第一話『女騎士、飛ぶ』
~ 警備兵詰所 ~
女騎士「警備というのも、ヒマなものだな」
オーク「まったくだ」
オーク「……そういや、さっき青年が差し入れに持ってきたオヤツがあったな。
あれでも食おうかな」
女騎士「オヤツだと? 私もいただこう」
オーク「オイオイ、大丈夫か?」
女騎士「むろんだ! あとで食べた分運動すれば、太ることはない!」
オーク「グフフッ、オレは『太るぞ?』とは一言もいってないぜ?」
女騎士「キサマッ……」ギリッ…
オーク「そう睨むなよ。小麦粉揚げたのに、砂糖まぶしたスナック菓子だ。
雑談のお供にゃピッタリだ」ガサガサ…
ポリポリ…… ボリボリ……
女騎士「それにしても職務とはいえ、
なぜこの私がキサマと毎日ここで顔を突き合わせねばならんのだ」ボリボリ…
オーク「そりゃこっちのセリフだ」ポリポリ…
オーク「でもまぁ、しかたねえだろう」
オーク「人間とモンスターの和解が成り立って──
共存していくことを示すために、各市町村には最低一名ずつ、
人間とモンスターの警備兵を配置することになったんだからな」
オーク「──で、この町はオレとお前ってワケだ」ポリ…
女騎士「下らん制度だ」ボリボリ…
女騎士「形ばかり、共存したって仕方ないだろうに」ボリボリ…
女騎士「現に、ある町では配備された人間とモンスターの兵が仲が悪く、
チームワークがチグハグになってしまい、
かえって町の治安が悪くなってしまったと聞く」
オーク「ま、よそはよそ、ウチはウチだ」
オーク「ウチはそうならねえようにすりゃいいのさ」ポリ…
女騎士「まぁな」ボリボリ…
オーク(てか、さっきからコイツ食いすぎじゃね?)
すると──
コロコロ……
女騎士(……ゴムボール)
青年「すみません、キャッチボールしてたらそっちに飛んでいってしまって……」タタタッ
スライム「すみまっせぇ~ん」プニッ
女騎士(キャッチボール……)
女騎士「そうだ、私も入れてくれないか? ちょうど運動をしたいところだったのだ」
青年「え? でも、今お仕事中だったんじゃ──」
女騎士「なぁに、かまわん」
オーク「なら、オレも入れてくれ!」
スライム「仕事大丈夫っすか、オークの旦那?」
オーク「なぁに、市民とコミュニケーション取るのも、警備兵の仕事だろ!
グッハッハッハッハ……」
~ 町の広場 ~
オーク「どりゃっ!」ブンッ
青年「ぐえっ……!」ボスッ
(もうちょっと弱く投げて欲しい……)
青年「そりゃ!」シュッ
スライム「よっと」パシッ
スライム「ほらよ、姐さん」ヒュッ
女騎士「キャッチ!」パシッ
女騎士「これが……トルネード投法だ!」ブンッ
ヒュルルルル…… ガサッ……
スライム「あ~あ、木に引っかかっちゃった。
な~にやってんすか、姐さぁ~ん! 変な投げ方するから……」
女騎士「変なとはなんだ! 失礼な!」
青年「それにしても、絶妙なところに引っかかりましたね……」
オーク「あんな枝の先っちょに引っかかったんじゃ、登って取るのはムリだな……。
となると、切るしかねえか」
スライム「木を切り倒すんすか?」
オーク「キャッチボールのボールが引っかかったぐらいで切り倒される木とか、
気の毒すぎんだろ」
オーク「枝だけを切るんだよ。オレの斧か、女騎士の剣でな」
スライム「あんな高いところにある枝を、どうやって?」
オーク「う~ん……」
女騎士「いくら私でも、あんな高くまではジャンプできぬぞ」
青年「…………」
青年「そうだ!」
青年「ジャンプできないのなら──
オークさんが女騎士さんを、ボールみたいに放り投げればいいんですよ!」
オーク「おお!」
スライム「なるほど」
女騎士「冴えているな」
オーク「よっしゃ、そうと決まれば──」グイッ
オーク「ほらよっ!」
ブオンッ!
女騎士「木よ、少々切らせてもらうぞ」チャキッ
スパッ!
ボトッ……
スライム「やった! 枝とボールが落ちてきた!」
青年「さすがです、オークさん! 女騎士さん!」
青年「──って」
女騎士「どいてくれっ!」
青年「うわぁっ!?」
ドスンッ……!
女騎士「あだだ……!」
青年「いだだっ……!」
女騎士「すまぬ、大丈夫か!?」
青年「え、ええ……なんとか」ムギュ…
青年「ん……? こんなところに、なんでボールが……?」ムギュ…
女騎士「それは私の胸だ!」
ゴッ!
青年「す、すみませんっ!」
オーク「グハハハハッ! ボールのようには受け取れなかったか!
