ほむら「ダークウィッチリターンズ」(234)
QB「最初に>>1がこれまで書いたSSをさらしておくよ」
・マミ「熱力学的奇跡ね」(元ネタ:ウォッチメン)
・QB「僕と契約してニンジャになってよ!」(元ネタ:ニンジャスレイヤー)
・マミ「通りすがりのタイヤキ屋さんよ!」(元ネタ:ライブアライブ)
QB「そして今回のネタは『ダークナイトリターンズ』」
QB「わけがわからないよね。そう、今回も>>1しか得しないんだ」
QB「時系列は最終話から十年後、なにしろリターンズだからね」
QB「最初は、ほむら=バットマン、マミ=トゥーフェイス、杏子=ジョーカー、
まどか=スーパーマンのつもりだったんだけど」
QB「若干シビルウォーとかも混ぜたりしたからごちゃごちゃになってね。あんまり気にしないでおくれよ」
QB「上手くハードボイルド感が出せてないし」
QB「何が言いたいかというと、デキが不安ってことさ」
QB「うん、予防線だね。恐る恐る始めるよ」
BOOK ONE THE DARK WITCH RETURNS
『世は去り世は来る 地は永久に長存(たもつ)なり
日は出で日は入り またその出しところに喘ぎゆくなり
風は南に行き また転(まわ)りて北に向かい
旋転(めぐ)りに旋(めぐ)りて行き 風復その旋転るところにかえる
河はみな海に流れ入る 海は盈(みつ)ることなし
河はその出きたるところに復還りゆくなり』
-旧約聖書 「伝道之書」-
バイト「お会計、四点で六一七円になります」
ほむら「………」チャリンチャリン
バイト「ありがとうございましたー」
ほむら「………」テクテク
チンピラ1「なあ、あれ」
チンピラ2「いいんじゃないの。ちょうど一人歩きだしな」
ほむら「………」
チンピラ1「お嬢ちゃん、こんな夜中に出歩いちゃダメだなぁ」
チンピラ2「お兄さんたちが送ってってあげるよ」
ほむら「………」
チンピラ1「とっても楽しいからさ」
ほむら「………」ハア
チンピラ2「なんだこいつ。早いとこかっさらって…」
ゴキッ
ほむホーム
ほむら「………」カチッ
テレビ「…完全失業率が25%を突破…」カチッ
テレビ「…ハイジャックされた旅客機はイスラエルにて…」カチッ
テレビ「…一連の強盗事件は同一犯の犯行と…」カチッ
テレビ「…ウィッチーズ・ギャングを名乗る若者集団は我々の取材に対し…」カチッ
テレビ「…中国が朝鮮戦争への介入を発表してから一週間が…」カチッ
テレビ「…魔法技術の解明による革新からちょうど十年となる…」
ほむら「………」ピタ
テレビ「コンパニオンには巴マミさんが選ばれ、各地のイベントに参加する予定です」
ほむら(何年も会っていないけれど、うまくやっているようね)
テレビ「巴さんは初めて素顔と名前を公開した魔法少女として知名度が高く、
技術開発や警察への協力でも評価されています」
ほむら(客寄せパンダになるだけでグリーフシードがもらえるんだから、楽な仕事だわ)
詢子「それじゃ、行ってくるよたつや」
知久「ご飯は温めて食べるんだよ」
たつや「わかってるよ」
知久「出かけるときはあまり遅くならないようにね。最近は安い武器が出回って物騒に…」
たつや「わかってるってば」
知久「…いってきます」
詢子「今日は遅くなるから、戸締りちゃんとするんだぞ」
たつや(今日も、だろ。日曜くらい休めないのかよ。俺も将来、ああいう仕事するのかな…)
たつや「…待ち合わせ時間まで、なにしてようかなぁ」
『きっと大丈夫。だって魔法少女は奇跡を起こすんだから』
「ロシア極東軍の特殊戦術部隊が、ウラジオストックに集結しつつあるとの情報もあり」
『絶望する必要なんてない』
「この部隊は最新の魔法兵器が配備されており、国連では常任理事国間の亀裂が問題視されていますが」
『もう誰も呪わなくていい』
「政府はいまだ明確な見解を……」カチ
ほむら「…テレビつけっぱなしで寝ていたのね。眠りが浅いはずだわ」
ほむら(そろそろ、グリーフシードを集めないと。魔獣も見つけにくくなっているし)
ほむら「……まどかの夢を見るなんて、穢れが溜まっている証拠ね」
友「けっこう遅くなったなあ。お前ん家、うるさくねぇの?」
たつや「親はどうせ帰ってないから平気だよ」
友「日曜まで仕事? やっぱエリートビジネスマンは違うな」
たつや「いつの話だよ。今は2人そろって工場のパート」
友「そうだっけ? あー、あれか。技術カクシンなんとかの波が?」
たつや「そうだよ。母さんの会社もけっこうデカいとこだったけど、
ついてけなかったらしくて潰れた。父さんも専業主夫なんてやってられないってさ」
友「それに比べて魔法技術関係のベンチャーはスゲーよな。儲けまくってるんだってな。
うちは高校も私立は絶対無理って言われてんのに」
たつや「こっちだってそうさ」
友「ははっ。お互い勝ち組になれるようがんばろうぜ。じゃあな。ギャングに気をつけろよ」
たつや(この辺、街灯切れっぱなしで暗いんだよな)
たつや(ギャングが強盗事件起こしたのって隣町だっけ。銃とかナイフとか古くなった武器が払い下げられてるって…)
たつや「!」
魔獣「グオオオオオ」
たつや「魔獣!? 交通事故より確率低いんじゃなかったのか!?」ダッ
魔獣「グオオオオオ」
たつや「もう1匹!?」
魔獣「「グオオオオオ」」
たつや「だ、誰か助け…」
バシュッ コロン
ほむら「収穫はあったけど、目撃者つきね。困ったものだわ」
たつや「魔法…少女?」
書き溜めてないの?
ほむら「今日ここであったことは一切他言しないこと。約束してくれる?」
たつや「え、えーと…その…」
ほむら「イエスかノーか、早く答えて」
たつや「い、いつか会ったことありませんか?」
ほむら「質問の答えになっていないわ」
たつや「いや、なんか会ったことがあるような…」
ほむら「………」
たつや「そうだ、そのリボン! 確かに覚えてる! 絶対会ったことありますよ!」
ほむら「あなた名前は?」
たつや「鹿目たつやです」
ほむら(まどかの……)
たつや「…あ、あの……」
ほむら(もう、こんなに大きくなって…)
たつや「あの!」
ほむら「?」
たつや「…名前教えてもらっていいですか?」
ほむら「あなたに教える筋合いはないわ」
たつや「でも…」
ほむら「今日のことは忘れなさいと言ったはずよ」バッ
たつや「あっ、待って……ダメか追いつけるわけない」
>>12さるさんが怖いんだ
ほむホーム
テレビ「若者による凶悪犯罪は戦後最大を更新し、行政による対策が待たれます」
ほむら(…奇跡が等価交換なら、これは受け入れるべきなのかしら…)
テレビ「この背景には技術革新による経済格差の増大と、銃器など旧式武器の流入が挙げられ…」
『みんなの希望を、絶望で終わらせたりなんかしない』
ほむら(……昨日あなたの弟にあったわ、まどか。大きくなって、あなたのことも忘れてしまったみたい)
テレビ「…将来への不安から凶行へ走る人々が…」
ほむら(希望、まどかが切り開いた未来……それがこんなふうになるなんて……)
ほむら(あなたはこれから私がすることを望んでないかもしれない)
ほむら(自分でもバカなことだと思う。それでも、希望を汚すような未来は)
ほむら「私が許さない」ザッ
テレビ「…次は緊迫する東アジア情勢です。南下を続ける中国軍に在韓米軍は危機感をつのらせ…」
ゴロツキ「この銃見えるよな。抵抗したら…」
会社員「よせ! 撃つな! 金なら払うから…」
ゴロツキ「そうそう、素直によこしな」
ほむら「武器があるからどうだというの」 ゴキッ
ゴロツキ「ぐふっ」ドサッ
会社員「!? あんた一体…」
ほむら「気を付けて帰りなさい」バッ
強盗「おい! さっさとしろ! レジ開けねえか!」
バイト「はいぃぃ! 開けますから撃たないで」
ほむら「その必要はないわ」バサァ
強盗「ギャア!」
たつや(なにやってんだろ。こんな夜中に出歩いて)
たつや(こんなんで見つけられれば世話ないよなぁ)
たつや「…やっぱ帰るか。」
ギャング1「よう、兄ちゃん。騒ぐなよ」
ギャング2「もってるモン全部だしな。痛い目みたくねえだろ」
たつや(やばい! こいつら最近テレビでやってる…)
ギャング1「逆らおうなんて思うなよ。ウィッチーズ・ギャングは手加減しねーからな」
ギャング2「ま、おとなしく言うこときけば怪我はさせねえよ。そういう決まりだ」
ほむら「なにをしているの?」
ギャング1「ん? なんだ?」
ほむら「こんな夜更けに出歩く用事でもあるのかしら。中学生は家にいる時間よ、鹿目たつや」
ギャング2「この兄ちゃんの知り合いか? ちょうどいい、おたくも財布だしな」
ほむら「私たちの真似事はやめなさい」
ギャング2「あん?」
ほむら「その派手な衣装は魔法少女を模しているんでしょう」
ギャング1「当たり前だろ。そうじゃなきゃこんな恥ずかしいカッコするかよ」
ほむら「バカ丸出しよ。魔法少女をありがたがるなんて正気とは思えないわ」
ギャング2「テメェ!」
ほむら「本当にバカね」バシュッ
たつや「う、わぁ…これ大丈夫なんですか?」
ほむら「殺してはいないわ。それより、こんなところでなにをしているの?」
たつや「あー、えー……あなたを探してて………」
ほむら「私を?」
たつや「どうしても気になって……あっ! ストーカーってわけじゃないです!」
