咲「私が勇者?」(316)

cYBVmQZk0の代行

>>1
代行ありがとうございます

とある王宮

恒子「やっほー勇者さん」

咲「……夢ですか?」

恒子「んー?今起きたのかな?」

咲「気がついたらここに居ました」

恒子「そっか。大変だね」

咲「まぁ……。それと、お訊きしてよろしいですか?」

恒子「おっけー。何でも訊いて」

咲「何でそんなファンタジックな服を着てるんですか?まるで王様ですよ」

恒子「いや、王様だから私」

咲「はぁ。それで私が勇者ってどう言うことですか?」

恒子「そりゃもう勇者は勇者。魔王を討伐する使命を持ったうんたらこんたら」

咲「無理ですよ。私、運動すら出来ないんですから」

恒子「いやいや、できるって。一回自分のステータス覗いてみ?」

咲「どうやって覗くんですか?」

恒子「それっぽいこと考えたら出来るんじゃない?」

咲「それっぽいことそれっぽいこと……」

宮永 咲
性別:女
職業:勇者?
Lv:1
最大HP:30
最大MP:250
ちから:5
すばやさ:31
みのまもり:15
かしこさ:208
うんのよさ:255

咲(私のステータス片寄りすぎじゃないかな。あっ、装備と呪文も見れるんだ)

武器:なし
鎧:清澄の制服
兜:なし
盾:なし
装飾品:なし

魔法
嶺上開花・プラスマイナス0

咲(カオスだよこれ)

恒子「出来たみたいだね。それじゃあ頑張ってね。これ、軍資金ね」

咲「はぁ。ありがとうございます」

――――――

咲(一体何が起きてるんだろう?それに軍資金、少いよ。うまい棒一本しか買えないよ)

咲(それ以前にこの世界……夢なんだから気にしちゃ負けだ)

咲(それより、町に出たんだけど中世な雰囲気だな。宿屋と武器屋、道具屋。あと、カジノしかないよ……お金増やそう)

――――――

町中→カジノ

咲「すいません。ここってお金を賭けるとこありますか?」

咲(……バニー……)

霞「コイン一枚10円で換金するわ」

咲「お金じゃダメなんですか?」

霞「お金をコインに替えてそのコインがここのお金になるの」

咲(買えるのはコイン一枚……麻雀以外でも支配は効くかな?)

咲「じゃあコイン一枚下さい」

霞「はい。頑張ってね」

咲「ありがとうございます」

霞「行っちゃった。けど、彼女のあのオーラは……」

――――――

咲(スロット、ブラックジャック、ポーカー、ルーレット……低レートでできるのはこれだけ……ポーカーしよう)

咲「すいません、ポーカーいいですか?」

初美「いいですよー。それじゃあお客様、先にコインを頂けますかー?」

咲「どうぞ」

初美「では、いきますよー」

咲「……交換要らないです」

初美「そうですかー。では、手札を」

AAAAjoker

咲「ファイブカードですので配当下さい」

初美「はいですよー。次やりますかー?」

咲「いえ。元手が出来たので次行きますね」

初美「貴女なら何でも出来そうな気がしますよー」

咲「あはは。ありがとうございます」

咲(支配が効いてよかったよ。次はルーレットしようかな)

咲「ルーレットって今できます?」

春「できる。どう賭ける?」

咲「0に全部で」

春「分かった。それじゃあやる」

咲(初めて見たけど案外早いんだ)

――――――

咲「賭けたのが150枚でその36倍ですから5400枚下さい」

春「どうぞ」

咲「ありがとうございます。それじゃあ行きますね」

咲(カジノって簡単だな。スロットしよう)

――――――

咲「バニーさん、換金していただいていいですか?」

霞「それじゃあ貯まったコインを頂戴ね」

咲「どうぞ」

霞「10000コインの入れ物ね。100000円でいいかしら?」

咲「あっ、いえ、それだけじゃないんです。あと、それより10倍の価値があるコインがその20倍ほど数があるんですよ」

霞「口座を作って差し上げようろうかしら?」

所持金10円→210万円

――――――

咲「あれだけあったコインがカード一枚になると少し寂しいな」

咲「装備を整えよう」

――――――

銀行→武器屋

誠子「いらっしゃい。おや、小さなお客様ですね」

咲「武器と防具を見繕っていただきたいんです」

誠子「そうですね。少女となると……資金はいくらで?」

咲「お金のことは気にしないで下さい。軽くて扱いやすいのでお願いします」

誠子「それなら、護身用にM1911。戦闘用にMP5と夜戦用に黒く塗装した大型のサバイバルナイフでいいかな。あと、デリンジャー」

咲(何で銃があるの?)

咲「じゃあそれで。お会計はいくらになりますか?」

誠子「銃弾はまけといてあげるから、45万円になります」

咲「それじゃあカードで支払いますね」

誠子「まいどあり。接客終わりっと。それで、お客様」

咲「どうしました?」

誠子「何をするつもり?」

咲「私が訊きたいです。気がついたら魔王を討伐してこいって言われましたから」

誠子「じゃあ勇者なんだ」

咲「らしいですね」

誠子「それなら宿屋の地下にある酒場に行ってみたらいいよ。仲間になる人もいるかもしれないし」

咲「ありがとうございます。それじゃあ失礼します」

――――――

世界観が意味不明すぎるwwwww

武器屋→酒場

咲(お酒臭い……けど、仲間になってくれそうな人を探さないと)

咲「すいません」

美穂子「あら?お父さんを探しに来たの?」

咲「いえ、仲間になってくれそうな人を探しに来ました」

美穂子「そうなの。ジュースでも飲むかな?」

咲「オレンジジュースを一つ」

美穂子「はい。オレンジジュース。
飲んでからゆっくり探してくださいな」

咲「ありがとうございます」

「気持ち悪い……」

咲「えっ?」

「おえっ」

咲「吐かないで!今おトイレ連れていくから!おトイレどこですか!?」

美穂子「突き当たりを右。頑張ってね」

咲「ありがとうございます。ほら、立てる?」

「無理。おぶってお願い」

咲「おぶるのは無理だけど肩は貸すから。ほら、立ってね?」

「うん……」

――――――

淡「いやー助かったよ。ありがとう」

咲「なんで私がこんな目に……」

美穂子「ありがとうね。その代わりオレンジジュースのお代はいいから」

淡「よかったねー。ならマスター、私のお代もチャラにしてよ」

美穂子「それは無理な相談ね。きっちり払ってもらうわ」

淡「じゃあつけといて。さっきお金盗まれたし」

美穂子「つけといてって言われても……うちも商売だから」

淡「そこをなんとか!私に免じて」

咲「いいですよ。私が払います。その代わり、私と旅をしてね?」

美穂子「払うって言っても結構な額よ?」

咲「構いません。それより、そっちの返事はいいかな?」

淡「おっけーおっけー。地の果てでもお供するよー」

咲「ありがとう。私は宮永 咲よろしくね」

淡「よろしくねサキー。私は大星 淡
。職業は盗賊だよ」

大星 淡
性別:女
職業:盗賊100年目
Lv:2
最大HP:45
最大MP:13
ちから:11
すばやさ:38
みのまもり:15
かしこさ:29
うんのよさ:220

装備
武器:コンバットナイフ
鎧:白糸台の制服
兜:なし
盾:なし
装飾品:なし

魔法
絶対安全圏・口笛・鍵開け

咲(淡ちゃんのステータスもカオスだったよ……)

美穂子「よかったわね」

咲「よかったのかな?それじゃあ、上に上がりますね。お休みなさい」

淡「おやすみー」

美穂子「はいはい。お休みなさい」

咲「淡ちゃん、もうお酒は駄目だからね」

淡「いいじゃん別に」

咲「未成年のうちは駄目だよ」

淡「いや、私成人してるよ?」

咲「え?淡ちゃん、今何歳?」

淡「15だけど?」

咲「そうなんだ。15から成人なんだ……」

淡「そうだよ。サキーは何歳?」

咲「同い年だよ」

淡「そーなんだ」

咲「うん。明日から冒険だから今晩はゆっくり寝ようね」

淡「だね。おやすみサキー」

咲「おやすみ淡ちゃん」

――――――

宿屋→フィールド

咲「なんだろうねこれ」

淡「……モンスターじゃないかな?」

カナ「お前らなんて余裕だし!」

マコ「なんや?やんのかわれ?」

淡「むかつくなぁ。戦う?」

咲「いや、淡ちゃんはいいよ。私に任せて」

淡「いやいやいやサキー、任せて以前にそれ武器なの?」

支援

咲「うん。M1911って銃。使ってみようかなって」

淡「へー。じゃ、頑張ってね」

咲「ありがとう。けど、一瞬だよ」

ダンッダンッ

カナ「」

マコ「」

淡「うわぁグロ……」

咲「気持ち悪い。吐きそう」

淡「サキーしっかり、吐くならそこの川で吐いて」

咲「うん。肩借りるね?」

――――――

淡「それにしてもその武器めちゃめちゃだね」

咲「うん。まだ腕痛いけど」

淡「大丈夫?」

咲「多分。それより、さっきの戦利品は?」

淡「これ」

咲「猫耳と尻尾。それに……ワカメ?」

淡「アイテム欄覗いたらそれがあったよ」

咲(アイテム欄……この世界じゃ常識なのかな?)

