P「まずは相手を探さないとな」
小鳥「結婚願望あったんですか?」
P「まあ人なりに」
小鳥「でもいいんですか? みんな学生ばっかりですけど」
P「そうですねぇ。付き合ってる奴ならたくさんいるんですけどね。
やっぱり結婚となると色々難しいですよね」
小鳥「え?」
P「え?」
小鳥「付き合ってる子がいたんですか?」
P「まあ……。そりゃいるでしょ」
小鳥(ちょ、何当たり前みたいに言ってるの?)
P「やっぱ結婚相手は一人にしぼらないと駄目ですよね」
小鳥「あの……」
P「はい?」
小鳥「一体誰と付き合ってたんですか?」
P「全員」
小鳥「え?」
P「765プロのアイドル全員ですよ。律子や社長も含みます」
小鳥「」
小鳥(全員って……どんだけ見境ないの?
それに社長までって……バイだったんですか?)
P(少し違いますね。社長は利用しただけです)
小鳥(ちょ……!! 心の中に直接!話しかけてきた!!)
P「さらっと言いましたけど、全員と付き合うのって大変なんですよ?
特に律子を懐柔するのが大変でした」
小鳥「最近美希ちゃんと千早ちゃんがよく口喧嘩てましたけど、
あれってPさんが原因?」
P「はい。どっちが俺と婚約するかで争ってるんですよね。
婚約届押し付けられちゃって困りましたよ。はは」
苦笑というより、孫の話をする世話好きの老人ような笑みだった。
小鳥(うそ……この人には罪悪感て言葉がないの?)
P(はい)
Pはお茶でも淹れますよ、と言って洗い場に言った。
鼻歌を歌いつつ、手慣れた様子で二人分のコーヒーを用意する。
P「どうぞ。砂糖は少なめでよかったですよね?」
小鳥「あっ……どうも」
こうしてると、紳士にしか見えない。
礼儀正しく、仕事もきっちりこなす若手P。
彼のすんだ瞳のどこにクズ的要素が潜んでいるのか。
小鳥は本気で疑問に思ってしまった。
もしかしたら、さっきまでの話はジョークの類ではないのかと。
P「最初に付き合い始めたのは雪歩でした」
小鳥「雪歩ちゃん?」
P「はい。あのお父さんが怖い感じの雪歩です。
雪歩を最初に選んだのは単純な理由ですよ」
――昔あこがれてたアイドルに容姿がそっくりだったから。
Pはそう言ってコーヒーカップに手を伸ばした。
P「胸もけっこうでかいですしね」
小鳥「……」
P「失礼。少し下品でしたね。とにかく雪歩は俺の理想と
思われる少女でした。現実は少し違いましたが」
小鳥「どういう意味?」
P「最初に言っておきますが、雪歩は悪くないんですよ?
悪いと言えば美希や真美ですね」
小鳥「誘惑されたとか?」
P「それもありますが、存在そのものが俺を誘惑してますよね。
美希は俺にぞっこんだし、真美は雰囲気が少し大人びてきました」
小鳥「いやいや、意味分かりませんよ。それだけの理由で浮気したんですか」
P「はい。一度俺の部屋に連れ込んだら、
なんかそういう関係になってしまいました」
小鳥「駄目じゃないですか……。
雪歩ちゃんが怒るんじゃないですか?」
P「実は今日ばれちゃったんです」
小鳥「はい?」
P「雪歩に美希や真美と付き合ってることがばれたんです」
小鳥「ええええ!!」
P「昨日家に帰ったらですね、お風呂場でリスカしてる雪歩を目撃しました。
俺は困惑し、パンツを脱ぎながら救急車を呼びました。はは」
小鳥「笑い事じゃないですよ!! 今雪歩ちゃんどうしてるんですか!!」
P「普通に入院してますよ。メンタルの方がやばいそうで
数ヵ月は仕事に復帰できないそうです」
小鳥「よくそんな平然と言えますね」
P「これでもPやってますからね。精神的には鍛えられてるつもりです」
小鳥「てゆーかPさんのやってることって犯罪ですよね?」
P「まあギリギリセーフじゃないですか? 結果的に死んでないですし」
P「言っておきますけど、自殺未遂した理由は他にもありますからね」
小鳥「え? まだあるんですか」
P「伊織から八千万奪おうとしたのがばれたんです。
二人の新居にちょうどいいマンションがあるからって
適当な嘘ついたら本気にされちゃいました」
小鳥「どんだけ腐ってるんですか」
P「返す言葉もありません」
小鳥「どうするつもりですか?」
P「今日は早上がりだから病院に直行っすかね。
雪歩も俺に会えなくてさみしがってるし」
小鳥「私も行きますからね」
P「おっ、助かりますね。やっぱお見舞いは独りより二人が良いですよね」
小鳥「ちょうど上がりの時間ですね」
P「じゃ、逝きますか」
逝きますか。それが誤変換じゃないことを、小鳥は思い知ることになるのだった
~病室にて~
雪歩「P!! よかったちゃんと来てくれて!!
