼「は~い」

翼の髪も拭き終わったので最後にくしゃりと頭を撫でてやると翼は猫のように目を瞑った

P「それじゃあ、次も頑張ってな」

翼「は~い、それじゃあPお兄ちゃん先輩、また後で!」

P「つ、翼!」

翼は楽しそうに笑いながら走って行った

765学園では毎年一回、近所の砂浜を貸し切って学園全体での海水浴を実施している

この時持ってくる水着は特に指定されておらず、学園指定のセーラー水着でも自前の水着でも構わない

もっとも毎年過激な水着を持ってくる生徒がいて問題になってるらしいけど…

P「さーて、どうしようかな」

冬馬と翔太は北斗と言う先輩に付いていった

海美は真と一緒に砂浜を爆走している

恵美はエレナ、田中さんと一緒に行動しているようだ

詰まるところ一人で色々と持て余していた

一旦ここまで
美希同行ルートか翼同行ルートかで悩んでる

砂浜を歩いていると少し先で美希が告白されているのを見つけた

いつも通り美希は興味なさそうにしていたが、男子の方は妙に食い下がっていた

いつもとは違うパターンだ

最初はどうでも良さそうだった美希の顔が困り顔になっていた

助けるべきか悩んでいると周囲を見渡した美希と目が合った

美希は何かを思い付いたような顔をするとこちらに手招きをしていた

無視するのもアレなので大人しく美希の方へ向かう

P「美希、どうしたんだ?」

美希のすぐ側まで近寄ると男子はなんだこいつといった顔をする

告白の現場にいきなり現れたらそういう気持ちにもなるだろう

突然、美希が俺の腕に抱き付いた

P「み、美希!?」

突然の出来事に狼狽えてしまう

すると美希は小声で

美希「先輩、話を合わせてほしいの」

と言ってきたので俺は小さく頷いた

美希「そこの人、悪いけどこの人がミキのハニーなの」

美希「だからミキに告白しても無駄だって思うな」

P「そういうことだ、悪いな」

流石に美希に恋人がいると分かったからにはこれ以上は食い下がれない

男子生徒は肩を落として去って行った

美希「ふー…今日のはちょっとしつこかったの」

P「モテるのも大変だな」

美希「別にミキ、モテたいわけじゃ無いのにみんなが勝手に声掛けてくるから困るの」

P「はは…」

翼はモテようと必死に美希を参考にしてるのに当の本人はモテる気がないのは面白いな

P「それじゃあ俺はこれで」

美希「ちょっと待って欲しいの」

いまだしがみつかれたままの腕が引っ張られる

美希「先輩、この後って用事あったりするの?」

P「いや、特には」

美希「だったら今日一日、ミキに付き合って欲しいの」

P「えっ」

美希「だってまたさっきの人に会うかもしれないし、それに先輩と一緒ならきっと告白もされないって思うな」

P「それは確かに」

付き合ってる人がいるからとフラれた後に一人でいたら不審に思われるのは間違いないだろう

P「わかった、じゃあ今日は美希に付き合うよ」

美希「ありがとうなの、ハニー!」

P「は、ハニー?」

美希「ミキね、付き合う人のこと、ハニーって呼ぶって決めてるんだ」

P「そ、そうか」

わたしは砂浜を腕を組んで楽しそうに歩いている二人を遠くから見ていた

美希先輩は言わずもがな、P先輩も楽しそうな笑顔だった

…わたしと一緒の時はあんな顔見せてくれないのに

それに美希先輩と引っ付いててずるい

そんなことを思っていると未来がやって来た

未来「翼~なにしてるの?」

翼「あ、未来、う~ん、特に何も」

翼「そういう未来は?」

未来「私?私は静香ちゃんから逃げてるところ」

そういう未来は着替えていなかった

翼「未来…また逃げてるの?」

未来「だって水着嫌だし…あ、美希先輩だ」

未来「あれ?美希先輩の隣に男の人が…腕組んでるし付き合ってるのかな?」

未来の何気ない一言に妙な苛立ちを感じた

イラッとすることは何も言ってないはずなのに

翼「どーだろー、もしかしたら付き合ってるフリかも」

未来「なんで?」

翼「なんで?って…」

…何でだろう

そんなことを口にした理由を考えていると静香ちゃんの声が聞こえた

静香「未来!見つけたわよ!」

未来「やば!翼!また後で!」

静香「あ!待ちなさい!」

未来は走って逃げ、静香ちゃんもそれを追い掛けていった

一人になったわたしはさっきのことを考える

けれどいくら考えても答えは出ない

いつしか二人の姿は見えなくなっていた

一旦ここまで
結局美希同行ルートに

では今回も夏休みイベント一つを募集

あ、今日の分完成してないので今日は無しで
その代わり質問とかAfter、Anotherへの希望があればどうぞ

卒業式をメインに、ということ?

卒業…卒業か…少し難しいかも

Another√ってここまでの√に比べてどのような点が変わるんでしょうか

>>194
1学年あがります

これ以上√増やしたら100%エタる自信あるので許して欲しい

明日は昼頃更新予定
夏休みイベントの提供はいつでもウェルカム

夏休みに入ってすぐ、翼から電話があった

翼『P先輩!プールいきましょ-!』

P「プール?」

翼『はい!最近出来た市民プールありますよね?そこいきましょ!』

P「良いぞ、いつ行く?」

翼『今から!』

P「今からかよ…まあ良いけど、それじゃあプール前集合な」

翼『は~い!』

市民プールに到着すると翼は既に待っていた

P「悪い、待たせたか」

翼「あ、P先輩!わたしも今来たところです!」

P「そうか」

翼「えへへ、なんだか今のってデートの待ち合わせみたいでしたね!」

P「ん?まあそうだな」

特に気にしていなかったが言われてみれば確かにそれっぽいな

P「まあ何でも良いか、それじゃあ入ろうか」

翼「は~い」

P「あ、入場料は俺が出すから」

ま、このくらいはな

ささっと水着に着替え、翼を待つ

5分ほど待っていると翼がやって来た

翼「P先輩!お待たせしました!」

P「…ほう」

そういえば海では翼と会わなかったから水着を見ていなかったが、かなり可愛い

P「可愛いな、翼によく似合ってる」

翼「えへへ…」

翼は顔を赤くしてもじもじしていた

ある程度遊んだ頃、喉の渇きを覚えたので飲み物を買いに行くことにした

P「翼、何か飲むか?」

翼「P先輩にお任せ!」

P「はいはい」

俺はプールから上がると飲み物を買いに行った

飲み物を手に翼の元に戻ると、翼が男に声をかけられていた

最近翼はよく声をかけられる

二人でいるときにも声をかけられる事があったので一人ならもっと声をかけられているのかもしれない

翼とのモテモテ作戦は案外効果が出ているのだろう

実際翼は初めて会った頃より可愛くなった気がする

まあそれは置いといて、今は俺と遊びに来ている以上、男にはお引き取り願おう

P「翼、お待たせ、林檎ジュースで良いか?」

翼「あ、P先輩!」

翼をナンパしていた男は翼が男連れだとわかると舌打ちをして去って行った

P「またナンパか?」

翼「はい、モテモテ作戦始めてからたくさん声かけられるようになりました」

P「やっぱりか」

翼「でもなんていうか…」

P「ん?」

翼「声、かけられてもあんまり嬉しくないんです」

P「どういうこと?」

翼「わたしもよくわかんないんですけど…」

翼「なんか、声をかけてくる男の人の言葉って胸に響いてこないんです」

翼「P先輩がわたしを褒めてくれると嬉しくなるけど、他の人の言葉はなんだか上辺だけって言うか…」

翼「とにかく、声をかけられなくなってもわたしはP先輩が褒めてくれるならそれで良いかなって」

P「…そっか」

翼の頭を撫でてやる

翼は気持ち良さそうに目を細めてされるがままだった

P「せっかくだし今日は一日遊びまくろうか」

翼「わ~い!」

P「夕飯もどっか食べに行くか?何が良い?」

翼「ステーキ!ステーキが良いです!」

P「…ファミレスにするか」

翼と一日かけて遊んだ

お風呂に入った後わたしは髪も拭かずベッドに寝転がった

P先輩、水着を褒めてくれた

静香ちゃんや未来と一緒に選んだ新しい水着

真面目に選んで良かった

自分の湿った髪に触れる

P先輩に頭を撫でて貰うのは好きだ

わたしのお兄ちゃんやお父さんとはまた違った大きな手で、ちょっと乱暴だけど優しく撫でてくれる

それだけなのにすっごく安心できる

翼「えへへ」

今日もナンパされた後頭を撫でてくれて嬉しかった

モテモテ作戦が成功してるのか最近はナンパも増えたしクラスの男の子も良く声をかけてくる

でもわたしは彼らと付き合いたいとか、そういう気持ちには一切ならなかった

あんなにモテモテになりたかったのに何でだろう?

