江ノ島「さあ、苗木。この絶望にどう立ち向かうつもりかしら?」 (39)

※このssには苗ノ島のカップリングを含みます。苦手な方はご注意を



苗木「ボクは絶対に外に出てみせる。希望を手に入れてみせるんだ!」

江ノ島「いいの?外は絶望なのよ。アタシと一緒にここにいた方が絶対いいと思うけどなー」

苗木「ボクはそんな言葉には惑わされない!外が絶望だろうと希望は絶望に負けたりしない!」

江ノ島「ふーん。ならやってみなさいよ!」








江ノ島「このコタツの外に出て希望(みかん)を手にしてみなさい!」

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苗木「そもそもさ、元はといえば江ノ島さんがほとんど食べちゃったせいだよね」

江ノ島「なによ。ジャンケンで負けたの苗木じゃない」

苗木「だってボク江ノ島さんの半分も食べてないんだよ?それなのにボクが持ってくるのはやっぱり納得いかないっていうか……」

江ノ島「長期休業で実家に帰る途中で人ん家の前に倒れてたの誰だっけなー。ついでに言うとそれを助けたのは誰だっけなー」

苗木「あ、あれは滑って転んで気を失ってただけで……。たしかに助けてくれた江ノ島さんには感謝してもしきれないくらいだけどさ」

江ノ島「じゃあみかんを持ってくることくらいどうってことないじゃない。男がいつまでも言い訳ばかりしてると情けないわよ」

苗木「うっ……仕方ないか。どこにあるんだっけ?」

江ノ島「台所に置いといたはずだけど。あ、数は適当でいいからね」

苗木「うう……寒っ……。早くとってこよう」

江ノ島「頑張ってね~。あー温い温い」

江ノ島「さあ、苗木。この絶望にどう立ち向かうつもりかしら?」

苗木「希望か絶望か……ボクに残された道は一つしかない……」

江ノ島「ふふ……アタシには見えるわ、アンタが絶望の道を歩んでく姿がね!」

苗木「そんなことはない!ボクは必ず希望を選んでみせる!」

江ノ島「強がり言っちゃって。なら選んでみなさい!」








江ノ島「希望(あがり)か絶望(ジョーカー)か……アタシにババ抜きで勝てると思ってんの!」



苗木「…………」

苗木「よし、こっちだ!」

江ノ島「はいざーんねーん。次アタシの番ね」

苗木「まだだ、まだ江ノ島さんがジョーカーを引けばボクに勝機があるはず……」

江ノ島「フラグ立てごくろうさん。そんじゃこっちね」

江ノ島「……よーし、またアタシの勝ちー!」

苗木「また負けた……。これで4連敗か」

江ノ島「苗木の表情読みやすくていいわー。アンタ絶対隠し事苦手なタイプよね」

苗木「もう一回、もう一回勝負だ江ノ島さん!」

江ノ島「アタシとしては正直飽きてきたんだけど……苗木の悔しがる顔は見てて飽きないから付き合ってあげる!」

江ノ島「さあ、苗木。この絶望にどう立ち向かうつもりかしら?」

苗木「希望が手を伸ばせば届くんだ……ここで諦めてたまるものか!」

江ノ島「無理無理。アンタじゃ希望に届くなんて無理なのよ!おとなしく絶望を受け入れなさい!」

苗木「ボクは希望を信じる!キミには絶対に負けるもんか!」

江ノ島「はっ、言ってなさい」







江ノ島「このマ○オパーティはアンタの敗北で幕を閉じるのよ!」



江ノ島「苗木ー、はやくサイコロ振ってよ」

苗木「……ここだ!」ポチッ

苗木「さ、3か……」

江ノ島「ずいぶん中途半端な数出たわねー。7以上だったら勝ってたのに」

苗木「結局これもボクの負けか……。今回はいいとこいったんだけどな」

江ノ島「結構ハンデ与えたはずなんだけどね。……そろそろ飽きたし別のゲームやろっか。なんか得意なのある?」

苗木「スマ○ラくらいならボクでもできるけど」

江ノ島「いいわねス○ブラ。最近新しいの発売してたし早速準備しましょ」



江ノ島「あ、これ負けた方が勝った方になんかおごりね」

苗木「えっ」

江ノ島「さあ、苗木。この絶望にどう立ち向かうつもりかしら?」

苗木「希望は負けないんだ……!どんな状況だろうと乗り越えてみせる……!」

江ノ島「そうは言うけど手が震えてるわよ?心なしか目の前の希望もぐらついてるように見えるけど」

苗木「ぐっ……!それでもボクはキミを打ち負かしてみせる!」

江ノ島「無理だって。目の前の状況見て言えんの?」







江ノ島「アンタの目の前のジェ○ガは今にも崩れそうじゃない!」



苗木「ここなら……ここなら取れるはず……」プルプル

江ノ島「手震えてるよー、崩れちゃうよー、きゃーこわーい(棒)」

苗木「お、落ち着けボク……」プルプル


ガラガラガラ……


江ノ島「はい倒したー。苗木の負けー」

苗木「ずいぶん派手にやっちゃったな……コタツの外にまで出てるよ」

江ノ島「負けた人回収よろしくねー」

苗木「またコタツから出なきゃいけないのか……」

江ノ島「机の上はアタシが集めといてあげるから頑張ってね。これ意外と無くしやすいからしっかり探すのよ」

苗木「はい……」

江ノ島「さあ、苗木。この絶望にどう立ち向かうつもりかしら?」

苗木「そんな……嘘だ!この中に裏切り者がいるなんて!」

江ノ島「悲しいわよね。さすがの苗木も裏切り者の存在には絶望するしかないわよねー」

苗木「……例え裏切り者だろうとボクは受け入れてみせる。ボクは信じているから!」

江ノ島「受け入れる?信じる?甘いこと言わないでよ」







江ノ島「この『盾子ちゃん特製ロシアンルーレットシュークリーム(6個入り)』は超激辛なんだから!」



苗木「これ江ノ島さんにかなり有利だよね」

江ノ島「そんなことないわよ、アタシ目つぶって中身いれたから。匂いも消したしアタシもどこに入ってんのか分かんない」

苗木「本当なの?」

江ノ島「疑り深いわね、さっさと食べなさいよ!せっかく苗木のために作ったんだから」

苗木「こんな形で作ってほしくなかったな……。いただきます」パクッ

苗木「ん、美味しい!」モグモグ

江ノ島「でしょでしょ。んじゃアタシも一つ」パクッ

江ノ島「うんうん。やっぱアタシって天才だわ」モグモグ

苗木「それじゃ怖いけどもう一つ」パクッ

苗木「こんな状況じゃなければもう少しゆっくり味を楽しめたんだけどな……」モグモグ

江ノ島「ど・れ・に・し・よ・これでいいや」パクッ

江ノ島「残るなあと二つ……面白くなってきたじゃない!」

苗木「一応聞くけどハズレはどんな材料を使ったの?」

江ノ島「まずタバスコをぶちこみます」

苗木「ごめんなさいもういいです」

江ノ島「えー、これから聞いてるだけで汗が止まらなくなるような絶望的な話をしてあげようと思ったのに」

苗木「ますます食べるのが嫌になってきたよ……」

江ノ島「ここまで来たら後戻りはできないわよ。まあ断らせる気もないんだけど」

苗木「さて、どっちを食べるか……」

江ノ島「苗木、最後に言い残したことある?」

苗木「そんなにひどいの!?」

江ノ島「ジョークジョーク。苗木ってばホント面白いわね」

苗木「からかわないでよ……。よし、これに決めた!」

江ノ島「後悔しないでよ。さあ、一思いに食べちゃいなさい!そして絶望しろ!」

苗木「…………」モグモグ

苗木「…………!」

苗木「え、江ノ島さん……」



苗木「ボクの……勝ちみたいだ」


江ノ島「あちゃー。まさか苗木に負けちゃうなんて……自分でもびっくり」

江ノ島「まあ負けは負けだし最後の一つをいただくとしますか」

苗木「いや、別に無理して食べる必要はないんだけど」

江ノ島「バカね、食べないんだったら最初から用意しないっつーの」

江ノ島「自分で用意したゲームに負けて罰ゲームを味わうなんて超絶望的よね!しかも苗木相手ならなおさら!」

江ノ島「この絶望はアタシにとって超絶美味なのよおおおおおぉぉぉぉっ!」パクッ




江ノ島「~~~~~~~~っ!!?!!」




苗木(その後の江ノ島さんはなんというか……凄い惨状だった)

