俺はいつも図書館で本を読んでいる。しかし本は好きではない。なぜ図書館にいるのかというと、それは俺が冷暖房のよく効いた文明的な部屋が好きだからだ。
友「おーい♪」
またコイツだ。俺はコイツが嫌いだ。よく知らないのにとても馴れ馴れしい。しかもイケメンだからだ。
男「……うるさい。」
友「そんなこと言うなって♪ねぇ!なに読んでんの?教えてよ」
男「部活やってんだろ?部活に行ったらどうだ?」
友「あぁ、それはいいんだよ!今日は部活休みだからさ♪久々の休みなんだ!それはそうと、なに読んでんの?」
俺は不意に席を立つ。友はキョトンとしている。俺はそれを横目に鞄を持って帰ろうとする。
俺「また明日な。用事を思い出した。」
友「あ……そっか、、わかった!じゃあね!!」
俺は後ろを振り返らず帰る。何も考えず。無心になって。俺はここに転校してきた時のことを考えていた。
なんだお前らホモを求めているのか
俺が転校したのは高校二年の夏だった。もちろんこんな性格なので友達も出来るわけもなく、こうして秋が迫ってるわけだが。
友「おーい!」
俺「……」
追いかけてきたのか。手には本を持っている。
友「本忘れてたよ!はいこれ」
本を差し出す。『動植物辞典』と書いてある。
俺「おう、ありがとう」
友「こんなの読んでたんだ!変わってるね♪」
俺「悪いか?」
友「いや?普通だと思うよ!」
俺「お前今変わってるって…」
友「今度日曜空いてる?」
俺「?まあ、な」
友「植物園いこーや♪」
俺「は?」
友「だって、」
友「そういうの興味あるんだろ?俺も結構好きだし、一緒に行こうや!」
俺「お、おう」
友「よっしゃ!じゃそういうことな!じゃあな!!」
約束してしまった。こうして俺と友の奇妙な生活が始まった。のかもしれない。
【二日目】
俺は図書館にいる。極度に文明的な空間だと俺は思う。そうして俺は植物辞典を眺める。
友「おっす!お疲れー!」
俺「うるさい、ここは図書館だぞ?」
友「まあ固いこと言うなって♪な??
お!また読んでんじゃん!いいねー!」
俺「まあな…」
誰のせいで読むことになったと思ってるんだ。コイツは。
友「俺も調べてみたんだけど、」
俺「うん?」
友「この植物園とかよくね?」
俺「ちょっと遠くないか?ココ」
友「いやでもここ見ろよ、ほら、『日本最大級の植物園です。』って!ここしかないだろ?」
俺「なあ。」
友「ん?どうした」
俺「お前部活は?行かないでいいのか?」
友「あ…俺休部してるから。」
どうしたんだろう。なにか雰囲気が変わったような気がする。
俺「お、おう。そっか、大変だな」
友「いや別にそんなんじゃないよ♪」
こうして一緒に帰ることになってしまった。
俺「なあお前何部って言ったっけ?」
友「あ?あぁ、バレー」
俺「上手いの?」
友「下手いよ。」
でも俺は知っている。コイツが運動神経がいいことを。学期末の表彰式でいつも祭壇の上に立っていることを。
俺「そうなのか、部活頑張れよ」
友「おう、ありがとう」
俺「話変わるけどさ」
友「ん?」
俺「遠いぞ。あの植物園」
友「おう、だから宿取った」
俺「は?泊まるの?お前と??」
友「なんだよ!嫌なのかよ、ヘコむなあ…」
俺「いやそんなのじゃないけどさ…」
友「そうか?なら良かった♪いやさ、俺お前と話した夜にもうホテル取っちゃってさ、断られたらどうしようかと思ってたんだ♪」
俺は大変な奴と絡むことになってしまったのだと、いまさら気付いたのだった。
その日はそうして別れた。またしばらく退屈な日々が続きそうだが、日曜日だけは少し楽しみだった。友だちと言える人とどこかへ行くのは何年ぶりだろう。
【日曜日】
友「おっす♪」
俺「…おっす」
俺「…カッコいいな、お前は私服でも」
友「ガチで?嬉しいなあ♪お前はお世辞が上手くていつも乗せられるぜ!!」
俺「……」
コイツはうるさい。嫌いだ。
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