【ガルパン】君の赤ちゃんがほしい 東北・日本海編 (33)





カチューシャ「は? 私の赤ちゃんがほしい……?」

カチューシャ「貴方と私の……?」

カチューシャ「……。」

カチューシャ「……。」

カチューシャ「……。」

カチューシャ「ばっ……バッカじゃないの!? なぁにが赤ちゃんよクッダラナイ!!」

カチューシャ「子供なんて作ったってね、メンドクサイだけじゃない! わがままだし、うるさいし、生意気だしっ……」

カチューシャ「だいたい、カチューシャには子育てなんかしてる暇は無いの!」

カチューシャ「カチューシャには大シベリア平原にも収まらないくらいのでっーかい野望があるんだから! 子守りなんか、やってられないわっ」

カチューシャ「分かった!? 分かったら二度とそんなくだらない事…………な、何よ、何、残念そうな顔してんのよ……あ、あんたがバカなことを言うからいけないんでしょ……?」

カチューシャ「……何落ち込んでんのよ……」



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カチューシャ「……。」

カチューシャ「……。」

カチューシャ「……。わる、かったわよ……」

カチューシャ「……。」

カチューシャ「……。」

カチューシャ「……。」

カチューシャ「……わ……私だって、ほんとは……」

カチューシャ「……。」

カチューシャ「……っ」

カチューシャ「でも、自信、ない……」



カチューシャ「カチューシャのこんな小さな体で、こんな窮屈なおなかの中で、赤ちゃん、きっと狭くて嫌だって泣いてしまうもの。十分な栄養を分けてあげられるかだって分からない。胸だってだってこんなに、小さいのに……元気に産み育ててあげられる自信、ない……」

カチューシャ「っ!! きっと大丈夫だなんて、無責任な気休めはやめてよ!! 自分で産むわけじゃないくせに! カチューシャは……私は、お母さんにはなれない人間なのよ……」

