ビッチ「パンツ見せたげよっか?」オタク「…ふっ」 (113)

ビッチ「何そのスカした態度むかつくんだけど」

オタク「気を悪くしたか?そうか。じゃぁな」スタスタスタ

ビッチ「ちょっと待ちなさいよ」

オタク「なんだ?今日は朝寝坊したせいで見損ねた録画してあるガンダムBFを早く帰って見なければならないんだが」

ビッチ「んなもんどうだっていいでしょ!このあたしがパンツ見せてやるって言ってんのよ?あんたみたいなキモオタなら泣いて喜んで土下座くらいしなさいよ!」

オタク「…ハァ」

ビッチ「…なによ」

オタク「じゃぁな」スタスタスタ

ビッチ「ちょーーーーっとぉ!!!」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1394108012

オタク「なんだ?僕は早く家に帰ってヨド○シで買ってきたグラハム・エーカー専用ユニオンフラッグカスタムを作らなければならないんだが?」

ビッチ「だからそんなんどうだっていいでしょ!つかさっきと言ってること変わってるし!」

ビッチ「なんであんたはそんな風にスカしてられるのよ!意味わかんないんだけど!」

オタク「意味が分からないのは引き止められる僕のほうなんだが…」

ビッチ「あんたの気持ちなんぞ知るか!さっさと答えろ!」

オタク「…君のパンツには魅力を感じない。以上だ。さらば」スタスタスタ

ビッチ「はぁ!?ちょ、それどういうことよ!!」

オタク「質問には答えただろう」

ビッチ「あんなの答えた内に入らないわよ!」

オタク「…全く。いいか、よく聞け」

オタク「パンツというのはそれ自体はただの布きれだ。パンツそれ自体に魅力があるわけではない」

ビッチ「でもパンツ見たいって男は腐るほどいるじゃん」

オタク「そう、その通りだ。それはなぜだと思う?」

ビッチ「…下着だからじゃないの?」

オタク「そう、その通り。より厳密にいうならば、美少女が穿く下着であること、それが重要だ」

ビッチ「そしたらあんたは私のパンツが見たくてしょうがないはずじゃないの?」

オタク「僕は君を美少女だなどとは微塵も思っていない」

ビッチ「はぁ!?あんた、あたしが男子にどれだけ人気あるのか知らないの!?」

オタク「知っている。学内において友人が極端に少ない僕のところまで噂が届くほど人気があるというのは驚嘆に値する」

ビッチ「だったらなんで…」

オタク「『金を積めばヤらせてくれる』『簡単に股を開く』『今まで付き合ってきた男は数知れず』」

ビッチ「…」

オタク「僕が聞いた噂がそんなのばかりだ。そんな女に対して僕は欲情しない」

ビッチ「なに?あんた処女厨なわけ?キモイわー」

オタク「相手が処女か非処女かということはあまり関係がない。いいか?お前は『エロ』に対する理解も『萌え』に対する理解もできていない」

ビッチ「萌え、はともかく…何?わたしがエロくないっての?」

オタク「その通りだ。君は全くエロくない。ただエロに寛容であるだけだ。まぁ、それにエロスを見出す者もいるが…」

オタク「君は『情報量』というものの大きさをどうやって量るかを知っているか?」

ビッチ「は?いきなり何の話?」

オタク「心配するな。すぐに本筋に戻る。情報量というものは、その事象の起こる確率が低ければ低いほど多くなる」

オタク「つまり、意外性が高いほど、受け取る側の衝撃は大きいわけだ」

オタク「見るからに軽薄そうで、その手の噂の絶えない君が、『パンツ見る?』と言ってきたところで驚くには値しない」

ビッチ「驚くかどうかとエロいかどうかは関係ないでしょ」

オタク「大いに関係がある。君でも、ギャップ萌え、という言葉くらい聞いたことあるだろう」

ビッチ「まぁ…」

オタク「予想を裏切れば裏切るほど、その情報の与える力は大きい。エロい物はよりエロく感じ、萌えるモノはより大きな萌えを与えてくれるのだ」

ビッチ「…」

オタク「ふぅ…柄にもなく長々と話してしまった。もうこれで」
ビッチ「えい」ファサ(セルフスカートめくり)

ビッチ「…」ニヤリ

オタク「…はぁ」

オタク「じゃぁな」スタスタスタ

ビッチ「いい加減にしろぉ!」ガシィ!

オタク「流石にに掴むのはやめてくれないか?これでも男だから女性に触れられるのには慣れていないんだ」

ビッチ「1ミリも説得力ないわよ!なんで!?なんであんたそんなに平然としてんの!!」


オタク「なんだ?意表をついてパンツを見せれば僕が狼狽えると思ったか?残念だったな。その行為もたいして驚くに値するほど意外じゃぁない」

ビッチ「…さっき言ってたことホントだったんだ」

オタク「強がりだと思ってたのか?まぁ無理もないが。では、さらば」

ビッチ「ちょ、まだ」
オタク「あぁそうそう」

オタク「君のパンツが純白だったというのは意外だった。澄ました顔をしていると思うかもしれないが、内心結構ドキドキしている」

ビッチ「っ!…///」

オタク「今更恥ずかしくなったか?最後にいい表情(カオ)を見れた。ここまで時間を浪費した甲斐があるというものだ。ありがとう」

オタク「さらば」

---翌日---

ビッチ「待ちなさい!」

オタク「…今日は何の用だ?僕は早く帰って次のリミットレギュレーションを見越した征竜のデッキ構築を考えなければならないんだが」

ビッチ「そんなもの知るか!却下!」

オタク「…まぁいい。で、なんなんだ?一体」

ビッチ「昨日あんた、私に欲情しないって言ったわよね?」

オタク「そうだな」

ビッチ「じゃぁ、どうしたらあたしに欲情するの?

オタク「僕に聞いて、素直に教えると思ってるのか?」

ビッチ「…あ」

オタク「そこまで考えてなかったという顔だな。今日はもういいか?」

ビッチ「あ、えと、あの…うーーーーん…」

オタク「…じゃぁな」スタスタスタ

ビッチ「ぐぬぬ…」




バァン!

「うぉ…あいつ…」

「あのビッチよ…」

「何しに来たんだ…?」

ビッチ「このクラスのオタクってやつについてなんか知ってる奴、いる?」

「…オタク?」

「あいつだよあいつ。あのー…メガネかけて、いっつも休み時間本読んでる…」

「あぁ、あいつオタクって名前だったんだ…」

ビッチ(名前すら憶えられてないの…?ここで情報もらうのは難しいかな…)

友「あーはいはい。俺あいつと友達だぜー」

ビッチ「!」

「え、マジで?」

友「なんだよこのクラスで俺と友達じゃないやつがいるとでも思ってたのか?」

「は?俺お前と友達じゃねーんだけど」

友「え、嘘」

「うん嘘」

友「なんだよこいつー!このこのぉ」ツンツン

「やーめーろーよー」

ワキアイアイ

ビッチ(うわこいつうっぜぇ…)

