ロマーニャ地方 第501統合戦闘航空団 某日
ミーナ「ふっ……うううぅぅ……ふぁぁ………」
美緒「ミーナ、どうやら疲れているようだな」
ミーナ「ええ……毎日毎日、訓練と上層部との交渉…疲れないほうがおかしいわ」
美緒「たまに奴らは無茶を言ってくる、何かあったら遠慮無く私に頼れ」
ミーナ「………」
美緒「デスクワークの連中に現場の苦労はわからん。一度、お前らも飛んでみろと言いたい」
ミーナ「そうね…」
美緒「……」
ミーナ「はぁ………」
美緒「…………相当疲れているな」
ミーナ「……………」
美緒「どうした、悩んでいるのか」
ミーナ「…悩みなんて常日頃よ、いまさら他人に言うなんて…」
美緒「いいじゃないか、悩みがあるなら聞かせてくれ」
ミーナ「そんな…」
美緒「貯めこむのは良くない、さあ、ミーナの気が済むまで話を聞いてやろう」
ミーナ「………絶対笑わない?」
美緒「もちろんだ、真剣に聞いてやる」
ミーナ「………やっぱり言えないわ」
美緒「おい!何故だ!」
ミーナ「だって、恥ずかしいもの……」
美緒「ミーナ、私は真剣に話を聞く。だからミーナも真剣に話してくれ」
ミーナ「……わかったわ」
美緒「……」
ミーナ「あのね…………」
美緒「…なんだ」
ミーナ「……………私ね……」
美緒「?」
ミーナ「……………思いっきり他人に甘えてみたいの」
・
・
・
~ 廊下 ~
シャーリー「でさ!そしたらなんて言ったと思う?」
ルッキーニ「うじゅ…わかんない」
シャーリー「なんとその時、ペリーヌが…!」
ルッキーニ「うんうん!」
シャーリー「………なんと!」
はああああっはっはっは!!!!!!!>
シャーリー「!」ビクッ!
ルッキーニ「うにゃあ!」
シャーリー「……なんだ今の声」
ルッキーニ「にひい!あっちのほうが面白そ!行ってみようよシャーリー!」ダッ
シャーリー「えっ……ああ……うん…」
------
美緒「ちょっ………ミーナ………冗談もよしてくれッ……」ピクピク
ミーナ「笑わないって言ったじゃない…!」
美緒「そうは言ったって……ぶふっ!」
ミーナ「まったく……」
ルッキーニ「しょーさっ!」
ミーナ「…ルッキーニさん!」
美緒「おッ、ルッキーニかッ」プルプル
ルッキーニ「どうしたの!?なんか面白そうな話してた!?」
美緒「いやっ!なんでもない……ッ……ぷふぅ!」
ミーナ「美緒!もうやめて!」
シャーリー「……なにやってんだ」
・
・
・
~ 廊下 ~
ミーナ「…とは言ってみたものの……私は人に甘えるなんてたちじゃないわ…」
ミーナ「やっぱり私が他人に甘えるなんて……馬鹿らしい」
ミーナ「そもそも、『甘える』って何かしら」
ミーナ「よく考えたらそれすらも曖昧だわ」
テクテク
ミーナ「あら、トゥルーデ」
バルク「どうしたんだ、なにやら一人で喋っていたようだが」
ミーナ「なんでもないわ」
バルク「ならいいんだが…」
ミーナ「…どうやら不機嫌なようね」
バルク「あ…ああ」
ミーナ「……」
バルク「………まったくハルトマン……いつになったら一人で起きられるんだ…」ブツブツ
ミーナ「………?」
バルク「…私に甘えるのもいいかげんにしろ…」ブツブツ
ミーナ「!」
バルク「……もっと厳しく叱らなくては」
ミーナ「それよっ!!!!!!」
バルク「うあ!びっくりした!」
ミーナ「なるほど……フラウはトゥルーデに甘えているのね…!」
バルク「あ、ああ…そうだが…」
ミーナ「感謝するわ!」ダッ!
