俺「卒業式…家帰りたいなぁ…」 (19)

・オリジナルSSです
・いったん書き溜めたのを連続投下していきます

よろしくです

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1518565021


3月某日。


S高校体育館。


その時俺の目の前では、卒業式が行われていた。


俺は高校2年生。


なぜ高2なのに卒業式にいるのか、って?


あれだ、在校生代表ってやつだ。


参加が義務のダルいやつ。



目の前の舞台では卒業証書授与式が行われている。


名前を呼ばれると卒業生の大きな返事の声が聞こえ


それはそれは粛々と式が進んでいったものだ。


周りの高2連中の様子を見ると


大体は以下の2パターンに分けられるな。


好きな先輩が呼ばれたら


先輩の名を叫ぶ奴。


俺は心の中で過激派と呼んでいる。


あと、知ってる先輩が呼ばれたら


涙を流す者、号泣する者。


こっちが大半だけどな。


だから俺の周りは今涙の嵐な訳だ。


とにかく、息苦しい事に俺みたいにつまんなさそうにしてる者は


高2生200名程のうち、数える程しかいかなかった。


我々高2は、「歴代最高の学年」と言われていた。


模試の成績はもちろん、学年全体の品位、団結力


それらがまさに理想の域、どころか理想以上にある学年であった。


まぁ、俺は異常と呼ばせてもらっているが。


例えるなら、堕天前のガヴリールちゃんが男女ゾロゾロいる感じ。


みんな仲が良く、いじめのいの文字もなく、


これまで生活指導の標的になることもなかった。


並んで高3生との関係も濃く、頻繁に交流していたらしい。


卒業式で涙する奴が多いのはその為だろう。


その中で普通の、普通にダメ人間な俺は、少数派に分類されていた…

とこうしている間に、授与式が終わり、先生方の挨拶も終わった。


今から高3生とその家族は一旦退出し、


高2生だけで会場の再設営をするらしい。


まさにだるいの一言。




俺「帰りたいなぁ…」


まずい。声に出ちまった。


(でも、待てよ。


設営中はゴタゴタするし、こっそり帰るなら今しかないのでは…?)


こんな悪魔のささやきを聞いていたら


体が勝手にシャワー室に…ではなく


勝手に体育館の外に出ていた。


幸いまだ誰も俺の脱走に気づいていないようで、俺は先を急いだ。


しかし、あと校門まで50メートルといったところだろうか、


俺はオバハンの声に呼び止められた。




我が高2の学年主任である。

マズい。非常にマズい。



いろいろ体調不良とかでっち上げて誤魔化そうとしたが


普段(相対的に)素行が良くないせいで嘘を見破られ


俺はその場で30分強説教を受けた。


ただひたすらオバハンの加齢臭がヤバかったな。


香水くらいつけろ。


生徒の指導する前に、自分の指導をしたらどうかと思う。




説教がおわり、ヒステリーオバハンに引きずられながら体育館に向かった。


体育館がすぐ目の前に迫ったその時…






ドカァァァァァァァァァァン








最初はサプライズに花火でもやってるのか?と思った。


するとまもなく、俺の横30センチのところに、


これ舞台袖にあったはずの「卒業式」の看板の一部だよな、


「卒」だけが落下してきた。




前を向いて見ると




目の前は、体育館は、一面火の海であった。


目の前は、体育館は、一面火の海であった。


爆発音が続いている。


炎も治まる気配がない。


今の時間は高2と高3の「お別れ」のプログラムだったはずだから、


中にいたのは高2、高3とその家族、我々を除いた教員…


しばらく加齢臭ヒステリーDXオバハンとその場で立ち尽くすほかなかった。


その後、消防車15台が集結し、火が収まったのはそれから6時間ほど後のことだった。


俺は何となく家に帰る気にならず、自分の教室に帰り、体育館を眺めていた。


と、グラウンドをみると、見かけた顔のやつらが数人、輪になってバレーボールのトスの練習をしていた。


うちのクラスの連中だ。


奴ら、生きていたんだ…


俺は生き残った者同士の仲間意識みたいなものを勝手に感じながら、彼らのもとに走り出した。


あんな中よく生き残ったもんだ。


なんか、すごくホッとしてる自分がいた。


俺「おーい、お前ら大丈夫だったか〜!」


奴ら「」ボ-ルトス-


俺「生きててよかったわ〜、よく助かったな〜」


奴ら「」ボ-ルトス-


反応がない。


俺「おーい聞こえてるかー」


奴ら「」ボ-ルトス-


俺「俺も混ぜてくれよ、生き残った仲間じゃねぇk…」


その時、奴らが一斉にこっちを向いた。


彼らの目に生気はなかった。


かといって幽霊やゾンビの類ではないようだった。


いわゆる死んだ目。


俺は思わずひるんでしまったが、


奴らはしばらくするとまたトスを始めた。


奴らは7名いたが、


皆死んだ目をして、無言でボールをトスしていた。


いや、無言ではないな。


よくよく聞いてみると…



奴らA「α先輩…α先輩…α先輩…」ボソボソ


奴らB「βちゃん…βちゃん…βちゃん…」ボソボソ


奴らC「γくん…γくん…γくん…」ボソボソボ-ルトス-


高2生は優等生の集団だった。


だからこそ、バイト禁止の校則も守り、(俺はこっそりやってる)


塾に行く者も俺くらいのもので


学校こそ自分の居場所という者が多かった。


彼らもそうだったのだろう。


そしてそこでできるコミュニティは


彼らにとってかけがえのないものだったはずだ。


生きる柱の一つと言ってもいい。


それが一瞬にして吹き飛んだんだ。


彼らの精神がどうかしても不思議はない。


俺は彼らをしばらく眺めた後、学校を出た。


校門を後にしながら俺は呟いた。


俺「一つのコミュニティに依存しすぎるのも怖いものだな…」






という夢を見たんだ…


(設定等一部いじってるけど大体筋はこんな感じでした)


(なんでこんな夢見たんでしょうね…苦笑)


 おわり

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom