走れさやか (63)
まどマギをもとにした走れメロスのパロです。
叛逆のネタバレを含みます。
こういうのもクロスものというのでしょうか……いえ、言わんですね。
走れメロスが遠い記憶のかなたの人への参考URL
http://www.aozora.gr.jp/cards/000035/files/1567_14913.html
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さやかは激怒した。必ず、邪知暴虐の悪魔を除かねばならぬと決意した。
さやかにはほむらの気持ちなどわからぬ。
しかしさやかはキュゥべえと契約した魔法少女である。かつて円環の理に導かれ、そこで緩やかに時を過ごしていた。
ゆえに、邪悪に対しては、人一倍敏感であった。
ある日、さやかは円環の理から出発し、世界の境界すら超えた偽物の見滝原市にやってきた。
親友である円環の理は、かつての友人を迎えることになっていた。
インキュベーターの計略にとらわれたその友人を救うため、そっと夜露が零れるよりも恭しく地上に降りた親友に随行するべく、さやかは円環の理の一部から再び個として切り離された。
さやかは、それゆえにはるばる偽物の見滝原までやってきたのだ。
そうしてさやかは、同じく円環の理である百江なぎさとともにインキュベーターを首尾よく騙し通してみせた。
これでほむらをまどかと会わせてあげられる。さやかはそう思っていたのだが、ほむらは、そんなことでは満足しなかった。
ほむら「この時を、待っていた」
ガシッ
さやか「暁美ほむら、あんたはいったい!?」
まど神「だめ、わたしが裂けちゃう!」
パリン
そうしてどうしたことか、さやかはいつかの見滝原とは少し違う見滝原に戻っていた。
少しぶらぶらと町を歩いてみたが、やはり同じようで何かが違う。
のんきなさやかもさすがに不安になって、道端にいたインキュベーターを捕まえて、何があったのか質問した。
QB「暁美ほむらは世界を改変してしまったんだ」
さやか「なんでそんなことするのよ」
QB「僕にも理解できていないよ。ほむらは『愛よ』とか『悪魔とでも言うしかないんじゃない?』とか言っていたけれども……」
さやか「は? どういうこと? ほむらは乱心したの?」
QB「きっとそうなんだろうね。愛がどうだとか、わけがわからないよ。今日も彼女の使い魔に僕が六十匹ほど潰されたんだ……」
聞いて、さやかは激怒した。
さやか「あんたのことはどうでもいいけど……あきれた悪魔ね。ほっとけないわ!」
さやかは単純な女であった。
着の身着のまま、のそのそ悪魔のもとへと向かった。
ほむら「……何かしら? また何か用?」
暁美ほむらは静かに、けれども威厳をもって問いかけた。その悪魔の顔は蒼白で、目元には深い隈が刻みこまれていた。
さやか「まどかを悪魔の手から救うのよ」
さやかは悪びれせずに答えた。
ほむら「あなたが?」
ほむらは憫笑した。
ほむら「仕方のない子ね。あなたには、わたしの気持ちなんてわからないわ」
さやか「なんであんたはいつもそうなのよ!」
さやかはいきり立って反発した。
さやか「いつだって人を疑って! あんたは友達の心さえ信じていない!」
ほむら「疑うのが正当な心構えなのだと、わたしに教えてくれたのはあなたたちよ。人の心なんて、あてにならない。人間はもともと欲の塊よ。信じては、ならない」
悪魔は落ち着いてつぶやき、ほっとため息をついた。
ほむら「わたしだって、平和を望んでいるのよ」
さやか「何のための平和よ。自分の欲望をかなえるため?」
今度はさやかが嘲笑した。
さやか「世界を壊して、何が平和よ」
ほむら「黙りなさい、美樹さやか」
ほむら「口ではどんな清らかなことでも言えるわ。わたしにはあなたのはらわたの奥底がすいて見えるわ。円環の理に戻って、家族や杏子と離れ離れになってから泣いてわびたって聞かないわよ。それともいまここで、存在ごとなくしてあげようかしら」
さやか「ええ、あんたは利口よ。うぬぼれてるがいいわ。あたしはちゃんと[ピーーー]る覚悟でいるのに。命乞いなんて決してしない。ただ――」
ほむら「ただ?」
さやか「ただ、あたしに情をかけたいつもりなら、あたしを処分するのに三日間の日限を頂戴? 実は……その三日のうちに仁美と恭介が結婚式を挙げるの」
ほむら「はい? なに言ってるのあなた?」
う、すまん。
ほむら「口ではどんな清らかなことでも言えるわ。わたしにはあなたのはらわたの奥底がすいて見えるわ。円環の理に戻って、家族や杏子と離れ離れになってから泣いてわびたって聞かないわよ。それともいまここで、存在ごとなくしてあげようかしら」
さやか「ええ、あんたは利口よ。うぬぼれてるがいいわ。あたしはちゃんと死ねる覚悟でいるのに。命乞いなんて決してしない。ただ――」
ほむら「ただ?」
さやか「ただ、あたしに情をかけたいつもりなら、あたしを処分するのに三日間の日限を頂戴? 実は……その三日のうちに仁美と恭介が結婚式を挙げるの」
ほむら「はい? なに言ってるのあなた?」
ほむら「とんでもないウソを言うわね。あの子たちが何歳だと思っているの?」
さやか「実はあんたが世界を改変した影響で、結婚可能年齢が大幅に引き下がったのよ。あたしたちの年齢から結婚できるようになってるわ」
ほむら「え?」
さやか「しかも同性婚まで可能になってるわよ。どういうことなのよ?」
ほむら「えぇ!?」
さやか「……何にしても、あたしは約束を守るわ。三日だけ許して。その間に仁美と恭介を祝いたいの」
ほむら「え、え? いやちょっと、頭の中を整理させて頂戴。予想外の改変に混乱してるの」
さやか「もしあたしが信じられないっていうなら、いいわ。あたしがいま最も助けたい友人を人質としておいていくわ」
ほむら(ええっと、わたしたちの年齢で同性婚が可能ってことは、つまりまどかとも結婚できるわけで――人質?)
さやか「あたしが逃げてしまってここに帰ってこなかったら、その友人を好きにすればいいじゃない」
ほむら「……っ!」
ほむら「……ふん。いいわ。もし約束通りに帰ってきたら、あなただけでも円環の理に戻してあげましょう。ただし戻ってこなかったら、その友人がひどい目に合うわよ。……そうっ、悪魔らしくエロ同人みたいに!」
ほむら(さやかの友人といえば杏子が妥当だけれども『最も助けたい』というならまどかよね。ふふふ、これでさやかに邪魔されずにまどかをほむほむする大義名分ができたわ!)ホムホム
ほむら「ふふん。命が大事だったら遅れてきなさい。どうせあなたは、人の身の幸せから逃れることなんてできないわよ」
さやか「……いいわ。よく聞きなさい、ほむらとその使い魔たち。あたしがいま最も助けたい友人っていうのはね、ほむら、あんたよ」
ほむら「え? あ、あなた何を言ってる」
さやか「世界を壊して悪魔になっちゃった友人をそれでも救いたいって、そう思ってるの。わかった、ほむらの使い魔たち!?」
ほむら「え、いやだから――」
ホム衛兵「ヤー」ガチャン
ほむら「え? え、え? ちょっとあなたたち? わたしに手かせなんてしてどうするつもり――」
ホム衛兵「♪~」ザッザッ
さやか「それじゃね、ほむら! きっと、たぶん、おそらく、気が向けば戻ってくるよ!」
ほむら(あ。これわたし死んだわ)ズルズル
そうしてさやかの悪友、暁美ほむらは自分の結界に取り込まれた。
一切の事情を悟ったほむらは無言であった。
自らの使い魔に手かせをはめられ、三日間かけてギロチンの元まで引きずられていくのだ。
もはやすべてをあきらめきったほむらの頭には、絶望と後悔しかなかった。
ほむら(ああ、お花畑が見えるわ。まどかと語り合った場所……あそこで、わたしは死ぬのね)
初夏、満点の星である。
~一日目~
さやか「ふふふ、自分が怖い、自分の計略が完璧すぎて怖いわー」
さやか「適当な嘘でほむらをうろたえさせた後、ほむらに気が付かせないうちに話術で追い詰める」
さやか「このままほむらが倒されちゃえば、円環の理ももとに戻るはず! なんという完璧な計画!」
QB「さやか……僕が言うのもおかしいかもしれないけれど、君はずいぶんな人でなしだね」
~ほむら結界内~
ホム衛兵「♪~」ザッザッ
ほむら(本当に長い葬列ね。しかも前回と違って三日かけて歩き通しだなんて……)ズルズル
ほむら(前回はまどかのためだからこそ耐えられたけど、今回はさやかの計略にはめられた完全なる無駄死に……ぐすん)ズルズル
偽街の子供達「……なにをやってるんだろう?」
~二日目・教室~
和子先生「はい、それでは出席をとります。暁美ほむらさん。……暁美さん? あら、休みかしら。連絡はもらってないのだけど……」
まどか「あれ……? 今日、ほむらちゃんお休みなのかな?」キョロキョロ
杏子「珍しーな」
さやか「ま、まあほむらだって風邪ぐらいひくでしょう。そんな不思議がるほどのことじゃないよ!」
さやか(ほむら……南無)
~ほむら結界~
ほむら(もう疲れたわ……何もかも、どうでもいい……)ズルズル
ホム衛兵「♪~♪~」
ほむら(……まどかぁ)ズルズル
ワガママ「昨日から何やってるんだろう」ヒソヒソ
ワルクチ「手錠プレイ?」ヒソヒソ
ネクラ「いや、ご主人様の葬列じゃない?」ヒソヒソ
ナマケ「久しぶりだね」ヒソヒソ
ほむら「!」
ほむら(この子たちなら、衛兵と違ってある程度なら言うことを聞いてくれるわ……!)