バルク「………どうしたんだ」
~ 次の日 食堂~
芳佳「みなさーん、朝ごはんが出来ましたよー」
美緒「おっ!今日は一段と美味しそうだ!」
リーネ「いつもより早起きして作ったんですよ。どうぞ食べて下さい」
エーリカ「いっただっきまーす!」
バルク「まったく…!ミヤフジが朝飯を作る日だけどうしてしっかり起きれるんだ!」
エーリカ「だって美味しいもん。暖かいうちに食べないと損だよ」ハグハグ
バルク「仕方ないな」
ペリーヌ「げげっ…今日も今日とて腐った豆…!」
芳佳「だって坂本さんが納豆ご飯にしろって…」
美緒「はっはっは!ペリーヌ、大豆は体にいいんだ!しっかり食え!」
ペリーヌ「いくら少佐の頼みでも……これだけは勘弁してほしいものですわ」
ルッキーニ「だからいつまでたってもペタペタのままなんだよー」
ペリーヌ「ペタペタって…!どういうことですの!」
ルッキーニ「胸のあたりがペタンコって意味だよー」
ペリーヌ「…ぬぬぬっ……!あなた!食事中ですわ!口を慎みなさい!」
ルッキーニ「べー、っだ!」
ペリーヌ「それに、あなたこそペタペタではなくて!?」
シャーリー「お生憎だな、ルッキーニの母親はバインバインなんだ、胸は遺伝する、そのうちルッキーニはペリーヌを超えるさ」
ペリーヌ「ぐぬぬぬぬ…」
リーネ「ま、まあそのへんで…」
芳佳「……あれ?ミーナ中佐は?」
美緒「ん?たしかに今日は遅いな」
エイラ「まだ寝てるんじゃないのか?」
美緒「いや、ミーナに限って寝坊など…」
リーネ「最近ミーナ中佐…だいぶ疲れているように見えました…」
美緒「ああ、たしかに」
リーネ「きっと日頃の疲れがたまってしまったんですよ、もう少しゆっくりさせてあげましょう」
美緒「リーネの言う通りだ、今日はミーナには休んでもらおう」
芳佳「坂本さん…やさしいですね」
~ ミーナの寝室 布団の中 ~
ミーナ「…美緒、来なさい…!」
ミーナ「私は寝坊してるわよ…!さあ!」
ミーナ「美緒が起こしに来たら言ってやるんだから!『あと一時間寝かせてよ…』って!」
ミーナ「完璧ね!これで美緒には甘えることが出来たも同然…!」
ミーナ「…さあ…甘える準備は万端よ…!いつでもかかってきなさい!」
~ 食堂 ~
美緒「おい!皆よく聞け!ミーナはどうやら日頃のストレスが溜まって寝込んでいるらしい!ミーナを起こすようなことは決してしないように!以上だ!」
「はい!!!!!」
・
・
・
ミーナ「なぜ……なぜなの……」
ミーナ「どうして誰も起こしに来ないの……」
ミーナ「おかしいわこんなの…!」
ミーナ「やっぱり、やり方が間違っていたのね…」
ミーナ「今度はもっと積極的な甘え方で試さないと…」
トントン…
バルク「失礼する」
ミーナ「トゥルーデ…」
バルク「今日一日寝込んでいたらしいが…大丈夫か?」
ミーナ「え、ええ…大丈夫よ」
バルク「ならよかった…心配したぞ」
ミーナ「…で、要件は?」
バルク「ああ、土方といったかな…あの扶桑の男だ」
ミーナ「美緒の連絡係ね、宮藤さんと一緒にこの基地に来たわ」
バルク「どうやら、土方から大事な話があるらしい…ミーナと2人で話したいとのことだ」
ミーナ「了解よ」
ミーナ「………」
ミーナ(土方さん…)
ミーナ(……まさかこんなに早くチャンスが巡ってくるなんて思っていなかったわ…)
ミーナ(まずは外部の者で練習するってのもありね)
ミーナ(さあ、来なさい土方さん!私の甘えを存分に受けなさい!)