友「んで?あいつのこと聞きたいって?」

ビッチ「そ」

友「いいぜ。ここじゃなんだし、屋上にでも行こうぜ~」

ビッチ「…」

友「…それで、聞きたいことというのは?」キリッ

ビッチ「!?」

ビッチ「あんた、雰囲気変わりすぎじゃない?」

友「そうだな。さっきまでの俺は『クラス内のムードメーカーの友』。しかし今は、『オタクの友としての友』としてここにいる」

友「表層の形を変えることによって思考のスイッチを切り替える。これが俺が今まで生きてきた中で身に着けた処世術だ」

ビッチ「へぇー。まぁ、そっちのほうが話しやすくていいけど」

ビッチ「しっかし意外だわー。あんたみたいなのがあんな奴と友達っつーのは」

友「ふっ…いくら俺でも、常時あのキャラというのは疲れるのさ」

ビッチ「なに?そっちのほうが素なの?」

友「愚問だな。どちらも『俺』だ。どちらかが真の『俺』ということはない」

ビッチ「…話しやすいって言ったの訂正するわ。そっちはそっちでなんかムカつく」

友「ふっ…だろうな。オタクはそんなことはなかったが」

ビッチ「まぁあいつも似たり寄ったりだしね」

友「本当に尊敬するよ。たとえ孤独になろうとも、自らの確固たる芯を保つというのは…俺にはできんことだ」

ビッチ「へぇー」

友「…どうでもよさげだな」

ビッチ「ホンットにどうでもいいしね」


友「…話がそれたな。それで、聞きたい事というのはなんだ?」

ビッチ「あのオタクってやつの性癖聞きたいのよ」

友「それを聞いてどうする?」

ビッチ「別に…私はあいつのスカした態度が気に入らないだけよ」

友「ツンデレか?」

ビッチ「は?何それ?」

友「いや、知らんなら別にいいさ。それにどうやら違いそうだしな」

ビッチ「…ま、あいつの友達だってんならどうせ教えてくれないでしょ?」

友「いや、いいぞ教えても」

ビッチ「…え?」



友「おもしろそうだしな」

ビッチ「んなことして大丈夫なの?」

友「なんだ?心配しているのか?優しいんだな」

ビッチ「いや、とんとん拍子に話進むから疑ってんのよ」

友「あいつもその程度のことで目くじら立てるほど器量の小さいやつではないさ。せいぜい俺が小言のひとつをもらうくらいだろう」

ビッチ「…」

友「まだ疑わしいか?」

ビッチ「いや、情報やる代わりに一発ヤラセロとか言われると思ってたから…」

友「はっ!愚かとしか言いようがないな。その想定は俺が貴様を襲うほど性欲を持て余していることが前提だろう」

ビッチ「なに?あんたも私に欲情しないとかいうわけ?」

友「そういう意味もあるが…まぁ、俺には愛する彼女がいるのでな」

ビッチ「…あー、それは考えてなかったわ」


友「…むしろ俺は性欲が足りなくて困って」
女「友君?」

友「ひぃぁ!?」

ビッチ(眼の光が消えてる女が壁を登って屋上まで来た!?)

女「ふふふふふふふふふふふふふ…なぁーにしてるのかなぁー?」

友「お、女しゃん…いや、違う!君が想定しているようなことは一切ない!」

女「ほんとー?」チラッ

ビッチ(こっち見た…おもしろそうだしちょっとからかおうかな)ニヤッ

ビッチ「えー、彼女いるなんて私聞いてないよー」ダキッ

友「んな!?」

女「…」

友「ば、バカ!」

ビッチ「何よ、ちょっとからかっただけじゃない」ヒソヒソ

友「今すぐ離れ」
ヒュン!
ビッチ「!」

壁←鉛筆 ビィィィン…

ビッチ「…ねぇ、鉛筆がコンクリの壁に突き刺さってるように見えるんだけど」

友「」(白目

ビッチ「聞いちゃいねぇ…」

女「うふふ、うふふふふふ…浮気しないって言ったのに…約束、破るんだぁ…うふふ、そんな人には、お仕置き、しなきゃ…」


女「 ね ? 」



ビッチ(その後、比喩ではなく文字通り死線をくぐりながら、事情を説明し、落ち着いたその女から謝られた)

ビッチ(友とかいうやつは気絶してたのでその女が連れて行った)

ビッチ「あー、結局聞けなかったな―あいつの性癖」

ピリリリリリリ

ビッチ「お」

ピッ

ビッチ「やほー」

友「コヒュー・・・コヒュー・・・お、おぉ…」


ビッチ「…何があったの?」

友「搾り取られた…一滴残らず…」

ビッチ「…おめでとう?」

友「限度ってものがあるだろ…何事にも…」

ビッチ「んで?もう終わったの?」

友「女なら俺の隣で寝てるよ」

ビッチ「あっそ。つーかあんたの彼女、ちゃんと私の連絡先渡してくれたんだ」

友「あぁ。浮気しないなら構わないとさ」

ビッチ「へぇー。なんか意外だな」

友「基本的にはイイ女だよ。俺には勿体ないくらいのな。浮気に対して異常に厳しいだけで。…まぁ、それが問題なんだが」



友「そんなことより聞きたいのはオタクの性癖だったな」

ビッチ「そそ。見ただけであいつが顔紅くして慌てるようなの、ない?」

友「うむ。あいつは童貞なんだが…」

ビッチ「うん、昨日本人から聞いた」

友「そ、そうか…まぁ、若干こじらせているところはあるが、あいつには特殊な性癖なんかはない。スタンダードド直球が一番だ」

ビッチ「…どういうこと?」

友「つまりだな…」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ビッチ「はーん、なるほどね」

友「まぁ一日二日で準備できることじゃないだろう。休み明けまでに準備するといい」

ビッチ「オッケー」



女(友の電話)「友君?」

友「お、女、起きたか」

女「誰と話してるの?」

友「あぁ、お前から渡されたビッチの連絡にな。忘れないうちにと思ってね」

女「むー…隣で彼女が寝てるのに?」

友「え、あ、いや…あはは」

女「そんなことする友君には…お仕置きだべー!」

友「ちょ、ちょっとまって!もう勃たな」
ブツッ


ビッチ「…まぁ、頑張れ少年」



?「どうよ!」

オタク「………」

?「何よ、黙ってないでなんか言ったらどうなの?」

オタク「…あぁ、また君か」

ビッチ(黒髪美少女)「ふふふ…」

オタク「はぁ…」

ビッチ「…?」

オタク「じゃぁな」スタスタスタ



ビッチ「…え?」



バァン!

「…おい誰だよあの娘」

「奇遇だな。丁度俺もお前にそれを聞こうとしてたところだ」

ビッチ「ちょっとあんた!」

友「え、俺?」

女「あ、ビッチちゃん。雰囲気変わったね」

友「え、あのビッチ!?いやちょ、雰囲気変わりすぎだろ!つーかマジで実行したのかよ…」

ビッチ「そうよ実行したわよ!だけどあいつこのあたしの前で溜息ついたと思ったら「じゃぁな」の一言で速攻帰宅しちゃったわよ!どういうことよ!」

友「…あー、とりあえず、場所移すか?」

ビッチ「…そーしましょ」


女「チュー」(リンゴジュース)

友「ゴクゴク」(ブラックコーヒー)

ビッチ「…」(奢らされた。飲み物なし)

友・女「ぷはぁ」

ビッチ「どう?他人の金で一息ついた感想は」

友「最高!」bグッ

メキメキメキメキ

友「ごめんなさい調子乗りましただからアイアンクローはやめて」

女「ありがとねビッチちゃん、奢ってくれて」

ビッチ「はいはいどういたしまして」

友「そろそろ手を放してだんだん意識ががががが」

ビッチ「はぁ…」


ビッチ「で?一体どういうことなのよ。答えによっちゃアイアンクローよりきついのかますわよ」

友「それは勘弁してもらいたいな。まぁ、あいつの反応が鈍かった理由には見当がつく」

友「あいつは容姿(ビジュアル)よりも性格(キャラクター)のほうをより気にするんだ」

ビッチ「何?「見た目よりも中身」っていうこと?」

友「その通りだ」

ビッチ「ああいう奴って見た目にこだわるもんじゃないの?」

友「大抵はそうだな。いや、他のサンプルを知らないので確定はできないが…ともかく、奴は難しいっぽいこと考えるのが好きでな」

女「あくまで、『っぽい』ことなのがミソだね」

友「これはあいつの言だが…『人の肉体は特定の原子が特定の形を保っているだけである。なぜそれに対して人は欲情するのか』と言っていてな」

ビッチ「あー、そういえば、パンツのことも『それ自体はただの布きれだ』とか言ってたっけ…」

ビッチ「…で、結局どゆこと?」

友「ここまで言ってもわからないのか?」

ビッチ「…」―アイアンクロー→友

友「痛い痛い痛いごめんごめんごめん調子乗りましたあああああああ!!!」

女「つまり見た目だけ取り繕っても性格が元の女ちゃんのままなのが気に入らないってことだよ」

女「あ、なるほど」パッ
友「ゲフッ」ドサッ



ビッチ「…じゃぁ喋り方とか立ち居振る舞いとかそのへんを矯正すればいいわけか。ありがと、早速試してみる」
友「待て!」

ビッチ「…何?」

友「おま…あ、もうちょっと待って頭まだ痛い」

ビッチ「…」

友「お前…なぜそこまでする?」

ビッチ「は?」

友「多少見た目をいじくるくらいならまだわかる。いや、それでも違和感はあるがしかしなんとか納得できないほどではない」

友「しかし人格の矯正ともなればさすがに看過できない。それは多少の違和感で片づけられない。一体どんな目的があればそこまでのことが出来るのか…」

友「君の行動の結果が奴を傷つけるのならば…俺はここで、奴の友人として、君を止めなければならない」

友「答えてくれ。君の目的は…なんだ?」

ビッチ「…あたしは」




女「…よかったの?」

友「…」

女「信じたの?」

友「…わからない。信じることはできない、けど、頭から否定することもできない。それを判断するにはあまりにも、俺は彼あの娘について知らなさ過ぎる」

女「うーん…でも、やっぱり『それ』は女の子の憧れだし、心の底では、『それ』を願っていた…としても、私は不思議じゃないと思う」

友「そうか」

女「…私もしたいな、友君と」

友「い、いずれ、な…」

女「うん!楽しみにしてるね!」

友「ハハハ…」


友「ま、頑張るよ、お前のためにも」

女「うん…私も」

ビッチ「と、いうわけで頑張ってみたのだけど」

オタク「…」

ビッチ「あなたはこんな女の子がお好み?」

オタク「…」

ビッチ「と言っても、今回変えたのは外見ではなく中身の方なのだから一目で判断することはできないわよね」

オタク「…」

ビッチ「今日時間はあるわよね?この後、一緒にお茶でもどうかしら?」

オタク「…」

ビッチ「…なんとか言ったらどうなの?」

オタク「…いや、正直、驚いている。とても」

ビッチ「平凡極まりない答えね」

オタク「それだけ想定外だということだ」

ビッチ「それで、返事は?」

オタク「…わかった。校内と校外、どちらのほうがいい?」

ビッチ「校外かしら」

オタク「わかった」


―おしゃれなカフェ―

店員「何名様ですか?」

オタク「二人です」

店員「かしこまりました。こちらの席へどうぞ」



ビッチ「…意外だわ。あなたのような人がこんなところを知っているなんて」

オタク「意外というなら君の方だろう。なんだ?それは」

ビッチ「あなたがいつまでたってもまともな反応を返さないからじゃない」

オタク「…目的はいったいなんなんだ?そこまでのことをして、君が得るものはなんだ?」

ビッチ「あなたの友達にも同じことを聞かれたわ」

オタク「…」

ビッチ「でも、あなたには教えない」

オタク「何故?」

ビッチ「言いたくない」

オタク「…」

ビッチ「けれど、今ここにいるというだけで目的の一部は達成されたともいえるわね」

オタク「どういことだ?」

ビッチ「ねぇ」


ビッチ「私とデートしてくれないかしら?」


オタク「…ハァ」

ビッチ「あら、溜息だなんて失礼ね。楽しくなかったと言っているようなものよ」

オタク「それは誤解だ。君とのデートはとても楽しかった…拍子抜けするくらいに。僕がため息をついたのはひどく疲れたからだ」

オタク「このデートには何の裏があるのかということが終始気になってしょうがなかったものでね」

ビッチ「それで、答えは出たのかしら?」

オタク「…わからない。いつになったら君の目的を教えてくれるんだ?」

ビッチ「それは私にもわからないわ」

オタク「…」

ビッチ「それじゃ、今日はここまでにしましょう。また明日…」

オタク「待て」

ビッチ「…ふふ、今日は私のほうが呼び止められるのね。何?」

オタク「送っていこう」

ビッチ「…」

オタク「何をそんな呆けた顔をしている。女性を送り届けるくらいの甲斐性くらい僕にもあるさ」

ビッチ「…意外と紳士的なのね」

オタク「オタクと変態と紳士は等号で結ぶことができるというのが僕の持論だ」

ビッチ「あなたって変態なの?」

オタク「…ノーコメント」


トュルルルルル・・・ピッ

オタク「夜分遅くにすまない」

友「気にするな。貴様と俺の仲だ」

オタク「今日は聞きたいことがある」

友「ビッチのことだろう?」

オタク「そうだ。彼女に目的を聞いたらこう言っていた。『あなたの友達にも同じことを聞かれた』、そして『でも、あなたには教えない』」

友「…」

オタク「君は聞いたんだろう?彼女の目的を」

友「あぁ。しかし俺の答えも彼女と同じだ。『教えない』」

オタク「そうか、わかった」

友「…あっさり引き下がるんだな」

オタク「お前のことは信用している」

友「彼女のことは信用できない…と?」

オタク「少なくとも、今はまだ」

友「そうか…しかしそこまで警戒する必要はない。彼女の言葉が真実なら、だが。俺に言った言葉が嘘である可能性も捨てきれん」

オタク「わかっている」

友「話はそれで終わりか?」

オタク「あぁ」

友「それでは、幸運をいの「友くーん」」

オタク「…リア充爆発しろ」

ブチッ



オタク「まったく、年がら年中いちゃつきやがってあのバカップルども…」

「ふざけるのもいい加減にしろ!」

ビッチ「…」

「なんだその恰好は、喋り方もだ!お前はそんな奴じゃないだろうが!」

ビッチ「心境の変化があったのよ。それよりも、今日はあなたに言いたいことがあって来てもらったの」

「言いたい事だぁ?」

ビッチ「…もうこれ以上あなたと付き合う気はないわ。それだけ」

「…はぁ!?」

ガッ!

ビッチ「っ!放しなさい!」

「あぁ!?こちとら何日も放置されて溜まってんだよ!こんなところに呼び出しといて何もなしなんてそりゃねぇだろうが!」

ビッチ「言ったでしょう。私にはもうその気はないの」

「知るかボケ!んなもん関係な」
オタク「その辺りにしたらどうだ?」


「…誰だお前?」

オタク「お前の知らない人間だ」

「はぁ!?わけわかんねーぞ!」

オタク「それはそうだ。理解できるように言ったつもりはない」

「ふざけやがって…どいつもこいつも…!」

オタク「一応そこにいるのは僕の知り合いなんだ。あまり乱暴はしないでくれないか?」

「…なんだ?でめぇこいつの新しい男か?」

オタク「違う」

「だったら教えてやるよ!」

オタク「違うと言っているんだが…」

「こいつは、今まで何人も男喰ってきた糞ビッチだ!今のこいつしか知らねぇんだろうがなぁ…お前は騙されてんだよ!」

ビッチ「っ…」

オタク「そんなことは知っている」

「…は?」



オタク「聞いていなかったようだからもう一度言ってやる。僕は彼女とそんな関係じゃない。さっき言った『知り合い』という言葉の通りだ。男女の関係ではないしましてや友人ですらない」

オタク「彼女にまつわる噂は僕の所にも届いている。そのすべてを鵜呑みにしたうえで僕は彼女と単なる『知り合い』として付き合っている」

オタク「現状、特にこれといって被害をこうむってはいない」

「とか言って、どうせてめぇもこいつの体目当てなんだろ?」

オタク「…」ピクッ

「別に隠す必要なんてねーんだよ。どうせ男なんてみんなそうなんだからさぁ…頭下げて頼むっていうならたまに貸してやらねーでもねーぞ」

ビッチ「だから、もうあなたと付き合うつもりなんてないって言ってるでしょ」

「うるせぇ!お前の意見なんてはなから聞いちゃいねぇんだよ!」

オタク「指摘したい点が山ほどあるが今回は1つだけに済ませておこう」

「は?」

オタク「…」


オタク「少なくとも僕は君ほど馬鹿でも阿呆でも愚かでも恥知らずでもない」


「なっ!」

オタク「わかったらさっさとお家に帰って勉強でもしていろ。今からでは到底間に合うべくもないが、努力すれば小学生と競えるくらいの頭が手に入るだろう」

「てめぇ!」

ビッチ「っ!やめ」


ドガッ!



オタク「ぐっ…」ドサ…

「この野郎調子に乗りやがって!ぶっ殺してやる!」

ビッチ「お願い!やめて!」

オタク「っ…痛いな」

「もう一発」
先生「お前等、そこで何をやっている!」

「あ…」


ビッチ「…」

オタク「…」

ビッチ「その…」

オタク「ん?」

ビッチ「驚いたわ。あなたが私を助けてくれるなんて」

オタク「言ったはずだ。僕の中で、オタクと変態と紳士はすべて等号で結べるものだと。僕はその中の紳士性に従っただけに過ぎない」

ビッチ「ありがとう」

オタク「…どういたしまして」



ビッチ「それにしても、先生が来たから良かったものの、あのままだったらあなたは…」

オタク「オタクの警戒心を舐めるな。その程度の事態への対策は事前にとってあったさ」

オタク「と言っても、校舎の適当な教室から僕が呼び出された校舎裏を見張っているように友に頼んだだけの話だが」

ビッチ「…なるほどね」

オタク「君が何をしてこようが、異常事態が起きたと判断すればその時点で友が先生を呼んでくる手筈だった。だからあとは僕が時間を稼げばよかった」

ビッチ「…やはり、信頼されていないのね」

オタク「そうだな。信頼していなかった」

ビッチ「…『かった』?」

オタク「一つ聞かせてくれ。僕を呼び出したその目的はなんだ?」


ビッチ「…私なりに、あなたに信頼される手段を考えた結果よ。今付き合っている男性と別れるところをちゃんと見てもらいたかったの」

オタク「そうか。では認識を改めよう」

ビッチ「え?」


オタク「僕は君を信頼しよう。誠意を見せようと努力するその姿勢に、僕は同じように誠意を持って答えたいと思う」



ビッチ「!」

オタク「今もう一度聞こう。君の目的はなんだ?その目的のために、僕に何ができる?」

ビッチ「…」



ビッチ「私と、清く正しいお付き合いをしてください」


友「そして、現在に至る、と」

オタク「あぁ」

友「よかったじゃないか。彼女ができて」

オタク「ん…そうだが…なぁ」

友「なんだ?不満があるのか?」

オタク「いいや。現状に不満はない、しかし、『何故僕を選んだのか』という理由を聞いたらな…」

友「…何故だったんだ?」

オタク「『僕が一番モテなさそうだったから』、だそうだ」

友「…なるほど」

オタク「事実その通りだが、しかしさすがにそれが理由だったというのはあまり気分がよくない」

友「終わりよければすべてよし。お前が現状に満足していればそれでいいんじゃないのか?」

オタク「…そうだな」

友「まだ、終わりというには早いがな」

オタク「…何?」


女「それで?本当のところはどうなの?」

ビッチ「…何が?」

女「だって、ビッチちゃんには元々人気があったんだから、わざわざオタク君に乗り換えなくてもよかったじゃない?」

ビッチ「…」

女「もっと良い人を見つけるならまだしも、『一番モテなさそうな人』を選んで付き合う必要はないんじゃないかと思って、ね」

ビッチ「…」

女「ビッチちゃんの『目的』のため、だよね?」

ビッチ「…そうよ。ただ付き合うだけじゃない。私はその『先』に行きたかった。だから、私を簡単に裏切るような人ではだめだった」

ビッチ「そして、こんな私でも受け入れなければならないほど女性を欲している人であることが条件だった」

女「だから、『モテなさそう』な人を、ねぇ…」

ビッチ「…彼は欲求不満でなんてまったくなかったけれど。でも、私を受け入れてくれた。私の事を知った上で」

ビッチ「今思えばさすがに安易すぎたわ。焦っていたんでしょうね。あのときの私は」

女「後悔してるの?」

ビッチ「いいえ。私が目を付けたのが彼でよかったわ」


ビッチ「だって彼、すっごくかっこいいんですもの」


オタク「…」

ビッチ「どうかしたの?」

オタク「いや…友が、気になることを言っていてな」

ビッチ「気になること?」

オタク「『まだ終わりじゃない』と、そう言っていた」

ビッチ「…」

オタク「君の目的はもう達成されたと思っていた。けど、それは間違いなのか?君はまだ、僕にしてほしいことがあるんじゃないのか?」

ビッチ「…」

オタク「沈黙は肯定と受け取るぞ」

ビッチ「…えぇ、その通りよ」


ビッチ「あなたが以前聞いていた噂には多分、嘘も誇張もないわ」

ビッチ「私はただ単に自分の欲求不満の解消のためだけに、いろんな男性と付き合ってきたし、体も許してきた」

ビッチ「それを誤魔化したりはしないわ」

ビッチ「そんな風に過ごすことを間違いだなんて思っていなかった」

ビッチ「それはほんの些細なことだった」

ビッチ「幸せそうな家族だった。お母さんとお父さんと一緒に歩いてて、今日の晩御飯は何にするかなんてことを聞かれてた」

ビッチ「それを見て、私はすごく羨ましくなったのよ」

ビッチ「私もあんな風になりたいって思った。そのとき私は自分がいかに穢れた存在であるかを見せつけられた気がした」

ビッチ「変わりたいって…思ったの」


オタク「そうか、君の望みは…」

ビッチ「さらに重ねてお願いなんて…図々しいとは思うけど、でも…」

オタク「…」

ビッチ「すぅー…」

オタク「…」

ビッチ「はぁー…」

オタク「…」

ビッチ「お願いします」








ビッチ「私と結婚してください」





くぅ疲(以下略

正直途中でもうやめようと何度も思いましたが、エタるのだけは嫌だったので無理やり終わらせました。

書いてて、これオタクっぽさもビッチっぽさもどっか行っちゃったな。名前男と女にすればよかった…と思いました。
やっぱりノリでスレ建てなんてするもんじゃないですね。


荒らし目的なのか、「俺のほうが上手くかける!」という意思表示なのか、このスレとよく似たスレタイのスレッドが建てられました。こちらです。

ビッチ「パンツ見せたげよっか?」オタク「Yes!!!Yes!!!」
ビッチ「パンツ見せたげよっか?」オタク「Yes!!!Yes!!!」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1394657547/)

正直こっちのほうがオタクっぽさあって良いなー、と思いながら見てます。
まぁ建てた以上は完結してくれるでしょう。

勝手にリンク張るのはどうかと思いましたが、マナー違反はスレタイと内容パクってるあちらの>>1も同じですしお互い様ということで。


…ところで、オタク×ビッチの、もしくは友×女セクロスって需要ありますかね?

後日談書きました。
けど、セクロス描写は書けませんでした。ごめんなさい。

この後どんなネタを書くにしてもスレタイとずれた内容になりそうなので、後日談一つ投下したらHTML化依頼を出そうと思います。

後日談~オタクと友の関係~

友「久しぶりだな」

オタク「すまない」

友「構わないさ。生まれて初めての彼女に舞い上がっていたんだろう?」

オタク「そういう言い方は気に食わないが…まぁ、事実だな」

友「では、失礼する」

オタク「いらっしゃい」


友「さて、今日の議題は?」

オタク「これだ」カチッ



『 行 き 遅 れ 系 ヒ ロ イ ン 』


友「ほぅ…」

オタク「僕の知っているところでは、イメージとしては

けいおん!:山口さわ子

アイドルマスター:音無小鳥

俺ガイル:平塚静

艦これ:足柄

など、だな。最近アニメ化された『のうりん』のベッキーもこれに当てはまるだろう
今日は彼女らについて理解を深めたいと思う」

友「よかろう。実にすばらしい議題だ。我が退紅(あらぞめ)の脳髄も滾るというもの!」

※退紅=ピンク色


友「それで、その行き遅れ系ヒロインはどのように定義されているんだ?」

オタク「…」

友「どうした?その程度の調べていない貴様ではあるまい」

オタク「…ないんだ」

友「?」

オタク「行き遅れ系ヒロインというジャンルは…未だに確立されてはいない」

友「…」



友「な、なんだとぉ!?」


友「バカな!そんなはずがあるか!さわちゃんの愛称でおなじみ山口さわ子が登場するけいおん!が放送されたのはもう5年近く前だぞ!」

友「俺は貴様ほどの知識がないからそれよりも前にそういうヒロインがいたかどうかはわからないが…しかし今では先ほど貴様が挙げたようにすでに多数の行き遅れ系ヒロインが現れている!」

友「それなのにジャンルの確立すらされていないだと!?」

オタク「どれだけ声を荒げようと現実は変わらない!」

オタク「最初は検索の仕方が悪かったのかとも思ったさ。だから間にスペースをいれたり、行き遅れを結婚できない、結婚したいなどと色々表現を変えて試してみた…だが!」

オタク「ウィキペディアどころか、スレのひとつも検索に引っかからない…かろうじて画像検索で足柄がぎりぎり引っかかるくらいだ」

友「…一体何故なんだ」

オタク「『行き遅れのBBAなんぞヒロインではない』」

オタク「…そういうことだろう」

友「そんな…ことがっ!」

オタク「しかし、これはチャンスだ」

友「…何?」

オタク「何もないからこそ、想像することができる、創造することができる!そうだ!僕たちは、行き遅れ系ヒロインの魅力を大々的に伝える第一の人類となる権利を得たのだ!」

友「!」

オタク「さぁ議論しよう、理解を深め、そして、伝えるのだ!この若い美少女ばかりに目を向ける人類に!」










           BBAだって可愛いじゃないかと!









友「くふ、ふは、ふははははははは!!!」

友「流石我が友!そうだ、絶望に打ちひしがれている暇などない!さぁ始めるぞ!」





『第16回・深く萌える議』…スタート


オタク「まずは行き遅れ系ヒロインの定義からだな」

友「まずは、『男性経験が少ない』というのは外せないな。そして『結婚願望が強い』」

オタク「そうだな。しかしそれだけでは他の清楚系ヒロインなども当てはまってしまうだろう。もう少し絞る条件が欲しいところだな」

友「確かに。ならば『結婚適齢期』を過ぎている、というのはどうだ?」

オタク「ふぅむ…」カチカチッ

オタク「ウィキペディアで調べてみたところ、日本人の結婚適齢期は20~34歳らしい」

友「む、それはいかんな。その定義では、20代後半の年齢のヒロインたちが当てはまらなくなってしまう」

友「三十路一歩手前で焦っているヒロインたちは間違いなく我々のイメージする行き遅れ系ヒロインに当てはまるのだが…」

オタク「やはり、本人たちの意識が問題なんじゃないか?一般的な価値観ではなく、な」

友「なるほど…『自分が行き遅れているという意識を強く持つこと』が大事なわけか」

オタク「…さて、そろそろまとめてもよさそうだな」


行き遅れ系ヒロイン 定義

・異性と恋人関係を持った経験が少ない、または皆無
・強い結婚願望を持つ
・自分が行き遅れているという意識を強く持つ

友「素晴らしい。付け加えることは何もない」

オタク「では、次に移ろうか」

友「あぁ。まだまだ夜は長い…今日はとことん話し合おう」※昼間です。









一つ投下したらHTML化依頼を出すと言ったな、あれは嘘だ。

いや別に嘘じゃないです。後日談は一つです。
ただ、書いてみたら思ってたよりも量が多くなってしまったので、3分割にして投下しようと思います。

というわけで、また明日投下しに来ます。

さわちゃんって山中じゃなかったっけ

>>78
その通りですね。調べたところ確かに『山中』でした。
申し訳ありません。

では、本日分の投下を開始させていただきます。



『行き遅れ系ヒロインの魅力:精神編』


オタク「『行き遅れ系ヒロインは』その定義上、通常ヒロインにカテゴライズされるキャラクターの年齢層よりもやや高齢だ」

オタク「作中では、飄々とした自堕落系お姉さんや、しっかりとしていて生徒からも信頼される教師、などの役柄で描かれることが多い」

オタク「しかし、『行き遅れ系ヒロイン』には、自らが行き遅れているという認識を持つがゆえに、大なり小なり他人に対する劣等感を抱いている」

オタク「それ故、酒に酔った場合や、予期せぬハプニングに見舞われたとき、愚痴や弱音をこぼすこともある」



オタク「そしてその落差こそが、萌えの基本にして心理…『ギャップ萌え』を引き起こす!」



オタク「…普段頼られる側の存在である相手から頼られる。このシチュエーションは、ロリータすら凌駕するほどの『庇護欲』を呼び起こすのだ!」

友「なるほど…貴様の言い分はわかった。しかし、ロリータすら凌駕するとはさすがに言い過ぎではないのか?」

友「『庇護欲』という点において、流石に、ロリータに勝るほどの威力を持つとは思えないが」

オタク「ならば想像させて見せよう。そのシチュエーションを!」

オタク「イメージしろ。そう、そこは人助けを目的とした部活動。その事件は、顧問の先生が風邪で学校を休んだというところから始まる…」

友「…それなんて『俺ガイ」オタク「具体的な名前を出すのはなしだ」



その事実…先生が風で休んでいるということを知ったのは、今日の国語の時間だった。
授業が始まると同時に代わりの先生が来て、先生が病欠のためこの時間は自習にするとだけ言って教室を出て行ったのだ。
ちなみに部員女はあーしさんから既に聞いて知っていたらしい。そしてあーしさんはほかのクラスから聞いたとのこと。流石あーしネットワーク。
そのため、部の顧問である先生が病気ならば、自分たちとしてはお見舞いに行かなければならない、というのは部長女の言。

「…だからって、なんで俺が行かなきゃならないんだ」

いや、そんなことはわかりきっている。
部長女は部長女姉さんに呼ばれたから来れなくて、
部員女は愛犬の定期検診が今日で、今日だけはどうしても無理だとのことだ。
部員が3人しかいない以上、消去法で行ける人間は俺だけで、故に俺が行く以外にないのだ。

「あなた一人に任せるというのは本当に…本当に避けたいところなのだけれど、それ以外に選択肢がない以上仕方ないわ。
はっきり言って、あなたに任せるくらいならプランクトンでも採取して病人の脇に置いておいたほうが効果的なくらいだと思うのだけれど、
日ごろから世話になっている先生が病に倒れて伏しているのに何もしないという事態は避けたいので、
苦肉の策の最終手段として、あなたを派遣することにします。もしあなたのせいで先生の病状が悪化した場合…」

「…何があるんです?」

そう聞いてみると、部長女はにっこりと微笑み返してきた。失敗したら部長女に何をされるかわからない…マジ怖い。
最後の足掻きとしてそのどれでもない…「行かない」という選択肢を提示したが却下された。
それにしてもプランクトンが病人にできることってなんだよ。何もないだろ。それ以下ってどういうことだよ。お前はそばに居るだけで悪化させるだろって?うん知ってる。

「着いた…」

着いてしまった。
いっそこのまま永遠に着かなければよかったのに。あぁ、こんなときは方向音痴の人が羨ましくなるな。「道に迷って着けませんでしたテヘペロ」って言えば許されるもんね。まぁ俺の場合はその限りじゃないけど。そんなことしようものなら部長女に本気で殺される。

現在地と、部長女から受け取った紙に書いてある住所を、そして扉の前にあるプレートを見て、間違いがないことを再確認。
ここまで来てしまった以上後戻りはできない…俺は意を決して扉の脇にあるインターホンをプッシュした。

「ぁーぃ…」

ピンポーンという特に変わってもいないチャイムの音につづいて、元気のない返事が聞こえる。多少しわがれてはいるものの、確かに先生の声だった。
とりあえず一安心。同性の別人っていう可能性もあるしね。部屋を間違えてたらお互いに「あんただれ?」っていうなんとも言えない微妙な空気を漂わせるところだった。俺の周りの空気はいつも微妙な感じだけど。
ガチャリという音とともに扉が開く。そこには予想していた通りの先生の姿が…なかった。

「あぁ…お前か」

ひどい。
その一言に尽きる。
何がひどいと言えば、髪はぼさぼさ服装はジャージという、これは婚期を逃していても仕方ないと言わざるを得ないような恰好だったこと…ではない。

「…今何か…失礼な、ことを考え、なかったか?」

息は絶え絶え、顔は青白く目はうつろ。立っているのも辛そうで扉に寄りかかってやっと体を支えているような状態だった。
いつも通りのツッコミにもまったく覇気がない。

「先生…大丈夫、ですか?」

「なん、だ?心配して…お見舞い、にでも、来たのか?ははっ…意外、だな」

そうやって笑う姿ももはや痛々しい域に達している。どうみても大丈夫ではない。

「っ…う」

俺が何もできずに突っ立っていると、頭を押さえて呻き声を上げ…と、思ったら、こちらに倒れこんできた。

「うお、せ、先生!?」

「…」

返事がないただの屍のようだ。
ってそんな冗談かましてる場合じゃねぇ!

「気を失ってるのか?」

ここまでひどいとは思っていなかった。これ本当にただの風邪か?

「とにかくこれはマズイ…とりあえず横に寝かせないと」

そう思った俺は先生を抱えて部屋の中に入っていった。


「…う」

頭が痛い。のどが苦しい。意識がもうろうとする。

「目、覚めました?」

突然声をかけられて驚く。とうとう結婚できない生活が長かったせいで妄想を現実と錯覚するようになったかと思ったがそうではなかった。
そこにいたのは私が気に掛けていたある男子生徒の姿があった。

「なぜお前がここに…」

「…お見舞いに来たんですよ。んで、先生が出迎えてくれたと思ったらいきなり気絶したんで、とりあえず部屋の中に運ばせてもらいました」

「あぁ…そういえば、そんな気がする…」

もうろうとした意識の中、インターホンの音を聞いてなんとかドアを開けた…ような気がする。

「とりあえず、これ食べてください。キッチンは勝手に使わせてもらいました。おかゆです。何か腹に入れないと…」

「…食欲がない」

こいつの言うとおりだったが、食べられそうになかった。今何かを口に入れたら戻してしまいそうだ。

「…そうですか、わかりました。食べられそうな時に食べてください」

「…あぁ」


それにしてもなぜこいつなのだろうか?部長女や部員女ならまだしも…まして付き添いですらなくこいつ一人?
ダメだ。頭が痛くて何も考えられない。

私の頭にひんやりとしたものが当てられる。

「これは…?」

「タオルです。冷えピタとか見つからなかったんで」

あぁなるほど。言われてみればそんな感じだ。
火照った額に伝わるタオルの冷たさがとても気持ちいい。

「寝ててくださいよ。何かして欲しかったら俺が代わりにやりますから」

「…あぁ」

こいつはこんなに優しいやつだっただろうか?いや、こいつはもとから優しい奴だったが、取る行動はもっと回りくどくてわかりにくい優しさだったはずだが…。
まぁいいか。考えるのは面倒くさい。今はその優しさが身に染みる、それで良しとしよう。

「なぁ」

「はい?」

「水をくれ」

「はい。ちょっと待っててください」

すぐに水を持って戻ってくる。私はと言えば水を飲むために身を起こそうとして…失敗していた。
なんという体たらく…自分の体を支えることすらできないとは。

「無理はしないで下さいよ」

そういって背中から手をまわして私の背中を支えてくれた。自然と私を抱き寄せられるような形になる。
息が近い。

「…恥ずかしい」

「我慢してください、それくらい。病人なんだから」

まぁ、看病されている以上文句は言えまい。ところで、顔が少し赤いような気がするが…移ったわけではないよな?

「他には?」

「…いや、何もない。少し眠る」

「わかりました」


助けを借りてゆっくりと横になる。
すると比企谷の手が私から離れる。当然だ。座っている必要性がなくなったのだから、同様に支える必要性も消える。
感じていた体温が消えると、途端に淋しさがこみあげてくる。普段ならこんなことは絶対にないのに…。

「…なぁ」

ダメだ。それを頼むのは。

「なんすか?」

「頼みがある」

しかし、耐えられない。一人であることに。独りであることに。
人の温もりが欲しいという欲求を抑えられない。


「手を、握ってはくれないか?」


あぁ、言った。言ってしまった。
そいつの呆けた顔が見える。
今更ながらにしまったと思う。言わなければよかったと後悔する。
ダメだ、この空気には耐えられない。さっさと訂正してしまおう。

「すまない…今のは忘れてくれ」

「いえ、わかりました」

今度は私が呆けた顔をする番だった。
こいつは今何と言った?わかったと言ったのか?聞き間違いか?
それが聞き間違いでなかったことはすぐに分かった。こいつが本当に私の手を握ってきたからだ。

少しごつごつとした男らしい手が私の手を包む。
その感触を知り、そういえばこいつは男だったなというなんとも間抜けなことを考える。

そうしていて、しばらく経った時だった。
風邪で倒れ淋しかったところにピンポイントで優しくされたせいだろうか?
ポツリポツリと、私は自分のことを話してしまっていた。

「結婚したいとか…結婚できないとか…そういうことを冗談交じりに話していたが…」

初めてかもしれない。こんな風に愚痴を零すのは。

「今日痛感したよ」

「独りは…淋しい」

「…」

こいつはどんな気持ちで私の話を聞いているんだろうか?
自分で自分を孤独に追い込むこいつは、私の気持ちを理解してくれるだろうか?

「風邪をひいて、動くことすらままならなくて…そんな状態で、たった一人でいるのは、辛かった」

「誰かに傍にいてほしいと、こんなにも望んだのは初めてだよ」

「本当に…心細かったんだ」

「死ぬかと思った。吐き気も頭痛も止まらず、喋ることすら満足にできない中で、なんとか今日休む旨だけ連絡して、何もする気になれなくて…ただただ一人眠っていた」

「頭痛で目が覚め、吐き気で目が覚め、咳で目が覚め…そんなことを繰り返しているうちに、どんどん惨めになって…」

「…わた、わた、しは…何を…やっているんだろうと…何故、独りなのかと…私、は…!」

涙をこぼしながらポツリポツリと本音を吐露する。
あぁ、何をやっているんだろう。
こんなことを聞かされるこいつの身にもなってみろ。
何をすればいいのか、何と言ったらいいのかわからないだろうに。
私は教師なんだ。私はこんな惨めな存在であってはならない。私はこいつらに頼ってもらえるような立派な人間であるべきなんだ。


「先生」

ずっと黙っていたこいつがとうとう口を開いた。

「俺は…ずっと自分のことをボッチだなんだと言っていました」

「けど違った。俺にはずっと妹が傍に居てくれた」

「そしてこの高校に入って部長女や部員女なんかにも知り合って」

「部を通して、いろんな奴らと出会ってきました」

「そして、その部に入部させてくれたのは先生です」

「色々文句も言いましたけど、隙を見ては退部しようとかしてましたけど」

「今は色々ひっくるめて、まぁ、入ってよかったかな、と思っています」

「だから、先生には感謝しているんです」

初めて聞いたこいつの本音。
こいつは、変わろうとしてくれているのか。
それはとても…嬉しいことだ。

「だから、もっと頼ってください」

「先生は独りなんかじゃないです」

「部長女や部員女だって」

「他にもいろんな奴らが先生の世話になって」

「その恩を返したいという気持ちを持っているはずです」

「だから、もっと俺らを頼ってください」

「先生は、俺たちを頼って良いだけの働きを、ちゃんとしてくれてるんですから」

「あぁ…」

また涙がこぼれてくる。
けれど悲しくはない。
嬉しいからこそあふれる涙だった。













「ありがとう」








友「守りたあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああい!!!!!!」

オタク「そうだ、これが、これこそが!行き遅れ系ヒロインだ!」

友「普段は先生として頼られているが、風邪で弱った精神状態故に、本音を吐露する…そのギャップの威力、しかと味わったぞ…!」

オタク「そうだろうそうだろう?素晴らしいとは思わないか?」

友「あぁそうだ素晴らしい…だが!」

オタク「!?」

友「あえて言わせてもらおう…」

友「不完全であると!!!」

オタク「な、何…?」

友「貴様、新しくできた彼女に浮かれて萌えに対する探究を怠ったな…?腕が落ちているぞ!」

オタク「ば、バカな!」

友「お前が容姿よりも性格に重きを置くことは重々承知…だが!それだけでは、魅力を完全に伝えられているとは言い難い!」

オタク「…まさか君は、容姿について言及するべきだと言いたいのか?」

友「そうだ!」

オタク「浅はかだな!」

友「浅はかなのはどちらだ!!!」カッ!

オタク「っ!」ビリビリ

友「見た目に騙される男は愚かだ。しかし!見た目もまた、そのキャラクターを形作る重要なファクターの一つ!」

友「貴様は美しい彼女ができてこう思っているんじゃないのか?『自分もまた、結局見た目に騙される限りなく猿に近い人間のごとき存在』であると!」

オタク「っ…それは」

友「その通りだろうが!男なら否定するな!綺麗な彼女で嬉しいんだろう?美しい肢体を蹂躙したいと思っているんだろう?」

オタク「ち、違う!そんなことは考えていない!」

友「この阿呆がぁ!!!」ドゴォ!

オタク「ぐはぁ!?」ドサッ

友「それを否定するということは、貴様の彼女をも否定する行為だぞ!言っただろう!美しい体も、情欲をそそる肉体も、それはその個人を形作る重要なファクターなのだ!」

友「受け入れるのだ!本能に逆らえない自分を!それこそが!貴様の彼女を受け入れることになるのだ!」

オタク「…っ!」

友「…どうだ?目は覚めたか?」

オタク「…あぁ。すまない、手間をかけさせたな」

友「ふっ…これしきのことで謝ることはない。それに、貴様に説教するというのはなかなか新鮮な気分だったぞ」

オタク「…そうか。では」

友「あぁ、進めよう」

進めよう、で〆ましたが今日の所はここまで。
明日の投下で終わりにして、HTML化依頼を出そうと思います。

>>87で名前出ててワロタ


唐突に名前出たから吹いたwww

>>95,>>96
おぅふ。3度にわたって見直したのに…申し訳ありません。脳内変換しといてください。

では、ラスト開始します。


『行き遅れ系ヒロインの魅力:肉体編』

友「果実というものは腐る一歩手前の熟し切った状態が最も甘く柔らかく故に美味であるというのは知られている通りだ」

友「そして、この行き遅れ系ヒロインはまさにその『腐る一歩手前の熟し切った状態』に当てはまる!」

友「それはつまり、彼女らの柔らかな肢体は、我々男が手を伸ばさずにはいられないほど甘美な果実であるということだ!」

友「背中からあすなろ抱きをしてうなじをハスハスするもよし!豊満なバストに身をうずめてパフパフするもよし!むちむちの太ももに挟まれたままどことは言わないがペロペロするもよし!」

友「この誘惑に耐えられる男など居るのか!?」


友「否!断じて否!!!」


オタク「…素晴らしい。まさか君がここまでの成長を遂げていようとは」

友「ふっ…我もいつまでも貴様に教えを請う側ではいないということだ」

友「さぁ、今度は私の番だ!舞台は、アイマ」オタク「具体的な名前はなしだ」

友「…とある事務所におけるスタッフと事務員の会話だ!」


「だからですねぇ!私は…」

「はい、はい…」

酔うとたちの悪い絡み方をしてくるのはいつも通りだけど、今日は一段とヒドイ。
話を聞いていると、どうやら予定されていた縁談がなくなったことが原因だったようだ。
その上破談になった原因が、相手方がご両親に隠れてすでに別のお相手を見つけていたことが発覚したせいらしい。
まさに傷口に塩を塗りこまれるような仕打ちである。だから、こんな風に荒れるのもわかるのだが…

「聞いてますかぁ!?」

「き、聞いてますって!」

…だからって僕に八つ当たりするのはやめてほしい。


「…はぁ」

一通り愚痴をこぼして落ち着いたのか、彼女の雰囲気が陰鬱としたものに変わる。

「やっぱり…もう駄目なんですかねぇ…一生独身のままなんでしょうか…」

「そんなことはないですよ。運が悪いだけですって」

「でもぉ…そういわれてもぉ…もうかれこれアラサー世代に差し掛かってますしぃ…」

「あ、あはは…」

さっきのように声を荒げられるのも嫌だが、こんな風にねちねちと言われるのもこれはこれで嫌だな…


「やっぱり私には結婚したいと思われるほど魅力がないんですよー」

「僕なんかは、十分魅力的だと思いますけど…」

これは偽らざる本音。
細かいことに気が利くし、事務所の子たちへの気配りを見れば、子供の教育も心配はなさそうだ。
お昼に食べているお弁当を見るかぎり料理だって決して不得意というわけじゃないみたいだし。
ちょっと特殊な趣味も持ってるけど…まぁ、そこまでひどくはないし。美人だし。
正直なんで今まで結婚できていないのか不思議だ、と常々思っている。
のだが…

「そんなお世辞言われましてもぉ~…」

どうやら僕の気持ちは伝わらないようである。

「いえ、お世辞のつもりはないですよ。僕は本当に魅力的だと思っています」

とりあえず褒め殺しにしておけばいつも通り落ち着くだろう。
別に嘘ついてるわけじゃないし。


「じゃぁ…」

そんな風に楽観視していたけれど、今日は違った。
破談になったことがそんなにショックだったのか、独身生活が長すぎたことが原因かはわからない。
ただ、彼女の中で、何らかの心境の変化があったらしく、今日はそれだけでは終わらなかった。



「私と、結婚したいですか?」



言葉に詰まる。
そんな想像をまったくしていなかったわけじゃない。
けれど、そんな想像に気が向くたびに、「僕なんかが釣り合うわけがない」と自らを叱咤し、深く考えることはしなかった。
同じ職場で働くのだから、一度でもそんな邪な気持ちを抱いてしまったら、仕事に支障が出ると思っていたからだ。
結婚結婚と言いながらも、僕へは全くアプローチしてくる素振りを見せなかった、ということもある。
僕のことを、そういう対象としてみてはいないだろうと思っていたのだ。

もし、彼女と結婚したら?
どう、なってしまうのだろうか。
混乱しすぎて何も考えられない。


僕が黙ったまま数秒が過ぎると、とうとう彼女が痺れを切らした。

「えい」

彼女が突然、僕に覆いかぶさってきたのだ。
そして、僕の目の前には彼女の柔らかくて大きな胸が迫り…抱きしめられた。
当然、僕の顔が彼女の胸に強く押し付けられることになる。
それは、とても気持ち良くて、そうしているだけで心の奥が暖まるような、そんな感覚に陥る魔力を持った柔らかさだった。

「どうですかぁ~?ほーれほれ」

掛け声とともにむにゅむにゅとその胸が押し付けられる。
顔全体を覆われているため、抗議の声を上げることもできない。
女性を突き飛ばすなんてことは僕にはできない。
なにより、この感触から離れるなんてこと、もったいなくてできるわけがなかった。

「なんとか言ってくださいよー。ねー」

それだけではあきたらず、僕の足に自分の足を絡めてきた。
女性特有の柔らかさ…その中でも極上の弾力を持った太腿が、僕の足とこすれあう。
その上僕を抱きしめていた腕は、蛇のように僕の背中を縦横無尽に駆け巡る。
布越しなのがこの上なく恨めしい。この柔らかさを、直に肌で味わうことができたなら…。そう思わずにはいられない。

そろそろ息が苦しくなってきた。もしかしたら僕はここで死ぬのかもしれない。
しかし、それすらも許容できるほど、その時間は魅力的だった。



が、その夢のような時間は唐突に終わりを告げる。

「え…」

「…淋しそうな顔ですねー。あなたもやっぱり男なんですねー、んふふー」

彼女は、あからさまにがっかりしてしまった僕とは対照的に、とても嬉しそうにしている。

「どうですかー?私と結婚したらぁ…私の体、食べ放題ですよー?」

その誘惑は、とても魅力的だった。
しかし僕にも意地がある。首を縦に振りはしなかった。
…かと言って、横に振ることもできなかったが。
意地というよりもこれではただ優柔不断なだけだ。

「…やっぱり私なんかよりも、もっと若い子のほうがいいんですか…?」

唐突に沈痛な面持ちになり、涙を浮かべる彼女。
そんな彼女を見て僕は…



「そんなことはないです!」

と言った。
言ってしまった。
それはもう、力強く。

「じゃぁ結婚してください!」

「は、はい!」

そしてそんな返事をした僕以上に力強く、顔を目一杯近づけて言われて、僕はつい、はいと言ってしまった。

「…言質、とりましたよ?」

そういって彼女はニヤリと笑う。
しまった、と思った。やってしまった、とも。
これで、本当に、彼女と結婚しなければなくなるかもしれない。
しかし、それは悪いことなのだろうか…?むしろ望むところなのでは?
いや、やはりこんな、酒の勢いにのって決めてしまうには重大すぎるような…。
うだうだと考え続ける僕。これは確実に純粋な優柔不断だった。
しかし彼女はその僕の優柔不断さを吹き飛ばす程の行動に出た。

「それじゃぁ…手始めに…一口、どうですか?」

そういって、彼女は突然服を脱いだ。

その瞬間、僕にはもう、目に入るのは彼女の持つ綺麗で妖艶な体のみとなり、
僕の頭も、その美しい景色のことしか考えられなくなった。
結果、僕は…

もう、どうにでもなーれ☆

という結論に行きついた。


…チュンチュン

「…あぁ」

やってしまった。
二つの意味で。

「…あのー…その…昨日は…すいませんでしたぁ!!!」

そう叫んで綺麗な土下座を決める彼女。

「押し倒して、そ、その上、せ、せせせせせ、せっく…ス…まで…な、なんとお詫びしたらいいか…」

「顔を上げてください!むしろ、謝るべきは僕の方で…」

「し、しかし、酔っていたとはいえ、あなたのことを、無理矢理…」

「…」

ええい、ここまできて何を迷っている!
男だろうが!覚悟を決めろ!
己を叱咤し、拳を握る。

「僕は、確かに優柔不断ですし、押しに弱いことは自覚してます。けど、好きでもない人から迫られて、それを拒絶しないほど軽薄ではないつもりです」

「…それって」

「僕は、あなたのことが好きです。必ず幸せにして見せます!だから…」







「僕と、結婚してください!」






オタク・友「ふぅ…」

オタク「…素晴らしかった。」

友「あぁ…我ながら、最高の出来栄えだったと自負している」


オタク「む…もうこんな時間か」

友「おっと、すっかり話し込んでしまったな。では、今日の所は…」

オタク「あぁ、解散としよう」

オタク・友「「ありがとう、実に有意義な時間だった」」

オタク「…ははは」

友「…ふはは」

友「では、さらば!」

オタク「あぁ、さようなら」

はい、というわけでこれで終わりとなります。

最初は誘惑を重ねてくるビッチを独自の性癖故に適当にあしらっていくオタクを書こうと思っていたのに…
途中でビッチがビッチじゃなくなるし、オタクは全然オタクっぽくないし…
どうしてこうなった。

とりあえずHTML化依頼出してきます。それでは最後に一言だけ。


BBAってくぁいいよね!!!

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