咲「それぞれの未来」 (120)

カランカラーン


まこ「いらっしゃーい」

まこ「お、藤田さん」

藤田「やあ、久しぶり」

まこ「先週も来たじゃないですか……。暇なんですか?」

藤田「う、うるさいよ。上客は大事にするものだよ」

まこ「はいはい。今日もカツ丼とりますか?」

藤田「モチ。そのためにこの店に通っていると言っても過言ではないな」

まこ「ただの出前やっちゅうのに……」

藤田「最近ようやく暖かくなってきたな。どうよ。商売のほうは」

まこ「おかげさまで」

まこ「どこかの誰かが地元チームで活躍しているせいか、ここのところ麻雀人気は上り調子じゃ」

藤田「はっはっは、そう褒めるなよ」

まこ「言ってんさい。あんたじゃのうて」

藤田「わかってるよ。あいつがうちに来てくれてほんとよかった。おかげで昨年はいいシーズンになったよ」

まこ「うんむ。しかしうちには全然顔見せんで、そこだけは文句言いたいがの」

藤田「なんだ、あいつこの店来ていないのか。薄情なやつだなあ」

まこ「シーズン中は全国飛び回って、本拠地の佐久もここから近くはないし、仕方ないじゃろ」

まこ「むしろ同じチームのあんたがこれだけ来れてるのがおかしいんじゃ」

藤田「いいじゃないか、別に……。休みがあっても麻雀以外にすることがないんだよ」

まこ「アラフォーの口からなんか悲しい告白を聞かされた」

藤田「まだアラサーだし! ……今34だから、ギリギリ、6月の誕生日まで」

まこ「おお、もう……」

まこ「しかしお客さんは来てくれるけど、昔なじみがどんどん減っていくていうのは寂しいのう」

藤田「なんだい、お前だって老けこんだようなこと言ってるじゃないか」

まこ「わしももうアラサーじゃからの」

藤田「たかが26ごときがアラサー気取んなや!」

まこ「お、おう……」

藤田「ふん。あ、テレビのチャンネル変えていいか?」

まこ「いいですよ……って自分でリモコン持っとるし」

藤田「勝手知ったる人の店ってな」


ピッ


藤田「お、あんたの後輩が映ってますぜ、店長」

まこ「あーあーまたあんな格好して……。恥ずかしくないんかの」

藤田「以前会ったときはノリノリだったな」

まこ「マジか……。そういえば、うちでバイト頼んだときもそうじゃったのう」

マホ『本日は解説に、ご存知、"牌のお姉さん"こと原村和プロをお招きしております!』

和『こんにちは。よろしくお願いします』

マホ『よろしくお願いします!』

マホ『実はマホは和せんぱ……プロと同じ中学を出た後輩でして、今日は大変に興奮しております!』

和『懐かしいですね。あれから麻雀は上達しましたか?』

マホ『それがからっきしで! なので今日は和先輩に頼りまくっちゃいます!』

和『は、はい……(もう"和先輩"に戻ってる……)』

マホ『さて、春季大会団体準決勝第1回戦!』

マホ『3年ぶりに準決勝まで駒を進めた長野県代表、風越女子と!』

マホ『第1シードの北大阪代表、千里山女子がぶつかる好カードです!』

マホ『和先輩はこの試合、どう見ますか?』

和『はい。風越と千里山の監督さんとは、高校生のときに手合わせしたことがあります』

和『とても手ごわい相手でした。その2人が監督をしているチームがどんな戦いをするのか、とても楽しみです』

マホ『人に歴史あり。去年アラサーの仲間入りをした和先輩にも数々のドラマチックな過去があります!』

和『予想はしていましたけど、やっぱり言われるんですね。"アラサー"……』

マホ『これが女子麻雀解説者界の伝統であると聞いております!』

和『誰が言ってるんですか!』

マホ『まあまあ、25なんてまだまだお若い! そんな和先輩の10年前! VTRとともにどうぞ!』

マホ『1年生の夏、当時の長野県代表の清澄高校の選手として全国の舞台で戦った和先輩!』

マホ『そこでは、幼き日に別れた旧友たちとの運命の再会、そして戦いがありました!』

マホ『しかし優勝は叶わず、その後、家庭の事情で東京の進学校へ転校』

マホ『麻雀からもしばらく離れていましたが3年生の夏、再び個人戦代表として全国の舞台に登場!』

マホ『先ほどのお話にも出てきました二条選手、文堂選手らとの激戦を制し、見事優勝!』

マホ『高校卒業後にハートビーツ大宮へ入団。瑞原プロの後を継ぎ、二代目"牌のお姉さん"襲名!』

マホ『プロ入り後もその打ち筋は"日本で最も正しい麻雀"と称され、日本の最前線で大活躍中!』

マホ『和先輩がインターハイで優勝した前年の覇者で松山フロティーラへ入団した龍門渕プロとは、良きライバル関係であると報じられています!』



マホ『と、書かれてありますが!』

和『そういうの言わなくていいですから』