ガチャ…
土方「失礼します」
ミーナ「あら、いらっしゃい土方さん。わざわざご苦労様、今紅茶を入れるわ」
土方「あ、すみません」
ミーナ「大事な話があるらしいわね?」
土方「はい」
ミーナ「…なにかしら」
土方「……軍事支援の打ち切りの可能性について、お聞きですか」
ミーナ「え…!? 聞いてないわそんな話…!」
土方「……これはただの扶桑国内での噂なんですが…あの、冷やかし半分できいて下さい」
ミーナ「……」
土方「第501統合戦闘航空団の年間における対ネウロイへの出費が、去年に比べ大きく上昇しています」
ミーナ「ええ……知っているわ」
土方「……具体的な数字は把握できませんでしたが……このままだと、ネウロイが壊滅する前に世界の経済が壊滅するといってもいいでしょう」
ミーナ「そんな…!」
土方「……世界に存在する軍隊はごまんとありますが…その中でも、莫大な費用を消費している軍は、この先危ないと…」
ミーナ「私達は十分結果も出しているのよ! 私達にかかっているお金はすべて必要な物なの!今更支援を打ち切られてしまったら501はどうなるの!?」
土方「悲しい話ですが…これも定めです、そのことを伝えにきました…もちろん、これはただの噂ですので…深く気にする必要はありませんが…」
ミーナ「そう…ごめんなさい…わざわざありがとう…」
土方「いえ……失礼しました」
ミーナ(…はっ!まずいわ!このままだと!)
ガチャ…
ミーナ「待って!」
土方「なんですか?」
ミーナ「ねえ~……んねぇってば~ン」
土方「…?」
ミーナ「土方さ~ん…今日はここに泊まってみな~い?」
土方「どっ…どうしました急に!」
ミーナ「なんでもないわよ~、一日くらいこの基地にいてもいいでしょぉ~?」
土方「私は私の仕事がありますので…」
ミーナ「いいじゃな~い、ねえ~あなたも大変でしょぉ~?私も毎日疲れる生活を強いられているのよ~」
土方「ミーナ中佐!気を確かに!」
ミーナ「私はなんともないわ、ただあなたに甘えてみたいだけ」
土方「なんということだ…私があまりにも衝撃的な悲報を聞かせてしまったばかりに…ミーナ中佐が狂ってしまった!」
ミーナ「ま!失礼しちゃうわ~」
土方「ひぃぃぃ!すみません!わたしはこれで!」ダッ!
ミーナ「あああん…土方さ~ん」
ミーナ「……」
ミーナ「」
ミーナ「何やってるのかしら…私」
・
・
・
美緒「おい、ミーナ、さっき土方が廊下を歩いていたが…何かあったのか?」
ミーナ「…………」
美緒「土方の様子がおかしかったぞ………何かずっと前かがみだったし、歩幅もえらく狭かった」
ミーナ「………」
美緒「おい!聞いているのか!」
ミーナ「………」
美緒「………どうやら本当に疲れているらしいな」
ミーナ「………」
美緒「それじゃあな」
ガチャ…
ミーナ(どうして…私は他人に甘えられないのかしら…)
ミーナ(もう…わからないわ…私はこんなにも愛情を持って接しているのに…!)
ミーナ(こうなったら…)
ミーナ("とことん皆に心配をかける作戦"よ!)
~ 次の日 ~
ミーナ「ごほっ…ごほっ…!」
美緒「…!」
ミーナ「あ、美緒、おはよう…」
美緒「おい…どうしたんだ!」
ミーナ「なんでもないわよ、さ、今日も訓練頑張りましょう」
美緒「ミーナ!お前そんなに無茶をしていたのか!」
ミーナ「ごほっ!…無茶じゃないわ、これも仕方ないことなのよ…げほっげほっ!」
美緒「とにかく、今日も訓練に参加させるわけにはいかん!」
ミーナ「そんなっ!」
美緒「言っただろう…何かあったら遠慮なく私に言えと…どうしてそんなになるまで黙っていたんだ!」
ミーナ「酷いわ美緒…!ゲホッゲホッ!…私はこんなにも頑張っているのに…!うぅッ!ゲホゲホ!」
美緒「いいから今日も部屋にいとけ!ミーナを訓練に参加させる訳にはいかない!」
ミーナ「そ、そんな…げほっげほっ!」
~ ミーナの部屋 ~
ミーナ「ふふふっ!計画通りよ!」
ミーナ「これで私は美緒に存分に甘えられるわ!」
ミーナ「美緒!あなたは私のものよ!」
ミーナ「宮藤さんなんかには甘えさせないんだから!」
ミーナ「そのまま、501のメンバー全員に甘えられれば…!」
ミーナ「…………」
ミーナ「おほほほほほほ!」
-------
~ 廊下 ~
芳佳「ミーナ中佐っ…大変だ…!」ダッ!
・
・
・
美緒「おい!リーネ!どうしてお前はすぐにふらつくんだ!」
リーネ「すみません!!」
美緒「ペリーヌ!お前は後ろでリーネをサポートしろと言ったはずだ!」
ペリーヌ「すみません少佐…!」
芳佳「坂本さーん!」ダダダ
美緒「お、宮藤、やっと帰ってきたか」
ペリーヌ「まったく…訓練中にもよおすなんて…」
芳佳「はぁ……はぁ……」
美緒「どうした、そんなに慌てて」
芳佳「ミーナ中佐が…!ミーナ中佐が…!」
美緒「おい、落ち着け」
リーネ「ミーナ中佐がどうしたの?」
芳佳「部屋の前を通ったんですが…様子がおかしいんです!」
美緒「様子がおかしいとは…どういうことだ」
芳佳「なんか…一人でブツブツ喋ってると思えば…」
美緒「ふむ」
芳佳「急に奇声をあげて…」
美緒「なに…」
芳佳「と、とにかく!異常事態なんです!早く来て下さい!」
美緒「わかった!すぐ向かおう!」
タッタッタッタ…
美緒(ミーナ…無事でいてくれ!)
タッタッタッタ…
~ ミーナの部屋の前 ~
ドンドンドン!
美緒「おい!ミーナ!部屋を開けろ!」
芳佳「ミーナ中佐!返事して下さい!」
美緒「……くっ!」
ドノドンドン!
美緒「ミーナ!私が悪かった!ミーナの異変に気づいてやれなくて本当に済まない!」
リーネ「ミーナ中佐!ミーナ中佐!お気を確かに!」
-------
ミーナ(来た来た…!)
ミーナ(どうやら宮藤さんとリーネさんも一緒のようね…これは一石二鳥…いや、三鳥よ!)
ミーナ(さあ…来なさい…美緒…私の甘えを存分に受けなさい!)
