小町「第一回八幡裁判!」八幡「は?」 (157)
小町「さぁ、いよいよ始まりました。第一回八幡裁判。略して、『はちばん』!」
八幡「え、なにこれ?」
小町「司会はわたし、お兄ちゃんの更生を心から願う健気な妹こと、比企谷小町が務めさせていただきまーす。みんな、やっはろー!」
戸塚・城廻「やっはろー」
八幡「それやっぱ流行ってんの?どこかの部族の挨拶じゃねぇのかよ」
小町「やーやー、熱い声援ありがとうございます。では、さっそく」
八幡「ちょっと待て小町、いや、待って下さい小町さん」
小町「…なーに?お兄ちゃん。小町、司会進行で今かなり忙しいんだけど」
八幡「朝起きたらいきなり簀巻きにされた挙句、こんな所に放り出された兄はとりあえず状況説明がほしいんですが」
小町「はい、嘘乙。小町はちゃんとお兄ちゃんに着替える時間とご飯食べる時間と、あと顔を洗う時間もちゃんとあげましたよ~?」
八幡「…まぁ、そうなんだが。ほんと小町出来る子」
小町「たとえどうしようもないお兄ちゃんだとしても、せめて最期くらいきちんとした姿で人前に出してあげたいという小町の最大限の愛情表現です。これ、小町的にちょーポイント高―い」
八幡「ねぇ、今最期くらいとか言わなかった?なに、俺今から死ぬの?八幡的にちょーポイント低いんですけど」
小町「…えー、では気を取り直して。さっそく今回のゲストの皆さんに登場してもらいましょう!どうぞー!」
八幡「…完全無視ですね分かります」
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小町「…みなさん、そろったようですね。では、まず」
八幡「あのー、小町さん?」
小町「…もう。なーに?お兄ちゃん。まだ何かあるの?」
八幡「いや、なんでこの人達、頭に紙袋とか被ってんの?マッドサイエンティストの医者なの?デストロイとかしちゃう人種なの?」
小町「この紙袋は、プライバシー保護のためのテレビ的演出です。正体バレとかすると後々面倒になりそうだし、これでみんな気兼ね無く好きな事言えるとゆーか」
八幡「明らかに服装でモロバレしてるし。制服すら着てない人混じってるし」
7番「比企谷くん、やっほー」
八幡「いきなり紙袋取っちゃってる人いるんですけど。すげー笑顔で手振ってる大学生いるんですけど」
小町「…7番さん、ダメですよー!これ、一応顔出ししない事を条件に出演してもらってる事になってる体なんで…」
八幡「設定ガバガバすぎんだろ、それ」
7番「えー、これ息苦しいし暑いし面倒なんだけどなー。まぁ、そーゆーことなら…よいしょっと。どう?比企谷くん。似合ってる?」
八幡「ねぇ、あれ被る意味あるの?顔ほとんど出てますよ、あの人」
小町「…こほん。えーと、ちょっとしたハプニングはありましたが、さっそく一人ずつ簡単な自己紹介と今日の意気込みについて答えてもらいましょう!では、まず1番の人からどうぞー!」
八幡「…えー」
1番「…これは、席順から見て私が1番という事でいいのかしら?…そうね、一応匿名である以上、自己紹介出来る範囲が限られるのだけれども、言うなれば比企谷君被害者の会の一人、といったところかしら。とりあえず裁判なんて開く迄も無く、彼の有罪は確定しているのだから、すぐに民事に切り替えて速やかに損害賠償を支払わせるべきだと思うわ」
八幡「あいつまじで億単位の金払わせる気満々だよ。リーガルがハイする気満々だよ」
1番「あら?貴方にそれだけの大金を用意出来るだけの甲斐性があるの?」
八幡「悪いが、俺はこの先甲斐性なんて手に入れるつもりなんて微塵もない」
1番「本当に呆れる位どうしようもない人間なのね、貴方。勿論知っていたけれども」
小町「はい、ここでいったんストップです…いやー、お兄ちゃんに対する溢れんばかりの敵意が感じられる、素晴らしい自己紹介でしたねー。これは、かなり期待出来そうです。ゆ…1番の人、ありがとうございましたー!」
八幡「おーい。中の人が微妙にはみ出てんぞ、小町」
小町「はい、お兄ちゃんうるさい。…では、続いて2番の人どうぞー!」
2番「2番は…あ。あたしだ!えっと、やっはろー。あたしは、その、別にヒッキーの被害者って訳じゃなくて、むしろいっぱい助けてもらってるとゆーか、まぁ、ほんとすっごく感謝してるんだけど、ゆき…1番さんとヒッキーがいるのに出ないのもアレだし、なんか、こう、奉仕部的に助ける?みたいな感じで来ちゃったんだけど…違ったっぽい?」
八幡「あの子絶対何も分からないまま出ちゃってますね。完全にアホの子ですよ」
2番「あ、アホじゃないし!ちょっとは理解して来てるし!」
八幡「じゃあ、何しに来たんだよ?」
2番「…えーと」
1番「大丈夫よ、ゆい…2番さん。いざという時は私が損害賠償だけでなく、貴女への名誉棄損で彼を訴えるから、心置きなく弾劾しましょう」
2番「1番のん…ありがとう」
八幡「なんかごっちゃになってんぞ、2番ヶ浜。あと、さらっと俺の冤罪増やすな。戸塚に勘違いされて泣いちゃうだろ、俺が」
小町「…お兄ちゃんが泣くんだ、そこ。と、ここでストップです!…いやー、女同士の友情の美しさに、小町の心はタワー建築寸前ですよ。この大正義パワーで、ぜひとも頑張って欲しいところですねー。結衣…2番さん、どうもありがとうございましたー!」
八幡「もう隠す気無いな、こいつら」
小町「何の事か、小町はぜんぜん分かりませーん。では次3番の人、どうぞー!」
今回は長めに書くつもりなので、適度に投下していきます。
よろしければお付き合いください。
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3番「はーい。3番、一色いろはでーす。あ、間違えて名前言っちゃいましたー。てへ」
八幡「はい、あざとい。さすが3番あざとい」
3番「えー、ぜんぜんあざとくないですよ~。素ですよ素。…えっと~、わたしは被害者とゆーか、せんぱいの口車に上手く乗せられた感じなんですけど…でも、生徒会の仕事手伝ってもらったり、けっこう責任は取ってもらってる感じなんで、あんまりせんぱいの事恨んだりはしてないんですよね~」
八幡「じゃあ、そこ座ってる意味ないよな。早く帰れ。あと、仕事しろ」
3番「いやですよー。あとでせんぱいに全部押し付け…いっしょにやるつもりなんですからー…とゆーわけで、今回はせんぱいを無罪にして連れて帰るために参加しましたー。まぁ、たとえ有罪だったとしても、『責任』取ればいいだけですしね~。ねー、せんぱい?」
八幡「…怖い怖い怖い。責任の意味が色々ありそうで怖い。あと、1番2番の視線が怖い、つか痛い」
2番「…ヒッキ―、さいあくー」
1番「…本当に貴方って人は…とんだ最低野郎だわ」
八幡「むせる」
小町「…はーい、ここでストップでーす!いや~、この短時間でヘイト値をカンストさせる手際の良さ、なかなか侮れませんねー。小町と若干キャラ被りしてる気もしますが、みんなは気にしちゃダメだぞ?では、3番…いろはさん、どーもありがとうございましたー!」
八幡「ついに中身と入れ替わったか…」
小町「ではでは、続いて4番の人、はりきってどうぞー!」
小町「…と言いましたが、4番の人は今回欠席でーす」
八幡「え、なんで?」
小町「いやー、さすがの小町もこんな所に小学生連れてくるのは無理だよー。ないわー。お兄ちゃん小学生とかまじないわー」
八幡「ちょっと待て。それは誤解だ、小町。いくら何でもお兄ちゃん小学生に手出さないから。心はいつもイリーガルオブユースハンズだから」
3番「…え、でも、せんぱいこの間、やっぱり小学生は最高だぜ、とか叫んでませんでしたっけ?あーゆーの、リアルに引くんで止めて欲しいんですけど…」
八幡「何言ってんのあの子。全然言ってねぇから。女バスのコーチやってねぇから俺」
1番「…そう。それが、出不精な貴方が地域イベントに積極的に参加していた本当の理由だったのね。…これは、無期懲役?いえ、終身刑かしら?」
2番「…ヒッキー、知ってる?小学生とは付き合えないんだよ…?」
八幡「…本物って、なんなんだろう」
小町「はいはーい。そこでふて腐れてるロリィちゃんのために、4番さんから直接頂いたメッセージを小町が読みたいと思いまーす。えっと…いや、やっぱやめまーす。次行きましょー!」
八幡「…な、何が書いてあったんだ…?」
小町「…小町、ガチ犯罪者の妹はやだよ…」
八幡「よし!次行こう次!はい、5番の人、どうぞー!」
八幡「…って、5番もいねぇじゃねぇか。出場者管理どうなってんの?○ッテの中継ぎローテなの?」
