幼馴染「ねえ、返事してよ」男「…」 (85)
幼馴染「いつまで部屋に引きこもってるつもりなの?」
男「……」
幼馴染「いいかげん出てきなさいよ…」
男「……」
幼馴染「…まだあのことを引きずってるの?」
母「わざわざ来てもらってわるいけど息子はもう…」
幼馴染「ダメです、私がきっと男を部屋から出して見せます」
母「幼馴染ちゃん…」
幼馴染「男、部屋から出てくるまで私ここを動かないからね」
男「……」
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幼馴染「…本当に部屋から出ないつもり?」
男「……」
母「幼馴染ちゃん、本当にもういいのよ?」
幼馴染「でも…男に出てきてもらわないと私が困るんです」
男「……」
母「でも息子は…また明日来たほうが…」
幼馴染「いえ、どうしても今日会いたいんです」
母「はあ…困ったわねぇ…」
男「……」
男(このままじゃ非常にまずい…)
男(なんとかしてこの部屋から出ないといけない)
男(だが部屋の前には余計なやつらがいる)
男(窓からは…ダメだな。目立ちすぎる)
男(やはりこのドアから出なければならない)
男(無理やり強行突破するか…それともこいつらが引き下がるまで待つか…)
男(俺の調べた情報だと何も問題なく成功するはずだったのに…)
男(くそっ、どうしてこうなった…?)
――――
――
―
男「くっくっく」
男「俺の調べによるとこの家には今日誰もいないはずだな」
男「俺の勘によるとここにはとんでもないお宝が眠ってるはずだ」
男「一見するとごく普通の一般的な家にしか見えないが…まあいい」
男「さっそくあがらせてもらうか」
男「ふむ、家の中も普通だな」
男「さて…俺の勘によるとこの部屋に宝があるな」ガチャ
男「この部屋も一見すると普通だが…」
男「はたして金目のものがあるかどうか」
ガチャ
男「…!もしかして誰か帰ってきたのか!?」
男「まずいぞ…とりあえずこの部屋でやり過ごすしかないか」
男「俺の仕入れた情報によると今日は家に誰もいないはずだが…」
ドタドタドタドタドタドタ
男「…あれ?なんかこの部屋に向かってきてないか?」
男「まずいぞ!とりあえず部屋に鍵を掛けなければ!」ガチャ
男「よし、間に合った…」
ガチャガチャガチャガチャガチャガチャ!!
男「…なんだ!?もしかしてこの部屋の主だったのか!?」
…………
男「…どうやら諦めたようだな」
男「しかし今のはなんだったんだ?声の一つもあげなかったが…」
男「まあなんにしろ今部屋を出るのはまずいな」
男「この部屋をもう少し物色して様子見してから出るとするか」
男「それにしても本当にこの部屋はなにもないな」
男「金目のものがあるとはとても思えん」
男「…と見せかけて実はとんでもないものが隠してあるはず」
男「くっくっく」
男「…何もないな、俺の勘が外れたか」
男「しかたがない、こういう日もあるさ」
男「これ以上いてもどうしようもないし隙を見計らって逃げるか」
ガチャ
男「おや、出ていったのかな?」
男「………」
男「…いや、なにやら話声が聞こえるな」
男「…!?またこっちに誰かが向かってきてるのか!?」
幼馴染「おーい!男ー!いるのー?」
男(…?誰だこいつ?)