マホ『実際のところ、龍門渕プロとはどうなんですか? マスコミが煽ってるだけのような気もしますが!』

和『マスコミのあなたがそれを言いますか!』

和『そうですね。試合で卓を囲むときはもちろん真剣に戦っていますが』

和『プライベートでは特に……。と言いますか、なんだか彼女は私に怒っているみたいで』

マホ『怒っている! それはなぜ! 胸が大きいからですか?』

和『胸は関係ありません! 多分、何も言わずに転校したことと、一時期麻雀をしていなかったことかと……』

マホ『インターハイ優勝インタビューでの龍門渕プロは伝説になっていますからね!』

透華『"原村和のいないインターハイでの優勝なんてこれっぽっちも嬉しくありませんわ!"』

透華『"原村和! 先にプロの舞台で待ってますわ! 必ずこの高みまで上がってきなさい!"』

透華『"そこで決着をつける戦いを致しましょう。そう、真のアイドルを決める戦いを!!"』

マホ『いやあ、熱い! もしかして和先輩も、このインタビューを聞いて再び牌を握る決意をしたのでは?』

和『あ、いえ。そういうのは全くないです』

東京。


咲「くすくす」

店長「宮永さん、テレビ見てないで手を動かして。早くしまわないとお花咲いちゃう!」

咲「あ、はい! すいません!」

店長「今年の春は遅かったね。ようやく暖かくなってきた」

咲「そうですね……」


カラララッ

咲「あっ、いらっしゃいませ」

和「こんにちは。お久しぶりです」

咲「の、和ちゃん!?」

咲「あれ、な、あれっ? なんで? 和ちゃん今テレビに」

和「それは録画放送です。今日行われているのは準決勝第2回戦」

咲「えっ? あれっ、そうなの?」

咲「そ、それより、和ちゃんがなんでここに!?」

和「もちろんお花を買いにきたのですが」

咲「じゃなくて、どうしてこのお店わかったの?」

和「年賀状に書いてありましたが」

咲「あ、そうだった……」

和「そうです」

咲「……」

和「……」

咲「きょ、今日は何を買いに?」

和「百合の花を、そうですね……5本くらいお願いします」

咲「はい。お部屋に飾る用ですか?」

和「はい」

咲「かしこまりました」

和「……」

咲「……」

和「咲さん」

咲「は、はい!」

和「私、須賀君に結婚を申し込まれました」

咲「えっ」

和「須賀君とは4年前、須賀君が大学生だったころから交際しているのですが」

咲「えっ、ちょっ、まっ、待って!」

咲「須賀君、って京ちゃんのことだよね? 京ちゃんと、和ちゃんが?」

和「はい」

咲「そ、そっか。……そっかぁ」

咲「受けたの……?」

和「……はい」

咲「そっか……」

和「咲さん。今晩、お時間ありますか?」

咲「えっ? あっ、うん。たぶん」

和「会ってお話しませんか? 詳しくは後ほど連絡します」

店長「……」

和「今はお仕事の、お邪魔でしょうし」

咲「う、うん……」

夜。東京。


咲「麻雀バー……。ここだよね」


カラ カラーン


和「咲さん」

咲「和ちゃん……」

京太郎「おう、咲!」

優希「待ちくたびれたぜ咲ちゃん!」

咲「京ちゃん。優希ちゃんも」

和「どうぞ、座ってください」

咲「う、うん」

咲「なんだか大人、って感じのお店だね……」

優希「咲ちゃんは麻雀バーは初めてかー?」

咲「うん。雀荘も、なんだか怖くて一人では行きづらいし」

京太郎「なんだ、じゃあ麻雀自体もうあんま打ってないのか?」

咲「そうだね。最近は、あまり」

京太郎「なんだよー、強いのにもったいない」

優希「なら京太郎のいる店に行けばいいよ!」

咲「えっ?」

京太郎「おう、俺、今、雀荘のメンバーやってんだ。歓迎するぜ!」

咲「そうだったんだ。京ちゃんあんなに麻雀下手だったのになんか感慨深いなあ」

京太郎「死に物狂いで勉強したからな」

京太郎「和が、転校したあと」

咲「……」

和「……」

京太郎「俺が麻雀を始めたきっかけって、和だったからさ」

京太郎「和のことを真剣に好きでいるには、麻雀とも真剣に向き合わないと、って思ったんだ」

京太郎「だから、一杯勉強したし、一杯打った」

和「そうだったのですか……」

咲「うん……」

優希「た、確かにあのころの京太郎は鬼気迫るって感じだった! 毎日同じ四人でずっと卓囲わされててこっちまでくたくただったなー!」

優希「(な、なんか気まずい……)」

京太郎「大学行ってたころから今の雀荘でバイトしててさ、和ともそこで再会したんだ」

咲「そうだったんだ……」

和「はい……」

咲「……」

京太郎「……」

和「……」

優希「……」

優希「(空気が重い……)」



咲「よかったね、京ちゃん」

京太郎「咲……?」

咲「あのね、和ちゃん。私ね、京ちゃんに告白したことあるんだ」

和「……」

京太郎「! おい咲、それは……」

咲「和ちゃんが転校してからしばらくの間、部室の空気も少し落ち込んでてね」

咲「京ちゃんも、見るからに元気なかった」

京太郎「……」



咲「それをね、私、チャンスだと思っちゃったんだ」

咲「京ちゃんが、和ちゃんみたいな女の子のこと好きなのわかってた」

咲「その和ちゃんがいなくなった今なら、傷心の京ちゃんを慰めて、そのままゲットできちゃうかも、って」

和「……」

咲「だけどね、振られちゃった」

咲「やっぱり俺は和のことが好きだから、って言われて」

咲「そのあとからだよね? 京ちゃんが麻雀頑張り始めたの」

京太郎「あ、ああ。そうだけど……」

咲「最初はどうせ、ミーハーというか、男子高校生のスケベ心で軽い気持ちで麻雀部に入ったんでしょ?」

京太郎「おい。まあ否定は出来ないけど……」

咲「だけど、本気で好きになっていたことに、いなくなってから気付いたんだよね」

京太郎「……」

優希は口調が普通になってるのか

咲「京ちゃんね、麻雀だけじゃなくて、受験勉強もすごく頑張ってたよ」

咲「東京の大学に行けば、和ちゃんに会える機会もあるかもー、って」

咲「それで本当に合格して上京して、本当に再会までしちゃうんだから」

咲「すごいよね」

和「はい……」

京太郎「……」

咲「和ちゃん。雀荘で再会したってことは、京ちゃんと麻雀打ったんだよね?」

和「ええ」

咲「京ちゃん、強くなってたでしょ」

和「はい。須賀君がそこにいたことにも驚きましたし、麻雀の上達ぶりに二度驚かされました」

咲「でしょう? 私も特訓に付き合ってあげていたからね」

京太郎「……」

咲「だからさ、京ちゃんが和ちゃんのことを愛する気持ち、本気だと思う」

和「……」

咲「すごくすごく、強いと思う」

京太郎「咲……」

咲「まあ、今更出てきた私なんかが言わなくても、これまで一緒にいたお二人自身のほうがよくわかってると思うけど」

咲「京ちゃん。和ちゃんのこと、離さないであげてね」

京太郎「ああ」

咲「和ちゃん。京ちゃんに、ついていってあげてね」

和「……はい」

咲「……私からはこれだけ! ごめんね、なんか変な話になっちゃって……」

和「いえ、お話聞けて、すごく嬉しいです」

和「咲さんのお気持ちが、一番気がかりでした……。それが晴れて、とてもすっきりしました」

和「私自身、少し迷っていた部分もありますし……」

京太郎「えっ、そうなの!?」

和「あっ! いえ、違うんです! そうではなくて……」

咲「もう、だめだよ和ちゃん。京ちゃんを不安にさせちゃあ」

優希「麻雀は上達しても、京太郎は気が弱いところあるからなー」

京太郎「ほんとだぜー。い、いいんだよな? 俺と結婚してくれるんだよな?」

和「……はいっ! よろしくお願いします」

咲「おおー」

優希「見せ付けてくれますなあ」

優希「(しかし私、終始空気だったな)」

>>20-21
口調が、というか舌足らずがなおったイメージで書いた。



咲「ところで優希ちゃんは今なにしてるの?」

優希「お、おっ!? 私か!?」

和「ゆーきは今、実業団でプレイしているんですよ」

優希「そう! 東風の得点王は未だ健在だぜ~?」

京太郎「昨シーズンは池田さんに平均獲得素点で負けてたけどな」

優希「う、うるさいよ! イケダめ、いつか倒す……!」

咲「そっか、池田さんも……」

優希「ところで、今日は私からも重大発表があります!」

京太郎「おっ、なんだなんだ」

和「まさか……」

優希「ふふふ、そのまさかだぜ」



優希「今度うちの会社から、新製品のタコスが発売されるのです!」

京太郎「ああ、そういうあれね。はいはい」

優希「むっ、なんだ貴様その態度は! 重大発表なんだぞ!」

和「タコス……。外食店のメニューとしてですか?」

優希「いや。あのー、コンビニとかスーパーとかに置いてあるやつ」

咲「んー?」

優希「ほら、あのナンでソーセージ挟んだナンドッグってありますでしょう? パック2個が点線で繋がってて」

京太郎「あー、あれな」

和「食べたことありません……」

優希「あーいう袋とも箱ともつかないプラの容器入りのやつです、はい。レンジで温められます」

京太郎「あー、そりゃいいな。手軽で」

優希「でしょ」

和「なんか口調が変になってませんか?」

優希「重大発表なので」

タコス食いてえ

優希「だからな、京太郎」

京太郎「ん?」

優希「もう、私のためにお前がタコスを作る必要はない」

優希「お前は、私の犬を卒業するのだ」

京太郎「なった覚えないけどな」

優希「これからは、そのタコスをのどちゃんのために作るのだ! いいな!」

京太郎「うん……。でも和、タコスなんて食べるか?」

和「大好きですよ、タコス」

優希「のどちゃん!」

和「ふふ」

>>29
マジで、こういうタコス売ってねえかな。



咲「そんなことより、和ちゃんはプロ、だよね。プロ麻雀ってどんな感じ?」

優希「(あ、咲ちゃんちょっと冷たい)」

和「どう、と言っても、私はどこであろうと同じように打つだけですから……」

優希「のどちゃんはすごいよ! 昨シーズンはFDPDとFD/FRでリーグ1位!」

咲「えふ? えっ、何?」

京太郎「FDPDとFD/FR」

京太郎「FDPDは攻撃阻止率とドラ和率をただ足したもの」

京太郎「攻撃阻止率はツモ和了数と流局数を足して総局数で割ったもので、ドラ和率はようするに表ドラを上手く活用してる度合いだ」

京太郎「FD/FRはツモ和了数と流局数を足して放銃数で割ったもの。振り込み1回あたり、何回相手を降ろしたか、ってところだな」

咲「最近はそんな細かい記録までとるんだ……。京ちゃん、詳しいね」

京太郎「俺も一応、職業が麻雀と言えないこともないからな」

優希「ようするに、のどちゃんつえー! ってこと!」

和「恐縮です」

カラ カラーン


?「あら?」

優希「お?」

久「あなたたち! 久しぶりねえ!」

咲「ぶ、部長!」

美穂子「こんばんは」

京太郎「福路プロも!」

久「ちょっとー、もう部長はよしてよ、咲」

久「なになに、何の集まりなの? 同窓会? 私、はぶられちゃった?」

和「あ、いえ。そういうわけではないのですが……」

久「冗談よ。和は試合で会えるけど、咲は特にご無沙汰だったわね」

咲「す、すいません」

優希「咲ちゃんは人付き合いが悪い、って衣も言ってたぜー?」

咲「ご、ごめんね」

ちなみに衣は一般男性と結婚して一児の母。

咲「あれ? 試合で会える、っていうのはどういう……」

京太郎「なんだ咲、知らないのか」

和「ぶちょ、竹井先輩は昨年からプロとして麻雀を打っているんですよ。長野のチームで」

咲「そうだったんですか!?」

久「ありゃー、私の知名度もまだまだか。もっと頑張らないとなー」

咲「すいません、私そういうのに疎くて……」

ころたんあの体格で大人になったのかしら
それとも育ったのかしら

>>40
140くらいにはなったんじゃないかなたぶん。



優希「部長はねー、異色の経歴を持つ新生プロ雀士なのだよ!」

咲「そうなの?」

京太郎「幾多の雀荘を荒らしまわり、数々の死線を潜り抜けてきた闇に生きる裏プロ、竹井久!」

優希「それが何人かのプロに推薦されて、編入試験を受けて特例でプロになったんだぜ!」

咲「す、すごいね」

久「私はプロになる気はなかったんだけどね。家のこともあるし」

咲「(家のことがあるのに裏プロはいいの……?)」

久「だけど美穂子と、ここの店長代理にしつこく説得されちゃってねー」

和「店長代理?」



ゆみ「」ペコリ



京太郎「加治木さん!?」

久「あら、あなたたち気付いてなかったの?」

和「は、はい……。そういえばお店の方がどんな方なのか気にしたこともなかったような」

ゆみ「はは。モモと一緒にいるうちに、私の影も薄くなってしまったかな」

咲「桃子ちゃん! じゃあ今も仲良しでいらっしゃるんですね」

ゆみ「ああ。というか」



桃子「ここにいるっすよ」



和「うひゃあ!」

久「これは私も知らなかった」

京太郎「久しぶりだなー、東横さん」

桃子「久しぶりっすね、京ちゃんさん」

優希「ありゃ? 二人は仲いいのか? というか知り合いだったのか?」

京太郎「ああ。同じ大学の麻雀部同士だったからな」

和「そうだったのですか……」

優希「おっ、のどちゃん嫉妬かー?」

和「やっ、あの、違います! そんな」

京太郎「ははは、安心していいぞ。男子と女子であんま交流なかったしな」

桃子「顔を見知ってて少し話したこともある、って程度っすよ。あ、でも」



桃子「今の旦那を紹介してくれたのは、京ちゃんさんだったっすね」



咲「えっ」

優希「ええっ! モモちゃん男と結婚したのか!?」

咲「私てっきり、桃子ちゃんは加治木さんと……」

ゆみ「ぐごふっ!」パリーン

久「あら、グラス割っちゃって。ゆみどしたー? 」

桃子「なんすかそれー。先輩は大好きな先輩ですし親友ですけど、そういうんじゃないっすよー」

ゆみ「あ、ああ。そのとおりなのだよ君たち……。そんな感情はこれっぽっちもなくてだな私たちはこうドライな関係というか強い信頼というか」

美穂子「(加治木さん、おいたわしや……)」

桃子「結婚といえば、そういえば京ちゃんさんたちもご結婚されるそうで。おめでとうございますっす」

京太郎「ああ、ありがとう」

久「えっ、須賀君結婚するの? 誰と誰と?」

優希「聞いて驚け! なんとのどちゃんとだぜ!」

和「はい……」

久「和と? へぇー、これはなんというか、意外な気もするし順当な気もするし……」

和「な、なんか照れます……」

咲「確かに、京ちゃんが和ちゃんを大好きなのはわかるけど、和ちゃんは京ちゃんなんかのどこに惹かれたんだろう」

京太郎「おいこら」

優希「咲ちゃん、なんだか強かになったぜ」

和「えっ、そんな……。言わなきゃだめですか……?」

久「気になる」

咲「気になる」

桃子「気になるっす」

美穂子「気になります」

和「ふ、福路さんまで……」

和「その……あの……。優しいところ……とか」



優希「かーっ! ありきたりなのろけだぜ!」

咲「優しいというより、弱々しいよね」

久「まあ、おつかいには便利よね」

京太郎「ひでえ言われよう」

和「そんなことありません! それに、初めて告白されたとき、最初は断ったのですが」

和「すごく熱心に、何度も何度も好きだ、好きだ、って言われて……」

京太郎「う」

和「あんなこと、あんなに言われたの初めてですし、嬉しかったといいますか、根負けしたといいますか……」

優希「へ」

咲「へー」

久「ほほう」

ゆみ「これはこれは」

美穂子「あらあら、まあ」

桃子「夜なのにすっかり春の陽気っす」



京太郎「なにこれ恥ずかしい」

和「恥ずかしいです……」

久「ところでさ。あなたたち、結婚した後も今みたいな口調のままなの?」

和「えっ?」

咲「確かに、和ちゃんいつも敬語だよね。呼び方も"須賀君"のままだし」

優希「もっとラブラブいちゃいちゃしたっていいんだぜー?」

和「えっ、そんな……ラブラブだなんて……」

京太郎「そこは、俺からも言っておきたいことがある」

久「おっ?」

優希「なんだなんだ」

和「は、はいっ」

京太郎「えーっとな」



京太郎「是非、そのままでいてくれ! 和!」

和「そのまま……」

咲「敬語のままでいいってこと?」

京太郎「ああ、何故なら……」



京太郎「何を隠そう、俺は"敬語嫁萌え"の達人だからだっ!」



和「へっ」

京太郎「わかるかなー。女子にはこのロマンわかるかなー」

京太郎「同い年なのに、敬語! 丁寧で物腰柔らか!」

京太郎「敬語なのに、余所余所しさは感じない親しみのこもった言葉!」

優希「なんか熱弁始めやがった」

咲「なんでそういう気持ち悪いこと堂々と言っちゃうかなー」

京太郎「何故なら、そのほうがかっこいいから!」

和「なんか不安になってきました……」



京太郎「あっ、でも呼び方は"あなた"にしてくれな! もしくは"京太郎さん"!」

京太郎「だってさ。おまえ自身も、もう"須賀"になるんだからな」

和「は」



和「はい……」



久「なんかムカつくなー、この子ら」

カラ カラーン


?「邪魔するよ」

ゆみ「おっ。こんばんは」

優希「ん? あれは……」

優希「つ、辻垣内智葉!」

智葉「なんだ、今日は随分賑やかだな」

ゆみ「同郷の仲間がたまたま集まっててね」

智葉「ほう……。ああ、君たちは清澄のか」

優希「な、なぜ貴様がここに……」

智葉「このあたりはうちの"シマ"だからな」

久「ああ、なるほど」

ゆみ「そういうことだ」

咲「え、えっと……どういうこと?」

京太郎「多分、咲には知る必要のないことだ……」

咲「えー」

智葉「ふむ、平和なようで何より。不届きな客でも来たら、すぐに呼べよ」

ゆみ「ああ、ありがとう。その辺はモモもいるから大丈夫だ」

智葉「では」


カラ カラーン


咲「桃子ちゃんがいるから、というのはどういう……」

桃子「こう、迷惑なお客さんに後ろから忍び寄って、ぼそぼそっと」

京太郎「そりゃこわい」

美穂子「このお店でたまにある幽霊騒ぎって、そういう……」

和「」ブルブル

行数考えてなかったから直前で調整の必要がが。




美穂子「それにしても、いいですね。こうやって昔の仲間が今でも集まれるというのは……」

美穂子「私は、後輩たちは私のことを慕ってくれましたけど、同い年の友だちというのはあまりいなかったので」

久「なによう。私は友だちじゃないっていうの?」

ゆみ「私も、そのつもりだったんだがな」

美穂子「い、いえあの! そういうつもりではなくて」

久「ふふっ、冗談よ」

久「でも、確かに素敵よね。今回はたまたまだったけど、またみんなで集まりたいわ」

久「そうだ! 和たちの結婚を祝する意味も兼ねてみんなで旅行にでも行きましょうか! まこも呼んで!」

咲「わっ、いいですね」

京太郎「ありがたいですけど、雀卓やパソコン担がされたりするのはもうごめんですよー」