小町「…えー、5番さんはどーしても外せないバイトがあるらしくて、残念ながら欠席みたいですねー。あと、そんな事してないで勉強したら受験生なんでしょって言われちゃいましたー。うぅ、耳が痛いです…でも、総武高の対策問題集もらいましたー。ありがとうございまーす」
八幡「ツンデレ?今時ツンデレーションとか、むしろ新しいんだけど」
小町「とは言え、小町もですね、二人連続で欠席はマズイかなぁと思って、5番さんの弟さんに出演を依頼しようと思ったんですけど…」
八幡「槍を持て!誰か槍をここに!」
小町「…おー、お兄ちゃんの目が真剣だー。…という訳で、これ以上お兄ちゃんの精神が暗黒面に落ちないよう、今回は泣く泣く見送りましたー。ごめんねー」
八幡「うむ、賢明な判断だ…と言いたいところなんだが、だったら最初から順番詰めたら良かったんじゃないのか?不自然に席空いてるし」
小町「まー、そうなんだけど、6番の人が、4は死を連想させるからイヤとか、5は行かず後家を連想させるからイヤって拒否してねー…仕方なく6番に」
八幡「…小町、どうしよ。涙で前が見えない。助けて」
小町「ダメだよ、お兄ちゃん。小町だってガマンしてるんだから…うるうる」
3番「…あの二人。なにげにヒドイ事言ってますよね~」
1番「えぇ…あの連携の完成度は、さすが兄妹といったところかしら」
2番「…ねぇ、イカズゴケって、なに?」
小町「と、冗談はさておき!いよいよ6番さんの登場です!どうぞー!」
6番「ふ。いよいよ私の出番か…では、早速…エート、ワタシハ」
小町「…あの~、平…塚先生?」
八幡「もう堂々と名前言っちゃてんじゃねーか」
小町「その、別に機械音声っぽくしゃべらなくていいですよー。てゆーか、意味ないですし」
6番「なっ…プライバシー保護と言えば、擦りガラス越しの機械音声と相場が決まってるんじゃないのか?みの○んたの昼番組的なアレじゃないのか?」
八幡「…番組チョイスが90年代過ぎる」
3番「み○もんたって、どなたですかー?」
1番「ごめんなさい。私もちょっと…」
2番「とゆーか、90年代ってあたし達赤ちゃんだよね?」
6番「そ、そうなのか?…時代の流れとは残酷だな…」
八幡「まぁ、こど○店長が弟に代替わりする程度には残酷ですよね」
6番「こほん…そうだな、私は言わば、比企谷の保護…姉の様なものか。年長者に迷惑を掛けるのは年少者の特権だが、彼の場合は少々腐っているからな。私の様な『人格者』が、しっかり道を示してやる必要がある訳で」
八幡「いや、その道の先に幸せな結末がまったく見えないんですが」
6番「…幸せって、幸せってなんだろうな?…しょう油かな?」
八幡「はい小町ストップしてー。これ以上は無理。俺泣いちゃう」
小町「…え、あ、じゃあ、ストーップ!…いや~、涙無しには聞けない感動的なお話でしたね~。とにかく、6番さんには幸せな結婚をして欲しいと、小町は心から思います」
八幡「それな」
小町「…という訳で、6番さん?えっと、平塚先生?…まー、どっちでもいいや。とりあえず、ありがとうございましたー!そして、最後は7番の人!正体バレちゃってますけど、お願いしまーす!」
今日はここまでです。
次もよろしくお願いします。
グリザイアのアニメ見て、原作やりたくなって違法ダウンロードして、
裁判シーン見てパクリたくなったんやろなあ…
陽乃「はろー。元気―?比企谷くん」
八幡「…なんか、席変わってません?」
陽乃「んー。そっちいてもあんまり面白くなさそーだし、袋暑いし、飽きちゃったんだよねー…それに、紙袋被った雪乃ちゃんの滑稽な姿、正面から見てみたかったし」
1番「…!」
2番「お、落ち着いて!ゆきのん」
3番「へ~…あの人にも弱点とかあるんですね…くすっ」
八幡「…まぁ、俺としては雪ノ下さんが降りてくれると、かなり助かるんでいいですけどね…ルール的にはどうなんだ?小町」
小町「いやー、そーゆー細かいとこはかなりアバウトなんだよね、この企画…でも、本人がいいのなら、とりあえずオッケーかなって小町は思ったり?特に進行に支障ないし」
八幡「…だそうですよ、雪ノ下さん。良かったですね、主に俺が」
雪乃「だねー。まぁ、こっちはこっちで面白そうだし、それに、ぶっちゃっけお姉さんは比企谷くんが慌てふためく姿を眺めてるだけで楽しいから、あとはわりとどーでもいいんだよねー」
6番「…相変わらずいい性格しているな、お前は」
陽乃「ふふ。一応褒め言葉として受け取っておきますねー」
小町「…えー、なんやかんやあった挙句、半分くらいに減っちゃいましたが、以上でゲストの紹介を終わりたいと思いまーす。いやー、全然正体が分かりませんでしたねー」
八幡「すいません。紹介だけでお腹一杯なので、もう帰ってもいいですか?」
小町「うんうん。もうちょっとだから頑張ってね?お兄ちゃん…それでは次に~、この裁判?の行く末を握る審査員を紹介しまーす。ではでは、どーぞ!」
戸塚「…えっと、こんにちは。2年の戸塚才加です」
城廻「こんにちはー。3年の城廻めぐりです」
陽乃「雪ノ下陽乃でーす」
戸塚「今日は、八幡裁判の審査員を頼まれてここに来たんだけど…本当の事を言うと、とても心配しているんだ…」
城廻「おや、いったい何を心配しているんですかー?」
戸塚「だって…八幡には、裁かれるような悪いところが全然無いから」
八幡「と、戸塚ぁ―!」
小町「お兄ちゃん…ないなー」
城廻「なるほどー…確かに、比企谷君の行動って色々と問題はあるけど、特段悪い事してる訳じゃないもんねー。まぁ、唯一の汚点と言えば、他人に誤解されやすい、ってことぐらいかな?基本いい人だよねー」
八幡「なにあの人達。まじ天使なの?胸のベルが鳴っちゃうの?」
陽乃「えー、わたしはー?」
八幡「…窓辺からやがて飛び立つんじゃないですか?ほとばしる熱いパトスで」
陽乃「おー。何だかよく分かんないけど、カッコいいねー」
2番「…ねぇ?これって、あっちの席の方が正解だったんじゃ…?」
3番「…でも~、あの人達に囲まれて勝てる気しなくないですか?いろんな意味で」
戸塚「という事で、今回僕達は審査員というより、八幡を応援する応援団として、はちばんを見守っていきたいと思います…せーの」
戸塚・城廻「八幡、がんばってー!」
八幡「がんばる!俺すげー頑張っちゃう!」
6番「なんだ、やっぱり○モじゃないか」
1番「もう、早々に不燃物として廃棄処理すべきじゃないかしら?」
小町「…すごーく魅力的な提案ですが、ぎりぎりお断りします。ほんと、ぎりぎりで」
小町「さて、全員の紹介がようやく終わったところで、いよいよはちばんのルールを説明したいと思います…と言っても、ルールはとっても簡単。これから皆さんに、いくつかのゲームに挑戦してもらい、審査員の人達がそれぞれ点数を付けていきます。で、最終的に一番ポイントの高かった人が優勝、って事で」
八幡「待った、今の説明に裁判要素が全然見当たらないんだが…」
小町「…は~。あのね、お兄ちゃん?こんな所で本気の裁判なんて出来る訳ないじゃん?てゆーか小町、法律とかよく分かんないし。要は、響きの問題じゃん?法律の話しない相談所とか、3分じゃない料理番組とか、そーゆー感じだから」
八幡「開始早々業界の闇出てんだけど。黒い本音漏れてんだけど」
小町「だいたい、お兄ちゃん裁判したら勝ち目無いし。いきなり有罪確定だよ?千葉市中引き回しの上、張り付け獄門だよ?」
八幡「なんで江戸時代の盗賊みたいな罰なんだよ。しかも千葉限定」
小町「まーまー。そーゆーわけだから、あんまり深く考えちゃダメだよ?お兄ちゃん。…、でも、いざとなれば、異議あり!って叫んどけば、軽く裁判っぽくなるんじゃない?逆転しちゃう勢いで」
八幡「…思った以上に妹がゲーム脳で、お兄ちゃんはショックです」
小町「はい、小町もお兄ちゃんの性癖にドン引きでしたよー。では、話を戻してー、優勝したゲストの方にはー、素敵なプレゼントをご用意しました!…な、なんと!お兄ちゃんと行く、ディスティニーランドペア招待券です!どーん!」
4人「!」
八幡「えー」
1番「それは…優勝賞品としていかがなものかしら?社会のルールから脱輪した彼と出掛けるなんて、正気の沙汰とは思えないのだけど。ただ…そうね。購入したパンさんグッズの荷物持ちとしてなら、矮星程度の価値はあるかもしれないわ、ね」
2番「ひ、ヒッキ―とディスティニーランド?そ、そーだなぁ~、あたしは別に優勝とかそーゆーの目指してないんだけど、ぐーぜん勝っちゃったりしたら、仕方ないよねー。ほら、優勝プレゼントだしー?断るとか、なんか悪いし…ねー?」