幼馴染「ねえ、返事してよ」
男(無理に決まってるだろ)
幼馴染「いつまで部屋に引きこもってるつもりなの?」
男(部屋に…この部屋の主は引きこもってるのか?俺の情報とは食い違ってるが…)
幼馴染「いいかげん出てきなさいよ…」
男(だから無理だって)
幼馴染「…まだあのことを引きずってるの?」
母「わざわざ来てもらってわるいけど息子はもう…」
男(息子?なるほど、さっき帰ってきたのは母親だったのか)
幼馴染「ダメです、私がきっと男を部屋から出して見せます」
母「幼馴染ちゃん…」
幼馴染「男、部屋から出てくるまで私ここを動かないからね」
男(おいおい…マジかよ)
幼馴染「…本当に部屋から出ないつもり?」
男(少なくともお前らがドアの前にいる間はな)
母「幼馴染ちゃん、本当にもういいのよ?」
幼馴染「でも…男に出てきてもらわないと私が困るんです」
男(困ってるのはこっちだ馬鹿が…)
母「でも息子は…また明日来たほうが…」
幼馴染「いえ、どうしても今日会いたいんです」
母「はあ…困ったわねぇ…」
男(マジで困るわ…)
――――
――
―
幼馴染「あの、お母さんは男…いえ、男君から引きこもった理由についてなにか聞いていますか?」
母「別に呼び捨てでかまわないわよ…残念ながら理由については何も話してくれなくて…」
幼馴染「そうですか…」
母「でも時間がたてばひょこっと出てくると思うわよ」
幼馴染「そうかもしれませんが…」
母「ここにいたら逆に出てきづらいかもしれないし…居間のほうでお茶でも飲んでいかない?」
幼馴染「いえ、お気遣いは無用です。私はここで待たせてもらいます」
母「そう…」
母(困ったわね)
母(いっそのことこのまま逃げ出したほうがいいかしら?)
母(でも顔見られたし…まだあれも確認してないわ…)
母(…いったいどうしてこんなことになったのかしら?)
――――
――
―
女「ありがとうございましたー」
女「…ふう、またあのマッシュポテト顔の男が来たわね」
女「いつも変な買い方してるけど当たるとでも思っているのかしら?」
女「まあ買いに来てくれることはありがたいんだけどねぇ…」
女「そういえばこの間女の子に振られたとか言ってたわね」
女「顔が残念で頭も残念なんて可哀そうね」
―数日後
女「今週の当選番号は…ん?」
女「1、2、3、4、5、6、7…?」
女「え?え?本当に?もしかしてあの男が1等当選…?」
女「……」
女「たしかあの人っていつも売り場で当選番号の確認してたわよね…」
女「つまりまだ当選してることに気がついてない…」
女「たしかこの近くに住んでるって話していたような…」
女「……」
女「意外と簡単にあの男のこと調べることができたわね…」
女「しかもちょうどよく明日家に誰もいないときてる…」
女「もしかしてこれは私に訪れた幸運…?」
女「この宝くじを手に入れることができれば…」
女「いや、さすがにそれは…でも…」
女「…つい家まで来ちゃったわね」
女「でもよく考えたら家に鍵がかかってるはずよね」
女「一応鍵が閉まってること確認して帰ろうかしら…」ガチャ
女「……開いた」
女「やっぱりこれは私に訪れた幸運なのかしら?」
女「……ちょ、ちょっとだけ探すだけならかまわないわよね」
女「見つかるとも限らないし…」
女「さて、入ったはいいけどどこから探そうかしら」
女「…なんかあの部屋が怪しい気がするわね」
ドタドタドタドタドタドタ
女「……」ガチャ
ガチャガチャガチャガチャガチャガチャ!!