ほむら「……こんな時間に出歩いて両親はなにも言わないの?」
たつや「うち、親は遅くまで帰らないから…」
ほむら「……そう」
たつや「あの! もしよかったら少し話ませんか!?」
ほむら「けっこうよ」
たつや「ほんとにナンパとかじゃないんです! ただ、どうしてか懐かしいっていうか…」
ほむら「…鹿目たつや。あなたが覚えてるのは私じゃない」
たつや「え?」
ほむら「このリボンよ。今となってはこれだけが証だから」
たつや「なんのことです?」
ほむら「あなたが探しているのは私ではない。もうとっくにいない人よ」
たつや「なにがなんだかわかりませんけど……名前だけでも教えてもらえませんか」
ほむら「そんな恥知らずにはなれないわ。親友を救うどころか、もっとひどい運命を背負わせた…」
たつや「?」
ほむら「私のことは忘れなさい」バサァ
某テレビ局収録スタジオ
専門家「つまりは反抗の象徴なのです」
司会「魔法少女のコスプレがですか?」
専門家「そうです。魔法少女の多くは現状を変えるためにその道を選びました。
ウィッチーズ・ギャングの若者たちも、社会の閉塞感を打ち破ろうと
あのような衣装をまとっているのでしょう」
司会「なるほど。巴さんのご意見は?」
マミ「事情はそれぞれですから一概には言えませんが、おっしゃられることは理解できます」
専門家「もちろん、大きなグループですので面白半分で参加している者もいるでしょう。
ただ、不安を抱えた若者からすると魔法少女というのは…」
マミ「希望の象徴、ですか?」
専門家「まさしく。似たような事例は過去にもあり、左翼運動に代表される…」
マミ「お疲れ様でした」
司会「いやー、やはり巴さんがでると数字が取れますね。毎回お願いしたいくらいです」
マミ「私は…」
司会「もちろんお忙しいことはわかってますよ。ただ、
できれば番組編成期の特番にでも顔を出してもらえると嬉しいんですがね」
黒服「失礼。巴マミさんですね」
司会「ちょっと、一般の人は立ち入り禁止ですよ」
黒服「内閣府の者です。首相が至急お会いしたいと」
マミ「なにか事件ですか?」
黒服「移動しながらお話しします。とにかく急いでください」
マミ「…わかりました。それでは」タタッ
司会「忙しいねえ。ま、便利屋みたいなもんだからな」
ギャングのアジト
ギャング1「畜生! なんなんだあいつは!」
ギャング2「まさか本物の魔法少女かよ。勝てるわけねえよ」
ギャング1「リーダーの他にもまだいたんだな。てっきり全員引退して引き籠ってるもんかと…」
杏子「なんだお前ら。ひでー恰好だな」
ギャング2「リーダー!? 来てたんですか!?」
杏子「食いもんでもねーかと思ってね。お前らが遅いから勝手にやらせてもらったよ」
ギャング1「はぁ…」
杏子「さっきテレビつけたら偉そうなおっさんがなんやかやと理屈こねててさ。魔法少女のコスプレは希望の象徴なんだと」
杏子「面白いこと言うな。あたしがシャレで始めただけだってのに。愛と正義の魔法少女なんていないっての」
ギャング1「リーダー、そのことなんですけど」
ギャング2「今日の仕事の最中、魔法少女に邪魔されて…」
杏子「はあ? 今の魔法少女はたいていが特別公務員サマだろ。飼い殺されてんだよ。チンピラに構ったりするもんか」
ギャング1「本当なんですよ。白い羽の魔法少女がいきなり…」
テレビ「臨時ニュースをお伝えします。見滝原各地で魔法少女の目撃情報が寄せられています」
テレビ「情報はいずれも、白い翼のようなものを持つ魔法少女に助けられたというもので、長い黒髪でリボンをしていたと…」
杏子「………」
ギャング2「リーダー?」
杏子「お前ら、その話詳しく聞かせろ」
杏子「パーティの準備だ」
ほむホーム
『希望を抱くのが間違いだなんて言われたら、私、そんなのは違うって、何度でもそう言い返せます』
ほむら(ああ、またまどかの夢)
『ごめんね。私、みんなを迎えに行かないと』
ほむら(こういうときは決まってソウルジェムの濁りが早い)
『私なんかでも、本当になにかできるの?』
ほむら(人間の相手ばかりもしていられない)
ほむら(魔獣を探さないと……グリーフシードを……)
ほむら(もしも、濁りきったら…そのときは……)
ほむら(あなたに、また……)
GO TO BOOK TWO
BOOK TWO THE DARK WITCH TRIUMPHANT
『この最低の世界を創ったのは、
形而上学的な超越力じゃない。
子供を殺したのは神じゃないし、
その死体を犬に喰わせたのも運命なんかじゃない
俺たち人間だ 人間の仕業だ』
-ロールシャッハ-
首相官邸
首相「コンビニの監視カメラの映像なんだがね、ひどいもんだろう? 強盗犯は全治一ヵ月だ」
マミ「…こんなことって……」
首相「同様の事件が一週間で二六件。規制法ができてからは、こういう騒ぎもなくなってたんだが」
マミ「で、でもこれは人助けですよ? なにも、悪いことをしたわけじゃ…」
首相「魔法少女は例外なく、政府への登録が必要なことは知っているだろう。
そして問題の魔法少女は無登録、これだけで重大な犯罪だ」
マミ「前にも言ったように、事情を抱えた魔法少女も多いんです。杓子定規な判断はしないでください」
首相「だからといって犯罪者への私的制裁など看過できないのだよ。なんのために法整備をしたのか考えてほしい」
マミ「…政府の監督下に入るよう、私が説得します」
首相「おお、是非ともお願いしよう」
マミ(最初から私にやらせるつもりだったくせに…)
首相「いやぁ、助かるよ。下手に警察やら自衛隊は動かせないからね。
できれば穏便にすませたかったんだ。この件は君に任せたよ」
マミ「彼女を説得することができたら、今回の騒ぎは不問にしていただきたいんですが」
首相「善処しよう。トラストミー」
マミ「…では、もう行きます」
詢子「まだこんなバカをやらかす魔法少女がいたんだね」
知久「ここ何年かは静かだったんだけどね。大事にならないといいんだけど」
たつや「…バカはないだろう。正義の味方じゃないか」
詢子「あんたは小さかったから覚えてないだろうけど、昔は力を使って暴れる魔法少女が多かったのさ」
知久「テレビにでてる巴さんみたいなのは珍しいんだよ。魔法を有効活用しようって協力的だったのは少数派なんだ」
詢子「ま、あいつらの気持ちもわからんでもない。魔法だの魔獣だのが公表されて世間は殺気立ってたし、
ほとんどは連中のことを薄気味悪く思ってた」
知久「彼女たちからすれば、迫害されてる気分だったろうね」
たつや「でもさ、魔法少女のおかげで世の中いろいろ便利になっただろ」
詢子「変わるのが絶対に正しいなんてことはないんだよ。あんただって今の騒ぎはわかるだろう?」
知久「そのうち落ち着くよ。今はまだ試行錯誤の最中なのさ」
テレビ「…朝鮮半島の軍事的緊張は予断を許さず…」
たつや「……ほんとかな」
マミ「久しぶりね、暁美さん」
ほむら「巴マミ……」
マミ「立ち話もなんだから、そこの喫茶店に入りましょうか」
ほむら「………どうして私の居場所がわかったの? この十年、身を隠していたのに」
マミ「QBに協力してもらったわ。情報網が広いから」
ほむら「…あいつは上手く政府に取り入ってるのね」
マミ「協力関係よ。国にも、国民にも、QBにも利益がある。もちろん魔法少女にも」
マミ「技術の進歩で魔獣の脅威は著しく少なくなったわ。装備さえあれば、警察や自衛隊が充分対応できる」
マミ「私たちが単独で捜し歩くよりずっと効率的にね」
マミ「しっかり配給があるから、グリーフシードを巡って争うこともない」
ほむら「そして魔法技術の使われた製品は、一般人からも少しずつ感情エネルギーを回収するから、
宇宙のエネルギー問題にあてる、だったかしら」
マミ「もう問題はなにもない。私たちの戦いは終わったのよ」
ほむら「そうね。政治家や役人に尻尾をふって、実験動物さながらの扱いを我慢すれば平穏無事に暮らせるわ」
マミ「……待遇はとっくの昔に改善されてるの。確かに行き違いはあったけど…」
ほむら「広告塔のあなたが頑張ったからね」
マミ「暁美さん、私は…」
ほむら「誤解しないで。あなたの努力は立派だと思う。
魔法少女の存在が公表された時点で、遅かれ早かれ軋轢は生まれていたでしょう」
マミ「そう言ってもらえると嬉しいわ」
マミ「今からでも遅くない。私と一緒に来て。多少の便宜をはかることはできるから」
ほむら「気持ちだけでけっこうよ。私にはやることがある」
マミ「誰もそんなこと望んでない。警察に任せればいいじゃない。私たちの時代は終わったのよ」
ほむら「…あなたは未来が食いつぶされようとしているのを見て平気でいられる?」
ほむら「見滝原は、一人じゃ出歩けないような町になったわ。魔獣のせいじゃないのよ」
マミ「だからといって、あなただけでどうしようというの?」
マミ「単刀直入に言いましょう。あなたが暴れるせいで、他の魔法少女はいい迷惑よ」
マミ「せっかく社会に受け入れられてきたのに、このままじゃまた日陰者に逆戻りだわ」
ほむら「それは大変ね」
マミ「あなた…!」
ほむら「自分の希望を貫き通す、それが魔法少女じゃなかったかしら」
ほむら「良いとか悪いとかは自分で決めるものよ」
マミ「……次は容赦しない。これは友人としての最後の忠告と思ってちょうだい」
ほむら「一応、ありがとうと言っておくわ」