いつまで待っても来てくれないから見捨てられたのかと……」
P「はは。俺が雪歩を見捨てるわけないじゃないか。
つまらない勘違いで迷惑かけちまったからな」
小鳥「雪歩ちゃん、思ったより元気そうで安心したわ。
見舞いの品はこっちに置いておくからね?」
雪歩「わあ、おいしそうなフルーツ。小鳥さんまで
来てくれるなんてうれしいですぅ」
小鳥(あの子、けっこうハイテンションですね?)
P(それはそうでしょう。なにせ自殺未遂までしたんですよ?
色々と精神的にきてるんでしょう)
ベッドサイドのラジオの横に、さりげなく置いてある婚約届。
Pは前回の衆院選で完敗した民主党の閣僚のような顔をした。
当たり前だが、雪歩はPとの結婚を諦めてないのだ。
付き合うのではなく、『結婚』である。
雪歩「お父さんが言ってました。夫婦生活には忍耐が必要だって」
P「そうなのか」
雪歩「だから今回のことは気にしなくていいですよ?
お父さんにはうまく話をしておきましたから。
さっきまで御付の人がたくさんいたんですけど、
事情を話したらすぐ帰ってくれました」
P「四行で話すと読者が読みづらいからね?」
雪歩「すみません……。つい」
小鳥「雪歩ちゃん、本気でPと結婚したいと思ってるの?」
雪歩「そうですけど?」
――どうして当たり前のことを訊くんですか?
雪歩の瞳はそう答えていた。小鳥の背筋に悪寒が走る。
P(やべえ。別れ話しづらい雰囲気だぞ)
小鳥(はいぃぃ? この状態で雪歩ちゃんを振る木ですか?
この人でなし!!)
P(怒鳴らないでくださいよ!! 勃起するじゃないですか!!)
雪歩「二人とも小声で何話してるんですか?」
小鳥「な、何でもないのよ?」
雪歩「それより早く婚約届に判押してください。
Pのところは全部記入済みですよ?」
P「おっと、そろそろ面会時間も終わりか」
雪歩「え?」
P「いや、だから時間だよ。もう帰らないと」
小鳥「ま、また明日ね雪歩ちゃん」
雪歩「まっ……!!」
看護師「萩原さん。検温のお時間ですよ?」
逃げるように去る俺たち。入れ違いに担当の看護師が入ってくれて助かった。
いずれにせよ、俺は雪歩から逃げ切るのは難しいと言うことが分かった。
さすがに自殺未遂までされちまったんだ。こうなったら覚悟を決めて、
本気で雪歩との結婚を考えたほうが良いのかも?
P(でも、その前に春香との半同棲生活を何とかしないとな)
普通なら家に帰れば春香が待ってくれたりするのだが、
社長「今日は帰りが遅くなったじゃないか君」
全裸の社長がスタンバイしていた。
目が血走っており、フルボッキしている。
P「ちょ」
社長「はぁはぁ……わ、わしはもう……待ちきれなかったんだぞ?」
P「うわああああああああああ!!」
アッーーーー!!
パコーン
社長「う、うううむ?」
何者かにフライパンで頭を叩かれ、意識を失った。
社長め、なんで俺のアパートで待機してたんだ?
伊織「馬鹿ね。感情的に襲おうとしたって意味ないのに」
P「い、伊織……。助けてくれたのか」
伊織「さすがに黙ってみてられないでしょ。
それより、よくも私を騙そうとしてくれたわね。
あと一歩でほんとにお金振り込みそうになったわよ」
P「ぐぬぬ……。やっぱ怒ってるよな。
どうすれば許してくれる?」
伊織「そうねぇ。雪歩と別れてくれたら」
P「」
P「冗談はたくさんだ。今日はもう遅いから帰りなさい」
伊織「冗談なんかじゃないわ!! あんた、八千万円を雪歩との
結婚資金にしようとしたんでしょ?」
P「まあ大体あってるよ。お金って大切だからな」
伊織「とっくに雪歩には飽きてるくせに。
なんで今更結婚しようと思ったのよ?」
P「千早や美希と別れないと殺し合いに発展しそうだったからだよ。
いっそ雪歩と婚約したほうが丸く収まるかなって」
伊織「あんた……馬鹿でしょ?
そんなふざけた理由で結婚したって長続きしないわよ」
P「うぅ……。でも雪歩のことは嫌いじゃないんだ」
伊織「は?」
P「え?」
伊織「……」
P「ちょっと、なんで黙るの?」
伊織「意味わかんないわ。雪歩と別れたいの? 別れたくないの?」
P「どっちかというと別れたい。けど諦めるしかないかって」
伊織「そんないい加減な気持ちでいいと思ってんの!?」
P「分かってるよ!! でも俺だって手を伸ばしすぎて収集がつかないんだ!!