女(開かない…か)
女(…少し探しまわったけどなさそうね)
女(やっぱり泥棒は良くないってことよね)
女(誰か来る前にさっさと出て行こう)
女(お邪魔しましたー…と)
ガチャ
女「え?」
幼馴染「……」
女(どうしよう…人が来ちゃったわ)
幼馴染「あの…もしかして男のお母さん…ですか?」
女「え?……ええ、そうよ」
母「私が男の母です。あなたは?」
幼馴染「え?私ですか?え、えーと…」
母(そういえば…男は幼馴染に振られたとか聞いたことがあるような…)
母「もしかして幼馴染ちゃんかしら?」
幼馴染「え?…あ、はいそうです」
幼馴染「あの…今日は男に会いに来たんですけど…」
母「男に…?」
母「そういえばさっき部屋に鍵がかかってたわね…」
幼馴染「…!部屋にいるんですか?」
母「え?いえ、違うのよ!男は今出かけてて…」
幼馴染「でも男の人の靴がありますよ?」
母「……」
母(本当だ、まったく気がつかなかったわ)
幼馴染「男はいるんですよね?」
母(まずいわね…適当に話をでっち上げて誤魔化そう)
母「実は息子は…引きこもっちゃったのよ」
幼馴染「え…そんな…まさか…」
母「だから今日のところは帰ってもらえないかしら?」
幼馴染「…お母さん、私がなんとかしてみせます」
母「え?」
幼馴染「息子さんの部屋の前まで連れて行ってもらえませんか?」
母「それは…」
幼馴染「お願いします!」
母「でも…」
幼馴染「そこをなんとか!私ならきっと出すことができます!」
母「う…わ、わかったわ…」
幼馴染「…!ありがとうございます!」
母(まずい…ついオーケーしちゃったわ)
幼馴染「いつまで部屋に引きこもってるつもりなの?」
男「……」
幼馴染「いいかげん出てきなさいよ…」
男「……」
幼馴染「…まだあのことを引きずってるの?」
母「わざわざ来てもらってわるいけど息子はもう…」
母(さっさと帰れ)
幼馴染「ダメです、私がきっと男を部屋から出して見せます」
母「幼馴染ちゃん…」
母(余計なお世話だ)
幼馴染「男、部屋から出てくるまで私ここを動かないからね」
男「……」
幼馴染「…本当に部屋から出ないつもり?」
男「……」
母「幼馴染ちゃん、本当にもういいのよ?」
母(マジでもう帰ってちょうだい)
幼馴染「でも…男に出てきてもらわないと私が困るんです」
男「……」
母「でも息子は…また明日来たほうが…」
母(さっさと帰れ)
幼馴染「いえ、どうしても今日会いたいんです」
母「はあ…困ったわねぇ…」
母(どうしよう…)
男「……」
――――
――
―
幼馴染「あの、お母さんは男…いえ、男君から引きこもった理由についてなにか聞いていますか?」
母「別に呼び捨てでかまわないわよ…残念ながら理由については何も話してくれなくて…」
幼馴染「そうですか…」
母「でも時間がたてばひょこっと出てくると思うわよ」
幼馴染「そうかもしれませんが…」
母「ここにいたら逆に出てきづらいかもしれないし…居間のほうでお茶でも飲んでいかない?」
幼馴染「いえ、お気遣いは無用です。私はここで待たせてもらいます」
母「そう…」
幼馴染(さて…これからどうしよう…)
幼馴染(というか私はつい幼馴染と言ってしまったけどまずいよねぇ…)
幼馴染(いったいどうしてこんなことになったのやら…)
――――
――
―
とりあえずここまで
女「ふーん…男君ついに振られちゃったんだ…」
女「しっかし文通相手にそういうこと報告しちゃうってどうなんだろう?」
女「まあ、そういうところを含めて楽しんでるんだけどね」
女「…振られたか。今なら…」
女(私は何を期待してるんだろうか?相手は文通の相手だぞ?会うなんて言語道断だ)
女(しかし…これは神様が与えてくれたチャンスなのではないだろうか?)
女(前々から気にはなっていた…この手紙の主に会ってみたいとずっと前から思っていた…)
女(だがそれはどう考えてもいけない…それは向こうも承知していることだ…)
女(でも今会いたいと言えば会ってくれそうな気はする…)
女「…まあ誘って駄目だったら諦めればいいよね」
文通女(…まさか本当に会うことになるなんてね)
文通女(どんな人なのかな…きっとあの手紙のように…)
文通女(いや、幻想を抱くのはやめよう)
文通女(こういうのはブサイクを想像しておくのがちょうどいいのだ)
文通女(…そう、さっきからこっちをジロジロみてくるあの芋顔のような男をだ)
文通女(なんだろう…?もしかして私のストーカー?)
文通女(そういえば最近誰かにつけられてる気がするんだよね…)
文通女(…いや、考えすぎかな)
文通女(あ、そろそろ電車乗り換えしなきゃ…)
文通女「……」
文通女「……」
文通女(あれ…さっきの芋男が付いてきてる…?)
文通女(た、たまたま…だよね?)
マッシュポテト顔の男「……」
文通女(気のせいかやっぱりこっちを見てるような…)
文通女(いや、気にしないでさっさと行こう)
文通女(やっと待ち合わせ場所についたよ)
文通女(だけど…やっぱりあの芋男がいるよ…)
文通女(それにこっちをちらちら見て…ってこっちに来る?)
文通女(嘘!?)
マッシュポテト顔の男「…あの、すいません」
文通女「は、はい…なんでしょうか…?」
マッシュポテト顔の男「もしかして…文通女さんですか?」
文通女「え…?どうして私の名前を?ま…まさか…本当に…」
マッシュポテト顔の男「ええと…僕は…」
文通女「い…いや…きゃぁあああああああああ!!ストーカーよ!!」
マッシュポテト顔の男「え?」
――――
――
文通女「とっさに逃げちゃったけど大丈夫かな?」
文通女「まったく…最近誰かにつけられてると思ってたけど本当にストーカーがいたとはね」
文通女「おかげで文通相手と会えなかったよ」
文通女「……」
文通女「文通相手…か」
文通女「……」
文通女「まさかあの男が文通相手ってことはないよね…」
文通女「……」
文通女「いや、よく考えたらそっちの方がありえるんじゃないのか?」
文通女「そもそも私にストーカーがいたとして…あのタイミングで話しかけてくるだろうか?」
文通女「というかどう考えてもあれは文通相手な気がしてきた…」
文通女「…どうしよう」
文通女「……」
文通女「…待ち合わせの場所に戻ってきたはいいけど」
文通女「さっきの男も文通相手らしき人もいないな…」
文通女「やっぱりあの人は文通相手だったのかも…」
文通女「……」
文通女「…これはまずいよねぇ」
文通女「私から誘っておいてストーカー扱いして逃げ出したわけだし…」
文通女「相手は私の名前も住所も知ってるし…なかったことにするわけにもいかないよね…」
文通女「相手に迷惑かけておいて自分の心配とかするんだから私って最低だよね」
文通女「…やっぱり謝罪くらいした方がいいよね」
文通女「幸い相手の住所はわかるし…このままだと私も罪悪感が半端ないしね…」
文通女「……」
――――
――
文通女「結局あれから行く勇気も出ずに数日たっちゃったけど…」
文通女「今日はちゃんと家まで来たぞ」
文通女「……」
文通女「そ、それじゃあさっそく…」
ガチャ
母「え?」
文通女「……」
母「……」
文通女(やっべ、いきなり女の人出てきた)
文通女(見た感じ…あの人のお母さんってとこかな?)
文通女「あの…もしかして男のお母さん…ですか?」
母「え?……ええ、そうよ」
母「私が男の母です。あなたは?」
文通女「え?私ですか?え、えーと…」
文通女(ここで正直に文通相手だと言っても大丈夫かな?)
文通女(もしあの人が私のことを喋ってたら…ヤバイかな?)
母「もしかして幼馴染ちゃんかしら?」
文通女「え?…あ、はいそうです」
文通女(やっべ、嘘ついちゃった)
文通女(…でもあの人の幼馴染のことは手紙でいくらかは知ってる)
文通女(ここはいったん幼馴染ということにして突っ切ろう!)
文通女「あの…今日は男に会いに来たんですけど…」
母「男に…?」
母「そういえばさっき部屋に鍵がかかってたわね…」
文通女「…!部屋にいるんですか?」
母「え?いえ、違うのよ!男は今出かけてて…」
文通女「でも男の人の靴がありますよ?」
母「……」
文通女(なんかこの人様子が少しおかしいような…)
文通女「男はいるんですよね?」
母「実は息子は…引きこもっちゃったのよ」
文通女「え…そんな…まさか…」
文通女(え?もしかして私のせい?いや、振られたから?)
文通女(いや、時系列的に私のせいだよね…ここはなんとかしないといろいろとまずいんじゃないか?)
文通女(もしこのまま引きこもり続けて…そしてそれが私のせいだとバレたら…?)
母「だから今日のところは帰ってもらえないかしら?」
文通女「…お母さん、私がなんとかしてみせます」
母「え?」
文通女「息子さんの部屋の前まで連れて行ってもらえませんか?」
母「それは…」
文通女「お願いします!」
文通女(ここでなんとかしないとまずい!)
母「でも…」
文通女「そこをなんとか!私ならきっと出すことができます!」
母「う…わ、わかったわ…」
文通女「…!ありがとうございます!」
文通女(よし…とりあえずはなんとかなった…!)
文通女(大丈夫…幼馴染のことは手紙でよく知っている)
文通女(なんとか幼馴染のふりしてとりあえず部屋から出てきてもらわなくちゃ!)
文通女「いつまで部屋に引きこもってるつもりなの?」
文通女(はい、今突然気がつきました。よく考えたら声でバレるじゃん)
男「……」
文通女「いいかげん出てきなさいよ…」
文通女(いや、まだ大丈夫。そもそも幼馴染だとも名乗ってないし)
男「……」
文通女「…まだあのことを引きずってるの?」
文通女(できれば引きずってませんように)
母「わざわざ来てもらってわるいけど息子はもう…」
文通女「ダメです、私がきっと男を部屋から出して見せます」
文通女(幼馴染だと嘘ついてまできたのに引き返せるか)
母「幼馴染ちゃん…」
文通女(おい、名前を呼ぶな)
文通女「男、部屋から出てくるまで私ここを動かないからね」
男「……」
文通女「…本当に部屋から出ないつもり?」
文通女(もしかしてバレたかな?)
男「……」
母「幼馴染ちゃん、本当にもういいのよ?」
文通女「でも…男に出てきてもらわないと私が困るんです」
文通女(もし引きこもりの原因が私にあるなら放っておくとのちのちやっかいなことになるかもだし)
男「……」
母「でも息子は…また明日来たほうが…」
文通女「いえ、どうしても今日会いたいんです」
文通女(今日を逃したらもう…)
母「はあ…困ったわねぇ…」
男「……」
――――
――
―
幼馴染(文通女)「あの、お母さんは男…いえ、男君から引きこもった理由についてなにか聞いていますか?」
幼馴染(文通女)「(できれば私が原因でありませんように)」
母(宝くじ販売員)「別に呼び捨てでかまわないわよ…残念ながら理由については何も話してくれなくて…」
母(宝くじ販売員)「(そんなことしるわけがない)」
幼馴染(文通女)「そうですか…」
母(宝くじ販売員)「でも時間がたてばひょこっと出てくると思うわよ」
母(宝くじ販売員)「(だからさっさと帰ってちょうだい)」
幼馴染(文通女)「そうかもしれませんが…」
母(宝くじ販売員)「ここにいたら逆に出てきづらいかもしれないし…居間のほうでお茶でも飲んでいかない?」
幼馴染(文通女)「いえ、お気遣いは無用です。私はここで待たせてもらいます」
母(宝くじ販売員)「そう…」
幼馴染(文通女)「(さて…これからどうしよう…)」
母(宝くじ販売員)「(これどうしたらいいのかしら?)」
男(空き巣)「(これからどう動くべきか…)」
とりあえずここまで
男(空き巣)「(このままだと他の家族が帰ってくるのも時間の問題…強行突破しかあるまい)」
母(宝くじ販売員)「(よし、もう帰ろう…そもそもこの子たちがどうなろうと私に関係ないし)」
幼馴染(文通女)「おーい、出てきなさいよ!」
男(空き巣)「(…今しかない!さっさと出て行こう!)…ちょ、ちょっと待て…今出るぞ」
幼馴染(文通女)「(よし!思ったより早くなんとかなるかも!)」
母(宝くじ販売員)「(今出るって言った!?なんとか止めないと!)」
母(宝くじ販売員)「む、無理して出なくてもいいのよ!」
男(空き巣)「(こいつなに言ってんの!?)」
幼馴染(文通女)「何言ってるんですか!?出たほうがいいに決まってるじゃないですか!」
母(宝くじ販売員)「そ、それは…ええと…(何かいい訳考えないと…)」
母(宝くじ販売員)「じ、実は…息子が引きこもった理由は…失恋が原因なのよ」
幼馴染(文通女)「し、失恋ですか?(あれ?じゃあ私は関係ない?)」
母(宝くじ販売員)「ええ…その…あ、でもあなたは気にする必要ないのよ」
