【オリジナル】男「死のうかなぁ」 (5)


何のために生まれたんだろう
何のために生きているんだろう


苦労して入った大学にも行かず
現実から目を背けるようゲームに没頭し
なけなしの金を稼ぐ為バイトに行く


こんな生活を送っていて俺は一体どうするんだろう



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男「いや、どうするんだろうっていうのもおかしいよな。俺自身の話なのに」

男「……」

男「独り言が普通になってきたな」


もう最近はずっとこんな感じだ
昼に起きて夕方バイトに行き帰ってきたら朝までゲーム、その繰り返し
そんな糞みたいな生活を続けているとこう思う

何のために生まれたんだろう
何のために生きているんだろう
何も産み出さず地べたを這いずるように生きてどうするんだ
何にも楽しみを見出だせずただ時を過ごすだけの日々

このまま生きるくらいならいっそのこと……

男「死のうかなぁ」


『死んでは駄目だよ』

誰だよ
なんだこの声
俺しかいないこの家で他人の声が聞こえるわけねぇ
バイト以外で人と話さないからついに幻聴まで聞こえてきやがった

『死んだら全部終わっちゃう』

うるせぇな、俺は全部終わらせてぇんだよ
この糞みたいな人生を全部

『死を選ぶのは卑怯者のすることだよ』

は?
卑怯者ってなんだよ

『自殺は一番簡単な……逃げだよ』

その言葉で俺はついにカチンときた

男「逃げ?逃げって何だよ!?俺はもう疲れたんだよ。大学行ってヘラヘラ周りに合わすのも、バイト行って糞みたいな客に頭下げるのも何もかも終わりだ!俺は今まで頑張って頑張って……でももう無理なんだよ!それなのに一番簡単な逃げって何だよ!?」

我ながら無茶苦茶だがどうだっていい
とりあえずこの声を黙らしてやりたかった

男「つーかお前誰だよさっきから!」

そういって俺は初めて、その声のする方に顔を向けた

「やぁ、やっとこっちを向いてくれたね」

そこにはニッコリと笑う少年がいた



男「は?いや、お前誰だよ。何勝手に人ん家に入ってきてんだ!盗みか?金なんかねぇよ!さっさと出てけよ!」

少年「ふふ」

俺がものすごい剣幕で詰め寄っても少年は笑うばかりだ

なんだこいつ
見たところまだ10代か?
いやそんなことはどうでもいい
とにかくこいつを追い出さないと

男「何笑ってんだよ!はやく出」

俺が言い終わるよりも先に少年が口を開いた


少年「ねぇ良かったら君の話を聞かせてよ」

男「はぁ?話って」

少年「君が死にたいと思うようになった経緯の話だよ」

そういってこいつはまた笑った



少年は柔らかな笑みを浮かべ続けている
見る者の心を落ち着かせる様な暖かな笑顔だ
その眩しさにあてられたのか、俺はさっきまでの勢いを失っていた

少年「君の話を聞きたいんだ」

少年の輝きに目を奪われていた

男「……へ、あ、いや、そんなこと言われてもな。他人に話すことじゃないし、そもそも何から話すべきかも分からんし」

俺はどうかしている
身元も分からんような怪しい奴だ
問答無用で警察に突き出すべきなのに

少年「じゃあ全部。全部を聞かせてよ、君が生まれてからの全てを」

俺はどうかしている
身元も分からんような怪しい奴の姿に言葉に、言い様の無い心地よさを感じている
そしてこう返した

男「……そうだな。じゃあ俺が覚えているところから」

俺は気づけば自分から話し出していたんだ……

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