美希先輩みたいにモテモテになって、人生楽して生きていきたい

それが目標だった

でも今はそうは思わなかった

ナンパされている時、いつも頭に浮かぶのはP先輩の事だった

P先輩はわたしをまっすぐに見て褒めてくれた

でも他の人は言葉は同じでも中身がなくて、なんだかつまらなかった

結局わたしはP先輩に褒めて欲しいだけなのかも

翼「…なんか良くわかんないや」

美希先輩のようになりたい、でも今は、それじゃ駄目な気がした

一旦ここまで
22時以降にまた

今日も今日とて翼と町に来ていた

いつものように一緒に服を見たり、クレープを食べたりしている

ただプール以来変わったことがあった

翼「P先輩P先輩、P先輩はこれとこれ、どっちが好きですか?」

翼が男としての意見ではなく俺個人の意見を求めてくるようになった

P「それならこっちの方が良いかな」

翼「じゃあこっちにします!」

翼は商品を手に取るとレジに持って行った

上機嫌で買い物袋を持つ翼と歩いていると後ろから声がかけられた

美希「あれ、ハニー?」

特徴的な呼び方に振り返ると美希がアイスを食べながら立っていた

P「ん?おお、美希か」

美希「こんなところで奇遇なの」

海での偽装恋人以降なにが気に入ったのかは分からないが美希は俺をハニーと呼び続けていた

何度かやめるように言ったのだが聞き入れては貰えなかったので諦めた

P「そうだな、町で会うのはデパートの時以来か?」

美希「だね、ハニーは何してるの?」

P「俺か?俺は…」

美希「あ、ハニーもしかして暇?じゃあミキと遊ぼうよ!」

P「ええっ?」

美希が俺の手を取り引っ張ろうとする

しかしその手は横から伸びてきた手に阻まれた

美希「?」

翼「…」

俺の手は、翼に握られていた

咄嗟にP先輩の手を握ってしまった

美希先輩にP先輩を取られちゃう

そう思ったら咄嗟に体が動いてた

美希「ハニー、その子は?」

P「翼、伊吹翼、覚えてないのか?」

美希「全然、ミキ、興味ないことは覚える気ないの」

美希先輩に覚えられていない、前までならショックを受けてたかもしれない、でも今はそんなことはどうでもいい、重要じゃない

翼「美希先輩、P先輩は今わたしとデートしてるんです、だから」

美希「…ふーん、でもそんなのミキには関係ないの、ミキがハニーと遊びたいからハニーを連れて行くだけ」

翼「じゃあわたしもついていっても良いですか?美希先輩が嫌がってもわたしには関係ないですから」

美希「あはっ、面白いこと言うね」

翼「わたしだってデートの邪魔されたくないですもん」

美希「…」

翼「…」

わたしの中で、美希先輩は憧れの人から越えるべき相手に変わった

…なんだこれ

美希の手が伸びてきたと思ったら翼に手を握られ二人はにらみ合っていた

僅かな時間で一気に状況が変わり理解が追いつかなかったがようやく再起動できた

P「あー、美希、今日は翼と遊びに来てるからさ…その、悪いな」

美希「…ハニーが言うなら仕方ないの、今日は引き下がるね」

美希は俺から離れると翼に向き直った

美希「…確か翼って言ったよね?」

翼「はい」

美希「ミキ、欲しいものは全部手に入れるの」

美希「だからハニーも絶対振り向かせてみせるから、翼をミキのライバルだって認めて覚えててあげる」

翼「わたし、美希先輩に負ける気はないです、美希先輩にだけは負けません」

美希「その自信、あっという間に砕いてやるの」

美希はそれからもう一度俺に向き直ると

美希「ハニー、絶対ミキのものにしてあげるから、覚悟してね?」

そう言い残し視界から姿を消した

美希が立ち去った後、俺達は少しの間そのままでいた

俺の手は未だ翼に握られたままだ

少し力が入って痛いくらいだが、それだけ翼の覚悟が伝わってきた

翼「P先輩」

P「ん」

翼「モテモテ作戦、今日で終わりにします」

P「…」

翼「美希先輩に憧れているだけじゃ絶対に勝てないから、だから」

翼「美希先輩を越えるために、美希先輩の背中を追うのは終わりにします」

翼「わたしは、美希先輩を追い越します」

それから夏休みをこれといったイベントもなく終わりを迎えた

そして夏休み明けの登校日

休み明け特有の憂鬱さに包まれながら通学路を歩いていると

美希「ハニー!」

美希に声をかけられてた

振り返ると

P「よう美…希…?」

髪を切り、茶髪になった美希がいた

一旦ここまで

おかしい…本来はこんなに美希を出す予定はなかったのに
夏休みって展開変えるのにうってつけだからどうしても急展開になりがち

美希先輩スレの翼も嫌いじゃ無いけど、昔の美希にちょっとライバル心持ってた翼が一番好きだった

P「ど、どうしたんだその髪!?」

美希「ミキね、本気出すって決めたの」

美希「だからこれは心機一転の証みたいな感じ」

P「な、なるほど…」

美希「というわけでハニー、今からミキとデートしよ!」

P「はい?」

美希「夏休みの間は色々あってデート出来なかったの、だからその分いーっぱいデートするの!」

P「いやいやいや、学園はどうすんだ」

美希「そんなの後で考えれば良いの!いこっ!」

翼「駄目です美希先輩!P先輩はわたしとデートするんです!」

いつの間にか隣にいた翼が俺の腕を取る

美希「むっ!翼、ミキが先に声をかけたのに横取りするなんて汚いの!」

翼「わたしもなりふり構ってられないですもん!」

美希「ならハニーに決めてもらうの!」

翼「わかりました!P先輩!わたしと美希先輩、どっちとデートしますか!?」

美希「決めて!」

P「…翼、とりあえず腕を放してくれ」

翼「はい」

翼が俺の腕を解放する

そして俺は自由になった両手を手刀の形にし、二人の頭に振り下ろした

翼「いたっ!」

美希「のっ!」

P「サボる気はないからどっちともデートしない」

俺は頭を抑えている二人を置いて通学路を歩いて行った

翼「あっ!待ってくださいP先輩~!」

昼休み

冬馬「弁当食おうぜ」

P「おう」

翔太「お腹空いたよ~」

冬馬達と昼食を食べるために準備をしていると二つある教室の扉が両方勢いよく開いた

美希「ハニー!」

翼「P先輩!」

美希と翼が早足で俺達の座っているところへ向かってくる

冬馬「な、なんだお前ら!」

美希「茶髪!邪魔なの!」

冬馬「お前も茶ぱぐわぁ!」

立ち上がりかけた冬馬が美希に足払いされて地面とキスをした

美希が冬馬を倒している間に翼は俺の隣に座っていた

翼「えへへ、P先輩!一緒に食べましょ!」

美希「あっ!」

翼はバスケットを取り出すと机の上に広げた

中には少々不格好だがサンドイッチが敷き詰められていた

P「これ、翼が作ったのか?」

翼「はい!お姉ちゃんにも手伝って貰いましたけど、わたしが作りました!」