幼馴染(文通女)「そうですね、引きこもりの原因が私じゃなくてよかったです」
母(宝くじ販売員)「え?」
幼馴染(文通女)「え?」
母(宝くじ販売員)「あなた…幼馴染ちゃんよね?」
幼馴染(文通女)「え?違…あ、そうです、私のせいですね」
母(宝くじ販売員)「その…だから…無理やり出さなくても時間が解決するんじゃないかしら…なんて」
幼馴染(文通女)「(…でも本当に失恋が原因なのかな?本人が出るって言ってるんだし確認したほうが…)」
男(空き巣)「(このままこの幼馴染とやらが引き下がってくれればまだ外に出やすいな)」
母(宝くじ販売員)「そういうわけだから…今日はもう帰ったほうが…」
幼馴染(文通女)「いえ、やっぱり私のせいだと言うなら私が直接話をつけます」
男(空き巣)「(おい、余計なこと考えるな)…あ、やっぱり今日は調子が悪いから出たくないなぁ」
母(宝くじ販売員)「…!ほら、息子もこう言ってますし」
幼馴染(文通女)「でも…それはよくないと言いますか…なんというか…」
母(宝くじ販売員)「(…もしやこれは逃げるチャンスでは?)…しかたがないわね、それじゃあ私は席をはずすから2人で話し合ったらどうかしら?」
男(空き巣)「(…!それは好都合!2人より1人のほうがまだましだ!)」
幼馴染(文通女)「(…!たしかにそっちの方が好都合かも)わかりました、あとのことはまかせてください」
母(宝くじ販売員)「ほほほ…それじあまかせますね(よっしゃ!これで逃げられる!)」
ガチャ
マッシュポテト顔の男「ただいまー」
男(空き巣)「(なん…だと?)」
母(宝くじ販売員)「(誰か帰ってきた!?)」
幼馴染(文通女)「(まずい!…いや、私は大丈夫か。でもこの声どこかで聞いたことあるような…)」
男(空き巣)「くそっ!こうなったらもう無理やり逃げるしかない!」ガチャ
母(宝くじ販売員)「あ、男…ってあなたは…(誰かしら?もしかして入る家間違えた?)」
男(空き巣)「おい、そこをどけ!…ってあれ?」
幼馴染(文通女)「男君…?あれ…でも…(この人あの時、待ち合わせ場所にいた人じゃないよね?)」
男(空き巣)「…もしかして文通女ちゃん?」
幼馴染(文通女)「えっと…そうですが…(どうして私の名前を?もしかしてこの人が本物の文通相手だったの?)」
男(空き巣)「やっぱりそうだよね(まさか幼馴染が文通女ちゃんだったとは…くそっこの部屋の主は俺の文通女ちゃんに手を出そうとしてたのか!)」
母(宝くじ販売員)「(…2人が知り合いってことはやっぱり私が家を間違えたようね…かなりまずいわ)」
マッシュポテト顔の男「…えーと、君たち誰?ここでなにしてるの?」
幼馴染(文通女)「それはこっちの台詞です!どうしてこんなところまで付いてくるんですか」
マッシュポテト顔の男「え?どういう意味?」
幼馴染(文通女)「あなた私のストーカーですよね!?」
男(空き巣)「なんだと!?こいつが文通女ちゃんのストーカーだって!?」
マッシュポテト顔の男「いや、違うけど…というかここ俺の家だし」
母(宝くじ販売員)「ああ、やっぱりそうよね。ここは男君の家よね」
幼馴染(文通女)「…?やっぱりってどういうことですか?ここはあなたの家では…?」
母(宝くじ販売員)「あ…それは…ええと…」
マッシュポテト顔の男「というか人の家で何してるの?」
幼馴染(文通女)「だ・か・ら!ここはあんたじゃなくて男君の家でしょ?」
マッシュポテト顔の男「だからそれは俺だけど」
男(空き巣)「おいおい、ここはおまえじゃなくて俺の家だぜ…な、母さん!」
母(宝くじ販売員)「え?」
男(空き巣)「(おそらく今の状況はこうだ)」
男(空き巣)「(俺がこの家に空き巣に入ったところにこの女も空き巣に入った)」
