女「逃がさない」友「帰りたい」男「見捨てないでくれ」(29)

~とある放課後~

女「ねえねえ友くん、ちょっと聞いてほしいのだけれど」

友「なんだよ」

女「どうも男くんが私の事好きだらしいのよ」

友「……へーそうなんだー」

女「でもねえ、私そんなに男くんのこと好きじゃないのよね」

友「……そうなのか」(男まじドンマイ)

女「それでね。その男くんに明日の放課後、教室で待つように言われたの」

友「ふーん」

女「友くん、お願いなんだけれど一緒に教室に残ってくれないかな」

友「……は?」

友「なんで俺が残るの?」

女「だって、自分を狙っている男の子と二人きりだなんて怖いじゃない」

友「学校でそんなことするとは思えないけど」

女「何を言っているの? その油断が命取りよ」

友「男はそんなことをできる奴じゃない。そこは俺が保証する」

女「あなたがそう言ってくれるのは心強いのだけれど、でも怖いものは怖いのよ」

友(あの男に限っては絶対にありえないと思うんだけどな)

友「……たぶん、男は告白のために女さん呼び出したんだよな」

女「もちろん」

友「告白されるのに別の男を連れて行くのか?」

女「心強いでしょう?」

友「女さんはそうだろうけど、俺は友達の男を裏切って気分最悪じゃないか」

女「そこを何とかお願い、ね?」

友「いやだ」

女「私を助けると思って、ね? ほら、親切は人の為ならずっていうでしょう?」

友「なんで親切で人を裏切らなくちゃいけないんだ」

女「いよっ! 友くんイケメン!」

友「っ! ありがとよ///」

女「じゃあ引き受けてくれる?」

友「ふざけんな」

友「とにかく、俺はそんな損な役回りはごめんだね」

女「『そんな損な』? 真剣な話をしているのになんで急にダジャレ言ったのかしら?」

友「~~~! そこは放っておいてくれよ!」

女「もう。いい加減にしてよね」プンプン!

友「……」イラッ

友「帰っていいか?」

女「私が悪かったわ」

友「よろしい」

女「それでお願いできるかしら」

友「帰るよ。バイバイ」

女「ああ、お願いだから帰らないで! じゃあ、教室の外で待っておくのはどう?」

友「……友達の告白を覗き見しろっていうのか?」

女「嫌なことをさせちゃうけど、女友達を助けると思ってお願いできないかしら」

友「…はぁ。どうせ嫌と言っても頼みこむんだろ?」

女「もちろん。なんなら当日抱き着いてでも引き留めるわ」

友「うわっ、それは嫌だ……。わかったよ、引き受けるよ」

女「ありがとう! 友くん、大好き」

友「……はぁ」

友「引き受ける代わりに、条件がある」

女「なにかしら?」

友「失恋した後の男と鉢合わせたくない。だから、告白が終わった時点で帰らせてもらう」

女「失恋させて傷心的な女の子を慰めてくれたりはしないのかしら」

友(……ツッコミ待ちか?)

友「とにかくだ。俺はすぐに帰るからな」

女「仕方ないわね。それで許してあげるわ」

友(この女はなんで急に偉そうになってんだよ!)

女「それじゃあ明日の放課後、よろしくね」

友「ああわかった、引き受けた以上はちゃんとやるよ。じゃあね」

女「ばいばい」ヒラヒラ



友(さて、明日は急いで帰らないとな)

友(面倒な女の厄介事に巻き込まれてたまるか)

(はぁ……。あの女のせいで今日は疲れた)

友「帰って寝るかぁ……」


友「ん? 校門で誰か手を振っている…?」


男「友ォオオオ! 待ちわびたぞォオオオ!」ブンブン!

友(……うわ。ムキムキマッチョマンの暑苦しい奴が俺に手を振っている……)

男「相談があるんだァ! ウォオオオイ! 聞いてくれェ」

友「吠えるな、うっとうしい」

男「スマン!」

友(……相談って、100%あの女への告白の話だよな。めんどくせえ…)

男「それで、相談の話だが!」

友「ちょっと待ってくれ」

男「うむ?」

友「今日は疲れてるんだ。また明日にしてくれるか?」

男「ぐぬぅ……。それなら仕方ない。また明日の朝聞いてくれ」

友「……あー、やっべー。すげえ疲れてるわ―。まじやっべーなー」

男「どうした!? そんなに疲れがひどいのか?」オロオロ

友「ごめーん。明日も相談聞いてやれそうにないわ―。明後日にしてくれるかなー」

男「なぬっ! それは困ったぞ……」

友(よし! このまま押し切れば面倒事を避けれる!)

男「むぬぬぬ。疲れている男に無理をさせるわけには……。でも相談はしたい……!」

友(男を騙すようで心苦しいが、俺の為だ。許せ!)

友「だっりー。まじだっりー。すぐ休まないとぜってー体調崩すわ―」

男「……!」

友(……やったか?)

男「わかった」

友(勝ったな)

男「じゃあ、休みながら俺の話を聞いてくれ! さあ、俺におんぶするんだ!」

友「!?」

友「いやあ、そ、それは遠慮させてくれないか?」

男「遠慮なんてすることはないぞ! さあ! 早く!」

友(おんぶなんて恥ずかしいことできるか!)

男「……乗らないのか?」

友「いや、いい」

男「!」ピコーン

友(あ、すごく嫌な予感がする)

男「乗れないのか! じゃあ、俺が抱き上げてやろう!」ヒョイ

友「え、なんで首と足に手を回して……。やめろぉおおおおおおおお!!!」

こうして俺は、お姫様抱っこをされながら下校することになった。

男「ガッハッハ! 友人を助けるのは気持ちいいものだ!」

友 ←死んだ目

男「友達に助け助けられ……、青春だな!」

友 ←死んだ目

男「あれ? さっきより元気ないぞ? どうした」

友「……放っておいてくれ」シクシク

男「掘っておいてくれ? すまん、俺ホモじゃないから無理だ」キリッ

友「なんという勘違いしてるんだお前は!」

男「おっ、元気が出た」

友「開き直ったんだよコンチクショウ!」ウワアアアン!


男「それでだ。相談なんだが聞いてくれェ!」

友(もうどうにでもなーれ)

男「実は俺には好きな奴がいてだな。その子はすごく可憐で華奢でな……

     -中略-

  というわけなんだ!」

友「つまりは、告白するために女さんを明日の放課後に呼び出したってことでOKだな?」

男「OK!」ズドン

友(なんでそれだけを語るのに10分もかけてんだよ)

男「そこで、友に頼みたいことがあるのだ……!」

友「なんだ?」

男「明日、一緒に教室に残ってくれまいか!」

友「……は?」

訂正
>>1 4行目 好きだらしい⇒好きらしい

友「なんで俺が残るの?」

男「だって、一人で告白に挑むだなんて心細いじゃあないか!」

友「ふざけんなこの熱血ヘタレ」

男「うぐっ……」

友「だいたい、告白のために女さんを呼び出したんだろ? そこに別の男連れて行くのはどうなんだよ?」

男「心強いだろォ?」

友「あのバカと同じこと言ってんじゃねえよ!」

男「あのバカ?」

友「あー…、ゴホン。とにかくだ。告白は一人でやったほうがかっこいいだろ」

男「うむ。確かに情けない男と思われてフられるのはごめんだなァ!」

友(どちらにしろ100%振られるんだけどな)

男「だが、どうしても踏ん切りがつかんのだ。友がいてくれれば、きっと俺は戦える」

友(……この男、本当に情けないな。ここは一つ、発破をかけてやらないと)

友「男。お前、そんなに情けない奴だったか?」

男「え?」

友「一人で戦えない奴が、どうして恋人を守れるんだ。恋人を守れないやつを誰が好きになる?」

男「……!!! そうだな!!」

友「気合入れろ男ォ! 俺の知っているお前は勇敢な男だ!」

男「……俺は勇敢だ! 勇敢なんだ!」ウオオオオオオオ!

友「よし! お前なら一人でやれる!」

男「ああ! ありがとう、友よ! 勇気が出たよ。今なら何でもできる気がするぞ」

友「ファイトだ!」

※友は男にお姫様抱っこをされています

ご近所さん「ねえ? あれ何?」

友姉「うわ……。私の弟じゃんあれ」

男「~♪」

友「」

※しつこいようですが、友は男にお姫様抱っこされています


友「……もう家についたし降ろしてくれないか」

男「いいや。ベッドに送り届けるまで安心できない」

友「もう元気が出たし大丈夫だ(やめろキモいしホモいんだよ!)」

男「友がそういうなら……よいしょっと。大丈夫か?」

友「もちろん(精神的にズタボロだよ一生恨んでやる)」ニッコリ


友「それじゃあな。明日頑張るんだぞ(そしてこっ酷くフられてこい)」

男「ああ。じゃあな!」

友「……行ったか」


友(これで明日、面倒に巻き込まれないで済む)ホッ

男「ああそうだ! 明日、教室の外で見守っててくれよ! じゃあな!」


友「……は?」

友「はああああああああああ!?」

………
……

姉にお姫様抱っこについて問い詰められたり
夜中に男と女にひたすらメールされたりしながら、告白前日は過ぎた。
(ちなみにあまりにも鬱陶しかったので最終的には着信拒否した)

そして、忌々しい告白の日がやってきたのだった

すまぬ、続き考えてない。
明日まで待ってくれ

よければ一昨日あたりに書いた短編どうぞ(宣伝)
幼馴染「好きです!」男「うぇーい!」

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