カチューシャ「……え? な、何、これ……お医者様との、相談の、メモ? それに難しそうな医学書がこんなに……」

カチューシャ「……調べて、くれたの? こんなに、いっぱいいっぱい母体の勉強をしてくれたの……?」

カチューシャ「え……ほん、と? 本当にお医者様が? 可能性は十分にあるって、そう言ってるの?」

カチューシャ「私より身体の小さな女の人だって、ちゃんと赤ちゃんを……」

カチューシャ「……。」

カチューシャ「……。」

カチューシャ「……。」

カチューシャ「……。」



カチューシャ「……っ」

カチューシャ「こ、コソコソかってなことしてんじゃないわよっ、私に隠れて、私に黙って、こんなっ……こんな……」

カチューシャ「……。」

カチューシャ「……。」

カチューシャ「……。」

カチューシャ「……。」

カチューシャ「……ありがとう……」





カチューシャ「!? ちょ、んむっ……ぷはっ……は、早とちりんするんじゃないわよ!? まだ産むって決めたわけじゃないんだから!」

カチューシャ「でも、と、とりあえず……病院の予約、いれてよ。……次は、私も一緒に……相談受けに行くし……」

カチューシャ「……っ、もーっ、頭なでるな!」

カチューシャ「い、いーこと!?、二度とこそこそこんな真似しないで! もしもまたこんなことしたら……しゅくせーしてやるんだから!!!」














ニーナ「へぇぁっ!? 子っこ!?」







ニーナ「こ、子っこ……ほぁぁ……子っこ……」

ニーナ「うー、あー、う、うれしかべぇ……んだげど、ほんとに良がっぺか? わぁみたいな、ちんちくりんな娘っこ嫁にして……おまさ、よがべか……?」

ニーナ「っ、ちょ、まてぇし! アホぉっ! お前ぁは、またそんなどぼげだ事言って! 歯ぁが浮くべ……」

ニーナ「もー……」

ニーナ「……。」

ニーナ「……。」

ニーナ「……。」

ニーナ「……んだけど、えへへ、嬉しかよぁ。私と赤んぼさ、欲してもらえるなべ……おっかさもおっとさぁも、孫ができたし、よろこんでもらえっべかなぁ……」










ニーナ「はぁー、わたすもとうとう、おっかぁに……」

ニーナ「……。」

ニーナ「……。」

ニーナ「……。」

ニーナ「……あ、いげねぇ!」

ニーナ「大事なこと忘れとったべなぁ……あぁ、どうすっべかなぁ」







ニーナ「あ、んにゃ、こっちの話というか……いんや、おまぁにも関係あるか……うーん」

ニーナ「……ええい、うなっててもはじまらね! ちょっとだけ、待ってくれぇ! 確認だけすっがら!」

ニーナ「ちゃんと後で説明すっから、ちょっと、ちょっとだけ、待っでてなぁ!」




ニーナ「……えっとぉ、アリーナの携帯番号は……あった……(ぷるるる、ぷるるる)、アリーナぁ、でてくんろぉ、頼むから電話にでてくれなぁ」

ニーナ「……あっ、アリーナけ! ちょっと、大事な話があって、うん、急ぎだべ」

ニーナ「実は——かくかくしかじかで——んにゃ嘘じゃね! ほんとだべ! 今も目の前におるべし!」

ニーナ「そういうわけで……どうじゃろか……うん、うん……ほんとけ!?」

ニーナ「そっか! あぁ、よかったぁ! じゃあこん人には私からよぉーっく聞かせて説明しとくべ! うん、うん! じゃあ、今夜三人でまたー!」





ニーナ「……こほん、えっと……じゃあ説明するべ……」

ニーナ「……あー……」

ニーナ「……私とアリーナは、生まれも育ちも同じ町なんだべ。津軽の北の方の古い町だべ。んで……古い町には古い町なりの伝統があって……

ニーナ「私とアリーナはな、『隣組』いう間柄で、子っこのときからずーっと一緒に育てられてきたんだべ。んで……それはまぁ、これからもそーいうわけで……うー、あー……、……えっと……」

ニーナ「……っ、あーもー! らちがあかんべし、担当直入にいうど!!」

ニーナ「アリーナにも、どーか、おまぁの子っこ産ませてやってくれぇ!!!」

ニーナ「び、びっくりするのは当たり前だべ! でも、そういうものだと思って! 私からもお願いだべ! どーか! アリーナも良いと言ってるだべ……!」















クラーラ「え、Ребенок(レベノク)……赤ちゃん……?」



クラーラ「……」

クラーラ「……っ」

クラーラ「貴方は、シャイなくせに、急に積極的にならないでください、困ってしまいます……」

クラーラ「……はっ! ま、まさか、これが、特攻ダマシーデスカ? 大和ダマシーデスカっ! もうっ、お父様の言った通りデス……お父様はいつも言っていました、『日露戦争』で味わされた屈辱を忘れるな。やつらを見くびるな、と……もう……」

クラーラ「急に、赤ちゃんが欲しいなんて……え? 急じゃない? ずっと前から……?」

クラーラ「……っ」


クラーラ「確かに私だって、その気がなければ、貴方とそういうことをしたりは……」

クラーラ「……っ、と、とにかく、これは卑怯です! 不意打ちです! トーゴーアタックです!」

クラーラ「ものにはセオリーと順序があリマスっ。いろいろ考えなきゃいけないこと、たくさんあリマス! まずは……」

クラーラ「……まずは……」

クラーラ「まずは……」

クラーラ「……」

クラーラ「……」


クラーラ「……」

クラーラ「……貴方は嫌がるかもしれないけど……」

クラーラ「一緒に、ノヴォシビルスクへ来てほしいのデス お父様やお母様にご挨拶を。それに親戚のおば様達にも」

クラーラ「私達の国は、家は、とても血族の結びつきが強いです。私は、いずれは故郷に骨をうずめなくては……当然、あなたにも……」

クラーラ「私と赤ちゃんをつくるということは、そういう事デス……この国の人には、理解しづらいかと思って、ずっと言えませんでした……」


クラーラ「……」

クラーラ「……へ?」

クラーラ「ら、来週? チケットをとってあるから挨拶にいく? ほ、ほんとですか? え?え? ロシア語の勉強もずっと前からしている? 何だったらロシアに移住してもいい……?」

クラーラ「……」

クラーラ「……」

クラーラ「……」

クラーラ「……し、信じがたいでス! 貴方はそれでいいんデスか!? 祖国をそんなにあっさりと! 貴方がたはオクニのためにハラキリするのではないのですか! もうっ、……日本の人は理解できません……!」