まじで仕事にも影響してるし、どうすりゃいいんだよ!!」
伊織「はぁ? このタイミング逆切れとか信じられないわ!!
あんたそんなんだから社長に襲われたりするのよ!!」
P「しゃ、社長のことは言うんじゃない!!」
ピンポーン
P・伊織「!!」
春香「こんばんわー。夕ご飯作りに来ましたぁ。
今日は誰と喧嘩してるんですか?」
P「あ、あわわわわ」
伊織「ど、どうすんのよ? 春香怒ってるみたいじゃない」
春香「あっ、伊織ちゃんだったんですね」
伊織「……!!」
あの伊織が気圧されてる。信じられん光景だが、俺が散々浮気を
繰り返してきたから仕方ない。
春香「今度は伊織ちゃんが好きになったんですか?」
P「ち、違う。伊織がここにいるのはたまたまだ」
伊織「用事を思い出したわ。それじゃ……」
春香「待ってよ伊織ちゃん。逃げるなんて卑怯だよ」
伊織「うっ……」
春香「社長が全裸で横たわってることもあわせて、
ちゃんと理由、聞かせてもらえますよね?」
P「ああ、そうだな。たしかにこんな状態じゃ春香が怒るのも当然だ。
じゃあはっきり言うぞ? 伊織は俺の浮気相手なんだ。
時間さえ見つければ伊織と会ってキスとしてた」
春香「へー。そうだったんですか」ギロ
伊織「ちょ……」
春香「さようなら、伊織ちゃん」
P(名誉の犠牲だな。伊織よ。おまえのことは忘れない)
社長「君たち待ちたまえ!!」
P「おっ。まだ息があったんですか?」
社長「うむ。これでも伊達に零細事務所の社長やってないからね。
そんなことより、アイドル同士で殺し合いとかよくないと思うな」
春香「よく言いますよ。あなただってPの不倫相手の一人なんでしょ?」
社長「うむ。うほって感じの関係だ」
P「おい」
伊織「社長が一方的に襲ってるだけじゃない。
ちょっとPが優しくしただけですぐ勘違いするんだから」
春香「男の人同士とか気持ち悪いですよ。不潔です」
P「いやー、まったくだよね。千早に知られたら殺されそうだよ」
春香「なぜそこで千早ちゃんが?」
P(やっべ、墓穴掘ったか?)
春香「そういえば、千早ちゃんが面白い話してましたよ?
Pさんと婚約まであと一歩だとか。
春香はあの人にふさわしくないから諦めなさいとか」
P(あのばか!! そんなこと言ってたのか!!)
社長(え? Pってわしと結婚するんじゃなかったの?)
ちょっと用事があるから席外す。悪いね
もどったああああ
その後、適当な嘘をついて伊織が俺をたぶらかした
ということにし、粛清対象となった。
春香「じゃあね伊織ちゃん」
伊織「いやあああああああああああ!!」
P(最後まで勇敢だったな伊織。立派だったぞ)
社長「……おいおい。うちの事務所はどうなっているんだね!!
こんなんじゃ明日からの仕事にも影響するじゃないか!!」
春香「あなたもですよ、社長?」
社長「え?」
春香「あなたもPを襲おうとしました。同罪です」
社長「ぬっ……ぬわああああああああああ!!」
ドラクエ5のパパスみたいな断末魔を上げて吹き飛んだ。
今日はよく人の吹き飛ぶ日だな。
P「春香……夕飯の前におまえと愛し合いたい」
春香「こんな時間にですか?」
P「いいだろ? 俺と春香の愛を確かめたいんだ」
春香「んっ……」
そっと春香の胸に手を伸ばし、軽く愛撫した。
春香「もうっ……Pさんったら……」
ああ、なんてすばらしい時なんだ。
抱き合ってる。密着してる。鼓動すら感じるこの距離。
何もかも忘れられるこの瞬間こそ『生きてると実感できる時だ』
ベッドに押し倒し、熱烈にキスした。
絡み合う舌、熱い吐息。
春香「Pさん……少しくるしい……」
P「春香っ……春香っ……」
春香「なんて情熱的なキス……まるで……
サバンナを駆けるシマウマのようです……」
春香「んんん……!!」
胸をぎゅっとと触って顔を埋めた。
春香、少しだけ汗かいてる。それに顔も真っ赤でドキドキしてるみたいだ。
俺も同じ気持ちだよ。
春香を抱いたのは好きだからさ。
好き。この気持ちだけで突っ走れるのは愚か者のすることだろうか。
春香「……焦らさないで早くして」
P「ああ、分かってるさ」
あとはイクときまでいったさ。細かいことは描かなくても大体分かるだろ?
