1/4
【原作キャラ崩壊】
京太郎
のどっち
世界一位
不定期
非安価
10レスAASS
※サイコ要素あり
頂いた雑談から書きます
リクエストOK。既存カプのみ
新カプは期待しないでください
基本は単ヒロイン
四コマ漫画感覚でどうぞ
まとめwiki(更新停滞中)
http://www27.atwiki.jp/miyanagake/
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1484570848
2/4
・前スレ
【咲-Saki-】京太郎「みやながけ?」咲「京咲だよっ!」
【咲-Saki-】京太郎「みやながけ?」咲「京咲だよっ!」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1443023066/)
【咲-Saki-】京太郎「みやながけ」咲「京咲!」
【咲-Saki-】京太郎「みやながけ」咲「京咲!」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1444022970/)
【咲-Saki-】京太郎「一家団欒」咲「宮永家!」
【咲-Saki-】京太郎「一家団欒」咲「宮永家!」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1444232227/)
【咲-saki-】京太郎「みやながけ」照「京咲照」咲「京咲でしょ!」
【咲-Saki-】京太郎「みやながけ」照「京咲照」咲「京咲でしょ!」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1445021542/)
京太郎「みやながけ」咲「平行世界」
京太郎「みやながけ」咲「平行世界」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1449129501/)
【咲-Saki-】京太郎「みやながけ」淡「京淡!」咲「京咲だし!」
【咲-Saki-】京太郎「みやながけ」淡「京淡!」咲「京咲だし!」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1453294261/)
【咲-Saki-】京太郎「霞色の空」
【咲-Saki-】京太郎「霞色の空」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1458730218/)
【咲-Saki-】 京太郎「みやながけ」 淡「だったスレ」 咲「えっ!?」
【咲-Saki-】 京太郎「みやながけ」 淡「だったスレ」 咲「えっ!?」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1462023444/)
【咲-Saki-】京太郎「みやながけ」和「のどっちスレ!!」咲「(否定できない……)」
【咲-Saki-】京太郎「みやながけ」和「のどっちスレ!!」咲「(否定できない……)」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1468929553/)
【咲-Saki-】京太郎「みやながけ」淡「はおまけ!」咲「おまけじゃないよ!」
【咲-Saki-】京太郎「みやながけ」淡「はおまけ!」咲「おまけじゃないよ!」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1474040744/)
※ 『みやながけ見てたけど霞色の空って何?』って人へ
前シリーズで予告してた京霞。京玄の続きはそのスレで終わらせました
3/4
・完結済み。後日談系統
みやながけ次元
京和次元
京照次元
京淡次元
京白次元
京霞次元(霞色の空)
京穏次元
京玄次元
ダルてる次元
のどアコ次元
京咲照次元
京淡ネリ次元
新訳:京霞次元
・継続中
京優次元
京桃次元
お金持ち次元
・基本は単発
京一次元
京明次元
4/4
・前スレのリクまとめ
>>430 きれいなのどっち(単発次元)
>>442 京太郎知識試験(お金持ち次元)
>>446 咲ちゃんの誕生日当日編(単発次元)
>>459 >>723 京ちゃんと豊音が出会ったら(単発次元)
>>457 あわあわVSアラフォー(京淡次元)
>>454 >>923 筋肉! 筋肉! 筋肉!!(筋肉次元)
>>724 全次元が混線したらどうなるの?(単発次元)
>>734 親子で温泉旅行(霞色次元)
>>737 世界一位vs須賀京太郎(のどアコ次元)
>>899 マホ-闇に舞い降りた天才-(単発次元)
>>919 >>923 最後の追い込み!(京穏次元)
>>924 京ちゃん聖人化の理由(京和次元)
>>925 グラビティバレンタイン(のどアコ次元)
>>926 京ちゃんの誕生日(???次元)
>>944 きれいな姫様?(単発次元)
前スレにSS投下して来ます
リクあればどうぞ
前スレに「きれいなのどっち」投下
埋まったらこっちに投下します
1/10
13
【咲は何をやらせてもダメだからなァ】-単発次元-
「咲は何をやらせてもダメだからなァ」
「何言ってるの……。はい、それロン」
「ぎゃー!?」
「そーいう京ちゃんは麻雀がダメダメだよね」
「うるせー」
清澄一年生で雀卓を囲う。
なんだかんだ言って同年齢で気兼ねなく遊べるから、この四人で集まることは多い。
「まーた二人でイチャイチャしてるじぇ」
「してないよ。誰が京ちゃんなんか」
「少し気になったのですが」
「ん?」
「のどちゃんが麻雀中に世間話するなんて珍しいな」
「私だってそういうときはありますよ」
まだ麻雀が始まったばかりだと言うのに和が世間話を始めるのは珍しい。
いつもならばデジタルモードに入って無言になるところだ。
「須賀くんは『何をやらせても』と言ったじゃないですか」
「おう」
「それでは、他に何かさせたことがあるんですか?」
「ちょっ、和ちゃん!」
「ほほーぅ。
優希、確保!」
「ガッテン!」
「優希ちゃん!? は、離してぇ!」
「咲ちゃん非力すぎだじょ。全然抵抗になってないじぇ」
見事な手際で咲を抑える優希。
優希も体格的には咲に劣るのだが、咲の非力っぷりはそれを凌ぐようだ。
そこそこ運動が得意な優希に抑え付けられては手も足も出ないのだった。
「さぁーて、何から話そうかなー」
「今日の麻雀は終了ですね」
「和ちゃん!?」
「こんな面白い話は止めらんないじょー」
「民主主義で決定だなー」
「か、数の暴力だよぅ」
気づけば和も優希も牌を倒し、咲を弄るモードに入る。
麻雀部員である前に高校生なのだ。部活以外で楽しみたいこともある。
2/10
……
…
「よーぅ、咲ぃー。
ちょっといいかー?」
「ぅひ。な、なに、京ちゃん」
「お前よくどもるよなー」
それは中学一年生の頃だった。
なんやかんやあって咲と京太郎は出会い、お互いに名前で呼び合うほど親しくなった。
対人コミュニケーションが苦手だった咲がここまで心を開いたのは京太郎の努力のおかげである。
なお、出会いのきっかけは隣の席だっただけである。
「そ、そんなことはいいじゃん。
どうしたの?」
「咲のそのどもりっぷりを改善してやろうと思ってさ!」
「よ、余計なお世話だよっ」
「つーわけで、カラオケ行こうぜ!」
「ぅひ」
「よーし、行くぞー!」
京太郎の突拍子のない提案に対し、うまく返答することができない。
お小遣いが厳しいとかほとんど歌ったことがないとか、言いたいことは色々あったけれどそれを伝えるのが苦手だ。
咲は京太郎のそんな強引なところがちょっと苦手だった。
「咲は何歌うんだ?」
「えっと、歌ったことないから」
「マジで?
女の子は歌上手いイメージあるし、大丈夫でしょ」
この時、京太郎は活発的で『歌うのが恥ずかしい』と言った感情は浮かばない。
まずは自分が何曲か入れて歌い始める。
「わわっ、京ちゃん上手いんだ」
「結構友達と来るからね」
「ううー」
「まったく何も歌を知らないってことはないだろ?
なんでもいいからいれてみなよ。
こー言うのってノリだぜ」
「うー!」
「唸るな唸るな」
そこまで言っても咲は躊躇してしまう。
俯いてしまった咲に対し、京太郎はデンモクを操作しながらじっと待つ。
それ以上は決して詰め寄らず、焦らせない。その辺りの距離感が京太郎だった。
3/10
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|: : : {: : :^{从ィ笊ミ、 ∨ ,ィ笊ミ/}: /: : | \}
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|: : :{ \:、 r弋こソ 弋zソcl:.|、: :|
从: : 、 ' 乂ノ:.:.:. ' :.:.: |/ \:}
Ⅵ、: ー: .、 ___ 人 `
乢: : :| . (__,.---- 、_) イ 「笑わない?」
从 :| > __. ´
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,. ´ __ `¨¨ヽ
,  ̄` / ヽ `ヽ
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 ̄ {〃 Ⅵィ斧从 } /-}/-/、 , /-、 ∧}
/ , 从 Vり ∨イ ,イ斧ミ、}/ /⌒ } | '
/ イ从 l ム Vり ム' ノ/}'
´ \∧ ' ,r ' / 「笑わねーよ」
、 v ァ / 从/
\ `こ イ _|、
` r ´ //∧
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「ほ、ホントのホントに初めてなんだからね!」
「俺だって別に上手いわけじゃないし」
「うー、京ちゃんは上手いからそう言うことが言えるんだよぉ」
「やってみないとわかんないじゃん」
「だって怖いし」
「でも、歌いたい曲はあるんだろ?
なんか探してたじゃん」
「あぅ……」
「ほら、入れちゃうぞ」
「あっ」
咲の開いていたデンモクの画面を見もせずに曲を入れてしまう。
わたわたと焦る咲にマイクを渡し、歌い始めるのを待った。
4/10
……
…
. . . . . /. . . : :/: : :/: : : : : : : :ヽ: : : 、: . . 寸三ニ7
: : : : /. . : /:/: : /:!: : : : : : :.|: : :゙、: : :!: : . . 寸三}
: : : /. . ://! !: :,':.:.|: :.:|: : : : :!: : : :ヽ: :l:| . . . ゙ニ7
: : / . .:Ll-┼┼-l、: :|: : : :.!|ヽ,r|''T:ーt、: : : :├'ヾ、
: :,'. : :.´!.! |:∧ | l.| ! ,'|:.l: : :|| |: !:||: |: : :.l: : ! ヽ、
: :l{: : : :|!| i' ヾ |! |/,'/|: :/|! |/|' |:./!|:.,イ: :.i! i!
: :l|ヽ: : | ┳━┳━/' /:/./'┳━┳' イ:/,': : ,'| ノ
: :.i!: :lヽl ┃//┃ /'´ ┃//┃ イ'l/: :,イリ
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: : : : | ,':´:!: : . .!
: : : : L """ ' """ |: : |: : . .l
: : : : ト.ヽ イ: : l: : . ∧
: : : : |ヽ|ヽ ⊿ .ィ´: !: : i: : . . .゙、 「それでどうなったんですか?」
: : : : ト、l} ` _ _ ....:チ: : :.,':λ: :!: : . . . ト、
: : : : ゙、/ 7"/': : :.,': : :./:/ |: : !: : : . .ト、゙、
: : . : : lヽ ,'-.、_: : /: : :./!,' .!: :.|:. : : . .l ヾ.
: : . . : :゙、:\ ∧:::::::::::-.:_//' !: :.|: : : : . ! l:l
ヽ: . . . . ヽ、:`ヽ ヽヽ::::::::::::|!`! |: : !: : : : . | リ
/\-――‐- 、
, --=7 丶 `ヽ
/, ヽ ヽ
∠/ / 、 、 丶 i
/ i ! l. l i. i |
/ ,/ ! ! l|| ! |、 ll ! | ヽ、
/_ -7 , | l ト、| |ヽ! N , 斗 r ,'_ ト--`
 ̄ //! ! Nヽ!\|,//l/ l/! N ,ハ !|
´ / ,i丶 {=== l/ == =l/ ' ノ リ
´ {ハ!ヽ{ ′ /!}/ ′ 「ドラえもんが流れてきて笑っちゃったよ」
丶 ー ―‐ ' / |′
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__ i ー ' ! __
, ィ'´:.:/-‐ ´} / `Y´:.:.\
, -‐'' ´:.:./:.:.:./― - 、 ,/__ /:.:.:.:.:.:/`丶、
ハ:.:.:.i:.,:.:,′:.:i `  ̄ /:.:.:.:.:../:.:.:.:.:.:.:.丶、
/:.:.:.i:.:.:|,':.:i:.:.:.:.:! ヽ / /:.:.:.:.:.:/:.:.,:.:.:.:.:.:.:.:.:,.ヽ
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/: : : : : : : : : |: : : |ヽ:斗====ミ|.八: : : | 斗====ミ、 Ⅴ: i|: : : : : :i
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´ ̄ ̄ il : :八: : :|″ ._)::::::hi} ヽ ._)::::::h} |: /: : :/ : : |
|i: : : |r\| 乂___ツ 乂___ツ . |/: : :/: : : :j
|i : : :|l`ハ `ー , ─‐ :' /: : ,イ: : :|: ,
|i ,: :∧ """" """" 厶イ'/:|i /|/
l/|: : :人__ ,__/: ル' '′
{ |: 八: : 从 ー─ /: : /'′ 「あの時は本当に歌える曲がなかったの!」
|/ \: : \ /´ ヽ ,イ: /
' \ ト、: , _, ─ ノ , : : /
ヽ \:> _ <: /
ヽ: : 〕 ─ 〔: :/l: /
「うわー、京太郎。笑わないって言っといてそれはないじぇ」
「アッハッハ。予想外でさー」
「ホントだよ!
あんなにカッコつけて言っといてさ!」
時間は戻って清澄高校麻雀部。
和と優希の二人は話を聞いてケラケラと笑い、咲はムスッと京太郎を睨んでいる。
5/10
「結局、あれから十分くらい泣かされたし」
「わ、悪かったって。
カラオケ代全部払っただろ?」
「当たり前だよっ」
「京太郎、最低だじぇ」
「いや、本当に悪かったってば」
「もー、しょうがないなー」
少し罪悪感があるのか、両手を合わせて咲に頭をさげる京太郎。
溜息を吐きながらも許してしまう咲。二人とも動作が非常に馴れていた。
「(このやり取り、何回もやってますよね)」
「(間違いないじぇ)」
「結局咲が泣き止んでから二人で歌える曲を探してさー」
「男女で歌える曲、結構覚えさせられたもん」
「そこそこ仕上がったよな。今度和たちにも聞かせようぜ」
「えぇー」
「(まーたイチャイチャしてるじぇ)」
「爆発しませんかね」
「のどちゃん声に出てるじょ」
気づけば和と優希をどこかに放っておいて二人で話し始めてしまう。
和と優希は呆れつつも話を聞き続けることにする。
「アレからかなー。
咲が俺に遠慮がなくなったの」
「そういえば咲さんは須賀くんに遠慮がないですね」
「だって京ちゃん、強引なんだもん。
何も言わないと何させられるかわからないから京ちゃんには強く言うって決めたの」
「とかなんとか言いながら付き合ってくれる咲なのであった」
「こっちが折れるまでずーっと付きまとうんだもん」
「他にもあったよなー。
あのキャッチボール事件」
「あー! あれもひどかったよ!」
「わ、悪かったってば」
「(二人の世界に入ってるじぇ)」
「爆発しろ」
「のどちゃん。口調、口調」
懐かしい話をすれば止まらないのか、京太郎と咲の二人で盛り上がってしまう。
そんな二人を見てエトペンに腹パンし始める和だった。
6/10
……
…
「ほら、行くぞー」
「う”ぅ”ー!
だからキャッチボールなんて出来ないよぉ」
「ずっと本ばっか読んでると体に悪いじゃん」
「別に悪くてもいいの!」
京太郎と咲が仲良くなり、咲はどんどん遠慮がなくなっていった。
強気で話さなければ京太郎に流されてしまうことを学習したからだ。
しかし何故だろうか。どんなに嫌がっても一回は京太郎の無茶振りに付き合ってしまうのだ。
今日はキャッチボールなんて言って連れ出されている。
「大丈夫だって。下から投げるからさ」
「私が投げられないの!」
「えっ、それはマズイんじゃないの」
「知らないもん」
「まぁなんだかんだ言って来てくれたんだし、ちょっとくらい付き合ってくれよ」
「もー」
京太郎としても本気で咲を鍛えるつもりではない。
あくまで運動不足の咲を外に連れ出すのが目的だった。
逆に咲はハンドボールを頑張っている京太郎を見て、まぁ運動の手伝いくらいならしてやろうと思っていた。
まさか自分が運動することになるとは夢にも思わなかっただろう。
「ほれっ」
「わっ、わっ、わわっ」
「ほら、これくらいなら取れるだろ?」
「う、うん」
京太郎は本当に軽く、勢いをつけずに下から投げた。
咲は自分の手のサイズにも合わないグローブを使っているが、なんとか受け止めることが出来た。
「ほら、少しだけでいいからさ」
「うー、笑わない?」
「笑わないって」
「前に笑ったもん」
「今回は笑う要素ないじゃん」
「へ、変な投げ方したりとか転んじゃっても笑わない?」
「大丈夫だって」
さすがに悪いと思っているのか、頭を掻きながら咲を宥める京太郎。
咲もグローブで顔を覆っていたが、意を決してボールを投げることにする。
7/10
……
…
「えいっ」
「うおっ、ちょっ、どこに投げて……」
「あっ、待って!」
「まさか前に投げられないとは」
何故か咲が選んだのは下手投げではなくオーバースロー。
もちろん投げ慣れていない咲がうまく投げられるわけもなく。
「待ってぇー!」
すっぽ抜けたボールは咲の遥か後方に。
焦って走り出した咲は公園から出てボールを追いかける。
一瞬茫然とした京太郎は頬を掻きながら咲が帰ってくるのを待つことにする。
が、5分経っても帰ってこない。
たかがボールを拾いに行くならば1分もあれば平気だろう。
「もしかして、迷子?」
焦って京太郎も公園の外に飛び出す。
咲の向かったであろう方向を見ると、そこには誰もいなかった。
……
…
,. . . -――- . . .、
,. :' : : : : : : : : : : : : : : : :>.、
./ : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : \
/: : : : : : : : : : : : : ,ィ: : : : : : : : : : : :ヽ
/. . . . . . . . / l: : : : : ト、 : : : : : :.
,' : : : : : : : : : : : : / l . . . . l .',: : : : : : : :.
,' : : : : : : :l: :,i : : / U l: : : : :! ',: : :l: : : : :.
i: : : : : : : :l /{ : /-一' レl: : ノー-,: : l: : : : : i
!: : : : ;、: :レ l〃⌒ヾ l/ 〃 ヾ: :l : : : : : !
',: : f⌒\{ {l l} {l l}Ⅵ : 、 : : !
',: { 乂_ノ 乂ノ .l: : :} \ノ
',:乂_ ` .!ヘ:ノ
',: : : : 丶、 U ,--、 u ノ
ヽ{\ : : ㍉  ̄ ,, '' 「ここ、どこ?」
`^≧| ┬ァiフ¨
///∧ Kヽ、
//////∧ }//> , 、
/ \//////∧ー―l///// }
気づけば公園から遥か離れた場所にいた。
ボールを追っかけていたはずだが、ボールの影も形もない。
そもそも咲の腕力でそんな遠いところまでボールを飛ばせるはずもないのだが、本人は気づかない。
「うー、ボール無くしたら京ちゃん怒るかな」
ビクビクしながらボール探しを続行する。
京太郎が怒るとしたらきっとそこではないのだろうが、本人は気づかない。
見知らぬ土地(と言っても同じ市区町村なのだが、咲基準である)でオロオロと周囲を見渡す。
もちろん、ボールが見つかるはずもない。
8/10
……
…
それから数十分。咲にとってはもっと長く感じられた。
もはやボール探しどころではなく、涙目で元の場所に戻ろうとする。
しかし咲の天性の迷子力がその程度でどうにかなるはずもない。
____
,. : :´: : : : : : : : : :` : : 、
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l' |: : :V:,イて雫ミ:{ 从{/:_イ: :/|: : : :, : : : : l: |
|: : ,:从{cVり \ イて雫V}: : :/-、: : /}/
|: :ハ: { "" , Vzりつ': :/ }) }: /
|/ }:人 ムイ- く:/ 「ううっ、京ちゃん……」
' ヽ::っ イ: :/{∨
` . __ . ´ |/}'
/} /⌒\
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/, ´ ̄ ̄` '⌒´ \
、_/_/⌒ヽ , / ヽ
,---、 / // : ヽ :.
, / ̄-/ /' { | | | :
/ __  ̄,./ /-' l| l | |___ l | |
.:' / ,イ _| | |ア__l { { | / }`| | |
/ ,:´ | { | l\{从 ∨ィ斧ミ、 | |
/\'´ /{ | 从{__,. \∨Vソ }イ ト、 ∧{
////\ r--- ´八 !∧  ̄ ,: :.:.: }/ノ/ リ
. ///////\ \}∧ u 八/
//////////〉 込、 __ ,.: / 「あー、こんなところにいたのか」
///////// / }>、 ` イ |从
,'//////// / _ /--、l ` ̄ :, |--、
.///////// / イ/////\ {////} / 「///|
'//////// /´// {////////ー '|////| , |///l|
///////////// |l///////////ヽ// \ |////> 、
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/: : : : : : : : : : : : : : : : : `ヽ、
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': : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ヽ
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{: : ,: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :}: : l: 、
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|:∧: : : : : : : : : : : : : : : : : : : イ{∧:|:|: : | \〉
}' 、: : : : : : : : : : : : : : : : l: / Ⅵ/∧: :!
∨:、: : : : : : : : : : : : :/イ u |/ ∨ 「えっ、京ちゃん!?」
}:/\:|: : : : : : : : / 人
/ -从-----イ{ イ
_,.::―/:::::::::::::::::::::::::::≧≦--r---、
/:/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::://:/`ヽ
,::/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::{ {::{ ,:∧
/:{{:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::| |::|/' }
しかしどういうことか、気づけば傍に彼がいた。
自分でもどこにいるのかわからないし、連絡を取る方法もないのに、だ。
彼の傍にいるとわかったことが安心して、腰を抜かしてしまった。
「そんな遠くなくて良かったよ。無理言ってごめんな。アイス奢るよ」
「う、うん」
アイスを奢ってもらえるという事実より、怒りも呆れもせずに手を引いてくれたことを覚えている。
9/10
……
…
「とまぁ、昔から咲は迷子になりやすくて」
「もー、いいでしょ……。恥ずかしいよ」
「それで普段から迷子になっているわけですか」
「最近は和が探してくれるから楽でいいよ」
「そうなんですか。
私は探さない方が良さそうですね」
「なんでっ!?」
「ね、咲さん」
「あうぅ……」
「あー、雌の顔してるじぇ」
「してないよっ」
京太郎のわからないところで女子トークは進んで行く。
こうなれば京太郎がついていけなくなる番だ。
「なんの話してんだ?」
「おーっと、ここから先は男子禁制だじぇ」
「たーっぷりお話を聞かないといけませんからねっ」
「きょ、京ちゃん助けてぇー!」
「って言われてもなぁ。
……お、部長から連絡だ。ちょっと行ってくるわ」
「ま、待ってぇー!」
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. ! i:i! | ..:i :i:.:.:i`iー>ト-!、丶:.:.:.:.:i:、^V i_;:::::::ヽ / i: : : : :.:|:.:|:.:.:.:
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ヾi 、:.\:.:\:.]〈 っ::::;:i  ̄` _,∠|:|: : : : .:|:.|―-
ヽ!:.i、`゙ー-r≧ >≠ , " " / |:! : : : :.:|:.!////
|:.|:.:.:.:.:.:.:\! ,, ,, / i!: : : : : ::i:.i////
|:.|: : : : :.:.:.i i r== "ヽ / i: : : : : :.:i:.|//// 「さぁ、色々と聞かせてもらいますよっ」
| |: : : : : :.:i:.:|\ ∨__ノ) / /: : : : : :.:i.:|////
|:| : : : : :.:.|:イ |:::|l`ー-..、  ̄ ̄ / / : : : : : :.:|/////
|.|: : : : : :.:|:∧ i:.:!i::::::::::::::`i ー-‐ ' ,..-‐:/: : : : : : :.:.i!/////
/ : : : : : : : /: |i: : : : : : : / : : / | : : |\: : : :|: \: : ::∨: \
. / : : : : : : : : : : : |i:: : : : : ::/ : : >ト ., | : : | |: : ∧ : : : : : :|: : : ::ヽ
. .: : : / : : : : | ::八 : : : : /{/,.斗=ミ. |: : / |< ̄:|: : |:::∧: : : : :.
′: : : : : : : : : :|: : : : : : : / . ,ィ´ん):iト, |/ .斗=ミ|::| : :Ⅳ ∧:: : :::|
| : : : |i::∧: : : : :!: : : : :\{:| 〈 {h:::iノ } ん)ト |/!/ |: :∧ : : |
: : ::|i::|.∧ : :: :|:: : : : : : : :, .乂こン {h:iノ} ゚: : :| : : | : : :/
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|: :\! : : : : : : : : :, ,.,., : : : : |/
|: : : : : : : : : : : : : :, ゝ , } : : : |
|: : : : ::|i: : : : : : : : : イ : : :/
|人:: : :|i: :|: : :|:::|i: :}> イ: :|: : : 「逃げられないじぇー」
. \八/\人八/} ー┬‐ ≦: :人/|/
{^辷ー^ヽ/\/ヽア:/
. ,r‐=ニニ二二二\ 〈二ニニニニニニ┐ :/
. / -=ニニニニニニニ.\ ∧ニニニニニニニ.!∨ /
. / -=ニニニニニニ\ Y⌒Y⌒Y}ニニニニニニニj{. ∨
10/10
……
…
「咲は何をやらせてもダメだからなァ」
「あー、そーいうこと言うんだ」
「だから心配で心配で」
「ふーんだ」
何年か後の話。
いつもと変わらないように二人は話している。
,. ⌒ヽ、/⌒ 、-- 、
/_,..- ヽ ` 、
/ /´ / ∨ \
, ´ / ,' : 、 ヽ
/ , , / /| | :. | | | ∨
_/ / / |_|__'_| | _}_|_|_| | | :
 ̄ ̄´/ イ ' { ´| |/__{ |: , ´/}/_}∧ | | |
/ / , rⅥィ笊 从 {∨ /ィ笊_ヽ}/、 | |
/ イ ∧{ 从 Vり \∨' Vり /' / ∧{
´/イ }从lム ; \ ,ノ / \
| ∧ U ∧,イ
Ⅵム - - イ //
_ヽl\ //イ__ 「ちゃんと子供の面倒見れるのかなァ」
|////} ` ー ´「////|
|////| :. / |/[__}/|
,...<////∧ , |/////> 、
, <///////////\ ///////////> 、
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,. : ´: : : : : : : : : : `: : .、
, :´: ,. : : : : : : : : : : : : : : : :\
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|:〃: : : : /: :/-:/-、/ ': :': : ': |: :|: | : : :∧
}'.': : :/^/: :/ {:/ {:/ /: /: :/: :}: :|: |: : :|: : :.
{: |: { |: ,: /' /' /イ//':-/、:': : : : :ト: : ::.
|:从::. :.:.:.:. _ /イ: :/: :,: :.|
/ Ⅵ ' `ヾ / イ: :/}: /
______| 、 「 v :.:. イ: :/:イ/イ
/<_:::::::::::::::::::\_ `ーr---- =彡j/ 「おかーさんはね。
{¨7=ミ、< 、::::::::::::::\___〉>、
_| , ∨、:` < 、:::::∧ |::::::::::ヽ 自然とそう言うことが出来るんだよっ」
/ ̄:::::::// | }、:.:.:.:\、::::::. |:::::::::::/〉、
\___ 〃 | / \:.:.:.\、::Ⅵ:::::/イ ∧
 ̄¨/ ∨ `ー ≧='-´:/ ハ :.
/ / {二「 } |
' ∧ /:.:∧ ,
/ / } /:.:.〈:.∧ { |
, / | /:.:.:.:.∧:.:| | |
何年経っても、同じ会話を繰り返す。
カン!
京咲スレです
1/10
【関西女子】-単発次元-
「んー♪
この天ぷらがたまらんなぁ♪」
「ふと思ったんだけどさァ」
「なんや?」
「いや、関西の人って独特のイントネーションがあるじゃん」
「そぉやな。
私も東京に行った時は驚いたわぁ」
「なんつーかグッとくるというか、可愛いよね」
「……へっ?」
__ /ヽ/ヽ
. -‐: 7 |:.:.:.:.:. ! ./:.:./:.:./
/: : : : / .ィ |:.:.:.:.:.:| /:.:./:.:./
/:{ /: : : : : ///____ |:.:.:.:.: ! ./:.:./:.:./
/: :{ .-‐ : /⌒ヽ: : : : : : : : : :/ .|:.:.:.:.:.| ヽ./ヽ/ /′
. /:V : : :/ : : { : : : : : : : : : : : : / .|:.:.:.:. |______ ______ ./ :/
{: :{: : :/: : : : : '; : : : : : : : : : : : ‐--: : :ァ .|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. / /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./ /:.:.:./
〉: : :/ : : : : /: ヽ : : : : : : : : : : : : : / | :.:.: r‐… ¨¨ ̄ .二二二二二 ./:.:.:./
∠: : :/ : : : : /: : \ヽ: : : : : : : : : :< .|:.:.:.:.| /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./ /:.:.:./
. /: : / : : : : /γ⌒ヽ: :\{ヽ< : : : : : :\ |:.:.:. |  ̄ ̄ ̄ ̄ /:.:.:./ ____
: : :〈 : : : : /: :{{ }} : : : γ¨ヽ : : : 「 ̄ !:.:.:.:| /:.:.:./ /:.:.:.:.:.:.:.:. /
|: : : ヽ: : : {: : 乂__.ノ: : : : :{{ }} :} :| .!:.:.:.:! /:.:.:./ 二二ア:.:./___
|: : : { \{ヽ , ‐- 、 乂_ノⅥ/ ィ/ \/ /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./
Ⅵ: :廴__ / V ,ィ} イ // ,. ャ  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ヽ: : : : :ヽ .′ ∧{ /{// ./ {/ /'´/
\ト、 : ≧-廴_./ /. :/───ァ / . : : /
ヽ:キ、:.\/ く: : :〈__. -‐'´′{ヽ : : \
,i `ヽ{ .> ========{ .〉 ===========---
ハ ゚。 く: : . /‐- .、 ', ‘./: : . 〈
. ,′ } ‘, : : > : : /{ ', ‘,: : く
,′ ハ ∨ヽ、{ : : : :/ヽ \ r .、 \
,′./ :} / : : : : : : / ‘., \! `¨`
¨´ └} : : : : : : / \ `ヽ、
/: : :_> ´ , ` ー┘ヽ
 ̄ \ ‘, `¨¨
\ ゚。、
㌧ノ }
ヽ./
, ´ / ` < ⌒\
/ | :. `ヽ、
/ / / l| V ` 、
.' / , { { | | | 、 、_ \_
| | | | |∧| { : ハ V 、\  ̄´
| | {/--{ 从 | , |-|、 | 、 \`
' | ,..- | | | ,ィtォ=ミ∧ |,ィtォ、} / |l ハ\_、
/イ{ { r 从 { Vソ ∨' Vソ/イ |∧}
∨乂 \ |/ j' リ
}∧ ー:. ` ムl/
/ 、 八 U _ _ 人
}イ/|\ / 「どしたの?」
「<l| ` .__/_
|////>、 | 「/|
-=≦、[二]//l} |、}l∧_
-=≦///////////\ |/////≧=-
r-=≦//////////////////|___j\//////////≧=、
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色々あって、こうなりました。
2/10
……
…
清澄高校と千里山女子高校に直接の関わりはない。
実際に対決したわけでもないし、知り合いがいるわけでもない。
しかしまぁ、インターハイの時になんやかんやあって一言二言話す機会があって。
京太郎が大阪旅行に来た時に、たまたま再開して。
道頓堀で食い倒れている最中に世間話をしただけである。
「それで惚れたんか?
チョロいわぁ」
「ちょ、チョロくないですよ!
園城寺先輩かてインターハイの時に『結構イケメンやん』なんて言うとりました!」
「泉が一生懸命話を逸らそうとしているの可愛いわぁ。
フナQ、確保」
「ガッテン」
「俺は恋愛とかよーわからんけど、頑張りやぁ」
「先輩助けてくださいよぉ!」
「からかう方がおもろいやん」
先輩たちに意地の悪い笑みを向けられ、居心地の悪い泉。
なんだかとても悪いことをしているような羞恥感。
「べ、別に惚れたとまでは言ってませんよ。
ただちょっとドキッとしただけで」
「嫌やわぁ。そういうのが恋につながるわけやで。なぁセーラ!」
「俺に聞くな」
「なぁフナQ!」
「そうなんですかね?」
「なぁ竜華!」
「京くんまたパチンコで負けてしもうたん?
しょうがないなぁ。京くんは頑張り屋さんだもんなぁ。
はい、これでまた頑張ってなぁ。
明日も朝並んでパチンコの席取りは頑張るからな」
「ほら、竜華も言うとるやん」
虚空に向かってブツブツと呟く竜華を指差してドヤ顔を見せる怜。
泉は顔を真っ赤にして手を振り回す。
「ちゃいますって。
アイツが、京太郎が変なこと言い出すからですね」
「おー、名前呼びとは進んどるなぁ」
「実はもう付き合っとるん?」
「だーかーらー!」
女子高生ともなれば恋愛に興味津々。
しかも対象は普段から弄られている泉だ。飢えた獣に生肉を与えるに等しい。
3/10
「もーちょい! もーちょい詳しく教えてなぁ」
「べ、別に大したことはしてませんよ。
きょ……、須賀が道頓堀付近でフラフラしててですね。
なんだか道に迷ってるみたいだったから声かけたんです」
「積極的やなぁ」
「そしたら意外と話が盛り上がるんですよ!
まー、笑いのセンスは西には勝てませんけどね?
なにやら美味いモン探しとるってことなんで、道頓堀を案内しようかと」
「泉、テンション上がってんなぁ」
「串カツとか食わせて、王道のたこ焼き十八番に連れてったんですけど」
「ふむふむ」
「そこでさっきの会話内容を……」
「『可愛いよね?』って?
泉ー、チョロすぎへん?」
「だから、そー言うのちゃいます!」
断固否定する泉だが、先輩三人はニヤニヤと泉を囲んで見ているだけだ。
「いやー、でも今の話をしている時の泉がなぁ。
嬉しそうで楽しそうで、どっからどー見ても恋する乙女って感じやで」
「そんなことないです!」
「やるなら攻撃あるのみやでー。
よーわからんけど」
「セーラが地味に積極的なのは後で問い詰めるとして、今は泉やな」
「せーやーかーらー……」
「泉諦めろん。
こうなった怜は面倒臭いで」
しつこく弄り倒してもメゲないのは関西だからだろうか。
セーラと浩子は恋愛ごとに興味があると言うより泉をからかうのが楽しいから弄っている。
怜はどちらも、と言ったところだ。怜は竜華と同じでそれなりに少女趣味も持っている。
「こー言うときは、経験者に聞くのが一番やな」
「経験者って誰や?」
「はい、京くん。あーん。
嫌やわもう、まだ朝ごはんなんだから膝に擦り寄らんてーな。
ふふっ、悪い子や。後で頭なでなでしてあげるわぁ」
「ふふふっ、それはもちろん」
怜が立ち上がり、少し遠くを指差す。
4/10
_人_/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\
Y/ :::::::::::::::::::::::::::::::∧ :::::::::\:::::::::::::::::::::. キリッ
/:::/::::::::::::::::::::::::::::/ ヽ:::\ :::|:::::::::::::::::::::.
:::/::::::| ::::| :|::::::::::/| \__ヽ|::::::::::::::::::::::
|::i| ::|:::|`ト|/| ::::/|斗テ气宀〉>|::::::::::::::::::::::|
|::i| ::|斗テ气{/ 辷_ソ / |::::::::::::::::::::::|
|:: V从 辷ソ |::::::::::::::::::::::|
|:::::iハ i::i::i:: |:::::i::::::::::::::::|
|:::::i:::| i::i::i /\ :|::::ii::::::::::::::::| 「監督、出番!」
|:::::i从 \/ .ィ|::::ii::::::::::::::::|
|:::::ii::个 ,イ<:|::::ii :::::::::i:::,゙
∨八 |\:::\>‐r‐ ´ / |/入::::::/|/
\ :::\ >'´ |¨¨¨7 |/\
-――-
. . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
´. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . `. .
. . . . . . . . . . . .,. . . . . . .、. . . .. . . . . . . \
/. . . . . . . . . . . . |. . . . . . . !. . .ヽ. . . . . .ヽ. . .
/ . . . . . . . . . . . . .|. . . . . . . ! . . . ! . . . ヽ. . . . .
/ . . . . . . . !. . . . .|. |. . . . . . .!| . . . |. . . . . }ヽ.|. . .
′ . . . . {、. !. . . . .j、j. . . . . . 从. . . j. . . . ...} . .!. . .!
. . . . . . . { )ノ< ̄  ̄ ̄ ̄  ̄ ̄ ̄ ̄ 「. }. . .l
{ . . . . . . { ―- -― }. .}. . .|
{ . . . . . . { ムイ. . .′
. . . . . . . { __ニ彡 ゞニ__ . . . ./
. . . . ._. .{ 「 ̄ ̄}´ 「  ̄} !_ . /
. . . / ヽ==x っ ,ノ ii}==={ii っ ノ i} ∨
. . { ゙冬zzzzz彡′ ゙冬zzzzz彡! /
. \  ̄  ̄ {/
. . `¬、 } 「(隣の人やなくてちょっと安心したわ)」
. . . . . } . .、 ^ ´
ヽ. . . | . . . }i . . ィi{
/{ !\ノ . . . . !._.リ  ̄{. . . . . .|. .、
{. .ゝ┴彡. . . . .ノ{У {-人. . .ゝ. .\__ノ}
\. . . . . . . ./'/,'∧ `l'/,\ . . . . . . /
>―‐く /,'/,'/,∧― ― }'/,'/,'>―‐く
なにやら話題になったことに気づいた雅枝が近づいてくる。
「人を指差したらあかんわ」
「あいたっ」
「確かにおばちゃんなら経験者やし、まともなアドバイス出来そうですね」
「ここでは『監督』や、浩子」
「痛っ!?
サーセン……って、なんでうちと園城寺先輩で威力が違うんですか!?」
「そりゃもう、最近は親御さんのクレームが怖いからなぁ。
浩子なら全力でイケるし」
「理不尽!」
身内ならば全力でツッコめると言うことだろう。
しかし雅枝もなんだか楽しそうに泉を見据える。
「メスの顔しとるなぁ」
「でしょう。いい感じにメスになってますよ」
「乙女セーラといい勝負やで」
「俺まで巻き込むな」
三人揃えば姦しい。四人揃えばなんとやら。
女性はいつになっても『女子』なのである。
5/10
「ここはおばちゃ……。こほん。
監督がどうやって旦那さんを落としたか教えてもらえればいいんやないか?」
「お、教えてもらえるんですか!?」
「そんなことでええんか?」
「えっ、なんかコツあるん?」
「簡単やで。
麻雀プロになって億単位の金を稼いで、胸に札束を挟み込んで腕に抱きつくんや」
ケタケタと笑いながら言う雅枝に対して場が凍る。
「あれ、ツッコミは誰がするん?」
「あっ、冗談やったんですね」
「そー言うプレイをするとき以外はな」
「あのですね。一応身内がいるんで、その辺にしていただけると」
「まーここでそんなことが出来るのは」
雅枝が周囲を見渡す。
怜、セーラ、浩子、泉を順番に見据え、胸囲を確認。
「はーい、バブバブ、バブバブ。京くんは本当に甘えん坊やなぁ」
「誰もおらへんな!」
「そりゃおばちゃん基準やとなぁ」
「太ももで魅了するのもアリやん?」
「男が下半身に興味を持つのはおっさんになってからやで」
「残念やなぁ」
「でも噂の男の子は関西訛りにグッときたって……泉?」
怜が冗談半分でからかっていると、一人泉が静かになっていることに気づいた。
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/:/ |:.:.:.:.:.:.八/ '.: : : : : : : : . 人:.:.:.:.:.:.:八 「胸……ナイ……」
. /:/ i|:.:.:.:.:/ '.: : : : : : : : . V:.:.:.:.{:.:\
(: 八:.:./ : : : : : : : : : . r 二- V:.:.:.:\
\ \: : : : : : : : : : V\r
: : : : : : : : . /
>ー- ィ
Λ
切実だった。
6/10
「「「「あっ」」」」
瞬時に場が凍り、慌てて雅枝がフォローに入る。
「まぁ、高校生なんてそこまで考えとらんやろ。ヘーキヘーキ」
「ちなみに黙っとりましたが、データによると須賀京太郎の好みは原村和のようなおっぱいタイプですね」
「グッハァ!」
「浩子ォー!?」
「まぁ女でも憧れるしなぁ」
「怜、言うとる場合か!」
「どちらかと言うと露出控え目の、優しくて母性のある年上のお姉さんタイプが好きなようです」
「グッハァ!」
「アカーン!
ファッションセンス皆無のボーイッシュ系泉にダメージが!」
「言うて泉はボーイッシュ系でもセーラに喰われとるわな」
「俺は泉なんて食わん」
「ちゃうわ」
「怜! これ以上追撃すんなや!」
一応は可愛い生徒たちである泉をフォローする雅枝に対して、辛辣な先輩たちである。
「ううっ、料理なんて出来ませんし、タイプじゃないんですかねぇ」
「ま、まだわからんやろ?
そもそもさっきの話だと関西弁が可愛いって言われたんやろ?
きっと脈アリやで」
「ちゃっかり聞いとったんですね、監督」
「うるさいわ」
あわあわと泉をフォローする雅枝だが、泉は落ち込んでしまっている。
「おばちゃーん。監督権限で清澄と強化合宿とかできんの?」
「アホか。仮にやっても女子高のうちと男子が出来るわけないやろ。
あと、ここでは『監督』や言うとるやろ。しばくで」
「そもそもうちと清澄に面識ないですしねぇ。
インターハイで対戦してませんし」
「あっちも零細麻雀部。宮永とか原村がおる言うても周囲を納得させるのは無理やで。
そもそもなー。そう言うとこで大人を頼らんで自分で頑張りや」
「た、頼ってませんし。
そもそも言い出したのは先輩方です!」
「その粋や! 泉!
それならきっとやれるで!」
「そ、そぉですか?」
「「「(監督、誤魔化したな)」」」
7/10
褒められればやる気にはなるが、いかんせん自信が持てない。
麻雀でもそうだ。自信満々で戦いに赴いたのに全く結果を残せなかった。
自分の周りの先輩方は美少女だらけでも、自分は違う。
監督のように容姿に優れているわけでもないし、竜華のように母性に溢れているわけでもない。
/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ:::::::::.
. / ::::::::/::::::::::,イ::.|::::::::::::::::::::::::::::::::.
′::::::,′::::::/ | ::ト、:::::::::∨::::∧:::::::.
i| \:|i__:::;|:/ 八::| _\ ::::i:::::⌒|i::::::i
|| ⌒:N:∨〔 `{ \|_|:::::::リ::::::|
. 八::::::|::!庁示ミ、 ァ芹示〕:::::/::::::::|
\|ハ 乂:ソ 乂:ソ lγヽ :::::|
|::::i::. ,,, , ,,, ノ::::::| 「泉、元気だしぃな」
|::::l圦 _ , ー:´:::::|:::|
j::::|:::::> イ::::|::::::::l:|:::|
/:::::}.:::::::|i:::::::〕 |::::i|:::::::八::|
. /:::::/l::::::::|i:/リ ト、リ:::::/|:::::〕
「清水谷先輩……?」
顔を上げるとそこにはぬいぐるみを抱きしめた清水谷竜華の姿があった。
なにやら後光が差しているような感覚すら覚える優しい笑み。
「泉はいい子なんだから、一生懸命想いを伝えればええんよ」
「で、でも、自信が持てません」
「自信なんていうのは、頑張った人が持てるものなんよ。
頑張る前から持てるわけないやろ?」
「あっ……」
麻雀も恋愛も変わらない。
初心者のままでは自信を持つことなんて出来ない。
「まずは当たってみる、そうやろ?」
「そ、そうでした」
「砕けちゃあかんよ?
大丈夫、泉ならきっと大丈夫やから」
「し、清水谷せんぱぁい……」
ポンポンと泉の頭を撫で、胸に抱き寄せる竜華。
非常に手馴れていて、泉を安心させた。
「監督、あれ監督がやるべきやったんじゃないですか?」
「言うな」
竜華が生来持つ母性本能だろうか。
泉は竜華に抱きしめられていると安心できた。
「清水谷先輩。私、やってみます!」
「頑張りやー。応援してるから」
意を決した泉に対し、ぬいぐるみを抱きしめたまま竜華は優しい笑みを返した。
8/10
……
…
「と、とりあえずメールしよか」
家に帰るとベッドに向かって突っ伏した。
ゴロンと寝返りをうって携帯を見る。
「須賀京太郎かー」
なにがどうしてこんなことになってしまったのか、よくわからない。
そんなに『ちょろい』タイプだとは自分でも思わなかった。
ただ、言うなればーー
「あの時の横顔、良かったなぁ」
あの発言をされて、驚いて横を振り向いた。
その時、美味しそうにたこ焼きを食べているその横顔が、なんだか良かった。
キッカケは些細なことだったんだ。
「ちゃ、ちゃうちゃう。そうじゃない!
な、なんて送ればええんやろ……」
先輩たちとの会話を思い出しても、なんの役にも立たない。
女子校育ちだから、男の子とメールのやり取りなんてどうしたらいいかわからない。
「は、話すときは簡単やったのになぁ」
京太郎が話しやすいタイプというのもあって、意識するまでは性別の差なんて考えていなかった。
そもそも異性として意識していなかったともいう。
「めっちゃ好きやもん」
自分で言っておいて恥ずかしくなる。
携帯を放り投げて枕を抱きしめて布団の上を転がり回る。
「って、そうやないやろ!」
恥ずかしがっている場合ではないと携帯を握ると、一件の通知が届いた。
急いで通知を開く。
『この前はサンキューなー』
「こ、コイツ……人が考えてるっちゅーのに」
何気ないLINEが気をほぐしてくれた。
そうだ。不安通りでいいんだと納得する。
9/10
『貸しにしとくでー』
「って、これじゃ話終わるやん!」
焦ってもう一通送ろうとするが、その前に返信が来た。
『OK。長野観光の時には任せろー』
「な、長野に行けばデートしてくれるんかなぁ?」
ちょっとぶっ飛んだ思考になりかけるが、頭を振って切り替える。
『長野なんてど田舎、なんかあるん?』
『し、失礼な! 自分でも何があるかわからんけど』
『わからんのかい!』
『地元の名産品ってわざわざ食わないし』
『大阪はええとこやで。ガッコー帰りに買い食いするのも良くてなぁ』
『あー、それな。マジであのたこ焼き美味かった!』
「お、思い出させんなやぁ」
『貸しは覚えとくけど、どこで返したらいいかな』
『んー、またインターハイ来るんやろ?
そん時に東京のモンなんか奢れや』
『おいおい、自慢じゃないが俺は県予選午前中で敗退だぞ。
来年行けるわかんねーぞ』
「あっ、そうやった……」
そんなことを言っていたと思い出す。
しかし、それではこの繋がりが切れてしまう。
数度会っただけの縁、自然消滅するのは早いだろう。
何か、何かないかと周りを見回す。
「そ、そうや!!」
妙案が浮かんだ。
『家にパソコンある?』
『あるけど?』
『ウチが麻雀教えたるよ。これでも高一最強……だと思ってた時期があるで』
『なんだそりゃ! でも、また貸しが増えちゃうな』
『貸しはまとめて東京で返済せぇよ。たくさん食うから、お小遣い貯めときや』
『でも、泉は麻雀強いんだろ? 時間取らせるの悪いし』
『遠慮すんなや! ほら、パソコンつけーや』
ちょっと強引にパソコンをつけさせて、ネット麻雀に招待する。
これで毎日にでも会話するキッカケは作れた。
10/10
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', i i` `|i |つ:::::::| |っ::::::|、.|、|\|
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`| ∨\ (`-´) .ノ 『その辺の高校生男子よりは強い自信あるで!』
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,. ´ __ `¨¨ヽ
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_/ ィ / { l |__|_{ |∧ }/ ' / l | ∧
 ̄ {〃 Ⅵィ斧从 } /-}/-/、 , /-、 ∧}
/ , 从 Vり ∨イ ,イ斧ミ、}/ /⌒ } | '
/ イ从 l ム Vり ム' ノ/}'
´ \∧ ' ,r ' /
、 v ァ / 从/ 『そりゃ期待』
\ `こ イ _|、
` r ´ //∧
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同年齢だから、気兼ねなく。
自分で育てれば、きっと彼がインターハイに来てくれる。
インターハイでの再会を願って、彼女は毎日パソコンをつける。
カン!
投下終了
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【もう一つの深淵】-重力次元-
おっす、俺は須賀京太郎!
胸の大きくておしとやかなお姉さん系女房に憧れる大学生!
清澄高校を卒業した俺は今時の若者のごとく、『とりあえず就職に有利になるから』なんて理由で進学しました。
その結果ーー
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/ /...::::::::|::i:::::::::::/ァ===ミ、 ヽ /イ .:j_|:::::::::::::::::|::::::::::. │
. ′.:: :::::::::::リ、:::::::;《 ん干ハ\ 〃 j\:::::イ::/::::::::::::. /|
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′:::: ::::::::{ ヽ{ ゝ:こソ =ァ=/:::/ ソ/::::::/::\ /
/ :::::! :::::::::∧ 。 ん干ハ㍉ /::::::/:::::: ヽ.′
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′::::i::.. 从 :乂:.ヾ:::::ハ.i|≧ミ∧..`:|: : : :|: :
|:: '::: i:. :..ノ灼茫 ヾ:i ^灼茫ミ...}::.:.|: : : :|: :.゚
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|::|l::/.::::..小. r― イ. : :.|: : : |: : | 「おはよう京太郎くん! 朝ごはんは出来てるよ!」
|::|l:{.i:::::.: 込. ..ノ .イ. }: :..:.: :...|: : |
`O′:::.(:. ノ介ト __ <{从 /: :..|: : : |: : |
/::j |:::::_≧=ー : 〕 .....{ j:.:/: : :.イ: : :.l: : |
.{:::/ |::::.:.:广.../レ 〃ヽ /: : :/:.:|: : :。.: : !
.|::{ .从:..:|....┴ヘ. イー|. :/: : :/^`ア⌒ヽ:,
.Ⅵ /::::ヾ/../ >..={_}=ー 〉...: : :/::/
/ / / / { } \ ヽ V V
_ ,.斗 // / ./! / ! :} } ' ヽ V', , ,
 ̄ ̄ / / / //_j_ ,' | |、 :} ' :| ,V斗=ミ{ , ,
/ / ' ,' ィ^~v{≧x、,ヽ,' /、ィ'"_j/ } /「 j |
/' / !/| /{ 斗-ミヽ ∨ / }/ア乏メヽレ } }レ
, | :| ハノ∥んr'j V / V' Vrソ 》 :} 八-、 '
/ >'/ ハ { :, ` ー≦' /' ヽ  ̄ /イ{/ヘ Yハ{
/ '" ∥ / ',从_}: 〈| } ! ∥ ヽ
7/ ヽ ' し /’
/’ ` _、 _ {ーイ/ 「(助けてください……)」
、 f-――'ヽ 人レ'^
\ L∠二二ソ /|/
レ}h。 /r rー==ミ、
r「\__'}个 --- < | |ニニニヾ
|:| } | |ニ{1-B}ニ! __
|:| } / L!ニニニニ{ _,. 斗r≦ニニ=-ヽ
どうしてこうなった。
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先に言っておこう。
『なんだ、ハーレム展開で困っているのか。爆発しろ』なんて声をあげる人もいるだろう。
だが現実はそうじゃない。
冷静に考えてみよう。
『朝起きたら二つ年上の先輩に膝枕されて目が覚めて、一つ年上の先輩が朝ごはんを作っていた』
こえーよ
二人とも麗しいほどの美少女だ。
性格もおしとやかで、ユーモアにも優れて、男性を立てる術も持っていて、胸も大きくスタイルも良い。
非の打ち所のない美人×2と言っていいだろう。
正直、二人とお知り合いになれた最初はめっちゃテンションが上がった。
だがーーー
「はい、京太郎くんの出る講義の要点をまとめておいたよっ。
代わりに出てあげようか?
あ、でも私じゃ代返は厳しいかなぁ」
「そーやなぁ。
京くん、今日はパチンコ行くん?
言わなくてもわかるでぇ。はい、今日のお小遣いや」
「えへへー、京太郎くんは頑張り屋さんだもんね。
私からもお小遣いをあげちゃうのです!
