さやか「あ、恭介帰ってきた」古泉「困ったものです」 (26)

ビッチは美樹さやかでその男はやはり上条恭介。そしてギャル男の役は不人気の古泉一樹だろうといつまで夢みていたかっていうのは
たわいもない世間話にもならないくらいどうでもいい話なんだけど、
あたしはというと、最初から夢みてなんていなかった。



恭介の家


恭介「なんでさやかが居るんだよ」

さやか「おばさんに上げてもらった~wwwwww」

恭介「そうじゃなくてさ」

さやか「あ、そうそう!も~聞いてよ~!今日朝から古泉くんとデートする予定だったのに『用事できました』ってドタキャンしてさ~!ひどくな~い!?」プンスカ

恭介「ああ、それはひどいな。さやかみたいな尻軽女の彼氏なんて重荷背負わされてる上に週末デートとか最悪だよ」

さやか「なにそれひっどーい!ぜったいあたしがかわいそーでしょー!ね~?恋に疲れたあたしを慰めてやろうかな~?なんてイケメン知らな~い?」スリスリ

恭介「少なくとも僕じゃないよ」ゲシッ

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さやか「痛った!何よー!足蹴にしないでよー!あんたの大事なさやかちゃんでしょー!?」

恭介「もう大事じゃない、出てけよ」ゲシゲシ

さやか「いった…痛いってば……行くから!もう!」

バタン!

さやか「なによ……今日に限ってどうしたのよ」シュン

恭介「行ったか……はぁ、素直に僕と付き合って……いや、もういいや」ゴロン

恭介「なんであんな奴好きだったんだろう」

回想

幼恭介「ボク大きくなったらさやかちゃんとけっこんする!」

幼さやか「うれしい!あたしもぜったい恭介のおよめさんになる!」

小恭介「さやか!僕、君が誰よりも好きだよ!」

小さやか「恭介……あたしも……好き……」

中さやか「お願い……あたしのはじめて……恭介にあげたいの……」

中恭介「……さやか」

ここまで

恭介(で、高校入ったら『イケメンに告られちった~wwwwww』だもんな)

恭介(フレよ……ていうか僕をフルなよ……)

恭介(そのままビッチ化して彼氏と面倒起こしては僕のとこに転がり込んできて……)

恭介(何度説得しても泣いても拝み倒しても翌日にはケロッとした顔で彼氏作って)

恭介(僕いつの間に都合のいいキープ君に成り下がってしまったんだろ、もういいや、寝よう)

恭介「zzz……」

翌日 北高

さやか「はぁー」ぐてー

まどか「さやかちゃん元気ないね。何かあったの?」

さやか「実はね…ダンナとセックスレスでさぁ…」

まどか「え?ダンナって古泉くんのこと?ていうか飽きるの早いよ…」

さやか「違う…恭介だよ。9組の古泉くんとは別れた」

まどか「上条くん?ていうかさやかちゃん上条くんとそんな関係なのに彼氏作って遊んでるの?」

さやか「無きにしも非ずっていうじゃん?傷ついたあたしを癒してくれるはずのエンジェルが昨日は何故かご機嫌斜めだったの~!」

まどか「…そんなの絶対おかしいよ」

まどか「今まで優しくしてもらえた奇跡に感謝して悔い改めなきゃダメだよ!」

古泉「ちょっと美樹さん、どういうことです?そんな人がいるなんて聞いていませんよ?」

さやか「言ってないも~ん、てかあんた関係無いでしょ!彼氏づらしないでよ!デートすっぽかしたくせに!」

古泉「あなたがデートする当日に電話をするから悪いんでしょう?僕にも都合というものがあります。
   …とにかく、考え直してください。僕は急ぎますのでこれで」スタスタ

さやか「べー!だ、恭介なら当日言っても1日付き合ってくれるもんねー!だ」

まどか「だからどうしてそんなに尊い人を裏切ってるのさやかちゃん……」

仁美「あの…9組の古泉さん怒ってましたけど何かありましたの?」

まどか「かくかくしかじか」

仁美「え?それはマズいですわ。あの方、上条くんの所へ…」

さやか「!」ガタッ

別のクラス


ハルヒ「ねえほむら。あんた一人暮らしなんでしょ?ごはんはどうしてるの?」

ほむら「夕飯は店屋物、朝飯はコンビニ弁当ってところかしらね。
   明日はお弁当の日だから帰りにスーパーで冷凍食品でも買っていかないといけないわ」

ハルヒ「ちょっとあんた!そんなんじゃだめよ!栄養が偏るじゃない!
   …しょうがないわね、あたしが作って…って古泉くん?どうしたの?」
 
古泉「突然ですみません。上条恭介という方はご存知ですか?このクラスだと聞いたのですが」

ハルヒ「上条くんならあそこでキョン達と話してるわよ」

キョン「ん?古泉か」

古泉「どうも」

恭介「…誰だい?」

キョン「ああ、こいつは…」

古泉「僕は古泉一樹と申します。
   …上条恭介さんにお話があるのですが、少しよろしいですか?」

恭介「……さやかの彼氏か……?」

古泉「わかっているのなら話は早い。
   …ついて来てください、ここで騒ぎは起こしたくないでしょう?」

恭介「……君はいいよな、彼氏づらできてさ」

古泉「はい?」

恭介「僕はあいつにとって暇なとき出して遊ぶ玩具みたいなもんなんだ、
   いくら好きになってももう僕は彼氏にはなれない、遊ばれてるんだよ」

古泉「……」

恭介「僕に構ってる暇あったらさやかの首に鎖でも巻いたらどうだい?もう遅いかも知れないけどさ」

古泉「あなた……」

さやか「ちょっと!何やってんのよ!恭介はあたしのモノなんだからね!勝手に触らないで!」

古泉「……」

恭介「なっ…」

古泉「…申し訳ない」

恭介「いや、僕の方こそ、嫌な話聞かせてすまない」

古泉「んっふ」

キョン(…なにやらホモ臭さを感じるな。関わらん方がよさそうだ)

さやか「なにをいつまでやってんの!離れなさい!ほら!こっち!」グイグイ

古泉「分かりましたから、そ、そんなに引っ張らないでくださいよ」

恭介「まだちょっと羨ましい……かな」ボソッ

さやか「恭介は心配しなくていいよ!コイツはあたしがやっつけとくから!」

恭介「……古泉さんと仲良くな」プイッ

さやか「あ、ちょっと……今日も恭介ん家に…」

恭介「二度と来ないでくれ」

古泉「行きましょう、美樹さんも彼に構うのはもうやめてください」

さやか「な……なんなのよ………二人して……」

恭介の家


恭ママ「恭介、さやかちゃん来てるわよ~?」

恭介「バイオリンの練習で忙しいから帰ってもらって」

恭ママ「だそうよ、ごめんなさいね…あの子最近元気なくて……」

さやか「……なんなのよ、あたしが悪いの?」ボソッ

恭ママ「?」

さやか「おじゃましました………」トボトボ

恭介「行ったか……」

恭介(携帯の中のさやかの写メ、消せないな……)

恭介(あの頃は、楽しかったな……)

恭介(かわいいな、思い出の中のさやか……空しい、寝よう)

翌日 北高

1年5組

恭介「……」

キョン(上条の奴元気ないな。…やれやれ仕方ない)

キョン「なあ」

恭介「ん?」

キョン「今度……暇ならどこかに行かないか?」

恭介「……」

キョン「女子も結構来るんでな……お前も、また彼女見つけたらどうだ?」

恭介「ごめん、ありがとう」

1年6組


さやか「あれから恭介が目も会わせてくれない……」グッタリ

まどか「反省してる?もう上条くん以外の人に浮気しない?」

さやか「した、したよ、恭介とまた一緒に遊んだりしたいよぅ」

まどか「…今度、私達とキョンくん達で遊びに行くんだけど、上条くんと古泉くんも来るんだ」

さやか「あたしもいく!!!」ガバッ!

まどか「はいはい、さやかちゃんも一緒だね」

さやか「うらっしゃー!」


長門「……(うるさい)」ペラッ

キョン「おい、なんで美樹さやか連れてきたんだ?」ヒソヒソ
まどか「さやかちゃんも反省したみたいだしもう一回くらいチャンスあげようよ」ヒソヒソ
キョン「それにしたってだな…っておい!上条!離れて歩くな!」

恭介「ああ、ごめん…」チラッ
さやか「~♪」

古泉「……」

まどか「もう一度考え直してみようよ、ね?」

恭介&古泉「はぁ……」

さやか「ねぇ!どこいくの?」

マミ「私も知らないわ…えっと、上条さんは知っている?」

恭介「え、いや……知らないけど」

マミ「そうなの、どこに行くのかしら」

恭介「さぁ、キョンに任せれば間違いないんじゃないかな」

マミ「ウフフ♪」
恭介「ははっ」

さやか「ぐぬぬぬぬぬぬぬぬ!」

喫茶店

まどか「…それでほむらちゃんはね、ハルヒちゃんに気に入られちゃってSOS団とかいうのに無理やり入部させられたんだって」

キョン「そいつは災難だったな」

さやか「あいつ一人だけ高校では別クラスだし、笑っちゃたなーww」

キョン「上条もだろう」

さやか「アハハ」
まどか「ティヒヒ」
キョン「ヤレヤレ」


古泉「…あの、一応聞いておきますが、まだ未練はおありですか?」

恭介「ああ、ちょっとはね、まだもしかしたらって思ってる」

古泉「そうですか。しかし、僕も引きませんよ」

恭介「……」

マミ「上条くん、どうしたの。顔色が悪いわよ?」

恭介「大丈夫、気にしないでください」

マミ「無理しちゃだめよ?」

恭介「はい。ありがとうございます」

さやか「マミさんめ、あたしの恭介にくっつきおって…」

古泉「あなたはこちらに居てください、彼らの邪魔をしてはいけません」

さやか「邪魔ってなによ!そもそも恭介とあたしは!」

古泉「彼は物じゃない、ちゃんと近くにいて捕まえていなかったあなたが悪いのですよ」

さやか「でも……でも……」

古泉「忘れてください、あなたから離した縁です、未練も後悔もないでしょう?」

さやか「……」

恭介「やっぱり、僕なんかより古泉さんと一緒の方がいいのかな」ボソッ

マミ「…上条くんは美樹さんのこと好きなの?」

恭介「ええ、好きでした……今は、現実が見えてしまって……」

マミ「あの…わ、私なんかじゃ慰めにもならないかも知れないけど、側に…いるわよ?」

恭介「巴さん……ありがとう……ありがとうございます」

まどか(さやかちゃん何やってるの!上条くん取られちゃうよ……)

恭介「ごめん、トイレ」

まどか「今だ!座席シャッフル!はい古泉くんこっち!マミさんこっち!」

キョン「マジかよ」

古泉「ちょ、ちょっと」

マミ「え、ええ……(上条くんの隣が…)」シュン

恭介「ただいま…あれ?」

さやか「こっち!恭介こっち!ね?ほら!座って!こっちこっち!」バンバン

恭介「……」ストン

さやか「えへへ♪離れてて寂しかったよぅ」スリスリ

恭介「……(こんなことを言っていても、こいつにとって僕は……)」

キョン「鹿目はあっち側(恭さや派)だったのか」

マミ(上条くん、辛そうね…)

古泉「あの、もう出ませんか?(徒歩ならまだなんとかなります!)」ガタッ

マミ「そ、そうね!しまむら行きましょう!しまむら!(頑張って私!私が上条くんのマイスイートエンジェルになるのよ!)」ガタッ

キョン「……しまむらかよ」

恭介「わかった、行こう」

さやか「あ、おいこら!やっと来たサービスタイムなのにー!」

まどか「ごめん、さやかちゃん。これ以上は手助けできないよ。ていうか私もしまむら行きたいし」

キョン(おいおいマジかよ。しまむらって人気あるのか?)

さやか「ぐぬぅ……」

マミ「か、上条くん、手を繋いでもいいかしら?(こうなったら攻めるしかないじゃない!)」スッ

恭介「あ、はい」

恭介(さやかは……いつも勝手に歩き回って、こんな風に並んで歩いてくれなかったっけな……)

さやか「」

古泉「美樹さん、あなたは僕と行きましょう」ニコッ

さやか「ぅぅ……(恭介とくっついて歩きたかったよぅ……)」

さやか(いいなあ…手繋いで仲良く歩幅合わせてさ…)

古泉「あちらばかり見ていると危ないです。コケても知りませんよ」

さやか「見るよ、見る、いっぱい見る……ぐぬぬ、本当ならあたしがあそこに…」

古泉「今まであんな風に歩いたことはあるんですか?」

さやか「………………ない」シュン

古泉「なら諦めてください、彼はもうあなたの想像もつかないほど遠くに行かれてしまったのですよ」

さやか「いるよ…そこにいるもん……あたしのきょーすけ……」

古泉「いえ、いません。もう…『あなたの恭介』なんてどこにもいない。彼は誰のものでもない『ただの恭介』です」

さやか「違うもん、あたしのだもん、違うもん、違う…………」グスッ

古泉「……(泣くぐらいならなぜ捨てたのですか、本当にあなたは馬鹿だ……)」

しまむら

キョン「…やれやれ、本当にしまむらへ来てしまったわけだが…」

まどか「来て当たり前だよ。ナウなヤングにアルティメット大人気なしまむらなんだよ?」

キョン「ああ……そうかい」

マミ「上条くん、この服どうかしら?」

恭介「うん、かわいいと思いますよ、色はこっちのが似合うと思うけど」

マミ「そうかな?ウフフ、じゃあ試着してくるわね(かわいいって言われちゃった……もうやだ顔真っ赤かも……)」

まどか「…ちょっと、さやかちゃん。ベルトなんか見てないで上条くんのところに行きなよ」

さやか「うー、そうだよね、ベルトより鎖だよね、もうあたしに縛り付けてやるんだから……」

キョン「怖ええなおい」

古泉「…もういいでしょう?フラフラしていたあなたが悪いのです。いい加減諦めて僕のことを…」

まどか「さやかちゃん!ここはまかせて!」 バリバリ

古泉「な、ちょっと、やめてください!」

さやか「サンキュー、まどか!今度こそ!」ダッ

古泉「くっ…」

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