翼「まだサンドイッチとかおにぎりみたいな簡単なものしか作れないけど、これからはお姉ちゃんとかお母さんに教えてもらってP先輩にいっぱい食べさせてあげますね!」

翼のサンドイッチをつまみ、一口食べる

…なかなか美味しい

P「そうだな、楽しみにしてるよ」

翼「はい!」

美希「ぐぬぬ…」

放課後

冬馬「どっか寄ってかねーか?」

P「そうしたいのは山々なんだが、多分また美希と翼の襲撃があるはずだからな…」

冬馬「また明日なー」

冬馬は手をあげると良い笑顔で走って行った

冬馬が見えなくなった直後

翼「P先輩!」

美希「ハニー!」

翼「わたしと!」

美希「ミキと」

翼「デートしましょ!」

美希「デートするの!」

P「はあ…」

頭痛が痛い

翼と一緒に町に来ていた

公平にじゃんけんをした結果、翼が勝ったのだった

翼「P先輩、どこ行きますか?」

P「いつも通り服を見てぶらぶらする感じで良いんじゃないか?」

翼「じゃあいきましょー!」

デートを終え、帰りにある公園のベンチに腰を下ろす

そこで俺は思ってたことを翼に聞いてみた

P「なあ翼」

翼「?」

P「翼は、美希に勝ちたいから今俺を取り合ってるのか?」

もしそうなら翼のためにならない、恋愛的に好きじゃない相手と付き合ってもお互いに不幸になるだけだ

翼「逆ですよ、P先輩」

P「逆?」

翼「はい」

翼「美希先輩に勝ちたいからP先輩を取り合ってるんじゃなくて」

翼「P先輩を取られたくないから美希先輩に勝ちたいんです」

P「…なんで翼は俺を取られたくないんだ?」

翼「最初は良くわかんなかったんですけど…」

翼「わたしのためにいっぱいデートしてくれましたよね?おかげでナンパされたりするようになりました」

翼「でもナンパされてもつまんなかったです、みんな褒めてくれるけど、上辺だけで…」

翼「でもP先輩はちゃんとわたしを見て褒めてくれました、それがすっごく嬉しくて」

翼「P先輩はわたしのこと、ちゃんと見てくれてるんだなって」

翼「そしたらわかったんです、わたし、本当はモテたいんじゃなくてP先輩に見て欲しい、褒めて欲しいんだって」

P「…」

翼「そう思ってすぐに美希先輩がP先輩を持って行こうとして…」

翼「P先輩が美希先輩と付き合ったらわたしを見てくれなくなると思ったらすっごく怖くなって」

翼「だからわたしは美希先輩と戦うことにしたんです」

P「…翼は妹みたいなものだからな、ちゃんと見てやるのは当然だ」

翼「わたし、それ嫌」

翼「妹じゃなくて、ちゃんと女の子として見て欲しいな…ダメ?」

P「おうっ」

上目遣いの翼に思わずぐらっときてしまった

元々可愛いと思っていたが、また一段と可愛い

翼「わたし、P先輩が好きになっちゃいました」

翼「だからこれからどんどんアタックしていきますね!」

P「…周りの迷惑にならないようにな」

翼「はい!」

ベンチから立ち上がり埃を払う

翼「P先輩!」

P「ん?」

呼ばれて振り返ると

翼「ん」

頬に柔らかい感触があった

翼「~♪」

静香「翼、機嫌良いわね」

翼「あ、わかる~?」

静香「わかるわよ、鼻歌歌ってるし」

翼「えへへ~」

未来「でへへ~」

静香「で、どうしたの?」

翼「わたし、先輩に告白しちゃった~」

静香「先輩?もしかして、以前あなたがぶつかったP先輩?」

翼「うん、色々あってあれからずっとお世話になってたんだ~」

静香「もう…先輩に迷惑かけちゃダメよ?」

翼「大丈夫、P先輩わたしにとっても優しくしてくれるから」

静香「そう、良かったわね」

未来「静香ちゃーん、もっと私に優しくして~」

静香「未来は宿題終わらせなさい」

静香「それで、付き合うことになったの?」

翼「ううん、まだだよ」

静香「まだ?返事は保留にされてるの?」

未来「ねえ~静香ちゃーん、宿題保留にしていいー?」

翼「違う違う、実は他にもP先輩の事が好きな人がいて、その人と勝負してるんだ」

静香「それ、誰なの?」

翼「美希先輩」

静香「!」

翼「でもでも、わたし負けない、美希先輩を絶対に越えるから」

翼「だってP先輩は誰にも渡したくないもん」

静香「翼の気持ち、良く伝わってくるわ」

未来「静香ちゃんに伝われ!私の気持ち!」

ゴスッ

未来「」

静香「翼、私も応援するわ、頑張って」

翼「うん、ありがとう静香ちゃん」

一旦ここまで

今日は更新出来ない、申し訳ない

それから数日

美希「今回はミキの勝ちなの!」ふんす

翼「うう…」

美希「というわけでハニー!ミキとデートするの!」

P「はいはい」

美希「あのね、ミキね、ハニーといると日に日に胸がきゅんきゅんっていうの、これってなぁに?」

P「心臓の病気だな、病院に行った方が良いかもしれない」

美希「そんなのってないの!」

美希「!」

美希「じゃあハニー、本当に心臓の病気かもしれないから、触って確かめて欲しいの!」

P「!?」

翼「!?」

美希「ハニー、はやくはやく!」

美希に手を掴まれ胸元に引き寄せられる

いやいや流石にそれはマズい

P「美希、それは流石に…って力強いな!?」

抵抗しているのに少しずつ胸に近付いていく

美希「ハニィ…!抵抗はやめるの…!」

P「美希…!」

翼「美希先輩!それは駄目です!」

翼が美希を止めに入る

美希「翼!負けたのに介入するのは卑怯なの!」

翼「卑怯でもなんでも、それは駄目です!」

翼が綱引きのように俺の腕を引く

しかし美希も負けじと俺の手を引いているので…

P「痛い!腕痛いって二人とも!」

やがて美希の手が滑ったのか、俺と翼は急に手を離されバランスを崩して転倒した

美希「あっ!」

P「おわっ!」

翼「きゃあ!」

P「あいてて…あっ」

翼「いたた…」

倒れた位置の関係上、俺は翼に押し倒されたような体勢だった

P「…」

翼「…」

黙って見つめ合う

音が消え、この世界に俺と翼、二人だけが存在しているような感覚を覚えた

P「翼…」

少し視線を下にやると、地球の引力に引かれた大きいものがあった

制服は少しはだけており、深そうな谷と周りを守る布が見え、思わずつばを飲む

翼「P先輩…」

翼の手が俺の頬に添えられる

翼「わたし…」

P「翼…」

このまま雰囲気に飲まれても良いかもしれないそう思ったとき…

美希「むー…二人だけの世界に入ってずるいの!今日の勝負に勝ったのはミキなのに!」

美希の言葉に現実に引き戻された

立ち上がると美希は涙目でこちらを睨んでいた

P「ごめん美希、今日勝ったのは美希だったよな、お詫びに今日は奢るよ」

美希「…」

美希の手を引き、早足で教室を出る

赤くなった顔は誰にも見られたくなかった

一旦ここまで
みきつばの勝負を長く取るのもアレなのでぱぱっと終わらせようと思ってるけどどうでしょう?

