妹「お兄ちゃんが闇の力に目覚めた」 (47)

お兄ちゃんの部屋で、明かりを全部消して。

わたしたちはベッドの上で向かい合って座ってた。

わたしはパジャマを着てるけど、お兄ちゃんは……裸。

「お兄ちゃんのおちんちん……またこんなに固くなってる……」

そそり立つエッチなモノにそっと触れて、わたしは無意識の内に言葉に出しちゃってた。

おちんちん、だなんて恥ずかしい言葉、ついこの前までは絶対言えなかったのに。

ましてやお兄ちゃんの目の前でだなんて。

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「はあっ、はあっ、はあっ……!」

お兄ちゃんの荒々しい呼吸。まるでケダモノみたい。

でもわたしも人のことなんて言えないんだ。

これからすることに期待して、こんなに胸がドキドキしてる。

ほとんど真っ暗だから、お兄ちゃんからは良く見えないだろうけれど。

自分でも確かめる方法なんてないけれど、分かっちゃう。

わたしもきっと、いやらしい顔をしてるんだろうな、って。



始まりは半月くらい前のこと。

わたしたち兄妹はそれまでごく普通の○学生として過ごしてきた。

でもあの日、学校からの帰り道。

わたしたちは唐突に現れた奇妙なバケモノに襲われちゃった。

現れたのは石油で出来たみたいな真っ黒でドロドロなモンスター。

そいつはわたしとお兄ちゃんを殺そうとして、攻撃してきた。

ヒーローでもなんでもない単なる女の子でしかないわたしには抵抗なんて出来なくて。

もう死んじゃう、って諦めかけた時。

お兄ちゃんが闇の力に目覚めたんだ。

あっと言う間だった。

お兄ちゃんは闇を操り、剣みたいな形にして振り回してモンスターを切り裂いた。

とっても強くて、格好良くて。

正直それまでお兄ちゃんのことはパッとしないヤツなんて思ってたけれど、見直しちゃった。

でも、闇の力に目覚めた代償は大きかったんだ。

その時のわたしたちはまだ良く分かってなかったけれど、闇の力はとっても危険なものだった。

初めてのバケモノ、初めての戦闘、初めての闇の力。

興奮状態にあったお兄ちゃんはそのまま闇の魔力に心を飲まれて────

わたしの初めてのキスも奪ってしまった。

「あっ……やっ……!」

逃げることなんて出来なかった。悲鳴をあげることも出来なかった。

わたしはあっという間に押し倒されて、背中を固い道路に打ちつけた。

すごく痛かったけど、でもそんなことよりも目の前に迫るお兄ちゃんの顔がとっても怖くて。

「お兄ちゃ……んむっ!」

わたしはただ怖くて、震えながらお兄ちゃんのキスを受け入れることしか出来なかったんだ。

「んっ……ちゅっ、あ、んうぅっ……!!」

食べられちゃうんじゃないかと思うくらいの乱暴なキスだったなぁ……。

お兄ちゃんてば、強引に舌まで入れてきちゃったんだから。

それだけじゃ満足出来なかったみたいで、わたしのおっぱいまで触ってきた。

「痛っ……! や、やめ、だめっ、ふああっ……!」

誰かに胸を揉まれるなんていうも、わたしの初めて。当たり前だけどね。

お尻も触られて、首筋も嘗め回されて。次から次へとわたしの初めてはお兄ちゃんに奪われていっちゃった。

「あっ、あんっ……おにい、ちゃ……んっ、んうっ……!」

でも、変だったのは。だんだんと怖いって気持ちも無くなっていったってこと。

次はどんな初めてを奪われちゃうんだろうって、期待してた。

そこが通学路だってことも忘れて、わたしはお兄ちゃんにされるがままになってた。

たまたま誰もいなかったから良かったけど、もし見られてたらどうなってたのかな……。

「あ……」

何となく……お兄ちゃんのお股のほうを見たら、すごいことになってた。

ううん、何となく、じゃなくてきっと期待してたんだと思う。

ズボンの上からでも分かるくらい、おちんちん、がパツンパツンにおっきく膨れてた。

お兄ちゃんはとっても苦しそうに呻いてて、おちんちんの辺りをモジモジさせてて。

次第にわたしの太股に擦り付けるみたいな動きも始めて。

わたしはそれが、やっぱり嫌じゃなくて。

つい、こう言っちゃったんだ。

「……して、あげようか……?」

お兄ちゃんは返事が出来なかったみたいだった。

戸惑いと、エッチな気持ちとがゴチャ混ぜになった目でわたしを見てた。

ほんの少しの正気が、瞳の狂気の中に一瞬だけ見えた、気がした。

だから、なのかな。

わたしは、気がつけばお兄ちゃんのおちんちんに、そっと触れてた。

お兄ちゃんのは熱くて、固くて。

履いてるものが破れちゃわないのが不思議なくらいの限界で。

わたしのドキドキもクライマックスを迎えてて、目の前が真っ白になりそうだった。

けど────

「うっ……ふぅっ……!」

お兄ちゃんは情けない声と一緒にびくんびくん、て震えてしまった。

「えっ……?」

何が起こったのか、すぐには分からなかったけれど……漂ってきた生臭いニオイが、わたしに答えを教えてくれた。

「出し、ちゃったの?」

わたしの質問に、お兄ちゃんは答えない。

さっきまでと違ってもうケダモノみたいな雰囲気は無くなってた。

その代わりに顔を真っ赤にして、私から顔を背けて、泣きそうな顔になって。

それがとっても────愛おしくて、可愛くて。

わたしのほうから、キス、しちゃった。



こうして、わたしとお兄ちゃんの関係は変わってしまった。

闇の力をキッカケとして、わたしたちはごく普通の兄妹なんかじゃなくなっちゃったんだ。

それからも謎のバケモノは何度もわたしたちの前に現れて、その度にお兄ちゃんは闇の力で戦った。

闇の力を使うとどうなるか、なんてすぐに分かったよ。

戦いの度にお兄ちゃんはケダモノになって、わたしを襲った。

わたしは、一度だって逃げたりしなかった。逃げられなかったのかも。

きっとわたしも、お兄ちゃんの闇の力に飲みこまれちゃったんだと思う。

「……済まない」

事が済んだお兄ちゃんがこう言うのも、もう慣れっこ。

ケダモノの目は無くして、泣きそうな目になって、いつも顔を背ける。

「ううん、良いの」

わたしがこう返すのも決まってる。まるで台本みたいで味気ない。

でも余計なことを言うと、お兄ちゃんはきっと気にしすぎちゃうから、言わない。

黙ってティッシュを貰って後始末をする。

終わった後はいつだって、わたしの手はお兄ちゃんのエッチなお汁でドロドロだ。

そういえば、最近マニキュアもネイルもしてないや。

どうせシャワーも浴びるし、適当に手を拭き終えたらそれでおしまい。

あとは何も言わないで部屋から出て行くのが、何となく決まったルール。

おやすみなさいも言わないで、私は自分の部屋に帰って寝ちゃうのだ。

……でも今日は何だか、いつもよりほんの少しだけ、頬が熱くて。

お腹の下の、もう少し下が熱くて、ムズムズ来て。

だから、部屋を出てドアを閉めるときに……言っちゃった。

「……次は、お口でしてあげるね?」

お兄ちゃんがどんな顔をしてたのかは、知らない。

プロローグ、了

※R18注意です

幼なじみ編 前編

お兄ちゃんには幼なじみがいる。

お兄ちゃんと同い年の、少し気の強い女の子。

わたしも今よりずっと小さかった頃はよく遊んで貰ってた。

つまりわたしにとっても幼なじみということになるんだけど……

わたしはずっとあの人のことを『お姉ちゃん』と呼んでいたので、幼なじみって感じではない。

どっちかと言うと『お兄ちゃん専用』の幼なじみな気がする。

良く意味は分からないけど、ニュアンスの問題だ。

「最近アンタ、雰囲気変わったわよね」

ある日の通学途中、お姉ちゃんはお兄ちゃんにいきなりそう言い放った。

こんな発言しちゃうんだから、やっぱり『お兄ちゃん専用』だ。

わたしたちがお姉ちゃんに会うのは大抵登校中、通学路でのことだ。

待ち合わせをしている訳でもないから時々しか遭遇はしない。

わたしは学年が違うから学校で会うことも滅多にない。

でもお姉ちゃんはお兄ちゃんとは同じクラスだから毎日顔を合わせてる。

うん、そう。クラスメイトだから。幼なじみで、クラスメイトだから。

お兄ちゃんの変化に気がついてもおかしくはない一人、というわけ。

お姉ちゃんの場合『それだけ』じゃないけれど。

「気のせいだ」

「放課後やけに早く帰るようになったわ」

お兄ちゃんが否定しても、即座にお姉ちゃんは食らい付く。

「元々部活はやってない」

「そのくせ生傷が増えたわ」

「たまたまだ」

少ししつこい。お姉ちゃんは昔からこういう人だった。

自分の直感を信じて疑わない、真っ直ぐな女の子。

わたしはお姉ちゃんのこういうところは意外とキライじゃないけど。

でも他のクラスメートにはどう思われてるのかな、揉めたりなんかしないのかな。

なんて、心配しちゃったりなんかもする。

「…………」

何度かお兄ちゃんの否定を食らって奇妙な沈黙が訪れた。

流石のお姉ちゃんももう諦めたのかな。

と、そう思ったけれど違った。

お姉ちゃんはわたしの方を一瞬だけ見る。

本当に一瞬。

そして意を決したように短く息を吐いて。

こう、言ったんだ。

「……その子と、一緒に居る時間が増えたわ」

何となく気圧されちゃったのか、お兄ちゃんの返答もほんの一呼吸遅れた。

「……兄妹だからだ」

声の強さも1レベル下がった感じ。

このお兄ちゃん、無愛想でクールぶってるくせにプレッシャーに弱い。

「……あっそ」

あっそ、はお姉ちゃんの口癖。今度こそ本当に諦めた証拠だ。

それきり黙ったまま、並んで歩いた。お姉ちゃんも、お兄ちゃんも、そしてわたしも。

二人がいま何を考えてるのかは何となくしか想像は出来ない。

けれどでもさっきの、一瞬だけわたしを見た時の目。

あれがどんな意味を孕んでたのかははっきりと分かる。

あれはクラスメイトの妹に、一応の幼なじみであるわたしに向ける目じゃなかった。

幼い頃遊んでくれた、おてんばだけど優しいお姉ちゃんの目じゃなかった。

どうしてお姉ちゃんはわたしをあんな目で見たのかな、なんて考えるまでもない。

お姉ちゃんはお兄ちゃんのことが好きなんだ。

お兄ちゃんが最近わたしとばっかり一緒に居るからヤキモチを妬いているんだ。

ごく単純な話。

お兄ちゃんの雰囲気が変わった、なんて言い出したのもお兄ちゃんのことが好きだから。

女の子の勘で感じ取ったんだ。

恋する女の子の勘はいつだって名探偵なんだもの。

でもさすがの名探偵もたぶん、わたしとお兄ちゃんがしているコトまでは分かってない。

知ってたらもっと刺し殺すような目つきでわたしを見てるだろうから。

今は嫉妬が大部分。あと少し疑惑。

この疑惑が確信に変わってしまったら……。

わたしたち三人がこうやって、一緒に並んで歩くこともなくなっちゃうんだろうね。

だからお兄ちゃんの力はお姉ちゃんには内緒。

これまで通り二人だけの秘密。

みんなには知られないようにバケモノと戦って、そして……わたしがお兄ちゃんを慰めてあげるの。

わたしが、お兄ちゃんのおちんちんをしこしこしてあげて。

白くて生臭いエッチなお汁を出してあげて、すっきりさせてあげるの。

きっとそれが一番良い。

嗚呼、でも。もしも。

もしも。お姉ちゃんとわたしが一緒にいて。

その時お兄ちゃんがケダモノになってしまったら。

お兄ちゃんはどっちを選ぶんだろう。

それで、もしも選ばれてしまったら……お姉ちゃんはどうするんだろう。

「…………っ」

その光景を想像しちゃって、何だか、少し。

お腹が痛くなった。

幼なじみ編 前編、了

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