お、オトナのお店に行くお金が必要だもんね」
「あの……代返してもらったこともパチンコ行ったこともないです……。
そう言うお店に行く度胸もないっす……。
あとこのお小遣いはお返しします……」
なんで こうなった。
いや本当にどうしてこうなった。
二人と知り合ったきっかけは大学のサークルだ。
玄先輩とは写真サークルで、竜華先輩とは掛け持ちの麻雀サークルで出会った。
新歓の時に軽く話したくらいの関係だ。
確かに新入部員に絡まれている玄先輩をちょっと助けたのと、同じく酔いつぶれている竜華先輩を介抱した覚えはある。
でもそれくらいでこうなるなんてありえないだろっ。
俺は誰相手にでも頭撫でてオトす能力なんて持ってねぇよ!
「あの、俺は大丈夫っす。
ちゃんとレポートも作ってありますし、講義も大丈夫です。
お二人の方を優先してください」
あまり勉強を真面目にしていなかったけれど、最近は早めにレポートを終わらせるようにしている。
なんせ少し遅れると二人に勝手に作られてしまうからだ。
天性のヒモ気質ならば『いいご身分』なんて思えただろうが、あいにく小心者だ。
3/10
「えへへー、私は大丈夫だよ。
ちゃんと自分の分は終わらせてあるよっ」
「そうやで。
うちらがやりたくてやってるんや。
京くんが気にすることはなんもあらへん」
「(気にします。
めっちゃ気にします)」
慈母の微笑みを向ける二人に何も言い返せない。
あくまで善意で行っている二人に対してあまりきつく言えないのだ。
普通はこんなことされたらキレるって?
バカ言え! こんな美人に甲斐甲斐しくしてもらえるんだぞ!
確かにとっても居心地が悪いけれど、曇らせるようなことを言えるはずがない。
それにーー
「あっ、もしかしてお邪魔だったかな」
「それなら言ってくれればええんや。
ごめんなぁ。勝手にこんなことして」
「い、いえっ!
美人に尽くされて嬉しくない男なんていないすよ!」
「び、美人だなんて、そんなぁ」
「もぉ、口が上手いんやからぁ」
どうも、チキンです。
俺が『迷惑だ』なんて言ったらこの二人はどうなってしまうのか、考えるのも怖い。
「とにかく京太郎くんも起きて、ご飯食べよ?」
「今日は玄ちゃんのご飯やで。
玄ちゃんは料理上手やからなぁ。羨ましいわぁ」
「えへへ、そんなことないですよ。
竜華さんもとっても料理上手なのです」
「もぉ、二人して口が上手いなぁ」
「あっ、はい。
その、材料費はいくら払えば……」
「あり物で作っただけだから気にしなくていいよっ」
「うちと玄ちゃんで割り勘してるから大丈夫や」
気にします。
めっちゃ気にします。
なんで割り勘に俺が含まれてないんですか?
4/10
「あっ、もしかして朝ごはん食べる気分じゃないのかな」
「そうなん?
調子悪いん?」
「(うわぁぁぁぁ! いい匂いがするぅぅぅ!)」
竜華さんが膝枕しながら手を額に当ててくれた。
風が吹いているわけでもないのにふわりといい匂いが鼻腔をくすぐる。
誤魔化すように玄さんの方を見るとーー
「ご、ごめんね?
それなら風邪をひいている人用のご飯に変えたほうがいい?」
「そうやなぁ。
玄ちゃん、お願いできる?
たまご粥と生姜なんかええと思うよ」
「い、いえっ、元気ですっ!
めっちゃ元気です! 風邪なんてほとんど引いたことないです!」
「良かったぁ!
それならご飯食べよう?」
「うちらはお先に食べたから、ゆっくり食べてなぁ」
「……マジすか」
言われるがままに食卓につく。
見る限りでは普通の朝食だ。重箱のように気合を入れすぎているわけでもない。
目玉焼きにウインナー、ベーコンにお味噌汁。
日本人ならばコレ、というような妥当なメニューが広がっている。
「美味しいっす!」
「良かったぁ!
ちゃんと長野風の味付けのお味噌汁にしたんだぁ。
大丈夫かな?」
「わ、わざわざありがとうございます。
なんでかわからないけれどうちの家庭の味になってます……」
「明日はうちが作るからなぁ」
「えへへ、交代制なのです」
「そ、そうっすか」
確かに美味い。
よくある展開のように作りすぎってこともない。
一見何も問題がないように思える。
しかし、だ。
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/::.:′. .: }::斗/L/!::.:.:. /::、i:.:.:.}...... ',
/::.:′. .: }: ヽ ,斗‐|- .::| `ト- | |.!
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...rぅ' ,|::.|::.:.|:;{. ,.::| ト'::ィ;リ トィリ .|:ノl:ノ
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乂ヘ::::::i iヘ弋'ソ 弋'ソ/ レヘ:l: :.|
トrハ ¨ ¨ ノl: : |
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小::::::l:::i> ,. ィ升:l::::::l:l::.: :|
ムl::::::::Lム斗_}` ´ ヤトl:::::::l:l:::::.ム
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: : / へ.゙、 :丶ヾヽ<´{::::i` ヽ! 1!|:/| :!ノ゙、リ
: :ヽ \ : :!丶  ̄ Vイ:ハ |\:i
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ヽ: : :`┬ 、 ヾ /
i: ;ィノ U ,....-ィ /
,,:‐レリ _  ̄ / 「(めっちゃ見られてる……)」
゛=!_ \ `ー-、_ _/
::::::゛== 、 \ / ̄ヽ、
::::::::::::::::::::::゛===-、 >
二人はさっき言った。
『先に食べてきた』と。
では、二人は俺が食べている間に何をしているのか?
答えは簡単だ。
俺を見ているのだ。
ただ、黙って俺を見ているのだ。
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「お、俺の顔になんかついてます?」
「あっ、ごめんね?
美味しそうに食べているから、つい見ちゃって」
「京くんが男前やからうちも玄ちゃんも見惚れてるんや」
「竜華さん!?」
「なんやぁ、照れちゃって。
玄ちゃんは可愛いなぁ」
「わふっ」
「仲……いいっすね……」
普通に仲がいい、そう思えるだろうか?
しかし、思い出してみよう。
玄さんは写真サークル。竜華さんは麻雀サークル。
実は俺と関わるまで二人に接点はなかったのである。
インターハイで阿知賀と千里山が対戦したことがあるらしいが、直接対決したわけではない。
こう、言っていいだろうか。
こえぇよ。
「玄ちゃん玄ちゃん。京くんが食べにくそうやで」
「あっ、ごめんなさい。
私っ、片付けしてきますっ」
「た、食べにくいことないですよ!
片付けくらい俺がするんで、玄さんはゆっくりしてください」
「だいじょーぶっ!
慣れてますからっ」
「あ……」
言うだけ言って見るが止まるわけがない。
俺は彼女たちの奉仕を受け入れるしかないのだ。
「京くんは優しいなぁ。
うちらが好きにやってるんやから気にせんでええんやで」
「そ、そっすか」
だから、気にするってば!
「しかしそろそろ考えなければなぁ」
「何をですか?」
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.八::::::::::Λf笊心、 イ笊心rァ |::ハ|:::::::::::::: |
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,. ⌒ヽ、/⌒ 、-- 、
/_,..- ヽ ` 、
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, ´ / ,' : 、 ヽ
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_/ / / |_|__'_| | _}_|_|_| | | :
 ̄ ̄´/ イ ' { ´| |/__{ |: , ´/}/_}∧ | | |
/ / , rⅥィ笊 从 {∨ /ィ笊_ヽ}/、 | |
/ イ ∧{ 从 Vり \∨' Vり /' / ∧{
´/イ }从lム ; \ ,ノ / \
| ∧ U ∧,イ
Ⅵム - - イ // 「……!!!?!?!?!?」
_ヽl\ //イ__
|////} ` ー ´「////|
|////| :. / |/[__}/|
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何言ってんだ。
えっ、遠回しな告白?
遠回しじゃないか、直球か!?
「ちなみにうちのオススメはなぁ。
うーん、元姫松の愛宕絹恵ちゃんなんでどーや?」
「(えっ、告白じゃないの!?)
ど、どう言うことですか? 全く意味がわかりません!」
「京太郎くんも彼女欲しいやろ?
せやから協力しようと思うてな」
「え、えー!?」
えっ、なんで? どして?
意味がわかりません!
自意識過剰じゃなければ、二人とも俺に惚れているからこんなことしてたんじゃないの!?
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,.': :/:/: : /!|: : ;' |: :__: : :.|: : : :|: :l: . . .ヽ
. /:, :,': :!:,': ! ||i: : | !l_、:ヽ ̄:ト: : : |.: :l: . : . .゙、
/:,1:,'.: :|:レ|´l|ヽ: ゙、 ヽ_\l\!: : : :!.: :|: : : . |. l
,':/ !:l: : :!:| リニ、 \!イ斥"寸、!: : : :!:ヽ!: : : . !. .!
{:| |:l: : :|:i:斥寸 弋しソノ|: : : :|:ヽ|: : : : |:. .|
ヾ !:|: : :抖乂ソ `"" !: : : :!=、l.: : : :.|. . !
| !: : :l:! ,, ", ""|: : : :| |!: : : : .!: . l
|λ: :l:l |: : : :| ,ィ.: : : : :|: . .!
jt |: : |l _ っ !: : : j´:|: : : : : |: . .!
/ :| ゙: : |:ヽ/ノ .ィ.: : :,': :,'.:/: : : :|: . .| 「私のオススメは福路美穂子さんかなぁ」
,'/l | ゙: :y' ,ィl>... _ .. ´ l: : /: :/:/: : : : :!: : ハ
lj ヾ、 ∨/>!: : |: : :} //|: /´: : : : : ノ: : : .ヽ
,' ´-ヽ:.:|: : :| " У: :_ - "´ `ヽ: . .゙、
l -テ!:,': _ノ /: / \ ハ
/| l´/ニ__ /: : ,' ヽ∧
,' ! !' ` ,.': : : : :| ,'. . ヘ
l. ノ ∧ァ__r‐-/: : : : ;ィ /: . . . \
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/ , / /⌒Y
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{ { Ⅵ / Vオ {从 /-}/-、 } 、 \
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/ 乂 u ::::::: Vソ' ,l ∧l |
/イ , 八 ,...、 ' /ムイ,'∧ |
/\ / 、 〈- 、\__ ム/ / \
>----イ///\ . ` ー ' イ/从 「(こっちも同じかぁぁ!!)」
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/> ´ --、 ∨ム //////////////}
´¨¨ヽ\〉 ∧///,イ/////////// |
- \///{/イ//r- 、///////∧
「ほぉ、玄ちゃん。
どう言う人なんや?」
「和ちゃんから聞いたんですけれど、とてもおしとやかで家庭的らしいんだって!
京太郎くんのお嫁さんにふさわしいよ!」
「待てぇや。
京太郎くんのお嫁さんなら、重要なところが一つあるやろ?」
「えっ、何?
どう言うこと?」
「その点は抜かりありません!
松実玄にお任せあれっ!」
「なんか話が続いてる、怖い!」
肝心の俺が全くついていけませんっ!
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-―……―-
...:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. ヽ
/.....:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:\
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/..../::::: !......〃/ .!:::::::::: l\:ヽ::::::::::i::::::::|::i:::::::::l:.:.|
′::::i::::::|\:|.{:| ::ト::::::::ト、 \::/:i::::::::|::|::::::::|:.:.|
|:: '::: i:::::乂:::ト{:|_、{ \::{__ 斗へ:::::i::::::::|::|::::::::|:.:.|
|::|l:::::i:::::::::ト::{ ` \. ヾ ヾ|::::::::l::|::::::::|:.:.|
|::|l::::ハ::::::::ハ ___- 、___ ,、|::::::::|イ::::::::|:.:.|
|::|l::/ ::::::l:::} ´` ̄´  ̄´ .|::::::::| }::::::::l:.:.:l
|::|l:{ i::::::l:::| 、、、、 , 、、、、 |::::::::|/::::::::i:.:.:.l
`O′ |::::::l从 j:::::::〃:::::::ィ::.:.:.l
/::j |::::::|::i::> ` ′ . ィ:::::::/i::::::::::|::.:.:.:l 「素晴らしいおもちをお持ちでした!」
{:::/ |::::::|::|:::::::::|> < {::::|:::::/:/::::::::::|:.:.:.:.:l
|::{ .从:::Ⅵ:::::::|l:::: r‐}`´ __ ノ }/:::/:/:::::::/:::|:.:.:.:.:.l
Ⅵ /::::ヾ::::{:::::::|l::ノ ∧__∧ ∠::::/_'::::::::/:::::|:.:.:.:.:.:l
/.::::::::::\r‐ '〃/レ 〃ヽ 厶イ /:::::::/\_|:.:.:.:.:.:.l
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从:::::::::::\{‐- -‐\:::l:::::::}:::::|:::
\:::::::笊刋 笊刋ノ::/::::::! |
l\ Vツ Vツイ /、:::|::|
|:::::| ,, ,, 、 ,, ,, |::::|::|
|:::::| /__丿:::!::! 「Goodや!
|:::::|\ ‘ ’ /::::/:::::/:::|
. l::::::|:::::::i:: .,_ イ:::::::/:::::/::::::! 京くんの性癖に合わせて胸は大きくないとアカン。
|::::::|:::::::|:::::::::」 |:::::/:::::/:::::::::|
|::::::|:::::::l¨ 7 //:::::/‐- :::| それでいて家庭的でおしとやか、露出が少ない感じじゃないとダメやで!」
r┴ |:::::::| / / ::::::// 、
∧ ,::::::/ ¨¨¨ 7 /::::/ -┐
∧ \/::::/ | ′ {:::::! / |
/ /:::X ! / / :::::| ′
/ /:::/ ,>、」_/ イ {::::: /
,. ⌒ヽ、/⌒ 、-- 、
/_,..- ヽ ` 、
/ /´ / ∨ \
, ´ / ,' : 、 ヽ
/ , , / /| | :. | | | ∨
_/ / / |_|__'_| | _}_|_|_| | | :
 ̄ ̄´/ イ ' { ´| |/__{ |: , ´/}/_}∧ | | |
/ / , rⅥィ笊 从 {∨ /ィ笊_ヽ}/、 | |
/ イ ∧{ 从 Vり \∨' Vり /' / ∧{
´/イ }从lム ; \ ,ノ / \
| ∧ U ∧,イ
Ⅵム - - イ // 「なんで俺の性癖知られてるの?」
_ヽl\ //イ__
|////} ` ー ´「////|
|////| :. / |/[__}/|
,...<////∧ , |/////> 、
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, </////////////////}____{/////////////////> 、
京太郎くんのそう言う本を見たわけじゃないからね?」
「そうやで。その辺はプライバシーやからなぁ。
京くんのことを見てるとなんとなくわかるんや」
「あ、はい。そうっすか」
もはや何も言うまい。
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、_/_/⌒ヽ , / ヽ
,---、 / // : ヽ :.
, / ̄-/ /' { | | | :
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.:' / ,イ _| | |ア__l { { | / }`| | |
/ ,:´ | { | l\{从 ∨ィ斧ミ、 | | 「あっ、ハハハ……。
/\'´ /{ | 从{__,. \∨Vソ }イ ト、 ∧{
////\ r--- ´八 !∧  ̄ ,: :.:.: }/ノ/ リ それならお二人なんてど真ん中じゃないですか、なーんて……」
. ///////\ \}∧ u 八/
//////////〉 込、 __ ,.: /
///////// / }>、 ` イ |从
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'....../..{:::::::::〃:{ 弋{ 〃ヽ::::廴 \:::::::::::::::: |::::::∧
i...../...::|::::::::ト-|:{ \ ぅ 斗=ミ、 i:::::::::::::::::|::::/::∧
|... 7..::|::::::::| |:{_ ヽィ乏)::::ハ 入:::::::::::φ::::::/::∧
|ハ:::::::::ヽr ::y 弌 弋辷ツ ′ 〉::::::::/::::::::i::/::∧
|{ i::::::::::∧〃_)::ハ ` _厶ィ:::ハ:::::::|::::/::∧
|{弋:::::〈:::ハ ゞ -'' 、 ::::::::::: ´ }::::::|:::::::/::∧
` >へ::i ::::::::: u /:::::::|:::::::::/::∧ 「京くん、焦っちゃダメやで?」
}.:. -‐- 、 rー ':::::::::::|:::::::::: /::∧
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|i |::::l::l|:::::iΝ: \:::∨ ≫ぅ弌ミj|:::::::::|::l:::::::::|:::|
{; |::::|八::::i≫ぅ斥 \ r'::ノrい》:::::::::Ll:::::::::|::::
|::::|:::::ヽ《 r'::ぃ ∨:.(ソ |::::::::::ト|:::::::::|:::::,
|::::l:::::::::: V(ソ |::::::::::|:!:::::::::|:::::′
|::::i::::::::小 ,,, , '''' |::::::::::|j::::::::::|:::::::: 「私たちは京太郎くんの物だけれども、お嫁さんはちゃんと探すから!」
乂j::::::::::い |::::::::::|:::::::::::l:::::::::
[_] :{::::::::i:人 ー ' |::::::::::}:::::::::::}::::::::|
/:::{ :{i:::::::i:::::::>... / }::::://::::::::::/:::::::::|
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∨\;;|::i:::\:::::/::::::// 廴厂〉 :|::::::::::::::l\:::::::::|
|::i::::::::::厶イ /| | :/∧ |::::::::::::::| ニ=-
|/::::::::/ ∨ | | 厶=ーx' |::::::::::::::| \
/::::::::/ 厂 ̄ ̄ア7゙ ノ |::::::::::::::| ⌒`:.
. i ::::::::/ 〉 《__jヽ | |::::::::::::::| / .
うん、全く理解できないっ!!
ーーそして俺は二人の奉仕に対してダメ男にならないように抵抗する日々を続ける。
人は、甘やかされ続けると腐っていく。
ああ、これがダメ男製造機なんだなってーー
カン!
リクエストのついでにクロチャー突っ込んでみた
乙
重力が重力に引き寄せられたか…これはモモとかユキとかもいずれ引き寄せられるな
乙
この二人なら性の管理をされるのも時間の問題だねw
1/10
70
【双頭のサンダードラゴン】-重力次元-
際限なく自分を甘やかしてくれる人がいた時、自分を律することが出来る人はいるだろうか?
少なくとも俺は、自信がない。
そう、一回でも崩れてしまえばーー
____
,, :´ : : : : : `: ..
≦: : : : : : : : : : :\
. .ク:.:::.: : : : : : : : : : : :.ヽ
/::.::.::.:. : : : : /: : : : : |: : : : : : : : い
./. __.ヾ:. :.ィ: /!: : : : :.ハ : : : : :‘:,: ‘, ゚.
.,/..../::.!.―:{ |: i |: : : : : | ∨:.:|: : : |:.: : :|: ゚
′::::i::.. 从 :乂:.ヾ:::::ハ.i|≧ミ∧..`:|: : : :|: :
|:: '::: i:. :..ノ灼茫 ヾ:i ^灼茫ミ...}::.:.|: : : :|: :.゚
|::|l:::::i:.:.:.圦 vツ vツノ |::...|: : : :|: : i
|::|l::::ハ.:.:.} 、、、 ′ 、、、 ,i::: : : : :|: : |
|::|l::/.::::..小. r― イ. : :.|: : : |: : |
|::|l:{.i:::::.: 込. ..ノ .イ. }: :..:.: :...|: : | 「おゆはんできたよっ」
`O′:::.(:. ノ介ト __ <{从 /: :..|: : : |: : |
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.{:::/ |::::.:.:广.../レ 〃ヽ /: : :/:.:|: : :。.: : !
.|::{ .从:..:|....┴ヘ. イー|. :/: : :/^`ア⌒ヽ:,
.Ⅵ /::::ヾ/../ >..={_}=ー 〉...: : :/::/
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| :::::::::|::八::::|_ \{\:::::\ |:::::::|::::::::::::::::|
.八::::::::::Λf笊心、 イ笊心rァ |::ハ|:::::::::::::: |
. \{\:::. Vり V/タ j/ ヽ::::::::::::: |
|:ハ , ,,. /:::::::::::::: |
|::::: r-イ:::::::::::::::::: | 「育ち盛りの男の子はたくさん食べなあかんよぁ」
|:::::::::::>.. イ |:::::|:::: |:::::::::::::|
|:::::::::|三三=千 /=|:::: |:::::::::::::|
r|:::::::::|三ニニ/ | /三|::::::|=\:::::|
/| |::::::::ムニニ| /ニ三|::::::|ニニ>、|
: : : : :/ : : : : : :| : : : :|.. : :. ゙、: . ゙、゙、. \
: : : : : |. : : : : :i |: : : :i:|. : : : ∧: :、.i. .i: : . ` 、
.: : : : : !: : : : : | |、: : :| | : : i | !: :|:| : |:、: : : : : : >
: : : : : :| : : |: i 「! ヽート!、: : リ !: |ハ: ト : | ̄ ̄
.: : :,..-、|: : :i: :|: !゙、 _、!二゙、-| イ: リ ! |ヽ:|
: : / へ.゙、 :丶ヾヽ<´{::::i` ヽ! 1!|:/| :!ノ゙、リ
: :ヽ \ : :!丶  ̄ Vイ:ハ |\:i
.: : 丶 \゙、 `> リ `
ヽ: : :`┬ 、 ヾ /
i: ;ィノ U ,....-ィ /
,,:‐レリ _  ̄ / 「(多分育ち盛りは終わってます……)」
゛=!_ \ `ー-、_ _/
::::::゛== 、 \ / ̄ヽ、
::::::::::::::::::::::゛===-、 >
きっと、あとは転がり落ちるのみだろう。
だから俺は決して負けないんだっ!
ドラゴン娘ズになんか絶対に負けないっ!
2/10
どうも、須賀京太郎です。
今日も二人の甘やかし攻撃をうまく捌いています。捌いているはずです。
家に帰ったら洗濯物が畳まれてしまわれていた上に家中掃除されていた。
しかもエプロン姿の玄さんが鼻歌を歌いながら夕飯を作っていた。
竜華さんは後ろからスッと現れた。こわいよぉ。
「あ、あの、竜華さんはどこから?」
「ん、京くんが見えたから迎えに行ったんや」
「声をかけてくれればいいじゃないですか!」
「そうは言うてもなぁ。
京くんだって男の子やし、一人になりたい時間はあるやろ?
だからじっと見守ってたんや」
「(まだ声をかけてくれたほうがありがたいです……)」
断言しよう。
二人には常識はないが常識はあるのだ。
いや、言っている意味はわからないと思うが、俺もわからない。
確かに二人のしていることはお節介とも言えるが、ある程度のプライバシーは守ってくれるのだ。
きちんと夜になったら帰る、必要以上にプライバシーを縛らない。エロ本とかも散策しない。
『そろそろ一人になりたいな』なんて思ったら気づいたら二人ともいなくなっている。
特に後者が怖い。どうやって察知しているんだろう。
「そらもう、うちらは京くんのためにやっているんや。
京くんが迷惑だと思ったらお節介になってまうわぁ」
「いや、お節介だとは……。
って、俺声に出してました?」
「ふふっ、京くん見てればわかるんよ。
一人にして欲しそうやなぁ、なんて」
「あっ、そっすか……」
どうやら俺のことを見ていれば考えを察知できるらしい。
やだ、こわい。
「京くんも遠慮せんでええんやで?
うちらのことは気にせんでええから」
「そう言うわけにもいかないっすよ」
「京太郎くんは優しいなぁ。
えへへー!」
「もう、本当に優しいんやからなぁ」
「一般常識です」
なんか感覚がおかしくなってきた。
3/10
「そうは言うてもなぁ。
こんなお節介をしているうちらのこと、突き放したりせぇへんやろ?」
「そりゃ、まぁ……」
自覚してたんだ!?
それはまぁ、なんだかんだで二人ともいい人だし、美人だし、話も弾む。
たまーにちょっと怖いと思うくらいで、普通の友人関係の距離からは踏み出してこない。
あれ、意外と普通なのか? 俺が気にしすぎなんだろうか。
「そうだよ。
京太郎くんが私たちと一緒にいて楽しいって思ってくれているから、私たちも楽しいんだよっ」
「ほんと、嬉しそうにしてるの見るとうちらまで嬉しいわぁ」
「俺、嬉しそうですか?」
「「うん」」
まぁ、美人に囲まれて嬉しくないはずないし。
ってイカンイカン! 完全に流されてるぞ! ヤバい!
「そ、そんなことより、やっぱりお二人に悪いですよ。
大学生活は青春ですし、したいことをしたほうがいいじゃないですか」
やんわりと二人を制止して見る。
, ' / / \ \ ヽ
/ / , ' / \ ヽ ゙.
// .' / / ./! ヽ ゙、 l
// ,.' ,イ / i |、 l 丶 | !
,'/l| . l! __L!l._ ! |_L.L._ l l |
li! |! ||、´ ,' {.| -| l、 l|l-ヽ|、 ` .| | l
|| i!.|Yヽ|_,,,L_ lハ. |l!=込_\ ! || | l
. i! | | | /イ示ヾ \ {イ示ヾミ | .!| |. !
. } | l!ヽ辷ソ `ヽ辷ソ" .! ll| !. l
. | /| |l ,, ,, , ,, ,, ,! |i| ! | 「したいこと、してるよ?」
fj. ! l.! ノ| l | | l!
/ !. | | ヽ っ ..ィヽ! l ! !、. ゙、
,.'/{ | _! l'´| >、.. _ .. ィク ,' / トl. |. \\
!'/,l l'. ..ト ハ..l ヽ、 ,< / /!ノ/ .lヽ、ヽ \
, 'K. ヽ!. . ヽ\ヽ! , ヘ ゝl λ ,'ノ. . / |. . . `>、. \
. / /. ヽ. . . . . . .  ̄! /\ヽ '// \ /. . .,'/ |. . ,.'. . .ヽ ヽ
/ l. . . ヽ. . . . . ┌┴┴─┼|┴─┴-、,'/ .!. /. . . . .l ヽ
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| | {/--{ 从 | , |-|、 | 、 \`
' | ,..- | | | ,ィtォ=ミ∧ |,ィtォ、} / |l ハ\_、
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∨乂 \ |/ j' リ
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/ 、 八 U _ _ 人 「(そうでしたね)」
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4/10
「玄ちゃん、京くんのお嫁さん探しはどうや?」
「うーむ、二人ほどいい人がいたんだけれど……」
「その話まだ続いてたの!?」
「こらこら京くん。
嬉しいかもしれんけど、玄ちゃんの話聞くんや」
「違います。困惑してるんです」
ここまで彼女のいない歴=年齢の俺がそんなにモテるわけがない。
いや、この二人の手によってどこからか探し出されたんだろうか。
そうなればどうすればいいんだ。
少なくとも今は付き合うなんて考えられない。
だって、この二人から目を離したらどうなるかわからないし……。
まずはこの二人の人生を狂わせた報いとして、何かしら責任は取らないと……。
____
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|::|l::/.::::...|. ,_ 、 __ : :.|: : : |: : | 「うーんとね?
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`O′:::.(: 介o。, ‘` イ : /: :..|: : : |: : | 一年生の真屋由暉子ちゃんと東横桃子ちゃん」
/::j |:::::_≧=ー : 〕 { j:.:/: : :.イ: : :.l: : |
.{:::/ |::::.:.:广.../レ 〃ヽ /: : :/:.:|: : :。.: : !
.|::{ .从:..:|....┴ヘ. イー|. :/: : :/^`ア⌒ヽ:,
.Ⅵ /::::ヾ/../ >..={_}=ー 〉...: : :/::/
,. ⌒ヽ、/⌒ 、-- 、
/_,..- ヽ ` 、
/ /´ / ∨ \
, ´ / ,' : 、 ヽ
/ , , / /| | :. | | | ∨
_/ / / |_|__'_| | _}_|_|_| | | :
 ̄ ̄´/ イ ' { ´| |/__{ |: , ´/}/_}∧ | | |
/ / , rⅥィ笊 从 {∨ /ィ笊_ヽ}/、 | |
/ イ ∧{ 从 Vり \∨' Vり /' / ∧{
´/イ }从lム ; \ ,ノ / \
| ∧ U ∧,イ 「…………!!!?!?!?」
Ⅵム - - イ //
_ヽl\ //イ__
|////} ` ー ´「////|
|////| :. / |/[__}/|
,...<////∧ , |/////> 、
, <///////////\ ///////////> 、
同級生の、知り合いでした。
「えっ、はっ!?
あいつらがっ!?」
「うん。二人ともいいおもちだよっ」
「性格はどーなん?」
「とっても一途だし、いいかなって思って聞いてみたんだ」
やべーよ。次会った時どんな顔すればいいんだよ。困惑してるだろうな……。
5/10
……
…
-‐ ━━ ‐-
/ /. . . . . . \
. ./: : : : :/ : : : : : : : : : . .
/ . : /. :./ : ∠|: : : :./: : : : : : : :.
/ : : / : /l: :/ |: : :./ |: : : : |: : : :
/ : : / : /抖午ミ八_/ 八:.: : :.| :l: : :
/ : : /.:.:.:l/{ Jh^` 午ミX : | :|: : :
. / .:/ l´l:.:| 乂_,ソ { Jh^Y: :|: : :|
. ⌒7 : :人l:.:| 〃 ' 乂ソ '从:|: : :|
/ : : .:.:.:l从 -、 /): 八:.:.|
/ : :.:/ .:/ / \ `¨ 人 /:. :∨ 「須賀くんとだなんて恐れ多いです。
/ : :.:/ .:/ / : :ノえト .__....-=≦:.:.:/:.:.|: :| 私は今まで通り須賀くんのパシリでいられれば十分ですよっ。
/ : :.:/__厶斗 ´| `L∧:.:_|:.:.:|/:.:.: | : : でも、お嫁さん探しはお手伝いしますね」
/ .:/ | l......... | /:i:i:i:l\\j:.:.:.: : : : : :
/ .:/ | l......... |/,\:i:iノ\〉.. `┬ 、: : : :.
/ .:/ \ ,| |..Χ..........’ 「i:i:, |........... ', 丶 : : :.
. /.:/ :/ /⌒ 人[.......\.......∨:i:i:i:i|..............', ∧:. : :
/ /': / /⌒\........... ∨:i:i:i|..............// {:. : :|
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. |.:|.:| ん心,|.:.!.:.ハ:.:.{ /.:./.:.:.:/.:.:.:.:.|.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|
. |.:|.:| {r':::::!.|/|/ ヽ=ミx,:./.:.:イ.:.:.:.:.:.:!.:.:.:.:.:.:.:.:.:.! 「私は京さんのおはようからおやすみまでを警護するので忙しいっすから。
|.:|.:.! ヾzツ んf心、´ |.:.:.:.:.:.:.|.:.:.:.:.:.:.:.:.:.| 危ない女狐が近寄らないようには任せるっす!
|.:.:.:. ''' , .{ノ::c::l} ,:.:.:.:.:.:.:.:|.:.:.:.:.:.:.:.:.:.| 私もいいお嫁さんがいないか探すっす!」
|.:.:.:.ヽ `¨ ''|! '.:.:.:.:.:.:.:.:|.:.:.l.:.:.:.:.:.:.|
|.:.:.:.l:.:,へ ヽ '''' |! ,'.:.:.:.:.:.:l.:.:.!.:.:.!.:.:/.:./
ト、.:.:|/:/\ ___ ,. -|/.:.:/.:.:./.:./.:.:/.:./.:./
ヽ:|: !: /7:::::}ー-‐ '",|:.:.:/.:.:./.:./.:.:/.:./.:./
//: / ノ:::; -} _, 厶イ.:/|.:/!.:./!:/!.:/
/:/: /イ::/ _!. :': : : : : :|/ : :|/: ∨ i' .i/
≦:: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: ヽ:: :: ::.::.::ヽ
ク:.:::.:::.::: : :: i: :: :: :: :: :: :: :: : : :ヾ: : :.::.::.ハ
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|::::::::ハ ィ.爪ハ .ヾ:i イ斤心 }:::::::|ヽ::::::::::::::|
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i:ハ:::::::::| xx , xx .,i:::::::ヒ」:::::::::::::::|
o .i:::::::::i u |::::::::|:::::::::::::::::::|
i::| ト::::::ヽ. _ i::::::::|:::::::::::::::::::::| 「うーむ。それじゃ仕方ないなぁ」
ノ:|:| |.:.ヾ::::::::ゝ 、 .,孑≦|::::::::|;;;;;;::::::::::::::::|
/ノ | |.:.:.:i::::::::::::::::ソ` 夭 /|::::::ソ:::::,:::::::::::::::::::|
|ゞ:::::i::::::::/ ゝ仆' i:::ソi|/|.:.:.:.:.:.i:::::::::::::|
|:.:.:ヾ、:广 レへ /ヽ .i:// ノ.:.:.:.:./::/ヽ、::|
|.:.:.:i:::::| 尸ヽ一イ ̄刀 /.:.:.:.:./:::/ .ヽ|
|.:.:.:i::::::| > ,卅 / ノ.:.:.:.:/:::::/ /`.i
|.:.:.i:::::::/. <ヽ イ ト-匕ヽ/.:.:.:.:/:::::/ / .|
……
6/10
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i...../...::|::::::::ト-|:{ \ ぅ 斗=ミ、 i:::::::::::::::::|::::/::∧
|... 7..::|::::::::| |:{_ ヽィ乏)::::ハ 入:::::::::::φ::::::/::∧
|ハ:::::::::ヽr ::y 弌 弋辷ツ ′ 〉::::::::/::::::::i::/::∧
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|{弋:::::〈:::ハ ゞ -'' 、 ::::::::::: ´ }::::::|:::::::/::∧
` >へ::i ::::::::: u /:::::::|:::::::::/::∧ 「京くんのパシリと警護じゃしゃーないなぁ」
}.:. -‐- 、 rー ':::::::::::|:::::::::: /::∧
|.∧ V_ ノ イ:::::|:::::::::::|::::::::::::::/::∧
|...:::ゝ / |::::::|:::::::::::|::::::::::::::: /::∧
|...::::::::> < 八::: |:::::::::::|::::::::::::::::::::::::::\_
|...:::::::::::::i::::::::::`¨ハ 〉:|:::::::::::|/ ̄ ̄ ̄〃 へ ^ヽ
|...:::::::::::::|::::::::::::::::::〉 /::::|:::::::::::| // ⌒ヽ.∧
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. / } ト|::::::::/ 〃 / |:::::|:::::::::::| ./ / V
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/イ ,.. 、イ /}/⌒ヽ、/´ // / 、 、
{ { Ⅵ / Vオ {从 /-}/-、 } 、 \
| | {/ ∨ィ=、}/ , |、 }  ̄
/ 乂 u ::::::: Vソ' ,l ∧l |
/イ , 八 ,...、 ' /ムイ,'∧ |
/\ / 、 〈- 、\__ ム/ / \ 「(なんでだぁぁぁぁ!!)」
>----イ///\ . ` ー ' イ/从
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´¨¨ヽ\〉 ∧///,イ/////////// |
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別の意味でもう一回言おう。
明日からあいつらとどんな顔して会えばいいんだよっ!!
同類かよぉぉぉーーーっ!!
「つーか俺はユキのことパシッてませんからねっ。
たまにレディースランチ頼んでもらってますけど!」
「知ってるよっ。
京太郎くんは優しいからそんなことしないもんね。
由暉子ちゃんが女の子グループにいいようにパシられている時に声をかけてあげたんでしょ?
えへへー、由暉子ちゃんが嬉しそうに話してくれたよ。
由暉子ちゃんは頼りにされてると思って無自覚にそういうことさせられてたんだってねぇ。
桃子ちゃんは一人で寂しそうにしているところを由暉子ちゃんの友達になって欲しいって声をかけたんだよね?
いろんな伝で同じ学校にいるってわかったからわざわざ元鶴賀の先輩に当たって繋がりを持つなんてすごいねっ。
携帯電話を通せばオカルトなんて関係ないもんね。京太郎くんの発想がすごいよっ」
「そうなん?
京くんすごいなぁ。
うちらが困ってる時にも助けてくれたし、ホンマに優しいなぁ」
「あっ、はい……」
あの時は彼女アリの大学生活に憧れて声をかけたんだよなァ……。男だもの、下心はあるさ……。
7/10
というかこの人たちの思考回路が理解できない。
むしろ俺がおかしいんじゃないだろうか。
民主主義的に考えると4:1で大敗だ。
「前に言ってた人はどうなん?」
「ううっ、福路美穂子さんの連絡先はわからないんだ」
良かった。
あの人はまともだと思うけれど、安心した。
「うちの方も当たってみたんやけど、イマイチ口頭だと魅力が伝わらんかったわぁ」
「口頭って……、何言ったんすか」
「んー?
ちょっとスカイプ繋いでもろうて、徹夜で話したんやけどなぁ」
「徹夜じゃあ京太郎くんの魅力は語りつくせないですよねっ」
「せやから今度もっと話すってことにしておいたわぁ。
本人曰く筋肉質な方がええっちゅーんやが……」
「き、筋肉っすか?
あんまり自信はないっすけど……」
「なぁに言うとんのや!」
「京太郎くん、体がガッチリしていて格好いいよ?」
「ホンマええ肉つきやで。
中学時代はハンドボールやってたんやろ?」
「なんで知ってるんですか……。
中学の頃にやってた物なんて残ってないっすよ。
高校は麻雀部ですし」
「でも、普段から重たいものを持ってたりしてたんでしょ?」
「あー、まあそんなこともありましたね」
雀卓持ったこともあったなァ。
いや、アレは和にいいとこ見せたくて無理言って自爆したんだけどさ。
「まぁ、西にはいい子が多いから安心してな?」
「元永水のおもちさんたちもきっといいと思うよ!」
「いや、向こうも忙しいだろうから放っておいてあげてください……」
ありえないほどの爆乳を思い出してちょっとドキッとした。
いかんいかん。この状況に流されてはダメだ。
8/10
「京くんはホンマに無欲やなぁ」
「そう言うところもいいところだよねっ」
「そんなことないですよ。
普通の男子高校生です」
「京くんはホンマに謙虚やなぁ」
「そう言うところもいいところだよねっ」
「(ダメだこれ)」
超ポジティブ思考と言うかなんと言うか、もう言葉にならないよ。
こんな美人に好かれて嬉しい気持ちと困惑する気持ちが同居する。
しかし、だなーー
「今日はお肉がとっても安かったんだぁ」
「ほー、そうなんか。
この味付けいけるやん」
「あ、ホントだ。
すげー美味いっすよ」
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/ .:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:}::.:}:.. :/ } ヽ
/::.:′. .: }::斗/L/!::.:.:. /::、i:.:.:.}...... ',
/::.:′. .: }: ヽ ,斗‐|- .::| :ト.、 | |.!
. /::. |:...:.:/|:. ..:l\ ! ヽヽ .::l /! ..l | | l
...rぅ' ,|::.|::.:.|:;{. ,.::| ト'::ィ;リ トィリr::ノl:ノ
./:{ V:|::.|::.:.|´ii ..:::| `ー' .゙-'l |/
.|:.|/::.:,::.:.::. l :|.i ',.:::| ゙゙゙゙ ` ゙゙',!.:}
.{i:{:: :ハ::.: 込{.::l :'.,l. (_`チ _,ノ./|.
.乂:/:.:∧::.:.V.i::ヽ_.::!ヾ=<>‐、‐ T´|..小{ 「本当?
. / .::: .:;へ/` '、l::..<__/八_,>.l. .}:.{ 良かったぁ」
/ .:::::::///;;`ヽ',`..〈 ./ .| } | }:.{
変な話をしない時の二人はとても普通で、話していて楽しいんだ。
俺が嬉しいって言うと本当に嬉しそうにしていて、話しているだけでとても楽しそう。
そんな二人の笑顔に癒されているのも間違いなく事実。
もし、俺が二人のお節介を許容してしまえばーー
/ ' | ', :}∧∨',ヽ, / V | | ' /: : :ヾv v
' :| ', , } ! V / :| V | |{ ,: : / } ヽ v
' / ! :{ハ ハ ∧ } V| /{ V |_, v! | } ヽ
' :, ' , ' ∨∧ ' ,}イ' _j{≫!7:f心刈 V / {l 、|斗 ―――
/ ,∧ ∧ー=ミ{__ ヽ ', j{⌒'| 7/j' j'うゝ:ア | ' ' ' :{l ヽ! `ヽ
,' / ∧ ∧:、 {`~^ ー-- /: : j ^ ≫'’ V' _ノ {l | V
/ ,' / j{∧ ∧ヽ{ ,ィァ=v云| ': : : i| ~´ ' 「:\ } {l ,ヽ
,' ./:| / v∧ {ヾ八{ ヽぅ! /: : : U し :!: : : V:V , \
! ./ | / ヾ∧ ,、\: `: : : :|/: : : :、 }: : : : : ' ,
|/ :| ' )ヽ , \ヽ: : : :': : : : ノ! 八: : : :' ,
' } / / ヽ 丶: :.} !: : : `: .、 _ ': : : : : ' , 「(危ないっ! 堕ちるとこだった!)」
j/ , \し: : : : : : :. _,. '" /: : : : : ' ,
, ヽ.,: : : : : :冖、 _ ,イ{: : : : :/ !
、 > .,: : : : : : ( /: U : : :./ |
| ヽ / :≧s。.,:ヽ _ ./\: : : : {「 \ |
ーー今日もまた、ダメンズになる寸前で踏みとどまることが出来た!
9/10
……
…
, ⌒ ー  ̄ ̄ 、
/_,. - \
/´ / /⌒\ ヽ
, ´ , V :.
/ / / / / | V : V |
/-- ´' / / / l|{ | l| | | {
/ イ { ':|_,斗| | 、_l__/_ィ |l∧
/ ,: ∧ | {∧{ { 、 /}/}/ } /∧|
/ イ / {∧{ 、__,.V {∨ 、_,/ イ}' `
 ̄´ V∨乂l \ ムイ/ 「それはそうと、女の子が遅く帰るのは危ないから送っていきますよ。
从 ' 八/
-〈〈/\ v-っ イ》く__ ここだけは譲りませんからね!」
/////∧\} > -- < |//}///> 、
/////////\} 「/〈////////\
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i ニlニ○ _L/、 / (⌒ ⌒)
{ cト ´ | ノ ⌒ ーノ{__ノ て人_)
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/ .:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:}::.:}:.. :/ } ハ
/::.:′. .: }::斗/L/!::.:.:. /::、i:.:.:.}......:.  ̄
/::. |:...:.:/|::.:/ j/ |::.:.:/}:/リ|\|::.:.}.‘ ―
{: /.! :|.:.:..::|:/ -- _}:/ノ' /十/,「:..ハ:.i
rぅ' ,|::.|::.:.|:;{z≦三 三ミメ.|:/|:.ト{ \
/:{ V:|::.|::.:.|´i `|:: |:.|
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{i:{:: :ハ::.: 込{. __ (__ ノ .ィ}:リ|: 「!」キュン
乂:/:.:∧::.:.V/⌒ヽ.--r >ォ抓/:./ |′
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イ.:/::.:.:.:. / /\ { {:小{ (⌒ ⌒)
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',::',:::::|:::|::〉-、 / <_/`´ー`<,‐|:::/:::::|::|
ーーなお、実は京太郎が男をダメにする女を作り出していることに本人は気づかない
10/10
……
…
・後日
_____
.. .:'":.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:^':...
. ,. (,.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:\
/ハノ_j;x=ミ.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:r=x?。
. .:.:.:.:.:.(__少/:/.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:辷,,):i,
;.:.:.:./.:.:./.:.:.:゙/.:.:.:.:.:./|:.:.:.:.:.:.:.:i、\
i.:.,:.:.:.:.:. ´:.:イ「ソ:/|.:.:.i |:.:ハi:.:.i. vi .:`.
l/;´.:.:.:゙.:./斗や「i|.:.:.| い八:.i.:.: | .:.:.:,
/,ノ:.:.ii:i.:.; .斗=ミ八 :.| x扞㍉:、i.:.|. :.:.:i
;'.:.:.:.ノ|:i.:〃 )しハ )しハ 小:.:|i:i.:.i|
i.:.:.:.:.:.i|: :i| 乂xツ ゝツ i.|.:.:八ハリ
{/:.:i八i:i込、 '' ` 人|:.:.:.:.:|
. /.:.:.:.:.:. `|八介; . ´゙ イ|.i.:.|/.:.:.i| 「奴隷みたいなものだと思ってくださいね」
/.:.:.:.:.:.:.:.:.:l彡iY^ニ≧tr<-=ミx:ー=ミj八
. /.:x:ヤ''T:i^~ /∧ ニZj圦 'v 丶\: . ⌒ヽ_
/ ノ′ | i '/∧ 厂`'ト. 〉 \\i. i「¨:iトミ ____
/ i: . i.| i /∧ノ\,人´∧ `'心, 、リ :i| ~"'丶、.,,__,. --ミ
( , i|: . i:| i 辻j-. 'v八 `ヽ‘, ヤ辷ンッェ]L,_ _,.二つ
:/:)x八: . 圦__-- __ \);, ヤi 、,㍉;.:.:.^ぃ `~"" ´~^"^丶、__`つ
/ii′ \ :/二ニ=‐-ミメ、 \ .り / \:.`:ヽ
/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ハ
/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::{:::::',
/:::::::::::::::::::::::::::::::::/l:::::::l:::::::::::;:::::::::::::::::
/:::::::::::::::::::l::::::::::::/ !::::ハ:::::::::l:::::::::::::::::,
/::::::::::::::::::::ハ:::::|::::|___}:::ム-';::::::::}:::::::::::::::::l
,イ::::::::::::::::::|斗':::::|ハ! l:/x==}:::::::|::::::::::::::::::
/ |:::::::::::::::::::!x=ミx| 〃ん刈::::::Yヽ:::::::::::::l
/ .!::::::::::/::::〃んハ ゞ|!'リ:::::::i j }::::l::::::|
/ .|::::::::/::::::::'.ヽゞ゚' ::.|!/}:::::::|彳:::::!:::::|
. / /::::::/:::::::::::{:ト、.::.:. ' |! /:::::::|::|:::::::|:::::|
/ /::::::/::::::/::::::込、 --‐ / /:::::::/:/::::::/:::八
/::/!::::::/!:::::/::::::个ト.... / ,/::::::/:/::/:::':::/ } 「空気みたいなものだと思ってくださいっす」
/:/ |::::/ '::::{:::l::::::lハ--≧彡!:::::ハ}::イ::/::/
. /:' |::/ ':::l斗<_,-ヽ__j |:::/ --ミx'::/
/ .|::| ヽ厂l:/ /.:.:./_,, !/´ ̄ ̄`ヽ
. { '::| _,.イ=.:'.:.// / ' ,
':! --<.:.:.:.:.イ// { \
,. ⌒ヽ、/⌒ 、-- 、
/_,..- ヽ ` 、
/ /´ / ∨ \
, ´ / ,' : 、 ヽ
/ , , / /| | :. | | | ∨
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 ̄ ̄´/ イ ' { ´| |/__{ |: , ´/}/_}∧ | | |
/ / , rⅥィ笊 从 {∨ /ィ笊_ヽ}/、 | |
/ イ ∧{ 从 Vり \∨' Vり /' / ∧{
´/イ }从lム ; \ ,ノ / \
| ∧ U ∧,イ
Ⅵム - - イ // 「いや、友達だと思ってるからな?」
_ヽl\ //イ__
|////} ` ー ´「////|
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カン!
>>70に両方出せって脅迫されました
いや・・・のどっちとアコチャーこそが特異点なのでは?
シン・すこやん アラサー最期の日(30歳の誕生日)
すこやん「そうなんだ…、私たちは…。」
はやりん「そう、この未来永劫の時を独神として戦うために。」
レジェンド「ここから先は、私たちだけで十分よ。憧、あなたたちは。」
Gジラだと思った残念Gッターでした
1/10
【私たちと貴方のグラビティデイズ】-重力次元-
須賀京太郎です。
最近は何やら玄さんと竜華さんが忙しそうで、甘やかし攻撃の頻度も減っている。
胸の中にぽっかり穴が空いたような気持ちと同時に、一人でいることの安心感も覚える。
ーーと言っても毎朝気づいたら朝食が出来ていて、お弁当も出来ていて、帰ったら夕食もあるんだけどな!
実際に遭遇することが減ったとはいえ、飯の準備と講座の準備だけは完璧でめっちゃ怖い。
しかし、たまには一人を満喫するのもいいだろう。
心なしか大学生活の身も軽くなった気がする!
「須賀……、あそこにポルシェが来てるぞ」
「大学教授のやつじゃないの?」
「またお前関係じゃないの?」
「馬鹿言うな。ポルシェに乗りそうな知り合いなんて……」
ああ、そういえばハギヨシさんがいたっけ。
でもハギヨシさんがポルシェに乗ってここに来るなんてありえないし。
なんにせよ俺には関係ないことかなー。
__
. ´ ` :、
(⌒ヽ .:' ..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/  ̄ ̄)
ゝ / .:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: f⌒ヽ /
/廴/ .:.:.:.∧.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.\.:.:.: ト、_,ノ ⌒ヽ
/ .:{ / .:.:.:.:/⌒ :.:.\.:.:.:.:.:.:.:ヽ.:.\ ト-イ.:\
/ イ人{.:.|.:.:.: | \:.:.:.\.:.:.:.:.:.:|.:.:.:|`¨´ У.:.::.:.:.
/// .:.:ハ`|人≫=ミ、 `¨≫=ミ、 .:!.:.: |.:.:.:.| i.:.:.:.:.:.:.|
///.:.:.:.:.:.|.:l: 〉{ んハ ん ハ Y}-、l.:.:.: | |.:.:.:.:.:.:.|
〃 { .:.:.:.:.:.|.:| ハ 弋rソ 弋_rソ :|:|ん} .:.: | |.:.:.:.:.:.:.!
{{ ヽ.:.:.:.:.|人 } .:.:. ' .:.:.:. }:}, イ.:.:.:.:| | .:.:.:. /
ヾ. } .:.:.:| .:.:.込、 ( ̄ ) イ/:|.:.|.:.:.:. | |.:.:.: / 「京太郎くんっ、こんにちはっ☆」
| .:.:.:|.:.:.:.:./.:.:`> . __ イ‐/、:|.:.|.:.:.:. | |.:.:./
|.:.:.:/ .:..:/.:.:.:.:.ハ ‘┴─/ /`ヽ .:|.:.:.:. |人:.{
ノ .:/ 厂二ニ=┘} }.........{ { }‐く二二「}\、
/: / .:辷ニ=7 人__丿......人__廴ノ { てYV〉 \ 、_, イ
ー==彡' /:/ {_,7 /........................ , ┘ {__)....ヽ `ー一'′
/:〈...../ \.....Y....../ `ヽフ........〉
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/_,..- ヽ ` 、
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Ⅵム - - イ //
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2/10
ポルシェから出て来たのは、変装しているけれど瑞原はやりさんのようだ。
普通ならばアイドルである瑞原はやりさんと俺に接点なんかあるはずない。
しかし、”とある事情”から俺と瑞原はやりさんに接点があるのだ!
とにかくはやりさんがここにいるのは不味いと考え、はやりさんに声をかける。
「(明日からまた話題になってるんだろうな……)」
既に美少女四人を囲っている男としてちょっと有名になって来ている。
ああ、胃が痛いっ! 大好きなおっぱいに囲まれているのに!
「と、とにかく場所を移しましょう」
「はや? 京太郎くん?」
「ここにはやりさんがいるのは不味いですって」
「変装してるから大丈夫だよ☆」
「多分、見る人が見ればわかっちゃいますから!」
今はサングラスに帽子を被っているから大丈夫だろうが、芸能人のオーラは隠し通せるものじゃない!
「あ、あの、はやりさん?」
「何かな?」
「どうしてここにいるんですか?」
「京太郎くんの大学の送り迎えをしてあげようと思って☆」
あの、俺一人暮らししてるんで大学から近いんですよ?
ーーあれ? 一人暮らしだよな? 最近女の子が四人くらい家にいるけれど一人暮らしだよな!?
しかし自分よりも圧倒的に格上のオーラを放つはやりさんにそんなことを言えるはずもない。
「平気ですよ。はやりさんと違ってヒマですから」
「ううん、はやりもヒマだから大丈夫だよっ☆」
「(あなたアイドル雀士じゃないですか)」
牌のお姉さんとプロ雀士の兼任が滅茶苦茶忙しいだろうことは想像できる。
少なくとも平日にこんな場所に居られるはずがない。
「大丈夫だよっ☆
最近は優秀な後継者が頑張ってるから☆」
「はぁ……」
そうまで言われてしまえば引き下がるしかない。
後継者って誰だろうか。そういえばユキが一時期牌のお姉さんを目指していたような?