苗木(見ているこっちまで汗が出てくるほどだった)

苗木(彼女は5分……10分だろうか。その間一切喋ることは無かった)

苗木(ただ、凄く楽しそうだったということだけは分かった)

江ノ島「さあ、苗木。この絶望にどう立ち向かうつもりかしら?」

苗木「ボクは……どうすればいいんだ!ここまで来て希望が失われていくなんて!」

江ノ島「アンタには待つことしかできないの。自らが絶望に蝕まれていくそのザマをね……」

苗木「まだだ……まだ手はある!こうなったらボク一人でも絶望の中を駆け抜けて……」

江ノ島「やめときなさい、苗木」







江ノ島「この吹雪の中家に帰るのはさすがに無謀だと思うけど」

苗木「だよね……」



苗木「まいったな……明日の朝までずっと降ってるのか」

江ノ島「せっかくだしウチに泊まっていきなさいよ!うん、それがいい!」

苗木「でも悪いよ。助けてもらった上に泊めてもらうなんて」

江ノ島「遠慮しなくていいから!明日早いわけでもないんでしょ」

苗木「でも若い男女が一つ屋根の下で過ごすのはさすがにどうかと……」

江ノ島「そんな石丸みたいなこと言わない。それとも苗木はアタシの家に泊まるのは嫌なの?」

苗木「い、嫌なわけないじゃないか!むしろこんな機会なんてめったに無いんだからついてるぐらいだ!」

江ノ島「じゃあ決まりね」

苗木「ハッ、しまった!つい本音が……」

江ノ島「うぷぷ……苗木クンも男の子だなあ……っとゴメンちょっと電話」

江ノ島「なんか用?」

江ノ島「はあ?吹雪で家に帰れない?」

江ノ島「知るか。その辺のホテルで一晩過ごせばいいじゃない」

江ノ島「え、それだとアタシの顔が見れなくて寂しい?気持ち悪いです絶望的に。そんな言葉を恥ずかし気もなく言えるなんて本当に残念だよねアンタ」

苗木「あ、電話の相手戦刃さん?」

江ノ島「苗木の声がする?幻聴まで聞こえるなんて本当に残念なお姉ちゃん略して残姉だよねー。苗木なんているわけないでしょ。現実と鏡見ろ」

江ノ島「んじゃそういうことで」

苗木「江ノ島さん、ボクがいないってどういう……」

江ノ島「アタシお茶入れてくるから!苗木はゆっくりしてってねー」


江ノ島(残姉に苗木がいるって言ったら物凄い勢いで戻ってくるだろうしここで足止めしとかなきゃね)

江ノ島(苗木との二人きりの時間を邪魔されてたまるものか!)

江ノ島「さささささあ苗木ぃ……。こここの絶望にどどどう立ち向かうつもりかしら……」ガタガタ

苗木「ボボボクはあああ諦めないぞ……こここの絶望を乗り切ってみせ……へっくし!」

江ノ島「だ、駄目駄目じゃないの……きき希望なんてやっぱりまやかし……ひくちっ!」

苗木「あ、意外とかわいいくしゃみ」

江ノ島「う、うっさい!」







江ノ島「つか何よコレ!?なんで停電なんか起きんの!?絶望的に寒っ!」



苗木「ラジオだと一時的なものだって言ってたけど……」

江ノ島「あーもう、電気コタツだからすっかり寒くなっちゃったじゃない。苗木、なんか温まる方法ない?つかどこにいんの?」

苗木「ボクはずっと目の前にいるんだけど……。えーと、こういう時は人肌で温めあう……とか?」

江ノ島「……アンタそれマジで言ってんの?」

苗木「えっ、も、もちろん冗談だよ!決して他の方法が浮かんでないわけではなくて……」

江ノ島「はあ……。いいわ、隣来なさいよ」

苗木「えっ?と、隣?」

江ノ島「早くしてよ。アタシだって寒いんだから」

苗木「えっとじゃあ……失礼します」

江ノ島「……今回だけよ」

苗木「はは……ありがとう。早く電気戻るといいね」

江ノ島「そうね」



江ノ島(でも、今はもう少し停電でもいいかもね)

