女騎士「そうなったのは私のせいじゃないから謝らない」煮込み7杯目 (1000)

≪過去スレ≫
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≪あらすじ≫
キュートでファンシー、ビビッドなお茶目さが魅力でお馴染みの女騎士ちゃんがめっちゃ活躍した。
女騎士ちゃんは果たして薄汚い魔物どもを一匹残らず根絶やしにする事ができるのか。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1379703594

勇者「……」

将軍甲「胸糞悪ィ連中だぜ……人の話を聞かねえ奴らだ、エルフども」

勇者「ああ……確かに。思えば6年前からずっと、彼らには辛酸を舐めさせられてきたものね」

賢者「(活動写真のスタアにでもなってくれないかしら……いくらでもグッズ貢げちゃうかも)」

勇者「現在の状況は?」

賢者「あ、はいはい。テロリストの飛行戦力の6割は帝都郊外にて足止め……しかし、やはりデモ隊の鎮圧には手こずるかと」

将軍甲「日暮れ前には何とかしてえな……また妖精族やモルダヴィアに借りを作る事になるか」

賢者「かなり端折られた報告しか回ってこないのも不気味ね。足止めって……もしかして、交渉のテーブルまで進んでるっていうのかしら」

勇者「……」

将軍甲「けっ、今さら共和国への体面気にしてもしょうがねえ。対空警戒は今のうちに固めておくべきだぜ」

勇者「(情報部の彼女、多少ひねくれてはいるが仕事はしてくれているか……
クソ女……欲望の権化……! 大陸の汚染を広げる悪魔が……!)」

将軍甲「勇者……?」

勇者「(……いや、違う。奴は、この地上のどんな生きとし生けるものよりも強欲であり……
同時に、手の内にあるいかなるモノも手放す事ができる……必要とあらば、何であろうと切り捨てられる……!)」

賢者「……」

勇者「(エルフをこのまま好き勝手にしておくのも危険か。近いうちに、あの女に汚染された暗部を排除しなければ……!)」

おかっぱ「こんにちは……いやァ、やっと直接顔を拝めることができたな、魔王軍のエライ人」

将軍丙「……」

姉「おなかすいたわぁ……お菓子かなにかないかしら」

将軍丙「(東洋人……アジ・ダハーカの勢力には極東列島まで……!?)」

おかっぱ「クックク……そう力むんじゃあない。表のダークエルフどもはどうせ暫くは動けない、
あの女の檄でもなけりゃ……もっとも、そこまでノータリンでもないんだよな、クズ女のやつは」

将軍丙「聞いてると、貴女は飼い主の正体を隠す気がないように思えるわ」

おかっぱ「飼い主! バカ言っちゃあいけない、大陸の貴族なんぞ首輪のついていない山犬だ。
どちらかといえば、我々が調教してやっているようなものだが……如何せん頭の出来が悪すぎるようで手を焼いている」

将軍丙「私達の主張するアジ・ダハーカの存在を肯定するのね」

おかっぱ「……お望みとあらば、来年の西欧会議でも声を大にしてそちらに加勢してやってもいい」

将軍丙「な……!?」

姉「お菓子……」

将軍丙「あなた、何者……目的は何なの。アジ・ダハーカの仲間じゃあ……」

おかっぱ「あれに与していると、何かと便利なんだよ。クッソ邪魔な連合のブタどもを効率よく追っ払えるだろうしな」

将軍丙「その為になら、あの女の言う通りに災厄を……弱者を踏みつけにもできるって言うの?」

姉「おかし、お菓子お菓子お菓子! おーかーしー!」

おかっぱ「そういう安っぽい耳クソみたいなヒューマニズムは聞き飽きてんだよぉ。
必要な犠牲っていうのは、世の中一定数存在するもんなんだ。アタシ達は連合を当面黙らせられりゃあそれでいい……
あんたらにとっても、愛しのアジ・ダハーカは平和の為の尊い犠牲だろ? そんな厭な顔しないでほしいねえ」

将軍丙「……」

おかっぱ「そういうカッタルイ、面倒くせえ話をしに来たんじゃあない……ちょっとだけ、お近づきになりたくてね」

将軍丙「あなたは……誰?」

おかっぱ「極東列島幕府陸軍……征夷大将軍の膝元、将軍近代騎兵奉行の位に就かせていただいている。
我らの目的は、先ほど簡潔に語った通りかくかくしかじか。あなた方魔王軍に、損はさせないぞ?
そちらも連合に歩調をあわせ、難癖付けられながら活動するのも煩わしかろう。どうかな?」

将軍丙「……」

姉「あらまあ……フカフカねえ! メレンゲみたいねえ!」

金長狸「尻尾や! それ尻尾やで! 離して!」

おかっぱ「こっちもこっちで、内輪もめを再燃させたくないんだよ……そっちもさぁ、
アタシらと懇ろになりゃあ、かつての魔王軍の威光を取り戻せるんだ。少なくとも、今の悲惨な状況からは抜け出せる」

将軍丙「信用しろと言うの? 生憎だけれど、アジ・ダハーカには散々……」

おかっぱ「そーだよなあ。やっぱそーだよなぁ。メンドくせぇな」



ダークエルフ騎兵「……もし、お呼びでしょうか」

おかっぱ「ダークエルフが一人でもいりゃあ、交渉がスムースに進むかもしれない。あの大尉には話をつけてある、来てくれ」

ダークエルフ騎兵「了解です。早く、あの人質になっている女性を助けなければ……」

おかっぱ「……もちろんだ」

ダークエルフ騎兵「……」

おかっぱ「貴いテメェの命でなあ。お気の毒様……」

おかっぱ「どうだい、信じてくれたかい?」

将軍丙「なんて……事を……!!」

おかっぱ「ひでえな、行動で示してやったのに。どうせ生きてたって、あんたらが勝ちゃあロクな事にはならん。
そもそも、愛国心と仲間との信頼で動いてるこいつらがあんたらに迎えられる事を選ぶと思うのか?」

姉「……?」

おかっぱ「脳内麻薬でじゃぶじゃぶになってるこういう奴らには、過度な肩入れは慈悲にならない。
死んだ方がマシって例は、けっこう身近に転がっているものだ。さあ、どうなんだ?」

将軍丙「……」

おかっぱ「図体だけでっけえ連合を黙らせて、アジ・ダハーカ……クズ女をブッ殺して、みんなで仲良く暮らそうじゃないか」

金長狸「そうだー、まともなメシをよこせー、ストライキだー」

真神「時が来た……のか」

おかっぱ「まだ確証が得られないんなら……そうだな、おたくが世話してるであろうクソ童貞にでも確認を取ってみろ。
あの男もきっと、快くアタシ達幕府を迎える事を歓迎するだろうからなあ」

将軍丙「信じて、いいのね……? 本当に……!」

大嶽「見ました見ました見てしまいましたわ……あらあらあらら……
いーえー、何の気なしに目に入ってしまっただけですのでー……お気になしゃらずー」



おかっぱ「な……!?」

将軍丙「ま、窓の外!?」

おかっぱ「大獄……貴様、なぜここにいる!? 貴様らに出撃の許可は……」

大獄「そう申されましても……我々にとっては、帝の威光が第一ですので。幕府のこっすずるい方針なんて、知ったこっちゃありませんの」

おかっぱ「湿りくさった鈴鹿の売女めが……! 貴様ら穢らわしい鬼どもが皇帝の名を出すなど笑止千万、恥を知れ……!!」

大嶽「ボーケwwwwダーボwwwwブタのヘソーwwwww大陸の悪鬼征伐の任を放棄したのはどなたかしらーwwwwww」

おかっぱ「幕府が勅命を放棄したとな。片腹痛いわ、無駄口叩けんように目鼻と口を縫い合わせてやろうか」

大嶽「相変わらずイカレた集団ですわね。所詮は帝の威を借る豆ダヌキ、
少しばかり封建体制が安定したからと、すっかり付けあがってしまって……」

おかっぱ「革命の波に乗れん過去の遺物どもが、貴様らの時代はもうとっくの昔に終わってンだよ。
口出ししてくんじゃねェ、すっこんでな大バカ。テメェらはしゃしゃり出てくんじゃあねえ」

大獄「ひどい……仲間外れにする気ですのね……んふふ、意地でも一緒に遊びたくなってしまいますわ!!」

おかっぱ「散れッ!! 続きはお互い生きていたらだ、逃げろ!! そこのボンクラ貴族も連れて行け!!」

将軍丙「え、ええっ!!」



大獄「そうれ、煙弾ぼーん! 茨木、それに親方様! 張り切って参りましょう!!」

オーク騎兵「おういッ、どうした嬢ちゃん! こんなところにいたら危ねえ、さっさと家に帰んな!!」

幼女「これはこれは、親切にありがたい事じゃ。そうだの、街道沿いでは一揆が起きておるしのう」

オーク騎兵「そ、そっちに行くんじゃあない! だめだ、帰んな帰んな!」

幼女「んー、融通の利かん豚じゃ。儂なら平気じゃて、貴様も怪我をせんようにするんじゃぞ」

オーク騎兵「は……?」

幼女「そうじゃ、アメちゃんをくれてやろう! わーっちのあーめはあーまいぞー! ほれ、とっとけ!」

オーク騎兵「……いや、買収されねえよ!? アメに困る程貧乏な生活してないよ!?」

幼女「何じゃ、けちんぼ。んもー、大嶽から合図が来たのじゃ、行かなきゃならんのじゃあ」

オーク騎兵「ああもう、わかったから! 家までついていってやるから……ほら、この傍だろ!?」

幼女「いーやーじゃ。行くのじゃ。行ーくーのーじゃ」

オーク騎兵「(つ……強……!? う、動かねえ……お、お、重……!!)」

幼女「何じゃあ小童。相撲がしたいのか? この儂と? 負けんぞお、儂は強いぞお?」

オーク騎兵「は、離……」

幼女「なるほど……兵だけあって、そこらの豚と違って筋肉質じゃな。しかし……」

オーク騎兵「痛て……痛、痛ええええええっ、痛い痛い痛い痛い折れるちぎれるうううああああ」

幼女「豚は豚らしく、まるまるころころ育った方が好きじゃ。痩せすぎでも、鍛えすぎでもだめじゃ……」

オーク騎兵「あばばばばばばば」

幼女「お、お? 何じゃ、男(おのこ)じゃろ? 魔羅だけは立派なんじゃから……これっくらいで泡食って倒れてくれるな」

オーク騎兵「」



幼女「ほれぇ、アメちゃんなめなめせえ。そう、そうじゃあ。ゆっくり、ゆっくり味わうんじゃぞぉ。
どうじゃどうじゃ、一粒で軽く五千は取ってやりたい代物じゃあ、ほっぺたがじゅわじゅわするじゃろ。
うむうむ、ますます魔羅が硬ぁくいきり立っておるな……最後に腎水でも噴きたそうにしとるが……だーめじゃ、我慢じゃ」

幼女「ほらぁ……武骨で見苦しい兵の身体とは、今日かぎりでオサラバじゃぞぉ。必死こいて鍛え上げた筋も、骨も……
全部全部、こうやって愛くるしい童のように……溶けて、混ざり合ってしまうんじゃから……ぬし、もう背丈は儂より低いかもしれんのう……」

幼女「醜い豚の顔も原型が残っておらんのう……ほうれ、そこの窓で己の新しい姿と対面するがよいぞ。
クカカ……股倉の魔羅も、ふぐりもスカスカにひからびて……代わりにほれ、瑞々しい童の肢体が手に入ったのう」

幼女「何じゃ? クカカカ、そうか……自分の名前もわからんようになったか。可哀想に……惨めじゃのう。
いいじゃろ、儂の小間使いに貴様を飼わせてやる。儂か? 儂がなぜ貴様のような面白みのないガキのおもりをせにゃならん?」

幼女「そうじゃなあ……この朱天の為に、何かひとつ役に立ってくれたら、頭くらいは撫でてやらん事もない……クカカカ」



幼女「……いかん! 遊んでる場合じゃあない、さっさと行かにゃあ!」

ポニテ「おっ、大嶽どの! これは一体!?」

大嶽「全軍、進軍再開いたしましょう!! さあさ、邪魔者はすべて踏み砕いて道を作りましょうね!!」

ポニテ「しかし……彼女は!? あの貴族の女性は……大獄どの、大獄どのっ!!」

大獄「ははははははっ!! 私の敵はどこでしょう、どこにおられるんでしょう!! あっちかしら、こっちかしら? 目移りしてしまいますわ!!」



茨木「カミサマ……? それにしては……ずいぶんちっぽけでありんすね。しかしなるほど、ドラグーンじゃあ止められないのは納得……」

魔王「(こんな時に新手……!? 頭部の角のような意匠こそ、我々拝火の種族に近しいが……何者なのだ!?)」

茨木「非常にお強いようでありんすが……好き勝手暴れられる訳にはいきんせん、ちょいと静かにしてもらいんす」

魔王「どいてくれ……そこをどけっ、お願いだ! 戦いを、こんな事はやめさせなければっ!!」



朱天「遅れてすまんのう、大将首や」

エルフ三男「待ちくたびれました。やはり保険はかけておくに限ります……して、結果は?」

朱天「あの幕府のマメチビが尻尾を出したところを合図にな。貴様が持たせてくれた分隊のおかげじゃ。
我々は嘘をつく事ができん……故に、向こうの人質を無視して再び攻めこめと丸め込めんのじゃが……」

エルフ三男「兵が役に立ったのなら何よりです。もっとも……タガの外れたあなた方のチカラあっての荒業ですが」

朱天「クカカカ……幕府のぼんくらが幅を利かせるようになってから数百年、たいくつで仕方が無かったからの。
さてさて……大陸の戦争というのはどんなものか、味わわせてもらうとするか。のう、ゆうしゃさまァ?」

勇者「……」

皇帝「幕府のみんなと一緒に国民の暮らしのために留学頑張ってね」

鬼「わかりました!!裏切り者の幕府なんかぶっ殺します!!」

皇帝「えっ」

鬼「連合も目障りなんでフルボッコにしてきます!!」
皇帝「(コイツわかってねえ)」


みたいなもんかと

ヴェルタースオリジナルの凶悪さがやばい件
アメちゃんってレベルじゃねえぞ

エルフ騎兵「大将閣下からの煙弾、確認しました」

秘書「ほ、北西方面からの指定煙弾確認……あれもエルフの部隊なの……?」

エルフ弓兵「東部方面からの合図確認、頃合いです。騎士様!!」

女騎士「あいよ了解。それじゃあー……」

秘書「……」

女騎士「全騎、騎竜をメリジェーヌに乗り換えろ! 街道通って凱旋パレードだ!!」

秘書「か……かか、街道!? だ、だってデモ隊が……」

女騎士「プータローどもの頭の上すれすれwwwwwwwwwwwいいや、首狩りながら飛んでいってやろうぜwwwwwwwwwww」

秘書「」

女騎士「ゴミどもが、ちょっと私らが目を離した隙にデモなんぞ企てやがって。まさにゴキブリのような連中だ、死にくされ!!」

エルフ騎兵「指定ルート開けました、行けます!」

秘書「ちょっ、待っ……ま、まさかデモ隊をドラゴンで轢……」

女騎士「wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」

賢者「フードで顔を隠したドラグーンの一団……それがアジ・ダハーカの本命……!?」

オーク騎兵「は……現在、街道に沿って北上中……やはり連中の狙いは西部政庁かと思うわらば」

賢者「!?」



朱天「おや、すまんの。流れ弾じゃ」

勇者「撃つな! 甲の……彼の指示に従え、デモ隊の護衛に回れ!!」

朱天「……じかに見ると、やはり実に美人じゃの。どうじゃ、アメちゃんやるから儂の飼い犬にならんか」

勇者「(この女もまたエルフの……あの女の仲間か。それも凡百の人外でない、恐らくはカミに近しい幻獣……!?)」

朱天「さあさ、続きをしようではないか。京の武士も、昨今では職を失った腑抜けばかりになってしまった。貴様のようなツワモノに会えてうれしいぞお」

勇者「(デュランダルに加え……魔王軍の魔術兵装を用いても振り切れないか、何という隠し玉を……!!)」

朱天「のうのう、何で勝負するかの? 素手か、それとも刀かの?」

勇者「……その、出現した不明部隊には誰が向かえる?」

賢者「白の城塞からは、すでに飛行隊が出ているわ。戦士と僧侶の二人がモルダヴィアと追撃にあたると……」

勇者「わかった、そっちは任せよう。僕らも……早急に向かうとしよう!」



エルフ三男「(バカども……本当に馬鹿……! あんなお粗末な篩を使う時点で凡夫もいいところ……!!
お前ら頭のあったかいガキどもが、調子こいてんじゃあない……クク……バカよバカバカ、本当に馬鹿……!!
こいつら、本当に、本当に本当に、デモ隊や住民なんかが人質だと思っていやがるのかねえ……!!)」