テレビ「…白い翼の魔法少女ね、いいんじゃない? なんかカッコいいよ…」
テレビ「…冗談じゃない。何様のつもりだよ。いい気になってんじゃないか…」
テレビ「…やっぱり今の法律じゃ甘いんだよ。もっと厳罰化してだね…」
テレビ「…うーん、しょうがないと思うな。誰かが行動を起こさない限り…」
テレビ「…インタビューでは様々な意見が聞かれました。巴マミさんはメディアを通して当人に自重を呼びかけるなど…」
ほむら(巴マミは変わったようで変わらないわね)
ほむら(いつも、誰かのためになることを考えている)
ほむら(本当は自分が一番心細いはずなのに、無理矢理奮い立たせて)
ほむら(でも…あなたの周りはあなたほど優しくないのよ)バサァ
ほむら(夜中なら三十分もしないうちに事件現場に出くわす)
ほむら(危なそうな場所をパトロールしているということもあるけれど、昔は世界一平和だった国とは思えない)
ほむら(今日は強盗が四件、計七人をノシてやった)
ほむら(普通の人間でも、武器を持った相手を殺さずに止めるのは難しいわね)
ほむら「これは?」
ほむら(…自衛隊でも正式採用されてる銃。民間に出回るなんて考えにくい)
ほむら(少し調べてみましょうか。昔は武器調達で世話になってたもの)
翌日
マミ「お願いします。もう少しだけ待ってください」
黒服「魔法少女の立場はあなたもよくわかるでしょう。反社会的な個体は放置できないんですよ」
マミ「自分から積極的に犯罪に手を染めているわけではないんです。ただ、困っている人を助けようとしているだけです」
黒服「おかげでこちらは困っていましてね」
マミ「どういうことです?」
黒服「あなたのお友達は、政治のかなり微妙な問題を嗅ぎつけてしまいまして」
マミ「なにを言っているのか…」
黒服「後ろ暗い金脈に気付いたんですよ。防衛省の高級官僚の自宅まで押しかけて問い詰めたようです」
マミ「なっ!?」
黒服「知らないのも無理はない。報道規制を敷いていますから。
問い詰められた本人は首をくくって、官邸は朝からてんやわんやです」
マミ「首相と話しをさせてください!」
黒服「今は事後処理に奔走中なので無理です。言付けは承っていますが」
マミ「それは!?」
黒服「『賢明な判断がなされない場合は、対応を再考せざるをえない』」
マミ(…そう…どれだけ貢献しても、結局私たちはいざとなれば切り捨てられるだけの存在でしかないのね……)
マミ「わかりました。私がしかるべき対処をします」
黒服「吉報を待っていますよ」
マミ(暁美さん、あなたは魔法少女は希望を貫く、といったわね。なら私もそうさせてもらうわ)
マミ(あなたと戦うことになろうとも)
ほむホーム
テレビ「それでは次のニュースです…」
QB「やあ、ほむら」
ほむら「なにをしにきたの。だいたい予想はつくけれど」
QB「マミからの伝言だよ。北部の工業団地に来てほしいんだ」
ほむら「……お前は監視役兼メッセンジャーというわけね」
QB「今の内閣はいろいろと都合がいいからね。時々はお願いを聞いてあげることにしているのさ」
ほむら「節操がないわ。少女たちだけでなく、今度は全人類を食い物にしようなんて」
QB「より効率的で持続する資源があれば、そちらを利用するのは当然じゃないか」
QB「魔法技術は世界中に広まりつつある。兵器から生活家電にいたるまでね。
確かに一人から得られる量は少ないけど、総量ではかなりのものだ」
ほむら「それでお前は不労所得暮らしというわけね。昔は詐欺まがいの営業マンだったくせに」
QB「何が気に入らないんだい? 僕にとっても君たちにとってもベターな関係だと思うよ」
ほむら「私にとってベストではない、それだけのこと」
QB「人間の考えることはわけがわからないね」
QB「今回のこともそうだ。人間たちは君を殺せるくらいの武器を持っている。
なのにわざわざマミにやらせるなんて、成功率の低い選択だよ」
ほむら「近所に気に入らない犬がいても、自分で直接殺してしまうと外聞が悪いでしょう。
その犬が人間の形をしていればばおさら」
ほむら「でも自分の飼っている犬が『たまたま』喧嘩をしてその犬を殺してしまっただけなら、まだマシということよ」
QB「なるほど。僕にももっと社会勉強が必要だね」
ほむら「……そろそろ行くわ。巴マミを待たせるの悪いから」
QB「健闘を祈ってるよ」
ほむら「どっちの?」
QB「もちろん両方のさ」
テレビ「…世界的なバイオリニスト上条恭介さんが、故郷の見滝原でチャリティコンサートを…」
北部工業団地
ほむら(ここも昔は多くの工場が稼働していたものだけど)
ほむら(活気にあふれた時代はとっくに過去の話)
ほむら(技術革新からはうち捨てられてまるで…)
マミ「まるで私たちのようだと思わない?」
ほむら「…思わないわ。少なくともあなたはそうではないと喧伝しているでしょう、巴マミ」
マミ「そりゃあ、広告塔ですもの。使い道のないゾンビです、なんて言えないじゃない」
ほむら「昔から気になっていたけど…」
マミ「なにかしら?」
ほむら「切羽詰ると言動が極端になるのは直したほうがいいと思う。あなたらしくない」
マミ「私も昔から、あなたのスレた態度は直したほうがいいと思ってたわ」
ほむら「そう。お互いの本音が聞けて良かったじゃない」
マミ「…本音…ね……」
ほむら「ところで本題はなにかしら。私も忙しいから早く済ませてほしいわ」
マミ「嫌味な言い方をするのね。……暁美ほむら、あなたを魔法少女規制法違反により、政府特任執行官の権限に基づき」
マミ「執行対象とみなします。覚悟はいい?」ジャキッ
ほむら「あなたがよければ」バサァ
マミ(! 翼に穢れが……。まあ、あれだけ町中を飛び回っていれば当然ね)
マミ(…手心は加えない。私は私のやるべきことをする!)ドドドド
ほむら(拘束、射程、火力、さらに回復魔法、個人の戦闘力でいえば巴マミはおそらくトップクラスの魔法少女)ヒラッ
ほむら(正面からの撃ち合いじゃ、勝ち目は薄い。なんとか攪乱して…)
マミ「そこ!」パンッ
ほむら「くっ」ヨロ
ほむら(危ない。フェイントばかりかと思えば必殺の一撃が紛れ込んでる)
ほむら(十年もパンダをやってて鈍ってるのを期待してたけど、考えてみれば私も同じだけ引き籠ってたわね)
マミ「防戦一方なの!?」
ほむら(胸に刻むのよ。目を閉じて耳を塞いできたツケがこの有り様)
ほむら「人気者のあなたと違って省エネなだけ。スポンサーもいないからやりくりが大変よ」バシュッ
マミ「ッ! ティロ・フィナーレ!」ドゴォォォォォン
ほむら「うぐぅ!」
マミ「真正面から撃ってきても無駄よ。押し相撲なら私の火力で圧倒できる」
ほむら(ええ、全くその通り。自分でも嫌になるほど弱い)
マミ「降参しなさい。抵抗しなければ命までは取らないわ」
ほむら(でもあきらめる理由にはならない)
ほむら「」ボソッ
マミ「? なんて言ったの?」
ほむら「私のターン」バサァ
マミ「逃がさないわよ!」シュルルッ
ほむら(拘束魔法…これが厄介ね。矢で牽制、これで一手)バシュッバシュッ
マミ「拘束リボンを迎撃せざるを得ない…それはこちらも折りこみ済み、そして」
マミ「隙だらけよ。これで終わり、ティロ・フィナー…」
ほむら(パイナップルがひとつ、ふたつ、みっつ。これで二手)ポイポイ
マミ「!? 手榴弾っ!? リボンで拘束…」
ほむら(対応して閃光弾。これで三手)ピカッ
マミ「目がッ…!」
ほむら(あっさり手が止まる。相変わらず不意打ちに弱い。強過ぎるのも考え物ね)
ほむら(距離を詰めてホールドアップ)チャキッ
マミ「あ…」
ほむら「ターンエンド。ゴー」
マミ「………私の負け?」
ほむら(そう取ってもらえると嬉しい。ここで冷静に勝因を解説してみせる。
ごく、あたりまえのように。そのほうが効果的)
ほむら「確かにあなたは強い。でも戦いは強い方が勝つわけじゃない」
マミ「そうね。わかっていたつもりでも、油断したわ」
ほむら「魔法少女の能力ではあなたに敵わない。だから小道具を使わせてもらった。驚いてもらえたかしら」
マミ「…よくこんな古い武器を持っていたわね」
ほむら「最近の魔力を利用するタイプは、あなたくらいのベテラン相手だとすぐ気付かれてしまう。
不意を突くには、火薬が最適だったの」
マミ「私は見事それにはまった間抜けというわけ……」
ほむら「もっとも、一番の理由は他にあるわ」
マミ「?」
ほむら「安いからよ。そこらのチンピラにも買えるくらい」
マミ「…私の……せいだと言いたいの?」
ほむら(ここからが本番。彼女の心を見定める)
マミ「私が! 政府に協力して社会を変えてしまったから!?」
ほむら(ああ、やはりそのことを気に病んでいたのね)
マミ「仕方なかった! 魔法少女がいがみ合って人を傷つけるのを止めるには…そうするしかなかったのよ!」
ほむら(そうね。オオカミがイヌになってヒトと共存する道を選んだように、あなたの決断は間違いではなかった)
マミ「自分たちのためだけじゃない! 魔法の力を少しでも多くの人のために役立てたかった!」
ほむら(本当に…昔から変わらないわ)
マミ「なのに、どうしてこんなことに……。今度は人や国同士がいがみ合って……魔法はいろんな人を傷つけて………」
ほむら(もう、戦意はないようね。これで殺さずに済む)
