幼馴染「叶わぬ夢」(57)


俺には幼馴染がいた。とびっきりの美人でモテていた。
あいつが小学5年生を越えたあたりから、男子は彼女に夢中だった。

毎日一緒に登校していた。
小学校っていうのはグループ登校で、一緒にいたかったわけじゃなかった。

あいつは俺のことなんてお構いなしに、マシンガントークを繰り広げているような娘だった。

あいつは、どんな人とでも仲良くなれた。
とにかく顔が広くて、どこへ行くにも常に一緒にいる人がいた。

母親同士、とても仲が良くって一緒に夕ご飯を食べることが多かった。
食べ終わるとお互いの部屋で一緒に遊んでいた。

あいつとは、話が合わなかった。
趣味が異なり、好みもバラバラ。
よく今まで、一緒にいられたものだと感心するくらい。

一緒にいたかったわけではなかった。

あいつといると、俺がダメなやつだと周りから責められるようだった。


放課後を知らせるチャイムが鳴った。
「早く行こうよ」彼女はそう言った。
俺たちは映画を見に行く約束をしていた。
見る映画は「アイアンマン」

俺がとにかく好きで、彼女は興味がなさそうだったけれど、
「君が見たいんでしょ?なら見に行こうよ。今度は私の番だから」といって
付き合ってくれた。

上映が終わると彼女ははしゃいでいた。
「なにあのスーツ!!」
彼女は男のロマンがわかるやつだった。


彼女はちょっとお高いハンバーガーショップへ行きたがった。

彼女はあのお店のクラムチャウダーが好きなんだ。

彼女はアサリが好物だと言っていた。

「次はどんな映画を見ようか」俺は彼女に尋ねた。

彼女はしばらく考えていたけれど、ちょっとためらうように
「君の家に行ってもいい?」そう答えた。

「何を見るつもりなの?」俺は映画のことしか頭にないんだろうか。

彼女はあきれたように俺を見つめていた。

俺は目をそらした。額に汗がにじんでいた。


土曜日になり、彼女は予告通り俺の家にやってきた。

「今日見ようと思っているのはこれです。」
そう言って、彼女は「ロメオとジュリエット」をとりだした。

俺たちはいい雰囲気だった。

俺たちは映画館で映画を見ることをやめ、レンタルショップでDVDを借りてくるようになった。

俺たちは、毎日のように映画を見ていた。

でも、映画を見ている人間なんていなかった。


俺は彼女の香りに夢中だったし、彼女は俺がそういった感情を抱いていることに気付いていたんだろう。
チラチラこちらを見ていた。

誘っている。

俺たちは18本目を観賞中、キスをした。

俺から無理やり。
始めは拒んだ彼女も、次第に力を抜いて、キスをうけいれた。

俺たちは夢中でキスをしていた。

荒鷲の要塞へと続くロープウェイが揺れていた。

人生で初めての彼女だった。

彼女は俺の醜い欲をすべて受け入れてくれた。

今日はここまでです。
また明日投稿します。


俺はいじめられていた。

あいつは、俺に必死になってしゃべりかけてきた。
はたから見ても彼女は俺に好意を寄せていたってことぐらいわかるだろう。

俺はあいつが、嫌いだった。

あいつといると俺はいつもみじめな気持になった。
あいつに勝てたことなんて一度もなかった。

50M走なんかは俺のほうが早かったけれど、タイムだけだ。

あいつは女子の誰よりも早かった。

母親たちは、俺たちのことをどう思っていたのだろう。
両思い?片想い?それともただ親しいだけ?

俺はあいつが、嫌いだった。


俺たちの小学校にはクラスは1つしかなかった。
メンバーが変わることはなかった。

ひとクラスしかないと人に話すたびに「少子化って怖いね」といわれる。

だから俺たちは、6年間ずっと一緒だった。

中学になってクラスが5つになった。

あいつは「別々になっちゃったね・・・」とかなしそうに言っていたのを覚えている。

俺は、嬉しかった。


彼女はエスパーだった。

俺が求めているものを常に彼女は差し出した。
映画だったり、お菓子だったり、体だったり、ぬくもりだったり。

俺は彼女に何かお返しがしたかった。

彼女はアサリが好きだった。
俺はそれくらいしか、彼女のことを知らない。

「何がほしいかって?急に言われても困っちゃうな。少し考えさせてよ」
そう彼女は言って、映画に目を戻した。

小屋が爆発する。「おおお~」彼女は興奮していた。


「デートがしたい」
彼女はそう言った。言われてみれば俺たちはまだデートというものをしたことがなかったようだ。

いつも俺の部屋で映画を見てばかり。

彼女は、遊園地に行きたがった。
きっと、TAXIなんて見ていたからだろう。

彼女は映画に影響されることがある。
今回はスピードかな?

俺は高所恐怖症だった。
でも、楽しそうだと心の底から思った。


俺は、夢の国に来るのは2度目だというと彼女は驚いた。
「スペシャリストにまかせなさい」そういい彼女は俺の手を、ゆっくりつかんだ。

普段の彼女とは思えないような早歩きで、すいすいと先へ進む彼女についていくのに俺は夢中だった。

普段の彼女とは思えないような饒舌さで、どんどんアトラクションの解説をしていく彼女を俺は、愛していた。

俺たちは仲は良かった。でも、人前でいちゃついていたことはなかった。
きっとしていないはずだ。
自信はない。

でも、友人から「付き合っているのか?」と問われたことはなかった。

どうでもよかっただけかもしれないが。

彼女と俺は、昼食を一緒に食べるようになった。

続きはまた明日にします

レス、とてもうれしいです
読み辛い点などあれば、教えてください


彼女は金曜日だけお弁当を作ってきてくれるようになった。
「一週間頑張ったご褒美」と彼女は照れ臭そうに言った。

彼女に俺の好きなものを喋った記憶はないのに、お弁当にはいつもトマトが入っていた。

彼女は「ばればれだよ。いっつも幸せそうに食べているんだもん」と幸せそうに言った。

俺には彼女のことなんて、いくら見つめていてもわからないのに。
彼女は俺のことを何でも知っている。
そんな気がした。

「君のことをもっと知りたい。食べ物は何が好きとか、好きな遊びとか、好きな本なんでもいい。君のことは何でも知りたい。」

俺はちょっと気持ち悪いな、そう思いながらも彼女に問うた。

彼女は顔を真っ赤にして、喜んでいるようだった。

そうだ、彼女は少女漫画が好きだった。

「あ、アサリが好きです。」と彼女は小さな声で、嬉しそうに言った。

「知ってる」俺は答えた。


放課後になって、いつもは俺の家に来る彼女が、「今日はうちに来ない?」
と少し照れたように言った。

「うん」俺はすぐに答えた。
本当は「どうして?」と尋ねようとしていたのに。

俺は緊張していた。

彼女の家に着くと、すごい甘い香りがした。
床には、クッションが置かれていた。

よく見ると彼女が俺の家に置いていったものと同じデザインだ。
色は黄色。うちのは緑。


彼女は「好きな所に座って。」
というので、彼女の隣に座った。

しかし彼女は、「そこはだめです。」そういった。

「今から、スマブラ大会をやりまーす。」。

「え?スマブラ?」
「だって君の家にはないから。」

確かに俺の家にはなかった。

「期待したでしょー。残 念。今日は私の好きな遊びを紹介しまーす。」
彼女は嬉しそうな顔でそう言った。


「君は初心者だろうから、手加減してあげよう。」
彼女は自慢げに言った。

俺はトゥーンリンク、彼女はガノンドロフを使った。
「宿命の対決だね。熱いね。」彼女はそう言った。

「ちょっと、弓禁止!ブーメランも!!男だろ!!!」
正直に言うと彼女は弱かった。

俺のプレイに文句ばかり言っていたけれど、彼女は、とても満足げだった。

「爆弾投げるな!!」
彼女は怒鳴った。

彼女といろいろ話をした。好きな武将は島津義弘だと知った。
彼女は男らしい。

好きな漫画は宇宙兄弟らしい。
ロマンがある。

俺の彼女はそんな人なんだ。

たぶん今夜続きを投稿します


彼に、どうやら彼女ができたようだ。

いつかそんな日が来るとは思っていた。

彼女は、彼の後ろの席の子。
出会ってから半年ほどで、彼を射抜いた女の子。

年に似合わぬクールな表情、振る舞い。少し浮いている子だった。
私たちの前では。

彼の前では、年相応の愛らしい笑顔で、彼をずっと見つめている。
聞いた話では、授業中彼のことをずっと見つめているらしい。

うらやましかった。
彼と私はいつも対角だった。

私はあ行だった。

彼に彼女ができたことはわかっていた。
それでも、今まで通り彼のそばにいられると思っていた。

彼が私のせいでいじめを受けたことも知った。
それにもかかわらず、未練がましく一緒にいようとしていた。

彼も特に拒むような表情はしなかった。
私は嬉しかった。

私は彼のことを何も知らなかった。
彼がどんなことを考えているのか想像もできなかった。

彼も楽しんでくれているんだとずっと。
気付けていなかった。

私はいつも、自分のことばかり。

彼は、私と一緒にいたくなんてなかったというのに、私は気付けなかった。


いつものように彼の家でお相伴に預かっていた。彼は食卓に降りてこなかった。

おばさんに「彼は?」と聞くと

おばさんはとてもうれしそうに「今、彼女が来ているの」
そう言った。

その日は珍しくおじさんがいた。
いつも土曜日は夜遅くまで仕事をしている人だったので、久しぶりにお会いした。

先ほど、おじさんは彼らを呼びに行ったそうなのだが、
「もう食べてきた。」といわれ断られてしまったと、少し目をそらしながら言った。

私は、無神経だった。

彼女がいたとしても、彼ならば私のことを快く受け入れてくれると考えていた。
だから私は彼の部屋へ行ってしまったんだ。

私は必死に涙をこらえ、お腹が痛くなってしまったと嘘をつき、家へと走った。

胸が痛かった。頭が割れそうに痛んだ。口からは血が垂れていた。
涙をこらえるときにかみしめたせいだろう。

玄関の姿見に映った私は、醜かった。

今日はたぶんここまでです

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