男「幽霊が服着てるのっておかしくないか?」 (48)

女「なんですかいきなり?」

男「死んだらその身体が幽霊化するのはまあ分かるけどさ」

女「はぁ」

男「身に付けてた布も幽霊化するのっておかしくないか?」

女「まあ確かに」

男「アニメとか漫画で昔から不思議だったんだよな」

女「幽霊自体はおかしくないんですかね」

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男「・・・え?だってお前幽霊なんだろ?」

女「さっき話した通り、この部屋で自殺した自縛霊ですね」

男「俺今日からこの部屋に住むんだけど」

女「それはそれはご愁傷様です」

男「幽霊に言われるとは一本取られたな、ハッハッハ」

女「適応力高すぎませんかあなた」

男「で、服の話だけどさ」

女「続けるんですかその話」

男「気になって仕方ないんだ」

女「・・・着ていませんよ」

男「は?」

女「あなたの言うとおり、普通の幽霊はみんな裸です」

男「いやお前は服着てるじゃないか」

女「これはただ生前に着ていた服を着ているだけです」

男「・・・ん?」

女「霊体がこの世の服を着ているだけですね」

男「言ってる意味が分からない」

女「普通の人が見たら何もない空間に服だけ浮いて見えてるってことです」

男「ちょっと待って」

女「はい?」

男「幽霊って、ものに触れるのか?」

女「霊感無い人には見えないだけでそこに存在していますからね」

男「それってどっちかというと幽霊より透明人間じゃないか」

女「透明人間なんて非科学的なものいるわけないじゃないですか」

男「幽霊が何言ってんだ」

男「・・・俺って別に霊感強くないと思うんだけど」

女「あなたの霊感はとても強いですよ」

男「今まで一度も幽霊なんて見たこと無いし」

女「たまたまですよ」

男「いやでも一度もというのは流石に

女「たまたまです」

男「・・・そうかな」

女「そうです」

男「そうか、俺って実は霊感強かったんだな」

女「はい」

男「まあじゃあこれからよろしくな」

女「・・・いいんですか?」

男「何がだ?」

女「勝手にこの部屋に住んでいいんですか?」

男「別の場所に行けるのか?」

女「自縛霊なので部屋からは出られませんね」

男「ならいいや」

女「・・・では、お世話になります」

男「おう」

男「おっと、もうこんな時間か。昼は出前でも取ろう」

女「私うどんが良いです」

男「ちょっと待って」

女「はい?」

男「幽霊ってご飯食べるのか?」

女「霊感無い人には見えないだけでそこに存在していますからね」

男「さっき聞いた」

女「幽霊のイメージなんて見たことない人たちのただの想像ですから」

男「確かに足もあるし宙に浮いてもいないな」

女「お金はちゃんと後で払いますよ」

男「幽霊がお金持ってるのか」

女「バイト探します」

男「幽霊もバイトする時代か」

女「内職をしましょう。自縛霊の天職ですよきっと」

男「確かに」

男「よし、うどんは頼んでおいたぞ」

女「では少し待ちましょうか」

男「思ったんだけどさ」

女「はい?」

男「この部屋借りるときに自殺者の話なんて出なかったんだけど」

女「きっと内緒にされたんですよ」

男「そうかなあ」

女「・・・違う部屋の方が良かったですか?」

男「一人ってのも寂しいから逆に良いさ」

女「なら良いじゃないですか」

男「そう・・・かな?」

女「ごちそうさまでした」

男「ごちそうさまでした」

女「お腹いっぱいです」

男「もしずっと何も食べないでいたらどうなるんだ?」

女「長い間もちますけど最終的には餓死します」

男「もう死んでるじゃないか」

女「死ぬことが出来ず餓死の苦しみがずっと続きます」

男「幽霊って怖いな」

女「成仏できれば良いんですけどね」

男「どうやったら成仏できるんだ?」

女「この世に未練が無くなったらですよ」

男「未練があるのか」

女「それはまあ」

男「聞いてもいいのか?」

女「・・・お嫁さんになることです」

男「・・・誰の?」

女「誰のとかは無いんですけどね」

男「でもこの部屋から出られないんだよな」

女「自縛霊ですからね」

男「じゃあ成仏はかなり難しいってことじゃないか」

女「方法は無いことはないと思いますけど」

男「どんな?」

女「・・・やっぱり何でもないです」

男「じゃあちょっとバイトに行ってくるな」

女「バイトしてるんですか」

男「大学の学費のためにな」

女「もうお昼過ぎですよ?」

男「今日のシフトは午後からなんだ」

女「寂しくなりますね」

男「欲しいものあったら帰りに何か買ってくるか?」

女「プリンとアイスと杏仁豆腐で」

男「プリン買ってくる」

女「わーい」

男「ただいま」

女「おかえりなさい」

男「何やってるんだ?」

女「カレーを作ってます」

男「幽霊すごいな」

女「もっと褒めてもいいんですよ」

男「えらいえらい。はいプリン」

女「流石です」

男「でもカレーの材料なんてあったか?」

女「何かあなたのお母さんらしき人から色々仕送りが届いてましたよ」

男「そうなのか。・・・よく受け取れたな」

女「宅配のお兄さんも霊感あったみたいで良かったです」

男「そんな馬鹿な」

女「バスタオルとか歯ブラシとかも入ってましたよ」

男「それは既に買っちゃってるなあ」

女「じゃあ私が使ってもいいですか?」

男「幽霊でもやっぱりシャワー浴びたり歯みがいたりするのか」

女「霊感無い人には見えないだけで以下略」

男「もう驚かなくなってきたな」

男「うん、美味い」

女「普通のカレーですよ」

男「料理なんてほとんど作らないからな」

女「・・・これからは私が作りましょうか?」

男「良いのか?」

女「どうせ部屋から出られませんからね。内職ってことにしましょう」

男「天職ってか」

女「永久就職でもいいですよ」

男「それじゃお嫁さんみたいだな」

女「」

男「何でもないです」

男「ごちそうさまでした」

女「ごちそうさまでした」

男「シャワー浴びてきたらどうだ?」

女「いかがわしいことはしないでくださいよ」

男「せんわ」

女「しかし着替えの服がありません」

男「ああ、それだけどなお前にプレゼントがあるんだ」

女「私にプレゼント・・・ですか?」

男「えっと、これだ」

女「ジャージ・・・ですか?」

男「動きやすい服が良いと思ってな」

女「なんか・・・なんかですねあなたは」

男「変だったか?」

女「いえ、ありがとうございます。とても嬉しいですよ」

男「そうか、良かった。じゃあさっぱりしてこい」

女「はい」

女「(替えの下着どうしよう・・・)」

男「そろそろ寝るか」

女「そうですね」

男「幽霊って寝るのか?」

女「寝ますね」

男「やはりか」

女「場所はどこでも良いので適当に横になってますよ」

男「布団使えばいいじゃないか。俺はどこで寝ても大丈夫だ」

女「家主が何言ってるんですか」

男「お前も家主みたいなものだろう」

女「私はただの居候ですよ」

男「自縛霊じゃなかったか」

女「そうでした」

女「それでは同じ布団を使いましょう」

男「何言ってるんだ」

女「さっきいかがわしいことはしないって言ってました」

男「そうだな」

女「お互い逆向いて寝れば大丈夫でしょう」

男「大丈夫なのか」

女「なんなら金縛りしましょうか?」

男「そういえばお前幽霊だったな」

女「ではおやすみなさい」

男「ああ、おやすみ」











女「・・・起きてます?」

男「ああ」

女「聞きたいことがあるんじゃないですか?」

男「分かるのか」

女「私エスパーですから」

男「ゴーストだろお前は」

女「エスパー・ゴーストタイプなんですよ」

男「・・・」

男「聞いてもいいのか?」

女「どうぞ」

男「なんで幽霊だなんて嘘をついてるんだ?」

女「そんなの、あなたが指摘してくれないからに決まってるじゃないですか」

男「そうだったのか」

女「普通初対面で幽霊なんて言われて信じませんよ」

男「それ自体は信じたんだけどな」

女「信じちゃったんですか」

男「初めて幽霊に会えてテンション上がってたんだ」

女「じゃあいつ私が幽霊じゃないと思ったんですか?」

男「いや、幽霊が服着てるのっておかしくないか?と思ってな」

女「・・・はい?」

男「俺が来るまでこの部屋のものは全部撤去されてただろ?」

女「はぁ」

男「お前は自縛霊だから部屋から出れないって言ってただろ?」

女「まあ出まかせですけどね」

男「なら最初に着てた服はどこから持ってきたんだろうと思ったんだ」

女「そんな細かいこと考えてたんですか」

男「だからもしかして幽霊じゃないのかなーと」

女「幽霊が宅配受け取るとことか、他にもっと変なとこはあったでしょう」

男「宅配のお兄さんは?」

女「一般人です」

男「しかし幽霊じゃないならなんでこんなことしたんだ?」

女「・・・一目惚れです」

男「は?」

女「一目惚れですよ悪いですか」

男「何を言ってるんだ」

女「あなたを初めて見たときから一目惚れしてしまったんですよ」

女「出会いが印象的なら仲良くなれると思ったんです」

男「一目惚れ・・・?」

女「それなのにあなたは幽霊と信じきってしまいましたから」

男「そもそも俺はお前を見たことは無いぞ?・・・多分」

女「私、この隣の部屋に住んでいるんですよ。アパートの下見に来たあなたを見たんです」

男「え?」

女「今日から住むのは聞いていたんで朝からこの部屋にスタンバイしていました」

男「・・・この部屋って鍵かかってたと思うんだけど」

女「こんなおんぼろアパートの鍵なんて針金で30秒ですよ」

男「なにそれ怖い」

女「・・・あの」

男「ん?」

女「お料理を作るって話、やっぱりいやですよね?」

男「・・・」

女「こんなことする人なんて幽霊より気持ち悪いですよね・・・」

男「・・・」

男「いやならそもそも了承してないさ」

女「え?」

男「これからも今まで通り・・・でいいんじゃないか?」

女「・・・会ってから一日しかたってませんけどね」

男「急に冷静になるなよ」

女「ふふ」

男「どうした」

女「いえ、ではお言葉に甘えて私は内職を続けさせてもらおうと思います」

男「給料なんて出せないけどいいのか?」

女「かまいませんよ。そのかわり・・・」

男「そのかわり?」

女「ちゃんと成仏させてくださいね♪」

以上です
SS初投下でかなり緊張しましたが、もし見てくれた人がいたらありがとうございました

見てくれてる人いないんじゃないかってかなり不安でしたが感想くれた方ありがとうございました。とても嬉しいです
もう一つ話も作ってるんですけど今度出す勇気がわきましたm(_ _)m

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