マミ「私が……間違ってたの?」
ほむら「いいえ」
ほむら「あなたは間違ってない。あなたじゃなくても、いずれは別の誰かが同じようなことをしていたはず」
ほむら「そして同じような結果になっていたでしょうね」
マミ「間違ってないならなぜ……」
ほむら「その理由はとてもシンプル」
ほむら「私たちが弱いから」
マミ「………」
ほむら「奇跡に頼ってしまった私たちは……どうしようもなく弱いのよ」
ほむら「魔法があったところで、世界を導くことなど出来はしない」
マミ「…う、ああああぁぁぁ……」
ほむら「………」
ほむら(今日は私が勝った。巴マミの性格からすると、しばらくは手を出してこない)
ほむら(……明日も勝ち続けられる保証なんてないけど)
GO TO BOOK THREE
BOOK THREE HUNT THE DARK WITCH
『皮肉とあわれみ 君よ心あらば
おお、人々に皮肉を与えよ。あわれみを与えよ。
人々の胸にわずかの皮肉を、わずかのあわれみを…』
-アーネスト・ヘミングウェイ 『日はまた昇る』-
ほむホーム
ほむら(やはり消耗が激しい…浄化が追い付かないわ)
ほむら(巴マミ以外にも、続けて魔法少女を何人も送られたらチェックメイトね)
テレビ「…国民の皆さんはなにも心配することはありません。半島情勢は沈静化に向かっています…」
テレビ「…え? 中国とロシアの動きが不可解? ははは、想定の範囲内です。トラストミー…」
テレビ「…以上、首相の談話でした。識者のあいだでもこれを支持する一方、楽観論を非難する声も根強く…」
ほむら(先日の一件以来、巴マミはテレビに顔を出さない。更迭されたのか、自分から引いたのか)
テレビ「…白い翼の魔法少女による事件は五〇を超え…」
ほむら(こころなしか私についてのニュースも、少なくなってきている気がする)
テレビ「…続いての時間は秋の新ドラマ初回スペシャルで…」
ほむら「」カチッ
テレビ「…本日のゲストは美容のカリスマと呼ばれる…」
ほむら「」カチッ
テレビ「…お笑い芸人大集合! 二時間ぶっつづけの…」プツッ
ほむら(……今日はもう休みましょう)
杏子「ほら、きりきり動け。そんなんじゃ間に合わねえぞ」
ギャング1「そうは言っても、こんな大がかりな仕事は初めてで…」
杏子「だからあたしが手伝ってやるって言ってんだろ。大船に乗ったつもりでいろよ」
ギャング2「そりゃリーダーがいれば心強いですけど」
ギャング1「派手すぎませんか? 例の魔法少女に目をつけられたら…」
杏子「心配すんなって。あたしが片付けてやるからさ。ほらさっさと準備しろ」
ギャング2「普段はなにもしないくせに、人使い荒いなあ…」
杏子「………お前が悪いんだぜ、ほむら。お前が今になってしゃしゃり出てくるから」
杏子「……最高のショーにしてやるよ」
翌日
知久「へぇ、上条恭介のコンサート、テレビ放映するのか」
詢子「そりゃあ、有名人だからね。数字をとれるんだろう」
たつや「見滝原中学の卒業生だっけ」
詢子「そうさ。あたしの後輩で、あんたの先輩」
たつや「スゲー金持ちなんだろうなあ」
知久「年に何回もチャリティコンサートを開くくらいだからね」
詢子「そういや、和子に狙い目じゃないかって、よくからかったなあ」
たつや「………」
知久「昔から天才バイオリン少年って有名だったね」
詢子「美談もあったしな」
たつや「?」
知久「事故で怪我をして、一時期再起不能といわれてたんだよ」
詢子「そこから奇跡の復活を遂げてね。その時いろいろ世話してた娘が今の嫁さんとかじゃなかったっけ」
たつや「イケメンめ……」
詢子「ははは、ひがむな。そのうちいいことあるさ」
知久「じゃ、僕らは仕事にいくよ。戸締りよろしくね」
たつや「はぁい」
たつや(それにしても随分くわしかったな。世代も離れてるはずなのに)
たつや(有名人だから? それにしたって……うーん)
恭介「………」
仁美「恭介さん? どうかなされたんですか?」
恭介「ああ、コンサートは何度もやっているけど、地元だと勝手が違うと思って」
仁美「顔見知りも多いですし、プレッシャーですか?」
恭介「いや、昔のことを思い出してね」
仁美「……さやかさんがいた頃のことですか……」
恭介「…うん。今でも思うんだ。僕がもう少ししっかりしてれば、さやかは死ななかったんじゃないかって」
仁美「それはわたくしも同じですわ。一番の親友だったはずなのに、自分のことばかり考えていました」
恭介「一体どうすれば良かったのかな……」
仁美「………」
恭介「…そろそろ開演だ。準備してくる」
仁美「恭介さん」
恭介「なんだい?」
仁美「さやかさんは、あなたの演奏が大好きだと言っていましたわ」
恭介「……さやかの奴、僕にはそんなこと一言も言わなかったのに」
仁美「普段は明るいですけど、引っ込み思案なところもありましたから」
恭介「そういえばさやかには腕が治ってから、ちゃんとした演奏は聴かせられなかったな」
仁美「でも今はたくさんの人に披露しているでしょう。心配なくらいですわ」
恭介「そんなにハードスケジュールかな?」
仁美「家に帰る暇もありませんわ」
恭介「それじゃあ、来年からはもう少し考えるとするよ」
コンサート終了
恭介「」ペコリ
パチパチパチパチ ブラボー! ブラボー! パチパチパチパチ
館内放送「以上を持ちまして上条恭介チャリティコンサートを終了いたします」
館内放送「…続きまして、ウィッチーズ・ギャング団のオーケストラをお楽しみください」
観客「なんだ?」
観客「余興にしては不謹慎な…」
ザワザワ
杏子「紳士淑女の皆さん、静粛に!」バッ
恭介「ま、魔法少女!?」
杏子「今日は恵まれないあたしたちへのチャリティって聞いてね。
もらうだけってのも申しわけないから、飛び入り参加することにしたのさ」
恭介「警備は!? ガードマンはどうなってるんだ!?」
杏子「夢の国で遊んでもらってるよ。毎日仕事で大変そうだからね」
観客「うわっ!」
ギャング1「お前ら動くなよ! 動いたら撃つぞ!」
ギャング2「今から集金に回る。逃げようとしたって無駄だ。会場は仲間が制圧してるんだ」
恭介「なんてことをッ…!」
仁美「恭介さん!」ダッ
恭介「仁美! 来ちゃダメだ!」
杏子「さぁーて、主役がそろったところで始めるか」ブゥゥン
恭介「これは!?」
杏子「結界だよ。これであんたらはステージから降りれない」
仁美「なにをしようというのですか!」
杏子「愛と勇気のショーをね。ああ、カメラさん、ちゃんと中継よろしく。カットしたら会場全部、死体の山だぜ」
恭介「よせ! 金なら用意する!」
杏子「そんなのは当然だろ。あんたの両腕がありゃ、いくらでも稼げるんだからな」
杏子「……でも、なかったら?」
仁美「! やめてください!」
杏子「おっと、勘違いするなよ奥さん。ちょっとしたゲームをしようってだけさ」
恭介「ゲーム?」
杏子「ババ抜きは知ってるだろ。最後までジョーカーを持ってた方が負けって単純なゲームだ」
杏子「要はジョーカーを引かされた方が負けるんだが、なんと今回は特別に、ジョーカーを見せながらやってやるよ」
恭介「なにを言ってるんだ? トランプなんてどこにも…」
杏子「今回使うのはジョーカーたった一枚。あんたはそれを引くか引かないか、自分で決めるんだ」
杏子「とは言っても、カードを忘れて来ちまった。代わりにあんたの奥さんを使う」
仁美「……わたくしを?」
杏子「あんたが奥さんをとるなら、あんたの両腕をもらう。ゲームはあんたの負けだからな」
杏子「もしとらないなら、奥さんはあたしが始末する。ジョーカーはさっさと捨てちまうに限る」
恭介「ふざけるな! そんなことできるわけないだろう!」
杏子「ゲーム放棄するなら、やっぱり会場は死体の山。反抗しても同じだ。さっさと決めろよ」
恭介「………」
杏子「まあ、考えることなんてないか。あんたの腕のほうがずっと価値がある」
恭介「………」
杏子「孤児院とかに寄付してんだろ? 腕がなかったら、その金も稼げないもんな」
恭介「………」
杏子「新聞で読んだぜ。難病の子供があんたのバイオリンを聴いて、
生きる希望を取り戻したって。聴けなくなったらどうなんのかな?」
仁美「……恭介さん、この人の言うことを聞いて…」
恭介「仁美をとる」
仁美「恭介さん! やめてください!」
恭介「いいんだ。確かに僕はバイオリンを愛してる」
恭介「でも、それで誰かが傷つくなら、その時は捨ててしまったって構わない」
杏子「はっはー! カメラさん、ちゃんと撮ったか? 感動のシーンだぞ。これで視聴率アップは固い!」
仁美「お願いです! やめて! やめてください!」
杏子「またひとつ美談が増えるな! バイオリンで食えなくなっても、これを売りにしてけば、テレビに雑誌に引っ張りだこさ!」
恭介「ッ!」
杏子「自分の腕に、お別れのキスでもしてな!」ズバッ
恭介「うわああああああ!」
仁美「いやああああ!」
杏子「よーし、野郎ども引き上げだ! 手筈通り逃げろよ!」
ほむら(気付かれないように、けれど最速で走る。表通りの街頭テレビは人だかりができているに違いない)
ほむら(巴マミも見てるだろうか? きっと悲しんでいることでしょう。
故郷でまた、顔なじみが事件を起こしたのだから)
ほむら(佐倉杏子はなぜいまさらになって騒ぎを起こしたのかしら?