やっぱオヤツを食ったのは失敗だったな?」
女騎士「な、なんだと……!?」
女騎士「オーク、もう一度だ!」
オーク「は?」
女騎士「もう一度、私を放り投げろ!
青年が私をボールのようにキャッチできるまで、やる!」
青年「いや、そんなムチャな……」
女騎士「ムチャとはどういう意味だ!?」
青年「だって、ボールと女騎士さんじゃ、重さがちが──」
女騎士「キサマ、女性に向かって重さとはなんだ!
だいたい、オヤツを持ってきたのはキサマだろうが!
あんなうまいスナック菓子など差し入れするから──」
青年「す、すみませんっ!」
オーク「グハハハハハッ!」
スライム(付き合ってられん……一人で玉乗りしてよ)コロコロ…
第一話 おわり
第二話『オークの熱い汁』
~ 警備兵詰所 ~
カラーン…… カラーン……
オーク「お、昼の鐘が鳴った。メシにするか」
女騎士「そうだな」
オーク「どこに行く?」
女騎士「昨日はハンバーグ、一昨日はカレーライスだったから……
今日はパスタにしないか?」
オーク「パスタか……いいかもな。よし、決まりだ!」
~ パスタ屋 ~
オーク「いっただっきまぁ~す」ズゾゾッ
女騎士「下品だぞ、ちゃんと巻いて食べろ」クルクル…
オーク「巻くのって、どうもまどろっこしくてなァ……」
女騎士「食事というのはまどろこしいぐらいでよいのだ。
食欲を満たすという本能ゆえの行為に、己を律するルールを加える……
これがマナーというものだ」クルクル…
オーク「わぁーったよ」クル…モグ…
女騎士「うむ、作法を守ればより美味しく食べられる」クルクル…
オーク(──って、コイツいつまで巻いてんだ?
フォークに絡みついたパスタが、ボールみたいになってんだけど)クル…
女騎士(こうやって限界まで絡みつけたパスタを……一気に頬張る)パクッ
女騎士(幸せ~)モグモグ…
オーク「お前の食い方も上品とはいえないような……」
女騎士「なにかいったか?」
オーク「いや、なんでもないです」
「はぁ……」
オーク「──ん?」
店主「はぁ……」
女騎士「どうした、店主殿? やはり、オークの食べ方が気にさわったか?」
店主「え、いやいや! 私としてはどんな食べ方してもらってもかまわんよ。
女騎士さんとオークさんの豪快な食べ方、私は好きだよ」
女騎士(私は豪快ではないと思うが……)
オーク「んじゃ、なんでため息を?」
店主「実は……最近、新メニューを作ってみようと試行錯誤してるんだが、
どれもこれもパッとしなくてねえ……」
女騎士「……なるほど」
女騎士「よろしい! では我々が新メニュー開発、手伝おうではないか!」
店主「え、いいのかい!?」
女騎士「困っている市民の相談に乗るのも、騎士の務めだ」
店主「ありがとう!」
オーク(どうせ新メニューの開発なら、いっぱい試食できるだろうって魂胆だろ……)
~ 厨房 ~
女騎士「唐辛子をたっぷり入れてみたらどうだろうか?」パッパッ
女騎士「……辛ッ!」
オーク「それ、ちゃんと全部食えよな」
女騎士「いわれなくとも、分かっている!」モグ…
~
オーク「いっそパスタを細かく砕きまくったらどうだ!?」ガッガッ
オーク「ドロドロになっちまった……」ドロ…
女騎士「赤ん坊に食べさせるにはいいかもしれんな」
~
女騎士「チーズをドバッとかけてみよう」ドバッ
オーク「いやいや、パスタで蝶々結びをやってみるとか」ギュッ…
店主(うむむ……二人ともやっていることはメチャクチャだが、
新しいことに挑戦する時は、こういうガムシャラさが必要なのかもしれんな)
数時間後──
女騎士「う~む、どれもイマイチだな」ハァハァ…
オーク「ああ……うまくいかねえな」ゼェゼェ…
店主「二人とも、一休みしたらどうかね?」
オーク「そうだな……じゃあ、汗かいちまったから、風呂に入らせてくれねえか?」
店主「ああ、かまわんよ」
女騎士「あつかましいヤツだ……私はもう少しチャレンジしてみるとしよう」
~ 厨房 ~
ボチャッ……
女騎士「し、しまった!(盛りつけようとしたパスタが、スープの中に……)」
女騎士「仕方ない、このまま食べるか」モグモグ…
店主(そういえば、パスタにはスープパスタなんてものもあるんだよな……。
ウチでは扱ってないが……)
~ 風呂場 ~
店主「湯加減はどうだね?」
オーク「最高だぜ。でも、もう少し熱い方がいいかな」
店主「そういえば、オークの体は人間よりずっと熱に強いものな。
しかし、茹で上がらないようにしてくれよ」
オーク「グハハハッ! きっといいダシが取れるぞ! ……な~んてな!」
店主「…………」ハッ
店主(こ……これだッ!!!)
