兄「訴訟も辞さない」
妹「波の~谷間にぃ命のはぁなぁが~」
男「二ぁつ並んで、咲いているぅ~」
兄「華麗なスルーからの兄弟船、それだと一隻足りないんじゃあないッスかね」
男「二つ並んでる命の花って船の事だったのか」
兄「いやその辺の解釈はよく判らんけどな」
妹「演歌の『兄弟』ってフレーズはなんであんなにホモ臭いんだろうね不思議!」
兄「お前の頭の中の方が不思議でいっぱいなんじゃないかな?」
男「そうだそうだ鳥羽○一郎に謝れ」
兄「お前は隠す気が全くないなwww」
妹「そうだそうだ鳥羽一郎○に謝れ!!」
兄「揃って謝れ馬鹿兄妹」
男・妹「アァ?誰が馬鹿だって?」
兄「よし、お前たち先日の数学テストの点数それぞれ言ってみようか?」
男「―お兄様、誠に申し訳ありませんでした!」
男「今後とも我が勉学に何卒ご助力賜りますよう…!」
兄「フハハ、殊勝な心がけよ」
妹「いつもながら掌返しパネェwww」
兄「お前はその辺ブレないのな」
妹「だって、数学なら友ちゃん頼るし」
男「くそー身近に数学得意なやつ居ねええ!!」
妹「唯一の弱点を握られたまま地に伏すとよいわ」
兄「いや、その台詞言っていいの俺だからね?」
▼
下のスレの続きですが
特に読まなくても大丈夫っちゃ大丈夫です
男「兄貴はつらいよ」
男「兄貴はつらいよ」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1442834256/)
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1447624585
駅構内 下り線ホーム
<~行き、特急が参ります
妹「うぉ、ヤバイヤバイ!ホットのカフェオレ買ってたら電車来ちゃうじゃん」
妹(今日は友ちゃんと勉強する為に出てきたというのに)
妹(区切りが付いたら買い物しちゃってついそっちに熱が入っちゃった)
妹(あ~中がボアのブーツ可愛かったなぁ!)
妹(あ、お兄ちゃん確か来週バイト代入るんだっけか?)
妹(おねだりしたら買ってくれないかなぁ…フヒヒ)
兄「―顔がだらしなく緩んでますよ」
妹「へあっ!?」
兄「お前外でアヘ顔は捕まりますよwww」
妹「お兄ちゃん!驚かさないでよwww」
妹「てかアヘ顔なんてしてないし!」
兄「涎垂れてんぞ」
妹「―!うそ!!?」
兄「うぅ~そお~wwwwww」
妹「………」
兄「―痛い!!無言で足を踏むな!!」
ドア<プシュー、ガタタタン…
ォァーンフォーン…タタン…ガタン…トトン…
妹「クソ野郎はバイト帰りですか?」
兄「クソ野郎はやめろや泣くぞ」
兄「車内で泣くぞ?」
妹「他人の振りするからいいよ」
兄「コイツに勝てるビジョンが見えねえなぁ…」
ガタタタン!
兄「うおっと!」
妹「ちょwww貧弱貧弱ぅwww」
兄「うるへーww満員気味だからここら吊革掴まるとこねーんだもんよ」
妹「壁に手ついてんのに?体幹ないんじゃあないの?」
兄「くそー通学の時歩く距離増やそうかなぁ」
JKたち<ヒソヒソ…アノイケメン、彼女ノ事庇ッテアゲテル…リア充イチャツクナヨ、爆発シロ
妹「………」
妹(こういう時お兄ちゃんと連れ立ってると妙な優越感があるというか)
妹(顔面偏差値高い方の兄で良かったなwww)
兄「なんだ?一服もってやったぜみたいな宇喜多顔しやがって」
妹「え?それどんな顔?」
兄「ヒラコー漫画のニチャアって擬音付きそうな歪んだ笑顔」
妹「そ、そんな顔してない!…多分」
兄「あ、宇喜多っつっても泳いで参ったじゃなくて直家の方な」
妹「ちょっと意味わかんないですね」
兄「道三、久秀、直家の戦国黒い三連星の一角が判らんのか」
妹「あー蝮と爆死のセットの残りか」
兄「残りって…親父の本棚から津本陽の備前物語借りてこい」
兄「タイトル宇喜多秀家ってうたってるけど割りと親父の直家メインな話だから」
妹「本読むの好きじゃないんだもん。漫画とかないの?」
兄「あれそういや殿いつで居なかったっけか…こういう時無双でプレイアブル化してたらなぁと思うな」
妹「あ、そしたら薄い本で読めるね!相手は誰がいいの?」
兄「駄目だー早くーなんとかしないとーこいつの頭をー」
タタン…トトン…
妹「てかさお兄ちゃん、この面のペット救出出来ないんだけどさぁ」
兄「あーコレなぁ。カビ消すのもいいけど、ある程度増やさせて邪魔になりそうなブロックをカビとして処理すんのも手だぞ」
妹「そう思ってんだけど、なかなかなって欲しいとこで増えてくんないんだよねーカビ」
兄「まぁある程度制御させる為に剪定じゃないけど途中間引きが必要だけどな」
兄「あーまだロケット打つな。そう次の段に下がってからな」
妹「うーん、こーしてあーして…」
兄(お、爆弾とバネ残せてるしロケット次弾装填間近だし)
兄(こりゃよっぽどヘタ打たなきゃクリア出来るな)
ガタン…ゴトン…
兄(―!??)
兄(…………)
妹「やた!クリア出来た~」
妹「フヒヒwwまぁこの私の手にかかれば救えないペットなんて居りませんわなぁww」
妹「みてみてーやっとこの面まで来れた!」
兄「…ん。おおやったじゃん」
妹「お兄ちゃんにもすぐ追いついちゃうもんね~」
兄「まだ別のエリア解放もしてないくせに言いよるわww」
兄(―!)
妹「?」
妹「……どしたん?」
兄「…………なん、でもない…」
妹「………ウンコ?」
兄「…小声とはいえ女子が外でウンコ言うなww」
妹「……じゃあ何?なんか苦しそうだけど具合悪いんじゃないの?」
兄「…いや、そうじゃ…ないんだけど…」
妹「……なんだよ煮え切らないなぁ…」
兄「………ちょい待て」
妹(お、スマホ取り出した)
妹(あ、LINEで言う気か。よっぽど口に出せない事なのか?)
妹「……あ、キタキタ」
妹(えーとナニナニ)
妹「ブフォッwww」
兄「ちょww笑い事じゃねーよ……」
妹「…いやだってお兄ちゃんww」
兄「…口には出すな…」
妹(いやだって、『痴漢されてる』って)
妹『なんだBL漫画かよ』>>兄
兄『マジふざけんなよ…』>>妹
兄『とてもつらい(スタンプ)』>>妹
妹『横光スタンプ送る程度には余裕じゃあないかww』>>兄
妹『何かの間違いじゃなく?たまたま手が当たってるとか』>>兄
兄『今左のケツをくっそ揉みしだかれてる』>>妹
兄『俺こそ間違いであって欲しいと願ってるけどな…』>>妹
兄『エスカレートしてきてんだよこいつ…怖えよ』>>妹
妹『けっぱれーアイト!アイトー!!(スタンプ)』>>兄
兄『えwwこのまま耐えろと?』>>妹
妹『まぁ我々の業界的にはその方がオイシイシチュではありますからなぁフヒヒww』>>兄
兄『駄目だー早くーなんとかしないとーこいつの頭をー』>>妹
妹『まだ余裕あんじゃねーかwww』>>兄
妹『冗談はともかく』>>兄
妹『ちょっと身体ズラしてやり過ごせないかね?』>>兄
兄『そうしたいのはやまやまなんですが』>>妹
兄『足元が踏まれてて動かせないんですよね』>>妹
妹(どれどれ)
妹(あーこりゃ駄目だ)
妹『ピンヒールがガッツリめり込んでますね』>>兄
兄『oh…詰んだ』>>妹
妹(これ多分このピンヒールの?の人と間違われて痴漢されてんじゃないか?)
妹(特急だから暫く停車駅無いし)
妹(痴漢!ってとっ捕まえるにもお兄ちゃんが被害者だからどうしたもんか…)
兄「………まずい……」
妹「……勃ったの?」
兄「…だから女子が外でそういう事を…てかなんで、期待に満ちた目を?」
妹「…我々の業界的にはその方がオイシイs」
兄「……訊いた俺が馬鹿だった」
妹「…フヒヒwwサーセンwww」
兄「…てかさ…」
兄『手が服の中に入って来てんだけど』>>妹
妹「ブフォッwww」
妹「……それもう間違われてんじゃなくて決め打ちの犯行じゃん」
妹「…いつから世の中はそんな世紀末BL世界に変革したの?」
妹「…こうしてられない。早く先輩に教えてあげなきゃ…!」
兄「……お仲間へネタ提供する前に俺を助けろ…!」
妹「…てかさ小声とはいえウチら話してんのに続行中なの?」
兄(めっちゃ頷く)
妹「……うわあ、ガッツのある痴漢ですね…たまげたなあ」
兄「…今その手のネタは笑えんからやめろや」
妹「…もういっそ手掴んで『コイツ痴漢です!』ってやったら?」
兄「……それは最後の手段だな…なるべくなら使いたくない」
兄「……この沿線乗れなくなるわ」
妹「……あー…目立つよね…男だと余計記憶に残られそう」
兄「…帰宅時間被る人たちはどこかしら顔見た事あるメンツになるからな…」
兄「……痴漢された男で覚えられたくない…」
妹「……頑張れお兄ちゃん…あと1駅分だよ…!」
兄「……あと1駅分…それが果てしなく長く感じるぜ………」
兄「―!!」
妹「……お兄ちゃん…?」
兄「…ヤバイヤバイヤバイ…」
兄「…コイツ、直に来る気だ…」
兄「…防壁が無い…いよいよ詰んできたwww」
兄「…駄目だw切羽詰まって逆に笑えてきたww」
妹「…ど、どどどどうしよう…!」
兄・妹(何か手は無いのか!?)
妹(…あ、中吊り広告…詐欺…窃盗…防犯対策…)
妹(―窃盗…!)
妹「…お兄ちゃん、相手の腕掴める?」
兄「…多分…掴める」
妹「……手掴んだら私が声上げるから、離しちゃ駄目だよ?」
兄「……この突っこまれた状態で掴むのか?」
妹「……大丈夫。驚いて多少腕が抜けるだろうし、服の中探ってた感ある方がいいの…」
兄「……よく判らんが信じたぞ…」
兄「……今だ…!」
妹「――ドロボー!!!」
乗客たち「―!!」
妹「お兄ちゃん!財布盗られちゃう!!捕まえて!!」
兄(―なるほど、スリに仕立てるのか!)
兄「…さっきからナニ人の後ろでゴソゴソしてるんですかね~?」
痴漢「―痛っ!?は、離せ!!」
乗客<ナンダナンダ?スリ?