彼女のチームは規模が大きいといっても、所詮は素人の集まり)
ほむら(治安組織が本気になれば、勝てるはずもない。ここまで挑発的な真似をしては、自分の首を絞めるようなもの)
ほむら(政局が混乱している今なら、出し抜けると思った? 違う、彼女はそんな甘い見通しで動いたりしない)
ほむら(考えられるのはひとつ)
ほむら「騒ぎを起こすこと、そのものが目的。そうでしょ?」
杏子「…走ってきたのか? 白い翼の魔法少女なんて呼ばれてるくせに」
ほむら「省エネで宇宙に優しい魔法少女なの」
ほむら「それにわざわざ魔力の痕跡を残してくれてるのだから、空から探し回る必要もない」
杏子「気付いてくれたか。あれだけやってあんたが出てこなきゃ、バカみたいだからな」
ほむら「まさか、私を引きずり出すためにやったというの? 無意味な事件を起こしてまで?」
杏子「無意味ねぇ…。あんたのやってることのほうが、よっぽど無意味じゃねえか」
ほむら「……どうして無意味だと?」
杏子「あんたがやらなくても、そのうち神様がやってくれるってことだよ」
ほむら「神なんていない。奇跡なんてない。世界を変えたければ、自分でやるしかないの」
杏子「ハァ、これだから無神論者は。あたしが有難い説教をしてやるから、よく聞けよ?」
杏子「いつか神様がやってきて、罪人どもに罰を下すんだ。神様の審判からは誰も逃げられない」
杏子「まずは殺人者が裁かれる。スターリンとかヒトラーとかな。こいつらはみんな地獄行き」
杏子「次に人殺しの武器を作った奴ら。悪名高い軍需産業の経営者が地獄に落ちる。
ついでにアインシュタインもだ。なぜかって? 神様は厳しいんだ」
杏子「アインシュタインまで裁かれるなら誰が助かるのか? 誰も助からないのさ。
最後にジョン・レノンがグリーンピースと一緒に地獄に落ちる」
杏子「それでようやく地上に平和が訪れるんだ。誰もいなきゃ争いなんて起こらないんだから」
杏子「………あたしやあんたは誰と一緒に落ちるのか見物だよな?」
ほむら「なるほど、勉強になったわ。お礼に偉大な先人の言葉を教えてあげる」
杏子「ふーん?」
ほむら「馬の耳に念仏」
杏子「…ぷっ、あはははは! いいねえ、それいただき!」
杏子「……いただくから、パクリにならないよう、元ネタを消しとかねえとな」ブンッ
ほむら「!」バサァ
杏子「へぇ、走ってきたのはそういうわけか」
ほむら「あなたには関係ない」バシュッ
杏子「白い翼ってのは、誇大広告だな! 呪いと祟りを吸収して…」ギンッ
杏子「灰色のまだら模様だ!」ドガガガガッ
ほむら(体が重い。明らかに穢れをためすぎてる)
ほむら「くっ!」ポイッドカーーン
杏子「甘い甘い。あんたの手の内はわかってる。あの手この手で隙をつく、それだけだ」ガキンッ
ほむら(爆発に紛れた矢も防がれた。やはり私と彼女は相性が悪い)
杏子「そういうのはあたしも得意なんだよ!」ブンッ
ほむら(彼女の得物は槍、石突での攻撃はかろうじて翼で防げる)バキン
杏子「おら!」ブンッ
ほむら(問題は刃のほう。これは躱すしかない)ヒラリ
杏子「ちょこまかしやがって」ドガガガガ
ほむら(来た。槍を分解しての広範囲攻撃。隙をつけるとしたらここしかない)ダッ
杏子「突っ込んできやがった!?」
ほむら(痛いけど我慢。刃が当たらないことを祈って突き進むのみ)
杏子「くそ!」
ほむら「ああああああああ!」ドカッ
杏子「ぐはッ!」ドタン
ほむら(まったく無様。柄にもなく雄叫びなんてあげて、最後は肉弾突撃。魔法少女が聞いて呆れる)
杏子「痛てて……。くそー、やられたー」
ほむら(でもこれでチェックメイト。この体勢からなら逆転はない)
杏子「……いやー、甘いのはあたしの方だったわ。あんたが顔ボコボコにしながら突っ込んでくるなんてなぁ」
ほむら「…気は済んだかしら。私にはあなたの酔狂に付き合う暇はないの」
杏子「そう言うなよ。あたしだって遊びたいんだ」
ほむら「私は遊んでるわけじゃないわ」
杏子「なにそんなムキになってんだよ。世の中楽しんだ者勝ちだぜ?」
ほむら「あなたにとってはそうかも知れないわね」
杏子「誰にとってもさ。世の中みんなジョークなんだよ。じゃなきゃ…あたしたちはピエロじゃねえか」
ほむら「………」
杏子「テレビで見ただろ。上条のやつ、自分の腕より嫁さんが大事なんだとさ。立派だよなぁ」
杏子「……それならさやかはなんのために契約したんだ? なんのために死んだ?
腕がいらないなら、どうしてさやかにそう言ってやらなかった?」
ほむら「………」
杏子「あたしは親父を元気づけたかっただけなんだ。でも親父はあたしを魔女だと言った」
杏子「だからあたしは全部笑い飛ばしてやる。世界はジョークの塊だってな」
ほむら「……もしあなたにその気があるなら」
ほむら「私と一緒に来ない? 一緒に違う世界を…」
杏子「嫌なこった。たとえ世界を変えられるだけの力があったって、なにもしてやるもんか。
他人様のジョークに茶々いれるのは無粋ってもんだ」
杏子「でも、こういうオチはどうだ?」ピキピキ
ほむら(佐倉杏子のソウルジェムが……自爆?)
杏子「ひとりぼっちは寂しいもんな」カッ!
警察「もう安心してください! ギャングは会場から逃走したことを確認しました」
恭介「う、うううぅぅぅ…」
仁美「お願いします、早くお医者を! 救急車を呼んでください!」
警察「救急車なら外に待機していますが…どこかお怪我でも?」
仁美「なにを言ってるんですか!? 主人が腕を斬られたんですよ! ああ、こんなに血が……」
警察「腕? 怪我をしているようには見えませんが…ちょっとよろしいですか?」スッ
仁美「なにを呑気な…!」
恭介「…え? あれ? 腕が……ある?」
仁美「…う…そ……。だって、さっきまで血だまりが……」
警察「あー、どうやら幻術系の魔法少女だったようですね。一杯喰わされたんですよ」
仁美「幻術? つまり私たちは…」
恭介「からかわれただけ?」
警察「不幸中の幸いですね。上条さんの腕は日本の宝ですから」
ギャングのアジト
杏子「おう、お前ら。リーダーの凱旋だぞ!」
杏子「我ながら大成功だな! 金はたんまり手に入ったし、いい画も撮れた!」
杏子「その上、ほむらも騙くらかしてまんまと逃走成功! 誰が自爆なんかするかバーカ!」
杏子「ほら、さっさとリーダーに酒を注ぎに来いよ」
ギャング1「zzzzz……」
ギャング2「…もう食えねえ…」
杏子「ったく。主役が来る前に潰れちまいやがって。くそっ、あたしの分の酒はねぇのか?」ガサガサ
杏子「お、上等なのが残してあるじゃねぇか。クソッタレどもにしては気が利いてるな」ンクンクンクプハッ
杏子「畜生、ほむらのやつ、ひでー冗談だ。違う世界だと? 正しいも違うもあるもんか」
杏子「あたしだって、昔は希望があるって信じてたさ。けど、どうしたって誰かが幸せになりゃ、その分誰かが不幸になんだよ」
杏子「今の金持ちどもがそうさ。魔法をパッケージにして儲けてやがるんだ。世間に取り残された連中は仕事もねえ」
杏子「どうしようもなくなって、ここのクズどもみてーに他人から奪って生きるしかなくなるんだ」
杏子「へっ、魔法少女がなんだってんだ。マミのやつは甘い考えで政府に尻尾を振ったんだろうが、
なんのことはねえ。あたしらの価値が地に落ちただけだ」
杏子「どうすりゃいいんだよ? イエス様……マリア様……誰でもいい、教えてくれ」
杏子「……誰か教えてくれよ……」
ほむホーム
ほむら(杏子の自爆は間違いなくフェイク。上条恭介に斬りつけたのも、そう見せかけただけ)
ほむら(随分と底意地が悪くなっているわね。最後の一線を越えないのは彼女なりのこだわりかしら)
ほむら(……ひどく疲れた。ここ最近、ろくに休養をとっていなかったから…)
ほむら(身体の修復もしないと。かなりガタがきてる、まるで老人ね)
ほむら(一段落ついたら、ソウルジェムの浄化と魔力の回復にあてましょう。そう、もう少し…)フラッ
『あなたたちは誰も呪わない、祟らない。因果は全て私が受け止める』
ほむら(ま…ど……か………お願い、もう少しだけ待って……)ガクッ
『だからお願い。最後まで自分を信じて』
テレビ「…臨時ニュースをお伝えします。朝鮮半島に展開している米中露軍が戦略級魔法兵器を使用。日本へただちに影響は…」
GO TO BOOK FOUR
BOOK FOUR THE DARK WITCH FALLS
『今週のトップニュースを繰り返します。
バットマンの驚異に満ちた人生は
悲劇的な終幕を迎えました…』
-フランク・ミラー 『ダークナイトリターンズ』-
ほむら「…ん?」
テレビ「…ええ、もちろん大丈夫ですとも。半島での戦争は収束したも同然です。
一部に徹底抗戦を叫ぶ軍の残党がいますが…」
ほむら(…まだ、生きてる。自分で思っている以上にしぶといようね)
テレビ「…今回使われた兵器は条約違反? とんでもない。高度な政治的判断によるもので…」
ほむら(ソウルジェムの反応がおかしい? これは…瘴気が異常に濃くなっている?)