ほむら「あなたたちっ、お願い! 美樹さやか! 美樹さやかを呼んできて!」
ヤキモチ「ミキサヤカを?」
レイケツ「なんでそんなことしなきゃいけないの?」
ほむら「うっ。そ、それは、その……」
ほむら(できるだけこの子たちが言うことを聞いてくれるお願いをしなくては……そうだっ。確かこの子たちは泣き屋。葬列を盛り上げるのが役割っ。なら――)
ほむら「葬列! この葬列を盛り上げるためには、わたしの友人が必要なのよ!」
ミエ「葬列を盛り上げるためには?」
ヒガミ「友人が必要?」
イバリ「ならしょうがない」
オクビョウ「呼んでこよっか」
偽街の子供達「呼んで来よう」
~三日目~
さやか「とうとう、今日の日没が期限、か……」
さやかは青い空を見上げて呟いた。
ほむらは、今宵、殺される。そうすれば、自分も円環の理に戻るのだろう。
そう。さやかは悪魔の奸佞邪知を打ち破るため、自らと友人をも殺すのだ。
若いさやかは、つらかった。幾度か思いとどまって、ほむらの結界内に赴こうかと走りだしそうになった。
そのたびに、えい、えいと自分しかりつけながら思いとどまった。
学校を終え、帰りの準備をし、帰路に着いたころには、もう心の整理はついていた。
ここまでくれば大丈夫。杏子はきっと幸せに生きてくれるだろう。まどかだって、彼女の願いを取り戻せるならばそれが一番のはずだ。ほむらは……ま、しゃーない。
さやかには、もうなんの気がかりもなかった。
さやか「~♪」
持ち前ののんきさを取り戻し、好きな小唄を歌い始めた。そんな時である。
キグルミ鳥「カアカア!」
さやか「!」
降って湧いた災難に、さやかの足は、はたと止まった。
さやか「これは、ほむらの使い魔!?」
あたり一帯の木から飛び立ったキグルミ鳥の群れは、あたかも氾濫した川の流れのようだった。
さやか「くうっ。ま、け、る、かぁああああ!」
濁流は、さやかの叫びをせせら笑うがごとく、ますます激しく踊り狂う。そうして、さやかをどこかへ連れて行こうとする。
さやかは覚悟した。この濁流を切り開くよりほかはない。
さやか「見せてやるっ、濁流にも負けない愛と正義の力!」
さやかはソウルジェムを掲げ変身し、一匹の生物のようにのたうち荒れ狂うキグルミ鳥を相手に、必死の闘争を開始しした。
ここで連れさられてしまうわけにはいかない。その思いを腕に込め、黒い濁流をサーベルで切り開いていく。
そうして、少しづつソウルジェムを濁らせながらも、さやかはキグルミ鳥の群れから脱出することができた。
さやか「……ふう。何とかなったか。けどなんで――ッ!」
ほっとしたとき、突然、目の前に子供たちが躍り出た。
レイケツ「待て」
イバリ「見つけた」
さやか「あんたたちは……!」
オクビョウ「ミキサヤカ」
ネクラ「葬列においで」
ミエ「ご主人様の葬列を盛り上げるために」
ウソツキ「葬列においで」
さやか「さては、ほむらの命令であたしをさらいにきたな」
使い魔たちはものも言わずに一斉にマチ針を振り掲げた。
さやかはひょいと体を折り曲げ、飛鳥のごとく身近な一人に襲い掛かる。
さやか「気の毒だけど、正義のためなの!」
猛然一闘、必死な闘争の末に三人を殴り倒し、残るもののひるんだすきにさっと走ってそこを後にした。
一気に道を駆け抜けたが、魔力の消耗からさやかは幾度となくめまいを感じ、ついにがくりと膝を折った。
立ち上がることができぬのだ。
疲れ切った体であおむけになり、さやかは思った。
さやか(ごめんね、ほむら。あたしは最初からあんたをだますつもりだった。世界のために、まどかを救うためだって言い訳して、こんなことをしちゃったんだ)
さやか(あたしのこういう部分が、あんたを悪魔にした原因の一つなのかもしれない。許してなんて言わないよ、ほむら。あたしは永遠に裏切り者で、地上でもっとも不名誉な人間だ)