ミーナ「おほほほほほほほ!!!!!!!」
-------
美緒「!」
芳佳「…!」
リーネ「何ですか…今の声は…」
美緒「……くっ!」
リーネ「坂本少佐…」
美緒「うっ……うう………」
芳佳「坂本さん!」
美緒「すまない…ミーナ……とうとうイカれてしまった……私のせいだ!」
芳佳「坂本さん…」
美緒「…宮藤…たのむ、ハルトマンを呼んできてくれ」
芳佳「…!」
美緒「こういうとき…どうすればいいのかわからない…ハルトマンは医者の娘だ…精神的な病気についてなにか知っているのかもしれん」
芳佳「わかりました…!」
タッタッタ
美緒「……すまない……ミーナ……」
・
・
・
~ 救護室 ~
ミーナ「何故…」
エーリカ「………」
ミーナ「どうしてこうなるの……」
エーリカ「…………」
ミーナ「はあ……」
エーリカ「…おちついた?」
ミーナ「ええ………ねえ、フラウ」
エーリカ「何?」
ミーナ「フラウは…人に甘えたことってあるかしら」
エーリカ「うん、トゥルーデにはいつも甘えてるよ、あと…たまにミヤフジにもさーにゃんにも」
ミーナ「……そう」
エーリカ「ミーナも甘えたいの?」
ミーナ「……な、何を言って」
エーリカ「どうせ皆に甘えたいって言いたいんでしょ」
ミーナ「……わかっていたのね」
エーリカ「坂本少佐はやめたほうがいいよ」
ミーナ「どうして…!」
エーリカ「だって少佐がミーナに甘えてるもん」
ミーナ「!」
エーリカ「お互いがお互いに甘えるのなんて無理だよ」
ミーナ「でも…美緒は私に甘えてなんか…」
エーリカ「甘えてるよ、訓練を見てたらわかる、少佐はいつもミーナのそばにいるし、ミーナと二人でいる時が一番楽しそう」
ミーナ「……」
エーリカ「ああ見えて純粋なんだ坂本少佐は、少佐はミーナがいないと何も出来ないよ」
ミーナ「じゃあ私は誰に甘えたら…」
エーリカ「トゥルーデに甘えなよ」
ミーナ「えっ!」
エーリカ「トゥルーデは人一倍真面目でカタブツ、だから、いざ他人におもいっきり甘えられるとすぐヘタってしまうんだ」
ミーナ「それでいつもフラウの寝坊を許してしまっているのね」
エーリカ「うん」
ミーナ「ありがとう!早速ためしてみるわ!」
エーリカ「あ、このメモ持って行って」
ミーナ「何なのこれ」
エーリカ「トゥルーデを落とす方法を私なりにまとめたんだ、よかったら参考にしてよ」
ミーナ「フラウ…あなたって人は……………感謝するわ!」ダッ!
エーリカ(…面白くなってきたっ…!)
~ 食堂 ~
芳佳「ミーナ中佐!もう大丈夫なんですか!?」
ミーナ「ええ、わたしはこの通り元気よ」
リーネ「よかった…」
ミーナ「心配かけてごめんなさい」
バルク「ミーナ、無理をするのはよくないぞ…」
ミーナ「トゥルーデ…」
バルク「私は本当に心配だった…私が無理をさせすぎたんじゃないかって…私がいつもうるさいのがいけなかったのかって…」
ミーナ「………」
バルク「……ああ、飯時にする話じゃなかったな…すまない」
芳佳「バルクホルンさん…」
ミーナ「………トゥルーデ……」
ミーナ(チャンスよ!)
ミーナ「ね、ねえトゥルーデ…」
バルク「何だ…」
ミーナ「今日の夜、あなたの部屋にお邪魔してもいいかしら…」
バルク「何!」
ペリーヌ「ぶふぅ!」
シャーリー「うわ、きたね」
ペリーヌ「げほ!げほ!中佐…何を…」
ミーナ「トゥルーデと一晩を共に過ごす…いけないことかしら」
ペリーヌ「そう堂々と言われましても…」
リーネ「もしかして……// ミーナ中佐…//」
シャーリー「おいルッキーニ、早く食って自分の部屋にもどれ」ヒソヒソ
ルッキーニ「え~なんで~?まだおかわりしたいのに~」
シャーリー「いいから!」ヒソヒソ
芳佳「どうしたんですか皆さん、顔が赤くなって…」
リーネ「よしかちゃん…//」
バルク「ミーナ……誤解される言い方はやめろ」
ミーナ「いいじゃないの…おねがい…今日だけでいいから…」
リーネ「一晩の秘め事ですか//」
芳佳「何言ってるのリーネちゃん」
エイラ「さ、サーニャ…私も今日はサーニャの部屋に泊まっていいか?」
サーニャ「…それいつもとあまり変わらないわ」