なんか前に聞いたら『ご主人様のために辞めます』とか言われたからそれ以上何も言えなくなった。
夢までぶち壊してしまって胃が痛い。
さらに細かく言うと胃が痛いと誰かに伝えているわけでもないのに消化の良いものを作る玄さんが怖い。
3/10
「京太郎くんに会いに来た、じゃダメかな?」
「……っ!?」
アイドルのウインクにドキッとさせられる。
既にアラサーとは言え、瑞原はやりはアイドルだ。
それこそ昔は大変お世話になった。ナニがとは言わない。
正直、今の俺が美少女に囲まれていることは間違いない。自覚している。
しかし、生の瑞原はやりはやはり他の女子大生とは桁が違う。
f: : V::./::.::.::.::.::.::.::.::.::.::ヽ/: :) /
>:〉: / )::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.:fヽ: く ☆
//人; У../::/{::.::.::.::.::.::.::ヽ:|/:r-::\
. //::.:|::/7:|::.::|::十ヘ::\::.::.一:|::.Y:ヽ::.ヽ\
/ ./::.::.:: レ ::.:|::.::Ⅳ|__ \{\::.::.|::.:|::.:| V::.:. \
. / ::.::.::.::.| .::. |::/|7んハr んハリ|::i::. | |::.::.::..
i{ |::.::.::.:: .::.::.:|∧i Vツ Vツ ,::.|::.:|ノ::.::.::.:} |
::.::.::.:: ,::.::.: |{::.人 '' ' ''人リ:: ||::.::.::.:; |
|::.::./ /::.::.ヘ::.::.::.::>... ` ´.. イ::j/:|::.:||::.::.:::′
☆ |::./ /::.::く\ \/: : :}: . . /:/⌒i::.::.|:: ||::.:::′ 「はい、はやりに時間を割いてくれたバイト代だよっ☆」
_ ノ:/ //|::./: 〉_ソ 7: :ヽ: : 人: : ..ノ/  ̄ハ i
― j/.|:|/ ー、|:__n_ノ / てヽ_j: V|
/ .|/ j/ U {{ )ノ: : :|::\
/ / v ´: : : :.人\::...___,
′ |: : : : /::/ ー-―
八 .: ̄ 7j/
l ーr- ⌒ 、 ノ | ̄ |
,. ´ ̄ ̄ ` 、__
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/ / ,: | ̄\
.:' ' /__/ , | \__
/ / ///\/ / .' ' {` ̄
/イ ,.. 、イ /}/⌒ヽ、/´ // / 、 、
{ { Ⅵ / Vオ {从 /-}/-、 } 、 \
| | {/ ∨ィ=、}/ , |、 }  ̄
/ 乂 u ::::::: Vソ' ,l ∧l |
/イ , 八 ,...、 ' /ムイ,'∧ |
/\ / 、 〈- 、\__ ム/ / \
>----イ///\ . ` ー ' イ/从
////////\/// 、 . ´ 「(札束ァァァァーーーっ!!!)」
//////////\{ /`¨¨ 、
////////////>、 {、 〉
/////////////(_)} ∨、_,イ/\
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/> ´ --、 ∨ム //////////////}
´¨¨ヽ\〉 ∧///,イ/////////// |
- \///{/イ//r- 、///////∧
そう、『桁』が違うのだっ!
目測百万円くらい? の札束をポンと手渡しされる。
これを『はい、ありがとうございます』と受け取れる男はいるだろうか?
俺は出来ない!
「はやっ、足りない?
ごめんね、すぐに下ろしてくるから待ってて☆」
「違いますっ、受け取れませんよ!?」
なんでそう言う風に勘違いするの!?
4/10
「(玄さん、竜華さん、モモ、ユキ!
みんな手強い強敵だった。
しかし、その大学の猛者たちでもはやりさんと比較すればまるで子供と思えるほどに
瑞原はやりは住む世界が違う!)」
まぁ大学生なんてまだ子供だし、はやりさんはアイドルだから住む世界が違うのは当たり前なんだけど!
今までの甘やかし攻撃とは一線を越える『大人の財力』
例えば、今までのお小遣い攻撃などは『近い年齢の女の子』から貰うことに躊躇して居た面はある。
しかし、明確な大人に甘やかされるとなればーー
「(ち、違う。俺はヒモになりたいわけじゃないっ!)」
ギリギリで踏みとどまる。
危ない。このままだとはやりさんのバブみに屈してオギャるところだった!
「はやりさん、なんでこんなことをしてくれるのか全くわかりません。
でもお金なんてなくても、もし俺に用事があれば言ってくれればいいんですよ」
「京太郎くん、そんなことないよ?
はやりは大人だし、ケジメはつけないといけない。
京太郎くんの貴重な青春の時間をこんなおばさんに使ってもらってるんだからお金で買えるものじゃないよ。
ほんの気持ちで申し訳ないとは思ってる。
でも、良かったら少し付き合ってくれないかな?」
「なんでもするから☆をつけて喋ってくださいっ!」
瑞原はやりファンに殺されかねん。
きっとファンならお金を払ってでも立場を代わってほしいと思うだろう。
なのに俺ははやりさんから強引にお金を押し付けられている。何故だ。
「わ、わかりました。
とりあえずお金は仕舞ってください」
「わかった☆」
「俺のカバンに仕舞えって意味じゃないですからねっ!?」
俺の周りの女の子はみんなポジティブでいいなー。すごいなー!
「な、なんで俺にそこまで拘るんですか?」
「忘れちゃったのかな☆
はやりのことを助けてくれたこと」
「あれは当然のことでーー」
そうだ。俺とはやりさんが出会った理由。
そして俺がはやりさんにここまで尽くして貰う理由、らしい。
5/10
……
…
小さい頃にとある人に憧れを抱いた。
その人に近づこうと努力して、かつてその人がいた地位まで上り詰めた。
青春も全て注ぎ込んだことを後悔はしていないけれど、やっぱり少し寂しい気がする。
あの人に出会わなかったならば違う未来があったのかもしれない。
例えば、一人の女の子として誰かと恋愛をして、結婚していたのかもしれない。
しかし今はそうはいかない。
誰か一人のものではなく、みんなの自分なんだ。
結婚適齢期を過ぎた今でも、後悔はしていない。
していないけれど、どこか寂しい。
そんな自分がたまには羽目を外そうと変装して一人で外出してみた。
その結果がーー
「ねぇ、お姉さん。
良かったらデートしてくれない?」
「こ、困るよ☆」
「お姉さんそんな格好で顔を隠しちゃうなんて勿体無いよ」
いつもならば難なく逃げられるのに、その日はヒールを履いていた。
大っぴらに騒いでしまえば大ごとになってしまう。そうすれば瑞原はやりはともかく、絡んできたこの人が危ない。
別にしつこくなければナンパされて嬉しい女の子だっているはずだ。
たまたま彼が話しかけたのが『瑞原はやり』で、そのせいで彼の人生が壊れるような真似はしたくなかった。
「俺の姉ちゃんに何か用っすか?」
「……は、弟?」
「そうですけど、あんまりしつこいなら警察呼びますよ」
「いや、男連れじゃ仕方ねーよ」
「こちらこそ、脅すような真似してすみません」
急に背の大きい金髪の男の人が割って入ってきた。
ナンパしてきた人も背の大きさに驚いたのか、素直に引き下がる。
まるで少女漫画のような展開だった。
「あの、変に声かけてすみません。
困ってそうだったので、本当余計なことしてすみません。
じゃ、俺はこの辺で」
さっきまでの威勢の良さは何処へやら、へこへこと頭を下げながらその場を離れようとしていた。
恥ずかしいからか1秒だって居たくないようで、すぐに踵を返して顔を合わせようとすらしない。
「……待ってくれないかな☆」
「へ?」
それが私と彼の、運命の出会い。
6/10
……
…
俺とはやりさんはそんなベタな出会い方をした。
現実であんなことをすれば引かれてもおかしくないのに、はやりさんは笑って許してくれた。
話しかけた時ははやりさんだとわからなかったから、喫茶店で正体を教えてもらった時には興奮した。
思わず色紙を買ってきてサインしてもらった。一生の家宝にするつもりだった。
もうアイドルと会うことなんてあるまい。帰って色紙を見つめてそう思っていた。
後日、はやりさんが大学に乗り込んできた。
最初は手作りのお菓子だった。
前の日はちゃんとしたお礼ができなかったから、と言われた。
俺はめっちゃ喜んだ。なんたって憧れのアイドルの手作りお菓子だ。
「京太郎くんが何を喜ぶかわからなかったから……」
「めっちゃ嬉しいっす!
憧れのアイドルの手作りお菓子を食べられるなんて、俺スゲー幸せですよ!」
「あ、憧れなのかな?」
「俺、麻雀弱いしはやりさんが美人だからずっとファンだったんです!」
「え、えへへ☆」
「あ、もちろんで今でもファンですよ!」
はやりんのことをキツイとかアラサーとか馬鹿にする奴は許さない。そう誓った。
次の日、BMWをプレゼントされた。
何を言ってるのかわからねーと思うが、俺もわからねー。
「あ、あの、はやりさん?」
「あ、京太郎くんはまだ免許持ってなかったかな?
それならはやりのお金で合宿免許を取りに行こう☆
車の保険金もはやりが持つよ☆」
「いえ、長野はド田舎なんで免許は持ってますけれど……。
ってそうじゃなくて」
「もっと高級車の方が良かったかな?
ごめんね、気が利かなくて。
大学生なら少し傷ついても大丈夫な方がいいかなって思ったんだけれど」
BMWを傷ついていい車と申すか。
芸能人の価値観はわからん!
「次はロールスロイスをプレゼントするね☆」
「お願いしますからやめてください」
最高価格44億円じゃねーか!
いくらなんでも無理ですっ!!
7/10
その後もはやりさんの甘やかし攻撃は続いた。
自分の金銭感覚がおかしくなっていくのを感じた。
今日、推定百万円にツッコミを入れられたのは奇跡かもしれない。
「京太郎くん?」
「あ、はい。なんでしょう?」
「ごめんね、こんなおばさんに時間を費やしてもらって。
はやりはお金しかないから……、お金しか渡せないんだけれども……。
そ、それでも京太郎くんが何か欲しいならなんだってあげるから☆」
「そんなことないです。はやりさんと一緒にいるだけで幸せですよ!」
「え、えへへー☆」
天使のような笑顔を見せてくれるはやりさん。
うん、ここだけ見ればめっちゃ可愛いんだけどなー。だけどなー。
「別にはやりと付き合って欲しいとかそういうわけじゃないんだ☆
ただ、はやりがお礼したいだけだからね☆」
「(玄さんや竜華さんの最終進化系かなー)」
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:.:.:./ 、|::ヘ ゚。:.:/ )、 { } ィ:::: ∧; ┐ 「やめるのです素晴らしいおもちさんっ!」
:. / / ̄)/ /:.:、 > ゝ--- ′< ノ:::::///:
: ′ _ | 丁 | |` ミ \ ̄/,,_ |彡"彳/ /::::::::.___
: | 、__) ー | ,.:┐t'⌒{ } 入 | r v // r―::′
! r‐、} '^ | | {ニ=- ∨ _ノ┴ュ'′/ } 〈_/ \
し ー |ニニニ{ニ}ニニニニ} / ,ノ、 rヘ,_〉
} / ニニニィ¨ト=ニニ7 { ‘,  ̄}::.
. イ∧ /ニニニ/ マニニニ\ :, /し':::::::.
/ ゝ /'⌒ヽ/ マ> ´ \ /::::::::::::i::}
/..........::::::::::::/ |:::ハ::::::::::::::ハ:::::::::::::::::..ノヽ..∧
. /....../...::::::::::/ :|::| \:::::斗-、:::::::::::::::::::::::i:: ∧
'....../..{:::::::::〃:{ 弋{ 〃ヽ::::廴 \:::::::::::::::: |::::::∧
i...../...::|::::::::ト-|:{ \ ぅ 斗=ミ、 i:::::::::::::::::|::::/::∧
|... 7..::|::::::::| |:{_ ヽィ乏)::::ハ 入:::::::::::φ::::::/::∧
|ハ:::::::::ヽr ::y 弌 弋辷ツ ′ 〉::::::::/::::::::i::/::∧
|{ i::::::::::∧〃_)::ハ ` _厶ィ:::ハ:::::::|::::/::∧
|{弋:::::〈:::ハ ゞ -'' 、 ::::::::::: ´ }::::::|:::::::/::∧
` >へ::i ::::::::: u /:::::::|:::::::::/::∧
}.:. -‐- 、 rー ':::::::::::|:::::::::: /::∧
|.∧ V_ ノ イ:::::|:::::::::::|::::::::::::::/::∧ 「玄ちゃん本音でとるでー?」
|...:::ゝ / |::::::|:::::::::::|::::::::::::::: /::∧
|...::::::::> < 八::: |:::::::::::|::::::::::::::::::::::::::\_
|...:::::::::::::i::::::::::`¨ハ 〉:|:::::::::::|/ ̄ ̄ ̄〃 へ ^ヽ
|...:::::::::::::|::::::::::::::::::〉 /::::|:::::::::::| // ⌒ヽ.∧
|...:::::::::::::|__// _/{:::::|:::::::::::| // V∧
r―|...:::::::::::/ ./---、 ' ./ {:::::|:::::::::::|_彡 ' V∧
. ∧ { |...::::::::/ // ̄ ̄ 7 |:::::|:::::::::::|=- / V
. / } ト|::::::::/ 〃 / |:::::|:::::::::::| ./ / V
わーい。
火にガソリンぶっかけに来たぞー?
8/10
「あ、君たちは京太郎くんの彼女さんかな?
ごめんね、はやりが京太郎くんの時間を取っちゃってごめんね。
不快ならすぐに辞めるから、示談にしたいならいくらでも出すからね」
「ううん、彼女さんじゃないよっ」
「確かに京くんの嫁さんは探しとるがなー」
まだ辞めてなかったんですか、ソレ。
「今回は一言言わせてもらいますっ」
「せやで、これ以上の暴虐は許されへんよー」
「な、何かな?」
「ちょ、ちょっと二人とも。
あまりキツくは言わないでくれ、はやりさんも悪気があったわけじゃ」
そうだ、程度の問題なんだ。
こんなお金を渡したりとかじゃなければ、普通に遊ぶだけならばすごく幸せなんだ。
「わかってるよ、京太郎くん」
「京くんの気持ちはわかってるで。
程度の問題、やろ?」
「すげぇ、なんでわかったのかわかんないから怖いけど!」
やっぱりドラゴンズは頼りになるぜっ!
このまま任せておけば良さそうだ。
「瑞原はやりさん、私たちは大学生なんです」
「この歳からあまりお金を持っとると、価値観が崩壊してしまうわなぁ」
「そ、そうなの?」
「はい。過ぎたるは及ばざるが如し」
「うちらは京くんが自発的に成長するのを見守るだけなんや」
「そ、そんな、はやりは間違っていたのかな?」
____
,, :´ : : : : : `: ..
≦: : : : : : : : : : :\
. .ク:.:::.: : : : : : : : : : : :.ヽ
/::.::.::.:. : : : : /: : : : : |: : : : : : : : い
./. __.ヾ:. :.ィ: /!: : : : :.ハ : : : : :‘:,: ‘, ゚.
.,/..../::.!.―:{ |: i |: : : : : | ∨:.:|: : : |:.: : :|: ゚
′::::i::.. 从 :乂:.ヾ:::::ハ.i|≧ミ∧..`:|: : : :|: :
|:: '::: i:. :..ノ灼茫 ヾ:i ^灼茫ミ...}::.:.|: : : :|: :.゚
|::|l:::::i:.:.:.圦 vツ vツノ |::...|: : : :|: : i
|::|l::::ハ.:.:.} 、、、 ′ 、、、 ,i::: : : : :|: : |
|::|l::/.::::..小. r― イ. : :.|: : : |: : |
|::|l:{.i:::::.: 込. ..ノ .イ. }: :..:.: :...|: : | 「お小遣いは一日一万円までっ!」
`O′:::.(:. ノ介ト __ <{从 /: :..|: : : |: : |
/::j |:::::_≧=ー : 〕 .....{ j:.:/: : :.イ: : :.l: : |
.{:::/ |::::.:.:广.../レ 〃ヽ /: : :/:.:|: : :。.: : !
.|::{ .从:..:|....┴ヘ. イー|. :/: : :/^`ア⌒ヽ:,
.Ⅵ /::::ヾ/../ >..={_}=ー 〉...: : :/::/
ーーあれ、今なんかおかしいこと言ったぞ!?
9/10
____
,, :´ : : : : : `: ..
≦: : : : : : : : : : :\
. .ク:.:::.: : : : : : : : : : : :.ヽ
/::.::.::.:. : : : : /: : : : : |: : : : : : : : い
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′::::i::..丁¨{丁{│:.:..: : i| ¨v:丁¨`:|: : : :|: :
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|::|l:::::i:.:.:〃んrハ^\ ーんrハ |::...|: : : :|: : i
|::|l::::ハ.:.:.} 乂_ノ 乂_ノ. ,i::: : : : :|: : |
|::|l::/.::::...|. ,_ 、 __ : :.|: : : |: : | 「私たちが京太郎くんにお小遣いを渡してーー」
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`O′:::.(: 介o。, ‘` イ : /: :..|: : : |: : |
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.{:::/ |::::.:.:广.../レ 〃ヽ /: : :/:.:|: : :。.: : !
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.Ⅵ /::::ヾ/../ >..={_}=ー 〉...: : :/::/
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/ : : : : : : : : : : : : : : : : : : : .ヽ.
': : : : : :/:::::::::::ィi:::::::::: ::::: : : : : : :ハ
/: : : : :::://:::::::// l:::::::::::::::::::::::::: : : : ',
, : : :::::://:::::::/::l !:::l::::::::::::::::::::::::::: : i
i : ::::l:l:lハ丁iトi、 ,斗fT丁¨V:::::::::l:: l
{{ !:::::::::l:l l_,⊥l_.l ヽ_,ムL_ V::::::l:.: |
!小::::::小ィ'戔心 ィ'戔心Vl::::::i:. :|
乂ヘ::::::i iヘ弋'ソ 弋'ソ/ レヘ:l: :.|
トrハ ¨ ¨ ノl: : |
|.l::トi '''' ` ''' rf升l: : | 「京くんがパチンコでそれを増やせばそれは京くんのお金になるやろ?」
|.l:::::::>、 -ー- イi:::::.l:l:: : l
小::::::l:::i> ,. ィ升:l::::::l:l::.: :|
ムl::::::::Lム斗_}` ´ ヤトl:::::::l:l:::::.ム
r┼iTl::::::l:::::::::{ }::.l:::::::lj ̄`¨ト、
∧:V:::|: :::l::::::::::L_ _./:.:.:l:::::::l/// ハ
r―-. .../::.::.::.::.::.::.::.:: \::.::.::.::.::> : : : : ヽ
八: : : : /:/::.::.::.::.::.::.::.::.:::.::. \:: Y⌒ヽ: : : : ノ
ィ: :/:/ ::.:: イ::.::{::.::.: \:::.::.:ヽ| |: : :.く::.\
/{::: ::.::.:′::./__|::.:八::.::.::.:: ヽ::.::.|\_..ノ: : : : )::.:ハ
. ,.:/:::::: :: | ..::::「 八::.::.::\::.::.::.ト::.::|::.::\: )丁::| ::.:. |\
. /::.::.::| |人::.::.| \{\::ヽ::.::| j小::.:: |::.::.| V::.::.::.|
.′.::.::.::||:::ト斗ミx \ ≫テ斥x|::.:|::.::.|::.::.||::.::.::.| |
.::.::.::. ||::.i{j 爪_ハ 爪_ハY: r- 、::.||::.::.::.| |
i |::.::.::.::||::.リ 弋ぅツ 弋ぅツ |::.| /: : ||::.::.::.| ノ
| Ⅵ::.:: ||::.::.} ,,, ' ,,,, :: |/::|::.: ||::.::.::.|
| Ⅴ::.::|人::.:八 マ 7 ィ.:/i::.::|::.: || ::.::.八
乂 V::.:′::\{::.:>.... ー イ::/:/:::|::.:|::.::.||::.::/
|//^ー―- |ハ: : |: : : : : ::f⌒ |::.:|::.:|::.::.|_j::.{
//{_/⌒ /´ヘノ: : |: : : :|: : | 八::|ー――-;:..
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` ー―――/{ : : |/ く: : : : : ヽ: : : : : : : :.j ト、 }_ : : : ::. \ー――/
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: : : : : |. : : : : :i |: : : :i:|. : : : ∧: :、.i. .i: : . ` 、
.: : : : : !: : : : : | |、: : :| | : : i | !: :|:| : |:、: : : : : : >
: : : : : :| : : |: i 「! ヽート!、: : リ !: |ハ: ト : | ̄ ̄
.: : :,..-、|: : :i: :|: !゙、 _、!二゙、-| イ: リ ! |ヽ:|
: : / へ.゙、 :丶ヾヽ<´{::::i` ヽ! 1!|:/| :!ノ゙、リ
: :ヽ \ : :!丶  ̄ Vイ:ハ |\:i
.: : 丶 \゙、 `> リ `
ヽ: : :`┬ 、 ヾ /
i: ;ィノ U ,....-ィ /
,,:‐レリ _  ̄ / 「ーーーー!!!?!?!?」
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|:: '::: i:::::乂:::ト{:|_、{ \::{__ 斗へ:::::i::::::::|::|::::::::|:.:.|
|::|l:::::i:::::::::ト::{ ` \. ヾ ヾ|::::::::l::|::::::::|:.:.|
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|::|l::/ ::::::l:::} ´` ̄´  ̄´ .|::::::::| }::::::::l:.:.:l
|::|l:{ i::::::l:::| 、、、、 , 、、、、 |::::::::|/::::::::i:.:.:.l
`O′ |::::::l从 j:::::::〃:::::::ィ::.:.:.l 「最近色々できなくてごめんね?
/::j |::::::|::i::> ` ′ . ィ:::::::/i::::::::::|::.:.:.:l これから京太郎くんの隣の部屋に引っ越す予定なんだー。
{:::/ |::::::|::|:::::::::|> < {::::|:::::/:/::::::::::|:.:.:.:.:l それなら京太郎くんも夜遅くに私たちを送らなくて大丈夫だもんね。
|::{ .从:::Ⅵ:::::::|l:::: r‐}`´ __ ノ }/:::/:/:::::::/:::|:.:.:.:.:.l 右隣は私と竜華さん。左隣は桃子ちゃんと由暉子ちゃんだよっ」
Ⅵ /::::ヾ::::{:::::::|l::ノ ∧__∧ ∠::::/_'::::::::/:::::|:.:.:.:.:.:l
/.::::::::::\r‐ '〃/レ 〃ヽ 厶イ /:::::::/\_|:.:.:.:.:.:.l
'::::::::::::::/ ` 厂 ̄`r=く  ̄}/ /::::::::/ ⌒ヽ:.:.:.:.:l
( ̄ \ /.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.\ ___ ☆
__≧ /.:.:/.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:\:.:.:/ ノ
/> .:.:(___(__) .:/ .:.:/|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.(__) _)::.\
. /.:.:.:.:.: | |.:.:′.:' |:.:.:.:.:.:.:.:.: :. :.|.:.:.\人::.:.:.:.:. \
/ .:.:.:.:.:.:./|__|.:.:.|:.:./| 八:{\:.:.:.:.:.:.:.:|.:.|:.:.:.| ヽ:.:.:.:.:.. \
. / .:.:.:.:.:.:./ :| |.:.:.:Ⅳ__|_ \ ≧:.:ト、 |:.:|:.:.:.| ‘,.:.:.:. \
/ .:.:.:.:.:.:./ _| |.:.:.:.; /rしハ rしハ|:|:.:.:.| .:.:.:.:. |
.:.:.:.:.:./ .///|.:.:.{ i弋う' 弋う' 小:|}.:.:.| ': .:.:.:. |
| .:.:.:.:./ .' |ノ :.:.:圦 " ' "/:j:/.:.:.:.| |.:.:.:.:.:
人 .:.:.:.‘ 爪 V.:.:个.. V ノ イ.:.:.:.:.:.:.:.:| |.:.:.:.:.:/ ∧_
ヽ.:.:.' 〔::{ \ /7¨ヽ:.:.:≧-≦- 、:.:.:./ ̄ ̄ >-、 .:.:.:/ < <
):; j:::}__ ヽ // /\::::::::::/ /⌒ヽ|/ _ ノ :.:.:/ |/ ̄
/ ノ:::{ \(__./ 、l八 ノ /:::::::::::: ヽ |:::(
/ {:::::::::{__ ノ > 、 /―― 、:::::: | |\\ 「よぉし、はやりがアパートごと買っちゃうぞ☆」
从_::::::{_/ }\ ` ̄\ :::: |_/. \
j_::::::::/ .:/ \ } }!/:
/ / / / { } \ ヽ V V
_ ,.斗 // / ./! / ! :} } ' ヽ V', , ,
 ̄ ̄ / / / //_j_ ,' | |、 :} ' :| ,V斗=ミ{ , ,
/ / ' ,' ィ^~v{≧x、,ヽ,' /、ィ'"_j/ } /「 j |
/' / !/| /{ 斗-ミヽ ∨ / }/ア乏メヽレ } }レ
, | :| ハノ∥んr'j V / V' Vrソ 》 :} 八-、 '
/ >'/ ハ { :, ` ー≦' /' ヽ  ̄ /イ{/ヘ Yハ{
/ '" ∥ / ',从_}: 〈| } ! ∥ ヽ
7/ ヽ ' し /’
/’ ` _、 _ {ーイ/
、 f-――'ヽ 人レ'^ 「……っ!?」
\ L∠二二ソ /|/
レ}h。 /r rー==ミ、
r「\__'}个 --- < | |ニニニヾ
|:| } | |ニ{1-B}ニ!
俺はもう、ダメかもしれない!
カン!
投下終了
> 「大丈夫だよっ☆
>
> 最近は優秀な後継者が頑張ってるから☆」
のどアコアイドル次元とつながってる可能性が
はやりんつながりで叔父さん堕とすのに失敗したシノチャーとか豊姉参戦しないかな
乙
これははやりんが買い取って部屋の壁や床を改装してドアを付けそう竜⇆玄⇆京⇆ユキ⇆桃
⇅
はやりん
1/10
103
【胡桃ちゃんを投入してみる】-重力次元・パラレルワールド-
俺の周りにはとても魅力的な美少女がたくさんいる。
彼女たちはとっても優しくて、とっても優しくて、優しすぎるんだ……。
「京太郎くん、今日のお夕飯は何がいいかな?」
「京くんはエビフライが好きやからなぁ」
「(教えた覚えがない……)」
「京さん、勧誘を撃退してきたっすよー」
「ご主人様、何か入用なものはありますか?」
「京太郎くん☆ クッキー作ってあげるね☆」
「あ、あの、大丈夫だから。大丈夫だから!」
うん、優しい。
しかしそのお節介とも言える優しさが俺を堕落させていく。
人間、意外と脆いものだ。
ああ。玄さんのご飯美味しいなと思ってしまえばそれに頼ってしまうし。
竜華さんの耳掃除は気持ちいいなぁと思ってしまえば次に期待するし。
モモがお風呂掃除してくれると楽だなぁって思うし。
ユキがジュースを準備してくれていると楽だなぁって思ってしまうし。
はやりさんのお菓子を食べるとほっぺたが落ちそうになる。
,. ´ ̄ ̄ ` 、__
/ , / /⌒Y
/ / ,: | ̄\
.:' ' /__/ , | \__
/ / ///\/ / .' ' {` ̄
/イ ,.. 、イ /}/⌒ヽ、/´ // / 、 、
{ { Ⅵ / Vオ {从 /-}/-、 } 、 \
| | {/ ∨ィ=、}/ , |、 }  ̄
/ 乂 u ::::::: Vソ' ,l ∧l |
/イ , 八 ,...、 ' /ムイ,'∧ |
/\ / 、 〈- 、\__ ム/ / \
>----イ///\ . ` ー ' イ/从
////////\/// 、 . ´ 「(うわぁぁぁぁ徐々に侵食されてるぅぅぅ!)」
//////////\{ /`¨¨ 、
////////////>、 {、 〉
/////////////(_)} ∨、_,イ/\
///////////////`¨¨¨|/\////\
/> ´ --、 ∨ム //////////////}
´¨¨ヽ\〉 ∧///,イ/////////// |
- \///{/イ//r- 、///////∧
気づけば、泥沼!
このままだと彼女たちによって俺は堕落する!
ベッドの上から動かないで生活できるようになってしまう!
そ、それだけは嫌だ! 男として以前に、人としてダメだ!
2/10
……
…
: : : : :/ : : : : : :| : : : :|.. : :. ゙、: . ゙、゙、. \
: : : : : |. : : : : :i |: : : :i:|. : : : ∧: :、.i. .i: : . ` 、
.: : : : : !: : : : : | |、: : :| | : : i | !: :|:| : |:、: : : : : : >
: : : : : :| : : |: i 「! ヽート!、: : リ !: |ハ: ト : | ̄ ̄
.: : :,..-、|: : :i: :|: !゙、 _、!二゙、-| イ: リ ! |ヽ:|
: : / へ.゙、 :丶ヾヽ<´{::::i` ヽ! 1!|:/| :!ノ゙、リ
: :ヽ \ : :!丶  ̄ Vイ:ハ |\:i
.: : 丶 \゙、 `> リ `
ヽ: : :`┬ 、 ヾ /
i: ;ィノ U ,....-ィ /
,,:‐レリ _  ̄ / 「そういうわけなんですけれど、なんか打開策はないですかね?」
゛=!_ \ `ー-、_ _/
::::::゛== 、 \ / ̄ヽ、
::::::::::::::::::::::゛===-、 >
::::::i::::i::::::/l::::::,ハ:::::::i:::::i:::::::i::::V \ | / //,
::::l::::l:::;/ .i!:::/ .';:::::ハ::::l::::::l:::::i /
::::::;ハ:l!丶{:/ .j/'´.l::∧::::i::::l わ .き ‐二
::ハ}.,ム=z, ヾ " ,zzl/ l:::l:::::l る も ‐=
:l /イ::::::ヾ 'イ:::::ヾヽ|:::::::::| い .ち -ニ
:| r'::;;;;;::l r':;;;;::l l:::i::::::| : ‐=
:l ヽ- '' ヽ- ' .':::i::::::| ! ! ‐二
:|. ,, l:::!:::::i| \
::i.、し 、 ,.':/::::/l! / | \\ヽ
_;l-'丶,. ` ´ . ィム/-‐'
.ィ:i:アくl个 ‐ r≦´
i:i:i:i|l /∧_∧ l|i:i:i:i:\
一刀両断にされてしまった。
彼女は鹿倉胡桃。どう見ても少女にしか見えないが俺より二つも年上の女子大生だ。
しっかり者の胡桃先輩ならば大丈夫だろうと思ったけれど、そもそもドン引きされる事情なのを忘れていた。
でも、その正常な感性に触れられるだけでなんだか嬉しい。重症だコレ。
「そのデカい図体は飾り?」
「飾りっす……。女の子には弱いんです……」
「優柔不断とかヘタレを通り越して最低!」
「うぐっ」
返す言葉もない。
複数の女の子に尽くすだけ尽くさせて何も返していないのだ。それはもう叩かれても仕方ないだろう。
しかし何故だろうか、胡桃先輩の毒舌が心地よい。
こう、甘いもの漬けにされた食事の後に辛いものを食べるような……。
「きもちわるい!!」
「サーセン」
変な顔してたら怒られた。
3/10
「迷惑だって言えば?」
「言えないですよ……。
善意でやってるわけですし」
「善意も度が過ぎれば迷惑でしょ。
京太郎が自分の意思で言わないと!」
「その通り、ですよね」
やばい、正論だ!
そうだ、俺は何を迷っていたんだ。
, ⌒ ー  ̄ ̄ 、
/_,. - \
/´ / /⌒\ ヽ
, ´ , V :.
/ / / / / | V : V |
/-- ´' / / / l|{ | l| | | {
/ イ { ':|_,斗| | 、_l__/_ィ |l∧
/ ,: ∧ | {∧{ { 、 /}/}/ } /∧|
/ イ / {∧{ 、__,.V {∨ 、_,/ イ}' `
 ̄´ V∨乂l \ ムイ/ 「ちんまい先輩に頼ってないで自分の力でなんとかしないとダメですよね」
从 ' 八/
-〈〈/\ v-っ イ》く__
/////∧\} > -- < |//}///> 、
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:::::::/::::::::::::::::::::::::::::ハ::::::::::::::::::::::::::ヽ::::::ヽ /⌒\
:::::/:::/:::::::/::::::::::::/ V::::::::::V::::::::::::ヽ:::::::', / ヽ
:::/::/::::://::::://:/ ヽ:ヽ::::V:i:::::::::::';::::::::, / つ !
:::l::::!:::::トi:_::/ i:/ V:ハ:::ハ:レ::::::::i::::::::} ,' ぶ !
:::i::::!::/{ V:ト、{ 、_iレ:イフ V:::i::}::::::::! ! す }
:::{:::{:/ /z77ハヽ /zzミヽ i::::i:i:::::::::! { : }
::::!::i:i i ん///} ん//ハ ', i::::i:i:::::::リ ゝ : /
::::i:::ハ 弋z‐フ 弋z‐フ イノ:i:i:::::::i (_,、 __/
:::::i::i:::!  ̄  ̄ '::::i:i::::::リ O  ̄
::::::i::i:ハ し ′ " " /::::i:i::::ノ ゚
`ヽi:ト::> 、 , イ:::::〃'´
V/: : {`ヽ _ <i: : :\
/: : : : : \ / ̄ \ /: : : : : :\
「やばい口から本音が!」
「コロス……!」
「違うんです!
胡桃先輩に迷惑をかけないようにですね?」
「ちんまい先輩は頼りにならないから自分でやるってこと?」
「違いますよ!?」
「そこまで言うならなんとかするよ!」
「お、おう?」
怒りに満ち溢れた胡桃先輩をやる気にさせてしまったらしい。
し、しかし胡桃先輩が俺の頼れる最大戦力なのは間違いないっ!
これは期待できるぞ!
4/10
……
…
,.': :/:/: : /!|: : ;' |: :__: : :.|: : : :|: :l: . . .ヽ
. /:, :,': :!:,': ! ||i: : | !l_、:ヽ ̄:ト: : : |.: :l: . : . .゙、
/:,1:,'.: :|:レ|´l|ヽ: ゙、 ヽ_\l\!: : : :!.: :|: : : . |. l
,':/ !:l: : :!:| リニ、 \!イ斥"寸、!: : : :!:ヽ!: : : . !. .!
{:| |:l: : :|:i:斥寸 弋しソノ|: : : :|:ヽ|: : : : |:. .|
ヾ !:|: : :抖乂ソ `"" !: : : :!=、l.: : : :.|. . !
| !: : :l:! ,, ", ""|: : : :| |!: : : : .!: . l
|λ: :l:l |: : : :| ,ィ.: : : : :|: . .!
jt |: : |l _ っ !: : : j´:|: : : : : |: . .!
/ :| ゙: : |:ヽ/ノ .ィ.: : :,': :,'.:/: : : :|: . .| 「今日のご飯は何にしようかなぁ?」
,'/l | ゙: :y' ,ィl>... _ .. ´ l: : /: :/:/: : : : :!: : ハ
lj ヾ、 ∨/>!: : |: : :} //|: /´: : : : : ノ: : : .ヽ
,' ´-ヽ:.:|: : :| " У: :_ - "´ `ヽ: . .゙、
l -テ!:,': _ノ /: / \ ハ
/| l´/ニ__ /: : ,' ヽ∧
,' ! !' ` ,.': : : : :| ,'. . ヘ
l. ノ ∧ァ__r‐-/: : : : ;ィ /: . . . \
/::::::::::::::::::::::::ハ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
/:::::::::/:::::/::::/ ヽ::::::::::::::::ヽ:::::::::::::::::::ヽ::::::::∧
/:::::::::/:::::/::::::l V:::::::::ヽ:::ヽ::::ヽ::::::';:::';::::::::::ハ
/:::::::::::{::::::!::::::::! ';:::::::::::!!::::ハ::::iV::::}::::i::::::::::::',
〈 i::::::::::i::::::i:::::::::{ ';::::::::ハ:::} }::ハ:::j:::::i:::::::::::::'
V::::::::::V::::V:::::ハ 川::/ j:ノ__ィ´ V::::::|:::::::::::::}
l::::::::ハハ::::H::ト:L j:j:ノレイ_ノzz、ハ::::::}:::::::::::::}
V::::::ハ ≧三ミゝ ノノ "´ん//ハ` i::::::!::::::::::::j
i:::i::::ヘ〃ト//心 弋 ‐フ |:::::!:::::::::ハ}
ハ::V:::ヘ \ヒフ  ̄ }::::j:::::::://
i V::::::::ハ ' "" ィ:::/:::/
i V::::::::ハ U , /::!:// 「何言ってるの……?」
Vト>> ` イ ̄ レ
V >┬‐ ´ /ヽ
イ 〈} / /〉..、
_...<:.:.:.:/ /ィ∨ハヽ //:.:.:.:.:.:>..、
イ:.:.:.:.:.:.:.:.:.//:∧ ∧ヽ //:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/\
/ {:.:.:.:.:.:.:.:.:.レ' 〉/z7/ ヽX/.:.:.:.:.:.:.:.:.:./ ヽ
「あっ、先輩!」
「男なんだから自分で作らせる!
クロは彼女じゃないでしょ!?」
「で、でも京太郎くんに美味しいご飯作ってあげたいよ?」
「大学生なんだからそれくらい出来る!
何でもかんでもやってあげない!」
「ふぇっ!?
で、でもお米を炊いておかずを作るくらい……」
「ほぼ全部でしょ!
もうすぐ成人なんだから自分でやらせるっ!」
「え、栄養の偏りが怖いよぉ」
「若いんだから大丈夫!
もし病気になっても自業自得!」
す、すげぇ!
あの玄さんが防戦一方だ!
5/10
……
…
‐==‐-
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,'.:.:.:.::: 八 :.:/  ̄ /.::./:/ i|.: /.:..::.::.:.:..ノ
.:.:.:..:: ..:::..:.:∨____/:/ ∨ ∨.:. /:...:.:: ̄}
.:.:.:..::.::i.:γヽ{ ∪  ̄` ___,}:/ /.:/:.:/:}
.:.:.:.:..::.::|::.{ ∪ ̄`'/∨/ /
.:.:.:.:..::.::.:|:人__ '' , /:./
.:.:.:..::.::.::.:.:|:.:.:.:.ヽ ''' /::/
. /.:.:..::.::.::.:.::.|.:.:.:..:.} \ .-, U イ:: ′
/ .:.:.:..::.::.::.:.:.|:.:.:.:./ _ < :.:.:'
/.:.:.: __,._-‐─!.:.:.::{、 / ̄´.:.:.:..:: |:.::.:.:i 「ええやん、パチンコ代を渡すくらい」
. /.:.:/  ̄`!:.::.::| \ 〈 ___.:.:.:..::. /|:.::.:.:|
/.:./ |! :.::|// \⌒ヽ//`ー- |.:.:::.:|
. /:.:/ {:.:.::|\ //\ V ////|.:::.::.|
. /:../ ::..:.{ \ /∧ i}//// |:.:.:.::|
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/::::::::::::::::::::::::::/ ,::::::::::::::::::::::::::::::::::::::',.
':::::::::::、::::::/:::::::l .!::∧:::::::::::::::::::::::::::::::}
l::::::::::::::!ヽ`ト∧! }/ 斗::::/!:::::::::::::::::::|
l::::::::::::〃んi刈 ん刈 》::::::::::::::::::::'
l::::::::::|::| Vzソ Vzり |::::,':::::::::::/
、::::::!/ u .:::::':::::::::::'
从| > _ \/ ィ::/::::::/ 「……正気?」
|/ =- ---- '" |/--'"
/"''ー―― '' " ∧
/ | <i=|=|=i> / ∨
. /\.! 1 | , |
/ ! <i=|=|=i> ! !
「パチンコ行くのは止めないけれど、そのお金くらい自分で稼がせる!」
「行ったことないですからね!?」
「じゃあ何でこんなこと言い出してるの?」
「わからないですよ!」
「もー、細かいなぁ。京くんおいでー。
膝枕で耳かきしてあげるからなぁ」
「耳かきくらい自分でやらせるっ!
それくらい自分で出来なくてどうするのっ!」
「なんやもう……。
ええやん、京くんは毎日頑張ってるんやから」
「それならせめて頑張ってるってくらい自分のことは自分でさせるっ!」
お、おお!
妥協点というか、うまく引き出しているぞ!?
6/10
……
…
__
. ´ ` :、
(⌒ヽ .:' ..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/  ̄ ̄)
ゝ / .:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: f⌒ヽ /
/廴/ .:.:.:.∧.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.\.:.:.: ト、_,ノ ⌒ヽ
/ .:{ / .:.:.:.:/⌒ :.:.\.:.:.:.:.:.:.:ヽ.:.\ ト-イ.:\
/ イ人{.:.|.:.:.: | \:.:.:.\.:.:.:.:.:.:|.:.:.:|`¨´ У.:.::.:.:.
/// .:.:ハ`|人≫=ミ、 `¨≫=ミ、 .:!.:.: |.:.:.:.| i.:.:.:.:.:.:.|
///.:.:.:.:.:.|.:l: 〉{ んハ ん ハ Y}-、l.:.:.: | |.:.:.:.:.:.:.|
〃 { .:.:.:.:.:.|.:| ハ 弋rソ 弋_rソ :|:|ん} .:.: | |.:.:.:.:.:.:.!
{{ ヽ.:.:.:.:.|人 } .:.:. ' .:.:.:. }:}, イ.:.:.:.:| | .:.:.:. /
ヾ. } .:.:.:| .:.:.込、 ( ̄ ) イ/:|.:.|.:.:.:. | |.:.:.: /
| .:.:.:|.:.:.:.:./.:.:`> . __ イ‐/、:|.:.|.:.:.:. | |.:.:./ 「京太郎くん、今月の生活費だよっ☆」
|.:.:.:/ .:..:/.:.:.:.:.ハ ‘┴─/ /`ヽ .:|.:.:.:. |人:.{
ノ .:/ 厂二ニ=┘} }.........{ { }‐く二二「}\、
/: / .:辷ニ=7 人__丿......人__廴ノ { てYV〉 \ 、_, イ
ー==彡' /:/ {_,7 /........................ , ┘ {__)....ヽ `ー一'′
/:〈...../ \.....Y....../ `ヽフ........〉
.....-...==......
...:´:::::::::::::::::::::::::::`::...、
./::::::::::::::/!::::::::::::::::::::::::::::ヽ
/:::::/:::/::::, !:::::,:::::::::::::::::::::::::∨
.'::::::ト:::l!:::::l |:/ l:斗ヤl:::::::::::::.,
. |:::::从:::ミ:::! !/´ |/ |/l::}::::::::::::::!
.l::::::/んム` /んムY/ノ:::::::::::l
. l::|:::l 辷:ソ 辷ソ l::::::;':::::::::!
l::|:::| ,, ,, l:::::,::::::::::,
.i::!::ゝ ┌ ┐ u l::::,'::::::::/ 「アイドルまでっ!?」
. |::|::_> __ ィ:::/::::'_::;;/
|/ ,-| _,,! //´
>イ 〉 <´ .〉、_
x>´///! /Y ', /////ヽ、
/´ |/////!/小 V //////ヽ
./ |////<::::/!:::>/////// |
「そんなもの渡さないっ!
仕送りと自分のバイト代でやりくりさせる!」
「で、でも京太郎くんは頑張っているから☆」
「頑張ったぶんは自分のお金になってるから!
自分で手に入れていないお金は使っちゃダメ!」
「で、でも若いうちはお金がいっぱい必要だよ☆
はやりはそんなにお金を使わないから、京太郎くんが使った方がいいんだよ☆」
「自分で稼いだお金でやりくりさせないと生活の知恵が身につかない!
甘やかすだけが育て方じゃない!」
「はやや……」
「手作りお菓子の差し入れくらいならOK!
気持ちくらいに留めておく!」
年上のはやりさんにまで怖気付かない!
す、すげぇ胡桃先輩! ツッコミをさせたら最強だ! ちんまいけど!
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……
…
::/:::::/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
::::/:::::::/、::::::::/:::∧:::::::::::::::::::ヽ
::/::::::/ /∧://::/ i::::}::::::!:::::::::',
::://__ {:/` /::/ ';::ハ::::}:::::::::ハ
:://rzzミヽ {/ j::ト!:::l }:::::::::i
:/ ん//c゙ ` ノ:ノ/::/7::::::::::!
{ /77ヽ ノイ::::/::::j
ゝ " ト、/Cリ〉/::::/:::::/
u `ー " イ:::::/::://
\ `-‐ "" /ノ::::/::://
/\ /:::::::ノ::ノノ 「どれだけ堕落してたの?」
≧zzz三ニ――:::<::::/:/
:.:.:.:.:.:{:.:.:.:.:.:.{ィヘヽヽ >〉:ヽj //>
___,-、 _, ---- 、
, ´ / ` < ⌒\
/ | :. `ヽ、
/ / / l| V ` 、
.' / , { { | | | 、 、_ \_
| | | | |∧| { : ハ V 、\  ̄´
| | {/--{ 从 | , |-|、 | 、 \`
' | ,..- | | | ,ィtォ=ミ∧ |,ィtォ、} / |l ハ\_、
/イ{ { r 从 { Vソ ∨' Vソ/イ |∧}
∨乂 \ |/ j' リ
}∧ ー:. ` ムl/
/ 、 八 U _ _ 人 「持ちこたえてたつもりなんですけど」
}イ/|\ /
「<l| ` .__/_
|////>、 | 「/|
-=≦、[二]//l} |、}l∧_
「マジですか!?」
やっぱり俺の感覚は狂ってた!?
い、いやお金は受け取ってないぞ!?
ただご飯とか耳掃除とかは拒否できなくて……。
一個許すとズルズルと……ってこの考えがいけないんだよな。
「仕方ないから今度直談してくる。
徹夜で話し合いだよ」
「えっ、そこまではいいですよ」
「ここまでやらせておいて今更……。
前の生活が惜しいの?」
「そんなことないですよ!」
い、いや惜しくないと言えば嘘になるけど!
美少女に尽くされているのが幸せじゃないわけないというか、いや、ダメだ。
どう考えても精神的にキツかった! ここは胡桃先輩に甘えよう!
「あまり喧嘩しないでくださいね?」
「子供じゃないんだから、大丈夫」
なんだろう、心配だなぁ。
胡桃先輩って気が強いし、玄さんはともかく竜華さんと喧嘩にならなきゃいいけど……。
8/10
……
…
・後日
......:ニ三ニ::......
....::´:::::::::::::::::::::::::::::::::::`::...、
..:´:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
/:::::/:::::::::::::/::::::∧::::::::ヽ:::::::::::ヽ:::::∨
,':::::::!::::::::::::/::/!:::/ ',::',、:::ト:::::,::::::::',:::::::',
l::::::::!::::::ト:/!/ !/ l:::| ',::!',斗 l:::::!::::::::!
!:::::::|::::/|/`≧ / !/ ≦ミ::| l:::::|::::::::!
|:::::::|:::::〃ん ハ 〃ん ハ 》 .!:::|::::::::|
. !:::::::!:::::! 辷フ 辷フ |::::!:::::::l 「玄は朝ごはんの準備!
,::::::|:::(! |::::!:::::::!
∧::::l::::l _ .,':::;:::::::!| 竜華は着替えさせておく!」
. ',::!:::| ( ) イ::/::::/ '
|::|::l::>, ,, ,, < |/-'
. V .ー‐ーー_} ニ .!ー''"" /
.,/"ノ |` ヽ、
r. . ''": / ヽ、 ,イ ', "''. .、
/!: : : : : |__ イハ_// 、 _ }: : : : :}ヽ
/ .!: : : : : : :', >.//〈、 /: : : : : : ! ヽ
/ |: : : : : : : <//八//>': : : : : : : | ヾ
 ̄  ̄
...:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. ヽ
/.....:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:\
/....::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ
....::::::::::::::::|::::::::::::|:::::::::\::::::::ヽ:::::::::ヽ:.:.:.
' :::::::::::::::::::: |::::::::::::l:::::::::::::::ヽ::::::::'::::::::::::':.:.:.
. / ::::::::::/::/|::::::::::::l:::::::::::::::::::::::::::::i::::::::::::i:.:.l
/..../::::: !......〃/ .!:::::::::: l\:ヽ::::::::::i::::::::|::i:::::::::l:.:.|
′::::i::::::|\:|.{:| ::ト::::::::ト、 \::/:i::::::::|::|::::::::|:.:.|
|:: '::: i:::::乂:::ト{:|_、{ \::{__ 斗へ:::::i::::::::|::|::::::::|:.:.|
|::|l:::::i:::::::::ト::{ ` \. ヾ ヾ|::::::::l::|::::::::|:.:.|
|::|l::::ハ::::::::ハ ___- 、___ ,、|::::::::|イ::::::::|:.:.|
|::|l::/ ::::::l:::} ´` ̄´  ̄´ .|::::::::| }::::::::l:.:.:l
|::|l:{ i::::::l:::| 、、、、 , 、、、、 |::::::::|/::::::::i:.:.:.l 「はぁい!
`O′ |::::::l从 j:::::::〃:::::::ィ::.:.:.l
/::j |::::::|::i::> ` ′ . ィ:::::::/i::::::::::|::.:.:.:l 出来てますよー!」
{:::/ |::::::|::|:::::::::|> < {::::|:::::/:/::::::::::|:.:.:.:.:l
|::{ .从:::Ⅵ:::::::|l:::: r‐}`´ __ ノ }/:::/:/:::::::/:::|:.:.:.:.:.l
Ⅵ /::::ヾ::::{:::::::|l::ノ ∧__∧ ∠::::/_'::::::::/:::::|:.:.:.:.:.:l
/.::::::::::\r‐ '〃/レ 〃ヽ 厶イ /:::::::/\_|:.:.:.:.:.:.l
'::::::::::::::/ ` 厂 ̄`r=く  ̄}/ /::::::::/ ⌒ヽ:.:.:.:.:l
/ ' | ', :}∧∨',ヽ, / V | | ' /: : :ヾv v
' :| ', , } ! V / :| V | |{ ,: : / } ヽ v
' / ! :{ハ ハ ∧ } V| /{ V |_, v! | } ヽ
' :, ' , ' ∨∧ ' ,}イ' _j{≫!7:f心刈 V / {l 、|斗 ―――
/ ,∧ ∧ー=ミ{__ ヽ ', j{⌒'| 7/j' j'うゝ:ア | ' ' ' :{l ヽ! `ヽ
,' / ∧ ∧:、 {`~^ ー-- /: : j ^ ≫'’ V' _ノ {l | V
/ ,' / j{∧ ∧ヽ{ ,ィァ=v云| ': : : i| ~´ ' 「:\ } {l ,ヽ
,' ./:| / v∧ {ヾ八{ ヽぅ! /: : : U し :!: : : V:V , \
! ./ | / ヾ∧ ,、\: `: : : :|/: : : :、 }: : : : : ' ,
|/ :| ' )ヽ , \ヽ: : : :': : : : ノ! 八: : : :' ,
' } / / ヽ 丶: :.} !: : : `: .、 _ ': : : : : ' ,
j/ , \し: : : : : : :. _,. '" /: : : : : ' , 「!!!?!?!?!?」
, ヽ.,: : : : : :冖、 _ ,イ{: : : : :/ !
、 > .,: : : : : : ( /: U : : :./ |
| ヽ / :≧s。.,:ヽ _ ./\: : : : {「 \ |
ちょ、ちょっと待ってェェェーーー!?
胡桃先輩ィィィーーー!? なんでそっち側にいるんですかぁぁぁ!?
9/10
/ / / / { } \ ヽ V V
_ ,.斗 // / ./! / ! :} } ' ヽ V', , ,
 ̄ ̄ / / / //_j_ ,' | |、 :} ' :| ,V斗=ミ{ , ,
/ / ' ,' ィ^~v{≧x、,ヽ,' /、ィ'"_j/ } /「 j |
/' / !/| /{ 斗-ミヽ ∨ / }/ア乏メヽレ } }レ
, | :| ハノ∥んr'j V / V' Vrソ 》 :} 八-、 '
/ >'/ ハ { :, ` ー≦' /' ヽ  ̄ /イ{/ヘ Yハ{
/ '" ∥ / ',从_}: 〈| } ! ∥ ヽ
7/ ヽ ' し /’
/’ ` _、 _ {ーイ/
、 f-――'ヽ 人レ'^ 「胡桃先輩! どうしちゃったんですか!?」
\ L∠二二ソ /|/
レ}h。 /r rー==ミ、
r「\__'}个 --- < | |ニニニヾ
|:| } | |ニ{1-B}ニ! __
|:| } / L!ニニニニ{ _,. 斗r≦ニニ=-ヽ
人:.、___」 ___/__/ニニニニニ7 ∥ニ/ニニニ=-,
, ‐ --、斗r≦ニ斗r'ニ7 ノ、 |ニニニニニニニニ/ .∥ニ'ニニニニ=-,
/ニニニニニニくニニニ/\ __ ,!ニニニニニニニニ, ∥/ニニニニニニ=-,
,-=ニニ/ニニニニニニニ\ニム jニニニニニニニニ, ∥'ニニニニニニ=-
/ニニニ{ニニニニニニニ∧ニム /ニニニニニニニニ, ∥ニニニニニニニ!
______
...:::´::::::::::::::::::::::::::::::::::...、 /
/::::/::::::/:::::::::::::::::::::::::::::\ / そ う
. /::::::/:::::::::/:::::::::::::::::::::/:::::::::::::::::∨ こ る
/::::::/:::::::::/::::::::::::/::::::/':::::::::::::::::::::| ! さ
:::: /::::|::l:::|:::::::://!:::|:/ !::::::::|:::::::l八 い
:::::|::::::|::lハ::::/\i::::!| |:::::::リ::::::リ:::::〉
:::::|::::八i __∨=ミ八|{ j::/:/斗彳:::/へ、 /
:::::|:::::::|〃ん){刈` ノ1/==ミ ノイ:::|::i \/
:::::|:::::::| V辷ツ ん刈ハ〉/:l从{
:::::|::::::リ 、、 V_ツ ' .:::::!
:::::|::::∧ __ 、、、/::::::|
\!::/:分、 / 〉 /:::::::リ
!/`<:::> . ´__ ... . イ:|:::::/ 「モモは洗濯! ユキは布団のシーツを干して!」
! _/∧ `7┴┴┴┴l:::/
-=ニ∨ \_ _∧. l/
ニニ二∨ /{Yハ ∨\
ニニニ二‘_/:i:i:i:i\〉二ニ=i\
. / .::::::::::::::::::::::|::::::::::::::::::::::::::::::ヽ:::::::::::::::..
/ .:::: / ::::::::::::/|:::::::::::::::::::::::::::::::::V::::::::::::::::.
.′::::::/ :::::::::::/ |::::::::::::::::::::::::::::::::: V:::::::::::::::|
, ::::::::′|:::::::/ ::::::::::::::::::::: : :|:::::::|::::::::::::::::|
: ::::| :::|:::::\ :::/:::::\:::::::|:::::::|::::::::::::::::|
| :::::::::|::八::::|_ \{\:::::\ |:::::::|::::::::::::::::|
.八::::::::::Λf笊心、 イ笊心rァ |::ハ|:::::::::::::: |
. \{\:::. Vり V/タ j/ ヽ::::::::::::: |
|:ハ , ,,. /:::::::::::::: |
|::::: r-イ:::::::::::::::::: |
|:::::::::::>.. イ |:::::|:::: |:::::::::::::|
|:::::::::|三三=千 /=|:::: |:::::::::::::|
r|:::::::::|三ニニ/ | /三|::::::|=\:::::|
/| |::::::::ムニニ| /ニ三|::::::|ニニ>、|
. / V:::::/三三ニ|――- /=ニニ/:::::/ニ三三>
/ /::::/三三ニニ| /==ニ/:::::/三三/ |
. / /::::/三三ニニ| /ニ三/:::::/=三/ / |
カン!
10/10
・おまけ
ドラゴンズへのQ&A!
Q.>>74
性の管理は?
A.
≦:: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: ヽ:: :: ::.::.::ヽ
ク:.:::.:::.::: : :: i: :: :: :: :: :: :: :: : : :ヾ: : :.::.::.ハ
/::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::i
/ ヾ:::::::::::i i:::::::::::::::::| |::::::::::::::::::::::::::::::::::ヒ.i
/ソ|`::::::::::∥::i |:::::::::::::::;| .i::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|
. ∥ |::::::::::::ハ::|. {:::::::::::::::| ヾ::::::::::::::::::::::::::::::::::|
|::::::::ヾ|`|/ヽ|ソヾ:::::ハ|ー≦\::::::::::::::::::::::::::::|
|::::::::ハ ィ.爪ハ .ヾ:i イ斤心 }:::::::|ヽ::::::::::::::|
. |::::::::::::i 弋っリ 込:::リ.|:::::::i |:::::::::::::::|
i:ハ:::::::::| xx , xx .,i:::::::ヒ」:::::::::::::::|
o .i:::::::::i u |::::::::|:::::::::::::::::::|
i::| ト::::::ヽ. _ i::::::::|:::::::::::::::::::::| 「そ、そう言うのは結婚するまでダメだよっ!」
ノ:|:| |.:.ヾ::::::::ゝ 、 .,孑≦|::::::::|;;;;;;::::::::::::::::|
/ノ | |.:.:.:i::::::::::::::::ソ` 夭 /|::::::ソ:::::,:::::::::::::::::::|
|ゞ:::::i::::::::/ ゝ仆' i:::ソi|/|.:.:.:.:.:.i:::::::::::::|
|:.:.:ヾ、:广 レへ /ヽ .i:// ノ.:.:.:.:./::/ヽ、::|
|.:.:.:i:::::| 尸ヽ一イ ̄刀 /.:.:.:.:./:::/ .ヽ|
|.:.:.:i::::::| > ,卅 / ノ.:.:.:.:/:::::/ /`.i
|.:.:.i:::::::/. <ヽ イ ト-匕ヽ/.:.:.:.:/:::::/ / .|
, ' : : : : : : : : : : : : : : :.\
/ : : : : : : : : : : : : : : : : : : : .ヽ.
': : : : : :/:::::::::::ィi:::::::::: ::::: : : : : : :ハ
/: : : : :::://:::::::// l:::::::::::::::::::::::::: : : : ',
, : : :::::://:::::::/::l !:::l::::::::::::::::::::::::::: : i
i : ::::l:l:lハ丁iトi、 ,斗fT丁¨V:::::::::l:: l
{{ !:::::::::l:l l_,⊥l_.l ヽ_,ムL_ V::::::l:.: |
!小::::::小ィ'戔心 ィ'戔心Vl::::::i:. :|
乂ヘ::::::i iヘ弋'ソ 弋'ソ/ レヘ:l: :.|
トrハ ¨ ¨ ノl: : |
|.l::トi '''' ` ''' rf升l: : | 「ちゃんと一人の時間を作ってあげとるよー」
|.l:::::::>、 -ー- イi:::::.l:l:: : l
小::::::l:::i> ,. ィ升:l::::::l:l::.: :|
ムl::::::::Lム斗_}` ´ ヤトl:::::::l:l:::::.ム
r┼iTl::::::l:::::::::{ }::.l:::::::lj ̄`¨ト、
∧:V:::|: :::l::::::::::L_ _./:.:.:l:::::::l/// ハ
/ ヘヽl: ::::l:::::::::::ト-‐一7::::::::l:::::::レ' / l i
. / i `l::::::ム:::::::::ハ /::::::::rヘ::::::レ′ / l
/ ハ j::::之_::::::::ハ /:::::::::::;:ィヘ小 / ヽ.
Q.>>149
後継者って誰?
A.
r―-. .../::.::.::.::.::.::.::.:: \::.::.::.::.::> : : : : ヽ
八: : : : /:/::.::.::.::.::.::.::.::.:::.::. \:: Y⌒ヽ: : : : ノ
ィ: :/:/ ::.:: イ::.::{::.::.: \:::.::.:ヽ| |: : :.く::.\
/{::: ::.::.:′::./__|::.:八::.::.::.:: ヽ::.::.|\_..ノ: : : : )::.:ハ
. ,.:/:::::: :: | ..::::「 八::.::.::\::.::.::.ト::.::|::.::\: )丁::| ::.:. |\
. /::.::.::| |人::.::.| \{\::ヽ::.::| j小::.:: |::.::.| V::.::.::.|
.′.::.::.::||:::ト斗ミx \ ≫テ斥x|::.:|::.::.|::.::.||::.::.::.| |
.::.::.::. ||::.i{j 爪_ハ 爪_ハY: r- 、::.||::.::.::.| |
i |::.::.::.::||::.リ 弋ぅツ 弋ぅツ |::.| /: : ||::.::.::.| ノ
| Ⅵ::.:: ||::.::.} ,,, ' ,,,, :: |/::|::.: ||::.::.::.|
| Ⅴ::.::|人::.:八 マ 7 ィ.:/i::.::|::.: || ::.::.八 「ヒントは『新しい牌のお姉さん二人は玄ちゃんの知り合い』だよ☆
乂 V::.:′::\{::.:>.... ー イ::/:/:::|::.:|::.::.||::.::/
|//^ー―- |ハ: : |: : : : : ::f⌒ |::.:|::.:|::.::.|_j::.{
//{_/⌒ /´ヘノ: : |: : : :|: : | 八::|ー――-;:..
\_____ ノ:/: :{ イ /: : :ー. : : : : ー...イ ├ ^7__j7\:. /
` ー―――/{ : : |/ く: : : : : ヽ: : : : : : : :.j ト、 }_ : : : ::. \ー――/
カン!
ネタ切れ乙
かじゅ「胡桃がやられたようだな…」
SSS「…奴は四天王のなかで最弱」
メゲ原「重力に魂を引かれるなど」
はっちゃん「ツッコミ役の面汚しよ……」
チカセン「……」
1/10
175
【グラビティアイズアルティメットドラゴン】-重力次元-
はっ、なにやら元宮守女子の鹿倉胡桃先輩に叱られた夢を見たぞ。
おっかしいなぁ。接点ないはずなのに。
おっぱいに囲まれすぎてついにおせんべいに目覚めてしまったのか!?
ううっ、咲が恋しいかもしれん。
'' _.―― ....
/ ..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: `:..、..
. ' .:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:
/ .:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:}::.:}:.. :/ } ヽ
/::.:′. .: }::斗/L/!::.:.:. /::、i:.:.:.}...... ',
/::.:′. .: }: ヽ ,斗‐|- .::| :ト.、 | |.!
. /::. |:...:.:/|:. ..:l\ ! ヽヽ .::l /! ..l | | l
...rぅ' ,|::.|::.:.|:;{. ,.::| ト'::ィ;リ トィリr::ノl:ノ
./:{ V:|::.|::.:.|´ii ..:::| `ー' .゙-'l |/
.|:.|/::.:,::.:.::. l :|.i ',.:::| ゙゙゙゙ ` ゙゙',!.:}
.{i:{:: :ハ::.: 込{.::l :'.,l. (_`チ _,ノ./|.
.乂:/:.:∧::.:.V.i::ヽ_.::!ヾ=<>‐、‐ T´|..小{ 「京太郎くんにいい知らせだよぉ」
. / .::: .:;へ/` '、l::..<__/八_,>.l. .}:.{
/ .:::::::///;;`ヽ',`..〈 ./ .| } | }:.{
: : : : :/ : : : : : :| : : : :|.. : :. ゙、: . ゙、゙、. \
: : : : : |. : : : : :i |: : : :i:|. : : : ∧: :、.i. .i: : . ` 、
.: : : : : !: : : : : | |、: : :| | : : i | !: :|:| : |:、: : : : : : >
: : : : : :| : : |: i 「! ヽート!、: : リ !: |ハ: ト : | ̄ ̄
.: : :,..-、|: : :i: :|: !゙、 _、!二゙、-| イ: リ ! |ヽ:|
: : / へ.゙、 :丶ヾヽ<´{::::i` ヽ! 1!|:/| :!ノ゙、リ
: :ヽ \ : :!丶  ̄ Vイ:ハ |\:i
.: : 丶 \゙、 `> リ `
ヽ: : :`┬ 、 ヾ /
i: ;ィノ U ,....-ィ /
,,:‐レリ _  ̄ / 「(悪い知らせなんですね、わかります)」
゛=!_ \ `ー-、_ _/
::::::゛== 、 \ / ̄ヽ、
::::::::::::::::::::::゛===-、 >
しかしこうして見ているとやっぱり玄さんって可愛いんだよなぁ。
趣味も合うから話していて楽しいし、いちいち動作があざといし。
竜華さんとは甲乙つけがたいけれど、どちらも最上級のお嫁さんレベルを兼ねそろえている。
どちらも最上級のお嫁さんレベルを兼ねそろえているが故にこうなってしまっているのは皮肉なんだけどな!
「トテトテと寄ってくるのがあざといですよね」
「あざとい?」
「なんでもないです」
そのポカンとした表情もあざといよ!
くっそう、かわいい!
竜華さんとモモとユキとはやりさんがいなければお付き合いを申し込みたい!
「京太郎くんにはもっといいお嫁さんがいるよぉ」
「俺、声に出してました?」
やっぱり怖いっす。
2/10
.. ---- .
. ≦ ミ .
/ . . . . . . . . . . . . \
/ . . . : : : : : : : : : : : : : : : . . . . ヽ
/ ./../..:.:.:./:./:.:.:.:.:.:.i:.:.:.:.:.:.ヽ:.:.:..:Vヽ: . ∨ハ
/ \′:.:.:.:.':.:′:.:.:.:.: |:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.Vハ:....ノ i
/ .7T..ト....:.:i :i| :i:.:.:.:.{:.|、:{:.:.:.:.:ハ:.:.:.:ト::.i一:. . |
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八| :ハ| .:.:{:.i xxx , xxx |:.:.:.:|_,}:.:.:..|: . .i .> / (__ __ ヽ __
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. 八从 ,: .∧ :.{:::::リ::::::ノ 入_/'i{ /ィ /::/:.:.:.:. /::{:. . . .
∨ .:.:.:.\V‐≦ムイ /》___.ノイ 7:.:.:.:. /廴:.. . .八 「福路美穂子さんとのお見合いの席をセッティングできました!」
/;..:.:.:.:.:./ \}! r‐〉ォ´ ̄ }ノ /::.:.:.:./ , ヽ: .∧
. /:/ .:.:::::/ ノ{{ '介′ i{ ./::.:.:.:./ / ∨. ∧
ノイ ..:.:.:./! く 廴. / .|乂 __人/::.:.:.:./ / i: : . .:.
__ノ/ ..:..::厶}/ \ ノ{ /j__ 斗-/::.:.:.. / i / {: : . ∧
,. ⌒ヽ、/⌒ 、-- 、
/_,..- ヽ ` 、
/ /´ / ∨ \
, ´ / ,' : 、 ヽ
/ , , / /| | :. | | | ∨
_/ / / |_|__'_| | _}_|_|_| | | :
 ̄ ̄´/ イ ' { ´| |/__{ |: , ´/}/_}∧ | | |
/ / , rⅥィ笊 从 {∨ /ィ笊_ヽ}/、 | |
/ イ ∧{ 从 Vり \∨' Vり /' / ∧{
´/イ }从lム ; \ ,ノ / \
| ∧ U ∧,イ
Ⅵム - - イ // 「…………!?」
_ヽl\ //イ__
|////} ` ー ´「////|
|////| :. / |/[__}/|
,...<////∧ , |/////> 、
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ついにこの時が来てしまった!
高校の頃はずっと妄想していた憧れの人だ。
当時の俺にとって原村和(初期)と福路美穂子さんは俺の理想の彼女だったのだ。
しかし、まさかこんなことで再会することになるとは思わなかった。
「あ、あの、玄さん。
さすがに福路さんに迷惑じゃないっすかね」
「大丈夫だよっ。
ちゃんと説明して同意してもらったもん」
同意(説得)
ほ、本当に大丈夫なんだろうか。
なんにせよ巻き込んでしまった以上は事情を説明しておかないといけない。
なんて説明すればいいんだろうなぁ……。
3/10
……
…
当日、俺はおおよそ学生が来るような場所ではないレストランに連れてこられた。
着こなしもはやりさんが用意した特製のスーツを着せてもらっている。
送迎はポルシェだ。ちょっとまって、この時点でいくらかかったか計算したくないんだけどォォォ!
l: : : : : :.l: : : : l: : l: :|.l: : |l : : .l: : l: : l: : l: : i
. |: : : : : :.|: : : : |: : |: :.|l: : |.l: : :.l: : l: : l: :.l : |
|: : :l : : :|: : : : :|,.ィ|ー:|ヤ'|'.|: :/ト/|.,/|: :.l : :.l
| l: :l: : : |: : : ´|l: ||ハ :ll_l l/ ,l/ l/ ゙ト:/i : /
|:l: :l: : : |.: : : :| ` ` ィ:;;;;:t、l/.l/
|l: :l: : l: |.: : : :|,r==ニ、 i illliC l :|
|: :.l: :.l: :|.: : : :| ヤl汐 !: :|
|: : l: : l: :.| : : : | ' l: : | /)/) ,、 「須賀さん、お久しぶりですっ」
|: : l: : :l: : |.: : : :| ヤ-ソ ノ:l: :.| /イ/ノ, '/,
. |: : l: : :.l: : |.: : : :|ヽ 、 ~´ /l : l: : | l ll l/.//ノ
|: : l: : : :l: : |: : :l | `ゝー イ´:l: : l: :l: : | l/´i .l l//
|: : :|_≠〆 |: : :l: | |ヘ‐ニ_l: : l: l: : l |l l .|
lイ ̄ |/: :l |、_ ` _ヽ  ̄ー:_イ | ヽ l
/ヽヽ |:ノイ \ ` ´ :i /ヽ、l ` ノ
, ´ / ` < ⌒\
/ | :. `ヽ、
/ / / l| V ` 、
.' / , { { | | | 、 、_ \_
| | | | |∧| { : ハ V 、\  ̄´
| | {/--{ 从 | , |-|、 | 、 \`
' | ,..- | | | ,ィtォ=ミ∧ |,ィtォ、} / |l ハ\_、
/イ{ { r 从 { Vソ ∨' Vソ/イ |∧}
∨乂 \ |/ j' リ
}∧ ー:. ` ムl/
/ 、 八 U _ _ 人 「ご迷惑をおかけします……」
}イ/|\ /
「<l| ` .__/_
|////>、 | 「/|
-=≦、[二]//l} |、}l∧_
-=≦///////////\ |/////≧=-
r-=≦//////////////////|___j\//////////≧=、
こんな素敵なところに招待してもらったんだもの」
「て、天使だ……」
「えっ?」
「あ、いや、なんでもありません」
福路さんはこんな状況だと言うのににこやかに俺に微笑みかけてくれた。
ううっ、なんてお人だ……。
「私、こんな素敵なレストランに来たのは初めでです」
「俺もですよ。
それに福路さんと来るなんて夢にも思いませんでした」
「まぁ、お上手ね」
「本心です」
きっと高校生の時の俺ならば咲をお姫様扱いした時のようにキザったらしく言ったのだろう。
しかし、今は本当に心の底からその言葉が出て来ている。
意味合いが違うんだよなぁ……。
って、とんでもないことに気づいちゃったぞ。
まさか、福路さん。
4/10
/ / / / { } \ ヽ V V
_ ,.斗 // / ./! / ! :} } ' ヽ V', , ,
 ̄ ̄ / / / //_j_ ,' | |、 :} ' :| ,V斗=ミ{ , ,
/ / ' ,' ィ^~v{≧x、,ヽ,' /、ィ'"_j/ } /「 j |
/' / !/| /{ 斗-ミヽ ∨ / }/ア乏メヽレ } }レ
, | :| ハノ∥んr'j V / V' Vrソ 》 :} 八-、 '
/ >'/ ハ { :, ` ー≦' /' ヽ  ̄ /イ{/ヘ Yハ{
/ '" ∥ / ',从_}: 〈| } ! ∥ ヽ
7/ ヽ ' し /’
/’ ` _、 _ {ーイ/
、 f-――'ヽ 人レ'^ 「あ、あのっ、まさかここの代金半分持ってるとかないですよね!?」
\ L∠二二ソ /|/
レ}h。 /r rー==ミ、
r「\__'}个 --- < | |ニニニヾ
|:| } | |ニ{1-B}ニ! __
|:| } / L!ニニニニ{ _,. 斗r≦ニニ=-ヽ
人:.、___」 ___/__/ニニニニニ7 ∥ニ/ニニニ=-,
, ‐ --、斗r≦ニ斗r'ニ7 ノ、 |ニニニニニニニニ/ .∥ニ'ニニニニ=-,
/ニニニニニニくニニニ/\ __ ,!ニニニニニニニニ, ∥/ニニニニニニ=-,
,-=ニニ/ニニニニニニニ\ニム jニニニニニニニニ, ∥'ニニニニニニ=-
/ニニニ{ニニニニニニニ∧ニム /ニニニニニニニニ, ∥ニニニニニニニ!
/: : ,: : : : : : : : : : : : : : 、: : \
/: /: /,: : ,':i : |: iヘ :l : 〉: : ヽ : : :',
/:/: :/:/:! :i :|i :|:{ | l: ',: ',: : : ',: : : l
,' {: : {: ! :{,:ll :ハ: :i:i:ームl,,.i: |,: : : l : : :|
|: :ヽjヽゝ-‐`` υ ´{ん:::}` |: i : | : ||
| :∧ ,xュ= 込:::リ |: | : | : i|
| | : l."´ |: |: | :i|
| : | l :l "" """ |: !: |:о:{
j : | l ヘυ ャっ ,イ|: |{ :|i l',
.i i | i| | >, .,,_. _ _,. ' | i|: |:| ヘ ヘ 「それが、お支払いしようとしたら断られちゃったの」
| |! :| | :| :|| /ノ.´ノ ´ | i, :|:|i ii }i
|:|| i i :| :V .y ,/‐,_ ヾ,ヘ:',χ:}|} ノソ
.',!ヘ ヾ-‐/ ´ ′′', , -‐ / ヾ`゛`ノ/ヾ、_
ヽ/`` { // / ,,..>,,、
/ベ、. ', i´‐‐- / ,, ",. ´ `
j ´ヾ、 j ノ / 〟/i ヾ`ゝ ヘ
/ノ / } 〉゛ノ / / ,, "/ヽ! 〉 | ',
/ l 〉/ _ / / ,,..〃/ ヘ / l
/ ヘ / rヘ\ヘ /〟- ´ ´ } / |
「良かったら金額を教えてください。
ここでお渡ししますよ」
「あ、いえ、気持ちだけ受け取っておきます!
こういうのは男が払うのが当たり前って言うか!?」
まぁ、俺も払えないんだろうけどな!
出世払いでちゃんとはやりさんに返すつもりはあるけど!
う、うん、こう言うところで食事したって経験は重要だし!?
それにしても福路さんに余計な出費をさせていなくて一安心。
「まぁ、せっかくこう言うところでご飯を食べるんです。
相方が俺じゃ味気ないかもしれませんが、気軽にメニューを楽しみましょう」
「ふふつ、本当に須賀さんは優しいのね」
「えっ?」
「松実さんや久の言っていた通り」
玄さんはともかく部長?
なんだか気になるな。
5/10
「部長、なんて言ってたんですか?」
「えっと、よく聞き取れなかったんだけれど……。
確か『須賀くんの父性にバブみを感じてオギャるのが心地良い』って。
意味がよくわからなかったんだけれど、良かったら教えてくれますか?」
「ごめんなさい。今すぐ忘れます。
福路さんも忘れてください」
「???」
清澄高校時代の思い出はそっとしておこう。
部長、思い出の中でじっとしていてください。
「そう言えば、福路さんはインカレで活躍してるって聞きましたよ!
すごいじゃないですか!」
「ふふっ、ありがとう。
男の人に褒められるなんて初めてよ」
「えっ、福路さんならいくらでも寄って来そうですけれど」
「私、女子大なの。
そ、その、おかしなこと言ってたらごめんなさいね」
天使だ(断言)
もはや俺の触れていい存在ではないかもしれない。
今日は少しでも楽しんでもらいたいな。
インカレといえばうちの竜華さんか……。いや、こう言うところで他の女の人の名前を出すのはダメだな。
さて、何を話したものか。
「今日、どこで食べるか聞いてなかったんだけれども、こんなに素敵なところでびっくりしちゃったわ。
私にお金が払えるかしら」
「あ、あの、お金は本当に気にしなくていいんです」
「ううん、こう言うのはケジメをつけないと。
私、須賀さんより年上なのよ」
「かわいい」
「?」
「(やべえ、声に出てた)」
グッとガッツポーズする福路さんは可愛すぎた。
常にSランク美少女が側にいる俺ですら見惚れる仕草だ。……この表現だと俺が最低男になっちゃうけど。
「バイトとかはしてないんですか?」
「それが、機械類がダメだからすぐに迷惑をかけてしまって……」
「そ、そうなんですか」
「携帯も使いこなせなくて、どうしたらいいか」
携帯も使えないって咲みたいだな。
聞いている限りだとそれより酷いのかも?
6/10
「良かったら俺が使い方を教えますよ」
「本当!?
とっても助かるわ!
あ、でも須賀さんの迷惑になるんじゃ……」
「迷惑なんかじゃないですよ!
わからなかったら呼んでください!」
ゲヘヘ……、福路さんとこうやって話せるなんて幸せだなぁ。
しかし高校生時代に福路さんに携帯を教えたような近視感があるなぁ(二翻縛り様のおっどあいず☆りぺいめんと発売中! 買え!)
「最初はレジの使い方もわからなくて、すごく迷惑をかけてしまって」
「レジってことはコンビニとか?」
「ええ、スーパーのレジ打ちをしているの。
最近の事務作業はぱそこんばかりで私には出来ないから……」
「福路さんがレジ打ちなんかしてたらお客さん増えちゃうんじゃないですか?」
「どうして?」
「そりゃ、美人のお姉さんのいるコンビニに通いたくなるのは男のサガですよ」
,.-───- .,
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/ : :/: :/ : :/:.,: : : : : : \
/: : :./: : /: : :.〃: :〃,: : : ハ: : : ヘ,
/: : :./: : /: : :.//: :/// } : :| | : :| :リ,
,' : : / : : ′! /イ: :/// /: :/l } : :| : :}
. ′ イ: :ノ : :八匕丁「「`7/,イノノミ, l: :リ
|: : :.|: :| : : ! f,≫rテミァ " ,ムZ; :イイ
|: : :.|: :l : : |:.:「 ._{トtリ イrリj},イ| |
|: : :.|: :l : : |:.:|: xx `¨,仆 | |
|: : :.|: :l : : | :j! 、 _. ' /:||: :| |
|: : :.|:._レヘ |: :|\ , イ | ||: :| | 「は、恥ずかしいわっ」
. 八: : :「 リ: :|: え,ー≦升| :| ||: :| |
/ \乂 从リ\_〕 `寸リ リ:.リ: リノ
/ ,r=======ヘ V/》, 》∨ /: 〃
. /,イ / ̄ ̄>z_》r彳 ∨彡゙
//小、 / / ̄  ̄¨ '' ゙…‐-
あの時はとても手の届かない高嶺の花だった。
いや、別に今なら手が届くようないい男になったとかそう言う意味じゃないけれど、こうして目の前にいて話している。
なんだかそれが不思議だった。
「(これ、いい感じじゃないか?)」
気のせいかもしれないが、とても雰囲気は和やかだ。
そもそも玄さんたちの策略とは言え、俺が福路さんに対して好印象を持っていることは間違いない。
これはいいチャンスかもしれない。
玄さんたちの好意を素直に受け取って、福路さんに好意を伝えてみようか?
ええい、なるようになるさ!
7/10
_, ⌒\/ ̄ ̄ \
,  ̄ ̄ / 、 _\
´ / \ `ヾ
/ ' 、 、 、 \
/ | { :. | | ∨、\ \__
′ | l| } | |、 | |\ \ ̄ ̄´
. { 从 /-}/-Ⅵ { ヽ |
/ ,.-从 | }/ ィ≧、 { \ }'
/イ { ⌒\ { 、 Vj ∨、 \
八 、 \ ヽ  ̄
Ⅵ ,ー、 ,:'
ヾ\ / ∧ -,
ヽ /{/ 、 ' 「あ、あのっ、福路さん!」
_从/____ > __ノ
|///////////l :l//|
|///////////| //|
/////////// ∧ :./|
, <////////////////\l/、
//////////////////////\l、
_ ,,, _
, ' ~ : : : : : : :` . 、
〆: : : : : : : : : : : : : : : : ヽ
/: :/: : : : : : : : : : : : ヽ
/: : /: : : :i : : : : ヽ. . : : : : : : .ヽ
/ /: : l l. : : : :i: : : i: : : : : : : : :.ヽ
i l l |: : |: : : i: : : i: : : :l: : l: : :l : : : : : : : i
i. :!: :|: :l: : ll: : : | i: : l: : : l |___|: : |: : :|: :l: : i: : i : l
| i: : l: :l: : ||;--l l li: : l: :|; ; ; |`゙'| _リ: : |: |i i l
l l l l l l´ll |lヽl l l l l:,_ィ===zミ、|l: | |: l i l
ゝl i | ! ii i ___ ` ゙ ヽi´イ´゙l";;;;;;ヽゞ|l: | |i: l i.l
ゝ!ヽ!i il ,r==ミz, ゝ.ゝニノ‐ |l i |! l il
! i ! ...... .::::::::::. |l | |:l l | 「うん、聞いているわ」
| i ヘ :::::::: ´ " " ノ|l | | l l |
| l.ハ ー -‐ / |l. |: :|: l: l : . |
| i: . ゝ 、 ,/ |l: : :|: :|: :l : . l |
| l: :l: :l__,,=`>ーイ、 |l: : :.|i | `丶、l リ
|i: :i: :| |;| i l /´||: || | `ミ、
| li ||;| |ー、,-/' | i: l l/ ,彳ニニ=ヽ、
| |i, l|;| ト、__/ ! .|/ ,///´⌒ヽ`ヽ
ヽi リl;i | / /// ヽ \
アレェ!? 玄さんたち何仕込んでるの!?
せめてこう言うのは男側から言い出すと言うか、甲斐性を見せるべきでは……。
し、しかし話が伝わっていれば話は早いか。
わざわざ来てくれたってことは、もしかして、期待していいんじゃないか!?
あ、でも福路さんならケジメとして実際に会って断るってのもありそうだし……。
/ :,' / / / / / l ! l | ∧ ∧
\__ / ─┐l lケ /─┐/> l{ 勹|||ト l __ | :' | ∧
i ,' し'レ ┘ イ-'L三 _,':! '! :j リ L.l| | ! ̄卞| | _ ',
| イ |iリ ∥ | | \ || ,':/!: ∥ `| -:ト ! | !
レ' ,' ∨-' 二三__三 ┘|_/リ l /|-壬┼─| |` ト、 |
| 歹イ:::::::::::泝  ̄_ レ匕イ リ/:, :, / /Y
/ | | / /::::::::::::::_} テ≧ミト `'レレ // //,'
. / / | | 廴{:::::;ん /::::::::::::抃 斤升 イ/ ,
' | 匕:壬:ソ {イ:::::::ん リ ,' フイj/
, l /| |  ̄ ヒ 三:y' /| / イ
, | i | ::::::::::::  ̄ ` .::| ヘ
i .:! } ' ::::::::::: ,':::::| ∧
l l | | | 、 __ ∧::::i ∧ 「須賀くんのお母さんになればいいのよね?」
. i | | | | | \ ` ィ::::|::::| !
. l l | | | | | <:::::/::|::::| | |
l | | | | :; > _, ィ≦:::::::::::::/l ::|::::| | |
| l ヽ. | レ| ∨ | ̄\::::::::::::/ ,'::/::::: | |
\><´ || | ヘ !\ \_::/ / /::::/! | | |
><::::::\. ||、 !,' \ | i ></ | j /| /
ーーーーーーーッ!?!!!?!?!?!?!!?
8/10
……
…
・中継
/..........::::::::::::/ |:::ハ::::::::::::::ハ:::::::::::::::::..ノヽ..∧
. /....../...::::::::::/ :|::| \:::::斗-、:::::::::::::::::::::::i:: ∧
'....../..{:::::::::〃:{ 弋{ 〃ヽ::::廴 \:::::::::::::::: |::::::∧
i...../...::|::::::::ト-|:{ \ ぅ 斗=ミ、 i:::::::::::::::::|::::/::∧
|... 7..::|::::::::| |:{_ ヽィ乏)::::ハ 入:::::::::::φ::::::/::∧
|ハ:::::::::ヽr ::y 弌 弋辷ツ ′ 〉::::::::/::::::::i::/::∧
|{ i::::::::::∧〃_)::ハ ` _厶ィ:::ハ:::::::|::::/::∧
|{弋:::::〈:::ハ ゞ -'' 、 ::::::::::: ´ }::::::|:::::::/::∧
` >へ::i ::::::::: u /:::::::|:::::::::/::∧
}.:. -‐- 、 rー ':::::::::::|:::::::::: /::∧ 「く、玄ちゃん。なんて言って連れて来たん?」
|.∧ V_ ノ イ:::::|:::::::::::|::::::::::::::/::∧
|...:::ゝ / |::::::|:::::::::::|::::::::::::::: /::∧
|...::::::::> < 八::: |:::::::::::|::::::::::::::::::::::::::\_
|...:::::::::::::i::::::::::`¨ハ 〉:|:::::::::::|/ ̄ ̄ ̄〃 へ ^ヽ
|...:::::::::::::|::::::::::::::::::〉 /::::|:::::::::::| // ⌒ヽ.∧
|...:::::::::::::|__// _/{:::::|:::::::::::| // V∧
r―|...:::::::::::/ ./---、 ' ./ {:::::|:::::::::::|_彡 ' V∧
. ∧ { |...::::::::/ // ̄ ̄ 7 |:::::|:::::::::::|=- / V
. / } ト|::::::::/ 〃 / |:::::|:::::::::::| ./ / V
≦:: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: ヽ:: :: ::.::.::ヽ
ク:.:::.:::.::: : :: i: :: :: :: :: :: :: :: : : :ヾ: : :.::.::.ハ
/::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::i
/ ヾ:::::::::::i i:::::::::::::::::| |::::::::::::::::::::::::::::::::::ヒ.i
/ソ|`::::::::::∥::i |:::::::::::::::;| .i::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|
. ∥ |::::::::::::ハ::|. {:::::::::::::::| ヾ::::::::::::::::::::::::::::::::::|
|::::::::ヾ|`|/ヽ|ソヾ:::::ハ|ー≦\::::::::::::::::::::::::::::|
|::::::::ハ ィ.爪ハ .ヾ:i イ斤心 }:::::::|ヽ::::::::::::::|
. |::::::::::::i 弋っリ 込:::リ.|:::::::i |:::::::::::::::|
i:ハ:::::::::| xx , xx .,i:::::::ヒ」:::::::::::::::|
o .i:::::::::i u |::::::::|:::::::::::::::::::|
i::| ト::::::ヽ. _ i::::::::|:::::::::::::::::::::| 「京太郎くんのお母さんになって欲しい(子供を産んで欲しい)って言ったよ?」
ノ:|:| |.:.ヾ::::::::ゝ 、 .,孑≦|::::::::|;;;;;;::::::::::::::::|
/ノ | |.:.:.:i::::::::::::::::ソ` 夭 /|::::::ソ:::::,:::::::::::::::::::|
|ゞ:::::i::::::::/ ゝ仆' i:::ソi|/|.:.:.:.:.:.i:::::::::::::|
|:.:.:ヾ、:广 レへ /ヽ .i:// ノ.:.:.:.:./::/ヽ、::|
|.:.:.:i:::::| 尸ヽ一イ ̄刀 /.:.:.:.:./:::/ .ヽ|
|.:.:.:i::::::| > ,卅 / ノ.:.:.:.:/:::::/ /`.i
|.:.:.i:::::::/. <ヽ イ ト-匕ヽ/.:.:.:.:/:::::/ / .|
 ̄ ̄ ̄ ̄ `丶
/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\
. /:::::::::::::::::::::::::::::::、::::::::\::::::::::::\
/:::::::/::::::/:::::::::::::::::| \:::::::::\::::::::::::\
. /:::::::/:::::: l:::::::::::::l::::::|\ Χ::::::::::\::::::::::::\
|::::::::l:::l::::::l:::::::::::::|\{ /_\:::::::::::\::::::::::::\
|::::::::l:::|:::八:::::|:::::| /斥汽`ヽ':::::::::::::::\::::::::::::\
|::::::::l:::|/\\l\{ ,/ __)刈 -、::::::::::::::\::::\::\
|::::::::l从 /汽ミ 乂_ツ (__ノ::::: |::::::::::|::::::::l\:|
. '::::::::::::::.{ _)刈 /// |::::::::|::::::::::|::::::::l :|
'::::::::::::|::.乂ツ __ __ |::::::::|::::::::::|::::::::l ノ'
. ':::::::::::l(__)// ノ´ `´ ヽ 从::::八::::l::l\:::|
'::::::::::|::::::. /´ } / ̄ ̄\ .}:八 「違う意味で伝わってるっすよー!?」
':::::::::|::::::i::.. ∨ __/.// ∨
'::::::::l::::八::::个ー≦/ {/、 |/ ‘,
':::::::l::::::::::\|/´ { |三ヲ∨ |
八::::|\::::::::/\ !∨《 / / |
. \  ̄/ ̄ { 、|三′ ,/ 八
/ / 〉 ∨ / / ‘,
{ { / / / ‘,
| ∧ { / / ∧
| 从 / / / }
| ∧ \ / / |
……
9/10
「あ、あの、福路さん。
それは誤解で……」
「松実さんに聞いたわ。
須賀さん、いえ、須賀くんはとっても頑張り屋さんなのね。
とっても疲れているらしいし、私で良かったら甘えてくださいね」
「ち、違っ、俺は頑張ってなんか……」
「ううん、頑張り屋さんよ。
久からも聞いたわ。麻雀部の雑用を頑張っていたんでしょう?」
「そ、それは新入部員でレギュラーじゃなければ当たり前ですよ。
俺、スポーツやってたんで慣れっ子ですし」
「とっても優しいのね。
慣れていても疲れは溜まるわ。それだけ須賀くんが頑張ったってこと」
「う……うあっ……」
や、やめてくれっ。
別に当時の麻雀部の雑用が辛かったわけじゃない。
でも、今の俺に優しくしないでくれっ。
甘やかし攻撃をされると思ってなかったから警戒を解いていたんだっ。
. / ヽ
/ ',
,′ ,′ i i ii i i i i i i ', i
. ′| | i | |i || |i |i | | !| | i ! ! |
| | | | | | || || || |i | | !| | ! ! ! |
| | | 斗r‐弋T!ヽ.{ト、 |l 厂!刀7ナト、j |! |
ト、ヽト、八!丶lリ ` 丶リ/ ハノルノ|/ ノ|! !
. } ヾミ= ,ィぅ示ト テ示ミy、ムィ′|! |
. | i iハ〃{ri_ ,j::} {ri:::::j:} }! ,l | !
| l | ,l゛ 之少 乏沙 ハ! | |
| l |ヘi .:::::::. . .:::::::. l| | |
| | |i八 ハ! | |
. | | || \ ヽ フ / | | |
. | | || ` 、_ _,.ィ´|i | | | 「本当はお嫁さんに志願したいくらいなんだけれども、お母さん役を頑張るわっ」
| ! || | ` ‐-‐ ´ || !i ! ! |
l ! |l _ .ノ⌒} |⌒ヽ. _ j / |
{ヽ、斗'"´ !′ } `丶、 /ノ
/、 ├‐- 、 , -‐ァ /7ヽ
rく\ヾ:、 ヽ--―--、/ // / へ
/ ' | ', :}∧∨',ヽ, / V | | ' /: : :ヾv v
' :| ', , } ! V / :| V | |{ ,: : / } ヽ v
' / ! :{ハ ハ ∧ } V| /{ V |_, v! | } ヽ
' :, ' , ' ∨∧ ' ,}イ' _j{≫!7:f心刈 V / {l 、|斗 ―――
/ ,∧ ∧ー=ミ{__ ヽ ', j{⌒'| 7/j' j'うゝ:ア | ' ' ' :{l ヽ! `ヽ
,' / ∧ ∧:、 {`~^ ー-- /: : j ^ ≫'’ V' _ノ {l | V
/ ,' / j{∧ ∧ヽ{ ,ィァ=v云| ': : : i| ~´ ' 「:\ } {l ,ヽ
,' ./:| / v∧ {ヾ八{ ヽぅ! /: : : U し :!: : : V:V , \
! ./ | / ヾ∧ ,、\: `: : : :|/: : : :、 }: : : : : ' ,
|/ :| ' )ヽ , \ヽ: : : :': : : : ノ! 八: : : :' ,
' } / / ヽ 丶: :.} !: : : `: .、 _ ': : : : : ' ,
j/ , \し: : : : : : :. _,. '" /: : : : : ' , 「(堕”ち”ち”ゃ”う”の”ォ”ォ”ォ”ォ”ーーーッ!!)」
, ヽ.,: : : : : :冖、 _ ,イ{: : : : :/ !
、 > .,: : : : : : ( /: U : : :./ |
| ヽ / :≧s。.,:ヽ _ ./\: : : : {「 \ |
ーー福路さんの開いた両目は、”吸い込まれるような”美しさを秘めていた。
10/10
……
…
・テレビ番組
. /: : : : : : : |: : .:i:.|:.:.:.:i| |:.:.:.:.:.:.|!:.:|i:.:| 、:.:.゙、::、 ゙、゙、:::::::::::;::イ/:::::::::::::::i:::::
./ : : : |: : :i:.|:.:.:.:i:.|:.:.:.i| |:.:.:.:.:.:.:.|!:.| i:.:i 、:.:.:、:.、::.:.:.!:.:iヽ/:.:.:.|/:::::::::::::::::i::::
i: |: : : |: :.:|:.|:.:.:.:i|:|:.:.:.| ! | ..:|i. | .i: i ゙、:.:.i.;A-‐ハ:.!:.:.:.:.:.:.:..!:::::::___|::::
!:.i |: :.:| .:.:.i:.!:.:.:.|!.i! :l |:.:!:.:.:.:.:..i:.:.i ゙、! _/ハ:ハ/ |ィ;.:.,.-‐-、!:/.:.:.:.:.V/
i :|.| :.:.:i i i_:|、!、:.:.! i:!、i:.:.:.:.:.:.i:.:.i _;彡';tr=、 ヾ、"' /ヽ |':.:.:.:.:.:.i:.:|:.:.:.:
. ! i:i! | ..:i :i:.:.:i`iー>ト-!、丶:.:.:.:.:i:、^V i_;:::::::ヽ / i: : : : :.:|:.:|:.:.:.:
、:!:i、:.:.i:.:.:.:.|:.i:、:.7メ'f:::::::ヾー\:.:.:.:、`ヾ <;;;:ン ′ ノ : : : :.:.:!:.|:.:.:.:
ヾi 、:.\:.:\:.]〈 っ::::;:i  ̄` _,∠|:|: : : : .:|:.|―-
ヽ!:.i、`゙ー-r≧ >≠ , " " / |:! : : : :.:|:.!////
|:.|:.:.:.:.:.:.:\! ,, ,, / i!: : : : : ::i:.i////
|:.|: : : : :.:.:.i i r== "ヽ / i: : : : : :.:i:.|//// 「パイのお姉さんですっ」
| |: : : : : :.:i:.:|\ ∨__ノ) / /: : : : : :.:i.:|////
|:| : : : : :.:.|:イ |:::|l`ー-..、  ̄ ̄ / / : : : : : :.:|/////
|.|: : : : : :.:|:∧ i:.:!i::::::::::::::`i ー-‐ ' ,..-‐:/: : : : : : :.:.i!/////
. :´ . : . : . : .`: .
/: . : . : . : . : . : . :\
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.′ : . : / : . : . : . :ト : . :‘./-‐゚。
|__: . : . : .i: .|: . : . : .|: . : . : .| ゚,:}ヽ/:.‘。 : ぃ
/:.┼{ ―--..|:._|__ : //八: . : . :| 匕 }: . }: ゚: . }リ
/: イ: .|∧ ミ . : |: .|: //フ7¬ }: . /| ィi爪㍉}:.:|:ハ /
/: ./ | : |: ∧\ : |: .|厶斗=ミ /イ 丿 |:il刈 :.:l/}/
:./ : ..|: . ∧ . : |: .|斤:i:i:(_, 弋''ツ |: |: .i ( \ -‐ 、
: / | : |: . : ∧: .ハ:卞::i:lil刈 |: |: .| ヽ у´ ___}_
/ : . l: . : . ‘:,⌒!ム ゞ…″ ` :':':':゚|: |: .| │ r  ̄ }
|: . 。: . : . :∧ い ゚:':':': -┐ }: |i:∧ | ――‐{ 「牌のお姉さんよっ」
| : ..。 . : . : ∧、vハ ゝ __ ノ / : |i: .‘ | ー―{
/: . : ゚: . : . : . ∧:vハ` ..,, / } |i: . :; ′ -- ′
. /: . : . : 。: . : . : .:∧vハ__  ̄{ ̄: .| }/}: . :.。 /\ }、
′: . : . : .。: . : . : . : .ⅵ\>―‐n: . :.{ / l: . : ∨/ / \ /:.入
/: . : . : . : ./\: . : . : . : \: \ |{x=xハ 乂: .:// / / / `¨¨´:.:}
,........-――--....、
,. : ´: : : : : : : : : : : : : `ヽ、- 、
/ : : : : : : : : ,: : : : : :\: : : :\: \
,:': , : : : /: : :/: :{: : : : : : ヽ:ヽ、: : :ヽ: :、
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|: ': /: //: ̄|`|' |:´}:∧: }: :,: }: |: :/:}: : :',
{:{: :{l: |:{从_:{__{ }/イ__}/: イ/:/:}:/ /: : : : .
从:八:{ム,イ _斧` イ _)斧ヽ}:イ/_: /: : : : : :.
\{从{ Vり Vzソ |:/ Y: : : : : : : |
|: } ' |:l 'ノ: : : : : : : :|
|圦 _ , ,ィ|:|イl: : : : : : : : | 「(なんで私はマネージャーをやってるんだろう)」
|:/ . イ_,/イ |:|: : : : : : : :
}' `__-r-=≦__」'/::} |:|: : : : : : : : |
_,/:::::::「 ̄::::::::::_/|__|:|: : : : : : : :/
/:::::::|:`=={j====イ:::/::::`ヽ: : : : : ,
カン!
色々ごめんなさい
あと「オッドアイズグラビティドラゴン」の方が良かったことに気づく
>>220
『嘉帆の母性にバブみを感じてオギャるのが心地良い』 恵君授乳手コキスレ乱立
↓
立プログで部長が京太郎に甘えてるの発言
↓
『須賀くんの父性にバブみを感じてオギャるのが心地良い』 の経緯だったはず
グラビティ次元読む時はBGMをmoveのグラビティをループさせて読んでます
1/10
221
【貴方に父性を感じる】-単発次元-
私は須賀くんに甘えている。
彼はこんな零細麻雀部に入ってくれた。
最初は和目当てだったのかもしれない。初めて彼がこの部室に来た時には驚いた。
麻雀初心者だったし、正直言ってしまえば続くと思わなかった。
私もまともに大会に出られないくらいだったし、初心者は周囲に同じ実力の人がいないと続かない。
すぐに飽きて辞めてしまうだろう、最初はそう考えていたわ。
でも、彼は働き者だった。
『麻雀って面白いですね』なんて言って、私たちの見ていないところでも練習しているみたいだった。
私は生徒議会長、まこは実家の手伝いでまともに教えてあげることもできなかった。
それでも彼はめげずに辞めずに、和や優希ととても仲良くやっていた。
規模は小さいけれど楽しい部活。夢見ていたそれを目にして私は満足していた。
転機が訪れたのは、彼が咲を連れて来た時。
咲が来てから、私の夢だった全国制覇は夢ではなくなった。
咲の圧倒的な才能、そしてインターミドルチャンプの和。
今までお預けにされていたそれが、幸運が降って湧いた私は周りが見えなくなっていた。
そんな私を支えてくれたのは、貴方だった。
自分は弱いから、初心者だからと率先して雑用を引き受けてくれた。
一人でやるようなものでなくても私が止める間もなく行動してくれて、本当に嬉しかったわ。
合同合宿に連れて行けなかった時に張ったメモ書き、本当は照れ隠しだったのよ。
みんなみたいに素直に応援してあげたかった。恋愛に悪待ちなんてないのにね。
『清澄の名に泥を塗ってしまった』なんて言った貴方を見て胸が痛くなった。
そんなことはないと抱きしめてあげたかった。
初心者なんてそれが当たり前で、彼に指導をしなかったのは私たちだ。
清澄なんて無名校、いくらだって泥を塗っても良かったのに、彼は優しかったの。
そんな彼を見て、必ず優勝することを決めた。
全国制覇したその瞬間、彼は私たち以上に喜んでくれた。
やっぱり、私は彼に甘えている。
2/10
「部長?
どうしたんですか、呼び出しなんて」
「ふふっ、なんだと思う?」
「えっ、雑用ですか?」
「違うわよっ!
もう全国も終わったんだからそんなにすることないわよ」
当たり前のように述べる彼に胸がちくりと痛む。
違うわ、そんなことが言いたいんじゃない。
「えっ、じゃあもしかして退部しろなんて……」
「なんでそうなるの!?」
「だって、俺未だに初心者ですし」
「あのね……。
どこの誰が初心者を追い出すような部活を作るのよ」
「ははっ、まあ最近居心地が悪くて」
「えっ?」
「まぁ、なんでもないっす」
本当は知っている。
学校のスターになった咲や和たちの側にいる唯一の男の子。
彼が心を痛めていることを知っている。
「ねぇ、須賀くん」
「なんですか?」
「ありがとうね」
「な、なんですかいきなり。
どこにドッキリプラカード用意しているんですか!?」
「失礼ね!」
そう言いながら彼の胸に頭を預ける。
彼の胸板はとても熱くて硬かった。
とても頼もしくて、少し気になる男の子の匂い。
「もう、私は部長じゃないのよ」
「そ、そうですね」
「最後の頼み、聞いてくれる?」
「な、なんですか?」
そう、私はーー
3/10
__ /: : :/: :/: : :/:/: : l: :\: : : : :\
、___厶斗匕: : /: : /:/i: |:l:.|: : : :∨: : : : :.
`¨777¨´∨:/: : /:/ 八:i:从: : : : :i: : : : : :.
/ i/ /∨/: : :/ ´i/ ヾ ∨ : : |: : : : : :.l
{ ∨/:_:_:/-‐/ ―--∨:._:|: : : : : :.|
__ノi ‘: :/:/ /-、 r‐ ∨:.|: : : : : :.ト、
`ー‐/|___ }/:/ __/_ __, ∨: : : : : : | \
i/二二Ⅵ: i 〃ヒ刎「` ´ ヒ刎「ヽ iリ: : : : : :|
/ニニニニ=-、:. .::.::. .::.::. /: : : :l: :l:.|
厂 ̄`マニニニニニ∧ ′ /: :/: : l: :lリ
/ / ∨二二二ニ∧ /: :/: : : l: /
___ノ ∨二二/: 込、 r ‐ 、 〃: :i : : : :!;′ 「須賀くんでオギャりたいの」
∨ニ/\:i: : 介: .. ` ´ イ : : !: : : l/
Τ二二リ: /: i:_:_:〕 ‐-‐ ´ iヽ: :l: : : :{
ノ二二/: : : :/ニニ」 |ニ∨: : : 八
/二二ニ/イ: :l:/ニ「 //: : : :/: : ))
/\二二二八:.:i二ニ|--、 _ー=彡: : : :/彡ヘ{
/ \二二二ヾ二ニ「 ̄ - ´_ /:/: : :/二二ニ=-
/ / / / { } \ ヽ V V
_ ,.斗 // / ./! / ! :} } ' ヽ V', , ,
 ̄ ̄ / / / //_j_ ,' | |、 :} ' :| ,V斗=ミ{ , ,
/ / ' ,' ィ^~v{≧x、,ヽ,' /、ィ'"_j/ } /「 j |
/' / !/| /{ 斗-ミヽ ∨ / }/ア乏メヽレ } }レ
, | :| ハノ∥んr'j V / V' Vrソ 》 :} 八-、 '
/ >'/ ハ { :, ` ー≦' /' ヽ  ̄ /イ{/ヘ Yハ{
/ '" ∥ / ',从_}: 〈| } ! ∥ ヽ
7/ ヽ ' し /’
/’ ` _、 _ {ーイ/ 「ーーーーーー!!!!?!?!?」
、 f-――'ヽ 人レ'^
\ L∠二二ソ /|/
レ}h。 /r rー==ミ、
r「\__'}个 --- < | |ニニニヾ
|:| } | |ニ{1-B}ニ!
|:| } / L!ニニニニ{
「よ、よく聞こえなかったかなー?」
「じゃあもう一回言うわね。
須賀くんの父性にバブみを感じてオギャりたいの。
私を貴方の娘にしてくれない?」
「ごめんなさい。
俺、バカだから全く意味がわかりませんっ!」
本当に察しが悪いわね。
仕方ないから私が丁寧に教えてあげるわ!