和「吉野……」

優希「ん? のどちゃんどうした?」

和「あ、いえ。旅行と聞いたら、なんだか昔いた奈良の吉野の景色が思い浮かびまして……」

久「吉野か、いいわね。吉野といえば桜の名所だけれど、もう見ごろは過ぎてるのかしら」

和「たぶん、大丈夫だと思いますよ」

和「今年の冬は、少し長かったですから」

吉野。

阿知賀女子学院。


穏乃「いやー、まだ少し肌寒いですね。ジャージの下にもう一枚着てくればよかったかも」

教師「そうねえ。でも高鴨先生、今朝も歩いて出勤していらしたじゃない」

穏乃「えへへ、そういう性分なんで」


ガラッ


生徒A「失礼しまーす」

生徒A「あ、いたいた。しずちゃんせんせー!」

生徒B「こんにちはー」

穏乃「ん、どしたー? 春休み中に」

生徒A「あのですねー。あ、こっちの子は今度からうちの高等部に入るんですけど」

生徒B「」ペコリ

生徒A「二人で、麻雀同好会つくろうと思うんです!」

穏乃「麻雀……」

まだジャージなのか、しず……

生徒A「それで、しずちゃん先生に顧問をお願いしたいと思って!」

穏乃「……うん。どうして私に?」

生徒A「それは」

生徒B「10年前のインターハイ!!」

穏乃「!」

生徒B「私たち、小さいころテレビで見てて! すごくかっこいいなーと思って。それで、私も阿知賀で麻雀やれたらなーって……」

生徒A「こいつ、新子プロの大ファンですよ~」

穏乃「へえ。やっぱ憧は人気あんだなあ」

生徒B「新子プロだけじゃないです! 高鴨先生も!」

穏乃「うっ!?」

生徒B「個人収支は大したことなかったけれど、」

生徒A「こら」

生徒B「姿を潜ませ、その名のごとく静かに和了りを重ね、大将としてきっちり勝ちをさらっていくクールな活躍!」

生徒B「まさに"阿知賀の守護神"!!」

穏乃「は、傍からはそういう風に見えてたんだ……」

生徒B「そして準決勝でのあのセリフ!」

生徒A「ああ、あれね!」

穏乃「げっ」



生徒A&B「"そこはもうあなたのテリトリーじゃない"!!」



穏乃「やめてっ! 恥ずかしいっ!!」

>>68
体育教師だもの。あとズボンは穿いてるよ。



生徒B「そんな高鴨先生に、是非顧問になっていただけたらなー、と」

穏乃「うーん、その気持ちは嬉しいけど……」

穏乃「部活の顧問って、単に仕事が増えて面倒くさいだけでこっちとしてはメリットないんだよねえ」

生徒A「何言ってんですか。毎週、麻雀部の部室一人で掃除してるくせに」

穏乃「あ……ばれてた?」

生徒A「みんな知ってるんですよ。しずちゃん先生が麻雀と、ここの麻雀部を大好きなこと」

生徒B「お願いします!」

穏乃「……うん。わかった」

生徒A&B「やった!」

穏乃「ありがとね、誘ってくれて。さっきのはちょっと言ってみただけで」

穏乃「本当は、ずっと待ってたんだ。あの部室に、また人が集まってくれること……」

生徒A「先生……」

生徒B「」キュン

生徒A「ん?」

穏乃「そのかわり! やるからには部に昇格させるくらいの気持ちで真剣に!」

生徒A&B「はい!」

穏乃「そして、勉学も疎かにしないこと!」

生徒A&B「はーい……」

部室。


生徒B「おおー、本当に綺麗! ほこりかぶってないし!」

穏乃「へへー。玄さんほど掃除得意じゃないけど、まあ私なりにね」

生徒B「そういえば聞きたかったんですけど、どうして高鴨先生はプロにならなかったんですか?」

生徒A「そうそう。あんなにすごい麻雀打つのに」

穏乃「なんでって、そもそもお声がまったくかからなかったからねー」

生徒B「えー、そんなー」

穏乃「だって私、麻雀下手だし」

生徒A「へっ?」

穏乃「私は和や憧みたいに頭もよくないし、ミスもたくさんする」

穏乃「来る牌にまかせて、誰にでもわかるような手を、手なりで打ってるだけ」

穏乃「インハイも、チームは勝てたけど、私自身の収支は大したことなかったしね」

生徒B「あ、さっきはすいません……」

穏乃「いいよいいよ、そのとおりだし」

穏乃「私は多少運がよくて上手くやれてたけど、運は水物だからね」

穏乃「すっごい豪運な人や、まるで自らの能力であるかのように奇跡を連発する人も、それがいつまでも続くとは限らない」

穏乃「次の年には、ぱたりと何も出来なくなっちゃうこともある」

穏乃「まあ、大人になってもプロになっても、そんな大暴れを続けちゃう人も稀にいるけど」

穏乃「プロはね、本当に上手い人だけがいけるところなんだと思う」

生徒A&B「……」

穏乃「事実、試合数の多いインカレで安定して活躍できた憧はプロにいけたし」

穏乃「一つ二つの試合で活躍してもプロになれなかった人はたくさんいるよ。私だけじゃなくてね」

