妹「お姉ちゃんが怖い」姉「妹、邪魔」 (73)
オリジナル。百合。書きためなしです
姉の部屋
妹「お姉ちゃん、あの……借りてた辞書なんだけど、学校に忘れて来ちゃって」
姉「は? ふざけないでよね。今から、走ってとってきなさい」
妹「え、でももう夜9時だし……」
姉「なんで、それまで気づかなかったわけ?」
妹「友達と遊んでて……」
姉「……私、明日授業あるんだけど……?」
妹「ご、ごめんなさい」
姉「昨日も絶対返してって言って、約束したよね?」
妹「う……ん」
姉「……はあ、もういいよ。出てって」
妹「あ……」
姉「ばいばい……」
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廊下―――
妹「……」
妹(なんで、忘れたくらいでこんなにきつく言われるんだろう……忘れた私が悪いけど……)
妹(今から学校……)
妹(前は、こんな風に一方的に言われるなんてなかったのに)
妹(……きっと、明日忘れたらまたきつく言われるんだろうな)
妹(先生たちが残ってるから、まだ開いてるかな)
妹(どうしよう……)
妹(上着着て行こう……)
ガチャ――
母「あら、妹どこ行くの? こんな遅くに」
妹「あー、ちょっとノート無くなったからコンビニ買いに行ってくるね」
母「じゃあ、お姉ちゃんも一緒に連れていきなさい。ついでに牛乳と小麦粉買ってきてちょうだい」
妹「あ……いや」
母「お姉ちゃーん?! 降りて来て、ちょっと妹と一緒に買い物行ってきて!」
妹「い、いいよ。お姉ちゃん、勉強で忙しそうだし」
母「何言ってんの。いっつも1番か2番なんだから今晩勉強しなくたって罰当たらないでしょ」
妹「そういう問題かなあ?」
トタトタ――
母「ああ、お姉ちゃん」
姉「なに?」
妹「……あ」
母「買い物、牛乳と小麦粉」
姉「……」
妹「……」
母「こんな遅くに高校生1年の妹一人で出歩かせるわけに行かないの。お姉ちゃん高3でしょ?」
姉「そんなに歳離れてないけど」
母「いいから」
姉「……はいはい」
妹「……あ、別に私一人でも」
母「いいの。お姉ちゃんなんだから」
姉「……行くよ」
妹「え、あ、うん」
外――
妹「……」
姉「……」
妹(お姉ちゃんに学校に行くって言わないと)
妹「あ、あのお姉ちゃん?」
姉「……」
妹(声、小さくて聞こえなかったわけじゃないよね。無視された……)
姉「……」
妹(買い物行った後でいいかな)
スーパー
姉「牛乳」
妹「……えっと」
姉「私は小麦粉持ってくるから、妹は牛乳。早く帰りたいの、私は」
妹「りょ、了解」
姉「さっさと行く」
妹「はいっ」
姉「3分後にレジにいなさいよ」
妹「う、うん」
姉「散れ」
妹(どうしよ学校行くって……言えない)
妹(……牛乳……牛乳)
妹(……あ、らくれん? ゆきじるし? どれ……?)