※ サイコ系につき注意。今回はノンブレーキ
4/10
……
…
須賀京太郎です。
部活のない日に竹井部長に部室に呼び出されました。
またなんかの雑用かな、なんて思って行ったらとてもシリアスなムード。
そして最後に、爆弾発言!
「ぶ、部長、どうしちゃったんですか!?」
「私は疲れたの。
ずっと、ずーっと嫌われ役。
咲や和にも無茶を言って、虚勢で他校にも強気に出て。
幽霊部員を集めて麻雀部を存続させて、全国大会に出場。
とっても疲れたわ」
「お、お疲れ様です。
部長はすごいと思いますよ」
「そう、ありがとう!
須賀くんに言ってもらえると疲れが取れるわぁ」
「そ、それなら良かったですね」
「でも私が求めてるのはそこじゃないのよ」
「そこで妥協してくださいよっ」
な、なんだ!?
部長がなんかおかしいぞっ!?
少し前あたりから和と衝突し始めたなーっと思ったけれど、特にネジが外れた気がするっ。
「ほら、私って家の事情でお父さんがいないの」
「あー」
「ごめんね。
いきなり重い話しちゃって」
「いえ……」
確かに、いきなり言われてびっくりした。
詳しくは知らないし詮索するつもりもないけれど、なんとなくそんな噂は聞いたことがある。
でもそれとこれにどう言う繋がりがあるんだ?
「だから須賀くんでオギャりたいのよ」
「そこが意味わかんないですってば!」
「もー、つまりね?
須賀くんの父性に甘えたいの」
「あ、はい、そうですか」
俺に どうしろと 言うのだ。
5/10
「父性も何も、俺部長より年下ですよ?」
「そこは妄想でカバーするからヘーキよ。
父性のあるなしは年齢じゃないわ」
「さいですか」
「もし付き合ってくれたら美穂子を紹介してあげるから」
「マジですか!?」
あの福路美穂子さん!?
ヒャッホイ、憧れの女性じゃないか!
部長の紹介ならばいい感じだろうし、どうせ大したことはしないだろう。
ちょっとくらいワガママに付き合っても、お釣りが返ってくるぜ!
「なんでも言ってください!」
「そう?
じゃあ行くわね」
何でも来いっ!
-‐……‐-ミ
. ´ `ヽ
. ' ヽ
/ . . . . . . . . :.
/ . . : : : : : : : : : : : :.
/イ ,' . : | . : : : : : .ヽ : : : : : : : :.
// ! / . : /|.:. .:.:ト、ト、: : :| : : : : : : : :.
// |// . : .:/ |ハ: : | \ト、 : : : : .: .:|
〃 ′ . : :/ 乂{ _,,-‐ ¨ ヽ.: .:|.: .:.| 「パパァー!
{{ i :| . : :/ー-- ′イニミ、 :i: : |Y: :| ひさね! ひさね! とっても大変だったの!
{! | :| . :/ _ ニミ ィf乏心 〉!: :.|ノ. .′ でも頑張ったよ! ほめて!
`ー- ヽ| : :i 〃乏ハヾ 乂zク ′ノ.: .:,' 頭撫でて!」
ヽ.:.:.:|ハ乂zク /:/:/:/ :イ: : :/―_ァ 、
. 人.:{ヽV:/:/: ′ (イ. ! :ノニニ/`ヽi
_ヽ_:込、 ~~´ .ィ)j=={ニニ7
__∧ニ厂「`≧=- <ニニ/. : :{ニニ/ マニニヽ
. ´ =ァ :`¨¨´. :ノニニニ|-‐‐-「ニニi : : 人_/ マニニ〉
〃 / : : :/:/ニニニニ{ !ニニニ| |: : :{>、) ___マア
{{ { : /: :ハ:i:iマニニニハ |ニニニj人: : :ヽ ノ 〈
\ 人{: : : { マi:i:`マニハ ムニア´i:i:i:>、: :} / ___
/ `ー-、) ヽマi:i:i:`マャjア´i:i:i:i:i:/Уjノ , イ_ ノ }
. { ̄`ヽ、 `ヽ._| `ー-[二]-‐‐一'' / _,/ ! __ノ
\ `Tヽ、_| /i:i:i:| 〈イ レ'´
,. ´ ̄ ̄ ` 、__
/ , / /⌒Y
/ / ,: | ̄\
.:' ' /__/ , | \__
/ / ///\/ / .' ' {` ̄
/イ ,.. 、イ /}/⌒ヽ、/´ // / 、 、
{ { Ⅵ / Vオ {从 /-}/-、 } 、 \
| | {/ ∨ィ=、}/ , |、 }  ̄
/ 乂 u ::::::: Vソ' ,l ∧l |
/イ , 八 ,...、 ' /ムイ,'∧ |
/\ / 、 〈- 、\__ ム/ / \
>----イ///\ . ` ー ' イ/从 「……!?」
////////\/// 、 . ´
//////////\{ /`¨¨ 、
////////////>、 {、 〉
/////////////(_)} ∨、_,イ/\
///////////////`¨¨¨|/\////\
/> ´ --、 ∨ム //////////////}
´¨¨ヽ\〉 ∧///,イ/////////// |
- \///{/イ//r- 、///////∧
ーー数秒前の自分を張り倒したいっ!
6/10
「ぶ、部長?」
「やぁー、ひさって呼んで?」
「……久先輩」
「ひさ!」
「ひ、久……」
「えへへー!」
……。
俺は何をしているんだろう。
「頭撫でて!」
「はい、はい」
「えへへへー!」
ついさっきまで、部長といい感じだと思っていた。
もしかしたら告白されちゃったりなー、なんて思わなかったといえば嘘になる。
部長は美人だと思ってたし、妄想したことだってある。
そんな部長が俺に胸に頭をこすりつけて、頭を撫でてあげていると言うのに。
もう無理だ。勃たない。
「も、もういいですか?」
「?」
「ほら、誰か来るといけないですし、そろそろ辞めましょう?」
「パパ、何言ってるの?」
「へっ?」
. . -――..、--- .、
. : ´: : : : :_:_:/: : \: : : \
/: :/: : / /:/リi:l: i\: : : :\
/: :/: : / i// 从ハ: :\: : : :.
/〃:./: : :./ノ  ̄ ‐‐- ∨: :.i: : : ::.
. // l/: : : /´ ‐‐ 、,__ ∨:.|: l: : ::.
// /: : : :/ ニ、 ィ斥心ヽi: :|:リ: : : :
i/ .: : ://ィ斥心 V沙゚ ノi: :l/ : : : |
l |: : |/从 V沙 , ,,, l〃: : : : :|
i |: : i:∧ ,,, /: : : : / : |
|: : |: ∧ 〈: : : : /: : :;
八: :i/: ∧ ´` 〉:l: :.i: : :/ 「これからずっと、パパはひさのパパだよ?」
ヾi/:/i:介: . .., .イi: :l: l:|: :/
∨ノ: :i: :l:_:〕 -- i:.|:l:/:/:.|:/
〃: : :l:.ノ.:.:i ト〃:/: ノ:{
-=´i/:/:./ニニニ\ i/: /:./: : :ヽ
// ̄ ノ从ハニニニニニ\__i从i:/`ヽ: :l:.i=-、
. i/{ i \ \:::\二二二\ |二二二ニ/} ∧
. l/| 八 \ \:::`<ニニニニ\|二二>'"::// i
7/10
この時、俺は気づいてしまった。
部長は『いつまで』の期限を設けていない。
強かな部長のことだ。ここまで計算づくだろう。
ーーしてやられたっ!
「まさか、部長!?」
「ひさ!」
「ひ、久。全部狙って……」
「えへへー、ビデオカメラにも撮ってあるよ!」
「!?」
何その薄い本展開!?
こ、こんな図が学校にバレたらどうなる?
部長はみんなの人気者で、しっかり者だ。
一方俺は最近ちょっと立ち位置が微妙だ。
そんな俺と部長が父娘プレイをしていたとなれば、俺はどうなる?
確実に『須賀京太郎に脅されてやっている』ことにならないか!?
ーーー呼び出された時点で、詰んでいたっ!!
_
,.ィ: . : . : . : . : . : .、
/: . : . : . : . : . : . : . : .\
,. : . : . :/: . : . : . : ,ィ: . : . : .ヽ
. : . : .:/: : . : . : / {: . : . : .ヘ:.:ヘ
. : . : /: . : /// ヽ;ハ: . :}: ,: . ,
{: ./: . : /-≠-‐ _ヽソヘ}: . }
/: . : .:/. / `ヽ、!: . :
,イ: . : . :./,ィf芹芯ヽ ,zェュ、 }: . :
〃: . : . :./ {.乂.::.り ん刈ヽ i!: .:
〃 i: . : .∧ ¨ マ;_;シ ノ ,': . :
/ . :. :/、_ , /: . .
{ . : .{: ..ヘ /: . :ノ
ヽ .V.:.{: .: . \ r_ァ /: .:., ' 「パパー、もっとかまってー」
\: . : . ノ!\ イ: . : .ノ
)==f } ー .个 ,: . :>´
/: . :.//ji iァ{=={
/: . : .ノ:;r" {.);V: . ヽ
r‐/: . : ./:;:;:i ,ィ''""/;:;:;}. : . ヘー.,、
, ' ヘ;{. : . / :;:;:;:├――-,/;:;:;::;;:;:! . : . }:;:;:;:;>、
.., {:/ :;:;:;:;:;:;:;:| /:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:ノ. : ../ / .,
ヾ \:;:;:;:;:;:i ./:;:;:;:;:;:;:;:>/: . / , ' / ,
} \;:;::i./> '"´ /:/ / ノ
もし、もし清澄高校麻雀部の他の人たちに知られたらーー
8/10
……
…
・京太郎の想像
,. . . -――- . . .、
,. :' : : : : : : : : : : : : : : : :>.、
./ : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : \
/: : : : : : : : : : : : : ,ィ: : : : : : : : : : : :ヽ
/. . . . . . . . / l: : : : : ト、 : : : : : :.
,' : : : : : : : : : : : : / l . . . . l .',: : : : : : : :.
,' : : : : : : :l: :,i : : / U l: : : : :! ',: : :l: : : : :.
i: : : : : : : :l /{ : /-一' レl: : ノー-,: : l: : : : : i
!: : : : ;、: :レ l〃⌒ヾ l/ 〃 ヾ: :l : : : : : !
',: : f⌒\{ {l l} {l l}Ⅵ : 、 : : !
',: { 乂_ノ 乂ノ .l: : :} \ノ
',:乂_ ` .!ヘ:ノ
',: : : : 丶、 U ,--、 u ノ 「京ちゃん……ドン引きだよ……」
ヽ{\ : : ㍉  ̄ ,, ''
`^≧| ┬ァiフ¨
///∧ Kヽ、
//////∧ }//> , 、
/ \//////∧ー―l///// }
/ : : : : : : : /: |i: : : : : : : / : : / | : : |\: : : :|: \: : ::∨: \
. / : : : : : : : : : : : |i:: : : : : ::/ : : >ト ., | : : | |: : ∧ : : : : : :|: : : ::ヽ
. .: : : / : : : : | ::八 : : : : /{/,.斗=ミ. |: : / |< ̄:|: : |:::∧: : : : :.
′: : : : : : : : : :|: : : : : : : / . ,ィ´ん):iト, |/ .斗=ミ|::| : :Ⅳ ∧:: : :::|
| : : : |i::∧: : : : :!: : : : :\{:| 〈 {h:::iノ } ん)ト |/!/ |: :∧ : : |
: : ::|i::|.∧ : :: :|:: : : : : : : :, .乂こン {h:iノ} ゚: : :| : : | : : :/
. \八| |:: :::|: : : : : : : : :, .,.,.,. , 弋こソ {: : : ::|: : ノ }/
|: :\! : : : : : : : : :, ,.,., : : : : |/
|: : : : : : : : : : : : : :, u ゝ , } : : : |
|: : : : ::|i: : : : : : : : : イ : : :/ 「つ、疲れてたんだよな?」
|人:: : :|i: :|: : :|:::|i: :}> イ: :|: : :
. \八/\人八/} ー┬‐ ≦: :人/|/
{^辷ー^ヽ/\/ヽア:/
. ,r‐=ニニ二二二\ 〈二ニニニニニニ┐ :/
. / -=ニニニニニニニ.\ ∧ニニニニニニニ.!∨ /
. / -=ニニニニニニ\ Y⌒Y⌒Y}ニニニニニニニj{. ∨
. /: : : : : : : |: : .:i:.|:.:.:.:i| |:.:.:.:.:.:.|!:.:|i:.:| 、:.:.゙、::、 ゙、゙、:::::::::::;::イ/:::::::::::::::i:::::
./ : : : |: : :i:.|:.:.:.:i:.|:.:.:.i| |:.:.:.:.:.:.:.|!:.| i:.:i 、:.:.:、:.、::.:.:.!:.:iヽ/:.:.:.|/:::::::::::::::::i::::
i: |: : : |: :.:|:.|:.:.:.:i|:|:.:.:.| ! | ..:|i. | .i: i ゙、:.:.i.;A-‐ハ:.!:.:.:.:.:.:.:..!:::::::___|::::
!:.i |: :.:| .:.:.i:.!:.:.:.|!.i! :l |:.:!:.:.:.:.:..i:.:.i ゙、! _/ハ:ハ/ |ィ;.:.,.-‐-、!:/.:.:.:.:.V/
i :|.| :.:.:i i i_:|、!、:.:.! i:!、i:.:.:.:.:.:.i:.:.i _;彡';tr=、 ヾ、"' /ヽ |':.:.:.:.:.:.i:.:|:.:.:.:
. ! i:i! | ..:i :i:.:.:i`iー>ト-!、丶:.:.:.:.:i:、^V i_;:::::::ヽ / i: : : : :.:|:.:|:.:.:.:
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ヾi 、:.\:.:\:.]〈 っ::::;:i  ̄` _,∠|:|: : : : .:|:.|―-
ヽ!:.i、`゙ー-r≧ >≠ , " " / |:! : : : :.:|:.!////
|:.|:.:.:.:.:.:.:\! ,, ,, / i!: : : : : ::i:.i////
|:.|: : : : :.:.:.i i r== "ヽ / i: : : : : :.:i:.|////
| |: : : : : :.:i:.:|\ ∨__ノ) / /: : : : : :.:i.:|//// 「パパー! 私も構ってください!!!!」
|:| : : : : :.:.|:イ |:::|l`ー-..、  ̄ ̄ / / : : : : : :.:|/////
|.|: : : : : :.:|:∧ i:.:!i::::::::::::::`i ー-‐ ' ,..-‐:/: : : : : : :.:.i!/////
…
……
9/10
……
…
パパが固まっちゃった。
うー、もっと構って欲しいのに。
パパのお嫁さんは美穂子がいいわね。私のお母さんでもあるわけだし。
「……俺の負けです。部長」
「パパ?」
「何でもしますからっ。
流出だけは許してください!」
「ひさはそんなことしないよ?」
えっ、アレが流出したら私が大変なことになるだろうし。
優しいパパは私がひどい目にあうようなことはしないよね?
ーーもしかして、勘違いしてる?
ふふっ、これはチャンスかもしれない。
「ねぇ、パパー。
今度一緒にお出かけしよ?」
「うっ、どこに行く気ですか?」
「パパが考えて!」
「俺ェ!?」
「ひさはパパが考えてくれたところならどこでも嬉しいよ!」
ママができるまで、しばらくパパは私が独り占め!
あのデジキチなんかには渡さないわ!
, ─ -
,.‐' : :.`゙ 、
/ : : : : : : \
/ : : : : : : _,.::‐: : : : : : :. ヽ
. / : : /: : : : :,,.-: :、: : : : . '
/: : : : : : ,ィ゙: : :__::// ソノリヽ .: :'
|: : : : : : :{: ,ィ示ハ`ヾ. ,,..._ `/| :.} !
l: : : : : : ::Ⅵ、tj::リ んリ`i/: |: :|
|: :!: : : : : ::\ー". {::ツ 〃:,.': /
∨: : : : : : : :ノ゙゙゙ 、 ~.../: //
. 〉: : |: : :i/ r‐‐-, /: : ! 「ひさ、楽しみだよっ」
f゙//ー{: 、:.\ , ‐.≦イ /"/\
r=≦= 、\: :.:.:ト、 {\:::::∨| /_. !
/ .\ヽソ::::\-ヽ:::リ:! i´∪
: : : : :/ : : : : : :| : : : :|.. : :. ゙、: . ゙、゙、. \
: : : : : |. : : : : :i |: : : :i:|. : : : ∧: :、.i. .i: : . ` 、
.: : : : : !: : : : : | |、: : :| | : : i | !: :|:| : |:、: : : : : : >
: : : : : :| : : |: i 「! ヽート!、: : リ !: |ハ: ト : | ̄ ̄
.: : :,..-、|: : :i: :|: !゙、 _、!二゙、-| イ: リ ! |ヽ:|
: : / へ.゙、 :丶ヾヽ<´{::::i` ヽ! 1!|:/| :!ノ゙、リ
: :ヽ \ : :!丶  ̄ Vイ:ハ |\:i
.: : 丶 \゙、 `> リ `
ヽ: : :`┬ 、 ヾ /
i: ;ィノ U ,....-ィ /
,,:‐レリ _  ̄ / 「俺はどうすればいいんだ……」
゛=!_ \ `ー-、_ _/
::::::゛== 、 \ / ̄ヽ、
::::::::::::::::::::::゛===-、 >
10/10
……
…
・後日
/ / ./ ,ィ ヽ ヽ_
/ / ./ // /! |l! .lY'::::::::::)
; i くlハ //,ィ / .| リ! j l }::::::::::l!
|イl! ' _`Vメ、 l / __.! ./_l/__ ノ l::::::i='ヽ
ゝゝ| ;´んィ:!` =j/__ノノイ /¨T ヽヽ
|| l 弋_丿 'んィ:!.ヽ// ,' ! } }
|| l 、、、 弋_丿 // .,ヘ .! j/
|| l ' 、、、 // ./イ |
|| ::ゝ. __ // ./. ! |
|| | l > ´‐-' _イ//∥| l |
|l!. l_L:;ノ:.ト!¨ T¨ェ:://.∥ll! l | 「部長が娘なのは不満ですが、仕方ないです。
l|-、 ヽ: : : :.l! ̄` |:.:.// /l!ll| .! |
/-、:::ヽ ヽ: : : l ̄ ̄l:.// /: :ヽ! .! ! ママには私が立候補しましょう」
. / | >ヽ ヽ:.:.:l l;'///: :/\ .| |
. / l . /ヽ:ヽ ';.:ヽ /:::////、 \ |
人.. V } :!:ヽV/'/l;;;_/ Y ..人 !
. / ヽl l ! [__] / .l i/ ヽ|
/: . : . : . : . : . : イ: . : . : . :/: . : . : . : . \
. : . : . : . : . : . :イ: . : . : . : .//{: . 从:ヘ: . : . : . .
/: . : . : . : . :/: . : . : . :.// { ヽ:.{ ヾ}V: . : . : . ,
. : . : . : . : . : . : . : . :.:./. 〃 ヽ ヾ ノ V: . : . : . ,
. : . : . : . : . : ./: . : .:/ 〃 ヽ V: . : . : ..
. : . : . : . :{. :/: . : ./ / 、 V: . : .ヘ:.,
{: . : . : . : .i:./: . : ./_,,, ィチ'" ``'' ‐-- ∨: . : ヘ:,
: . : . : . : . {/: . : /´ { ,,_ ,': . : . : } ヾ,
: . : . : . : . レ'": 7 __,,ニ `''''ii!ー‐ i: . : . : ., i}
,: . : . : . : .',: ..7¨ ̄ ii! ii! ,: . : . : ., i!
. : . : . : . : ヘ: {. ii! i! ,: . : . : ., i!
: . : . : . : . : ヘ{. ” ,: . : . :7 ノ
,: . : . : . : . : .ヘ ' i: . : . .7
,: . : . : . : . : . ハ ノ: . : ./
.V: . : . : . : . : . } _ _ /: . : ../ 「パパー、あの人怖いよぉー。結婚しないでー」
\; ヘ: . :i: . :.ノ `,、 ´ ` イ: . : . :/
.\;ヘ:.i; , / , .> __ ヽ=="
}==={ _j {_ i: . : ヘ
i: . : .ヘ'"{ノ i、:;:;:;ヽ{: . : . ヘ
ノ: . : . :ヘ〈 }:;:;:;:;:ヘ. : . : .ヘ、
/ ' | ', :}∧∨',ヽ, / V | | ' /: : :ヾv v
' :| ', , } ! V / :| V | |{ ,: : / } ヽ v
' / ! :{ハ ハ ∧ } V| /{ V |_, v! | } ヽ
' :, ' , ' ∨∧ ' ,}イ' _j{≫!7:f心刈 V / {l 、|斗 ―――
/ ,∧ ∧ー=ミ{__ ヽ ', j{⌒'| 7/j' j'うゝ:ア | ' ' ' :{l ヽ! `ヽ
,' / ∧ ∧:、 {`~^ ー-- /: : j ^ ≫'’ V' _ノ {l | V
/ ,' / j{∧ ∧ヽ{ ,ィァ=v云| ': : : i| ~´ ' 「:\ } {l ,ヽ
,' ./:| / v∧ {ヾ八{ ヽぅ! /: : : U し :!: : : V:V , \
! ./ | / ヾ∧ ,、\: `: : : :|/: : : :、 }: : : : : ' ,
|/ :| ' )ヽ , \ヽ: : : :': : : : ノ! 八: : : :' , 「何でノリノリなのっ!?」
' } / / ヽ 丶: :.} !: : : `: .、 _ ': : : : : ' ,
j/ , \し: : : : : : :. _,. '" /: : : : : ' ,
, ヽ.,: : : : : :冖、 _ ,イ{: : : : :/ !
、 > .,: : : : : : ( /: U : : :./ |
| ヽ / :≧s。.,:ヽ _ ./\: : : : {「 \ |
カン!
>>221を見たら予定してた京照誕生日SSが書けなくなってしまった
1/10
【Last Gravity】-重力次元・最終話-
玄さん、竜華さん、モモ、ユキ、はやりさん、美穂子さん。
俺の周りには魅力的な女性がたくさんいる。
しかしなぜだろうか、お付き合いしたいとは全く思わないのだ。
もちろん、こんなことになってしまった以上、責任は取らないといけない。
でもそう言っても彼女たちは『理想のお嫁さんを探してくるから安心してね』と言って聞かない。
仮に俺が彼女を作ったら彼女たちはどうするのだろうか。
考えるのも怖い。しかし、やらなければならないんだ。
例え男として周囲の人間になんと言われようと、俺は彼女たちに恩を返す。
それだけは決めていた。
しかし最近胃が痛いよぉ。
'' _.―― ....
/ ..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: `:..、..
. ' .:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:
/ .:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:}::.:}:.. :/ } ヽ
/::.:′. .: }::斗/L/!::.:.:. /::、i:.:.:.}...... ',
/::.:′. .: }: ヽ ,斗‐|- .::| :ト.、 | |.!
. /::. |:...:.:/|:. ..:l\ ! ヽヽ .::l /! ..l | | l
...rぅ' ,|::.|::.:.|:;{. ,.::| ト'::ィ;リ トィリr::ノl:ノ
./:{ V:|::.|::.:.|´ii ..:::| `ー' .゙-'l |/
.|:.|/::.:,::.:.::. l :|.i ',.:::| ゙゙゙゙ ` ゙゙',!.:}
.{i:{:: :ハ::.: 込{.::l :'.,l. (_`チ _,ノ./|.
.乂:/:.:∧::.:.V.i::ヽ_.::!ヾ=<>‐、‐ T´|..小{ 「京太郎くん! またお嫁さん候補を連れてきたよっ!」
. / .::: .:;へ/` '、l::..<__/八_,>.l. .}:.{
/ .:::::::///;;`ヽ',`..〈 ./ .| } | }:.{
: : : : :/ : : : : : :| : : : :|.. : :. ゙、: . ゙、゙、. \
: : : : : |. : : : : :i |: : : :i:|. : : : ∧: :、.i. .i: : . ` 、
.: : : : : !: : : : : | |、: : :| | : : i | !: :|:| : |:、: : : : : : >
: : : : : :| : : |: i 「! ヽート!、: : リ !: |ハ: ト : | ̄ ̄
.: : :,..-、|: : :i: :|: !゙、 _、!二゙、-| イ: リ ! |ヽ:|
: : / へ.゙、 :丶ヾヽ<´{::::i` ヽ! 1!|:/| :!ノ゙、リ
: :ヽ \ : :!丶  ̄ Vイ:ハ |\:i
.: : 丶 \゙、 `> リ `
ヽ: : :`┬ 、 ヾ /
i: ;ィノ U ,....-ィ /
,,:‐レリ _  ̄ / 「(開幕で心が折れそうです)」
゛=!_ \ `ー-、_ _/
::::::゛== 、 \ / ̄ヽ、
::::::::::::::::::::::゛===-、 >
すでに決意が鈍りそうだ。
こ、これ以上増えたらどうする!?
いやっ、待て待て、考えるのが早すぎる。
いわゆる『普通の人』を連れてきた可能性だってあるはずだ。
何かと状況にドン引きしている可能性もあるし、その女性になんらかの対応をする必要があるはずだ。
「えっと、どんな方ですか?」
「えへへー、今までの中でも一押しだよっ」
「玄さんの一押しかぁ」
不安しかねぇ。
玄さんが何を基準に連れてきているのかもわからん。わかったら彼女たちと同類になってしまいそうだし。
2/10
とにかく、相手の情報は必要だ。
「俺の知ってる方ですか?」
「多分覚えていると思うよー。
忘れられないもん」
「覚えている……。名前はなんでしょう?」
「それは秘密っ」
なんで?
「本人からの希望なんだ」
「実際に会ってみて、って話ですか」
「そうだよっ。ヒントならあげてもいいかな」
「ヒント?」
「とっても奥ゆかしくて、料理が上手でお菓子も作れて、旦那さんをたてることも出来る大和撫子さんかな」
「それ、画面の中にいるような理想の女性じゃないですか」
玄さん、どっから探し出してきたんだ……。
「また変なことを吹き込んでないでしょうね……」
「こ、今回は大丈夫だよっ。
京太郎くんの名前を出した時点でとっても好意的だったんだ」
「マジっすか?」
えっ、じゃあ俺が会ったことある人なんだろうか。
料理が上手でお菓子が作れて、どうせ玄さんのことならおっぱいも大きいんだろうな。
俺のことを好意的に見てくれているってことは。俺と接点があるとしよう。
惚れられているなんて考えるのは傲慢にもほどがあるけれど、そうしないと絞り込めないし。
そんな人、俺の中で一人しかいない。
ーー原村和?
「まあ奥ゆかしい面もあったりなかったり」
「ふえっ?」
「なんでもないです」
しかし知り合いなら対応もしやすいだろう。
今の俺がこんな状況だって伝えるのもやりやすそうだ。
ドン引きされるかもしれないけれど、これは俺のせいでもある。
やるしかないんだっ!
3/10
……
…
・当日
/ : : : : : : : : : : : : :\ : \
/ . : : : : : : :/: : : : : : : : : : : : : : : : : \: : : :.
′ .:.:.:/.:.:.:./:/.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ト、.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.
. i :::::::|::::::: |::l:::::::::::/:::::::/:::::::::::::::::::| ‘:::::::::::|::::::::|
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l :::::::::::::|::::::: |/\::|-\{- |::::::::::/l/ -、 И/::::::::::|
!::::::::::::::|::::::: | ,,xぅ气芹ミ,ノ::::/ 斗ぅ冬,, ノ:::::::::::::|
. !:::::::::/!::::: |〈 lh__,j刈  ̄ |h_j | 》/:::::::::::::|
. !::::::八 ‘:::::: | 乂辷ソ 乂_ソ ;:::::::::::::::;
. ‘:::::::::::::\}:::::| /// , ///,:::::::::::::::;
‘:::::::::::::::::|:::::| ′:::::::::::;
‘:::::::::::::::|:::::|\ 、 _, .イ::::::::::::::/
‘:::::::::::::|:::::|:::::l` . . イ::::|::::::::::::/ 「い、石戸霞と申しますっ!」
. ‘:::::::::::|:::::|:::r| ` ┬=≦l |:::::|:::::::: /
\::八::::|:∧\ l| |\ノ |:::::|:::::::::|
_\:::::|':::∧、\ l| | ⌒i|:::::|:::::::::|
/ \:::::::∧\\ l| | 八:: |:::::::::ト、
/ \:: ∧ \ソ' | \::::::: | \
,. ´ ̄ ̄ ` 、__
/ , / /⌒Y
/ / ,: | ̄\
.:' ' /__/ , | \__
/ / ///\/ / .' ' {` ̄
/イ ,.. 、イ /}/⌒ヽ、/´ // / 、 、
{ { Ⅵ / Vオ {从 /-}/-、 } 、 \
| | {/ ∨ィ=、}/ , |、 }  ̄
/ 乂 u ::::::: Vソ' ,l ∧l |
/イ , 八 ,...、 ' /ムイ,'∧ |
/\ / 、 〈- 、\__ ム/ / \
>----イ///\ . ` ー ' イ/从 「(接点なかったァァァーーーっ!!)」
////////\/// 、 . ´
//////////\{ /`¨¨ 、
////////////>、 {、 〉
/////////////(_)} ∨、_,イ/\
///////////////`¨¨¨|/\////\
/> ´ --、 ∨ム //////////////}
´¨¨ヽ\〉 ∧///,イ/////////// |
- \///{/イ//r- 、///////∧
玄さん、それは読めないっすよ……。
一体どういうコネを使って連れてきたんですか。
って、はやりさんがいればコネなんていくらでもあるのか……。
マジモンの名家の大和撫子箱入り娘じゃないですかー!
「はるばる鹿児島からこんなところまで、申し訳ないです」
「い、いえっ、そんなことないですっ。
こちらこそよろしくお願いしますっ」
モモ、ユキ、はやりさん、美穂子さんはそれとなく接点があったが、石戸さんとは接点がない。
さぁ、何から話していいものか……。
「そ、そのっ、やっぱり玄さんに無理やり連れてこられたとか、そんな感じですかね?」
「あう……」
俯いて押し黙ってしまう。
あれ、もしかしてビンゴ!?
はやりさんがハイエースしてきたとかそういう感じ!? 犯罪はダメですよ!?
でもあの人たち犯罪行為だけは行わないからなぁ。グレーゾーンの真ん中に立ってるけど……。
4/10
「無理やり連れてこられたならーー」
「無理やりなんかじゃないですっ」
「!?」
悪いことしたな、と謝ろうと思ったらものすごい勢いで止められた。
どういうことだ?
「お恥ずかしながら、私の家はとても厳しく、ずっと女子校に通い続けていました」
「はぁ」
「男の人との接点なんてなかったの。
だから男の人とどう接していいかわからなくて、さっきは言葉に詰まってしまって……」
「あ、そうだったんだ。
俺には普通に接してくださいね」
「ふふっ、ありがとうございます。
そ、それでこれもとても恥ずかしいお話なんだけれど、私だって女の子ですもの。
お、男の人に興味があって、渡りに船だなって思ったの」
「な、なるほど」
なんだか意外だ。
いや、意外でもなんでもないか?
ドラゴンズ……、訂正。グラビティズを除いた女子大生の友達は合コンや男の話ばかりだ。
女子校育ちともなれば憧れも大きいだろう。
「でも、それで来ちゃうなんてちょっと危ないですよ」
「?」
「確かに玄さんは人畜無害ですけれど、こんな怪しい話で石戸さんが危ない目にあったら嫌じゃないですか」
「それなら、もう安心ね」
「?」
/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽヾ
./:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.ヾ
/:::::::::::::/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ト:::::::::∨:::::::::::. ヾ
.:::::::::::|::::::::::/::::::/::::/|::::::::::::::: |ハ::::::::∨:::::::::::.
:'::::::::::::|::|::::::|:::::∥::::' :|::::::::::::::: | '::::::::::'::::::::::::::': .‘
|::::::::::: |:|:::: |:::::∥:: ' i!::::::::::::::!:| ':',:::::::';:::::::::::::'
|:::::::::::::|:|:::::||::::||::::::! }::::':::::::://_}|.'::::: !:::: |::::|', |
|:::::::::::: |::::::|!ヘ:| ヽ{ |ノ|::ノ// / }::::/::::::|::::':| /
|';::::::::::: |::::::| イ芋芋ミ イ芋ミx/.':::::::|}/
':::,:::::::::/!:::::| ヽ辷zソ 辷zリノ.,:::::::::|
!::,:::::::! :!:::::! `¨´ `¨ '´ ,::::::::::|
',::ヽ::::ヽ',::::| ' ' ' ' ' .,:::::::::::|
,:::::ヽ::::::',: |ム 、 ., ,::::::::::::| 「もし須賀さんがそのおつもりなら、そんな注意はしないでしょう?」
.,:::::,::ヽ::ハ;∨::o.、 イ:::::::/::::|
;::::::;:::ヽ:∧∨:| :ミ 。 .<:::::::::::::/:::: |
:;::::::∧::::::::::∨、 :{| ヽ::::::::::/::::::,
;::::::::ム::::::::::∨\ // Y:::::::::::::;
ーーーッ!?
5/10
胸が詰まった。
石戸さんの仕草にもそうだが、彼女はそんなに甘くない人だと感じた。
そんな簡単に男に靡くような人じゃないし、きっと全て理解した上でここに来たのだろう。
本物の巫女さんともなれば修羅場に慣れているのだろうか、どんなことがあっても大丈夫な地震があったのだろう。
「確かに男慣れはしていません。
しかしこれでも石戸の女、素敵な男性を見極める目は持っているつもりです」
「参ったな……。驚きました」
「ふふっ」
「それじゃ、なおさら俺じゃダメですね」
「いいえ、そんなことはないですよ」
「へっ?」
返って来たのは思わぬ返答。
こんなしっかり者の石戸さんに認められるなんて、それこそハギヨシさんみたいな完璧超人だと思う。
「今まで、私の立場を見てすり寄ってくる男の人はたくさんいました」
「ええ、そうでしょうね。
石戸さんめっちゃ美人だし」
「ふふっ、ありがとう。
それなのに須賀さんは真っ先に私の心配をしてくれたわ」
いえ、それは過大評価です。
俺も玄さん経由とかじゃなければその男の人たちと同じで石戸さんの美貌に釣られてたと思います。
「で、ですからーー」
「?」
/ /::::::::::::::::/|::::::;::::::ト::::::::::::::::::::.
:| .:::::::::::::/|!:{_|::: | |::::|.||ハ:::ト:::::::::::|
:! .|:::::::::!:{ 从! |ヘ| |ノ|/ // .}::::::::::|
|:!::::: ! イ笊ミ .イ笊ミxノ:::::::!
',:',::ヽ{l乂シ 弋ソノイ::::::'
',:',:::::. xix. ' xix ,'ノ::./
.∧:::::::. r‐ ., /::::::/
∧::::::ミz.。 `¨ イ::::::::,'| 「よ、よろしければ、お友達から始めていただけませんか?」
.∧::::::::::::!.>< ! |::::::::: '
.....}=ミ:/:| | |::::::::,'_
/ .// | :| :/ :|::::::;、 `<
/ >=―< ,ハ />|:::::|‐‐< :| :,
./ ` f!ハ,;' |:::::| :ヽ ;
/ fgム |::::::.. ∨
., /j!:| ti! .∧:::::::\ ',
, ./.,' i! , \::::::::\ : : !
|: : . / , | :, .\:::::::ヽ: ::!
/ :. : : : : : : : / / i! :;、 \:::::∨
!/∧: : : : : :://| ノミ 、 }\: : : : \:::∨
6/10
石戸さんのその一言はとても魅力的で、照れながら言う姿は美しかった。
思わず飛びつきたくなってしまいそうな禁断の果実。
「そうですね。
友達から、なら石戸さんも安心ですよね」
「ううん、私としては須賀さんなら、いずれ素敵な関係になりたいと思っています」
「!?」
な、なんで!?
「でもまだお互いのことをよく知りませんし、須賀さんも心配でしょう」
「そ、そんな、石戸さんの方が女性なんだから心配なんじゃないですか?」
「ふふっ、そんなことないわ。
女の子だって気になっている男の子に対して下心はあるのよ」
石戸さんがガンガン攻めてくる。
しかし、言葉でこそ攻めて来ているが、その表情は真っ赤だ。
どうやって自分の気持ちを伝えていいかわからず、直球になってしまっているのだろうか。
石戸さんの心中はわからないが、本心であると思いたいのは男のサガだ。
「でも、須賀さんの周りには素敵な女性がいっぱいいるわ」
「グハァ!?」
やばい、ドン引きされてる!?
そう思う俺の心境とは裏腹に、石戸さんは柔らかく微笑んでくれた。
「だから、須賀さん自身の気持ちをよく考えてください」
「石戸さん……」
「私だって、須賀さんに好かれるように頑張るわ。
貴方の側にいる女の子にだって負けたくない」
「お、俺だってーー」
石戸さんに対する好感度ゲージがマックスだ。
チョロいって? 男が美人に言い寄られたら堕ちるに決まってるだろ!?
しかし俺には決着をつけなければいけないことがたくさんあるのも事実。
確かに、時間は必要かもしれない。
「そ、そのっ、良かったら須賀さんには『霞』って呼んでもらいたいの」
「ぜひっ!
俺のことも霞さんの好きなように呼んでもらって構わないです!」
「本当!?
嬉しいわ」
いやー、最低男の発想かもしれないけれど今日は癒されたよぉ。
現状をどうすればいいかはマジでよく考えるとして、とにかく話していて楽しかった。
7/10
「さぁ、せっかくの料理も冷めてしまわないうちに食べましょう?」
「あっーー」
「どうしたの?」
「実はちょっと胃腸が悪くて、俺はゆっくり食べるんで先に食べていてください」
胸焼けしていると言うかなんと言うか、あまり食欲がないのだ。
別に食べられないわけじゃないが、もう少しゆっくりと食べたい。
-―――-
....::´::::::::::::::::::::::::::::::::::`::..、
/::::::::::::::::::::::::::\::::::::::::\::::\
/:::/::::::::::::|:ト、::\::::::\::::::::::::\::::\
/:::/ :l:::::::::::|:| \::\::::::|::::::::::::::::\:::::.
/:::/::Ν::::::::::|:|´  ̄\八::|:::::::::::::::::::::::::::::.
|::::i:::::l-\::::::l八 斧苧干 |:::::::|::::::::::::::|::::::|
|:::::\l __\{ 乂hソ |:::::::|::::::::::::::|::::::|
|l::::::l::|斥汽 |:::::::|::::::::::::::|::::::|
八::::l∧乂ソ , ″ |:::::::|::::::::::::::|::::::|
Y:::::::. ″ |:::::::|::::::::::::::|::::::|
. |::l::从 __ _ |:::::::|::::::::::::::::::::八 「ふんふむ。それならいい案があるわ」
八::\::::l┌ヘ)` /|:::::::| :::::::::/::::/
\:::Y 二二〉‐=≦ |:::::::|::::::::/::::/
∨ ┬_]┘:::::| 从::::::|:::: /:: /
/ 八:::::/l_/⌒∨:|:::∧:/
/ ノ/::::::// /∨:::|⌒ 、
. _ノ /:::// / ∨| \
_// /:::// / ゙:| \ \
/ // /'"´ / / ゙:. } ,
. / / , '" / / ゙o.j / :
/ {/ / / ゙:\ / :
. / / / / |::l:::\/
/ / / / |::|\:::\ ト.
{ ./ / / . . . . . .. ノ´| ∧:::::| ||
{ { / / . : : : : : : : : : . . . : : : :l / |:::::| ||
{ :八 : : { : : : {: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : 八 |:::::| ||
{ l\ { : : : {: : : : : : : : :_:_: : : : : : : : : : : : : : : / /|:::::| ||
{ | \: : : \ : : -=ニ二ニ=- 、: : : : : : : : :/ / |:::| ||
{ | / ̄ ̄[二二フ二フ二二二二二二[ / .ノ:::ノ :|人
,. ⌒ヽ、/⌒ 、-- 、
/_,..- ヽ ` 、
/ /´ / ∨ \
, ´ / ,' : 、 ヽ
/ , , / /| | :. | | | ∨
_/ / / |_|__'_| | _}_|_|_| | | :
 ̄ ̄´/ イ ' { ´| |/__{ |: , ´/}/_}∧ | | |
/ / , rⅥィ笊 从 {∨ /ィ笊_ヽ}/、 | |
/ イ ∧{ 从 Vり \∨' Vり /' / ∧{
´/イ }从lム ; \ ,ノ / \
| ∧ ∧,イ
Ⅵム - - イ // 「?」
_ヽl\ //イ__
|////} ` ー ´「////|
|////| :. / |/[__}/|
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, <///////////\ ///////////> 、
, </////////////////}____{/////////////////> 、
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{/////////////////////∧ ,'//////////////////////}
|//////////////////////∧ ////////////////////////|
霞さんが向かいの席からこちらに移動してくる。
何をするつもりなんだろう?
「いつかはやろうと思っていたけれど、早い方がいいですよね」
「へっ?」
俺の頭が言葉を理解するより先にーー
8/10
.l;;i′ / .!圭/ .イ、圭圭圭/ |圭/ ィ幺才 ,イ゙ .,〃 ィ幺才
.|/ ノ .l圭! l圭圭圭ゝ !Ⅳ ,,ilr'" ,i'./ ,ィ幺才 .,.
\人_人,,人/ | ! /圭圭Ⅳ /Ⅳ ' \人_人,,人// ,,ノ才 ィ幺圭
) ビシャッ ( _,, !゙.,,.,i圭圭Ⅳ .iУ ) ビシャッ ( ,i'㌢ rィ幺圭圭
.i}′/⌒Y⌒Y⌒ヘⅣ ., /圭圭Ⅳ .l″ /⌒Y⌒Y⌒ヘ /Ⅳ_ィ幺圭圭圭圭
` i"Ⅳ / \人_人,,人/ il l′ ィ幺圭圭圭圭圭才㌢
lⅣ ."、 /) ビシャッ ( \人_人,,人/i!!″ . ィ幺圭圭圭才㌢ー'″
\人_人,,人/ l「 ../⌒Y⌒Y⌒ヘ ) ビシャッ (.´ ィ幺圭圭圭才'"
.,i''l ) ビシャッ ( .〃 / ./圭圭Ⅳ .,. /⌒Y⌒Y⌒ヘ ィ幺圭圭圭才 ´ _ン'
,lⅣ/⌒Y⌒Y⌒ヘ〃 ./ ,/圭圭/ ./ ,r'./ ., ィ幺圭圭圭才゛ . _,,-へ.iii
.〃 ./l 、〃 ,ir /圭圭/ .,〃 .,ノン′ .,,ir'" ィ幺圭圭Ⅳ'″ ィ幺圭圭㌢''圭圭
〃 .,ノ~;/ .,/./ .,ノ/ /圭圭Ⅳ .,.. |″ ,i'ン" ,ii'" .,..-'イ圭圭Ⅳ゛ ___i才" `'''″
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9/10
ーー俺の体に触れた途端、霞さんが盛大に吐血した。
何が起こったか全くわからなかった。
「ふふっ、これで良くなったでしょう?」
「あっ、確かに胸焼けがなくなって……。
ってそうじゃないですよ!? 救急車を呼びますからちょっと待っててください!」
「大丈夫、すぐに収まるわ」
血だらけになった俺のスーツ……、あれ? 俺のスーツは汚れてない。
霞さんは吐血することがわかっていたかのように血はテーブルに向かってブチまけている。
これだけの量ならば俺にかかってもおかしくないのに。
「私の役目は『天倪』」
”旦那様”に降りかかる不幸を身に受けるのが石戸の女の役目ですっ!」
「旦那様ァ!?」
「ふふっ、旦那様が好きに呼んでいいって言ってくれましたから」
確かに言ったけれどォォォーーーっ!?
霞さん、血まみれでニッコリ微笑まないでェェェーーーっ!!?
, ':.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ::::..ヽ
/.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.;、:.:.:.:.:.:.:::::ヽ:::..:.ヽ
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. l::::: :::.l. ャー‐ッ /:::l:/::: :.l
l:::: ::::::>... ┃ イ:::::/ :: ::::::l
. l:::: :::::::::::::>.....__┃< |:l:/:::: ..::::::' 「これで旦那様は生涯の健康が約束されました」ダバー
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l:: .:::.::/ ゝ´ll /,':::::::::::::::::./> 、
l: .::::::/// ! / /::::::::::::::: イ./ ヽ
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/::丿, ' /!:::::::::::;' / / !
/ ' | ', :}∧∨',ヽ, / V | | ' /: : :ヾv v
' :| ', , } ! V / :| V | |{ ,: : / } ヽ v
' / ! :{ハ ハ ∧ } V| /{ V |_, v! | } ヽ
' :, ' , ' ∨∧ ' ,}イ' _j{≫!7:f心刈 V / {l 、|斗 ―――
/ ,∧ ∧ー=ミ{__ ヽ ', j{⌒'| 7/j' j'うゝ:ア | ' ' ' :{l ヽ! `ヽ
,' / ∧ ∧:、 {`~^ ー-- /: : j ^ ≫'’ V' _ノ {l | V
/ ,' / j{∧ ∧ヽ{ ,ィァ=v云| ': : : i| ~´ ' 「:\ } {l ,ヽ
,' ./:| / v∧ {ヾ八{ ヽぅ! /: : : U し :!: : : V:V , \
! ./ | / ヾ∧ ,、\: `: : : :|/: : : :、 }: : : : : ' ,
|/ :| ' )ヽ , \ヽ: : : :': : : : ノ! 八: : : :' ,
' } / / ヽ 丶: :.} !: : : `: .、 _ ': : : : : ' , 「スケールでかすぎィ!」
j/ , \し: : : : : : :. _,. '" /: : : : : ' ,
, ヽ.,: : : : : :冖、 _ ,イ{: : : : :/ !
、 > .,: : : : : : ( /: U : : :./ |
| ヽ / :≧s。.,:ヽ _ ./\: : : : {「 \ |
「(俺、一生体調崩さないように気をつけよう)」
「あ、もし旦那様が他の女性を選んだとしても私は恨みません。
もちろん、このお役目を途中で辞めることもないから安心してくださいねっ」
10/10
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|:::::::: l ::::::::::八::::::::::| ,,xぅ斧笄ミ\::::::::|斗ぅ斧x )/:::::/:/ ノ
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|:::::::: | ::::::::::::::::::::个゙ 乂廴ソ 乂_ソ ,′:::::::|
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|:::::::::‘:::::::::::::::::::::::|\ r‐ ┐ 人::::::::::::: | 「これから宜しくお願いしますね、旦那様っ」ダバー
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|:::::::::::::‘:::::::::::::::::::「:| ` ┃ ....::|:::::l:/ / /^Yヽ
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-‐'^´ ‘:::::::::: | \\ // / / / / / ト、
/ / / / { } \ ヽ V V
_ ,.斗 // / ./! / ! :} } ' ヽ V', , ,
 ̄ ̄ / / / //_j_ ,' | |、 :} ' :| ,V斗=ミ{ , ,
/ / ' ,' ィ^~v{≧x、,ヽ,' /、ィ'"_j/ } /「 j |
/' / !/| /{ 斗-ミヽ ∨ / }/ア乏メヽレ } }レ
, | :| ハノ∥んr'j V / V' Vrソ 》 :} 八-、 '
/ >'/ ハ { :, ` ー≦' /' ヽ  ̄ /イ{/ヘ Yハ{
/ '" ∥ / ',从_}: 〈| } ! ∥ ヽ
7/ ヽ ' し /’
/’ ` _、 _ {ーイ/
、 f-――'ヽ 人レ'^ 「ーーーーーッッッッ!!!!?!?」
\ L∠二二ソ /|/
レ}h。 /r rー==ミ、
r「\__'}个 --- < | |ニニニヾ
|:| } | |ニ{1-B}ニ! __
|:| } / L!ニニニニ{ _,. 斗r≦ニニ=-ヽ
人:.、___」 ___/__/ニニニニニ7 ∥ニ/ニニニ=-,
, ‐ --、斗r≦ニ斗r'ニ7 ノ、 |ニニニニニニニニ/ .∥ニ'ニニニニ=-,
/ニニニニニニくニニニ/\ __ ,!ニニニニニニニニ, ∥/ニニニニニニ=-,
,-=ニニ/ニニニニニニニ\ニム jニニニニニニニニ, ∥'ニニニニニニ=-
/ニニニ{ニニニニニニニ∧ニム /ニニニニニニニニ, ∥ニニニニニニニ!
須賀京太郎、どこにでもいる男子大学生。
7つのドラゴンボールならぬ七人の重力娘を揃えることに成功。
願いが叶ったかどうかは誰にもわからない。
しかし、幸せになれることは確定したようだ。
カン!
一旦完結。重力次元のリクが来たらまた書く感じで
1/10
284
【ネリー、大変なことになる】-あわネリ次元-
「行ってくるね」
「……」
いつものように出かける前はぬいぐるみに挨拶。
年を考えれば恥ずかしいのかもしれないが、気づいたらそうなってしまったのだから仕方ない。
小さい頃はそういうことが出来なかった反動がきているのかもしれない。
「もうアワイはいるのかな」
テクテクと道を歩きながら親友(絶対口には出さないけれど)のことを頭に浮かべる。
淡とネリーは京太郎の家に入り浸っている。
京太郎の家から離れようとせず、風呂まで借りようとするのが淡だ。
一方ネリーは流石にそこまでは恥ずかしいのか、淡を引きずって帰っている。
不貞腐れた目でネリーを見てくることも多いが、これだけは譲れない。
「キョウタロウ、来たよ」
彼の家の前に着いて、ドアに手をかけた瞬間。
『だめっ、キョータロー!』
『暴れんなって。抑え付けるの大変だろ』
「……!?」
なんかとんでもない声が聞こえて来た。
『あうっ、気持ちいいよぉ!』
『バカっ、声抑えろって』
『痛っ、もーちょっと優しく!』
『ワガママなお姫様だなっ』
『あ”ー!』
外にまで広がる嬌声。
ネリーの顔が真っ赤になる。
「えっ、何? どういうこと?」
思わず独り言が漏れる。
何が何だかわからない。
目の前が真っ暗になった気がした。
2/10
「(そっか、二人はそういう関係だったんだ)」
思わず泣きそうになってしまう。
自分も淡みたいに素直になれば良かったとか、もっと京太郎に優しくすれば良かったとか。
頭の中で思考が渦巻いて治らない。
「(じゃあ、ネリーはおジャマだよね)」
ドアノブから手を離して振り返る。
心臓が痛い。どんなに緊張した時もこんな風になったことはなかった。
とにかく、すぐに帰ってぬいぐるみに抱きつこうと思った。
_ / , / //| , | ,: | V :.
` ̄ / ' | |∧ | / },l --| | |
/,イ { |-- 从 / /,ィrtォ、 , | |
/ ∧ |,ィtォ、∨ ' Vり {,イ /-、 }
/ イ{从{ Vり }/ |イ l) } 从
 ̄ Vr:l ' //
l叭 _ r ' /
、 `ー` イ {
\ / |∧」 「はい、マッサージ終わりッ!」
` r‐ ´「 ̄ ̄ ̄}
「 } | |///// ∧
|/|_,ノ /////////≧=-
_//∧ 「/////////////////≧=- 、
-=≦/////〈 ∧_///////////////////////∧
///////////////\{///////////////////////// ∧
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´ \__
/ マ三三三三三三ニ=-
/ / \ ∨ /⌒> 三三三ニ=-
,′ ヽ \三三三ニ=-
/ _/ │ ∧ . | ニ二 -=ニ\三三三ニ=-
. / / /│ '| |\ :. :. i |\  ̄`丶三三三
__/ / / │/│ | :. |\ :. | \三三
_/´/ / /| \| | | | |│ ::. | 八 ー―‐=ニマ三\ マ三
厂| |∨// 人 レl | ト-| | |│ ::. │ \ \ `マ三) }三
__,,... -┤│レ/゙∨ /\l |_|斤テ外八 ^ト--|/--│ ー=ニ二 `マ /_三
││|{ {. / ∧ンリ 乂ツ \|斗テ外、.| 卜、 丶、______ く_三三 「え”ー!
| ∨\八 { / Y::/::/ , 乂)ツ 》│ | /\ \≫==≪\ マニ三
__,,,... -‐ヘ_ \,,>\∨廴_,人 ::/::/ / リ│ │ >ー──=ミ〃 `ヽ∨ニ三 もーちょっとー!」
 ̄ \__,)) ヽ ∠/_7 イ /⌒)丿 \_ノ{ -‐~‐- }ノ三三
≧=‐ -=≦ / ∧|/ / ,.二二二二∨|\___/| ̄ -=
/ / 厂∨ / -――=マ 〉| |
((⌒´ ∨ 〈 ∨/l. │
`ーヘ ∨| │
`、 ヽ、____丿
\ \
ーーちょっと待て。
3/10
「キョウタロウ!」
「おおっ? なんだネリー?」
バタンと強くドアを開け、思い切り名前を叫ぶ。
いきなりのことに京太郎は面食らって後ずさる。
淡は何が何だかわからなそうだ。
「何してたの!」
「何って、マッサージ?」
「キョータローがマッサージ上手だって言うから証明させてた!」
「ほら、上手かったろ?」
「女の子には痛かったもん!」
「でもあんなに気持ちよさそうにしてたじゃん」
「もー、もっと優しくしてよ!」
「……」
二人のコントを見て空いた口が塞がらない。
「どしたの、ネリー」
「声、外に漏れてた」
「えっ?」
: : : : :/ : : : : : :| : : : :|.. : :. ゙、: . ゙、゙、. \
: : : : : |. : : : : :i |: : : :i:|. : : : ∧: :、.i. .i: : . ` 、
.: : : : : !: : : : : | |、: : :| | : : i | !: :|:| : |:、: : : : : : >
: : : : : :| : : |: i 「! ヽート!、: : リ !: |ハ: ト : | ̄ ̄
.: : :,..-、|: : :i: :|: !゙、 _、!二゙、-| イ: リ ! |ヽ:|
: : / へ.゙、 :丶ヾヽ<´{::::i` ヽ! 1!|:/| :!ノ゙、リ
: :ヽ \ : :!丶  ̄ Vイ:ハ |\:i
.: : 丶 \゙、 `> リ `
ヽ: : :`┬ 、 ヾ /
i: ;ィノ U ,....-ィ /
,,:‐レリ _  ̄ / 「ーーーー!」
゛=!_ \ `ー-、_ _/
::::::゛== 、 \ / ̄ヽ、
::::::::::::::::::::::゛===-、 >
∧ ト、\ヽ ヽ 〃⌒》
/ハ/ } |ヽ , -‐ ! l 《
ハ_」/ .| | /Vり l | __ o
ィチ∨_ ̄`| l ィ巧ミ< | | ⌒》 /
|ァ豸坏| ソ ' i::::::} 〉| ! ヽ。 /
l〈 {:::::::j レ' -‐'' リ 八 /
ト `  ̄ ' "" ノ ハゝニニ二!
ヽ "" ∧ ノ人\ヽ | 「ま?」←よくわかってない
.\\ゝ し' / } \\ <
\ \ ヽ ー- r i, -- / \ヽ! \ |
\ } }-、 r‐/ / \ ヽ!ヽ |
ヽ. ト j !` ̄ / / \ | }
「え、なになにどう言うこと?」
「淡、ちょっとそこで待ってなさい。
後でプリン買って来てやるから」
「はーい!」
ちょろい。
4/10
……
…
コタツでぬくぬくしている淡から離れ、もう一つの部屋に移動する。
京太郎は大汗をかいていて、ネリーは顔が赤い。
「……えーっと」
「多分、横の部屋とかにも漏れてたと思う」
「ま?」
「ま」
「……どうしよう」
「……知らないよ」
頭を抱える京太郎に呆れるネリー。
いつものことからして、他愛ない言い合いからマッサージをすることになったのだろうか。
それで熱が入ってしまって気合を入れていたら、こんなことになったと。
「ご、ご近所さんになんて思われるか!」
「今更だと思う」
女の子二人が京太郎の部屋に入り浸っているのは察しているだろう。
ゲームなりなんなりで騒いでいるのはよくあることだ。
「なんでマッサージをすることになったの?」
「いや、高校時代に娘に頼まれてマッサージしてたことがあって」
「ーーは? 娘?」
「……本人の名誉のために黙っておくけど、俺の子供じゃないからな」
「そ、そんなのわかるもん」
一瞬京太郎の子供かと思ったが、どう考えてもありえない。
赤くなった顔を隠すために帽子を深くかぶった。
「と、隣に人がいないかもしれないし、気にしなくていいんじゃない?」
「お隣さんは夜型らしくて、昼は寝てるんだよ……」
「そうなの?」
「右隣の人は初老の白髪のおじいちゃんで、左隣の人はウェーブがかかった黒髪の人。
どっちもスーツケース持って夜に出かけてるから、昼は寝てると思う」
「迷惑かけちゃったかもね」
「今度謝ろう」
「なんて言って謝るの?」
「げ、ゲームとかうるさくしてごめんなさいって」
「厳しいね」
「ですよね」
別に壁が薄いボロアパートではないので、そこまで漏れていないかもしれない。
しかし状況が状況なので混乱しているようだ。
5/10
その後、ネリーと京太郎が外に出てそれとなく隣の気配を確認して見た。
「いないね」
「いないな」
「良かったね」
, ⌒ ー  ̄ ̄ 、
/_,. - \
/´ / /⌒\ ヽ
, ´ , V :.
/ / / / / | V : V |
/-- ´' / / / l|{ | l| | | {
/ イ { ':|_,斗| | 、_l__/_ィ |l∧
/ ,: ∧ | {∧{ { 、 /}/}/ } /∧|
/ イ / {∧{ 、__,.V {∨ 、_,/ イ}' `
 ̄´ V∨乂l \ ムイ/ 「ホンット良かったよ」
从 ' 八/
-〈〈/\ v-っ イ》く__
/////∧\} > -- < |//}///> 、
/////////\} 「/〈////////\
/////////////|--、 r-|/ イ//////////\
//////////////∧、__「//////////////// \
{//{////////////〈 ∧ }///////////////////}
|//|/////////////V/\ //////////////////'//|
お隣さんにどう考えられるかを思うと、よっぽど心配だったのだろう。
深くため息を吐いて安堵しているのが見受けられた。
「ん、帰るか」
「そだね」
しかし、なぜかネリーに納得いかない思いが飛来する。
ーー今、お隣さんいないんだよね。
「ね、ねぇ、キョウタロウ」
「ん?」
「ネリーにもマッサージしてよ」
「は?」
「アワイにだけするのはズルい」
「ズルいって、お前なぁ」
京太郎からしてみれば今の今まで生きた心地がしなかったのだ。
別にネリーが悪いわけではなく、なんとなく躊躇してしまうのも仕方ない。
しかしネリーは納得いかない。
乙女心は複雑なのだ。
6/10
´ `丶、
/ \
/ / ヽ
/
/ / / / / / ′
_人_ / / / / / ∧ ″
. `Y / / , /| ⌒V / | │ | |
゚ / | _斗冬ヽ| / | |⌒ト | | |
. /∨ 《 rしい│ │ ノ / |
--------=彡 ¦| 八 ! 乂゚ン人 ,斗午冬,/|/
. ` ー─=/ |人 jハ|// \| rしい 》'′ / ゚
/ 人 \ 人 ' 乂゚ンア // ′
__ /,/ ̄ ̄ ̄ヽ 、 //_彡' / / 「いーじゃん。やってあげなよキョータロー」
-‐ / / }\ 一 / / / /
/ __r< ,′ } }>‐‐ッ‐ァ=≦-‐ァ / /
⌒ニ ._/ { ノ 丿 V∧ У /7イ /| │
: : : : :/ : : : : : :| : : : :|.. : :. ゙、: . ゙、゙、. \
: : : : : |. : : : : :i |: : : :i:|. : : : ∧: :、.i. .i: : . ` 、
.: : : : : !: : : : : | |、: : :| | : : i | !: :|:| : |:、: : : : : : >
: : : : : :| : : |: i 「! ヽート!、: : リ !: |ハ: ト : | ̄ ̄
.: : :,..-、|: : :i: :|: !゙、 _、!二゙、-| イ: リ ! |ヽ:|
: : / へ.゙、 :丶ヾヽ<´{::::i` ヽ! 1!|:/| :!ノ゙、リ
: :ヽ \ : :!丶  ̄ Vイ:ハ |\:i
.: : 丶 \゙、 `> リ `
ヽ: : :`┬ 、 ヾ /
i: ;ィノ U ,....-ィ /
,,:‐レリ _  ̄ / 「お前なぁ……」
゛=!_ \ `ー-、_ _/
::::::゛== 、 \ / ̄ヽ、
::::::::::::::::::::::゛===-、 >
誰のせいでこうなったと思っているのか。
言いたい気分だが、先ほどの淡の嬌声を思い出してしまうために言えない。
「はぁ、それじゃそこに横になって」
「うん」
「どこが凝ってるんだ?」
「か、肩」
「……」
「アワイくらいなくても麻雀打ってたら凝るし」
「じゃあ、肩やるぞ?」
「……」
なんの対抗心だろうか、京太郎には聞かない程度の優しさが残っていたようだ。
ちなみに淡はなんのことかわからずにクエスチョンマークを浮かべている。
「(こいつ、ホントちっさいな)」
「わー、キョータローがネリーに馬乗りになるとネリーが見えなくなっちゃうね」
「「変なこと言うな」」
淡は狙っているのかいないのか、二人を意識させるようなことを言う。
思わず声が重なってしまいネリーは恥ずかしくなるが、今は帽子を隠しているから顔を隠せない。
7/10
「んっ……」
「平気か?」
「ちょっと痛い」
「マジか。これでも相当力抜いてるんだけどなぁ」
「ほら、やっぱり女の子には痛いんだよっ」
「あ、アワイ、黙って」
「(´・ω・`)」
余裕がないのか、ネリーは呻きながら黙り込んでしまう。
京太郎の枕に顔を埋めているので表情も伺えない。
「んじゃ、これくらいでどうだっ」
「ふひゃっ」
「お、ここ弱いんだな」
「や、やめっ」
軽く押した程度だったが、どうやら力の加減が掴めたらしい。
「(し、獅子原のアレみたいな……)」
ピリピリと体を渦巻く感覚。
京太郎に触られたところがまるで静電気でも発生したように痺れる。
顔が熱くなる。
赤くなった顔を隠そうとして枕に顔を埋める。
「(こ、この匂いも……)」
しかしそこで気づく。
枕カバーの洗濯を小まめにする人は少ない。
もちろん、その枕には京太郎の匂いがついているわけでーー
「んー、そんなに凝ってるわけじゃなさそうだなー」
「ふひゃぁ……」
「ねーねー、楽しそうだから私もやりたい」
「楽しそうってお前な……」
「や、やめろっ、アワイ!」
懇願するが、もう遅い。
8/10
/ \
_人_ ' ` 、 \
Υ'/ / / ト、 丶
/ / / | | | Χ }
.′ il / | | \ | / `、 リ |
i | _|l__∧ト、八 | メ´ ニニ / } |
| | || `>x、\| 斗チ芋ミ、∨ ,′j
| |l l|斗示芋ミ、 ''h!::::::::} ,′ ,
|l 八 И'h!::::::} 乂___ノ / /
.八 ゝ /i/i/i i / / / / |
‘,\ ハ r ア /l/ / /:: | 「じゃあ私は足をやるねっ」
ト、 込、 _ノ // ,イ::: l|
|l l\ \> .,_ /∨ /l|: 八_
|ヽ. 八l_\ \-─=ー ァ--< / / 八 { \ `ヽ
| | ./ /´ ハ 〕 { 〉 ,′ / ` ヽ \∧
| |/─、_ / |∨ __ Ⅴ__=| / 〕\ \
| | Y´ \\.ノ (`ヽ \\) | ,′ \ 丶
ネリーの制止の声を聞かず、靴下を脱がす。
その時点でネリーの足が震えていることに気づくが、逆に淡の興味を引いたらしい。
「ネリー、足弱いの?」
「……ッ!」
「それっ」
「ふひゃぁぁぁぁ!」
京太郎に触られた時以上の悲鳴を漏らす。
くすぐったいのか、暴れようとするがすでに背中に京太郎が載っているために全く動かない。
ネリー自身が小柄なことも相待って京太郎と淡の二人に完全に取り押さえられてしまう。
「だ、だめっ、足はだめっ!」
「ねーねー、キョータロー、こんなこと言ってるよ?」
「うーん、聞こえませんなー」
「そーだねー。いやよいやよも好きのうちだよねー」
「!!?」
二人が悪戯っ子の心に目覚めたらしい。
もはや後ろを振り返ることすら叶わないネリーは何もできない。
麻薬のように魅力的な枕を必死に抱きしめる。
「お客さーん。ここですかー?」
「アワイー!」
「(後が怖いし、俺は真面目にやろう)」
「キョウタロウ、そこだめっ!」
「なぜに……」
一度くすぐられてしまえばどこを触られても反応してしまうわけで。
それから数分間、ネリーは京太郎と淡に弄ばれ続けることになる。
9/10
「ねぇねぇネリー、どんな気持ちどんな気持ち?」
「ゆ、許さない」
「なぁ、淡。そろそろやめとかないと後が怖いぞ」
「えー。もーちょっとー」
「きょ、キョウタロウ! 交代!」
「はいはい」
なぜか京太郎がネリーかな離れ、ネリーは淡のくすぐりから脱出する。
ぽかんと惚けている淡の肩を京太郎が掴んだ。
-‐==‐-
´ `
/ ヽ
/ , ! : | | i
. / |i , ‐‐i| .:ト、_|‐‐ | :i| |
l :/:|i | |/八 .:| | | :i| |
|/ :〔!| N ○ \| ○ |ノ ,リ
. 〔 八! l圦 ,, ' ,, l // |
N | . v ァ . ∨/ .:|
ヽ|:| l_≧=ァ≦ト /_,′ 八 「ーーーあわっ?」
ノ厂| l 〔, / / `丶、 `
/∧ i| | 「⌒ / / /∧
/ イ′ j ト、∧ / ′´ .イ
:' / | |\ハヒ/| |ニニ/ 〉 :
/ ノ〈 i i >ニ| | ´y' ! |
.' / 〉 / j / ノ<i| | 〔___! ト、〕
. 〔′| `ー‐' /// | | i| Υ─| | .′
「 ̄`ヽ-―‐---、__
{:.. ,..-f( ))-、  ̄}
广}___クーく.___{ ̄`ヽ ..:::/
/ ,..-‐r:r―┬r::r--、 }!V、_
/7'..:::i::|^!...:::i:| |:ヒjハi::ヽ|! ヾヽ
{ハ:::::::f':n:i、:::::{"{::n:ヾi:::.:|! }!'^゙
|丶弋ツ `゙ 弋;ツ}::::.|! }!
|:::|:i| " '_ " .!::::.{! o|!、
|、::|ハ:.,、 、ノ ,..ィ:ノ::リ;》=《i ゙、 「流れはこっちだよ」
/.:ヽハ!:r‐` T"´ !イ':":.:.:.:.:\i!
r:<>、.:.:.:.:.:.ト--、 ,..-/:.:.:,:イス) >_>、
ζ√ーァ\:.:.:.ヽ /:fィ_トrJ しイ.,>イ
∀ ! `Zf┬‐-≧ーイ:.:r'´ |_)i::}
/ .,.:彡ミy' /_,.-< ̄`ヽ::::.. !::、:::i!
<  ̄ ノ''" ...::::..... ::::::::. ,.ィ:::::i!:::|
,.へ / ........:::::::::::: ::::. ::: ,:<_,.ノ::::::|:i::|
`>'" ::::: :::..:/ \:::::|::i:|
∠.._________;:.-'"´ __,.イ:::::|::::i!
/ `ー┬‐;--------―irイヽ、|::::!:::i:|
/ 「 ̄ `ニY⌒r―''" ̄ ̄i .i! | i ヽ!::/::::|:|
/ L...イ:.:./i T|`iー―--┘ i|| {/::::::ハ!
ーー結局、お隣さんが帰ってくるまでくすぐられた。
10/10
……
…
・在りし日の清澄
_,. =-―‐-= 、
,. <: : : : : : : : : : : :`ヽ、
/: : : : : : : : : : : :ー- 、 : :、 \
/ィ´ / : : : : : : : : : : : : \ \: ヽ
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{f V{l: : : :,' ,_=ミ_ ,ィ7圭r`} l: :,!': : ! ,!
゙{ V!.: : :Kf'r伐ミ` ゞ=≠ リ:/j: : リ
`ー--' ゙',: : N゙ ゞ='-' , ////ィ'/: :.厶ィ スヽ
ヽ:.{ ト、/// (f´イ': : ;:' / \゙, 「ぱぱー! マッサージしてー!」
,rゝぃゝ、 ー~ー ' ィヽlェォ' / ゙;
_,. -―込_ノ~゙f' `≧,‐ - < /.,イ/i /リ ー- 、
, ';.ィ フ´ : :_:_:_;ノ {ー=ーt'`ー!:.f: :l、ヽ ム' 、! \
fi' f: :,r ´冫fハ、 弋 l. V、: :ゞヽ\ _ \ /
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/ `ー-ぅヽ辷三\. V/ニニフ_,ム'ノ /|_ ' /
弋  ̄`ヽ `ー-= 、{ `ー=にニシ´ ̄ / _,.-ェ彡三| _,ノ
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|:| : : : : :.:.|:イ |:::|l`ー-..、  ̄ ̄ / / : : : : : :.:|///// 私の方が凝りますからねー!」
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′: : : : : : : : : :|: : : : : : : / . ,ィ´ん):iト, |/ .斗=ミ|::| : :Ⅳ ∧:: : :::|
| : : : |i::∧: : : : :!: : : : :\{:| 〈 {h:::iノ } ん)ト |/!/ |: :∧ : : |
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. \八| |:: :::|: : : : : : : : :, .,.,.,. , 弋こソ {: : : ::|: : ノ }/
|: :\! : : : : : : : : :, ,.,., : : : : |/
|: : : : : : : : : : : : : :, u ゝ , } : : : |
|: : : : ::|i: : : : : : : : : イ : : :/
|人:: : :|i: :|: : :|:::|i: :}> イ: :|: : : 「保育園か何かですか?」
. \八/\人八/} ー┬‐ ≦: :人/|/
{^辷ー^ヽ/\/ヽア:/
. ,r‐=ニニ二二二\ 〈二ニニニニニニ┐ :/
. / -=ニニニニニニニ.\ ∧ニニニニニニニ.!∨ /
. / -=ニニニニニニ\ Y⌒Y⌒Y}ニニニニニニニj{. ∨
カン!
リハビリ。ただいま
新キャラはあと揺杏くらい
はじめちゃんは全話書き溜めてから投下予定
1/10
【ひたすら曇る揺杏ちゃん】-グラビティ次元アフター-
自分が可愛い系に入るとは思っていない。
高校の時から自分より可愛い女の子が周りにいたし、男に人気があるのはユキみたいなタイプだと思ってた。
実際にアイツは私より年下で、ユキにばかりデレデレしていた。
だからなんとなく『ああ、アイツの好きなタイプはユキみたいな子か』なんて思って、自覚した時には初恋が終わっていた。
でも、それだけで関わりがなくなるわけじゃない。
自分に言い訳をつけて、諦めるように言い聞かせているのに、アイツは私の視界に入ってくる。
暗い顔をしているのがバレてしまったのか、『大丈夫か?』なんて気遣われると嬉しくなる。
たったそれだけで一日中機嫌が良くなってしまう自分がチョロいと思う。
そして帰ってから現実に気づいて、また少し体調が悪くなる。
ここ最近はそれの繰り返しだった。
「おーい、揺杏?」
「……?
なんだよ」
「さっきからボーッとしてるからさ」
「うるさいな。
私にだってそんな時はあるんだよ」
ユキの付き添いで入った麻雀サークルで出会った『アイツ』
人当たりが良くて、みんなに好かれている卑怯な奴だ。
男女の関係なんて気にしないで人のプライベートスペースにズカズカと入り込んで来て居座ってくる。
私の方が先輩だって言うのにタメ口だ。……まぁ、敬語が気持ち悪いって言ったのは私だけど。
「でも、最近浮かない顔してたからさ」
「そりゃお互い様だろ、色男」
「色男ってお前……」
なんだよ、事実じゃないか。
隣に竜華先輩とクロを侍らかせて、最近は他にも女の子の影があるし。
私たちが牌のお姉さんに仕立て上げようとしてたユキだってコイツにお熱だ。
ハーレムって男の夢なんだろ?
羨ましいじゃないか、げっろ。
「いやまぁみんないい人たちだけど、女の子に囲まれてるとやっぱ居づらいよ」
「色男は言うことが違うね」
「うっせ、男の悩みなんだよ。
気を遣わなくていいし、揺杏といるのが一番落ち着く」
「こっちは先輩なんだけど」
そう、これだ。
コイツはこう言うところが卑怯なんだ。
2/10
初めて会った時だってそうだ。
私が裁縫が好きで、ユキにいろんな服を仕立ててあげている。
自分の体はまぁ貧相で、あまり可愛い服が似合うタイプじゃない。
だから代わりにユキに服を着せて楽しんでいたと言うのに、コイツはーー
『揺杏が着てもいいじゃん。
似合うと思うけど』
視線すら合わせずに言われた。
もしかしたらいつも通りの冗談で、からかわれたのかもしれない。
でも、ユキじゃなくて私のことを褒めてくれた人はこれが初めてだった。
自分ながらチョロいけれど、それからコイツのことを意識してしまったのは間違いない。
じゃあ私に女の魅力があるかどうか、自分で言うのもなんだけれども家事全般はかなり得意だ。
それなりに自信があるはずだったんだけれどもーー
____
,, :´ : : : : : `: ..
≦: : : : : : : : : : :\
. .ク:.:::.: : : : : : : : : : : :.ヽ
/::.::.::.:. : : : : /: : : : : |: : : : : : : : い
./. __.ヾ:. :.ィ: /!: : : : :.ハ : : : : :‘:,: ‘, ゚.
.,/..../::.!.―:{ |: i |: : : : : | ∨:.:|: : : |:.: : :|: ゚
′::::i::.. 从 :乂:.ヾ:::::ハ.i|≧ミ∧..`:|: : : :|: : ←家事完璧
|:: '::: i:. :..ノ灼茫 ヾ:i ^灼茫ミ...}::.:.|: : : :|: :.゚
|::|l:::::i:.:.:.圦 vツ vツノ |::...|: : : :|: : i
|::|l::::ハ.:.:.} 、、、 ′ 、、、 ,i::: : : : :|: : |
|::|l::/.::::..小. r― イ. : :.|: : : |: : |
|::|l:{.i:::::.: 込. ..ノ .イ. }: :..:.: :...|: : | 「京太郎くん、今日はゆっくりしてねー」
`O′:::.(:. ノ介ト __ <{从 /: :..|: : : |: : |
/::j |:::::_≧=ー : 〕 .....{ j:.:/: : :.イ: : :.l: : |
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.Ⅵ /::::ヾ/../ >..={_}=ー 〉...: : :/::/
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.八::::::::::Λf笊心、 イ笊心rァ |::ハ|:::::::::::::: |
. \{\:::. Vり V/タ j/ ヽ::::::::::::: | ←家事完璧
|:ハ , ,,. /:::::::::::::: |
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/ /::::/三三ニニ| /==ニ/:::::/三三/ |
. / /::::/三三ニニ| /ニ三/:::::/=三/ / |
私の自信を踏み潰すようなドラゴンが二体いる。
スタイル抜群で家事も得意で麻雀も強いなんて、神様は二物を与えるもんだなって。
家事とか裁縫とか、そう言うのなら負けないって言い切れるけど。
やっぱり、自信なくすんだよなぁ。
3/10
「ほら、色男じゃないか」
「そ、そうかなぁ」
なにやら困ったような顔をして遠くを見ている。
この男の敵で、女の敵め。
この二人に言い寄られて困る男なんているのか。
「そ、それより揺杏はどうする?
今日は打ってくのか?」
「あー、私は、そうだなぁ」
正直、私にとっての麻雀は手段でしかない。
もちろん嫌いなわけじゃないけれど、インターハイに出ていたような人たちに比べれば『普通に好き』と言ったレベルだ。
割と自由が利くこのサークルなら私の性に合っている。
「今日は見てるよ」
「そうか?」
「後ろから口出してやる」
「やめろって。マナー違反だろ」
私もそんなに上手くないけれど、コイツだってそんなに上手くない。
そんな情けない共通点を見出して少し機嫌が良くなる。
やっぱり同レベルでダラダラしているのが楽しいんだ。
. -──-.、
/ : : : : _r~-ゝ-、
.: : : : : : r' _ .-─┴‐-. _
/' //: : : :ノ /: : : : : : : : : : : `丶
l{ / : : : У: : : : : : : : 、 : : : : : : : :.
/ : : : /: : : : : : : : : j:.l `丶 : : : : : .
/: : : :/: : : : : : /: : :/ :| \ : : : : :.
.': l : :l{ : l: : : : :' : : / :' /⌒ヽ : : : :.
.': :.l: : i{ :|: : :_:|:_:_,' j/ ,ィ示く: : : l :.
{: : l: : i{ :|: :ハ| : {`ノ 尤j妁 |',: :l: :.
乂: : : :i{: :|: : |乂,ィ示ァ 乂ソ |}: |', :.
丶: : ヽ|: : lト、 Vzソ 、 ぃぃ }´l:.| ',:.l
ヽ : : |: /:|i、_, ぃぃ , ' l:.| ',| 「そ、そういやさ。
: : |/: li : l ゝ _ ` ´ ィ .:,'
', : : : }\| ,アl ー ´ {^ゝ _/ お前、誰と付き合ってるんだ?」
} : : ノ ヽ、 7 丿 / Y *、 _
ノ:/、ヽ* ,' ヽ / l * ハ
ー‐''7 * i| ,イi、\/}.,i\ | * ′
ハ * i|' マL⌒l´ ,ilア `| * ',
, l * { マL l ,ilア | o* ',
.′ * ; `Y^Y | * l
,* | ヒlリ .| * }
なるべく、平常心を保って聞けただろうか。
今まで曖昧にしていたことだけれど、聞かずにはいられなかった。
4/10
,. ⌒ヽ、/⌒ 、-- 、
/_,..- ヽ ` 、
/ /´ / ∨ \
, ´ / ,' : 、 ヽ
/ , , / /| | :. | | | ∨
_/ / / |_|__'_| | _}_|_|_| | | :
 ̄ ̄´/ イ ' { ´| |/__{ |: , ´/}/_}∧ | | |
/ / , rⅥィ笊 从 {∨ /ィ笊_ヽ}/、 | |
/ イ ∧{ 从 Vり \∨' Vり /' / ∧{
´/イ }从lム ; \ ,ノ / \
| ∧ U ∧,イ 「うっせ。誰とも付き合ってねーよ」
Ⅵム - - イ //
_ヽl\ //イ__
|////} ` ー ´「////|
|////| :. / |/[__}/|
,...<////∧ , |/////> 、
, <///////////\ ///////////> 、
, </////////////////}____{/////////////////> 、
//////////////////////| |////////////////////∧
{/////////////////////∧ ,'//////////////////////}
|//////////////////////∧ ////////////////////////|
てっきりあの中の誰かと付き合っているのかと思った。
それほど彼の周りにいる女の子は魅力的だ。
「……不能?」
「違うっての!
俺もなんでこうなったのやら、あっちもその気がないし」
「そ、そうなのか?」
「ああ、そんな関係じゃないよ……」
「そっかぁ。
てっきり一人や二人や三人、手篭めにしてるのかと思ったよ」
「するかよ!?
いや、そう思われても仕方ないかもしれないけどさぁ」
大きなため息を吐いている。
どうやら嘘ではないらしい。この男は嘘を付くのが苦手だ。
最も、仮に得意だったとしても見分ける自信はあった。それほど、ずっと見ているのだから。
「そっかぁ」
「なんだよ」
「別にぃ」
私にもチャンスがあるのかな、なんて考える。
いや、付き合ってないだけで誰かに想いを寄せていてもおかしくない。
期待をすれば裏切られるだけだ。自分の器は自分がよくわかっている。
5/10
……
…
, ' / / \ \ ヽ
/ / , ' / \ ヽ ゙.
// .' / / ./! ヽ ゙、 l
// ,.' ,イ / i |、 l 丶 | !
,'/l| . l! __L!l._ ! |_L.L._ l l |
li! |! ||、´ ,' {.| -| l、 l|l-ヽ|、 ` .| | l
|| i!.|Yヽ|_,,,L_ lハ. |l!=込_\ ! || | l
. i! | | | /イ示ヾ \ {イ示ヾミ | .!| |. !
. } | l!ヽ辷ソ `ヽ辷ソ" .! ll| !. l
. | /| |l ,, ,, , ,, ,, ,! |i| ! |
fj. ! l.! ノ| l | | l! 「揺杏ちゃんは京太郎くんのことが好きなの?」
/ !. | | ヽ っ ..ィヽ! l ! !、. ゙、
,.'/{ | _! l'´| >、.. _ .. ィク ,' / トl. |. \\
!'/,l l'. ..ト ハ..l ヽ、 ,< / /!ノ/ .lヽ、ヽ \
, 'K. ヽ!. . ヽ\ヽ! , ヘ ゝl λ ,'ノ. . / |. . . `>、. \
. / /. ヽ. . . . . . .  ̄! /\ヽ '// \ /. . .,'/ |. . ,.'. . .ヽ ヽ
/ l. . . ヽ. . . . . ┌┴┴─┼|┴─┴-、,'/ .!. /. . . . .l ヽ
/: : : /: : :ヾ:./: : :/: : : -<: : : : : : : : :}: : :
: : : /: l{ : : : /: /:/ : : /: : : \: : : ///: : : :.
: : / {: : ヾγ/: /':,: : :/垰ァミ-─'^ /:/| : : : :.
: : :、.{: : : / 7: /: :': :/ 'んぅ_r心ー /:/ .|: : : : :.l
: : : :\:.人/:./: : |:/ 乂zシ '’ / '⌒|: : : :}l:.{
: : : : : :ヽ:/:./从:ハ{ /:./:./ _/,ィfア丐|: : : ハ:.}
ヽ: : : ): :}l: ':.{ゝ:{ 丶 〉‐' ,イi:i|: : / }:}
}:./: :ノ|:.l八 |:ト r 、 /i:i:i:i:': :/ ノノ
/.: : :/r|:.| |:| ー ノi:i/i:/: /=‐'
,/ : : /_八:| ヾ、 >、 < ノノ|i/: /‐-、__
: : : /ノ ト、 {  ̄ ',``フ/ 7: / l´ __ ヽ
: : :.i{{ ', ', ``ニ、 マ 、 ', ̄ // (_⌒` }ヽ 「え”っ、あ”っ……その……」
`丶\ ', ハ‘, ‘, 、 ', /'| _(,.-、`` } }
||| `ヽ.', ∧ \, } }、 |ー'´', } 〔_,..--.、 / }\
||| ノ ', ∧∧ ,| } ト| ', | ./ ./、ュ¨ _}ュ
||| V V∧ \ } } ヾ{ {{人 / } ``ーゝ
||| ', VL // ヽl l ノ>' .,' `}
||| ╋ ', ヽヽ // \ { \__ノ ′ ,′
偶然講義が同じになったクロにブッ込まれた。
クロはまるで今日の天気でも聞くような気軽さで聞いてくる。
フツーは修羅場になるんじゃないか、コレ。
「……べ、別に」
「隠すことじゃないよっ!
京太郎くんは格好いいもんね」
「そ、そーいうクロはどうなんだよ」
「大好きだよ」
ビックリするくらい速攻で帰ってきた。
クロのこういうところが羨ましい。
自分に素直になれるなら、もうちょっと関係を進ませることも出来たのだろうか。
「じゃ、じゃあ付き合うとか?」
「ううん。そのつもりはないよ?
京太郎くんの彼女さんは探してるけどねっ」
あ、ああ。友達として好きってことか?
なんでだろう。少し安心した。
6/10
「アイツに誰か紹介してくれって頼まれたのか?
全くクロはお人好しなんだから、そんなの無理に付き合わなくていいんだよ」
「ううん、私が好きでやってることだから」
クロのこんなところを見ていて不安になる。
変な男に騙されやしないだろうか。
まるで一時期のユキみたいだ。
「それで、揺杏ちゃんはどうなのかなって」
「私はまぁ、アイツの好みじゃないだろうし」
そこまで言って、自分で暗くなる。
なんでこう、自分に自信がないんだろうか。
「そうかな、揺杏ちゃんは可愛いと思うよ」
「そりゃクロみたいな感じだったら私だって自信持てただろうけどさ」
「ほえ?」
「はぁ……」
自覚なし、と。
普通の女子グループにそんな態度とったらハブられるぞ?
でも、それがクロの良いところだってわかっているから嫌いになれない。
「まぁ、悪い奴じゃないと思うよ。うん」
「……」ジー
「話していて楽しいし、意外と気遣いできるし」
「……」ジー
「人のコンプレックスにヅカヅカと入り込んできて、居座ってくるし」
「……」ジー
「嬉しかった、し……」
「そうだよね。良いところばっかりだもんね」
「はぁ……」
そんな目で見られたら嘘をつけないじゃないか。
どんどん心情を吐露してしまう。
クロは卑怯だな。
「私は、揺杏ちゃんなら大丈夫だと思う」
「えっ?」
「揺杏ちゃんは家事が得意で、いつもお弁当は美味しそう。
ユキちゃんから聞いたよ。
気遣いができて、お裁縫が得意なんだよね?」
「ユキのやつ……」
別に女子ならそれくらい出来るだろう。それでも褒められると恥ずかしくなる。
7/10
-―……―-
...:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. ヽ
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|::|l:::::i:::::::::ト::{ ` \. ヾ ヾ|::::::::l::|::::::::|:.:.|
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`O′ |::::::l从 j:::::::〃:::::::ィ::.:.:.l
/::j |::::::|::i::> ` ′ . ィ:::::::/i::::::::::|::.:.:.:l
{:::/ |::::::|::|:::::::::|> < {::::|:::::/:/::::::::::|:.:.:.:.:l 「あとはおもちを大きくしたら京太郎くんの好みど真ん中だよっ!」
|::{ .从:::Ⅵ:::::::|l:::: r‐}`´ __ ノ }/:::/:/:::::::/:::|:.:.:.:.:.l
Ⅵ /::::ヾ::::{:::::::|l::ノ ∧__∧ ∠::::/_'::::::::/:::::|:.:.:.:.:.:l
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/:ィ:::::::::/ く __ ノ 辷=- _〉/::::::::/ / V:.:.:.l
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|::::::::::::::::::::::::::| }:::::::|:::::::::.l { ヽ /:::/: : . ___
.:::::::::::::::::::::::::| 从::::|/|:::::| 、 ` /:::/: : : : : : . ア∠、
∨:::::::::::/|:::::l ノ、 |:::| .|:::::|/ >。 /::/|::/ : : : : : : : : : 、 └'己」 .
∨:::::/ |:::// >。. |:::/) ∨::// .|/: : : : : : : : : : : : : 、
|::::/.ィ: : : : |∨ /、/^ヽ ∨: : : : : : ヽ: : : : : : : : : : : : :,
./://: : : : : :| .∨ /ム |:l\マヽ: : : ; : : ゝ: : : : : : : : : : : : ,
ノ://: : : : : : :| ∨ ヽム . |:l ∨ ム: : i: : : : :∨: : : : : : : : : : :,
./: : : : : :i: :| i >≦≧ ∨ ム:i!: : : : : : ≧i : : : : : : : : ,
/: : : : : : |: :| , ゞ: : ノ ∨ l}|: : : : : : : : : ` : : : : : : :}
,: : : : : : : : 、: :. l '; : ム ∨ |:}----: : : : : : : : : : : : ノ
/: : : : : : : : : :i、::::- , !: : ム ∨ .i: |  ̄ ̄ ̄
/: : : : : : : : : : :|∧::::.. l i: : :ム v.i}: |
,: : : : : : : : : : /: : ∧:::.. .| .l: : : ム l .;: :|
,: : : : : : : : : :/: : : : : : : 、:::. | .|: : : : :. l |: |
「クロ……」
「どうしたの?」
うん。悪気がないのはわかってる。
きっとクロなりに私を励ましてくれているのもわかってる。
でも、それがコンプレックスなんだよなぁ……。
「このっ、じゃあクロの胸を寄越せよっ」
「わーっ!?
わ、私にあげられるほどおもちはないよ!?」
「持たざる者からしたら十分なんだよ!」
仕返しに思いっきり胸を揉んでやる。
これで許してあげられる程度には、仲がいいつもりだ。
8/10
……
…
翌日。ちょっと背伸びをしてみた。
別に本人と約束したわけじゃない。
ほんのちょっとだけオシャレな服を着て、アイツの弁当を作って来た。
アイツが自分の弁当を持って来ていたら交換すればいい。
アイツが私のファッションを褒めてくれたら、もうちょっとだけ自分に素直になろう。
「ファッションセンスは結構自信あるんだよ」
ユキみたいなタイプじゃないけれど、自分に似合う服だって持ってる。
それに、京太郎に似合うだろう服だって色々と考えてある。
「アイツはいつも似たような服ばっかり着てるから、なんか選んでやりたいし」
さすがに服をプレゼントしたら重いと引かれるだろう。
だから今日は弁当を渡して、いつも通り昼食を食べて。
その時に少し話してみよう。
例えば、休日に繁華街に出てみよう、とか。
服を選んでやるから着いてこい、とか。
ユキに似合う服を決めたいから男の視点が欲しい、とか。
「わ、私の服を選んでもらうのもアリかなーなんて……」
色々と妄想が浮かんでしまう。
アイツは私にどんな服を選んでくれるだろう。
. ―― ..
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/ .:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:}::.:}:.. :/ } ハ
/::.:′. .: }::斗/L/!::.:.:. /::、i:.:.:.}......:.  ̄
/::. |:...:.:/|::.:/ j/ |::.:.:/}:/リ|\|::.:.}.‘ ―
{: /.! :|.:.:..::|:/ -- _}:/ノ' /十/,「:..ハ:.i
rぅ' ,|::.|::.:.|:;{z≦三 三ミメ.|:/|:.ト{ \
/:{ V:|::.|::.:.|´i `|:: |:.|
|:.|/::.:,::.:.::. l :|/// 、__ /// |::.i!:.! 「あっ、京太郎くんだ」
{i:{:: :ハ::.: 込{. __ (__ ノ .ィ}:リ|:
乂:/:.:∧::.:.V/⌒ヽ.--r >ォ抓/:./ |′
/:/.:.:.:.:/\:ハ´  ̄`V ´  ̄`∨:/| ( )
イ.:/::.:.:.:. / /\ { {:小{ (⌒ ⌒)
://::.:.:.:.:.:.:{ fノ |! 人.}:.{ て人_)
./::.:.:.:.:.:. 人 ,八 ノト{
'::.:.:.:.:./:.:.:.:ト、 / 乂 /:.:|
横にいたクロの一言で身を固くする。
と、とにかく誘うことから始めないと、本当に妄想で終わってしまう。
いつもと変わらなくていい。いつものように、何気なくーー
9/10
-――-
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j{ \_j-< 〉 ' ∨
/ / l__ノイ 〉 / | ‘,
. / | /::::/∨____/__/_| /,
/ |l/:::::::/|ニニニニニニニ| / |
/ / / / { } \ ヽ V V
_ ,.斗 // / ./! / ! :} } ' ヽ V', , ,
 ̄ ̄ / / / //_j_ ,' | |、 :} ' :| ,V斗=ミ{ , ,
/ / ' ,' ィ^~v{≧x、,ヽ,' /、ィ'"_j/ } /「 j |
/' / !/| /{ 斗-ミヽ ∨ / }/ア乏メヽレ } }レ
, | :| ハノ∥んr'j V / V' Vrソ 》 :} 八-、 '
/ >'/ ハ { :, ` ー≦' /' ヽ  ̄ /イ{/ヘ Yハ{
/ '" ∥ / ',从_}: 〈| } ! ∥ ヽ
7/ ヽ ' し /’
/’ ` _、 _ {ーイ/
、 f-――'ヽ 人レ'^
\ L∠二二ソ /|/
レ}h。 /r rー==ミ、
r「\__'}个 --- < | |ニニニヾ
|:| } | |ニ{1-B}ニ! __
|:| } / L!ニニニニ{ _,. 斗r≦ニニ=-ヽ
人:.、___」 ___/__/ニニニニニ7 ∥ニ/ニニニ=-,
, ‐ --、斗r≦ニ斗r'ニ7 ノ、 |ニニニニニニニニ/ .∥ニ'ニニニニ=-,
/ニニニニニニくニニニ/\ __ ,!ニニニニニニニニ, ∥/ニニニニニニ=-,
,-=ニニ/ニニニニニニニ\ニム jニニニニニニニニ, ∥'ニニニニニニ=-
/ニニニ{ニニニニニニニ∧ニム /ニニニニニニニニ, ∥ニニニニニニニ!
その時、京太郎が他の女性と一緒にいることに気づいてしまう。
彼女の後ろ姿だけでも美しさが伝わってくるようだ。
よほどの美人なのか、京太郎もタジタジだ。
なんでこう、アイツはこんなにモテるんだろうか。
: : :∥: l: : : : : : : / : : : /: ─-く/: : : : : :/:ハ: : : :.
: : ;'{: : l: : : : : /: : :/:/-‐'三/: \: ;>''´ //三',: : : l | ┼``
: : | l : : : : :_, ': : :/: :/‐冬ミ/: : ,イ^ 三/'´三三 : : | l 丿
: : | ', : : /ア : /: : :/' ん//:圷ミ _、‐''゛ 三 ─-ミ}.: :.|
: :/ V/:., ' .,': : :./ ,乂zシ 三三三ーァ示三: }: : :′
:/ /:.人`l : : ,' / 三三 んr7マア: }: : , フ
./:/^', : |: : ,' u {zシ / : : } : ′ ⌒)
// ゞ| : ′ マ 、 ` /: : : :}: ′ `¨
./'' |: :l \ \ 、 /: : : : ': '
/ ,|: :{ \  ̄ ィ: l: : : // 「……また今度にしよう」
とりあえず今日は弁当だけ渡して、デートに誘うのはまた今度かなぁ。
10/10
……
…
・正面から見た図
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|:::::::: l :::::::::::|l::::::::::::|\从::l __}八{:::::::::::::l:ノ 从::::リ:::::::: 八 j
|:::::::: l ::::::::::八::::::::::| ,,xぅ斧笄ミ\::::::::|斗ぅ斧x )/:::::/:/ ノ
|:::::::: l ::::::::::::::::\::::| 《 h __j刈 `ー┘ h__j_| 》厶イ イ
|:::::::: | ::::::::::::::::::::个゙ 乂廴ソ 乂_ソ ,′:::::::|
|:::::::: | ::::::::::::::::::::::| , ,′:::::::::|
|::::::::┃ : :::::::::::::::::| `` `` ,′:::::::::::|
|:::::::::‘:::::::::::::::::::::::|\ r‐ ┐ 人::::::::::::: | 「旦那様の頭痛を取り除いておきましたっ!」ダバー
|:::::::::::‘:::::::::::::::::::::|::| ` ┃ イ:::_:_:__::::::::八
|:::::::::::::‘:::::::::::::::::::「:| ` ┃ ....::|:::::l:/ / /^Yヽ
|:::::::::::::::‘:::::::::::::::::|八 T7^\:::::|::: / / / /Y^,
|:::::::::::::::::‘:::::::::::::::|\\ // `丶/ / / / | !
|:::::: -‐ ‘:::::::::::: | \\ .//. / / / / .八 |
-‐'^´ ‘:::::::::: | \\ // / / / / / ト、
/ ' | ', :}∧∨',ヽ, / V | | ' /: : :ヾv v
' :| ', , } ! V / :| V | |{ ,: : / } ヽ v
' / ! :{ハ ハ ∧ } V| /{ V |_, v! | } ヽ
' :, ' , ' ∨∧ ' ,}イ' _j{≫!7:f心刈 V / {l 、|斗 ―――
/ ,∧ ∧ー=ミ{__ ヽ ', j{⌒'| 7/j' j'うゝ:ア | ' ' ' :{l ヽ! `ヽ
,' / ∧ ∧:、 {`~^ ー-- /: : j ^ ≫'’ V' _ノ {l | V
/ ,' / j{∧ ∧ヽ{ ,ィァ=v云| ': : : i| ~´ ' 「:\ } {l ,ヽ
,' ./:| / v∧ {ヾ八{ ヽぅ! /: : : U し :!: : : V:V , \
! ./ | / ヾ∧ ,、\: `: : : :|/: : : :、 }: : : : : ' ,
|/ :| ' )ヽ , \ヽ: : : :': : : : ノ! 八: : : :' ,
' } / / ヽ 丶: :.} !: : : `: .、 _ ': : : : : ' ,
j/ , \し: : : : : : :. _,. '" /: : : : : ' , 「勝手に肩代わりしちゃダメだってば!」
, ヽ.,: : : : : :冖、 _ ,イ{: : : : :/ !
、 > .,: : : : : : ( /: U : : :./ |
| ヽ / :≧s。.,:ヽ _ ./\: : : : {「 \ |
カン!
揺杏ちゃんとくっついても全員ついてくるから曇ります
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前スレ457
【あわあわvsアラフォー】-京淡次元(社会人編)-
大星淡は期待の新星だ。
かつて戦った多くのライバルは先にプロになっている。
インカレとプロではレベルの差が激しい。
先にプロになっている者たちには一歩劣るところがあっても、淡は決して折れなかった。
「(キョータローの分も私が頑張るんだ!)」
自分を支えるためにハンドボールのプロを諦めて普通の就職をしてくれた恋人。
今は自分の仕事を抱えながらも淡を支えてくれている。
まるで大学生の時とは逆の立場だが、淡はとても嬉しかった。
負けても負けても立ち直り、最近はそれなりの成果が出るようになってきた。
「よしっ」
控え室で気合を入れ直す。
今日の仕事はもう終わり、後は帰るだけだ。
明日は大一番が待っている。
-‐===‐-ミ
. ´..:::::::::::::::::::::::::::..` .
. . ' .::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::. ヽ
′.::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.ヽ::::::: :.
i:::::::::从ト、从ト、从ト、从ト、从! :::::::::i
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|:::|:: | ___,ノ `ー--- 、 ! ::::::: |
|:::|:: | 二 二 | :::::::::|
|:::| ∧'乍)丁 '乍)丁 | lY :::|
|:::|人} ゚ー' ゚ー' | |ノ:::::|
|::::: 从 "" "" 从 ::::::| 「どこかにいい旦那さん落ちてないかな……」
|:i::::::::::ゝ、 r‐┐ u. イ:::::|:::::::|
|ハ{::::|::!|:::::`≧r--=≦´:::::|:::: |:::::::|
{ 乂{从_ :::>′ └< j:::ノj:从j
∠| ̄ト、 ー 、 一 }| ̄|`ァ--、
. ///| |/`刀フフ7フフ刀´ | |////ハ
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´ `
/ ヽ
/ , ! : | | i
. / |i , ‐‐i| .:ト、_|‐‐ | :i| |
l :/:|i | |/八 .:| | | :i| |
|/ :〔!| N ○ \| ○ |ノ ,リ
. 〔 八! l圦 ,, ' ,, l // |
N | . v ァ . ∨/ .:|
ヽ|:| l_≧=ァ≦ト /_,′ 八 「(なんかいるっ!)」
ノ厂| l 〔, / / `丶、 `
/∧ i| | 「⌒ / / /∧
/ イ′ j ト、∧ / ′´ .イ
:' / | |\ハヒ/| |ニニ/ 〉 :
/ ノ〈 i i >ニ| | ´y' ! |
.' / 〉 / j / ノ<i| | 〔___! ト、〕
. 〔′| `ー‐' /// | | i| Υ─| | .′
そう、目の前にいる元・世界二位。
小鍛治健夜との一戦を明日に備えているのだ。
2/10
「あれ、貴女は……」
「は、はじめましてっ。
『The Big Star』 大星淡です!」
「あ、こちらこそ……」
社会人になって三年。
淡も目上の人に対しての礼儀は気をつけるようになっているのだ。
「明日の対戦相手だよね」
「はいっ」
「今年で何歳?」
「えっと、25歳です」
「そっかぁ。若いねぇ。
でもね、知ってる?」
「あわっ?」
_____
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|::::::::::::ハ人::| ノノ ヽ::::::::|
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|:::|:::| ___ノ `ヽ ___ l|::::::::|
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|:::|:::| l__」 l__」 l|_〉::;:!
|:::|:::l " " |::::/ !
|:::l:圦 ___ ノ|::::::::| 「女性の価値って、クリスマスケーキと同じらしいから」
|:::|::::::|::::::::::::__〕___〔__:::::!::::|:::::::リ
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乂::ノ//////////`ヽ/
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∧ ト、\ヽ ヽ 〃⌒》
/ハ/ } |ヽ , -‐ ! l 《
ハ_」/ .| | /Vり l | __ o
ィチ∨_ ̄`| l ィ巧ミ< | | ⌒》 /
|ァ豸坏| ソ ' i::::::} 〉| ! ヽ。 /
l〈 {:::::::j レ' -‐'' リ 八 /
ト `  ̄ ' "" ノ ハゝニニ二!
ヽ "" ∧ ノ人\ヽ |
.\\ゝ し' / } \\ <
\ \ ヽ ー- r i, -- / \ヽ! \ | 「」
\ } }-、 r‐/ / \ ヽ!ヽ |
ヽ. ト j !` ̄ / / \ | }
何言ってんだコイツ。
そう叫び出さなかったのが大星淡の成長の証だった。
3/10
「こーこちゃんが言ってたんだけどね」
「(……誰?)」
「あっ、知らないか。旧姓、福与恒子って言って私の元相方のアナウンサーなんだけど」
「は、はい」
「24歳、つまり12月24日までは予約殺到で入れ食いなんだって」
「ふむふむ」
「でも25歳、12月25日になると安売りが始まるんだ」
「う、うん」
「28日辺りになると半額以下で投げ売りされるよね。
30日になるとオマケ扱いでタダで持って帰らせる場所もあるらしいよ。
そして、新年が開けると廃棄になるんだ」
「……?」
/:.:.:.:.:./:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:ハ:.:.iヽ.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:',
.:.:.:.:.:.:.:|:.:.:.:./l:.:.レ'|:.:./ }:.:| V:.:∧:.:|.:.:.:.:.:.:.:',
′:.:.:.:|八: :/ V ヽ{ レ' V }/ヽ: :.:.:.:.:.:.
i:.:.:.:.:.:.| V i:.:.:.:.:.:.i
|:.:.:.:.:.:.|/ ̄ ̄ ̄` ´ ̄ ̄ ̄`ヽ|:.:.:.:.:.:.|
|:.:.:.:.:.:.| __ __ |:.:.:.:.:.:.|
|:.:.:.:.:.:.| 斗ぅ芋ミ 抖ぅ芋ミ. |:.:.:.:.:.:.|
|:.:.:.:.:.:.l. {{ rJ●::ハ rJ●:::ハ }}.|:.:.:.:.:.:.|
|:.:.:.:.:.小 V::::::ソ V:::::::ソ ′:.:.:.:.:|
|:.:.:.:.:.:.| ', /.i:.:.:.:.:.:.| 「あれ、面白くなかった?」
|:.:.:.:.:.:.ト、} ::::::::::::: ' :::::::::::: 厶:|:.:.:.:.:.:.|
|:.:.:.:.:.:.|:八 /:.:.:|:.:.:.:.:.:.|
|:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:\ r‐、 イ:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:.|
|:.:.:.:.:.:.|:.:.:i:.:.:.:.ゝ、 ィ:.:.:.:.:|:.:.:.:.:|:.:.:.:.:.:.|
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|八:.:.:八: l:.:|:.:|:.:.:l |/|:.:l:.:/:. |:.:.:.:.:./
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,. -‐ァ{ `¨''┬<_
rく´ / / \ /ヽ ヽ¨ヽ、
/ ヽ \
/ ./ :.