戦士「見えた……あれか!!」

僧侶「ううう……ひど、ひどすぎです……ま、まるで……街道が血の河のよう……」

デュラハン「我々はミセス・ティタニアと共に負傷者の救援にあたります。あなた方とキマイラ飛行隊は、そのまま彼らを!!」

戦士「わかった。クズ野郎どもの首ィ、必ず持ってきてやるぜ!!」

僧侶「ほ、本当にいるんでしょうか……あの部隊にアジ・ダハーカが!」

戦士「あの元大尉さんが言ってただろうが! こういう晴れの……おぞましい事は率先してやりたがるのがアジ・ダハーカだってな!」

僧侶「うええ……」

戦士「6年前の魔王城でのイザコザだって、単身フラフラ現れた事が発端だって話だ! タチの悪い最低のクソアマだぜ!!」

僧侶「……このままにはしておけませんね」

戦士「ああ。よっぽど顕示欲が強いんだろうよ……見ていやがれ、必ずフン捕まえてやる!!」





敵兵「あれは……」

ティタニア「キマイラ隊……さっきのドラグーンの一団を押さえに行ったのね。まったく、アテクシの先見の明のおかげよねえ」

敵兵「じゃ、じゃあ……オレの言った事を信じてくれたってわけですか」

ティタニア「薄々はアジ・ダハーカがどんな人間か、みんな分かってきたって事じゃないかしらぁ。
アテクシなら、こんな絶対とっ捕まりそうな状況で、少数引き連れて飛び出したりしないけど……それをするのが、あの女なんでしょ?」

敵兵「……ええ。あのゴミカスゲロブタクソボケドラゴンマダムならやりますよ、絶対やります! あのクズ! ゲス!! バーカ! ざまぁ!!」

戦士「オラァ!!」

エルフ騎兵α「あぺぺぺぺぺ」

戦士「オラァ!!」

エルフ騎兵β「おぎゃぎゃぎゃぎゃ」

戦士「コイツも違う……! ああ、ちきしょう! 速すぎる、何なんだよあいつらの騎竜は!?」

僧侶「純粋な速度こそキマイラやワイバーンには及ばないけど……ダメッ、こんな市街地じゃ追い続けるのは無理ですよう!
あの竜、カベだとかの遮蔽物を利用した三次元走破性が売りなんでしょう……こっちのキマイラじゃ敵いません!」

戦士「クソッ、あと少し……あと少しだ、あと少しであの女に届くのに!」



戦士「オラァァァ!!」

エルフ騎兵Θ「ぱぎゃぎゃぎゃぎゃ」

僧侶「落とした……けど……!」

戦士「何だ、どうしたァ!!」

僧侶「……話に聞いてた女の人なんて……いますか? エルフしか仕留められてないですよ……!」

戦士「ああクソ! まだ取りこぼしがいるのか……! 一刻も早く始末しねえと……!」

僧侶「いや、あのう……」



僧侶「本当に、アジ・ダハーカは……さっき見た一団にいるんでしょうか……」

女騎士「やいクソデブ! 縄をほどきやがれ、何てことしやがるんだ!!」

秘書「だ、ダメです! 私がクビになっちゃいます!!」

女騎士「ふざっけんじゃねーぞ!! 私以外に誰がテメェみてえな肉女のクビを切るってんだよ!! ほどけ、ほーどーけーよー!」

秘書「(この人すっごい弱い……軍人じゃなかったの、何で私に拘束されるくらい弱いの……)」

女騎士「失業者対策にこの私が直々に一肌脱いでやろうってんだよ! ほどけー!」

秘書「……」



エルフ三男『なに新人くん。騎士様がオモチャを見つけて有頂天?』

エルフ三男『新人くん、それでも無理やり押し込めるんだ。
別に逆に考えなくていい。放っておいちゃダメだ、そう考えるんだ』



秘書「……」

女騎士「あー背中かゆい! かけ! あとお菓子! もう気分悪いなー、みんなのお給料出るかなー、あーだりいだりい」

秘書「」

騎士ほ「連合、魔王軍、並びにこの都市の全ての民に告げる。ただちに、法治制度への反逆行為……あらゆる戦闘、および違法行為を停止せよ。
こちらは北西諸島連合王国陸軍、近衛の位を有する竜騎手である。この勧告が聞き届けられぬ場合には、我らが女王や、父なる主への反目とみなし……」




将軍丙「北西諸島……今さら何の用なの!? 散々支援要請を無視して、今更……!!」


将軍甲「連中、いつもいつも肝心な時にしゃしゃり出てきやがって……! 勇者ァ、どうする!!」


魔王「……」


戦士「な、何だァ!? 何だってんだよォ……!」


騎士ほ「……繰り返す。この勧告が聞き届けられぬ場合には、我らが女王や、父なる主への反目とみなし、武力を以てその行為を鎮圧する」

エルフ騎兵「残存騎兵、上昇! 騎士様を護衛しつつ匍匐飛行、急げ!!」

女騎士「ん……ん?」

秘書「は、はぇ?」

エルフ騎兵「さ、縄をお切りいたします。閣下の定めたタイミングにございます、存分にカッ飛ばしましょうか」

女騎士「……ふぅーん、そっかぁ。あの北西諸島のドラフェチ……いや、ありゃあほの字かその手の小間使いってわけだな」

エルフ騎兵「ノーコメントで」

女騎士「クッククwwwwwwwwそんじゃまぁーwwwwwwwwww当初の予定をこなすとしましょうかーwwwwwwwwwwww」

秘書「え、あの……ど、どうなってるんですか……」

エルフ騎兵「魔王軍の動きは、これで更に制限できた筈。スズメの涙の連合陸軍など取るに足りません。一気に政庁まで駆けましょう」

秘書「あの……わ、私……さっきの一件しか教えてもらってないんですけど……何、何するんですかこれから」

女騎士「スッとろいなあ……小賢しい魔物どもにはいっちばんキきそうな仕上げだよ、仕上げ!!」

秘書「……?」

女騎士「政庁まで開けりゃあwwwwwwwwww建屋ごと皇女殿下を人質にできるじゃねぇかwwwwwwwwww」

秘書「」

女騎士「あいつらしょっぺぇ人質がんばってこさえたみてぇだけどwwwwwwwwwwww所詮は魔物の浅知恵wwwwwwwwwww
人間様に敵うと思ったらそうはいかんざきwwwwwwwwwwwwwwwなぁにが魔王軍だwwwww調子こきゃあがってwwwwwwwwwww」

秘書「皇女……様をですか……?」

エルフ騎兵「政庁の護衛についている連合陸軍や共和国戦力は、恐らくは北西諸島の勧告で退けられましょう。潜入さえしてしまえば……」

女騎士「内部に爆薬でもテキトーにブリまいてやるだけの簡単なお仕事だかんなーwwwwwwwwww
そのまま私らが立てこもったと見せかけてよぉwwwwwww後はさっさと撤収するに限るわwwwwwwwww」

秘書「」

女騎士「ぶっ殺されたら遺体ぶら下げて魔王軍の鬼畜の所業をアピールできるし……
手に入ったら、来期の連盟会議でかなりエルフ共々有利に事が運ぶ。どっちに転んでも役に立つってもんよwwwwwwwwww」

秘書「こ、皇族の方を、何だと……」

女騎士「パンピーが口出しとはナマイキになったもんだなデブ。皇族なんぞ、私らが汗水流して働いてる後ろでぷくぷく肥えてるクソどもだろ。
この私の役に立てる事を光栄に思うだろ、王権神授の学説によれば皇族が私の舎弟になるのは当然の事だもん」

秘書「だって……て、帝国の国民の為に働いてるって、あのブルネットの人が言ってましたよ。皇族のお方に何かがあったら……」

女騎士「何かあったら何だってんだよ!!!人間生きてりゃ空から鉛玉が振ってきて死ぬ事もあんだろお!?
皇族だって所詮はテメェらパンピーとさして変わらねえ人間なんだよ、偶然死んじまう事もあんだろお!?」

秘書「……」

女騎士「ひとつおさらいだ。帝国の国民は誰の為に働いてると思ってる? 私だあ!!
じゃあ皇族は誰の為に肥え太ったと思ってる? 私だあ!! 帝国に与する人間で最も価値のある人間は誰だと思ってる?」

秘書「(ちょっと何言ってんのかわかんない)」

女騎士「私に決まってんだろボケッ! 私が不幸になるのは、この神が作りたもうた大地における史上最大の損失だぞ!?」

秘書「じゃ、じゃあ……代わりに王様にでもなる気ですか……」

女騎士「嫌に決まってんだろグズッ!! 誰が好んでそんなブラック職に就かなきゃなんねーんだよ!!! 死んでもやだ!!!」

秘書「」

女騎士「少し考えりゃあわかるだろォが!! ぜってーブラックだわあんなん、そりゃダモクレスもどっ退くわ!!」

秘書「はあ……」

女騎士「『人魚姫』ってあるだろ、あのサカナ女の。あれ結局最後玉の輿でクッソ飯のマズイ終わり方するけどよぉ、
あんな半漁人を娶る王子にまともな為政期待できるか? ぜってー薬キメながら書いた童話だぜ、まじ頭おかしい」

秘書「そんな悲惨なお話しじゃないから……」

女騎士「もしくは痛烈な風刺だな、実際に王族が娶る女の脳ミソの容量はサカナ並ってコケにしてんだ、よくやるぜ。
サカナや魔物にゾッコンな性倒錯者のクソ王子みたいなのばっかだって、昔っから言われてるんだよ」

秘書「……」

女騎士「つまり、王様ってのは頭イカレてて周囲からヒかれててドMじゃないと務まらないんだよ。ほら、私は全然当てはまらない」

秘書「(ノーコメントで)」

女騎士「てなわけでだ、後々にあの三男坊には帝国で皇帝やってもらう事にする」

秘書「」

女騎士「私の姉貴、ガキだけは実家にワンサカいるからなあwwwwwwwそのうちの一匹にでもエルフの血を混ぜりゃどうにかならあwwwwwwww」

秘書「ワン……サカ……?」

女騎士「昆虫みてぇにポッコポコ産みやがるwwwwwwww外出するたびにああだからとんでもねぇ女だわwwwwwwwwwwwww
生きてりゃ姉貴本人にハーフエルフ産んでもらうのもいいけどwwwwwうわwwwwそれじゃあの三男坊と私が血縁になっちまうよwwwwwうええwwwww」

秘書「(この……この人……この人、クズなんだ……!!)」

騎士ほ「フククク……フッククククwwwwwwwwwwwwwwwwふひゃひゃひゃひゃwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」

騎士ほ「見ぃぃぃておいでですかぁぁぁぁ、ゆぅぅぅしゃさまァァァwwwwwwwwwwwwwwwwひゃっひゃっひゃwwwwwww」

騎士ほ「希望を集めておいてwwwww人民を後から奈落に突き落とそうとwwwwwそんなwwwwwww下卑た企みも無駄ですわ無駄無駄wwwwwww」

騎士ほ「まともに手出しできるもんならしてみなさいなwwwwwwふひゃひゃwwwwwムリだろうなwwwww貴様らただの臆病者だぁwwwwwww」

騎士ほ「どうしたよぉwwwwwwwwwwwwwなぁんちゃってってwwww奥の手の一つでも出してみなwwwwwwwwwwふひゃひゃひゃwwwwwwwww」



勇者「」

朱天「おや、どうしたね勇者サマ? 勇者と呼ばれているからには、まだまだ楽しませてくれるんじゃろ」

賢者「」

朱天「何じゃあ、若いのに胆力に欠ける連中じゃ。根性だけは幕府のガキには負けるのう」

エルフ三男「……クク、くふふ……さっきの威勢はどこ行ったんだァ、勇者様ァ。ホゥラ、アジ・ダハーカを殺すんだろ?やってみろよ。
今なら庁舎ごと吹き飛ばせば始末できる……それとも何かな? デモ隊ならいくら殺されても構わんお前らが、皇族殺しを躊躇うのかな?」

勇者「」

エルフ三男「wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」




女中「き、騎士様……よくぞ、よくぞ生きておいでで……おお、神よ……」

女騎士「お久しぶりにございます、このような汚れたいでたちで申し訳ない」

皇女「6年ぶりじゃな……再びこうして会えるとは、思わなんだ……」

女騎士「姫は、少しお顔を見ぬ間に一段とお美しくなられた」

皇女「やめよ、もはやそのような歳ではない……」

女騎士「(ふん……どうやら、連合や魔王軍も皇族に関しては共和国とドラフェチどもの目を気にして腫れ物扱いってわけか。
こうして軟禁するだけしか能がないとは……バwwwwwカwwwwwだwwwwねーwwwww私だったらサッサと一族断絶させてんのにwwwww)」

第7部 帝国奪還編 破

                ┼ヽ  -|r‐、. レ |
                 d⌒) ./| _ノ  __ノ 

第7部 帝国奪還編 戦後処理へ

                                       ー- 、 ー-、``/  
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                                     制作・著作 NHK

とりあえず以前の四章の嫁入りと同じく、これにて大まかな区切りって事でオナシャス
勢力図なんかどうやって描けばええんや

こんな感じでいんじゃねか?
http://images.uncyc.org/ja/thumb/4/4d/%E3%82%B0%E3%82%B0%E3%83%AC%E3%82%AB%E3%82%B9%E7%9B%B8%E9%96%A2%E5%9B%B3.jpg/800px-%E3%82%B0%E3%82%B0%E3%83%AC%E3%82%AB%E3%82%B9%E7%9B%B8%E9%96%A2%E5%9B%B3.jpg

>>197
ええなこれ
皆が挙げてくれた画像使っていいならシコシコ作るで

ttp://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org4530297.jpg
備忘録という名の勢力図

描いて頂いた画像使わせてもらってます、問題あるようなら削除しますん

ちょっと足してみたで
ttp://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org4535527.png

地の文等々ぶちこんだ書き直しはちょっと考えてるんや、意外と愛着湧くもんやで……

アルヴヘイムじゃなくて独語圏のライヒでオナシャス、どっかで見聞きした単語と素で間違えたんや

すっごいどーでもいいし間違ってたらゴメンだけど>>1ってアイマスSS書いたことある?

>>315
そもそもSS手法じゃめったに書かんのや
ポケモンとペルソナのクズ陽介くらいしか書いてないで

アラクネー「ぶはー、疲れました……」

ピクシー「結局完徹ね、とんでもないブラックね」

ブラウニー「残業手当でるのかしらね、びっくりするブラックね」

敵兵「……うげえ、早くシャワー浴びてえ」

アラクネー「あら、あなたは……そちらはお仕事終わったんですかあ?」

敵兵「いーえ、まだまだです……警邏の手が足りないってんで、オレ達の側からも人手を出すんですって」

アラクネー「そですか……連合の監査部が現地入りしても、なかなか状況は変わりませんねえ」

敵兵「(喋るライオンだとかと警邏するハメになるとは思わなかった……)」

アラクネー「はあ……医療スタッフも全然手が足りません、こうしている間にも手術待ちの人が増えているって言うのに」

敵兵「手術……」

ピクシー「うひゃ、それって……」

ブラウニー「マスイ無しでノコギリギコギコってやつ……?」

敵兵「……や、やめてァ」

アラクネー「いえ、幸いにも麻酔薬の備蓄は十二分に用意されていまして。それを使うようにと、上の人から……」

敵兵「(帝国の麻薬汚染が役に立ったって事か?)」

アラクネー「それより抗生物質の不足が目立ち始めています、とりわけ現在の帝国領では感染症対策がおざなりになっているのに」

敵兵「前途多難っすね……」

ピクシー「連合の監査部が現地入りすりゃ、ちょっとは楽になると思ったんだけどなー」

ブラウニー「お偉方がやっと支援の手配をしてくれただけだもんなー、いつ支援が届くかなんかわかりゃしない」

敵兵「うへぇ……」

アラクネー「そういえば、大尉さんはもともと連合の兵隊さんでしたよね?」

敵兵「ま、まあ……なあ」

ピクシー「監査部や情報庁に、あなたから言ってもらえませんかねー」

ブラウニー「アジ・ダハーカについては言及しないから、さっさと財政復興手伝えってさー」

敵兵「今のオレが言ってどうにかなるわけないでしょう……軍籍はおろか、向こうじゃいない筈の人間とみなされてるってのに」

アラクネー「どなたかお知り合いはおられました?」

敵兵「下っ端でしたんで、そんな偉い人たちと面識ないですよ。対外情報庁絡みだなんて、エリート中のエリートですよ」

ピクシー「王族もビックリなピリピリっぷりだったよねぇ」

ブラウニー「屈強なSPがゾロゾロゾロゾロ。あれ、仕事しに来たんじゃなくて冷やかしに来たんだよね」

敵兵「はあ」

アラクネー「キンッキンのブロンドに、雪みたいな肌……アジ・ダハーカの人とは違う意味でおっかないと言いますか……
そんな女性が護衛といっしょにいらっしゃってましたね。あの人も情報庁の人……かな」

ブラウニー「まさか、まじに王族だったりして。どうなの、どうなんです大尉」

敵兵「一概には言えないんですがね……」

ピクシー「有名人なら顔くらい分かりますでしょ。ほら、新聞の切り抜きありますから」

敵兵「……あー、あー……これは……」

ピクシー「知っているのか大尉ァ!」

敵兵「知っているって言うか……いや、いやいや……何しに来たんだ、この人……」

ブラウニー「目付きワリー……まだ若いのにこの顔かね」

敵兵「東方中央王朝第四皇太子『雷帝』皇女殿下……」

ピクシー「雷帝……?」

敵兵「情報庁の……そうだな、広告塔と言えばいいかな。軍内予算の取り合いじゃ、いっつもこの雷帝殿下の顔に負け越してたよ」

ブラウニー「王族が軍部にスライドって……まるで旧帝国じゃないですか」

敵兵「い、一緒にすんな! 騎馬民族の直系にあたる有力部族の末裔が軍部の一翼を担っているだけだ、どこぞの騎士団みたく癒着しきっているわけじゃ……」

ピクシー「下っ端からの視点ならどうとでも言えますわねえ……」

敵兵「」

アラクネー「……まだ、政庁付近のホテルに滞在されているみたいですね、雷帝さん」

ピクシー「毒ガス事件にドワーフゲットー不明事件、デモ隊を狙ったテロからの皇族拉致事件……一連の騒ぎを見て、どう思われますかね」

敵兵「捜査には北西諸島や共和国も立ち会うみたいですからね、会議を一年後に控えて一層ゴチャゴチャになる気がするな……」

ブラウニー「あーあ、働きたくねぇー。医療事務超メンドクセー」

ピクシー「ミセス・ティタニアも仕事で引っ張りだこ、キングは本国で悠々自適。やってられないっすわ、マジに。ラクしたーい遊びたーい」

敵兵「(妖精ってフリーダムなんだなぁ……)」

エルフ三男「い……い、い、い、今……今、何と……?」

女騎士「結婚してくんないかなぁーって」

エルフ三男「騎士様とでしたら喜んで……」

女騎士「ウチの姉貴と」

エルフ三男「」

女騎士「ツラだけはまあ、私ほどじゃねぇがマシだ」

エルフ三男「またまた御冗談を」

女騎士「ん?」

エルフ三男「」

女騎士「ガキ作ってくれりゃいいんだよ、何も毎晩あのビッチの相手しろって言ってんじゃねーし」

エルフ三男「ガ、ガキを……つくる……」

女騎士「子作りの為の性交渉は貴いものだ、心して臨むようにな」

エルフ三男「……おっと、すみません。ちょっとトイレに行ってきます」





エルフ近衛兵「おや、閣下。お話しの途中では」

エルフ三男「や」

エルフ近衛兵「」

エルフ三男「だーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!」

エルフ近衛兵「」

エルフ三男「いやーーーーーーーーーーーーー!いーやーだ!!やだやだ!!やぁーーーだぁーーーー!!!!」



エルフ近衛兵「閣下のカンシャクが始まったぞ!!」

エルフ騎兵「クソッ、ここ300年ほど見なかったがついに来たか!!」

エルフ近衛兵「若、落ち着いてください!」

エルフ三男「やだやだやだやだやだやだぁぁぁ!! ぜーったいやーだぁーーーー!!!」

エルフ騎兵「オイッ、何があったんだ! 閣下のカンシャクをここまで覚醒させるとは!!」

エルフ弓兵「前は確か、亡き大兄様にお気に入りのドングリのカサを盗られた事だったが……!」

エルフ騎兵「ドングリを用意しろ!! ありったけのドングリを持ってこい!」

エルフ近衛兵「うるさいバカども! ポケットのドングリを捨てろ!! お前らいつもポッケにドングリ詰めてんのか!」

エルフ弓兵「申し訳ありません!」

エルフ騎兵「して、若はどうしてそんなクソガキのような地団太を踏んでいるのですか」

エルフ近衛兵「騎士様が……閣下の童貞を、貞操を御所望なのだ!!」

エルフ弓兵「それはおめでたい!!」

エルフ騎兵「今日は陸軍挙げてドングリパーティだ!!!!」

エルフ近衛兵「違う、そうじゃない!!

エルフ三男「いやぁーだぁー!!! ぜーったいぜーったいやだ!!! やだぁぁ!!!!」

エルフ近衛兵「500年物の童貞を……初恋の相手に捧げられぬこの悲哀!! 貴様ら分かっているのか!!」

エルフ騎兵「分かりません!!」

エルフ弓兵「童貞なんかその辺の娼館で小等部の頃に捨てました!!」

エルフ騎兵「オレなんか初恋の相手ですらありませんでした!!」

エルフ近衛兵「このドングリ脳どもが!! 閣下の童貞は貴様らの紙クズのような貞操とは格が違うのだ! カンシャクを起こすのも分かるだろう!」

エルフ弓兵「確かに、騎士様がアルヴライヒにいらしてから……あのクソうるさいカンシャクを聞かなくなりましたな」

エルフ騎兵「その封印が解かれるほどの事を命じられたのか……」

エルフ近衛兵「……」

エルフ三男「うおおおおおおお、うおおおおおおおおおおん」

エルフ騎兵「閣下、何がお嫌なのですか?」

エルフ三男「うああああああん、騎士様ァァァァァ、騎士様がいいよォォォォーッ」

エルフ弓兵「わかる」

エルフ三男「会った事もない女性に童貞をささげるなんてヤだよォォォーッ、既婚者の上にコブ持ちなんてやだァァァァ」

エルフ騎兵「わかる」

エルフ三男「何匹のガキの相手しなきゃいけないんだァァァァ、バツが何個付いてるかわからない女なんていやだァァァ」

エルフ近衛兵「閣下……お可哀想に……!!」

エルフ三男「せっかく、せっかく帝国からアホどもを一掃できると思った矢先に……騎士様はどうしてこんな試練を僕に課すんだッ……!!」

エルフ騎兵「おいたわしや閣下……」

エルフ三男「クソックソッ、クッソォォ!!」



騎士ほ「……ずいぶん荒れておいでですわね、大将閣下……帝国を取り戻した晴れの日に、どうかいたしましたか……」

ほ子「……」

エルフ三男「貴女か……ああ、貴女の連携には感謝している、今回の勝利は貴女のお蔭だ……」

騎士ほ「フクク……どういたしまして……私たちがこんな所にいるのを見られたら事ですわね……」

エルフ三男「……すまないけど、放っておいてくれ……お願いだ……」

騎士ほ「共和国や連合監査部との講和会議まですっぽかすおつもりですか?」

エルフ三男「……」

騎士ほ「フクク……お気の毒に……『初めて』を捧げられない事実に、虚しさを感じているのですね……」

エルフ三男「いやだ……本当にいやだ……」

騎士ほ「しかし……気に病む事はございません、お姉様と行動を共にしたあなたなら分かる筈……
お姉様は、全ての人間に対して平等なお考えを持っておられる方。あなたへの気持ちも、決して変わりませんでしょう」

エルフ三男「うう……」

騎士ほ「あなたが受け入れさえすれば、一晩さえ耐え抜けば……お姉様から、更なる寵愛を受けられるに違いありません」

エルフ三男「……」

騎士ほ「これは、あなたにしかできません……種をまく事の出来る、男性であるあなたにしか……フククク……」

エルフ三男「……用意をしてくる。取り乱して申し訳なかった」

騎士ほ「とんでもない……大切なお姉様を愛する者は、私にとっても大切なお方に違いありません……」

エルフ三男「そう言ってもらえると、助かる……」

エルフ弓兵「閣下……」

エルフ騎兵「ドングリ……」

騎士ほ「では、一足お先に向かっておりますわ。ごきげんよう」

エルフ近衛兵「お車をお出ししましょうか」

騎士ほ「いいえ、結構ですわ……ありがとう。そうだ、大将閣下……」

エルフ三男「……何かな」

騎士ほ「あの『種馬』、もう領内に運び込まれておりまして?」

エルフ三男「侵攻開始とタイミングをずらして、北部方面の路線から……場所は指定の通りだ」

騎士ほ「……ありがとう。ああ、そうですわ……この子だけ、預かってもらってよろしくて?」

ほ子「……」

エルフ騎兵「もちろん、構いませんが……」

ほ子「大陸のくるま、乗れるの?」

騎士「ええ……フクク……本国の車両しか見た事なかったから、物珍しいのね……」

ほ子「……」

騎士ほ「……フクク」



リンドヴルム「……彼女の……連れ……いや、違う……」

騎士ほ「ごきげんよう、ドラッヘ……はじめまして、私もお姉様を慕う者の一人ですわ」

リンドヴルム「そうか……何か、私に用かな……?」

騎士ほ「(ヴォーパル鋼の拘束具……これで完全に抵抗の意を削いだか。さすがはエルフと言ったところ……)」

リンドヴルム「……」

騎士ほ「フクク……きめ細やかに輝く毛皮、雄々しく天を突く双角。竜神の神々しさ、こうして囚われの身であろうと衰えてはおりませんのね」

リンドヴルム「囚われ……そう、そうだな……私は彼女に囚われて……いるのだな」

騎士ほ「……」

リンドヴルム「……境遇としては、変わらないな……どこに行っても、私は人間という存在に囚われ続ける……」

騎士ほ「人間がお嫌い?」

リンドヴルム「とんでもない。ともに大地に生を受けた愛しい仲間だ」

騎士ほ「フクク……こんな目に遭っても? お姉様のする事は絶対とはいえ、もう少し待遇を改善してほしいとは思わない?」

リンドヴルム「考えた事も無かった。そうだな……」

騎士ほ「……」

リンドヴルム「できる事なら……彼女と、あの子達と……見晴らしの良い場所に、たまにでいいから……」

騎士ほ「フクク……世捨て人のようなカミでありながら……人との繋がりを求める……絆を欲しがるさびしんぼう……」

リンドヴルム「……」

騎士ほ「ゼェーーータク抜かしてンじゃあねェーーーぞッ、このノミ野郎が……
テメェがその辺のゴロツキなら、顔の穴っつう穴にフッ素詰めてブチ殺してるところだ」

リンドヴルム「……何か、気に障ったのなら……謝る」

騎士ほ「何もかもが……気に入りませんわ……こともあろうに!! お姉様の……お姉様のじゅ、じゅ、じゅ、純潔を……ちらっ、散らし……」

リンドヴルム「……」

騎士ほ「……毛ェむしり取って、骨ェ粉々にして、目ェをシチューにしてやっても物足りない!!
私にとってお前は、腸詰の材料となる為に肥やされ続け、屠殺場で死を目前にした豚でしかないッ!!」

リンドヴルム「そうか……」

騎士ほ「……フックク、言い返しもしない。穏やかな種馬さんですこと」

リンドヴルム「私のような半端なニヒリストは、やはり嫌いだろう」

騎士ほ「ヘドが出そう。フクク……」

騎士ほ「喜怒哀楽を人間に当てはめても仕方ない、か……この状況で狂わない、文句もちょびちょび。救えねェ」

リンドヴルム「かつては私も、崇め奉られた竜神の一柱だった。その頃は、まだ文句も言っていたかもしれないな」

騎士ほ「カミ……カミねえ」

リンドヴルム「……大陸の人間の記憶から私という存在が薄れ始め、魔物と唯一神が代わって神威を現し始めてから、私はこの有様さ」

騎士ほ「ヒトを脅かし、ヒトに討たれる事こそが、零落したカミの本懐……そんな事をぶつぶつ考えながら、似たような連中と隠遁と」

リンドヴルム「……」

騎士ほ「隠遁、ねぇ。竜神が追いやられて隠遁。物騒な世の中で困ってしまいますわ……神サマ勇者サマに縋るのも分かるってものです」

リンドヴルム「私の停止した思考より、よほど生産的だ。災厄に見舞われる人間もまた美しい」

騎士ほ「まさかまさか……あなたの人間好きも度を越していますわね……貶められたカミというのはみんなこうなのかしら」

リンドヴルム「さて、どうかな……」

騎士ほ「……御存知でしょうが、かつて魔王軍……魔族は魔界と呼ばれる場所から、天恍を求めて現れた……らしいですわ」

リンドヴルム「そうなのかい」

騎士ほ「ありがたい聖書にも、東洋思想でも……そうした魔境の存在が示唆されています……まあ、こわいこわい。
フクク、宗教こじらせるとそんな妄想にとりつかれるものなのでしょうか。魔界ィ? 何言ってんでしょうかね、ちょっとわかんないですわ」

リンドヴルム「荒唐無稽にもほどがある……単なる流言だな」

騎士ほ「あなたがそれを言うのもシャクですがね……フクク、その通り。魔界だなんてあるわけがない。
悪魔だけが住む世界など、どこにもない。暗黒の世界などあり得ない。それなら、ならばあのくそ魔王は何なのか?」

リンドヴルム「……」

騎士ほ「魔王軍とは? 魔族とは? 勇者とは? あなたの仰る、あなたを含む荒唐無稽とはいったい何? 魔界の産物?」

リンドヴルム「自分が何かと語る程、私には学はない。形而上学なら他をあたってほしい」

騎士ほ「私だって、そんなものに興味はありません……気になるのは、このトチ狂った世界の真実……」

リンドヴルム「……」

騎士ほ「フクク……案外、魔界って言うのは私たちのこの世界そのものだったりするのかしら……?」

リンドヴルム「君も私も、一様に魔族に準ずるものだと?」

騎士ほ「あるいは、どこかの誰かさん達のイマジネーションに基づく存在? 私たちの正体は、宗教の教義にハマる見知らぬ誰かの妄想?」

リンドヴルム「突飛だな、実に面白い発想だ」

騎士ほ「勇者信仰を意のままに操るには、必要な事でしてよ……勇者や魔族には、もっともらしい裏付けが必要なのです。
連合も本腰を入れて、西部を掻っ攫おうとしている……今こそ、人外とは何かを明かさねばならないのですわ……」

リンドヴルム「……それで、私に何かを聞きに来たと」

騎士ほ「ええ……教えて頂きたい事がありまして」

リンドヴルム「分かる事ならばね……」

騎士ほ「『ガリア=ベルギガ』。あなたとお姉様が子を授かった、この勇者の聖地について……洗いざらい、吐いて頂きます……フククク……!」

雷帝「こんにちはァ、異教徒の皆さん。ごきげんいかがァ?」

敵兵「」

雷帝「おやおやー、元気がないぞー!! こーんにーちはー!! さんはいっ!!」

ピクシー「」

雷帝「ノリがわるいなー。このテンションのまんまで会議とか窒息しちゃうー」

ブラウニー「ほ、報告と確認はあちらの政庁で行いますので……」

雷帝「こーんにーちはー!!」

ブラウニー「」

敵兵「(何か思ってたのと違う)」

雷帝「面子はもう揃ってらっしゃる? みんなもういんの?」

近衛兵「まだしばらくは余裕があるかと。査察資料も既に用意してあります、姫様」

雷帝「はあい、褒めて遣わす。それじゃあー、魔王軍のみなさぁん。エスコートよろしくー!」

敵兵「(何……何だ、この……このちっちゃい、ちっちゃい子は……!)」

女騎士「ねみい……ハンモック……」

姉「お菓子食べたい……」

エルフ三男「……」



竜騎士長「……」

騎士ほ「フクク……」



魔王「……」

勇者「……」



雷帝「あららぁ、錚々たる方々が一堂に会していらっしゃる。やだもう、緊張しちゃう……うふふ、ンフフフ……」


雷帝「それじゃあ、ぼつぼつ始めましょうかぁ? 一年後の予習……」


雷帝「あんたらっていう、ミートパイの切り分け方の予習をさぁ。ああ、楽しみ……しっかり刻まないと、みんなに行き渡らないものねぇ……」

姪「……連合の……査察……」

アラクネー「ひっ!?」

姪「今は、何時だ……」

アラクネー「よ、夜の6時過ぎです……寝てなきゃあだめですよ! いくら呼ばれてたからって、そんな身体じゃあ……」

姪「お呼びがかかったんだぞ……ようやく……敗戦から6年も経って、ようやく連合の情報庁まで引っ張り出せたんだぞ……!!
コネだろうがなんだろうが……国家元首や、アジ・ダハーカ本人とツラを突き合せて喧嘩ができるって時に……」