テレビ「…とにかく、ただちに影響はありません。トラストミー…」
ほむら(来るべき時が来たわね)
首相「巴君とはまだ連絡がとれないのか!?」
黒服「それが、特殊なパルスが東アジア全域を覆っているようでして、通信インフラが不調です」
首相「いざというときに使えない連中だ…!」
黒服「それよりも、対応策は? 各地で魔獣の被害報告が…」
首相「警察に任せておけ! なんなら自衛隊も出してかまわん!」
黒服「いえ、出動命令にしても、ある程度具体的な指示を…」
首相「私は素人なんだぞ! プロに任せてなにが悪い! さっさと行け!」
黒服「……わかりました。非常事態宣言は出しますか?」
首相「ふぅ~、まったく。なぜ私にばかり厄介ごとが…」
QB「忙しいようだね、ユッキー」
首相「おお、これはインキュベーターさん。いいところに来てくれました」
首相「ご存知かと思いますが、半島で使用された新兵器の影響で
魔獣が大量発生しているようなのです。どうかお力を貸していただきたい」
QB「力を貸す? なにを言ってるんだい。僕にそんなことできるわけないじゃないか」
首相「で、ですがあなた方は我々以上のテクノロジーを…」
QB「そうだね。だから魔法少女を増やしてあげただろ」
QB「僕にできるのはそれだけだ。そこから先どうするかは、君たち人類の問題だよ」
QB「もっとも、君たちはその魔法少女を隔離しているみたいだけどね」
首相「そ、そうだ。魔法少女たちに言ってくれませんか? 今こそ力を合わせて困難に立ち向かおうと」
QB「それは無理だね。僕はその彼女たちから伝言を頼まれたんだから」
首相「なんというふうに?」
QB「『有給をもらいます』だってさ」
テレビ「…各地では魔獣の被害とともに、暴動が多発しています…」
テレビ「…魔獣が精神に与える影響は、これまでの研究でも指摘されており、心神喪失状態で凶行に走る恐れが…」
ほむら(以前盗み見た研究資料に書いてあった)
ほむら(呪いや祟り、この世の負のエネルギーを利用して、核兵器以上の破壊力を実現できると)
ほむら(そして広範囲に強力な瘴気をまき散らす)
テレビ「…暴徒化した群衆に商店が襲撃され、とくに食料品店に多くの被害が…」
ほむら(考えないようにしていた。でもいつかはこんな日がくると思っていた)
テレビ「…火災件数の多さに消防の手も足りず…」
ほむら(あの半島は大国の思惑が錯綜する火薬庫。なくなってしまえば後腐れがないと考える権力者がいてもおかしくない)
テレビ「…警察も被害総数を把握しきれておらず…」
ほむら(人はいつもそう。悪意と無関心の怖さを自覚できない)
ほむら(早くあの場所へ行かないと。彼女たちの協力が必要)タタタタタ
群衆「おらー! 突っ込めー!」ドドドドド
子供「」ビクッ
ほむら(子供がどうしてこんなところに? 親とはぐれた?)
ほむら(どうでもいい。助けなければ。このままだと巻き込まれる)
ほむら(胸が苦しい。息が上がる。魔法少女になってからこんなことがあったかしら)
子供「ひぃぃぃぃ!」
ほむら(このポンコツ。もっと、もっと早く動きなさい)バッ
子供「………あれ?」
ほむら「怪我はないかしら? 交番まで届けてあげる」
子供「う、うん。ありがとう…」
ほむら(ポンコツでも運はいい。ギリギリ間に合った)
ギャングのアジト
ギャング1「リ、リーダー、外のやつらは一体どうなっちまってるんですか?」
杏子「瘴気にあてられてんのさ。おかげで加減てもんがなくなってるからね。
一緒にヒャッハーしようなんて考えんなよ。怪我するぞ」
ギャング2「でもそれなら、どうしてここの連中は大丈夫なんですか?」
杏子「あたしと長くいて耐性が出来てんだろ。魔法少女も多少は瘴気の原因になるしな」
ギャング1「それとリーダー…」
杏子「なんだよ。さっきから質問ばっかりうるせー」
ギャング2「す、すいません。その、どうして武器の準備なんてするんですか? 外のやつらは放っとくんでしょう?」
杏子「これからパーティするんだよ。もっとも、主役が来ればだけどな」
マミ「その主役は私ではないのでしょう?」
ギャング1「と、巴マミ!? ほ、本物だ!」
ギャング2「バカ! 政府の犬だぞ!」
杏子「落ち着けって。昔馴染みだよ。そうだろ?」
マミ「ええ。今はなにも指令を受けていないわ」
杏子「久しぶりだよなぁ。あんたのとこにも来たのか?」
マミ「私はちょくちょく会ってはいたけれどね。でもあんなふうにメッセージを伝えに来るとは思わなかったわ」
杏子「で、言いだしっぺは?」
マミ「…以前、私が会ったときは既に消耗していたわ」
杏子「あたしのときはもっとだろうな。来る途中で野垂れ死んでんじゃねえか?」
ほむら「……生憎としぶといのが取り柄なのよ」
マミ「暁美さん……」
杏子「おせーぞ、ほむら。あんたがいなきゃ、あたしはなにもしねーつもりだったんだからな」
ほむら「QBはちゃんと仕事をしたようね」
マミ「あの子は敵でも味方でもないわ。損得で動くだけ」
ほむら「この国…この星はあいつの牧場。私たち羊が思うとおり動くように監視してる。アクシデントで台無しにしたくないのよ」
杏子「QBの都合は知ったこっちゃないけどさ、国の連中が慌てふためいてるって考えると気分がいいな」
マミ「この非常事態にQBを使って、全ての魔法少女へ独立行動を教唆……政府への宣戦布告と取られても仕方がないわね」
ほむら「実際のところ彼女たちがどうするかはわからない。沈静化に努力してくれるのが理想だけど、逆もありえる」
杏子「肩身の狭い思いをしてたもんな」
ほむら「あなたたちはどうするの? 同郷のよしみで召集をかけはしたけど、強制はしない。邪魔をしても構わないわ」
マミ「……私は協力するわ。魔法少女は、こういうときのためにいるんだと信じてるから」
杏子「マミはあいかわらずだよな」
ほむら「あなたは?」
杏子「もちろん参加するぜ。クズのチンピラ集団が人助けなんて、笑えるだろ?」
ギャング1「へっ!? まさか、あの大群を相手にするんですか!?」
ギャング2「警察に任せましょうよ! 魔獣もうようよいるんでしょ!?」
杏子「その警察が役に立たねえんだろうが。殺すんじゃねえぞ。あくまで鎮圧だからな」
マミ「魔獣は私たちがなんとかするわ」
ギャングたち「いやでも、命あっての物種で…」
ほむら「人生に意味なんてない」
ほむら「でも、意味を見出そうとした者にだけ、世界は意味を持つ」
ほむら「私がみせてあげる」
街中
たつや(どこからか熱い風が吹いてくる。火事かな)
ウワァァァ ヒャハー
たつや(さっきは若い男が年寄りを殴り倒すのが見えた。口論から察するに、食料の奪い合いが起きてるみたいだ)
たつや(なにが魔法だよ。人類の革新だなんて大騒ぎした挙句がこの様だ)
ダレカタスケテー
たつや(向こうじゃ交通事故。怪我人が出てる)
たつや(でも今は構ってられない。父さんや母さんが心配だ。早く家に戻らないと)
キキーッドゴン
たつや(ちくしょう、また事故だ。瘴気だかなんだか知らないけど、腑抜け過ぎじゃないのか)
魔獣「オオオオオオオ」
たつや(いや……どうも魔獣の仕業らしい。陰気で景気の悪そうな禿げ頭が暴れてる)
ヒィィィ!
