カリオストロ「グランを酔わせる」 (102)
カリオストロ「ほら、舐めてやるからひざまずけ」
カリオストロ「ほら、舐めてやるからひざまずけ」 - SSまとめ速報
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飛空艇内 昼
オイゲン「わははは」
ラカム「おい、爺さん、そりゃあねえだろ」
グラン「二人とも、どうしたの? やけにご機嫌だけど」
ラカム「おう、グラン、お前も一杯やるか?」
グラン「もしかしてお酒飲んでるの? まだ昼間だよ?」
ラカム「固いこと言うなよ」
オイゲン「良い酒が手に入っちまってな、ちょっとばかしいただいてたのよ」
グラン「……へえ、そのお酒って美味しいの?」
オイゲン「あたぼうよ、グランもどうだ?」
グラン「うーん……でも、俺、お酒飲んだことないし」
オイゲン「本当か? それなら若いうちから飲んで鍛えとけ、ほれ」
ラカム(おい、爺さん、さすが初めて酒を飲む奴にコレはまずくないか? 結構強いやつだぞ)
オイゲン(一杯だけだし、ちゃんと割るから大丈夫だ)
オイゲン「どうだ、グラン?」
グラン「いいよ、一杯だけなら……」
オイゲン「そうこなくっちゃな……ほれ! 景気よく一気にいってくれ」
グラン「いただき……」
カリオストロ「おいグラン、オレ様のそばから勝手に離れるなって言ってるだろうが」
グラン「あ、カリオストロ」
カリオストロ「……あん? なんだここ酒臭えなあ」
オイゲン「カリオストロも飲むか?」
カリオストロ「はあ? ……絶世の美少女のカリオストロちゃんがぁ、お酒なんか飲むわけないでしょ☆」
オイゲン「そうかい、そんじゃあグラン、やってくれ」
グラン「うん」
カリオストロ「なにやってんだ?」
ラカム「我らが団長殿に一杯奢ってやるのさ」
カリオストロ「下らねえ、これからグランはオレ様と大事な研究があるんだ、酒なんか入れさせねえよ」
オイゲン「あん? じゃあグランのために作ったこれはどうするんだ」
カリオストロ「……」グイ
グラン「あ」
オイゲン「おお、もしかけてイケる口か?」
カリオストロ「イケる口も何もクソ薄いじゃねえか、水か? これ?」
ラカム「そりゃあグラン用に割ったやつだし……」
オイゲン「それならストレートでいってみるか?」
ラカム「おい、爺さん煽るなよ」
カリオストロ「ちっ……飲んどくれどもめ、よこせ」
オイゲン「待て、グラスに注ぐから……」
カリオストロ「いらねえよ」
ラカム「え?」
オイゲン「あん?」
カリオストロ「……」グイ
ラカム「あっ!? バカ野郎! 瓶ごとラッパ飲みする奴があるか!」
オイゲン「すぐに吐き出せ、ぶっ倒れちまうぞ!」
グラン「え、カ、カリオストロ!?」
カリオストロ「……なんだようるせえな、急に騒ぎ出しやがって」
オイゲン「騒ぐも何も……平気なのか?」
カリオストロ「当たり前だろうが、大してうまくもない酒飲ませやがって」
ラカム「勝手に飲んだのはお前の方だろ……いや、それよりもなんで平気なんだ? この酒結構強いぞ?」
カリオストロ「オレ様の身体は特別性だ、毒……まあ、少なくともアルコールじゃあ酔わねえよ」
オイゲン「なんだそりゃ……」
ラカム「相変わらず無茶苦茶だな……」
カリオストロ「はん、褒めてもなにも出ねえぞ」
ラカム(いや、決して褒めてはいないが……)
カリオストロ「ほら、行くぞグラン」
グラン「う、うん……」
夕方
ラカム「グラン、今夜どうだ?」
グラン「え、何かするの?」
ラカム「昼間の続きだ、あの酒はカリオストロに飲まれちまったから、俺もオイゲンも飲み足りないんだよ」
グラン「……」
ラカム「お前も結局飲めなかったしな……それで、どうだ?」
グラン「うーん……そうだね、付き合うよ」
ラカム「そうこなくっちゃな、じゃあ飯食い終わった後、俺の部屋に来い」
グラン「わかった」
夜
オイゲン「わははは、ラカム、もっと飲めよ」
ラカム「爺さん、ペースが早すぎるぜ」
オイゲン「バカ、チビチビ飲むのは本当の酒の飲み方じゃねえんだよ!」
コンコン
グラン「ラカムー? 入るよ?」
ラカム「おう、入れ」
グラン「お邪魔しま……うわ、酒臭っ、……ていうか、二人とも騒ぎすぎだよ、声が部屋の外まで聞こえてたよ?」
オイゲン「酒を飲んでるんだから声がデカくなっちまうのも仕方ねえだろ、なあ、ラカム!」
ラカム「そうだな、酔っ払いなんだから大目に見てくれ」
グラン「……わかったよ、俺も飲むわけだし」
オイゲン「お、良く言ったな、昼のリベンジだ、ここは一発グイッといってくれ!」
ラカム「グラン、お前はこの爺さん見たくはなるなよ、酔っ払い二人の世話なんざ御免だからな」
グラン「そんなこと……」
クラリス「なになに? なんかすごい騒いでるけどどしたのー?」
グラン「あ、クラリス、ゴメンね、うるさかった?」
クラリス「ううん、楽しそうな声が聞こえたから来てみたんだー、大騒ぎするところにクラリスちゃんありってね☆」
オイゲン「ははは、そいつはいいな、ちょうど酒飲んで盛り上がってるところだ、クラリスもどうだ?」
クラリス「お酒!? いいよ! うちも飲む!」
オイゲン「よく言った! まずはこれで乾杯だ!」
クラリス「いぇい! 乾杯!」
グラン「あ、それ俺が飲むやつ……」
ラカム「まあまあ、爺さんも若い女の子が相手でテンション上がってんだろ、大目に見てやれ」
グラン「……」
5分後
クラリス「お酒美味しいー!」