3番「えー?せんぱいとデートですか~?どうしよっかなー?でも~、せんぱいには色々お世話になってるし、借りばっかり作るのってあんまり好きじゃないんですよね~…なのでー、どうしてもっていうなら行ってもあげてもいいですよ~?」
6番「ははは、面白い冗談だな。比企谷妹。ディスティニーランドなんて実在する訳ないだろう?…ゆ、夢と魔法の国なんて、リア充の前にしか現れない、非実在施設だって、先生知ってるんだからな?…思い、知らされたんだからな…」
八幡「おーい。なんか開けちゃいけないトラウマ出てる人いんぞ。ほんと、もう誰かもらってあげて!幸せについて本気出して考えてみてあげて!」
小町「…ふっふっふ。どーやら、皆…約1名を除いて、かなり乗り気になってくれたみたいですね?小町は、小町はとっても嬉しいです!…というわけで、いよいよはちばんを開始します!準備はよろしいですかー?…でもー、その前にー」
小町・戸塚・城廻『いったんCMです!』
八幡「…引き伸ばしかよ」
今日はここまでです。
よろしくお願いします。
>>28についてですが、すいません。
グリザイア見たことないので、
もしかしたらネタかぶりするかもしれません。
小町「…はーい。では、いったん休憩に入りまーす。出演者の皆さんは控え室の方にお願いしまーす!審査員の皆さんは、小町と一緒にこっちで待機になりまーす」
1番「…行きましょうか?ゆい…2番さん」
2番「うん。いろ…3番ちゃんも、行こー」
3番「は~い。…先生は、どーしますか~?」
6番「喫煙室行ってくる」
戸塚「じゃあね、八幡。またあとで」
陽乃「お腹空いたー。めぐりー、何か食べにいかない?」
城廻「はーい、いいですよー」
八幡「…あのー。俺1人残っちゃってますよー?おーい、小町―?小町ちゃーん!」
沙希「…1人で叫んだりして恥ずかしくないの?」
八幡「うお!…って、あれ、川…崎?何でここに?お前、バイトがあったんじゃ…」
沙希「あった、つか、今やってるし。ほら」
八幡「…はちばん運営スタッフ…?」
沙希「そ。けっこー割りのいいバイトだったからさ」
八幡「…は。わざわざバイトまで雇うとか、学生のお遊びの範囲超えてんだろ」
沙希「そう言われてもね。確か、何とか下って県会議員が後援してるらしいって話は聞いたけど」
八幡「…あの人、ほんと自分の為なら何でも使うのな…」
沙希「てか、あんたもよくよく面倒事に巻き込まれやすい奴だよね…トラブル体質ってヤツ?」
八幡「ラッキースケベは無いけどな」
沙希「ふーん…ところで、ひ、比企谷?あんた、喉とか渇いてない?なんか、さっきから随分しゃべり通しだったみたいだけど」
八幡「ん…確かに。意識したら、すげー喉渇いてきた。てゆーか、渇き切ってるわ」
沙希「…へぇ」
沙希「じゃあ、これあげようか?今間違えて買っちゃったからさ。間違えて」
八幡「まじか!サンキュー川崎…けど、間違えてマッカン買っちゃうとか、意外と千葉愛ハンパないのな、お前」
沙希「そ、そんな事無いと思うけど…」
八幡「…で、何で蓋開いてんの?これ。まさか、川崎が飲ん」
沙希「飲んでない飲んでない!間違えて蓋開けちゃっただけ!一口も飲んでないから!…あ、当たり前でしょ?何言ってんの、ほんと…」
八幡「…お、おう。まぁ、お前が嘘つく訳無いしな…それに、間違っても俺と間、間せ、間接…照明って、オシャレだよな?」
沙希「…は?」
八幡「嘘ですごめんなさい何でもありません。ところで、ストローか何か持ってないか?川崎。両手塞がってて、このままじゃ飲めないんだが」
沙希「いや…さすがに持ってないけど」
八幡「そっか…どーすっかな、これ」
沙希「…あ、あたしが飲ませてあげようか?」
八幡「…は?」
沙希「ちょ、ま、か、勘違いするなよ?だって、そのままだと飲めないだろうし、今からストロー取りに行ってる時間も無さそうだから、そーするのが一番早いというか、仕方ないというか…」
八幡「…お、おう、そうだな。もたもたしてると休憩時間終わっちまうし、俺の喉もまじ渇き過ぎて、渇が喉いてるところまできてるからな…つまり何が言いたいかとゆーと、要は仕方ないって事だ」
沙希「そうそう!仕方なく、仕方なくだからな?…じゃあ」
結衣「ヒッキ―!」
沙希「…ちっ」
沙希「…悪い。仕事思い出したから、バイト戻るわ。マッカン、ここ置いとくから」
八幡「え?あの、どうしろと…」
沙希「頑張って」
八幡「…はい」
結衣「やっはろー…って、ヒッキ―どうしたの?なんか元気ないけど…」
八幡「…いや、なんか色んな意味で助かったわ。ありがとな」
結衣「?よく分かんないけど、どーいたしまして…てゆーか、今の川崎さんだったよね?川崎さんって、今日バイトじゃなかったっけ?」
八幡「そのバイトで、裏方スタッフやってるんだと。んで、わざわざ挨拶に来たらしい」
結衣「へー。そーなんだー…あ、マッカン。ヒッキ―が買ったの?」
八幡「いや。川崎の差し入れ、だな」
結衣「川崎さんの差し入れ…ふーん。でも、フタ開けてあるんだけど?」
八幡「…川崎が開けてくれたんだよ」
結衣「あのさ、もしかして…マズイとこに来た感じだったのかな?あたし」
八幡「は?なんだよ、マズイとこって。マッカンはいつでも美味いだろ」
結衣「だよねー。マッカンなんだし。ちょー甘いし」
八幡「…つか、お前こそ何しに来たんだよ?大体こういう企画って、出演者と話したりしちゃダメだろ…それとも、あれは良く似た赤の他人でしたってご都合設定なのか?」
結衣「えっと、それは~…なんて言ったらいいのかな?」
雪乃「…なにか勘違いしているんじゃないかしら?比企谷君」
八幡「…来たか。何とか下議員のご令嬢」
雪乃「…何を聞いたのか知らないけれど、今回の件は全て姉さんの仕業よ。私に噛み付くのは構わないけれど、少しでも状況を好転させたいと思うなら、大人しく罪を認めて罰を受ける方が現実的じゃないかしら?」
八幡「認める罪がそもそも無いっての…んで、その、勘違いってなんだよ?紙袋被ってた連中が、実はお前達じゃないとか衝撃のネタバレでもあんの?」
結衣「あははー…それ、本気で言ってるの?ヒッキ―」
雪乃「むしろ、あんな陳腐な仮装で正体を隠せるなんて本気で思っている人間がいたら、そちらの方が余程どうかしているわ。貴方じゃあるまいし」
八幡「…じゃあ、なんであんな恥ずかしい格好してたんだ?お前ら」
雪乃「あれは!…そういうルールだと小町さんに説明されたから、仕方なく…!」
結衣「ゆきのん、落ち着いて…でも、この企画ってやっぱり単なる嫌がらせなのかなー?それこそ、ゆきのんを困らせるためだけの」
八幡「…ま、あの人ならやりかねないと思うが…どうなんだ?雪ノ下」
雪乃「…そうね。だけど姉さんが、そんな事の為だけにこんな大掛かりな準備をしたとは到底思えないわ。きっと本当の目的が別にあるはずよ」
八幡「それを調べたいって話か」
雪乃「話が早くて助かるわ」
八幡「まぁ、何の用も無くお前らが会いに来るわけないからな」
結衣「あ、あたしはヒッキ―に会いたかったけどな~、普通に」
八幡「…それで、具体的にどうするんだ?あの人の真意探るとか、ただでさえ無理ゲーなのに、両手両足動かないんじゃ完全に詰んでんぞ」
雪乃「大丈夫よ、比企谷君。貴方の役目は、姉さんの注意を逸らす生餌だから」
八幡「はい?」
雪乃「あら、よく聞こえなかったのかしら?貴方は生贄、と言ったのだけど」
八幡「言い方変わってんじゃねぇか」
雪乃「姉さんの変わった興味を引く事の出来る希少珍獣よろしく貴方なら、相当の時間稼ぎが出来るはずと思って」
結衣「…えーと、ゆきのんのお姉さんって、ヒッキ―の事大好きじゃん?だから、ヒッキ―が陽乃さんの気を引いてる間に、ゆきのんとあたしが頑張るって話だよ!」
八幡「大丈夫だから。わざわざフォローしなくていいから」
雪乃「そんな所かしら。正直、計画と呼べるようなものではないけれど」
八幡「…仕方ないだろ。単なる杞憂ってオチもあるんだからな」
結衣「えっと、何かよく分かんなかったけど、そーゆー事だから、ヒッキ―頑張ってね!あたし達もヒッキ―とデート…じゃなかった、陽乃さんの目的とか頑張って調べるために、はちばん頑張るから!」
雪乃「そうね。私達もパンさんグッズ購入…いえ、姉さんの不穏な企みを暴く為に、仕方なく、不本意ながら企画に参加するわ」
八幡「おい、微妙に本音漏れてんぞ。お前ら」
小町「…ぴー、がが、ぴー。あー、テステス。そろそろ休憩時間を終わりにしまーす。出演者の皆さんは、所定の位置に戻ってくださーい」
雪乃「…随分長居してしまったみたいね。では、戻りましょうか?由比ヶ浜さん」
結衣「うん。じゃあね、ヒッキ―。また後でー…と、そうだ」
八幡「…何してんだ?由比ヶ浜」
結衣「はい、ヒッキ―。これ、飲みたかったんでしょ?」
八幡「…仕方なく、だよな?」
結衣「うん。仕方なく、ね」
八幡「…甘い」
結衣「当然じゃん。マッカンだし」
雪乃「…由比ヶ浜さん?」
結衣「ごめん、ゆきのん。すぐ行くー!…じゃね、ヒッキ―」
八幡「おう」
今日はここまでです。
ここから変な方向に進みますが、
よろしくければお付き合いください。
小町 「お待っとさんでした!いよいよ第一回八幡裁判、はちばんを開始します!」
戸塚 「あれ?雪ノ下さんのお姉さんは?」
城廻 「はるさんは、所用で席を外してるみたいですね。その内来ると思いますよ」
八幡 「小町、ちょっと質問いいか?」
小町 「はい、ぶー。騎士以外の発言は認めませーん」
八幡 「まじかよ騎士最悪だな○リアの騎士のファン辞めるわ…じゃなくて、紙袋はどこいったんだ?」
小町 「…え?紙、袋…?何の話してるの?お兄ちゃん。小町わかんなーい。えへ」
八幡 「可愛く誤魔化してもダメだからな。いつか、一色みたいになっちゃうぞ?」
いろは「ちょ、それ、どーゆー意味ですかー?せんぱーい」
小町 「…いや、さっき打ち合わせの時に、これ顔隠してる意味なくない?取っちゃう?てか、取った方がよくない?って話になったんですよねー」
結衣 「てゆーか、そもそも何で顔隠す必要があったしって話だよねー」
雪乃 「ほんと…どうして最初から気付かなかったのかしら?」
八幡 「…なんで俺を睨むの?関係ないよね?むしろ俺被害者だよね?」
小町 「まぁ、とにかくこれで堂々と名前を呼ぶ事が出来るようになったわけで」
結衣 「えっと、小町ちゃん?まだ一人、いるみたいなんだけど…?」
6番 「…」
八幡 「…先生、何やってるんすか…」
小町 「あのー、平塚先生?それ、もう取っていいですよー?」
6番 「…」
雪乃 「…もしかして、何か怒っているのかしら?主に比企谷君の事で」
いろは「ほらー、せんぱいが年齢の事で弄ったりするからですよー」
戸塚 「…ねぇ、八幡。平塚先生の様子、ちょっとおかしくないかな…?」
城廻 「うん…いくら何でも無反応過ぎるよね、平塚先生…」
八幡 「…なぁ、小町。あれ、寝てるだけだよな?単に寝てるだ」
6番 「…」(ばたん)
全員 「!」
一色 「…せ、先生…?」
6番 「…」
結衣 「…あ、あはははは。ひ、平塚先生、ちょーふざけ過ぎだし!いきなり倒れたりなんかしたら、びっくりするじゃないですかー…ねぇ…」
雪乃 「…ごめんなさい。少し、いいかしら?」
結衣 「ゆきのん…?」
雪乃 「…いい?比企谷君」
小町 「お兄ちゃん…」
八幡 「…頼む。確認してくれ」
城廻 「わ、わたしも!」
いろは「…ありえないまじありえないしこれドッキリでしょ全部ウソですってネタバレするんでしょカメラどこですかごめんなさいひとだますとかほんとない…」
雪乃 「…」
城廻 「…そんな…!」
八幡 「…戸塚、救急車呼んでくれ。今すぐ!」
戸塚 「う、うん」
雪乃 「その必要は無いわ。比企谷君」
八幡 「…どういう意味だ?」
雪乃 「…二つ、報告があるの」
結衣 「ゆきのん、冗談だよね?そんな事ありえな」
雪乃 「一つは…残念ながら、既に手遅れよ。脈が、無いの」
結衣 「!」
小町 「そんな…!どうして…!」
八幡 「…もう一つは、なんだ?雪ノ下」
雪乃 「…いい?落ち着いて聞いて頂戴。その、彼女は…平塚先生では、無いわ」
八幡 「…え?」
戸塚 「…平塚先生じゃないって、どういう事?…じゃあ、その人は…?」
雪乃 「…けれど、一体どうして?彼女は本来此処にいるべき人ではないはずなのに…いいえ、それなら平塚先生は何処に…」
八幡 「落ち着け、雪ノ下。それは、誰なんだ?」
結衣 「…川、崎…さん…?」
八幡 「…!」
いろは「いやあああああ!」
城廻 「一色さん!」
小町 「そんな、どうして、川崎さんが…?まさか…こんな事になるなんて…」
八幡 「…おい、小町?」
小町 「小町は何にも知らない…ただ小町はお兄ちゃんを…」
八幡 「小町!」
小町 「!…お、お兄ちゃん…?」
八幡 「小町、早くこの縄を解いてくれ。このままじゃ何も出来ない」
小町 「…う、うん」
陽乃 「それはダメだよ、小町ちゃん。比企谷くんの縄は絶対に解いちゃいけない…そーゆー話だったよね?」
全員 「!」
城廻 「…はる、さん…?」
陽乃 「ごめんね、めぐり。ちょっと動かないでもらえる?それに、みんなも」
八幡 「…何のつもりですか?雪ノ下さん」
陽乃 「そんな怖い顔で睨まないでよ、比企谷くん。これでもお姉さんは、君の事を考えて言ってるんだよ?今動くのは、得策じゃないからね」
雪乃 「…随分冷静なのね、姉さんは」
陽乃 「…まさか。雪乃ちゃんはわたしの事を、血も涙も無い機械人形か何かと思ってるのかな?いちおう、人並みの感情は持ってるつもりなんだけどなー」
八幡 「…この状況でそんな軽口が叩けるなら、十分化け物ですよ」
陽乃 「こうやってわたしと会話できる比企谷くんも、ね」
八幡 「…」
陽乃 「じゃあ、全員一度ここに集まってくれるかな?少し場所を移動したいから…それと」
戸塚 「…あ」
陽乃 「警察に連絡されるのは、ちょっと困るんだよねー。色々事情があって」
いろは「そ、そんな、どうして!」
八幡 「…この企画には、雪ノ下の父親が係わってるんだよ」
雪乃 「…」
今日はここまでです。
多分まだまだ動くので、
よろしければお付き合いください。
八幡 「もし県会議員が係わった所で殺人事件があったなんて世間に知れたら、さすがに無事じゃ済まないだろ。しかも、その身内が当事者ともなれば…」
雪乃 「…当然、あまり面白い事にはならないでしょうね」
陽乃 「察しが良くて助かるねー、比企谷君は」
雪乃 「けれど、それはあくまで私達の都合よ。その為に事を隠蔽するなんて」
陽乃 「じょーだん。隠蔽するつもりなんてこれっぽちもないよー?ただ、今はちょっと待って欲しいってだけ」
いろは「…しいですよ…」
結衣 「…いろは、ちゃん…?」
いろは「そんなのおかしいですよ!だって、人が死んでるんですよ?なのに、警察も呼ばないなんて、絶対おかしいじゃないですか!」
城廻 「…わたしは、はるさんの言う通りにした方がいいと思う」
戸塚 「…どうして、ですか?城廻先輩」
城廻 「もちろん、本当なら警察に通報すべきだよ?…だけど、今は入試の事もあるし、出来れば問題は起こしたくないんだ…」
小町 「…」
いろは「そんな!…こと、言われたら…何も言えなくなるじゃないですか…」
城廻 「…ごめんね。わたしのわがままで」
八幡 「…本当、雪ノ下さんは最悪ですよ」
陽乃 「…最低とは言わないんだね、君は」
八幡 「まぁ、最低は俺の方ですからね…なんせ、知り合いが死んだことより、妹の将来の方を取る外道ですよ?」
小町 「…お兄ちゃん…こ、小町は…」
八幡 「気にすんな。どうせ今更落とす評判も無いし」
雪乃 「…相変わらずの自虐体質なのね。貴方一人で背負える責と思っているなら、大きな勘違いよ」
八幡 「てか、単なるワガママだからな。小町が助かるなら、後はどうでもいいんだよ」
結衣 「…分かった。じゃあ、ヒッキーはヒッキーの好きなように動いたらいいよ」
八幡 「…言われてなくても、そうするっての」
結衣 「だったら…あたしとゆきのんはヒッキーを守るためにワガママ言うから。それなら、文句は無いでしょ?ヒッキー」
雪乃 「…えぇ、そうね。ただの我が儘なのだから、誰かにとやかく言われる筋合いは無い筈よね?」
八幡 「…勝手にしろよ」
雪乃 「言われなくても、そうするつもりよ…じゃあ、行きましょうか?由比ヶ浜さん」
結衣 「うん…ごめんね。川崎さん…」
陽乃 「…これが、比企谷くんの最低か…確かに、ある意味最低の選択かもね」
陽乃 「…さて、と。雪乃ちゃん達はわたしの提案に乗ってくれたわけだけど、ほかの人はどーする?一緒に来る?…それとも、警察に連絡する?」
戸塚 「僕は…八幡と一緒に行くよ。八幡を、信じたいから」
八幡 「とつ…大天使トツカエル、ありがとう」
結衣 「…守る必要、あったのかなー…?」
城廻 「…一色さんは、どうする?」
いろは「…てゆーか、ほんと卑怯ですよ。この状況じゃ一緒に行くしか選択肢ないじゃないですか…そのかわり、ちゃんと責任取ってくださいね?せんぱい」
八幡 「言うと思ったけど。で、何の責任よ?」
いろは「わたしに迷惑をかけた責任と、怖い思いをさせた責任と、人生にキズを付けるかもしれない責任です…とりあえず、一生くらいかけて果たしてくださいね?」
八幡 「…無事に帰れたら考えとく」
陽乃 「じゃあ、わたしも責任取って欲しいなー?理由は無いけど」
八幡 「丁重にお断りします」
陽乃 「ぶーぶー…ま、いっか。とりあえず話はまとまったみたいだし、まずは場所を移さないとね。突き当りの小会議室…って、雪乃ちゃんは分かるよね?その中にみんなを誘導してくれる?」
雪乃 「えぇ…でも、姉さんは?」
陽乃 「わたしは…ちょっと仕事が残ってるからね」
雪乃 「…分かったわ」
八幡 「戸塚、悪いが小町連れて先行っててくれないか?」
小町 「…え?お兄ちゃんは…?」
八幡 「俺は…ちょっと確かめたい事が残ってるからな」
戸塚 「…分かったよ。じゃあ小町ちゃん、行こうか?…また後でね、八幡」
陽乃 「…ようやく二人っきりになれた、ね?なんちゃって」
八幡 「川崎がいますから、正確には三人ですね」
陽乃 「…ふーん。比企谷くんって、ブラックなジョークも言えるんだねー…それとも、少しは冷静になった証拠かな?」
八幡 「…まぁ、お陰様で頭は随分冷えましたよ」
陽乃 「そう…で、わたしに何か聞きたい事があるんでしょ?なんだいなんだい?わたしの年齢?出身地?スリーサイズ?それとも…必殺技?」
八幡 「最後のは気になりますけど、平塚先生の事です。あれが川崎だとすると、本物の平塚先生はどうしたんですか?」
陽乃 「…比企谷くんは、どう思う?」
八幡 「とっくに殺されてるでしょうね」
陽乃 「…」
八幡 「城廻先輩の言っていた雪ノ下さんの用って、そういう話じゃないんですか?先生の死体が発見されたって連絡を受けて、それを確認しに行ったとか」
陽乃 「…そっか。バレてるなら、わざわざ隠す必要も無いかな?ご明察通り、確かに平塚先生は殺されて」
八幡 「いませんよ。てか、そもそも先生はここに来てないですよね?」
陽乃 「…へぇ」
今日はここまでです。
話がいろいろ飛んですいません。
よろしければお付き合いください。
陽乃 「面白い事を言うねー、比企谷くん。先生には最初に会ってたはずだよ?」
八幡 「いえ。俺が見たのは、紙袋を被った平塚先生っぽい人です。あれが本当に平塚先生だったって証拠、ありませんよね?」
陽乃 「…じゃあ、逆に平塚先生じゃないという根拠はあるの?」
八幡 「そう思う理由はいくつかありますけど、意味は無いと思います。存在しない物を存在しないと証明するのは難しいですから」
陽乃 「なら、それはあくまで比企谷くんの妄想という訳だ…悪いけど、そんな妄言に付き合ってる暇は無いよ」
八幡 「でしょうね。ですから…別の証拠を出します」
陽乃 「…別の証拠?」
八幡 「えぇ。なので、この縄を解いてもらえますか?」
陽乃 「…一応聞くけど、何をするつもり?」
八幡 「川崎が生きている事を確認します。あいつが生きていれば、そもそも事件なんて無かった事になりますから」
陽乃 「ごめん。比企谷くんの言ってる事が分からないなー。川…崎さんだったっけ?彼女が死んでいるのは、雪乃ちゃんが確認していた筈だよね?」
八幡 「そうですね。まるでドラマの刑事並みに正確な判断でしたが」
陽乃 「…あの子なら、それくらい出来ると思うけど?」
八幡 「かもしれませんね。だから、その役は雪ノ下が適役だった訳ですよ」
陽乃 「適役、か…つまり君は、誰かが本を書いたって言いたいのかな?」
八幡 「かなり性格の捻くれた、どっかの誰かだと思います」
陽乃 「…ふふふ。比企谷くん、面白―い。妄言もここまで来ると大した物だね~。将来は、推理小説家にでもなるつもり?」
八幡 「こんな穴だらけの設定じゃ一次選考も通りませんよ。とりあえず、嫌がらせ目的で材木座の名前でラノベ大賞に送ってみますけど」
陽乃 「だけど…比企谷くんの拘束は、絶対に外さないよ」
八幡 「理由はなんですか?」
陽乃 「その拘束は君の無実と、身の安全を保障するものだからね。理由は…まぁ、今は言えないんだけど」
八幡 「なら、大丈夫でしょう。今は二人っきり、なんですから」
陽乃 「…もし、わたしが犯人だったらどーする?」
八幡 「それこそ有り得ない話ですよ。仮に雪ノ下さんが犯人なら、この時点でとっくに死んでますからね、俺」
陽乃 「…そうとも限らないんじゃない?例えば」
八幡 「それに、往々にしてこの手の本を書く人は、奇を衒った犯人を選びますからね。裏の裏でも掻かない限り、雪ノ下さんって線は無いですよ」
陽乃 「…」
沙希 「…そろそろ、限界じゃない?」
陽乃 「あー、もー!せっかく一生懸命考えたのにー!」
陽乃 「ほんっと、比企谷くんって最低だよねー。まじ空気読めないってゆーか、空気より存在感薄いって言われるでしょ?よく」
八幡 「…人の過去的確に抉る罵倒は止めて下さい。あと、存在感関係ないし」
沙希 「なんか、トラブル体質ってゆーか、トラウマ体質だよね。あんたって」
八幡 「おー、川崎ゾンビさん」
沙希 「B級ホラー映画っぽい呼び方やめてくれる?それに、あたし死んでないし」
陽乃 「…ねー、ちょっと降りてくるのが早いんじゃなーい?川なんとかさーん」
沙希 「…いや、完全にネタバレしてましたよね…?」
陽乃 「そんな事無いよー。あともう少し死んでてくれたら、比企谷くんを説得出来たかもしれないのにー…なんやかんやで」
八幡 「そうだな。そうすれば確認と称して、川崎の体に色々と…」
沙希 「この縄で、あんたの首を拘束しようか?」
八幡 「いやー、川崎が無事で本当に良かった。本当に」
沙希 「…で、これからどうするつもり?」
陽乃 「全部バレちゃったもんねー。じゃあ、どーする?全員集めて、比企谷くんの前で土下座とかする?いやーん、エローい」
沙希 「土下座はエロくないでしょ」
陽乃 「えー。沢山の女の子が一斉に土下座するとか、大奥的な感じで何かエロくないー?」
八幡 「…なるほど。確かにそれは…」
沙希 「…」
八幡 「無いですね。一切エロくないです」
陽乃 「けど、勿体ないなー。せっかくこの後の話も作ったのに…わたし意外と真面目だから、ちゃんとプロットも立てて書いたんだよ?大学のレポート落としたけど」
沙希 「…大学生って、ほんと暇なんだな…」
八幡 「安心してください、雪ノ下さん。勿体無くなんかないですよ…だってまだ、話は続けてもらいますから」
陽乃 「…へぇ」
沙希 「…は?どういう事?今更続けるなんて無理でしょ?」
八幡 「いや。ここにいるのは、俺達三人だけだ。他の連中はまだ、俺に話がバレたとは気付いてないからな。話は続けられる…でしょ?雪ノ下さん」
陽乃 「…今度は逆に、雪乃ちゃん達を騙すってこと?」
八幡 「普通に謝って終わりじゃ、何にも面白くないですしね」
沙希 「…あんたって、想像以上に下衆い人間だったんだ」
八幡 「言うなよ。どうせこの企画、俺への日頃の恨みを晴らすとか、そんな理由から始まったんだろ?集団で個人を攻撃するとか、よっぽどそっちの方があくどいっての」
沙希 「…まぁ、確かに」
八幡 「と言っても、本当に意趣返ししたい訳じゃない。適度に痛い目を見れば、少しは俺の気持ちも分かるだろうし」
陽乃 「ほんとに君は最低な人間だねー、比企谷くん。素直に関心するよ。ま、その提案に嬉々として乗っかるわたしも、大概畜生だけどねー」
八幡 「…面白そうだからですよね?」
陽乃 「だって、面白くしてくれるんでしょ?」
沙希 「…参加しなきゃよかった…」
八幡 「もう遅い…じゃあ、本当の八幡裁判を始めますかね」
小町 「…あ、お兄ちゃん…!」
八幡 「おう…少しは落ち着いたか?小町」
小町 「うん…大丈夫」
戸塚 「八幡の用事は?終わったの?」
八幡 「まぁ、一応な」
雪乃 「一体何の用事だったのかしら?比企谷君。随分と時間が掛かったみたいだけど」
八幡 「用事、というか単なる確認だな。大した事じゃないが」
雪乃 「…そう」
結衣 「ヒッキ―…縄、外してもらったんだ」
八幡 「あぁ。状況が状況だからな。縛りプレイは嫌いなんだよ」
いろは「…城廻先輩、せんぱいのアレって外す話ありましたっけ…?」
城廻 「…うーん。少し状況が変わった、とかかなぁ…?」
陽乃 「…いやー、ごめーん。ちょっと手間取って遅れちゃったよ~」
陽乃 「てゆーか、喉渇いたー。お水あるー?」
城廻 「はるさん、どうぞ」
陽乃 「ありがとー。ぐびぐび」