男(空き巣)「(だが逃げる前に文通女ちゃんが来てしまった)」
男(空き巣)「(しかたがないから母親の振りをしたこの女だったがなりゆきでこの部屋まで来ることになってしまった)」
男(空き巣)「(俺を部屋から出すのにためらっていたのはそのためだ、間違いない)」
男(空き巣)「(そしてこの本物の男がやってきて俺はこいつらと会ったわけだが…)」
男(空き巣)「(俺に惚れてる文通女ちゃんはすべてを察し俺の味方をしてくれている)
男(空き巣)「(あとはこの空き巣女を味方につければいいわけだ)」
男(空き巣)「(きっと俺が息子のふりをすればこの空き巣女も味方をしてくれるだろう)」
母(宝くじ販売員)「(いったん今の状況を整理しましょう)」
母(宝くじ販売員)「(おそらく部屋の主は今帰ってきた男君よね)」
母(宝くじ販売員)「(そして…今部屋から出てきた男は…泥棒…かしら?)」
母(宝くじ販売員)「(あれ?でも幼馴染ちゃんと知り合いみたいだし…もしかして共犯?)」
母(宝くじ販売員)「(…じゃあこの流れに乗っかった方がいいのかしら?)」
母(宝くじ販売員)「(男君もこっちの素性にはまだ気がついていないみたいだし…)
幼馴染(文通女)「(今の状況はきっとこうだ)」
幼馴染(文通女)「(私は待ち合わせにいた男を文通相手だと思ってたけど…)」
幼馴染(文通女)「(あれは本物のストーカーだった)」
幼馴染(文通女)「(私は文通相手の家に謝罪にきたけど…ストーカーもここまで来た)」
幼馴染(文通女)「(私の名前がわかるのは知り合いか文通相手かストーカーくらいのもの)
幼馴染(文通女)「(家にいたこの人が文通相手ならこいつはストーカー以外考えられないもんね)」
幼馴染(文通女)「(うん、これで間違いないね)」
幼馴染(文通女)「(…?どこか推理が破綻してるような気もするけど気のせいだよね)」
マッシュポテト顔の男「(え?この人たちマジでなに言ってんの?)」
マッシュポテト顔の男「(そういえば…この女の人は宝くじ売り場の人だよな?)」
マッシュポテト顔の男「(それでこっちの女の子は前に会ったような…)」
マッシュポテト顔の男「(あ、そうだ。前に文通相手との待ち合わせ場所に会った子だ)」
マッシュポテト顔の男「(あの時は文通相手だと勘違いしたけど…)」
マッシュポテト顔の男「(いや、こうして家に来てるってことは間違いないよな?)」
マッシュポテト顔の男「(もしかして誤解がとけたのかな?)」
マッシュポテト顔の男「(それはそうとこの男誰だ?なぜ俺の部屋から出てきたし)」
男(空き巣)「母さん、この不法侵入者になんとかいってやってくれよ」
母(宝くじ販売員)「そ、そうね…あなた、人の家に勝手に」
マッシュポテト顔の男「たしかあなたは宝くじ売り場の人ですよね?毎週買いに行ってるんですけど僕のことわかりますか?」
母(宝くじ販売員)「今部屋から出てきたあなた!空き巣かなにかでしょ!不法侵入よ!」
男(空き巣)「ファッ!?」
幼馴染(文通女)「え…あなたは男君のお母さんじゃ…」
母(宝くじ販売員)「違います。私は男の知り合いです」
幼馴染(文通女)「え…でもじゃあ今部屋から出てきた方は…」
男(空き巣)「何言ってるのさ?俺だよ俺!」
幼馴染(文通女)「文通男さんですよね?」
男(空き巣)「文通…なに?」
マッシュポテト顔の男「文通男は俺だけど…」
幼馴染(文通女)「え?え?じゃあこの人は…?」
マッシュポテト顔の男「前に叫んでたストーカーとか?」
男(空き巣)「文通女ちゃんにストーカーなんていねーよ!俺が変な男が付かないようにずっと見張ってるんだから!」
幼馴染(文通女)「あ、これストーカーだ」
母(宝くじ販売員)「あらあら」
