まる子「は…?何を言ってるのさ永沢」
藤木「な…何を言ってるんだよ永沢君」
キートン『本当に何を言い出すんだこの人は』
永沢「僕達の目的は…僕の家が火事になってしまうような世の中を粛清することだったんだ。でもその必要はなくなった」
まる子「……」
永沢「さくら…君が僕達と一緒に来てくれるなら、僕達はもう壁を壊さなくていいんだ」
まる子「何言ってんだい…永沢アンタさぁ、疲れてるんだよ」
藤木「あ…あぁ…そうだよ、永沢君は疲れているんだ」
永沢「藤木くん、君は本当に卑怯だな」
まる子「もしアンタが『たまねぎの巨人』だとしても、アンタについてかないよ…アホなこと言ってないで街に帰るんだよ」
永沢「さくら…君には失望したよ。やっぱり人類は粛清するしかないね」ジュウ…!
まる子「…!永沢…アンタ……!」
藤木「永沢君…やるんだな…!?今、ここで!」オオオオオオオオ
永沢「あぁ…!今、ここで決める!!」ブチブチ
まる子「なっ…?!」
たまねぎ「グオオオオ!」
唇「ウオオオオオ!!!」
まる子「永沢……藤木…!この……………裏切りもんがぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
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キートン『五年前。ここは、まるちゃん達の住むウォールマリア内地』
はまじ「おいみんな、大変だぞ」
まる子「どうしたんだいはまじ。あたしゃこれからたまちゃんと紙芝居を見に行くところなんだけどねぇ」
はまじ「それどころじゃないぞ、さくら。ウォール・マリアが巨人に破壊されたらしいぞ」
たまえ「えぇっ!?」
まる子「馬鹿も休み休み言いなよはまじ、そんなわけないさ」
はまじ「いや、本当だぞ。母ちゃんが言ってた」
まる子「本当かねぇ~。たまちゃん、ちょっと南の方に行って様子見てこようか」
たまえ「まるちゃん、巨人が来たのが本当なら早く逃げた方がいいよ」
まる子「何言ってんのさたまちゃん。ここで巨人も見ずに逃げちゃ、女が廃るってモンだよ」
キートン『緊張感がないよこの人は』
はまじ「知らねぇぞ、さくら。俺は逃げるからな」
まる子「全く情けないねェ」
ダッダッダッダッ
ヒロシ「お~~い!」
すみれ「まる子!!」
まる子「あ、お母さんにお父さん」
ヒロシ「まる子…無事だったか」
キートン『酒瓶を片手に持ってるあたり、この人にも緊張感がない』
まる子「あたしゃ巨人を見に行くよ」
すみれ「何言ってるの!」ゴン!
まる子「殴るこたないじゃないさ~酷い女だね、この人は」
たまえ「ま、まるちゃん…」
すみれ「巨人はそこまで来てるんだよ!街の南の方に居た人は逃げ遅れて食べられちゃったって!」
たまえ「えぇっ!?」
まる子「ヒェ~~~、巨人ってホントに人を食べるんだね、おっかないね」
すみれ「たまちゃんもまる子も逃げなさい!今私達は、おじいちゃんを探してるから」
まる子「え!?おじいちゃんが居ないの!?」
まる子「先に避難したんじゃないのかい?」
ヒロシ「巨人が攻めてきたって聞いた途端、まる子を探しに家を飛び出して行っちまったんだ」
まる子「おじいちゃんったらせっかちだねぇ」
すみれ「だからアンタが無事なことを伝えて、早くおじいちゃんにも避難してもらうのよ。お姉ちゃんとおばあちゃんは先に逃げてるから」
まる子「じゃああたしもついていくよ」
すみれ「何言ってんの!子供は早く逃げなさい」
まる子「両親が頑張ってるなか一人だけ逃げるなんてあたしゃゴメンだよ」
ヒロシ「お前は巨人の怖さを知らないからそんなことが言ってられるんだ!」
キートン『アンタも知らないだろ』
すみれ「だからたまちゃん、まる子を頼んだよ」ダッ
まる子「お父さんお母さん、大丈夫かねぇ」
たまえ「まるちゃん、早く逃げよう?」
まる子「たまちゃんやお母さんにそこまで言われちゃ仕方ないけど、やっぱりおじいちゃんが心配だよ」
クルッ
ムシャムシャ、バリバリ
唇の巨人「……」
まる子「えっ」
たまえ「…ヒッ」
はまじ「さく……ら…、…ほ…なみ……助け…」
まる子「ヒェ~ッ、はまじが食べられてるよ!」
たまえ「何で……巨人はまだ南にいるはずじゃ…」
パキパキ…
はまじ「……ぁ…」
唇「……」ギロッ
まる子「ヒッ!」
たまえ「ま…まるちゃん、別の道で逃げよう!」
まる子「はまじ…アンタのことは忘れないよ……助けられなくてゴメンね」ダッ
唇「………」モグモグ
ウワー!キャー!ワーワー!
まる子「街のみんなも大勢急いでるねぇ…」
チラ
たまえ「はぁっ…大変だよまるちゃん…もう巨人が見える距離まで近づいてきてるよ!」
まる子「…もっと早く走らないとまずいね」
山田「アハハハー!巨人だじょー!でっかいじょー!」ダダダダ
まる子「うわ、山田…!アンタ逆走しちゃダメだって!巨人に食われるよ!」
山田「巨人と遊ぶんだじょー!」ダダダダ
たまえ「山田…はまじが食べられたんだよ!そんな悠長なこと…」
山田「オイラも食べるじょー!アハハハハー!」
まる子「ダメだ…聞いちゃいないよ」
たまえ「はぁっ…はぁっ……」
まる子「たまちゃん大丈夫?」
たまえ「う、うん…」
はなわ「おや、さくらクンじゃないか」
まる子「はなわくん!何でアンタ走ってないのさ!」
はなわ「ボクは向こうに停めてあるヒデ爺の車で優雅に逃げるところさベイビー」
はなわ「キミたちも一緒に乗せていってあげよう」
たまえ「いいの…?」
はなわ「もちろんさ」
まる子「やったー!持つべきは金持ちの友だね」
たまねぎの巨人「………」
キートン『まるちゃん達が向かった先で見たものは、潰れた車と、ヒデ爺が頭に刺さっているたまねぎ頭の巨人だった』
たまえ「……うそ…」
はなわ「は……はは…嘘だろ、ヒデ爺…………」
まる子「車が…踏み潰されてる……」
たまねぎ「……」
まる子「あのたまねぎが……やったって言うのかい…」
はなわ「そんな……ヒデ爺が…車が…!そんなこと、あるはずがない!!」
まる子「はなわくん!ダメだよ!もう逃げよう!さっきの道に引き返すのさ!」
たまえ「あの巨人がぼーっとしてるウチに、早く!」
はなわ「は……ははは…」
まる子「行くよ!はなわくん!」グイッ
キートン『その頃』
友蔵「まる子や~何処におるんじゃ~。巨人が来とるぞ~」
キョロキョロ
友蔵「まる子~じいちゃんと一緒に避難するんじゃ~」
ダッダッダッ
ヒロシ「じいさん!」
友蔵「おお、ヒロシか…まだまる子が見つかってないんじゃ」
ヒロシ「アイツならさっき会ったよ、もう避難してるから大丈夫だ」
友蔵「おお、そうか…これで安心じゃ」
ヒロシ「何言ってんだじいさん、まだオレ達が逃げてないだろ」
すみれ「巨人がすぐそこまで来てるわ。わたし達も逃げないと…」
友蔵「そうだのう…まる子のために、ローラースルーゴーゴーを家に取りにいってから…」
ヒロシ「んな呑気なこと言ってる場合か!行くぞ!」
キートン『一心不乱に走るヒロシ一行…しかし友蔵の老体には限界が来ていた』
友蔵「ゼェ…ゼェ……」
ヒロシ「…じいさん、やっぱ走るのキツイか?」
すみれ「でも今休憩したら、後ろに居る巨人に追いつかれちゃう…」
友蔵「か…構わん……今のペースで…」ヒィヒィ
ヒロシ「じいさん、凄い顔してるぞ」
キートン『さながらムンクの叫びである』
友蔵「ハァ…ハァ…」
ヒロシ「…ったく。母さん、じいさん連れて先に逃げてな」
すみれ「え?」
ヒロシ「ちと時間稼ぎしてくるから、ゆっくり逃げな!」
すみれ「ちょっと…!大丈夫なのお父さん?」
友蔵「そ、そうじゃワシのことは気にせず…」
ヒロシ「てやんでえ!一家の大黒柱たぁ家族を守るモンなんだよ!」
友蔵「ヒロシ…」
ヒロシ「それにな…オレは野球は巨人応援してんだよぉぉぉ!!!」ダッダッダッダッ
キートン『全く関係がない』
キートン『再び、はなわくんに会った道で逃げるまるちゃん達』
巨人「アーーー」ズシン ズシン
まる子「ヒェ~ッ。もう巨人が目と鼻の先にいるよ!」ダッダッダッダッ
たまえ(追いつかれるのも…時間の問題……)
はなわ「二人とも…ボクを置いていってくれ……もうボクは疲れたよ」
まる子「何言ってんのさ!三人で生き残るんだよ!」
こてっ
たまえ「…あぁっ!」
キートン『こんな時に転んでしまうたまちゃん』
まる子「たまちゃんっ!」
たまえ「まるちゃん!私は良いから、はなわくんと逃げて!」
ズシン ズシン
巨人「アーーーーー」
たまえ「うわぁぁぁぁぁ」
まる子「たまちゃぁぁぁぁぁぁん!!!」
キートン『その時まるちゃんの脳裏に浮かび上がった。はまじの食べられる姿、ぺしゃんこになったヒデ爺の姿、同じように死んでしまうたまちゃんの姿が』
???「たまえーーーー!!」
スパン!
キートン『たまちゃんを掴もうとしていた巨人の指が切り落とされる』
巨人「ウアーーーー?」
たまえ「お父さん…!」
まる子「たまちゃんのお父さん…」
真太郎「大丈夫だったかい、たまえ!」
たまえ「う、うん…」
巨人「アーーーーー」
真太郎「ハッ!」ザシュ!
キートン『もう片方の手の指も切り落とされた』
真太郎「娘を見守るカメラマン…裏の顔は、市民を守る駐屯兵団さ!」
まる子「カッコイイなぁ~たまちゃんのお父さん…あたしもあの人の娘に生まれたかったよ」
キートン『そんなことになったらたまちゃんのお父さんが困る』
真太郎「巨人を目の前にして怯えるたまえ、僕に助けられて安心するたまえ、しっかり撮っておいたぞ~!」
たまえ「もう、お父さんたら!」
真太郎「怒るたまえも素敵だ~」パシャ パシャ
巨人「アーーー」
ザシュ!
キートン『巨人の両目が潰される』
真太郎「たまえ、まるちゃん…逃げるんだ!ここは僕に任せて!」
まる子「えぇっ!?大丈夫なのかい?」
真太郎「大丈夫さ!後で追いつくから!」
たまえ「…約束だよっ?」
真太郎「…ああ!」
巨人「アーーー…」ジュウウ
真太郎(巨人を見るのは初めてだけど…巨人の切った手足が再生するって本当だったのか…!)
真太郎「首の付け根を狙えば倒せるんだよな…」
巨人「アー…」ジュウウウウ
真太郎(5m級と言ったところか…後ろに回り込むのは簡単ではなさそうだ…)
真太郎「…行くぞっ!」ダッ
たまえ「はぁっ…はぁっ……大丈夫かな、お父さん」
まる子「今は信じて走るしかないよ…ほら、はなわくんもやっと調子を取り戻したし」
はなわ「さっきはボクとしたことが情けない姿を見せてしまったのさ、もう大丈夫さベイビーベイビーベイビーベイビーベイビーベイビー」
キートン『本当に大丈夫なのかアンタ』
まる子「はぁ…しかし長らく走ってて疲れたね。汗もかいたし、帰ったらあたしゃひとっ風呂したいよ」
キートン『まだ家に帰る気か』
ブー太郎「走るのに疲れたのかブー?」
まる子「あっ、ブー太郎!無事だったんだねぇ」
ブー太郎「走るのに疲れたなら、後ろを向くと良いブー!後ろ向きに走ると疲れないブー!」
まる子「バカ言ってんじゃないよ。それは山の中での話だろ?」
キートン『山の中でも違うが』
ブー太郎「じゃあおいら一人でやるブー」クルッ
巨人「アーーー」ズシン ズシン
ブー太郎「ギャー!巨人が近くまで来てるブー!」
町民「き、きやがったぁぁあ゛」
まる子「えっ…あれは、さっきの巨人……」
たまえ「そんな…あの巨人は………お父さんが倒すって言ってたのに…!」
たまえ「お父さんが……お父さんが…!」
たまえ「うわぁぁぁぁぁん!お父さぁぁぁぁぁん!」
まる子「たまちゃん!止まっちゃダメだよ!まだたまちゃんのお父さんがやられたって決まったわけじゃ…」
はなわ「もうダメだ……みんな殺されてしまうよ…」
巨人「アー…」ズシンズシン
ブー太郎「あぁっ…巨人に追いつかれるブー!」
まる子「アンタ後ろ向きに歩いてるからだよ!早く前を向いてこっちまで逃げてくるんだよ!」
ガシッ
キートン『言わんこっちゃない』
巨人「アーーーーー…」
ブー太郎「うわぁぁぁ!嫌だブー!嫌だブー!」
まる子「ブー太郎っ!!」
巨人「アーーー…」
ブー太郎「死にたくないブー!放してブー!」
はなわ「あ……ああ…」
バキッ
ブー太郎「ブーーーーーーーーー!!!」
まる子「ブー太郎ーーーー!!!」
巨人「アー……」パキッ パキッ
まる子「ブー太郎…」
たまえ「…お父さん……うぅ……」
まる子「たまちゃん…ブー太郎には悪いけど、あの巨人がブー太郎を食べてる間に逃げよう!」
たまえ「うぅ…」
まる子「たまちゃん!つらいけど落ち込んでる場合じゃないよ!このままじゃあたし達だって!」
たまえ「………」
グイッ
まる子「たまちゃんのお父さんはたまちゃんに生きて欲しいって思ってるハズだよ!」
たまえ「うん…」
まる子「今は…逃げるしかできないんだよっ…」
はなわ「……っ」
キートン『――その日、人類は思い出した』
キートン『ヤツらに支配されていた恐怖を…』
キートン『鳥籠の中に囚われていた屈辱を……』
キートン『そして月日は流れ、今日は第104期訓練兵の解散式』
教官「――本日、諸君らは訓練兵を卒業する。その中で最も訓練成績の良かった上位15名を発表する…呼ばれた者は前へ!」
教官「首席、ミカサ・アッカーマン」
「2番、ライナー・ブラウン」
「3番、野口笑子」
「4番、ベルトルト・フーバー」
「5番、アニ・レオンハート」
「6番、エレン・イェーガー」
「7番、ジャン・キルシュタイン」
「8番、穂波たまえ」
「9番、大野けんいち」
「10番、杉山さとし」
「11番、マルコ・ポット」
「12番、さくらももこ」
「13番、コニー・スプリンガー」
「14番、サシャ・ブラウス」
「15番、クリスタ・レンズ」
教官「―――以上15名」
教官「本日を以て訓練兵を卒業する諸君らには、3つの選択肢がある」
教官「壁の強化に努め各街を守る駐屯兵団」
教官「犠牲を覚悟して壁外の巨人領域に挑む調査兵団」
教官「王の下で民を統制し秩序を守る憲兵団」
教官「――無論、新兵から憲兵団に入団できるのは成績上位15名だけだ」
「後日配属兵科を問う…本日はこれにて、第104期訓練兵団解散式を終える…以上!」
「「「「ハッ!」」」」
―――食堂
「いーよな、お前らは15番以内に入れてよ!」
「どーせ憲兵団に入るんだろ?」
ジャン「ハァ?当たり前だろ…何のために15番内を目指したと思ってんだ」
マルコ「オレも憲兵団にするよ。王の近くで仕事ができるなんて…光栄だ!!」
まる子「えぇっ!?アンタあたしと調査兵団に行くって約束したじゃないさ!」
マルコ「そんな約束した覚えないよ…」
まる子「これで三年間続いたまるこコンビは解散だよ…寂しくなるねぇ…」
ジャン「…さくらは調査兵団志願すんのか?せっかく15番内に入って、内地に行けるチャンスなのによ!」
丸尾「憲兵団を選ばないのら…ズバリ!私に権利を譲るべきでしょう!」
ジャン「…うらやましいか丸尾?憲兵団に行ける俺らが」
丸尾「ムムム…」
まる子「丸尾くんは憲兵団になりたかった理由が『学級委員になりたいから』だけどね」
マルコ「丸尾は戦闘能力は上位15人に入れるレベルだったのにね…」
まる子「廊下とか教官の部屋の扉にポスター貼ったのが良くなかったんだろうね」
丸尾「憲兵団に入るための選挙活動が足らなかったでしょう…」
キートン『逆だ逆』
ジャン「オレ達が安全で快適な内地に住める機会なんてそうそうないぜ!?みんな内地に行きたいよなぁ?」
永沢「ジャン…君は本当に卑怯だな」
ジャン「ひがみにしか聞こえねぇよ永沢!」
たまえ「ジャンはテンション高いなぁ」
野口「………」ドゴッ!