~ 厨房 ~
店主(昔……異国で食べた、豚の骨からダシを取ったスープに麺を入れた料理……。
たしか、とんこつラーメン……だったか)ササッ
店主(こってりした味で、非常に美味だったことを覚えている)パパッ
店主(あの要領で作ってみよう!)ババッ
オーク「なんだ? 急に店主さんが動き出したが、いったいどうしたんだ?」
女騎士「分からん……なにか閃いたのだろうか?」
オーク「それにしても、みごとな手際だな」
女騎士「我々は戦闘という分野で鍛錬を重ねてきたが、
店主殿は料理という分野で鍛錬を重ねてきたのだろうな」
オーク「なんか……食い物で遊ぶように新メニュー作ってたのが申し訳ないな」
女騎士「うむ……反省せねばな」
………………
…………
……
店主「──できたッ!」
店主「豚骨でダシを取った煮汁に、パスタを入れた豚骨スープパスタ!」
店主「もちろん、それだけじゃ具合が悪いから、パスタらしい味付けに整えてみたよ。
さ、食べてみてくれ!」
オーク「いただきます!」モグ…
女騎士「いただこう」モグ…
オーク&女騎士「!」
オーク「おお、うめえ! こりゃイケるって!」
女騎士「ほう……明日からでも店に出せる味だ」
店主「ハハ、ありがとう。さすがに店に出すには、もう少し改良がいるだろうけどね」
女騎士「店主殿」
オーク「店主さん」
店主「?」
女騎士&オーク「半端な気持ちで新メニュー開発を手伝ったりして、申し訳ない」
店主「なにいってんだい! この新メニューができたのは、君たちのおかげさ!」
女騎士&オーク「へ?」
一ヶ月後──
~ パスタ屋 ~
ワイワイ…… ガヤガヤ……
青年「この新メニューの豚骨パスタ、美味しいね!」モグモグ…
スライム「うん、うまい! コッテリしてるけどオシャレな味だ!」モグモグ…
女騎士「フフフ、実はその新メニュー開発の一助を担ったのは、我々なのだ」
青年「ホントですか!? 警備だけじゃなく料理もこなすなんて、すごいなぁ……」
青年「ちなみに、どんな風に手伝ったんですか?」
女騎士「私は料理でミスをして──」
オーク「オレは熱い風呂に入った」
青年「へ?」
第二話 おわり
第三話『コンビ結成』
~ 警備兵詰所 ~
オーク「あ~……ヒマだ」
オーク「なにかおもしれえことでも起きねえかな」
女騎士「……たまには、自分で面白いことをいってみるとか、
そういう努力をしてみたらどうだ?」
オーク「うぅ~ん……」
オーク「…………」
オーク「オークは食べ物を、多く食べる」
女騎士「……ぷっ」
オーク「お、今笑ったな!? 笑ったよな!?」
女騎士「わ、笑ってない!」
女騎士「私は騎士だぞ! そんな簡単に笑うものか!」
オーク「笑ったくせに」
女騎士「…………」
女騎士「騎士がキシシ……と笑う」
オーク「……ブフッ!」
オーク「オークのオークション」
女騎士「ぷぷっ!」
女騎士「騎士が岸に上がる」
オーク「ブフフッ!」
青年「アハハッ、お二人ともユーモアのセンスがありますね」
女騎士&オーク「!?」ビクッ
女騎士「い、いつからそこに!?」
青年「えぇ~と……オークは食べ物を多く食べる、からです」
女騎士&オーク「…………」ポッ…
青年「あ、そうだ! 二人とも、今度の町祭りで
今みたいにダジャレを披露してみたらどうです?」
青年「きっとウケますよ!」
女騎士「そんな……恥ずかしい」
青年「大丈夫ですって! 女騎士さんとオークさんなら!」
女騎士「そ、そこまでいうのなら……」
オーク「やってみるか!」
青年「ありがとうございます!」
そして当日──
~ 町祭り会場 ~
女騎士「騎士のコーディネートは、こうでナイト!」
ハハハ……!
オーク「ブタがぶった!」
ワハハ……!
町民「へぇ、女騎士さんって厳格なイメージあったけど、案外ひょうきんなんだな」
主婦「オークさんも、怖いイメージしかなかったけど……そうでもないのね」
ゴブリン「二人とも、なんか見直しちゃったぜ!」
ドワーフ「ダジャレをいうようなタイプとは思わんかったわい」
青年(やっぱり……あの二人を怖がったり苦手にしてた町の人はまだまだ多かったけど、
これでだいぶそのイメージが払拭されそうだ)
スライム「お前の狙い通りじゃん! よかったな!」
青年「……うん!」
その後──
~ 警備兵詰所 ~
女騎士「オーク、このチラシを見ろ!
大都市で、こんな大会が開かれるらしいぞ!」
オーク「コメディアンコンビ王選手権!? オイオイ、こりゃ出るっきゃねえな!」
女騎士「しかも、優勝賞金は100万ゴールドだ!」
オーク「グフフ、もし優勝してコメディアンになれっていわれたらどうするよ?」
女騎士「もちろん、騎士を辞めるつもりなど毛頭ないが──
市民の期待に応えるのも騎士の務めだからな……悩むところだ」
オーク「トップ級のコメディアンの年収は下手な兵士より上らしいしな……。
考えちゃうよな」
オーク「グフフ……」ブヒッ
女騎士「ウフフ……」
青年「あ、あの」
女騎士「青年、キサマのおかげで新しい才能に気づけた。礼をいう」
オーク「もし、賞金をゲットできたら、少し分けてやっからな!」
青年(大丈夫かなぁ……)
そして──
~ 大都市 コメディアン王選手権会場 ~
ザワザワ…… ガヤガヤ……
オーク「ふん、大勢来てやがる。自分を面白いと勘違いしてるヤツらがよ」
女騎士「町祭りで大ウケした我らの実力を見せてやろう」
受付「参加希望者? コンビ名は?」
オーク「“オークナイト”だ」
受付「“オークナイト”さんね。エントリーナンバーは15になります」
受付「出番になったら、あの舞台に上ってパフォーマンスをして下さい。
制限時間は5分です」
女騎士「分かった」
オーク「出番までに、いっぱいダジャレ考えとこうぜ!」
大会開始──
スケルトン「最近太っちゃってさぁ~。ダイエットしよっかな」
女僧侶「頑張れ」
スケルトン「おい、突っ込めよ。漫才成り立たねえよ」
ワハハハハ……!
~
ゴーレム「こないだ人間とケンカしちまったけど、合気道でギリギリ勝ったぜ。
──ってゴーレムなら腕力使えよ!」
アマゾネス「……一人でノリツッコミまでやっちゃったよ、この岩石」
ハハハ……! ハハハ……!
~
サキュバス「最近、はしたない姿の女性が多いわよねぇ~、やんなっちゃう!」
剣士「トイレで鏡見てきたら?」
どっ……!
~
女騎士&オーク「…………」
司会『えぇ~続きましては、エントリーナンバー15“オークナイト”!』
シ~ン……
司会『あれ、“オークナイト”のお二人は!?』キョロキョロ
~ 会場外 ~
オーク「なんつーか……目が覚めたな。
みんな、オレらとはレベルや意気込みが全然違ったな……」
女騎士「そうだな……。戦わずとも分かる、とはまさにこのことだ……」
オーク「帰るか……」
女騎士「うん、帰る……」
オーク「結局オレたちは──
井戸の中で自分が一番だと思ってるカエルに過ぎなかったってことさ……」
第三話 おわり
第四話『異種間に恋愛は成り立つか?』
~ 警備兵詰所 ~
女騎士「まったく……」バサッ
オーク「どうした?」
女騎士「町の子供が、女性の裸などが載っている本を読んでいたから没収してきた。
多分、町民の誰かが捨てたんだろう」
オーク「ふうん」
女騎士「ずいぶん冷めた反応だな。キサマはこういうのは興味ないのか?」
オーク「お前はオークの裸に欲情するのか?」
女騎士「まぁ……せんだろうな」
オーク「だろ?」
オーク「人とモンスターが共存関係になったとはいえ、
異種間のカップルなんてまだまだレアだって聞くしな」
オーク「といっても冷めてたのはエロ本に興味がないからじゃなくて、
こないだオーク村に帰省した時、面倒なことになったからなんだけどよ」
女騎士「面倒なこと?」
オーク「村長の家に寄った時、最初は世間話してたんだけどさ……」
オーク「いつの間にか話の流れで、村長の娘とデートすることになっちまったんだよ。
ぶっちゃけ村長の娘とかほとんど知らねえし、
オレもその気はないってのによぉ……」
女騎士「ほう、キサマもか」
オーク「キサマもか……って?」
女騎士「実は私もこの間、家に戻った時──
親交のある貴族の御曹司と、デートすることになってしまったんだ」
女騎士「どのみち交際は断るつもりだが、
よく知りもせぬ男と一日二人きりというのは、正直いって気が重い」
オーク「なるほど……」
オーク「なぁ……だったらダブルデートにしねえか?
一対一なら気まずいけど、二対二なら気楽だろ?」
女騎士「ふむ……たしかにな……。いいかもしれん」
オーク「よっしゃ、決まりだな!」
休みの日──
~ 王立公園 ~
御曹司「やぁ、お待たせ」ニコッ
女騎士「すまないな。同じ町で警備兵をやっているオークと、
今度この公園を警備することになったから、
視察を兼ねて、四人でデートという形を取らせてもらった」
御曹司「かまわないよ。大勢の方が楽しいしね」
オーク(なかなかうまいウソをつくじゃねえか、女騎士……)
オーク娘「オークさん、今日は楽しみましょうね」ブヒッ
オーク「おう」ブヒッ
御曹司「おや、あんなところにベンチがあるね」
女騎士「少し座るとしよう」
オーク娘「あ、でも土で汚れてますね……」
オーク「なぁに、こんなもんはちょっとはたけば──」
御曹司「…………」ススッ…フワッ…
オーク(ハンカチをベンチにッ!?)
御曹司「さ、どうぞ」
女騎士「すまんな」スッ
オーク娘「ありがとうございます!」ストッ
御曹司「さ、オークさんもどうぞ」フワッ…
オーク「あ、ありがとよ(コイツ、ハンカチ何枚持ってんだよ……)」ドスンッ
~ 公園の食堂 ~
御曹司「昼食にしようか」ニコッ
オーク「いただきまぁ~す」ガツガツ…
女騎士「いただくとしよう」モグモグ…
御曹司「じゃ、ボクも──」ピチャッ…
オーク娘「!」
御曹司(しまった! ソースが服についてしまった!)
オーク「うめえな、これ!」ガツガツ…
女騎士「さすが王立公園、食堂も一流だな」モグモグ…
御曹司(参ったな……大切な服なのに……)
オーク娘「あの、濡らした紙で吸い取れば、大きな汚れにはならないハズです」スッ…
御曹司「……ありがとう」
オーク娘「いえ……」
~ 公園の池 ~
バサバサ……
オーク娘「わぁ、水鳥たちが楽しそうに泳いでますね」
御曹司「うん、可愛いね。みんな、のびのびと──」
女騎士(……む、あんなところに楽して餌にありつこうとしている鳥が!)
女騎士「コラァッ!!!」
御曹司「!?」ビクッ
女騎士「楽しようとするんじゃない!
苦労して手に入れた食事にこそ、真の価値があると知れ! バカ者め!」
バサバサバサッ……!
オーク娘「……オ、オークさんは、鳥はお好きですか?」
オーク「グハハ、もちろん好きだぜ! チキンはしょっちゅう食うしな!
そうだ、あとで唐揚げでも買っていかねえか!?」
女騎士「そうだな。私も食べたくなってきた」
御曹司「ハ、ハハ……」
オーク娘「ア、アハハ……」
夕方──
オーク娘「皆さん、今日はありがとうございました!」
御曹司「こうやってのんびりするのは久しぶりだったから、楽しめたよ」
オーク「こっちこそな!」
女騎士「たまには、こういう散策もいいものだ」
オーク「じゃ、オレたちの町はあっちだから……」
女騎士「さらばだ」
御曹司「ええ、さようなら!」
オーク娘「お気をつけて!」
御曹司「…………」
御曹司「君、もう少しだけ時間をもらってもいいかな?」
オーク娘「ええ……平気です」コクッ
………………
…………
……
数日後──
~ 警備兵詰所 ~
オーク「いやぁ~、驚いたな」
オーク「まさか、あの二人が付き合い始めるなんて……」
女騎士「うむ。デート中、まったくそのような気配はなかったのだが……
人の心など分からぬものだ」
女騎士「しかし、あの公園はなかなか楽しかった。できればもう一度──」
青年「おはようございます! なんの話をされてるんですか?」
女騎士「ん、ああ、デートの話だ。どうだ? 今度一緒に王立公園に行かないか?」
青年「え、え、え? い、い、いいんですか!?」
女騎士「オーバーな奴だな。もちろんだ」
スライム(姐さん……鈍いなァ~……)
第四話 おわり
第五話『一座が町にやってきた』
~ 町の広場 ~
ワイワイ…… ガヤガヤ……
団長「さあ、寄ってらっしゃい! 見てらっしゃい!」
団長「楽しい芸の始まり、始まりィ~!」
ワイワイ…… ガヤガヤ……
女騎士「なんだこの騒ぎは?」ザッ…
青年「ついさっきやってきた旅芸人一座が、これから芸を披露するらしいですよ」
スライム「今日と明日、町外れに滞在するみたいっす」
女騎士「ほう、珍しいな」
オーク「旅芸人なんて初めて見るから楽しみだな!」
団長「このように、頑丈に閉じられた箱も……」カチャカチャ…
団長「はい、このとおり~!」パカッ
オォ~……! パチパチパチ……!
~
ミノタウロス「ぬんっ!」シュッ
ボッ……!
「ツノでガラスに穴を……」 「しかもほとんど音がなかったぞ!」 「すげぇ~!」
~
女団員「こうやって手をかざすと……人があっさり眠っちゃいまぁ~す!」サラサラ…
団員A「ぐぅ……ぐぅ……」
「ホントに眠ってる!」 「どうやってるんだ?」 「催眠術かなんか?」
~
コボルト「こうやって、関節を外すことで……」コキコキッ
コボルト「細い土管もご覧の通り!」スルスル…
ワァッ……! パチパチパチ……!
芸が終わり──
女騎士「ふむ……なかなか楽しめたな」
オーク「ああ、ただでさえこの町には娯楽がねえしな」
スライム「いやァ~、器用な奴らでしたねえ」
青年「…………」
すると──
団長「あの……女騎士さんとオークさん、ですよね?」
女騎士「うむ」
オーク「おう」
団長「実は明日、大がかりな出し物をやるんですが──
どうしても体力や運動神経に優れた方のフォローが必要でしてね。
そこで、町の警備兵であるお二人にぜひお願いしたいのですが……」
女騎士「……ほう、私はかまわんぞ」
オーク「オレもいいぜ!」
団長「では今日の夜、町外れのテントまで来ていただけますか。
色々と打ち合わせをしたいので」
女騎士「町外れのテントだな、了解した」
オーク「かっこいい役を用意してくれよな!」
夕方──
~ 警備兵詰所 ~
女騎士「さて、そろそろテントに向かうか」
オーク「そうだな」
青年「あ、あの」ザッ…
女騎士「ん? 青年か、どうした?」
青年「旅芸人一座のテントに行くのは、やめた方がいいんじゃ……」
オーク「なんでだよ?」
青年「なんの証拠もないのに、こういうこというのもなんですけど……。
どうもあの人たち、怪しくって……」
女騎士「なぁに、心配するな!」
オーク「おうよ! 明日はすげえ芸を披露してやっからな!
グッフッハッハッハ……!」
ザッザッザッ……
青年「あっ……(行ってしまった……)」
夜──
~ 町の広場 ~
青年「…………」ウロウロ…
スライム「お、こんな時間にどうしたんだい?」
青年「いや……旅芸人一座のテントに行った二人が心配でさ……」
スライム「へ? どうして?」
青年「あの一座の芸……箱を開けたり、ガラスに穴を開けたり、人を眠らせたり……
どれもこれも盗みとかに悪用できそうなものばかりだったろう?」
青年「それに、警備兵である女騎士さんとオークさんだけを呼び出すのも
引っかかってさ……」
スライム「う~ん、いわれてみれば……」
スライム「だったら……俺たちもテントに行ってみないか!?」
青年「えっ、でももし気のせいだったら……」
スライム「そしたら謝ればいいのさ!」
スライム「なにごとも積極的に、だよ!」
青年「そうだね……よし行こう!」
~ 町外れ ~
青年「あそこに団員がいるね」コソッ…
スライム「なんか話してるぞ」コソッ…
団員A「あの女騎士とオークはどうなった?」
団員B「団長に会いに来たところを、女団員さんが調合した眠り粉で眠らされて、
今は隅っこのテントで二人仲良くおねんねさ」
団員A「マヌケなヤツらだ……ちょろいもんだな。
これでもうこの町を守る人間は、誰もいないってわけだ」
団員B「あとは皆が寝静まった頃、一気に町を襲うだけだ。
こんなに楽な仕事はないぜ」
団員A「なんたって、このやり方に変えてから、一度も失敗はねえもんな」
スライム「どうやらマジだったらしいな……どうする?」ボソッ
青年「決まってる……二人を助けに行こう!」ボソッ
サササッ……
~ 隅のテント ~
団員C「ふぅ~……見張りも楽じゃないぜ」シュボッ…
青年「二人はあの中だろうけど、見張りがいる……」ボソッ
スライム「仲間を呼ばれたらオシマイだ。同時に飛びかかるぞ」ボソッ
青年「うん!」
ダッ!
青年「でりゃっ!」ダダダッ
スライム「とりゃあっ!」プニッ
団員C「!?」
ドカッ!
団員C「うごぉっ……!」ドサッ…
青年(やった、倒せた……!)
「よし、中に入ろう!」
スライム「おう!」
~ テント内 ~
女騎士「すぅ……すぅ……」
オーク「ゴォォ……ゴォォ……!」
スライム「イビキすげえ……」
青年(二人とも熟睡して、縛られてる……けど、無事なようでよかった)
スライム「俺は旦那を起こすから、お前は姐さんを頼む!」
青年「う、うん!」
青年「女騎士さん、起きて下さい!」ユサユサ…
女騎士「ん……?」ムニャ…
女騎士「……なんだ、青年か。夜這いか……?」ムニャ…
青年「ち、ちがいますよ!(寝ぼけてる……)」
スライム「旦那、起きてくだせえ!」プニプニッ
オーク「なんだ……この柔らかいの……ゼリー……?」ムニャ…
青年(よし、二人とも起こせたぞ。あとは縄をほどけば、逃げられる!)ギュッ…
──ガシィッ!
青年(掴まれた!?)