たつや(学校で昔ならった知識によると、禿げ頭の知能はネズミにも劣るんだそうだ。
ただただ目の前の獲物を追いかけるだけ)
ウワァァァァンママー
たつや(標的はあの女の子だ。こっちにはまだ気付いてない。やり過ごせる)
『みんな大事で、絶対に守らなきゃいけないから。そのためにも私、いますぐ行かなきゃならないところがあるの』
たつや(それが一番冴えたやり方……)
『ママはパパやたつやの傍にいて。二人を安心させてあげて』
ウワァァァァン!
たつや「……ちくしょう!」ダッ
女の子「え!?」ガシッ
たつや「逃げるぞ! しっかりつかまってろ!」ダダッ
魔獣「オオオオオオ」
たつや(ちくしょう、なにバカなことやってんだ、このバカ。子供抱えて逃げ切れるわけないじゃないか)
ビジィィィ
たつや「うわっ!」ドテッ
たつや(レーザーが足にかすって…ダメだ走れない)
たつや「…走れ。今なら逃げられる」
女の子「でも、おにいちゃんが…」
たつや「行けよ!」
女の子「ッ!」タタタッ
魔獣「オオオオオオ」
たつや(ちくしょう、ドジこいた。こんなとこで……)
たつや(煙が目にしみる。やっぱ火事か。泣けてしょうがないのはきっと煙のせいだ)
たつや(母さん怒るだろうな。いや、案外父さんのほうが怖いかも)
たつや(でももう会えなくなるのか)
たつや「ちくしょう……」
バシュッ
ほむら「あなたはどこまで愚かなの」
たつや「…まさか…」
ほむら「女の子が助けを呼びに来なかったら死んでいたわよ」
ほむら「回復魔法は得意ではないけど、応急処置はできるわ。これで少しは走れる」
たつや「あ、ああ…」
ほむら「この辺りの魔獣は全て狩ったから、早く家に帰りなさい。あなたの両親の無事は確認してある」
ギャング1「よし消火栓見つけたぞ! とりあえずぶっ壊せ! バケツ持ってこい!」
ギャング2「バケツより応援呼べよ! 三、四人連れて来い!」
ほむら「さあ、あなたは早く家に…」
たつや「声が聞こえたんです」
ほむら「声?」
たつや「最初は放っとこうと思って…でも見捨てちゃいけない気がして…
あなたの声じゃなかったけど、どこかで聞き覚えがあって…」
たつや「あなたは誰ですか? なにを知ってるんですか?」
ほむら「…私の名前は…」フラッ
たつや「! 大丈夫ですか!?」
ほむら「……あなたにとって、私の名前なんて重要じゃないわね……」
ほむら「私は魔女。あなたたちの夜に潜む闇の魔女よ」バサァ
たつや「あ、待って!」
ほむら「……もう二度と会うことはなくても、私はそこにいる」ヒュンッ
たつや「………」
ギャング1「ほら、じゃんじゃん水運べ! ここで消し止めるんだ!」
たつや「……僕も手伝います! かしてください!」
たつや(初めて会ったときは真っ白だった翼も、そのときはドス黒く染まっていた)
たつや(凛としたその人は、僕にはなんだかひどく儚げに見えた)
テレビ「…全国でいまだ混沌とした状況が続いています。死傷者はわかっているだけでも五〇〇〇人を突破しており…」
テレビ「…その一方で奇妙な事件があいついでいます…」
テレビ「…多発する暴動や魔獣の被害に魔法少女の介入が見受けられ…」
テレビ「…この事態に政府からの回答はありません。住人の声を拾ってみましょう…」
テレビ「…何十人も私のスーパーに押し寄せてきてね。殺気立ってるどころじゃないよ。本当に殺されるかと思った…」
テレビ「…そしたら、例の魔法少女がギャングどもを引き連れてきたんだ。で、集まった連中を蹴散らして…」
テレビ「…まったくあいつらはならず者だよ。緊急事態に食料を求めるのが悪いことか?見てくれこの傷。魔法少女とやらにやられたんだ…」
テレビ「…最初に魔獣が襲いかかったのは動きの鈍い老人たちだった。私は怖くて隠れてた。
次は自分の番だと漠然と思ったとき、彼女が来た…」
テレビ「…瘴気にやられてた? そうかも知れないし、そうじゃないかも知れない。
ひとつだけ確かなのは、俺たちが独りよがりのクソッタレだったってことだよ…」
テレビ「…誰からかはわからないが、消火を手伝い始めた。一人、二人、三人、四人、
なかにはさっきまで殴り合ってたやつもいた。不思議な光景だったな…」
テレビ「…彼らの行為に論評を下すのは止めておきましょう。それが出来るのは、渦中にあった人だけです…」
テレビ「…炎は瞬く間に街を包み、多くの命を奪いました。しかし、人々の勇気はそれにも負けないほど広がったのです…」
テレビ「…見滝原では魔獣の駆除がほぼ完了し、火災も小康状態を保っています…」
テレビ「…彼女たちがどれほど貢献したのかは明確ではありません。法的にも逸脱した行為です…」
テレビ「…しかしながら、その姿が迷える人々に人間性と希望を与えたことは間違いないのです…」
マミ「……好き勝手なことを言ってくれるわね……」
杏子「人間はいつだって好き勝手なもんさ」
マミ「これで私たちはお尋ね者よ。考えただけで気が重いわ」
杏子「あんたの場合、公務員から犯罪者だもんな。今までの苦労が水の泡じゃねーか」
マミ「後悔はないわ。自分が正しいと思えることに力を使う。あなたこそどうなの?」
杏子「あたしは大して変化なしだからな。別になんとも」
ほむら「……混乱は去りつつあるようね」
マミ「少なくともこの街だけは。あなたの決意があったからよ」
ほむら「誰のおかげとかはどうでもいいわ。大事なのは今現在の状況だけ」
杏子「素直じゃないね。あんたの考えたパーティは大成功だよ」
QB「僕もそう思うよ」
杏子「お、来たのかQB。あんたも伝令として働いたもんな」
マミ「QB、政府の様子はどう? 私たちをどうするつもりかしら?」
QB「しばらくは大丈夫だろう。潜伏していれば見つかる心配もないよ。
というより君たちにかかずらっている場合じゃないからね」
杏子「どういうことだ?」
QB「半島の残党軍が最後の抵抗にミサイルを撃ちまくってるのさ。もちろん呪いをばら撒くタイプだよ」
マミ「まさか…!」
QB「しかも撃ち落とし損ねたそのうちの一発が…」ガシッ
ほむら「弾道を計算しなさい。お前ならすぐにできるでしょう」
QB「その必要はないよ。この街の真上だから、君たちなら逃げられる」
ほむら「……すぐに飛ぶ」
QB「相手はミサイルだよ? どうにも出来ないさ」
ほむら「進行方向を逸らして海に落とすわ。そのくらいならやってみせる」
マミ「暁美さん」
ほむら「あなたたちは避難していて」
マミ「あなたにありったけのグリーフシードを託すわ」
杏子「飛べるのはあんただけだしな。ひとつ派手にやってきてくれよ」
杏子「あたしらと、この街の運命は任せたぜ」
ほむら(てっきり止めようとすると思っていたのに、
巴マミの顔に不安の色はない。それどころか吹っ切れたように見える)
マミ「あなたとはもっと話したいことがあるから、なんとかしてきてね」
ほむら(佐倉杏子はいつものように軽い笑みを浮かべてさえいる)
杏子「ゲームは盛り上がりが大事だからな」
ほむら(どんな心境の変化かしら。もしもこれから先があるのなら聞いてみよう)
ほむら「行ってくるわ」バサァ
杏子「……行ったな」
マミ「……ええ」
QB「わけがわからないよ。どう考えても不可能じゃないか」
杏子「かもな。でもあいつはまだやれると思ってる」
マミ「私たちは全力を尽す。たとえこじつけでも、世界に意味を持たせるのよ」
QB「やっぱりわけがわからない。せめて自分だけでも助かった方がいいじゃないか」
杏子「普通ならそうだろうな。けど魔法少女ってのはとびっきり夢見がちで、
呆れるくらい往生際が悪いのさ」
…………………
………………
……………
ほむら(ここは?)