咲「装備品みたいだし淡ちゃん、装備してみたら?猫耳と尻尾」

淡「うん」

大星 淡

武器:コンバットナイフ
鎧:白糸台の制服
兜:猫耳
盾:なし
装飾品:尻尾

咲「似合ってるよ淡ちゃん。けど、この猫耳と尻尾黒くなかった?」

淡「私からじゃ見えないから分かんない」

咲「茶トラみたいになってるよ」

淡「へー。それじゃ、サキーにはこれね!」

咲「」

宮永 咲

武器:M1911
鎧:清澄の制服
兜:生ワカメ(呪い)
盾:なし
装飾品:なし

淡「おー。サキー似合ってるよ。似合ってるよワカメ」

咲「淡ちゃん、少し黙ろうか?」

淡「スイマセンゴメンナサイ。だから銃を下ろして」

咲「分かったならいいよ。それじゃ、外すね……え?」

淡「サキー、どうしたの?」

咲「外れないよぉ」

淡「……呪いの防具だったんだ。解呪するまでそのままだね」

咲「……死のう」

淡「ストーップ!口に銃を入れないで!」

――――――

フィールド→町

咲「教会どこなの?」

淡「ほら、あそこ。あの十字架の建物」

咲「早く行こうよ淡ちゃん」

淡(本当に嫌なんだなー)

淡「分かったから引っ張らないでサキー」

町→教会

怜「で?呪いを解きたいんやな?」

咲「はい。一秒でも早く解きたいです」

怜「ええけどさ、自分らお金あるん?」

咲「カードでお願いします」

怜「ごっつ金持ちやん。私も養ってや」

咲「何でもいいんで早くしてください」

怜「ほんまやな?私この仕事で最後やからな?」

淡(あー、連れていくんだ。ステータス覗こう)

園城寺 怜
性別:女
職業:病弱僧侶
Lv:4
最大HP:20
最大MP:46
ちから:8
すばやさ:15
みのまもり:14
かしこさ:36
うんのよさ:18

装備
武器:レイピア
鎧:僧侶の服
兜:服のフード
盾:なし

魔法
回復小・解呪・未来透視・病弱アピール

淡(未来透視?超能力者じゃん!)

淡(にしても、暇だなぁ)

淡「サキー、少し外の空気吸ってくるね」

咲「情報収集してくれてたら嬉しいな」

淡「任されたよー」


教会→町

淡(近くにこんな町があったんだ。城下町ほど活気はないけどいい雰囲気だな)

「あら、その猫耳可愛いわね」

淡「でしょー?お姉さん分かってるねー」

久「ありがと。立ち話もなんだし少しお茶でもしながら話さない?」

淡「あっ、私お金ないから奢ってくれるならね」

久「ええ。構わないわ」

町→喫茶店

淡「わーこのケーキ美味しー。お姉さんありがとう!」

久「それだけ美味しそうに食べてくれたら嬉しいわ」

淡「それでお姉さんは私と何を話したいの?」

久「冒険の話かしら」

淡(あれ?何で知ってるのこの人。少しステータスを覗かしてもらおう)

竹井 久
性別:女
職業:百戦錬磨の遊び人

特技
口説くこと

淡(百戦錬磨?遊び人?)

久「その腰にぶら下がってるナイフを見れば誰だって分かるわ」

淡「エスパーだったのお姉さん?」

久「エスパーもなにもそんなに顔に出てたら誰だって分かるわ」

淡「なるほどねー。冒険って言っても何もしてないよ?私達隣の城下町から来たから」

久「あら、そうなの。モンスターは出なかった?」

淡「あっ、出たよ。だし!とワカメ」

久「ああ、あれね。最近増えてるのよその二体が」

淡「そーなんだ。けど、強くなかったよあれ」

久「ここらのモンスターは弱いからよ。洞窟とか海とかに生息するのは中々強いって噂よ」

淡「へー。おかわりいい?」

久「ええ。好きなだけ注文していいわよ」

淡「お姉さん最高だね」

久「ありがとう。それにしてもよく食べるわね。貧乏冒険なの?」

淡「そんなことないと思うよ?昨日も宿屋の一番いい部屋に泊めてもらったからね」

久「羨ましいわ。お金持ちだったのね」

淡「サキー……あっ、勇者は最初は貧乏だったらしいよ。10円しかなかったんだって」

久「別に財政難でもなんでもないのだからもう少し渡したっていいと思うわ。けど、その勇者のやりくりの仕方はうまそうね」

淡「サキーは綺麗なお金じゃないって言ってたけどね」

久「城下町の綺麗なお金じゃないってことはカジノ辺りかしら?」

淡「そうじゃない?私みたいに裕福ないけすかない金持ちの家から猫ババするような子には見えないし」

久「勇者の相棒も相当ね」

淡「私はともかく、サキーはいい子だと思うんだけどね。戦い方はグロかったけど」

久「そうなの。一度見てみたいけど、私も仕事が山のようにあるのよね」

淡「遊び人なのに仕事人なんだ」

久「私のステータスを覗いたのね。勝手に覗くのはいけないことだわ」

淡「ごめんねー。けど、百戦錬磨はかっこいいよ」

久「あら?今はそんな風に変わってるのね。そうだ勇者一行なら私の仕事を手伝ってくれないかしら?」

淡「サキーはノーリターンで受けそうだけど私はそこまで優しくないよ」

久「私もそれでいいと思うわ。私も仕事は正当な報酬がなければしないから。それで、依頼を受けてくれるかしら?」

淡「内容によるね」

久「簡単な仕事よ」

淡「中身の見えない箱を運ぶとか?」

久「もっと合法な仕事よ。ここから少し進んだ所に既に荒廃した村があるのは知ってるかしら?」

淡「あー……知らない」

久「じゃあ、場所だけ伝えるわね。ここから一日歩けばたどり着ける場所にある村よ。そこにモンスターが住み着いたらしいの」

淡「それの討伐?」

久「ええ」

淡「けど、荒廃した村ならほっとけばいいじゃん。何でそんな依頼があるの?」

久「開拓するらしいわ。村を平地にして道を作るんだって」

淡「その時に危ないから討伐する?」

久「そう。モンスターの数は確認されているだけで15ほどの小規模なものよ」

淡「それで、報酬はどれくらい?」

久「今、金欠なの私」

淡「じゃあ話はなかったことにしよう。私の食べた分は払わないけど」

久「あら?お金は無いけど、物は持ってるわ私」

淡「へー。何くれるの?」

久「輸入された珍しい剣なんだけど、私は使わないからそれをあげる」

淡(それって仕事を押し付けただけじゃなくて、ゴミを引き取ってって言ってるんじゃないかなお姉さん。けど、珍しい剣も気になるな)

淡「ちなみに輸入ってどこから?」

久「極東の島国。あるかすら分からない国よ。たしか、黄金の国ジパングだっけ?」

淡「おーそんなすごい物くれるの?お姉さんやっぱ最高だよ」

久「嘘はつかないわ。受けてくれるかしら?」

淡「任せて。ちゃちゃっと終わらしちゃうから報酬の用意をしててね。それじゃあ!」

久「はいはい。期待してるわ。終わったらこの町の一番大きな宿屋に私はいるから」

――――――

淡「サキーその人は?」

咲「本当に教会を辞めちゃったから」

怜「私だって病弱って理由だけで神に毎日祈らされて栄養を考えて作られた薄いご飯ばっかは嫌や」

淡「それで辞めてきたんだ?言っとくけど教会の方が安全だよ?病弱なら更に危険だし」

怜「それも承知や。縛られた安全な生活より、自由でも危険な冒険の方がいい。それに私だって基本的な魔法は使えんねん」

淡「……私が決めることじゃないから。サキーがいいって言うなら私はそれに従うよ」

咲「辞めちゃったから仕方ないよ。私がカバーするから」

淡「ん。それじゃあ、私からいいかな?」

咲「いいよ。どうしたの?」

淡「えっとね、ここから一日歩けば荒廃した村があるんだ。そこのモンスター退治」

咲「分かったよ。それじゃあ旅の最初はモンスター退治から始めよう」

怜「回復は任せてな」

咲「それじゃあ今日は解散しよう。宿はとってあるから明日の十時に町の入り口に集合でいいかな?」

淡「いいよー。じゃあ私は先に宿に行くね」

怜「私もええよ。それじゃあ後腐れ無いように話をしてくるわ」

咲「……行っちゃった。私は練習しないと。戦うたびに腕が痛くたってちゃいけないし」

町→フィールド

咲「……出たよ」

カナ「だし!」

マコ「やんのかわれ? 」

咲(まずは普通に撃ってみよう)

ダンッダンッ

咲(……痛い。何が悪いんだろう?昔見た西部劇じゃこんな風に撃ってたのに……けど、24やダイハードは違ったような……違う銃を使おう)

装備
M1911→MP5

咲(片手じゃ持ちにくいから、左手で支えて……あっ、これは持ちやすいや)

