『宮永 照を下し今大会を制したのはプロ二年目の大星 淡だー!』
照「おめでとう淡」
淡「まぁ、何回も何回も負けるわけにはいかないからね」
私には目的があるのだ。
高校のインターハイの時、私が一度も勝てなかったサキに会って話すという目的が。
『大星さーん! 優勝した気分は!』
『今の気分を一言!』
淡「えっ、ちょ、ちょっと待って! 私は話したい人が!」
『初めてのプロでの試合でしたがどうでしたかー!』
『宮永 照選手を超えた感想を教えてください』
あーもう! 鬱陶しいなー!
私は自分の優勝した姿をサキに見せつけたいのに!
心の中でインタビューに来る人たちに悪態をつきながら周りを見渡す。
見当たらない。右を見ても左を見てもサキの姿は見当たらない。
おかしいな。テルーの出てる試合にはいつも応援に来てたのに。
咲「お姉ちゃん負けちゃったね」
照「次は負けない、けど今日はもう寝る」
咲「あはは、ふて寝しちゃだめだよ」
テルーと楽しそうに話してるサキを見つけたけど、私の方なんて見向きもしてこない。
やっぱり私のことなんてサキは覚えてないのかな。
いや、覚えてないのが普通なのかもしれない。三年間で手の指で数えられるぐらいしか会ってないんだから。
淡「でもさ、少しぐらい覚えててくれてもいいじゃん……おめでとうの一つぐらいくれてもいいじゃん……」
結局サキは、私の方を一度も見ることもなくテルーと帰ってしまった。
テルーに近づけば、テルーを超えればサキは私の方を見てくれると思ったのにな……。
そういえば、サキって今何の仕事してるんだろ。気になるけど、話しかけることもできないし。
『大星さん! 今の気分は!』
淡「最悪だよ……あ」
気づいたときには遅かった。思ったことをそのまま口走ってしまった。
高校の時あれほど先輩たちから注意を受けていたのに。
『それはどういう意味ですか!?』
『宮永 照が弱くてがっかりしたということですか?』
淡「いや、そうじゃなくて! テルーは強くて楽しめるから!」
落ち着けって私! もしこれが問題でプロを辞めさせられたらサキと会うことなんて夢のまた夢になっちゃうよ!
淡「えっと、最悪っていうのは会いたい人に会えなかったっていうか」
淡「いや、会えたんだけど、話せなかったから最悪って言っちゃったみたい……な?」
『会いたい人……?』
『それは誰でしょうか?』
あー! なに言ってんだ私!
淡「ごめん、さすがにそれには答えれないからこれで帰らせてもらうね!」
強引にインタビュアーの間を抜けて急いで自分の控室に戻る。
ニュースになったらどうしよ……。
やっぱり私の会いたい人……サキのこと突き止めたりしてくるのかな。
淡「うー、サキに迷惑かけたくないよ」
軽い自己嫌悪に陥りソファーに寝転ぶ。
もし、サキの仕事に支障がでたらどうしよう。
サキに嫌われたらどうしよう。
淡「会いたい……逢いたいなー」
そして、色々話したい。
とりあえず話したい。麻雀のことからまったく関係のないプライベートなところまで。
結局私は、サキとの結婚生活を妄想しているといつの間にか寝ていた。
しばらく時間が経つと人間とは落ち着いてくるものなのだ。
いつまでもここに居るわけにもいかないし帰ろう。
淡「いつかサキと話せるかなーっと!」
咲「え……」
淡「え?」
勢いよくソファーから起き上がった私の目の前に立っていたのはサキだった。
もしかして、聞かれてた? いやいや、そんなことよりなんでここにいるの?
淡「……なんだ夢かもう一度寝よう」
普通に考えてサキが私の控室にいるわけないのだから。
咲「あの、寝ないでもらってもいいですか? ここ掃除しないといけませんから」
淡「そ、掃除? 私に会いに来たんじゃないの?」
咲「?」
意味が分からないって顔でこっちを見てくるサキ。
……本当に覚えられてないんだ私。
淡「……わかりましたよ。出ていけばいいんでしょ出ていけば!」
イラついた。本気でイラついた。
私のことを覚えていてくれてないサキにイラついた。
こんな気分になるなら優勝なんてしなければよかった。
少しでも私のこと覚えていてくれてるんじゃないかなって思ってた方がよかった。
あー……あ゛ー……。
目の前が霞んでしまう。別に泣きたいわけじゃないのに。
淡「てかさ、別に泣いてないし! サキに覚えられてないのが分かって悲しんでるわけじゃないし!」
照「なに一人でぶつぶつ言ってるの?」
淡「うわ、テルー……」
テルーに捕まった私は無理やり泣いていた理由を言わされた。
照「……咲が淡の控室入ったのいつか知ってる?」
……いつなんだろう。起きたら目の前にいたし。
淡「わかるわけないじゃん」
照「一時間前。 一時間前から咲はその部屋に入ってたよ」
淡「どうせ、部屋の掃除でもしてたんでしょ。それでソファーが掃除できないから……」
照「そもそも、咲はここで働いてない」
淡「はぁ? でも掃除するって言ってたよ」
照「照れ隠しじゃない? だって咲の部屋には淡が写ってる写真があるし」
私が写ってる写真? 照れ隠し?
照「咲が淡のこと忘れてるわけがない」
私のことを忘れてない?
照「大体、咲は私の応援に来てたわけじゃなくて」
淡「私の応援に来てたの?」
照「まぁ、あとは頑張って。 ただし、もし付き合えたとしても」
照「私が認めるまでお互いキス以上の行為は禁止。 それじゃ私は帰るから」
淡「ちょ、ちょっと待ってよ! その話本当に信じてもいいの?」
照「信じたければ信じればいい」
そして、テルーの言ってることが本当だとしたらサキが私に冷たくしたのは照れ隠し。
つまり、サキはツンデレってやつかな。クールなツンデレ? よくわかんないや!
でもそんな些細なことは今はどうでもいい。
サキを思いっきり抱きしめたい。
……なんだろ私、情緒不安定な気がしてきた。
淡「サキ!」
さっきまで私がいた控室を勢いよく開ける。
咲「なにかようですか?」
表情は至って冷静で、自分の内心を悟られないようにしているように見える。
サキのポーカーフェイスも困ったものだ。 私ぐらい表情に表れればいいのに。
淡「そんな冷静なフリしてももう意味ないよ。 だって私見たからさー」
淡「サキが私の寝てたソファーに寝転んでたの」
実際は見ていない。でも、私の予想だとサキならしてる。間違いない!
咲「み、見てたの?」
淡「もちろん。サキも変態だよねー」
咲「う……ぁ……えっと…その……」
みるみる内にサキの顔が真っ赤に染まっていく。
もう少しキャラを似せる努力しようよ
>>24
すまぬん
私もさっきまでこんな感じで顔色変えてたんだろうなーと思った。
咲「私、帰らせてもらいます!」
淡「はいストップー」
淡「なんでさ、逃げようとするわけ?」
咲「だって、大星さんに私が実は好きな人の香りを嗅ぐ変態ってばれたから……」
淡「大星? いつも妄想の中で呼んでるだろう淡ちゃんでいいよ」
淡「それにさー、それぐらい普通なんだよね。そしてサキより実は私の方が変態なんだよね」
淡「私はサキとの結婚生活妄想したり? 大人の行為的なこと想像したりしてるし?」
咲「そうなんだ……」
淡「まっ、それは置いといて。サキに聞きたいんだけど」
淡「私みたいな変態とでも付き合っていける自信ある?」
咲「淡ちゃんとならいくらでも付き合えるよ! こっちからお願いしたいぐらいだよ!」
めかん
このSSまとめへのコメント
キャラ似せるもなにも淡が甘えたりしてるような描写ないし、咲の心理描写だって原作に書かれてないのに
咲が出るSSはとりあえず叩けみたいに考えてるだろ