側近「魔王様の食事情」 (44)

魔王「あー疲れたー!」

側近「今日も政務お疲れ様です。何か甘い物でも飲みますか?」

魔王「んー、いいや。もうすぐ夕食だし」

側近「それもそうですね。ではお持ちしましょう」

魔王「ああ、頼む。ところで、今日のメニューは」

側近「……あ、届きました、準備がいいですね。今お持ちいたします」ガラガラ

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側近「前菜は冬虫夏草のシーザーサラダ、触手入り」

側近「スープは魔海ゴッドミソスープ」

側近「続きまして、メインの魚介は魔人魚の半身煮(上半身)」

側近「肉料理は岩石獣の皮付き肉」

側近「デザートはプリンとなっております」

側近「……おや、魔王様?いかがなさいました?」

魔王「頭痛くなってきた」

魔王「いや、もうどこから突っ込んでいいのか」

側近「突っ込むも何も、別におかしいところなど無かった気もしますが」

魔王「おかしいだろ!?なんでいきなり冬虫夏草食わせようとしてんだ!?私は魔王だぞ!」

側近「薬膳ですよ、何言ってるんですか」

魔王「誰が好き好んであんなもん食うんだよ!触手入りだし!」

側近「ハァ、我が儘ですね」

魔王「冬虫夏草が出来上がるまでの過程を見てから言ってみろ!?」

※調べてはいけません

魔王「それに、魚料理だって言ってるのに何故か出てくるのは人魚の上半身だし!」ツンツン

側近「ガワだけですよ、中はしっかり白身です」

「タスケ……タスケテ……」

魔王「……」

側近「フンッ」グシャッ

「ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙」

魔王「……今の、何?」

側近「さぁ?」

魔王「肉だって岩石獣の皮付き肉なんて硬くて食べられたものじゃないし」

側近「あなた、仮にも魔王ですよ。その程度食べられなくてどうするんですか。顎を鍛えなさい顎を」

魔王「お前これ食えるのか?」

側近「無理に決まっているでしょう、あなた何を言っているんですか」

魔王「お前ぶっ飛ばすぞ」

魔王「……まぁいいや、とりあえず下げさせろ。今は食事する気になれん」

側近「勿体ない、我が国の貧困層に満足に食事だって出来ない哀れな子供たちもいるだろうに、トップがこれでは……」

魔王「じゃあ今すぐこの料理をその哀れな子供たちとやらに分け与えてこい」

側近「出来る訳ないじゃないですかそんな危険な事」

魔王「お前ホント変なところで正直だな!?」

側近「分かりました、ではこちらはちゃんと適当な人のお腹に収めてもらいます。それでいいですね」

魔王「……人選誤るなよ?」

側近「折檻用ですね。粗相を犯した人に処分してもらいましょう」

魔王「いいからさっさと持って行ってくれ……」

側近「……」

魔王「まだ何か?」

側近「一品だけ何も言ってくれなかった気がするのですが」

魔王「突っ込む気力もないわ」

側近「……」

側近「一品だけ」

魔王「わかった分かった突っ込んでやる!なんだよこのゴッドミソスープって!なんちゅうネーミングセンスだ!」

側近「……ゴッドミソスープ、神の味噌汁。それは神のみぞ知る……」キリッ

魔王「……」

側近「神のみぞ……」

魔王「早く片付けろ」

――――――
―――


側近「と、申しておりまして、魔王様は私の作った面白カッコイイ料理を食べてくれません」

オーク隊長「いや、アンタ何がしたいんだよ」

側近「ちょっとしたお茶目です。私の高度なセンスが分からない貴方もまだまだですね」

