側近「魔王様がある古文書を掘り出してきた」
側近「どうやら新しい生命を生み出す禁術が書き記されているそうです」
側近「で、その古文書は今、私の手にあります」
魔王『新しい魔物をなんか作ってみてよ』
魔王『面白そうじゃん!』
魔王『ん? ああ、そいつで勇者も倒せたらいいね、うん』
側近「……ということらしい」
側近「明らかに遊び目的で勇者のことなど何も考えていなかったのは置いておいて……」
側近「魔王様から直々に頼み事をされた手前、どうにも断われなかったわけですね」
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側近「とりあえず、古文書を読んでみますか」ペラ
側近「えーと……」
側近「魔法陣を描きます」
側近「魔物の元となる物を2つほど置きます」
側近「この時に使う素材は何でもありです」
側近「ありったけの魔力を注ぎます」
側近「完成です、可愛がってやりましょう」
側近「……」
側近「なんとも簡単に書いてありますね」
側近「ですが、素材が何でもありということは、やはりすごい魔法なんでしょうね」
ゴリラの睾丸
甲冑
側近「まずはこのゴリラの睾丸を……」
側近「なんでこんなものがあるのだろうか……」
側近「まあここ実験室ですし、誰かが持ち込んだんでしょうね」
側近「次は……どうしますかね」
側近「……廊下に甲冑が大量に並んでますけど、何の意味があるんでしょうねアレ」
側近「……あんだけたくさんあるなら一着くらい使ってもいいでしょう」
側近「どうなることやら」
側近「出来ました」
魔物1「ウホ」
側近「見た目は甲冑着込んだゴリラですね」
側近「正確には皮膚が甲冑みたいな金属質になっていると言いますか」
魔物1「ブルル」
側近「知性は……ゴリラ並みなんでしょうかね」
側近「ゴリラについてはあまりわかりませんが」
魔物1「……ウキャ」ガシャンガシャン
側近「大人しそうですね」
側近「動くとやかましいですが」
側近「命名、甲冑猩々」
甲冑猩々「ウホ」ズシンズシン
側近「うわあ、床に足跡が出来てる」
側近「やはり体重は相当なものなんでしょうね」
側近「動きは鈍いけれど筋力と防御力は高い」
側近「相手によっては相当強いでしょうね」
ドゴォ!
甲冑猩々「グルォ!?」ズボッ
側近「ああ!? 床が抜けた!」
側近「実験室では危険なので野外で魔法を使うことにしました」
側近「部屋に収まらないほどでかい奴が出来ないとも限らないですしね」
甲冑猩々「ウホ」ガシャン
側近「高いところから落ちて傷の一つもありませんか」
側近「地面にめり込んでいたのに大した頑丈さですね」
側近「さて、次の魔物を作ってみますか」
側近「そうですね、>>16と>>17でどうでしょう」
ミミック
座薬
側近「おや、こんなところにミミックが」
ミミック「……」
側近「ちょうどいいので素材にしてやりましょう」
ミミック「!?」
側近「次に……ん?」
甲冑猩々「ウホ」スッ
側近「これは……座薬?」
側近「なぜあなたが……」
甲冑猩々「ウホッ」
側近「……まあ……気にしないでおきましょう」
側近「出来ました」
魔物2「…………」
側近「開ける……のは、怖いので」
側近「どうしましょうかね……」
甲冑猩々「ウホウホ」ガシャン
側近「え? あなたが開ける?」
側近「そ、そうですか……お願いします」
甲冑猩々「ウホッ」ガチャ
魔物2「!」
ズンッ
甲冑猩々「アオオオオォォォォッ!!」
側近「予想通りですね」
甲冑猩々「ファッ」
側近「恍惚な表情をしてるのがちょっと理解に及びませんが」
側近「命名、救急箱」
救急箱「……」
甲冑猩々「ウッホ」ガシャンガシャン
側近「心無しか元気になってますね」
側近「救急箱の効果かそういう趣向か、判断がつきませんけど」
甲冑猩々「ウホッ」ガチャ
救急箱「!」
ズンッ
甲冑猩々「オゴオオオオオ!!」
側近「何度もやらない!」
側近「次、次行きましょう」
側近「>>22と>>23でどうです?」
範馬勇次郎の細胞
無理なら側近の血
和式便器
側近「これ、オーガの細胞」
側近「オーガと言っても魔物の方でなく、そう呼ばれていた人間ですね」
側近「大昔、圧倒的強さで地上最強と呼ばれていたそうな」
側近「次は……うーん」
甲冑猩々「ウホ」ガシャン
側近「ん? 今度は何を持ってきたんですか」
側近「……和式便所? あー……」
側近「そういえば最近、すべてのトイレを洋式にしたので余ってたんでしたっけ」
側近「これ入れときますか」
側近「出来ました」
魔物3「エフッエフッ」
側近「なんて笑い方なんでしょう」
魔物3「俺を取り上げろ!!」
側近「やだよ、ばっちいもん」
魔物3「……」プーン
側近「便器を入れたのは間違いでしたかね……」
側近「命名、範馬便次郎」
便次郎「野郎、イキがりやがって……」
側近「暴れないでくださいね、その、撒き散りますから」
便次郎「上等ッッ!!」
側近「ちょっともう、マジでやめて!」
甲冑猩々「……」ガチャ
救急箱「!」ズンッ
甲冑猩々「オオオォォ!」
側近「まだやってたの!?」
便次郎「……色を知る年齢か!!」
側近「は?」
便次郎「面白い……!」
便次郎「上等な料理にハチミツをまブチけるがごとき思想!」ガチャ
救急箱「!」ズンッ
便次郎「ッッッッ!!」
ブリュリュッ
救急箱「!?」
側近「何ブチまけてんですかアンタ!」
側近「相手にしてられない、次行こう」
側近「>>35と>>37です」
ナルシスト♂
女騎士
側近「そういえば人間の奴隷が増えすぎて扱いに困っているらしいですね」
側近「二人ほど貰ってきますか」
ナルシスト♂「おい貴様! このボクをこのような扱いにするとは、ふざけているじゃないか!」
側近「奴隷のくせに粋がりますね」バシッ
ナルシスト♂「はああえああ!? このボクの美しい顔にキズがッ!?」
女騎士「くっ! 殺せっ!」
側近「まあ、殺すようなもんですかね」
女騎士「くっ! 殺せっ!」
側近「……」
女騎士「くっ! 殺せっ!」
側近「ああ、精神が壊れて使い物にならなくなったんですね……」
側近「それにしても男と女ですか」
側近「先に入れた方がベースになるので男になるんでしょうけど、どうなんでしょうね」
側近「出来ました」
魔物4「……」
側近「人間がベースなので人間の形をしてますね」
魔物4「ふん、貴様のような奴らがこのボクに勝てるとでも」
魔物4「思っているのかい?」
便次郎「面白いッ!」バキャ
魔物4「ふぎゃああ!? 汚ええええ!?」
魔物4「このボクの顔に! ついたじゃないかあ!!」
側近「分類的にはどうなるんでしょうねこれ」
側近「魔物には違いないですけど、人間ですもんね」
側近「命名、魔騎士」
魔騎士「この、ボクの、ボクの! カッコイイ顔に!」
魔騎士「汚らわしいソレをつけるなんて!!」
側近「性格は色濃く受け継がれているようですね」
魔騎士「もうダメだ……」
魔騎士「殺せっ! ボクは美しく死にたい!!」
側近「自殺願望あり、と」
甲冑猩々「ウホ」ガシャン
魔騎士「な、なんだ貴様!」
甲冑猩々「」ボロン
魔騎士「!? やめろ! 来るんじゃない!」
アッーーーー!!
甲冑猩々「フホッ」ツヤツヤ
魔騎士「ボクは……ボクは……!」
魔騎士「穢されてしまった……! 体も、顔も……!」
魔騎士「だがしかしっ! ボクの心は!」
魔騎士「誰にも穢す事は出来ない!」
魔騎士「だからボクは! 美しいまま!カッコイイまま!」
魔騎士「死んでゆけるっ!!!」
側近「相手してらんねえ、次行こう」
側近「>>48と>>50で」
その力を恐れられ封印されていた的な暗黒竜
ガーゴイル
側近「せっかくなので封印していた暗黒竜でも入れますか」
側近「魔王様が戯れで召喚したのですが、力が強すぎて制御できなかったので封印してるんですよね」
側近「強い奴を入れれば強くなるのかは知りませんが」
暗黒竜「……」
側近「はい、このペンダントに封印してます」
側近「少しばかり強めに魔力を注ぐと簡単に復活するので取り扱い注意ですね」
ガーゴイル「……」
甲冑猩々「ウホッ」ズシン
側近「ちょっと、なんで門番を任せているガーゴイルを持ってきてるんですか」
側近「まあ持ってきたからには素材にしますけど」
ガーゴイル「!?」
側近「出来ました」
魔物5「……」
側近「パッと見は竜の石像ですね」
魔騎士「ほう? 中々カッコイイ石像じゃないかあ」
魔騎士「まあ、ボクの方がカッコイイけどね!!」ドヤ
魔物5「グルルルルルオオオオオ!!」ズガン
魔騎士「ぎゃあああああああ!?」
側近「近付くものは排除しますか」
側近「力はあの暗黒竜そのままですね」
側近「普段は石像な分、前よりは被害が出なさそうですけど、扱いに困りますね……」
魔騎士「……」ボロボロ
甲冑猩々「ウホッ」ガチャ
救急箱「!」ズンッ
魔騎士「アッー!」
側近「あ、全快した」
側近「命名、封印されし石竜」
石竜「……」
側近「どうしましょこれ」
側近「ここに置いていても仕方ないですし」
側近「魔王様に頼んで地下牢の誰もいない部屋に保管してもらいましょう」
魔王「ん? これ? あー、あの暗黒竜を使ったんだ」
魔王「へえー、カッコイイじゃん!」
石竜「グルルォ!」ズゴン
魔王「ははは、元気な奴だな!」
側近「あんな攻撃を喰らってなんとも無いんですからね」
側近「とんでもない人ですよ、魔王様は」
便次郎「……面白いッッ!!」
側近「動かないで、飛んでる」
側近「さてさて、次にいきましょうか」
甲冑猩々「ウホッ」
魔騎士「ん!? よく見たら……貴様の皮膚、中々美しい光沢じゃないか」
魔騎士「まあ、このボクのカッコイイ美貌には! 全てが霞むんだけどねえ!」ドヤ
甲冑猩々「フホゥ」ボロン
魔騎士「待った! それはやめて! 全く美しくない!」
側近「……無視して次」
側近「>>61と>>63ですかね」
究極生命体の隕石の欠片
魔王の残り湯
側近「こちら、とある隕石の欠片です」
側近「一説では別の惑星で究極生命体と呼ばれた者が宇宙空間に追放され、その間に鉱物になったそうな」
側近「そして隕石として落ちてきたのがこれらしいです」
側近「……よく分からん、考えるのはやめよう」
魔王「あ、そうだ」
魔王「はいこれ」スッ
側近「……なんですか、このお湯」
魔王「俺の入浴の残り湯」
側近「うげえ!?」
魔王「好きに使っていいのよ?」
側近「私にそんな趣味はなぁい!!」ドバッ
魔王「躊躇も無く素材に使っちゃった」
側近「で、出来ました」
魔物6「……」
側近「なんだこの、よく分からないけど」
側近「威圧感を感じますね」
ドドドドドドドドド
魔物6「……」
便次郎「面白いッ!」
便次郎「貴様の力! 喰らってやるッ!」
魔物6「フン」
ドバァ!
便次郎「ッッッ!?」
側近「あ、流された」
魔物6「我が流法(モード)は『水』!」
魔物6「水洗魔斬波ッ!」ズバァ
側近「アブねっ」スッ
側近「命名……」
カーズ「我が名はカーズ!」
側近「あれ、合成前の意識と記憶が残ってる?」
カーズ「フン、新生命誕生の儀とやらで私の自我を消し去るなど不可能!」
カーズ「頂点は常に一人! この私だ!」
甲冑猩々「ウホッ」
魔騎士「ん? ああ……いい天気だね」
カーズ「UGYAAAAAAAA!?」ジュウウ
カーズ「馬鹿なッ!? 太陽は克服した筈!?」
側近「曲がりなりにも魔王様の残り湯ですからね」
側近「魔王様の魔力が力を抑制したんでしょうかね」
カーズ「ぐうう! ひとまず日陰に避難しなくては!」スッ
カーズ「……」チョコン
側近「日陰に体育座りしてる姿は、なんかその、シュールですね」
カーズ「……くうう」
カーズ「こんな筈では……」
甲冑猩々「ウホッ」
カーズ「ん?」
救急箱「……」
カーズ「これを開けろと?」
救急箱「……」
カーズ「……」ガチャ
救急箱「!」ズンッ
カーズ「GYAOAAAAAAA!?」
側近「……アレ、何かの通例になってんでしょうかね」
側近「次行きましょ」
側近「>>77と>>79ですね」
風の精霊
トイレットペーパー
風の精霊「こらー! 離しなさい!」ジタバタ
側近「こいつは、えーと……そうだ」
側近「この前来たパーティにフェアリーテイマーがいたんでしたっけ」
側近「簡単に返り討ちにして今は奴隷としてコキ使ってるんですよね」
側近「そいつが使役してた精霊ですね」
風の精霊「この!」カッ
側近「そよ風ですか? 心地良いですね」
風の精霊「うう、私だけの力じゃ何ともならない……」
側近「あとは何を入れるか……」
甲冑猩々「ウホッ」
側近「今度は何を……トイレットペーパー?」
側近「なんというか、トイレ関係ばかり集まりますね……」
側近「出来ました」
魔物7「…何よ」
側近「精霊……? ああ、紙の精霊ですかね」
魔物7「紙って言うな!」
魔騎士「紙? あー、一枚くれないかな、鼻をかみたい」
魔物7「うっさい!」ピラ
魔騎士「ありがとう」