雪乃 「…姉さん。少し聞きたい事があるの」
陽乃 「ちょっと待ってね、雪乃ちゃん…はい、どうぞ。わたしが答えられる範囲なら、多分それなりに答えてあげるよ?」
小町 「…わー、答える気無さそー」
雪乃 「…単刀直入に聞くわ。平塚先生は、何処にいるのかしら?この場に先生がいないのは不思議、いえ、明らかに不自然よ。もしかして…」
陽乃 「…そーだね。平塚先生は…」
八幡 「生きてる」
全員 「!」
戸塚 「…平塚先生が…生きてる…?」
八幡 「驚くことじゃないだろ?戸塚。むしろ、ここは喜ぶべきじゃないのか?」
結衣 「…そ、そーだよね!生きてたんだし、ふ、ふつー喜ぶとこだよね!」
八幡 「だよな。由比ヶ浜」
いろは「…あのー。その、本当なんですか?平塚先生が生きてるって…」
陽乃 「うん、そーだよ。平塚先生は、間違いなく生きてる」
雪乃 「…」
城廻 「…じゃあ、平塚先生はどこにいるんですか?みんな一緒の方が安全だと思うんですけど…?」
陽乃 「まぁ、生きてる事は生きてるんだけどねー。ちょっと怪我しちゃってて…あー、大した怪我じゃないから、そんなに心配しなくてもいいんだけど」
八幡 「と言っても、怪我人動かすのは無理があるからな。医務室に放置してきた」
結衣 「…自転車扱い?」
雪乃 「…その口振りだと、比企谷君は平塚先生の姿を確認した、という事かしら?」
八幡 「いや、正確にはカーテン越しに見ただけだ…不満か?」
雪乃 「いいえ。けれど、川崎さんの件があった以上、必ずしも本人とは限らないと思っただけよ。ただの確認と流してくれればいいわ」
小町 「…あのー、ちょっと聞きたいんですけど…」
陽乃 「なーに?小町ちゃん。わたしの必殺技?」
八幡 「どんだけ言いたいんですか。いや、確かに気になるけど」
小町 「…そうじゃなくて、川…崎さんって、今日は欠席でしたよね?どうしてここにいたんですか?」
八幡 「知らなかったのか?小町。あいつ、ここのスタッフだったんだよ」
小町 「そーなの?…へー、そうだったんだ…」
戸塚 「確かにバイトとは言ってたけど、何のバイトかは言ってなかったしね」
雪乃 「…なるほど。それで納得がいったわ」
八幡 「ちょっと待て、雪ノ下」
雪乃 「何かしら?」
八幡 「何って、お前は川崎を見てるだろ」
雪乃 「…言っている意味が分からないのだけど。私は川崎さんがいた事を先刻まで知らなかったわ」
八幡 「いや、休憩時間に由比ヶ浜と来た時、擦れ違わなかったのか?由比ヶ浜と一緒に来たなら、お前も川崎の顔を見てるはずだろ?」
雪乃 「…確かに、誰かと擦れ違ったかもしれないけれど、それが川崎さんだとは気付かなかったわ。あの辺りは照明が暗くて、顔までは分からなかったもの」
八幡 「そう…だったのか?」
雪乃 「えぇ。こんな事で嘘を吐く必要が無いでしょう?」
八幡 「だな…じゃあ、知っていたのは俺と、由比ヶ浜だけだったって事か」
陽乃 「もちろん、わたしも知ってたよ。まぁ、彼女が比企谷くん達の知り合い、って事は知らなかったけどね」
城廻 「あー、わたしはそもそも、川崎さん?の事をよく知らないかなー…」
いろは「右に同じくでーす」
八幡 「…となると、ちょっと面倒だな」
結衣 「ど、どーゆー事?ヒッキ―」
今日はここまでです。
人数が多いと大変だと早く気付くべきでしたが、
よろしければお付き合いください。
八幡 「川崎を襲った犯人は、必ずしも川崎を狙ったわけじゃないって事だよ」
結衣 「えっと…つまり、どーゆーこと?」
いろは「でも、せんぱい。それって、この中に犯人がいること前提の話ですよねー?もし犯人が外の人間だったら、関係無くないですかー?」
陽乃 「確かに一理あると思うけど、その可能性は低いんじゃないかな?」
雪乃 「外部犯がここに入り込んだとは考え難いし、仮にそうだとしても、あえて川崎さんを狙う理由が無いわ。それに、平塚先生も」
城廻 「もちろん偶発的な事故って線もあるけど、あまり現実的な推測じゃないよね」
戸塚 「…だけど、僕は、この中に犯人がいるなんて思いたくないな…」
小町 「小町もです…お兄ちゃん達を疑うなんて…」
八幡 「…とにかく、この中に犯人がいるとした場合、川崎本人を狙っていたとすれば、犯人は川崎がいた事を知っている人間に限られるわけだ」
結衣 「あ、あたしは違うし!絶対違うし!」
陽乃 「もし知らなかったとすると、犯人は平塚先生を狙っていた事になるよね。少なくともあの時点まで全員、6番が平塚先生と思ってた訳だし」
城廻 「でも、もし二人を襲った犯人が同一犯だとしたら、やっぱり川崎さんがいた事を知ってる人間、って事になるんじゃないですか?」
いろは「川崎さんって人、あの時、平塚先生の格好してましたよねー?もし同一犯だったら、わざわざ服を着せた事になりますけど…それって、何のためですか?」
結衣 「…平塚先生の事件を隠すため、とか?」
八幡 「それは色々無理があるだろ。そもそも別人だと分かった時点でメリットが無くなるし、その割りにリスクが大きい。それに、時間稼ぎとしても中途半端だ」
雪乃 「となると、やはり川崎さんは、自ら平塚先生の格好をしていた事になるわね」
陽乃 「その方が自然だよねー。問題は、その理由だけど」
いろは「理由なんて…一つしかないじゃないですか」
城廻 「うん…確かにそれなら筋は通ってる、かな…?」
戸塚 「信じたくはないけど…言いたい事は分かるよ」
小町 「…」
結衣 「…あのー」
八幡 「…なんだ?由比ヶ浜」
結衣 「えっと…結局、何がどーなってるのか、よく分からないんだけど…?」
雪乃 「…よく聞いて、由比ヶ浜さん。信じたくはないけれど、平塚先生を襲った犯人は川崎さん、という事になるわ」
結衣 「…!」
すいません。今日はここまでです。
読んでくれる人がいる限り続けますので、
よろしければお付き合いください。
八幡 「まぁ、そういうことだ。実際、他に説明が付かないからな」
結衣 「え、あ…え?」
雪乃 「えぇ。平塚先生を襲った後、それを隠すために先生に成り替った…いえ、或いは最初から川崎さんだった可能性もありそうね」
結衣 「…ねぇ、ゆきのん?話が、ちょっと…」
陽乃 「どう見ても無意味だったあの扮装が、逆に平塚先生本人だと錯覚させるための最高の偽装となった訳だねー…んー、上手く出来てるなー」
結衣 「ふん…ぎ…そう?」
いろは「確かに、今考えると、見た目や声が平塚先生とは違った感じがしますよねー」
結衣 「…」
小町 「…あの、大丈夫ですか?結衣さん」
結衣 「へ?あ、うん。大丈夫、大丈夫だよ!…たぶん」
いろは「話は分かりましたけど、それが分かったからって、根本的な問題は何も解決しないですよね?」
城廻 「…そうだね。結局、川崎さんと平塚先生のどちらが狙われたのか分からないし、何か手掛かりとかあればいいんだろうけど」
戸塚 「…ねぇ?八幡。それって、そんなに大事なことなのかな…?」
八幡 「どういう意味だ?戸塚」
戸塚 「だって、誰を狙ったのかなんて犯人にしか分からないし、それに、動機があったからって、その人が必ず犯人とは限らないと思うんだ」
いろは「…まー、確かにそうですけど」
雪乃 「犯人を見付けなければ、被害者は更に増える一方よ?無闇に疑っていい訳ではないけれど、今はどんなに小さな確率すら」
戸塚 「…本当に、そうなのかな?」
城廻 「えっと…つまり?」
陽乃 「もし犯人の目的が既に遂げられているなら、次の被害者は出ないかもしれない…なんて考えてるのかな?君は」
戸塚 「…そうあって欲しい、と思います」
雪乃 「それは…余りに楽観的過ぎるんじゃないかしら?むしろ、今は最悪の事態を想定して然るべき状況だと思うのだけど」
陽乃 「んー。けど、それこそ逆に悲観的過ぎるんじゃない?雪乃ちゃん。それとも…この中にそんな非道な犯人がいるって思いたいの?」
雪乃 「私は!そういうつもりじゃ…」
小町 「雪乃さん…」
全員 「…」
八幡 「…いい感じに煮詰まってきたな。じゃあ…一旦休憩にするか」
今回はここまでです。
少し忙しくなるので更新は遅くなりますが、
よろしければお付き合いください。
いろは「…は?休憩ですか。このタイミングで?せんぱい、バカなんですか?」
八幡 「ちげーよ。バカは由比ヶ浜だ」
戸塚 「そっかぁ」
結衣 「なんか無意味にディスられてるし!」
八幡 「これ以上話しても埒が明かないだろ?あと、疲れた。主に俺が」
小町 「お兄ちゃん、生粋のもやしっ子だしねー」
八幡 「うっうー、とか言わないけどな」