ドン――
妹「あ、すいませ……」
ギャル「ちょっと痛いんですけど」
妹「すいません」
ギャル「あんた、中学生?」
妹「え?」
ギャル「ガキくさ」クスクス
妹「ひどッ……」
姉「中学生はあんたでしょ……」
妹「お姉ちゃん!」
ギャル「はあ?」
姉「はあ?」ギロ
ギャル「……ッち、なんなわけ、あんた」
姉「痛い目見たくなかったら消えて」
ギャル「……ッう」
姉「散れ。汚ギャル」
妹「お、お姉ちゃん……そこまで言わないでも」
ギャル「こわッ……なに、怖すぎあんた」タタタ――
姉「……」
妹「…‥お、お姉ちゃん」
姉「ちょっと、先にレジ行っておいて」
妹「え?」
姉「あんたノート忘れてるでしょ」
妹「そ、それなんだけど……実は、学校に行くための口実なの」
姉「どういうこと」
妹「辞書、取りに行こうと思って……その」
姉「はあ? こんな遅くに?」
妹「だ、だって、さっき」
姉「……冗談くらいわかれ」
妹「え、冗談なの?」
姉「あんたさ、鈍すぎ」
妹「ご、ごめんなさい」
姉「すぐ謝って、情けないわね、ほんとに」
妹「……ッう」
姉「だいたい明日、あんたが私の教室に忘れずに持ってこればいいでしょ」
妹「あ、でも」
姉「同じこと2度も言わせないで」
妹「う、ん」
妹(明日、忘れちゃったら……また怒られるよ)
姉「これ清算してくるから外で待ってなさい」
妹「……」
スーパーの外――
妹「…‥」
姉「あんた、明日辞書忘れたら罰として……」
妹「……う、うん」
姉「そうね、ケーキ奢ってもらうからそのつもりで」
妹「え……」
姉「え、じゃないでしょ。そのくらい当然」
妹「放課後、友だちと遊びに…」
姉「懲りないわね。そのせいで、忘れたんでしょ。姉妹だからって、甘えたりさせない。そういうのはお断りだから」
妹「……お姉ちゃん」
姉「何?」
妹「……前は、そんな風に言わなかったのに」
姉「前? 知らないわね」
妹「……ううん、なんでもない」
姉「帰るわよ」
妹「はい……」
翌朝――
姉「お母さん、どこ行くの?」
母「あ、あのねー、お父さん出張先でインフルエンザになっちゃったらしいの」
妹「……え」
姉「聞いてなかったけど、それいつの話?」
母「一昨日かなー」
姉「……もっと早く教えてよ」
母「ごめんねー。でも、大丈夫そうだって、でも買い物とか大変だって行ってたからちょっと行ってくるね」
姉「……いつ帰るの?」
母「1週間くらいかな?」
姉「ながッ……その間、妹のご飯とかどうするわけ? 私は、そんな暇ないよ?」
妹「だ、大丈夫、お母さん、心配しないで」
母「心配してないわ。だって、お姉ちゃんいるし。妹、困ったらお姉ちゃんに言ってね」
妹(……お姉ちゃんが怖い……なんて言えない)
姉「……はあ」
母「じゃ、行ってくるわね」
妹(あ……お母さん。お母さんいなくなったら……私、すごく心細いよ)
姉「はいはい……」
母「お土産は、栗饅頭ねー」
姉「お土産はいいから、インフルエンザもらってこないでよ」
母「はーい」
――学校
窓際――
妹「はあ……」
友「どうした?」
妹「最近さ、お姉ちゃん怖いって話したじゃん」
友「あー、生徒会長? あんな美人で頭良くて、人当たりもいい人が、妹にはきついって話?」
妹「……信じてないでしょ」
友「っていうか、信じられなーいってだけ」
妹「それを、信じてないって言うんじゃないかな……」
友「何落ち込んでんの?」
妹「そのお姉ちゃんと……今日から1週間二人っきりなの」
友「……ふーん……あ」
窓の外―――
『会長! こんにちは!』
『こんにちは』
『今日もうつくすいいい』
『こんにちは』
『あの、分からないところが』
『こんにちは』
友「いつもながら、エレガントに捌いてるね」
妹(エレガント……? こんにちはしか言ってないし、あのお姉ちゃんの目、全く興味ない時の目だよ)
友「うらやましい。あんな美人のおねえたまがいて」
妹「……あげる」
友「いやいや……」
妹「ううん、むしろ私をもらって」
友「あんたはいらないけど、お姉さんは欲しいかな」
妹「……ひどいよお」
友「重症だね……ま、そんなにお姉さんが怖いなら、お姉さんの弱みでも握ればいいじゃん」
妹「そんなものあるのかな」
友「そりゃ、人間だもの」
妹「人間……」
友「あんた、実の姉をなんだと思ってるの?」
妹「……恐怖の象徴」
友「……」
妹「……」
放課後――
姉「こんにちは。妹いる?」
1年生「せ、生徒会長だ……おい、妹。お姉さん、来てるぞ」
妹「あッ……」
妹(た、大変なことに気が付いてしまったよ……辞書返すの忘れてたよ)
友「……妹」
妹「ひッ」
友「……びびりすぎ」
姉「妹」
妹「……あ」
姉「今日は、もう借りていってもいいかしら?」
友「あ、どーぞどーぞ」
妹(友ちゃん……!)
友(いや、美人のお願いは断れない)
妹(死にたくな……)
姉「行くわよ、妹。辞書は持っていて?」
妹「入れる、入れてる……入れましたッ」
姉「そう、来なさい」
妹「あ、う、うん……」
友「またね」
妹「……うん」
とある喫茶店――
姉「コーヒー二つ」
店員「畏まりました」
『あの子、すごい美人ね――』
『ねえ、コーヒー私が持って行っていい?』
姉「……」ぴくッ
妹(私がコーヒー飲めないの知ってるくせに……ひどいよお)
姉「なに、その反抗的な目。立場が分かってないみたいだけど、今、あなたの制裁中なわけ」
妹「は、はい」
姉「それに、ケーキにはコーヒーが合うのよ」
妹(そんなの、知らないもん……)
『髪もさらさらだわ――』
『妹? 似てないわね』
姉「……」ダン!
妹「ど、どうしたの……いきなり机たたいて」ビクビク
姉「蚊がいたの」
店員「ご注文のコーヒーになります……」チラ
姉「ありがとうございます」
妹(……お姉ちゃん、なんだか怒ってる?)
店員「失礼いたします」チラチラ
姉「……」
妹「ありがとうございます」
姉「ねえ」
妹「?」
姉「辞書返す気あったの?」
妹「あったよ……」
姉「ふーん」
妹(……忘れちゃいけない、怒られるって思って、でもそれがかえってストレスになって、同じこと繰り返しちゃったのかな……なんて、分析しても、お姉ちゃんの中では……)
姉「甘いわね」
妹(って、言われるの)
妹(……私、お姉ちゃんみたいに人間できてないもの)
妹(って、言えたらなあ)
姉「……ケーキがよ」
妹「……え」
姉「あのさ、あんた、私のこと嫌いでしょ」
妹「……そんなこと」
姉「私だってあんたのことは妹だとは思ってないから」
ガタッ――(妹、椅子から立ち上がる)
妹「……おね、ちゃ……ん」
姉「……」ジッ
妹「そこまで……言わなくても」ウルッ
姉「……そこまで言わないと、分かんないでしょ」
妹「分かったって、悲しいだけだよ……」
姉「泣くなら、家で泣きなさい」
妹「ねえ……どうして、そこまで私にひどく言うの……?」
姉「どうして? 言う必要がある?」
妹「ない……よね。ううん、ごめん、帰るよ……」
姉「ええ」
妹「……ッ」
タタタタ――
姉「……」モグ
『食べる姿も上品……』
『あら、妹みたいな子、いつの間にかいなくなっちゃったわね』
『いいわよ、どうでも……目の保養ね』
姉「……」ゴク
パリンッ――!
姉「……」
店員「お客様どうされました?」
姉「ごめんなさい。カップを割ってしまって」
店員「お怪我はありませんでしたか?」
姉「ええ、大丈夫よ」
ちょっとここまで。見てくれてありがと。明日中に完結させる予定です
家――
妹「……ッハア……ハァ……ゴホッ」
妹「……ッウ……ヒックッ」ポロポロ
妹「……なんでここまで、言われないといけないの……」
妹「私……嫌いなんて……一度だって言ったことないのに……」
妹「怖いけど……ひどいこともいっぱい言われたけど……嫌いなんて思ったこともないのに……」
妹「ッう……うえええッ……ヒッ……」
妹「お姉ちゃん……ッ……お姉ちゃんッ……」
妹はリビングのソファーに顔を埋めて泣き続けた。
妹「……昔、みたいに戻れないの……かな」
妹「でも……お姉ちゃんが怖くて……言葉も上手く伝える自信が……」
――弱みでも握ればいいじゃん
妹「……それとこれとは違うような……」
妹「でも、今の立場だと……言いたいことも言えない……」
妹「……」
姉の部屋――
妹「弱みと言ったら……やっぱりこういう所に……」
妹「……なんていうか、お姉ちゃんの部屋って殺風景だよね……」
妹「私がぬいぐるみ置きすぎなのかな……ベッドの半分は埋まってるし」
妹「……う、部屋にいるだけでドキドキする……お姉ちゃんが帰る前に……な、なんでもいいしね……ほんとに」
妹「机の引き出しとかは……」
ガラ――
妹「アルバム……恥ずかしい写真とか……」
ゴソ――
妹「いや、やっぱり、人のアルバムを勝手に見るのは……」
妹「あ、こっちは日記かな……で、でも日記はさらにまずいような」
妹「……私、何しにお姉ちゃんの部屋来たんだろ……」
妹「……後で怒られるって思ったら……思うように手が進まない……」
妹「……こっちの引き出しは……手紙? あ、これラブレター……お姉ちゃんて、こういうのとっておくタイプなんだ……意外……」
妹「……美人で、気が利いて、人当たりもいい……お姉ちゃん」
妹「私とは違うよね……」
妹「……私、やっぱりお姉ちゃんのこと……」
妹「どうして、みんな……お姉ちゃんなんだろ。お姉ちゃんの何を知ってるって言うんだろ……」
妹「なんで、私ばかり……こんなつらい気持ちにならなきゃいけないの……」
妹「お姉ちゃん……が憎い」
妹「……ッは」
妹「ダメ……嫌いじゃない、嫌いじゃない……」
妹「好きになる努力しないと……ううん、私が好きになってもらう努力……しないと」
妹「……いつまでかな。……いつまで我慢しないといけないのかな……」
妹「……お姉ちゃん中心で生活する意味なんて……あるのかな」
妹「……一度くらい仕返ししたって、罰は当たらないんじゃない……」
妹「理由のない言葉の暴力で傷つけられて……よく我慢してきたよ……そうだよ」
妹「昔は優しかったなんて、いいわけだよ……今以上に嫌われたりするのが怖いだけ」
妹「……いいよね。いいんだよね」
妹「もっと、何かないか探そう……」
ゴソゴソ――
ガチャ――バタン――
妹「ッ大変……夢中になってたらお姉ちゃん帰ってきた……」
妹「出たら、音でばれちゃう……」
妹「クローゼット……は絶対に開ける」
妹「ベッドの下……」
ゴソゴソ――
『妹――帰ってるの? 返事しなさい』
妹(あ、靴が……玄関に)
妹(なんとかやり過ごさないと)
妹(息をひそめて……)
妹(体ちっさくて良かった。お姉ちゃんサイズだと入らなかった)
トタトタ――
『いないのか……』
妹(上ってくる)
トタトタ――
ガチャ――
姉「……」
妹(……)ビクビク
姉「ふう……」
椅子を引いて、机に座る。
妹(お願い……買い物とか行って……)
姉「……」
姉は椅子に座って動かない。
妹(……もしかして、携帯いじってる? それとも寝ようとしてる?)
10分程経過した。
姉「よし……着替えるか」
妹(……)
姉がクローゼットを開ける。ファスナー音の後、スカートがぱさりと床に落ちた。
妹(……お姉ちゃんの着替え覗いてるみたい……ばれたら……ほんとに殺されるかも)
姉「……」
着替え終わったのか、姉がドアへと向かう。
妹(ほッ……)
姉「……」ピタ
妹(え、なんで立ち止まるの)
姉「……」クル
妹(こ、こっち向いた)
姉「……」テクテク
姉はベッドの上にとさりと座った。30㎝程先に姉の足首。
妹(ちかいちかいちかい……)ドドドッ
姉「……ッん」
妹(なになになに……)ドドドッ
姉「ッン……ッ」
妹(……何この声)ドキッ
姉「……ンァッ……」
衣擦れ音。
妹(なんで、こんな艶っぽいの……?)
姉「ンクッ……」
ピチャ――
妹(なんの音? 水?)ドキドキッ
姉「……フッ」
プチュッ――クチュッ
姉「ン……」
妹(……もし、もしかして……一人で始めちゃったの……?)ドドドッ
妹(わーわー!? どうしよう、どうしよう! わたし、ここにいる! ここにいるよ!)
妹(じゃなくて、耳を塞いで……っわわ聞こえてくる……!?)
妹(あ、あれでも……これって、お姉ちゃんの弱み……?)
姉「……ッァ、妹ぉ……」
妹(……え)ドキ
姉「妹ぉ……やァッ……そこ、だめぇッ」
妹(ちょ……やめて……やめてよ……)
姉「……アアッ」
妹(やめて、私の名前……呼ばないでやめて……最低……最低)
姉「……ッァ…ヒッ」
妹「やめて!」ゴン!
妹「い、いったああ!!」
姉「妹?!」
姉はベッドの上でバタバタと物音を立て、やや合ってベッドしたを覗いてきた。
妹「あ」
姉「……ッ」
妹(びっくりしてる……そりゃそうだよね……私だって、びっくりだけど)
数分後――
姉はベッドに座り、妹を見ないようにしていた。
妹は姉の前に立って、見下ろす形だった。
姉「あんた、なんで人の部屋に勝手に入ってるわけ」
姉はこちらを見ずに言った。
妹「ご、ごめんなさい……」
姉「友だち、なくすよ。そういうことしてると」
妹「……」
姉「まあ、まず家族からか」
妹「……」
姉「私、用あるから」
姉が立ち上がる。
妹「……」
彼女がドアノブに手をかける前に、妹は引き留めた。
姉「何、腕放しなさいよ」
妹「……お姉ちゃん」
姉「放せって言ってるの」
妹の腕を、姉は振りほどこうとした。
妹(……あ、れ。お姉ちゃんて、こんなに力弱かったんだ)
姉「しつこいわね」
妹「……」ぎゅう――
姉「ッいた」
妹「行きたかったら、行ったらいいよ……」
姉「は?」
妹「私の手、振りほどけないんだ……」
姉「ちょっと、ふざけるな」
妹「完璧超人なお姉ちゃんも、性格と腕力は人並み以下だったんだね……」
姉「あんた、そんなこと言える立場ッつう?!」
姉は端正な顔を苦痛に歪めた。
妹「私だって、こんなことするつもりなかった……」
妹「お姉ちゃんが……いつもいつも私をいじめるから」
妹「しかも! 私をせ、性欲処理に使ってッ! ほんとに、信じられない! 最低、最低!!」
姉「ッ……」
妹「私の気持ちなんて、どうでもいいんだろうけど……」
姉「放しなさい」
妹「立場がわかってないのはお姉ちゃんの方だよ……」
妹は、姉をドア際に押し付けた。ドアノブが背中に当たったのだろう。姉は苦痛の表情を浮かべた。
妹は少し背伸びして、姉の耳元に口を近づけた。
妹「ねえ……お母さんにお姉ちゃんの秘密言ってもいいんだよ」
姉「……」
妹「なんで、睨むの。お姉ちゃんいつもそう。どうして、そうやって人の事そんな目で見れるの? やられた方の気持ちなんて考えてないんでしょ」
姉「はッ、考えてやってるに決まってるでしょ。わからないの?」
妹「……そっか、じゃ、こんなことされてもいいんだよね」
妹は、右手で姉の頬を思い切り引っ叩いた。
姉「……ッ」
姉は少しよろめいた。痛かっただろうに、声を我慢して。
妹「……」
妹(手がじんじんする……やった方も痛いんだ……)
姉「あんた」ギロ
妹(昨日まで、あんなに怖かったお姉ちゃんが……今は、なんだか違う人みたい)
妹「殴り返せばいいよ……」
姉「どうして、そんな不毛なことにつきあわなければいけないの」
妹「ひどいこと言うよね……」
姉「あんた、私に何を期待してるの? 謝罪? 優しい言葉? そんなものが欲しいのなら母親にでも言えばいいじゃない」
妹「私は……復讐……したいの」
姉「勝手にやれば」
妹「いいんだ。いいんだね」
姉「あんたが何をしようが、どうでもいいの」
妹「……私たち、なんでこんなに分かり合えないのかな」
姉「あんたと分かり合う気なんてさらさらないからよ」
妹「お姉ちゃん……ッ」
妹はこれほど怒りを覚えたことはなかった。目の前の人間は差し伸べた手を叩き落していく。これ以上、こちらが何を譲歩すればいいのだろうか。否、する必要などない。
妹「……」
妹は姉の頬をもう一度思い切り叩いた。彼女はよろめいて、もう一度背中をドアに打ち付けてずるずると力なく崩れた。
姉「ッ……」
妹(弱い。お姉ちゃんてこんなに弱い生き物だったの……? これじゃあ、私今まで怯えてきたのがバカみたいだよ……)
妹「張り合いない……」
姉は右頬だけを赤くしていた。見下ろした姉は、未だに毅然としていたが。その態度は、妹の腹内を沸々と煮え渡らせた。
姉「気が済んだ? 私、用があるのよ」
妹「済むわけないよ……」
姉「さっさと済ませなさい」
妹「……」
何か、ないのか。この姉を屈服させる方法は。
妹「あ、ねえ、さっき私の名前呼びながらしてたことしてみてよ」
姉「するわけないでしょ」
妹「……そんなの許されないもん」
姉「ちょッ……」
妹は姉のスカートをたくし上げた。両足の間に体を埋める。姉が妹の肩を押し返して抵抗してきた。
妹「ほんと、変態……だよ」
姉の手を無理やり下腹部に持ってこさせる。
姉「ッ……やめ」
姉は2度思い切りぶたれたせいもあるのか、その抵抗も力ない。
妹「自分でこすってたの?」
紫のレースで編まれたショーツは、秘所を覆っている部分だけ、やけに黒っぽい。濡れているのだ。
姉「だまれ」
妹「……どうして、私の名前でやるの? そんな嫌がらせ思いつくのお姉ちゃんだけだね、きっと」
妹「……お姉ちゃんを精神的に辱めないと……心を折ることはできないかな」
姉「……」
妹「……ふふ」
キスして、胸を揉みしだいて、私の指を下に入れてみたらどうなるだろう。
妹「どうして、こんなこと思いつくのかな」
不思議と、抵抗はなかった。
妹「私も、やっぱりひどい姉のひどい妹なんだね……」
姉「何してッ……ンムッ」
姉の口を塞ぐように、妹は唇を押し当てた。
姉「チュッ……ル…‥ァッ……」
妹「ッ……ハァッ……ンッ」
妹(口内を犯すってこういう感じかな)
妹は舌で、姉の歯列をなぞり、吸い尽くすようにじゅるじゅると音を立てた。
姉「……ハッ」
唇を放す。互いに慣れないためか息を荒げた。姉は陶器のように白い頬をさらに真っ赤にさせていた。苦しかったのか、嫌悪からか、目じりに少し涙を溜めている。
妹「ふうッ……お姉ちゃんでも泣くことあるんだ……ッ」
姉「……」
妹「もっと泣いて」
