士郎「なんでさ」アーチャー「知るか」2 (210)
2スレ目
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「チ、やはりそう簡単にはいく筈もないか―――」
赤い外套を身に纏う。
手の込んだ投影をしている暇はない。
となれば必然、この手に握るべきは最も信頼を置く使い慣れた二振りに他ならない。
巨人が起動するより前に、まずは撃鉄を打ち下ろす―――!
『おい待て、アーチャー!あの子が本当に切嗣の―――!?』
「な―――馬鹿が!こんなタイミングで顔を出すな!!」
―――瞬間、暴風が巻き起こった。
「■■■■■■■――――!!!!」
「っ、―――投影(トレース)、」
光の速度で飛来した斧剣がエミヤシロウの身体を引き裂きにかかる。
未だ彼の武装は赤原礼装のみ、徒手空拳。
「開始(オン)―――!!」
「衛宮くん――――!!」
悲鳴にも似た誰かの叫びが夜の空気を切り裂く。
だが、それよりも早く。
もう一陣の疾風が、未だカタチを成さぬ双剣を構えたアーチャーの側を駆け抜けていった。
「風王鉄槌(ストライク・エア)―――――!!」
「な……ッ!?」
「■■■■―――――!!!」
凛とした声と共に放たれた風の束。
Cランク相当の攻撃ではあったが、そのあまりの風圧に巨人の脚が止まる。
「はああ―――――ッ!!」
その隙にすかさず斬り掛かったのは、眩い銀色の鎧をその身に纏った騎士の王。
「セイバー!」
「離れてくださいアーチャー!貴方が接近戦でこれに対抗するのは不可能だ、後方支援を!」
「邪魔が入ったわね。バーサーカー、そいつ潰しちゃって」
命令とほぼ同時、目前の少女を叩き潰さんと地を滑る斧剣。―――しかし、
「っ―――!」
ぎぃん、と重い音を響かせて大剣が阻まれる。
「ぐっ……、この重み、流石はギリシャの大英雄といったところ……でしょうか」
歯を喰いしばり、聖剣で巨人の突進を真っ向から受け止めていたのはセイバー。
凛がマスターであることで、私の知っている彼女よりもステータスも上がっているようだ。
やや圧されてはいるものの、その細腕でヘラクレスと拮抗している。
「バーサーカーの真名を看破した……?いいえ。その言い方、予め知っていたようね」
「手を出すなと言っただろうセイバー!これはオレの戦いだ!オレがやり遂げなければならない……!」
「駄目よ、アーチャー。貴方のステータスじゃあのバーサーカーに太刀打ちできないわ」
背後からの声。
セイバーより一足遅れて駆けつけたのは、当然彼女のマスターである―――
「凛―――!」
「ちょっと、どうなってるのよアーチャー。彼女どう見ても衛宮君より年下じゃない」
「……彼女は調整された半ホムンクルスなんだ」
イリヤスフィール。
生前、オレはイリヤを守りきることが出来なかった。
その責務を果たす為だけに隅々まで調整された小聖杯。
それ故短命と定められていた彼女を、オレは救うことが出来なかった。
「―――驚いた。単純な能力だけならセイバー以上じゃない、アレ」
「凛、セイバーを退かせてくれ。ここは私が戦う」
「馬鹿言ってんじゃないわよ。自殺する気?弓使いならセイバーの言う通り後方支援を―――「ならば、剣を使えばいいのだろう」
「……は?」
「―――私の得物は弓だけではない。そして、何もアレに対抗する手段が聖剣だけというわけでもない」
未熟者の声を圧殺し、既に用意していた干将莫邪にカタチを与える。
今回はサポートではない。近距離からバーサーカーと張り合う為には必要なのは弓ではなく強固な剣。
「何度だって言う。イリヤはオレの家族だ。だから絶対に殺さないし、殺されてなんかやらない」
「―――――I am the bone of my sword.(身体は剣で出来ている。)」
「んな―――」
夫婦剣を更に強化。翼のような刀身を放ち、双方向からバーサーカーを挟撃する。
「―――驚いた。本当に馬鹿なのね、お兄ちゃん」
返されたのは、呆れたような声。
「私のバーサーカーは最強なんだから。後悔する間もなく死ぬと良いわ」
そしてそれは過信などではなく、厳然たる事実。
「バーサーカー!」
「■■■■■■―――!!!!」
主の声に応えるように巨人の上げた一層の雄叫び。
危険視するだけの力を持った武装だと理解したのだろう。飛来する双剣にバーサーカーが反応した。
二方向の攻撃に同時に対応することは不可能。
だが侮るなかれ。ならばと灰色の従者は渾身の一振りを以って全てを薙ぎ払うことにした。
常人では有り得ない速さを以って、その獲物を振り抜こうとするギリシアの大英雄。
―――打ち落とされる。その二秒後の光景を幻視した。―――ならば、
「離れろ、セイバー!」
「っ!く――――」
後退するセイバーをそのままに、迎撃態勢をとったその剛腕が唸りを上げる。そこへ、
「―――『壊れた幻想(ブロークン・ファンタズム)』」
「な……!?」
斧剣に触れた瞬間、それを弾き飛ばすように陽剣干将が炸裂した。
「■■■■■――――!!」
「バーサーカー!!」
バーサーカーの咆哮にイリヤが驚愕の声を上げる。
「――――まだもう一つ残っているぞ」
「!?バーサーカー、その剣を……!」
「■■■■――――!!」
イリヤが指示を出すがもう遅い。
狂戦士の脇腹に突き刺さった莫邪。ソレに秘められた魔力を躊躇なく爆発させた。
とりあえずここまで
>>130のレス見てhtml依頼必要なこと知ったんだろうな
>>145
それは知っておりました
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