ミノタウロス「ぬんっ!」ブンッ
青年「うがっ!」ドザァッ
スライム「なっ、何しやがる!」プニッ
団長「まさか、ネズミが入り込んでるとはな……小さな町だからと油断したか」
女団員「ウフフ、危ないところだったわね」
青年(あと少しだったのに……!)ギリッ…
スライム「お前ら……いったいなんなんだよ!?」
団長「察しはついてるだろうが、俺たちは旅芸人一座……を装った、窃盗団さ。
人とモンスターが特技を生かし合って、着々と成果を上げている。
今の時代に、これほど即した商売はないだろ?」
青年「勝手なことを……!」
コボルト「コイツら、やっちゃうかい?」
団長「ああ、俺たちの信条はなるべくスマートに、だが、
秘密を知った奴らは生かしてはおけないからな。殺る時は、殺る」
スライム「くそっ……!」
オーク「フン……やっと目が覚めた。やられるのはてめぇらの方だぜ」
団長「なにをいっている。縛られながら言うセリフじゃ──」
オーク「むむむ……!」グググ…
オーク「ブヒィッ!!!」
ブチィッ!
団長「な……!?」
オーク「グハハハッ、こんな縄じゃハムだって縛れねえぜ!」
スライム「さっすが、旦那!」
青年「すごいパワーだ!」
団長「ちいっ……!」
(だが、女騎士にあんな力技は無理だろう。オーク一匹ならなんとか──)
女騎士「この程度の縄なら、剣の鍛錬で培った体さばきを使えば──」スッ
ギュルッ!
女騎士「容易く抜け出せる」スルッ…
スライム「姐さんもすげえ!」
青年「女騎士さん……よかった……!」
オーク「さあ、どうするよ?」
女騎士「大人しく降参するか?」
団長「くっ……殺せっ!」バッ
ミノタウロス「ブモォ~!」
ミノタウロス「このポーク野郎がァ!!!」ンモォ~
オーク「うるせぇ、ビーフ野郎!!!」ブヒッ
ドゴッ! バキィッ! ガゴッ! ドズッ! ボグッ!
ミノタウロス「ブ、ブタのくせに……!」ヨロッ…
オーク「きちんと訓練してたウシにならともかく、
セコセコ盗みを働いてたウシなんざに負けっかよォ!」
ドゴォッ!
ミノタウロス「うぎゃっ……!」ドサァッ
コボルト「うげっ!」プチッ
スライム「ポークの旦那……じゃない、オークの旦那が勝った!」
女団員「フフッ……。だったら二人とも、もう一度眠らせて──」サラ…
ガシッ!
女団員「い、いたっ! ──は、放してよっ!」ググ…
女騎士「まんまと眠らされた身でいうのも少々気恥ずかしいが、
私に同じ術や技は二度通じない!」シュッ
バシッ!
女団員「あうっ……」ドサッ…
青年(窃盗団の主力をあっという間にやっつけた!
まともに戦うところを見るのは初めてだけど……二人ともすごく強い!)
女騎士「さて……まだ団員は残っているな。やるぞ、オーク」
オーク「おうよ!」
ウオォォォ……!
バキッ! ドカッ! ゴッ! ガスッ! ドゴッ!
団長(なんて強さだ……あっという間に俺の手下どもが……!)
団長「くそっ!」ダッ
スライム「あっ、アイツ逃げる気だ!」プニッ
女騎士「逃がすか! オーク、私を以前のように投げろ!」
オーク「おうよ!」ガシッ
ブオンッ!
女騎士「待てぇぇぇっ!」ギュオッ
団長「うわぁぁぁっ!?」
ドゴォンッ!!!
団長(ま、まさか……モンスターが人を投げて攻撃する、なんて……。
ボールじゃないんだから……)
団長(俺たち以上のコンビ、ネーション……だったか……)ガクッ…
女騎士「ふう……これで片付いたな」
オーク「真正面からぶつかりゃ、こんなヤツら屁でもねえぜ!」
スライム「いやっほう!」
青年「アハハ……おみごとです!
お二人を助けに来たはずだったのに、逆に助けられちゃいましたね……」
女騎士「いや……そんなことはないぞ」
青年「え」
女騎士「二人が来なければ、町も、私とオークもどうなっていたか分からなかった。
さっきは、キサマの忠告を聞かずにすまなかった」
女騎士「……ありがとう」ニコッ
青年「い、い、いえ! そんな!」ドキッ
オーク「さぁ~て、あの二人には感動のご対面をさせといて、
オレらはビーフどもをどっかに縛りつけておくか」
スライム「そっすね! こいつら縄抜けもできそうっすから、固く縛りましょう!」
オーク「あと……さっきオレのことをポークっていったのは、聞こえてたからな」ニコッ
スライム「い、いやだなァ~……地獄耳なんだから……」
第五話 おわり
最終話『告白』
~ 町 ~
青年「見回りお疲れ様です! 女騎士さん、オークさん!」
女騎士「ありがとう」
オーク「ま、これも仕事だからな!」
スライム「見回りっつっても、ほとんどただの散歩っすよね?」
女騎士&オーク「うるさい」ギロッ
スライム「二人そろって、睨まないで下さいよ~!」プニッ
青年「ハハハ……」
青年(女騎士さん……今日もキレイだなぁ……)
~ 青年の家 ~
青年「…………」
青年(やっとボクは自分の気持ちが分かった……)
青年(旅の一座事件で、女騎士さんが微笑んでくれた時、分かってしまった)
青年(ボクは女騎士さんのことが、好きなんだ……)
スライム『なにごとも積極的に、だよ!』
青年(伝えよう……この気持ち)
青年(たとえ、玉砕すると分かっていても!)
~ 警備兵詰所 ~
女騎士「……警備というのも、ヒマなものだな」
オーク「まったくだ」
オーク「っつっても、こないだはまんまと騙されちまったからな……反省しねえと」
女騎士「そうだな……あれは一生の不覚だった。
助けてくれた青年とスライムには、大きな借りができてしまった」
青年「こんにちは!」ザッ
女騎士「ウワサをすれば、キサマか。どうした?」
(なんだか、いつもより顔が凛々しいような……気のせいか?)
青年「女騎士さん! お話しがあります! 少しよろしいでしょうか!」
女騎士「ああ、かまわんぞ」
女騎士「オーク、すまんが少し出てくる」
オーク「おう、ゆっくりしてこい」
(女騎士がいない間に、隠してたオヤツ食おうっと……)
~ 町の広場 ~
青年(今なら……誰もいない……)キョロキョロ
女騎士「?」
女騎士「もしかして、内緒話か? もちろん、かまわんぞ。
私は口が堅いからな、安心して話すがいい」
青年「はい」
青年「ボクは……」ゴクッ…
青年「女騎士さんとは身分がちがいすぎるし……
剣だって振れないし、家具職人のしがない後継ぎですけど……」
女騎士「…………?」
青年「でも、そんなのがどうでもよくなるほど──」
青年「女騎士さんのことが、好きなんです!」
青年「どうか……ボクと付き合って下さいッ!」
青年(言った! 言っちゃった……!)
女騎士「…………」
女騎士「ようするに、私とキサマが単に市民と警備兵という間柄ではなく、
男女の仲になろうということだな?」
青年「は、ははは、はいっ!」
女騎士「かまわんぞ」
青年「え」
女騎士「こちらこそ、よろしく頼む」
青年「は、は、ははは、はいっ!」
女騎士「ちなみに、身分のことは気にするな。私の母も平民出身だからな」
女騎士「いずれ、私とキサマの家に、一緒に挨拶に行くとしよう」
青年「よっ……よろしくお願いしますっ!」
~ 警備兵詰所 ~
女騎士「──という話だった」
オーク「へぇ、よかったじゃねえか」
女騎士「よかった、とは?」
オーク「だってお前もアイツのこと気に入ってただろ?
だけど、お前って絶対自分からはいわないタイプだもんな。
平静を装ってるが、内心はすげえ嬉しいんだろ?」
女騎士「なっ……!」ギクッ
女騎士「ま、まぁ……な」
オーク「ちなみに、アイツのどこに惚れたんだ? やっぱ優しいところか?」
女騎士「普段は大人しめで頼りないのだが、
いざとなると……凛々しい表情を見せるところ、かな……」
オーク「一見硬そうな肉だったのが、いざ噛んだら柔らかくて肉汁たっぷり!
──みたいなもんか。分かるぜ……!」
女騎士「変な例え方するな!」
オーク「だったらよ、アイツも形だけでもいいから警備兵になったらどうだ?
たしか、ちゃんと届けを出せばできただろ」
オーク「自宅じゃなくてもいい作業はこっちでやるようにすれば、
ずっと一緒にいられるぜ。なんだったら、オレはどっか行ってるし」
女騎士「うむ……私も一緒に詰所で働かないか、と誘ってみたんだが……」
オーク「みたんだが……?」
青年『女騎士さんは今まで通り、オークさんと二人で警備をして下さい』
青年『なんというか……悔しいですけど……
女騎士さんはオークさんとタッグで仕事してる時が、一番輝いてるからです』
青年『もちろん、いずれボクが一番になってみせますけどね!』
女騎士「──とのことだ」
オーク「どういう意味だ?」
オーク「なんで、お前はオレといる時に、一番輝くんだ?」
女騎士「分からん……」
オーク「オレみたいなゴツイモンスターといれば、
あなたの美しさが引き立ちますよ~、みたいな口説き文句か?」
女騎士「青年は、そういうことをいうタイプではないだろう」
オーク「だよなぁ……」
女騎士「まぁ……あとで本人に聞けばよかろう」
オーク「そうだな。どうせ、あとでスライムとここに来るだろうしな」
女騎士「さて、今日もはりきって警備をするぞ!」
オーク「おう!」
女騎士「ところで……この食いカスはなんだ?」
オーク「ブヒッ!?」ギクッ
最終話 おわり
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