やよい「見て見て! ゴミが人のようだよ!」
伊織「それを言うなら『人がゴミのようだ』でしょ。確かにすごい人だけど、まあ初詣なんてこんなもん…」
やよい「違うよ、伊織ちゃん」
伊織「え?」
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やよい「『初詣』っていう言葉だけに踊らされて、大した信仰心も持たず、何の神様を祀っているのかすらも知らない神社に盲目的に足を運んでいる」
やよい「そんな人達はゴミ同然の存在かなーって」
やよい「そんなゴミ同然の存在が人の形をしているのが滑稽に思えたから、その状況を揶揄して『ゴミが人のようだ』って言ったんだよ」
伊織「本当にどうしたのやよい」
伊織「はっ!」
やよい「伊織ちゃん。起きた?」
伊織「ここは……やよいの部屋?」
伊織「……ああ、そうか。今年はやよいのおうちで一緒に年越しをしたんだったわね……」
伊織「ねえ、やよい」
やよい「何? 伊織ちゃん」
伊織「……なんか、変な夢を見ていた気がするわ」
やよい「そうなの?」
伊織「ええ。やよいがやよいじゃないような……そんな夢」
やよい「何それ。変な伊織ちゃん」
伊織「……そうよね。変よね。何でもないわ。気にしないでちょうだい」
やよい「伊織ちゃん伊織ちゃん」
伊織「……そうよね……夢よね……夢なのよこれは……」
やよい「伊織ちゃんってば!」
伊織「はっ!」
やよい「大丈夫? 伊織ちゃん」
伊織「ここは……神社へ向かう参道……?」
伊織「……ああ、そうか。私はやよいと一緒に初詣に……」
やよい「伊織ちゃん、突然意識失うから驚いちゃった」
伊織「……ねえ、やよい」
やよい「何? 伊織ちゃん」
伊織「あの人混みを見て、どう思う?」
やよい「ゴミのようだね」
伊織「ごめんやよいもう一回寝るわ」
やよい「伊織ちゃん伊織ちゃん」
伊織「よっしゃあ!」
やよい「わっ。びっくりした」
伊織「やよいの家はいつ起きても最高ね」
やよい「? 伊織ちゃんまだ寝ぼけてるの?」
伊織「大丈夫よやよい。ばっちり目は覚めたわ」
やよい「そう? ならいいんだけど。早く降りてきてね。朝ごはん出来てるから」
伊織「分かったわ」
やよい「食べたら支度して、初詣行こうね」
伊織「!?」
伊織「だっ、駄目よやよい! 初詣は!」
やよい「え? 駄目って?」
伊織「あ。参道……」
やよい「もう境内着くけど……」
伊織「……ねえ、やよい」
やよい「何? 伊織ちゃん」
伊織「初詣に向かう人を揶揄しておきながら、自分も同じことをするのは矛盾してないかしら?」
やよい「自覚的に行うのと、無自覚的に行うのはまた違うかなーって」
伊織「そういうもんなの?」
やよい「うん、だって私は」
やよい「伊織ちゃんと一緒に初詣に行きたいなーって。駄目かな?」
伊織「……ばかね。駄目なわけないでしょ」
やよい「伊織ちゃん伊織ちゃん」
伊織「……うえっ?」
やよい「もうすぐ年明けだよ」
伊織「……ああ、ちょっとうとうとしちゃってたわ。こたつの破壊力はヤバいわね……」
やよい「ねえ、伊織ちゃん」
伊織「何? やよい」
やよい「明日、朝ごはん食べたら初詣に行こうね!」
伊織「ええ、いいわよ」
やよい「そして一緒に、人のようなゴミを見ようね!」
伊織「ええ、もちろ……」
伊織「…………」
伊織「…………え?」
了
ζ*’ヮ’)ζ<短いですが以上で終了になります。ありがとうございました。
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