江ノ島(苗木の体、温かい……)

江ノ島「さあ、苗木。この絶望にどう立ち向かうつもりかしら?」

苗木「……目の前にあるのが希望か絶望か、それすら分からなくなってきたよ」

江ノ島「あれあれあれ?苗木もいよいよ絶望に屈する時が来たのかな~?」

苗木「…………」

苗木「江ノ島さん」







苗木「なんでこんな大量に夕飯作ったの!?」

江ノ島「ごめん、ちょっと張り切りすぎちゃった♪」



江ノ島「そもそも苗木が『江ノ島さんの料理って口からビーム出すほど美味しいよね。これならいくらでも食べれちゃうよ!』って言うから」

苗木「そこまで大げさに言ってないよ!それでもここまで多いとは思ってなかったけどさ」

江ノ島「うーん。お姉ちゃんなら余裕でたいらげちゃうんだけどなー」

苗木「ボクの胃袋を戦刃さんと同等に見ないでよ……。なんていうか江ノ島さんって完璧に見えてたまに抜けてるところあるよね」

江ノ島「なっ、今の言葉は聞き捨てならないわね。あえて不完全を作ることでそこを破られた時の敗北感ともっと完璧にすれば良かったという後悔の念から絶望を味わうことができ……」

苗木「でも、そんなところも魅力に変えちゃうなんてさすが江ノ島さんだよね!」

江ノ島「…………」

江ノ島「なんか真面目に語ったアタシが馬鹿みたいじゃないの!あーもう絶望的!おかわり盛ってやるー!」

苗木「ちょっ、江ノ島さん!?ボクもう食べられないんだけど!?」

苗木「な、なんとか食べきったぞ……」

江ノ島「お疲れ様ー。デザートでも作ってきてあげよっか?」

苗木「遠慮しておくよ……。また辛いものを入れられたらたまらないからね」

江ノ島「チッ、面白くない。……というのは冗談でそんな泣きっ面に肘打ち込むような真似はしないから安心しなさい」

苗木「そ、そう?それならお願いしようかな」

江ノ島「オッケー。とびっきり美味しいの作ってあげる!っとその前に皿洗わなきゃ」

苗木「手伝おっか?さすがに任せきりも悪いしね」

江ノ島「いいのいいの。アンタは一応来客扱いなんだから」

苗木「でも、ボクにもなんかできることが……」

江ノ島「だったらゆっくりしてて。それがアンタにできることよ」

苗木「分かったよ……。それにしても江ノ島さんは本当にすごいよね。料理も家事もこなせるんだもの」

江ノ島「当然よ。アタシは完璧なんだから」

苗木「江ノ島さんとなら結婚後の生活も不自由なさそうだよね。キミと結婚できる人はきっと幸せになれるだろうな」

江ノ島(幸せね……。自分で言うのもなんだけどこの性格についてこれるヤツってほとんどいないのよね)