さやか(でも結局、人を殺して生きる。それが人間世界の定法じゃなかったのかな。正義だの、真実だの、愛だの、考えてみれば、くだらないな……)
さやか(ああ、何もかもばからしい。あたしはひどい裏切り者だ)
さやか「ほむら。あたしも一緒に逝くよ」
そうしてすべてをあきらめきった時、ふと目に、さんさんと輝く光が言えた。
光に形などない。光はただきらめくだけの清流な存在だ。けれども、それが確かにさやかに語り掛けているのだ。
まど神「さやかちゃん。ほむらちゃんを、一人ぼっちにしないであげて」
さやか「……!」
光が消えると同時に、目が覚めた気分だった。
歩ける。行こう。
わずかながらの希望が生まれ、ソウルジェムの濁りが薄れた。
義務遂行の希望である。わが身を殺して、名誉を守る希望である。
斜陽は赤い光を投じ、さんさんと輝いている。日没までにはまだ間がある。
きっとほむらは信じていない。
さやかが来るなど少しの期待も持っていないだろう。そんなほむらの鼻を明かしてやるのもいいではないか。さやか、お前は報いねばならない。今はただその一事だ。
走れ! さやか。
いったん中断。
また、深夜に続き書いて終わらせる。
さやか「あたしは信頼されている。ほむらには一ミリも信じてもらっていなくても、まどかに信頼されているんだ……!」
ほむらをはめた計略は、夢だ。悪い夢だ。忘れてしまえばいい。
人間、誰しも悪魔のささやきに取りつかれることがある。それはさやかの恥ではない。むしろ真の勇者だ。友人のため、再び走れるようになったのだから。
さやか「ごめん、ごめんね、ほむら……!」
さやか駆ける。ずんずん沈む日に対抗するように、正義の士として死ぬために駆け抜ける。
道行く人を押しのけ跳ね飛ばし、さやかは青い風のように走った。魔法少女の姿のままであったが、風体なんてどうでもいい。少しずつ沈んでいく太陽の、十倍速くかけぬけた。
ナマケ「あ、ミキサヤカ」
さやか「あんたは、ほむらの使い魔! あんたなんでこんなところに!?」
ナマケ「サボってる」
さやか「あっそう! 悪い子だね! でも都合がいいわ! あんたらの結界どこ!? 全然見つからないんだけど!」
ナマケ「何で? もうご主人様の葬列は終わっちゃうよ?」
さやか「マジで!? ちょ、早く案内して!」
ナマケ「えー。もう遅いよ」
さやか「いや、まだ間に合う! 間に合わせるの!」
ナマケ「めんどくさ……」
さやか「いいから!」
ナマケ「はーい」
まだ日は沈まない。最後の死力を尽くしてさやかは走った。
さやかの頭は空っぽだ。なに一つ考えていない。ただ、わけのわからぬ大きな力にひきずられて走った。
そうして最後の一片の残光も消えようとしたとき、さやかは疾風がごとく結界の刑場に突入した。
ナマケ「ありゃ。ほんとに間に合った」
さやか「待って……っ。その人を殺しちゃだめ……あたしが戻ってきたっ……約束の通り、美樹さやかがもどってきた……っ」
さやかは大声で叫んだつもりだったが、息も絶え絶え、しわがれた声がわずかばかり漏れるばかりだ。
使い魔は誰一人さやかの到着に気が付かない。
すでにギロチンの刃は高々と掲げられ、手かせをかけられたほむらは徐々に引きずられていく。
さやか「……ッ」
さやかはそれを目撃して、最後の勇気を絞り出す。
ほむらたちの使い魔をかき分け、かき分け
さやか「あたしよ、使い魔たち! 殺されるのは、あたし! ほむらを人質にしたあたしは、ここにいる!」
ザワッ ガヤガヤ
ほむらの腰に抱き付いたさやかに、使い魔たちはどよめいた。
ガンコ「ミキサヤカだ」
ヤキモチ「なんで」
オクビョウ「連れてこれなかったのに……」