アラクネー「……」

姪「……私はどのくらい横になっていた」

アラクネー「四日……です、でもまだ安静にしてなきゃあ……脚の他にも致命傷がいくつかあったんですから」

姪「……」

アラクネー「私が引っ張り出すときにも、その……何発か撃たれていて……」

姪「……やってくれる、北西諸島……あのブルネット……!!」

アラクネー「……」

姪「……」

アラクネー「あ、あーっと……汚れた肌着は取り替えておきましたからね! お手洗いに行きたくなったら、すぐ看護婦を呼んでくださいね……」

姪「……わかった。恩に着る」




アラクネー「……居た堪れないなあ……あんだけ悔しがるのを見ちゃうと」

アラクネー「勇者様やティタニアさんとこの予想……アジ・ダハーカの件は恐らく連合もウヤムヤのうちに揉み消しにかかるだなんて……」

アラクネー「あんなに頑張ったのに……自分は、歩く事もできなくなっちゃった」

アラクネー「……神様なんて、いんのかなぁ……無情だなぁ」

姪「……誰だ」

少女「あ……こんばんわ」

姪「どこから来た? どこの子だ?」

少女「……お姉さんの……」

姪「……妹の友達か?」

少女「……」

姪「すまないが、どの妹か教えてくれないか……私には姉妹がやたらと多くてな」

少女「……」

姪「(手のかかる姉妹や……あの女の為に、この有様になるとは……受け入れ難いが、納得せねばならん……か……)」

少女「起きられないの……?」

姪「残念ながら、ところどころポンコツなんだ。上半身しかろくに動かない」

少女「……そうなんだ」

姪「……その花束は……どうしたんだ。盗んでないだろうな」

少女「私が摘んだの。たくさん摘んだの」

姪「そうか……立派だな、帝国中央も捨てたものではないな……」

少女「……」

姪「(……そうだ。帝国を、私のこの国を、正義を諦めてたまるものか)」

少女「あの……」

姪「(私は生きているのだ……それだけで十分だ、何でもできる。ここは剣と魔法の世界ではない、銃でもなんでもある……
どんな身体になろうと……周囲がどんな有様になろうと……妥協など、絶対にしてたまるものか……!!)」

少女「……」

姪「(不義には……悪には罰を与えねばならない、必ず……アジ・ダハーカは、この世にいてはならない……必ず……)」

少女「……ふくくくくwwwwwwwwwwwwごきげんよう、しらないひとwwwwww『おねえさま』の為にwwwwwさようならwwwwwww」

姪「」

第7部 帝国奪還編

                ┼ヽ  -|r‐、. レ |
                 d⌒) ./| _ノ  __ノ 

第8部 タマナシエルフとアタシ物語編へ

                                       ー- 、 ー-、``/  
                                      _, '  ._, '  \  
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                                     制作・著作 NHK

女騎士「私、更生しました!」

女騎士「wwwwwwwwwwwww」

みたいなのもアリか

永沢「君は本当に卑怯だな」←一番厨二っぽく返した藤木優勝

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8: 忍法帖【Lv=31,xxxPT】(1+0:15) ゴミクズ ◆dD9oLU2iXg 2013/03/25 12:57:14 ID:z69NtCvz0

藤木「………ザキ」

同性同名なだけよね

女騎士「ほれ、こんなに元気だろうが!」

姪「ロボチガウ ロボチガウ ロボチガウ」

敵兵「ロボだこれー!?」ガビーン

的な光景しか浮かんでこない

そういえば『魔王のモデルになった奴』って一番初めに女騎士の言葉から出てきたけどそれって今の『魔王』と同じ人?
もし違うなら『魔王のモデルになった奴』ってつかえるんじゃあ……

来月には入試だからケツに火がついとるだけやで
ただまったく何も考えずに書いてた事もあって、今になって悩んでるところもあるで

スレ落とさんようにはするからゆっくりしていってね!

               受験で休載だよ


            _, イ//r‐‐<テ三三三`ヽ、

           ,∠,rこ二二二、 ̄\:ヽ二二:.:.:ミト、           
          /://(Tト、:.:.:.:.:. ̄≧、ヽヽ \ミト、ミト、           
        /://:.:./ハヘ:.ヽTト、:.:.:..:ヽ¬Eヘこヘ:.ヽ:ミト、        
.     _////:.:.:.:l:.!:.:.ヾ:.:..:.:ヽ:.「:.ヽ:.:.ヽ:.ヽ:.:.「カレヘ、:.:.:.ト、         
  ,....''´::::://,イ7!:.:.:.:.:!:l:.:.!:.:ト、:.:.:.:l:ト、:.:.ヽ:.:ヽ:.ヽヽ:.⌒!ヽ、:!厂!     
  l:::::::::::::l l:':.:ハi:.:.:.:.:.N:.:.!:.:.い:.:.:.:!ト、:.、:.:.\:ヽ:.:',:',:.:.:.ト、 V /´\   
  l:::::::::::::l l:.:.l:.:/!:.:.:.:.:.!:!:.:l:.:.:.:い:.:.l:!:.:.ヽヽ:.:.:.ヽヽ:V!:.:.:.!:.:ト{ l:::::::::::ヽ   
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  l:::::::::::::l |:.:.!个ハト、:.:.!:.:.:ヽ:.:.:.:.:ヽリ:.:.ヽ:.:.ヽヽ:.:.l:!:!:.:l:.:.:!:.|:! l::::::::::::::::| 
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   \::::::::ヽ:.:.:い:l:.:.「`tふト、:ヽヽ「ヽ,ィ,さ:ァー示::!:.:.:l:レ':.:l:.ノ ト、::::::/r、  
     \:::::::ヽ:.:い:.:.ト--- '`~ヽヽ`く `ー '´ l |:l:.!:.l:!/:/!「こ_ノ::,ノ;;;.く   
      ヽ:::::::ヽヽト{ト、     `ーヘ       l:lノ!:./:/:./_____/;;;;;;/   
      / ̄`トい `               リ l//!レ'ヽ /;;;;;;;/
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::::::ヽ:::::::::l:::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ !::::: ル '´  ,' / !:::::::::::::::::::::::::::::::ヽ::::::::::::::::!:::::::::::::::!  !
::::::::::ヽ::::::!::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽー‐<    ノ⊥ノ:, ---、:::::::::::::::::::r:ゝ::::::::::::::::::::::::::::}  |

すまんな

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ttp://wktk.vip2ch.com/vipper10867.jpg

ペルシャ人の事は嫌いになっても、女騎士ちゃんの事は嫌いにならないでください!

雷帝「デモ、デモ、デモ……たぁいへんですねー、帝国は……デモもストライキもねぇからさっさと賠償金くださいよ賠償金」

敵兵「……」

雷帝「そう思いません? どーでしょ」

ブラウニー「どうなんでしょ」

ピクシー「わかりません」

雷帝「ふふん、あなた方魔物……失礼、魔王軍も物好きですねー。こんな死に体のボロ雑巾にいちいち執成して」

ブラウニー「上の者の意向なんでー」

ピクシー「戻って来いって言われたら、すぐにでも北西帰りますー」

雷帝「あらー薄情、さすが魔物」

敵兵「(……怖い……怖い……もともとのオレの上司……ずっとずっと上の上司……!)」

雷帝「(メェンドクセー、心底メンドクセー……7年前の事ァ忘れちゃいねェぞ、クソどもが……魔物、魔物魔物……!)」

敵兵「(オレは善良な共和国出のいち兵士……ちょっと東方の血が混じった……)」

雷帝「(このゴミどもがしゃしゃり出て来なけりゃ……あの攻勢は西部へのヨスガとなったものをよぉー……死んでくれねェかなぁーっと)」

ブラウニー「顔が怖い」

ピクシー「眉間のしわが怖い」

敵兵「ええと……次の予定はっと」

ピクシー「旧帝側との日程調整会議ですかね。連合の視察との兼ね合いもあるんで、こら長丁場になりますわ」

敵兵「(長丁場と言っても、仕事してんのはあのティタニアさんだよなぁ……)」

ブラウニー「旧帝側って言うと……情報部がしゃしゃり出てくるのかなー」

敵兵「情報部……あの気が強そうな金髪と顔を合わせなきゃあいけないのか」

ブラウニー「あー」

ピクシー「あのアジ=ダハーカの姪だか言いましたっけ?」

敵兵「どうもあのテの顔つきを見ると拒否反応が出てしまって」

ブラウニー「金髪碧眼は大方ダメって事すか」

敵兵「……さっきの雷帝閣下も苦手だ」

ピクシー「あれはまぁ……ヒトの話聞きそうもないタイプですし。先の首脳会談でもあんな調子でしたんでね」

敵兵「あれは酷かった。おじいちゃ……エルフが茶化し、閣下が騒ぎ、北西諸島が睨みつけ……あのクズは寝てるだけマシだったが」






妹「ごきげんよう、魔王軍の皆々様。どうぞよしなにぃ」

おかっぱ「……ククク、ごきげんよう。おやおやおや、何やら見知った顔が……気のせいかなぁ? どうなのかなぁ?」

敵兵「」

将軍丙「……」

敵兵「なん……えっ……え? 何? 何がどうなってんの……?」

ブラウニー「さあ……」

敵兵「(ば、幕府が情報部に取り入った……? そ、それにあのクズにそっくりな彼女……?)」

敵兵「あ、あの……これって一体どういう……」

将軍丙「ご覧の通り。あなたなら、彼女と面識があるのではなくて?」

おかっぱ「元気そうで何より。尻軽男」

妹「仲がよろしいようで、羨ましい限りですわぁ」

敵兵「……オ、オレ、か、かかか、帰……」

おかっぱ「帰んなよォー、アタシが何かしたみてェじゃあねーか。黙って話聞いてけよ」

敵兵「あ、ああ、あんた、何でのこのこ魔王軍と……まさか、あのおじいちゃんの差し金……!?」

おかっぱ「ばかたれが。幕府の士がいつまでもあんなところで腐っていてたまるかよ」

敵兵「は……」

おかっぱ「頃合いだと思ってなぁー。前に言わなかったっけ? アタシらは別に、大陸に暴れに来たわけじゃあないんだぜ。
頭の悪いお前らのさ・い・きょ・う・い・くをしに来てやったんだよ。どぅーゆーあんだすたん?」

敵兵「……はあ」

妹「黙って聞いていりゃあ、好き勝手を抜かす鼻ペチャですこと。ピーチクパーチク鬱陶しい事この上ありませんわね、土人」

おかっぱ「クク……あの姉貴にしてこの妹ありだ、家系まるごと病んでやがるぜ」

敵兵「家系って……じゃ、じゃあ……やっぱり、その人……」

将軍丙「……アジ・ダハーカとの関連性はともかく……彼女は先任の情報部長の叔母にあたる一人。つまり……」

おかっぱ「あのクソ姉妹の末っ子って事だ。どぅーゆーあんだすたん?」

妹「理解しました? 頭、働いてます? カカカ……」

敵兵「か、彼女が今の情報部長って……あ、あのクズを追っかけてたあの人は!?」

将軍丙「先代部長……彼女、先のテロ事件から行方が分からないそうなの。ああしてあの騎士が堂々と公の場に姿を現した事を考えると……」

妹「どこかでお腹を空かせて困っているんでしょうね。お気の毒に……お可哀想に」

敵兵「(……うう、間違いねェ)」

将軍丙「戦闘が発生した区域周辺の病院にも確認を取ったけれど、随伴の人員ともども音沙汰なし……残念だけれど」

妹「任務の最中にいなくなっちゃうだなんて、少し若気の至りが過ぎますわ……姪とはいえ、毅然とした対応をしませんと」

おかっぱ「そうして無理くり席から蹴り落としたわけだ。クソ姉妹……クソの血筋だこいつは」

妹「人聞きの悪い! 周囲からの栄誉ある推薦で就任したんですのよ?」

おかっぱ「クソの血筋については反論なし。それでこそだな……」

敵兵「(間違いなく……あのクズに近い人間だ……姪の彼女とは全然違ぇ……)」

妹「だってクソ……下痢みたいなものですわよぉ? ああおぞましい、あのゴミ姉貴二匹と半分は同じ体液が流れているなんて。
怖気が走りますわ!! お父様もお父様です、この私をあんな売春宿に叩き込まなければあんな目にはならなかったのに……」

敵兵「(お、お父様……さすがにこいつらも、気の股から産まれたってわけじゃあ)」

妹「体中に水銀を溜めて、全身の軟骨を軋ませながらベッドで呻いているでしょうねぇ……ああ可哀想、でも私は悪くありませんわ。
悪いのは水銀を垂れ流した帝国そのものですもの、『私』はまったく悪くございませぇん。天罰ってやつですわぁ」

敵兵「」

敵兵「そ、それで……そもそも、この面子は何なんですか、旧帝側との会合じゃあ」

将軍丙「そう、ね。間違ってはいないわ。かつての帝国との提携に関する話し合い……」

おかっぱ「アタシがいるって時点で気づかないか? この面子でどんな事をするかはよぉ」

敵兵「……」

ブラウニー「こっち見んな」

ピクシー「私らに分かるわけないだろ」

おかっぱ「大まかな指標としては……連合を北東の奥に押し込む事。大昔の騎馬民族にまで分裂させてやりたいもんだがね。そして――――」

妹「アジ・ダハーカを叩き潰し……覇権を私たちが手に入れるのです」

敵兵「」

妹「このままあの女が祭り上げられれば、カネも、名声も……東西戦争を生き延びた英雄として、
西方諸国で持ち上げられるのは時間の問題です。それでは困るでしょう? ねえ、魔物のみなさん?」

将軍丙「……大方、わかるでしょう。利害の一致よ、それ以上でも以下でもない」

敵兵「ですよねぇ……」

妹「だぁってぇ、だいたいズルくありません? 私がおいしい汁をすすれてないとかおかしくありませぇん?」

敵兵「」

妹「この私が対して持ち合わせもない失業者相手に小遣い稼ぎしてる間、お姉様がたったら贅沢三昧! ズルいですわズルいですわ。
姉妹なら幸せをおすそわけするべきでしょう? そう思いましょう? だぁって、そもそも世界は私を中心に回ってるんですからぁ」

敵兵「(あー、『あの血』だわコレ。まごうことなき『あの血』流れてるわ)」

敵兵「というか……帝国情報部では、すでにアジ・ダハーカがあのクズだという物的証拠が掴めているのか?」

妹「ハァ? どうしてそんなのが必要なんです?」

敵兵「」

妹「先の会談で、既に小姉様の御尊顔をこの目で確認しておりましてよ。それで十分ですわ」

ピクシー「うっわくそ短絡的」

妹「あなた方魔物は、小姉様がお嫌いなのでしょ? アジ・ダハーカなのでしょ? だいだい大嫌いなのでしょ?
ならそれで十分です、私にとっては十分なのです。あの女の四肢をもいで、私の目の前に届けてくれるなら何でもいいんですのよ」

おかっぱ「とまぁ、そもそもこの女は帝国の未来について執着がない。扱いやすいとは思わないか?」

敵兵「これはひどい」

将軍丙「……けど、こちらにとってはかなり好都合ではあるのよ。アジ・ダハーカの確保は我々にとっての急務。
加えて、先にも増して連合の牽制を情報部がしてくれるとなれば……」

おかっぱ「ゆくゆくは、そちらの勇者サマかその辺りが、帝国の頭になる。魔族のあんたらにはこちらの条件を呑んでもらうが……
まあ、悪いようにはしない。我々の信仰形態を受け入れてくれればな」

敵兵「……うちの頭がそれをすんなり呑むものですかねぇ」

おかっぱ「『うち』ときたか。どこまでも根無し草な男だ。そこの将軍さんが保証してくれたんだ、呑んでくれんと困る」

将軍丙「約束……するわ。恐らく、勇者君の方は……きっと、こっちに引き込める」

おかっぱ「昨日の狂犬が頼もしい番犬か。嬉しいものだなぁ、え?」

敵兵「はい……」

妹「あなた……魔物どもに信頼を置いているんですの?」

おかっぱ「私が? まさか!!」

妹「あらぁ?」

おかっぱ「この先の勝者が連合以外ならどっこでもいいんだよ、魔王軍が勝とうが北西諸島が勝とうが共和国が勝とうが知った事じゃあない」

妹「無責任ですのねぇ」

おかっぱ「我々の目的の一つである信仰改革……言っちまえばなあ、その勝者に便乗すりゃあいいのさ。
神はエライんだ、長いものにはみんな巻かれたがる。人魔断絶を理解させるのは、勝者と懇ろになってからよ。
まあ、もっともこのまま行けば、アタシらと組むのは予定通り魔王軍になりそうだけど」

妹「ならぁ、万一この私が勝ったら? 私にベットする気はあるぅ?」

おかっぱ「場合によるが……お気の毒、今の所選択の範疇にない。おたくら貴族が好き勝手した事による打撃の跡……
加えて、多民族帝国としての寿命がすぐそばに近づいている。先のデモの混乱、地域主義と民族主義の隆盛……ククク」

妹「ああ、見てられませんわねぇ」

おかっぱ「聞けば、かつての帝国もあんたらダッチェス……高位の貴族階級を元とする西部の原帝国、
東部領邦を元とする領邦帝国と、二重帝国の体を為してたって言うじゃあないか。それが連合から殴られて転々バラバラ、
今になってもお祭り騒ぎは止みゃしない……悲惨だねぇ、誰が頭になってもきっと変わりゃしない」

妹「どうしようもないですわねぇ……だれが責任取るんだか」

おかっぱ「他人事だな」

妹「もちろん。こんな国、さっさと滅べばいいんですのよ。貴族の家系にある人間を国土ごと駆除した上で……
そこで、私がのんびーり暮らせればそれでいいんですわ。魔物と東方の土人がいなければ、もうなんでもいいんですのよ」

真神「(うーんこのクズども)」

雷帝「お前らが困っていると聞いて、雷帝さんはご機嫌です! はははのはー!」

勇者「ええ、非常に困っています……」

雷帝「何だって何だって? 巨人殺しの下手人がまーだ見つかってないって? 御愁傷様wwwww

勇者「その件に着いても伺いたく、こうして参上いたしました」

雷帝「その件っつったってねー。これ雷帝さん気分良くないよー、普通は不愉快やろこれ。
おのれが殺ったんかいって言われてるようなもんやし。恫喝されてるようなもんやし」

僧侶「け、決してそのような事では……」

雷帝「巨人族の……グレンデル王とか言いましたっけ?」

勇者「はい。魔王軍がオフィシャルクランの有力者でもありました」

雷帝「情報……情報ねぇ。ふふん、確かにわが軍にもケンタウリ、魔族兵団は少なからず存在する。
巨人族への嫌悪も……私のような単なる猿人に比べ、若干濃い事もあろうよ。古代の巨人信仰に排斥された神性もいるからな。
手当たり次第に、魔族が中心として構築された集団、組織を有する勢力に顔出して回ってるって事ぉ?」

勇者「手当たり次第とは語弊がありますが……我々としても、組織内に殺しの疑惑など抱え続けておくわけにはいかないのです」

雷帝「でしょうねぇ。ただでさえ、あの旧帝国以上に多種多様の民族を背負って立っているわけだ。お上は気が気でないのでは?」

勇者「魔王本人も、非常に遺憾に想っております。一刻も早く、この状況を解決せねばなるまいと奔走しております」

雷帝「結構結構……しかぁーしー、お手伝いして差し上げたいのはヤマヤマなんですがね。私も人の子、わずかばかりの欲は心得ておりまして」

僧侶「……?」

雷帝「さすがに私のような純情可憐にして八面玲瓏たるこの雷帝さんの、イジらしぃいラブラブ交換日記の中身は見せられませんでぇ」

僧侶「」

雷帝「それにですねー、そもそもあんたらみたいな協商関係ってだけの連中に情報庁の大事な観音様、見せらんないんですわー」

勇者「はあ」

雷帝「ああもどかしい、知っていたとしても教える事かなわず……しかしですねー、この雷帝さんも悪魔じゃあありません」

勇者「と言うと?」

雷帝「あなた方の腹を捌いて、オナカの中身の病巣を確認してやる事はできましてよ? 誰かに刺されたか、それとも単なる食あたりか」

僧侶「(やっぱり疑ってるよ……怖いですよこの子……)」

勇者「……」

雷帝「それにちょっと色でも付けてくれたら、全力で犯人探しに協力してやりましょう。
ああ、なんて心が広いんだ雷帝さんは……ほんと雷帝さんの御心は三千世界に澄み渡る蒼穹のようやでぇ」

僧侶「(色を付けるって……既に散々ふんだくられてますよね、勇者様。連合の駐屯地の運営費だって魔王軍が……)」

雷帝「何か文句でもおありでぇ? こちとらマズメシ食らいの北西諸島とのご近所関係にピリピリしてる最中に、
帝国騎士団の栄えある英雄さんの粗探しまでしてやってるんですがねぇ? あぁ心が痛む、アジ・ダハーカなんて本当にいるんですかねぇ」

勇者「……」

雷帝「……私ら、もうちょっとメリット欲しいところなんですがねぇ」

僧侶「……」

勇者「……」

雷帝「聞ィとんのかこのクソガキどもが!! アァ!? 見返りはナンボじゃ言うとるんじゃボケェ!! ナンボ出すんじゃオラァ!?」

勇者「この大陸に生ける人々の為です。我々がより密接な関係を築いていくための一歩でもあると」

雷帝「知るかガキ!! おのれらの口先三寸手八丁には飽き飽きしとるんじゃボケ、貰うもん貰ろとかんアホがおるか!!」

僧侶「」

雷帝「おぅコラ? こんアタシがクソ忙しい中わざわざ顔貸してやっとんのに、
言うに事欠いてまーた余計な注文付ける気か? 人コケにすんのも大概にしとけよボケェ」

僧侶「(私は関係ないですから……こっちに矛先飛んでこないでください、お願いお願いお願い!)」

雷帝「大体、あの魔王ちゅーのはどこで何しとんじゃ、お? お前らみたいな毛ェも生えとらんようなクソガキ寄越してどういうつもりじゃ。
魔物風情が、少しその気にさせたったら調子ん乗りよって、挙句にこっちの痛くもない腹探らせぇ言うんか?」

僧侶「(……そんな事言ってないのに)」

勇者「先に指定した金額、それに一部の領地では満足いただけないと?」

雷帝「あんなミソッカスで何ができるんじゃコラ、北西相手にどうコビ売れるんじゃ? 
土地だきゃこちとらいくらでもあんねん、お前らからいくら毟るんはアタシらが決めるんじゃいボケェ!!」

勇者「ガリア=ベルギガの剣を出すと言っても、聞き入れてはくれませんか」

僧侶「……?」

雷帝「……」

勇者「6年前、あなた達連合が帝国に宣戦布告した真の目的でしょう。現共和国領ガリア=ベルギガに眠る聖遺物」

雷帝「……どこから嗅ぎ付けたんでしょうねー、雷帝さん不思議」

勇者「信仰改革という名目の下で、教皇領や国教会とのコネを構築した上で捜索を開始する腹積もりだった……違います?」

雷帝「あなたがそれを、今ここでホイッと引き渡せるんですかねぇ……」

勇者「性質上、それは不可能です。何分、僕を始めとした『勇者』の家系の人間でなければ、その……」

雷帝「……」

勇者「その『剣』は抜けません、そして行使する事すら叶いません、そして……」

僧侶「(……今度実家帰ったら、教会で戸籍調べてみよう)」

勇者「勇者がいなければ、『幽世への門』についても調べる事すらできません……」

雷帝「……くっく、数代にもわたる口伝で伝承そのものの存在が危ぶまれていたと聞きましたが」

勇者「おかげさまで、かの『勇者』の血筋にほど近い僕の家には残っていました。泉の剣についての伝承が……」

雷帝「神学者どもが無い知恵絞って伝承を紐解いたところによれば、ガリア=ベルギガに残る聖遺物それこそが『叡智の教義』との事ですが」

勇者「東方の学説については存じませんが……その泉の剣が叡智の教義と同一であるかどうかは、さすがに定かではありません。しかし……」

雷帝「6年前の上層部が求めていたものには、限りなく近いものであると……そうあなたは言いたいわけだ」

勇者「少なくとも、我々の魔王軍の土地よりかは魅力的でしょう」

雷帝「……勇者の剣に幽世の門……マユツバ甚だしい、しかし北西との交渉の材料になる……」

勇者「はい。連合が6年前の戦争についての再調査と、我々魔王軍との健全な関係を築いてくれるのなら、
僕は喜んで……そうですね、連合がちょっぴり有利になるよう、勇者のチカラを使いましょう」

雷帝「……」

僧侶「……」

雷帝「糞外道ども……そんなにアジ・ダハーカにお熱ってか。いいでしょう、考えておいてあげましょう」

勇者「ありがとうございます、閣下……!」



雷帝「……」

雷帝「ぶわぁーーーーーかwwwwwwwwwwwwwwwwww」

雷帝「あのブロンドバカ女がアジ・ダハーカ。ンな事ァとっくのとうにわかりきってんだよwwwwwwwwwww」

雷帝「この雷帝さんが6年間ボッケーとしてるわけなかろうにwwwwwwwwwwwwwwwなめとったらあかんでwwwwwwww」

雷帝「キモチのワリィバケモノの集団が、人間サマに対当になろうなんざ数兆年遅ェんだよwwwwwwwww」

雷帝「叡智wwwwwwwwwのwww教義wwwwwwwwwだっておwwwwww頭湧いてるwwwwwwww勇者wwwwwwwwwwwwww」

雷帝「あのガキいくつだよwwwwwwwwwwww15過ぎてあんな事言ってんだったら相当やべぇですぅwwwwwwwwwwwww」

雷帝「でもwwwwwでもまぁねwwwwww載せられてやりますよwwwwwあいつらバカなんでねwwww膿んでるくらいバカなんでねwwww」

雷帝「ここからがwwwwwアタシらの『宗教改革』の始まりって事ですわwwwwwwwwwwwwwwwねぇwwwケイ卿さぁんwwwww」



ケイ「……」

雷帝「カカカカ、安心しなさいなー。魔王軍がガサ入れに来たって事は……あんたが持ってきた書類は本物だったって証明されたんですわよー」

ケイ「……そうか」

雷帝「しかし……そんなにおカネが大切ですかねー。これが円卓でバレたらどうなりますかねー」

ケイ「……」

雷帝「ヤリチンのラーンスロットもギンギンになってカチ切れますかねぇwwwww山羊とでもヤってろぶわぁーーーーーかwwwwwww」

ケイ「所望とあらば、6年前の空戦の当事者も用意するが」

雷帝「慌てなさんな……確か、停戦の宣言が出された直後の非公式な空戦だった、あれかな……?」

ケイ「そうだ。交戦勢力や団員名簿すら、公の記録には残っていない……『謎のブロンドの民間人』、
そして『北西諸島にはいないはずのブルネット』を回収した部隊……当ては既についているぞ」

雷帝「(カカカカ……アジ・ダハーカさんたら、6年前から色々やってるんですねぇ……
オモチロイ、実にオモチロイんで……引き続き引っ掻き回してくれたら……雷帝、ちょっぴり嬉しいですねぇ……wwwwwww)」

姉「ご趣味はなんですかぁ」

エルフ三男「マスカキです」

姉「わたしもぉ。ところで、マスカキって何ですかぁ」

エルフ三男「はぁ……」

姉「楽しいですねぇ」

エルフ三男「そっすか」

侍女「……」

姉「えっとぉ……大将さんは、知りたい事ありますかぁ?」

エルフ三男「今までいくつタマゴ産んだんスか」

姉「?」



女騎士「あいつやべぇwwwwwwwwwwwwwww」

騎士は「ふてくされてるwwwwwwwwwwwwww」

騎士ち「侍女のwwwww顔wwwww引き攣ってますわwwwwwwww」

女騎士「あの顔wwwwwww超イヤそうwwwwwwwwwww」

エルフ騎兵「今まで見合いは何回かあったのにwwwwwwwww何だあの顔wwwww」

エルフ近衛兵「閣下wwwwwwwwドングリ閣下wwwwwwwwエルフ三男グリドンwwwwwwww」

姉「これおいしー。おいしいですわ、おいしいですわ」

エルフ三男「そっすか」

姉「これは何のお肉? 牛さん? 豚さん?」

エルフ三男「(どう見ても鶏肉だろ……)」



女騎士「バッカ姉wwwwwwwwwwwww」

エルフ騎兵「ニワトリ観た事ないんすかwwwwwwwwww」

女騎士「きっとあいつスズメとカエルの区別つかねぇよwwwwwwwww」



姉「ご家族はぁ? 御兄弟はいらっしゃいますのぉ?」

エルフ三男「兄が二人と……妹が一人……」

姉「まぁ……そんなに少ないんですのぉ?」

エルフ三男「(更に二人死んでるからな……)」

姉「えっと……わたしはぁ、おとうさまとぉ、おかあさまとぉ」

エルフ三男「(帰りてぇ……騎士様ァ……500年でいちばん不毛な時間ですぅ……)」

姉「それでねぇ、妹がねぇ、ひい、ふう、みい、よお……全員には会った事ないの」

エルフ三男「……そっすか」

姉「それでね、わたしの子どもはねぇ……何人だっけ?」

侍女「一昨年で17人目です、お嬢様」

エルフ三男「」



騎士ち「クソビッチですわwwwwwwwwwwwwwwwww」

女騎士「初潮から数えてほぼ子宮が満員御礼かよぱねぇwwwwwwメス牛wwwwwwwwww」

エルフ三男「」

女騎士「お疲れちゃーんwwwwwwwwwwww」

エルフ三男「騎士様……」

エルフ騎兵「かわいい女性じゃないですかwwwwwwwwwww」

エルフ近衛兵「お胸もお尻もふくよかでいいじゃないですかwwwwwwww」

エルフ三男「お前らはマジでブッ殺すぞ」

女騎士「どうだよwwwww私の姉貴はwwwwwwwww」

エルフ三男「……」

女騎士「言ーえーよーwwwwwww何とか言ーえーよーwwwwwwwwwwwww」

エルフ三男「騎士様ッ、お願いです!! どうか、どうか僕に御慈悲をくださいまし!!
貴女の仰ることならば、例えあの腐れ爛れた女とでも一晩を共にしましょう……ただ、ただ……!!」

女騎士「ただ?」

エルフ三男「ぼっ、僕の500年を、騎士様の暖かな柔肌に」

女騎士「ヤダよバーカ、そう簡単に私のバージンやれるか」

エルフ三男「えっ」

女騎士「ん?」

女騎士「ん?」

エルフ三男「……」

女騎士「何かな?」

エルフ三男「申し訳ございません」

女騎士「何かな?」

エルフ三男「本当に、重ね重ね、申し訳ございません」

女騎士「私は?」

エルフ三男「麗しの騎士様でございます」

女騎士「は?」

エルフ三男「処女神に愛されし騎士様にございます」

女騎士「でしょ? でもだめだわ……大将の童貞は帝国の新たな礎にならなきゃいけないしなー……」

エルフ三男「そんなっ……殺生なっ……」

女騎士「……それじゃあ、あの子とやる?」

エルフ三男「は?」

女騎士「ほーらほら。おいでー、ほらおいでー」



娘「はい、お母様。今日もご機嫌麗しゅう」

エルフ三男「」

女騎士「いいよ、アンタならヤっちゃってもオッケー。顔は良いしカネ持ってるし、どうぞ」

エルフ三男「」

娘「はい、大将閣下。何かご用でしょうか?」

エルフ三男「そんな……馬鹿な」

娘「閣下……?」

エルフ三男「(ゆ、揺らいでしまいそうだ……彼女の配慮とはいえ……こんな倫理に背いた妥協案にッ……!!)」

女騎士「あなたは閣下をどう想う?」

娘「どうって……な、何ですか、お母様」

女騎士「簡単でいいの、あなたは彼をどう感じるかよ」

娘「どう……す、素敵な方だと思います」

エルフ三男「(や、やめろっ……やめてくれ……)」

女騎士「へぇ……どのあたりが?」

娘「やさしいし……頭もよくて……それに、お母様と同じきらきらのブロンドですもの」

エルフ三男「(やめてください……僕は……ロリコンじゃない、ロリコンじゃ……)」

エルフ騎兵「(閣下が繁殖欲と闘っておられる……)」

エルフ近衛兵「(両刀ぶってたけど、やっぱりファッションだったか……)」

妹「あらぁ、あらあら……お久しぶりでございます、小姉様。いつぶりだったかしら」

秘書「……小……姉様……?」

女騎士「……」

妹「大姉様のお見合いと聞いて、お相手の方のお顔でもと思ったのですが。まさか、小姉様までいらっしゃるなんて……」

女騎士「フフ……会えて嬉しいわ、元気そうで良かった」

妹「小姉様こそ、息災で何よりですわ。6年もの間、一体どこにおられたんですの?」

女騎士「共和国で……帝国の人々の暮らしが少しでも善くなるようにと、為政の勉強をね」

妹「まあ、小姉様は政治家になられるの? 素晴らしいですわ、きっとお父様もお喜びになりますわ」

秘書「(すげぇ……すげぇネコかぶってる……)」

妹「道理で……二人のお子さんも利発そうなわけですわね。旦那様はどんな方なんでしょう?」

女騎士「……」

秘書「!!」

女騎士「何を言ってるの? 私、まだ独り身なのだけれど」

妹「あら? おかしいですわね……私の聞き間違いかしら。小姉様が御子息をお産みになったと、風のうわさで」

女騎士「てめぇケンカ売ってんのか殺すぞ(まあ、誰がそんな根も葉もないうわさを。困ったものね)」

妹「やってみなクソビッチ、ドラゴンマダムさァん?(でも、すこし残念ですわ。小姉様のお子さんなら、きっと玉のように愛らしいでしょうに)」

秘書「」

妹「共和国のゴシップ誌に……そんな事が書いてありましたっけねぇ」

女騎士「いやだわ……ドラゴンマダム? 一体何の事?」

妹「何でも、竜に子供を孕まされた哀れな女性がいるとかいないとか……
根も葉もないオカルトですわ、気にしないでくださいまし……そう、小姉様のお子さんとおんなじオカルトですので」

女騎士「そうよねぇ。修道院に預けられて売春三昧、便器生活を謳歌してる最中にオークの襲撃に遭ってズタボロなんかより
ずっとずっとずっとずーっとマシよね、彼女」

妹「テメェーが豚どもおびき寄せたんじゃねェーーーのかクソ女が!!(小姉様ちょっと口が過ぎますわ。ここ、食事処でしてよ)」

女騎士「やぁーーーーい、入れ食いバージン食べ残しーーーー!!(あら、ごめんあそばせ……)」

妹「ドラゴンさんのごんぶとはどんなお味だったんでしょうねぇ? もう人間のじゃサイズ合わないんじゃないっすかねぇーーー!!」

女騎士「便所風アイスバイン~くっさいくっさい浮浪者のこくまろソース和え~の分際で何言ってやがんだぁーーー!?」

妹「経産婦が処女ぶったところで滑稽なだけですわよぉ? 色素沈着クロズンダーwwwwwwwwww」

女騎士「青春の9割を売春に捧げた豚のツガイは肥料でも食ってその辺に転がってな、テメェに喰わせるのは馬糞だがなあ!!」


秘書「汚いっ!! 汚すぎるっ!!」

おかっぱ「何やってんだてめぇ!!」

敵兵「情報を引き出すんじゃなかったのか!!」

妹「うるっさいですわね!! 何か……何か勝手に出ちゃったんですのよ!!」

おかっぱ「もう一回行け、今んとこお前、アホ晒しただけだぞ!?」

妹「土人が……!! 私に指図する気ですの!?」




娘「だ、誰ですか、あの人……」

息子「お母様のお知り合いですか」

女騎士「取るに足らないゲス女だから、早く忘れた方がいいわ」

娘「はぁい……」

秘書「(この人んちの血、濃すぎィ!!)」

おかっぱ「というか……お前、アタシらの身が危うくなるような事は言わなかったろうな」

妹「はぁ? 言う訳ありませんわ、私を誰だと思っていまして?」

敵兵「(ヤベッ……なんか……クズっちゃクズなんだが……ちょっと違うかもしれん)」

妹「そ、そもそもあの自分の事しか考えてない重度自己愛のバカ姉貴に、難しい事なんて考えられっこありませんわ」

敵兵「そういう逃避はよくないぞ……」

妹「きっとドラゴンに妙な病気でも貰って脳が委縮してますわ」



女騎士「(あのビチグソの言及から察するに、私が共和国に戻ったいきさつはともかく……
ある程度継続的に私やアルヴライヒ外務省を調査できる手段を有する勢力がバックにいることは間違いなかろう。
候補としては連合か魔王軍……もしくは共同体だろうが、あのバカ姉の今日の行先を知っていた事を踏まえると、
旧帝国のポストに就いているだろうな……とすると連合にほど近い位置か。小癪なクソガキが……!)」

妹「お母様……?」

女騎士「……はい、はいはい?」

息子「今日はこの後……その、共和国に戻るんだよね? 明日、行く場所があるって」

女騎士「……」

>>797の「お母様……?」ってセリフは娘か息子の間違いかな?

>>803


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   *        *        *

敵兵「へへへ、心配するな
   お前に帝国の秘密を吐いて貰うまで、そう簡単には殺しゃ・・・」
敵兵「・・・」
敵兵「なんでも、か
   それなら帝国の秘密を吐いて貰うぜ
   イヤだってんならカラダに訊くことになるがな・・・」
敵兵「じゃあ、まずは鎧を脱いで貰・・・」

って初期にあるけどこれゴミクズが直前に乗っ取って続き書いてくれって意味に捉えられるレスしたから生まれた他人のレスよね?

敵兵「終わった! 終わったぞ!!」

ブラウニー「何がー? 借金返済?」

敵兵「違うァ!! 仕事ですよ、お仕事!」

ピクシー「何やってんですか、もう5時過ぎたのに。非国民ですか」

敵兵「30分も過ぎてないじゃないですァ!!」

ブラウニー「仕事とプライベートのけじめもつけられないような男の人って引くわ……」

敵兵「残業のうちにもはいらないですよ、こんなん……」

ピクシー「でもさー、私らが残業申請するとさー、若い士官なんかすっげぇ嫌な顔するよね」

ブラウニー「労組がくそ強いからねー。帝国内の人権活動家が暴れてくれたおかげなんだけど」

敵兵「なんてすばらしい労働環境なんだ」

ピクシー「最底辺から昇ってきた人はそう思うでしょうねぇ……」

ブラウニー「でもでもぉ、ちょおっとやりすぎなトコも無きにしも非ず、なんですよねー」

敵兵「……やりすぎとは?」

ピクシー「だからー、大陸における猿人優遇社会体系への批判。北西の女性参画気風が流れ込んで、ここ二十年で一気に広まりましたよね」

ブラウニー「旧教やブルジョワジー、帝国貴族なんかにとっては目の上のタンコブ。えらい勢いで火種まきまくってましたよねー」

敵兵「」

ピクシー「……状況、わかってる?」

敵兵「な、なんとなく……5年は共和国にいたしな」

敵兵「でも、共和国ではそこまで感じなかったな……帝国じゃ基本的な人権すら貴族の間ではアヤフヤだったみたいだが」

ブラウニー「そりゃ、共和国や……それに北西は別格ですよ、叡智の教義以前の時代から続いてますもの。
国民の権利請願や幾多の革命で、初めて国権から『人権』の概念をつくりあげた大元ですから」

ピクシー「それでも、法整備って面じゃあ猿人の肩を持つ権利偏重が目立つもんだから共同体がぶちぶち文句を言いーの……」

敵兵「……帝国のゲットーを見ると、まさしくそんな感じだったな」

ブラウニー「そこで帝国を出すのも極端なんですけど……まあ、わかりやすくはありますね。
民族まるごと括って差別をするのは、議席を欲しがる右翼政党にとって非常に有効な手段なんでしょうね」

敵兵「政党ぐるみでゲットー周囲にアコギなパネル設置してたしな……
都市部なんか、これ見よがしに『景観整備にご協力ください』だの、『正統なる帝国の復古を!』だの……」

ブラウニー「それを逆手にとって票稼ぎをする共同体寄りの議員もいるみたいなんですよねぇ。
帝国が東西に分かれた現在では、特に西側で顕著ですね。連合を快く思わない共同体のテコ入れがあるんでしょうが」

敵兵「うへぇ……政治家ってどこ行ってもおっかねぇもんだ」

ピクシー「帝国の田舎なんてとばっちり凄かったみたいですよぉ、一夜にして農作業もろもろができなくなっちゃったりして。
馬人たちと共同で生活してた集落なんて、『諸形態に関する権利憲章』なんてもんのせいで完全に分裂です」

敵兵「なんか、ろくでもなさそうな感じがぷんぷんするな……」

ブラウニー「もちろん、共同体シンパの左翼政党からの発案だったみたいです。
要するに……『猿人が馬人に騎乗したりするのは中世以前の野蛮な侵害行為を連想させるからやめろ』みたいな条文が作用してるってわけです」

敵兵「時代錯誤も甚だしいだろ……」

ピクシー「他にも『馬人その他四足人種ならびに魚人種の職場には然るべき施工をしろ、経費はスズメの涙』とか、
『四足人種ならびに魚人種が傷病を負った場合、領主および雇用主に対し任意で事情聴取、調査団の経費は国庫から出します』とか」

敵兵「カネ食いすぎだろ……」

ピクシー「そして……そのおカネの行きつく先は……」

敵兵「待ってくれ……皆まで言わなくても、何となくわかるぞ……」

ブラウニー「もちろん国教騎士団みたいですね……
公にはなっていないし、仮に今さら難癖付けたとしても無駄でしょう」

敵兵「レイシストならレイシストらしくそれを貫けよ……」

ピクシー「とにかくお金が手に入ればそれでいいみたいですよね……」

敵兵「ポリシーもくそもねぇな、それでいて教皇領ゆすろうとしてやがったのか」

ブラウニー「そういう歪な政策もあってか……ちょっと、声のボリューム落としますね。
……魔王軍からも、巨人族を筆頭に旧帝左翼に鞍替えしようって連中が少なからずいるんですよ」

敵兵「げっ……き、巨人……族……」

ブラウニー「そうです、あの殺されたグレンデル王も……もしかすると……」

ピクシー「近いうちに、大規模なクーデターでも起こす気だったとか……?」

敵兵「こ、こっちに来てまでそういうのはマジで勘弁してください……」

ピクシー「まあ、あくまで噂です、噂。根も葉もない流言です」

ブラウニー「そもそも、言っちゃ悪いけど既に帝国なんか死に体もいいとこですよ?
政党を通して共同体に媚びを売るにしても、メリットが薄すぎますよ。魔王軍から連合に擦り寄った方が断然お得です」

敵兵「(ずいぶん達観した妖精さん達だなぁ……)」

ピクシー「さあさ、続きは一杯やりながらにしましょう。これ以上一分たりとも職場に居たくありません」

ブラウニー「どうせ裏切り者なんかに大した仕事回ってきてないでしょう、さっさとアルコール補充に行きましょう!」

敵兵「もっと歯に衣を着せろァ!!」

ブラウニー「かてえ事言わんでくださいよ!! オフになったら妖精なんかこれもんでさぁ!!
小うるせえ将軍閣下もティタニア様も、表情のわからん極東のおのぼりさんもいない!」

ピクシー「そういえば、あのおチビさんは今日は見ませんでしたね」

敵兵「正午には、共和国からこっちへ戻ってくると聞いたんですが。列車が遅れてるのか」

ピクシー「……まだ、あのイカレたエルフどもと袂を分けてないんですか?」

敵兵「極東の戦力も、一部はエルフ預かりらしいしな……」

ブラウニー「ダブルスパイもほどほどにしないとマジ危なくないですかね、あの人」

敵兵「(魔王軍にも、完全な味方とは思ってもらえてないわけなんだなこりゃ。
将軍の墨付きって事で、とりあえずは安心できるんだろうが)」



敵兵「そうだ、ちょっといいですかね」

ブラウニー「はいはい?」

敵兵「さっきの書類業務の折に、こんなものが混じっていたんですが」

ピクシー「……軍務には関係なさそうですね、私的な手紙?」

ブラウニー「うげぇ、中身なんじゃこりゃ。どこの国の言葉ぁ? ミミズがのたくってますよ」

敵兵「翻訳しようにも、大学教授や言語学者の伝手なんてないですし。
極東の彼女の受け持ちに混ざってたから、きっと重要なものなんだと思って」

ブラウニー「なんだ、そんなら簡単だ。ワン公に頼めばいい。おうい、マカミのワン公!! どっかにいるんだろ、出てこい!!」

敵兵「(所帯染みちゃったなぁ、わんわんお……)」

ブラウニー「よーしよしよしよしよしワン公、読めたかわんわん」

真神「……」

敵兵「(一応、神性なんだよな……極東のカミって……)」

真神「……確かにあやつの……あの士官の私物……ではあるが……」

ピクシー「あー、やっぱり向こうの国の文字でしたか。読めないわけだ」

敵兵「極東側からの指令だったりしたら、君の方で秘匿しておいて構わないが」

真神「……そういった類のモノでは……ない……これは……しかるに……」

ブラウニー「ああもう、そういうのいいからさっさと翻訳してくださいよ。私達すっげー口硬いんで。
将軍閣下の財布のヒモより硬いんで。あの肌の青い女の方ですよ? 野郎の方は財布もシモもユッルユルですんで」

真神「……」

ピクシー「極東の妖精はシャイなのよ!! 引いてるじゃない!!」

ブラウニー「なによ!!!1!!!」

敵兵「……ぶっちゃけ、オレも気になってきた」

真神「そうか……」



真神「『だーりんに会いたいようっ! このお手紙が届くのはきっと何か月も先なんだろうけどね、でもでもだーりんならきっと』」

敵兵「」

ブラウニー「」

ピクシー「」

真神「『あたしの愛に気づいてくれるって信じてる! だって、あたしとだぁりんはいっぱいいっぱいぎゅーした仲だもん!』」

敵兵「どれぐらい続くんだ」

真神「まだ……この四行目しか……訳せておらんが……」

ピクシー「二枚に渡ってこんなクソ文が綴られているのですか!?」

ブラウニー「おぞましき邪教の文言だわ……!!」

真神「……続ける……か……?」

ブラウニー「こいつはいい酒の肴ができたな……」

敵兵「」

ピクシー「横隔膜がビクビクきますわね……これは久々に大物です……」

ブラウニー「何て恥ずかしいんだ……こんなの暴露されたら自殺するわ……」

真神「……」

敵兵「……」

真神「……」

敵兵「おいっ、止めるな!! 気になるだろ、早く続きを読んでくれ!!」

ピクシー「早くしてっ!! 舌がカレの指の隙間を艶めかしく這って、それからどうしたの!?」

ブラウニー「肴だ、もっと肴をくれ!!」


おかっぱ「貴様らをまとめて肴に加工してやってもいいのだが」

敵兵「」

ブラウニー「」

ピクシー「」

真神「」

おかっぱ「残業してまで検閲作業とは精が出るな、なあヒモ男よぉ」

敵兵「(こわい)」

ブラウニー「ご苦労様であります」

ピクシー「現在、異常を発見したため状況を見定めているのであります」

おかっぱ「ハエ風情がアタシに向かって……! おい、早くそれを返せ」

真神「……」

おかっぱ「……」

真神「これを……返したら……もっと我を……崇めてくれるか……?」

おかっぱ「ああ、約束する。今ある神棚に加えてお前の神体も用意してやろう」

真神「だが断る」

おかっぱ「」

真神「この真神の……最も好ましき事のひとつは……己を強者であると思っている者に『否』と断ってやることだ……」

おかっぱ「クソ犬が……!!」

ブラウニー「ヘーイ、ヘルメット頭びびってるー?」

ピクシー「どういう事か説明しないと、暴露大会終わりませんわよぉー?」

おかっぱ「オイッ、クソニート!! やめさせろ、このアホどもを……!!」

敵兵「……」

おかっぱ「聞いているのか、オイッ!!」

敵兵「いや、その……今の所、『4対1』なんで……」

おかっぱ「この裏切り者がァ!!」

ピクシー「……」

ブラウニー「まあその……なんですか、先人のイタイ詩集に毒された貴族さん達とそう変わんないじゃないですか」

ピクシー「どんな王侯貴族も、書き手に回ったら恋文なんて『好きです!! ハメたいです!』『愛してる!! ハメさせて!!』
ってーのをこねくりまわしてるだけですから……気にしない方がいいですよ」

おかっぱ「お前らが言うなァ!!」

敵兵「……ちなみに、マジにああやって頭のネジ緩んだ感じで書いてあったの?」

おかっぱ「このバカ犬の意訳に決まってるだろ!! 私の文はもっと高尚で瀟洒で……!!」

真神「『好きです!! ハメたいです!!』」

おかっぱ「おまっ……おまえ……おまえ!!!!」

敵兵「す、すいません……調子に乗りました……」

ブラウニー「泣かんでください……」

おかっぱ「うっせーーーバーカ!! お前らなんかに列島に続く恋文の文化なぞわかってたまるか!! しね!!」

真神「……やはり……あの馬人との関係は……続いているのだな……」

ピクシー「馬人のカレシかぁ……」

おかっぱ「口閉じろ!! 縫い合わせて吠えられなくしてやる!!」

真神「『愛してる!! ハメさせてぇ!!』」

敵兵「やめたげてよぉ!!」

ピクシー「ちょっとこれは根掘り葉掘り聞かないとだめですねー……」

ブラウニー「カレとはいつ、どこで会ったんですかねぇ……初体験はいつですか? キスはどんな味ですか? 馬糞?」

おかっぱ「ビチグソどもめ……!!」

ピクシー「こんなお下品な言動が目立つ彼女ですが、きっとカレシさんの前では『キャーステキ! 抱いて!』と大股広げておっぱじめ」

おかっぱ「会ったのは数えで十一! 接吻も本番もまだだ!」

ブラウニー「いやん、オボコじゃないの」

敵兵「……そもそもおいくつでしたっけ、あなた」

おかっぱ「……」

真神「『チガウ……今までの男とは何かが決定的に違う。スピリチュアルな感覚がアタシのカラダを』」

おかっぱ「数えで二〇! 世が世なら年増もいいところだろ!」

敵兵「ウソだろ!? てっきり一三、四かと……」

おかっぱ「その頃はもうすでに奉公先飛び出してたわ!」

ブラウニー「で、カレシとの出会いは……」

おかっぱ「ぐ……」

真神「……」

おかっぱ「……丁稚奉公に出された先で……せ、先生が算術の巡業してる時に……だ」

敵兵「巡業?」

おかっぱ「算術士のな、こっちじゃ算術が農民の娯楽の一つなんだ。天元術に幾何学は、中世の検地から広まった分野だからな」

敵兵「幾何学……?」

おかっぱ「田畑の面積を求める際に……また、年貢等々の計算にも用いるだろ。アタシなんかは相当に恵まれてる方だったが……」

敵兵「(士官学校に入って……弾道計算だとかにうざったい公式の暗記をイヤイヤやった事くらいなんですがそれは)」

おかっぱ「それからこんにちに至るまで、先生とは何もなし!! 残念だったな!!」

ブラウニー「センセイだって……」

ピクシー「ヒッポケンタウリのセンセイ……」

ブラウニー「馬センセイの(夜の)教鞭、すっごく厳しいナリィ……」

おかっぱ「どこまでも人をコケにしたハエどもだ……!!」

敵兵「……」

おかっぱ「何だ、まだ笑い足りないか」

敵兵「いや……安心しただけです、あのクズと違ってすっげぇ人間味が」

おかっぱ「あれと比べるな、けがらわしい! 怖気が走るわ」

ピクシー「サンジュツの巡業って事は……なんか、サーカスみたいな?」

おかっぱ「そんな仰々しいものでもない。各地の寺子屋を渡り歩いて、簡単な講義と引き換えに寝食を提供してもらう、それだけだ」

ブラウニー「ヒッポケンタウリと年端も行かぬ童女の二人旅……」

ピクシー「帝国じゃ誘拐があってもケンタウリだからって理由で即時釈放、女の子側は泣き寝入りの事案ですねー」

おかっぱ「よほど貴様らは先生を性犯罪者にしたいようだが」

ブラウニー「なんだインポか」

おかっぱ「ブッ殺すぞ」

秘書「あー! やっと来た、遅いですよお」

おかっぱ「私用に手間取ってな。二日も三日も席を空けるとは思わなかったのだ」

秘書「発車の時刻ギリギリですよお。もう騎士さん達、食堂車でおいしい思いしてるんですよお」

おかっぱ「犬猫は連れて入ってもいいのか?」

真神「……」

金長狸「キカンシャはじめてー!」

秘書「……」

おかっぱ「粗相はどうすればいい?」

秘書「さあ……」

おかっぱ「共和国までの旅路、そこまで時間はかからんだろうが」

秘書「いや、でも……今から行くメリフェラ領って、ほんとに共和国の辺境にあるみたいなんですね。ですから」

おかっぱ「窓からしろとのお達しだ、腰抜かして落ちるなよ」

金長狸「」

おかっぱ「この蒸気機関車とかいうの、軍馬の三倍の速度を叩き出すそうだ。もし落ちたらミンチだから覚悟しておけ」

真神「」

真神「……」

おかっぱ「……」

真神「あ……あまり……気に病むでないぞ……」

おかっぱ「案ずるな。私は最初から帝、ひいては皇国の臣民の為を想って行動しているだけだ。そこには何の憂いもない」

真神「現地語では……ニュアンスの表現が……少々歪になってしまうのも……致し方ないではないか……」

おかっぱ「それをひっぱるんだったら窓から私が直々に叩き落すぞ」

真神「わん! わん! わんわんお!」

金長狸「にゃんにゃんお!」

おかっぱ「刀の錆になりたいのかっ、妖怪変化ども!」

金長狸「そんなイライラしないでよう、生理?」

おかっぱ「イライラもするわ!」



真神「……しかし……あの女狐は……大丈夫か……?」

金長狸「さあ……名目上は、松山の祭司や術士への報告と現地における活動方針の見直し……って事だけど」

真神「あのエルフの将軍、そして鬼どもの監視……あの小娘に……そこまでできるものか」

金長狸「早めに手を打たないとぉ……幕府側の発言力も枯れちゃうかもしれないんだよねぇ……鬼さん、こわいこわい」

おかっぱ「何の為に、出がけギリギリまでアタシが松山の重役に老中ともども頭を下げに、下野国くんだりまで足を運んだのだと思うね」

真神「……」

おかっぱ「これ以上、将軍の膝元で薄汚い下衆な百鬼どもにでかい顔をさせるわけにはいかねェんだよ。違うか?」

金長狸「(ん? 私らえっらいディスられてない?)」

おかっぱ「言うに事欠いて、奉行のアタシに向かって帝の勅命を放棄した謀反者だあ? 何様のつもりだ、鬼ども……!!」

真神「そう……いきり立つな……」

おかっぱ「そっちがそのつもりならいいだろう、肉も骨も髪も焼いてやる、駆逐してやるよ……
ヴォーパル鋼とドワーフ……魔王軍の連中、言ってる事こそどうしようもないが……なかなか使えそうなものを取り揃えている」

真神「……楔に杭……それに……呪式正当性の目途が……ついたのか……?」

おかっぱ「魔王軍の魔術研究スタッフの支援が得られたとはいえ、起動実験もなしに……しかも未知のこの大陸でそんな大それたことはまずできん。
それに、せっかくドワーフを連合の支配下からあのクズ、そして魔王軍の側に選り分ける事が出来たんだ。どうせなら正確なリターンが欲しい」

金長狸「すっごいなぁ、魔王軍って……」

おかっぱ「……そうだ、今では見る影もないがな。魔王軍のポテンシャルは、こんなものではない。だからこそ、隠遁してもらわねばならない」

外交官「ようこそ、メリフェラへ。長旅でお疲れでしょう、すぐにホテルへご案内いたします」

秘書「」

女騎士「おういデブ、つったってんなよぉ。何時間も揺られて吐きそうなんか?」

秘書「だだだだだ、だってだってだって……」

ポニテ「彼女には私がつきます、騎士様はお先にお休みになってください」

女騎士「あら、そう? じゃあお願いするわー」

外交官「どうぞ、こちらへ……ところで、試作の品はどちらに?」

女騎士「後で研究スタッフに卸させるよ、それよかお風呂! ごはん! 早急に!」

秘書「あああ、ああれあれあれ、あの……ヒト」

ポニテ「彼らはメリフェラ領の固有種……節足人種とでも言いましょうか」

秘書「せせせせ、節足……だってあの、あの人……虫、虫ですよお。厚ぼったい服でしたけど……は、蜂……蜂さんです……!」

おかっぱ「確かに……蜂を基にした種は初めてだな」

秘書「い、いやに落ち着いてますが……」

おかっぱ「同僚にクモそのものがいた職場だったからな」

真神「しかも……ケンタウリに恋い焦がれて……」

おかっぱ「しばくぞ」

ポニテ「……帝国や共同体領で、彼らの事を虫だのと言ってごらんなさい。彼らではない彼らの権利を守りたがる連中がタカりにきますよ」

秘書「ひぃ」

ポニテ「あの外交の彼でも、かなり猿人に近しい形質の持ち主です。いや、彼女……かな?」

秘書「た、確かに……髪の毛だとか、口元は私とおんなじような感じだったけど……」

ポニテ「私もそこまで詳しくはないのですが……節足人種(インセクトリアン)もまた、
かつての勇者による革命で理性を得た種族だと聞いています。現在では、魔族という大きな括りとは異なる事を自他ともに認めていますが」

秘書「……でで、でも……あのアゴって言うんですかあれ……すっげー怖い……頭からかじられて肉団子にされちゃう……」

ポニテ「カタギならまずその心配はないでしょうね。節足人種による犯罪、共同体や帝国で聞いた事がありますか?」

秘書「……ない、かも」

ポニテ「敬虔な教徒である彼らは、その倫理や哲学の中心に教義に基づく道徳のほか、所属する家系の女王が存在しています」

秘書「女王……? 北西みたいな?」

ポニテ「それより、更に神格化されているでしょうね。ナショナリズムそのものと言っても過言ではありません。
現在の女王が猿人絶滅政策でも出さない限り、彼らは友好的この上ない隣人でいてくれることでしょう」

秘書「……」

おかっぱ「叡智の教義、ねえ……」

女騎士「……こぉんな田舎くんだりまで来させて。また何か悪巧みしてんのかぁ?」

騎士ほ「フククク……久しぶりの再会ですのに、つれないお姉様……」

女騎士「体面としては、アルヴライヒとメリフェラによる高熱量食品の臨床実験への立会……」

騎士ほ「ええ……先の二回のアタックで……かなりおカネを使ってしまいましたでしょ?」

女騎士「使うのもそうだが、入る量もなかなかなもんでなぁ。エルフどものカネに関する汚さは筋金入りだ」

騎士ほ「ドワーフ筋の成金やボンクラ貴族に預金させて……のちに不思議な非業の死を遂げさせる……フククク……」

女騎士「……それで? 私をさしおいて莫大なカネを北西から吸い上げてるお前が何の用なの?」

騎士ほ「はぁん……嫉妬……? お姉様、私に嫉妬なさってるの……? そんな……いけません、お姉様は下賤な私などとは一線を画す崇高な」

女騎士「(そうだ……思い出してきた、こいつメンドくせぇんだよな……)」

騎士ほ「フクク……きわめてシンプルな事ですわ……」

女騎士「……」

騎士ほ「……お姉様は、ゆくゆくは大陸はおろか……北西の高等竜種(エルダー)までもを統べるべきお方……その足掛かりとして……
フッククク……ガリア=ベルギガの主となって頂きたく思いまして……」

女騎士「やだ」

騎士ほ「」

騎士ほ「ゆ、勇者伝説の聖地をその足で」

女騎士「やだ」

騎士ほ「あ、あらゆる信徒をひざまずかせる事ができましてよ……!」

女騎士「ヤダよォー、アンタがやりゃいいじゃんかよォー、メンドクセーじゃんそんなの。
大体なんだよガリア=ベルギガってよォー。テメーらの内だけで話進めてんじゃねーぞボケェー」

騎士ほ「……」

女騎士「あー不愉快、すっげ不愉快だわー。お前の傀儡みたいに言われて不愉快だわー」

騎士ほ「お、お姉様……」

女騎士「私ゃ別に神様に縋るアホ神官タコ教徒スチャラカ牧師にゃあ興味ねぇんだよ、新教と旧教の区別もつきゃしねぇからな。
そんなバカどもに崇められてもぜんっぜんキモチよくねーの。だってそうだろ? いかれたそいつらの頭の根底にあるのは、
どこの誰だかわからん『神様』なわけだろ? うっへーきもちわる、そういう奴はみんな死ぬべきだ。弾圧しろ」

騎士ほ「」

女騎士「……お前さぁ、なぁんか勘違いしてない? 私の今したい事さぁ」

騎士ほ「それは……」

女騎士「私さぁ、別にエラくなりたいわけじゃねーのよ。そもそも私って誰よりもエライ訳だし、それは私がこの世に生れ落ちたその瞬間から決まってるわけだし。
エライエラくないって概念は、私以外の凡人達の間で適用されるもんだろ? そんなもんを私に適用するなんてナンセンスやん?」

騎士ほ「は、はひぃ」

女騎士「私の今したい事はなぁ……」

騎士ほ「……」

女騎士「まず勇者をブッ殺す!! 勇者だとか名乗ってるくせに、魔物に肩入れしてやがるあのクサレガキを八つ裂きにしてやる事だ!!
三日三晩……いや、十日はぶっ続けでコチョコチョの刑に処す!! 楽には死なせん!!」


女騎士「次にあの魔王とかいうメスガキだ!! 何から何まで目障りだ、人間を惑わす邪悪な魔物野郎め!!
あのトンチキ勇者の目の前で丸太でも叩き込んでぶち壊しにしてやらあ!! こっちは二十日は煮込み通しにしてやんよ!!」


女騎士「そしてあの甲斐性ナシのクソ男だ!! 6年前に私を捕らえた事、そして私の人生をムチャクチャにしてくれたあの野郎だ!!
あのビチグソだけは念を入れて苦しめてやる、業火で熱した鉄板でつま先からじわじわと輪切りにしていってやる……!!」


騎士ほ「んはぁぁん……お姉様っ、素敵ぃ……!!」

騎士ほ「……しかしお姉様、そうなるとやはり……ガリア=ベルギガを押さえるのが近道なのではないでしょうか」

女騎士「しつけえな、大体勇者様の故郷なんかになんの価値があるってんだよ」

騎士ほ「……」

女騎士「私とてスッカラカンなわけじゃあないぞ? 東帝においては、連合の差し金だか何だか知らんが……
終末思想に並んで反貴族思想、そして救世主である勇者を待望する声が目立ち始めている。
この状況で西欧会議に臨めば……一方的に負ける事こそないにしても、苦戦は強いられる事だろうよ」

騎士ほ「仰る通りで」

女騎士「わざわざ重役にのし上がったお前が共和国のこんな田舎くんだりまで来るって事は……
そのガリア=ベルギガ……よほどのモンが隠れてると見える。実際んとこはどうなんだよ、おい」

騎士ほ「……そう、よほどのモン……エルダードラゴンをも統べる事ができるほどの宝具が眠っているとの……」

女騎士「そういうオカルトは信じてねえんだよ、おとといきやがれ」

騎士ほ「情報元が円卓だとしても?」

女騎士「……円卓?」

騎士ほ「北西の為政に直接口を挟む事の出来る、カビの生えくさった組織……円卓の騎士が一人からの情報です」

女騎士「……」

騎士ほ「幽世の門を拓き、真実へと探求者を導く鍵……そう、彼は夢想していましたわ」

女騎士「夢遊病かよきめぇな」

女騎士「……一つ聞きたいんだけどさぁー」

騎士ほ「はい」

女騎士「そこをどうにかしたらさぁ、勇者怒るかなぁ」

騎士ほ「……」

女騎士「いやさぁ、ゴルフ場にしたり、焼き払ったりしたら」

騎士ほ「はい?」

女騎士「くっそ恥ずかしい上に柄じゃねーけど、迷いの森みてぇな場所に入り込んじまったって言ったじゃん?」

騎士ほ「はい。あの古竜から聞いております」

女騎士「じゃあ最後まで聞いてねえのか。ククク、あんたにも見せてやりたかったぜ。
ふわふわお脳どもの土地が焦土と化していく様をよお! ガリア=ベルギガとやらもあそこみてぇにしてやったら……」

騎士ほ「」

女騎士「……?」

騎士ほ「……焦……土……?」

女騎士「ああ、ソレイとかいうレイプ奨励集団もまとめて焼き殺してやった」

騎士ほ「ガ……リア……の……祖霊を……焼き……焼……き……」

女騎士「で、その土地はどこにあるんだ? 共和国内だったらラクなんだが」

騎士ほ「勇者の聖地を……や、や、焼いてしまわれたんですの……?」

女騎士「は?」

第8部 ガリア=ベルギガ編 壱

                ┼ヽ  -|r‐、. レ |
                 d⌒) ./| _ノ  __ノ 

第8部 ガリア=ベルギガ編 弐へ

                                       ー- 、 ー-、``/  
                                      _, '  ._, '  \  
                                    -------------------
                                     制作・著作 NHK


>>騎士ほ「はい。あの古竜から聞いております」

女騎士「じゃあ最後まで聞いてねえのか。

って言ってるってことは
リンドブルムさんはガリアが焦土と化したこと知らないのか

ポニテ「おはようございます!」

秘書「……」

ポニテ「おはようございます! 今朝は素晴らしい天気ですよ!」

秘書「まだ5時半じゃあないですかぁ」

ポニテ「早起きして得する事こそあれ、損などいたしません。それとも、体調がよろしくないので?」

秘書「……ちょっと、カルチャーギャップをもよおして」

ポニテ「はあ……」

秘書「み、道行く女の人……み、みんなみんなすっごい太……ふくよかじゃあありませんでした?」

ポニテ「(お前が言うな)」

秘書「お尻も……む、胸もぷーっと膨れてて。そもそも、猿人の方が少ないってのもあるんですけど……」

ポニテ「節足人種の上位ワーカーは、そうした女性を好むと聞いております」

秘書「上位……?」

ポニテ「節足人種……現在のメリフェラにおける為政を司る蟻型形質人種の人種のひとつです。
種の代表として外界との接触を行う為に、隆盛している猿人にほど近く進化した上位種ですね。
基本的に、彼らは上位種にカテゴライズされる上流家系を除く下位ワーカーは生殖器官が未発達な為か、
同種族との間と公的な婚姻を結ぶ事は稀なのです。例外の上位種だけが猿人の形質を色濃く取り込んでいった結果……」

秘書「まさしく人並みに性愛を併せ持つようになったと……」

ポニテ「仰る通り。上位ワーカーの平均的な収入を見たらぶっ飛びますよ。
土地自体は非常に肥沃ですから、生産力はアルヴライヒに並びますし。田舎恐るべし、です」

秘書「玉の輿……でも虫さんのお嫁さんか……」

ポニテ「雄の上位ワーカーの美意識は、オークや一部のケンタウリと同じく豊満な雌に向けられるようです。
特に、ヒップが体幹からどれだけせり出しているか……彼らの女王に対する母性意識の表れと言えましょう」

秘書「……」

ポニテ「本気で玉の輿狙うなら、もっとお肉付けるべきですかね」

秘書「ね、狙ってないですし!!」

ポニテ「生憎、私のような身体つきではふられてしまいましょう。女王蜂のように、ふかふかの尾腹を持っていないと」

秘書「……」



外交官「おはようございます、昨日の疲れは取れましたでしょうか」

秘書「……」

外交官「騎士様はまだお休みで?」

ポニテ「はい、昨晩は遅くまでお客人と語らっていたようで」

秘書「……」

外交官「……何か?」

ポニテ「この人は女性ですよ」

秘書「マジでっ!?」

外交官「玉の輿ですか……こちらとしても願ったり叶ったりですね。後押しなしに我々の同胞が外界で生活基盤を構築するのは、極めて稀な事ですし」

秘書「いや、別にそんな……」

外交官「男たちは、やわらかくて手触りの良い房が、それはもう大好きです。子を為せなかろうが、そうした事に興味を持たない者はいません」

ポニテ「ワンチャンありますよ、この際もっと太ってみませんか」

秘書「博打にも程があります!!」

外交官「いやいや……猿人の方が羨ましいですわ。私のような枯れ枝では、そもそもモテませんしね。
我々ワーカーは、子供が産める体かどうかは、10歳前後で決まりますし。女王陛下と同じように子を孕めるのは雌雄ともに2割に満たないのです」

秘書「……はあ」

ポニテ「その為の借り腹……昨今、評議されている代理母産業の確立というわけですね」

外交官「はい。中央会議での可決と、教皇領からの許しが得られれば……私にも子供ができるかもしれません」

秘書「かりばら?」

外交官「旧魔王軍全盛時……我々の先祖の中には、他の生物の胎内に子種を植え付けて育てさせるという種もありました。
しかし、勇者様からもたらされた叡智の教義、そして我らが天にまします主との誓いによって、我々は貴き理性を手に入れました。
他の生物を、己の種の存続の為にのみ苗床のように扱う行為は、不義というほかにありません」

ポニテ「そこで、双方の同意の下で子を為す方法が思案されるようになった。
種の繁栄は生物の本能……いくら理性を育とうとも、それを押さえつける事はできますまい」

外交官「恥ずかしながら……この私にも、拙いながらも母性というものが備わっているようでして」

秘書「あのう、かりばらっていうのは……」

ポニテ「我々のお腹の中で彼らの卵を育てて、代わりに出産をしてあげるという事です」

秘書「」

ポニテ「そこ、ヒかない! 嫌そうな顔しない! 場所が場所なら差別でしょっぴかれますよ!」

秘書「ふぇぇ」

外交官「まあまあ……ここメリフェラでも、公の場ではタブー視されてきた議題ですので。お気持ちはわかります」

秘書「おおおお、オナカにたた、たまご……」

ポニテ「豊満な身体つきの女性ならば、それも不可能ではない。上位種の彼らの好みも、理にかなっていると言えますね」

外交官「女の私からも、そうした猿人やケンタウリの女性は魅力的に見えますわ」

秘書「借り腹って……しし、死んじゃったりしないんですか?」

外交官「残念ながら……死亡例は皆無とは言えません、しかし……」

ポニテ「ご謙遜を。インセクトリアン由来の薬品の質は、エルフのそれと引けを取らないほどに高い。
流行病や流れ弾、日常での事故で障害を負うよりよほど確率は低いでしょう」

秘書「……そういうもんなんですか」

ポニテ「まあ、身体器官の肥大に伴って自力での移動が困難になるという弊害もあるとは聞きますが」

外交官「それにつきましては、最大限のケアをさせていただく所存です。現在こうして議論される以前から
代理母出産という方法は行われていましたが、明文化の暁には国家レベルで支援をしていこうと考えています」

秘書「い……移動が……困難……ねぇ……」

外交官「ただ……やはり、母体の健康維持には少なからずコストがかかります。
我々ワーカーが自由に子孫を残す事ができるのは、まだ先の事になりましょう」

ポニテ「それを解消する為の、これでしょう?」

秘書「……? 何ですか、それ。はちみつ?」

ポニテ「似たようなものですが……お味見してみます?」

秘書「よろこんで!」

外交官「……」

秘書「……甘ッ!! あンまい!! 何これ!?」

外交官「ふふ、私達でも希釈して口にしますのに」

秘書「き、希釈ァ!? 何なんですかこれァ!?」

ポニテ「大将閣下率いる、アルヴライヒのスタッフが開発していた高熱量流動食です。今口にしたのは、スプーン一杯……
とすれば、成人男性5日分の熱量が摂取できたことになりますね」

秘書「」

ポニテ「6年前から臨床実験をまじえて、ようやくメリフェラ国内での試用が行えるまでになったと聞きます」

外交官「まさしく、我々にとっての命の糧と言えるものになり得ましょう。我々ワーカーは、その……あなた方に比べて燃費が悪いと言いましょうか」



ポニテ「(要は、これを売り込む為に大将は我々をメリフェラによこしたわけです。片手間の暇つぶしがお金を産むなら、これ以上の事は……)」

秘書「(それより私のこの体に取り込まれた元気いっぱいのカロリーはどうしてくれるんですかね)」

騎士ほ「……」

おかっぱ「……」

騎士ほ「……はぁ」

おかっぱ「……どうも」

騎士ほ「あら……あら、どうも……」

おかっぱ「あんたは……エルフと繋がってる口かな。あの騎士の……」

騎士ほ「そう言うあなたは、極東皇国の? フクク……こうして顔を合わせるのは初めてかしらね……」

おかっぱ「ああ、よろしく……」

騎士ほ「……」

おかっぱ「ずいぶん、疲れているようだが……資材の搬入なら、私やエルフの近衛に任せてもいいぞ」

騎士ほ「大丈夫でしてよ……ちょっと、昨晩……あっただけでして」

おかっぱ「昨晩?」

騎士ほ「……」

~昨晩~

女騎士「は? 何? ガリアうんちゃらって……あ、あそこだったん?」

騎士ほ「そこ以外にどこにあると思いまして……!? 」

女騎士「いや、なんかスゲー財宝があんだったらそんな事しねぇよ! 知ってたらぶんどってから燃やすって!」

騎士ほ「も、燃やしてはいけませんわ……!! 聖地が現存している事に意義があるのです……!! ああ、ああ……」

女騎士「知らねェよぉ!! あん時ゃああするしかなかったんだってばよ!!」

騎士ほ「モルドレッド卿……あの青二才をどうダマくらかせば……ああ、ああ……!! 円卓の座が……お姉様の座が……!!」

女騎士「ブツクサ狼狽えるんじゃねェーぞッ、オジャンになっちまったもんはしょーがねェーだろォー!?」

騎士ほ「大陸に二つとない伝説の法具が安置されているかもしれない聖地でしてよ!?」

女騎士「テメェ誰に向かって吠えてんだオラァ!? 珍しくガーガー吠えたと思ったら私に転嫁しやがってよォー!! たたっ殺されてぇか!?」

騎士ほ「ひいっ……ご、ごめ、ごめんなしゃい」

女騎士「円卓の老害どもダマすんならダマしゃいいだろが!! ブツがあろうがなかろうが、とりあえずあるように見せかけろ!!」

騎士ほ「そ、そんな事……いかに煮凝りのごとく腐りきった円卓でも、さすがにバレ……」

女騎士「バレねぇようなパチこきゃいんだよ!! バレてねぇウソは真実だ!! 私が命じた事だから真実だ!! いいな!! カラスは何色だ!!」

騎士ほ「く、黒……」

女騎士「虹色だ!! 今日からカラスはサイケなレインボー彩色だ!! わかったな!?」

騎士ほ「……は、はひぃ」

女騎士「ふん……とりあえず、もう一度そこに戻ってみる必要があるってわけだな。更地に何があんだか知らねェが……」

騎士ほ「……」

女騎士「おい、それよか秘宝ってなァ何だと思うよ? そのモル公はもっと他に言ってねぇのか?」

騎士ほ「……そ、それ以上に……情報はないのです……ごめんなさい、ごめんなさいお姉様」

女騎士「……」


女騎士「ほの字、ほの字、ほの字、ほの字よォ~~~、私はアンタを信じてるんだ。私がさっきアンタを怒った事なら『自信を持て』……
アンタの地位と名声は、その気になりゃあ何者にも負けねーモンじゃあねーか? そうだろ?」

騎士ほ「……」

女騎士「アンタが持ってきた『情報』はものスゴク怪しいんだ。ここが正念場だぜほの字! 私達は勇者どもを追い詰めてる!!」

騎士ほ「姉貴ィ!!」

騎士ほ「今からよくよく考えたら、何も解決してない事に気が付きましたの……」

おかっぱ「何があったか知らんが……大変だな」

騎士ほ「フクク……あなたこそ、わざわざ極東くんだりからこんなところまで来て」

おかっぱ「よく言われる」

騎士ほ「……真面目な人。東洋人は表情が探りにくいと言いますけれど、あなたはすごく勤勉そう」

おかっぱ「おだてても何も出んぞ」

騎士ほ「フックク……頑張りましょうね。大陸から、汚いものをすべて祓うまで……」

おかっぱ「(井戸から這い出てきそうな髪しやがって……)」

おかっぱ「……衛生面では、共和国の医療施設顔負けだな」

騎士ほ「メリフェラ王室からも、かなりの額が動いていると聞いています。
上位ワーカー主体の少子化対策は、国を挙げてのプロジェクトと言えましょう」

おかっぱ「子を為す為の、種の強化政策か……」

騎士ほ「子供は国の宝ですわ。国力を形作る根幹です」

おかっぱ「(あのボンクラ大将主導の計画も、たまには他人の役に立つという事か……?)」

騎士ほ「共同体と違って、メリフェラは内陸にも関わらず開発の手が及んでおりません。
森を抜けた以南には貧乏諸国、さらに南下したところで北西の痩せた植民地がズラリと並ぶくらい……」

おかっぱ「言いたいのは、共同体のケンタウリや巨人と違って大人しいから与しやすい、という事だろ?」

騎士ほ「フクク……猿人から見た目が遠ければ遠いほど、西欧会議でも教皇領を相手にした交渉でも、
やりようによっては心証は底抜けに良くなりましょう。バカな聖職者どもの頭の中には、当たり障りのない猿人しか住んでおりませんもの……」

おかっぱ「あまり田舎者から巻き上げるのは感心しないな」

騎士ほ「対当なビジネスというものですわ、あくまで対等なもの……こっちだって、非常にレアな被検体を提供するのですから……」

おかっぱ「北西を始め、列強に片っ端から不平等な条約を結ばされたこちらの心情も汲んでほしいものだ」

騎士ほ「フクク……御愁傷様……」

おかっぱ「(レアな被検体……? 内陸のエルダードラゴンでも捕獲していたのか?
しかも、難民支援や少子化対策の為の高熱量流動食の関わる取引で……被検体など扱うものなのか?)」

エルフ看護師「さ、どうぞ。ご確認をお願いいたします」

おかっぱ「うっ……!?」

騎士ほ「……」

おかっぱ「何だ……何だ、これは……」

騎士ほ「私も、直接見るのは初めてですが……よくここまで大きくなったものですわね……」

おかっぱ「(このニオイ……悪臭というわけではないが……何だ? 例えるなら、異様な乳臭さ……!)」

騎士ほ「このカタマリこそが、メリフェラに明け渡す被検体……そう聞いておりますわ」

おかっぱ「被検体……まさか、まさかこれが……人間なのか!?」

騎士ほ「そうは見えませんけれども……ね」

エルフ看護師「そうです、れっきとした女の子なんですからね」

おかっぱ「……」

エルフ看護師「触ってみてあげてください。ああ、ちゃんと手袋はしてくださいね。雑菌がつくといけませんから」

騎士ほ「ぷよぷよのフカフカ……大きなクッションみたいですわね。あら、この垂れてるお肉は……」

おかっぱ「……」

エルフ看護師「いやですわ、それは……それ、おっぱいですよ」

騎士ほ「あら、ごめんあそばせ。なーでなーで」

おかっぱ「……まさか、あの……モップの先が乗っかったような、あれが」

エルフ看護師「ええ、お顔はここです。あ、おはよ。目が覚めた? もう少しでご飯だからね、いい子にしてようねー」

おかっぱ「(デタラメに肉が積み重なった……文字通りの肉塊ではないか……)」

エルフ看護師「ほら、お口あけるよ? 我慢してねー」

おかっぱ「(ああしてチューブで流動食を流し込むわけか……猿人による高熱量流動食の摂取、その結果がこれか)」

騎士ほ「……代理母の母体としても、最適らしいですわね」

エルフ看護師「はい、生理周期も安定していますし。血糖値の調整を怠らなければ、出産も可能だと思われます。
外交の方もたいへん喜んでおられましたよ。なんと美しい姿かとね」

騎士ほ「……温厚な方々ですけれど、美的感覚というのは千差万別と思い知らされますわね」

エルフ看護師「えーっ、可愛いじゃないですかぁ。ねー、女の子だもんねー」

おかっぱ「(あれが頭だとすると、あの大きな塊が腹の肉……牛でも詰まってるのか……?
そうすれば、左右に広がっているのは乳房……手足はそれぞれ肉に埋まってわからんか……)」

騎士ほ「(……反吐が出そう)」

おかっぱ「少し、その顔を見せてもらってもいいか?」

エルフ看護師「ええ、かまいませんよ。直接よじ登るのはやめてくださいね、傷がつくといけないから脚立で……」

おかっぱ「ああ、わかった」


おかっぱ「(首回りの肉が蛇腹になって……頭が埋まってしまっているな。悲惨なものだ……
顔も頬の肉で押しつぶされて……肌の血色が良いのが皮肉だな、健康そうだ……)」

騎士ほ「私、先に書類を外交の方に渡してまいりますわ。失礼いたします」

おかっぱ「(赤毛に、碧眼……その他身体的特徴がもっと知りたい……歯並びでも構わんのだが)」

エルフ看護師「あのう、どうかいたしました?」

おかっぱ「その……もっと顔を見てやりたくて。チューブを取ってやることはできるか? それとも、虫歯で顔が腫れてるか? なんてな」

エルフ看護師「あははは、虫歯だなんて。もう歯は全部抜いちゃってますよ」

おかっぱ「……そうか」

おかっぱ「(引き渡しの書類にも、役に立ちそうなものはなし……そりゃそうだ、あの大将が主導でやってた実験だからな)」

おかっぱ「(だが、城の城塞で知らされた情報とは合致する。飴色に近い赤毛、深い碧眼……旋毛の位置……)」

おかっぱ「(あの肉のカタマリ……見世物小屋にいそうな寝肥りだかヌッペフホフだかが……)」



おかっぱ「ゲホッ、げえっ!! うぇぇっ!!」

真神「ど、どうした……あまりの胸の無さに吐き気を催したか……」

おかっぱ「……生憎、もっと胸糞の悪い事を目の当たりにしたもんでな」

金長狸「胸糞……?」

おかっぱ「メリフェラに明け渡したあの肉塊が……話に聞いていた人物本人ならば……
あの大将、性根はあの騎士と勝るとも劣らぬほどに腐っているな……クソ、どうかしてる……!!」

金長狸「ね、ねえ……何があったの?」

おかっぱ「くそったれ!! どこまでも胸糞の悪い!!」

金長狸「ひぃ」

真神「お、大声を出すな、こわい……」

おかっぱ「魔王軍……勇者のヘイトを、事もあろうに……何の罪もないメリフェラの側に向ける気か……!?
それが理性ある人間のやる事か……ふざけるな……!!」

                      -――-  _

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           .′ . イ / /    '″ _r心'”,     | ‘.   {
           .′   .斗=''"芯        . : :|     |  .}    、
            i     |`、 ゞ'’ /       |     |_,ノ       、   オレはようやくのぼりはじめたばかりだからな
            |      |,: :     `      , -┐|      |    i     、
            |      | ,      ___. - ニ ',_ノ|    .′         丶 このはてしなく遠い女騎士坂をよ……
    ./>''"⌒ヽ .l      |.‘.    └―='"´   |     ′   ′       ヽ
   [,,'"    ‘.∧    Ⅵ ヽ、          |    ′   '       /
   〈  ,,'"   .l.∧.    ‘.  ≧=- .. __ イ´  |   ′  /     ./
   }Y / _,   l ∧    ‘.      _ -}  ′ ./-、  /     /
   '.ヽ.L__ワ   ノ  ∧    ‘.≦心r=ニ  / r ァ   /≦∧/    /
    ー{    {-、 斗、.   ‘.二ニ!   ノ l/   イ二二ハ≦二>x、
     「ヽ   ノ /V.ニニ\  ‘. -┴―< /  /二二二,二二二二心
      ‘.` 二 イ  ‘.>''" \ ‘.       / ./、二二二ア二二二二二ハ.
   | ̄厶        .l孑'"イニ\',二ニ>.//   寸ニア二二二二二二ニ.
二二二>'ヽ     ノ、/二二二二>'ィ'イ二心、 ヽ二二二二二二二二l

   `┬イ⌒ー‐=''"  〈二二二ア/二二二二心 ∨二二二二二二二.ト .,
二⌒7二ノ-‐‐ヘ      〈二二{ {二二二二二二ハ .|二≧=-二二二ニ=≦ニ

 / /  |  ‘.       〈二ニ} }二二二二二二ニⅥ二ニ二二二二二二二
./ /   .|     ‘、       くニ{ {二二二二二二二二二二二≧=----二≦
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女騎士「おばあちゃんが言っていた。世界はこの私を中心に回ってる」 - SSまとめ速報
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