姉のシャツのボタンを外していく。
妹「抵抗しないんだ」
姉は、少し足が震えていた。見ると、手も微動している。妹は背筋を這い上がるものがあった。
妹「震えてるよ。大丈夫?」
姉「……だまれ」
妹「あ、もしかして……びっくりして腰が抜けちゃったとか……」
姉「ッ……」
妹「図星? 立ってみてよ、ねえ」
姉は立ち上がろうとしたようだった。だが、くてりと膝が折れた。
妹「……もしかして、私の事怖い?」
姉「そんなわけないでしょ」
妹「ふーん……そっか」
妹は両手で姉の胸をわし掴んだ。豊満な胸は、自分のより一回りは大きい。ブラを乱暴にずり下げると、たわわに実った胸が、上下にぶるんと揺れた。
何度も何度も、姉が苦痛の顔を浮かべるのを期待して胸を揉みしだいた。
姉「ッ……」
敏感な部分を触られて、さすがの姉も悶えるように体を振っていた。
妹「柔らかいんだね……おっきいとやっぱり。羨ましいなあ」
姉「いッ……」
乳首を親指と人差し指の腹でつねってやるとうめき声を出した。
妹「……」ゾクゾク
姉「……ッ」
息の荒い姉に、妹は興奮した。
妹(……見た目だけなら、やっぱり美人なんだよね)
妹「お姉ちゃん、えっちな顔だよ……」
姉は口半開きにして、こちらを力なく睨んだ。
姉「だ、まれ」
妹「それしか言えないの……?」
妹は胸をいじるのを止めて、右手の人差し指と中指を口に含む。唾で少し艶のついたその二本を、今度は姉の口にねじ込んだ。
姉「ふッぐッ?!」
妹「舐めて……ね?」
姉は噛むことはしなかったものの、顔を左右に揺らして抵抗した。
妹「こんなものかなあ……」スポッ
涎で指がべとべとになった。銀色の糸が一本、抜いた指と姉の顎に架かっていた。それを、ぷつりと切る。姉はますます呼吸を荒くしていた。
妹「……よし」
妹は姉の膝を押し広げる。むちむちとした太ももから、むわっと色香が漂っている。
続いて、ショーツの隙間に指を差し込んだ。
姉「止めッ」
姉は初めて抵抗らしき抵抗を見せた。
妹「だめだもん……止めないもん」ゾク
姉「入れるなッ、バカッ」
姉の言葉も空しく、二本の指は姉の濡れそぼった秘所に姿を消していく。
姉「ふんくッ……」
姉はぷるぷると、体を震わせていた。潤滑の良くなったそこは、ぬるぬると気持ちがよい。
妹「ね、どんな感じなの? 嫌いな妹にえっちなことされるのって」
姉は返事をしない。妹は、つまらないと思い、指をゆっくりとかき回す。姉の身体が魚のようにびくびくと跳ねた。
妹「お姉ちゃん、どうしたの? 痛いの? 何か言ってよ」
姉「ぬ……けッ……」
姉は何を必死になっているのか。それだけを何とか言い終え、耐えるように口を結ぶ。
妹「もっと激しい方がいい?」
泡立てるように、妹は膣内を乱暴にかき回した。奥の方のひだをこすると、姉の腰はその度に宙に浮いた。
妹「まるで喜んでるみたいだね……下品」
妹「どうして抵抗しないの? なんで、されるがままなの?」
姉「ッ…‥ァッ」
姉は非常に快感に弱かった。無様だった。
妹「……もうイきそうなの?」
姉「なわけッ……」
妹「素直じゃないよね……」
姉「ひッ……ぐ」
妹「イかせてあげる。私は、お姉ちゃんと違って優しいから……」
ひと際強く指をこすり上げた。姉は背中を反らす。膣内の指が締め付けられた。彼女は声を我慢しようとして、
姉「ッ……ふッうんッ……ァアアッ―――!」
失敗に終わっていた。それを聞きながら、妹は微笑んだ。姉なんて、簡単で卑猥な生き物だった。生徒会長だとか、優等生だとか、いったい彼女の何を語っていたのだろうか。恐怖の対象が、今は面白い玩具のようにも思えた。