隣で寝てる社長と伊織のことなんて気にならないほど、燃え上がったよ。
楽しいときは風船みたいに一瞬で弾けちまう。
思い出すよ。ソビエト時代にKGBの訪問を受けた時の緊張感を。
千早「あなた。美希がまたおかしなことを言ってて困ります」
美希「千早さんこそいい加減にするの。ハニーと結婚するのは
美希だって何回も説明してるのに」
P「」
翌朝の事務所は軽く修羅場ってた。
春風が吹くようにさわやかな修羅場だ。
やよい「プロデューサー。あの二人をなんとかしてくださいよー」
P「いやね、これはちょっと大人の問題だから、な?」
やよい「私にはまだ早すぎるってことですか? お兄ちゃん」
小鳥(お兄ちゃん!?)
伊織(あのバカ……やよいにまで手を伸ばしてたの?)
新たなる浮気相手の出現に、事務所に緊張感が走る。
P「あわわわ」
社長「きみぃ。高槻君の年齢を考えたまえよ!!
未成年に手を出して許されると思ってるのか!?」
ドゴオオオン
社長の拳が机に降ろされる。
なにかっこつけてキレてんだよ。ウホ系のくせに
やよい「Pは恋に年齢は関係ないって言ってました」
社長「なんだと!? なんて淫らな関係だ!!
Pがこんな男だったとは信じられんよ!!
罰として私と結婚し……」
春香「はい。ちょっと黙りましょうね」
ブオオオオオン!!
社長「ぬわああああああああああ!?」
ジャイアントスイングされた社長。ゴールは窓の外の世界だった。
春香「やよい。冗談は寝てから言ってほしいよ」
やよい「えー、どうして春香さんにそんなこと言われないといけないんですか?」
小鳥(なあ……? まさかの対立?
あの二人って特に無害そうな性格だったのに)
P(最近の子供はキレやすいですからね……はは)
伊織(笑ってる場合? あんたが原因でしょうが!!)
P(わーってるよ。ちょっと仲裁してくるから待ってろ)
やよい「プロデューサー。ちょっと早いけど、これ受け取ってください」
P「」
ヴァレンタイン用に用意された『本命チョコ』でした。
疑問はいくつもある。
なぜこのタイミングで、修羅場ってる状態で、直接渡す?
社長「待ちたまえよ君たちぃ!! アイドルとPの恋愛は断固禁止するぞ!!」
やよい「うっうー……ホモ野郎は黙ってろです」
社長「なっ……? ぐあああああああ!!」
P「ありがとな、やよい。たとえ義理でもうれしいよ」
やよい「? 本命に決まってるじゃないですか。
Pは将来お婿さんになってくれるんですよね?」
P「」
足りない頭をよく振り絞って考えてみた。
そうだ。あれは先月だったか。かすみちゃんを見にやよいの家に
遊びに行ったんだが、夕飯を一緒にした後にやよいといい関係になっちまった。
だってあの家って両親の帰りが遅いんだもん。
誰だってこうなるよな?
美希「ふざけるな、なの」
千早「まったく、Pったら好きでもない女にすぐ優しくするんですから」
美希「またその言い方。まるで自分がハニーの本命みたいな言い方するの」
千早「だって事実でしょ?」
伊織(まじでどうすんのよこの修羅場)
P「さて。そろそろ営業にでも行くか」
社長「逃げられると思ってのかね君!!
自分でまいた種だ!! 最後までしっかり面倒みたまえ!!」
P「ぐぬぬ……。変態のくせに偉そうに」
千早「この婚姻届に必要事項を記入してください」
P(そんなことしたら雪歩がまた自殺未遂しちゃう……!!)
美希「千早さんの妄言は気にしなくていいの。ハニーは
美希のことだけ見てくれるって言ってたもんね?」
P(え? 俺そんなこと言ってたのかよ。みんなに甘い言葉
かけてるから覚えてねえし)
貴音「あなた達。喧嘩はその辺にして早く仕事場へ向かいなさい」
美希「むー、だって千早さんが」
律子「貴音の言う通りよ。仕事失ったらPとも会えなくなるんだからね」
やよい「うっうー」
千早「仕方ないですね」
春香(遊ばれてるのに気付かないなんて、千早ちゃん達バカみたい)
P(もはや事態を収拾できない俺、バカみたい)
社長(バカどもが。Pのケツは私だけのものだ)
そんなギスギスした毎日を送る日々。
地道な努力と裏金をよく織り交ぜ、
今やほとんどのアイドルがBランクを超えた。
世間的には一流のPだったけど、恋愛関係はグダグダだった。
はっきり言って今の関係が公になったら首になってるだろう。
律子「まったく……あなたは飽きやすい人なんだら、
みんなと付き合って上手くいくわけないでしょ?」
P「ああ、自分でもバカだったと思ってる。迷惑かけてすまないな」
美希や千早を売り出すと金になるので、テレビ局にも
積極的に売り出すことにした。
固定客がけっこういるので、当分売り上げに困ることは亡くなった。
P「なんていうか、すまんかった」
律子「早く美希達を説得してくださいよね」
貴音「……」
P「……ん? どうした貴音?」
これ、最後までやるよね?