ほむら(そう、たしかミサイルに追い付いて……)
ほむら(全力で向きを変えたところまでは覚えてる)
ほむら(そこでソウルジェムが限界を迎えたはずで)
ほむら(海に着弾して爆発を……)
ほむら(……しなかった。その前になにか大きな魔力に包まれ…)
『ほむらちゃん』
ほむら「!?」
『がんばったよね』
ほむら(見覚えがある……ここは最後にまどかと別れた場所)
『やっと会えたね』
ほむら「まどか、なの?」
『そうだよ、ほむらちゃん』
『ここは全ての魔法少女が最後にたどり着く場所。ほむらちゃんも私が迎えにいったんだ』
ほむら「…そうね。あなたは魔法少女を導いていたのね」
『私、すごく寂しかったんだよ。ずっとひとりぼっちで』
ほむら「ごめんなさい……」
『でもこれからはずっと一緒だね』
ほむら「ごめんなさい、まどか。本当のあなたはこんなのじゃないわよね」
『ほむらちゃん?』
ほむら「お前はまどかじゃない」
『なに言ってるの? 私のこと忘れちゃったの?』
ほむら「まどかは言ったもの。一人じゃない、見えなくてもずっと傍にいるって」
『じゃあ、私は誰なのかな?』
ほむら「お前は私。私に染みついた絶望の塊。切り捨てられない無念、未練、後悔」
ほむら「こういうことね。これがソウルジェムが絶望に染まるということだったのね」
『すごーい。大抵はすぐ堕ちるのに、気付いて抵抗するなんてさすがほむらちゃんだね』
ほむら「失せなさい。あなたに用はない」
『ダメだよ。ほむらちゃんはもう終わりなんだから』
『私と一緒になろう。そうしたらずっと幸せだよ』
ほむら(意識が飛びそうになる……暖かいベッドの中にいるような甘美な感覚)
『ほぉーら、だんだん眠くなって』ティヒヒヒ
ほむら(なにを言っても耳は貸さない。まだベッドに入る時間じゃない。私にはやることがある)ブンッ
バキィッ
『え? あれええええ?』
ほむら(ニヤケ面に握りしめた拳を一発。最高の友達を貶めた報いよ)
『なになに? こんなことしても無駄だよ? 誰も自分には勝てないでしょ?』
ほむら(痛いところをついてくれるわ。私たちは奇跡なんて綺麗ごとで気に入らない現状を否定しただけ。一番弱い人間)
『ティヒヒヒ。さあ、最後だよほむらちゃん。ティヒヒ、ティヒヒ』
ほむら(まだ…!)ブンッ バキッ
ほむら(終わりじゃない!)ブンッ バキッ
ほむら(絶望なんて…!)ブンッ パシッ
『もう、おてんばだなぁ、ほむらちゃんは』ギリギリボキッ
ほみら「~~~~ッ!」
『よっと』グシャッ
ほむら「かはッ!」 ハラリ
『さっさとあきらめてよ』
ほむら(右手首が…折れた……肋骨も…冗談みたいに踊ってる……)
ほむら(あいつはまだ…余裕綽綽ね………あいつが絶望そのものなら、限界なんてものがあるのかしら?) ガシッ
『ほむらちゃんらしくないよ。リボンもほどけて髪はバラバラ。もっとクールにさぁ』
ほむら(まだ左腕がある…! 足も動く…! それにまだッ)ブンッ
『しつこいな…』 ズンッ!
『く、ふ……あ………れ?』
ほむら「………」
『リボン? さっきほどけた? なんでわざわざ拳に巻いてるのかな?』
ほむら(約束が、ある! 誰にでもない…ただ誓った約束が……!)
ほむら(まどかが守った世界を守り抜く!)
『そのリボンはダメッ! それは…』
ほむら「まどかが、たったひとつ残した証。この世でたったひとつの奇跡…」
『どうしてあきらめないの!? つらいことばっかりなのに!!』
ほむら「………」バキッ
『ぐっ! ……私を受け入れてよ! 否定しないで! 私だって結果なんだよ!』
『どうにもならないことだってある! それであきらめられずに、ずっとつらい思いをしていくの!?』
ほむら「否定しない。いくらでも背負ってあげる。たとえ絶望しか残らない人生だとしても…」
ほむら「かまわない! 絶望で約束は殺せない。希望は死なない!」バキィッ!
『あ…が、あああぁぁぁぁ……』シュゥゥゥゥ
ほむら(…さて、これからなにが起こるのかしら。やっぱり私は死ぬのかし…)
『遅れてごめんね!』
ほむら「…この声……まさか……」
『ちょっと無理をしたんだけど、海に落ちた呪いをそのままにしておけなくて
……そのせいでほむらちゃんを危ない目に遭わせちゃったね』
ほむら「本物の……」
『うん、私だよ。姿は見えなくても、ここにいる』
ほむら「あなたは、もう一度奇跡を起こしてくれたのね」
『奇跡を起こしたのはほむらちゃんだよ。私が魔女を消す前に自力で消しちゃったんだから』
『ほむらちゃんの時間は終わってないみたい。みんなのところへ戻ってあげて』
ほむら「お願い…ほんの少しでいい。私のわがままを聞いて」
『なに?』
ほむら「 」
…………………
………………
……………
ほむら「…ん?」
マミ「暁美さん! よかった!」
ほむら「巴マミ?」
杏子「はぁ~、どうなってやがんだ」
ほむら「佐倉杏子?」
杏子「あんたが飛んでってしばらくしたあと、大騒ぎだったんだぜ」
マミ「太平洋上でいきなりミサイルが消えて…一体なにが起きたのかって」
杏子「常任理事国は責任のなすりつけ合いさ。ま、この国のお偉いさんもだけどな」
マミ「本当にありがとう……あなたがいなかったら……」
杏子「当の本人は道路の真ん中で大の字になってるんだからな。わけがわからねー」
マミ「怪我は? 気分は悪くない?」
ほむら「…ええ。最高よ」
テレビ「…首相は本日付で非常事態の収束を発表しました…」
たつや「………」
テレビ「…白い翼の魔法少女はここ数日姿を見せていません。警察は全力で身柄を探すとともに…」
たつや(あの人…どうなったのかな?)
知久「こういう言い方は良くないけど、家族が無事でよかったね」
詢子「だな。それにしても、うーん」
知久「なんだい?」
詢子「昔、似たような騒ぎがなかったっけ。台風だったか地震だったか、とにかくすごい騒ぎで」
知久「あれ、ママもかい? なんだか僕もそんな気がするんだ。大きな災害なんてなかったはずなのに」
詢子「たつやはなんか覚えてないか?」
たつや「……父さん、母さん」
たつや「うちって、一人っ子だっけ?」
テレビ「…白い翼の魔法少女はここ数日姿を見せていません。警察は全力で身柄を探すとともに…」
マミ「魔獣騒ぎが収まったと思ったら、毎日このニュースね」
杏子「そのほうが政治屋どもの不手際が目立たないんだろ」
ほむら(白い翼ね……いつのまにか穢れが浄化されてる。しばらくはグリーフシードの心配もいらないわね)
杏子「で、今後の方針はどうするんだ? あたしは難しいことは苦手だからな。頼りにしてるぜ」
マミ「当面は各地の魔法少女と連絡を取り合うこと、ギャング団のような協力者を鍛えることが目標ね」
ほむら(一時的な共闘のつもりが、仲間になるなんて思いもよらなかった)
杏子「長期戦だな。今はいいけど、グリーフシードはどうする? 配給はねえぞ」
マミ「あの混乱で警察もガタガタよ。裏をかいて集めることは難しくないわ。それに」
杏子「それに?」
マミ「タンス貯金は得意なの」
杏子「……いい根性してるぜ」
ほむら(組織なら、一人では出来ないことも可能になる。心身ともに鍛えられた
魔法少女の軍団……世界に意味を持たせる、本物の魔法少女の…)
杏子「よし、難しい話は終わり! 団結式といくか!」
ギャングたち「待ってました!」
マミ「もう少し緊張感を持ってくれないかしら?」
ほむら「あきらめましょう」
杏子「えー、では僭越ながら、乾杯の音頭を取るぜ!」
ほむら「なにに乾杯するの?」
杏子「決まってる。あたしらの再会を祝してだ」
マミ「再会……そうね、きちんと顔を合わせるのは十年ぶりだものね」
ほむら「………」
杏子「それじゃあ皆の衆、乾杯!」
一同「乾杯!」
紫煙
なんか各キャラがアメコミって言うより望月幹也の絵で連想されるワイ
ワハハハハ!トリアエズノンドケ!
杏子「ん? どこ行くんだほむら?」
ほむら「…夜風に当たってくるわ」
マミ「酒瓶を持って? 月見酒にしても、グラスはふたつもいらないでしょう?」
ほむら「私の地元ではふたついるのよ」
杏子「ま、いいじゃねえの。たまにはひとりで呑みたい時もあるよな」
マミ「過ごしてはダメよ」
ほむら「心配はいらないわ」ガチャパタン
ほむら(あれだけ賑やかなのは初めてかも知れないわね)
ほむら(悪くない)
ほむら(……あなただけ仲間外れになんてしない)
ほむら(杏子たちには申し訳ないけれど、少しだけ時間をもらうわ)
ほむら「………」トクトクトク
ほむら(今日は晴れた夜空ね)
ほむら(いつか私もそこへ往く。それまで見守っていて)
ほむら(ほんの一瞬、けれどまた会えた奇跡に)
ほむら「乾杯、まどか」チン
『ここではないどこか 絶え間なく胸は熱く
傷ついても行くしかない 遥か 愚か者よ
この広い宇宙(そら)を巡って もう一度君に会えたら
その時は何も言わずに笑ってほしい それだけでいい』
-松崎しげる 『君の歌』-
END
見てくれた人に圧倒的感謝
漫画表現を文字にするってめっちゃ難しい
わけわからんとこなかっただろうか
というか原作知ってる人がいたのか?
乙っした!
この後は
悪漢「だ、誰だテメェら!!」
マミ「魔法少女よ」
杏子「オマエ達を・・・」
ほむら「退治するわ」
になるんじゃないかと夢想してしまうオレは間違いなくオサーン
アメコミ詳しくないので元ネタは分からないけど面白かったよ
もし興味があったら最寄りのTUTAYAまで
映画『ダークナイト』はだいたいどこでも絶賛レンタル中
そして面白かったらAMAZONで『ダークナイトリターンズ』と
続編『ダークナイトストライクスアゲイン』がセットになった
お得な漫画『ダークナイト』をポチってくれ!
ちなみに映画と漫画はタイトルが似てるだけで
ストーリーは特に関係ない(漫画が下敷きになってるけど)
この夏は最新映画『ダークナイトライジング』をみんなでみよう!
え、これつまりバットマン?
>>227漫画版バットマンの狂いっぷりは、ほむほむに通じるものがあると思うんだ
この世界観だと、無登録で難病の人を助けていたために政府に始末された友人魔法少女の
復讐のために立ち上がるユウリ様なんて話も出来そうだな
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