マヌケ「葬列は中止?」
レイケツ「そういう約束だし、仕方ない」
ほむら「さやか、あなた……」
ほむらの手かせは解かれた。三日間引きずられ続けたほむらは、さやか以上に疲労困憊して、やつれた様子であった。
さやか「ほむら」
さやかは目に涙を浮かべていった。
さやか「あたしを殴って。力いっぱい頬を殴って。あたしは悪い夢を見た。あんたをだませば世界が救われるっていう、悪い夢を。だから、そんなあたしを殴りとばぶうう!」
ほむらは、さやかがすべてを言い切る前に、結界内すべてに響き渡るほど大きくさやかの顔面を殴り飛ばした。
ほむら「言われないでも殴るわよ! どんなに、どんなにつらかったか……!」
さやか「あ、うん。だよね。でもマウントポジションをとるのはやめてくれなびぶぅっ!」
ほむらはさやかの言葉など聞かず、腕にうなりをつけてさやかを殴った。
さやか「え、いやだからマジでやめごぶぅっ!」
ほむら「まだよ。まだわたしの気が済まないわ。円環の理に戻すなんて論外。存在を消すなんて生ぬるい。永遠の地獄を味あわせてあげるわ、美樹さやかぁ!」ゴスッゴスッ
さやか(あー、やばい。お迎えが、光になったまどかが見えてきたー)
まど神(ウエヒヒ、さやかちゃん、ガンバッテ!)
さやか(!? まどかぁ!?)
ほむら「はっ。まどか? まどかの気配がする!」
まど神(!?)
さやか(何でわかるんだこいつ……)
ほむら「そっか。さやかを痛み付ければ、いつでもあなたを身近に感じることができるのね……」
さやか「ね、ねえ、ほむら? あんた大丈夫? 手は止まったのはいいけど、目が完全にイっちゃってるんだけど……」
ほむら「そうね……それなら決まりだわ。あなたたち。インキュベーターに次ぐ新しいおもちゃをあげるわ」
どっと使い魔の間に歓声が起こった。
偽街の子供達「万歳、ご主人様万歳」
さやか「は? ほむら、あんたいったい何を――!?」
ホム衛兵「ヤー」ガシャン
一人の使い魔が、手かせをさやかに着けた。さやかは反射的に抵抗してから、ふと気が付いた。
さやか「え? あ、おもちゃってもしかしてあたしのこと!?」
ほむら「そうよ。インキュベーターみたいに取り換えはきかないけど、自動修復機能が付いた優秀なおもちゃよ」
さやか「ま、待って、ほむら。あんた本気で……!?」
おののくさやかに、佳き友は気をきかせ、にやりと悪魔のような笑み浮かべて教えてやった。
ほむら「さあ、さやか。地獄はまだ始まったばかりよ。まずは、わたしと同じ経験をしてもらおうかしら。三日間に及ぶ葬列が、どれだけつらいものかを、たっぷりね」
さやか「うぇえええええ!?」
来たりくる運命に、さやかは、ひどく青ざめた。
おしまい。
もし太宰のファンがいたらすいません。パロとは名ばかりの、文章の形だけ借りたものです。
原作レイプというか、原作にかすりもしてないというか。
ちゃんと寓話性を反映させるか反転させられれば良かったんだけど、無理だった。心の底から反省してます。
あとさやかファンにもごめんなさい。
べつにさやカスにするつもりなかったんだけど、なぜかそういう流れになった。
セリヌン杏子を救うべくひた走るさやかちゃんも頭にはあったんだけど、どうしても処刑というとほむらのほうが似合うもんで……しかもネタとしてはそっちのほうが楽しそうだったものだから、つい。
安価でセリヌンティウス役を選ばせようかとも思ったんですけどね。
ところで、なんで俺、一日かけてこんな話書いたの? 最初はクララドールズを活躍させるべくパソコンのキーボードを打っていたはずなのに……。
クララドールズSSもっと増えろ。
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