雪乃 「私は、もう少し論を深めるべきだと思うわ」
八幡 「疲れが溜まると思考力が鈍って、普段以上に悲観的になるらしいが」
雪乃 「なら、安心なさい。それ以上に貴方の思考力は低下しないから」
八幡 「言われてんぞ、由比ヶ浜」
結衣 「いや、あたしじゃないし!…え、あたしじゃないよね…?」
城廻 「…だけど、確かに比企谷君の言う通り、一回休みを挟んだ方がいいんじゃないかな?正直、わたしも否定的な考えしか浮かばないから…」
陽乃 「まー、ずっと話しっぱなしだったからねー。それに、ここにみんないる間は、とりあえず安全なんだから、ちょっとくらい休んだ所で問題は無いと思うけど?」
雪乃 「…分かったわ。それなら、少し休憩しましょう」
八幡 「じゃ、俺マッカン買ってくるから」
陽乃 「はい、比企谷くんストーップ」
八幡 「…何すか?雪ノ下さん」
陽乃 「今わたし言ったよね?全員がここにいる限りは安全だって。その意味、当然分かってるでしょ?比企谷くん」
八幡 「俺一人だけなら、特に問題無いんじゃないっすか?」
雪乃 「もし外部犯がいた場合は?一体どうするつもりかしら?」
八幡 「その件はお前が否定しただろ」
城廻 「たとえば、比企谷君が犯人って可能性もある訳だよね?」
八幡 「だったら、むしろ出た方が安全ですよね」
小町 「お兄ちゃんの事だから、そのまま逃げちゃったりして」
八幡 「いや、逃げても意味無いし」
いろは「自殺なんてダメですよー」
八幡 「追い詰められるの早ぇよ。つか、俺犯人じゃないからね」
陽乃 「あとはー…なんか、外と連絡取ったりとか?」
八幡 「なら、ケータイ置いてきますよ」
結衣 「…えっと、とにかくヒッキ―が怪しいから!」
八幡 「ただの悪口じゃねぇか」
戸塚 「八幡…みんな、八幡の事が心配なんだよ」
八幡 「…あー、分かったよ。じゃあ、誰か付いて来てくれ。それなら、文句ないだろ」
全員 「…それは、ちょっと…」
八幡 「泣いていい?八幡、本気で泣いていい?」
八幡 「…もういい。一色。頼む」
全員 「!」
いろは「…え?わたし、ですか?」
八幡 「ほかに一色はいないだろ?」
いろは「そうですけど…あの、妹さんじゃなく?」
八幡 「あぁ」
いろは「戸塚先輩でもなく?」
八幡 「…あぁ」
いろは「…他の人なんかじゃなく?」
八幡 「なに、俺そんなに嫌われてんの?」
いろは「そーゆー訳じゃないですよ。そーゆー事じゃないんですけどー…」
雪乃 「…い、いいんじゃないかしら?一色さんで。単に飲み物を買ってくるだけなのだから、誰が一緒に行っても同じよね」
結衣 「そ、そそ、そーだよね!ちょっと外に出るくらいなんだし、別に誰と一緒でも全然気にしないから!」
八幡 「…何であいつら怒ってんの?小町ちゃん」
小町 「…それは、お兄ちゃんが果てしなくお兄ちゃんだからだよ」
八幡 「哲学なの?」
いろは「…はー、分かりました。しょうがないですねー。せんぱいがどうしてもって言うから、仕方なく付いてってあげますよ」
八幡 「…相変わらず恩着せがましい言い方だな。何枚着りゃいいんだよ」
いろは「まぁ、あと十枚くらい?」
八幡 「クーリングオフで」
いろは「返品不可で」
戸塚 「僕も付いて行っていいかな?八幡」
八幡 「悪い、戸塚。気持ちは非常に嬉しいんだが、小町が心配だからな」
小町 「じゃあ、小町も一緒に…!」
八幡 「いや。んなぞろぞろ出ていく話じゃないし、それに、色々言ったが、やっぱりこの中が一番安全なんだよ。敢えて危険に飛び込む必要は無いだろ」
戸塚 「八幡…」
小町 「お兄ちゃん…ぐすん」
いろは「…あれ?わたしの立場は…?」
八幡 「ま、そんな心配すんな。あとは俺が何とかしてやんよ」
陽乃 「…なーんか、すごーくカッコいい事言ってるけど、あの子今からマッカン買いに行くだけだよね?違うの?」
城廻 「ダメですよ、はるさん…ほら、比企谷君に聞こえてますよ?あー、耳とか真っ赤になって小さく震えてるじゃないですか」
雪乃 「マッカンだけに真っ赤…なの…ね…ふふ」
結衣 「ゆきのん、やめたげてよ!」
八幡 「…」
いろは「…せんぱーい、そろそろ行きませんかー?このままだと、せんぱい恥ずかしさで死んじゃいますよー?」
八幡 「…じゃ、行ってきます」
今日はここまでです。
何とか更新できましたので、
よろしければお付き合いください。
八幡 「…ん?」
いろは「どーしたんですか?せんぱい。豆鉄砲が鳩食らったみたいな顔して」
八幡 「そんなグロ画像みたいな顔してないから。いや、マッカンが無いんだよ」
いろは「あー、そーですね。この自販機サン○リーですし」
八幡 「どーすっかな。マッカン無いなら来た意味無いじゃん」
いろは「ミルクティーとかどーですか?甘いですよー?」
八幡 「…それ、お前が飲みたいだけだろ」
いろは「そーですよ。だから、買って下さい」
八幡 「ま、いーけど」
いろは「どーも…ん。なんか、これ、せんぱいの味がしますね」
八幡 「俺どんだけミルキーな味するんだよ。糖尿病マッハじゃねぇか」
いろは「そーゆー意味じゃないですよー。もっと、こー、ねっとりした感じの?」
八幡 「粘着質で悪かったな」
いろは「とにかく、せんぱいも飲んでみたら分かりますよー。ほら、ぐびっと」
八幡 「…待った。今お前飲んだろ、それ」
いろは「口付けたの、こっちですけど?」
八幡 「そうか。じゃあ…って、ならねーから。女子と間接…とか、まじ無理だから」
いろは「…ほーんと、せんぱい、変にガード高くて面倒ですよねー」
八幡 「俺のATフィー○ドは、常に最大展開してるからな」
いろは「なら、指で穴開けますよー。えいえい」
八幡 「…で、お前の目的はなんなんだ?一色」
いろは「…は?目的?」
八幡 「雪ノ下姉が川崎の件を俺にバラした事は、当然知ってんだろ?」
いろは「えー、なんの話ですかー。全然意味わかんないんですけどー?」
八幡 「俺がお前達に報復するため、この話を続けた事だって全部、言わずもがなあの人の脚本通り…だよな?」
いろは「脚本とか、なんか映画っぽいですねー。あ、いっしょに映画行きませんかー?見たい邦画があるんですけどー」
八幡 「だが、全てが脚本通りに動いてる訳じゃない」
いろは「…へー。そーなんですか?」
八幡 「理由は恐らく、この集まりが同盟型じゃなく協商型、つまり、それぞれの抱える目的が異なるからだ。じゃなきゃ、雪ノ下が姉と手を組む筈がない」
いろは「…だったら、なんなんです?」
八幡 「まずは、一色。お前から籠絡する」
いろは「わたし、そんなにちょろくないですよ?」
八幡 「あぁ、知ってる。要は、お前の目的が叶えばいいんだろ?」
いろは「じゃあ…わたしの目的が分かった、と?」
八幡 「いや、全然分かんないから直接聞こうと思ったんだが」
いろは「…はー。相変わらずのダメ人間ですね、せんぱい」
いろは「…てゆーか、それが分かってるなら、簡単そーな人から落とした方が良くないですかー?たとえば…結衣先輩とか?」
八幡 「由比ヶ浜は…無理だ」
いろは「え、そんなにハードル高そうに見えないですけど…?」
八幡 「そうじゃなくて、純粋な戦力として微妙なんだよ。あいつは。大体、人騙すとか駆け引きとか出来ないからな。本能的に」
いろは「…動物扱い?」
八幡 「ま、愛玩動物ってところだな。バカだけど」
いろは「でも、カワイイとは思ってるんですよね?結衣先輩のこと」
八幡 「…そーゆーのは、素直に流せよ。得意のスルースキル発動しろ」
いろは「じゃ、これ飲んでください」
八幡 「無理」
いろは「そこは素直に流されてくださいよー。得意のぼっちスキル発動なしで」
八幡 「パッシブ効果だから、素直に諦めろ」
いろは「ぶー」
いろは「…じゃあ、逆にどーしてわたしなんですかー?」
八幡 「一番中途半端だから」
いろは「…は?ふざけてるんですか?潰しますよ?」
八幡 「待て一色。何を潰すか分からんが早まるな」
いろは「説明、してくれますよね?」
八幡 「あのな、たとえ目的が明白だったとして、イコール与し易い訳じゃない。絶対に陥落しないと分かった城塞に、わざわざ攻め込むバカはいないだろ?」
いろは「戸塚先輩とか、妹さんとかいるじゃないですか」
八幡 「小町や戸塚は落とし易いだろうが、逆にその分だけ対策が張られてる可能性が高い。というか、俺ならそうする。だから、迂闊に手は出せないんだよ」
いろは「…なるほど。そーゆー訳で、一番中途半端な位置にいたわたしが、都合よく選ばれたんですねー。はっはっはー」
八幡 「はっはっはー」