バルク「ま、まあいいだろう…食べ終わったら私の部屋に来い…」
ミーナ「ありがと!」
エーリカ(ふふん、いい調子…)
・
・
・
~ バルクホルンの部屋 ~
バルク「ミーナ、ほんとうに済まないと思ってる…私も少し反省した」
ミーナ「いいのよ、気にしないで」
バルク「もう大声でハルトマンを怒鳴ったりしない…今日を境に、私も少し穏やかになろう」
ミーナ「そう…」
バルク「……話があるんじゃないのか?」
ミーナ「ええ」
バルク「言ってみろ」
ミーナ「……軍事支援の話なんだけど…」
バルク「……あまり良い話ではなさそうだな」
ミーナ「ええ、どうやら一部の軍は打ち切りになる可能性があるらしいわ」
バルク「やはりか」
ミーナ「うちは大丈夫だと思うけれど…費用は確かに他の航空団と比べて、使いすぎを指摘されているの…心配だわ」
バルク「それを聞かされて…今日の昼、錯乱していたんだな」
ミーナ「え、ええ…(そういうことにしときましょ)」
バルク「しかし困ったな…もし501の軍事支援が打ち切られたら…もはや強制解散しろと言われているようなものじゃないか」
ミーナ「501の名前が挙がった時は私も頑張って交渉するつもりでいるわ」
バルク「こればかりは、ミーナに頼るしか無いな…すまない」
ミーナ「いいのよ、気にしないで」
ミーナ(いい感じよ…!トゥルーデ!)
ミーナ(フラウにもらったメモによると……)
バルク「どうしたミーナ、何を読んでいる」
ミーナ「へっ!…な、なんでもないの…うふふ」
バルク「?」
ミーナ(まずは……『倒れるように寝ころがる』)
ドサッ…
バルク「どうしたミーナ!」
ミーナ「んん~?ちょっと疲れちゃった~」
バルク「…仕方ないな、そのまま寝たら風邪引くぞ…ほら、布団だ」
バサッ
ミーナ「やさしいのね…」
バルク「あ、ああ//」
ミーナ(次は……『トゥルーデの手を両手でやさしく、ぎゅっと握る』)
ミーナ「ふふふ…」ギュッ
バルク「おぅ…なんなんだ」ドキドキ
ミーナ「トゥルーデの手、温かいわ」
バルク「あ、ああ…」
ミーナ(そして最後…『優しい口調で、"トゥルーデ、まるで私のお姉ちゃんになったみたい…"とつぶやく!これでFINISH!』)
ミーナ「…トゥルーデ…」
バルク「どうした…?」
ミーナ「まるで……ふふっ……私のお姉ちゃんになったみたいね…」
バルク「!!!!!!!!」
ミーナ(決まったわ!)
バルク「………」
ミーナ「ふふっ」
バルク「……酔っているのか?」
ミーナ「えっ!」
バルク「………ハルトマンそっくりだ……ミーナ、私なんかに甘えてどうする」
ミーナ「!」ドキ
バルク「まあいいだろう…今日だけだぞ、今日だけミーナの愛情を受けてやる」
ミーナ「トゥルーデ…」
バルク「気にするな……大変だったな、突然悲報を聞かされ、それを一人で抱えていたなんて」
ミーナ「ううぅ……」
バルク「いいんだミーナ。皆、ミーナに甘え過ぎたんだ…今日くらいは他人に甘えろ…な?」
ミーナ「うっ……うう……」
バルク「ははっ、泣くなミーナ、私に甘えたくらいで」
ミーナ「……うぅぅ……トゥルーデぇ……」
バルク「かわいいな、まったく」
ミーナ「トゥルーデ……トゥルーデ……」
~ 窓の外 ~
芳佳「何やってるんだろうあの2人」
リーネ「芳佳ちゃん!覗いちゃだめだよ!」
芳佳「え~?何で~?」
リーネ「だって……その……」
シャーリー「おっ?どうしたふたりとも」
リーネ「坂本少佐…」
シャーリー「ははは、バルクホルンと中佐が気になるのか」
芳佳「はい!」
シャーリー「でもな、今は二人きりにしてやれよ、あいつらにとって大事な時間なんだ今は」
芳佳「大事な時間?」
リーネ「芳佳ちゃん…もうやめようよ…!」
芳佳「大事な時間ってなんですか?何が大事なんですか?」
リーネ「芳佳ちゃん!」
芳佳「あ、ベッドで抱き合ってる」
リーネ「きゃあ!//」
芳佳「ミーナ中佐泣いてる」
リーネ「じ、実況しないで…」
エーリカ「ん?何やってるのミヤフジ?」
芳佳「あ、ハルトマンさん! バルクホルンさんの部屋を覗いていたんです」
リーネ「言い方気をつけようよ…」
エーリカ「ミーナの様子はどう?