乗客<現行犯ダナ
乗客<犯人ノ写真撮ットコ
痴漢「止めろ!私は何も盗ってない!」
リーマン「その人の上着に手を突っ込んだ状態で何言ってんだ」
学生「次の駅で警察に引き渡してやる」
痴漢「濡れ衣だ!」
兄「……濡れ衣だ?」
兄「本っ当ーに本っ気でそれ言ってんの?」
妹(あ、珍しくガチで怒ってる)
痴漢「……ううぅ…」
妹(このオッサン、男相手に痴漢してたんだもんね)
妹(こうなったら何も言えんわなwww)
車内アナウンス<次は~…お降りの際は右側のドアに…
兄(お、頃合いだな)
兄「今回は何も盗られなかったし、大目に見てあげますよ。オジサン」
痴漢「…へ?」
兄・妹「次はないからな?」
痴漢「は、ハイ…」
ドア<駅ツイタヨー開キマスヨー
兄「―それじゃ皆様」
妹「お騒がせしましたー!」
停車駅 ホーム
兄「ウハハハ…はぁ…」
妹「フヒヒ…乗り切った、よね?」
兄「…よな?」
兄「俺の貞操と社会的な何かは守られた!!多分!!」
妹「私たちが飛び降りた後の車内がどうなったかは…」
兄・妹「知ったことかー!!」
兄「てかマジ咄嗟の機転に救われたわ―やはり天才か…」
妹「よせやい」
妹「まぁこの埋め合わせはしてくれても構わんよ?」
兄「ウム、褒美を取らす。申してみよ」
妹「ははぁ。されば、ロペピクニックのショートブーツを賜りたく」
兄「ゴディバのアイス程度を予想してたらそれなりにふっかけて来やがったwww」
兄「せめてWEGO辺りで手を打たぬか?」
妹「えーあそこのブーツあんま趣味じゃ無いんだよね。ニットは可愛いのあるけど」
妹「仕方ないにゃあ。ゴディバのアイスと此度のレポートで手打ちと致そう」
兄「ホッカホカの恐怖体験をBLネタとして提供しろと?!」
兄「常々思ってたけどおそろしい子…!」
兄「さて、なんかあったかいもんでも飲んでから帰るか」
妹「あー!私ボトルでカフェオレ買ってたの忘れてたよー」
妹「くそー冷めてやがる…!」
兄「家帰って飲みゃよくね?」
兄「寄るのはモスかミスドかタリーズか」
妹「ファッキンで」
兄「おい、ファッキン再開発区画で潰れてんぞ今」
妹「マジかよ!そうだった!使えねーな地元」
妹「じゃあフレッシュネスで」
兄「お前は提示されたモンから選ぶって事ぁ出来んのか」
妹「バーガー食いたいんだよ。言わせんな恥ずか死ね!」
兄「じゃあモスに行こうよ~」
妹「えーアボカドのが食べたいのにーーー!」
兄「女子か」
妹「女子だよ!今更か!」
妹「お兄ちゃんこそモスで何食べたいのさ」
兄「ソイパティダブル野菜が食いたいの!」
妹「女子か」
兄「女子はダブルにしなくね?」
妹「今時女子はダブル余裕ですし2個食い3個食い普通ですよ?」
兄「え、女子怖い」
兄「『え~そんなにぃ食べれないよぉ』とか言ってる裏で3個食い余裕とか女子怖い」
妹「甘いものは別腹という生態をもつんだぞ?しょっぱいものと甘いものを交互にループすれば永遠に食っていられる奴らの胃袋をなめちゃあいけない」
兄「お前だけが特別意地汚いのかと思ってたわ…」
妹「恐ろしいのはデブじゃなくても食える種がワンサカ居ることだよ。見た目に騙されるとデートのエンゲル係数で泣きを見るからね」
兄「誰の経験則なのかwww」
妹「あ、しまった!パスモチャージ忘れてた」
妹「してくるからちょっと待ってて」
兄「全くうっかりさんめ」
兄(あれそういや俺もスイカ残金どんだけだったっけ?)
兄「ちょい待って俺もチャージするー」
妹「小走りの仕方きめえwww」
精算機前
妹(―あ、さっき電車の中で一緒だった人達だ)
JKたち<ペチャクチャウンタラ…ッテサー…バクナイ?―アッ……
妹(こっちに気付いたーーwww)
ゆるふわパーマ「…さっきホモられてたイケメンだ…」ヒソヒソ
ショートボブ「…妹に庇われたとかマジヤバくない?」ヒソヒソ
妹(バレてたーwwお兄ちゃん痴漢されてたのバレてたーwwww)
妹(あー…こっちの事観察して来てたからこの人たちだけ一部始終見てたんだろうな…)
妹(お兄ちゃん…今の聞こえて…)
兄「………」
妹(たー!!!バッチリ聞こえてたーwww)
妹「お、お兄ちゃん…行こうよ」
兄「……おう」
ゆるふわパーマ「…あのイケメン、受だな」
ショートボブ「―ブフォッwwwマジそれなwww」
JKたち<ヤッパ陵辱系ジャネ?オッサンニ監禁サレル流サレイケメン萌www
妹「…………」
兄「おい、俺たちが知らなかっただけで世紀末BL世界への変革は既に始まってんぞ?どうなってんだこの世は…」
妹「―ハッ!今のお姉様たちとLINEID交換して来なきゃ!!(使命感)」
兄「(腐)女子マジ怖過ぎィ!」
痴漢ダメ絶対安易なホモ妄想ダメ絶対
タイトル追加部分に深い意味はありません多分
書き溜まったらまた投下します
あとなんでか文字化けてますが
>>6 『女』の人です
>>11から続き
駅中エリア
兄「アレ? 弟じゃん」
男「―!?」
妹「ホントだ! おにいだ! やっほー!」
男「!!!?」
兄・妹「なーにしてーんのーww」
男「あ、兄貴に妹まで…」
男「2人こそ外で揃ってどうしたんだよ」
妹「私は友ちゃん家で勉強してきた帰りだよ~」
兄「俺はバイト帰り」
妹「友ちゃん家と最寄り駅おんなじだから、たまたま時間も一緒になってさー」
男「へぇ、ふぅん。そーなんだー………」
男「………それじゃ、そういう事で後ほど…」
妹「―むぁたれ゛よ゛ッッ!! そう、貴公だッ!!」
男「!!?」
兄「モノマネチョイスが判りづれーよww」
妹「3修羅モード(Not難易度)で遭遇する馬超な」
妹「ご挨拶も無しに素通り出来る程礼儀を欠いてませんよ私たちは」
兄「―そちらのお隣さんは?クラスの友達?」
男「……………………」
男「うん。あーと、同じ家庭科部の女さん」
女「こ、こんにちは…」
妹「こんにちは~!」
兄「こんにちは。いつもウチの弟が世話になってますね~」
女「いえ、そんな! いつも男くんは頼りになって、こっちがお世話になってるくらいですからっ」
兄「アハハハ、男の部員コイツだけなんでしょ?」
兄「見ての通りガタイはやたらいいやつだから、力仕事に使い放題してやってね」
男「兄貴…!」
兄「あ、なんかデートの邪魔しちゃったかな?」
女「だ、大丈夫です! デートじゃありませんし!」
男「―!!」
妹(わ、わぁ………)
妹「ぉお兄ちゃん、私たちお母さんに買い物頼まれたんじゃあなかったっけぇ?」
兄「え?……ぁあ~そうだった、そうだった!」
妹「それじゃ、おにい。私たちは先に帰るからね!」
兄・妹「女さん、さよなら~」
女「はい…さようなら」
女「…………………」
男「女、さん?」
女「―え! な、なに?男くんっ」
男「…いや、何でもない」
男(それから後の事は正直上の空で)
男(俺はせっかくの女さんとの二人っきりという貴重な機会の僅かな残り時間を全く楽しめなかった)
男(だから嫌なんだ、同級生に家族っていうか兄貴を知られるの)
男(女さんの目線が完全に兄貴にロックオンだった)
男(非常に由々しき問題の発生である)
男(―ええい、忌々しい!)
1階 リビング
TV<ゾンビガウロウロシテヤガリマスヨ
兄「あーもーあーあー」
妹「あーもーもーあー」
兄「アレクサンドリアは犠牲になったのだ…犠牲の犠牲にな」
妹「いやまだ滅ぼすなやww」
妹「ホント安全圏はぶっ壊していくスタイルだよね」
兄「せっかく無事で安心してたのによ~」
妹「てかさ照英どこ行った? 死んだ?」
兄「照英ってスペンサー?」
妹「そう。使えねえ息子」
兄「確かに照英似てるwww」
妹「死なねぇかなと思うけど案外死なないよねあーいうタイプ」
兄「次回何かやらかすんだろうな…マイナス方向に」
妹「ホント死なねぇかな照英」
兄「その呼び方だと誤解を招きそうだからやめろww」
男「……この、人の気も知らんでhuluでTWD視聴しよって…」
兄「―お? お帰り~」
妹「おけーりー」
男「……たーいま」
兄「で、どうだったんだい?」
妹「ちょっww」
男「何が」
兄「ヤダぁも~恥ずかしがって!思春期はコレだから!」
兄「家族相手に照れる気持ちは判る!!」
兄「だがしかし!! 男同士なのだ!!」
兄「―腹を割って話そう!!」
男「………」
妹(…うわあ~……)
兄「オイオイ、リアクション薄いぞ~」
兄「此処はお前も大泉さんになりきって応えろよ~」
男「うるさいな」
兄「…?」
兄「なんだ、本当にどうした?」
兄「あの後女ちゃんとなんかあったのか?」
兄「真面目に話聞くぞ」
男「……………」
兄「ここじゃなんだから、上行くぞ」
男「判った」
妹(お兄ちゃんの無自覚に煽っていくスタイルにハラハラしていたら)
妹(なんかおいてけぼり食らったでござる)
妹「……取り敢えず、2月までTWD新作来ないし久々にSPECみるか」
2階 兄部屋
兄「―で、どうしたんだお前」
男「………ハァ」
男「兄貴」
兄「うん?」
男「ちょっと一発殴らしてくんね?」
兄「…………………」
兄「ハァ???」
男「一発だけだから、ちょっぴり当たるだけだから」
兄「何言ってんのぉ!?」
男「大丈夫、ちょっぴりそのメンズノンノ面をフェイスノンノンにさせてくれれば俺はスッキリ出来るから」
兄「弟に殺される!!!!!」
男「あ、チガウ チガウ カルク ナデルダケダカラー」
兄「イヤイヤ、馬鹿言っちゃいけねえよ!!!」
兄「お前、その力の込め方確実にどこかの骨折る気だろ!!!」
男「ソンナコト ナイヨー ソフトタッチダヨー」
兄「目が死んでるって!!! 説得力neeeeeeeee」
男「真っ直ぐ行ってぶっ飛ばす…右ストレートでぶっ飛ばす…」
兄「アレ、おかしいな…俺いつの間に盗聴(タッピング)の能力に目覚めたんだっけ?」
男「俺一人で墓を掘ってもいいんだぜ?」
兄「弟のダークエンジェル化が止まらない!!」
男「イケメンは生きるべきか死ぬべきか…決着をつけようじゃないか」
兄「この数時間で何がお前をそうさせたんだよ!!」
兄「取り敢えず一旦落ち着こう」
男「…オーケー兄者」
兄(ヤダ、怒りを内包した弟がCV玄田哲章に見えてくる不思議)
兄(フルパワー120%に覚醒される前に原因を突き止めねば)
兄「冷静さを欠いては建設的な話は出来んぞ、弟よ」
兄「今日俺たちは駅中の店前で邂逅したな」
兄「その時のお前は、外で家族に鉢合わせた気まずさこそあったが」
兄「今の様に憤怒に身を委ねてはいなかった筈だ」
男「………」
兄「帰り際にどうも少し様子がおかしい気がしたが」
兄「お前まさか……」
兄「女ちゃんのあの言葉、真に受けたのか?」
男「…どういう意味だよ」
兄「……これだから童貞は」
男「どどどどど童貞ちy」
兄「違わないだろコラ」
男「ハイ、そうです」
兄「全く、鈍チン野郎の愚弟にお兄様が教えてしんぜよう」
兄「―女ちゃんはお前に好意を抱いているッ…!!」
男「…………そんな馬鹿な…」
兄(『ナ、ナンダッテー!!!!??』な活きの良いリアクションを求めていただけになんて言うですかこの肩透かしたるや)
兄(マジ悩みか!! 真面目か!!)
兄(あれ、これ弟の初恋? ってヤツを真剣にサポートしないと本当にフェイスノンノンさせられるんじゃね?)
兄(ノリで事情聞き出し弄ろうとして早まった感あるwww)
男「俺はイケメンには程遠いし、菓子作りの可愛いイメージから掛け離れたゴリマッチョだぞ?」
男「あの時だって、女さんは兄貴に見惚れてたし…」
兄「見惚れてた、ねえ…」
兄「まぁ、俺は人並みよりそこそこ整った顔してんのは自分でも判ってるよ」
男「え? 何? 今ここで殺されたいだって?」
兄「早まるな!客観的事実に基づいた所見というやつだ」
兄「然しだな、女ちゃんはそんな基準で俺の事を見ていた訳じゃ無い」
兄「俺自身を見るというよりは、誰かと比較して観察していたに過ぎないと思うね」
兄「その誰かってのは考えるまでもない。お前の事だ」
兄「兄弟なのに似てないな、とかそういった類の関心しか無かったろうよ。俺自身に対してはな」
兄「お前、傍で見てて全く気付かなかったのか?」
男「………そんな馬鹿な…」
兄「あーあ、女ちゃんも可哀想に。こんな朴念仁好きになっちゃってまぁ」
兄「『いつも頼ってばかりで』なんて言ってた時の顔見たか?頬赤らめちゃってさ」
兄「めっちゃ好かれてんだろお前」
男「……………………そう、なのか、な?」
男「いや、でもさ。それはあくまで同じ家庭科部の仲間としてって事じゃ無いのか? 今日だってクリスマスメニューの買い出し組に選ばれたから一緒だった訳だし…」
兄「―ええい、つべこべ申すでなーい!!!」
男「―!!」
男(………殴られた)
男(しかし痛くない)
兄「めっ…………っっっっちゃいってえええ!!!」
兄「え? なんで? なんでこっちの拳がダメージ受けんの? バカなの? マッスルバカ?」
男「兄貴の攻撃力が低過ぎんだよキングオブ貧弱」
兄「お前の肌は装甲か? アストロンかストーンスキンとか使ってんじゃないのか?!」
兄「話がズレた!―弟よ、明日は何の日か言ってみろ!!」
男「く、クリスマスだよ」
兄「そうだ! 神の子が生まれたんだか定かじゃないにも関わらず、なんの因果かそこかしこで今宵こそはときっかけを作りたい煩悩の使者たちに崇め奉られる年末行事である!」
兄「全くそんな定かじゃない日よりイースターを祝え! イースターを! あ、ダメだ。昨今は御鼠様のイベントで華々しく着目されてしまっているな。―よし、日本人らしく今生陛下を御祝い寿ぎ奉ろうではないか」
兄「などと言ってはおりますが、不肖わたくしめも盛大にクリスマスを活用させて頂いております! 父と子と精霊の御名のもとにAmen!!」
男「今判ったよ。殺していいのは悪魔共と異教徒のみではないってな」
男「リア充は塵へ、…Amen!!」
兄「おい待て、さり気なく暴力から殺戮にランクアップさせんなよwww」
兄「貴様はこの機を逃すというのか!」
男「!!」
兄「イベントに託つけて何が悪い! ここで動かば男が廃るぞ!」
男「兄貴…」
兄「そーれこーくはく! いよッ! こーくはく!」
男「…………………兄貴」
兄「―よーし! ちょっと冷静になろう! その十字に構えたステンレス定規を降ろせ! お兄ちゃんが悪かった!」
男「ほ、本当に上手く行くと思うか?」
兄「弟よ、最後にこの言葉を託そう」
兄「男なら、やってやれ!」
男「男なら…」
兄「やってやれ!!」
兄・男「男なら、やってやれ!!!!!!!!!」
1階 リビング
TV<ナンナンスカ、犯罪ナンデスカ?餃子クイスギ罪ッスカ~?
妹「やべぇ…茹で5焼き5でニンニクマシマシ食べたいわぁ」
妹「冷凍庫に水餃子あったな…おにいに作らせなきゃ」
男「いや自分で作れよ」
妹「おおう!?いつから居たのww」
男「ん、今ついさっき」
妹「………お兄ちゃんは?」
男「……………」
男「寝てんじゃ、ないかなぁ…」
妹(なぜ目を背ける)
数分前 2階 兄部屋
男「え? 電話すんの? LINEじゃ駄目なのかよ」
兄「日和るな。こういうのは声のニュアンスも大事だぞ。文面だとそういった機微も伝えづらいし、相手からのも気付きにくいしな」
男「そういうもんか、なるほど」
兄「俺出てくか?」
男「……ん、いやそもそもここ兄貴の部屋だし」
兄「おう」
男「えーとなんて言うか…まぁ居てくれよ」
兄「wwwwww」
男「ニヤニヤ笑うなよ!!くっそー…」
スマホアドレス帳<女ノ番号コレヤデ
男(落ち着けぇ~俺ぇ……)
男「……………………」
男「―あ、女さん? 男だけど」
男「うん。今日はありがとう。うん、こちらこそ。お、俺も楽しかった。え? また一緒に?」
兄(おおおおお!!)
男「じゃあ、今度は輸入物多く扱ってる製菓材料のお店行かない? そこの近くにおいしいケーキ屋も知ってるからさ」
兄(おいおいトントン拍子じゃあないのwww)
男「うん、俺も明日のクリスマスメニュー楽しみだ」
兄(…もう俺が弟にしてやれる事は何も無い)
兄(これ以上ここに留まるのは野暮ってモンだ。クールに去るとしよう…)
男「―え? うん…うん」
男「……………………はぁ…うん」
兄「?」
男「………いや、大丈夫……問題ないよ」
兄(なんだ? 唐突に弟のテンションが急降下?)
男「………うん、じゃあ、明日、部活で」
男「………」
兄「………男? どした?」
男「………兄貴さ」
男「女さんが『彼女居るのか?』 って知りたがってたよ」
兄(あ、これアカンやつや)
男「次飯行く時に兄貴の事詳しく教えてね、だってさ」
兄「ほ、ほらアレだろ? 女ちゃんは将を射んと欲すれば先ず馬を射よってのがポリシーなんだろう! お前と付き合う為に家族から攻めてくるなんて未来を見据えたお嬢さんじゃあないかなぁはっはぁ!」
男「さて、兄貴のダーツはどこにしまわれていたっけな…」
兄「待て。射るのか?! 射る気なのか?!!」
男「年末だし大当たりしてみようぜ!兄貴」
兄「一投大当たりは嫌だあああ!!!!」
男「兄貴は言ったよな。男なら…」
兄「―!! や、やめ…」
男「―殺ってやれ!!!!」
一旦終わり
書き溜まったらまた投下します良いお年を
妹「あ、先輩からLINEだ。返信しなきゃ」
妹「えーと…」
妹『冬コミお疲れ様でした~! ジェノサイジェノ本の取り置き感謝です??』『またパセラでオタカラしましょう!!』『嬉しいな 嬉しいな(稲川淳二ボイススタンプ)』>>先輩
妹「…よし、と」
妹「はぁ~私も薄い本とか作ってみたいなぁ……」
妹「お? 先輩既読早…って返信も早えwww」
先輩『乙ありあと~! パセラやったね☆ ところでさ、妹ちゃんの兄二人ってどんな顔してんの? いつも兄弟ネタ聞いててマジ気になってたんだけど!! 妹ちゃんに似てる?』>>妹
妹「……どんな顔、ねえ」
妹(写真でも撮るか? いや、緩いお兄ちゃんはともかくおにいの方が警戒しそうだなぁ…)
妹(かと言って私に絵心は無いしなぁ…)
妹「ふむ」
妹『写真が撮れないのであくまでもイメージですが、髭の無い角田信朗が次兄で、思わず掘りたくなるイケメンを想像してその顔にアンガールズ田中の身体と精神を宿したのが長兄です』>>先輩
▽
良いお年をと言いましたが再開します
1階 リビング
男「はよ~」
妹「はよッス~」
男「朝っぱらからコタツでぬくぬくとは良いご身分だな」
妹「だってだって今年は出すの遅かったじゃん! その分を取り戻す為にもぬっくぬくし倒すのだ!」
男「お前部屋は片したのか? 大掃除」
妹「冬休み入ってから直ぐやっちゃったもんね~」
男「珍しいな」
妹「…だって、片付けないと、お母さんが怒るし」
男「今年の正月にお年玉お預け喰らいかけてたもんなwww」
妹「あの時はマジで絶望したよ…もう生きていけないと思ったわマジで」
妹「新年早々泣きながら洋服片したのは忘れられぬ」
男「お前中々着替えないし、着替えても直ぐ片さないから山になるんだよ。洗濯物も直ぐしまわないし」
妹「だってだって女の子だもん! 洋服だってもう何が何処にあるのか把握出来ない程あるんだもん! 仕方無くね?」
男「いや、把握出来る範囲で納めろよ。女の子なら季節毎に整理整頓しろや」
妹「も~そうやって女の子なら斯く在るべしって決め付けてるからいつまでも童貞なんだよ、おにいは」
男「どどどどどどどどっ童て…ってなんでお前が!!!」
妹「あーwwwやっぱそうなんだwwwwww動揺してんのクソウケるwww」
男「oh...shit!!!」
妹「まぁ、去年の私とは一味も二味も違うんですよ。衣替えでクローゼット入替えした時に他も大分片したんだよね~。お陰でチャッチャッと掃除するだけで済んだのだ!」
男「人は学習するものなんだなぁ」
妹「そういうおにいこそどうなんよ?」
男「俺か? 普段から掃除と整理整頓してるし、そもそも物自体増えないからなぁ」
男「キッチンの大掃除も昨日母さんと終わらせたし特に無いな」
妹「チッ…優等生か。面白みの無い男よ」
男「他も兄貴が母さんと一緒に風呂場とか水周りも済ませたって言ってたしな」
妹「お母さん基本掃除好きだし、整頓とか普段からうるさいもんね」
男「いや、感心してないでお前もなんか手伝えよ」
妹「いやいや、今年はちゃんと片付けした事を先ずは良しとして下さいよ」
妹「来年から本気出す」
男(これやらないパターンだな)
父「おー、それは良い事を聞いたなぁ」
男・妹「(お)父さん!」
父「―母さーん。グータラ娘が来年は本気出すってさ」
母(キッチン)<あら、ボイレコで録音しておかなきゃね!
父「良い言質になるぞぉ~ww」
妹「え? え?」
男「父さん、俺のスマホは準備万端だ! いつでも録音出来るぞ」
父「さすが抜かりないな、我が息子よ」
父・男「さぁ!! 来年の抱負を大きな声で!!」
妹「え?! な、えええ!!?」
父「ハイ、消えたー! 来年のキミのお年玉は消えたよー!!」
妹「ぅええええええええええええええええええええ!!!!!????」
父「うーそぉーwwwwww」
妹「―!!!?!」
妹「………ぅぅうわああ゛あ゛ぁぁぁぁ…!!」
父「うん、ちょっとやり過ぎたってお父さん反省してる」
男「何も泣く事は無いだろwww」
妹「だって! うわあもおおおおバカぁあああ!」
父「よしよし、ゴメンなぁ。宇和島みかんだぞぉ~お父さん剥いてあげるからなぁ許してなぁ」
妹「いいよぉ!」
男「―いいの?!」
妹「だってみかん剥いてくれんだもん。いいよぉ許すよ」
父「白い所は自分でやんなさい。父は爪に白いのが入るのヤダからな」
妹「ちぇー」
男「みかんで済むとは安上がりだなぁ」
父「いいじゃないか、経済的な娘で。お父さんはそういうチョロいところ好きだぞぉ~」
妹「そういう発言は私が居ない所でして欲しいわぁ」
父「ゴメーン!!」
妹「いいよぉ!」
男「二人共、新喜劇の茂造回見ただろ」
父・妹「うん!」
妹「最近小藪ンの放送やんないんだよね。スチ子と茂爺好きだから良いんだけどさ」
男「インスタとかモデル業が忙しいんじゃね?」
父「お父さんは内場座長回でまた辻本も出てるのが見たいわ」
妹「スチ子のクリスマス回でウッチーだけじゃなく茂爺も出れば良かったのに」
父・妹「ねぇー」
男「それはそうと。父さん風呂入ってたの? なんかホカホカしてるけど」
父「庭と外周りの掃除してたんだよ。ちょっと汗もかいたし、冷えるのも嫌だからな。ひとっ風呂して来た」
男「うへぇ、一人で庭やってたの? 俺にも声かけてくれりゃ良かったのに」
父「母さんから昨日台所手伝って貰ったって聞いたしな。まぁやる所庭くらいしか無かったし。甲斐性のある息子たちに恵まれたお陰で楽なもんだよ俺は」
男「せっかくの休みなのに。朝からお疲れ様」
父「ねえ、ビール飲んでもいいかね? どう思う?」
男「一仕事終えたんだしいいんじゃない? 一本くらい」
父「フヒヒwww朝っぱらからビール! ビール!」
妹「お父さん笑い方キモいwww」
男「いや、お前の笑い方父さんとそっっっくりだからな?」
妹「マジで!!? やだぁ! あんなキモいの?!」
父「ちょっとーやめろよー聞こえてるよーお父さんショックだわー」
妹「ゴメーン!」
父「いいよぉ!」
父「―いやいや!! 新喜劇のノリに誤魔化されないぞ! 許さーん!」
妹「ちぇー。駄目かぁ」
男「いや、一瞬でも流されそうになるなよwww」
父「―ッぷっはぁぁア…!! この為に生きているようなもんだよ全く!!」
妹「…お父さんうるさい」
男「いつも仕事で遅くまで頑張ってるんだから、休みの時くらい家で破目外させたげようぜ」
妹「んもぉ、仕方ないニャー」
父「何なの? お前たちお父さんの事泣かす気か? そんな嬉しい事言われちゃうと…」
妹「お小遣いあげたくなっちゃう?」
父「もう一本ビール飲みたくなっちゃうwww」
父「母さーん、もう一本飲んでいい~?」
妹「うっぜええええ酒入ったテンションうぜえええ」
男「いや、お前もサラッと小遣い要求してんなよwww」
妹「いついかなる時も小遣い要求する心構えを忘れない。此れ末っ子の信条也」
男「ちゃんとしてる全国の末っ子の皆さんに謝れ」
妹「ゴメーン!」
父「いいよぉ!」
男「もうツッコむの面倒くせえなぁこの二人」
妹「年末だからかなんもやってないなぁTV」
男「SPECは? もう見終わったのか」
妹「うん。しかもhuluだと翔までしか無いんだよねぇ」
男「あれ、そうなの?」
妹「結と零は前に地上波放送した分録画してたからまたいつでも見返せるだけに天が無いのがモヤモヤする」
男「抜けてると余計に見たくなるよなぁ」
TV<番組表デスゼ
男「お、D-lifeでクリミナル・マインドやるぞ」
妹「あー老けたグレッグが出てるやつね」
男「老けた言うなwwwダーマ&グレッグ懐かしいな」
妹「あとなんだっけゲイのやつが面白かったよね。また放送しないのかなぁ」
男「ゲイって…ウィル&グレイスか」
妹「そうそう!それだ!三ツ矢雄二のゲイが喧しいやつ」
男「あれも結構シーズンあったのにこっちだと全部放送されて無いんだよなぁ」
妹「マジで? なんだよぉ~やればいいのに!!」
男「この2つもFOXだったっけか…D-lifeでやらないかねぇ」
妹「huluでも良いから吹き替えで揃えて欲しいわぁ」
父「お子たちよ、父にリモコンを渡しなさい」
妹「え、なんで?」
父「録画してた鬼平スペシャル観るから」
妹「えええーやだぁ」
父「鬼平面白いぞ? 吉右衛門かっこいいぞ~?」
妹「時代劇は興味無いもん。黄門様以外」
父「池波正太郎面白いのになぁ…」
男「しかも読みやすいのにな」
父「お父さんの本棚にいっぱいあるから読んだらいいのに~」
妹「漫画になってないの?」
男「確かゴルゴの人が描いてたな」
父「え、そうなの?」
男「確か…梅安と剣客商売もあったかな? 俺も漫画版は読んだ事無いからなぁ」
男「別の作家さんが剣客商売描いてるのはちょっと読んだ事あるけど」
父「いや、やはり原作読んで欲しいなお父さんは」
妹「字ばっか読んでると眠くなっちゃうんだもん」
妹「ゴルゴタッチな漫画も食指は動かないなぁ」
男「池波作品はお前の好きなブロマンス満載だぞ」
妹「―なん、だと……!?」
父「ブロマンスってナニ??」
男「父さんは知らないまんまで居てくれな」
妹「……まさか、そんな宝の山がお父さんの本棚にあったなんて………!!!」
妹「―ハッ! と言う事は、真田太平記もそういった素敵イベント目白押し作品なのでは…?!」
男「さ、トリップしてる今の内に鬼平見ようぜ」
父「お、おう」
男「あれ? これなんで五郎蔵が繋役なんだ?」
父「馬鹿。お前、佐嶋の役者さんはもう…」
男「え? そうなの?!」
父「大分前から出てないぞ。知らなかったのか」
父「だから他の人物で代用した筋立てにしてるんだろう。この話粂八も出てこないやつだしな」
男「マジか………」
父「沢田役の人もそうだ。井関演ってた夏八木勲も…密偵も残るはおまさと五郎蔵、伊佐次だけ…」
男「伊佐次が原作と違って生きてるのが救いだよなぁ」
父「吉右衛門版は来年で終了だから今更代役も立てないのかもしれないな。お父さんは寂しくて仕方ないわ」
兄「おはよ~。あれ? 今鬼平やってんの?」
父・男「おはよ~」
男「って早くはねーな兄貴」
兄「いやぁ、昨日叔父さんとLINEしてたらちょっと寝るの遅くなって」
父「義弟くんか。娘さん生まれたばかりで大変なんじゃないのか?」
兄「あー、まぁその事に関連した話だったんだけど…」
インターホン<ピンポーン!
兄「―お、もう来たのかな?」
父・男「?」
宅配業者<ソレジャア シツレイシマース
兄(玄関)<ドーモー ゴクロウサマデスー
兄「いつもの宅配の兄ちゃんなんか茶髪パーマになってたwww」
男「マジでwwwあの真面目そうな人でしょ?」
父「クリスマスでなんかあったんじゃないか」
母「あ~なんかお歳暮時期で忙しいから一緒に配達回ってる女の子と仲良くなったって言ってたわよ。真面目くん」
父・兄・男「マジかwwwwww」
兄「あーだからなんか浮かれ気味だったのか」
母「お母さんは前の担当だったチャラ男くんの方が好きだったのよねぇ…」
父「―なん、だと…!?」
母「再配達頼む時とか大概の無茶も快く聞いてくれてたから助かってたのよ。あの子19の時から家の担当だったじゃない?」
男「ああ、そういう意味ね…吃驚した」
母「チャラ男くんいい子よ~。たまに真面目くんの休みの時なのか家に配達来てくれるけど、もうお子さん二人目ですって」
男「え!? あのチャラい人妻子居たの?!!!」
兄「てか母さんなんでそんなに詳しいんだよwww」
母「あら、だってLINE友だもの」
父「―なん、だと……!!!!???」
母「チャラ男くんの奥さんと」
男「母さんの言い方がいちいち誤解を招きやすい!!!」
男「さっきもう来たって言ったけど、この荷物叔父さんから?」
兄「そうそう。娘さんが生まれて子供部屋作る為に趣味部屋一つ潰したんだって」
母「あら、あの子漸くオタク辞める気になったのね」
兄「いや、本部屋とグッズ部屋あったのを一つにしたんだって。その間引きで整理された本のお溢れが家に来たんだよ」
男「いやっほう!!狙ってた漫画入ってるかな~」
母「も~せっかく片付けたのに大晦日に家の荷物増やすなんて…あの子ったらきっとあんた達の部屋を倉庫代わりにする気よ。往生際が悪いわね」
兄「まぁまぁ。三人で分けるし読まないのは整理するからさ」
母「…お昼になる前に片付けなさいね?」
兄・男「了解!」
男「えーと何があるのかなぁ…」
兄「クロマティ高校に」
男「ライジングインパクトにブリザードアクセル」
兄「明稜帝にマインドアサシン」
男「おお、翠山ポリスギャングもある!」
兄「男塾もある!てか男塾だけ途中までしか無いぞ!!叔父さん!!!」
男「前にダイ大と幽白もらった時も手違いで一部入ってなかった事あったなそういやww」
兄「クソー後でLINEで確認取んなきゃ」
男「おお、項羽と劉邦もあるーー!!!」
兄「おお!これでいちいち叔父さんちに借りに行かなくて済むな!」
男「これは俺が貰い受けるぞー三国志とならべるんだ!」
兄「ええい、ならば俺は隻眼の竜を貰い受けるからな!」
男「えー!横光は横光で揃えようぞ兄者」
父「お前らちょっと落ち着きなさい。鬼平の音声聞こえないから」
男「―!! こ、これは…!」
兄「どうした!?」
男「兄者、叔父上がよもや……」
男「絶対に手放さぬとかつて申したフルーツバスケット、あまつさえ星は歌うまでも手放されようとは…!」
兄「―なん、だと…!?」
男「愛読の高屋奈月先生の御本まで…子を授かるという事は、かくも人を変えるものなのでしょうな……!」
兄「………叔父上ッ………!!!」
妹(なんか兄二人のテンションが脱落者を悼む男塾のノリでちょっとうっとおしいでござる)
妹(私は何を貰おうかなぁ~。あ、純情パインとエスパーねじめもらっとこ!)
妹(お、市川春子の短編もある! ラッキー!)
妹「ん? なんだ? …柳生非情剣?さもん?」
妹(うーん、時代モノかぁ…あーでも絵綺麗だなぁ…)
妹(どれどれ…)
妹(ふむ……)
妹(………おや)
妹(ほう…………へぇ)
妹(いやあ、たまげたなあ…)
父「海老坂の与兵衛かっこいいわ…さすがおつとめの三ヶ条を守るお頭は違うね~」
父「演じる田村亮の渋みも相まってこいつぁ酒が進むもんだ」
父「あ~羽生の鬼平PA行きてえ…」
妹「―お父さん」
父「ん? どうした」
妹「お父さんの本棚って隆慶一郎って人の本もあるの?」
父「あるよ。なんだなんだ、遂にお前も時代小説に興味を持ち始めたか~」
父「ほら漫画で花の慶次あるだろ? あれの原作の一夢庵風流記ってのがあるぞ」
妹「柳生が出てくるやつは?」
父「柳生メインって事か?」
妹「そう。左門って人が出てくるの」
父「あー柳枝の剣だっけか。えーと非情剣の文庫あったかな…」
父「少し本も入れ替えちゃったからなぁ」
父「あ、山岡荘八の歴史文庫で伊達政宗と柳生宗矩は残ってるぞ! 柳生結構出てくる! 左門もとい知矩ほぼ出てこないけどな」
父「親父の方の宗矩好きになるぞ~」
妹「それは萌える、という事で宜しいか?」
父「おお、そうだな。激しいアクションとか別段あった訳じゃ無いがやはり燃えるぞ!」
妹「ほほう」
父「政治的な立場で言えば中々緊張感のある間柄の筈なんだが、お前ら仲良いな!!と読んでる内に思う事も度々ある」
妹「え? それはどういう…」
父「伊達政宗の方だと宗矩と政宗がまぁよく喋るんだよ」
父「思うに公儀の柳生と、外様の戦国の気風知る伊達が如何に天下に対してその在り方を問う云々かんぬん…!」
妹「ほうほう」
父「カクカクシカジカ…池波作品も男と男の心の結び付きが」
妹「―えええちょっ、ちょっ!! ナニソレ聞き捨てならない単語おお」
父「なんだ? 男同士の友誼(ゆうぎ)が気になるのか?」
妹「―男同士の遊戯、だと…!?」
父「ベタベタ仲良しする訳じゃあない。剣と剣でしか見出だせぬもの、敵として相対しながらその生き様に胸を打つ事もある」
妹「え、それってつまり…………」
妹(腐女子(われわれ)に取っての大好物ではあーりませんか)
妹(―私は認識を改めなければいけない)
妹(そう、時代劇というまだ見ぬ楽園があったという事を)
兄「うーん振分けはこんなもんか?」
男「くぅ、隻眼の竜を取られたのは悔しい!!」
兄「まだ言うかww読みたい時はいつでも貸してやんよwww」
男「あの時、なぜチョキを出してしまったか……」
兄「大袈裟なwwwあれ? そういや妹は?」
男「そう言えばあれ? あ、父さんと仲良く鬼平見てやんの」
兄「あいつ叔父さんからの漫画届いたらいつも真っ先に飛びつくくせにどうしたんだ?」
男「なんか隅っこに純情パインとか置いてあるから何気に取り分は確保してたんだな」
兄「抜け目無いやつよ」
男「あれ? あいつが手に持ってる漫画…あれは…」
兄「あ」
兄・男(尻一つで十三万石のアレだーーーー!!!)
父「岩五郎の胸の内を思うとなぁ、これは仕方のない事じゃあ無いか」
妹「ウンウン!」ニコニコ
父「いけない事だって頭で理解はしていても、人の心ってやつはどうにもそういった計算とは食い違う様になってしまうものなんだなぁ」
妹「そうだよねえ」ホクホク
父「平蔵も鬼だと言われてもそういった機微が見逃せねえんだ…ああ、それだけに身を切るような心地だったろうよ! 岩五郎のやつぁなぁ」
妹「たまりませんなぁ…」ヨダレズビ
兄・男「…………………」
兄「遂に、時代劇にも目覚めてしまったか………」
男「しまった。さっきブロマンスがどうのとか言わなきゃ良かった……」
兄「噛み合ってるようで噛み合ってない会話してるけど、父さんほろ酔いで気付いちゃいねえ」
男「まぁ、父さんも池波作品熱く語れて楽しそうだしいいんじゃあないかな…」
父「いやあ、鬼平に興味持ってくれてお父さんは嬉しいなあ!」
妹「いやあ、私も新境地が開拓出来て嬉しい!」
妹「楽園はこんなにも近くにあったんだね…!!」
父「オイオイ大袈裟な表現だなwww」
妹「後で鬼平借りてくからね!」
父「お~良いぞ! じゃんじゃん持ってけ! 次は剣客商売と梅安に真田太平記も読みたくなるぞ~」
妹「わ~い!! 楽しみだ!!」
兄「一見微笑ましい光景だろ? でも、あいつ腐ってるんだぜ?」
男「『楽しみ』の前に『どんなカプに出会えるのか』が抜けてるんですよね。判りたくありません」
妹「ところでさ、お父さん」
父「なんだ、どうした?」
妹「―このテレビスペシャル版の御厩河岸は岩五郎と五郎蔵どっちが受でどっちが攻なの? あ、それとも平蔵が総せ…」
兄・男「――妹よッ!! それは悪し!!!!!!!」
記号そのまんま使ってしまった
文字化けしてるのはハートマーク2個です>>34
書き溜まったらまた投下します今度こそ良いお年を
『娘さんが生まれたそうですね。おめでとうございます。』
叔父「ありがとうございます。」
『何でも趣味で使われている部屋をお子様の為に一つ整理されたとか』
叔父「ええ、断腸の思いでしたが…生まれてきた彼女の顔を見てやって良かったな、と今なら確信を持って言えますね」
『数々の蔵書、愛書を手放された事に後悔はありませんか?』
叔父「そうですね…私の青春を支えてくれた『彼ら』との別れに痛みが無いと言えば嘘になりますが、昨今はミニマリズムなんてものも流行ってますでしょう?」
叔父「そう言った執着をも手放す―言わば、これは今までの私との決別であり、子供だった事への卒業…儀式(イニシエーション)なのです」
『親になる覚悟完了、といった訳ですね』
叔父「何事も節目はやってきます。今も。そしてこれからも」
『ところで。まだ、【コレクション】は継続されてるようですね』
叔父「……ええ」
『当初、奥様からは『全て』の処分を打診されたと伺いましたが?』
叔父「……妻も人の子です。私の苦中を察し、考えを改めて貰えました。寛容な伴侶を得て果報者ですよ、私は」
『多様な趣味を持つ事を許される。素晴らしい奥様ですね』
叔父「……含みをもたせた言い方ですね…」
『―親身にされている甥御さんたちはお元気でしょうか?』
叔父「…………ええ、元気にしているそうですよ。先日も今回の蔵書整理に協力してくれましてね」
『一つ、耳に挟んだのですが』
叔父「………」
『蔵書の中で、わけても『一生手放さない』と誓ったものを甥御さんに託されましたね?』
叔父「………ええ。それが何か」
『花とゆめコミックスから刊行されている『フルーツバスケット』と『星は歌う』―どちらも高屋奈月先生が手掛けられた非常に素晴らしい作品ですね』
叔父「……私の青春を、いや人生を変えたと言ってよいでしょう。人は素晴らしい。だがそれと同等に酷く傲慢で残酷だ。だからこそ愛しいと知る事が出来る。…それを教えてくれたのは高屋奈月先生です」
『血肉となったであろう、貴方にとってのバイブルとも呼ぶべきそれらをなぜ手放せたのですか?』
叔父「血肉となったからこそ、それらを甥達にも伝えたい。そう思うのは間違ってますか」
『いえ、素晴らしいと思いますよ。それだけに―』
『なぜそれを娘さんにも伝えようとなさらないのか。それが不思議でなりませんね』
叔父「―ッ!!」
叔父「………娘には、そ、そうだ。整理をするにあたって、蔵書は全て自炊済みなのですよ。PDFで電子書籍として個人使用のオンラインストレージにいついかなる時もアクセス出来る!! 蔵書をそのままに幾万の画像をデータ化するのは骨が折れましたが、娘の事を思えばどうという事は……!!」
『娘の為に、ですか。果たしてそれは『どこまで』が本心ですか?』
叔父「―全てだ!」
『―手放された蔵書よりも、残された【コレクション】たちこそ娘さんに託すにふさわしい物だとそう仰るのですね?』
叔父「―ッ!」
『しどけない姿でアイスを銜え、上目遣いに座る少女の姿』
『衣服は破れ、紅潮した頬、年齢制限もののゲームイベント完全再現』
『勇ましく戦う姿、劇中にないメイド姿、果ては浴衣に恋仲のキャラのコスを着せた企画ものまで…』
叔父「―やめろ!! やめてくれッ!!」
『アルター、グッスマ、壽屋、マックスファクトリー…選り取り見取りじゃあないか』
叔父「……頼む、やめてくれ」
『アクションフィギュアからネンドロ、プライズに一番くじも懲りずにおさえているな』
『さぁ、貴様が娘に託したいのはどの美少女フィギュアな・ん・だ・あ?』
叔父「………………………」
叔父「これは全て私の業だ。墓まで―否、地獄まで抱いていくのが運命」
叔父「娘には陽のあたる場所を歩んで欲しい」
『―その言葉、本心ですか? 嘘偽り無いと誓えますね?』
叔父「ああ…」
『墓まで持ってかずに一体くれよ。水着かメイドのオルタ』
『何体セイバーいんだよあのガラス棚。アホか。一体くれよ』
叔父「バーカバーカ誰がやるか。フィギュアは集めます。娘も大好きです。プライズのイリヤたんも可愛いなあペロペロ」
『また増やしたのかよバーカバーカ。奥さんに報告しときますね。』
叔父「それだけはやめろ下さい」
叔父さんの残された趣味部屋はガラス棚犇めくお人形さんたちの部屋です(鍵付き)
小ネタのみですがまた書き溜まったら投下します
書き溜め中につき一旦保守
1階 リビング
TV<トラックガ 湖ニ 沈ンデヤガリマスヨ
妹「あーもーもーダリルのおバカーもー」
妹「だがそこが良い! 好き!! ダリルかわいいよダリル」
兄「まぁ順調に進んでるって前フリした辺りからこんな予感はしてた」
妹「こういう何とも言えないやりきれなさ海外ドラマっぽいね」
兄「死に迫る危機感とは別の不条理さがある意味コミカルだよな」
妹「私的にはダリルもといノーマンがあの重そうな身体を揺らして走ってるだけでも大分シュールで笑いが込み上げてくるね。盛大に突っかけてコケて欲しい」
兄「相変わらず歪んだ愛情を芽生えさせてるなお前は」
妹「再開回が衝撃的だった分反動があるんだよ察しろよ」
兄「気持ちは判るがもうちょっとお兄ちゃんに優しい言い方してもいいと思うの」
妹「お兄ちゃんにはディクソン兄弟のような強さを育んで欲しい」
兄「さすがにリスをむさぼり食うような強さは身につかないからね?」
妹「ちっがうよー片腕を落とされてもめげないメンタルをだな」
兄「想定していたよりもハードモードじゃねーか」
妹「お兄ちゃんがウォーカーになっても私がきちんと殺してあげるからね☆」
兄「劇中の胸に迫るポイントとおんなじ事言ってるけど☆マークのテンションで台無しだよ!」
男「なにまた2人でHuluのTWD観てんの?」
兄「先月からシーズン6再開してるからな」
妹「暫くおあずけだったダリルを補給してんのさ」
男「俺も帰ってきてから後で観よ」
妹「あれ? おにいどっか出かけんの?」
男「叔父さんとこで髪切ってくる」
妹「えー!! いいなぁ!」
兄「今日日曜日なのによく空いてたね」
男「なんか元々結婚式だかのヘアメイク予約あったらしいんだけどキャンセルになったんだって」
兄「なにそれドラマか映画みたいな」
妹「なんだろうね花嫁が逃げたのかな?」
男「元々俺も空いてる日に頼もうかと電話したんだけど一日まるまる式場行く予定が空いちゃったって言うからさ、今日切って貰うことにしたんだ」
男「そーゆー事で行ってくる」
妹「あーなら私も行くー!!」
妹「前髪が目に入りそうになってきて鬱陶しかったんだよね~」
男「なら待ってるから、早く準備してこい」
妹「いえーい散髪散髪ー!」
男「兄貴はどうする? 一緒に切る?」
兄「んー、もうちょっと伸ばしてからパーマかけたいから今はいいかな」
男「そっか。じゃ追加は妹だけだな。LINEで連絡入れとこ」
男『今から向かいます。妹も一緒に切りに行くんで宜しくお願いします。』>叔父
男「これで良しと」
妹「おにい! 準備出来たよ~」
男「よし、サクッと行くか―って」
兄・男「荷物多ッッ!!」
妹「女の子は有事の際に色々と入用なのよ」
男「手持ちのトートバッグから懐かしのPSPがはみ出してますけど?」
兄「こいつ、A5サイズ400頁級の攻略本も入れてやがる」
妹「いやだって切ってもらってる時暇じゃん? 友達から借りたゲームしたくて」
妹「もうすぐ返さないといけないんだけど攻略本見ても目的のキャラが落とせないんだもん」
兄「ときめもか。ガールズサイドだけど叔父さんならなんか攻略手口とか気付くかもしれんな」
妹「でしょでしょ?」
男「ええいこの際なんでも宜しい。ほら行くぞ」
妹「あ、ちょっと待って! お菓子も持って行きたーい!」
男「行きがけのセブンで買いなさい」
兄「慌ただしいなぁww」
男・妹「行ってきまーす」
兄「車に気を付けてな~」
妹「おにいはどんな髪型にするつもり?」
男「暖かくなってきたしそろそろ剃ろうかなって」
妹「ホウ」
妹「『そろそろ』『剃ろ』うかな、と来ましたか」
妹「自然体を貫いた軽やかな春を思わせるリズムの駄洒落ですね」
妹「気温の変化を匂わせる事で季節の移ろいを告げるテクニックは心憎い演出だと思います」
男「いや、他意は無かったんだ、うん」
妹「素人は反応を伺う間を入れがちなんですが、気付かなくたって構わない、そんなさり気なさが熟れた軽妙さにt」
男「もう勘弁してくれませんかねwww」
妹「これから採点に移るって時に水を差すんだからもー」
妹「―で、剃るって事はツーブロックとか? 三代目るの?」
男「変な所で動詞にさせるな」
男「そうだなぁ…坊主にしようかと思ったけどツーブロックいいかもな」
妹「メンディー? メンディるの?」
男「だから変な動詞やめろ。てかメンディーは三代目じゃなくてGENERATIONSじゃね?」
妹「ザイル系の方々はようわからん」
男「安心しろ。俺もメンディー以外ようわからん」
妹「同じ筋肉モリモリ仲間なんだしメンディー行っとけって」
男「なんなのその熱いメンディー推し」
妹「だってあの四角い頭ってアフロから削って作るらしいじゃん」
男「へ~! そうなんだ」
妹「アフロちょっと見たいじゃん?」
妹「おにいの、ちょっとアフロが見てみたい! あそーれアフロ! アフロ! ア・フ・ロ!!」
男「一気コールのノリで言うのはやめろww」
妹「まぁ現実問題おにいの髪の毛アフロ出来る程長くないから無理として」
男「そうなのか。安心したわ」
妹「ツーブロックだけってのもなんか芸が無いよね」
男「ふーん。そういうもんなの?」
妹「―ハッ、これだから童貞は」
男「ど、ドドどドドドっドドドどど童t」
妹「毎度思うけど動揺し過ぎでしょ」
男「バッキャロウ! 思春期の男の子にはとてもセンシティブな問題なんですぅ!!」
妹「キャラぶれ起こす程なんだ…魔法使いにならないように頑張ってね」
男「マジトーンで憐れまれると心臓に来るからやめて」
妹「大丈夫。今からイケモテヘアー(笑)になれば彼女ゲットチャンス(笑)だよおにい!」
男「お前それフォローした振りして完全に馬鹿にしたトーンなのまるっとダイレクトに伝わってるかんな!」
妹「つかさ、おにいさ、体格良いんだしサッカー選手の髪型参考にしたらいいんじゃない? 多分似合うよ」
男「なるほど、サッカー選手か」
男「でもさ、俺が真似した所でガチゴリラっぽくならないか?」
妹「……あー」
男「わぁ…肯定のリアクションですね」
男「嘘でもいい、一回否定して欲しかった」
妹「ほら、裏表のない性格が私の良い所じゃん?」
男「今ここが我が家なら確実に殴りたいその良い笑顔」
妹「ドゥメスティックヴァイオレンス!!!」
男「しかし、ツーブロックでサッカー選手か…槙野とか?」
妹「あーネオ七三分ね」
妹「成功者続出! 皆が槙野ヘアーにしたがるとかってなんかで読んだけど」
妹「なんか煽り方が胡散臭い通販とか心霊商法みたいだよね」
男「確かに」
男「俊輔との対談見てると槙野が自らそういうネタにしてる感もあるけどな」
妹「あ、そうだ! ジルーみたいにしたらいいんじゃない? ツーブロックでポンパドールだよ」
男「ぽんぱどーる?」
男「なにそれナメック語?」
妹「タッカラプト ポンパドール ニシヤガレットパロ」
男「髪型変更で願いを1つ使うとか贅沢だな」
妹「気に入らなくてもポルンガならまた変える事が出来るもんね☆」
妹「てかそーじゃねーよ! ポンパドールだよ! 前髪をファッサーって後ろに流すように盛るんだよ!」
男「へぇーなんかリーゼントみたいだな」
妹「確かリーゼントってポンパドールから出来たらしいからね」
男「なんでそんな詳しいんだ」
妹「ポンパドールって女子なら知ってて当然ですし? オシャレに敏感な女子力限突な私ですからして」
男「どうせファッション誌とかネットでの受け売りだろ。女子力(笑)」
妹「カッチーン。キレちまった…久々によぉ…オモテ出ろや」
男「天下の往来で何言ってんだ馬鹿」
近所のセブンイレブン店内
妹「あーキャラメルクランチドーナツ美味しそう」
男「セブンのドーナツってミスド行くのめんどい時に軽く味わえるのが良いよな」
妹「お安いしね~。きなこも捨てがたいんじゃあ…!」
男「抹茶かバニラのアイスと一緒に食うとたまらんわ、きなこ」
妹「なにその素敵な組み合わせ! やる!」
男「今からアイス食う気かよwww」
男「ヨーグルトドリンクとも合うからそっちにしとけ」
妹「うーんじゃあ今はキャラメルクランチの方買お! ね、帰りにも寄ろうぞ?」
男「家でやるのな。了解」
妹「いえーい! そうと決まれば飲むグルトの調達だ~い」
男「店内走るなよ小学生か」
妹「今日日小学生は行儀良いから走らんやろ」
男「お前…自らそれ以下だとお認めになる?」
妹「ほら、『七つまでは神の内』って言うじゃん?」
妹「我が家も『十四ぐらいまでは神様扱いして然るべき』って家訓があった筈―否、最早創設すべき!!!」
男「それを母さんの前で朗々とぶち挙げられたら認めてやるよ」
妹「ハハハ。ヤダなぁおにい。寝言は寝て言いなよ」
男「お前が言うな」
妹「―ハッ!?!!」
妹「な、なんじゃあこりゃあ!?」
妹「おにい者! おにい者!」
男「ゴロ悪いし恥ずかしいからその呼び方やめろ」
妹「なんかうまそ気なものがースイーツコーナーにー」
妹「ピンクいお餅で包まれてる! 可愛い!!」
男「見た目に惑わされるとか女子か」
妹「女子だよ。紛うことなき女子だよ」
男「俺が知る『女子』ってやつは、兄に向かってメンチ切りながらにじり寄ってくるようなモンじゃない」
妹「弟妹は兄姉の背中を見て育つからね?」
男「おかしいな…ウチにそんなBE-BOPでマガジンな人間居ない筈なのに…」
男「(敢えて挙げるとすれば、母さんぐらいなもんだ)」
―
家 リビング
母「(甘い物が食べたいわねえ)」
母「(―ハッ! これは男が作って冷やしてあるプリン!)」
母「(………お先に1つ頂いちゃおうかしら)」
兄「あれ、母さんそれ弟のプリンじゃない? 勝手に食べていいの?」
母「………」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
兄「………」
母(有無を言わさぬ笑顔)「…あなたも一緒にどう?」
兄「(しまったこれ共犯にされるパターンや)」
男「―ハッ! なんか今家の冷蔵庫の中身が危機に瀕してる予感」
妹「ねぇねぇ! レアチーズクリームと桜桃だって! ヤバイ! このピンク餅買う!」
男「ドーナツじゃなくていいのか」
妹「ドーナツ2種は帰りに買う事にするわ」
男「ふーん。じゃあ俺もそのピンクい餅にしよ」
妹「真似すんなよぉ~」
男「色はともかく組み合わせがうまそうだもんな」
妹「今度家でも作ってみてクレメンス」
男「和スイーツか…抹茶系とか白玉以外やった事なかったな」
男「今度試してみるか」
妹「苺とか他の果物でもおいしそう…たまらんのうフヒヒ」
男「おい、会計するからレジ並ぶぞ。トリップから戻って来い」
妹「あ、待ってよおにい!」
セブン 駐車場
妹「あ! オデッセイだ!」
妹「やっぱ少し前の型のオデッセイかっこいいなぁ!」
男「なんか違いがあんの?」
妹「も~これだから素人は」
男「免許も取れん16歳に無茶言わんでくれや」
妹「いつ変わったのか判んないんだけど新しいやつのフォルム? シルエットっての? なんかゴテゴテしてダサくなったんだよねぇ」
男「車って同じシリーズでもデザインとか機能のマイナーチェンジあったりするんだな」
妹「シートを改悪するメーカーは座席に縛り付けて『本当にこの座り心地でいいと思ってんのか?』って首と尻が凝り固まるまで問い詰めたいよね」
男「なにその拷問つらい」
妹「あ! レクサスだ!」
男「なんだ今度は。急に大きな声出すなよw」
妹(敬礼)「レクサス先輩チッスチッス!」
男「……なんの遊び?」
妹「おにい知らないの?」
妹「売上ナンバーワンな名古屋のレクサス販売店の警備員さんがね凄い人なんだよ」
男「ふむ?」
妹「そこのお店で買ったお客さんの顔は全て覚えてるし、入ってきたレクサスのナンバーですぐ誰か判るんだって」
男「へえ、そりゃ凄いな」
妹「でもねこの人が凄いのはそれだけじゃなくて」
男「うん」
妹「街で走行中のレクサスを見かける度に、その販売店の顧客じゃなくても、レクサスオーナー全ての人に向けて敬意と感謝を込めてお辞儀してるんだよ」
男「はぁー…なんて言うか心掛けから確りしてないと出来ない事だな」
妹「でしょ?」
男「で、それがなんで『先輩チッスチッス』になるんだ?」
妹「私もその心意気に感化されたのです! 故にレクサスを見かける度に敬意を込めて…」
妹(敬礼)「レクサス先輩チッスチッス!!」
男「おいせめてヤンキー挨拶はよせ!! コンビニから出て来たレクサスオーナーのおっさんがめっちゃ戸惑ってるから」
男「お前と歩いてると気が休まらないわ」
妹「も~おにいは気にしいだなぁ。もっと泰然としてなよ。その図体に見合った心の器をやひなひはまへ」
男「もう食ってんの?!」
妹「おへっふぇいとへふはすみはらへんひょんあはっひゃって」
男「ちゃんと口ん中のモン飲み込んでから喋りなさい」
妹「テンション上がったらお腹減るじゃん? 食べるしかないじゃん?」
男「俺は叔父さんとこでゆっくり味わお」
妹「みみっちいなぁww」
男「なんとでも言え」
男「そう言えば。お前はどんな髪型にするんだ? 確か伸ばしたいとか言ってなかったっけ」
妹「そうだよ。石原さとみっぽいゆるふわな大人可愛いを目指すんだ~」
男「………俺もな、妹だし贔屓目にみなくてもお前の事ブサイクだとは思わんがな。一応現実は見た方がいいと思うな」
妹「オォ? なんだコラ喧嘩なら買うぞ?」
男「明らかにタイプが違うだろ」
妹「……憧れて目指すくらい別によかろうて」
男「(あら、意外にもションボリしてやがる)」
妹「まぁ仕方ないよね。石原さとみとはタイプが違うのくらい私だって弁えてますよー!」
男「拗ねるなよww ま、まぁ? お前もこれから成長期だし、大人になっていけば多少は色k」
妹「―なんせ私、広瀬すず系統だしね~」
男「全くもって揺るぎなくビタ一似てねえよ!!!!!」
妹「アァ? おうコラここで決着してやんよメンディー野郎」
男「お、とかなんとか言ってる内に着いたな美容室」
妹「チッ。命拾いしやがったな…」
男「戦闘民族はこれだから…」
妹「誰がM字ハゲだって?」
男「言ってねーし。ベジータの事ディスってんのお前の方だからな?」
美容室
男・妹「こんにちは~」
叔父「お~! 二人とも久し振り! 遅かったね」
男「すいません。こいつにねだられてちょっと寄り道しちゃったんで」
男「ああそうだ。先日は漫画ありがとうございました。抜け分も後で送って頂いて」
叔父「ああ、いいのいいの。それよりごめんねw 男塾は全部入れたと思ってたからさ」
妹「叔父さんもそそっかしいとこあるねww」
男「妹よお前が言えたセリフか」
叔父「娘も生まれたし、そろそろこの癖もなおさなきゃな、とは思ってるんだけどね」
妹「あ! 従妹ちゃんの写真新しいの見たい!! 赤ちゃん赤ちゃん!」
叔父「へっへへ~最近よく笑うようになってきて『パパ』みたいな響きの喃語を喋るんだよね~! だからムービー録っちゃったww」
妹「わー! 親バカだー!」
叔父「ソデスー! そーなんです!! 私が親バカなんですー!!!」
叔父「あ、動画とか写真保存してるタブレット貸したげるからゆっくり鑑賞してってね」
男「フィギュア以外でこんなにテンション高え叔父さん久々に見たwww」
叔父「どっちから切る?」
妹「私従妹ちゃんの写真見てるから、おにいから切ってもらいな?」
男「そうするか。じゃあ俺からお願いします」
叔父「オッケー。今日はどうする? 何か具体的にこういうのがいいとかあるかな」
男「えーと…」
男「(さっき言ってたツーブロックで…ぽ…ポルンガじゃなくて、ポルナレフ? じゃない、ど…ド…バロンドール??)
男「ツーブロックにしたいんですけど、えーとなんだっけ…こう前髪を…ファッサーと? あ、そうだ! リーゼントみたく!」
叔父「リーゼント? ツーブロックで前髪は長めに残したいって事かな」
男「えーと…うーん、そういう感じ? です、かね?」
男「―なぁ、さっきのポルナレフだかナメック語みたいな髪型なんて言うんだっけ?」
妹「はわ~従妹ちゃんプニプニしてるぅ…おもちゃニギニギして、お気に入りか? お気に入りなんだねぇ~くっはあッ!! 天使かッ!!!」
叔父「そうさッ天使だとも!!! 神が地上に齎した、花は恥じらい、太陽さえその輝きも減じてしまう、馥郁たる芳醇な酒をもってしてもこの多幸感を得られまい最高の天使だともッッッ!!!!」
妹「然り! 然り!!」
男「ああ、兄貴だけでなく妹まで赤ちゃん信奉に目覚めてしまいよった…」
妹「あのペド野郎と一緒にはしないでくれます?」
叔父「え、兄君ペド野郎なの? ちょっと出禁にしなきゃアイツ」
男「俺知ってる。これ風評被害って言うんだよな」
叔父「あーポンパドールか。なるほど、今までにない感じになるね」
男「いつも伸びたら大体坊主にしてもらってましたしね」
叔父「そうだなぁ…男君の髪質硬くて太くて毛量も多いし、後ろに流しきるには今の状態だとちょっとトップと前髪の長さ足りないかもな」
叔父「だからサイドとバックをガッツリ剃ってトップもちょっぴり立たせる感じの少しスポーティなツーブロックにしようか」
男「スポーティって…ゴリラっぽくなりませんか?」
叔父「ベリーショートとかよりもトップに毛束感あるし、サイドとのボリュームのギャップが出るから大丈夫だと思うよ」
叔父「あとなにより、ツーブロックってこまめに剃らないと維持するの大変だけど、これならサイドとバックが伸びかけてきた頃合いでトップにもいい長さが出来てる筈だから、分け目を流してショートバック&サイドになんていいと思うんだ」
男「??? 何がなんだか判らなくてサッカーの戦術解説に聞こえてきたよ…叔父さん」
叔父「ああ、ごめんごめんww 伸びてきた頃合いでも前髪重めの少し大人っぽい髪型も楽しめるよって事ね」
男「おお! じゃあそんな感じでお願いします!」
叔父「了解~。んじゃ早速サイドとバック剃って行こうか。3ミリ入りまーす」
男「3ミリ?!」
ヴィィーーン…ジョリジョリジョリジョリ
男「へぁぁあ!??」
―
男「(一瞬、カツオにされるかと思った…)」
叔父「わースッキリしたね! そこまで長くなかったのにモッサリ毛が床一面にwww」
叔父「毎度思うけどどこからこの量の毛が出てくるのか不思議で仕方ないよ」
男「毎度思いますけど切った後の床見てる時叔父さんやたらワクワクしてますよね」
叔父「だって同じくらいの長さの人の4~5倍はあるからね! 何か作れそうな量だよ~」
男「呪いのアイテムくらいしか練成出来そうにないッス」
叔父「まま、取り敢えず一旦流してこようか」
男「ふぃ~…さっぱりした」
叔父「トップと前髪の長さは基本弄らない方向で、ボリュームの調整していくからね」
男「あ、お願いします」
『おい』
叔父「男君さ、最近は何作ってるのお菓子作り」
『わっかんねぇな…』
男「昨日の晩にプリン作ったのと、あーあとバレンタインの時に部活動でフォンダンショコラ作りました」
『なんだ褒めてほしいのか?』
叔父「相変わらずこったもの作ってるね~。ウチは娘でかかりっきりだったから今年は既製品だったなぁ。美味しいとこのだったし貰えるだけありがたいけどねww」
『バカだ、テメェは』
男「いや、でもそういう方が返す時も気軽でいいですよ。俺なんか手作りの凄いお返しが来るって変な噂が女子の間であったらしくって…お返し目当てにチョコとかケーキにクッキー、マカロンよりどりみどりで、慣れてなさそうな手作りばかりなんで消費するのが地獄でしたもん」
『……振り払えねぇから困る』
叔父「あー…じゃあ今度のホワイトデーも違った意味で大変だねぇ」
男「まだ作るだけだから気持ちは楽かもしれないッス」
『チッ……隙だらけにも程があんぞ?』
男「―てかさっきから聞こえてくる吐息混じりの諏訪部ボイスなんなの!?」
妹「ん? ときめきメモリアルGirls side 3rd storyだけど何か?」
妹「今私は琥一(CV諏訪部)とスキンシップ中だから気にしないでくれたまへ」
PSP<琥一『……何すっかわかんねぇぞ。俺も男だからな??』
叔父「へえ、PSPのなんだ懐かしい。DL版とか無いの?」
妹「無いんだ~…これ借り物だから早く琥一落としたいのに!」
PSP<琥一『オイ『やめ『その目がやべ『オマ『コラ『ジャレる相手は俺じゃねぇ』
男「流れるようなスキンシップで喘ぎ声に聞こえてくるからやめろwww」
妹「CV諏訪部の喘ぎ声とか我々の業界ではご褒美です」
叔父「妹ちゃんもなかなか拗らせてるなぁ」
妹「Fateなら槍弓、もしくは士弓派です」
叔父「あ~でもアーチャーが受けっぽいのはなんか判らんでもないよ。俺はカップリングなら士剣派だけど、アーチャーならセイバー相手でも剣弓だろうな」
妹「叔父さんは話が判るわぁ」
男「こんな話聞きとうなかった」
妹「オタクが髪切ってんだ。諦メロン」
叔父「もうこれは業だよねぇ」
男「四面楚歌ですわぁ」
叔父「色々抵抗なく楽しめた方が人生は豊かになるぞ~」
男「ホモにまみれた豊かさはノーセンキュー!!!」
叔父「ハハハ急に振り返ると危ないぞwww」
叔父「ほらー切っちゃいけない所が切れちゃっただろ~?」
男「―え?」
妹「あ」
叔父「アチャー」
男「ええええええーーーー」
妹「たーいまー!」
兄「おーお帰り」
兄「あれ、パーマかけたの?」
妹「違うよ~長さ整えて前髪作って後ろは巻いてもらったんだ~! どうよ?」
兄「うん。いんじゃない? 可愛い可愛い」
妹「よせやい」
妹「じゃなくて、ほら、なんか、判らんか?」
兄「うん? 大人っぽい? 女子力高い?」
妹「それもだけど! ほら、誰に似てる? 石原~?」
兄「良純!」
妹「チッゲーよバッキャロウ!! さとみだよッ!!」
兄「うわぁビター似ても似つかねえ!」
兄「お前は不美人じゃないが石原さとみでもないぞ。現実見ようか?」
妹「キレちまった…オモテェ出ろや、アァ?」
兄「そんな事より男はどうしたんだ?」
妹「そんな事よりって…まぁいいや」
妹「おにいは…犠牲になったのだ」
兄「犠牲の犠牲にな」
兄「え? 何事?」
男「たーいま…」
兄「おーお帰り~。なんだ居るんじゃん」
兄「サッパリ思い切ったな! まぁまた暖かくなってくるし短い方が良いよな。似合ってるよ」
男「………」
兄「坊主頭!」
男「兄貴のバッキャロウ!!!」
兄「あれ? なんで2階にダッシュ? おーい男ーお兄ちゃんなんか変なこと言ったかー?」
妹「許せおにい…」
妹「(まぁでも散髪中に動いたおにいが悪いんだけどね)」
バレンタインどころか大雪の日のネタ書きかけてたのにもうそんな時期過ぎちゃったんだなんて言えやしない
また書き溜まったら投下します
妹「フンフンフ~ン・フンフンフ~ン・フンフンフンフン・フフフフ~ン」
男「朝から浮かれポンチだな」
妹「フヒヒww だって! だって! やっと咲いたんだもん!」
妹「桜ちゃーん!」
男「あー、去年父さんが買ってきた小さい盆栽のやつな」
男「お前の事だから一年ですぐ枯らすか、腐らせると思ってたけどな」
妹「フハハハ! 侮るでないわ。士、別るること三日、すなわち更に活目して相い待てィ!」
男「常日頃顔つき合わせてるくせに何を言うか」
妹「いや、今のツッコミポイントは『士(男子)じゃなくて女じゃねーかー』だしょー?」
男「まぁ、お前のマッスル太腿ならきっと関羽討ち取れるって俺信じてっから」
男「捻って手心加える必要は無いぞ。ニークラッシュで追い込んで荊州をもぎ取れィ!」
妹「誰がリックフレアーだ。呂蒙と『り』の字しか合ってねーよ。4の字どころか足を呂の字固めるぞコラ」
男「おう、やってみろや。返り討ちにしてやんよ」
兄「お前らレスリングとか朝からお盛んですね」
兄「ふざけてると鉢植えひっくり返すぞ」
妹「おおう、いけない。いけない」
妹「おにいなんぞにかまけてる場合では無かったわ~。桜ちゃんにお水あげなきゃ」
兄「女子してんなぁ。珍しく」
男「近年稀に見る女子さを発揮してる…おそらく、女子力が滅ぶ前に一層輝きを増すという超新星爆発の如き現象を…」
妹「女子力が滅ぶってなんだよ。もうヤダこのクソ兄貴ども」
兄「おい待て。噴霧器で目潰し攻撃は止めろ。つか俺はそこまで酷い事言ってなくね?」
男「そら見ろ。化けの皮が剥がれたじゃねーか。ヤーイヤーイ」
兄「お前は容赦なく怒りの炎にガソリン振りまくスタイル止めろww」
兄「てか、桜の事になるとやけに変な絡み方してんのな男」
男「そ、そうかな~…」
妹「めっちゃ目泳いでんじゃねーかこのやろう」
妹「マジなんなの? 寛大な私といえど、いい加減そろそろ怒りが有頂天なんだけど」
兄「噴霧器で目潰ししてきたやつが寛大なとか言っちゃいけねーな。いけねーよ」
妹「そこ、水を差さない」
兄「噴霧器だけに」
妹「…」
兄「うぶぁッ!? 噴霧器は!! 無言で目潰しは止めろッ!!」
男「心から思う。馬鹿だなぁ」
兄「―! 判った。ハッハーン、さては男…」
男「な、なんだよ」
兄「お前、妹が桜に掛かりっきりで構ってくれなくて寂しいんだろ?」
妹「え!? えええぇぇ???」
妹「おにいに限ってそんな論理の飛躍がある訳…」
男「…………」
妹「アレあったの!?!! これ苦虫噛み潰したような顔してるけどあったパターン?」
男「さ、寂しいとか、ばっか言っちゃいけねーよほぉぉ…?」
妹「誤魔化すの下手くそか」
兄「小学生でも今日日ここまで酷くはあるまいよ」