公園での告白、教室でのハプニングを経て俺は翼を意識していた

特に教室ではあんな色っぽい表情をされて、意識するなと言う方が無理だろう

となると…

P「…美希になんて言おうか」

出来れば美希とはこれからも友人として付き合って行きたい

だから振って傷付けるにしても出来る限り傷は浅くしてあげたい…が

P「フラれる時点で滅茶苦茶傷付くよな…」

どうあがいても無理な気がする

それならいっそきっぱり振る方が良いのかも知れない

問題はどのタイミングで言うか…だが

その時、教室に男子生徒が入ってきて俺を呼んだ

男子生徒曰く体育教師が手伝って欲しいことがあるので体育倉庫に来て欲しいとのこと

P「何で俺が?」

違和感を覚えながら体育倉庫に向かった

体育倉庫に到着し、扉を開けるも誰もいない

悪戯か?と思ったがもう5分ほど待ってみようと思った直後、俺は誰かに突き飛ばされた

P「!?」

咄嗟のことに受け身は取れなかったが、幸いにも倒れた先にはマットが敷いてあり、怪我はしなかった

体育倉庫の扉が閉められ、内側から鍵がかけられた

薄暗い中目をこらしてみると鍵をかけた人物に見覚えがあった

P「…美希?」

美希が扉を背に立っていた

顔は伏せていて表情は見えない

P「美希、一体これは…」

美希に声をかけるが美希は応えず、代わりに早足でこちらに近付くと飛び付いてきた

P「いっ!?」

思わず抱き止めるも勢いは殺せず、俺は背中から叩き付けられるようにマットに押し倒された

P「げほっ、み、美希!」

美希の顔を見ると無表情だった、しかし眼だけは力強い意志を感じさせる眼だった

P「み」

言葉を口にする前に、美希は俺の顔に手を添えて唇を奪った

ただ唇を引っ付けるだけのものではなく、舌を使い相手の口内を蹂躙する荒々しいものだ

やがて唇を放すと美希は深く息を吐いた

P「美希…」

美希「ミキね、春香に聞いたの」

ハルカ…天海春香か

美希「男はね、キセージジツさえ作っちゃえば良いって」

美希「ハニー、この前の教室で翼にどきどきしてたの」

P「そんなことは…」

美希「とぼけても無駄だって思うな、だって好きな人の考えてることくらいわかるの」

美希「だから」

美希は制服の上を脱ぎ捨てた

P「なっ!」

美希「ミキはミキのカラダで、ハニーを夢中にしてみせるの」

一旦ここまで
アイドルヒーローズリベンジ走るので更新は遅くなりそう

美希は俺の手に指を絡めると、俺の腹に馬乗りになった

美希は俺を見下ろしながら舌なめずりをする

P「…?」

しかし拭いきれない違和感を覚え、神経を集中する

そしてあることに気付いた

P「美希」

美希「ミキなの」

P「お前、震えてないか?」

美希「…ミキは震えてなんかいないの、仮に震えてるとしたらこれからの未来を想像して歓喜してるからだって思うな」

そうは言いつつも繋いだ手からははっきりと美希の震えがはっきりと伝わってくる

P「美希、本当は怖いんじゃないか?」

美希「怖くないの、美希は嬉しいの」

P「じゃあなんで震えてるし、すぐに手を出さない?」

美希「…こういうのは順序を踏まないと意味ないって思うな」

P「既成事実がどうこう言ってたのにか」

美希「…」

P「美希」

俺は指を解くと

美希「あっ」

美希を抱き寄せた

P「ごめんな」

美希を抱き締めながら頭を撫でてやる

美希「…ぐすっ」

P「こんなことをしても俺はお前に応えてやれないよ」

P「それよりも美希が自分を蔑ろにする方が嫌だ」

美希「…ハニーは絶対ミキを彼女にしなかったことを後悔するの」

P「そうなることを願ってるよ」

美希「もし後悔したら、ミキに乗り換えても良いよ?」

P「そうならないことを願っててくれ」

美希「それは出来ない相談なの」

P「…はは」

美希「ねえハニー」

P「ん?」

美希「また今までみたいに遊びに行って良い?」

P「ああ、もちろん」

美希「ありがとうなの…ハニー」

美希はさっと俺に口付けをすると

美希「これだけは許して欲しいって思うな」

ウインクした

一旦ここまで
初日で百合子は取れたけどガチャは爆死した
√UUの良い劇中劇が出来そう

ふと√RRRの、765学園物語の開始日を見てみたら半年前だった
時間が経つのは早いなぁ

俺と翼は3連休を利用して少し離れた場所にピクニックに来ていた

なんでも最上さんが溺愛している後輩の子が以前家族で遊びに行き、とても楽しかったと最上さんに話したらしく、せっかくなら俺と二人で行けば良いと教えてくれたらしい

P「町から少し離れただけなのに空気が良いな」

翼「はい!まさに山って感じですね!」

天気も良いし空気も美味い、良いピクニックになりそうだ




P「山自体はそんなに高くないんだな」

翼「だから人気があるのかも知れませんね~」

急な斜面はあるものの基本的にはなだらかな山道で、舌には森があり川も流れていて景色が良い

さらに少し向こうには農園のようなものも見える

二時間ほど山道を歩き、ようやく山頂へと辿り着いた

P「ふう…」

翼「ついた-!」

山頂からの見晴らしは良く、とても清々しい気持ちになる

翼「P先輩P先輩!あれやりましょ~」

P「あれ?」

翼「山っていったらあれですよ!ほら、やっほー!って!」

P「ああ、やまびこね、よしやろうか」

翼「じゃあいきますよ!せーのっ」

P「やっほー」

翼「やっほー!」

やっほー…やっほー…やっほー…ぷっぷかぷ~…

翼「わ!本当に返ってきました!」

P「やまびこって音が山に反射してるらしいぞ?」

翼「そうなんですね~」

やまびこで遊んだ後、俺達はシートを敷いて昼食を摂ることにした

翼「じゃじゃーん!お弁当、全部自分で作りました!」

P「おお」

最近翼は料理に凝っているようで、めきめきと腕を上げている

翼「いただきまーす」

P「いただきます」

翼「はい、P先輩、あーん」

P「あーん…うん、美味い!」

翼「えへへ~」

まだ料理を始めてから一ヶ月程度しか経っていないはずなのだが既に俺の料理より美味かった

P「ほら、これやるよ」

翼「やった!ステーキ!P先輩大好き!」

翼は美味しそうにステーキを咀嚼した

昼食を食べさせ合い、片付けを終えた頃、雲行きが怪しくなってきた

P「一雨来るかも」

翼「え~?今日は一日晴れだって言ってたのに」

P「山の天気は変わりやすいっていうからな、注意しながら早めに下りよう」

そういった直後、曇った空から雨水が降ってきた

P「言った側からか、急ごう」

翼「はい!」

リュックを傘代わりに山を下りる

しかしリュックで雨が凌げるわけもなく、俺達は全身濡れ鼠になっていた

しかも…

P「ちっ、視界が悪いな」

雨で視界が悪く、思うように進めない

翼「P先輩P先輩」

P「どうした?」

翼「森の中ならまだマシかもって」

P「森か、よしわかった、行こう!」

俺達は森に入っていった

このとき俺達は忘れていた

この辺りは圏外で、携帯が使えないということを

森に入った俺達だったが、森は森で視界が悪く、さらには樹が生い茂っており、方角がわからない

すでにある程度進んでしまったため、戻ることすら出来なくなっていた

P「川さえ見付かればと思ったけど…」

翼「スマホも圏外で地図が開けないです…」

P「…参ったな」

簡単にいうと遭難した

P「本来ならあまり動かない方が良いんだろうけど…このまま雨晒しはまずい、雨が凌げる場所を見つけないと」

俺達は歩き出した

ある程度歩くと翼が俺の服の裾を摘まんできた

P「どうしたんだ?」

翼「P先輩、ごめんなさい、わたしが森に入るなんて言っちゃったせいで遭難して…」

P「翼のせいじゃない、俺が森に入るって決めたんだ」