穏乃「それこそ、独特で奇抜な打ち方をするような人は、プロには評価されにくいんだと思う」

生徒A「あ、宮永とか? 長野のほうの。宮永咲」

穏乃「ああー。そういえば今、何やってるんだろう。宮永さん」

生徒B「あと、大星淡! あの名ゼリフの相手の!」

穏乃「いっ!?」

生徒B「? なんですか?」

穏乃「あ、いや。なんでも……」

ガチャ


?「あー、いたいた」

穏乃「ん、あ」

生徒B「新子プロだーっ!」

生徒A「おおーっ、本物!」

憧「うわ、ちょ、なに!?」

穏乃「おーおー、人気者だなあ。さすがオールスターファン投票2位」

憧「ちょ、やめてよそれいうの! 大した活躍してないのにこんなの、微妙だって自分でも思ってるんだから」

穏乃「やー、そういう人気も憧の実力のうちだと思うよ? 憧かわいいし」

憧「ちょ……真顔でそういうのほんとやめてよ。もう」

生徒B「新子プロはかわいいですけど、高鴨先生だってかっこいいですよ!」

穏乃「えっ、なに? 突然やめてよー褒めても何も出ないよ?」

憧「……あんた、なに生徒たぶらかしてんのよ」

穏乃「んぇ? なにが?」

憧「いや……」

穏乃「ところで今日はどしたの。帰省?」

憧「ん、まあね。観光シーズンだし実家の手伝いも兼ねてちょっと」

穏乃「ほえーっ、憧は偉いなあ。私、そんなの全然忘れてた」

憧「……しず、一人暮らし始めてからなんかズボラになったよね」

生徒A「さっきも、部活の顧問とかめんどくせーって言ってましたー」

穏乃「はっはは」

生徒B「でも、そういう気だるげでワイルドなところもかっこいいんですよ!」

憧「……」

帰り路。


穏乃「……で、ほんとにうち来るの?」

憧「当然! あんた、どうせほっとくとろくな食事しないでしょ。あたしが作ってあげる」

穏乃「いやー、それはありがたいんだけども……。今はなんとも部屋に上がってもらう準備が出来ていないというか……」

憧「なによ、別にそんな気、つかわなくていいわよ。それとも散らかってるとか?」

穏乃「そうじゃあないんだけども、そうともいえるというか……」

憧「! まさか彼氏!? 同棲してるの!?」

穏乃「いやっ! それも……違うけど……」

京咲派の俺はどうすれば…

穏乃宅前。


穏乃「じゃあ……」

憧「なんか妙な感じねー。何も気にしないからさっさと開けてよ」

穏乃「うん、開ける……」


ガチャ


淡「おかえりシズー」



憧「」

穏乃「……」

淡「あ、誰そいつ」

穏乃「憧。幼馴染で元チームメイトの」

憧「お久しぶりー……」

淡「ふーん。いたっけ? こんなやつ」

憧「」イラッ



穏乃「こらっ! 憧に失礼なこと言わないでくださいよ。謝ってください!」

淡「ひっ!」



憧「!?」



淡「えと……ごめんなさい」

憧「あ、いえ……」

穏乃「うん」

穏乃「あー、またお菓子のゴミ散らかして……。何度も言ってるじゃないですか」

淡「うー……ごめんて」

穏乃「謝るなら覚えてくださいよ。プラゴミはこっちのゴミ箱。可燃ゴミは」

淡「プラって……」

穏乃「この表示があるやつです!」

淡「あ、うん……」



憧「あのー、これは一体……」

穏乃「あー」



穏乃「なんか拾った」

淡「」グスン

淡「テルが海外行っちゃって、私捨てられちゃって……」

淡「私、テルがいないと何も生活できないし……まあテルもたいがいだったけど」

淡「だから、とりあえず西に向かいながら雀荘荒らして食べてけばいいかなーって」

淡「そうしてるうちに、ここに辿り着いて……」



穏乃『何やってるんですか、大星さん』

穏乃『……寒いですし、とりあえずうち来ますか』

穏乃『あーらら、綺麗な髪がすっかり痛んでるじゃないですか。もったいない』



憧「それは、まあ、なんというか……」

穏乃「さっき私のことズボラって言ったけど、この人と比べたら全然だよ。この人ほんとに何も出来ないんだから」

淡「うぅ……」

憧「(試合ではあんなに迫力あった大星さんがまるで捨て猫のように……)」

淡「シズはさぁ、私のこと嫌いなの……?」

穏乃「は? いきなりなんですか?」

淡「だってすぐ怒るし、喋り方もずっと余所余所しいし……」

穏乃「……そりゃあ、嫌いですよ」

淡「そんな! なんで」

穏乃「だって、対局マナー悪いですし。口悪いですし」

穏乃「生意気ですし」

穏乃「何も出来ないですし」

穏乃「対局中、なんか怖かったですし」

淡「ひぃ……」

憧「(基本、人当たりのいいしずにここまで言わせるとは……)」

穏乃「あと……目が離せないですし?」

憧「」

淡「お願い! 嫌いにならないで! シズに嫌われたら私……」