魔物7「あ、アンタの為にあげたんじゃないんだからね!」
魔騎士「おや? このボクの、このカッコイイ姿に!」
魔騎士「ホレたかい?」
魔物7「あっち行け!」バキッ
魔騎士「ふげえ!? 鼻血が!?」
側近「命名、紙の精霊」
紙の精霊「だから紙って言うな!」
便次郎「んー?」
紙の精霊「げ! ばっちい奴!」
便次郎「貴様……喰われたいのか?」
紙の精霊「やめてよね! 後始末するのが私になっちゃうんだから!」
便次郎「…………」
カーズ「ふん、紙がなんだ」
カーズ「私は神だ! 頂点なのだ!」
魔騎士「センス無いね君」
カーズ「フンッ!!」ザバァ
魔騎士「ひゃあ! セットした髪型が!!」
村娘B
ユグドラシルの実
村娘B「な、何するんですか?」ビクビク
側近「オークの軍団が村を一つ潰したと聞いたので」
側近「捕まえた女を一人貰ってきました」
村娘B「あ、あの、村娘Aは……?」
側近「ん? 友達?」
側近「さあ? オークの相手でもしてるんでないですか?」
村娘B「そんな……!」
側近「我が身より友達の心配とは、悠長な奴ですね」
側近「あとは……これかな」
側近「ユグドラシルと呼ばれる世界樹の木の実」
側近「世界樹の葉と同じくらい滋養効果がある上に美味しいんですよね、これ」
側近「滅多に手に入りませんけど」
魔王「あれ? 俺のおやつのユグドラシルの実は? どこ行った?」
側近「出来た」
魔物8「……」
側近「見た目は少女ですね」
側近「しかしなんか、癒しの力を感じますね」
救急箱「!」
側近「アンタは引っ込んでて」
魔物8「……私は……」
側近「……ん?」
魔物8「テレポート!」カッ
側近「なっ!?」
側近「……逃げられてしまった」
側近「……命名したかったのに」
側近「いや、それはどうでもいいな」
側近「あの女の目……」
側近「魔物特有の濁った目では無かった」
側近「多分、合成前の自我が残っているんだろう」
側近「実例もあるし」
カーズ「ん?」
側近「ユグドラシルによる癒しの力を持つあいつが仮に勇者と手を組んでやってくるとしたら……」
側近「……厄介なことになりましたかね」
側近「ともあれ、魔王様に報告に行きましょう」
魔王「お! 側近おっす!」
魔王「なんか面白いの出来た?」
石竜「……」
側近「……それ、部屋に置いてるんですね……」
魔王「あー、大人しくていい子よ?」
側近「そ、そうですか」
魔王「それより、どんなの出来た?」
側近「そうですね」
側近「こんな感じです」
魔騎士「ボクが挑発して!」
救急箱「……!」
魔騎士「その隙にこいつが開通して!」
便次郎「俺が受け止め!」
紙の精霊「私が拭いて!」
カーズ「そして私が流す!」
カーズ「我ら5人、合わせてトイレンジャー!」
バァーーン
甲冑猩々「……ウホ?(俺は?)」
側近「……こ、こんな感じです」
魔王「……?」
魔王「コントかな?」
側近「少なくとも彼らは真面目なんでしょうね」
魔騎士「おいおい、ボクをこんな汚い奴らと一緒にしないでくれないかな!」
紙の精霊「ちょっとぉ! 私だって好きにやってるんじゃないのよ!」
魔王「ハッハッハ、なかなか面白い奴らが出来たみたいだね!」
側近「それより魔王様、報告したい事が」
魔王「ん?」
魔王「あー、ほっといていいんでないの?」
側近「え? 大丈夫なんですか?」
魔王「いくら俺達に敵意があっても、魔物なんでしょその子」
魔王「魔物と人間は相容れない」
魔王「そういうもんだよ」
魔王「だからそいつと勇者が手を組むなんて、無い無い」
側近「……そんなもんなんですかね」
魔王「それよりさあ」
魔王「もっとなんかいろいろ作ってよ!」
側近「えー?」
魔王「えーって何さ!」
…………
勇者「うっぐ……ドジ踏んじまった……」
勇者「仲間が皆やられて、俺もこのザマか……」
勇者「たかがオークと踏んで、油断したか……」
勇者「(俺も、ここまでか……)」
勇者「(すまん皆、魔王を倒す事が、出来な……)」
ポワッ
勇者「……! キズが……!」
「……」
勇者「……君は?」
「あなたが……勇者?」
おわり
続かないよ!
疲れたので終わり。日付が変わる前に終わってよかった
見てくれた人、安価取った人、ありがとう
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