/ ′ /| :∧ ::.
. / 7 | ./ ! | ∨ | |
′ ! | / ̄`∨ |´ ̄Ⅵ | |
| | r≠ミ、∨ | r≠ミx | |
| | 从 r':::::}!八 〃r'::::::}!》 | |
| | ハ弋)ソ \{ 弋)ソ | | |
{ | :i ,,, , ,,,, / 八 ! 「!?」
. | :} /7 / |
八 人 v フ / /} 八
\{\( >... 仏イ/ /: \
. / ≧ー < |/ /: \
/ 厂 ̄ | / /:. \
// / /| / ∧::.. ::.
. //' / ∧ // / \::. |
. // / / /\ / / / \::. |
l( / / / / / / \:.. |
「ご、ごめんね?
若い子とどう話したらいいかわからなくて」
淡は全身を引き裂かれた痛みを覚えた。
小鍛治健夜と対局した者のうち、一人の証言がある。
4/10
……
…
・インタビュー
--……--
r―‐⌒ヾ : : : : : : : : : : : : : : : \
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//: :/ : : \:.:.:.:.:.:.:.:.:.:`:.o。:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. :i: ゚
. /イ /: :.:.:.イ:.:. ー┬---:.:.:.:__:.`:.:.o。:.:.:.:.:.|.:..。
i{ | ′:.:.'{_|_:.:.:.:| リV:.:.:.:.:.:.:}:.>匕、: :\j--i ※プライバシー保護のためのモザイクです
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|:.:.:.:.小 , , ' , , : /:.:.:.∧:.} リ
l.:.:.:.:.:| }ゝ-! jハ:.:.:.:j/}:.|
:。.:.:.:{ {:j:八 -==ァ イ }/ j:ノ 「数年間、五感がなかったんだ」
゚:。.リ \{≧ュ。. ィ:jソ ″ /
ゞ イニ} ` ´ {ニヽ
┬==≦ニ/ニ7____ __,.|ニニムニニニニニlヽ
/ニ|ニニニ/ニニニ|`-―――‐一´|ニニニムニニニニ|ニム
. /ニニ:|ニ7ニニニニニ| |ニニニニ}ニニニ=|ニム
……
誤解を招かないように言っておこう。
健夜に悪気はないのだ。
若い子になるべく緊張を解してほしいから自虐トークに走ったのだ。
結果は見ての通りである。親しくもない相手に自虐トークで話しかけてはいけない。
「あ、あわわわわ」
「(またやっちゃった!?
ううっ、やっぱり若い子とどう話したらいいかわからないよ。
この子ギャルっぽいしナウでヤングにバカウケの地震があったのに!)」
「ぐぬぬぬぬ……」
「?」
. , ´ ` 、
/ \
//: ..:: ....:.:ヽ
//:.:.:.:/.:. ..:.:.:.:.:.∧
// :.:.:´:.:.:.:.:....:.:.: ... .......:.:.:.:.:.:.:.:、: ',
.1} } .:./ .: ::::/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ト;.:.:.:.:',:.:.:.:.:.:. ', .',
. 7ミニ彡 .:/:.:.:// / ://}.:.:/ ,' .ヽ:.:. .',.:. 、.:.: |..:.∧
__ { ,'.| /}/:.:.://:/:.:.:.:.:..´/. ./ ./ / V...ノ:.:.:.',.:.:|.:.:|:∧
. /7} ヽ{| ./.ノ.:.:.:./:/.:.:.:.:.:./ メ;..':.:/. .V.;.:.:.:.:.}:::|.:.:|:.トヘ
. {人_ .ヽ_ミx´,:.:.:./:/:.:.:.:ーx_ //ァ/ ./イ:.:.:.:.:.|.:.|.:.:|:.:ヽ.ヽ
. ゝ  ̄...:.:.:., |:.:./:.:':.:.:./ _≧≦_.´ ._x≠キ":.:.:.|.:.|.:.:|:.:.:.:》 〉
__`''ーt―r ' ./.:.,:.{:.l.:.:イ ',.〈丁≧ァ` k´r‐=≠、.:.:.:.!.:.:.:.:!;/,_'_
r''´,-=、::`''ー==≧:.:.:.{{::';|:/ ゝ_, r';_; }. ./ 5、_/;}lノ:.:.:.|.:.:.:.:|.// ,Xァ 「私はカレシに予約済みだもん!」
.` .≧=-`''-、_.:.:.:.:.:.:.:r<ヘ:.|. ヘ ``'''. ヾソ-'./.:.:./|.:.:.:.:|/ / `、
 ̄´ /´.ヘ V :ヘ , /:.:.:/:/:.:ノノ /::: .∧
ト ./ ヘ ,ヘ ::::> _ __ __ ,/イノ::::レ'/ /:::l::: ∧
|:`,' :ヘ ヘ ::::::::::::>.、 _, =r<:.,'.:.:.:.://// :/::: ` ー、
八_} .:::.ヘ ヘ ::::::::∧‐- ./:/.:.:.:.:/::.//イ .l.::: .::::::::::: }
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対する小鍛治健夜の反応といえばもちろんーー
5/10
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i:.:.:|:.:.:.:|/ , |:.:.:.:.:.:.:',
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|:.:.:|:.:.:.:| x==ミ 斗==ミ. |:.:.:.:.:.:.:.|
|:.:.:|:.:.:i:| 《 r'::::::ハ r'::::::ハ 》 | i:.:.:.:.:.:|
|:.:.:|:.:.:lヽ 弋辷ソ 弋辷:ソ /^|:.:.:.::.:.|
|:.:.:|:.:.:|` } {.´ |:.:.:.:.| |
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_,. -┬<⌒j >< |⌒>┬- 、
/ | | /| |ヘ. | | ヽ
/ ヽ | l ./ :| | ヽ | | / }
意外っ! 健夜側が懐いた!
実は健夜、ここ最近は麻雀のレベル差と喪女の極まりっぷりのせいで人と話すことがなかったのである。
彼女の喪女フィルターを通すと、『自分の滑った話に何とか合わせてくれる若い子』となる。
「へ、へぇー、そうなんだ」
「そうなんですっ」
「ん……?
そういえば、いつぞや『須賀淡』とか言ってたもんね。
婚約してるのかな?」
「まだだけど、いつかしたいなって思ってます!」
「(ま、眩しいっ!)」
女性として普通に男子と付き合ったことはない健夜にとっては恋人関係など想像でしかない。
それも彼氏の話をしている淡は女の子としてとても幸せそうだ。
「(いいなぁ……)」
羨ましくないかと言えばとても羨ましい。
散々自分のことを弄り倒した恒子が先に寿退職した時には殺意が溢れた。
その余波で赤土晴絵が廃人になったりしたのだがーーそれはそれとして。
さらに一回り年齢を重ねることによって、健夜は学んだのだ。
その結果新人とも積極的に関わることになっているのだが、彼女生来のコミュ障が歳を取った後に変わるはずもない。
先の話についても自分が弄られていることを自覚している健夜なりの話題提供のつもりだったのだ。
「(この子ならもうちょっと話しても付き合ってくれるかな?)」
そして、人と話すことが久しぶりと言うことはーー
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|:.:.:.:.|: 弋辷ソ 乂辷ン |:.:.:.:.:.:.:.:.:|:.:.:.:.:.:.:.:|
|:.:l:.:.|:.|/:/:/:/: ' :/:/:/:/:/ |:.:.:.:.:.:.:.:.:|:.:.:.:.:.:.:.:| 「ど、どんなお付き合いをしてるのかな?」
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ヾ ,. -‐ァ…'厂 ′ ノ \| `丶、
/ / ./ / // /⌒トミ
中身は女子高生の頃から何も変わっていないと言うことである。
良く言えば夢見る乙女のままとも言える。
普通、自分よりも干支が一回り違う女性にこう言われれば反応に困るだろう。
「えーっとですね。
私とキョータロー……、ああ、須賀京太郎って言うんですけど、大学からの付き合いなんです」
「大学!?
や、やっぱり合コンとか?」
健夜の教養は大学=合コンとなる。
脳内では合コン=乱交に繋がり、お子様の目には見せられないような妄想にまで発展している。
「えっと、違います。
カレはハンドボール部員で、色々あって私がハンドボール部のマネージャーになって……」
「(スポーツ部員とマネージャーの青春!?
ま、眩しすぎるよっ!)」
まるで王道テンプレ少女漫画のような図に健夜は憧れる。
今だって王子様が来てくれないかな……と思うことはある。アラフォーでも夢見ることくらいは自由なのだ。
「それで、キョータローは……彼は」
「うん。名前でいいよ。
覚えちゃったし」
「あ、ありがとうございます!
キョータローは、あんまりハンドボールがうまくなかったんです」
「……?」
現実よりも少女漫画ばかり見ている健夜にはわからない。
もう先ほどの話を聞いただけで、『大星淡の彼氏はイケメンスポーツ優秀の全国制覇した部員』まで妄想済みだ。
そこにこの事実は解せないものがある。
7/10
「私、インハイで全然結果残せなくて」
「……そうだね」
小鍛治健夜はプロだ。否定はしない。
健夜も解説側として大星淡の経歴は良く知っている。
「とっても辛くて、自暴自棄になって大学に進んだんですけど。
才能なくても諦めないキョータローを見て、カッコいいなって思って」
「……」
_, -──- .,_
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. i | j/, /イ`メ、 | 小 || ト.!
j .| ∨/ / |/ ヽ | ァT丁l | |
ノ i| V j 抖竿ミ ノ ノ ,ノイjノ | i
___ ____彡' , i| i| j 八|:x:x: /ィ竿ミ 刈 | }
 ̄¨ え≠ / 八 i|/l | | :x:x:/ ノ | ′
/ -‐ ' ハ 八 ト、 ヘ.__ ` 厶 イ ノ
/ __,.斗‐=≠衣 ヽ八\ 丶.__ソ . イ(⌒ソ イく 「気づいたら、好きになってたんだ!」
jア¨¨^\ \ \ >-=≦廴_ ア /ノヘ\
斗ァ'′ \ \ ヾ. \___ ⌒ヾく<,_ `ヽ )ノ
/圦 | 、\ ヽ 、∨tl `ヽ . ∨ V\ i
{ `| Vi:\ ハ i } | } i } ∨,} }
≧=- | 辻_V\`i} i } | /} iハ} 辻ノ
ノ ¨〕V//リ iノ ////V〔 ¨〕
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|:.:| f芋ミ 笊芋ミメ、:.:.:.:.| }:.:.:.:|
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|:.:.:.:.:.:.ゝ . イ:.:.:.:.:リ:.:.i:.:.l 「そっか」
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本当に眩しい。
彼女はかけがいの無い経験を経たんだろうと思った。
8/10
「あわっ」
「どうしたの?」
「は、恥ずかしくなって来ちゃった」
「(かわいい)」
おそらく熱弁している時には意識していなかったのだろう。
今の淡は顔を真っ赤にして隠している。
こんなあざとい動作が男にモテるんだろうか。健夜にはわからない。
「(そりゃ、その子も放っておかないよね。
淡ちゃんかわいいもん)」
「あわわわわ……」
対する淡と言えば麻雀界のトッププロにタメ口混じりで話してしまって後悔しているところだ。
淡だって健夜の評判は知っている。
『鉄壁の女』『生涯男相手に無敗の女』『攻められたことのない砦』『朽ち果てた砦』
大学時代には軽口を叩いたことだってある。
その中で噂になっていたことの一つが、『からかった赤土プロを三度廃人にした』だ。
正直、淡は生きた心地がしなかった。
「淡ちゃんはさ」
「は、はひ」
「正直、インハイの時にはちょっと見るものがなかった」
「ぐえっ」
トッププロにぶった切られた。結構ショックである。
ちなみに健夜に悪気はない。この辺りがコミュ障の所以である。
「このままプロになっても潰れちゃうかな、って思ってた」
「ぐえぐえっ」
「でも、今は違うかな」
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.::::::::::::::: \_」::::::::::::| {ノ:リ イ゙:::| :::::::|
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.:::::i:::::::::::: i::::: |::::::::::::| ー ‐ .:::::::::::::| :::::::|
/::::::i:::::::::::: i::::: |::::::::::::|\ イ:::::::::::::::::| :::::::| 「女の子としても、プロとしても、とても強いよ」
:::/|::i:::::::::::: i:::::_|::::::::::::| >‐=七チ:::: i::::::::::::::::::| :::::::|
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|斗sヤ¨´ ∨\八 \:/__/|/|::::::::::::::/:::::::::::j
/⌒\》 ー------ -― 《下<_;;/::;/|/::::/|/
, ∨》 ∨》 ∨ 厶イ , 、
{ ∨》 ∨》 く\\
, ∨》 レ》| | /⌒二¨¨\
∧ |∨》 レ》| | / ヽ、\〉
ーー認められた。
9/10
生涯、小鍛治健夜に麻雀で認められた人間がどれほどいるのだろうか。
噂だけは何人か聞いたことがある。
曰く、闇に舞い降りた天才だとか、ドイツで結婚した同年齢の雀士だとか。
あの高校時代の宮永照ですら『早いだけで手が安い』と歯牙にもかけなかったのだ。
「ほ、ホント!?」
「うん。君はもっと上に上がれる。
だから早く上がっておいで」
「が、頑張りますっ!」
憧れの小鍛治健夜にお世辞かもしれないが認められたのだ。
淡の興奮たるや見ていてわかりやすいものだった。
そんな素直な淡を見ると健夜もなんだか嬉しくなってしまう。
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ノ ̄l〃 :|:.:.:.:|:.:.| ≠==ー  ̄ ̄ |:.:.:|:.:.:.:.:.|
ノ :|:.:.:.:|:.:.|:. , u |:.:.:|:.:.:.:.:.|
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 ̄| ̄ |:.:.:.:|:.:.|:.:ヽ ー ─'^´ /:.|:.:.:|:.:.:.:.:.|: 「またお話ししようね?」
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_人_ ' ` 、 \
Υ'/ / / ト、 丶
/ / / | | | Χ }
.′ il / | | \ | / `、 リ |
i | _|l__∧ト、八 | メ´ ニニ / } |
| | || `>x、\| 斗チ芋ミ、∨ ,′j
| |l l|斗示芋ミ、 ''h!::::::::} ,′ ,
|l 八 И'h!::::::} 乂___ノ / /
.八 ゝ /i/i/i i / / / / |
‘,\ ハ r ア /l/ / /:: | 「はーいっ!」
ト、 込、 _ノ // ,イ::: l|
|l l\ \> .,_ /∨ /l|: 八_
|ヽ. 八l_\ \-─=ー ァ--< / / 八 { \ `ヽ
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| | Y´ \\.ノ (`ヽ \\) | ,′ \ 丶
健夜なりの笑顔でその場を後にする。
健夜としても自分を恐れずに慕ってくれる後輩の存在は初めてだったのだ。
10/10
……
…
「いい子だなぁ、淡ちゃん」
胸に溢れる感動を抑えきれない。
私のことを恐れずに慕ってくれている、自分の話に合わせてくれている。
そんな存在は初めてだ。
「最初はコギャルっぽいと思ったけど、普通にいい子だったなぁ」
またお話ししてくれるって言ってたし。
今度は私がどこかのレストランに連れてってあげようかな?
お金だけはいっぱいあるし……。
あ、でもその前に!
____
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|:.:.:.:.:.|:.:.:|`} 、 イ:|: :|:.:| 「私が認める相手として、全力を出した方が喜ぶよね!」
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|:.:.:.:.:.|:.i.:|ノ {::.i:.:.:.:.:. |:.l:,八:}
<⌒厂八|  ̄ ̄厂}:./、. ′
({ {. | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄Y ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
ヽ∧┬┬┤ | |
ーー確かに、”プロとしては”何も間違ってはいない。
翌日の話をしよう。
淡以外の同卓した二人の五感は消し飛んだそうな。
カン!
次の投下は久しぶりのアコチャー女子会トークになりそう
1/10
前スレ737
【世界一位 vs 須賀京太郎】-のどアコ次元-
玄さんの年末年始は忙しい。
だからクリスマスよりちょっと早めに会って、さりげなくクリスマスプレゼントを渡した。
何をプレゼントしたらいいかなんてわからなかったからネックレスをあげてみたらとっても喜んでくれた。
いつもの「ぽわーん」って感じだ。
前々から欲しそうに見ていたものだったし、玄さんによく似合ってた。
あんまりネックレスをするタイプじゃなかったけれど、気を遣うようになったのかな?
俺のためにオシャレしたいとか……ぐへへ……。
_,. -‐…・・=‐- .,_
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, ´ / `、
y㌻‘ / / \ 〉
t厶j「 ∨| . :| : : : :i ヽ ∨ _㌻v)
j{ : :| i : | : : : :|: : : : . . 」 i : : 〉ーく`く
i { : :|¬ト「| : : : :|: : : :〔: : :.|: : | : :∨ \ ヽ
| { ; 〔: :[∧V小| : :¦ト: :¬トi{ |: : | : :, . : }ハ ,
| 八ト | ヽ 笊≧x∨: : ト、〉 \Vj ! |: : |/j〔 : : : : 〕「 | i
.: : :八 |: :爪 rしi:iト \| 芹≧x以: : 厂「 : : : : [ | |i
i{: :! : :〕i 乂:ツ rしi:i:リ狄: :厶j : : : : i 〔|: . |i
八: : 乂j: :ハ ,,,, , 乂:.ツ イ: : 灯 : : : : i|: : |: :
` :,;__] |八 ,,,, ノ: : / i「 : : : : || : : |: : }i 「大丈夫? それ浮気されてない?」
⌒「 乂个 r:.、 _ イ: : :仁ソ : : : : i: : : :リ: :‘
V厂`く __,.二ノj「: :≠//.: : : : : 〕: :/,: : 八
_,,i^ ¨㌻´ _rf二二__彡'/ ' : : : : : : :リ //: :/ 丶
_,,-''¨_j ノ 广¨¨ ㍉_ /. : : : : : : :ん /: : ′ \
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/ | :. `ヽ、
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| | | | |∧| { : ハ V 、\  ̄´
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' | ,..- | | | ,ィtォ=ミ∧ |,ィtォ、} / |l ハ\_、
/イ{ { r 从 { Vソ ∨' Vソ/イ |∧}
∨乂 \ |/ j' リ
}∧ ー:. ` ムl/
/ 、 八 U _ _ 人 「……えっ?」
}イ/|\ /
「<l| ` .__/_
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ーーー恋愛の神様になんかとんでもないことを言われた。
「いやいやまさか、玄さんに限って」
「うーん、私もそう思うんだけどね。
玄ならアンタが早く墓に入っても死ぬまで毎日お参りしそうなタイプだし」
「重くね!?」
「事実でしょ」
いや、玄さんに限って……そんなまさか……。
うん、やるだろうな。死ぬまで墓参り……。
2/10
「じゃあなんでそんなこと言い出したんだよ」
「『クリスマスの法則』に当てはまるからよ」
「法則?」
・憧ちゃんが女子力について語るときに流れている曲♪
「私に聞いていいの?」
「なんだいきなり」
「だってぇー。
いっつも誰かさん聞きたがらないのに都合のいい時だけ効くのかなーって」
「うぐっ」
「この私を都合のいい女扱いしちゃうのかー。そっかー」
「うぐぐっ」
なんか微妙に納得いかないけど言ってることは正しい。
普段のぞんざいな扱いが響いたか!
「お、お願いします」
「ケーキ」
「バイキングの代金払いますっ!」
_. .-. . . . ̄. .゙. . . 、
, '´: . . . . /. . . . . . . . . .ヽ
/:;ィ´: : : : :/: : : : : : . . . .ヽ. .\
_,-─tァヽゝL:_/_:,': : : : : :|: : : : . . .゙ . . ヽ
,〃,r‐'7ハ: レ!__,'_ : ;イ | : : : /!!: : : : : ヽ. l . . .、
,':./ !: |: :|::LL_ヽ| !:||: : : ! |'T:‐:-|、: :|: ト、 !| \:ヽ
,':/ .|:.:|: :| ハチ≧ト、|ハ: : :!土_ヽ: :|: |: !:.|. .ヽ!! ヾ.、
,'/ λ:.r=|: |.{:;;::Cヾ ヽ|チ不≧!/! |: !. ./,'| ヾ:、
|l ハ: | (!: !`ー'' { {゚:;;:C |>|:.!:.|,:'./|j ヽl
|| |: :|ヽト、!:.!""" ' ` ー'' ,イハ|: |:/.:l ||
|:!. |N:l:.ミト、!:.| 、 """ /ノノ !:.|: _;| |:!
|:l r、 .N:.ト {ヽ: !、 ー ,イf.l´.:.:|:.j//ハ l:.| 「しょーがないわねぇー!
i!:| \\:|:゙、| |:ヽ:|:>、_ .... -≦|:.:.:.| !:.:.:.|,.'/:.:∧ .|:.|
. 从! l\\:| |: :l: !:| |ヽ|: !:.:.:.| |: :/ ,イ|:゙、:ヘ !:.| この新子憧様に感謝しなさいよー!」
ハ:ト:l Lf~ヽ `_ヽ_:!|ヽ ||、-、ヽ:_L`_r"∠!: :!:∧ |:.:!
,' :|::!ミ、 | >、ゝ.|´ヽ ヽヽ:ヽ-、 ,.r!::>‐'{ | |ノ|ノ7: |:.:.ヘ. ,':.:|!
|,' |!| ヾ,へ.ヽハノ、/ ̄`ヽヾ´ ̄`|::::\_ヽ_!__! .| /|: :.!:.: ∧ ./:.:.:!i!
/ / | ハ | | i 、 ヽ \ \_
. i / | | | | | |、 i ゙、 、 \_ _>
| i | i | | | | ハ ハ _i!_ i \ ヽ` ̄ ̄
| | |+--|、_|! | | i! ,/.ィ'|"i´ ハ | i ヾ 、 ヽ
| | |.|ヽ |、_|王!ー |./i .;"´/=、!/ | ! | \ 、i
. !. r| i.|、!,,ィ'":::._iミi! |/ /彳:::: r:!ヽ,| ,イ | 、_ \
. | |^!. N 《 _、o;;;;i_ 丶、/ / ┴゜‐'"´ !イ | λ i` ー--ヽ
! | i、i、 ゙、 ` ̄ ̄ メ( /^|イ `、|
ノi \ヾi:.、、 i! i ノリ `
| ヽ__i |イ|/
ヽ i、 i ____...., |/
ヽ!、 i\ `ー-- ―'´ /、! 「(ぶん殴りてぇ)」
i !i 、 \  ̄´ /!/
|ハ,i、! 、 \ / ./.|
ト、! ゙、 `ー---'′ /|V
考えただけだよ? 実行しないよ?
3/10
「メル○リってフリマのアプリ知ってる?」
「いや、聞いたことないけど……」
「まぁスマホで出来る自己発送の通販だと思えばいいわ。
個人と個人のやり取りをする通販ね」
「古着とか?」
「あとは自分で作った小物を販売する人もいるわね」
いきなりなんでこんな話になったんだ。
って、まさかーー
「ちょっと待て、それって」
「なーぜーか、クリスマスシーズンになるとアクセサリーがよく並ぶのよねぇ」
闇。
これが女子の闇なのか……!?
「それって、クリスマスプレゼントを売ってるってことなのか?」
「半分当たりよ」
「は、半分って……」
それでも十分衝撃的な話なんだけど!
「で、でもこの前会った時には俺がプレゼントしたネックレスつけてくれてたし」
「そう、そこなのよ?」
「?」
「アンタが言うには、玄が欲しそうにしてたネックレスを買ってあげたのよね?」
「あ、ああ。
恥ずかしいけど女の子が喜ぶものわからなかったし」
どっかのポンコツなら本のしおりとかマフラーで喜ぶけど。
多分口に出さなかったのは女性慣れしたんだと思う。うん。
「それがね。
友達に聞いた話なんだけど」
「何その前置き」
「いいから聞きなさいよっ!」
憧が吠える。
なんだよ。別に憧がそんなことしてるなんて思ってないって。
男の影も形もないし。……俺以外。
4/10
, r '´ ̄ ̄)`ヽ ./´ .| 1 \
/ , r ',´`ゝイ / i| .| ヽ
./ ,r'彳 / .| ./ ./ , /| | ヽ. ヽ
/// / ./ ト、 ヽ ./ / / /| i .ハ 1 ヽ
./ / ./ ./ |ヾ ヽ / /i-、,_ /j ./ | .ル.j | .|1. 1
./ ./ ./ ./ .| ヾ ヽj /.i .>ト,/ j /i j .|.ハ | |. |
/ / j i | ヾ /j j | / ./ '、` j /ノ/ .|.j | .j .| .i |
./ / .| .| | | >'´i |rt== ミ、 、 ./ / /' r t/'ー-/ | .| |
./ .| .j .| | | V´ | .| .ク心:::::ミヾ ' '´ ' - ' j /j | ルj
j .| .j .| .| | | .| 毛:::::::ゝ r==ミ,tノ/j j i .从'
/ .| / .| | | | .| ヾ:::::リ' .ク:::C }./イ .|.j //' 1
| | .| / .| i. | | .| ,,,,, .レ:::リ './ iイ i/ノ |' ,1
| 1 .|./ | ヽ.ト | .| ''ヾ / |'j j´ | |1 「二人の男に同じプレゼントをねだるのよ」
.| 1 |' .1ヽ ヽ》、 | .| ' ,,,,, / |j / .| |.|
.| 、| ヽ、ト ヽ \| .| ヽ、 / .j ./ 1 |.|
.| ,V ゝ 、、 \ i .|、 ´ ノ /./ .| | |
.| 1、 .》、\ヽ ゝ | ヽ、 , r ' ´ ././ | j |
.| .1ヽ / `ー-ヽ、、_ ゝi、./ `ヽ- j ' ´ .i ./.イ |.j .|
.| 1.ヽ ./ ` ゝ 、 ` \' ./ i 1 // 1| .|.j |
_, ⌒\/ ̄ ̄ \
,  ̄ ̄ / 、 _\
´ / \ `ヾ
/ ' 、 、 、 \
/ | { :. | | ∨、\ \__
′ | l| } | |、 | |\ \ ̄ ̄´
. { 从 /-}/-Ⅵ { ヽ |
/ ,.-从 | }/ ィ≧、 { \ }'
/イ { ⌒\ { 、 Vj ∨、 \
八 、 \ ヽ  ̄
Ⅵ ,ー、 ,:'
ヾ\ / ∧ -, 「……?」
ヽ /{/ 、 '
_从/____ > __ノ
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/////////// ∧ :./|
, <////////////////\l/、
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/ ' | ', :}∧∨',ヽ, / V | | ' /: : :ヾv v
' :| ', , } ! V / :| V | |{ ,: : / } ヽ v
' / ! :{ハ ハ ∧ } V| /{ V |_, v! | } ヽ
' :, ' , ' ∨∧ ' ,}イ' _j{≫!7:f心刈 V / {l 、|斗 ―――
/ ,∧ ∧ー=ミ{__ ヽ ', j{⌒'| 7/j' j'うゝ:ア | ' ' ' :{l ヽ! `ヽ
,' / ∧ ∧:、 {`~^ ー-- /: : j ^ ≫'’ V' _ノ {l | V
/ ,' / j{∧ ∧ヽ{ ,ィァ=v云| ': : : i| ~´ ' 「:\ } {l ,ヽ
,' ./:| / v∧ {ヾ八{ ヽぅ! /: : : U し :!: : : V:V , \
! ./ | / ヾ∧ ,、\: `: : : :|/: : : :、 }: : : : : ' ,
|/ :| ' )ヽ , \ヽ: : : :': : : : ノ! 八: : : :' ,
' } / / ヽ 丶: :.} !: : : `: .、 _ ': : : : : ' , 「……!!!?」
j/ , \し: : : : : : :. _,. '" /: : : : : ' ,
, ヽ.,: : : : : :冖、 _ ,イ{: : : : :/ !
、 > .,: : : : : : ( /: U : : :./ |
| ヽ / :≧s。.,:ヽ _ ./\: : : : {「 \ |
ーー意味を理解して戦慄した
5/10
「あ、憧!
お前そんなことしてたのか!」
「わ、私じゃないわよ!?
と言うか、意味わかったの?」
「な、なんとなく……」
おう、アレだ。
つまりそう言うことなんだよな?
____
,.' ´ ` 、
_,ィァ′ ヽ \
{少′ / ,i l ト、 i ,ィマ、
Y / /// | l| | ハ 辷='/|:..ヽ\
イ ′ / | { | 从、| } |彡' /|:.:i:.:.|,∧
. { | l l―‐ {(リ八「―‐メ、 彡个rイト、
リ、_! l リィチfト '行タト、彳,ィl |:.:| |:.:i
l_,以 { ヒtリ ヒztリ |f リ| |:.:| |:.:|
「 l 「ト ' _,イ | |:.:| |:.:|
} } ハ _ ,ィ' ) ,j リ 刀 「
/ /,イ| |l>、 ,ィ |ノイイ / リ | 「どういうことなんですか?」
/ /リ |:! !仏ィ_〕¨ 》,// / /| !
. / / r廾 .|「{: |-、 __ / // ,ヘ〔 .j {
〈 イ ∧V /:.:.: :|__´_./: :./ /:.:.:.:.>))
: |: : |: : : |: : :____: : : : : :/: :. : :./ :}ア∧:\:. : : :. : : :.|
: |: : |: : : |/:. : : : :.X :/}: :/:. :.://}:./ 〈 : /| : : : i : |、
: |: : |: : : |:, :./)/)/ ̄}:/}: : / ≠ミ ∨:.| : : : | : |: \
: |ミ |: : : |//ア⌒ヾ / :}: / '|: r :| : :.| : : : l: /\: :\
: |、 |: : : | : 「 :| }/ | 」:l {: :| : : /|/ 丶: :丶
: | |: : : | | 」 :| 乂シ {: :| : /: | : : ::
: | |: : : l 乂__,ソ /////,: : イ: : | |: : :| [] 〔rァ〕
: |丶|: : : |////// ′ ′: |: : :| |: : :| o o′
: |ゞ |: : : | ~ ー~ヘ⌒ 从: |: : :| |: : :|
: l:.〕i|: : : | .′ \| /:. : :.|: : :| |: : :|
八:.:.|: : : ト l | /:|: : : : :|: : :| |: : :|
: : \: : 八 〕ト ! ノ. . : : : |: : : : :|: : :|\ |: : :| 「和、いたの!?」
: :. : :.\: : \ ≧=- r<:. : : : : : :.|: : : : :|: : :|:. :.\ |: : :|
「最初からいましたよ?」
「そ、そう。それなら気配を出しなさいよ」
「はぁ」
「つまりね?
二人の男に同じプレゼントを買ってもらうの。
片方はフリマで売り、片方はちゃんと身につける。
次のデートの時はちゃんと身につけて行って持ってるアピールをするの」
「……?」
一瞬和が考え込む仕草を見せる。
6/10
. /: : : : : : : |: : .:i:.|:.:.:.:i| |:.:.:.:.:.:.|!:.:|i:.:| 、:.:.゙、::、 ゙、゙、:::::::::::;::イ/:::::::::::::::i:::::
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i: |: : : |: :.:|:.|:.:.:.:i|:|:.:.:.| ! | ..:|i. | .i: i ゙、:.:.i.;A-‐ハ:.!:.:.:.:.:.:.:..!:::::::___|::::
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ヾi 、:.\:.:\:.]〈 っ::::;:i  ̄` _,∠|:|: : : : .:|:.|―-
ヽ!:.i、`゙ー-r≧ >≠ , " " / |:! : : : :.:|:.!////
|:.|:.:.:.:.:.:.:\! ,, ,, / i!: : : : : ::i:.i////
|:.|: : : : :.:.:.i i r== "ヽ / i: : : : : :.:i:.|//// 「何やってんですか憧!!」
| |: : : : : :.:i:.:|\ ∨__ノ) / /: : : : : :.:i.:|////
|:| : : : : :.:.|:イ |:::|l`ー-..、  ̄ ̄ / / : : : : : :.:|/////
|.|: : : : : :.:|:∧ i:.:!i::::::::::::::`i ー-‐ ' ,..-‐:/: : : : : : :.:.i!/////
, . : ´: : : : : : 、: : : : : :r_:_: : : `ヽ
, : : : : : : : : : : : : ヘ: : : 彡}i!:.ヾ`ヽ: :ヽ
, : : : : : : : :{!: : : :i、: :ヘ: : : :〃:ミ: ヘ `゙ 、:.ヽ
,ィ:/: :{、: : : : :{ヘ: : : !ヽ: :ヘ: : ノ: ::} : :ヘ ヾヽ
/: i!: : :iヘ: : : : :{ ヾ,ィチニゞ:ヘ: : : : i}: : :ヘ ヾヽ
,': ,ィ: : : {ニュ、: : ヘ イら::::v ト,:ヘ、/^ヾ: : :.ヘ ヾヽ
7: { レヘ: .仍㍉ヾ: :ヽ 乂;シ'' ヾヘ} 9 }: }: : ヘ ヾヽ
{: :i .{ ヾ:{ v::リ `゙`^ , , , i!:}冫ノ:.7: : : , }:}
i: :i ヾ `} `” 丶 i!:iノ: :7: : : : ., .i: :i
l: :l ', ' ' r-、 ,i!:i: : 7: : : : : : , i: :i
l: :l , v_ソ / i!:i: 7: : : : : : : : , i: :i
l: :.l }: : . , / /i!:i:7: : : : : : : : : i i: :i 「だから私じゃないってば!!」
ヘ: :i i: : : : /`ー ' //: i!i`ー- ,_; : : : i .i: :i
ヾ:.i }:/: /:./ゝ} r、 7: : i:i `゙ 、 i: :i
ヾヽ ソ: :., イ{/ヘ,,,ノ }.7: : /ii / , i: :i
: : : : :/ : : : : : :| : : : :|.. : :. ゙、: . ゙、゙、. \
: : : : : |. : : : : :i |: : : :i:|. : : : ∧: :、.i. .i: : . ` 、
.: : : : : !: : : : : | |、: : :| | : : i | !: :|:| : |:、: : : : : : >
: : : : : :| : : |: i 「! ヽート!、: : リ !: |ハ: ト : | ̄ ̄
.: : :,..-、|: : :i: :|: !゙、 _、!二゙、-| イ: リ ! |ヽ:|
: : / へ.゙、 :丶ヾヽ<´{::::i` ヽ! 1!|:/| :!ノ゙、リ
: :ヽ \ : :!丶  ̄ Vイ:ハ |\:i
.: : 丶 \゙、 `> リ `
ヽ: : :`┬ 、 ヾ /
i: ;ィノ U ,....-ィ /
,,:‐レリ _  ̄ / 「(まぁまずは憧を疑うよなァ……)」
゛=!_ \ `ー-、_ _/
::::::゛== 、 \ / ̄ヽ、
::::::::::::::::::::::゛===-、 >
風評被害過ぎるけど、本人が話してるんだから仕方ない。
確かにこれならバレることはない。
悪魔の発想だ。
普通の人なら思いつきすらしないだろう。
最初に考えた奴は誰だ……。
7/10
「いや、私も玄が浮気なんて100%ありえないと思うわよ」
「そ、そうだよな。
玄さんだし」
「でもアンタ達まだ付き合ってないんでしょ?」
「グハァ!」
前回やった気がするが、クリスマスに告白の予定が会えなかったのだ。
「それに、もう一つ懸念事項がありますね」
「でも、玄よ?」
「ええ、玄さんは浮気をしないでしょう。
好きになった人のためになんでもする人です」
和が納得が言ったように話し出す。
すごく嫌な予感……。
ヽ./ : : : : : : : : : : ,: : : : : : : : : : : : : : : ヽ ヽ冫
:: |: : : : ::/::/: : : /」: : : /}: : : :}゙`「:|:::ヽハ:!:!: !: }
-ィ: : : |_,'_,,|―‐,'‐/-/|: :./|:-|―‐,'-}:|:|:. リ !.|. ト.、
: :ト、::ィ゙ |: ::|\/ // /.: :/ !: :!/!/ !从:/|:.| !∧冫
: :|人小|ヽ:!.ィ爪沁ヽ /.:/ /,.イ爪心ヽ.! イ/.//′
: :l: : ヾ |/{:::::::::⊂ ' ´ ! :::::ィ./ ト,ムノ:!
:γ⌒ⅵヽ弋二;;ノ ゝ-.″ | }: : : :|
',:{ :::` 、 レ′ : :!
..',\ ノ: ::::! 「須賀くん以外が本命で、貢ぐためにやってる可能性が……」
: : :| `ー´\ _ / !:! ! !
: : :|. ` 、 ./|: :. !:! ! ::!
: : :| }` .. __ , イ |::|: |:|: :| |
: :: } ィ‐┤. ├ .、|::|: |:|: :| {
/ / / / { } \ ヽ V V
_ ,.斗 // / ./! / ! :} } ' ヽ V', , ,
 ̄ ̄ / / / //_j_ ,' | |、 :} ' :| ,V斗=ミ{ , ,
/ / ' ,' ィ^~v{≧x、,ヽ,' /、ィ'"_j/ } /「 j |
/' / !/| /{ 斗-ミヽ ∨ / }/ア乏メヽレ } }レ
, | :| ハノ∥んr'j V / V' Vrソ 》 :} 八-、 '
/ >'/ ハ { :, ` ー≦' /' ヽ  ̄ /イ{/ヘ Yハ{
/ '" ∥ / ',从_}: 〈| } ! ∥ ヽ
7/ ヽ ' し /’
/’ ` _、 _ {ーイ/
、 f-――'ヽ 人レ'^ 「ーーーー!!!」
\ L∠二二ソ /|/
レ}h。 /r rー==ミ、
r「\__'}个 --- < | |ニニニヾ
真顔でなんて恐ろしい発想してんの!?
「ま、まぁ、玄だし、それはないでしょ」
「そ、そうだよな?」
「でも逆に考えてください。
きっと須賀くんが命令したらなんでもやりそうですよ」
「グハァ!」
「和ァ! こいつそろそろ死んじゃうからやめて!
否定はできないけど!」
「グハァ!」
憧ォ! それも追撃だよ!
8/10
「冗談ですよ。
いつも余裕の須賀くんをたまにはからかってみたかったんです」
「いや、俺は憧と和によって何回も寿命縮んでるぞ……」
おい、心当たりがないって顔するなよ!
「弄っといてアレだけど、玄はそんな器用なこと出来ないって」
「私たちが保証しますよ」
「まぁ、それはわかってるよ。
つーかさ。
それって女の子が男にやることも多いだろうけど、その逆もありそうだよな」
. :´ . : . : . : .`: .
/: . : . : . : . : . : . :\
/: . : . : . : . : . : . :ヽ: . \
/: . : . : . : . : . : . : . :‘。: . ノ:。
.′ : . : / : . : . : . :ト : . :‘./-‐゚。
|__: . : . : .i: .|: . : . : .|: . : . : .| ゚,:}ヽ/:.‘。 : ぃ
/:.┼{ ―--..|:._|__ : //八: . : . :| 匕 }: . }: ゚: . }リ
/: イ: .|∧ ミ . : |: .|: //フ7¬ }: . /| ィi爪㍉}:.:|:ハ /
/: ./ | : |: ∧\ : |: .|厶斗=ミ /イ 丿 |:il刈 :.:l/}/
:./ : ..|: . ∧ . : |: .|斤:i:i:(_, 弋''ツ |: |: .i ( \ -‐ 、
: / | : |: . : ∧: .ハ:卞::i:lil刈 |: |: .| ヽ у´ ___}_
/ : . l: . : . ‘:,⌒!ム ゞ…″ ` :':':':゚|: |: .| │ r  ̄ } 「ま、私はホストなんかに引っかからないけどね!」
|: . 。: . : . :∧ い ゚:':':': -┐ }: |i:∧ | ――‐{
| : ..。 . : . : ∧、vハ ゝ __ ノ / : |i: .‘ | ー―{
/: . : ゚: . : . : . ∧:vハ` ..,, / } |i: . :; ′ -- ′
. /: . : . : 。: . : . : .:∧vハ__  ̄{ ̄: .| }/}: . :.。 /\ }、
′: . : . : .。: . : . : . : .ⅵ\>―‐n: . :.{ / l: . : ∨/ / \ /:.入
/: . : . : . : ./\: . : . : . : \: \ |{x=xハ 乂: .:// / / / `¨¨´:.:}
/ / ./ ,ィ ヽ ヽ_
/ / ./ // /! |l! .lY'::::::::::)
; i くlハ //,ィ / .| リ! j l }::::::::::l!
|イl! ' _`Vメ、 l / __.! ./_l/__ ノ l::::::i='ヽ
ゝゝ| ;´んィ:!` =j/__ノノイ /¨T ヽヽ
|| l 弋_丿 'んィ:!.ヽ// ,' ! } }
|| l 、、、 弋_丿 // .,ヘ .! j/
|| l ' 、、、 // ./イ |
|| ::ゝ. __ // ./. ! |
|| | l > ´‐-' _イ//∥| l |
|l!. l_L:;ノ:.ト!¨ T¨ェ:://.∥ll! l |
l|-、 ヽ: : : :.l! ̄` |:.:.// /l!ll| .! | 「そんなことありえません」
/-、:::ヽ ヽ: : : l ̄ ̄l:.// /: :ヽ! .! !
. / | >ヽ ヽ:.:.:l l;'///: :/\ .| |
. / l . /ヽ:ヽ ';.:ヽ /:::////、 \ |
人.. V } :!:ヽV/'/l;;;_/ Y ..人 !
. / ヽl l ! [__] / .l i/ ヽ|
,. ⌒ヽ、/⌒ 、-- 、
/_,..- ヽ ` 、
/ /´ / ∨ \
, ´ / ,' : 、 ヽ
/ , , / /| | :. | | | ∨
_/ / / |_|__'_| | _}_|_|_| | | :
 ̄ ̄´/ イ ' { ´| |/__{ |: , ´/}/_}∧ | | |
/ / , rⅥィ笊 从 {∨ /ィ笊_ヽ}/、 | |
/ イ ∧{ 从 Vり \∨' Vり /' / ∧{
´/イ }从lム ; \ ,ノ / \
| ∧ U ∧,イ
Ⅵム - - イ // 「ああ、うん……」
_ヽl\ //イ__
|////} ` ー ´「////|
|////| :. / |/[__}/|
,...<////∧ , |/////> 、
, <///////////\ ///////////> 、
何も言わないでおいてあげた。
9/10
……
…
・次のデートの日
「あ、あの、玄さん。
ネックレスはどうしました?」
「えへへー、今日は違うのをつけてみたんだ。
もしかして似合ってないかな?」
「そ、そんなことないですよっ。
あれ、気に入りました?」
「もちろんだよ!
厳重に保管してあるもん!」
「厳重?
ーーえっ、どうやって?」
( )
i ニlニ○ _L/、 / (⌒ ⌒)
{ cト ´ | ノ ⌒ ーノ{__ノ て人_)
. ―― ..
/ ..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: `:..、
' .:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:\ /
/ .:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:}::.:}:.. :/ } ハ
/::.:′. .: }::斗/L/!::.:.:. /::、i:.:.:.}......:.  ̄
/::. |:...:.:/|::.:/ j/ |::.:.:/}:/リ|\|::.:.}.‘ ―
{: /.! :|.:.:..::|:/ -- _}:/ノ' /十/,「:..ハ:.i
rぅ' ,|::.|::.:.|:;{z≦三 三ミメ.|:/|:.ト{ \
/:{ V:|::.|::.:.|´i `|:: |:.|
|:.|/::.:,::.:.::. l :|/// 、__ /// |::.i!:.! 「えっへっへーっ、女の子の秘密だよ!」
{i:{:: :ハ::.: 込{. __ (__ ノ .ィ}:リ|:
乂:/:.:∧::.:.V/⌒ヽ.--r >ォ抓/:./ |′
/:/.:.:.:.:/\:ハ´  ̄`V ´  ̄`∨:/| ( )
イ.:/::.:.:.:. / /\ { {:小{ (⌒ ⌒)
://::.:.:.:.:.:.:{ fノ |! 人.}:.{ て人_)
./::.:.:.:.:.:. 人 ,八 ノト{
'::.:.:.:.:./:.:.:.:ト、 / 乂 /:.:|
,. ´ ̄ ̄ ` 、__
/ , / /⌒Y
/ / ,: | ̄\
.:' ' /__/ , | \__
/ / ///\/ / .' ' {` ̄
/イ ,.. 、イ /}/⌒ヽ、/´ // / 、 、
{ { Ⅵ / Vオ {从 /-}/-、 } 、 \
| | {/ ∨ィ=、}/ , |、 }  ̄
/ 乂 u ::::::: Vソ' ,l ∧l |
/イ , 八 ,...、 ' /ムイ,'∧ |
/\ / 、 〈- 、\__ ム/ / \ 「(き、気になるっ!)」
>----イ///\ . ` ー ' イ/从
////////\/// 、 . ´
//////////\{ /`¨¨ 、
////////////>、 {、 〉
/////////////(_)} ∨、_,イ/\
///////////////`¨¨¨|/\////\
/> ´ --、 ∨ム //////////////}
´¨¨ヽ\〉 ∧///,イ/////////// |
- \///{/イ//r- 、///////∧
結局玄さんは教えてくれませんでした。
10/10
……
…
・松実館
, r ───-- 、
r '´ : : : : : : : : : `ヽ、
./ : : : : : : : : : : : : : :\
/ : : : : : : : : : : : : ヽ : : : : : ヽ
./ : / : : / : : : : : :|: : : : : : :ハ: : :ヽ : ヽ :ヽ
/ : / : : : /: : : : :l: ::j: :|: : : : : | }: : : :ヽ: ::ヽ : ヽ
.{ : : | : : : 」; 斗七´/.}:/.}: : : :リノ }`ト;、: :}:}:: l ; ;} }
! { : :! : : : :!: : :ノ':/`/' .j: : : :// .リ |: 外|: :l: : ト|
.|::l : ::| : : : |:/,r=≠ミ /: : ノ ' ,r=≠ミ/ |リ:: :| :ハ}
.|::|: : :| : : : | 《{////゚} ´ .{//゚/}.ヾ|: : : :|/' '
.|::| : ::|: : : ::| ヾゝ//ソ リ゚/ソ∥!: : ::Y|
.|::|: : :l: : : : | , , , , , , , .j:::: : :|:|
!:l : : :{: : : :{ l: : : :|::!
}::l : : :l: : : ::{ .j : : :リ: |
.}::i : : :l: : : ::ト、. ⊂⊃ .ノ: : : ::j: :| 「玄ちゃん、アレ何?」
.} :∧: : :W、: :ゝ、_.|_` ー __, ィr<、: |:/': : ::/ : /
ノ : : :ヽ: : :ヽ:\ヽ  ̄ ` ヽ、{ _, r' フ: ::/:: /
/ : : :r‐'ヽ: : : : ∧ /:/: : :∧、
,/': : : ::/ .∧: l: : ::ヽー- ./: : : : :∧: : \
//: : : , r'ー- ∧l: : : :ヽ ー-- j: : : : ::/ ) 、::ヽ::ヽ
/./::/ `> 〉: : : : } l: : : : /r'´ `ヽヽ:)
! {:/ヘ ノ:,: : : : :ト-- ___, -{: : : : { ハ V
V ∧ ノ' .|: : : : :} `ー-'´ ヽ、: : l:ゝ /.}
-―……―-
...:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. ヽ
/.....:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:\
/....::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ
....::::::::::::::::|::::::::::::|:::::::::\::::::::ヽ:::::::::ヽ:.:.:.
' :::::::::::::::::::: |::::::::::::l:::::::::::::::ヽ::::::::'::::::::::::':.:.:.
. / ::::::::::/::/|::::::::::::l:::::::::::::::::::::::::::::i::::::::::::i:.:.l
/..../::::: !......〃/ .!:::::::::: l\:ヽ::::::::::i::::::::|::i:::::::::l:.:.|
′::::i::::::|\:|.{:| ::ト::::::::ト、 \::/:i::::::::|::|::::::::|:.:.|
|:: '::: i:::::乂:::ト{:|_、{ \::{__ 斗へ:::::i::::::::|::|::::::::|:.:.|
|::|l:::::i:::::::::ト::{ ` \. ヾ ヾ|::::::::l::|::::::::|:.:.|
|::|l::::ハ::::::::ハ ___- 、___ ,、|::::::::|イ::::::::|:.:.|
|::|l::/ ::::::l:::} ´` ̄´  ̄´ .|::::::::| }::::::::l:.:.:l
|::|l:{ i::::::l:::| 、、、、 , 、、、、 |::::::::|/::::::::i:.:.:.l
`O′ |::::::l从 j:::::::〃:::::::ィ::.:.:.l 「神棚に金庫を設置して、プレゼントを保管してるんだ!」
/::j |::::::|::i::> ` ′ . ィ:::::::/i::::::::::|::.:.:.:l
{:::/ |::::::|::|:::::::::|> < {::::|:::::/:/::::::::::|:.:.:.:.:l
|::{ .从:::Ⅵ:::::::|l:::: r‐}`´ __ ノ }/:::/:/:::::::/:::|:.:.:.:.:.l
Ⅵ /::::ヾ::::{:::::::|l::ノ ∧__∧ ∠::::/_'::::::::/:::::|:.:.:.:.:.:l
/.::::::::::\r‐ '〃/レ 〃ヽ 厶イ /:::::::/\_|:.:.:.:.:.:.l
'::::::::::::::/ ` 厂 ̄`r=く  ̄}/ /::::::::/ ⌒ヽ:.:.:.:.:l
/::/:::::::::/ 廴_ 八 { /::::::::/ / V.:.:.::l
/:ィ:::::::::/ く __ ノ 辷=- _〉/::::::::/ / V:.:.:.l
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前スレ442
【京太郎知識試験】-お金持ち次元-
「やはり京太郎のお嫁さんを選ぶのならば京太郎について詳しくないといけませんわ」
「いきなりどうしたの、透華」
「あら、一。聞いていましたの?」
「さっきからブツブツ不審だったよ」
「仕方ありませんわ。重要なことですもの」
「重要なのかなぁ」
屋敷にて会話を交わす透華と一。
いくら自宅とはいえブツブツと誰もいない壁に向かって喋っていれば不審がられるのだが、透華は気にしない。
そう、もっと気をつけるべきことがあるからだ。
「弘世と辻垣内のことを思えば些細なこと……」
今日も今日とてなぜか自宅に二人が泊まっている。
正確には昨日京太郎をホテルに連れ込もうとしているところを捕獲したのだ。
目に見えるところに置いておく方が安全という透華の考えにより、二人を泊めることにした。
「(なんだかんだで仲がいいんだなぁ)」
思うだけで言わないあたり、一は優秀な使用人である。
,.l ─ーr, ゙i,,_〉´ ゛' 〉
{ ,.,,_ ゙i,、゙' l |
゙i ,r''゙!-` (, l
゙i /
\ 、 ,r'〈
゛y ̄ ゙i
丶 ゙i /,ヽ
゙ ゙i _, -‐ ´ ∟_
丶 ヽ / \ /λ ヾ 、
r ゙i / |iミ V.彡} l } ヽ
i ' j |l ノ j| | ゝ 〉
i V;|i ハ ゝ, {| ヘ \i
i ゙it}. / ヾ、ヽ ヽゝ `, ヽ
ヽ ノ. ∠`へ, ' ノ x弋 ヾミ 、 \
\ 〃 i'〈弋::リ` ´{テ:::} 〉ヽハ , 「というわけで、京太郎知識試験を開始いたしますわ!」
゙i ゙从 ,, , ` ,,, / 从 / .