穏乃「そう思うならまず掃除! あと、憧はお客さんだから、お茶お出ししてください!」

淡「う、うん!」

淡「……お茶ってどうすればいいの?」

穏乃「はぁ」

憧「あ、あたしがやるよ! 大星さん、一緒にやろう!」

淡「うん……」

憧「(なんか……ほっとけないかわいさがあるな、今のこの子)」

憧「あ、そういえばしずー」

穏乃「んー?」

憧「なんかねー明後日、和が旅行でこっち来るって。清澄の皆さんと」

穏乃「えっ、和が!」

淡「! 宮永サキも!?」

憧「うん。あと和、結婚するんだってさ」

穏乃「へえー、マジかあ……。先越されたなあ」

憧「急だけど、宿の予約とかとれるのかなあ。この時期はもうどこもいっぱいでしょ」

穏乃「そこらへんは、玄さんちが融通利かせてくれるんじゃないの?」

憧「そ、そういうのっていいのかな……」



淡「宮永サキ……」

穏乃「おっ」

穏乃「(なるほど。上手くやれば宮永さんに大星さん押し付けられるかも……)」

憧「(しずがなんか悪い顔してる……。ああ、ピュアだったあのころのしずはどこへ……)」

憧「(さっき学校でも感じたけど、アレだな……。なんというか、晴絵みたいなタラシになりつつあるというか)」

憧「(あの人もプロになってからやっばいからなー。いったい何人泣かされたんだか)」



穏乃「んじゃー、久しぶりに山に入って、穴場の山桜スポットでも案内しようかな」

憧「いやいや。しずについてったら花見が一転ガチのスポーツハイキングになっちゃうし」

憧「それより、見ごろは大丈夫なの? もうだいぶ咲いてるように見えるけど、散っちゃわない?」

穏乃「んー、もうちょっとはもつと思うよ」

穏乃「今年の春は、遅かったからね」


おわり。

>>87
今回は京和だったけど、俺は基本なんでも好きだ。もちろん百合も。
京和は、基本矢印の方向が京太郎から和へなのが京咲や京タコとの大きな違いだね。

おまけ。


大阪。


竜華「……なあ、怜ー」

怜「んー?」

竜華「あのー、よければ。できればでええんやけどな」

竜華「……家賃、少しは入れてもらえないかなー、って……」

怜「んー……」

怜「ウチ、病弱やし」

竜華「嘘やん! もう完治してる言うたやん!」

怜「そっちはもうええねんけどな」

怜「心の……ほうがな……」

竜華「怜……?」

怜「体はもう元気やし、外を歩いて出かけることもできるけど」

怜「人と顔を合わせてお仕事するとなると、なんか怖くてな……」

怜「そばに竜華がいてくれんと……ウチ、無理かも……」

竜華「怜……そうやったんか……」

怜「ごめんな竜華……。悪い悪いとは思っとるんやけど」

竜華「ええよ! こっちこそごめんな、無理言うて……」

怜「いや、ええんや。竜華からしたら、ただの穀潰しやもんな……」

竜華「そんなこと言わんといて怜! うち、そんなこと思っとらんよ!」

竜華「怜が心配なんよ! 怜がここにいたい言うなら、いつまでもここにいてええんよ!」

怜「竜華……」

竜華「あ、でも……こんなこと言うた矢先にこれ言うんも気が引けるんやけど……」

竜華「今晩、彼氏がうち来るんよ」

竜華「だから、ちょーっとだけな? お外行っといてもらえると嬉しいんやけど……」

怜「……はあ。ええで」

竜華「怜、怒っとる?」

怜「怒っとらんでー。ウチがいたら、彼氏さんウチに靡いてしまうやろうからなー」

竜華「もー、怜ってばー」

怜「なんならネットカフェにでも泊まってこよか。せやから……」

竜華「はいはい、夕食代と宿代なー。ちゃんと用意しとるでー」

怜「堪忍なー、竜華」

竜華「それは言わないお約束やって」

ガチャ


怜「さて……」



怜「(セーラんち行ってこのお金浮かそ)」



怜「(ほんで雀荘行って……)」

怜「(あー、セーラんちはこの前行ったばかりやったな……)」

怜「(んー……)」

怜「(じゃあ今日は煌んちにしとこか)」



怜「……まだ少し肌寒いなあ」


おわり。

見てくれた人、ありがとう。
以前、麻雀ぢから分析のスレ立てた者です。
あれはもっと連載進んでキャラ増えたり新事実出たりしたら改良・更新してまたやるかもです。
今やりたいのは和による麻雀講座だけど、めちゃくちゃ長くなりそうでつらいです。

1月からのアニメ、楽しみだね。

おつ
文堂さんと泉ちゃん地味に活躍してた

>>117
どちらも、超名門校で1年生のうちからレギュラーに出てるっていう、地味に高スペックなキャラなんだよね。
登場させたのは俺の願望もあってのこと。それでも監督どまりなのが申し訳ないけど。

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom