幼馴染「どうしてそんな簡単なことができないんですかー?」 (23)

男「悪い、ここの駅くるの初めてでさ」

幼馴染「決められた時間内に来ないとかバカなの? 死にたいの? もう別れますか~?」

男「すまん……早めには駅に出たんだ、ほんとうに」

幼馴染「あーなんか気分萎えたわ。元々勢いだけでオッケーしちゃった感じだったしなぁ」

男「ほんっとにごめん! ほら、今日の飯代は俺が出すから」

幼馴染「まあ、本当は私も遅れたんだけど、立場が違うじゃない? 私、付き合ってあげてる身だし」

男「……あのさ」

幼馴染「なーんか私を軽く見てない? 間に合わなきゃ死ぬとしたら遅刻しましたか男はー?」

男「……やっぱ、別れよっか」

幼馴染「は?」

男「いや、遅刻のたびにこんなの言われてたら俺やだわ」

幼馴染「ちょっ、ちょっと待ってよ、ねえ! ありえないでしょ!」

男「いや……もういいや。俺が悪かった、もう学校でも話さないようにしよう」

幼馴染「待ってよ! だってそんなの、絶対おかしいじゃん、ねえ!」

男「おかしいって何がだよ、もう遅刻ばっかでお前に嫌な思いさせるのも嫌なんだよ」

幼馴染「だって……だって男が私に告白してきたんだよ? す、好きって言ってくれたんじゃん、なのに、なのにそんなことで」

男「そんなことって言われても、文句言われ続けてそれに耐えるのにも限界があるしさ」

幼馴染「じゃ、じゃあもう文句言わないから! 一年でも一年半でも遅刻したっていいから!」

男「……いや、わかれよう。やっぱ俺たちずっと『幼馴染』の関係の方が良かったんだよ」

幼馴染「そんなぁ……」

男「……」

幼馴染「……男」

男「別れたくない?」

幼馴染「……うん」こくん

男「……わかった」

幼馴染「え?」

男「……じゃあ、『別れてあげなくてもいいよ』」ニコッ

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