>>71 うん(たぶん)
ーーー
貴音「あなた様は本当に好きな女性がいるのではないのですか?
初めからアイドルの中に本命なんていないのでは?」
P「ほう。なぜそう思うんだ?」
貴音「雪歩と付き合うきっかけが、憧れてたアイドルに似ていたからだと」
P(これは……)
するどい質問だと言わざるを得なかった。
Pが初めてアイドルに憧れたのは小学生高学年の頃だった。
あの頃はよかった。夜テレビをつければ、当たり前のように
アイドルの歌番組があった。
華やかなステージに立って歌う女性アイドル。
憧れだった。
ーーーー
親父「ちょっとPC貸してくれ」 俺「分かった」 (すまん。すぐ戻る)
ああああああ 戻ったあ!!
ファンにとってアイドルとは「偶像」である。
神聖にして犯すべからず。そういう存在だ。
いつか生のコンサートに行ってみたいと思っていた。
Pが中学に上がるころ、あこがれの人は結婚して引退してしまった。
(そうか。アイドルだって人間だもんな。普通に恋愛して結婚もするよな)
当たり前のことを理解するのにずいぶん時間がかかった。
失意の底から立ち上がったPは、また新たなアイドルを発見し、
ついにファンクラブにまで入ってしまった。
律子「親衛隊、会員番号000」
貴音「なんと、本当にアイドルの追っかけをしていたとは」
P「あの子は素晴らしい才能の持ち主だった。
前年に引退した、あのアイドルの後釜と期待されてたんだ」
貴音「その方は今?」
P「天国から俺たちを見守っているよ」
律子「その人って、○○ユキコさんですか?」
P「よく知ってるな。彼女の自殺の原因は業界じゃタブー視されてる。
二度と会えない存在。それでも俺は……今でもあの人のファンなんだ」
貴音「その方の歌う姿を見てるときは、
ソビエト時代の苦痛を忘れられたのですか」
P「ああ、癒しだったよ。俺は愚かなことに、あの人の代わりを
自分のアイドルに求めようとしてしまった。……大馬鹿だよ」
貴音「雪歩と少し名前が似てるのですね。面影を感じたのですか?」
P「まあな……。繊細な性格はそっくりだと思うが」
伊織「だったら、なんで雪歩と結ばれなかったのよ!!
あの子は自殺未遂までしたのよ?」
P「だって……ぐすん……真美が……真美が悪いんだ……」
貴音「なぜそこで真美の名前が出てくるのですか」
律子「まさか真美が誘惑したからとか言う気じゃないでしょうね?」
――そうだけど? 顔でそう答えたら、ぶん殴られた。
P「待て待て!! いきなり殴られたびっくりするだろうが!!」
律子「あんたが悪いんでしょ。真美がいくつだと思ってるの」
P「し、しかし……一緒に仕事してると自然とそういう関係に
なるんだって!! それに最近妙に色気づいてるじゃないか!!」
貴音「確かに真美も男性を意識する年頃ですね」
伊織「その辺が亜美とはちょっと違うわよね」
P(もちろん亜美にも手を出してるけどな)
小鳥(Pさん……底なしのクズですね)
律子「浮気ばっかり繰り返してんじゃないわよ。
どうしてこんな男が愛想突かされないのか不思議だわ」
P「ぐぬぬぬぅ……その通りなので言い返せん」
伊織「雪歩は一途なのよ。Pと結ばれたいと思ってんのよ。
あんたって無駄に競争率高いじゃない」
貴音「雪歩の元を離れたら美希や千早とくっつきそうです」
P「も、問題は、俺の気持ちがよく分からないということだ」
律子「誰とも結婚するつもりがないってことですか?」
P「そんなところだ。あやふやな気持ちで結婚したって失敗するだろう?」
貴音「社長にまで手を出してるのには驚きました」
P「いや、なんつーか、ちょっとした女性不振になっちまってな。
あの頃は俺も若かった」
律子「まあおかげで首にならずに済んでるんですけどね。
これだけアイドルを傷物にしてるんですから、
普通なら即解雇でしょう」
P「いざとなったら社長の欠の穴を掘ってでも首を繋いでやるさ」
伊織「なにかっこつけて言ってんのよ」
貴音「頼りになるんだかならないのかよく分からないPですね」
真美「兄ちゃん。今日はバレンタインですよ?」
P「お、おう」
真美「なにあせってるの? はい。本命のチョコ。受け取ってくれるよね?」
P(なにこの展開? もうやよいとかすみちゃんから貰ってるから
これ以上もらえないんだけど。立場的に)
真美「兄ちゃん?」
P「真美……。すまんがもう終わりにしよう」
真美「……?」
伊織・小鳥(えええええ!! まさかの急展開!?)
P「突然こんなこと言ってすまないと思ってる。
でも聞いてくれ。真美と普通の関係に戻りたいんだ」
真美「どーゆーこと?」
P「俺は……真美のこと守ってやれそうにないんだ……」
真美「なにそれ……別れたいってこと?」
俺は静かに首を縦に振った。
真美は絶句し、俺が冗談じゃないことを知ると震え始めた。
P「ていうのは冗談だ」
真美「へ?」
P「実は俺の本命は伊織だったんだ。
悪いけど別れてくれないか?」
真美「いおりんと……? うそでしょ。いつの間に兄ちゃんと?」
P「実はずっと前から影で付き合ってたんだ。隠しててごめん」
伊織(ちょ!? なんでいっつもあたしが悪者に!!)
真美「ひどいよいおりん……。真美のこと、応援したいって言ってたのに」
社長「まったく酷いアイドルだね。仲間を裏切るとか信じられないよ」
P「本当にごめん。真美のこともてあそぶような真似しちゃって。
伊織にやれって言われたから仕方なくな……」
伊織「いやいや、あんた達ちょっと待ちなさいよ!!」
小鳥「騙されちゃ駄目よ真美ちゃん。Pさんは全員と浮気してるんだから」
真美「え……? どゆこと?」
社長「我々が確認してるだけでも、テレビ局やレコード会社の人
も含まれてるらしい。中には所帯持ちの男性も入ってるとか?」
P「まあケツ堀り要因っすね」
伊織「アッーーー!!」
社長「高槻君の妹さんにも目がなかったらしい。
自分の妹の様に可愛がってるそうだ」
P「俺って子供の面倒見が良いんですよね」
貴音(それはロリコンの言い訳なのでは……?)
真美「兄ちゃんは最低だよ。うわきもの」ウルウル
P「……」ボッキ
真美「真美のこと遊びだったんだね」ウルウル
P(まあな。今頃気づいたのか?)
といったら泣かれちゃうので、大人らしくやんわりと言い訳した。
P「真美と付き合った頃には十人くらいと交際してたかな。
そのうち半同棲状態だったのが二人。相手のマンションに
よく遊びに行ったよ。もちろん朝までな」
真美「あ、朝までって。それって……」
社長「ちなみに彼はわしの家にも遊びに来たことがある」
P「そうっすね。社長の奥さんと仲良くお茶してました」
社長「な、なにぃ!!」
P「あっ、勘違いしないでくださいね?
興味があるのは社長の娘さんですから」
社長「き、君は危険だ!! それ以上ふざけたことをぬかしたら
警察に通報するぞ!!」
P「いいですよ? そしたら獄中で阿部さん祭りですね」
貴音「アッーーー!!」
小鳥(あとで雪歩ちゃんにこのこと知らせちゃお)
今日も仕事帰りに病院に通うP。
最近は奇跡的に終業が早いのだ。
ロビーには見慣れた少女がいた。
春香「Pさんも来てたんですか?」
P「おまえこそ。雪歩のこと、心配してくれてるんだな」
春香「だって仲間じゃないですか」
P「そうだな。仲間だからこそ、今日でけりをつけよう」
春香「けり……ですか?」
P「ああ。俺の身の振りようについてな。
雪歩にはっきり伝えてやる」
ガラッ
雪歩「ひっ!!」
P「驚かせてすまないな。俺だ。今日は春香もいるぞ?」
春香「寝てるとこ起こしちゃってごめんね、雪歩?」
雪歩「こ、来ないで!!」
急に身構える雪歩。猛獣におびえるペットのようだ。
一体何があったのか。
春香「なにその態度? もしかして警戒してる?」
雪歩「春香ちゃんは……私からPを奪おうとしたじゃない。
早くPから離れて」
春香「まーたそんなこと言ってるんだぁ。バッカじゃないの」
ズゴオオオオオオオン
パンツァーファウストが、わが軍のT34(戦車のこと)の側面を貫いたような音。
春香のケリがイスを吹き飛ばしたのだった。
面会者用のイスなのに……。
春香「雪歩。Pさんのこと諦めなさいよ」
雪歩「い、嫌ですぅ。私とPは結婚を誓い合った仲なんですぅ」
春香「ふーん」
この不良少女は……誰だ?
P「まて春香、落ち着け!! 相手は病人だぞ?」
春香「分かってますよ。だから本人には手を出してないじゃないですか」
雪歩「暴力には屈しませんよ?
誰がなんと言おうとPと結婚します」
P(あっ……そんな真剣な顔されると……)ボッキ
春香「雪歩ってなんにも知らないおバカさんなんだ?
Pは雪歩以外にもたくさん愛人がいるんだよ?」
雪歩「あい……じん……?」
ICレコーダーを取り出す春香。
今日の事務所での会話が正確に記録されていた。
『あっ、勘違いしないでくださいね?
興味があるのは社長の娘さんですから」』
雪歩「こ……これは合成ですよ!!」
春香「本物だよ。小鳥さんや律子さんだって聞いてるんだからね」
P(……ばれちゃったか)ボッキ
春香「私ね、Pさんと同棲してるから」
雪歩「……!!」
まさに一触即発。修羅と化した病室である。
雪歩「嘘ですよね?」
俺に聞いてるの?
春香「本当だよ」
雪歩「春香ちゃんには聞いてないです!!」
春香「……」ムカ
P「俺は……俺は……俺の本命は……!!」
>>102 が本命だ!! (試験的にアンカ。ストーリーとは関係ないから安心して)
みんな
P「アイドルたちは俺の娘たち。
つまり。上下なんてつけられない。そう。家族みたいなもんだ」
春香「?」
雪歩「すみません、ちょっと意味が分かりません」
P「この際だからはっきり言うけどさ、全員と付き合ってたし、
嫌いな奴なんて一人もいないのよ。こんな俺だけど、結婚してください」
雪歩「いいですよ?」
P「いいの!?」
雪歩「そのかわり、今まで付き合ってた人ときっちり別れてもらいますけど」
春香「……」ギロ
雪歩「どうしましたか? 『その他大勢』の春香ちゃん」
春香「ふーん。雪歩の入院期間が延びるかもね」
P「」
さらに修羅場になっちまったぞ
P「あー、突然だが、あずささんを振るのは難しいかもしれん」
春香「大人だからですか?」
P「おう、なんかあっちは本気で結婚まで秒読みだと思ってるらしい」
雪歩「なんですかそれぇ……」
P「いやぁ、胸が大きいから前から憧れてたんだよね」
雪歩「胸……? Pは胸が大きい人が好きなんですか?」
P「え?」
雪歩「さっき私に求婚してくれましたよね……?
私、もっと胸が大きくなったほうが良いですかぁ……?
そしたらあずささんのこと見なくなりますか……?」
P「あーあー、そういうのじゃないから。
いくら胸が大きくてもあんな方向音痴、こっちから願い下げだ」
あずさ「あはー」
P「え」
あずさ「話、全部聞いちゃいました」
小鳥「心配だから見に来ましたよ、まったく世話の焼ける人なんだから」
ふろたいむ
我帰還せり
P「なら話は早い。あずささん。俺の言いたいこと分かりますよね?」
あずさ「ええ、大体わかりますよ」
P「あはは。それならよかった。あははは」
あずさ「あはー」
P「……」
あずさ「死んでくださいね?」
やっぱりそうなるか。とつぜん飛びかかってきたあずささんを交わす。
P「あぶないですよ?」
あずさ「制裁の必要があるでしょう?」
P「小鳥さんも止めてくださいよ」
小鳥「んー、ぶたれてもしょうがないかなって」
P(この鳥が……。俺を助けに来たんじゃなかったのか。
あとで犯してやる)
雪歩「お見舞いの品は頂きましたから、あずささんと小鳥さん達は
帰ってくれますか?」
あずさ「あらあら、これは言ってくれるわね」
春香「雪歩。あんたさぁ、自分の立場が分かってる?
一度Pに捨てられたくせに何偉そうにしてんの?」
雪歩「将来夫婦になるんですから、気持ちがすれ違うことだって
あります。でも私たちはどんな壁でも乗り越えますから」
P(なにこれ? 結婚を前提にしてらっしゃる?)
小鳥(Pさんは熱心に雪歩ちゃんを口説いてましたもんね)
P(そんなの昔の話ですよ)
春香「雪歩知ってる? 私ね、Pさんと何度も寝たんだけど」
雪歩「……!!」
あずさ「最近の子は淫乱ねー。でも一番いけないのは……」チラッ
尋常じゃない殺気。Pは全身の毛が逆立った気がした。
ライオンに追われた獣のように逃げ出してしまうのだった。
勝手な行動だが、彼は基本的にチキンなので問題の解決など
できやしない。後ろから小鳥が追いかけてくるが、振り返らず帰宅した。
P「ふぅ、今日も疲れたぜ」
今日は誰も来る予定がないので気が楽だった。
夕飯がコンビニ弁当なのはさみしい限りだが、さっさと済ませてしまう。
パソコン台の前に立ち、いつもの動画サイトを立ち上げる。
~~♪♪
古いアイドルの映像だった。今見れば完全に時代遅れ。
彼が生まれる前に流行したアイドルだった。
P(ふふ、やはりあの子は最高だ……。最高に輝いてるぜ)
ギギィ
背もたれにもたれかかり、イスがきしむ。
まさに憩いの時間だ。結婚するとこういう時間も
減るのかと思うと、さみしかった。
ヘッドホンを装着したまま、二時間近くそうしていた。
なにげなく携帯を見ると、雪歩から着信が多数あった。
P「雪歩か、出られなくてごめんな。ちょっと疲れたから寝てたんだ」
雪歩「いえ、私の方こそごめんなさい。Pの声がどうしても聞きたくって」
P「むしろうれしいよ。俺が勝手に病院を飛び出しちまったからな。
あのあと春香たちはどうしたんだ?」
雪歩「えっと、粛清しておきましたよ?」
あまりの衝撃に、Pは携帯を落としてしまった。
雪歩「どうしました?」
P「い、いや、なんでもない。むしろ雪歩が
制裁される側じゃないかなーって……」
雪歩「春香ちゃんは口だけですから大したことないですよ?