江ノ島(でも仮によ、仮にアタシが結婚するとしたら相手は……)チラッ

江ノ島「苗木、幸せをつかむ方法って意外と近くにあるらしいわよ」

苗木「え?」

江ノ島「じゃ、そういうことで」

苗木「???」

江ノ島「な・え・ぎ・くーん。この絶望にどう立ち向かうつ・も・り?」

苗木「ごめん、いやごめんなさい」

江ノ島「らしくないわねー。いつもなら『希望を信じる!』とか『絶望には負けない!』とか言ってるくせに」

苗木「偶然なんだ!不可抗力なんだ!運が悪かっただけなんだ!」

江ノ島「いやー、そうは言ってくれるけどね」







江ノ島「アンタがアタシの裸を見た事実には変わりないんだよねー」

苗木「ち、違うんだって!決して裸は見てない!」



江ノ島「じゃあなんで風呂場に入ってきたのよ。やっぱりアタシの体が目当てだったんでしょ!」

苗木「そんな誤解を招くような言い方はやめてよ!それにお風呂場に入ってきたのは単に部屋を間違えただけなんだって!」

江ノ島「アンタってホントに無駄なとこに運使うよね。扉を開けたら裸の女の子が!なんて展開漫画でしか見たことないんだけど」

苗木「それはボクも同じだって。まさか自分が遭遇するとは思ってなかったけどさ。その後の江ノ島さんの悲鳴も漫画に出てきた子そっくりで……」

江ノ島「苗木、そのことは忘れなさい。さもなくば機械でアンタの記憶を無理やり削らなきゃいけなくなるから」

苗木「い、いい今すぐ忘れます!」

江ノ島「ったく絶望的ね。苗木の前であんな失態をさらすなんて……」

苗木「ところでボクはいつまで正座してればいいの?」

江ノ島「ああ、もう飽きたから自由にしていいわよ」

苗木「そ、そう……。でもさすがにお風呂場に入ったことは謝っておくよ。偶然とはいえこっちに非があるわけだし」

江ノ島「別にそんなことしなくてもいいのに。あ、それなら一つ相談にのってくんない?」

苗木「相談?」

江ノ島「……苗木はさ、アタシの見た目についてどう思う?」

苗木「ええっ!?何を急に……」

江ノ島「アタシって読者モデルとかやってるけどさ、たまになんかこう……自分の見た目に納得いかない時があるのよ。苗木、ちょっとアンタの意見を聞かせてくれない?こんなことアンタにしか相談できないしさ」

苗木「江ノ島さん……」

苗木「でもキミは自分で言う通り完璧な人間じゃないか。顔立ちも整ってるしスタイルもいい。メイクの技術だってある。キミは自分を魅せる技術を持っている。落ち込むことなんてないよ!」

江ノ島「うーん。そういう美人だとかスタイル抜群とかを飽きるほど聞いたからさ、もっと細かい点が欲しいんだけど」

苗木「そう、だな……肌が白いとか?」

江ノ島「もっと無いの?」

苗木「力がある割には筋肉質じゃないとか?」

江ノ島「もっと!」

苗木「えっと……メイク落としても綺麗なまま!」

江ノ島「もっともっと!」

苗木「えー……じゃあ、脱ぐとすごい!」

江ノ島「なるほどなるほど……。それで苗木、その情報はどこで知ったの」

苗木「そりゃもちろんさっき……あっ」

苗木「ま、まさか江ノ島さんボクを嵌めたんじゃ……!」

江ノ島「当たり前でしょ。アタシのこのパーフェクトなボディに悩みなんてあるわけないじゃない!」

江ノ島「苗木……アンタしっかり見てんじゃねーかこのヘンタイ!」

江ノ島「さあ、苗木。アンタはこの絶望に立ち向かえるかしら!」

苗木「ボクには明日がある。未来があるんだ!ここで足を止めず未来に向かって歩いてみせる!」

江ノ島「希望だけに明日があると思うな!いつか全てが絶望に飲まれる……そんな明日が来るかもしれないのに歩み続けるっていうの!」

苗木「ボクはもう迷わない!希望は前に進むんだ!」

江ノ島「なん……なの……?」

江ノ島「‘‘あんた''なんなのよぉぉおおおおッ!?」







苗木「……疲れたしもう電気消していい?」

江ノ島「いいよ」



苗木「それにしても……二人で一つのベッドでいいの?ボクなら床でもいいのに」

江ノ島「一応来客だし粗末な扱いはできないでしょ。床で寝させるなんてできないって」

苗木「だったら戦刃さんの部屋でもよかったのに」

江ノ島「あー、あそこはやめた方がいい。ミリタリーグッズばっかで足の踏み場ないし、レーションのにおいするしでとにかくきついから」

苗木「そ、そうなんだ……。戦刃さんは掃除とかしないの?」

江ノ島「させると余計ひどくなんのよ。満足に掃除もできないんだからホント残念なやつ。毎回アタシが掃除してやってんだから」

苗木「なんだかんだ言って江ノ島さんも戦刃さんには優しいんだね」

江ノ島「と思うじゃん?あの子アタシの私物を自分の部屋でなくすのよ!徹夜で探させても見つからないし結局アタシが掃除すんの!ああ思い出しただけで絶望的!」

苗木「一人で二人分の家事か、大変そうだね」

江ノ島「大変そうじゃなくて大変なの。苗木でよければ手伝ってくんない?今手伝ってくれれば三食添い寝付きの超優良物件にしてあげるからさ!」

苗木「ボクでよければ別にいいけど」

江ノ島「なーんて、苗木にも生活があるし……え、マジで?」

苗木「江ノ島さんの力になれるなら喜んで手伝うよ。と言っても時間は限られるけどね」

江ノ島「苗木……」

江ノ島「今しているのにまだ足りないなんて、よほど添い寝に飢えているのね」

苗木「それは違うよ!」

江ノ島「冗談だって。でもホントに頼んじゃっていいわけ?アンタだって家族との時間は大事にしたいでしょ」

苗木「大丈夫、時間は作るさ。それに他人を助けることにボクの家族は誰も反対はしないと思うからね」

江ノ島「そっか……。うん、それならしっかりやってもらうわよ。アタシの家事スキルについていけるよう頑張ってね」

苗木「それはちょっと難しいな……。あ、都合のいい時間があったら連絡してもらえないかな」

江ノ島「オッケー。苗木が来てくれるならアタシも料理に腕振るわなきゃね!」

苗木「江ノ島さんの料理が食べられるなら毎日通うのもいいかもね」

江ノ島「毎日か……。苗木、その言葉忘れないでよ」

苗木「あ、いや、今のはちょっとした願望みたいなもので……。そりゃ出来ればそうしたいけど無理っていうか……」

江ノ島「あはは!分かってるって!」



江ノ島(苗木がアタシの家に来てくれるんだ……。この状況って通い妻ならぬ通い夫ってやつ?)

江ノ島(いやそもそもまだ結婚してないし。何考えてんだアタシ)

江ノ島(いやいや‘‘まだ''って何よ!?まるでいつかするみたいじゃない!)

江ノ島(付き合ってすらないし向こうもアタシのこと意識してるかどうかも分かんないっつーのに)

江ノ島(……裸見られたり一緒のベッドで寝てたりしてるけどさ。なんか順番違くない?)

江ノ島(あー駄目だ、考えたらキリがない。思考停止思考停止……)


苗木(江ノ島さん急に静かになったけど寝ちゃったのかな?)

江ノ島「さあ、苗木。この絶望にどう立ち向かうつもりかしら?」

苗木「ボクだって幾度も絶望を味わってきたんだ!今更この程度、痛くもかゆくもない!」

江ノ島「その言葉とっても絶望的!そういうポジティブなセリフ、アタシの心にぐさぐさっと来るんですけどー」

苗木「今ボクにある道は前に進むこと。希望を信じて外へ出て行くだけだ!」

江ノ島「ふん、忘れないことね。絶望がいつアンタの体を痛みで襲ってもおかしくないってことを!」







江ノ島「まあその原因である腰の痛みを作ったのアタシなんだけどね!」



苗木「まさか朝から蹴飛ばされるとは……」

江ノ島「ゴメンゴメン。アタシってば寝相が悪かったみたい。床で寝させないって言ったのに結局床で寝ちゃったよね……」

苗木「いいよ、ボクは気にしてないから。むしろ江ノ島さんが広いスペースで寝れて良かったよ」

江ノ島「……苗木って自分のこと全然気にしないよね。たまにマゾみたいな発言するし」

苗木「キミにだけは言われたくないよ!」

江ノ島「そんなことより準備はできたの?今日帰るんでしょ」

苗木「っと、そうだった。両親に連絡しとかないと……って携帯の電池がない!なんでこんな時に……」

苗木「江ノ島さん、悪いけど充電器か固定電話貸してくれないかな……」

江ノ島「んー?電話なら玄関の近くにあるからテキトーに使って」

苗木「あ、ありがとう!」ダッ

江ノ島「ホント、苗木ってば運ないわよね」


江ノ島(今朝苗木がベッドから落ちた本当の理由……)

江ノ島(目を開けたらアイツの顔があったからびっくりして思わず蹴飛ばした……)

江ノ島(面と向かってそんなこと言えるわけないでしょ)

江ノ島(でもせめてベッドの上に戻しておいた方がよかったかな……)

江ノ島(なんにせよゴメン、苗木)

苗木「改めて昨日はありがとう、江ノ島さん」

江ノ島「当然のことをしたまでよ。それにアタシも楽しかったし」

苗木「また次に会える日を楽しみにしているよ。次はキミの力になれるといいな」

江ノ島「苗木なら足を引っ張ることはないでしょ。男子の中でも家事はできる方だし」

苗木「そう言ってもらえるとやる気がでるよ。……いつかボクも江ノ島さんの隣に立って一緒に料理できる日が来るといいな」

江ノ島「な、なによ急に。それってまるでアタシと一緒に住みたいって言ってるような……」


苗木「この休み中にね!」


江ノ島「…………」

苗木「あれ、どうしたの。なんかすごく険しい顔してるけど」

江ノ島「ちょっと絶望を感じてるだけよ、気にしないで」

苗木「そ、そうなんだ」

苗木「さてと、ボクはそろそろ行くよ」

江ノ島「約束、忘れないでよ」

苗木「もちろん分かってるさ。それじゃ、さよなら!」タッタッタッ

江ノ島「バイバーイ!」

江ノ島(……苗木が帰っちゃう)

江ノ島(また会えるのに、すぐ会えるはずなのにすごく寂しい)

江ノ島(今、伝えた方がいいのかな……この想いを)

江ノ島「苗木ー!」ダッ

苗木「ど、どうしたの江ノ島さん。ボク、なんか忘れ物でもしちゃったかな」

江ノ島「アタシ、苗木に伝えたいことがあるの」

苗木「伝えたいこと?」

江ノ島「…………」

江ノ島「……その、さ。苗木、アタシは……」

江ノ島「アタシは……アタシはアンタの……」





江ノ島「アンタの家に行きたいの!」





苗木「へ?ボクの……家?」

江ノ島「あっ」

苗木「なんだ、そんなことだったのか。それならもちろん構わないよ!」

苗木「そうだよね、ボクばかり来るんじゃなくて江ノ島さんも行きたかったはずなんだ。どうしてそこまで気が回らなかったんだろう」

江ノ島「いや、違っ、そうじゃないんだって!」

苗木「あ、行きたかったのは戦刃さんの方だったかな?なんにせよ、いつでも連絡してよ!ボクも家族も大歓迎さ!」

江ノ島「違うのはそこじゃねーよ!だからアタシは……」

苗木「あっ、いけない。もう急がないと電車に遅れちゃう!それじゃ今度こそさよなら!」ダッ

江ノ島「ちょっ、おいコラ苗木ー!人の話聞きなさいよー!」



江ノ島「ったく結局伝えられなかったじゃないの……。絶望的ね」

江ノ島「あーもうムカつく!こうなったら苗木のやつを徹底的にこき使ってやる!」

江ノ島「そしてアタシの凄さをアイツに教えてやらなきゃ!そうすればアイツも少しはアタシに興味を持ってくれるはず……」

江ノ島「そんでいつかは本当にアイツはアタシの隣で……」

江ノ島「そうと決まれば早速苗木をこきつかうための絶望的メニューを考えなきゃ!」





江ノ島「さあ、苗木。この絶望にどう立ち向かうつもりかしら!」





以上です
久々に苗ノ島書けて満足しました
今月はシスターズの誕生日だしそれをネタにした苗木との絡みを書ければいいなと思ってます



最後にここまで読んでいただいた読者の皆様に感謝を
ありがとうございます

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2015年03月15日 (日) 04:04:27   ID: RyoJ_6mL

コメディー的な感じで面白かった、
期待作

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