ライナー「っ!?」
コニー「さっきから野口さんがライナーを殴ってるけど何でだ?」
アルミン「さぁ…」
ジャン「…で、お前らは?何処にするんだ?」
ベルトルト「僕は憲兵団を志願するよ」
アニ「私も…だけど」
アニ「あんたと一緒だとは思われたくないわ」
ジャン「ハハハッ!」
たまえ「…私は調査兵団に行くよ」
ジャン「穂波…お前は家族の仇を討ちたいんだっけか?」
たまえ「巨人はこの世から駆逐しないと」
まる子(たまちゃん…)
ジャン「いいか穂波…4年前、人類は人口の2割を投入して巨人に総攻撃を仕掛けた…」
たまえ「……」
ジャン「だがそのほとんどが巨人の胃袋に直行した…あと何割か足せば巨人に奪われた領土は奪還できたか?」
まる子「………」
ジャン「巨人を一体倒すまでに平均で30人は死んだんだ」
野口「……」ドガッ!
ライナー「ごぶっ!?」
ジャン「もう十分分かった。…人類は、巨人に勝てない…」
ジャン「それでもお前は巨人を倒すために、調査兵団に入るのか」
たまえ「……」
一同「………」
大野「くだらねぇな…杉山、サッカーしに行こうぜ」ガタッ
杉山「あぁ…食堂はお通夜ムードだしな」ガタッ
キートン『夜中にボール見えるのだろうか』
ジャン「…見ろ、杉山の言う通り、お通夜ムードになっちまった」
たまえ「……」
エレン「それで?」
ジャン「…エレンか、話聞いてたか?」
エレン「…『勝てないと思うから諦める』ってとこまで聞いた」
エレン「なぁ…諦めて良いことあるのか?」
トーマス「…」
エレン「あえて希望を捨ててまで現実逃避する方が良いのか?」
はなわ「……」
エレン「そもそも、巨人に物量戦を挑んで負けるのは当たり前だ」
まる子(対巨人の戦闘は、数より質や戦術だって教官に耳にタコが出来るほど言われたねぇ)
エレン「4年前の敗因の1つは巨人に対しての無知だった」
エレン「その戦いで負けはしたが…それで得た情報は、確実に次の希望に繋がる」
ライナー「……はぁ…はぁ…」
野口「…」ゴッ!
ライナー「!?」
エレン「お前は戦術の発達を放棄してまで大人しく巨人の飯になりたいのか?……冗談だろ?」
ジャン「…」
エレン「…オレには夢がある」
エレン「巨人を駆逐して、この狭い壁内の世界を出たら…外の世界を探検するんだ」
ジャン「…ハッ、穂波もエレンも、調査兵団志願する奴は頭がめでたい奴ばっかりだな」
エレン「…何だと」
ジャン「回りを見ろよ…誰もお前らに賛成なんかしねぇよ!」
一同「……」
アルミン(…そうか!野口さんはライナーに訓練成績負けたのが悔しかったんだ!)
エレン「……あぁ…そうだな…わかったから」
エレン「さっさと行けよ内地に…お前みてぇな敗北主義者が最前線にいちゃあ士気に関わんだよ」
ジャン「お前こそさっさと行けよ壁の外に…大好きな巨人がお前を待ってるぜ?」
エレン「…めんどくせぇ」
ジャン「へっ…」
バキ!
エレン「…!」
ジャン「!?」
ドッ!ゴッ!
「うおおぉぉ!」「また始まったぜ!!」
まる子「…嫌んなっちゃうねたまちゃん…血の気の多い男子はさ」
たまえ「エレンくん…」
丸尾「や、やめなさーい!教官に言いますよ!」
藤木「…ト、トイレに行ってくるよ」ガラッ
永沢「…藤木くん、君はまさかトイレ行ってたことにして、自分だけ騒ぎとは関係ないのを教官にアピールするつもりじゃないだろうね」
藤木「えっ…そ、そんなことないよ…」
永沢「そうやって嘘をつくんだね。君は本当に卑怯だな」
キートン『食堂で格闘するジャンとエレン…食べ物を入れたばかりの腹にパンチをしあうあたり、なかなかエグい』
ジャン「ふっ!」ドン!
エレン「…ッ!」ボコッ!
ジャン「くっ…!」
コニー「おいおい…」
はなわ「その辺でやめときたまえベイビー」
まる子「そうだよあんま騒ぐと教官が来るよ!」
野口「私もその意見に共感……プッ」
ライナー(自分で言ったギャグに自分で笑うなよ…)
野口「!」キッ
ライナー「!?」
ドゴッ!
ミカサ「……」ヒョイッ
キートン『ミカサがエレンを担ぎ上げる』
エレン「ミカサ…!?」
\どっ…!/
\だははははははははは/
キートン『そこに居る皆は思った。女の子に持ち上げられるエレンっていったい…』
ミカサ「……」ダッ!
エレン「放せ…!降ろせよ、ミカサ…!」
フランツ「ジャン、これ以上騒いだら教官が来ちゃうよ」
ジャン「フランツ…これは送別会の出し物だろ!止めんなよ!」
フランツ「もう十分堪能したよ…」
ハンナ「やめてよ!人同士で争うのは…」
キートン『ここで地味にハンナが良いこと言ってたりする』
ジャン「チッ…よかったなエレン!またそうやってミカサにおんぶに抱っこだ!そのまま調査兵団にミカサを巻き込むつもりだろ!」
キートン『外』
ドサッ
エレン「…いってーな!!」
ミカサ「熱くなるとすぐ衝動的に行動する…」
まる子「ヒュ~ッ。相変わらずアンタは男前でカッコイイねェ」
エレン「さくら…茶化しに来たのか」
まる子「違うって。内地に行きたい皆の前で壁の外への夢を語る…中々できることじゃないさ、あたしゃアンタの器に脱帽するよ」
エレン「そうか…ありがとな」
ミカサ「…」
まる子「ミカサも大したモンだよ…アンタの身体能力や腹筋が欲しいよ」
ミカサ「あげない…これは、エレンのためのものだから」
まる子「一途だねぇアンタも」
エレン「そういや、さくらは何で調査兵団志願なんだ…?お前の姉ちゃんが居る駐屯兵団にしないのか?」
まる子「あたしもアンタと一緒だよエレン…外の世界を見てみたいのさ」
まる子「外の世界では皆が踊りを踊っているとか、電信柱の陰からお笑い芸人が登場するとか昔から聞いててね」
エレン「へぇ…やっぱり外の世界って不思議がいっぱいなんだな」
まる子「あとお家に置いてきたグッピーが心配だからね、内地に連れてきてあげたいんだよね」
キートン『もう手遅れだと思うが』
まる子「ローラースルーゴーゴーも取りに行きたいし、調査兵団に行くたまちゃんも放っとけないしね」
エレン「そうか…」
キートン『時は遡り五年前、まるちゃん達が無事にウォール・ローゼ内地へ避難した後』
キートン『まる子達の元に、歩いてくる影があった』
ヒロシ「―いや~、疲れた疲れた…医者は何処だ?」
まる子「お父さん!アンタ生きてたんだねぇ~、一人で巨人に向かってったって聞いてホント心配したんだよ」
友蔵「さすがワシの息子じゃ」
ヒロシ「言っただろじいさん。俺は野球は巨人のファンだって」
すみれ「良かった……本当に良かった…うぅ…」
咲子「お母さん…泣きすぎよ……」ホロリ
まる子「アンタも涙ぐんでるじゃないのさ」
咲子「うるさいわねっ」
ヒロシ「俺もお前らが無事で良かったぜ…せっかく持ってきた酒瓶を、巨人を撒くのに使っちまったのが心残りだが」
まる子「お父さん、何でずっと右手をポケットに突っ込んでんのさ」
ヒロシ「ん?まぁ気にすんな…それより医者は何処に居るんだよ」
友蔵「ヒロシ…右手を出すんじゃ」グイッ
ヒロシ「や…やめろって!」
こたけ「…ヒェッ」クラッ
すみれ「…!」
キートン『ヒロシの右手は、手首から先がなかった…これはショッキングである』
咲子「…お父さん!?何で隠そうとしたの!」
すみれ「ちょっと待ってて!お医者さん呼んでくるから!」ダダッ
まる子「アンタ体張りすぎだよっ」
咲子「私達を逃がすために…私達のせいでこうなったの…?」
ヒロシ「巨人のせいだっつの」
咲子「でも、お父さんが巨人と戦ったのは…私達のせいで…」
ヒロシ「うるせぇっ!子供が親にそういう責任感じんじゃねぇっ」
咲子「…お父さん……」
ヒロシ「………お前らは自分が無事だったことを喜んでるだけで良いんだよ」
咲子「……」
キートン『そのとき咲子は思った、今の自分は無力だと…力をつけ、今度は家族を守る側に立ちたいと』
キートン『そしてアンタの中では優先順位が家族>酒瓶>右手なのかと』
キートン『家族を守れる立場である駐屯兵団に入るため、後に咲子は第103期訓練兵を受けることになる』
キートン『回想終わり!』
まる子「――五年前ウォールマリアが突破されたとき、たまちゃんの家族は皆死んじゃった…」
まる子「親友として、復讐に燃えてるたまちゃんは放っとけないよ」
エレン「じゃあ穂波って…昔とやっぱ雰囲気違うのか?」
まる子「普段はそんなに変わらないけど…巨人に関わると、ちょっとね」
エレン「…」
まる子「それに昔は、自分のことタミーって呼んでオトメチックな妄想することがあったんだよ…それが今では…」
キートン『それは単に大人になったからだけな気がするが』
エレン「ヘラヘラしてそうで結構しっかりしてるのな、さくら」
まる子「当たり前だよアンタ…あたしゃ魔性の女と呼ばれた女だよ」
エレン「前言撤回だ」
ミカサ「死に急いで早死にしそうなところは、たまえもエレンも一緒…たまえにまる子が必要なように、エレンにも私が必要」
エレン「はぁ…?頼んでねぇだろそんなことは…」
ガチャ
アルミン「みんな、今日はお開きだって…寮に戻るよ」
まる子「じゃあボチボチ戻るかねぇ」
キートン『そのとき、話している四人の近くに、人影が通りかかる。…………駐屯兵団である』
エレン「!」
アルミン(ハンネスさん…)
ババッ!
キートン『他の三人と同様に敬礼するあたり…まる子にも規律は守れるようである』
ハンネス「あぁ…直っていいぞ」
ハンネス「規律は大事だがお前らが相手だとどうも慣れねぇ…久しぶりだな…」
エレン「本当に慣れないよ…飲んだくれのハンネスさんも駐屯部隊長だからね」
ハンネス「あぁ…また大きくなったな、お前ら。そうか…もうこの街に来て五年も経つのか…」
まる子「…」
キートン『他の全員が知り合いである人との間で、思い出話に花が咲いている……この気まずさはなんとも言えない』
まる子「…ちょっとあたしはお邪魔みたいだね。あたしゃそこらへんを散歩してくるよ」
キートン『寮に戻るんじゃないのか』
キートン『夜道を散歩するまる子』
まる子「ウダダ~ウダダ~ウダダダ~♪」
キートン『近所迷惑である』
まる子「こ~の世は私のために~」
???「やっぱりアンタね…?風呂場で大声で歌う訓練兵っていうのは」
まる子「ん?誰だい…」クルッ
咲子「まる子」
まる子「あ…お姉ちゃん!」
咲子「久しぶりね」
まる子「本当に久しぶりだねぇ…あたしも今日遂に訓練兵を卒業したよ」
咲子「へぇ、アンタがねぇ…無事に卒業出来たのね」
まる子「何さ、失礼な女だね」
咲子「あはは…相変わらず元気そうで良かったわよ」
まる子「当たり前だよ。元気が一番の取り柄だからね」
咲子「…卒業おめでとう、まる子」
まる子「お姉ちゃんこそ元気そうで何よりだよ…ありがとね」
咲子「何よ…いつになく素直ね…教官に揉まれて丸くなったのかしら」
キートン『残念ながらそんなことはない』
キートン『久しぶりの再会に、思い出話に花を咲かせる二人』
咲子「まる子…やっぱりアンタ、調査兵団にするの?」
まる子「そうだよ…壁の外行ったら、よし子さんに貰ったグッピー持って返ってくるよ」
咲子「………」
まる子「グッピーだけじゃ寂しいし、ついでにザリガニとかも入れてくるからさ」
咲子「………」
まる子「…お姉ちゃん?」
咲子「他の所属兵科を志願するつもりはないの…?」
まる子「心配してくれてんだね…それにゃ及ばないよ。あたしゃこれでもトップ15に入ったんだからね」
咲子「…どうしても変えるつもりはないのね」
まる子「うん…子供の頃からの憧れだし、大切な友達も居るからさ」
咲子「わかったわ。でも約束して」
まる子「え?」
咲子「グッピーなんかいいから…絶対に死なないで」
まる子「お姉ちゃん…」
咲子「約束よ?」
まる子「…当たり前だよ、誰の妹だと思ってんのさ……お姉ちゃんも、内地のおじいちゃん達のことは頼んだよ」
咲子「もちろんよ」
キートン『翌日』
ワイワイガヤガヤ
エレン「しっかし…最前線の街だっていうのに、人が増えたよなぁ…」
野口「クックックッ…家畜の安寧」
ハンナ「もう5年も何も無いんだもん。数年前の雰囲気のままとはいかないでしょ」
フランツ「この5年間で壁もずいぶん強固になったしね!」
ハンナ「もう大型巨人なんて来ないんじゃないかな」
エレン「何腑抜けたこと言ってんだバカ夫婦!!そんなことじゃ…」
ハンナ「そ、そんな…夫婦だなんて…」
フランツ「お似合い夫婦だなんて…気が早いよエレン!」
エレン「……」イラッ
野口「プッ…」
エレン「お前もツボに入ってんじゃねーよ!」
野口「し~らない、し~らない」
エレン「ったく…」
――――――
まる子「ほら見て、トンボが飛んでるよ」
アルミン「本当だ、可愛いね」
たまえ「川が流れてる場所から、迷い込んで来たんだろうね」
まる子「あたしゃあのトンボ眺めてるだけであと一時間過ごせるよ」
キートン『時間の無駄である』
丸尾「さくらさん!これから仕事があるのですよ!学級委員として、許しませんよ!」
アルミン「学級委員って…」
まる子「丸尾くんも固いねぇ…だって仕方ないじゃないさ。せっかく訓練兵卒業したってのに、使いっ走りみたいな仕事ばっかりでさ」
丸尾「いいえ!いけません!」
まる子「固定砲整備班の仕事の方が良かったなぁ…、壁の外見れるし。エレンやコニーがうらやましいよ」
山根「…でも良かったよ…無事に皆訓練兵を卒業できて」
アルミン「うん…僕や山根くんが卒業模擬戦闘試験を合格できたのは奇跡だと思う」
山根「これからも一緒に頑張ろう!アルミンくん!」
アルミン「…ああ!」
山根「……うぅ…胃痛が……」ズキズキ
まる子「山根くん大丈夫?この後の仕事出来るかい?」
山根「…し、死んでも足手まといにはならないよ…」
アルミン「そんな…山根くん、無理しないで」
丸尾「ズバリ!休むべきでしょう!」
―――資材運搬班
(まる子・マルコ・丸尾・アルミン・みぎわ・はなわ)
丸尾「フン!フン!」ワッセ ワッセ
はなわ「…丸尾クン、張り切ってるなぁ。あんなにたくさん荷物運んで」
アルミン「これからの仕事を頑張って…調査兵団から地位を上げて、憲兵団に行くつもりらしいよ」
マルコ「まだ学級委員の夢諦めてないんだ…」
まる子「アイタタタ…腰が痛い」
キートン『おっさんかアンタは』
まる子「マルコ、あたしの荷物持ってよ」
マルコ「う~ん…可哀相だから持ってあげたいけど、甘やかしたらまる子の為にならないからなぁ」
まる子「えェ~いけずゥ~」
丸尾「さくらさん!ちゃんと仕事をしてください!」
みぎわ「はなわク~ン、重かったら荷物持ってあげようかぁ…///」
はなわ「大丈夫だよベイビー…昔ならヒデ爺に何でも任せてたけど、訓練でボクも強くなったさ」
みぎわ「そう…残念……」
まる子「みぎわさん、じゃああたしの荷物持ってよ」
みぎわ「自分で持ちなさいよ!」
キートン『こんな女が訓練兵12位で卒業したりするから、世の中わからないものである』
マルコ「そういえば、みぎわさんは何処を志願するの?」
みぎわ「わたしははなわクンと同じところにするわ…ねぇ、はなわクゥン///」
はなわ「あ…あぁ…」
マルコ「じゃあ、はなわクンは……?」
はなわ「…ボクは調査兵団さ!」
まる子「へぇ~、はなわクンが調査兵団なんて、意外だね」
はなわ「昨日のイェーガークンの演説に感動したのさベイビー」
アルミン「そうだったんだ…エレンも喜ぶぞ…」
マルコ「そうか…。じゃあこの6人のうち、オレ以外みんな調査兵団に行くんだね」
アルミン「寂しくなるね…」
はなわ「キミとは遠く離れて、もう会えなくなってしまうんだね…」
みぎわ「はなわクン…わたしが居るから安心してぇ?」
はなわ「あ…あぁ…」
まる子「――何言ってんのさ」
アルミン「え?」
まる子「あたし達が巨人に勝利して、内地とか調査兵団とかそういう隔たりがなくなれば、いつでも会えるようになるじゃんさ」
みぎわ「………」
まる子「ちょっと会えないだけだよ…絶対また会えるさ」
はなわ「……フフ…そうだねベイビー…」
マルコ「まる子…良いこと言うな…」
アルミン「はは…」
アルミン(エレン…皆が希望を持って、外の世界へ踏み出そうとしてるよ…)
アルミン(外の世界へ行きたいって言っただけで白い目で見られてた数年前とは、全然違う…)
アルミン(壁の外を自由に探検できる日も、そう遠くないって思えるよ…)
アルミン(今なら…!)
ドォォォォォォォォォォォォォォォォン!!!!!
キートン『――その時、轟音が鳴り響いた』
アルミン「!!?」
マルコ「……っ…!?」
まる子「な、何だいこのでっかい音と地響きは!」
丸尾「ズバリ!地震でしょう!」
アルミン「いや違う…!…これは…五年前と同じ……」
はなわ「…!…キミ達……壁の方を見たまえよベイビー…」
まる子「エッ…」
みぎわ「…ヒッ!」
マルコ「あ…あれは……!!」
丸尾「ズバリ!超大型巨人でしょう!」
まる子「あれが噂の超大型巨人だって言うのかい…」
みぎわ「で…でかい…!」
まる子「顔だけちょこんと壁の上に出てて、ちょっと可愛いねぇ」
キートン『相変わらず緊張感がない』
アルミン「あ……あああ……壁が…破壊されたんだ……さっきのは…その音だったんだ…」
マルコ「固定砲台整備班は…、…壁の近くに居た人達は無事……なのか…」
はなわ「…ボク達は…どうするべきなんだ…」
みぎわ「丸尾くん!学級委員なら教えてよ!」
丸尾「あ…あわわ……」
ヒュン!
マルコ「…!?…巨人が消えた…?」
まる子「固定砲台整備班が倒したのかねぇ」
マルコ「ひょっとしてエレンが…?」
はなわ「頭を引っ込めただけじゃないのかい?」
アルミン「そんなに甘い相手じゃないハズだ…楽観できないよ……」
アルミン「まずいぞ…壁に開いた穴から巨人が次から次へと入ってくる…」
はなわ「巨人の侵略が…また始まったっていうのか…」
丸尾「皆さん!ちょ…超大型巨人出現時の作戦に移行しましょう!」
五人「「「「「了解!」」」」」
キートン『突然の超大型巨人の出現により、街は騒然としている』
キートン『まる子ら訓練兵は、超大型巨人出現時の作戦に移行するためトロスト区前線基地に集まった』
―――――――
「所持する財産は最小限に!」 「落ち着いて避難して下さい!」
バタバタ…
指揮官「悔やまれることに最も実戦経験の豊富な調査兵団は壁外調査のため出払っている…」
「現在、我々の駐屯兵団のみによって壁の修復と迎撃の準備が進行している!」
「お前達訓練兵も卒業演習を合格した立派な兵士だ…」
「今回の作戦でも活躍を期待する!」
フランツ「大丈夫だよハンナ…僕が必ず君を守るから」
ハンナ「フランツ……」
たかし「……」ガタガタ
関口「たかし…手が震えてんぞ!覚悟決めろよな!」
ミカサ「……」
キョロキョロ
ミカサ「…!」
ミカサ「…エレン!」
エレン「山根、アルミン!大丈夫かっ」
ミカサ「……」
キートン『ミカサよ、無視されたんじゃない。聞こえなかっただけだ』
山根「うぅぅっ…胃腸が……」ズキズキズキズキ
アルミン「だっ 大丈夫だ こんなのすぐ治まる!」カチャカチャカチャカチャ
アルミン「し しかしまずいぞ…現状では壁の穴をすぐに塞ぐ技術は無い!」カチャカチャカチャ
アルミン「この街は放棄される…ウォール・ローゼが突破されるのも時間の問題……そもそも奴らはその気になれば」カチャカチャカチャ
アルミン「人類なんかいつでも滅ぼすことができるんだ!!」カチャカチャカチャカチャカチャカチャ!
エレン「アルミン!落ち着け!」
アルミン「…ごめん」
「それでは訓練通りに各班ごと通路に分かれ 駐屯兵団の指揮の下」
「補給支援・情報伝達・巨人の掃討等を行ってもらう」
「前衛部を駐屯兵団 中衛部を我々率いる訓練兵団 後衛部を駐屯兵団の精鋭部隊が担当する」
「我々はタダメシのツケを払うべく 住民の避難が完全に完了するまで」
「このウォール・ローゼを死守せねばならない」
「なお…承知しているであろうが、敵前逃亡は死罪に値する」
「みな 心して命を捧げよ」
「解散!!」
「「「「「「ハッ!!」」」」」」
ジャン「うおぉぉぉ!!」グラッ
丸尾「うおぉぉぉ!!」グッ!
ジャン「なんで今日なんだ…!?明日から内地に行けたっつーのに!!」
丸尾「燃えて来ましたよぉ!!ズバリ!私が真の学級委員になる日も近いでしょう!」
ジャン(横に居る奴腹立つな…)
キートン『真の学級委員ってなんだ』
ベルトルト「……」
まる子「ヒェ~ッ。いよいよって感じになってきたねぇたまちゃん」
たまえ「………」
まる子「…た、たまちゃん…?」
たまえ(そう……いよいよ…巨人共に敵を討てる時が来たよ、お父さん…お母さん……)
イアン「ミカサ訓練兵!!」
ミカサ「…?」
イアン「お前は特別に後衛部隊だ…付いてこい!!」
ザワ…
ミカサ「……!!」
ミカサ「…私の腕では足手まといになります!」
イアン「お前の判断を聞いているのではない…避難が遅れている今は住民の近くに多くの精鋭が必要だ」
ミカサ「し…しかし!」
グイッ
エレン「いい加減にしろミカサ!」ゴッ
ミカサ「…!?」
エレン「人類滅亡の危機だぞ!なにテメェの勝手な都合を押し付けてんだ!!」
ミカサ「…………」
ミカサ「………」
ミカサ「悪かった…私は冷静じゃなかった。でも……一つだけ頼みがある……どうか…」
ギュッ
エレン「…」
ミカサ「死なないで…」
キートン『中衛部隊として巨人を掃討するため移動する、まる子達37班』
―――37班
(たまえ・まる子・中島・長山・関口・たかし)
まる子「いやぁ~いきなりの実戦だねぇ…訓練兵卒業したばっかりだってのにさ」
キートン『使いっ走りみたいな仕事は嫌だと文句を垂れてたのはアンタだ』
長山「調査兵団に行く前に、いい経験になるよね」
まる子「長山くん、調査兵団に行くの?」
長山「うん…僕の夢は、壁の外で色んな星を見ることなんだ」
中島「…ぜってー生き残ってやるぞ!」
まる子「ライダーのカードを持ってくなんて、アンタも筋金入りだね…あたしゃアンタのそのライダー愛で、子供のとき酷い目に遭ったよ」
中島「そ、それは忘れろよさくら」
たまえ「………」
関口「おい穂波、さっきから黙ってるけど大丈夫かよ」
たまえ「…大丈夫だよ」
関口「本当かよ…おいたかし、今頃刃の手入れしてるんじゃねーよ」
たかし「ご…ごめん、ぼ、僕昔から色々遅くて…」ガチャガチャ
関口「ったく…しっかりしろよなっ」
ザッ ザッ ザッ ザッ
巨人「グオオォォォオォ!!!」
まる子「あ、前方に巨人を確認したよ!」
たかし「えっ」
長山「早過ぎる…!」
中島「んなこと考えてる場合じゃなさそうだぜっ」
関口「5mくらいだな…!」
たまえ「殲滅する…立体起動に移るよ!」ダッ
まる子「作戦通りだからねっ!」ダッ
中島「分かってるよ!」ダッ
ヒュンッ
長山「…よし、ついて来いっ!」
巨人「グオォォォ!」
ブン!
ヒュン
まる子「こっちだよ!」
中島「遅ぇぞノロマ!」ヒュンヒュン
キートン『――作戦と言うのは、六人で巨人一体と相対したとき、まる子を中心に五人が囮となり巨人を撹乱し、首の付け根の弱点を一番技術の高いたまえが狙うというものである』
巨人「グオオォォォォ!!」
ブン!ブン!
たまえ「後ろに回り込む…!」
巨人「グォォッ!!」
ガシッ
たかし「えっ」
中島「たかしが捕まった!」
まる子「たかしくんっ!!」
たかし「うわぁぁぁっ」
関口「あのバカ…!」ヒュン!
ズバン!
巨人「グオオオオッ!!」ジュウウウ…
キートン『たかしの足を掴んでいた巨人の腕を、関口が切り落とす』
たまえ「…もらった」
ザクン!!
巨人「グオオアアアアアア!!!!」
キートン『続いて巨人の後ろに回り込んでいたたまえが首の付け根を削ぎ落とした…一体撃墜である』
――――――
中島「ナイスだ穂波!流石だな…」
たまえ「…ふぅ」
関口「――おいたかしっ!足手まといになるなら置いてくからなっ!」
たかし「ごめん…ごめんよっ…」
まる子「やめなよ関口くんっ!何でアンタはいつもそうなのさ!」
関口「……だよな…」
まる子「えっ?」
長山「そうだね…関口くんも西村くんもさくらさんも、チームワークを大切にしよう」
中島「でも意外とやれるじゃねぇか俺達!いきなり一体撃墜できるなんてよ…」
長山「うん…しかし、巨人がもうこんなところまで侵攻してるなんて…」
たまえ「前衛部隊は……崩されたってことになるね…」
まる子「あんまり楽観視してられる状況じゃないかもねぇ」
中島「大丈夫さ…さっきみたいにやれるさ」
関口「ああ…!たかし、もう捕まんじゃねーぞ!」
たかし「う、うん…」
ズシン ズシン
巨人「ムオー…」
巨人「リィィンリィィィィンラァァンラァァンソォォォォセェェェジ!!」
関口「巨人が2体来たぞ!」
まる子「うるさいやつがいるねぇ」
長山「うるさい方は奇行種だね…注意しないと」
たまえ「三人ずつに分かれて戦うよ!」ダッ!
中島「おう!」
たまえ「奇行種は私・長山くん・関口くん!まるちゃん達はもう片方をお願い!」パシュッ
まる子「任せなさいって!」パシュッ
奇行種「リィィィンリィィィィィィン!!」
たまえ「そのうるさい口を黙らせる…!」ヒュン!
関口「よし!やってやるぞ!」ヒュン
長山「…おおおっ」ヒュン
キートン『先程と同様、関口と長山は主に撹乱…たまえが撹乱しつつトドメを狙う』
奇行種「ラァァァァンラァァァァン!」
グルン!
たまえ「なっ…!?」
関口「何っ!」
キートン『突然奇行種がまる子達の戦闘の方に向かって走り出した』
奇行種「ソォォォォォォセェェェジィィィ!!」ダッダッダッダッ
中島「は!?」
キートン『そこには巨人を撹乱するために立体起動で宙に浮いてる中島の姿があった』
ガリッ!
キートン『奇行種に捕食される中島…下半身を口の外に残され、腰から上を噛みちぎられようとしている』
バキ バキ…
中島「ぎゃああああああああ!!痛ぇ!痛ぇよぉぉぉ」
ヒュン
たかし「中島くんっ!!」
奇行種『ハァァァイハイ!ハァァァムゥゥジャァァナァァァイィィィ!』
まる子「そりゃハムじゃないよ中島くんだよ!中島くんを出しなよアンタッ!!」
巨人「ムオー…」ブン!
まる子「…うわっ!」
キートン『まる子とたかしは、奇行種に近づきたくても目の前に居るもう一体の巨人のせいで近づけない』
ヒュン
たまえ「くっ…!」
関口「中島っ…!」
キートン『一方、奇行種の急な方向転換のため、たまえ達の対処も遅れている』
メリメリ…
奇行種「ナンテコトハッッッ!!」
中島「い゛でぇよ゛ぉぉぉぉ!!!母ちゃぁぁぁぁん!!!!」
バキン!!
キートン『現実は非常である』
ゴクン…!
「ぎゃああああああああああ!!!!」
ボト
キートン『残された中島の下半身が地面に落ちる』
長山「何てことだ…」
まる子「中島くん!!」
関口「この野郎ぉっ…!中島を返せっ…!!」
キートン『奇行種の元へたまえ、関口、長山が向かう』
グルッ
奇行種「ゼェェェェン」
関口「なっ…またこっちを向きやがっ…」
奇行種「ゼェェェン!」
ブオン!
たまえ「…っ!よけて!」
パァン!
関口「がっ…!」
キートン『奇行種の両手ビンタ…たまえは避けたが関口はくらい、叩き落とされてしまった』
関口「…ウ……!」
まる子・たかし「「関口くん!!」」
奇行種「カァァァノォォジョォッモッ!」
キートン『叩き落とされた関口を拾おうとする奇行種』
たまえ「させるか…!」
長山「やめろっ…!」
ザシュ!
奇行種「イィィィッテェェェナァァァイッッ」
キートン『奇行種の目を潰すたまえ、関口に伸ばされた手を切り落とす長山…だが』
ガシッ
長山「……ぐッ…あァッ…」
キートン『もう一方の手で長山は捕まってしまう』
ギリギリギリ
長山「がああああっ…」
関口「な…長山っ……」
ドゴォッ!!
関口「がはっ…」
キートン『奇行種に握り締められる長山、体勢を立て直していたところに蹴りを入れられる関口』
たまえ「このッ…!」
ヒュン
まる子「あっちは地獄絵図だね…早く助けに行かないと」
巨人「ムオオー…」
ブン!
スカッ
まる子「…っ!」
キートン『建物に装置のアンカーを射出し方向転換することで、巨人の攻撃を避けた』
巨人「ムオー!」
ブン!ブン!
まる子「いい加減に…」
プシャッ
キートン『巨人の攻撃をかいくぐり、その首筋にアンカーを打ち込むまる子』
ヒュン
まる子「しなよっ!!」
ズパァン!!
キートン『弱点を切り落とすことに成功する』
奇行種「ヘェェェェイヘイ!!」
ミシミシ…
長山「…う…ぐ………」
長山(…小………春………………)
ヒュン
たまえ「うあぁぁあぁっ!!!」
ザシュッ
奇行種「ニイィィ…」ジュアッ…!
ドスゥゥン
キートン『たまえも何とか奇行種を落とすことにも成功する』
たまえ「はぁっ……はぁっ…」
長山「……」
関口「ぐ……げほっ…」
まる子「たまちゃん、長山くん、関口くんっ…!」ダッ
たかし「あ……あぁ…」
キートン『疲労したまる子とたまえ、満身創痍のたかし、瀕死の長山と関口』
たまえ「私は大丈夫…でも長山くんと関口くんが…!」
まる子「…!」
長山「 」
まる子「…長山くん…長山くん!」
長山「 」
たまえ「長山くんっ…返事をして!長山くん!」
ユサユサ
長山「 」
まる子「そんな…」
キートン『呼びかけても返事はなく、長山は薄く目を開け宙を見つめているだけだった』
たかし「関口くん……」
関口「…はぁ…はぁ、……たか…し……」ヒュー ヒュー
キートン『関口も虫の息である』
まる子「長山くん……アンタ、立派だったよ…」
キートン『長山の瞼を閉じ、その体を家屋の屋根の上に運ぶまる子』
たかし「―大変だよ!関口くんが…関口くんがっ…!」
まる子「エッ!?」
――――――
関口「……た…かし……」ヒュー ヒュー
まる子「関口くん!」
たまえ「…!」
関口「……ごめん…」
たかし「…え?」
関口「…ガキんときから…ずいぶん…、お前のこと……い、いじめた………」
たかし「関口くん…」
まる子「関口くんっ!何で今更謝り始めるのさ…まるでもうすぐ死ぬみたいじゃないさ…!」
たまえ「まるちゃん…」
関口「さくら…、あの時は……ケガさせてごめん……」
まる子「……っ!こんな時、アロエがあれば関口くんの頭の傷を治せるのに…!」
たまえ「関口くんっ…しっかりして!」
関口「オ…レ、…最低だった………………酷いことばか………り…」
たかし「そんなことない……関口くんは、悪態つきながらも、いつも僕を気にかけてくれてた…さっきだって、巨人に捕まった僕を助けてくれた…」
関口「た…かし………」
まる子「そうだよ…あたしが自転車に乗れるようになったのは、関口くんが応援してくれたからだよっ…関口くんが本当は悪い人じゃないって、知ってるよ…!」
関口「…………」
関口(俺は…死ぬとき喜ばれると思ってた……)
たかし「関口くんっ!」
関口(……でも、違ったみたいだ……)
キートン『関口は息を引き取った』
たかし「関口くん……」
たまえ「たかしくん……関口くんは…」
たかし「………」
まる子「そんな……」
たかし「…たった5分か10分かで……三人も…こんなに簡単に………」
たまえ「私がもっと早く巨人を倒していれば、誰も犠牲にはならなかった…」
まる子「違うよ…あたしが悪かったんだ…あたしが、アロエを持って来なかったから…!」
たかし「………うぅ……うあぁぁぁぁぁ!!」
キートン『残された三人にあったのは、大きな喪失感であった』
キートン『まる子達が巨人と戦っていた頃』
―――31班
(野口・前田・永沢・藤木・山根・小杉)
野口「………」
前田「………」
永沢「………」
藤木「………」
山根「………」
小杉「………」
永沢「…なぁ藤木くん」
藤木「何だい永沢くん」
永沢「会話がなさすぎると思わないかい」
藤木「そうだね永沢くん…何か話そうか」
永沢「君と二人で話してもつまらないからな」
藤木「うっ」
山根「ごめん…僕、自分の胃腸の話題くらいしか出せないし」
小杉「夕飯が何か当てようぜ、作戦を無事に終了すればいつもより豪華な飯が出るぜきっと」
永沢「小杉くん、君はいつも食い意地が張ってるな」
藤木「サシャとどっちが張っているんだろうね」
野口「………」
前田「………」
永沢「君達も何か話したらどうだい…気まずいと思わないのかい」
前田「そんなこと言ったってさ、野口さんはもともと無口じゃない」
野口「……クックックッ…」
前田「何さ…また含みを持った感じで笑って!アンタまたあたしのこと馬鹿にしてるんだね!?」
野口「クックックックッ…」
小杉「野口と前田って、仲悪いよな」
永沢「僕にはお似合いに見えるけどな」
藤木「でもいつも最初に突っ掛かるのは前田だよね」
山根「そうだね……前田さんが空気悪くしてるよね…」
前田「何さ…また私だけ仲間外れにしていじめるつもりね…!ウ…ウワァァ~~ン!!!」
野口「あ~あ…また泣いちゃった…クックックッ」
藤木「前田の泣いてる姿って見応えあるよな…」
永沢「ついつい見ちゃうよな」
小杉「顔が真っ赤で、大きく口開けてさ…」
前田「ウワァァァァァ~~~~~ン」
――――――
巨人1「ンー……」
小杉「あっ!巨人が来たぞ」
巨人2「ヴォッ……ヴォッッ…!!」
永沢「二匹も居るな藤木くん…前衛部隊は負けたんだろうな」
藤木「だから中衛部隊の僕らのとこまで巨人が来てるんだね」
野口「クックックッ…奥の一匹はあたしがやるよ」
前田「手前のはあたし達五人でやるのね」
山根「あれが巨人か……うぅぅっ!胃腸が……」ズキズキ
小杉「大丈夫かい山根くん」
山根「だ、大丈夫……足手まといにはならない…!」スクッ
山根「うおおっ…頑張るぞ!!」
野口「クックックックッ…」タタタタッ
巨人1「ンー…」
キートン『建物の屋根を伝い、手前の巨人の横を素早く走り抜ける』
タッタッタッタッタッ
野口「クックックッ…」パシュッ
ドス!
巨人2「ヴォッ…!ヴォオォォオッ!!」グッ
キートン『奥に居た巨人の腹部に装置のアンカーを突き刺す野口…巨人はそのアンカーに続くワイヤーを掴もうとする』
スカッ
野口「掴めやしない…掴めやしないよ…」
キートン『巨人の腹部のアンカーを抜き、もう片方のアンカーを巨人の真横の家屋に素早く刺してかわす』
グイン!
野口「……」
キートン『そのワイヤーを使い、振り子の要領で巨人の後ろ側へ』
クルッ
野口「クックックッ…」パシュッ!
ドス
巨人2「ヴォッ……!!」
キートン『体を返し、アンカーを巨人の首筋に刺す』
ザン!!
巨人2『ヴ…』ズゥーン…!
キートン『そのまま巨人の首の付け根を刈り取り、一体撃墜である』
巨人1「ンー…」ブン!
ズガァン!
永沢「おわっ!」
小杉「うわぁっ!」
山根「ワァァッ」
キートン『五人が居た屋根へ、巨人からパンチが放たれる…しかし全員紙一重で避ける』
前田「…よしっ!立体機動に入るよ!」パシュッ
永沢「全く、いばるなよな…」パシュッ
ドスドスドスッ!
巨人「ンー…?」
キートン『パンチで家屋に刺さったままの腕に、五人ともアンカーを刺す』
巨人1「ンー…」グイッ!
小杉「…っ!?」
キートン『巨人はパンチをした腕を勢いよく引っ込める…その勢いに翻弄されながらも、五人はそれぞれ機動を取る』
ヒュン ヒュン
巨人1「ンー……!」ブン!
ヒュン
山根「うぅっ……胃腸が…………でも、戦うんだ…!」ズキズキ
巨人1「ンンンー」
ヒュン!
前田「くっ…なかなか後ろに回り込めないわねっ!」
山根(熱い……苦しいっ…でも………すごく充実してるっ!)
藤木「攻撃をかい潜りながら行くのは、至難の業だね」
永沢「……色々と厄介だな…」
巨人「ンー…」ブン!ブン!
小杉「くそっ…!」
???「…捕えたよ」
ズパン!
巨人1「ン゛ン゛ン゛ーッ!!」ジュワァッ
野口「クックックックッ…」
キートン『駆け付けた野口により、巨人の弱点は削り取られた』
――――――
小杉「ふ~っ。凄く怖かったね…もう巨人には逢いたくないよね」
山根「でも、やり甲斐があるよ……すっごく辛かったし怖かったけど、生きてるっていう力強さを感じた」
永沢「――結局両方とも野口が倒したね」
藤木「やっぱり3番は違うよな」
前田「…野口さんって、普段あんましゃべらないくせに巨人討伐は積極的にやるんだ」
野口「……」
前田「あたし達だけでもあの巨人やれたんだけど…ちょっと余計なお世話って感じだったかな」
野口「…クックックックッ」
永沢「おいおい、僕らは野口のおかげで無傷に終われたんだぜ?」
小杉「そうだな…むしろ野口が倒してくれて良かったと思うぞ」
前田「何さ…!皆野口さんの味方して…!あたしが弱いみたいに言ってさ」カァァァ
藤木「そ…そんなこと言ってないよ」
永沢「やだな…前田は怒るとすぐ泣くからな…」
藤木「前田が顔真っ赤にしても、誰も特しないよね」(笹山さんの赤面ならみたいけど)
前田「ウ…ウワァァァ~~~~~ン!!」
永沢「あ~あ、また泣いちゃったよ」
藤木「今日で二回目だね」
野口「……クックックッ、遠くに巨人が見えるね。ちょっと倒してくるよ」
山根「野口さん…一人で平気…?」
野口「へーき」
野口「永沢と一緒に戦うと、タマネギが飛んでるみたいで笑っちゃうなんて、言えやしない…言えやしないよ……クックックックッ」
キートン『時を同じくして』
―――34班
(エレン・アルミン・ミーナ・トーマス・ナック・ミリウス)
ヒュン ヒュン
アルミン「…はぁっ……はぁっ…!」
キートン『アルミンは、同じ班の仲間が全滅し呆然としていたところを、別の班のコニー達に助けられた』
アルミン(……僕がこんな世界に耐えられるわけがない…)
キートン『今は後衛に合流するために一人で移動している』
ヒュン
アルミン(そうだ……何を勘違いしていたんだ……)
アルミン「この世界は………地獄だ…」
キートン『精も根も尽き果てた彼は、この世界の絶望を思い出した』
アルミン(……僕が弱いせいで……………エレンは…皆は死んだ……!)
キートン『仲間が巨人に食べられていくのを、ただ見ていることしか出来なかった自分のふがいなさを呪った』
カン!
アルミン「あッ!」
ドンッ
キートン『アンカーが家屋に上手く刺さらず、家屋にぶつかりその場に崩れ落ちる』
アルミン「ううっ…」ズズズ…
ハンナ「――ハアッ…ハアッ……」
アルミン「………!」
キートン『そこに、ハンナ達の姿を見つける』
アルミン「…ハンナ?一体何を…」
ハンナ「あ…!アルミン、丸尾!?」
丸尾「ややっ…?アルミンさんハンナさん、ここで何を…」スタッ
キートン『仲間とはぐれた、空気の読めない丸尾も合流する』
ハンナ「助けて!フランツが息をしてないの!」ドッ!ドッ!
フランツ「 」
アルミン「…ハンナ……」
ハンナ「さっきから何度も…何度も蘇生術を繰り返してるのに!」ドッ!ドッ!
アルミン「ハンナ…ここは危険だから早く屋根の上に」
ハンナ「フランツをこのままにできないでしょ!!」
アルミン「違うんだ…フランツは……」
ハンナ「ハァ……ハァ…!」ドッ!ドッ!
丸尾「…ズバリ!死んでいるでしょう!」
アルミン(そんなズバリ言うことないだろ…)
ハンナ「フーッ!フーッ!」
フランツ「 」
丸尾「ハンナさん!屋根に上がりますよ!」
キートン『フランツが生きていることこそが最後の希望の支えとばかりに、蘇生術を繰り返すハンナ』
アルミン「もう…やめてくれ……これ以上は無理だ………………これ以上は……」
―――18班
(大野・杉山・丸尾・はなわ・みぎわ・サムエル)
キートン『18班―――この部隊は運よく、一体しか巨人には遭遇していない。
遭遇した巨人の討伐後、前衛が崩れたことを察知し前進を続けている』
ヒュン
大野「おい杉山っ!丸尾がいつの間にか居ねぇぞっ!?」キョロキョロ
ヒュン
杉山「何だとっ…!何やってんだあいつは…」キョロキョロ
サムエル「確かに居ない…」
みぎわ「もうっ…学級委員のくせに団体行動が出来ないんだからっ…!」
はなわ「きっと何処かで道草食べてるのさベイビー」
大野「また家中にポスター貼ってたりな」
杉山「ははっ、ありえるな」
キートン『誰も巨人に食べられた心配はしないのか』
ヒュン ヒュン
はなわ「…………!?」
サムエル「…どうした、はなわ?」
はなわ「補給部の本部の建物を見ておくれよ…」
杉山「……あれは…!」
大野「……巨人が群がって来ている…!」
キートン『巨人が群がる補給部隊本部…これが意味することは……』
杉山「……補給部は補給任務を放棄…篭城中ってことか」
サムエル「この状況は…かなりまずいな」
大野「あぁ…いつか撤退命令が出るが……その時、
多くの訓練兵は…壁まで行き、壁を登れるほどの装置の燃料が残っていないだろうな」
はなわ「必然的に補給部隊が必要になるよね…」
杉山「補給部隊はあのザマ……どうする?」
みぎわ「はなわク~ン、あたし怖いわ…///」
大野「やることは決まったな…群がってる巨人を突破、本部を奪還する」
杉山「…決まりだな」
みぎわ「…そんな!無謀すぎる……巨人が10体も周りにいるのよっ」
はなわ「このまま放っておいたら、巨人は更に群がってくる…今やるしかないのさベイビー」
みぎわ「はなわクン…」
サムエル「…覚悟を決めるか…」
マルコ「はぁー……18班が行くなら、居合わせたオレ達もそうするしかないじゃないか」
大野「…!」
サムエル「マルコ…それに、城ヶ崎達も…」
杉山「9班…無事だったのか…!」
佐々木「へっ、まぁな」
―――19班
(マルコ 佐々木 上田 トム とくぞう 城ヶ崎)
上田「…本気なのか?あの巨人が群がってる本部に突っ込むって」
大野「あぁ…」
はなわ「巨人を恐れてここで途方に暮れていたら、結局は燃料も切れて屋根で食べられるのを待つだけになってしまうよ」
トム「もっと…ここで他の訓練兵を待つことも出来るんじゃないのか?」
サムエル「時間が経てば、巨人方だって集まる…
それに、今ここで本部を奪還すれば…オレ達の犠牲はあっても後から来る皆の犠牲は減るハズだ」
マルコ「やるしかないってことだね」
とくぞう「…五人しか居ないな…一人はどうしたんだ?」
みぎわ「丸尾くんよ」
佐々木「あぁ、何だ丸尾か」
城ヶ崎「全く何処で何やってるのよ…」
キートン『ここでも心配されない丸尾っていったい…』
上田「じゃあ…意見もまとまったところで」
佐々木「あぁ…」
トム「さてと…覚悟を決めなきゃな……」
マルコ「王のために……人類のために…みんなのために……!」
サムエル(エレン、サシャ…トーマス…みんな…!生きてるよな…?俺は、戦うぞ!)
みぎわ「怖いわ、はなわクン…///」
はなわ「大丈夫さベイビー…訓練の日々を思い出すんだ」
とくぞう「やるぞ…!」
大野「…なぁ、杉山。これで11人だぜ」
杉山「あぁ……サッカーのプレイ人数だ」
大野「俺達が抜かなきゃいけない巨人は10人……」
杉山「相手チームにゴールキーパーは居ないってことだよな」
大野「一人がレッドカードなのかもしれないぜ?」
大野・杉山「「ははははははっ!!!」」
城ヶ崎「バカなこと言ってないで、行くわよ…期待してるんだからね!トップ15の二人とも!」
杉山「あぁ…」
大野「キックオフだ!」
11人「「「「「おおおっ!!!」」」」」
ヒュン ヒュン
ヒュン ヒュン
キートン『18・19班合同部隊11人による補給本部奪還作戦―――
奪還と言えば聞こえは良いが、いきなり本部に群がる巨人を駆逐する、というわけではない』
巨人「ニタニタ」ガッ
スカッ
杉山「……危ねぇっ!」
城ヶ崎「きゃっ…!」
キートン『まずは本部に到達し、燃料となるガスを十分に確保した後で、回りにいる巨人を慎重に潰していくというものである』
キートン『…そのためには巨人の魔の手を潜り抜けて本部へ無事に辿り着かねばならない』
巨人「ゴオォォーーッ!!」
ヒュン ヒュン
大野「おおおおっ!!」
マルコ「…ッ!」
ガシッ
トム「うわぁっ!?」
巨人「ギギギギギ…」
サムエル「このッ!」
ザシュッ!
キートン『トムを掴んだ巨人の手を、サムエルが切り落とす』
ヒュンッ
トム「…サムエル!助かった!」
サムエル「あぁ…行くぞ!」ヒュン!
キートン『サムエルは、この実戦で確実に成長していた…
固定砲整備4班で立てた、エレン達との誓いへの思い…そしてサシャに命を救われたことが、彼を身も心も強くしたのである』
巨人「…」ブン!
ヒュンッ
はなわ「…おっと!」
みぎわ「もうっ…!」
キートン『順調に本部に近づきつつある11人………………………しかし』
ヒュン
上田「……」
グワッ!!
巨人「ガァーーーッ!」
上田「しまっ…」
ガブリ!!
キートン『家屋の陰に隠れていた巨人により、上田の両足が食いちぎられた』
巨人「……」モグモグ
巨人「ヒヒ…ヒヒヒ…」
巨人「ニタニタ」
上田「うわぁぁぁぁぁっ!!」
キートン『両足を失いバランスの崩れた上田は、すぐに巨人に捕獲され、食べられはじめる』
バキバキ…
ヒュン!
佐々木「上田ぁぁぁっ!!」
サムエル「佐々木っ!止せっ!!」
巨人「アッヒョォッ!」ガシッ
佐々木「あ…!」
キートン『佐々木も巨人に捕捉されてしまう』
佐々木「や…やめろ!」ギリ…!
キートン『捕まれたのが片腕だけだったので、もう片方で巨人の手を切ろうとするも』
巨人「ハハッ…」ガシッ
佐々木「…ひ!」
キートン『その腕も別の巨人に捕まれてしまう』
巨人「ハハッ…」
巨人「アッヒョ!!」
佐々木「…ぁ…………やめてくれぇぇぇぇぇ!!」
バキィィィィ…
みぎわ「うっ…!」
城ヶ崎「嫌ぁ…」
とくぞう「…二人が、身を呈して巨人を五体も引き付けてくれたんだ…!!」
はなわ「……っ!行くしかないよベイビー…!」
キートン『彼等は最初から知っていた…
10体という数字は、自らを奮い立たせるため、彼等の位置から見える巨人だけを数えた数字であること
本当はその二倍以上が居たことを…』
ヒュン
杉山「進めぇっ!!」
サムエル「オオッ!!」
とくぞう「死ぬもんかぁぁぁっ!!」
キートン『しかし彼等は、進み続ける』
ヒュン ヒュン ヒュン
マルコ「うおおおおっ!!」
巨人「ンビ…ンビ…ンビ…」ズオッ!
大野「――邪魔だぁっ!!」
ザン!
巨人「ンビッ…」
ドスゥン…
キートン『マルコを追って背中を向けた巨人を、マルコに続いて移動していた大野が撃墜する』
巨人「ム…」ガシッ
はなわ「くっ…!」
キートン『はなわが巨人に捕まってしまう』
城ヶ崎「はなわクン!」
はなわ「ガハッ…ボクも、ここまでのよう…だ……」
みぎわ「イヤ…!はなわクン!イヤァァァ!!」
とくぞう「…っ!進め!」
みぎわ「…そんな!」
とくぞう「進むしかないっ…!」
みぎわ「うぅ…」ダッ!
キートン『彼等は、仲間が次々に倒れていっても、進み続けた』
――――――
キートン『…ついに、本部目前へと辿り着く』
杉山「さて…ゴールには身長15mのキーパーが3人、張り付いてる…」
大野「キーパー3人とか、反則も良いとこだな」
トム「10m級以下も何体もいる…俺達がここに来るまでにも、次々に集まって来ていたんだ……」
サムエル「………」
みぎわ「…あれをかい潜って、本部に突入しなきゃいけないの…?無理に決まってるじゃない…このうち、何人死ぬか……」
キートン『みぎわの脳裏に、無惨に食べられて逝った佐々木と上田、はなわの姿が過ぎった』
杉山「…それでも、行くしかねぇんだ」
大野「このまま本部を奪還できなきゃ、いずれ訓練兵は全員死んじまう」
杉山「はなわも…みぎわに生きて欲しいって思ってるハズだぜ…そのために、ここを何としても生き残るんだ」
みぎわ「うぅ………はなわクン…」
サムエル「………」
マルコ「…人類の、勝利に繋げるために……!」
城ヶ崎「……」ガタガタ
とくぞう(みぎわも城ヶ崎も…死にそうな顔してる……そりゃそうだ…このまま行けば、オレ達のほとんどが死ぬ……)
杉山「お前ら…腹括れよ……」
大野「決死のPK戦だ」
サムエル「…待ってくれ」
杉山「…どうした、サムエル?」
サムエル「…建物に張り付いてる巨人達が、あそこをどけば、誰も死なずにみんな辿り着けると思わないか?」
マルコ「それは…そうだけど……」
城ヶ崎「そんなことになってくれたら苦労しないわよ…!」
サムエル「―――だったら、その役目は俺が引き受ける…!」
ダッ!
キートン『そう言い終わるや否や、サムエルは飛び出した』
大野「…はっ?」
マルコ「えっ…!」
トム「…サムエル!お前……」
サムエル「うあああああっ!!」
ザッ!!
キートン『本部に張り付いていた、15m級巨人に切り掛かる』
15m巨人1「…ア゛?」ギロッ
15m巨人2「…」ジロ
15m巨人3「…」ムクッ
キートン『張り付いていた巨人たちは、一斉にサムエルに気づく』
ヒュンッ
サムエル「…こっちだっ!」
15m巨人1「……」ズシン ズシン
巨人「イー…?」ズシン
キートン『本部に群がっていた巨人達は、サムエルに向かって歩き始める
…本部の建物内にいる人間の方が多いが、すぐ近くで飛んでいる獲物の方に飛びついてくれた』
マルコ「サムエル…!」
杉山「…バカ野郎…!」
トム「誰も死なずにって……お前が死ぬんじゃねぇかよ…!」
とくぞう「…………今しかない…本部に潜入するタイミングは……!」
大野「…いくぞ、みんな!サムエルの思いを無駄にすんなっ!」
ダッ!!!
ヒュン ヒュン
サムエル「…みんな、行ったか…」
15m巨人2「…グ」
サムエル(…我ながら、よく捕まってないもんだ)
巨人「オオオオ!!」
サムエル「ほら、こっちだっ!」ヒュンッ
ガシッ
15m巨人3「…ニヤァァァ」
サムエル「この…!」ザシュッ!!
15m巨人3「……」ムカッ
プス
サムエル「…ッ!」(ガス欠か…)
スタッ
サムエル「ハァ…巨人ども…良いか……!俺達人類は負けない…」
サムエル(エレン、サシャ、トーマス、ミーナ、コニー…………俺の分の肉、食っといてくれ)
―――大丈夫ですよ。土地を奪還すればまた…牛も羊も増えますから
―――え?
―――なるほどな
―――ウォール・マリアを奪還する前祝いに頂こうってわけか…食ったからには腹括るしかないもんな!
―――トーマス…
―――……………
―――俺もその肉 食う!
サムエル「人類は……負けないっ!!」
――――――
キートン『本部に潜入した7人』
とくぞう「ハァッ……ハァッ…」
マルコ「……何とか着いた…。でも……」
杉山「四人を、犠牲にしなきゃならなかった…………」
大野「くそ……サッカーは11人居てこそサッカーなのに…。…巨人共、ファールしすぎなんだよ…」
トム「……ん?」
城ヶ崎「―――あんた達のせいよ!」
みぎわ「そうよ!あんた達のせいで、はなわクンが……はなわクンが…」
補給兵1「ごめん……ごめんよ…!」
補給兵2「うぅ…」
みぎわ「謝って済む問題じゃ…」
大野「止せ、みぎわ…!」バッ
みぎわ「っ!」
補給兵3「大野…」
補給兵2「補給所に巨人が入ってきたの…どうしようもなかったのよ!」
杉山(…しまった!その可能性を見落としていた……)
マルコ(3~4m巨人なら、本部内に入れる……!
状況把握力に長けているジャンや、アルミンならそれに気づけただろうに…)
とくぞう(建物内でもまだ…戦わなきゃいけないのか………)
補給兵2「……」
大野「…お前らの怖いって気持ちは分かるさ…俺達だってそうだ。でもな…
お前らが立て篭もったせいで、補給を断たれた俺達訓練兵が全員死ぬかもしれなかった…それを分かってくれ」
補給兵4「…」
――――――
キートン『一階の補給所に向かうため、階段を下りていく一行』
杉山「下の補給所に入ってきてる巨人は、今んとこ4体らしいぜ」
マルコ「ガスはまだ…少しは持つよ」
トム「状況が変わってなければ巨人の数はそのままで、みんなバラバラに動いてるハズだな」
大野「4体なら……行ける…一匹ずつ、確実に潰してく」
城ヶ崎「まずは天井から、7人で一体に奇襲をかけるのよね」
大野「運が良ければ、最初の一体は数秒でやれる」
マルコ「これで他の巨人が気づかなきゃ、次の一体も天井から奇襲で倒す…」
みぎわ「基本的に二体目以降は五人で撹乱して、大野くん、杉山くんが仕留める」
杉山「あぁ…」
キートン『一体目を倒したあと、人が居る方へ歩きだした三体の巨人を後ろから三人で切りかかるという案もあったが…
確実に討伐できる戦闘能力を持っている人が少ないため、その案は採用されなかった』
大野「………悪い、皆の命を…俺達に預けてくれ」
トム「2トップをお前達に預けるんだ…頼んだぞ?」
マルコ「アルミンなしで考えられる、最善策だと思うよ」
みぎわ「ここまで来ちゃうと…」
城ヶ崎「やり切るしかないでしょ?」
とくぞう(……みぎわも城ヶ崎も、ふっ切れたみたいだな…)
―――補給所
巨人「ンギィ……ンギィ…」ノロノロ
キートン『補給所の一角をうろつく巨人が一体』
大野「動きが鈍い…俺一人で行く…」ヒソヒソ
とくぞう「……分かった…」ボソッ
城ヶ崎「頼んだわよ…」
ダッ!!
キートン『天井の骨格から飛び降り、後ろを向いている巨人に切り掛かる大野』
ズパァン!
巨人「ンギィッ!」
パシュ
大野「…よっと!」グイン!
キートン『一撃が決まり、再び天井の骨格に戻る』
マルコ「流石だな…!」
城ヶ崎「やるじゃない…!」
大野「…さて、二体目以降の作戦だが…」
ズシン ズシン
巨人「………」
巨人「……」ジーッ
巨人「…ミ゛……ミ゛ミ゛………」
杉山「巨人が気づき始めたぞ…」
トム「運よく行ってはくれないか…」
とくぞう(俺達は撹乱だな…)
みぎわ「はなわクン、あたしを守って…!」
大野「…行くぞ!巨人どうしの距離は十分開いてる!近い奴から確実に仕留めるぞ!」
―――――――
―――――
―――
大野「行けっ!杉山ぁぁぁっ!!!」
杉山「…おぉおぉぉっ!!」
ザクン!!
巨人「 」
ドスゥゥゥン
杉山「……四体目っ!」スタッ
キートン『四体の巨人を、全て倒した』
とくぞう「やった…!」
マルコ「補給本部…奪還成功だ!」
プス…
城ヶ崎「…ちょうどガスが切れた…危なかったわね」
トム「新しく巨人が入って来ないうちに、ガスを上に運ぼう!」
大野「よし…補給作業に入るぞ!」ガチャッ
キートン『時は少し遡って』
――――――
15m巨人2「……グ」
15m巨人3「ニヤァァァ」
キートン『ここは補給本部の近く―――ガスが切れたサムエルは、襲い来る巨人達に立ち向かおうとしている』
サムエル「……うおおおおっ!!」バッ!
ビッ!!
サムエル「!?痛っ…!」
キートン『サムエルの体に、アンカーが引っ掛かる』
グィィィィィン!!
サムエル「おおおおおっ!?」
キートン『引っ掛かったアンカーにより、サムエルは家屋の屋根の上まで引っ張られてしまう』
ドタッ!
サムエル「…おわっ…!」
サシャ「大丈夫ですか…サムエル…?」
サムエル「サ…サシャ…!」
キートン『先程立てたサムエルの死亡フラグを折ったのは、またもサシャであった』
サムエル「サシャ…また助けられちまったな…」
サシャ「いいえ…無事で何よりです」
サムエル「しかし…お前は俺の体にアンカーを刺す以外に助け方を知らないのか?」
サシャ「えへへ…さっきのサムエル、肉を縛ってるみたいになっちゃいましたね…」
サムエル「…お前なぁ……」(ブレないな、こいつも…)
たまえ「じゃれ合える余裕があるのは、良いことだと思うよ」
サムエル「…穂波?」
サシャ「私以外に人が居るのに、今気づいたのですか?」
キートン『屋根上には、サシャ以外にもまる子達が居た』
まる子「サムエル…アンタ偉いねェ~、あんな多くの巨人に一人で立ち向かうなんてさ…アンタは老け顔の中でも最高にカッコイイ老け顔だよ」
キートン『それは褒めているのか』
まる子「班の半分が死んでさ…あたしゃ希望を失ってたけど、カッコイイ老け顔のアンタの姿見て、また勇気が出たよ」
サムエル「そうか…さくらの班のメンバーが………って老け顔って言う必要ないだろ!」
サシャ「あはは…」
たまえ「―――雰囲気から察するに…補給兵がやられて、補給本部を再確保するためにサムエルの班が内部に潜入…
サムエルが囮役を引き受けたって感じかな?」
サムエル「あぁ…大体当たってるよ…だから本当は本部の周りの巨人も全滅させなければならない…」
ズシン ズシン
15m巨人1「ア゛ア゛ア゛?」
15m巨人2「………」
15m巨人「…」イライラ
たかし「あ…あの三体の15m級…こっちに来るよ…」
巨人「ニタニタ…」
まる子「15m級三体に他の巨人も何体か………かなりキツイねぇ…」
たまえ「出来れば自分で葬りたいけど…さっきの巨人達に頼らざるを得ないかな……」
たかし「もうじきこっちに歩いて来るハズだけど…」
サムエル「さっきの巨人達…?どういうことだ…」
サシャ「それが…巨人を殺す奇行種の巨人が、2体も出現したんです」
金土の夜ここサーバーダウンしてなかった?
――――――
ズシン ズシン
黒髪巨人「………」
金持ちそうな巨人「baby…」
たかし「…きたっ!」
サムエル「あれが…巨人を殺す奇行種…」(両方15m級か…)
サシャ「何でかは分かりませんが…あの奇行種どうしは潰し合いを始めないんです」
まる子「ラッキーなこともあったもんだね」
ズシン ズシン
15m巨人1「ア゛…ア゛…ア゛…」
黒髪巨人「…………アアアアアアアアアア!!」ダッダッダッ…
キートン『巨人に向かって走っていく黒髪の巨人…右手を大きく振りかぶり』
ズガァン!!
15m巨人1「…ア゛ッッッ!!」
キートン『巨人の顔面に拳を打ち込む…その勢いで巨人は家屋にたたき付けられる』
黒髪巨人「アアアアア!!」
ドシュッ!!
キートン『体勢が崩れた巨人の首筋の弱点をすかさず打ち抜く』
ドッ ドッ ドッ
巨人「オオオオ!!」
15m巨人2「……グ」
キートン『巨人を仕留めた体勢のままの黒髪の巨人に、他の巨人が襲い掛かろうとする』
ドッ!
金持ちそうな巨人「ベイッッッビィィィィ!!!!」ズガッ!
ドォォォォン!!
キートン『―――が、金持ちそうな巨人の飛び蹴りにより、巨人達は吹き飛ばされる』
サムエル「……凄い…!」
たかし「…よしっ!」
まる子「やったー!いけぇー!素晴らしいっ!Y・M・C・Aっ!!」
たまえ「………」(巨人が倒されるのは、気持ち良くもあるけど、悔しくもあるかな)
キートン『一人テンションを間違えてる人が居るが』
―――後衛部
ゴゴゴゴゴ…
ガチッ
「よし!施錠は完了した!!」
「鐘を鳴らせ!!」
カンカンカンカンカンカンカンカンカンカン…
キートン『ミカサを含む後衛の活躍により、住民の避難は巨人が接触することなく完了した―――撤退の鐘が鳴る』
後衛兵「撤退だ!!ガスを補給しろ!壁を登るぞ!」
カチッ
ミカサ「…前衛の撤退を支援してきます!!」ダッ
後衛兵「な…!?オイ…ミカサ!!」
――――――
ヒュン ヒュン
ミカサ「…」
キートン『前衛に向かって移動するミカサ…その途中の屋根の上でアルミン達を発見する』
ミカサ「…!」
ストッ
ミカサ「アルミン、丸尾!」タッ
丸尾「あっ…!ミカサさん!?ズバリ!アナタは後衛のハズでしょう!」
アルミン(ミカサ……!…ダメだ、合わせる顔がない…)
ミカサ「…二人なの?」
丸尾「さっきまでハンナさんが居ましたが、撤退の鐘を聞いて帰りました!
ズバリ!ガスが少ない私達は、アルミンさんの調子が戻り次第、補給しにいくつもりでしょう!」
アルミン(ミカサに何て言えば良いんだ……………僕のせいでエレンが…)
キートン『アルミンは、失意とともに打ちひしがれていた』
ミカサ「アルミンの調子が悪い…?」
丸尾「ズバリ!ここに巨人が一体近づいて来ましたが、私が倒したでしょう!アルミンさんは私が守ったのです!次の学級委員選挙には、是非この丸尾末男に一票を…」
ミカサ「うるさい」ギロッ
丸尾「ヒィッ…」
ミカサ(なぜ…アルミンは下を向いて座り込んでいるの…)
ミカサ「アルミン…ケガは無い?大丈夫なの?」
アルミン「…」コクン
ホッ
ミカサ「…エレンはどこ?」
アルミン「…」
丸尾「この丸尾末男の記憶が正しければアルミンさんは、エレンさんと同じ班だったでしょう!
そのアルミンさんが一人ということは…、ズバリ!アルミンさんがはぐれたか、アルミンさん以外が…」
ミカサ「うるさい」
丸尾「ヒッ…!」
ミカサ「アルミン…?エレンは…」
アルミン「…」バッ
ミカサ「……!」
キートン『アルミンが顔を上げミカサに向いたとき…その表情からミカサはアルミンとエレンに起きたことを察した』
アルミン「僕達……訓練兵……34班―――
トーマス・ワグナー
ナック・ティアス
ミリウス・ゼルムスキー
ミーナ・カロライナ
エレン・イェーガー
以上5名は自分の使命を全うし…壮絶な戦死を遂げました…」
ミカサ「…………」
丸尾「ズバ……!…!」
キートン『ズバリ、私の推察は当たっていたでしょう…そう言いかけた丸尾だが、流石に空気を察した』
アルミン「ごめんミカサ……エレンは、僕の身代わりに…!
僕は…何も……できなかった
すまない……」
スッ
ミカサ「アルミン」
アルミン「…」
ミカサ「落ち着いて。今は感傷的になってる場合じゃない」
ミカサ「さぁ立って!」トン
アルミン「……」
ミカサ「アルミン、丸尾…行こう…ガスを補給しに…」
アルミン「……」
ミカサ「途中の巨人は…私が排除する…だから誰も死なない……必ず皆で帰還する…エレンも、それを望んでる…」
アルミン「…!」
丸尾「決まりですね…ズバリ!補給の時は今でしょう!」
ミカサ「行こう…!」ダッ
――――――
ヒュン!
ミカサ「……っ!」
キートン『空を駆けるミカサ…後続のアルミンとは大分距離がついている』
アルミン(ミカサ…ガスを蒸かしすぎだ!あれじゃすぐに無くなる…やはり、いつもみたいに冷静じゃない…
動揺を行動で消そうとしてる…このままじゃいずれ…ていうか丸尾居ないぞ何処に行ったんだ…)
プシュ
ミカサ「っ」グラッ
ガンッ
キートン『ガスが切れて、落ちるミカサ』
アルミン「………!!ミカサ…!!」
ミカサ「…ハアッ…ハアッ………」
ミカサ(ガスが無くなるまで気づかないなんて…)
ズキ
ミカサ(まただ…またこれだ……また家族を失った)
ミカサ(またこの痛みを思い出して…また…ここから始めなければいけないのか…)
8m巨人「…」ズシン ズシン
ミカサ(この世界は 残酷だ)
ミカサ(そして… とても美しい)
8m巨人「…」ズシン ズシン
ミカサ(いい人生だった…)
キートン『諦めかけたミカサに、ミカサがエレンと出会った日の記憶が蘇る』
―――戦え!!
スッ
キートン『ミカサは、立ち上がった』
ミカサ(ごめんなさいエレン…私はもう…諦めない)
8m巨人「…」ズシン ズシン
ミカサ(死んでしまったらもう……あなたのことを、思い出すことさえできない)
ミカサ(だから――何としてでも勝つ…何としてでも生き残る…!)
ミカサ「うあぁぁぁぁぁっ!!」
ダッ!!
8m巨人「…」バッ
スカッ
ミカサ「あぁぁっ!!」
ズバッ!
キートン『ミカサを掴もうとしていた巨人の手をすり抜け、後ろに回り巨人の両足首を切り取る』
8m巨人「…」グラッ
ドスン!
キートン『バランスを崩した巨人は前に倒れ、起き上がるために腕を立てるが』
ミカサ「ああぁぁっ!!」
ズパン!
キートン『ミカサは片方の手首をすかさず切り取り、巨人は半俯せ状態となる』
ミカサ「…っ!」ダッ!!
キートン『巨人の首筋に向かって駆ける』
丸尾「ズバリ!」
ズバリ!!
ミカサ「…!」
キートン『巨人の弱点は削られた』
丸尾「いや~危なかったですね!ミカサさん!途中で見失ってしまったので姿を探していたら…なんとガスが切れてるところを巨人に襲われてるではありませんか!」
ミカサ「………」
丸尾「私が駆け付けなかったら、ミカサさんは大変なことになっていたでしょう!運よく巨人が転んでいて助かりました!」
ミカサ「………」
キートン『こうして空気の読めない丸尾によって、巨人は討伐された』
キートン『諦めかけたがエレンのことを思い、乗り越えたミカサ…そこに、アルミンが追いつく』
ヒュンッ
アルミン「…ミカサ!」ズザザザ…
バッ
キートン『ミカサを屋根の上に抱えあげるアルミン』
アルミン「ミカサ!!ガス切らして落っこちたろ!?ケガは!?」
ミカサ「……私は大丈夫…」
丸尾「私がミカサさんのピンチに駆け付けたのです!」
アルミン「そうか…とにかく、補給本部に移動しないと…」
丸尾「しかし、ミカサさんのガスは切れて…」
アルミン「やることは決まってる!」バッ
ガチャン!
アルミン「ミカサ…僕のガスも少ししか残ってないけど…これを使ってくれ!」
ミカサ「アルミン…?」
アルミン「こうする以外に無い!!僕が持っていても意味が無いんだ!!」カチャッ
丸尾「何を言っているのです!ズバリ!私がアルミンさんを抱えていくでしょう!」
ミカサ「あなたを…ここに置いていったりはしない」
アルミン「…」
アルミン「で…でも…この先にも巨人が大勢いるのに…人一人抱えて飛び回るなんて…」
丸尾「大丈夫です!学級委員ですから!」
アルミン(ダメだ…よしてくれ…このままじゃ僕は
また友達を死なせてしまう……)
パッ
アルミン「…!?」
キートン『突然アルミンは目隠しをされる』
???「だ~れだ」
アルミン「の…野口さん…」
野口「クックックッ…正解」
ミカサ「…笑子」
丸尾「野口さん!ズバリ!グッドタイミングでしょう!」
キートン『野口が合流する』
野口「クックッ…笑いにはタイミングが命だからね」
アルミン「野口さん…」
丸尾「これなら、アルミンさんのしていた心配もなくなるでしょう!」
ミカサ「丸尾がアルミンを運んで、道中の巨人は私と笑子が倒せば、補給本部に行くのも難しくはない」
野口「……クックックッ、決まりだね」
アルミン「そんな、僕のために……」
ミカサ「…大丈夫 誰も死んだりしないから」
アルミン「……」
キートン『実戦中にはぐれたのかもしれないし、あるいは巨人の犠牲になったかもしれない…
合流した仲間――ここでは野口である――に、班の仲間はどうしたのかは聞かないという、戦場での暗黙の了解が出来ていた』
丸尾「…野口さん!ところで31班の永沢くん達はどうしたんですか?」
キートン『―――丸尾以外では』
野口「先に壁に登ったよ。ガスに余裕があったからね…クックックッ」
キートン『31班の巨人との戦闘はほとんど野口がカタをつけたため、他のメンバーのガス燃料の消費は少なかったのである』
巨人「…」ズン ズン
野口「…おっと。世間話をしてる場合じゃないね、クックックッ…さっそくお出ましだよ」
ミカサ「笑子…行くよ」ダッ!
野口「……」ダッ!
丸尾「アルミンさんはお任せくださいっ!」バッ
アルミン「………」
アルミン「ミカサ…野口さん…丸尾くん、ごめん…」
丸尾「………」
丸尾「…違いますよ、アルミンさん」
アルミン「…え?」
丸尾「こういうときは、ズバリ、ありがとうと言うのです…ごめんなさいではなく」
アルミン「……丸尾くん」
アルミン「ありがとう…」
丸尾「いいのですよ…その代わり次の学級委員選挙ではこの丸尾末男に一票を…」
アルミン(一瞬見直しちゃったじゃないか…)
ザシュッ!!
巨人「」ゴスゥゥン
キートン『ミカサと野口により巨人は討たれ、家屋に前のめりで倒れた』
ミカサ「…」キン!
野口「…」カチャ
アルミン「…すごい、息ピッタリだった…」
丸尾「ズバリ!ドンドン進む以外にないでしょう!」
――――――
キートン『補給本部―――一階の補給所から補給のガスボンベを上の階に運ぶ18・19班合同部隊』
ガチャガチャ
ガチャガチャ
杉山「リフト動かしといた方が、もっと効率よく上に運べたかもなっ」
城ヶ崎「ねぇ、それより今…!」
トム「おい…聞いたか?撤退の鐘が鳴ったぞ!」
マルコ「これで…帰還できる…!後は…」
とくぞう「ガスを補給しにくる皆にこれを渡すだけだ!」
大野「それには…もう一つ関門があるな…本部周りの巨人を、退けることだ!」
ガチャガチャ
ガチャガチャ
―――上の階
キートン『上階で、一階から運んできた大量の補給用ガスボンベを置いた大野達』
大野「…妙だ」
杉山「窓に巨人が張り付いてない…」
トム「ボンベを運んでる間も…補給所には新しい巨人が入って来なかったけど…」
みぎわ「帰っちゃったのよ、きっと」
ガシャーーン!!
マルコ「っ!?」
とくぞう「…おお…!」
パラパラ…
まる子「ヒェ~、ヒヤヒヤしたよ」
たかし「奇行種二体とも劣勢になってきて、僕らを捕まえようとする巨人が出て来たからね」
たまえ「…ふぅっ」スタッ
城ヶ崎「…みんな!」
キートン『外からまる子達が、大野達に合流する』
――――――
サシャ「皆さん!よくご無事で!」
城ヶ崎「ブラウスさん…!」
サムエル「補給物資は確保できたみたいだな」
トム「…サムエルっ!無事だったのか…」
杉山「このヤロー…一人だけカッコつけやがって」
大野「生きてて良かったぜ…」
サムエル「ああ…サシャのおかげでな……」
まる子「マルコ~。アンタ無事だったんだねぇ…やっぱまるこコンビは不滅だよ!」
キートン『アンタ昨日解散とか言ってなかったか』
マルコ「まる子こそ無事で良かったよ…」
ガシャガシャガシャーン!!
コニー「いてて…」
とし子「はぁ…はぁ…」
ジャン「…ガスがちょうど切れた…危ねぇとこだった」
訓練兵「今日何回人生振り返ったことか…」
マルコ「…ジャン!みんな…!」
キートン『ジャンを始めとする訓練兵達も、次々に合流』
まる子「とし子ちゃんっ!」
とし子「まるちゃん…たまちゃん…」
たまえ「良かった…」
マルコ「みんな!ガスボンベならこっちにたくさんあるから、急いで補給して!」
とくぞう「無事で良かった…みんな…」
コニー「無事なのは俺らだけじゃないぞ…外にライナー達が…」
ジャン「そうだ…!ライナー達が今外で様子を見てるんだが…
どうなってんだ?巨人どうしが戦ってるぞ」
杉山「…は?」
大野「俺らが中で補給所の巨人を排除してる間に、外で何が…」
サシャ「それなのですが…」
――――――
キートン『補給本部の建物の外では、奇行種二体と巨人達の攻防が繰り広げられていた』
金持ちそうな巨人「ベイビィィィィ!!」
黒髪巨人「……アアアアアア!!」
巨人「ギュルッ!!」
巨人「ウガァ!!」
巨人「アッヒョ!!」
キートン『巨人達の物量に圧され、二体は少しずつ劣勢に陥っていた』
アニ「ライナー…どうする?」
ライナー「……助けるぞ、あの巨人達を…」グッ
キートン『その様子を見ていたライナー、ベルトルト、アニの三人は動き出そうとしていた』
ヒュン
ミカサ「アニ!」
アニ「!」
ライナー「…ミカサ達、無事だったのか」
ストッ
ミカサ「何をやっているの…早く補給をして壁の中へ…」
アニ「あれ…」スッ
ミカサ「…!」
野口「…………クックックッ、なかなか面白い光景だねぇ」
丸尾「…ヒ、ヒェ~~~ッ!」
アルミン「巨人と巨人が…戦ってる……」
――――――
ヒュンッ
ジャン「―――ミカサ!」
ヒュン
まる子「おーい!」
アルミン「――あ!」
ライナー「ジャン…!さくら達…」
ミカサ「…」
スタッ
ジャン「ミカサ、生きてて良かったぜ…」
キートン『ジャン、まる子、たまえ、みぎわの四人が補給本部から出て来る』
みぎわ「何ぼーっと巨人達眺めてんのよ!」
たまえ「みんな補給を終え次第、壁に帰りはじめてるよ」
野口「…」
アニ「あの巨人達、何なのか分かる?」
ジャン「まる子達に聞いたが、あの二体は巨人を殺す奇行種らしい…ただ珍しいタイプなだけの巨人だ
今は構ってる場合じゃねぇだろ!」
みぎわ「…そうよ!早く帰りましょう!」
まる子「アンタ達があんまり来ないもんだから、あたし達が補給のガス持ってきたよ…これに付け替えて撤退するよっ」ガチャン
ミカサ「あの巨人の謎を解き明かせば…この絶望的な現状を打開するきっかけになるかもしれない」
まる子「ただのラッキーな奇行種じゃないのかねぇ」
ライナー「俺もミカサに同感だ…あのまま巨人に殺されたら何もわからず終いだ!
あの奇行種たちと戦ってる巨人を俺達で排除して、延命させよう!」
丸尾「エエッ!?」
ジャン「正気か、ライナー?」
アニ「あの巨人達が味方になる可能性があるとしたら…
どんな大砲よりも強力な武器になると思わない?」
ジャン「本気で言っているのかお前ら!?」
まる子「まぁ確かにあたし達はあの巨人達に助けられたけどさ…」
野口「クックックッ…そっちの方が面白そうだよね、クックックックッ…」
みぎわ「そんな…!わざわざ危ない橋を渡ることないじゃない!」
キートン『そのとき…一体の巨人が歩いてきた』
奇行種「…」ズン ズン
アルミン「!」
アルミン「あれは…トーマスを食った奇行種…」ギリ…
黒髪巨人「!」
ダッ!!
黒髪巨人「アアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」
丸尾「ヒィッ!」
ミカサ「…!?」
アニ「…!」
グシャ!
巨人「!?」
巨人「ウガ…」
ドシュッ!
キートン『黒髪の巨人は、トーマスを捕食した奇行種に気づいた途端、
自らを追い詰めていた巨人を突破し、奇行種に向かって走った』
ドッドッドッ…
黒髪巨人「アアアアアアアアアアアア!!!!」
バキィッ!!
奇行種「」
ドォォォォォン!
キートン『黒髪の巨人は奇行種の首の弱点に喰らいつき、かみ砕いた後で地面に叩きつけた』
金持ちそうな巨人「ベイベイベイベイベイビィィィィィィィ!!!!」ピキピキ…
ズゴォォォ!!
巨人「アッヒッ…」
巨人「ギィッ!?」
キートン『一方、金持ちそうな巨人は拳を大理石化させ、そのまま巨人達の顔面を潰した』
キートン『そう、その大理石は…昔はなわが入っていたお風呂に使われていた大理石によく似ていた』
黒髪巨人「アアアアアアアアアア!!!!!」
金持ちそうな巨人「ベイッッビィィィィィィィ!!!!!」
キートン『二体の巨人は、自分達に群がっていた巨人を倒し尽くした』
――――――
ジャン「…オイ、何を助けるって?」
アルミン「杞憂…だったね……」
まる子「たまちゃん!丸尾くんが気絶してるよ!」
たまえ「放っとこう」
野口「プッ…」
ズシィィィン
キートン『暴れていた二体の奇行種は、その場に倒れた』
ジャン「さすがに…力尽きたみてぇだな
もういいだろ…?ずらかるぞ!
あんな化け物が味方なわけねぇ…巨人は巨人なんだ」
ジュウウウウウウ…
たまえ「えっ…」
ミカサ「…!」
ベルトルト「…」
みぎわ「…」
アルミン「…」
ジャン「…オイ…?」
まる子「……奇行種の…首が………」
ジャン「あ…?」ジッ
ジャン「…!!」
キートン『巨人の首から出る大量の蒸気の中に、黒髪の巨人ではエレンの姿、金持ちそうな巨人でははなわの姿が見えた
二人は眠っているようだった』
ミカサ「…」
みぎわ「…」
トンッ
キートン『その姿を認めた瞬間、ミカサとみぎわは無意識にそちらへ向かい始めていた』
タッタッタッ…
キートン『ミカサはエレンに、みぎわははなわに駆け寄る』
バッ
キートン『二人はそれぞれ、自分の大切な人を抱きしめ、生存を確認した』
ミカサ「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁん」
みぎわ「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁん」
キートン『二人は、まるで緊張の糸が切れたかのように、大切な人を抱え、大声で泣き出した』
うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ
ライナー「……」
アニ「……」
まる子「なんかさ…ミカサがエレンを泣きながら抱くのは絵になるのにさ
みぎわさんがはなわくんを泣きながら抱くのは…」
たまえ「たぶんそれ言っちゃいけないやつだよ、まるちゃん」
ベルトルト「丸尾くん…起きなよ」ユサユサ
丸尾「…はっ!?」
エレン「………」
はなわ「………」
アルミン(エレンだ……切断されたハズの腕と足がある……
エレンはあの時…巨人に飲み込まれた…)
アルミン「一体 何が…」
ジャン「―――これをエレンとはなわが…やったってことなのか…?」
最近急に忙しくなった
―――回想―――
キートン『巨人が攻めてきた、5年前のあの日』
ヒデ爺「お坊っちゃま、巨人がこのシミズに攻めて来ているという情報が入っております」
はなわ「本当かい?ウォール・マリアが壊されたってことか…それは一大事だねベイビー」
ヒデ爺「すぐにウォール・ローゼの内側へ逃げなくてはなりません」
はなわ「そうだねヒデ爺…ボクの家に別れを告げるのは寂しいけど、仕方ないね」
ヒデ爺「…」ガチャガチャ
はなわ「おや?ヒデ爺…何をやっているんだい?」
チャキ
ヒデ爺「お坊っちゃま…腕をお出しください」
はなわ「注射だね…何でこんなときに?」
ヒデ爺「これは…お坊っちゃまやお友達を守ってくれる力を与えてくれます」
はなわ「力…?どういう意味なんだい」
ヒデ爺「この力は、お坊っちゃまがピンチになったとき、きっと助けてくれるでしょう」
はなわ「…ありがとう、ヒデ爺」
キートン『傍から見たら怪しい薬注入の光景である』
ヒデ爺「では、車の用意をして参ります」ニコッ
――――――
バキ…バキ…
はなわ(こ…こんな…、ところで…………)
巨人「ム…」
巨人「ハハッ…」
バキ…バキ…
はなわ(5年前……さくらクンやヒデ爺に助けられた命を……こんな…ところで………)
メリ… ブチッ!!
キートン『巨人に徐々に解体されていくはなわ』
はなわ(死ぬ……わけには…行かないんだ……………ベイビー…!!!)
カッ!!!
―――回想―――
チクショウ…
チクショウ…
ベチャ!
エレン「う…」
キートン『無念にも巨人に捕食され、食道を流れ落ちたエレン』
エレン「ああああ…!?」
キートン『目の前に広がる光景は、巨人に捕食された訓練兵達の死骸が浮かぶ、胃液の海だった』
エレン「……こんな…!」(こんなハズじゃ…)
エレン(オレ達は5年前とは違うんだ……必死に訓練した、必死に考えた…!
巨人に勝つために…
巨人に奪われないために…)
冬田「」
エレン「…うわ!」
キートン『胃液の中に、冬田の頭部が浮かんでいる』
エレン(冬田……お前、シミズを取り戻し、大野の恋人になるのが夢だって…言ってたのに…………)
エレン(どうして…)
エレン(どうして俺たちは奪われる…命も、夢も…)
エレン「あ…あぁ……」
キートン『エレンの眼から涙が零れ落ちる』
エレン「チ…クショウ……」
エレン「諦めて…たまるか……」
エレン(駆逐してやる…)
エレン「一匹、残らず…」
エレン「殺して………やる……」
カッ!!!!!
――――――
キョジンヲコロス…
モットコロス…
モット…
エレン「―――殺シテヤル…」
アルミン「……エレン?」
エレン「…」
エレン「は!?」
オォオオオォォォォ…
兵士たち「…」
キートン『意識を取り戻したエレン……彼はミカサ、アルミン、はなわ、みぎわとともに大勢の平氏に囲まれていた』
ミカサ「…エレン!!」
エレン「……!?」
アルミン「エレン!ちゃんと体は動くか?意識は正常か?」ガッ!
みぎわ「今すごい顔してたわよ、イェーガーくん」
アルミン「知ってることを話すんだ!きっと分かってもらえる!」
エレン「……アルミン…!?」
兵士「オイ聞いたか…『殺してやる』って言ったんだ…」
兵士「ああ…確かに聞こえた…俺達のことだ アイツは俺達を食い[ピーーー]気だ…」
エレン「…!?…待って…」(何言ってんだみんなは…?)
はなわ「今…非常にマズイ状況のようだよ、ボクたちは」
みぎわ「剣がこっちに向けられてて怖いわ、はなわクン…///」
エレン(何で…そんな目でオレを見る…!?)
エレン(まさか…さっき見たものは…………)
エレン(夢…だよな…?腕だってちゃんとついて…)
キートン『シャツの袖が不自然に破れているのに気づく』
エレン(…これは……)
キッツ「イェーガー訓練兵、はなわ訓練兵!!二人とも意識が戻ったようだな!
今貴様らがやってる行為は人類に対する反逆行為だ!貴様らの命の処遇を問わせてもらう!
下手にごまかしたりそこから動こうとした場合はそこに榴弾をブチ込む…躊躇うつもりはない!」
エレン「…は?」(砲台が、こっちに向けられている…)
はなわ(うっすらと記憶に残っている…ボクは…巨人に確かに食われていた………その後…)
キッツ「率直に問う…貴様の正体は何だ?」
キッツ「人か? 巨人か?」
――――――
キートン『帰還した第104期兵達は、次の指令まで待機命令を受けた』
杉山「―――で、俺達はガスを確保したわけだ」
クリスタ「そんなことが…」
クリスタ「ごめんなさい…何度も皆の補給の救援を志願したんだけど…」
ユミル「せっかく私達はガスを確保できたのにな…
みんなに知らせる!つって飛び出したのはコイツだ…」
藤木(クリスタさん…やっぱり良い子だな……)
藤木(でも僕には笹山さんやリリィもいるからな…好きな人が三人も居るなんて、僕は贅沢だなぁ)
永沢「藤木くん…君まさか、クリスタのことが好きだとか言うんじゃないだろうな」
藤木「えっ」
永沢「君、確か笹山のこと好きだったよな…浮気なんて最低な人間のやることだね」
キートン『そもそも付き合ってないから浮気ではない』
永沢「どっちかを諦めるべきだよ」
藤木「そんな…僕だって三人とも好きだから困ってるんじゃないかっ!」タッタッタッタッ
永沢「行っちゃったよ…」(三人…?)
城ヶ崎「永沢!静かに待機って言われてたのに藤木と騒いでるんじゃないわよ!」
永沢「なっ…!城ヶ崎、またお前か…!いちいち噛みつくなよ嫌な奴だな!」
城ヶ崎「みんな巨人との戦いで心も体も消耗してるんだから、静かにしてちょうだい!」
永沢「何だよ…!城ヶ崎の嫌な奴、嫌な奴、嫌な奴…!!」
クリスタ「じゃ…じゃあ今ここにいない人達は全員…」
ユミル「……」
杉山「…ああ」
大野「巨人とまともにぶつかれば、そうなる…」
ユミル「本当か?あのミカサもか?」
杉山「ん?」
コニー「帰るときにミカサがジャンや穂波達と何か話してるのを見たんだが…
ジャン…お前ミカサと一緒に帰ってきたんじゃなかったのか?」
ジャン「………」
ジャン「オレ達には守秘義務が課せられた…言えない
もっとも…どれ程の効果があるのかわからんが…」
コニー「守秘命令?」
ユミル「何だそりゃ」
たまえ「隠し通せるような話じゃない…」
野口「し~らない、し~らない。知っているけど知らんぷり」バリバリ
ジャン「すぐに人類全体に知れ渡るだろう…それまでに人類があればな…」
ダズ「マルコ…俺…もう駄目だ…もう巨人と戦えない…」
ダズ「仲間が目の前で食われた…!次…、次食われるのは俺だ………気づいたんだ…俺達の仕事ってのは…
巨人に食われるまで…戦わされ続けることなんだろ?」
ダズ「食い殺されるくらいなら…いっそ今!」ガシャ!
マルコ「やめろ!!」
マルコ「しっかりしろよ!お前だけじゃないんだぞ!?みんな恐怖と戦っているんだ…
野口さんを見ろ!せんべいを食べて心を落ち着けている!
丸尾を見ろ!選挙のポスターを壁に貼っている!
あんな目に遭ってもなお気高き兵士のままだ!」
ダズ「俺は…あいつらみたいに特別にはなれない…もうダメだ…!」カシャ!
マルコ「よせ!!」
まる子「マルコも苦労してるねぇ…ダズは同じ老け顔でもサムエルとは大違いだねぇ」
サムエル「おい…」
まる子(それにしても…はなわクンやエレン達は大丈夫かな…)
ドオオオオン!!
ジャン「…っ!」
ライナー「砲声…!?」
まる子「ワアッ…ビックリした!寿命が半分縮まったよ」
そろそろ戦没者リストが必要かも……
>>278
今度つくります
ザワザワ…
ジャン「砲声…なぜ一発だけ?」
たまえ「壁の中…」
ジャン「水門が突破されたのか!?」
ライナー「一番頑丈な箇所だ ありえない… 榴弾を落としただけだろう」
まる子「スゴい煙の量だねぇ…巨大な焼き芋でも焼いてるのかな」
ライナー「いや…それは考えにくい…焼き芋を焼くのに榴弾は使わないハズだ…!まさか…巨人の蒸気!?」
ライナー「…!」
パシュ!
ライナー「…」ダンッ!
訓練兵「ライナー!?」
アニ「……」パシュッ
ジャン「!」パシュッ
訓練兵「…アニ、ジャン!?」
まる子「サシャ!小杉!」パシュッ
サシャ「はい!」パシュッ
小杉「焼き芋だ!」パシュッ
訓練兵「オイ!?お前らっ」
キートン『榴弾が落とされた騒ぎに駆けつけていく、一部の訓練兵達』
野口「………クックックッ」バリバリ
トム「野口さん…どうしたの?」
野口(いち早くアレに駆けつけて行ったのも、奇行種に最初に注目したのもブラウンとレオンハートさんだったね……これは偶然かねぇ…)
キートン『駆けつけたジャン達は大量の煙の中に、巨人の上半身とそれを囲む多くの人影を確認した』
ジャン「……」
ライナー「どうなってんだ…これは!?」
小杉「焼き芋じゃ……ない…!?」
サシャ「巨人…壁の中に……!?」
まる子(ひょっとして…エレンやはなわクンたちの騒ぎじゃ…)
――――――
キートン『エレンが出現させた巨人の骨格の中』
アルミン「今…僕達は巨大な骨格の内側に!?」
ミカサ「エレンが…私達を守った…今はそれだけ理解できればいい」
みぎわ「何よ、あのオヤジ!はなわクンが『自分は人間』ってしっかり主張したのに!失礼しちゃうわ!」
はなわ「イェーガークンが巨人を出せた…だとすると、ボクが巨人になった記憶も夢ではなさそうだね…」
ザッ!
エレン「オイ!?大丈夫かお前ら…」
アルミン「…エレン!?」
はなわ「これは――」
エレン「わからん!!ただ…こいつは巨人の死体と同じで蒸発する!少し離れるぞ!!」
バッ
エレン「駐屯兵団に今のところ動きは見られないが……最終的には攻撃を続行するだろう…
こんなもん見せた後で会話できる自信はオレにはない…」
エレン「ただ…一つだけ思い出した……」
アルミン「…!?」
エレン「地下室…オレん家の地下室だ!そこに行けばすべて分かるって親父が言ってたんだ…
…オレがこうなっちまった原因も親父だ…地下に行けばおそらく巨人の正体もわかるんだ」
エレン「…オレはここを離れる」
はなわ「一体何を言い出すんだベイビー?」
エレン「地下室を目指す…もう一度巨人になって壁を越えてな…今度はさっき巨人共を蹴散らしたような15m級になってやる!」ツー…
はなわ「…」
ミカサ「エレン!鼻血が…」
みぎわ「まさかわたしを見て興奮したんじゃないでしょうね!」
エレン「そ、それはない…」クラッ
アルミン「顔色もひどい、呼吸も荒い…明らかに体に異常を来している」
エレン「今は…オレの体調なんかどうでもいい…とにかく、オレには考えが2つある
オレを庇ったりなんかしなければ…お前らは命まで奪われない。もう迷惑をかけちまったが、これからはオレ単独で動こうと思う」
アルミン「…そんな」
はなわ「………」
はなわ「…ボクも行かせてもらおう」
エレン「はなわ…」
はなわ「ボクは君と同じ立場に置かれている…それに二人ならここを切り抜けられる確率が格段に上がるよ」
エレン「…そうだな」
ミカサ「エレン…私も行く」
エレン「ダメだ 置いていく」
ミカサ「私が追いつけなければ私に構う必要はない ただし私が従う必要もない」
みぎわ「そうよ!わたしも行くわ!はなわクンと離れるんて考えられない!」
はなわ「レディたち…君達がボクらと同じように人類の敵と認識される必要なんてないんだよ」
ミカサ「…私は…!」
エレン「待てよミカサ。考えは2つあるって言っただろ…
これはオレ程度が思いついた最終手段を判断材料として話したまでだ…あとはアルミンの判断に任せる」
アルミン「…え……?」
はなわ「イェーガークン…」
エレン「オレだって今の話が現実性を欠いてることはわかってる
オレ達の巨人の力は兵団の元で機能させるのが一番有効なハズなんだ」
エレン「無茶を言うが…アルミンがもしここでオレ達が脅威じゃないって駐屯兵団を説得できると言うなら…オレはそれを信じる
それができないと言えば…さっきの最終手段を取る
アルミン、決めてくれ…オレはどっちでもお前の意見を尊重する」
アルミン「…エレン。どうして僕にそんな決断を託すの?」
エレン「お前ってやばい時ほどどの行動が正解か当てることができるだろ?
それに頼りたいと思ったからだ」
アルミン「…いつ、そんなことが?」
エレン「色々あっただろ?5年前なんか、お前がハンネスさんを呼んでくれなかったら…オレもミカサも巨人に食われて死んでた」
アルミン「……」
はなわ「訓練兵のときも、ボクらは何度も君の機転に助けられたよ」
みぎわ「えぇ…」
ミカサ「…アルミン。考えがあるなら、私もそれを信じる…」
アルミン「………」
僕が勝手に 思い込んでただけだ…
勝手に…
自分は無力で 足手まといだと
みんなはそんなこと 思ってなかったのに…
今 僕を信じるって言ってくれたみんなの中には
僕がこの世で最も信頼している二人も居る
これ以上の説得力がどこにある…
アルミン「………必ず」
ダッ!
アルミン「必ず説得してみせる!
みんなは極力抵抗の意思が無いことを示してくれ!」
キートン『アルミンは、走り出した』
すいません
>>269のピーは「殺す」です
ダッ ダッ ダッ ダッ…
アルミン「……」ガシャン!
キートン『アルミンは走りながら装置を外し、戦意がないことを示す』
キッツ「貴様!!そこで止まれ!!」
アルミン「彼らは人類の敵ではありません!私達は知り得た情報を全て開示する意思があります!」
キッツ「命乞いに貸す耳は無い!
目の前で正体を現しておいて今更何を言う!?」
キッツ「ヤツらが巨人でないと言うのなら証拠を出せ!!それができなければ危険を排除するまでだ!!」
アルミン「証拠は必要ありません!
そもそも彼らをどう認識するかは問題ではないのです!」
キッツ「何だと!?」
アルミン「大勢の者が見たと聞きました!
ならば彼らと巨人が戦う姿も見たハズです!!
周囲の巨人が彼らに群がって行く姿も!」
兵士達「!!」
キートン『私も見た』
アルミン「つまり…」
アルミン「巨人は彼らを我々人類と同じ捕食対象として認識しました!
我々がいくら知恵を絞ろうともこの事実だけは動きません!」
キッツ「…!!」
兵士達「確かにそうだ…」
「ヤツは味方かもしれんぞ…」
キッツ「………」
キッツ「―――迎撃体制をとれ!ヤツらの巧妙な罠に惑わされるな!」
アルミン「なっ!?」
キッツ「ヤツらの行動は常に我々の理解を超える!!
人間に化けることも可能というわけだ!」
エレン「…!」
ミカサ「…っ!!」
はなわ「Oh…」
キッツ「これ以上ヤツらの好きにさせてはならん!」
アルミン(ダメだ…考えることを放棄してる…考えることが怖いんだ…!)
アルミン「……エレン…ミカサ…」バッ
エレン「…」
ミカサ「…」
アルミン「…っ」ギュッ
アルミン「私はとうに人類復興の為なら心臓を捧げると誓った兵士!!
その信念に従った末に命が果てるのなら本望!!!」ドンッ
アルミン「彼らの“巨人の力”と残存する兵力が組み合わされれば…この街の奪還も不可能ではありません!!」
アルミン「人類の栄光を願い!これから死にゆくせめてもの間に!」
アルミン「彼らの戦術的価値をときます!!!」
キッツ「…」
キッツ(どう命乞いをしようと…私は規則に従うまで
規則に反する者は排除する…)
スッ
キートン『砲撃の合図をおくろうとするキッツ、しかし』
ガシッ
???「よさんか」
キッツ「…!」
キートン『それは新キャラによって阻止された』
???「相変わらず図体の割には小鹿のように繊細な男じゃ…お前にはあの者の見事な敬礼が見えんのか」
キッツ「…ピクシス司令!!」
ピクシス「今着いたところだが状況は早馬で伝わっておる。お前は増援の指揮に就け。ワシは―――」
ピクシス「―――あの者らの話を 聞いた方がええ気がするのぅ」
――――――
キートン『南側領土を束ねる最高責任者、そして変人であるピクシス司令に助けられたエレン達は、壁の上で彼と言葉を交わした』
ピクシス「―――アルミン訓練兵…お主は先ほど巨人の力とやらを使えばトロスト区の奪還も可能だと申したな…
あれは本当にそう思ったのか?それとも苦しまぎれの命乞いか?」
アルミン「…それは……」
ピクシス「…」
アルミン「…両方です」
アルミン「あの時僕が言おうとしたことは…巨人になったエレンとはなわクンが、破壊された壁まで
この街の、扉に近い方の大岩を運んで…扉を塞ぐということでした」
エレン・はなわ「………」
アルミン「ただ単純に思い付いただけですが…せめて彼らの持った力に現状を打開できる可能性を感じてもらえないかと…」
ピクシス「…」スッ
アルミン「!?」
ピクシス「エレン訓練兵、はなわ訓練兵よ…穴を塞ぐことができるのか?」
エレン「……」
はなわ「……」
ピクシス「…」
エレン「…塞いでみせます!」
はなわ「何があっても…!!」
アルミン「…!」
ミカサ「…!」
みぎわ「はなわクン…素敵……」
ピクシス「よう言ったの!主らは男じゃ!」
ピクシス「参謀を呼ぼう!作戦を立てようぞ!!」
ピクシス「時は一刻を争う…活躍してもらうぞ 若き兵士達よ」
――――――
キートン『トロスト区奪還作戦のため、駐屯兵、訓練兵達はウォール・ローゼの扉の前に集められた』
ザワザワ…
「トロスト区奪還作戦だと!?」
「嘘だろ!?扉に空いた穴を塞ぐ技術なんか無いのに…!?」
「それじゃあ、もうトロスト区に入ったって無駄死にじゃねぇか!?」
たかし(僕よりずっと強かった関口くん達が…あんな簡単に死んだのに………)ガタガタ
ダズ「また…あの地獄に…?」ガタガタ
ダズ「…いやだ!死にたくねぇ!!家族に会わせてくれ!!」
マルコ「ダズ!声が大きいぞ!」バッ!
駐屯兵「――そこのお前!聞こえたぞ!」ツカツカ…
ダズ「…!」
駐屯兵「任務を放棄する気か!?お前…」
ダズ「ええそうです!この無意味な集団自殺には何の価値も成果もありません!」
駐屯兵「お前…人類を…規律を何だと思っている…
私にはこの場で死刑を下す権限があるのだぞ」チャキ…
ダズ「いいですよ…巨人に食い殺されるより100倍いい…」ズズ…
ザワザワ…
「オイ、聞いたかアレ…」
「こんな状況じゃ無理もないだろう…」
「貴様ァ!何故ビラを配っている!」
「駐屯兵の方達にも投票してもらうためです!」
「今すぐ回収しろ!」
「エェッ!?」
――――――
キートン『駐屯兵達が集まっている扉前の壁の上に、ピクシス、エレン、はなわが立つ』
ピクシス「注!!!!」
ピクシス「もおおおおおおおおく!!!!!」
ビリ…ビリ…!
駐屯兵・訓練兵達「…!」
ピクシス「――これよりトロスト区奪還作戦について説明する!!」
ピクシス「この作戦の成功目標は破壊された扉の穴を―――」
ピクシス「塞ぐ!! ことである!!」
「え…!」
「塞ぐって…一体…」
「どうやって?」
ピクシス「穴を塞ぐ手段じゃが、まず彼らから紹介しよう!」
ピクシス「訓練兵団所属
エレン・イェーガー!
花輪和彦!」
エレン「!」バッ
はなわ「!」バッ
ピクシス「彼らは我々が極秘で研究してきた巨人化生体実験の成功者である!!
彼らは巨人の体を精製し意のままに操ることが可能である!!」
ピクシス「巨人と化した彼らは、トロスト区の例の、前門付近にある方の大岩を持ち上げ
破壊された扉まで運び穴を塞ぐ!!」
ピクシス「諸君らの任務は彼が岩を運ぶまでの間 彼らを他の巨人から守ることである!」
駐屯兵「あの巨大な岩を持ち上げる…そんなことが…
人類は遂に巨人を支配したのか!?」
ダズ「嘘だ!!」
ダズ「そんなわけのわからない理由で命を預けてたまるか!
俺達を何だと思っているんだ!?
俺達は…使い捨ての刃じゃないぞ!!」
「人間兵器だとよ」
「そんなまやかし真に受ける奴が何割いるって見積もってんだろうな…馬鹿にしやがって」
ダッ!
ダズ「人類最後の時を家族と過ごします!!」
駐屯兵「オイ待て!死罪だぞ!?」
「今日ここで[ピーーー]ってよ!俺は降りるぞ!!」
「僕も…」
「俺も!」
「わ…私も…」
「じゃああたしも…な~んてね、クックックッ…」
(また自分のネタで自分で笑ってるよ…)
「!」キッ
「!?」
ドゴッ!
「ライナーッ!」
ザッ ザッ
キートン『訓練兵や駐屯兵から…次々に、作戦を辞退する者が現れる』
「オイ…このままじゃ…」
「ヤバイぞ…」
「秩序が無くなる…」
キッツ「クッ…覚悟はいいな反逆者共!!」カシャン
キッツ「今!!この場で叩き切る!!」
ピクシス「―――ワシが命ずる!!」
今この場から去る者の罪を免除する!!」
キッツ「な!?」
ピクシス「一度巨人の恐怖に屈した者は二度と巨人に立ち向かえん!!
巨人の恐ろしさを知ったものはここから去るがいい!」
「……」
ピクシス「そして!!」
ピクシス「その巨人の恐ろしさを自分の親や兄弟、愛する者にも味わわせたい者も!!
ここから去るがいい!!!」
「…!」ザッ
「それだけはダメだ…」
「それだけは…させない」
「娘は…私の最後の…」
ザッ!
「希望なのだから」
キートン『背を向けたダズ、たかしを始めとした訓練兵や駐屯兵達は
再び前を向く決心をした』
エレン(あの巨人の力で岩を持ち上げられるかどうかわからない…
でもオレの役割は理解している…)
エレン(偽物かもしれないけど…
それでも…成功させなければならない…)
エレン(オレは…オレ達はならなきゃいけないんだ…)
エレン(みんなの希望に…)
はなわ「ベイビー…」
ピクシス「4年前の話をしよう!!
4年前のウォール・マリア奪還作戦の話じゃ!!」
ピクシス「あえてワシが言わんでもわかっておると思うがの」
ピクシス「奪還作戦と言えば聞こえはいいが!
要は政府が抱えきれんかった大量の失業者の口減らしじゃった!!」
ピクシス「皆がそのことに関して口をつぐんでおるのは
彼らを壁の外に追いやったおかげで 我々はこの狭い壁の中を生き抜くことができたからじゃ!
ワシを含め人類すべてに罪がある!!」
ピクシス「ウォール・マリアの住人が少数派であったがため、争いは表面化しなかった
しかし!!今度はどうじゃ!?」
ピクシス「このウォール・ローゼが破られれば人類の2割を口減らしするだけじゃ済まんぞ!
最後のウォール・シーナの中だけでは残された人類の半分も養えん!!」
ピクシス「人類が滅ぶのなら、巨人に食い尽くされるのが原因ではない!!
人間同士の殺し合いで滅ぶ!!」
ピクシス「我々はこれより奥の壁で死んではならん!!」
ピクシス「どうかここで――」
ピクシス「ここで死んでくれ!!!」
――――――
キートン『ピクシスの演説を聞き、兵士達に闘志の炎が灯り始めた』
キートン『しかし、その裏で物騒なことを企む2つの影もあった』
???「司令の演説で、皆が希望を抱き始めてるよね」
???「そうだね…まだ巨人の恐怖が足りないのかもしれないな。僕らの手で痛めつけなければならないみたいだ」
???「えっ…???くん、何をする気だい」
???「トロスト区にもう一つ穴を開けるのさ…奪還作戦中の兵士達は、恐怖に顔を歪めるに違いないさ」
???「そんな…壁を破壊するなんて大きなことしたら、僕らは超大型巨人や鎧の巨人並みに人類に目をつけられちゃうじゃないか!」
???「???くん、君は本当に卑怯だな…
ま、君は大丈夫さ。君の力じゃ壁は壊せないからね…今回は君はサポートをやれば良いだけなんだ」
???「そ、そうか…良かった……」
キートン『この会話の主は、いったい…』
改行オーバーくらって焦ってsaga忘れた
>>294のピーは「死ね」です
――――――
ヒュン ヒュン
巨人「ガアアアアア!!」ズオッ!
スカッ
大野「おっと!」
杉山「あたらねぇぜ!」ヒュンッ!
ジャン「こっちだ、この化け物共がっ!」
キートン『エレン達が安全に大岩へたどり着けるように、巨人を壁へ壁へと引き付ける訓練兵・駐屯兵達―――
この間、エレン達は壁の上を伝って大岩への最短距離地点まで向かっている』
ヒュン…!
たまえ「…だぁっ!」
ズパン!
巨人「…グギィ」ドスゥゥン
たまえ「―よし…」
まる子「たまちゃんっ!」ヒュォォォ
たまえ「…何?まるちゃん」
スタッ
まる子「今回は巨人は倒す必要ないんだよ…巨人を壁側に引き付けるだけで良くてさ」
たまえ「でも…みんなが移動するのに邪魔にだってなるから、倒せそうな巨人は適度に倒しといた方が良いと思うよ」
まる子「…そういうのは駐屯兵とかのベテランに任せてさ、あたし達は危険な橋渡らなくても…」
たまえ「…大丈夫だよ、心配ありがとう
でも今は話してる状況じゃないよ。私行くね、まるちゃん」ヒュンッ!
まる子「たまちゃん…」
まる子「………」
まる子(…エレン、はなわクン、ミカサ……頑張れ…!こっちはあたし達が頑張るよ…)
――――――
訓練兵「助けてくれ…誰か助けてくれぇぇぇ!」
巨人「…」ブチッ
訓練兵「ぎゃああああ!腕が!腕がぁぁぁぁ!!」
駐屯兵A「待ってろっ!」
駐屯兵B「…今助けるぞっ!」ヒュンッ
ザッ!
キートン『訓練兵を掴んでいた巨人の腕を駐屯兵Bが切り落とす』
訓練兵「うわぁっ!」
ガシッ
駐屯兵A「よしっ!」
キートン『切り落とされた巨人の腕ごと落ちた訓練兵を、駐屯兵Aがキャッチする』
巨人「…」ギロッ
駐屯兵B「大丈夫か訓練兵…って大丈夫じゃねぇか
訓練兵抱えて壁に逃げるぞ!」
駐屯兵A「ああ!」
訓練兵「うあぁ…腕が……俺の腕が」
駐屯兵A「腕で済んだだけマシだと思え!行くぞっ!」
巨人「…ニヤァァァ」
巨人「…ドヤァァァ」
キートン『三人の退路には、巨人が2体入り込んでいた』
訓練兵「…うわぁぁぁ!」
駐屯兵A(巨人を引き付ける要領は人それぞれだ…自分より壁側に巨人が居る……想定しない事態ではなかったが……)
駐屯兵B(人ひとり抱えて巨人2体突破するのはキツイ…しかも)クルッ
巨人「…」ズシン ズシン
駐屯兵B(後ろにも1体居る……さっき腕を切り落としてやった奴が)
巨人「…ニヤァァァァァァァ」
巨人「…ドヤァァァァァァァ」
駐屯兵A(どうすれば…)
ズパ!ズパァン!
キートン『2体の巨人の弱点は、後ろから切り取られた』
訓練兵「え…」
駐屯兵B「あれは…」
ハンネス「12m級相手に……やるな…」
咲子「そんな…巨人の注意が私に向いてなかったからです」
駐屯兵A「ハンネス隊長!さくらも…!」
咲子「…撤退を支援します!」
ハンネス「壁に向かうぞ!」
駐屯兵B「了解!」
駐屯兵A「もう大丈夫だぜ…訓練兵」
訓練兵「え…?」
駐屯兵A「ハンネス隊長に…103期トップ10のさくらが来てくれた…これほど心強いことはない」
駐屯兵B「無事に壁に戻れる!家族に会えるぞ!」
訓練兵「はい…!」
キートン『犠牲は少なくなかったが、駐屯兵・訓練兵合同部隊は着々と巨人を壁へと引き寄せていた』
――――――
タッタッタッ…
エレン「…」
キートン『壁の上を走り、壊された扉へ向かうエレン、はなわ…彼らの横には、ミカサや駐屯兵の精鋭達が居る』
キートン『先程のピクシスの説明で語られた通り、
エレン達が大岩を運ぶ間、他の巨人から守るために駐屯兵・訓練兵達が巨人を引き付ける
しかしそれだけでは壁の穴から新たに入ってくる巨人達からは守れないため、彼らが同行する必要があるという、アルミンの提案である』
ミカサ「エレン…体は大丈夫?、あとはなわも」
エレン「あぁ…囲まれてた時よりだいぶマシだ…」
はなわ(何その…ボクがついでみたいな)
イアン「ピクシス司令が極秘人間兵器とか言ってたが…
穴を塞げるのなら何でもいい、お前達を最優先で守る」
イアン「―――頼んだぞ!」
エレン・はなわ「はい!」
イアン「もうすぐ岩までの最短ルート地点だ…今見える限りでは巨人はいない
皆が上手く囮をやっているんだろう」
キートン『巨人が出現して以来、人類が巨人に勝ったことは一度もない』
キートン『巨人が進んだ分だけ人類は後退を繰り返し、領土を奪われ続けて来た』
キートン『しかし、この作戦が成功したとき』
キートン『人類は初めて巨人から領土を奪い返すことに成功する』
ダッダッ…
イアン「ここだ!行くぞっ!!」ダンッ!
ミカサ「…!」ダンッ!
エレン「…」ダンッ!
はなわ「…baby」ダンッ!
キートン『その時が、人類が初めて』
キートン『巨人に勝利する瞬間であろう』
ヒュン ヒュン
エレン「…っ!」
はなわ「…!」
キートン『それは人類が奪われてきたモノに比べれば』
キートン『小さなモノかもしれない』
キートン『しかしその一歩は我々人類にとっての…』
キートン『大きな進撃になる』
ガリッ!
カッ!!!
ドオッォォォォォン!!!
エレン巨人「アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」
はなわ巨人「ベェェェェイビィィィィィィィィィェッ!!!」
キートン『2体の巨人が顕現する』
エレン巨人「……」
はなわ巨人「baby…」
はなわ巨人(ほ…本当に巨人になれてしまった……か、身体が重い…!クラクラする……)ヨロ…
ミカサ(エレンとはなわの二人がかりなら、あの巨大な岩を持ち上げられるハズ……)
エレン巨人「…」ジロッ
ミカサ「…エレン?」
はなわ巨人(く………、エレンクン…ミカサクンを見て、どうしたんだい、いったい…)
ズドォォン!!!
キートン『黒髪の巨人の拳が、ミカサへ振りおろされた』
奇行種にまざってるかも知れん
>>318-320
おい…
し~らない。し~らない。しっているけどしらんぷり
オォオォォォン…!
ミカサ「…っ!」ドサッ
キートン『黒髪の巨人の一撃を、間一髪で避けたミカサ』
イアン「…!?」 リコ「…!」 ミタビ「………!」
エレン巨人「…」グッ
キートン『精鋭達も、突然の事態に驚きを隠せない…そんな中、黒髪の巨人は再び大きく振りかぶる』
ダッ!
イアン「………!ミカサ!!」
ヨロ…
はなわ巨人「…ベェェ……!」(エレンクン…何をしてるんだ……!)
ガシッ
キートン『動きが鈍いながらも、金持ちそうな巨人は黒髪の巨人の振り上げた腕を掴む』
エレン巨人「…」ギロ
はなわ巨人「…エ…ェン……マ…エ………ベイビー…!」(くっ…身体が…フラフラして……!)
キートン『ベイビー以外の言語は流暢に出ないようである』
エレン巨人「…」ググ…
はなわ巨人(マズイ…避けなくては……しかし、身体が…)
ズガァン!!
はなわ巨人「…!!」
キートン『黒髪の巨人の拳は、金持ちそうな巨人の顔に叩き込まれた』
ドサァ…
はなわ巨人「…!」
キートン『顔面が欠けた金持ちそうな巨人は、その場に仰向けに倒れた』
ミカサ「…っ!」パシュッ… ギィィィィィィ
キートン『黒髪の巨人の顔面に張り付くミカサ』
イアン「オイ…!?ミカサ、止せ!!そいつから離れろ!!」
ミカサ「エレン!!」
エレン巨人「…」
ミカサ「私が分からないの!?
私はミカサ!!あなたの…家族!!
あなたはこの岩で穴を塞がなくてはならない!!」
エレン巨人「…」
リコ「作戦失敗だ…
…分かってたよ、秘密兵器なんか存在しないって」パンッ
キートン『リコは作戦失敗の煙弾を打ち上げる』
ミカサ「――エレン!!あなたは人間!!あなたは…」
エレン巨人「…」ゴオッ!!
イアン「避けろミカサ!」
グシャアッ!
キートン『ミカサに向けたパンチは、ミカサが避けることで巨人自身の顔に当たり
顔が弾けとんだ巨人は倒れる』
ミタビ「何だこいつ…頭の悪い普通の巨人じゃないか…」
ミカサ「エレン…!!」
駐屯兵「イアン班長!!
イアン「…!?」
駐屯兵「前扉から2体接近!10m級と6m級です!
後方からも1体!12m級こちらに向かってきます!」
イアン「…!」
ミタビ「イアン!撤退するぞ!!
あのガキ扉塞ぐどころじゃねーよ!
もう片方も歩くので精一杯でとてもじゃないが岩を運ぶなんて出来そうもなかった!」
リコ「あぁ…仕方ないがここに置いていこう…金持ちの方は助けられたら助けるとして」
ミカサ「!!」バッ
イアン「………」
――――――
キートン『時は少し遡り、巨人の壁誘導作戦部隊』
ヒュン ヒュン
コニー「…よし!」
まる子「…順調に巨人を引き寄せられてるねぇ」
とし子「まるちゃん…あと少しだね」
山根「うおおおおっ!」(はなわクンはいきなり放りだされた状況でも頑張ってると言うのに…僕は、自分の胃腸のことばかりで…情けないよ!!)ウワァァァァン
山根「震えろっ!僕の胃腸よぉぉぉぉっ!!」
キートン『作戦は順調に進みつつあった…そこに』
ゴオォォォォォン!!!
キートン『突然轟音が鳴り響いた』
ブオオオオオオオ…
杉山「うわっ…!」
ドゴッ!
大野「がっ…!……!!」
ジャン「何だ……この衝撃はっ…?」
パラ…パラ…
まる子「……え」
とし子「何!?今何が…」ハッ
コニー「おい…嘘だろ……?」
駐屯兵「壁が…破壊された……」
シュウウウウ…
たまねぎの巨人「………」
まる子「……あのたまねぎ頭は…!」
キートン『破壊された壁の前に居たのは、5年前まる子達の住むシミズを襲った奇行種であった』
「おい…どうすんだよ?壁がまた壊された…!」
「これじゃあ…イアンさん達が成功して扉の穴を塞いでも、トロスト区は奪還できない!」
「ヤバいぞ…新しい穴から巨人が入ってきてる!」
「壁の方に引き寄せた巨人達も…またこっちに向かい始めた…!」
「畜生!今までの努力が…」
たまねぎの巨人(…ふふふ、みんな怯えているな
僕のこの鋭いたまねぎを膨張させた上で壁を貫通させた、というわけさ)
ヒュンッ
たまえ「…っ!」
まる子「…たまちゃんっ!」
キートン『たまねぎの巨人に気づいたたまえが、真っ直ぐに向かって行く』
たまねぎの巨人(穂波か…そろそろ姿を眩ますとするか
このたまねぎから煙を出してね)
キートン『そんなたまねぎはない』
たまねぎの巨人「 」パカッ
フシュウウウ…!
たまえ「…!?」
キートン『たまねぎ頭が開き、大量の煙が放出される』
オォォォォ…
たまえ「……………消えた…」
永沢「穂波…!」ヒュン
たまえ「永沢…」
永沢「"たまねぎの巨人"は…?倒せたのか…?」
たまえ「逃がした……私が辿りつく前に消えられた…」ギリ…
永沢「そうか…」
キートン『一方』
ズシン ズシン
巨人「…」
巨人「…」
ジャン「クソ…!また壁が壊されちまった!作戦はどうなるんだっ!?
せっかく誘導した巨人もこっちに来てる!」
杉山「…!? 大野…!」
ツー…
大野「あっ………て…」クラッ
キートン『頭部から出血している大野』
ジャン「おい…まさか……?」
杉山「壁の破片が当たったんだ…!あそこに落ちてるデカイやつが……」
大野「…ナック…!長山…トーマス……」フラフラ
ガシッ
杉山「おい、大野…大丈夫か…?」
バッ
大野「あぁ…大丈夫だ。でも、長山が死んじまったらしい…」ヨロ…
杉山「おい!?」
ジャン「大野…お前、そっちは屋根がないぞ…!」
大野「えっ…?」フッ…
キートン『家屋の屋根から足を踏み外した大野』
ガシッ
巨人「ニタァァァ」
キートン『真下には巨人が待っていた』
大野「あ…」
バキッ…
キートン『呆気なく捕食されてしまう』
杉山「大野ぉぉぉぉぉっ…!」ダッ!
ジャン「止せ!落ち着け杉山ァ!!」
ガシッ
巨人「…」バキバキ…
キートン『冷静さを欠いた真正面からの突進だったため、杉山も巨人の腕に捕まる』
杉山「野郎…っ!離せ!てめぇ、大野を…!大野を…!!」
巨人「…」バキ…
ジャン「…っ!」ダッ!
キートン『大野の身体を咀嚼する時間が、捕まった杉山の救出の時間を杉山に与えた』
ジャン「…ふっ!」
ザシュッ!
キートン『杉山を掴んでいた巨人の手を切り落とす』
杉山「っ…!」
パシュッ
ジャン「おおおおお!」ギィィン
ザクッ!
キートン『落ちた杉山に気を取られていた巨人の弱点を、後ろから切り取る』
杉山「クソ…!大野が…………大野が…!」
ジャン「……」(大野が…犠牲になった……)
ジャン(エレン…はなわ……お前らは少なくともそっちの壁は塞いでこないと許さねぇぞ……)
ジャン「杉山…悲しむのは後だ。任務を続行するぞ」
杉山「……」
ジャン「当初の予定通り、巨人をこっちに引き付けるんだ…扉の穴が無事に塞がらねぇと、犠牲になって行った奴らが浮かばれねぇ!」
キートン『目で縦線の入った顔で、その光景を見ている男が居た』
???「……」(どうしよう……???君、とんでもないことしちゃったんじゃ……)
キートン『一応共犯なのにさりげなく自分を抜いているあたり、なかなか卑怯である』
>キートン『大野の身体を咀嚼する時間が、捕まった杉山の救出の時間を杉山に与えた』
間違えた…
キートン『大野の身体を咀嚼する時間が、捕まった杉山の救出の時間をジャンに与えた』
でしたすいません…
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