オーク隊長「分かりたくもないっての」

側近「一応、これは由々しき事態です魔王様に好き嫌いがあってはなりません」

オーク隊長「それ以前の問題な気がしないでもない」

竜爺「ほう、あの娘好き嫌いをしておるというのか?」

側近「あ、竜爺様。居たんですか」

竜爺「若い子はダメじゃのう、食える時に食わねば勿体ないというに」

側近「……ふむ。では竜爺様、これ食べてみます?」

オーク隊長「うえ!?なんじゃこりゃ!?なんか蠢いてるぞ!?」

側近「さっき私が魔王様に食べさせようとしたものです。オーク隊長も食べますか?」

オーク隊長「いりません」

竜爺「おお、ちょうど飯がまだだったんじゃ。頂こうかのう」ガリッゴリュッ

オーク隊長「マジで!?」

竜爺「カフッ」ドサッ

側近「あー、やっぱり」

オーク隊長「やっぱり!?」

側近「独学では限界がありましたね。料理なんて作った事さえありませんでしたから」

オーク隊長「それを魔王様に食べさせようとしてたのかよ……」

側近「あの娘なら大丈夫ですよ、多分」

オーク隊長「多分!?確証無しかよ!?」

竜爺「中々の歯ごたえじゃが味がダメじゃ」ムクッ

オーク隊長「アンタ丈夫だな!?」

側近「しかし困りましたね、これでは魔王様はお城で食事をとってくれません」

オーク隊長「食べてなかったのか?っつーか本人がいいって言ってるなら別に無理して食べさせることも無いだろ」

側近「ダメです。国のトップを飢えさせておいて何が側近ですか。それにあの娘は育ちざかりなのですよ、このままでは行けません」

オーク隊長「……で、何をさせる気だよ」

側近「簡単な事です。魔王様に相応しい明日の食事を用意するのです」

オーク隊長「嫌な予感しかしねぇよ……」

――――――
―――


側近「と、いう訳で始まりました第一回魔王様のハートを食事で射止めるのは誰だ大会ー」パフパフッ

魔王「……」

側近「何ですか、乗ってくれないのですか」

魔王「仕事あるんだけど……」

側近「そんなもん全部私が終わらせておきました。貴女は今日一日遊び呆けていればいいのです」

魔王「酷ェ!?」

側近「お城の料理が口に合わずにほとんど外食で済ませている貴女の為にやっているのです、少しはこちらの気持ちを汲んでください」

魔王「そ……そうなの?」

側近「……イエス」グッ

魔王「絶対ウソだろ」


側近「それでは一品目、お願いしまーす」

オーク隊長「ういー、俺が一番手だな」

魔王「オーク隊長か……子育てもしてるし何だかんで安心出来るな」

オーク隊長「俺が作ってきたのはこれだ!!ハンバーグステーキ定食!!」ドンッ

魔王「ウッ……朝から重い物を……」

オーク隊長「何言ってんだい魔王様!肉はみなぎるエネルギー!朝食わねぇでいつ食うっていうんだ!」

魔王「にしても量がだな……」

側近「魔王様は小食です、そんな気遣いも出来ないようじゃまだまだですね」モグモグ

オーク隊長「何でアンタが食ってんの!?」

側近「毒味ですよ。ふむ、随分と濃い味付けですね。確かにこれなら魔王様のようなお子様や中年男性は喜ぶでしょう。しかし私はそうは行きません」

魔王「お前の意見は求めてねぇよ」

側近「これではカロリーの偏りで魔王様のこの麗しいちっこく可愛い体系が維持できなくなります。そこんとこ分かって……」


魔王「あ、美味しい」モッキュモッキュ

オーク隊長「だろう?一応今回はお試しって事で濃い味付けの物持ってきたけど、いつもはちゃんと栄養バランスを考えてだな……」


側近「何か分からんがくらえぃ」バリバリバリッ!!

オーク隊長「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!?」

魔王「た、隊長ーーーーーーー!!」

オーク隊長「」プスップスッ……

側近「ああ、美味しくこんがり……いえ、無益な殺生をしてしまいました」

魔王「何で魔法で射抜いた!?隊長が何した!?」

側近「彼は甘言で貴女を誘惑し自分が先鋒でありながら満腹中枢を満たさせてこの企画を終わらせようとしました。その罪は重いです」

魔王「……また頭痛くなってきた」

側近「では次、行ってみましょうか」

「ヘイ、ワタシ、魔界ノコックネ」キシシシシ

魔王「……誰?」

側近「ウチ(魔王城)のコック長です。魔界では厨房の神様と呼ばれていました。貴女のお父様、先代が直々に引き抜いて来たんですよ」

「ワタシ、魔界デ200万ノレシピ、学ンダネ。ダカラ美味シイネ」シャキンシャキン

魔王「……何だこのまったく信用できないコッテリとした人物像は」

側近「ヒトは見掛けで判断してはいけませんよ、腕は確かです」

魔王「それに私は城の料理が口に合わないから外食をしているんだけど」

側近「今回は魔王様のお口に合うものを用意してきたとか。ではどうぞ」

「魔王様、魔界産ノ料理ニガテッテ言ウカラ、マイルドニシタネ」

魔王「……スープ、だな」

側近「スープですね。魔王様は朝食は軽めに済ませるのでこれとサラダをセットで取れば十分という結論に至ったのでしょう。いいんじゃないですか」

魔王「……お前、このドス黒い青色のスープを見て食欲はそそるのか?」

側近「魔界出身の私でも無理です」

「色ハマダ研究途中ネ、コレカラモット良クナッテイク予定ネ」ジャキンジャキン

魔王「ま、まぁせっかく作ってきたんだから食べない訳にはいかないよな」

側近「昨日の私が作ったものは食べてくれ無かった癖に」

魔王「やっぱりアレお前が作ったんだな!?」

側近「そんなことよりレッツトライ☆」

魔王「仏頂面でそんなノリノリにならんでもいいだろ……」

魔王「……」ズズッ

側近「ドキドキ」

「ドキドキ」

魔王「……」

魔王「まじゅい♪」ダバァ

「ギャアアア!魔王様ガ笑顔デ吐イタネ!!」

側近「ああもう、布巾持ってきてください。あとあなたは後で折檻です」

「」

――――――
―――


側近「コック長、しばらく地上の料理を学びに旅に出るそうです。と、言う名目で追い出しました。彼の今後の成長に期待をしましょう」

魔王「……もう嫌だ。もう何も食べたくない……」

側近「一応毒味の時点で私は平気だったのですが貴女は無理でしたか。しかし……ガタが来るのが予想以上に早かったですね。仕方がありません、先に口当たりのいいものを持って来ましょう」

魔王「お前私の話聞いてた?」

側近「それでは次の品、カモーン」

リザード「今度は俺たちだね!」

エルフ「あの……魔王様の為に頑張って作りました」

魔王「おお!お前らか!」

側近「何でそんな安堵しているのですか」

魔王「よく一緒にオーク隊長とお菓子作りをしているんだ。この二人なら信用出来る」

側近「あのデカい図体でいかにもオークって感じの人がお菓子作りですか……凄い絵面ですね」

魔王「ヒトを見掛けで判断してるのはどこのどいつだ」

エルフ「私たちはコレを作ってきました」

魔王「ん、パンケーキか……確かにこれなら小食の私でも問題はなさそうだな」

エルフ「はい!そういえば昨日のプリンは食べてもらえましたか?」

魔王「そうか、アレを作ったのはお前だったか。うん、美味しかったよ」

側近(……おや?)

リザード「ヘヘッ、コレ二人で作ったんだぜ!魔王様早く食べてみてよ!」

魔王「分かったよ、そう急かすなって」

魔王「……うん!美味しい!」モッキュモッキュ

側近(食べ方可愛いなぁもう)

エルフ「これなら毎日簡単に作れるし」

リザード「バリエーションも豊富だぜ!ちょっとてを加えるだけで色んな味わいに出来るしな!」

魔王「ああ、確かに私にはちょうどいいかもな」

側近「……」

エルフ「……どうしたの?側近のお姉ちゃん?」

側近「オチが付かない」ガタガタガタ

リザード「何言ってんだアンタ。じゃあ次の一口を……」コソッ

側近「あ」

側近「とりあえずくらえぃ」バリバリバリッ!!

リザード「ギャアアアアアアアアアアア!?」

エルフ「り、リザードくーーーーーん!!」

魔王「何で!?」

側近「ノルマです、気にしないでください」

魔王「理不尽だなオイ!?」

側近「と、言うのは建前。この子の手に持っていたものを見てください」

魔王「何?」

エルフ「えっと"かけて美味しいこの辛さ、ズッシリ100倍香辛料"……あーあー……」

側近「この悪ガキ、あろうことか魔王様に悪戯しようとしていましたね」

リザード「」プスップスッ

魔王「……アレか?信用しきっていた私が悪いのかこれは?」

側近「いやぁ、暴れる理由が出来てよかったです。そこのオーク隊長の骸と一緒に親子共々片付けておきましょう。さ、次行きましょう」ポイッ

エルフ「……部屋の隅っこに真っ黒いゴミが落ちてると思ったらお父さんだった」

魔王「うん、なんかゴメン」

竜爺「次はワシじゃな」デデドン

側近「はい、竜爺様ですね。お願いします」

魔王「んー、なんか竜爺が料理をするってイメージが湧かないなぁ」

エルフ「私も竜爺様が料理出来るなんて知らなかった」

竜爺「ん?ワシゃ料理なんて作れんぞ?」

魔王「何でここに来た!?」

側近「流れですよ、ねー」

竜爺「流れじゃのう、ねー?」

魔王「……もういいよ」

竜爺「ま、手ぶらでは来んよ。ほれ、茶菓子を持ってきたわ」

魔王「あー、なんかいかにも爺さんが孫に食わせようとするアレっぽいな」

側近「そう言わないでください、善意ですよ。全国のお爺ちゃんお婆ちゃんは孫の為にやってるんですから」

エルフ「わーい栗きんとんー!」

竜爺「ほっほっほ。温かいお茶と一緒に食べるといいのじゃ」

魔王「うん、美味しい」モッキュモッキュ

エルフ「んー」モグモグ

側近「じゃあ私も一つ」モグモグ

魔王「……平和だな」ズズッ

側近「平和ですね」ズズッ

側近「……」




側近「オチが……オチが……ッ!!」ガクガクガクガク

竜爺「お前さん、危ない薬でもキメているんじゃなかろうな」

魔王「もうそろそろいいだろう?オーク隊長とこのチビたちの料理で私はいいと思うんだけど」

魔王「それに、私も14だ。そろそろ自炊出来なきゃ女として恥ずかしいし、ちゃんと学ぼうと思う」

側近「あっ……それじゃあ最後にもう一品、もう一品だけあるのでそちらを……」

魔王「ん?まだあるのか。わかった、それじゃあ呼んできて……」


ガチャ


勇者「やぁ、魔王。元気かい?」

魔王「なっ!!ゆ、ゆゆゆゆ勇者!?」

側近「おや、勇者さんいらっしゃい。どこから入ってきたのですか」

勇者「正門からはどうせ入れてくれないし、適当に忍び込んできたよ」

竜爺「大丈夫かこの城の警備……」

魔王「な、ななな何故お前がここに!!」

勇者「何でって、遊びに来たんだけど……今取り込み中だったかな?だったら僕は帰るけど……」

魔王「いやいやいや!今は暇だからゆっくりしていけ!!ホラお茶菓子もあるぞ!!ハハハハハハハハ!!」


側近「勇者さんの前だとやたらテンパりますね魔王様。分かりやすい……」

勇者「ハハ、こういうところが可愛いんだけどね」

側近「で、何しに来たんですか」

勇者「いや、ホントに遊びに来ただけだよ。そうしたら何か面白い事をしていたみたいだし。僕も持ってきたよ、ほら」パサッ

側近「……これは?」

勇者「お握りだよ。それとも、もう催し物は終わりだったかな?」

魔王「まて!大丈夫だ!!私は今ちょうど空きっ腹だったのだ!ありがたくそのオニギリとやらを貰おう!!」バッ!!

勇者「誰も取らないからそんなあわてなくてもいいよ」

魔王「ふん!せっかく勇者が貢物として私に持ってきたのだ!無下にする訳にもいかんだろう!」モッキュモッキュ

側近「凄い勢い」

勇者「いつみても食べ方可愛いね」

魔王「……」モッキュモッキュ

魔王「……おいちい」モッキュモッキュ

側近「米を固めただけのものですが、なるほど。携帯食としては良さそうですね」

勇者「東洋の方の島国でよく見られる食事らしいよ。僕は直接見た事は無いけれどね」

魔王「おいちい……最後の一品は勇者が持ってきたコレだったんだな側近」モッキュモッキュ

側近「……はい、そうですね。勇者さんが嗅ぎ付けてくるという事は予想してましたので」

魔王「……」

側近「それではお開きにしましょう。料理の方は当番制で。オーク隊長一家に作ってもらうとしましょう」

魔王「そうだな、ついでに私もみんなから料理を学ばせてもらえば負担も減るだろうし」

側近「……そうですね」

エルフ「やったー!魔王様とお料理ー!じゃあ今日から早速始めよー!」

勇者「じゃあ今日は僕も参加しようかな。どうせ暇だし」

竜爺「一国の勇者が魔王城に侵入したうえで暇って……お主ドえらい肝が据わってるのう」

勇者「僕はさておき、あなたもそうでしょう、竜爺?」

竜爺「ふん、さてな」


ハハハハハハハハハ



側近「……」

――――――
―――


側近「……」ジャー

側近「……」カチャカチャ

魔王「おーい側近」

側近「ヒャッ!?ま、魔王様ですか……どうしたんですか」

魔王「何でお前が食器洗ってるのかなーと思って」

側近「コック長が居なくなったのでさっきのお皿を片付ける人がいなくなったから私にしわ寄せが来ただけですよ」

魔王「ふーん……そこの皿」

側近「何ですか」

魔王「見た事ない料理が乗ってるな」

側近「気にしないでください。自分で食べる分です」

魔王「知るか!いただきます!!」パクッ

側近「あっ、ちょっと」

魔王「んー……不味い」ガリガリ

側近「当たり前じゃないですか……私が作ったんですから」

魔王「最後の一品、これを出そうとしていたんだろう?」

側近「……何のことやら」

魔王「まぁ勇者が来るという訳の分からんハプニングはあったが、出してくれればよかったじゃないか」

側近「出せる訳ないじゃないですか、あんなに美味しそうに物を食べている貴女にこんなものを」

魔王「こんなもの、なんて言うな。昨日の料理だってまぁ……食えないことは無かったぞ」

側近「プリンの件でもしやと思いましたが……やっぱり食べたんですか、アレ」

魔王「後でこっそりな。言っただろ、出されたものは食べるって」

魔王「ちょっと手を出せ」

側近「嫌です」

魔王「いいからほら……」グッ

側近「あ……」

魔王「傷だらけだな。慣れない事をした証拠だ」

側近「……気まぐれで料理を始めただけです。魔王様には関係ありません」

魔王「城であまり食事をとらない私の為に色々してくれようとしたんだろう?」

側近「……知らない」

魔王「それじゃあ、これから一緒始めよう」

魔王「お互いに料理はダメダメなんだ。そうやってお前と一緒に何かを学んでいけたら私としては嬉しいんだけど……ダメかな?」

側近「……もう」

側近「分かりました、私としても魔王様を飢えさせては先代に顔向けも出来ませんし」

側近「そこまで言うのなら……一緒に花嫁修業でもしましょうか」

魔王「は、花嫁って……お前なぁ!!」

側近「フフ、精々勇者さんを満足させられる料理は作れるようになってくださいね、魔王様」

魔王「う、うるさいなもう!!」

側近(ホント、この娘は……)

側近(ありがとうございます。貴女のその気遣いに、私はいつも助けられていますよ……魔王様)

――――――
―――



側近「戦闘仔牛のローストにハイ仔豚スペアリブに地獄鳥のチキンパイ」

オーク隊長「おお、すげぇ……」

側近「オイルサーディンの王キャベツ巻にスーパーきのこのマリネ」

エルフ「うわぁ……すごい……」

側近「魚介は魔界魚のマリネに真空魚のカルパッチョ」

竜爺「これほどとは……」

側近「パスタ」

リザード「」

側近「どうぞみなさん、以前ご迷惑をおかけしたお詫びです。この一週間で学べるだけ学んだ成果と思ってください」

側近「……魔王様、まだ林檎の皮は剥けないんですか。デザートが遅れてつかえているんですよ、早くしてください」



魔王「何が……一緒に学ぶだ……一人だけ滅茶苦茶上達しやがって……」プルプル

勇者「ああ魔王!焦っちゃだめだよ!手を切っちゃうから、刃物の扱いは慣れてるし僕がやろうか?」

魔王「うるさあああああい!!私がやるからお前はあっちで座って待ってろ!!」ザクッ

魔王「ギャアアアアアアアアアアアア!!切ったあああああああああああああ!!」

勇者「ほら言わんこっちゃない」

魔王「だああああああああああ!!何でだあああああああああ!!」


側近「私と肩を並べようなんて100年早いんですよ、魔王様!」



側近「魔王様の食事情」おわり!

終わった
予告したSSは消化していかなければ……(使命感)

もしお付き合いしていただいた方がいましたら、どうもありがとうございました

過去作
http://blog.livedoor.jp/innocentmuseum/

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