オイゲン「この酒の味がわかるとは嬢ちゃんもわかってるじゃねえか」
クラリス「わかるわかる! うちは何でもわかるよー!」
オイゲン「ははは、さすが錬金術師様だ!」
グラン「まだ2杯しか飲んでないのに、クラリスもう酔ってるの?」
ラカム「どちらかっていうと雰囲気酔いっぽいけどがな、まあ、楽しんでるんだからいいんじゃねえか」
クラリス「こらー、団長! さっきから全然飲んでないぞー! うちの酒が飲めないのかー?」
オイゲン「そうだぞ、女にばっかり飲ませて情けない野郎だ」
グラン「だって俺が飲もうとするとクラリスがそれをとって飲んじゃうんじゃないか」
クラリス「言い訳しない! はい、うちがお注ぎしますよー」
グラン「う、うん、ありがとう…………あ、もうその辺でいいよ」
クラリス「わかった☆ じゃあいただきまーす」ゴクゴク
グラン「いや、だからクラリスが飲んじゃったら俺が飲めないんだってば」
クラリス「お酒美味しいー!」
オイゲン「わはははは」
クラリス「はい、もう一回!」
グラン「今度はちゃんと飲ませてよ?」
クラリス「分かってるって☆ ……このくらいでいい?」
グラン「うん、それじゃあ……」
クラリス「いただきまーす……お酒美味しいー!」
オイゲン「わはははは、こいつは愉快だ! わはははは」
ラカム「爺さんが笑い袋になっちまった、完全に出来上がったな、こりゃあ」
グラン「……」
30分後
クラリス「あれぇ、おしゃけはー? おしゃけどこー?」
オイゲン「ははは、酒はどこだー? ははは」
グラン「いや、もうなくなっちゃったからね? というか、俺、結局一杯も飲んでないんだけど」
ラカム「ほとんど、二人で飲んじまったからな、俺も途中から全然飲めなかったし」
クラリス「おしゃけがないとー! クラリスちゃんはよえないんだぞー!」
グラン「もうクラリスは充分酔っ払ってるじゃないか」
クラリス「むう! うちはよってないよ!」
グラン「いや、酔ってるでしょ?」
クラリス「よってない!」
グラン「だってとってもお酒臭いし……」
クラリス「くさい!? おんなのこにむかってくさいだなんてひどーい!」
グラン「ご、ごめん……」
クラリス「ゆるさないよー」ギュッ
グラン「え、ちょっと……」
クラリス「ほら、かいで? はー……くさい? うちくさい? はー」
グラン「だ、抱きつかないで、クラリス」
グラン(す、凄く酒臭い……)
オイゲン「だははは、なんだ、いつの間に団長はクラリスを口説いてたんだ?」
ラカム「よかったな、グラン、可愛い女の子に抱かれて」
クラリス「はあー……どうくさくないでしょ? はあー、はあー」
グラン(確かに女の子に抱きつかれるのは嬉しいんだけど、この酒臭い息のせいでまったく喜べない……)
グラン「……わ、わかった、クラリスは酒臭くないよ」
クラリス「だよねー!」
グラン「うん、だからそろそろ離れてほしいんだけど……」
クラリス「はなれてほしいのー!? うちがくさいからー!?」
グラン(藪蛇だった……)
オイゲン「がははは、酔った女を介抱するのも男の甲斐性だぞ、グラン」
ラカム「そうだぜ、男として最後まで面倒みてやるんだな、グラン」
グラン「……」
グラン「ほら、クラリス、ちゃんと歩いて」
クラリス「あるいてるよー」ヨタヨタ
グラン「ちゃんと歩けてないから言ってるんだってば」
クラリス「あれー、ていうかおさけはー? いまからどこいくのー?」
グラン「お酒は無くなったからもうおしまい、これからクラリスの部屋まで連れてくから」
クラリス「うちのへやー? あ、もしかしてだんちょー、うちのへやにいってうちにいやらしーことするつもりー?」
グラン「そ、そんなことしないよ」
クラリス「うそだー、おとこはみんなかわいいおんなのこがだいすきな、いやらしーせいぶつだって、うちのかくんだもーん」
グラン(どんな家訓だ……)
クラリス「まーでもー? とくべつにだんちょーなら、ちょっとくらいいやらしーことしてもいいよー?」
グラン「え?」
クラリス「うちねー、だんちょーのことすきかもしれないんだー……きゃー! いっちゃった!」バシバシ
グラン「痛い、痛いってば……」
クラリス「だってさー、うちみたいにうるさいだけのおんなのこにもやさしいしさー」
グラン「あ、ありがとう……」
クラリス「もう、なにまじできいてるのー! じょうだんにきまってるじゃーん!」
グラン「そ、そうなんだ」
グラン(いつもより3割増しくらいでうるさいな……まあ酔っ払ってるし、仕方ないか)
グラン「ほら、そろそろ部屋だから、今日はもう……あれ?」
クラリス「どうしたのー?」
グラン「いや……カリオストロ、どうしたの? そんなところに立って」
カリオストロ「……」
クラリス「あ、カリちゃーん、おっすー」
カリオストロ「……」
グラン「カリオストロ? 顔が怖いよ」
カリオストロ「……オレ様はな、グラン、お前を探していんだ」
グラン「う、うん」
カリオストロ「オレ様の許可なく出歩くなって言ってるのに勝手に動きやがって」
グラン「いや、それは……」
カリオストロ「まあ、それは百歩譲って見逃してやる」
グラン「えーと……あ、ありがとう?」
カリオストロ「だがな、どこぞの小娘といちゃつくためなら話は別だぞ」
グラン「カ、カリオストロ……ちょ、ちょっと落ち着こうよ」
クラリス「あれー? カリちゃん、なんでおこってるのー?」
カリオストロ「てめえは黙ってろ、小娘」
クラリス「はあ? カリちゃんのほうがうちよりもこどもなのに、こむすめとかいわれたくないんですけどー?」
カリオストロ「アホか、こっちはてめえの百倍は生きてるよ、つうかグランに寄り掛かりすぎだろ、離れろ」
クラリス「やだもーん! うちはだんちょーさんに『えすこーと』されてるんだもーん、ねー?」ギュッ
グラン「あ、いや……」
カリオストロ「あぁん? てめえ、なに抱きついてんだよ」
グラン「カ、カリオストロ、クラリスはお酒に酔ってるんだ、だから……」
カリオストロ「関係ねえ、とっとと離れろ」
クラリス「いやー、うちはだんちょーさんのことがすきなのー! だからいっしょにいるのー!」
グラン「カリオストロ、これは冗談だからね? ほ、本気にしちゃダメだよ!」
カリオストロ「……」
クラリス「じょうだんじゃないもーん、ぐらんはうちのものなんだからー!」
グラン「いや、さっき冗談だって……と、とにかく、クラリスは酔ってるんだ! ね、カリオストロ?」
カリオストロ「……はあ、仕方ねえな」
グラン「わかってくれた!?」
カリオストロ「ああ、わかったぜ、その小娘が泥棒猫だってことがな」
グラン「……え?」
カリオストロ「害獣は駆除しなきゃいけないよなあ? ちょうどオレ様のウロボロスも腹を空かせていたところだ」
ウロボロス「グアアアア……」
グラン「ちょっと待って、それはダメだから!」
カリオストロ「いいか、小娘、グランはオレ様の物だ……勝手に人の物を盗るんじゃねえ!」
クラリス「ぐらんはカリちゃんのものじゃないでしょー!」
カリオストロ「やれ、ウロボロス!」
グラン「ク、クラリス、逃げて!」
グラリス「あるけみっくふれあー!」
グラン「……え? うわっ……」
ドオォォォン
グラン「ゴホゴホ……」
カリオストロ「ちっ、この小娘……」
グラン「あ、カリオストロ……そうだ、クラリスは?」
クラリス「……」
グラン「クラリス! 倒れてるじゃないか! とにかく回復を……」
クラリス「……くかー」
グラン「あれ……寝てるだけ? あ、ウロボロスは?」キョロキョロ
カリオストロ「ウロボロスは戻した、吹き飛んじまったからな」
グラン「吹き飛んだ?」
カリオストロ「この小娘、錬金術……いや、そんな上等なもんじゃねえな、とにかくそれにやられた」
グラン「え、それってつまりクラリスがウロボロスを倒しちゃったってこと……?」
カリオストロ「……ああ、認めたくはないが、どうやらこいつの錬金術未満の術はオレ様やウロボロスにかなり効く奴だ」
グラン「それって確か、とにかく破壊や分解に特化した錬金術……だっけ?」
カリオストロ「そうだ、この小娘は今はまだ未熟だが、いずれは……念のために今のうちに滅ぼしておくか」
グラン「待って、待って、カリオストロ、もう本当に許してあげて!」
カリオストロ「……気に食わねえなあ、さっきからその小娘にばっかり肩を持ちやがって、 オレ様よりもその小娘の方が大事か?」
グラン「クラリスは大事な仲間だけど、カリオストロは大切な仲間だよ! 俺はカリオストロに仲間を殺してほしくない」
カリオストロ「ふーん……大切、ねえ」
グラン「もし仲間を殺したら、カリオストロはこの騎空団にいれなくなると思う、でも俺はまだカリオストロと一緒にいたいんだ」
カリオストロ「一緒にいたい……ふむふむ、それで?」チラチラ
グラン「そ、それで……?」
グラン(言いたいことは全部言ったんだけど……もっとなにか言ってほしいみたいだ……)
グラン「えーと……そうだ、今度一緒にお酒を飲みに行かない? 俺飲んだことないんだ、結局今日も飲めなかったし」
カリオストロ「一緒に酒ねえ……どうするかなぁ……もっと丁寧に頼んできたら考えてやってもいいが……」チラチラ
グラン「あ、そういえばカリオストロはお酒飲んでも酔わないんだっけ、じゃあ楽しくないよね、やっぱりお酒の話は無しで……」
カリオストロ「待て、行くぞ」
グラン「え?」
カリオストロ「酒だろ? 飲みに行くぞ」
グラン「でも……」
カリオストロ「明日行くぞ」
グラン「あ、明日行くの?」
カリオストロ「なんだ、今日行きたいのか? それなら今から……」
グラン「明日行こう!」
カリオストロ「わかった、明日だな」
グラン「う、うん……」
次の日
クラリス「だ、団長……」
グラン「クラリス、どうしたの?」
クラリス「いや、その……ね、昨日の事でちょっと……」
グラン「ああ、みんなでお酒を飲んだ時の……」
クラリス「うん、……まあ、その後の事なんだけど……」
グラン「その後っていうと……俺がクラリスを部屋まで運んだ事?」
クラリス「えーと、その節はありがとうございます……」
グラン「いいよ、そんな気にしなくて」
グラン(どうしたんだろう、クラリスがかしこまるなんて珍しい……というか、緊張してるように見える)
クラリス「それでですね……うち、そこで変な事を言っちゃったりやっちゃたりしたと思うんですけども……」
グラン「変な事……? えーと……」
グラン(そんな変な事やってたっけ? ……あ、カリオストロと喧嘩したことか)
グラン「大丈夫だよ、フォローしておいたから、多分怒ってないと思う」
クラリス「フォロー? 多分? ……なんで他人事なの?」
グラン「え、だから昨日クラリスがカリオストロと喧嘩したことでしょ?」
クラリス「カリちゃんと……? あー、したね、うん」
グラン「そのことでしょ?」
クラリス(あれ、これもしかして団長、昨日うちが抱きついたりとか好きとか言ったの忘れてる……?)
クラリス「……」
グラン「クラリス?」
クラリス「え? あ……そうなの! カリちゃんの事なんだ!」
グラン「やっぱりそうだったんだ」
クラリス「いやー、カリちゃん怒ってたねー、あんなに怒らなくてもいいのに」
グラン「カリオストロは意外と怒りっぽいよ、俺も何回も怒らせてるもの」
クラリス「気難しいのかなー、あんなちびっ子なのに」
グラン「いや、あんな姿だけどもう何千年も生きてるんだよ」
クラリス「またまた~、そんなわけないじゃん……ていうかさ、うち、どうしてもカリちゃん苦手なんだよねえ」
グラン「珍しいね、クラリスに苦手な人がいるなんて、人見知りしてるところとか見たことないのに」
クラリス「いやあ、うちだって苦手な人いるよ? うちの家族と親戚とか……」
グラン(そういえばクラリスは家族からのプレッシャーが嫌になって旅に出たんだっけ)
グラン「カリオストロのどんなところが苦手なの?」
クラリス「なんかカリちゃんを見てるとうちの家族を思い出すというか……」
グラン「カリオストロと似てるの?」
クラリス「こう……やたらと高圧的なところとか、人に自分の意見を押し付けてくるところとか……」
グラン「……傲慢なところとか?」
クラリス「そう! そこも!」
グラン「ははは、確かにクラリスは苦手そうにだね」
クラリス「だよねー、まあうちとしてはさ、仲良くやっていきたいと思ってるんだけど、どうしても苦手意識がね」
グラン(クラリスはカリオストロが苦手……そういえばカリオストロもクラリスを警戒してたな……これはもしかしたらちょっと危ないかも、またあんな事態になるのはマズイし……)
グラン「……」
クラリス「どうしたの、団長? 難しい顔して?」
グラン「えーと……たまには騎空団の団長らしいことをしようかな、と思って」
クラリス「?」
グラン「ラカム、ちょっと相談したいことがあるんだ」
ラカム「なんだ?」
グラン「次の島についたらお酒を飲みに行きたいんだけど、どこかおすすめの酒場とかない?」
ラカム「お、酒か、いいな、俺が行きつけの酒場につれてってやるよ」
グラン「ラカムも来る?」
ラカム「おう、他に誰か誘ってるのか?」
グラン「カリオストロと一緒に行くつもりだったけど」
ラカム「あー……すまん、酒場の場所は教えるから二人で行ってくれ」
グラン「ははは、それともう一つ相談があるんだけど」
ラカム「いいぞ」
グラン「仲が悪い人同士を仲良くさせるのってどうすればいいかな?」
ラカム「仲が悪い? この騎空団のメンバー同士の話か?」
グラン「うん……まあ、仲が悪いが少し言い過ぎたかもしれないけど、ちょっと拗れると面倒なことになりそうなんだ」
ラカム「そうだな……俺も昔よく喧嘩してた奴がいたが、腹を割って話し合うと仲良くなれたもんだが」
グラン「腹を割って話し合う……」
ラカム「それこそ酒の席なんて良い場じゃないか? お前も見ただろう、オイゲンとクラリスが意気投合してたのを、普通あんな爺さんと若い子が話し合うわけないのによ」
グラン「お酒の席……なるほど、ありがとう、ラカム」
ラカム「おう、頑張れよ、団長」
酒場
カリオストロ「本当にいい酒場なんだろうな」
グラン「ラカムが言うには雰囲気があるんだって」
カリオストロ「雰囲気?」
グラン「サシのみするムードがある、とかなんとか……サシのみって何かな?」
カリオストロ「さあな」
ガチャ
グラン「えーと……」キョロキョロ
カリオストロ「何してんだ? 空いてるところに適当に座るぞ」
グラン「いや、先に来てるはずなんだけど……」
カリオストロ「先に来てる? どういう……」
クラリス「おーい、だんちょー」
グラン「あ、いたいた……」
カリオストロ「……」
グラン「あれ? どうしたのカリオストロ、早く行こうよ」
カリオストロ「……どうしたのじゃねえよ、なんであいつがここにいるんだ?」
グラン「今日はみんなで楽しくお酒を飲もうと思って」
カリオストロ「ふざけるな、オレ様はあいつと一緒に酒を飲むつもりはないぞ」
グラン「じゃあカリオストロだけ帰る?」
カリオストロ「……ちっ」
グラン「お待たせ」
クラリス「おっそーいーよー」
グラン「ごめんね……というか、もしかしてもう飲んじゃってる?」
クラリス「だってだんちょーがなかなかこないんだもーん」ゴクゴク
カリオストロ「……」
クラリス「あれ? カリちゃん? なんで?」
グラン「カリオストロと3人で飲もうと思って」
クラリス「……うち、だんちょーとふたりきりでのむとおもってたよー」
グラン「3人で飲んだ方がきっと楽しいよ、ね? カリオストロ?」
カリオストロ「……ちっ」
グラン「じゃ、じゃあ俺達も飲もうか……」
カリオストロ「……」
グラン(本当にこれで大丈夫かな……)
クラリス「だんちょー、なんでこんなおそかったのー?」
グラン「ゴメンね、ちょっとカリオストロと用事があって」
クラリス「ようじって?」
グラン「えーと、研究……」
カリオストロ「デートだ」
クラリス「え? でーと? ……うそだー、カリちゃんかわいいけどまだこどもじゃん」
グラン「いや、一応、研究っていう名目で……」
カリオストロ「アホ、グランはオレ様にぞっこんだ」
クラリス「ええー!? だんちょー、ろりこんなのー?」
グラン「そうじゃなくて、詳しく説明すると……」
カリオストロ「グランはロリコンじゃなくて、オレ様が好きなんだ」
クラリス「それをろりこんっていうんだよー、なんかしょっく……」
グラン(ふ、二人とも俺の話を聞いていない……)
カリオストロ「てめえがショック受ける事なんかねえだろ」
クラリス「あるよぉ、だってろりこんならぁ、かんぜんにうち、たいしょうがいじゃん」
カリオストロ「対象外? そもそもお前みたいなガキ初めから対象外だ」
クラリス「うちががきー? カリちゃんのほうがこどもでしょー?」
カリオストロ「てめえ昨日からオレ様の事をガキガキいうが、オレ様のどこがガキだっていうんだよ」
クラリス「うちよりちっちゃいじゃん」
カリオストロ「アホか、オレ様はあえてこの至高の肉体でいるんだよ」
クラリス「カリちゃん……そうやってじぶんをなぐさめてるんだね……」
カリオストロ「慰めてねえよ!」
クラリス「すみませーん、おさけくださーい」
カリオストロ「聞けよ!」
グラン(あれ? もしかしてこの2人仲良い……?)
30分後
クラリス「うぅん……だんちょー、あれ? だんちょー?」
グラン「はいはい、ここにいるよ」
カリオストロ「……」
クラリス「よかったぁ、みすてられたかとおもったぁ」
グラン「ずっと隣にいるじゃないか、それにクラリスを見捨てたりなんかしないよ」
カリオストロ「……」
クラリス「いやあん、だんちょーやさしいー」
グラン「クラリス、そろそろ飲み過ぎだともうからもう飲むの止めた方がいいよ」
カリオストロ「……」
クラリス「やだー、もっとのむー、だんちょー、のませてー」
グラン「ええ? ……仕方ないな、これで終わりしなよ?」
カリオストロ「おい、グラン」
グラン「何、カリオストロ?」
カリオストロ「昨日から思ってたけど、お前、やけにこいつにやさしくないか?」
グラン「やさしいっていうか酔っ払っちゃってるし……誰かが面倒見てあげないと」
カリオストロ「……」
クラリス「はやくのませてー」
グラン「はいはい、飲ませてあげるから急かさないで」
グラン(結局俺が飲む暇がないな、テーブルの上に酒が置かれるとクラリスがすぐ飲んじゃうし……)
カリオストロ「……その酒、貸せ」
グラン「え? カリオストロが飲ませてあげるの?」
カリオストロ「……」グイ
グラン「あ」
クラリス「あー! そのおさけ、うちのだよ!」
グラン(相変わらず豪快な一気飲みだな……クラリスだったら止めるけど、カリオストロは酔わないらしいし、平気だよね)
カリオストロ「……ふぅ、はあ、火照ってちゃったなぁ」
グラン「え?」
カリオストロ「カリオストロ、酔っちゃったみたい」
グラン「いや、カリオストロってお酒に酔わないんじゃ……」
カリオストロ「うえーん、グランはカリオストロの言うこと信じてくれないのぉ?」
グラン「ご、ごめん、聞いてた話と違ったから……」
グラン(でもどう見ても酔った人の顔にみえないんだよなあ……クラリスなんて顔真っ赤なのに、カリオストロは真っ白のままだし……)
カリオストロ「グラン~、カリオストロにぃお酒飲ませて~?」
グラン「う、うん……」
クラリス「……カリちゃん、ほんとによってるー? まだいっぱいしかのでないよねー?」
カリオストロ「グラン~、クラリスちゃんがカリオストロを疑うぅ~」
グラン(ク、クラリスちゃん!?)
カリオストロ「カリオストロ傷ついちゃったからぁ、慰めて?」
グラン「えーと……よしよし」ナデナデ
カリオストロ「うぅーん……もっとぉ」
グラン「いい子いい子」ナデナデ
カリオストロ「むふぅ……」
グラン(こう見るとカリオストロも可愛いな、小動物みたいで)
クラリス「……」ジー
グラン「……? どうしたの、クラリス?」
クラリス「……おさけー! ここのおみのぜんぶくださーい!」
グラン「え、ちょっと、クラリス!?」
クラリス「よえばいいんでしょー! よえばー!」
グラン「クラリスは充分酔ってるよ!」
カリオストロ「グラン、あんな小むす……クラリスちゃんなんかほうっておいて、酔っ払ってるカリオストロの事だけを見ててぇ?」
グラン「やっぱりカリオストロ酔ってないよね!?」
クラリス「こうなりゃやけだー、きょうはのむ!」
グラン「ク、クラリス、落ち着いて……」
カリオストロ「おいこらグラン、オレ様が酔ってんだからオレ様の面倒を見ろって言ってんだろ」
グラン「本当に酔ってる人はそんなこと言わないと思うんだけど……」
クラリス「あー、おさけおいしい、よっちゃうよー、クラリスちゃんはよっちゃうからねー!」
カリオストロ「このお酒は全部オレ様が飲む、酔っ払うのはオレ様のほうだ!」
グラン(もうメチャクチャだ……)
次の日
ラカム「どうだったグラン、カリオストロとの飲み会は?」
グラン「大変だったよ、クラリスとカリオストロが片っ端からお酒飲んじゃうんだもん」
ラカム「クラリス? クラリスもいたのか?」
グラン「うん、ラカムの意見を参考にしたもの」
ラカム「俺の意見? そんなこと言ったか……?」
グラン「仲が良くなる方法を教えてくれたじゃないか」
ラカム「……あれ、クラリスとカリオストロのことだったのか?」
グラン「うん」
ラカム「……どうだったんだ? 爆発娘と天才錬金術師の飲み会は?」
グラン「お互いにどっちが酔えるかで競い合ってた」
ラカム「酔えるかで競う……? 普通逆じゃないか?」
グラン「でも実際やってたよ、クラリスはベロベロになっても飲むのを止めなくて、カリオストロは素面みたいだけど、ずっと酔ったフリをしてた」
ラカム「なんだよくわからんが、あまり想像したくない絵だな……」
グラン「飛空艇に戻るのも大変だったよ、クラリスは1人で歩けないし、カリオストロは甘えてくるし……しかも結局、俺は酒飲めなかったし」
ラカム「……まあ、とりあえずご苦労さん」
クラリス「団長! 団長!」
グラン「あ、クラリス」
クラリス「今夜ヒマ!?」
グラン「暇だけど……どうしたの、そんなに急いで?」
クラリス「じゃあうちと飲もう!」
グラン「飲むって……お酒を?」
クラリス「うん! オッケー?」
グラン「俺はいいけど……クラリスは大丈夫なの? 昨日あんなに飲んだのに……」
クラリス「大丈夫! うち二日酔いしたことないから!」
ラカム「羨ましい内臓持ってるな、若さってやつか?」
クラリス「あ、ラカムいたんだ」
ラカム「俺はさっきからいたんだが……」
クラリス「ごめん! 今回はうちと団長の2人っきりで飲ませて!」
ラカム「いや、それは別にかまわないが……」
グラン「クラリスってお酒好きだったんだね、知らなかったよ」
クラリス「え? うち、別にお酒好きってわけじゃないけど」
グラン「でも一昨日も昨日も飲んでたじゃないか、今日も飲むのなら三日連続になるよ」
クラリス「いや、それはほら……うちにも色々事情っていうものがね?」
グラン「事情?」
クラリス「その辺は聞かないで! とにかく今日はうちと2人っきりで飲む! わかった!?」
グラン「わ、わかった」
クラリス「よーし……あ、飲む場所は昨日と同じ場所でいいから! 約束だからね! 忘れないでよ!」
ダタタタタ
グラン「行っちゃった」
ラカム「女からの飲みの誘いか、モテモテだな、グラン」
グラン「からかわないでよ……今日こそちゃんと飲めるかなあ」
ラカム「だといいな……そうだ、せっかくだから酔い潰れるまで飲んでみたらどうだ?」
グラン「酔い潰れるまで……?」
ラカム「飲み会の主役は良くも悪くも酔っ払いだ、この前の爺さんやクラリスを見ただろう? 酔っ払いには誰も勝てないからな」
グラン「へえ……」
カリオストロ「おい、グラン、今夜酒を飲みに行くぞ」
グラン「へ? カリオストロも?」
カリオストロ「……『も』ってことはオレ様以外に誘われたんだな?」
グラン「うん、クラリスに」
カリオストロ「やっぱりな……小賢しい小娘だぜ」
グラン「……?」
カリオストロ「グラン、小娘との約束はキャンセルしろ、代わりにオレ様と行くぞ」
グラン「え」
カリオストロ「わかったな?」
グラン「ダ、ダメだよ、クラリスの方が先に約束したんだから」
カリオストロ「あんな小娘よりもオレ様の方が大切だろうが」
グラン「でも約束は破れないし……」
カリオストロ「じゃあ今この場で新しくオレ様と約束しろ、オレ様の約束を守るためなら小娘の方の約束を破っても仕方ないだろ?」
グラン(まいったな、カリオストロもお酒を飲みたがるなんて……あ、待てよ)
グラン「じゃあさ、昨日飲んだあの酒場で飲もうよ」
カリオストロ「いいぞ……ふふん、たっぷり酔ってやるからな、楽しみにしてろよ?」
グラン(何なんだその宣言は……)
酒場
グラン「お待たせ、もう飲んでる?」
クラリス「……」
カリオストロ「……」
グラン「いやー、ちょっとシェロからの依頼が長引いちゃってさ、遅れちゃってゴメンね」
クラリス「……」
カリオストロ「……」
グラン「あれ? 2人とも全然飲んでないね、昨日はあびるぐらい飲んでたのに」
クラリス「……」
カリオストロ「……」
グラン「……? 本当に2人ともにどうしたの?」
クラリス「ねえ、団長」
グラン「なに、クラリス?」
クラリス「……うちさ、2人っきりで飲みたいって言ったよね?」
グラン「うん」
カリオストロ「おい、グラン」
グラン「なに、カリオストロ?」
カリオストロ「オレ様はこの小娘の約束を破れと言ったよな?」
グラン「うん」
クラリス・カリオストロ「それなら何でカリちゃん(こいつ)がいるの(いるんだ)」
グラン「2人ともお酒飲みたいだし、ちょうどいいかなって思って」
クラリス「……」
カリオストロ「……」
グラン「……?」
クラリス(もしかして団長……)
カリオストロ(何も分かってないって顔してやがるな)
グラン「とりあえず飲もうよ、2人は何飲む?」
クラリス「……」
カリオストロ「……」
5分後
クラリス「……」
カリオストロ「……」
グラン(2人とも一切喋らないな……乾杯も出来ないからお酒も飲めない)
クラリス「……」
カリオストロ「……」
グラン(何だか空気が重い気がする……おかしいな、昨日の飲み会で仲良くなったかと思ったんだけど)
クラリス「……」
カリオストロ「……」
グラン「ふ、2人とも、乾杯……しない?」
クラリス「……」
カリオストロ「……」
グラン「……ク、クラリス、そのお酒美味しいのかな?」
クラリス「昨日飲んだけど美味しかったのよ、団長もこっちのお酒飲む?」
グラン(あれ? 普通に受け答えしてくれるや……不機嫌だと思ったけど気のせいだったのかな?)