いろは「…絶対協力してあげませんから」
八幡 「嘘ですごめんなさい」
いろは「イヤです絶対許しません」
八幡 「だから、俺の言い方が悪かった」
いろは「なら、ちゃんと言って下さい」
八幡 「えっと…その、一色を仲間にしたい」
いろは「…ほんとですか?」
八幡 「おう」
いろは「…じゃ、いっしょに映画行ってくれますか?もちろん、せんぱいのおごりで」
八幡 「わ、分かった」
いろは「そのあと、ご飯行ったり、買い物付き合ったりしてくれますか?」
八幡 「…まぁ、考えとく」
いろは「あと…これ、飲んでくれますか?」
八幡 「それは無理」
いろは「ぶーぶー。せんぱい、ひどーい」
八幡 「お前があざといんだよ。あざと過ぎて胸焼けするわ」
いろは「え、わたしの事で胸が焦がれるんですか?」
八幡 「焦げてないから。せいぜい生焼け程度だから」
いろは「あー、もー、仕方ないですねー。ほーんと、今回だけですよ?」
八幡 「…協力してくれるのか?」
いろは「まぁ、向こうに付くメリット無くなっちゃいましたしねー。ここは、せんぱいの口説き文句に落とされてあげます」
八幡 「あ、そ…で、結局、お前の目的って何だったんだよ?」
いろは「んふふー。それは…秘密です」
今日はここまでです。
そろそろ終わりが見えてきましたので、
よろしければお付き合いください。
いろは「…で、せんぱいに付くのはいいんですけど、具体的にどうするんですか?」
八幡 「いや、特に何もしなくていい」
いろは「…は?どーゆー事ですか?」
八幡 「だから、今まで通りにしてればいいんだよ」
いろは「…あのー、それ、わたしを引き込んだ意味あるんですかー?」
八幡 「あぁ。重要なのは、一色が裏切ったかもしれないと、雪ノ下達に疑いを持たせる事だ。ある意味、一緒に外に出た時点で半分目的は達してる訳だな」
いろは「じゃあ、下手に動かず、あいまいなままにしておけと?」
八幡 「一度揺らいだ信用は、そう簡単に修復出来ないからな。互いが疑心暗鬼になればなるほど、他人が付け入る隙が生まれる」
いろは「なるほど。実体験に基づいた素晴らしい案ですね、せんぱい」
八幡 「…」
いろは「ところで、せんぱいの目的、とゆーか、目標って何ですかー?やっぱり、雪ノ下先輩のお姉さんに仕返ししたい、とかですか?」
八幡 「…訳も分からず、こんな茶番に付き合わされたんだ。少しくらいやり返しても、罰は当たらんだろ?」
いろは「あー、嘘ですね」
八幡 「…根拠は?」
いろは「だって、せんぱいが、そんな簡単に教えてくれるはずがないじゃないですか」
八幡 「俺どんだけ信用無いんだよ」
いろは「とゆーか、なんかせんぱいっぽく無いんですよねー。そーゆーの…もしかして、せんぱいの目的って」
沙希 「…それは、あたしも興味あるね」
八幡 「…川、崎…?死んだはずじゃ…?」
沙希 「いや、死んでないって」
いろは「川崎先輩、紫陽花の葉っぱ食べますか?」
沙希 「だから、ゾンビじゃないから…って、このくだり面倒なんだけど」
八幡 「とか言いつつ付き合ってくれる川崎まじ聖人」
沙希 「ば…!そ、そんなんじゃないし!」
いろは「…これは、意外な所に伏兵がいましたねー…」
沙希 「と、とにかく!話を戻すけど、あんたの目的が」
八幡 「で、準備は終わったのか?川崎」
沙希 「…え?まぁ、一応終わったけど、そんな事よりあんたの目」
いろは「準備って、いったい何のことですかー?」
八幡 「あぁ。事前に川崎に頼んでた件があってな。その為に色々動いてもらってたんだよ」
いろは「へー。けっこー真面目に対策してたんですねー」
沙希 「いや、確かにそうなんだけど、だからあん」
八幡 「まぁな。これでこっちの駒は全部揃った訳だ。かなり心許無いが」
沙希 「…」
いろは「…あのー、川崎先輩はせんぱいに何してもらうんですか?」
沙希 「な!…何って、そんな大した事はべつに…ただ」
いろは「ただ?」
沙希 「一緒に参考書買いに行くとか、そんな感じの約束したくらいで…」
八幡 「なぁ、何で女子って買い物好きなの?中毒か何かなの?」
いろは「…そうですねー。せんぱいは一度裁かれた方がいいと思います、やっぱり」
今日はここまでです。
よろしければお付き合いください。
八幡 「いや、だから何で俺が…ぐえ」
雪乃 「えぇ、そうね。やはり比企谷君には、改めて公正な裁きを受けてもらう必要があるみたい」
八幡 「ゆ、雪ノ下?どうしてここに…がは!」
結衣 「ひどいよ、ヒッキー。いろはちゃんと川崎さんだけ、そんな約束するなんて…」
八幡 「ちょ、ちょっと待て!由比ヶ浜。まじで洒落にならな…!」
戸塚 「八幡…」
小町 「お兄ちゃん…」
八幡 「と、戸塚!小町!頼む、助け…」
戸塚 「ダメだよ、八幡。みんなの事、ちゃんと見てあげないと」
小町 「そーだよ、お兄ちゃん?ぜーんぶお兄ちゃんが招いた結果なんだから、しっかり責任取らないと、ね?」
八幡 「な…何が…どうなって…?」
陽乃 「これはねー、キミの一つの末路なんだよ。比企谷くん」
八幡 「…末…路…?」
陽乃 「怯えてる?混乱してる?…だけど、大丈夫。わたし達は、比企谷くんから何も奪わないから。ただ、与えて欲しいんだよ」
八幡 「…与え…何を…?」
城廻 「よしよし。比企谷君なら出来るよね?私達全員の目的を叶える事ぐらい、さ」
八幡 「…は…?」
いろは「大丈夫ですよー、せんぱい。せんぱいなら、きっと出来ますから」
八幡 「…無理、言うな…出来る…わけ…」
沙希 「いきなり諦めるなんて、あんたらしくないね?無理難題は、得意分野でしょ?」
雪乃 「安心して、比企谷君。時間はまだたっぷりとあるわ」
結衣 「ヒッキ―なら、絶対見つけられるよ!あたしが保障するし!」
戸塚 「うん。八幡は、何があっても最後までやり遂げる人だからね」
小町 「小町は、小町はお兄ちゃんの力を信じてるよ!うるうる」
沙希 「ほら、あんたって何だかんだ解決してるし、大丈夫でしょ?」
城廻 「やっぱり最後は比企谷君だって所、見せてくれるよねー」
いろは「せーんぱい。わたしも手伝いますから、ね?頑張りましょ!」
八幡 「はー…はー…!」
陽乃 「…キミはねー、結局大きな間違いをしていたんだよ」
八幡 「…間違、い…?」
陽乃 「わたしは誰にも指示してないし、わたし以外の誰も命令してない。一人一人が自分の意思で動いてた…同盟?協商?ううん。これは、ただの個人の集合体なんだよ」
八幡 「…あなたの、目的は…何、なん、ですか…」
陽乃 「ふふ。わたしの、とゆーより、わたし達の目的はたった一つなの。それは、全員を幸せにしてくれること。だから、期待してるよ?比企谷くん」
八幡 「…!」
小町 「さぁ、いよいよ始まりました。第二回八幡裁判。略して『はちばん』!」
八幡 「え、なにこれ?」
小町 「司会はわたし、お兄ちゃんの更生を心から願う健気な妹こと、比企谷小町が務めさせていただきまーす。みんな、やっはろー!」
全員 「やっはろー」
八幡 「それやっぱ流行ってんの?どこかの部族の…ん?」
小町 「やーやー、熱い声援ありがとうございます。では、さっそく」
八幡 「…ちょっと待て、小町」
小町 「…なーに?お兄ちゃん。小町、司会進行で今かなり忙しいんだけど」
八幡 「いや、何だか頭がぼーっとして、状況がよく分からないんだが…?」
小町 「はー?とりあえず、寝起きで頭回ってないだけじゃないの?お兄ちゃん」
八幡 「そう、なのか?…確かに、何かひどい悪夢を見ていた気がするな」
小町 「あー、それはですねー…たぶん、夢じゃないよ」
八幡 「何を言って…だ、第二回、だと…!」
小町 「たとえどうしようもないお兄ちゃんだとしても、何度も繰り返せばきっと答えに辿り着けるよね?…うん、今の小町的にちょーポイント高―い」
八幡 「嘘…だよな…?なぁ…小」
小町 「えー、では気を取り直して、さっそく今回のゲストの皆さんに登場してもらいましょう!どうぞー!」
これにて終了です。
以下無限ループ…かもしれません。
拙い文章および構成でしたが、
お付き合いいただきありがとうございました。
>149
構成は変わりましたが、オチは予定通りです。
すいません。力量不足です。
みなさんありがとうございます。
これからはもう少し終わりに重点を置いていきたいと思います。
また、新しい作品を書いたときには、
よろしくお願いいたします。
このSSまとめへのコメント
イマイチ何がしたいのかよくわからん
急に飛んだなwww
失速感ww
陽乃は平塚先生のこと静ちゃん呼び
全く面白くなかった