クラーラ「でも……」

クラーラ「……私はいまとてもうれしいです……」


クラーラ「……ハッ! 私はしてやられたのですか? これがニッポンの誇る捨て身のバンザイアタックなのですか!?」

クラーラ「まいってしまいました……こんな向こう見ずなアタックをされたら……私にはとても、防ぐことができません…… なんて無謀で、恐ろしい攻撃なのでしょう!」

クラーラ「……この屈辱は、きっといつか晴らさせてもらいます……それまでちゃんと、一緒にいてもらいますからね……」









ノンナ「赤ちゃん、ですか」


ノンナ「……」

ノンナ「……実は私も、そろそろ良い時期かなと、思っているんです」

ノンナ「はい、本当ですよ。だから……うれしいです」

ノンナ「……ただ、一つだけ、思うところがあって……」

ノンナ「……」


ノンナ「……え?」

ノンナ「は、はい、そうです、カチューシャのことです」

ノンナ「……ふふ、見透かされているのですね」

ノンナ「でも、悪い気分はしませんよ。貴方は私を理解してくれているのだなって、少し、嬉しかった」


ノンナ「けれど、だからこそ、私の考えていることを打ち明けた時、あなたに呆れられてしまったらどうしようと、それが恐ろしくて……」

ノンナ「……でも、きちんと、お話しします……」

ノンナ「カチューシャもきっと今頃、彼女の旦那様と、大切な話し合いをしているはずですから……」

ノンナ「……」

ノンナ「……っ」

ノンナ「……」

ノンナ「私……子供は、カチューシャと一緒に産みたいのです……」


ノンナ「カチューシャと二人、同じ時期に妊娠をして、同じ病院に通院して、お互いの不安を打ち明け合って……お互いの体の変化を、二人でともに見つめ合いたい……」

ノンナ「そうして、もし奇跡が起こったなら——カチューシャと同じ日に破水をして、同じ病院の同じ分娩室で、一緒に出産の時を迎えたい……産まれた赤子を、二人で一緒に抱き合いたいんです……」

ノンナ「ですが、カチューシャは今、とても悩んでいます。自分は本当に母親になれるのだろうか、と」

ノンナ「だから、カチューシャが決断を下すまで、私たちももう少し、子供は待ちたいのです。カチューシャはいつかかならず決心をします。だから、それまで……」

ノンナ「……分かって、もらえますか……?」


ノンナ「……」

ノンナ「……!!」

ノンナ「ありがとうございます。貴方と出会えて、本当によかった……っ」

ノンナ「……あの、もう一つだけ、あなたに相談をしたいことが」

ノンナ「貴方も知っている通り、カチューシャは体とても小さいのです。……本当に母親になることが可能なのか、彼女自身が不安に思うほどに……」

ノンナ「彼女がいかに勇敢な決断を下したとしても、もし、現実が彼女の勇気を拒んだときは……」


ノンナ「その、時は」

ノンナ「……その、時は……」

ノンナ「……」

ノンナ「……」

ノンナ「……」

ノンナ「……わ、私たちでたくさん子供を産んで、、どうかそのうちの一人を、カチューシャに……!」

ノンナ「……っ」


ノンナ「……」

ノンナ「……そう、ですよね。簡単に決めてよいことではありませんね……」

ノンナ「それに、カチューシャにだって相談はしていないのです。すべて、私が勝手に考えていることです。……彼女には、言わないでください。どうか、お願いです」

ノンナ「ともあれ今は、カチューシャの決断を待ちたいのです。だから、それまで、私たちも子供を待ってもらえますか?」

ノンナ「勝手なことばかりをいって、申し訳ないと思っています……」

ノンナ「……」

ノンナ「……」

ノンナ「……あ……」

ノンナ「……ありがとう、あなたがこうして私を抱いて支えてくれる。私は……本当に幸せです……」

ノンナ「……ん? 携帯が鳴っていますね? 誰でしょう」

ノンナ「……あ、カチューシャ……?」




ノンナ「はい、もしもし?」



ノンナ「……」



ノンナ「……!! 本当、ですか……っ」



ノンナ「……はい! はい! ……同志カチューシャ、やはりあなたは————誰よりも勇敢で誰よりも偉大な人……!!」



ノンナ「ええ、私もさっそく……! では、健闘を祈ります!」



ノンナ「——……ふぅ……」

ノンナ「……」

ノンナ「……っ」

ノンナ「……~~~っ」

ノンナ「あのっ、先ほど貴方に、もう少し待ってと言いましたが……あれは取り消しですっ!」

ノンナ「さぁ! 私たちも赤ちゃんを作らなくてはっ——————!!」



















アキ「ふぇ!? あ、赤ちゃん!?」

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