カナA「なんかいたし!」

カナB「今晩のおかずだし!」

~~~~

カナQ「皆一斉にかかっていくし!」

咲(さっきの音で集まって来たんだ。って冷静に見てる場合じゃないらよ。戦わないと)

ダララララララララララテレレッテッテー

咲「……え?全滅?……やっぱ気持ち悪いや」

咲(でも、やっぱりこっちの方が撃ちやすいな。両手だからかな?)

咲(それなら、こっちも両手で撃てば……でもどこを持つんだろう?まぁ、いいや。帰ろう)

咲Lv1→Lv2

――――――

淡(サキー、あの僧侶を連れて冒険できると思ってるのかな?魔王を倒す冒険なのに甘く見てるよ)

淡(って私も金を払ってもらっただけだから人のことは言える立場じゃないけど)

「いらっしゃい」

淡「マスター、ビー……ピーチティー」

「お嬢ちゃんよ、ここは酒を飲むところだぜ?」

淡「いいから早く頂戴」

「ねーよ。水でよかったらタダで飲ましてやるけど」

淡「じゃあ水」

「ほれ。にしても不機嫌そうだな嬢ちゃん」

淡「別に。普通だよ」

「そうかい。けど、溜め込みすぎるのは良くないぜ?」

淡「ありがと。マスターさ、もし危険な旅に体の弱い子を連れていく?本人が行きたいって言ったら」

「そうだな。俺個人としては無理だな。死なれても責任を取ることは出来ねぇしな」

淡「じゃあ、リーダーがそれを許可したら?その子も仕事も何も捨てて行こうとしてたら?」

「難しいなぁ。リーダーが認めてしまったら責任はリーダーだろ?自分は責任を負うことは無くなるんじゃないか?」

淡「うん。私もそう思う。けど、リーダーにそこまで背負って欲しくない」

「かと言って、全てを捨てさして更に置いていくってのもってか?」

淡「そう。結局連れていくしかないんだけど納得できない」

「一気に納得する必要はないんじゃないか?仕方ないことだしな。ほら、おかわり」

淡「ありがとう――あれ?甘い……これは桃?」

「カクテル用の桃を加工して水で割っただけだがな。心配しなくても悩んでるヤツから金は取らねぇよ」

淡「ありがとうマスター」

「それとよ、それ飲んだら町の中央に行ってみろ。待ち人がいるからよ」

淡「へ?じゃあ行ってくるね」


酒場→町中央

淡(あれ?人だかりだ。何々?面白いこと?)

淡「あー、ごめんねー通るよ。はいごめんねー少し退いてね――って何これ?」

淡(えっと、名前なんだっけ……そうだトキだ。なんでトキが土下座して周りから石を投げられてるの?)

淡「ねぇおじさん、何であの子は石を投げられてるの?」

「あの教会を辞めるからだよ」

淡「それだけで何で?」

「あぁ、よそ者か。この町の掟でよ教会を辞めた人間は重罪なんだよ。汚れた物として扱われる」

淡「それだけで何でそこまでするの?」

「さぁな。昔からの掟だから」

淡「それで、他に辞めた人はいなかったの?」

「昔に一度いたらしい。その時は散々いたぶられた後、死刑になったそうだ」

淡「間違ってるよそんなの――トキ
!」

怜「淡だっけ?何でここに?」

淡「私の話は後だよ。何してるの?


怜「これでケジメになるんやったら仕方ないやん」

淡「バカなの?ケジメとかそんなのどうでもいいじゃん。早く帰ろうよ」

「おい、ガキが何やってるんだ!?」

「引っ込んでろクソガキ!」

「アイツも共犯じゃねぇのか?」

「なら、アイツにも石を投げてやれ!」

淡「……はぁ。ムカつくなぁ。絶対安全圏。これで私達には石は当たらないよ」

怜「けったいな力やな。無敵やんそれ」

淡「そうだといいんだけどね。本当に雑魚じゃないと効かないんだよ」

怜「なら、あの人らは雑魚ってことやん」

淡「実際雑魚じゃん。それはそうとさ、どうやって抜け出そう」

怜「何も考えずに入ってきたんか。けど、ありがとうな」

淡「そんなのは後。トキは早く自分の傷を治して」

怜「分かった。淡に任せるわ」

淡「うん。サキーにも誉められたいから頑張る」

怜「頑張ってな」

淡「はいはーい、皆さんきいてー。今から私が教会を燃やします。そんな掟は私が気に入らないから元凶を絶たないとね」

ザワザワザワザワ

淡「知っての通り、私には貴方達の攻撃は効かないしね。燃やしてほしくなかったら私とトキ。それと私のツレを一日泊めてほしいな」

怜「無茶苦茶やな」

淡「それじゃあ後二十秒後に燃やすから。私の条件を飲んでくれるなら全員土下座」

怜「ほんまに皆土下座したやん」

淡「別にいいじゃん。悪いのはコイツらなんだしさ。じゃあ行こうか」

町中央→酒場

淡「マスター、さっきの桃のやつ」

「ほれ。うまくいったみたいだな」

淡「私だからうまくいったの。けどマスターが言ってくれなかったら手遅れだったかも」

「そりゃよかった」

淡「うん。だからありがとう」

「いや、礼なら赤い髪のお姉さんに言いな」

淡「はーい」

淡(赤い髪のお姉さん?百戦錬磨の人はどこまで頭が回るんだろう)

「なら、それ飲んだらもう宿に戻れ。明日も早いんだろ?」

淡「うん。そうするよ。おやすみマスター。旅が終わったら寄るね」

「今度は奢らないからな」

――――――

咲「うぅ、筋肉痛だよ」

淡「ふぁ。眠い」

怜「朝は強くてよかったわ」

咲「それじゃあ行こうよ」

淡「あい」

咲「そう言えば淡ちゃん?」

淡「どーしたの?」

咲「昨日の夜くらいから私達を見る目が変わってないかな?」

淡「あぁ、気のせいじゃないかな。ねぇトキ?」

怜「そや。気のせいや気のせい」

咲「そうかなぁ」

淡「そうそう。それじゃあ行こうサキーとトキ」

――――――

淡「うー。お風呂に入りたい」

咲「長かったね一日。私もお風呂に入りたいよ」

怜「疲れたわ。私にはきついなぁ」

淡「もう引き返せないよトキ。鍛えないと」

咲「うん。入ろうよ」

フィールド→荒廃した村

淡「うわ。汚いなぁ」

怜「……咲、一歩後ろに下がり」

咲「え?分かりましたけど何で?」

シュッ

咲「……矢?」

淡「トキすごいよ!」

怜「ありがとう。それより、敵さんが来たで」

マコ(弓)「なめてんのかわれ?」

カナ(剣)「なめてんのかだし!」

~~~~

カナG「最近多いし」

マコF「最近多いの」

淡「13体か……絶対安全圏も武器持ちには効かなさそうだな」

怜「ちょっと多いな」

咲「大丈夫だよ。私に任せて」

ダララララララララララテレレッテッテーテレレッテッテー

咲Lv2→Lv3
淡Lv2→Lv3

淡「サキー昨日とは見違えたねー」

咲「あはは。散々練習したからね」

怜「グロいな……」

淡「慣れだよ慣れ。それじゃあ帰ろう」

――――――

荒廃した村→町の前

淡「サキーここで少し待ってて」

咲「何でかな?一緒に行こうよ」

淡「いいからいいから。私に任せてよ」

怜「咲、淡に任せ。それより、膝枕してくれん?」

淡「じゃあ行ってくるね」


町の前→宿屋

淡「やっほー遊び人のお姉さん」

久「あら、早かったわね。報酬はそこに立て掛けてあるわ」

淡「はいはーい。それよりさ、一昨日はありがとう」

久「何のことかしら?」

淡「トキのこと」

久「ああ、あれね。私あんなの大嫌いだから。貴女ならやってくれると思っていたわ」

淡「でも、どうやって私が酒場に行くって思ったの?」

久「さぁ?女の勘よ」

淡「へー。それじゃあサキー達を待たせてるから行くね。報酬ありがとう!」


宿屋→町の前

淡「お待たせ」

咲「淡ちゃん?その刀は?」

淡「もらったんだよ。いいでしょ」

怜「かっこええやん淡」

咲(けど、あの刀って童子安切綱じゃないかな?あの天下五剣の)

咲「淡ちゃん、少し何か斬ってみてよ」

怜「試し斬りするならやっぱあいつやろ」

カナ「へ?」

淡「やっちゃうね」

スパッ

淡「へ?」

怜「切れ味最高やんそれ」

咲(やっぱり本物かもしれない。源頼朝が鬼を殺したときに使ったって言われている刀……この世界の時代の流れ方はおかしいな)

淡「全く力を入れないんだけど。本当に触れた程度なのに……すごいよこれ」

咲「危ないから振り回さないでね」

淡「それでサキー、どこにいくの?」

咲「……考えてなかったよ」

怜「それなら港町に向かったらいいと思うで?」

淡「港町?」

怜「魔王の城はこの大陸にはあらへんからな」

咲「じゃあ決まりだね。園城寺さん、そこにはどうやって行けばいいんですか?」

怜「東に気長に歩いて一週間くらいやな」

淡「うわっ、遠いなぁ」

怜「何言ってるん。まだ近い方や」

咲「弾持つかなぁ……」

淡「精製すればいいじゃん」

咲「作り方知らないよ」

淡「なら、そのナイフを使えば?」

咲「そうする。じゃあ行こうよ」

――――――

童子切安綱じゃなかった?

二日後

淡「サキー、ナイフと銃の使い方上手くなったねー」

咲「結構慣れたよ。そこまで腕が痛くなくなったし」

怜「咲も淡もすごいなぁ。私なんて後ろで回復してるだけやのに疲れるわ」

淡「回復してるから安心して戦えるんだよ」

怜「そらなによりや」

――――――

>>62
そうだった。タイプミスっす

四日後

淡「……まだ?」

咲「半分を過ぎた頃かな?」

怜「つらいわ……」

――――――

六日後

淡「…………」

咲「…………園城寺さん、大丈夫ですか?」

怜「…………ハァ、ハァ。大丈夫や。心配ない」

咲「……そうですか」

淡「あっ、モンスター。サキーやっちゃって」

咲「うん」

――――――

七日後

淡「着いたね。早く宿に行こう」

咲「そうだね。早く横になりたい」

怜「もう眠たいわ。夜やしな」



咲「今日はもう解散して明日から行動しよう」

淡「はーい。それじゃあね」

怜「ほな」


咲「……行っちゃった。私もやることを済ませよう」


港町→武器屋

咲「これってありますか?」

「珍しい。銃弾か」

咲「知ってるんですね」

「まぁ、マイナーだけど使うやつは使うからな。MP5とM1911か」

咲「はい。売ってもらえます?」

「どうせ置いておいても倉庫を圧迫するだけのもんだ。タダでやるよ。ついでにメンテナンスの仕方も教えてやる」

咲「ありがとうございます。なら、砥石だけ下さい」

「別に気ぃ使わなくていいって。こっちの好きでやってるだけだからよ」

咲「す、すいません」

「いいよ。話くらいは代金代わりに聞かせてくれよ」

咲「いいですよ。辛かった道のりしか覚えてないですけど」

「いったいどこから来たんだよ?」

咲「城から来ました」

「へぇ。ならあんたが勇者ってわけか」

咲「らしいですね。いまだに実感がわきませんけど」

「ははっ。実感なんて肩書きに比べちゃカスみたいなもんだ」

咲「そう言うものですか」

「そうだ。ちなみに港町に店を構えてるとよ、各地から来る客から色んな噂を聞けるんだよ」

咲「興味ありますね」

「例えば魔王の城は孤島に位置して結界が張られていて近づけないとかな」

咲「私に絶望を植え付けたいだけですか?」

「いやいや。その結界を破壊するためには各大陸に君臨する魔王直属の部下を倒していかないといけないらしい」

咲(ありきたりなRPGの流れだな)

「ちなみに大陸はここを入れて5つ。この大陸には魔王直属の部下ってのはいないらしがな」

咲「じゃあ、四人倒せばいいわけで?」

「そう簡単なことじゃないぜ?その四人も相当な実力らしいからな」

咲「まぁ、何とかしますよ」

「強気じゃねぇか。それでいいんだけどよ。おっ、あったあった。結構数があるけど大丈夫か?」

咲「それなら心配しなくていいです。鞄に入りますから」

「ほら、持っていけ」

咲「ありがとうございます」

「それじゃあメンテナンスをするか。カウンター越しじゃなくてこっちに来て見てろよ」

咲「はい。失礼します」

「始めるぞ。まず、ここを外してだな――」

――――――

淡「ねぇ、部屋三つ空いてる?」

「はい。空いてますよ。どちらの部屋にしましょうか?」

淡「うーん、普通の部屋がいいな。後、部屋に風呂がついているやつ!」

「となりますと、普通よりも少し値段がお高くなりますがそれでもよろしいですか?」

淡「いーよ」

「では、こちらが鍵になります」

淡「ありがとう。後、サキーとトキの部屋代ね。それじゃ!」

「……サキーとトキって誰?」


宿屋カウンター→部屋

淡(疲れたー。お風呂入ろう)

部屋→風呂

淡「あぁ、生き返るぅ」

淡(一週間振りのお風呂だ。川の水とは大違いだよ)

淡(一週間……トキも案外大丈夫だったし、この旅って思いの外楽勝じゃん)

淡(それより、外が少し静かすぎないかな?様子を見よう)

風呂→部屋

淡(あちゃー。やっぱりね)

「おい、金を出せ。人質がどうなってもいいのか?」

淡(カウンターでテンプレみたいな強盗が四人……)

淡「サキーはもうすぐ帰ってくるしここで頑張ったらトキは誉めてくれるかな?誉めてくるよね。よし、頑張ろう!」

淡「やっほー強盗さん。その物騒なもの仕舞ってよ」

「ああ?まだいたのか。こっちに来い」

淡「んー。分かったけど、その人を解放してくれるかな?」

「自分が代わりに人質になるてか?」

淡「うん。どうかな?」

「あっはっは。これぁおもしれぇ。いいだろう」

淡「それじゃあそっちに行くね。銃弾がさ」

ダンッ

「……誰だ?」

淡「今だっ!蹴りくらえ」

「ってねぇなクソガキ!殺してやらぁ」

淡「殺すって、この汚いナイフを使ってかな?にしても、サキー遅いよ」

咲「ごめんね。間に合ったから許してよ」

あまり早いとさるさんくらうぞ

淡「いーよ。それとさ、どうする?」

咲「数は問題ないんだけど、人の目がちょっと」

淡「だよね。いい方法ないかな?」

咲「頼んでみるしかないんじゃないかな?」

淡「だね。強盗さん。見逃してあげるから帰ってくれないかな?」

咲「じゃないと手荒な真似しかできないですよ?」

「ちっ。野郎共帰るぞ」

>>77
ありがとう。若干ペース落とすね

淡「バイバイ。さて、サキーどうだった?」

咲「かっこよかったよ」

淡「ありがとう。それよりさ、一つだけいいかな?」

咲「どうしたの?」

淡「人質さんは?」

咲「…………」

淡「明日でいいかな?」

咲「うん。一日くらい大丈夫だよ。多分」

淡「だよね。そういやトキは?」

咲「知らないよ。そろそろ帰ってくるんじゃないかな」

怜「誰が帰ってくるって?」

淡「トキだよトキ。どこに行ってたの?」

怜「薬の元になる薬草を探しとってん。そんときにおもろい話聞いたで」

淡「どんなのどんなの?」

怜「町外れに強盗の隠れ家があるらしいで」

咲「その強盗、さっきここにいたよ」

怜「捕まえたらよかったやん」

淡「殺すのは簡単なんだけどね、捕まえるのは難しいんだよ」

咲「体格差がありすぎるから私達とじゃ」

怜「せやなぁ。簡単やことやないなぁ」

淡「じゃあ、どうやって強盗から人質さんを取り返そうか?」

咲「さすがに一般人を撃っちゃまずいよね」

淡「そりゃもう、勇者が一般人を虐殺。なんて新聞の一面に飾られるのは嫌だな」

怜「けど、そうなったら相手が圧倒的に有利やで?」

咲「どうしよう……いっそのことほっとこうか?」

淡「いや、だめでしょそれ」

咲「なら、眠り系の薬とかどうかな?」

淡「どうやって一服盛るの?それに作り方知ってるのサキー?」

怜「盛り方はともかく作り方は知ってんで。材料もすぐに揃う物やし」

咲「……薬草じゃないですよ。毒薬ですよ」

怜「まぁ、色々教えられてん」

淡「じゃあ作り方はクリアしたとして、どうやって盛る?」

咲「宅配の振りとか?」

怜「顔割れてるやん自分ら」

淡「トキは割れてないよね」

怜「いや、私は薬の精製やからなしで」

咲「じゃあ変装とか?」

淡「サキー、変装って言ってもさ、できるものあるの?」

咲「買ったらいいんじゃないかな?それに淡ちゃんって化粧してる?」

淡「してないよ。興味ないからね」

咲「してないのにそれだけ可愛いんだ。羨ましいな」

怜(私に振られなくてよかったわ)

淡「サキー、見る目あるね」

咲「ありがとう。淡ちゃんさ、イメチェンしない?」

淡「別にいいよ」

咲「いいんだ。じゃあ明日早速しようね!」

淡「えっ?サキー、今のはいいって意味じゃなくて「おやすみ淡ちゃん」

怜「……頑張りや淡」

淡「トキ……」

――――――

淡「……」

咲「可愛いよ。可愛いよ淡ちゃん」

怜「えらい見違えたなぁ」

淡「私の髪が……」

咲「黒髪にポニーテールなだけだよ。それに一日で落ちるらしいから安心して」

淡「カツラでいいじゃん」

咲「……園城寺さん」

怜「これが薬入り宅配物や」

淡「もういい。ちなみにこの宅配物はどうやって手にいれたの?」

咲「レストランの店長が強盗を捕まえるからって言ったら、快く協力してくれたんだよ」

淡「そっか。じゃあ、行ってくるね」

怜「……咲、楽しんでへん?」

咲「園城寺さんこそ」

怜「そりゃ、淡が嫌がってんねんで?楽しいやろ」

咲「ですよね」

怜「ほな、薬が効き始めるのが大体一時間やから、それくらいに淡を迎えに行こうか」

咲「了解しました」

――――――

淡「……どうも宅配です」

「誰か宅配したっけよ?」

淡「そこの見張りの人が頼まれました」

「それで、そこの見張りの人は?」

淡「地平線まで走るって言ってどこかに行きました」

「……そうか。ご苦労」

淡「それじゃあ失礼します」

強盗の隠れ家→隣の民家の屋根

淡(ここまですんなりいくとは思ってなかったよ。それじゃあ見張らないと)

淡(……暇だなぁ。お腹空いた)

咲「淡ちゃん、淡ちゃん」

淡「サキーどうしたの?」

咲「迎えに来たんだよ。ここ高いね。それと一つ訊こうと思ってさ」

淡「何を訊きたいの?」

咲「見張りの強盗をどうやって縛ったの?」

淡「後ろから近づいてナイフを突き付けただけ」

咲「あはは。悪い子だね」

淡「別にそんなつもりでやったわけじゃないけど」

咲「……淡ちゃん、機嫌悪かったりする?」

淡「当たり前じゃん。こんなことさせられて」

咲「お詫びにケーキがあるんだけどどうかな?」

淡「サキー大好きだよ!」

咲「これ終わってから一緒に食べようね。それじゃあ強盗は眠ったみたいだし行こうよ」

淡「そうだね」

民家の屋根→強盗の隠れ家

咲「うわぁ、足の踏み場がないなぁ」

淡「お酒臭い……」

咲「淡ちゃん、人質を見つけたよ」

淡「寝ちゃってるねこの子」

咲「夜中だから仕方ないよ。早くやることを済ませよう」

淡「そうだね。サキー、ロープは?」

咲「そこに置いてるよ」

――――――

強盗の隠れ家(外)→宿屋

怜「上手くいったみたいやな」

淡「楽勝だよ」

咲「……そろそろ代わってよ淡ちゃん」

淡「やだ。サキーがおぶるって言ったじゃん」

咲「そうだけど……」

淡「頑張れサキー、あとちょっとだから」

怜「にしてもこんな少女が人質って、何かされてないん?」

淡「後から訊けばいいよ」

咲「そうだね。今は寝かしておこう」

怜「せやな。それじゃあ私も寝るわ。おやすみ」

淡「おやすみ~」

咲「おやすみなさい」

淡「――あと、サキー」

咲「どうしたの?」

淡「ケーキ食べていい?」

咲「そこのテーブルに置いてるから勝手に食べていいよ」

淡「ありがとー。それじゃあいただきます」

咲「ん。じゃあおやすみ」

淡「おやすみ~」

――――――

淡「ケーキ美味しかったなぁ。そして私はひとりぼっち」

「誰がひとりぼっちなのかな?」

淡「あ、起きたんだ。名前は?」

玄「玄だよ。松実 玄」

淡「クロね。それで、大丈夫だった?」

玄「大丈夫だったって何が大丈夫なの?」

淡「そりゃもちろん襲われてないか、とか」

玄「そりゃ襲われたよ」

淡「……ごめんなさい。私がもっとしっかりしてれば」

玄「けど貴方は助けてくれたよ」

淡「事が済んでからじゃ遅かったじゃん」

玄「へ?事が済んだからお礼を言ってるんだよ?」

淡「いやいや、もっと自分を大事にしてよ」

玄「これでもしてるつもりだよ。だからお礼を言ってるんだよ」

淡「してないよそれ。バカなの?」

玄「バカとは失礼な。これでも私は魔法使い兼召喚師なんだから」

淡「そんなの今は関係ないよ」

玄「そうかな」

淡「うん。それでクロ」

玄「どうしたのかな?」

淡「どんなことされた?」

玄「縛られて乱暴されたくらいかな。ほら、唇が切れてるでしょ?」

淡「ほんとだ。とりあえずあの男達殺してくるね」

玄「まって。乱暴はダメだよ」

淡「クロは優しいね。自分を襲った相手にも情けをかけるなんて私にはできないや」

玄「お姉ちゃんが暴力が嫌いだったから。力で解決しても意味ないって昔からそう刷り込まれたの」

淡「ちなみに訊くけどクロ、今回が初めて?」

玄「そうだよ」

淡「やっぱ殺してくるね。女の子の初めては好きな人にって決まってるのに」

玄「へ?好きな人?」

淡「え?そりゃそうでしょ」

玄「好きな人になら誘拐されてもいいの?」

淡「よくないよ。犯罪だよ」

玄「やっぱりよくないよね」

淡「……さっきから微妙に話が噛み合わないんだけど」

玄「そうなのかな。じゃあ、貴女は何が言いたいの?」

淡「ストレートに訊くよ?」

玄「うん。来て」

淡「処女を散らさなかった?」

玄「……大丈夫だった」

淡「そっか。ならよかった」

玄「うん。改めてありがとう」

淡「帰りは送っていくよ」

玄「送っていくって言われても私は旅の途中だから」

淡「そうなんだ。ちなみにどこまで?」

玄「えっと、魔王の城ってところだったと思う」

淡「じゃあ私達と一緒じゃん。一緒に行こうよ」

玄「うん。よろしくね……えっと、名前が分からないや」

淡「大星 淡だよ」

玄「よろしくね淡ちゃん」

松実 玄
性別:女
職業:魔法使い兼召喚師
Lv:6

最大HP:41
最大MP:86
ちから:7
すばやさ:21
みのまもり:6
かしこさ:34
うんのよさ:61

装備
武器:なし
鎧:阿知賀の制服
兜:なし
盾:なし

魔法
ドラゴン系召喚・下級魔法全般

――――――

咲「それで、淡ちゃん。この子を旅に連れていくんだね」

淡「うん。目的地が一緒だからね」

咲「松実さんはどうして魔王の城へ?」

玄「お姉ちゃんが捕らえられたから。優秀な賢者だったんだ」

咲「お姉ちゃんを助けるために魔王の城に行くんですか?」

玄「そうだよ」

怜「泣かしてくれるやんこの子。咲、連れていこや」

淡「たぶん足手まといにはならないから。私が保証するよ」

咲「うん。じゃあ行こう」

港町→船

淡「潮の匂いだ!」

咲「それよりさっきからモンスターが多いね」

怜「あのワカメやな。海やからやろ」

咲「なんで私が全部戦ってるんだろう」

淡「一番楽だからかな」

玄「宮永さん、強いね」

淡「使ってるものがチートだからだよ。クロは暴力は嫌いじゃなかったっけ?」

玄「ケースバイケースだよ」

淡「へー。それならいいんだけど」

怜「お二人さん、話してるのは後にしてくれん?ちょっとまずいで」

咲「銃弾が効かないよぉ」

淡「……あれは水?」

イズミ「私が最強の魔物や」

淡「実体が水だから攻撃が効きないんだ。どうしよう」

玄「淡ちゃん、私に任して」

淡「え?クロ?」

玄「それじゃあ出てきてください!」

ドラゴン「やほ」

玄「ドラゴンさん、やっちゃってください」

ドラゴン「おk」

ゴオッ

咲「蒸発しちゃったね」

淡「うわ……」

怜「エグいなぁ……」

玄「ドラゴンさん、お疲れさまです」

ドラゴン「ほい、それじゃあ」

淡「クロ、捕まった時に何で使わなかったの?」

玄「宿屋も壊しちゃうから」

淡「なるほどねー」

怜「なぁ咲」

咲「園城寺さん、私も話したかったです」

怜「仲エエなぁあの二人」

咲「ですよね。実際助けたのも淡ちゃんだから仕方ないんですけど」

怜「せやなぁ。私達は中に戻っとこなぁ」

咲「ですね」

――――――

別の大陸

咲「……廃れてるね」

淡「何でもすぐ近くに魔王の部下の神殿があるらしいよ」

怜「いつ聞いたんやそれ」

淡「船長が言ってたよ。暇だから船内を探検してたらたまたま会ってね」

玄「その神殿って本当は転職するところだったんだ。お姉ちゃんもそこで賢者になったから」

淡「……転職か」

咲「淡ちゃん何か言ったかな?」

淡「ううん何も。それより早く行こうよその神殿にさ」

咲「そうだね。行こう」

怜「気にしてたんや淡」

――――――

神殿

咲「貴女が魔王の部下?」

シロ「ダルい……」

淡「ダルいならそこを明け渡してよ。私は転職したいから」

シロ「転職したいの?それならなりたい職業をその紙に書いて」

淡「うん。はい」

シロ「盗人から剣士。はい。貴女は今から剣士」

咲「あっさりしてますね」

怜「なんやこの茶番」

玄「私も転職しようかなぁ」

シロ「それじゃ」

淡「うん。ありがとうって違う!」

シロ「何?大声出されるのダルいんだけど」

咲「すぐ近くの村が廃れてる原因を叩きにきました」

シロ「それ、私じゃない。ここから数時間のところにある村が原因」

怜「また人か……」

シロ「お金持ちが住み着いたらしくて物流を操作したらしい」

玄「物が流れなくなった。かな?」

シロ「そう。だから私に原因はない」

咲「じゃあ何で貴女はここに?」

シロ「魔王に派遣された。けど、破壊しろとかじゃない」

淡「じゃあ何をしに来たの?」

シロ「神官の手伝い。一応私は人形の魔物だから」

玄「魔物が人間の手伝いですか」

怜「敵意は無いみたいやし危害もないんやったらほっといたらいいんちゃう?」

咲「そうですね」

シロ「あっ、その金持ちは別の大陸じゃ指名手配されてるから生死問わずだって」

淡「人を殺すのはね」

怜「似たようなものは散々殺してきたけどな」

玄「最終手段として考えておきます」

シロ「それじゃあ頑張って」

咲「はい。ありがとうございます」

――――――

「勇者は行った?」

シロ「行った。ねぇ、何で私がこんなことしないといけないの?」

「派遣は形だけ。私の面子のため」

シロ「はぁ。大変なんだ魔王って」

「魔王なんてそんなもの」

シロ「そっか」

「引き続き神官の手伝いを続けていて。それと、結界の解除も」

シロ「結界の解除?この大陸だけ?」

「そう。お願い」

――――――

金持ちが住み着いた村

淡「分かりやすね」

玄「これはこれはおっきい屋敷だね」

怜「ほな、行こや」

咲「お邪魔します」

淡「サキー、普通に入ったけど何か作戦はあるの?」

咲「ないよ。けど、頼もうかなって」

怜「捕まってくれってか?」

咲「そうですけど」

怜「無理やろな」

玄「無理だと思うよ」

淡「絶対無理だよ!」

咲「じゃあ作戦変更しよう」

淡「作戦あるの?」

咲「……最終手段だよ」

怜「咲って勇者より魔王やんな」

玄「付き合いは浅いけど私もそう思うよ」

淡「おっけー。じゃあ行っちゃうよ」

怜「皆、数歩下がり」

咲「了解です」

淡「はーい」

玄「え?」

ズッサッ

咲「岩……歓迎されてないみたいだよ」

怜「玄、これが未来予知や」

玄「どや顔ですか……」

淡「屋根高いね。殺す気で来たよ」

怜「咲、お返ししてやり。ちょうど警備が出てきたんやし」

咲「そうですね。分かりました」

ダララララララッ

淡「それじゃお先に!」

怜「待ちや淡。私走るのは苦手やねんけどな。咲と玄はゆっくり来や」

咲「それじゃあ松実さん行きますか」

玄「そうだね。行こう」

咲「改めてお邪魔します」

玄「お邪魔します」

咲「右と左で別れてますね」

玄「うん。右は血塗れだけどね」

咲「じゃあ左に行きましょう」

玄「咲ちゃん、怒ってる?」

咲「少しだけですけどね」

玄「私も一緒だよ」

――――――

淡「あはは。私は剣士。戦場に花を咲かせる女神だよ」

怜「淡飛ばしすぎなや」

淡「分かってるって。それに怪我してもトキが治してくれるから大丈夫。信用してるよ」

怜「ありがとうな。ほな、新手や」

淡「まだいるの?面倒だなぁ」

――――――

咲「数が多いですね」

玄「うん。けど、最上階だよ」

咲「黒幕さんですね」

玄「じゃあお邪魔します。黒幕さん」

咲「お邪魔します」

「騒ぎの元凶か……私の命か金か」

咲「あっ、お金は困ってないから要らないです」

玄「咲ちゃん……何してたのかな」

咲「カジノですよ。それより、自首します?」

「自首……ねぇ。自首するくらいなら死を選ぶ」

咲「そうですか。なら死んでください」

玄(説得する気がないのかな?)

「私を殺すのはいいが頼みを一つだけいいか?」

咲「遺言だけは聞きますよ」

「一人娘に私の金を全て送ってくれ。そこの金庫にある」

玄「娘さんがいるのに全うな生き方はできなかったんですか?」

「私にはこの生き方しか知らなかっただけだ」

玄「……悲しいですね。更生してみませんか?」

咲「いいんですか?私達を殺そうとしたんですよ」

玄「咲ちゃん、殺そうとしたから殺すんじゃないの。道を踏み外したから元に戻すの」

咲「私にはよく分かりません」

玄「旅を続けたら分かるようになるよ」

咲「そうですか。じゃあ今回は松実さんに任せます」

玄「ありがとう咲ちゃん。それじゃあ黒幕さん、どうしますか?」

「先ほども言った。この生き方しか知らない」

玄「大丈夫ですよ。自首先で教えてもらえば。娘さんもその方が喜びます」

「……娘ね。分かった。自首しよう」

玄「ありがとうございます。それでは失礼します。咲ちゃん、帰ろう」

咲「はい」

――――――

淡「迷ったね」

怜「迷ったな」

淡「けどさ、ここってあれだよね」

怜「宝物庫やな」

淡「……貰ってもいいかな?」

怜「少しくらいならいいんちゃうかな」

淡「だよね。じゃあこれだけ貰っていこう」

怜「古文書?」

淡「上位回復術だって。トキにあげるよ」

怜「ありがとうな」

――――――

数日後

咲「……暇ですね」

怜「暇やなぁ」

咲「淡ちゃんと松実さん遅いですね」

怜「せやなぁ。別行動せんかったらよかったわ」

咲「けど同時進行じゃなけりゃキツかったですけど」

怜「村が両方襲われてたからなぁ。こっちは案外はよ終わったけど」

咲「それよりあの廃れた村は大丈夫かな」

怜「大丈夫やろ。村長がしっかりした人やったし」

咲「ですよね。にしても足が欲しいですね」

怜「せやなぁ。屋敷を襲撃してから歩きっぱなしやしなぁ」

咲「園城寺さんは大丈夫なんですか?体が弱いのに」

怜「それがな、体力ついたんやろな、大丈夫なんや。まぁ、たまに辛くなるけど」

咲「無理はしないでくださいね。園城寺さんも頼りにしてるんですから」

怜「淡にも言われたわ。素直に嬉しいで」

咲「……それと一儲けします?」

怜「カジノか。ええんかな勇者一行がカジノで遊んでて」

咲「いいと思いますよ。私の最初の冒険がカジノでしたから」

怜「へぇ。別行動組の帰りはまだ数日あるやろうし財布を潤しておこか」

咲「未来予知は反則ですよ」

怜「自分に出来るすべてを使って勝ってるんや。別に反則ちゃうわ」

咲「そんなものですかね」

怜「そんなもんやで。ほな、行こか」

――――――

淡「そうだよね。でもタイミング良すぎないな?」

玄「うん。何かあるよ」

淡「それにその前に町を一つ落としてきた魔物の部隊らしいじゃん」

玄「らしね。小規模な部隊だけど単体のレベルは多分、私達より高いと思うよ」

淡「今さらだけど帰っていいかな?」

玄「怒られちゃうよ。それに装備は私達がよっぽど上だから大丈夫だよ……多分」

淡「だといいね」

――――――

二日後

玄「戦争でもするかのような雰囲気だね」

淡「うん。とりあえず村長に話を聞こうよ」

村→村長の家

淡「と言うわけで私とクロが加勢してあげるねおじさん」

「ありがたい。後数時間で相手が現れるだろう。それまでゆっくりしているといい」

玄「ありがとうございます」

淡「お風呂借りていいかな?」

「構わん。ここを出て左だ」

淡「ありがと。それじゃあね」

玄「村長さん、戦いは私と淡ちゃんに任せていただいてよろしいですか?」

「それはありがたいが大丈夫なのか?」

玄「はい。むしろ村人が魔法の範囲に入ってしまえば大変ですから」

「なるほど。分かった。そうしよう」

玄「助かります。それでは私も失礼します」

――――――

村の外

淡「来たね相手さん」

玄「10ちょっとかな。けど、いつものよりも魔物だね」

淡「トカゲのお化けみたい」

玄「淡ちゃん、少し賭けないかな?」

淡「賭けって何を賭けるの?」

玄「内容はなんでもいいよ。淡ちゃんの好きにして」

淡「そうだね。帰りの荷物持ちとかで」

玄「うん。それじゃあ頑張ってね。ドラゴンさん、お願いです」

――――――

怜「金やで。世の中金やで」

咲「金が金を呼びますね」

怜「せやせや。家でも買うか?」

咲「いいですね。あの黄金の国の家を買いましょうよ」

怜「ええなぁ。よし、次の目的地は黄金の国や」

咲「いいですね」

――――――

淡「重たい……」

玄「そりゃ二人分だから」

淡「何で馬を借りなかったの?」

玄「お金が無いからだよ。咲ちゃんがいっつもカードで支払ってるから私達は貧乏なんだよ」

淡「そう言えばそうだった。それにしてもいい天気だね」

玄「そうだね。淡ちゃん、釣りして行こっか?」

淡「いいの?」

玄「だって帰りの食べ物が無いから」

淡「……断食は嫌だ」

玄「だね」

淡・玄
道中→川

淡「おおーまた釣れたよ!」

玄「焼き魚とお造りしかできないな」

淡「食べれたらいいよ」

玄「そうだね。そういや、それここらじゃ見ない形の刃物だね」

淡「不思議と手に馴染むよ。クロも持ってみる?」

玄「ありがとう。少し重いかな?」

淡「それで魚さばいてみてよ」

玄「うん」

淡「あっ、気を付けてね」

玄「……切れすぎだよこれ。触れた程度なのに」

淡「いい物だからね」

玄「羨ましいな。私なんて武器がないから」

淡「じゃあ手にいれたらいいじゃん」

玄「そうだね。けど、何にしようかな?」

淡「遠距離が欲しいかな。サキーだって遠ければ当てられないらしいし」

玄「それなら私なんてもっと無理だよ」

淡「練習すれば何とかなるよ」

玄「うん。ありがとう。とりあえずさばけたよ」

淡「贅沢なお造りだね」

玄「淡ちゃんが釣ってくれたからだよ」

淡「それじゃあ、いただきます」

――――――

咲「そう言えば園城寺さん」

怜「どないしたんや?」

咲「カジノでこれ買ったんですよ」

怜「なんやこれ?」

咲「なんでも対物のスナイパーライフルらしいですよ」

怜「それが何でカジノなんかにあるんや?」

咲「私に訊かれても困りますよ」

怜「せやな。ほな、宿に帰ろうか」

――――――

三日後

淡「うー疲れた」

玄「ただいま戻りましたって何ですかこの状況」

咲「あはは、買いすぎちゃって」

怜「カジノで出禁なんておかしいやろ。まぁ、カジノ自体干からびたらしいけど」

淡「にしても本ばっかじゃん」

咲「けどお金は増えたよ。0がたくさん」

淡「うわっ……そりゃ出禁になるよ」

玄「これは何かな?」

咲「アンチマテリアルライフルってものです。衝動買いしちゃいました。超遠距離から狙えるんですよ」

玄「咲ちゃん、貰ってもいいかな?」

咲「いいですけど、使いこなすのは練習が必要ですよ?」

咲(まず女の子にNTW-20を使いこなせるのか分からないけど)

玄「うん。頑張るよ。ありがとう咲ちゃん」

淡「そう言えばさ、この大陸に来た意味って結界の解除のためだよね」

怜「せやなぁ。ジパングやらマイホームやら言ってたけどまずはそっちやな」

咲「でも、手がかりなんてあったかな?」

淡「無かったよね」

怜「無かったな」

玄「あるよ」

淡「クロ、いつの間に?」

玄「淡ちゃんが転職したとこの魔物さんは魔王に派遣されたって言ってたよね」

怜「あー、確かに言ってたな」

咲「忘れてたよ」

淡「またあそこに行くんだ。面倒くさい」

咲「お金あるから馬車を雇おうね淡ちゃん」

淡「魔物退治は私達だけどね」

――――――

村→神殿

シロ「また転職?」

咲「いえ、結界の解除のためです」

シロ「なんだ。それならもう解除しといたよ。だるかったけど」

淡「嘘ついてないよね?」

シロ「後でばれたらだるいから」

怜「嘘やないって証拠はあるん?」

シロ「だるいなぁ。最近村が教われなかった?」

玄「襲われましたよ。間に合いましたけど」

シロ「あれ、結界を解除したせい」

淡「言ってる意味が分からないかな」

シロ「この大陸にも結界が張っていてその結界と城の結界がリンクしてる」

咲「じゃあ結界を解除したから魔物がこの大陸に来たってことですか?」

シロ「そう。あれは人間だけに機能するものじゃないから」

淡「性格悪い結界だね」

シロ「作ったのは前の魔王。それと、どうするの?」

怜「どうするって、何がや?」

シロ「次の大陸に行くんでしょ?それってこの大陸に来る魔物は放っておくことにならない?」

咲「言われてみれば魔物の襲撃がありますね」

玄「任せられないですか?」

シロ「私も一応は魔物。過激派の魔物に知られたらだるい」

怜「過激派ってなんや?」

シロ「村を襲った魔物みたいなの。さっさと制圧してしまえばいいと思ってる」

淡「じゃあ誰かが残らないといけないじゃん」

咲「でも誰が残るの?」

怜「せやなぁ。困ったわ」

淡「それに結界が全部解けたとしてどうやって落ち合うの?」

シロ「だるいけどそれくらいは任せて。私が魔法で魔王の城まで送る」

怜「いや、あんたはええろうけど他の大陸は分からんやん」

シロ「それも大丈夫。魔王は勇者が来るのを楽しみにしてるから」

咲「結局、問題は誰が残るかですか」

シロ「そう。早く決めて。後ろがつっかえてるから」

淡「そういや、ここって神殿のど真ん中だったね」

怜「ほな、場所を変えよう「大丈夫だよ」

玄「大丈夫だよ。私が残るから」

淡「クロ……」

咲「松実さん……」

怜「しばらくのお別れやな。達者でな」

玄「この大陸のことは松実 玄にお任せあれ!」

淡「クロ、頑張ってね」

咲「頑張って下さい。それでは、失礼します」

――――――

別の大陸

咲「淡ちゃん、船酔い?」

淡「多分。少し気持ち悪い」

怜「前乗った時はそんなんなかったやん」

淡「あれはクロの魔法で耐性をつけて貰っただけ」

怜「便利やな魔法って」

淡「僧侶が言うことじゃないよ」

咲「淡ちゃん、園城寺さんに薬を作ってもらったらよかったんじゃないかな?」

淡「あー、トキ作れる?」

怜「無理ではないやろうけど今は吐き気止めくらいしか無理やな」

淡「それでいいよ」

怜「ほな、少し待っててな」

咲「…………」

怜「淡、できたで」

淡「……青色じゃん。これ毒じゃないの?」

怜「んなことあるわけないわ。ほら、はよ」

淡「いーやーだ。絶対飲まない」

咲「淡ちゃん、飲まないと……」

淡「いただきます!」

怜「咲もけったいなことするなぁ」

咲「早く次に進みたいですから」

淡「苦い……飲んだから行こうよ」

怜「偉い偉い。んで、次の目的地ってどこなん?」

咲「…………歩いてたらどこかにたどり着きますよ」

――――――

町中

淡「おー凄い。魔法の国だ」

怜「えらい発達してんな」

咲「それじゃあ自由行動しよう」

淡「はーい。宿屋は任せて!」

怜「ほな、また適当に落ち合おか」

咲「それじゃあ私は――」

――――――

王宮

咏「おーよく来たね。疲れてるんじゃないの?知らんけど」

咲「まぁ、ほどほどに」

咏「それで、何の様かい?」

咲「私の魔法がおかしいんですよ」

咏「おかしいって。それを王様に報告しに来たのかい?」

咲「王様なら何か分かるんじゃないかと思いまして」

咏「なるほどね。じゃあ着いてきな」

咲「分かりました」

三尋木 咏
職業:適当な王様

特技
知らんぷり

王宮→地下室

咏「それじゃあその魔法をあれの藁人形に向かって使ってみ」

咲「えいっ!」

咏「ほー、消えた」

咲「魔物に使っても消えたんです」

咏「……魔法の名前は?」

咲「プラスマイナス0です」

咏「プラスマイナス0……多分、この魔法は対象の存在自体を消してるね。知らんけどさ」

咲「存在を……」

咏「例えば人間だって生まれる前は0だろ?」

咲「存在してないですからそうですね」

咏「それでその魔法。魔法ってのは名前が重要でね、火炎魔法なら火。回復魔法なら回復って感じで」

咲「なら、私のプラスマイナス0はどうなんですか?」

咏「そりゃ簡単なことだろ。対象の存在をプラスマイナス0に戻すだけ。つまり、消してしまう」

咲「……」

咏「ま、自分で0の地点を決めればある程度自由に使えそうじゃね?」

咲「それってどう言うことですか?」

咏「そうだな。例えば壊れた物があるとするだろ?なら、壊れる前の状態を0にする。それで魔法を使えばどうなる?」

咲「修復される。でいいんですか?」

咏「それでいいんじゃね?知らんけど」

咲「適当ですね」

咏「まーねぃ」

咲「後、もうひとつだけよろしいですか?」

咏「ん?何?」

咲「この大陸の魔物のボスってどこにいますか?」

咏「それなら東に一週間歩いたら分かるよ。知らんけど」

咲「ありがとうございます」

咏「あっそうそう、飯食って行きなよ」

咲「いいんですか?」

咏「お仲間ちゃんも連れてきな」

咲「ありがとうございます」

咏「いいっていいって」

――――――

王宮

淡「凄い!美味しそう」

咏「全部食べていいぜ」

怜「咲、何したん?」

咲「ちょっと相談しただけですよ」

咏「まーね」

淡「へー。これ美味しいね」

――――――

東に一週間の地点

咲「……ラスボスの城じゃないかなこれ」

淡「でっかいね」

怜「せやなぁ。扉は開いてるけど」

咲「お邪魔します?」

怜「そりゃしないと先に進まれへんし」

淡「お邪魔しまーす」

「あっ、いらっしゃい」

淡「魔物さんお疲れ様だよ」

咲「先に行っちゃいましたよ」

怜「私達も行かんとあかんねんなぁ」

咲「まぁそうですよね」


フィールド→城内部王の間

淡「……お姉さん……」

久「久しぶりね。元気だった?」

淡「うん。それより、何やってるの?」

久「そりゃ見ての通りよ」

淡「私達の敵だったんだね」

久「どうかしら。敵でも味方でもあるから」

淡「意味がわからないよ」

久「分からなくてもいいわ。それと、その刀使ってくれてるのね」

淡「使いやすいよ」

久「そう言ってくれると嬉しいわ。それで、貴女の用は?遊びに来たわけじゃないんじゃないの」


淡「結界を解除してほしいんだけど」

久「あー、分かったわ。解除しておくかわりに――私といいことしてくれたらね?」

淡「……」

――――――

咲「迷いました」

怜「咲に着いていくんやなかったわ」

咲「すいません、迷惑をかけて」

怜「いや、別にええねんで?にしてもあれやな」

咲「はい?」

怜「勇者のわりにはおとなしいな」

咲「どこがですか。銃で戦って魔法で存在自体を消して。それのどこがおとなしいんですか?」

怜「……せやったな」

咲「まぁ、罪悪感すらもう感じなくなりましたけど」

怜「麻痺か……仕方ないわ」

咲「そう思いたいです」

――――――

淡「……」

久「どうするの?」

淡「何で私なの?」

久「そりゃあ、貴女が魅力的だからよ」

淡「私、こう見えてもそんなことしたことないんだけど」

久「更に貴女が欲しくなったわ」

淡「止めてよ。変わりに他のことは何でもするから」

久「ダメね。私は貴女が涙目になるまで虐めたいから」

淡「……私が貴方に抱かれれば結界は解除してくれるの?」

久「約束するわ」

淡「分かった。その代わり約束を破ったら首から上は無くなるからね」

久「いい返事よ。それじゃあ行こうかしら」

「行くってどこに?」

久「あら、貴方も暇ね」

淡(誰だろう?)

「早く結界の解除を無償でして」

久「嫌よ。せっかくの可愛い娘なんだから」

「……いいから。早く」

久「分かったわ。けど、これくらいはいいわよね」

淡「ん?むぅ……」

久「ごちそうさま」

淡(キスされた……)

久「じゃあ結界の解除してくるわ」

「私は次に行く。それ以上その娘に手を出したら分かってる?」

淡(私……)

久「はいはい。やってきますよ。それじゃあね」

淡「お姉さん、あの人は?消えたけど」

久「追々分かるわ」

淡「そっか。じゃあいいや。ねぇ、お姉さん」

久「どうしたのかしら?」

淡「好きってどんな気持ち?」

久「あれ?今ので私に惚れた?」

淡「それはないから。それと私の質問に答えて」

久「それは私にも良く分からないわ」

淡「じゃあ、この人を助けたいとかもっと知りたいて気持ちはどうなの?」

久「多分、そうなんじゃないかな?」

淡「そっか。ありがとう」

久「それじゃあ少し待ってて」

淡「はーい」

淡(サキー達はどこに行ったんだろう?)

――――――

久「終わったわ。それじゃあね」

淡「ありがとう。旅が終わったら顔を出すよ」

久「楽しみにしてるわ」


城→フィールド

淡「二人とも待ってたんだ」

咲「うん」

咲(本当は散々迷ってたら外に出たんだけど)

怜「ほな、行ってらっしゃい」

淡「っことはトキが残るの?」

怜「せやな。魔法が発達してるんやし、高度な魔法を学ぶわ」

咲「園城寺さん、お元気で」

淡「また後でね」

怜「二人とも気を付けや」

淡「分かってるよ」

怜「それと、淡」

淡「んー?」

怜「酔い止め」

淡「ありがとう」

咲「それじゃあ淡ちゃん、行こう」

淡「そうだね」

――――――

また別の大陸

咲「……酷いね」

淡「うん。村が凍ってる……」

咲「何でだろう。人まで凍ってる」

淡「サキー、どうにか出来ない?」

咲「出来るけど、失敗したらこの人の存在すら消えるよ」

淡「誰も見てないんだしやってみなよ」

咲「分かった。0の地点を凍る前に設定して……えいっ!」

淡「おお!溶けた」

「ありがとうございます。この恩は忘れません」

淡「忘れてもいいけどさ、どうしてこうなったの?」

咲(こうした場合の記憶は持ち越しされるんだ)

「突然魔物が現れて凍らされました」

淡「うん。すごい簡単な説明ありがとう」

咲「淡ちゃん、もしかしたら」

淡「多分そうだね。この大陸のボスだね」

咲「あの、その魔物の場所って分かります?」

「あの山の頂上から来たと言ってました」

咲「ありがとうございます。それでは、行ってきますね」

淡「じゃーねー」

――――――

山入口

咲「……帰っていいかな?」

淡「……帰りたくなるよね」

咲「だって空より高いもん」

淡「けど、行くしかないじゃん」

咲「頑張ろう」

淡「そうだね」

――――――

山三合目

淡「まだまだあるね」

咲「うん。それより帰りはどうしよう」

淡「着いてもないのに帰りを考えるのは止めようよ」

咲「うん」

――――――

山五合目

咲「やっと半分。辛いな」

淡「……今日はここで寝ようか」

咲「そうだね。とりあえず火を起こさないと」

淡「……どうやって?」

咲「さぁ?」

――――――

山七合目

淡「……もう、だめ」

咲「淡ちゃん?淡ちゃん!」

――――――
山頂上

淡(起きたらサキーの背中が目の前にあった……)

咲「でっかい建物だ」

淡「早くいって早く帰ろうサキー」

咲「起きたんだ淡ちゃん。大丈夫?」

淡「多分大丈夫かな。ありがとう」

山→建物

淡「でっかい通路だね」

咲「進むしかないよ」

建物→大広間

「……何のようだ?」

咲「結界の解除をしてください」

淡「まー、多分してくれないだろうけど」

「結界?何のことだ?」

淡「じゃあ魔物さん、早く死んでね」

咲「えいっ!」

淡「哀れだね」

咲「淡ちゃん、帰ろっか」

淡「ごめんねサキー、また眠たいや」

咲「いいよ。淡ちゃんは寝てて」

咲(淡ちゃんの体が熱い……熱があるんだろうな)

――――――

淡(くらくらする……体がだるい)

「その薬草ってどこで手に入れられますか?」

淡(サキー?)

「山……分かりました。すぐに戻ってきますので看病の方よろしくお願いします」

淡(……頭痛い)

――――――

淡「哀れだね」

咲「淡ちゃん、帰ろっか」

淡「ごめんねサキー、また眠たいや」

咲「いいよ。淡ちゃんは寝てて」

咲(淡ちゃんの体が熱い……熱があるんだろうな)

――――――

淡(くらくらする……体がだるい)

「その薬草ってどこで手に入れられますか?」

淡(サキー?)

「山……分かりました。すぐに戻ってきますので看病の方よろしくお願いします」

淡(……頭痛い)

――――――

凍りついた村

「助かりました!なんとお礼をすればよいか……」

咲「いえいえ、気になさらないで下さい。薬まで作っていただいて」

淡「そうだよ。気にすること無いって」

咲「私達は失礼しますね」

淡「ばいばーい」

――――――

魔物の宮殿

淡「ここでサキーと暫くお別れだね」

咲「その前にここで結界を解かないといけないけどね」

淡「そうだった」

――――――

恭子「よう来たな」

淡「お邪魔してるね」

咲(あれ?この人なら強気でいけそう)

咲「…………いいから、早く解除してください」ゴォッ

淡「え?」

淡(何?この空気。私がサキーの空気にのまれてる?)

恭子(アカン。この娘。何があっても勝てる気がせん。少しいじったれとか考えとったけどそんなんやってられん)カタカタ

恭子「……分かりました」カタカタ

咲「淡ちゃん、行こっか」

淡「う、うん」

恭子「めげるわ……」

――――――

淡「サキー、頑張ってね」

咲「すぐに会えるよ」

淡「ねぇサキー」

咲「どうしたの?」

淡「キスしよっか」

咲「……旅が終わったらね」

淡「そっか。じゃあその時まではお預けだ」

咲「元気でね」

淡「サキーこそ元気でね」

――――――

甲板

咲(淡ちゃんは何を思って私に迫ったんだろう?)

咲(私のこと好きなのかな?そんなことないよね。淡ちゃんはスキンシップのために言っただけだよ)

「おーい、魔物だ」

咲「今行きます!」

咲(考えるのは後ででいいよね)

――――――

大陸最後の城

咲「終わったんだ」

和「咲さん。こちらへ」

咲「ありがとう」

和「いえ。咲さんのためですから」

咲「あはは」

和「それでは、咲さんを魔王の城まで送ります。お連れの方は既にお着きになられたらしいので」

咲「うん。行ってくるね」

――――――

咲「皆、久しぶりだね」

怜「せやなぁ。大体一ヶ月ぶりか?」

玄「久しぶりだね。寂しかったよ」

淡「にしてもサキー、約束覚えてるよね?」

咲「大丈夫。忘れてないよ。じゃあ皆、準備はいい?」

淡「二時間待ちぼうけ食らってるから完璧だよ」

咲(悪いのは和ちゃんだ。早く行きたかったのに引き留めるから)

咲「ごめんね。行こっか」

――――――

魔王の城
魔王の間

「勇者咲、よく来たね」

咲「……お姉ちゃん」

照「咲……」

玄「お姉ちゃんを知りませんか?」

宥「玄ちゃん、話に割って入ったらだめだ。向こうで私と戦おうね」

玄「お姉ちゃん、久しぶりだね」

照「咲……強くなったんだね」

咲「うん。それで、お姉ちゃんは何でここに?」

照「気がついたら魔王になっていた。記憶もある程度ない」

咲「記憶……気にならなかったけど私もだ。高校入学から後の記憶がない……」

照「それはいいとして、勇者なら魔王を討ち果たす?」

咲「お姉ちゃんと私が戦わないといけないの?」

照「嫌なら見てるといい」

淡「サキー、話は終わった?」

咲「淡ちゃん、戦ったらダメだよ。絶対に勝てないから」

淡「何それ?絶対とかそんなのあるわけないじゃん」

照「剣豪さん、来なくていいの?」

淡「今行くよ!」

咲「淡ちゃん刀を振らないで!」

照「こんなの玩具」

淡「刃が通らない?風圧?」

照「力がない。やり直し」

――――――

玄「お姉ちゃん、私とほんとうに戦うの?」

宥「玄ちゃん、情は捨てて本気でかかってきて」

玄「お姉ちゃん、何でそんなこと言うの?」

宥「私はあの二人を元の所に返してあげたいから。それだけ」

玄「……最初からこうなるよう気はしていたよ。ドラゴンさん」

宥「それじゃあ玄ちゃん。始めるよ」

――――――

怜「」

玄「」

淡「」

咲「……」

照「咲、これがお前の味方?」

咲「これ?お姉ちゃん、さすがに怒るよ?」

照「それでいい。早く決着をつけよう」

咲「何でそこまで戦いにこだわるの?」

照「魔王と勇者。どちらかが負けてどちらかが勝たないと物語は終わらない」

咲「……」

照「私と咲が元のいた場所に帰るため」

咲「だからって私の仲間にここまで酷いことする必用があるかな?」

照「そうでもしないと咲は戦わない」

咲「もういい……分かった」ジャキッ

照「……銃?」

咲「そうだよ」

咲は照にM1911の銃口を向けて引き金を引いた。
けたたましい音をあげ放たれた銃弾は照の風の障壁に阻まれ、皮膚に届くことはなかった。

照「私に銃弾は効かない」

咲「……なら、フルオートならどうかな」

取り出したのはMP5。
咲は躊躇いはしたが、引き金を引いく。

照「効かない」

弾を切らせばリロード。
数千の弾丸は照の障壁を貫くことはなく、空薬莢だけが辺りに散乱する。

照「弾切れ?なら、今度は私だね」

寝ていた……


照が掌を咲に向けた刹那、咲の頬から血が流れる。
照が使ったのは鎌鼬。研ぎ澄まされた風の刃が咲に確実にダメージを与えていく。

咲(まだだ、まだ……)

照「咲、これで終わり」

照の拳に風が集まり、暴風――台風を形成する。

咲(あれで殴られたらひとたまりもないや)

照「謝罪は向こうでするから」

照の右手が咲を貫こうとするコンマ数秒前、咲の魔法が照に作用した。
風が消え、貫こうとする腕も止まる。

咲「お姉ちゃん、私の勝ちだよ」

咲の手にあるのはデリンジャー。それが照の胸にゼロ距離で突きつけられている。

照「いったいどこから?」

咲「最初は口の中だよ。MP5を使っているときに出したんだ。喋りにくかったよ」

照「じゃあ、あれは目眩まし?」

咲「うん。お姉ちゃんが最後は私を素手で叩きに来るのは予想できたから」

照「何で予想できたの?」

咲「だってお姉ちゃん、昔喧嘩したとき私が謝ったら軽く頭を叩いて許してくれたもん」

照「……私の負け。ほら、私を撃って終わりにしよう」

咲「出来ないよ。お姉ちゃんが私を殺して」

自分の死を受け入れ、儚く笑う咲を見て照は咲の手を握る。
咲の右手は咲の唾液でてらてらと輝くデリンジャー。

照「妹を殺せるわけない」

広間に銃弾の音が響き渡った。

――――――

淡「う……サキー?」

咲「おはよう淡ちゃん」

淡「あれ?ここは?」

咲「終わったんだよ」

淡「じゃあサキー、何で泣いてるの?」

咲「ちょっとね。淡ちゃん、お疲れさま。楽しかったよ」

淡「サキー、どうしたの?」

咲「お別れだよ淡ちゃん」

淡「……嫌だ」

咲「また会えるよ絶対に。それまでキスはお預けだね。ばいばい淡ちゃん」

――――――

怜「咲、行ってもうたんやな」

玄「寂しくなるね」

淡「また会えるよきっと。それまでの我慢だよ」

――――――

宮永 咲
Lv:72
職業:妹兼魔王に近い勇者
最大HP:460
最大MP:250
ちから:121
すばやさ:218
みのまもり:136
かしこさ:255
うんのよさ:255

大星 淡
Lv:74
職業:恋愛一年生の剣豪
最大HP:526
最大MP:250
ちから:199
すばやさ:281
みのまもり:188
かしこさ:246
うんのよさ:255

園城寺 怜
Lv:77
職業:仮病大賢者
最大HP:399
最大MP:250
ちから:115
すばやさ:203
みのまもり:156
かしこさ:255
うんのよさ:255

松実 玄
Lv:77
職業:おもち大魔法使い
最大HP:417
最大MP:250
ちから:161
すばやさ:201
みのまもり:131
かしこさ:255
うんのよさ:255

所持金
使いきれないくらいの0の数
――――――

インターハイ決勝大将戦

咲「おねがいします」

淡「あっサキー、約束忘れてないよね?」

咲「勿論だよ」

淡「じゃあ、サキーの唇頂きます」

咲「ん……」

淡「ごちそうさまでした。サキー、覚えてる?」

咲「覚えてるけど、どうして私なの?」

淡「サキーの優しさに惚れたんだよ」

咲「ありがとう淡ちゃん。ふつつかものですが宜しくおねがいしていいかな?」

淡「こちらこそ宜しく!けどサキー、決勝は私が勝つからね」

咲「私だって負けないから」

淡「それにしても、記憶があるのって私達とクロとトキとテルだけだったよ。何でかな?」

咲「些細な問題だよ」

淡「そうだね。けど、なんで別の世界に飛ばされたんだろ」

咲「それは私にも分からないかな」

――――――

怜「うわ。淡と咲すごいな」

玄「淡ちゃんが一番咲ちゃんの側にいましたし当然じゃないですか?」

怜「それにしても玄」

玄「はい」

怜「ここ千里山のホテルやで」

玄「気にしないで下さい。いっしょに旅をした仲なんですから」

――――――

小蒔「ん……寝てました」

霞「小蒔ちゃん、決勝始まるわよ」

初美「にしても清澄と白糸台の大将はテレビに写ってるって分かってるんですかねー」

カン

お疲れさまです。
たくさんの支援ありがとうございました。

それでは。


淡「主人公は私」

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