翼「でもでも、もしかしたらあのまま普通に下りれたかも…」

P「たらればに意味は無いよ、大事なのは今をどうして、先をどうするかだ」

P「だから今は歩こう、な?」

翼「…はい」

それから大体一時間くらいだろうか、翼に疲労が見え始めた

ただでさえ慣れない道を歩いているのに更に雨が降っているので体力は奪われる

もう10月だ、はやく暖めないとこのままでは確実に風邪を引いてしまうだろう

少し焦り始めた俺だったが、幸運にも、視界の先に洞窟らしきものが見える

P「あれは…」

おそらくあそこなら雨も凌げるはずだ

P「翼、背中に乗れ」

翼「え?」

P「洞窟が見えた、翼の体力も限界だろうし背負うよ」

翼「え、でも…」

P「雨晒しは嫌だろ?」

翼「…はい」

俺は翼を背負うと、洞窟まで駆けだした

P「やっぱり、ここなら雨が凌げるな」

洞窟につくと、思ったよりも大きい

大体9畳くらいの広さがあった

P「とりあえず火を熾して服を乾かそう」

冬馬のアドバイスにしてもらったサバイバルキットを取り出し火をつける

翼「あ、服を乾かすなら脱いだ方が良いですよね」

P「え?」

翼「だって服を着たままだと冷えちゃいますから」

P「あああああ、そそそそうだな」

俺は激しく動揺しながら服を乾かす準備を始めた

P「…」

翼「…」

俺達は今ブルーシートの上に背中合わせで座っていた

服は乾かすために火の側に干している

つまり俺達は下着だけだった

触れ合ってる背中からは翼の鼓動が伝わってくる

翼の鼓動が伝わってくるということは俺の鼓動も伝わっているのだろう

少しずつ二人の鼓動が早くなる

鼓動が重なっているような感覚を覚えた

ブルーシートに手をついていると

翼の手が重ねられた

一旦ここまで

翼「P先輩の手、暖かい」

P「翼の手もな」

お互いの手の温度を確かめ合う

触れ合っている場所から熱が広がっているような感覚だ

こんな状況なのに、俺の心は昂ぶっていた

後ろには下着姿の翼がいる

年下とは思えない胸、あれだけ食べるのにびっくりするくらい細い体、それにより発生するくびれ

そんなスタイルの翼が下着だけで後ろにいる、これを意識するなという方が無理だ

後ろにいる翼をチラ見しようとした時

獣が吠えたような音が聞こえてきた

翼「きゃっ!?」

P「な、なんだ!?」

咄嗟に翼が背中に隠れるように前に出る

耳を澄ますと雨音に紛れて何かが殴打されるような音が聞こえてきた

P「ま、まさか…熊か?」

翼「え!?」

もし熊だった場合危険なんてレベルじゃない

武器になりそうなものもチャッカマンしかなく、そんなもので戦っても瞬殺されてしまうだろう

P「…翼、もし熊だった場合俺が囮になるからお前は逃げるんだ」

翼「いやです!逃げるならP先輩と一緒じゃなきゃ嫌!」

P「だけど一緒に逃げて2人ともやられたら意味ないだろ?俺は翼には生きて欲しいんだよ」

翼「それでも嫌です!もしわたし1人で生き残っちゃったらすぐに後追いますからね!?」

P「翼…」

翼の覚悟に圧され、2人で逃げ切ることに決まった

P「幸い音はまだ遠い、今のうちに着替えて急いでここを離れよう」

翼「はい!」

ある程度乾いた服に袖を通し、荷物をまとめた直後、洞窟の前に生えていた樹が薙ぎ倒された

P「なっ…!」

そして雨の中に、大きな動物のシルエットが浮かび上がった

P「…遅かったか」

着替えずに行った方が良かったのだろう

シルエットはゆっくりとこちらに向かってくる

俺は呆然としている翼を抱き寄せ、抱き締めた

P「翼…」

翼「P先輩…」

P「俺、無事に帰れたら伝えたいことがあったんだ」

翼「じゃあじゃあ、今言ってください」

P「…わかった」

言えずに死ぬなら、言って死にたい

P「翼」

P「お前が好きだ、だから俺と付き合ってくれ」

翼「P先輩…」

P「翼の答えは…」

言い切る前に翼が俺の首に手を回してキスをする

一瞬だけだったが確かに触れ合った

翼「わたしの答えは、もちろんはいです」

P「…うん」

互いに強く抱き締め合う

そしてとうとう熊?が洞窟に入ってきて…

「あれえ?翼さんじゃないかい?」

女の子の声が聞こえてきた

翼「…へ?」

女の子の声が聞こえてキョトンとしている俺よりも、名前を呼ばれた翼の方が更にキョトンとしていた

よく見ると熊は息絶えており、女の子が熊の死骸を背負っていた

翼「ひなた…ちゃん?」

ひなた「奇遇だねえこんなとこで会うなんて」

P「知り合いか?」

翼「同じクラスの木下ひなたちゃんです」

P「木下って…木下農場の?」

ひなた「そっちの人はうちの農場知ってるんだねえ、あたし嬉しいよお」

話を聞くと木下さんは3連休を利用して実家の手伝いに来ていたらしい

木下さんの祖父母とその友人が熊料理が食べたいと言いだしたらしく、熊を狩りに来たそうだ

ひなた「なるほど~迷っちゃったんだねえ」

ひなた「この辺は入り組んでるから土地勘がないと迷うのも無理は無いさあ」

ひなた「あたしが送ってあげられたら良かったんだけど獲物があるからねえ、他の人に頼むべさ」

翼「他の人?」

ひなた「うん、ちょうどそこで一緒になった麗花さんに案内してもらうよお」

麗花「はーいひなたちゃん!後は任せてね~」

ひなた「それじゃあ麗花さん、お願いするよお」

髪の長い綺麗な女性だった

しかしこの2人…外は雨なのになぜ髪一つ濡れてないんだろう…

別れ際、木下さんは猟銃や装備を何も持っていないのでどうやって熊を仕留めたのか聞いてみると…

ひなた「?熊ぐらいなら素手で屠れるよお」

と当たり前のように言われた

農場の人って凄い

麗花さんに送られて山の麓に辿り着く

気が付くと雨は止んでおり、薄暗い道を月が照らしていた

麗花「それじゃあ私はここまで!」

P「ありがとうございました」

翼「ありがとうございました」

麗花「ううん、気にしないで、声掛けてくれたお礼だから」

そう言って麗花さんは早々に山の中へ戻っていった

P「…俺達、声掛けたっけ?」

何人かの登山者とすれ違いはしたが誰とも喋っていないはずだ

翼「うーん、わたしの覚えてる範囲では誰とも喋らなかった気が…」

P「だよな?」

2人で首をかしげた

帰り道、俺達しか乗っていない電車に揺られ町に戻る

翼「…」

翼は俺の肩に頭を預け目を閉じていた

P「…」

俺は翼を起こさないようにそっと頭を撫でた

翼の安らかな寝顔が見れて安堵している

もし木下さんがいなかったらどうなっていたか…

翼が同じクラスだと言っていたので今度改めてお礼に行こう

電車に揺られ、俺の瞼も重くなってくる

肩から伝わる温もりと、今日の疲労から俺は流れに身を任せることにした

意識が落ちる直前、頬に何かの感触があった気がした

一旦ここまで
後1週間程で√BMC終了予定

3連休が明けてもわたしは上機嫌だった

朝からP先輩と話せたし今日も一日良い日になりそう

翼「~♪」

静香「翼、随分機嫌が良さそうね」

翼「うん!3連休で良いことあったから」

静香「3連休は先輩とピクニックに行ったのよね?それで良いことがあったってことは…」

翼「えへへ~」

静香「翼、良かったわね、おめでとう」

翼「ありがとう静香ちゃん!星梨花にもお礼言わないと」

静香「ふふ、星梨花も喜ぶわ」

未来「恋愛は男女だよね~」

静香「それで」

翼「?」

静香「恋人になったってどんな感じなの?」

翼「あ、やっぱり静香ちゃんもそういうの興味あるんだ」

静香「もちろん」

未来「あ!宿題忘れちゃった」

翼「うーん、そんなに大きく何かが変わったわけじゃないけど…」

未来「ねー静香ちゃーん宿題みせてー」

翼「ただ恋人になる前よりもっと一緒にいたいって気持ちが大きくなったなー」

未来「ねー静香ちゃーんねーってばー」ゆさゆさゆさゆさ

静香「そうなのね」ゆさゆさゆさゆさ

未来「しーずーかーちゃーん」がくがくがくがく

翼「後は…まだなったばかりだからわかんないや」

静香「それもそうね」がくがくがくがく

未来「…貧乳」ボソッ

翼「でもでもP先輩と一緒ならわたしの憧れたきらきらした楽しい未来が来るって思えるよ」

静香「応援してるわ、翼」

未来「待って静香ちゃん!人間の首はそんなに回らないから!ごめんなさい!」

というわけで文化祭が始まった

うちのクラスの出し物は休憩所だ

正直決まらなかったからこうなったのだが特にやりたいこともなかったのでなんともないぜ

出し物がないということは時間をフルに使えるので翼と一緒にいられる時間が長くとれるということだ

翼との待ち合わせ場所に到着すると二分も経たないうちに翼がやってきた

翼「P先輩、お待たせ!」

P「いや、今来たところだよ」

翼「あ、今の映画やドラマのデートみたいでちょっと良いかも」

P「俺ドラマとか映画ってあんまり見ないから良くわからないな」

翼「あ、じゃあじゃあ今度映画観に行きましょ!」

P「ああ、良いな」

翼「えへへ~楽しみ~」

腕を組んで校舎を歩く

今年も色んな出し物があった

翼「P先輩P先輩、あれ見てみませんか?」

翼が指を指したのはオカルト部がやっている占いだった

P「占いか」

翼「わたしたちの相性占ってもらえるかも!」

P「よし、入ろう」

部室に入ると黒井垂れ幕や水晶髑髏などが置いてあり、中々雰囲気があった

P「翼、暗いから足元に注意な」

翼「P先輩が支えてくれるから大丈夫です!」

少し奥に進むと水晶玉が置いてあり、その奥に人が座っていた

「ようこそジプシー、オカルト部へ」

少しハスキーな女の子の声だ

P「えーっとオカルト部の人ですか?」

「はい、高等部2年B組、真壁瑞希です…私が部長です」

どうやら目の前の人が部長らしい、独特の雰囲気のある人だ

瑞希「ここに来たということは占って欲しいということでしょうか…気になるぞ」

P「あ、はい」

翼「恋占いでお願いしまーす!わたしとP先輩の相性!」

瑞希「恋占い、わかりました…どきどきするぞ」

真壁さんは机に手を入れるとカードを取り出した

瑞希「では、このタロットで占います」

P「タロット占いか…」

翼「わたし、タロット占いって初めてかも」

瑞希「では」

真壁さんの目がすっと細くなる

そしてカードをかき混ぜ再び山札に戻した

瑞希「…当然正位置」

P「おいこら」

瑞希「冗談です…ホントだぞ」

翼「P先輩、どういうことですか?」

P「タロットってのはカードの種類と向きで占うものなんだ」

翼「へえー、そうなんですね、P先輩物知り!」

昔冬馬とカードゲームをしていた時に得た知識だが…案外無駄になら無いものだ

そういえば冬馬が正位置出したの見たことなかった気がする

瑞希「では今度こそ」

真壁さんがもう一度シャッフルし、カードを開いた

P「これは…」

瑞希「THE LOVERSの正位置です」

一旦ここまで
ちなみに黒井先生の机には…

P「LOVERSか…」

翼「どういう意味なんですか?」

瑞希「LOVERS…『恋人』のアルカナが示すのは調和、結びつき」

瑞希「そして正位置ならばそれは2人の結びつきがしっかりとしたもの、完璧であるという意味です…爆発しろ」

翼「P先輩!わたし達相性ぴったりみたいです!」

P「ああ!嬉しいよ」

翼「えへへ~P先輩~」

翼が俺の腕にほおずりしている

瑞希「…とにかく、お二人は相性ぴったりです」

P「ありがとう真壁さん」

翼「ありがとうございました!」

俺達はオカルト部を後にした




翼「そろそろお腹空きましたね」

P「どこかで食べるか」

翼「じゃあじゃあ、わたしに任せてもらって良いですか?」

P「良いぞ、どこか良い出し物でもあるのか?」

翼「行ってからのお楽しみです♪」

翼に連れられたのはうどんの出し物だった

P「うどんか」

翼「はい!静香ちゃんの有志出展なんですけど美味しいんですよ!」

P「静香って言うと…翼とぶつかった日に一緒に来た子だっけ?確か最上静香…だったよな?」

翼「はい!」

P「最上さんはうどんが好きなんだな」

翼「好き、じゃなくて大好きなんです」

翼「ここのおうどん、全部静香ちゃんが手打ちしてますから」

P「…凄いな」

静香「翼、いらっしゃい」

翼「静香ちゃん、きつねうどんと肉うどんお願い!」

静香「きつねと肉ね、わかったわ」

P「やあ」

静香「P先輩、お久しぶりです」

P「俺の名前覚えててくれたのか」

静香「はい、翼がいつも話してますから」

P「そっか」

少し照れくさいな

静香「P先輩」

P「ん?」

静香「その、翼のこと、よろしくお願いします」

P「ああ、任せてくれ」

静香「…はい!」

未来「静香ちゃーん、私が茹でて良い-?お湯に入れてわちゃわちゃーってすれば良いんだよね」

静香「殺すわよ」

未来「ひっ」

最上亭でうどんを食べた後、俺達は体育館のライブを観に行った

相変わらずハイレベルなライブで、センターのジュリアさんはとても楽しそうに歌っていた

翼「ジュリアーノって本当に楽しそうに歌いますよね~」

P「ああ」

翼「何かに夢中になるって気持ち、今ならわたしにもわかります」

P「…」

黙って翼の頭を撫でてやる

翼は俺の胸に頭を預けてきた

文化祭最後のプログラムのイグニッションダンスが終わり、生徒達が帰り始める

P「翼、俺達もそろそろ帰ろうか」

翼「…」

しかし翼から返事はない

P「翼?」

翼「P先輩、わたし、今日は帰りたくないなぁ…だめぇ?」

P「帰りたくないって…どうするんだ?」

翼「P先輩のお家に行きたいです」

P「それじゃあ…どうぞ」

翼「お邪魔しまーす」

結局翼を俺の家に連れて帰ることになった

幸いにも桃子は環の家へ泊まりに、このみ姉さんは莉緒さんや他の教師陣と飲みに行ってそのまま莉緒さんの家に泊まるそうだ

翼「ここがP先輩の部屋…」

翼は俺の部屋に入ると興味深そうに見渡す

翼「P先輩のベッドだ~」

翼が俺のベッドに寝転がる

翼「P先輩の匂いがする~」

中々にご満悦なようだ

俺もベッドに腰掛けて翼の頭を撫でていたが、空いている部屋に布団を敷くために立ち上がったところ、翼に腕を引っ張られた

P「翼?」

翼「いっちゃやです」

P「でもそろそろ布団敷いて風呂に入らないと」

翼「もう少し一緒にいたいです」

P「…しょうがないな」

諦めてもう一度ベッドに腰を下ろすと

翼「えへへ~」

首に腕を回されベッドに倒された

P「こら」

翼「P先輩も一緒に寝ましょうよー」

P「やれやれ」

2人でベッドに寝転がる

翼は俺を抱き枕のみたいに抱き付いていた

翼の柔らかい体を全身で感じ、正直自分を抑えるのに必死だ

翼「ねえP先輩、キス、したいな~」

P「翼」

翼「ん…ちゅ」

唇を合わせる

翼「わたし、キス好きかも…ん」

再びキスをする、口を離したとき、翼の顔は真っ赤になっていた

翼「…わたし、体が熱いです」

P「…俺もだ」

翼「P先輩、キスの先…行きませんか?」

P「翼…」

翼「わたし、P先輩が良いなぁ」

P「俺も、翼良い」

翼「あは、わたし達やっぱり両想いですね」

互いに向き合って抱き締め合う

翼「電気、消しますね」

部屋の電気が消え、窓から入る月明かりだけが俺達を照らす

翼「P先輩」

P「翼」

翼「それじゃあ…」

もう一度キスをし、翼は俺のズボンのファスナーに手をかけた

恋のレッスン実践編、おしまい!

今日はここまで
ようやくプロデューススタート
そしてRewriteもスタート
この時を5年待ったのだ

P「ふう…」

翼「温か~い」

恋のレッスン実践編の後、俺達は汗やその他を流すため、二人で風呂に入っていた

P「疲れた…」

翼「そうですか?わたしまだまだいけますよ?」

P「はは…翼は体力あるな」

俺を椅子にするような形で翼がもたれ掛かっている

だから俺は翼の頭に顎を乗せ、あすなろ抱きをしていた

翼「この手でわたしの色んなところ、触ってくれたんですよね」

翼がさっと俺の腕を撫でる

翼「わたし、P先輩ともっと色んなこと、やりたいな」

P「俺も、翼と一緒に色んな事やりたいよ」

翼「えへへ」

わざとなのか無自覚なのかわからないが翼はもぞもぞと臀部を動かし、俺のチャイルドファクトリーに刺激を与えてくる

P「…」

その刺激と密着している翼の体の柔らかさで、俺のTim2は活性化してしまった

翼「…あはっ♪」

翼はご機嫌な声を上げると

翼「P先輩も元気みたいだしわたし、やっぱりまだまだ足りません!」

方向転換し対面する

P「えっ」

翼「でもでも、P先輩が疲れてるならわたしが頑張りますね♪」

翼「それにお風呂でなら汚れちゃってもすぐ洗い流せますもんね」

P「ああ…好きにしてくれ…」

翼「はーい♪」

恋のレッスン反復練習編でいい汗をかいた

俺と翼が付き合い始めてから2カ月が過ぎた、その間海美にマジ泣きされたり桃子にロリコンと罵倒されたり色々あった

それでも最後にはみんなに祝って貰えて、俺はこいつらと友達や家族で良かったと心から思った

そんなこんなで世間はもうすぐクリスマス、今年は翼と一緒に過ごしたいな




P「クリスマスパーティー?」

翼「はい!わたし達中等部のメンバーで集まってパーティーするんです!」

翼「それで、P先輩や他の先輩も招待したいなって」

P「なるほど」

翼「どうですか?」

P「みんなに聞いてみるよ、まあ俺は参加させて貰うよ」

翼「やった!」

すまんね

P「というわけで中等部のクリパに誘われてるんだが、みんなどうする?」

海美「私は行く!」

恵美「いいね~楽しそうじゃん」

エレナ「パーティーは好きだヨー」

貴音「そのぱーてーにはらあめんはあるのでしょうか…」

琴葉「貴音さん…さすがにクリスマスパーティーにラーメンは…」

P「あ、うどんはあるらしいぞ」

琴葉「えっ!?」

冬馬「中坊のクリパか…ガラじゃねーな」

翔太「と言いつつも興味津々だよねー冬馬くんって」

冬馬「なっ!で、でたらめ言うんじゃねえ!」

翔太「はいはい」

冬馬「ぐぬぬ…」

P「結局全員参加って事で良いか」

恵美「大丈夫じゃない?」

P「オーケー、翼に伝えとく」

そしてクリスマスパーティー当日

恵美「へ~結構本格的じゃん」

学園内にあるパーティー会場を借りて中等部の生徒達が飾り付けをした会場は中々に華やかだった

貴音「いただきます」

貴音はパーティーが始まる前に料理に手をつけていた

翼「あ、P先輩-!」

P「おっと」

翼が飛び付いてくる

翼「えへへ、今日は楽しみましょうね!」

P「ああ」

「ハニー!」

P「え?おぶっ!」

脇腹に茶髪の誰かが突進してきた

翼「P先輩!?」

P「い、一体何が…」

「ハニー!久しぶりなの!」

P「み、美希?」

美希「ミキなの!」

翼「美希先輩!?P先輩はわたしの彼氏なんですから離れてください」

翼「それに美希先輩、もうわたしに負けたじゃないですか!」

美希「?ミキ、負けたなんて一言も言ってないよ?」

翼「え?」

美希「え?」

翼「え?でも…」

美希「ミキ、今のままじゃ勝てないとは言ったけど負けたなんて一言も言ってないの」

翼「ええ~!?」

美希「だからミキはこれからもハニーにどんどんアタックするの!」

翼「ダメです!P先輩はわたしの彼氏なんです!」

美希「好きな人が誰かのものになってるのってすっごく興奮するの」

美希「で、その誰かから好きな人を奪えたらきっともっともっと興奮出来るって思うな」

翼「とにかくダメです!絶対ダメ!」

美希「あーあー聞こえなーい」

翼「P先輩!ここにいたら危険です!逃げましょう!」

P「つ、翼!引っ張るな!」

恵美「ほら美希~こっちにおにぎりあるよー」

美希「おにぎり~!」

恵美がこちらにウインクした

P「サンキュー恵美!」

俺は翼に引っ張られながら美希から離れた

美希「う~んやっぱりおにぎり美味しいの」

恵美「美希も不器用だね~」

美希「んー、何の話かわかんないって思うな」

恵美「はいはい」

美希「んー、恵美がどうかはわかんないけど、ミキは本気だよ?ハニーと付き合いたいし好きになって欲しい」

恵美「…」

美希「でもそれとは別に翼とハニーの幸せな姿を見てたいって気持ちもあるの」

恵美「そっか、難儀だね」

美希「恵美には言われたくないの」

恵美「にゃはは、アタシは良いの!ああやって幸せならアタシは見てるだけで十分」

美希「恵美のほうがよっぽど難儀なの」

恵美「にゃはははは、ま、お祝いしてあげようじゃん」

美希「や!お祝いしたらミキが負けを認めたみたいだから絶対お祝いしてあげないの」

恵美「素直じゃないなぁ」

「わあー!これ本当に食べて良いの伊織ちゃん!」

「もちろんよ、なんなら持って帰る?」

「長介達も喜ぶかも!うっうー!伊織ちゃんありがとー!」

「良いのよ」



「んっふっふ~今日こそ結局をつけてやるぜいモッチー!」

「…」

「真美達が夏休みとテスト期間を生け贄にして育て上げたこの装備さえあればいくらモッチーといえども水たまりもあるまい…」

「…良い、よ?」

「ぎゃー!フル装備!?」

「そ、そんな…真美達があれだけやって一部位しか出なかったのに…」

「…杏奈と…百合子さんなら…出来ない事なんて…何もない、から」

「静香ちゃんを可奈に取られちゃった…」

「…」

「あれ、志保、どうしたの?」

「なんでもないわ」

「翼を見てたの?」

「…」

「あっ、もしかして先輩見てたの?」

「…別に、たまたま視線を向けた先にP先輩がいただけよ」

「あれ、私P先輩って言ったっけ」

「…」

ある程度美希から離れた俺達はようやく立ち止まった

翼「P先輩、美希先輩に靡いたりしませんよね!?」

不安そうな顔でこちらを見上げる翼

だから俺は

P「俺が見てるのは翼だけだよ、だから心配するな」

頭をくしゃくしゃと撫でてやった

翼「あ…えへへ…」

頭を撫でられた翼は照れ臭そうにはにかんだ

P「そういえば翼はクリスマスプレゼントは何が欲しい?」

翼「P先輩が欲しいです!」

即答

P「はは、考えとくよ」

翼「楽しみ!」

二人で歩いていると肉の良い匂いがしてきた

翼「あ!P先輩、焼き立てチキンがありますよ!一緒に食べましょ!」

P「ああ」

二人で沢山の料理を堪能した

クリスマスパーティーも佳境に入り、至る所でプレゼントの交換が始まった

中にはびっくり箱も混じっており、主犯の亜美と真美は鬼を背負った伊織のオーラに怯えて逃げ回っていた

P「やっぱりクリスマスパーティーはプレゼントの交換がメインなんだな」

翼「プレゼントってもらえると嬉しいですもん」

P「まあな」

プレゼントはいくつになっても嬉しいものだ

だから俺は翼に喜んでほしい

P「翼」

翼「どうしました、P先輩?」

P「ほら」

俺は翼にラッピングされた箱を差し出した

翼「これ…」

P「開けてみてくれ」

翼が箱をあけると

翼「帽子だぁ…」

P「翼に似合うと思ってな」

翼は帽子をかぶると

翼「…どう?似合ってますか?P先輩の想像通り可愛くなれてる?」

P「ああ、流石俺の翼だ」

翼「えへへ…」

俺達は会場から少し離れた

冬の夜の空気はとても冷たかった

しかし翼と触れ合った部分は温かく、寒さを打ち消している

翼「P先輩の手、温かいです」

P「翼の手もな」

翼「わたし、P先輩に逢えて良かった」

P「俺も、翼と一緒に過ごす過去と未来と現在が大切だ」

P「だからこれからも俺と一緒にいてほしい」

翼の返事は言葉ではなくキスで返された

翼「わたし、P先輩が嫌だって言ってもずっと一緒にいたいです!」

翼「だからわたしから離れちゃ」

翼「ダメ~♪」

尾張

本筋はここまで
明日からおまけ開始

ジュリア

>>397
いつもすまないねぇ…

おつ
今回結構一気に更新されてるな

次の√Pn(だっけ?)も気になるけど
それより>>382の志保の会話相手が気になる
未来でいいんだよな?

>>403
志保の話し相手は未来

クリスマスパーティーを終え、後片付けを済ませた俺達は翼の希望により翼の家に行くことになった

翼曰く家族全員がそれぞれ私用で今日は帰らないらしい

一人では寂しいので一緒にいたいそうだ

翼「P先輩、家に来るのは初めてですよね」

P「ああ」

翼「それじゃあどうぞ!」

P「お邪魔します」

P「ここが翼の部屋か…」

綺麗に片付いており、良い匂いがする

翼の匂いだ

翼「えへへ、家族以外で男の人を部屋に上げるってなんだか新鮮」

翼「P先輩が初めてですよ」

P「そ、そうか…」

翼「あ!お茶入れてきますね!P先輩は適当にベッドにでも座っててください!」

P「ん、わかった」

しばらくすると翼がお茶を入れて持ってきた

P「ありがとう…なんか甘い香りがするな」

翼「特別なお茶なんです!」

P「そうなのか…うん、美味い」

お茶を飲みながら翼と他愛ない話をする

しかし5分くらい経った頃、体が熱くなってくる

翼も暑いのか顔が上気しており、少し制服をはだけさせていた

P「…」

ちらっと覗く胸元に視線をむける

明らかに大きいそこを見ただけなのに

P「!?」

テントが建設を始めた

一体何故…普段ならこのくらいでこんなことにはならないはずなのに

戸惑っていた俺は翼が舌なめずりしたことに気が付かなかった

翼「P先輩、どうしました?」

翼が胸を挟むように前のめりになって顔を近付けてくる

P「あ、いや、その…」

言い訳を考えるが思い付かない

そして俺は翼の胸から目を逸らせない

翼「P先輩、わたしの胸、好きですか?」

P「うん、大好きさ」

思わず口走る

翼「わたしもP先輩大好きですよ」

翼はそういうとキスをしながら俺をベッドに押し倒した

押し倒されてもキスは止まらず、お互いに舌を絡ませ貪り合う

翼「はふう…」

P「はあっ…」

翼は恍惚の表情でこちらを見下ろしながら

翼「P先輩、クリスマスプレゼント欲しいなぁ…だめぇ?」

P「帽子じゃ不満だったか?」

翼「ううん、帽子はすっごく嬉しかった、一生の宝物」

翼「でもそれとは別に、P先輩にプレゼントおねだりしましたよね~」

P「…なんだっけ」

翼「わたし、クリスマスプレゼントはP先輩が良いなぁ」

視線で抱いたら体を抱かれた

P「で、お茶に何を混ぜた」

翼「いふぁいれふ~」

俺は翼の頬を引っ張りながら問い詰めた

翼「購買で売ってたんです、好きな人に飲ませるとイイコトが起こるお茶だって書いてました」

P「これか…」

作った人のイニシャルが書いてあった

K・O、T・S、K・S、S・I、H・A

P「…」

翼「怒ってますか…?」

P「怒ってないよ、ただこれからは妙なもんを飲ませるのだけはやめてくれよ?」

翼「は~い」

翼「あ、でもでも」

P「ん?」

翼「飲んだらイイコト、ありましたね」

P「…そうだな」

翼「えへへ~」

P「まあたまには、な」

結局お茶は使い切ることになった

微妙に爛れた冬休みが終わり、学園が新入生を迎える時期になった

P「もうすぐ進級か…」

翼「1年間あっという間でしたね」

P「それは良いけど翼、期末テストの結果みたぞ?」

翼「う”っ…」

P「もし追試にでもなってたらどうするんだ」

翼「ごめんなさい…」

P「もし勉強が苦手なら、俺と一緒に勉強しよう」

P「そうしたら一緒にいられるしさ」

翼「はい!頑張りま~す!」

美希「ハニー!」

P「おっと」

突進してきた美希を回避する

美希「のっ!」

美希は顔で地面をスキーした

美希「痛いの」

P「どうしたんだ、美希?」

美希「あそうだ!ハニー、美希今年から高等部なの!」

P「ああ、そういえば…」

美希「だからハニーと一緒の部活に入ったり委員会に入ったり出来るの!おにぎり部を作るの!」

P「俺、部活に入る気はないぞ」

美希「むー…」

>>413
このメンツ、T・Sだけわからないんだけども……

翼「美希先輩、P先輩はわたしと一緒にいるからダメです」

美希「ふふん、ミキには同じ校舎にいるっていうアドバンテージが出来るの」

美希「だからお昼休みとか放課後に翼がハニーを誘いに来る前にミキがハニーを連れてっちゃうの」

翼「だ、ダメです!絶対ダメ!」

P「おいおい美希…」

美希「ハニーはきっと勉強出来るこの方が好きなの、赤点寸前の翼なんてすぐ捨てられちゃうな」

翼「P先輩!」

P「お、おう?」

翼「美希先輩を完璧に負かすために今から一緒に勉強しましょう!」

P「あ、ああ」

翼「美希先輩より良い成績出して勝ちますからね!」

>>419
C・Sの間違いなんだ、すまんね

翼に手を引かれて走る

ふと後ろを見ると美希は楽しそうに笑っていた

どうやら翼をからかって遊んでいたようだ

P「なあ翼」

翼「?」

P「これからもよろしくな」

翼「はい!P先輩!」

尾張名古屋
年末年始とバレンタイン、頭の中にはあったけどうまく文章化出来なかったから泣く泣くカット
さあ、√Pnを始めよう

【ミリマス】765学園物語 √Pn
【ミリマス】765学園物語 √Pn - SSまとめ速報
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