妹「ふーん? しかしねぇ、おにいが? フフーン?」
男「…………ック! ええい、こんな所に居られるか! 俺はフレンチトーストを作りに行くからなッ!!」
兄「なぜ推理小説で真っ先に死亡フラグおっ立てる協調性皆無キャラ口調で製菓宣言していくのか」
妹「新手のツンデレか」
キッチン
男「べ、別にいつもは何かっちゃーくだらない事で絡んでくるくせに、熱中しだしたら用済みとばかりに放っとかれるのがなんだか遣る瀬ないだなんて1ミクロンも思ってまーせーんー」
男「…………」
男「(って誰に対して言い訳してるんだ、俺は…!)」
男「………こういう時はお菓子作りに限る」
男「昨日寝る前にジップロックに放り込んで置いたフレンチトーストのタネはどんなあんばいかーしーらー?」
男「―って、ジップロックがねええええええええ」
男「誰が俺のフレンチトーストを…」
男「―!!」
冷蔵庫のホワイトボード
『フレンチトーストご馳走さまでした。また腕を上げましたね 母』
『朝ご飯用意してくれてたんだな!男サンキュー! 父』
男「ないわーマジないわー」
兄「いきなりシンクに凭れて項垂れてどうしたwww」
男「母さんと父さんに仕込んでたフレンチトースト食われてた…」
兄「あー…なんか二人で浅草デート行くって朝早くから起きてたけど、母さんに見つかったんだなその時に」
男「最近酷くね? 母さんの強奪ぶり」
男「付け合わせようと作っておいた清見オレンジのシロップ漬けも完食されてやんの!」
兄「え、なにそのうまそ気なブツ」
兄「材料無いの? また作ってよ」
男「…無い。父さんが貰ってきた高えオレンジだから近所のスーパーにも置いて無いんだよね」
兄「あ、あのやたら味が濃い美味かったミカンか!!」
兄「なんだよー昨日アホみたいに食うんじゃ無かったわ…てか、パンも無いの?」
男「無い。バゲットどころか普通の食パンも無い」
兄「oh…詰んでーるねー」
兄「あ、なーなー! 冷蔵庫になんかちょい高そうな苺あるぞ?」
男「あーそれコンポートにしたいって昨日言ったら箱入りのお高えやつだからダメって怒られたあまおうだわ」
兄「へー………やっちゃえば?」
男「え?」
兄「コンポートにしちゃおうぜ! そして食っちまおう」
男「えーだって怒られるぞ?」
兄「―男なら!」
男「―!!」
兄・男「やってやれ!!!!」
男「よーしこうなったらサン富士リンゴも使ってやろー!!」
男「リンゴは櫛形で5ミリ程度の薄切りにして、蜂蜜とレモン果汁でマリネして放置」
男「兄貴は苺洗ってヘタ取って、キッチンペーパーで水気切ったら耐熱ボールに入れてくれ」
兄「鍋じゃなくて?」
男「煮詰めるよりシロップ抽出に充填置きたいからレンチンのやっつけコンポートにするんだ」
兄「ふ~ん。砂糖は?」
男「苺自体の糖度も高いし、酸味が消えるのもアレだから大さじ2でいいや」
兄「了解~」
男「あ、白ワイン小さじ半もな」
兄「ラップは半がけでいいのか?」
男「うん、少し隙間作っといて。500Wで…3分かな」
兄「700Wじゃなくていいの?」
男「早く出来るけどアク出るからな。メンドイじゃんアク取り」
兄「なるほどな」
男「兄貴は手際良くて助かるわ」
兄「ほめても何も出ねーぞ」
男「さて、これらの甘酸っぱ濃い果物とソースを何で食すかな?」
妹「―ホットケーキ!!!!」
兄・男「―ッくりしたぁ……!!!」
兄「急に大声出すなよwww 心臓に悪い」
妹「いや、桜ちゃんに熱中してる間にキッチンから漂うホmゲフンゴフン、おいしそうなシチュエーsゲフンゴフン、匂いがしてきたものだからね」
兄「この隠しきれない腐り様ったらないな」
男「邪魔すんならアッチ行って桜でも愛でてなさい。シッシッ」
妹「2人のホモs'キッチン割り込まれたからって拗ねんなよ~」
男「えーと、スコーンがいいかな、クレープも捨てがたいなぁ」
妹「無視すんなよぉー」
兄「痛い痛い! ボマイェはやめろ! 助走をつけて更なるボマイェはやめろ!!」
妹「いっちゃうぞバカヤロー!」
兄「それは小島な!」
妹「てかなんでおにいの方はノーダメなのか!」
男「生っちょろい兄貴と一緒にしてくれるな」
兄「上げて落とすスタイル止めろ」
男「ホットケーキねー。ま、たまにはいいか」
妹「イェッフェ~イ!! フッフ~!! ホットケーキー!!」
男「ミックス粉無いから卵に牛乳、バター少々、で小麦粉…」
男「―が、少ない!!!」
兄・妹「ええええええー!??」
男「これ粉基準で作ったらホットケーキ1枚焼けるかな~? ぐらいしかないぞ」
兄「どーすんだ? もう俺は苺のソースでふわふわなお菓子を食べたい胃袋なんですけど」
妹「私もだよー! この際ホットケーキじゃなくてもいいからすぐ食べたいよー」
男「うーん…ホットケーキじゃなくても、か」
妹「あ、てかお兄ちゃん小麦粉買ってきなさい?」
兄「お、そうだな! ひとっ走りスーパーに…」
男「いや、スフレケーキにしよう!」
兄「おー、それならメレンゲ主体だから小麦粉の量そんな必要無いもんな」
妹「スフレケーキとか女子力高そう! よーし…」
男「なんだやけにヤル気だな? 作り方覚えるのか?」
妹「いんや。可愛く写真撮って友達に自慢すんだ~」
兄「女子力ってなんだ?」
妹「躊躇わない事さ!」
男「潔くて逆に漢らしい」
兄「あばよ女子力!」
男「卵黄を溶かしバターと一緒にクリーム状になるまでハンドブレンダーで混ぜて、牛乳加えて、ダマにならないよう小麦粉をさっくり混ぜる」
兄「使う小麦粉はオーマイさんの『こんな小麦粉ほしかった』で決まり!」
妹「チーズケーキ作り以来のダイレクトマーケティング来たー」
男「ボールひっくり返してても落ちないくらい強めにたてたメレンゲを数回に分けて混ぜて、180度のオーブーンに28分」
男「予熱忘れたから最初は200度にしとこう」
男「さーて、茶でもシバキながら焼き上がりを待つか」
妹「私カフェオレのーもー」
兄「俺も俺も~」
男「俺も俺もー」
兄・妹「お願いします」
男「え、淹れんの俺ぇ?」
妹「ほら、こういうのはダチョウの法則が働くから」
兄「最後に乗っかった人間が責任を負うものさ」
男「…仕方ねーなー。よし、どうせなら父さんのお気に入りの豆使ってやれ!」
妹「お! て事はエスプレッソマシン使うの?」
兄「ならカフェオレじゃなくてカフェラテだな。牛乳温めるか」
妹「おにいなんか今日やたら威勢がいいけどどしたの?」
男「たまにはこういうのもいいだろ」
兄「荒々しくありたい時もあるのさ」
妹「…よくわからんなぁ」
兄「苺のコンポートよーし!」
男「リンゴの蜂蜜レモンマリネよーし!」
妹「付け添えのクリームチーズよーし!」
兄「淹れ直したカフェラテよーし!」
男「焼き上がったスフレケーキよーし!」
妹「それじゃあ、準備も整った所で…」
3人「いただきま~す」
http://imgur.com/nOCFEkS
妹「口溶けふわふわでうま~~」
兄「甘酸っぱシロップが生地にしみてたまらんなぁ」
男「あー満足じゃー満足じゃー」
兄「気も晴れたか?」
男「おう」
男「ありがとな兄貴」
妹(スマホで素早く何かを打ち込む)
男「オイ、その脂下がったツラで打ち込んだもんドコに送信する気だァ?」
妹「あー!先輩にー、原稿中の先輩に少しだけネタゲフンゴフンもとい、兄弟仲が良くて今日も平和です報告をしたいんじゃあ!!」
男「ハイハイ、消去、消去」
妹「やめちくりー!」
妹「桜ちゃん眺めーの昼間っからケーキ食べーの。ナニコレ贅沢か」
男「室内で花見か、優雅だな。いや、ミニ盆栽の桜って優雅なのか…?」
兄「近所のでかい公園がそろそろ満開らしいから、春休みあける前に花見行こうぜ」
妹「じゃー五目お稲荷さん作ってこーよ! 枝豆入ってるやつ!」
男「お前それ好きだな」
兄「お揚げは母さんが炊いたやつが美味いからな。頼まないと」
妹「フヒヒww 楽しみ楽しみ~」
男「オイ、よだれ垂れてんぞww」
兄「やべえ。クリームチーズと苺シロップよーく混ぜたらすげえ美味えやばい」
妹「なにその可愛いピンク色! 私もやろー!」
男「別個で器出すからそこで混ぜてディップにしようぜ」
兄・妹「さんせーい!」
この後調子に乗って食材を浪費しまくって、帰宅した両親にめちゃくちゃ怒られました。
妹「お父さんのおつまみ用プロシュートめっちゃ美味かった」
兄「お前反省してないだろwww」
男「正直好き勝手調理しまくれて楽しかった。反省はしていない」
母「……今日の分、お小遣いから天引きしようかしら?」
男・妹「誠に申し訳ありませんでしたーーーー!!!!」
父「浅草土産で買った雷おこしサンダーめっちゃ美味え!」
兄「父さんもう晩酌始めんの?! しかもチョコで!?」
妹「私も食べたーい」
父「ハイ、あー…」
妹「あー……」
父「げない!」
妹「けちぃ!」
父「お父さんの今晩の楽しみを全部食べたんだから反省しなさい」
妹「ぐぬぬ…」
父「アハハハかわいそー妹かわいそー! 雷おこしサンダー美味しいなぁ!」
母「お父さん、反省を促すのはいいけど大人げない事しないで下さい。ビール減らしますよ」
父「ハイ、すみませんでした」
男「俺たまに父さんの事尊敬出来ないわぁ」
兄「奇遇だな。俺もだ」
妹「今の隙に雷おこしサンダーいただき~」
男「こいつの食い意地だけは尊敬に値するかもしれない」
兄「お兄ちゃんそれは同意出来ないかなぁ」
>>97
貼るURL間違えてたこっちで
http://i.imgur.com/nOCFEkS.jpg
また書き溜まったら投下します
書き溜め中なので保守
ちょっと区切りの良い投下が無理そうなので依頼出しました
また機会があればスレ立てしたいと思います申し訳ないです
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