グラン「うん、それなら俺はそっちのを飲もうかな」
クラリス「やった☆ それじゃあ乾杯☆」
グラン「かんぱ……いててててて」
カリオストロ「……」ギュー
グラン「カ、カリオストロ、ふとももが……」
カリオストロ「え? ふとともがどうかしたのぉ? 団長さん」ギュー
グラン「俺のふとともをつねらないで……」
カリオストロ「何の話? カリオストロ、わかんなぁい」ギュー
グラン(やばい、なぜか知らないけどカリオストロが拗ねてる……早急にご機嫌をとらないと俺の太ももの皮がちぎれる)
グラン「カ、カリオストロ、そっちのお酒も美味しそうだね、一緒飲もうか」
カリオストロ「え、本当にぃ? それじゃあカリオストロとこっちのお酒で乾杯しよ☆」パッ
グラン(よかった、なんとか俺のふとももは守られた……)
グラン「それじゃあ、かんぱ……いたたたたた」
クラリス「……」グイー
グラン「ク、クラリス、足! 足踏んでる!」
クラリス「……団長は、うちと乾杯するんだもんね?」グイー
グラン「そ、そうだね、かんぱ……いったい! いったいよ!」
カリオストロ「グラン? グランはぁ、カリオストロちゃんと乾杯するんでしょぉ?」ギュー
グラン「あ、いや……そうだ、三人で乾杯しよう、ね?」
クラリス「……」グイー
カリオストロ「……」ギュー
グラン(ヤバイ、俺の下半身がヤバい、足の甲がゴリゴリいってるし、ふとももが痛すぎて感覚がなくなってきた……)
グラン(これ、どっちかに乾杯したらもっとひどいことになる気がする……どうしよう、どうすれば……)
ラカム『飲み会の主役は良くも悪くも酔っ払いだ、酔っ払いには誰も勝てないからな』
グラン(酔っ払いには誰も勝てない……俺も酔っ払ったら、もしかしてこの状況を何とかできるかな……?)
クラリス「……」グイー
カリオストロ「……」ギュー
グラン(もう考えてる暇はない……ええい、ままよ!)
グラン「……」グイ
クラリス「あ!」
カリオストロ「おい、オレ様と乾杯してないぞ、勝手に飲むな」
グラン「……」バタン
クラリス「え? 団長?」
カリオストロ「……どうした?」
グラン「……」
クラリス「団長、団長ってば!」ユサユサ
カリオストロ「おい、しっかりしろ……」ユサユサ
グラン「……」
クラリス「どうしよう、起きない……」
カリオストロ「まさか、小娘が酒に毒を……」
クラリス「盛るわけないじゃん! ていうか、飲んだのはカリちゃんのお酒でしょ!」
グラン「……うぅ……」
クラリス「あ、団長! 気が付いた?」
カリオストロ「大丈夫か?」
グラン「……2人とも」
クラリス「何?」
カリオストロ「うん?」
グラン「……なんでお酒を飲んでないの? 俺のお酒が飲めないの?」
クラリス「え?」
カリオストロ「あん?」
グラン「ほら、クラリス飲まないと」
クラリス「あ、うん、いただきます……」ゴク
グラン「カリオストロも」
カリオストロ「……お前、どうしたんだ? 目が座ってるぞ」
グラン「カリオストロは俺のお酒が飲めないの?」
カリオストロ「いや、だから……」
グラン「飲めないのかって聞いてるの」
カリオストロ「……飲めるけどよ」ゴク
グラン「よく飲めたね、偉いよ、2人とも」ナデナデ
クラリス(な、なんか団長の雰囲気が……顔も赤くなってるし……)
カリオストロ(こいつ、まさかあの一杯だけで……)
クラリス「ねえ団長、もしかして酔っちゃってる……?」
グラン「酔ってないよ」
クラリス「でも顔が赤いよ?」
グラン「赤くない」
クラリス(いや、そこは否定できないでしょ……)
カリオストロ「お前、かなり酒に弱いんだな、多分この酒あんまり強くないやつだぞ」
グラン「だから酔ってないってば」
カリオストロ「顔真っ赤にしてなに言って……」
グラン「……うるさい口だな、塞いであげるよ」
カリオストロ「あん? ……ムグ!?」
クラリス「……え?」
グラン「……」
カリオストロ「ムー! ムー!! ……ムゥ……」
クラリス「……何やってるの? 何でキスしてるの? ちょっと団長!?」
グラン「……プハッ」
カリオストロ「はあっ! ……はあはあ……お、お前、な、なんでいきなり……」
グラン「酔ってないって言ってるのにカリオストロが分からず屋だったから」
カリオストロ「だからお前は酔って……いや、それよりもさっきのキスだ! お前、オレ様のファースト……」
グラン「まだ何か言うならもう一回キスするよ」
カリオストロ「……」
クラリス(カ、カリちゃんが黙った……!)
グラン「まったく2人して人の事を酔ってる酔ってるだなんて……いくら俺が初めてお酒を飲むからって一杯くらいで酔うわけないよ」
クラリス「う、うん……でも団長の息すっごい酒臭い気がするけど、それはうちの勘違い……だよね」
グラン「酒臭い? 俺の息?」
クラリス「うちは……酒臭く感じちゃうかも」
グラン「……そういえばこの前、オイゲンの飲み会でクラリスの息を嗅がされたね」
クラリス「あー……そんなことしたっけ、ごめんね? うち酔っ払っててさ……」
グラン「だからお返し」
クラリス「え? お返しって……モガ!?」
カリオストロ「はあ!?」
グラン「……」
クラリス「ムー! ムー!」ジタバタ
カリオストロ「グラン! てめえさっきオレ様の唇を奪っておきながら! おい、離れろ!」
グラン「……ふぅ」
クラリス「……はあぁぁ」
カリオストロ「こら!! グラン!!」
グラン「なに?」
カリオストロ「なにじゃねえよ! なんでその小娘とキスした!?」
グラン「何でそんなに怒ってるの?」
カリオストロ「怒るに決まってるだろうが!! お前だってこれは……」
グラン「これは?」
カリオストロ「これは……う、浮気だろうが!」
グラン「浮気? 俺達って付き合ってたっけ?」
カリオストロ「……お前はオレ様の所有物なんだから、オレ様に許可なく他の女にキスしたら浮気になるんだ」
クラリス「……カリちゃん、束縛する女の子はモテないよ?」
カリオストロ「部外者は黙ってろ」
クラリス「部外者? うちは部外者じゃないよ、だってグランにキスされたんだし」フッ
カリオストロ「なっ……」
クラリス「グランはうちのことが好きなんだもんね?」ギュッ
カリオストロ(コイツ、一回キスされたくらいでもう恋人面してやがる……)
クラリス「カリちゃんこそうちとグランの間に入らないでくれない?」
カリオストロ「……お前ちょっとチョロすぎだろ」
グラン「2人とも喧嘩しちゃダメじゃないか」
カリオストロ「お前が原因だろうが!」
クラリス「ごめんね、グラン、カリちゃんがしつこくてさ☆」
カリオストロ「てめえはさっきからグランに馴れ馴れしいんだよ!」
グラン「クラリスは可愛いね」ナデナデ
クラリス「でしょー? うちってばさいかわ☆ だからね!」
カリオストロ「……」
クラリス「ねえグラン、うるさいカリちゃんは放っておいて、うちらだけで飲もうよぉ」
グラン「そうだね」
カリオストロ「……ちっ」
クラリス「グラン、かんぱ……」
カリオストロ「おっとっと☆」バシャ
クラリス「きゃ!?」
カリオストロ「クラリスちゃん、ゴメンね☆ お酒こぼしちゃった☆」
クラリス「こ、こぼしたっていうか、思いっきりぶっかけてきたじゃん!?」
カリオストロ「グランー、あんな酒臭いクラリスちゃん何か放っておいて、カリオストロと2人で飲もう?」
グラン「でも今のでカリオストロのお酒なくなっちゃったよ?」
カリオストロ「じゃあグランのお酒を一緒に飲むね☆」
クラリス「……カリちゃん、うちとグランの間に入らないでって言ったよね?」
カリオストロ「何か勘違いしている小娘がほざいてるけど無視しよ☆」
クラリス「……カリちゃん、少し2人でお話ししようか? ……大人げないけど、うちもちょっと頭に来たから」
カリオストロ「ああん? クソガキの癖に『大人』だと? お前はガキらしく泣きべそかくのがお似合いだぜ」
クラリス「……上等じゃん、その喧嘩買っ……」
グラン「2人とも、喧嘩はダメだって言ってるだろ?」
クラリス「うちじゃなくてカリちゃんが!」
グラン「言い訳しない」ナデナデ
クラリス「……うぅん…………わかった」
グラン「クラリスはいい子だね」ナデナデ
クラリス「うん☆」
カリオストロ「……お前どんな環境で育ったらこんなチョロくなれるんだよ、親の顔が見てみたいぜ」
グラン「カリオストロも」
カリオストロ「オレ様は別に……」
グラン「いい子いい子」ナデナデ
カリオストロ「……ふん」ギュッ
クラリス(カリちゃんも人のこと言えないじゃん……)
グラン「みんなで仲良く飲もうね」
クラリス「わかった☆」
カリオストロ「仕方ねえなあ……」
次の日
グラン「うーん……」
ラカム「どうしたんだ、グラン、頭を抱えて?」
グラン「昨日お酒を飲んだんだけどさ」
ラカム「ああ、クラリスとの飲みか、二日酔いか?」
グラン「いや、頭はスッキリしてるんだ」
ラカム「それじゃあどうした?」
グラン「……覚えてないんだ」
ラカム「覚えてない?」
グラン「昨日、あの飲み会で何があったかを全く覚えていないんだ」
ラカム「どういうことだ? 記憶がなくなっちまったのか?」
グラン「正確に言うと、お酒飲む直前までは覚えているんだ……飲んだ後何があったのか……」
ラカム「ああなるほどな、一気にがぶ飲みしちまったわけか、酒の席ならよくある失敗だぜ、みんなそうして自分がどれくらい飲めるのか自覚していくからな」
グラン「がぶ飲み……したのかな? なんだか一杯目で意識が飛んじゃったような……」
ラカム「よほど強い酒だったんじゃないか? まあ、こうして無事に飛空艇に帰ってこれて、二日酔いにもなっていなんだからよかったじゃねえか」
グラン「それはよかったよ、でも……」
ラカム「なんだ、そんなに気になることがあるのか?」
グラン「今日起きたのが俺のベッドの上だったんだけど……」
ラカム「それもよくあることだぜ、どう帰ったか覚えてないなんてみんな一度はやらかしてる」
グラン「俺のとなりにクラリスとカリオストロが寝てたんだよ」
ラカム「……」
グラン「ねえ、昨日、何があったと思う?」
ラカム「……」
END
後日談
グラン(結局あの飲み会で何があったのかは思い出せなかった)
グラン(ただ、あの日以来変わったことがいくつかある)
グラン(一つ目は……)
クラリス「ねえグラン、うちらさ、もうそろそろ次の段階にいっていいと思うんだ」
グラン「う、うん……」
クラリス「だからね、今夜……」
グラン(クラリスとの距離が異常に近くになった事だ……それと二つ目は)
カリオストロ「グラン、今夜飲みに行くぞ」
グラン「え、いやでも……」
カリオストロ「いいから飲むぞ、お代は全部オレ様が持ってやるから安心しろ」
グラン(カリオストロがやたら俺を飲みに誘うようになった事だ)
クラリス「ちょっとカリちゃん、今、グランはうちと話してるんだから邪魔しないでくれる?」
カリオストロ「あん? 何でオレ様がお前に遠慮しなきゃいけないんだよ、むしろお前の方がオレ様に対してもっと遠慮するべきだろ」
クラリス「はあ、なにそれ!? カリちゃんってどんな育てられ方したらそんなワガママになれるの?」
カリオストロ「それはこっちのセリフだ、錬金術師としての先達たるオレ様に対してお前はあまりにも敬意がなさ過ぎる、親にどんな教育されてきたんだ?」
クラリス「ふん、うちの親は傲慢ちきだもん! カリちゃんそっくりだよ!」
カリオストロ「はん、オレ様のような奴に育てられたのなら、お前は今頃立派な錬金術師になってるはずだが?」
クラリス「……」グルル
カリオストロ「……」ガルル
グラン(あとそれと、この2人が仲良くなった……と思う)
グラン(まあ、何にせよ、しばらくはお酒を飲むのは控えよう……)
END
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