芳佳「バルクホルンさんと一緒にベッドに…」
リーネ「もう言わないで…//」
エーリカ「ああ~そっかぁ…じゃあミーナ、うまく行ったんだ」
芳佳「うまく行った?何がですか」
エーリカ「内緒だよ~、さ、私も部屋に戻ろっと」
芳佳「…?」
エーリカ「~♪」
芳佳「あ、バルクホルンさんがまたミーナ中佐を撫でてる」
エーリカ「~♪」
芳佳「あ、ミーナ中佐が嬉しそうな表情だ」
エーリカ「~♪」
芳佳「あ、キスした」
エーリカ「~♪」
エーリカ「…」
エーリカ「え゛っ!!!!!!!」
芳佳「どうしたんですかハルトマンさん!」
エーリカ「ミーナぁ!!そこまでは書いてなかったはずだぁ!」ダッ!
芳佳「ハルトマンさん…?」
・
・
・
~ バルクホルンの部屋 ~
バルク「ミーナ…なんだいきなり…」
ミーナ「ご、ごめんなさい…」
バルク「い、いや、謝る必要はないが…」
ミーナ「………」
バルク「別に…もう一度したいなら…」
ミーナ「?」
バルク「しても…いいぞ?」
ミーナ「……わかったわ」
バルク「…」ドキドキ
ミーナ「…」ドキドキ
バルク「…」ドキドキ
ミーナ「……………ンッ」
バアン!
エーリカ「ミーナ!トゥルーデ!」
ミーナ「!!!!!」
バルク「!!!!!」
エーリカ「はい!ずばり答えて!今2人は何してたの!?」
バルク「ハルトマン…!」
ミーナ「フラウ!」
エーリカ「さあ!答えて!ほら!」
バルク「………ミーナと、今後の501の方向性について話していたところだ!」
ミーナ「そそそそうよ!そう!大事な話を…ね!」
バルク「ああ!まったく!イヤになるよな!支援打ち切りなんて!」
ミーナ「ええ!ホントに上層部は現場をわかってないんだから!」
エーリカ「ふ~~~~~……ん」
バルク「というわけだ!ハルトマンには関係ない話だ!」
ミーナ「フラウ、もう寝ないといけない時間よ」
エーリカ「は~い」
ガチャ…
ミーナ「………」
バルク「………」
ミーナ「……………行ったわ」
バルク「……行ったな」
ミーナ「……トゥルーデ」
バルク「すまない………今日はもうやめておこうか…」
ミーナ「………そうね」
バルク「………」
ミーナ「………でも」
バルク「?」
ミーナ「たまには…」
バルク「……?」
ミーナ「人に甘えてみるのも悪く無いわね」
バルク「……まったく…!」
ミーナ「ねえ…これって異常?」
バルク「ああ、異常だ…」
ミーナ「………これからもたまに、こうしてトゥルーデの部屋にお邪魔してもいいかしら」
バルク「……問題ない」
ミーナ「ありがと…!」
バルク「2人だけの秘密だからな」
ミーナ「ええ!」
おしまい
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