・短編
・男提督
・支部と重複投稿
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「提督提督ー。お腹がすきましたー」
「オラ」
「……あのー、なんですかこれ」
「銀のスプーン」
「この一航船・赤城になんてものを出すんですか!!」
「うるせーな猫様と一緒にご飯食べられて感謝する所でしょォ~~? 何遍うちのボーキすっからかんにするつもりだよお前」
「痛い! 痛いです! 喋りながら肘つねらないでください! 何ですかこの地に足のついた痛さ!」
「もうお前マジで出撃させねーぞ、仮に出撃させるとしたら轟沈させるようヲ級に懇願するから」
「そんな私怨まみれの指揮官嫌すぎですよ!
「提督って威厳が足りませんよね」
「赤城、お前、どうした? 真っ昼間から喧嘩を出血サービスの大安売りか? 買うぞ?」
「こっちが流血しそうなので遠慮させてください……」
「なら黙ってろ食っちゃね妖怪」
「なんですかその胡乱な名前」
「別名妖怪ボーキ置いてけ」
「提督首だ! なあ提督だろ、提督だろうお前」
「お前不敬罪で粛正な」
「それはちょっと」
「はふはふ」
「食堂に人がやけにいねえと思ったら案の定だよ。それ誰の分だ」
「加賀さんのですよ!」
「通りであいつ涙目でお腹さすってたワケだ……あいつも地味に腹ぺこキャラだよなァ」
「そんな加賀さんに提督は何をしたんですか? 腹パンですか?」
「お前俺のことなんだと思ってんの? 普通にカロリーメイトくれてやったよ」
「ええ!? この赤城には銀のスプーンだったのに!?」
「行いの差な」
「うううう……どうぞ」
「これは……烈風の片翼?」
「仕方ないので、あげます」
「お前……」
「えへへ」
「まず食ってんじゃねぇぞ赤城ィ!!」
「ぐふぅ! この遠慮ない腹パンッ!」
ミス
×一航船→○一航戦
「第1回! チキチキ、提督大改造計画~!」
「チェンジで」
「ルールは簡単です! 提督のその下野な口調を改めて、もっと品のある振る舞いをさせた者の勝利です!」
「シカト決め込んでんじゃねえよ」
「あの……そのマジな表情でニューナンブを引き抜かないでください……」
「で、何だっけ? デコは50点、目は30点だったか」
「ちょっとォ! その遊びどう転んでも死人が出ますよねェ!」
「ハイハイ……んで、何だってんだ」
「その口調ですよ! 変えましょうよもっとインテリっぽく」
「えェ~~~~」
「うわ面倒くさがりすぎでしょ……まあまあ試しにどうぞ」
「…………ご苦労だった。お前はもう就寝しろ」
「ぶふっwwwww似合ってないですwwwwww」
「鼻は40点にするか……」
「ひいいいいいいいいい」
「司令官さん、点検は終わったのです。消灯時刻なのです」
「電か、お疲れさん。じゃあお子様はお部屋でおねんねだな」
「はいです。司令官さんも遅くならないように気をつけてください」
「ハイハイ。じゃ俺はボーキ倉庫見てから寝るから」
「? ボーキサイト……ああ、赤城さんが忍び込んでないかならチェック済みなのです!」
「あいつお前らからも信用ないのな……ちなみに天井裏とか壁に擬態してないかとか調べた?」
「!? 赤城さんそんなことするのですか!?」
「調べてないんなら減点だな。じゃあ俺が見てくるから、おやすみ」
「あ、はいです。……ふふ、赤城さんは司令官さんと一番仲良しなのです」
「今日お前出撃だっけ」
「そう聞いてますけど」
「またボーキが減るのか」
「嫌そうな表情ですねぇ」
「まあ使わなきゃ意味ないか」
「そう考えるのが一番ですよ」
「まあ食ってる間テメェの間抜け面が拝めるしな」
「提督、女の子相手にその言い草はあんまりです」
「お前は女の子にしちゃ何かおかしいだろ」
「本気だしたら可愛い乙女なんですよ、私」
「今も可愛い乙女だろ」
「……奇襲は卑怯です」
「ふん……」
「えへへっ」
「じゃあ」
「はいっ」
「一航戦・赤城、出ます!」
「……全艦、帰還したのです」
「…………」
「司令官さん、ごめんなさい、です……赤城さんを、失ったのです……」
「…………そうか」
「司令官さん、あの、その、」
「…………戦争だから、な。全員ドッグに入って修理してもらえ、ご苦労だった」
「ぁ……了解しました、です」
「…………」
「…………」
「……赤城……」
「……ボーキサイトが余るようになっちまったな」
「…………」
「ぁー……電、俺って威厳ないかな?」
「? そんなことはないのです。確かにここはまだ規模は大きくないのですが……」
「そっか。まあ、これから大きくしていくさ。けど、まあ、威厳はあるに越したことはないな、確かに」
「司令官さん?」
「ん……どうした、何か、用があるのか?」
「い、いえ。失礼しますなのです」
「ん、いや、ああ」
「あれ、長門さんに金剛さん、何の話をしてるのですか?」
「電か。いや、うちの提督についてな」
「テイトクはベリークールな日本男児デース!」
「私も冷静な性格だと思う。礼儀正しい言葉遣いだし、武人としても尊敬している」
「電は最古参でしたネ? やっぱり前からクールガイだったのですカー?」
「…………」
「電?」
「……司令官さんは、前からカッコ良かったのです」
「やはりか、私たちはいい提督の下につけたのだな」
「テイトクのような日本男児は素晴らしいデース!」
「……そう、ですね」
「司令官さん、点検は終わったのです。消灯時刻なのです」
「ご苦労だった。もう遅い、お前も就寝しろ」
「はいです。司令官さんも遅くならないように気をつけてください」
「ああ。その前にボーキサイトの倉庫を見てからにするがな」
「? ボーキサイトもチェック済みなのです!」
「侵入者が天井裏や壁に擬態してないかどうか調べたか?」
「……司令官さん、そんなことする人は、もうこの鎮守府にはいないのです……」
「別に、どこの誰だとかじゃない。ひょっとしたらボーキサイトが変に減ってるかもしれないだろう」
「……司令官さんは、司令官さんが探してるのは、それは残骸みたいなものなのです。探してるうちにどこかに行ってしまいそうで、電は司令官さんのことが心配なのです」
「別にどこにも行きはしないさ。……じゃあ俺は行ってくる、部屋に戻れ」
「あ……はいです」
「……赤城さんは、今も、司令官さんと一番仲良しなのです」
終わり
このSSまとめへのコメント
怖く感動できる物語であった
なんというか‥‥‥悲しいな
泣きそうになった
寂しいなあ 乙でした
悲しすぎる