あずささんも手伝ってくれましたし」
フルボッコ……。765プロ内は暴力推奨ですか……
雪歩「あずささんがですね、あとでPにお仕置きするって言ってました」
勃起した。
雪歩「P? もしかしてエッチなこと考えてません?」
P「うぅ……それより本題は?」
雪歩「どうして浮気ばっかりしたんですか?
本当は私のこと好きなんでしょ? なのにどうして」
P「許してくれ……」
雪歩「私は理由を訊いてるんです」
P「……お、おれを包み込んでくれるような存在が欲しかった。
雪歩はまだ若いだろ? だから、ついあずささんや律子にまで手を……」
雪歩「年上の女性が好きなんですか?」
P「違うんだ。俺にもよく分からんが、何かが違うんだ」
雪歩「やよいちゃんとも付き合ってますね」
P「た、たまにはロリで気分転換しようかなって……」
雪歩「あの、ふざけてます?」
P「本気です。ごめんなさい……」
雪歩「私、だいぶ回復したんですよ?
リスカは跡が残ってしまいましたけど、体力的には問題ないですぅ」
P「おお、てことは復帰できるのか?」
雪歩「はい。明日朝一でやよいちゃん達を粛清しようと思ってます」
P「」
雪歩「真美ちゃんも調子に乗ってますよね、ついでに始末しちゃいますぅ」
いや……え……?
P「おまえさ……サバンナでも同じこと言えるか?」
雪歩「Pの好きな字はサバン菜ですよね?」
P「な、なぜそれを!!」
雪歩「PのPCを前に調べたんですよ。動画サイトのお気に入り、
ある時期のアイドルばっかりでした。私たちのは一つもないんですね」
P「ぐぬぬ、俺は懐古趣味なんだ」
雪歩「どっちでもいいです。では明日、楽しみにしててくださいね?」
やべえ。もう後戻りはできそうにないな。
こうなったら覚悟決めるか。
そんで日が昇って翌日。
P「おし、今日も仕事するか」
スタスタスタ、ビルの二階に事務所が入ってる。
スーツをただし、ネクタイを締め、社会人の顔で入室。
さやわかな朝の始まりかと思いきや……
社長「ああううぅ……ぬわあああああっ!!」
やよい「あれえ? ムチって扱いが難しいんですね。こうでしょうか?」
伊織「ちょっと違うわね。ここをこう持ってやるのよ。
あまり力を入れずに……こうよ!!」
シュン
鞭がしなり、むき出しの背中に容赦なくヒット!!
社長「~~~~~~~~~~っ!!」
響く絶叫。叫び声にすらなってない。
全裸の社長がてるてる坊主の様に天井から吊るされていた。
よく見るとウンコ漏らしてる。
小鳥「おはようございます」
P「おはようございます。今日はドラマの撮影でもしてるんですか?」
小鳥「うふふ。知らないふりしないでくださいよ。
ぜーんぶPさんのせいなんですからね☆」
P(あっ、この人胸でかい)
小鳥「社長が影でPを狙ってることが分かったので制裁してるみたいです」
P「それはどうなんですか? アイドル的に考えて」
小鳥「駄目に決まってるでしょ。どうにかしてくださいよ」
やよい「うっうー、Pのお尻を狙っちゃ駄目じゃないですかー」
社長「た、高槻君やめたまえ!! 何でもするからワシを解放してくれ!!」
やよい「でも罰が必要ですよね?」
雪歩「あの、おはようございます」
伊織「あっ、雪歩が復活したわ」
小鳥「雪歩ちゃん、思ったより早かったわね。よかったわ」
貴音「……雪歩。あなたはこの惨状をどう思いますか?」
雪歩「私も……」
貴音「私も?」
雪歩「社長にお仕置きしてあげたいですぅ」
社長「な……」
やよい「じゃあ雪歩さんにもムチ貸してあげますね?」スッ
雪歩「あのぉ、汚い手で触らないでくれますか?」
ドッゴオオオオオオン!!
この鈍い音は、やよいに放たれたボディブローの音だった。
やよい「うっううううううう!?」
意味も分からぬまま、壁を貫通して外まで吹き飛んだ。
あまりにも一瞬の出来事なので、やよいのエコーを聴くまで
俺たち一同は固まったままだった。
雪歩「次は伊織ちゃんですか? Pと愛の巣をつくるために
八千万のマンションを買おうとしたとか?」
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