マッシュポテト顔の男「ストーカーでもなんでもいいけどおまえ俺の部屋でなにしてたんだよ?」
男(空き巣)「…っち、なんにせよここは逃げたほうがよさそうだな」
マッシュポテト顔の男「なんだと…?あ、おい!ちょっと待て!」
母(宝くじ販売員)「あらら…逃げちゃったわね。私もこの辺でおいとまさせてさせていただかいますわね」
マッシュポテト顔の男「え?ちょっと待って、そもそもなぜあなたが…」
「ぎゃぁあああああああああああああああああ!!」
母(宝くじ販売員)「今の声は…」
幼馴染(文通女)「さっきのストーカーの声ですね」
マッシュポテト顔の男「…いったいなんなんだよ」
幼馴染(本物)「やっほー!なんか変な人がいたから捕まえておいたよー!」
マッシュポテト顔の男「なんだ幼馴染か」
母(宝くじ販売員)「…この子が本物の幼馴染ちゃんなのね」
幼馴染(本物)「男、この人たちは?」
マッシュポテト顔の男「知らん、いつのまにか家に不法侵入してた」
幼馴染(文通女)「ち、違います!少なくとも私は違いますよ!」
母(宝くじ販売員)「私も違いますよ」
マッシュポテト顔の男「じゃあどういう訳なんだよ?」
幼馴染(文通女)「それは…」
幼馴染(文通女)「…というわけだったんですよ」
マッシュポテト顔の男「なるほど、宝くじさんは不審者が家の中に入ったのを見て確認しよう家に入った」
幼馴染(本物)「そして文通女ちゃんは男に謝罪しにここまで来たと」
母(宝くじ販売員)「だいたいそんな感じですね」
マッシュポテト顔の男「いや、危ないところでしたね。どうもありがとうございます」
母(宝くじ販売員)「いえいえ、いいんですよ。本当に」
幼馴染(文通女)「でも安心しました。私のせいで本当に引きこもったんじゃないかと思って…」
マッシュポテト顔の男「さすがにそんなことくらいでは引きこもらないよ」
幼馴染(本物)「…ってちょっと待ってよ」
マッシュポテト顔の男「なんだ?」
幼馴染(本物)「私別に男のことふってないよ?
マッシュポテト顔の男「なん…だと…?」
幼馴染(本物)「たしかあれは…」
――――
――
―
マッシュポテト顔の男「月が綺麗だな」
幼馴染(本物)「え?そうでもなくない?」
マッシュポテト顔の男「そ、そうかな?」
幼馴染(本物)「というかあの月男の顔に似てない?マッシュポテト的な」
マッシュポテト顔の男「」
幼馴染(本物)「あ、ごめんごめん。私って正直なのが売りだからつい」
マッシュポテト顔の男「そ、そこは冗談でも嘘だと…」
幼馴染(本物)「私ってば嘘つくの苦手だからなぁ…あ、でもマッシュポテト顔でも悪くないと思うよ?」
マッシュポテト顔の男「ほ、本当か?」
幼馴染(本物)「うん、男は顔じゃないからね。私が好きなのは女の子だし男は絶対パスだけど」
マッシュポテト顔の男「」
幼馴染(本物)「あ、ごめんごめん。別に男のことが嫌いなわけじゃないんだよ?恋人としては無理だけど」
マッシュポテト顔の男「」
――――
――
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幼馴染(本物)「…ね?」
マッシュポテト顔の男「」
幼馴染(文通女)「これはひどい」
男(空き巣)「俺なら絶対に立ち直れない」
母(宝くじ販売員)「あらら」
幼馴染(本物)「ま、まあそのうちいいことあるよ!」
マッシュポテト顔の男「」
幼馴染(本物)「ねえ、返事してよ」
マッシュポテト顔の男「」
完!
こんなごちゃごちゃしたもの読んでくれてありがとうございました
この後、男は宝くじ一等を当てたり可愛い彼女が出来たりしますがそんな話は誰も望んでないので省略します
さよならさよなら
このSSまとめへのコメント
すごい面白い!けど、これ、世にも奇妙な物語の飛行機の医者の話に似てる。
↑そんな話あったな懐かしい