妹「……動物みたい」
姉「……ッはあ……」
乱れた姉は、少し可愛かった。それから、もっといじめて鳴かせてやりたいとわずかに思った。姉はふらりと体を前に傾ける。自分で体重を支えられないのか。妹は反射的に受け止める。
妹「……お姉ちゃん?」
姉「ッ……ッハア」
姉は行為の最中、一切妹の体に触れてこようとはしなかった。けれど、彼女は無言のまま、両手を妹の体に回して、縋るように抱き付いてきた。甘ったるい匂いが、姉の細い首筋から漂い、鼻孔をくすぐった。
妹「な、なに……」
姉「……ッン…ハァ」
突然のことで、妹は少し混乱した。何かの作戦だろうか。
姉「……最悪」
姉はぽつりと呟く。そんなことを言いながら、なぜ抱きしめてくるのだろうか。
妹「ちょ……放してよ」
妹は姉の腕を引きはがすことは可能だった。ただ、それができない。
姉は体を少し引いて、妹の正面に体を移動させる。
姉「……」
姉は泣いていた。
妹「どうして、お姉ちゃんが泣くの? お姉ちゃんにそんな権利ない……」
妹は動揺した。
妹「泣きたいのは、私の方だもん。……なんで、なんで大好きだったお姉ちゃんに……こんなことしなくちゃいけないの? 私、何か悪いことした? 私、お姉ちゃんを憎いだなんて……思いたくないよ」
姉「好きなように……すれば。ただ、私はあんたを受け入れない……」
妹「私はお姉ちゃんがわからない。ひどいよ……どうして、抱きしめてきたの? ねえ、私に……何を隠してるの」
姉は何も言わない。外れたボタンを止めていく。何事もなかったかのように。
妹「……私を見てよ。お姉ちゃん、認めてよ」
姉は衣服を整えて、ふらふらと立ち上がる。彼女は泣きながら言った。
姉「……あんたが妹じゃなかったら、良かったんだよ」
姉はくるりと背を向けた。
妹はその背を呆然と眺めることしかできなかった。
4年後――
とある喫茶店
妹「……お姉ちゃん」
姉「な、何よ……」
妹「っていう昔話、覚えてる?」
姉「知らないわね。忘れた」
妹「……もう! いつまでもいつまでも、素直じゃないんだから!」
姉「ッ……はいはい、ごめんなさいね」
『ねえ、あの子すごい美人――』
『ほんと、綺麗……となりは妹かしら?』
姉「……」ピキッ
妹「お、お姉ちゃん?! カップそんなに力強く握ったら割れちゃう」
姉「知らないわよ」
妹「もうッ」
姉「……あなたの方がよっぽど」ボソ
妹「なに?」
姉「いいえ、なんでもないわ」
妹「でも、まさかあの一週間後に、お姉ちゃんから誘ってくるとは思わなかったなあ」
姉「あなたが焦らしプレイなんて覚えてくるからでしょ」
妹「お姉ちゃんこそ、好きなら好きって最初から言ってよ」
姉「言えるわけないでしょ」
妹「……あーあ、なんで、私こんな人のこと好きなんだろ」
姉「泣きたいならお家に帰ってどうぞ」
妹「泣かないもん……だいたい、家に帰って鳴くのはそっちの方でしょ」
姉「……ッ言うようになったものね」
妹「ふふん……」
おわり
おしまいです。短いですが、読んでくれた方ありがとう。
1です。燃え尽きたので、また違うssで会いましょう
次は、たぶん姉妹で百合でホラーだと思います
次作
妹「お姉ちゃんが帰って来た」姉「何か飲みものちょーだい」
妹「お姉ちゃんが帰って来た」姉「何か飲みものちょーだい」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1400843549/)
です
このSSまとめへのコメント
このSSまとめにはまだコメントがありません