〉, , ヘ ャー― , . /ヘ ゙,ソ /j ゝ\
, -‐ ヽ ∧ i` ヾ , ヽ ノ , ´{| ゝ /ノ\ `ゝ、
/ /´ ゙i ,ヘ バi\.\ |、゙i. ゙iNッ \ `\
, -‐ ´ / '\∨ .,r' ゙il \ \ i i ゙i'1r. ゝ ゝ、 ` ,,
/ ノ ノ 〆〈,/ ∧. \ \l ゙ッ, 〉 `ヽ } ー 、 \
,...ィ
/::/
/:::::/,.ィ==―‐.、
i:::::;イ::::::::::z―――`ヽ
....:::::: ̄ ̄ ̄ ̄::::::..< ̄ ̄::\
{ ̄ ̄`ヽ:::_/ ̄ ̄ ̄}:::::\、::::::::::\
/} ニ≧{__{≦ニ. {::::::::::::ヾヽ:::::::::\
〃/{ /:::::\__ }::::ヽ:::::::‘,ヾ,、::::ハ
/'./:::辷二フi:::i!:::::::| |:「 ト、_ムヘ:::::::ヘ::::::::i::::‘,∨!
./ i:::::::|:::i」:::|」:::ハ:::::::! i:i‐!:::A::|::|:::::::::ヘ::::::}:::::ハ V
{ i::::::::Ⅶ !::| !::| i:::::::| N .!::ハ:|}ハ::::::::::i:::::i!:::ト;:i
i:::::::::::|,ィ7¨¨Y{ \::! 才¨¨Yミ. |::::::::::|::::ル:リ ||
i::::::::::::《 .{::::o} ` {::::::o} 》.|::::::::::!:/ }/ }'
.i:::::::::::::| マぅリ マうン ' !:::::::::|' /'
i::::::::::::::i! ' __ハ__!::::::::::!
|::::::::::::八 __ >,、,.イ:::::::::::| 「どういうわけなのさ」
{ハ::::::::{ ` ィ≦ル'/:::::/
\トヾ ` r― ´ | /イ/ル'
2/10
……
…
「ふむ、それだ私たちが呼ばれたわけか」
「夜通し京太郎トークをしたいとはなかなか……」
「そこまでじゃありませんわよっ!?」
「(あながち間違ってないんじゃないかなぁ)」
いきなり勘違いを始める菫と智葉。
それにツッコミを入れる透華。そして俯瞰的な視点で見ている一。
そしてーー
\::.::.:::.\ /.::.::.::/
\:.:::.::.::. /.::.::.::/
. '" ̄\::.::.∨.::.::/ ̄` 、
. / _,. ‐====‐ 、 \
/ ´ ヽ
. / / / ':, \ ゙:,
/ / / ,' / :, ':, ',
. ' ,′ / ,゙i:i ハ i } } l
| | :{ _, 'T丁`{ jj ~丁T''ト、| リ l l
| | : {:{´ i i 八ハ iい i iノV| / | l
|八 { ',',\|_,」.ニ、 \l ,ニ.」_/|/ハノ| │
. |\|\| =‐'" ゙̄` ~ ̄`'ヾ/ | │
| │ '. ::::::::: __ ::::::::: /l | │
j リ ハ´ 「 } ハ | !
/ / ,' /ゝ、 { j 人| | ', 「今日はお昼寝をしたから衣も起きていられるぞっ!」
/ / / > .._、 ノ.. イ | | ':,
/ / / / _r}  ̄ {ュ { ヽ│ l :、
/ / / / ̄ ̄~` ミーrz=彡'  ̄ ̄ヽ、 ヽ ':、
. / ,′ /⌒| : : : : : : : : Y^Y : : : : : : : : |ハ ', ':、
/ l ,′ │: : : : : : : :フしヘ.: : : : : : : : | , ト、 \ \
/ /| | { : : : : : /:││:\ : : : : :亅│ | , \ \
. / / 《 | | l个ー=イ_:_:_:││:_:_:`ト--</ | | 》 丶 ヽ
/ / )| | }ノ 厶-─┘└- .」 { | |彳 ヽ }
/ \_/\-―‐-y'´ \
/-‐y'" ,ヘ ヽ / ∧ \
/ ! \ヽ/ //i ヽ
,:!. |'"´`゙ y''"´ ´| i
| | i | /′ | i .|
. i | ハ| 〈.! | | |
!/ / |! ヾ、 |ハ |
/ 廾ー-_、__, )!、_,._-‐┤ .゙、
/ /./ fr、)) /′ fr、i) ゙、 `、 「こ、衣っ!?」
/.イ ∧| ゛'" `゙'" ト、 丶
. /// ハ._ヾ⊂⊃ ⊂⊃ !人 ヾ、、
i/ i ,i 〈 `,! / .リ ) i、 ヽ!
. /リ 、ソ Y´;/i\. ∠ニゝ ,..イ / |ノ ノ
/ >、 ヽ! `ー---イ´|:.:.:`ヽ/ / \
/ /:Y´:.:.:\ \ / |:.:.:.:/ イ、 \
「弟のことを話すなら衣お姉ちゃんも必要だろう?」
「し、しかしいつもの衣はこの時間にはもう寝ているはず……」
「衣はお姉ちゃんだから遅くまで起きていられるぞ」
透華の読みが外れたのか、衣も一緒にいるようだ。
「(こ、これはまずいですわ。
このお馬鹿二人の怪電波を衣に受けさせないようにしないといけませんわ……)」
透華の心労が一つ増える。
気配もなくハギヨシが透華の近くに胃薬と水を置いて再び消えた。
3/10
「と、とにかく、今日は私からあなたたちに質問しますわ!
姉たるもの、ちゃんと京太郎のことを理解するべきですわ」
「何を言う。
道場で体を密着させて京太郎のことは知り尽くしているぞ」
「そうだな。
私も京太郎がどれだけ一生懸命で食べ頃になったか理解しているぞ」
「そ・う・じゃ・あ・り・ま・せ・ん・わ!」
「食べ頃?」
「あー、衣は知らなくていいことだよ」
菫も智葉も真面目に京太郎と関わっている時間はある。
彼女たちもそれなりに京太郎のことを知っている自負があるのだろう。
/ / ./ ヘ Y. \ | j
/ / / ヤ | -―‐t ` |. /
/ .//\ /,ヘ .| イ 7 | ヽ レ
’/.. /,イ /へ レ / ハ
/ / \ /./ /′  ̄`ー‐-≦7. ハ ’
/ / /ヽ/ /' .:: / .ヘ }
/ / 不、 lハ {| .::: / }
// / { ;;;≧x、V | / /. / ’
// ./. 弋__ツヘ | ー=--――十 ./ / /
// ,イ """ ノ て≧芯x_ノ ./ / /
. / ./ // | 弋;;;__ ツクイ / /
/ ./ // |. ハ r: """/介 ヤ /
/ /' / i |. ヽ ト、 /"/ | マ 「それでは第一問。京太郎の身長は?」
/ /{ { . | ||./{ >、 ヽ ` ァ ー‐' /__ ヤ |. ヽ
_廴_込 ヽ、 | |´ ヘ \ __ _チ'´ _. ヽマ ヽ
{ ヽ ` .ト.! ヘ / ∨「〈.', マ¨ :. マ ハ ト、
λ マ } .ハ ヽ ヽ /_ .| | マ、 ー-、 ヽ / .l ! ::._
/ ハ. /ヤ /ハ| ) /ミ≧≦チ_,マ ヽ` く ̄¨¨¨. \,.へj ̄`ヽ
. / / ヤ / У′ リ / ィチ>二<< マ フ`ーへ ヽ `ソ `ヽ ヘ
/ / ヤ / / / レ// / 厂|、ヾ、\、/ /> _`ー / `マヘ
/ マ .i / / / / / / | ヽヘヽ \ ,イ / // ̄`ヽ{ マ ヽ
ヽ 八 .{ | .| ./ /| | iマヘ. > >/ | λ. |.{三三/ .〉`
/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\
/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::',
/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::',
{:::::::{ヽ /\::::|ヽ∨:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::', ←161cm
∨::∧/ _,ヽ| ヽ.!:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::',
∨:::∧ /灯 /}::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::',
\\∧∨ ∨::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\ __ 「182cm。私と『SEXがしやすい身長差(22cm)』にニアピンだな」
\. 〉 ∨::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::>、
ノ |::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ、
ヽ - /::::/ \:::::::::::::::::::::::::::::::::::::: \ ̄ `ヽ::::::',
` - ./::::∧ //\:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\ ヽ::::',
|} |///////// \:::::::::::::::::::::::::::::::', ヽ }:/
|/////////////ヽ:::::::::::::::::::::::::::::',
まずは小手調べ、と簡単な質問から。
そんな気持ちは一撃で粉砕された。
4/10
/:./{ミミ:.:.:.彡≧:.:.\
/:.:/´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.\i
/:./:./:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:\
′:.:/ :.:.:.:.:.:.:.:.:.:|:.:.:.:.:ヽ.:.:.:.:.:.:.:.:.
.:.|:.:.:.:.:|:.:.:.|:.:.:|:.|:.:.:.:.:.:|:.:.:|:.:.:.:.:.:.::.
i......:.:|.....:.:.|:.:.:.|:.:ハ|:.:.:.:.:.:| |:.|:.:|......... |
|:.:|:.八 :.:./7:/|/ ノ|:.:.:. /| |:.|:.:|:.:.:.:.:.ハ ←176cm
|:.:|:.:.:.:.Tイ示气  ̄ 示气T:.:.:.:.:.:
|:.:|:.:.:.:.:. ` ヒ...リ ヒ..リ |:.:.:.|:.:.|
|:.:|:.:.:.:.:∧ :.:.::.|:.:.|
|:.:.\:.:.:.∧ ' .::\:|:.:.|
|:.:.:.:.:.:.:.:≧:.::..、 イ :.:.:.:.:.|:.:.| 「羨ましい。やはりプレイに飽きが来てはいけないからな」
|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.| > <| :.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.|
|:.:.:.|:.:.::.:.:>-j f\:.:.:|:.:.:.|:.:.|
|:.:.:.|>イ く }l |:.:.:.|:.:.|
|:/ \_ __|l i:.:.:.|\
/\ \ / |:.:. | \
,r'´ ̄ ̄ ヽ
/丶 _//∧ l'⌒ヽ-、_
/ .|ヽヾ、7/ i| ヘ_/^ヽヘヘ
/ |,⊥ミ∨/l| ト、 └ユ
! .i ト、 ヘ ヌ二¨ ヽ !
l |L_ ゝヽ_/>ャ=ヽャ‐ \-、
i '7_,.≧=- }} ′ ` ヘ. \ヽ
. ノ 7弋 , , 爪从 . i l
. イ ハ tt彳′ l j ∧
// ! ト、 _ ‐ュ /7 ∧ヘ 「……」
. /,ハ ヽヽヘ f二´-‐'' " / / / ヘ ヘ
{ { ヘ 丶 ゝ _ /∨ / ヘ ヘ
ヘ! ゝ \ ` ┬-‐' /! ィ′ ヘ ヘ
丶、_ \ 广弌irく l l 〉────'┼‐-、
!| \ Y/ /V ≦ヽl ∨ l ト
!| ハ l| ィイ' 7ソトミ、 ヽヽ ヽ. l l
厶イ j ∧/ //ハヽ\∨lルl l
f´ i ノ/ ∧∨// ヾ 、 ゝ'.ノ l
/--|、::/ }::::/ |:::::::::::::/::|::::::::::::/|::/ ,.ィ⌒7|:::::|::::::::::::::l::::: |
Ⅵ`゙ヽ、/: / ,ノ::::::::::/}/|:::::::::/,イ"´ |::::/,从::|::::::::::::: ,::::::|
____// ̄ ':::::::::/ / .'::::::/ _/__ /イ/ l:/:::!::::::::::::::::|::::|
イ´ ,.----、 /::::::/ /::::イ ,.---、 \/' /}::/:::::::::::::::::l::::| ←147cm
ん:::::::::::::ヽ /:::イ / ん:::::::::ヽ ヽ /:イ:::::::::::::::::: Ⅵ
{::::::::::::::::::ハ {:::::::::::::: ハ | {イ:::::::::::::::::::::: |
比::::::::::::刈 比::::::::::刈 } {:::::::::::::::::::::::::| ←衣の耳を塞いでいる
「Y ;::::,::と {「Y ):::と_ ノ ':::::::::::::::::::::::: |
弋 ー ノ 弋 ー ノ {:::::::::::::::::::,::::::|
`¨¨¨´ `¨ ´ ∨:::::::::::::::|::::::|
` _∧}::::::::::::::::|::::::|
し _ _ \:.:.八:::::::::::::|::::::| 「……」
/ `¨´ ヽ /:イ ::::::::::::::: |::::::|
、 ー ´` こ´` ー' イ::::|:::::::::::::::::::|::::::|
..` . <:::: |:::::|:::::::::::::::::::|::::/
>r ______ =≦:::::::::::::: /:::::|:::::::::::::::::/::/
` ァ 、::::::\i::::∠.._―=- \
, ' ¨>‐> ´ 、 \
/ // \ \ 、 ∧
./ // ヾヽ_ヽ_ ヽ ハ
i ´! | ト、 i! `くリヽ 从 | ト、i
| | | .i斗-ハ | !| ,ィテ圷ミ i! | .! } リ }! ←127cm
| | X´ ト、! }ハ リ' い::::ハ }Ⅳ | /k' /'
Ⅵ∧ i ト、,ィ圷ミ }/ マz少ハ /ヘ ヽ
Ⅵ! Ⅵ Y い:::ハ } ∧. \
}|ハ \込 マzリ ` ハ ∧-.、 \ 「?」
||∧ ∧、 , - /}∧ ∧ \ \
||| ∧ ∧\ /レ`¨ ∨. \ ハ \
||| { ∧ ∧  ̄下三三r'´r/¨ ̄∨ \ 廴 \
||| | { ∧ ∧ィ´ {r'⌒i ̄`ヽ_\ \ } \
5/10
「どうした?
聞かれたから答えたまでだが」
「余計な一言が加わってますわよっ!?」
「余計とはなんだ。重要だ。
将来体の相性が悪いと言って別れるパターンもあるらしいぞ」
「具体的にこの身長差だとナニがしやすいのか気になるところだな」
「その辺は実践してからレビューしよう」
「さ・せ・ま・せ・ん・わー!」
早速いつも通りのノリを見せる二人に止める透華。
やれやれと手を振る一に何が何だかわからない衣だった。
「三人は何をしているのだ?」
「喧嘩するほど仲がいいってことじゃないの?」
「そうか! 仲がいいのはいいことだな。
ところで次は衣が題を出してもいいか?」
「?
いいんじゃない?」
「そ、そうですわね。
この流れを断ち切るためにも、お願いしますわ」
/ | | __/_」ト. i! ハ_ .! i! | | ',
i ! || |/「 / Ⅶ Ⅳ´ヽ  ̄`トハ i! ! |
| | | ||ヘ. Ⅳ ヽ ヘ ! ´ } /!| | | !| i!
| | | || x≠≡ミ \ { x≠≡ミxリ }!| リ / |
| | | |i! 〃ん::::::ハ `\ん::::::ハヾ. ,リ / i! i!
Ⅵ i!ト、 从《 う:::::::oリ う:::::::oリ 》// | |
Ⅶハ`ト、ヘ. マZン マZZン /イ .! i!
}从八 `トヽ xxx xxx / | ∧
/ iト、{ r:::7 ̄ ̄ ! /{ | ∧ 「昨夜のおかずはどうだ?」
/ |! 人 ∨ ノ ,イ | | ∧
./ i!/ > . ` ー ´ _ イ | | | ∧
/ |! / _`rト __.. ´ ,ト、! ! ! ∧ ∧
./ i! ./ | \ / ^ { !∧ ∧._ \
. / /´ ̄\_ .. イ ゝv< ゝ、 ∧ ∧ \ \
/ ,ィ| / \_,..----、
/ /ヾ| //| iヾ゛\ |
| ト、゙、V//| | ゙、 リ
/| | |゙゙゛`!´"'| i | |
|/ | | / |.|、 | .|
/ ---|┼-| .ー||-iー‐- ゙、|
/ ___/_゙、 | リ__\__ \
/  ̄`/ュ::::iヾ \ "´ュ::::iナ'´ \
/イ /::::::::::::::::::::::i::::::::::::::::::::i 、 ヽ
// 〈 i /|i::::::::::::::::::':::::::::::::::::::::::/| i、 | 「……っ!」
( ゙、 | ソ丶 r―‐、 ,イ/ 人リ
/\ ヾ、 / ゝ、 `ー―' _/レ'/ / \__,ノ
、 / | Y /r‐|` ー ' |`V / / ー-<
. ヾ===ァ'´ __/_) |-'´ `゙ヽ ./ | .∠____ )
// / 、 / /| /ヽ∧ ! / \ i
( i | / , -'´ ヽ / / i゙、゙、 ゙、 ( / i \_,ノ
) | ( .,ヘ V / ,ハ | \/ \ \// /  ̄`ヽ
6/10
,r‐─===‐- _
/::::´:::::::::::`ヽ:::::\::::::`ヽ
. "/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.
/:::/::::::::/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.
. /:::/::/ :/:::::::::|i:::::|:::::li:::::::::::}:::::::::::::::.
//イ::/⌒i:::|::|:::|i:::::l⌒|i:::::::::::}::::::::::::::::i
.'/:::∨ ,,__|i_|:」_八_/i::::リ:::::::::::}::::::::::::::::|
. 〔//::::〔 ̄` =ミ、/ :::::::::::}:::::::::::::::::
. //|::::::| ′ "" /:::::::::::::リ::::::::::::::::′ 「この前に写メで送った私の湯上がり写真だろう」
:/_:|:::从 /:::::::/:::/:::/:::::::::::/
〔 |_:/ハ t ァ /___::/:_/:::::':::::::::::/ .*゚
/::::::. ./::::::::,::::::::|i:::::::::′ ゚+'.
. /:::/:::::ーr‐ ´/:::::::::ハ:::::::|i:::::::::| '%
/::::'::::::::_.ノ〕 .:::::::::://> :::::::::|
.:::::::〔´ / ':::::::::/ `ヽ
':::::::〃 / /::::::::::' \
. /:::::::::::| ∧_/:::::::::/ /⌒\
/ ::::::::::::| .′/::::::::/ / ヽ
___
..::.::.::.::.::.::.::.::.::.`丶、
/.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.\
/.::.::.::.::.::.::.::. イ:.::.::.::.::.::.::.:.::.
.::.::.::.::.::.::.::/ |::丶.::.::.::.::.::.::.:.
|::.::.::.::.:_::/ \{\ .::.::.::.::.:|
|.::.::.::./|/`丶 /\ ::.::.::|
_,,..、¬冖づ庁外、 斗劣、ハ::.::.|
/ ヘ. } し小 うソ ノー{ うソ/ /:/|/
/ _,-Уy个ー ゚ ゚ ー- =行 「いや、私との道場での密着経験だろう」
ノ 八‐:、 ′ 厶|
丿 ´__/ \丶、 ‐‐ イ |/
/ / ______〕: |> _. イ、_______
/ //二ニァ¬ア_] |¬r<二,¨¨ ̄\
/ /´ ̄/ / 〔∧ 〕 ∧ | ̄ ̄\〉
/ | |-- --| | | \ \
/ / [ │ マ¨¨¨¨¨ア | | ヽ \
_| \__
. -‐< \ >‐-、
/ \ / \
/ \ / ,.へ \
〈 /ヽヽ∨///∧ ヽ
∧ /``〉 7‐'='='≠! ∧
i ! ' / / ' / | / i
| ノ / / ' ' ,′ |i { |
/ / /ハ{ |i |i ヽ.ノ
. // / //ヽ. \八{ 八 \
/ / / /ァ=≧ミ ヽ \ (、ー-‐<ノ ヽ ヽヽ
〃 / , //ヽ弋r'シ^ヽ ) ァ=≧ミハ ハ
. 〃 / i //{ ` 弋r'シノ ∧ ∧ ! 「衣! なんてことを言い出しますの!」
{{ ' i 人_ :::::.:.::: , :::.:... / } } :. j
∨人 ヽ 从 /_,ノハ l }
// /ヽ \ 个 .. へ .イ__ノ ノ ノ ノノ
. // / /\ ヽ /{` . ._ r<´ ` < イ∧
//__/_/___ヽ ∨ \ ` /./|ヽ._,ノ、 `ヽ ハ
/ } } ∧ ∧ ヽヽ`二フ \ }\
/ } ノ ノ /ヽ∨,ノ\)ー―'^ ー-へ.. __ / ヽ
| トハ._ト_ .ハ ./} / } ,! ! |/ | __.. ィ | | | | | }'
∨ N. ヽ!ヽ|`ト/_/' ./イ _/!斗七 「 ,イ | | | | |
∧ l>≠芹芯ミ、`¨ / / z≠≦xミx/ // ./ | | |
|`{/ /::::::::::::i / / i::::::::::ハ }〉// .イ ,イ/ /
| ヘ {::::::::::て / ´ {::::::::て /'/' //// /
| 弋壬沙 必壬ン / //´/_ .イ∧
| i 'イ/ | ∧
|ヘ }' | ∧
| i\ r―ュ イ ! ∧ 「?」
| | >ト. イ ! | ∧
| / / { |ニ≧ _ r< ノ .| l ∧
|/ \三三三三/ ` < ! l ∧
7/10
|::::::::::::::::::/ _....>、:::::::∧―ァ':::::::/ \::::::::::::::::∧
|:::::::::::::::/ / \::::∧/:::::/` 、 \:::::::::::::∧
|:::::::::::::/ / /_..≦≧ュェ≦≧x ` 、 \::::::::::∧
|:::::::::::// /"´ `` \ \:::::::∧
|:::::::::// / / | i! ヽ \::::::|
∨::// / i ハ ! .! | ハ ヽ::!
∨ ' ! i! | .ハ | | .! ', ', }'
| |ト i_ハ | } ,! |!ハ | | | i |
.′ / ! !ト、 N`i トく/i! ,イリ斗 七! | | !
′/ .| |ヘ,/ア芯ハ< _}_/ ィ=ミ},イ .| i! ,イ /
/ / | |!《 ん:::::o} ん::o} Y},イ/! /リ/
// | |!` 乂__:ソ 乂_ソ //' /イ!/'
.// i! i! , ハ|! ハ 「ちなみに正解はエビフライだ!
// /! i!\ 、_ _ ,.イ |! ハ
.// / .! ∧ ,r,ト ._ _ . イ |ヘ ハ きょーたろーは衣と一緒でエビフライが好きなんだぞ!」
/' / ./ .∧ ∧ \ `¨¨「\ ∧ i! ∨ ∧
/ / / ̄¨ ∨ .∧_`ー‐ァく トー! ト、 ∨.∧
/ / ./ \ ∨ ∧: `ヽ/ __}/ ̄ヘ ∧ ヽ ∨ ∧
| ト、i| .//∧ | < ̄
| |`゛Y''""´|.i ゙、 ゙、
i .|.| ./ |∧ _ ゙、 |
/  ̄`!ー-| --リ‐゙、´ 丶. |
/ _,;==ァャ、.| =テ〒=ァ- ゙ !
/ >' P::} ヽ 2:ノ メ \
/ ,.イ| :::::::::::::::;:ヽ::::::::::::: h ヾヽ
. //i / /)i ::::::::::::::::::::::::::::: r'| )ヾ 「……っ!」
レ' |. ヽ | /. ∧ r―っ ノヽ| / |
ヽ ヽ. / > 、  ̄ , イ ヽ | / \__,ノ
___,ノ゙、 ゙、 / /.〕ー ' ト、 | / <_
 ̄`ーァ ) ) /\_ / 丶.i ( \ 丶ヽ
., -‐' / /---‐i´ /'´ャ' /ー、 \ ヽ i |
/ / / | />メ--、___/  ̄`i |`ー-、 ) ,ル
( 〈 ./ |/ / | \、__/) ,リ'´ | (
)/ i 〈 | \ ̄ i ./ | )
,. '" ,. 、\ ,. -‐ 、
/ / ` ´` \
/ \ヽ
,.' ' / i ! ヾ
/ ' l / ,'./ l. !| ! ゙ l
' / .l / // 'l l ! l ! !l
. ' .' l/ ー '-―_-' リ└- _!,!_ ! !
' l l イ~~~下 ,.二、、ー,、/l! l
l .l l ヽ ノ 'i リ ヽ.! l
. l | ! l! ` " l l
l l ー- _! , l l.!
. l ! | ト、 |!
l l ! .l.ヽ , ― 、 ,. | ` ┘
l ! !.l 丶 ⌒ .イ !
! l l ! .! < .!
. l l ! ゙、 i ` ´ ! 「……」
l l ! ヽ 、 .! ! !
l /ヽ. ヽ \ l、 ! l
l./ 、 丶 ヽ. \ヽ` 、 l
,.' 丶ヽ ヽ \_.ヽ、 ノ
. l ヽ\ \ ヽ ヽ\ 、
l \ 丶 \ヽ ヽ
. l i ヽヽ. \、. ヽ . l
/ l ヽ ヽ ヽ.\. ヽ lヽ
. / l,' ` ヽ. ヽ \ ゙ ! !
菫が透華の肩にポンと手を置いた。
透華は振り払えなかった。
8/10
「気持ちはわかるぞ。
結局のところ女子高生もエロいことを考えないわけがない」
「そうだ。
自分を解放するんだ」
「ち、違いますわっ。
貴女達が変なこと言うから……っ!」
「そんなことを言うな。
私たちが言う前から顔を赤らめていたじゃないか」
「ううっ……」
菫のフォローという名の追撃にタジタジになる透華。
もちろん菫も悪気があってしているわけではない。
むしろ『こっちに来い』と言わんばかりのオープンっぷりだ。
「と、トーカ?
衣は変なことを聞いてしまったのか?」
「衣は何も悪くありませんわ。
全ては龍門渕の名を汚したこの私が……」
「なんだかわからないがとても重いことを言っているぞ!?」
「気にしすぎだよ、透華……」
/ ∠ -───-ヽ \
/ / ´ ヽ
. / / / \ \ 、
/ / / / l \ヽ、\ ハ
.′ | / / ,イ | } } ハ ヽ !
l | { ハ/ | ,! ノ Xハl | l } |
′ { 「¨丁≧ト、/| イ小 } | } イ ′
/ `ト ァ=テ≠ミ、7} .;ィ≦ア// /レ }/
/ /《 ん.:cl // !:cjレイ / /
,/ ∨ ヒ'tツ ┴'イ/ィ′
ハ l : :::::: : ' :::::八 |
〃イ ; ト 、 u __ _ イ ! 「そ、それでは昨日何をしていたか、ではどうだ?」
l| | l | 丶、 ´ <「| |
\|| | | |> 、 7lー≦}|-─‐'、 |
|| | | |__/`Yヽ、 }}」- ─┐∧
|| | | l─ >r─r≦─── | ヽ'.
|| | | | -‐} j二ヽ、 / ハ 、
|| | l∧/ _ノハーf ̄ \ イ l: | \
,. -‐ 、
,. / ∠`ヽ 、‐= 、
/ / / `ヽハ
/ // / ’.
/ |─+ ミl / l|
/ .:,′ |_|_イイ |_ ’
.′ | |《ん㍉ミ`¨¨`jハ_` |
i | | ゞ-' ィ=r、`|_|!
| |└┬ー┘ ヒソ/ ′ |
.′ | ' : |
| l | l 小 _ i |
| l | | | ト、 ` 人___| 「ふむ、何かスポーツをしていた可能性が高いな」
.′l | | | 丶. イ
. / l| l | | | r‐ ´ l|
/ l,.≦: V、 | i|
./ /ニ=-人 V\. | ||
9/10
とりあえず話題を逸らす衣のフォロー。
菫も乗っかってくれたようだ。
「京太郎は運動好きだからな。
外で遊んでいる可能性は高いだろう」
「そうですわね。
ハギヨシ、どうでしたの?」
「いいえ、皆さんハズレですよ」
いつのまにか女子会の輪に加わっていたハギヨシが否定する。
誰もハギヨシが昨日の京太郎を見張っていたことにはツッコミを入れないようだ。
「国広さんはどう思いますか?」
「え、ボク?
ボクはいいよ」
「一、なんでもいいから答えなさいな」
「そ、そっかぁ」
一は少し考え込んで、口にした。
/ ./:::::::::::::::;..'::::::::::::::/:i '' 、:::::::::::::::::::::::::::::::..
i /::::::::::::::::::/:::::::::::::::ム::,ン 、_ヽ:__:::;; -―-'''::::..
/:::::::; '::::::::/:::::::::::::::/ i ___ `; `i ヽ
,.':::::/i::::::::/::::::;::::::::/:::::::::ヽ、 __ 二 =-.'-、'、 i.
i::::/ i::::::/::::::/:::::::;':::; '::::::::::::::::::; i:::::::::::::::::::::\ヽ、 \/::i
|::;' |::::/::::::/:::::::;':::/::::::::::::::::; ' .,'!::::::::;::::::::!::i::::\ ヽ、 i::::|
|::! !::;::::::/:::::::::!::/!:::::;__:/ ._,,/:::::::;'i:::::::ii:ii::::::::::ヽ._)'::::|
i::! i/::::/:::::::::::i::i´!::::/ i:::;' ̄ /::::,::;' i:::::/ i!i::::::i::::::i::::::::::::::|
.',! ,'::::,':::,:::::::::i';i ';::i.‐i::i-. /:; ',';' ,'::::;'ゝ、i:::::/!::::i::::::::::::::|
i::::;::::,::::::::::! ' ゛' ';! 〃 ,',..'::, ' ,'::X .;:::;'!::::::::::::::|
i::,':::::i:::::::::|―‐- 、 ' ,..'./ .,..'; ' /::/.i:::::::::::::::!
|:i::::::i!::::::::i ヽ " ,,. '/ン:::::::i::::::::i
|:i:::::ii::::::i:::!//// ___ , ' i:::::::i:::::::;
|:i;::::ii';::::i';:i、 `ヽ./ ,':::::::i::::::;'
';:.';:::', ';::',';:丶 ,- _ ///// .,'::,:::::,:::;';' 「手品を見に言ってるんじゃないかな?」
'; ' ;::', ';::, ';:|\ !  ̄フ ,, ,.'::;'i::::::::;''
,, ''  ̄,, ̄ \、 ''、\ \ ー-_"_ _''_., - , ':; ' ,.':::::; '
/ ヽ、 i` ヽ、 ゛ / ,_ \ ,_ './ヽ,.'::::;''
./ i ,,!-‐――-`、-レ'/_`_ ヽ ,..'::,.<
/ /il | .//| \ \
| トヾ| ///,| | i
/ ||`゛゙i'""´ |i | |
/ __| | / |ハ___ i |
/ ハ.|`‐{ ィ'´ヽ ヽ |
/ /-/≧ミ\ ケテ=-、_ \i
/イ ,ィ.|` i;;;:;! ) i';;;;!,ィ ヽ
. // / .| /人i ,,, , ,,, | iヾ、
. |.|.〈 |/リ. ! ,! /. ト、 ) 「?」
!| ゙、 .!( \ r-、 /|レ' / i
>、. \ i ゝ `´ /| ./ / l
// | ) | ノフiー ' ´ ク ,.イ (
< / / / _/`ト,--‐' ´| ,.< ゙、 \
) / /‐'´ | ,イVヽ 丶 (_ `ー-、 \_
. / ! i / |/./ハヽ| ./\ ゙、 `ー-、 、\
. / /\| /ノ |.」\/ ) ) / ゙、 | )
ハギヨシは軽く笑っただけで、答えを口にしなかったようだ。
10/10
……
…
・昨日咲と手品を見に行った図
. / :.:.:.|:.:.:.: /^l:.: : ||:.:.:.:.:.:.:| ヽ:.:.:.:.:.ハ:.:.:|:.:.:.:.:.:.ヽ:.::.:.::.
/ .:.:.:.|:.:.:.:.| :.: : ||:.:.:.:.:.:.:| |:.:.\ | :.:|:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:.
/ .....:.|:.:.:.:.| /: :.:|ト:.:.:.:.:.:.| |:./_\:/|:.:.:.:.:.:.:八:.:.:.:::
. / .:.:.:.: |:.:.:.:.| \||:.:\:.:.::. ィX笊竺心j:/|:.:.:./:.:.:.:.:.:.:.|
ー |:.:.:.\| i| ノ{:::::ハ 乂ー-ソ j/ V:.:.:.:.:|
|:.:.:.:.:.:. 从乂ーソ .:.:.:.:ハ|
|:.:.:.:.:.:.∧ ′ "" /:.:.:./
|:.:.:.:.:.:.:.:ハ "" 厂:.:.:/j/
|:.:.:八|:.:.八 r-, /:.:.:.:/
|:./ \:.:{\ / |:.::/ 「京ちゃんって手品好きだよねぇ」
|: \ > .. _ イ リ/
__] {___
_/三l /三三三≧=-__
_x<三ニ/´ / /ニ三三三三三三三>
. r≦三三ニニ/ /三三三三三三三>´
/|三三三三ニ{____/ニ三三三三三三>´ \
_ / , / //| , | ,: | V :.
` ̄ / ' | |∧ | / },l --| | |
/,イ { |-- 从 / /,ィrtォ、 , | |
/ ∧ |,ィtォ、∨ ' Vり {,イ /-、 }
/ イ{从{ Vり }/ |イ l) } 从
 ̄ Vr:l ' //
l叭 _ r ' /
、 `ー` イ {
\ / |∧」 「そういやそうだな。なんか好きなんだよな」
` r‐ ´「 ̄ ̄ ̄}
「 } | |///// ∧
|/|_,ノ /////////≧=-
_//∧ 「/////////////////≧=- 、
-=≦/////〈 ∧_///////////////////////∧
///////////////\{///////////////////////// ∧
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/ / ./ ,ィ ヽ ヽ_
/ / ./ // /! |l! .lY'::::::::::)
; i くlハ //,ィ / .| リ! j l }::::::::::l!
|イl! ' _`Vメ、 l / __.! ./_l/__ ノ l::::::i='ヽ
ゝゝ| ;´んィ:!` =j/__ノノイ /¨T ヽヽ
|| l 弋_丿 'んィ:!.ヽ// ,' ! } }
|| l 、、、 弋_丿 // .,ヘ .! j/
|| l ' 、、、 // ./イ |
|| ::ゝ. __ // ./. ! |
|| | l > ´‐-' _イ//∥| l |
|l!. l_L:;ノ:.ト!¨ T¨ェ:://.∥ll! l |
l|-、 ヽ: : : :.l! ̄` |:.:.// /l!ll| .! | 「私の乳圧でブラを飛ばす手品をお見せしましょう」
/-、:::ヽ ヽ: : : l ̄ ̄l:.// /: :ヽ! .! !
. / | >ヽ ヽ:.:.:l l;'///: :/\ .| |
. / l . /ヽ:ヽ ';.:ヽ /:::////、 \ |
人.. V } :!:ヽV/'/l;;;_/ Y ..人 !
. / ヽl l ! [__] / .l i/ ヽ|
カン!
少し間が空いたのでリハビリ
ちょっとペース落ちます
?「須賀くんが種を仕掛けるんですよ」
1/10
前スレ926
【京ちゃんの誕生日】-京照次元-
今日は一日中家でのんびりしていた。
家で、と言っても京ちゃんの家にいる。
最初は本を読んでいたんだけれど、座って携帯アプリを開いている京ちゃんを見つけた。
衝動的に膝に乗っかって、それから数十分。
「照さん照さん、そろそろ動いてください。
夕ご飯用意しなきゃいけないですよ」
「ん……。
私がやるから京ちゃんは座ってて」
「そんなこと言って、仕込みも何も考えてないんじゃないですか?」
「京ちゃんは失礼。
私だって女の子なんだから料理はできる。
むしろ京ちゃんの方が苦手」
「まぁ、そりゃそうなんですけど。
ちょっと前の咲トレースしている照さんを知っているからどーも」
「むー!」
「叩かないでくださいよっ」
京ちゃんは失礼。
確かにダメダメ咲の真似をしていた時期もあったけれど、今は私のことだけを見てくれていないとダメ。
私は咲のお姉ちゃんなんだから咲より出来ることは多い。
そもそも、コミュ障の咲と一緒にしてはいけない。
私がこういう一面を見せるのは京ちゃんだけだもん。
「そういえば、照さんはそろそろ誕生日ですよね」
「ん。
咲から聞いたの?」
「ええ、何かプレゼントしたいと思ったので。
照さんは何か欲しいものありますか?」
「女の子としては男の人が頑張って考えたものが欲しい」
「難易度高いっすね……」
「そういうもの」
確かに高い物を貰って喜ぶ女の子は多いかもしれないけれど、私はそうじゃない。
京ちゃんが私のためを思って色々と考えているところを想像するだけでほっこりする。
だから、そういう一面を見せてもらえれば満足。
2/10
「そう言う京ちゃんはいつが誕生日なの?」
「俺ですか?」
「うん」
今年は色々とあったから祝えなかったけれど、次にはしっかりと祝ってあげたい。
出会った最初に聞いておけば良かったかな?
京ちゃんの性格的に、なんとなく早生まれな気がする。
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: : / へ.゙、 :丶ヾヽ<´{::::i` ヽ! 1!|:/| :!ノ゙、リ
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.: : 丶 \゙、 `> リ `
ヽ: : :`┬ 、 ヾ /
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,,:‐レリ _  ̄ / 「……あっ、今日じゃん」
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.: 八.: :|┬─┬}/ ┬‐┬‐ .:.:|`ヽ}
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ト、.: .:|/⌒ 、_| | | | ト、`〉、|/
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「あー、すっかり忘れてた。
今年入ってからもう一ヶ月経ってたのか」
「わ、私の誕生日は覚えてたのに!?」
「自分の誕生日って忘れがちじゃないっすか?
祝ってもらえる年齢でもないですし」
淡々と述べる京ちゃんに対して、背中の汗が止まらない。
よりにもよって今日……、それにもう夕方だ。
当然、何もプレゼントは用意していないし、何かをしてあげることも出来ない。
「ううっ」
「ちょっ、泣かないでくださいよ!?」
もっと早く聞いておくべきだった。
それより、プライドを捨てて咲に聞くべきだったかもしれない。
でも、京ちゃんといい感じなんて言ったらまた咲と喧嘩しちゃうかも……。
3/10
「ま、まぁ俺は照さんと一緒に過ごしているだけで幸せな誕生日ですよ」
「本当?」
「本当ですよ!
こんな可愛い女の子と一緒に過ごせるなんてなかったし」
「うっ……」
お世辞かもしれないけれど、嬉しい。
でもそれじゃ私の気が収まらない。
「京ちゃん、何か欲しいものはない?」
「えっ、いきなり言われても……」
「じー」
「口で言わないでください。
それに卑怯じゃないですか」
「?」
「照さんは俺に教えてくれなかったじゃないですか」
「うぐっ」
まさかこんなことになるとは思わなかったから仕方ない。
別に意地悪しようと思ったわけじゃないのに。
「むー」
「まぁまぁ、もしプレゼントくれるならまた今度でもいいじゃないですか」
「京ちゃんはわかってない」
「?」
「せっかく初めて過ごす京ちゃんの誕生日」
「あー」
女の子はイベントに弱い。
私は他の子よりはそう言うものに疎いけれど、好きな人のイベントとなれば話は別。
こう言うのを逃して京ちゃんが離れて行ってしまったらと思うと胸が痛い。
それが咲相手だったら、私は立ち直れる自信がない。
「じゃ、じゃあチョコレートください」
「チョコ?」
「もうすぐバレンタインじゃないですか。
照さんから貰えるかなって」
「ム……」
「どうしました?」
「それは誕生日プレゼントとは別にあげるもん」
「うぐっ」
誤魔化されてあげない。
でも、チョコは食べたいかもしれない。
4/10
「高校の時は大変だった」
「?」
「いろんな人からチョコを貰えたから」
「照さんって女性にも人気ありそうですよね」
「うん、たくさん貰えた。
でも、さすがに多すぎる」
「あー……」
高校時代の密かな悩み。
お菓子が大好きだけれど、この時期のチョコレートだけは困ったものだった。
「誕生日も近いから、みんなチョコを渡して来た」
「そ、そーなんですかー」
だから予め言っておく必要がある。
-‐──‐-
. ´ `ヽ、
/
/ ,
/ / /| ト、 ′
∠._/ / i| i \ 〕
〔 |/ 八〔\ .' \ /
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' ∧| 乂ノ 乂ノ ∨、 |
. /:Ⅴ "" ノ |
/::::入_ _ < / /| /
/\ /∧ノ へ ̄ ̄/ \リイ/ / 〔′ 「私の誕生日プレゼントにチョコはダメ」
 ̄\\ r‐' \/ //\ /
\ヽーヽ └─ー/─' \
丶ー| 〉 〈 | 〈
| .〈∧/ !__/
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/ | :. `ヽ、
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| | | | |∧| { : ハ V 、\  ̄´
| | {/--{ 从 | , |-|、 | 、 \`
' | ,..- | | | ,ィtォ=ミ∧ |,ィtォ、} / |l ハ\_、
/イ{ { r 从 { Vソ ∨' Vソ/イ |∧}
∨乂 \ |/ j' リ
}∧ ー:. ` ムl/
/ 、 八 U _ _ 人 「気をつけます!」
}イ/|\ /
「<l| ` .__/_
|////>、 | 「/|
-=≦、[二]//l} |、}l∧_
-=≦///////////\ |/////≧=-
クリスマスと誕生日が近い人はクリスマスプレゼントと一緒にされるらしい。
私の悩みもそれに近いかもしれない。
「って、そうじゃない。
今は京ちゃんの誕生日の話」
「うーん……。いざ何かって言われると迷いますね」
「じゃあ……。な、なんでもしてあげる」
「!?」
5/10
さすがにこう言うのは恥ずかしかった。
でも、私たちももう大人の年齢。
京ちゃんに求められたら、嬉しい。
「そ、それじゃ、ずっと考えてたことがあるんです」
「う、うん」
私も覚悟を決める時がきたようだ。
誕生日プレゼントに初めてをあげる……。ロマンチックかもしれない。
ドキドキしながら京ちゃんの次の言葉を待つ。
,. --- 、 ____
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、_/_/⌒ヽ , / ヽ
,---、 / // : ヽ :.
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/ ,:´ | { | l\{从 ∨ィ斧ミ、 | |
/\'´ /{ | 从{__,. \∨Vソ }イ ト、 ∧{
////\ r--- ´八 !∧  ̄ ,: :.:.: }/ノ/ リ
. ///////\ \}∧ u 八/
//////////〉 込、 __ ,.: / 「て、照さんの笑顔が見たいです」
///////// / }>、 ` イ |从
,'//////// / _ /--、l ` ̄ :, |--、
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.: 八.: :|┬─┬}/ ┬‐┬‐ .:.:|`ヽ}
.:/⌒ヽ} | :::::: | 三 | :::::| .'.:.::|
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人_ u j.: .:|
i.:.: .: .> )‐┤ イ.l: ::' 「!?」
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ト、.: .:|/⌒ 、_| | | | ト、`〉、|/
| \{ .,_ \| |/ ハ
/ ヽ > | ノ / ∧
なぜかものすごく予想と違う返答が返ってきた。
「な、なんで?」
「前に見せてくれた、あの顔が忘れられなくて」
「う、ううっ」
「照さん、テレビの前だと笑顔じゃないですか。
俺にはあまり見せてくれないから」
「そ、それは……」
恥ずかしい、から。
6/10
「いつものダラっとした照さんも好きですけど、俺にもあんな顔してほしいなって」
「うぐぐ……」
「そ、そんなに難しいですか?」
「京ちゃんはいきなり笑ってと言われて笑えるの?」
「そ、そうですよね。
ごめんなさい。無茶振りして……」
「ううん。京ちゃんのためなら頑張る」
「本当ですか!?」
京ちゃんがウキウキしながらスマホを取り出す。
う、うん?
「と、撮るの!?」
「待受にします!」
「うぐぐ……」
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. / . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .ヘ
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′ ./ .:::::/ .::::::/::::::::::: : :::::::::::::::::::::::::::::. : ::::. ハ:::::: i
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/::::::::::′:::::′ .′:::/:i:::i::i:::::::::::::::::::::::::: ...::::::::|::: :|
. /::::::::::::i::i::::::i:::::::::.i 从:: i::i :::: .::::::::::::::::::::::::::i:::::i::::::i
. /:::::::/.i::i::::::i::::::::::i:::::::i::::i:::i:::i::::::::i:::::::::::::::::::::::::::i::::::i:::::i::::::i
/:::/ |::i:::::i:::::::::i:i::::::i:i::i:::i::::i::::::::l:::::::::::::::::::::::::::l:::::i::::::l:::::i 「が、がんばる……」
.// ヾi:::::i:::::::i:i:i:::::i:i:::i::|:::::i::::::::i'::::::i::::::::::::::::::′i:::::/:::::i
.´ 少:::::::',:::::l:i::i:::::i:゙、ト:|::::ヘ:::::::i:'::::|:゙::::::::::::/i::/i::/::::::::i\
/ |::::::::::、:ハ ヾ:i 、.i ヘ::::i::',::i ゙、:::::/ iノ. i/::::i:::::i \
/ |::::::::::ハ ヾ ゞ. ,丶i ゙:j ヘ/ / 厶::::ハ:::i 丶
∧ヾ |:::::::/ ヽ.、 ._ ヾ., イ /::/i::::′ ゝ_
../ ∧ヽ. |::::/. i > _  ̄ . r ./. // i:/ /.:/i_
.i ∧ヽ |:/ 丶  ̄ / / レ /.:// ヽ
ここまできたら引けない。
私は京ちゃんよりお姉ちゃん。
それに、取材の時と同じ顔を見せるだけ。
いつも通りにすればいい。
「じゃ、じゃあ行くよ」
「はい!」
京ちゃんの嬉しそうな声が聞こえる。
私の笑顔くらいでそんな声を出してくれるのは嬉しいけれど、プレッシャーがすごい。
7/10
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/ / , rⅥィ笊 从 {∨ /ィ笊_ヽ}/、 | |
/ イ ∧{ 从 Vり \∨' Vり /' / ∧{
´/イ }从lム ; \ ,ノ / \
| ∧ U ∧,イ
Ⅵム - - イ // 「その顔はアウトかと……」
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いきなり笑ってと言われても難しい!
京ちゃんが悪い。
「むー!」
「いや、無茶言った俺が悪いですよ。
せめて今日は夕飯をどこかに食べに行きますか?」
それだけじゃ私の気が収まらない。
私が笑えるためには……と、少し考える。
前に笑った時の顔。やっぱり、京ちゃんのことだ。
「ちょ、ちょっとこっちにきて」
「?」
マイお菓子袋から一つ取り出す。
そしてーー
8/10
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{ \ / {V/ ./i_!V/ / } .V/ / }
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{ V ./ / { V ヽ::::::/. V .} ', V/ / /
9/10
……
…
「……」
「……」
衝動的にやってしまったポッキーゲーム。
心臓が破裂しそうなくらい鼓動している。
どんな麻雀の大会だってこんなにドキドキしない。
「しちゃったね」
「し、しちゃいましたね」
京ちゃんの顔が真っ赤だ。
私より焦っているみたいで、なんだか面白い。
意外と余裕が出てきたかもしれない。
いつも私より余裕がある京ちゃんが動揺している。
なんだか嬉しかった。
「ねぇ、京ちゃん」
「な、なんですか?」
「どうだった?」
「あう……」
「よく覚えてない?」
顔を真っ赤にしてこくりと頷く京ちゃん。
私もポッキーに気を取られてよく覚えていない。
唇の感覚なんて、味わったことがないんだから。
_. . . . :´:  ̄ ̄ ̄ ̄: `: : : . 、
,. : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : .
/: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : `: .、
': : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :\
/: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :\
: : : : : : : : : :/: : : : : : : : :/: : : : : : :,: : : : : : : : : : : : ヽ
: : : : /: : : :/: : : : : : : : / : : : : : : /: ,: : : : : : : : : : : : : .
: : : /: : : :/: : : : : : : : / : : : : : : /: : /: : ,: : : : : : : : : : :.∧
: : /: : : :/: : : : : : : : :.' : : : : : : :': : /: : /: : /: :|: : : :|: : |: ∧
: /: : : :/ : : : : : : , -、|: : : : : : /: :/: /,、: /: : ,: : :,: |: : |: : ∧
:.': : : :/ : : : : : : /,'⌒|: : : : : /|: /:イ /: ,\: /: : /: |: : l: :|: : : .
:|: : : :|: : : : : : : :{ { ∧: : 从{ {/ 「¨≧、 }:/: : :, : /: : .': :}_: : : \
:|: : : :|: : : : : : : :乂__)∧: :| /r' Y〃: /: /: : /: :/ ` ー '
:|: : : :|: : : : : : : / Ⅵ 〈ソ /イ /:イ: : :/ }/
:|: : : :|: : : : : : :,′ \ 乂 /: : イ /
:|: : :八: : : : :|: { ノ'/
:|: : : : :l : : : 从| 、 / ぱ
从 : : ∧: : :| }' \ ,ィ-く く
{ \:.{ \:j ∧、`: . イ¨´ゝ \
| \ \ / ノ }: : /:7´: :/ `\
| ̄ ̄\ --/ ` <:∧:{
| \ / `<
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| , -/ ,. <>´/⌒,ム
| / ,. <> ´ イ マム
|_/ ,. <>´> ´:.:.:/ マム
ィ介ヽー― ´> ´イ:.:.:.:.:.:./ ∨}
10/10
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': : : : 从: : :∧:{ 从{ \` ー` 乂こソ |:/ ) } : : : : : |
/: : . :イ: : :\: :{ ,イ¨雹芯 /' ,..-_ノ: : : :|: : |
,': :/ |: : : : :从\:. 乂zリ /: |: |: : : : :|: : |
ー ´ : : : : : : |: : ∧ ' ム: |: |: : : : :|: : |
,: : : : : |: : {:∧ _ , イ |: : |: |: : : : :|l : | 「もう一回、しちゃおうか?」
Ⅵ: : : :|: : |: :个:.. < |: : |: |: : : : 从: !
∨ : : ∨ |: : {: : : : : :≧=-r ´ /⌒|:/: : : :/ Ⅵ
\: : :\}: : \: ヽ : / ∧ _,/ /'/: : ,.く
\: } \>:,.イ /⌒\/ ,.- /:/、 \
\ // ,' / / /イ- 、 \ ∧
/,イ / / //´ \ \∧
_/// / ̄/ /,.イ/ ∨ } ∧
「{ / ,:.:/ / / _,/:.:// }/∧ .
_ | | { /{:.{ / ´ ̄ ̄:.:.:.:.:// ,′ ∧ }
/ Y| | Ⅳ ィ介、:.:.:.:.:.:.:.:.:.イ / /////∧〉
r ¨´ 、 Ⅵ V:.://:.:.} ̄ ̄ / {//// /
「´ ヽ ヽ}|) {:./ {:.:.:.| 乂 ´∨_/
/ / / / { } \ ヽ V V
_ ,.斗 // / ./! / ! :} } ' ヽ V', , ,
 ̄ ̄ / / / //_j_ ,' | |、 :} ' :| ,V斗=ミ{ , ,
/ / ' ,' ィ^~v{≧x、,ヽ,' /、ィ'"_j/ } /「 j |
/' / !/| /{ 斗-ミヽ ∨ / }/ア乏メヽレ } }レ
, | :| ハノ∥んr'j V / V' Vrソ 》 :} 八-、 '
/ >'/ ハ { :, ` ー≦' /' ヽ  ̄ /イ{/ヘ Yハ{
/ '" ∥ / ',从_}: 〈| } ! ∥ ヽ
7/ ヽ ' し /’
/’ ` _、 _ {ーイ/ 「……!」
、 f-――'ヽ 人レ'^
\ L∠二二ソ /|/
レ}h。 /r rー==ミ、
r「\__'}个 --- < | |ニニニヾ
|:| } | |ニ{1-B}ニ! __
|:| } / L!ニニニニ{ _,. 斗r≦ニニ=-ヽ
人:.、___」 ___/__/ニニニニニ7 ∥ニ/ニニニ=-,
, ‐ --、斗r≦ニ斗r'ニ7 ノ、 |ニニニニニニニニ/ .∥ニ'ニニニニ=-,
/ニニニニニニくニニニ/\ __ ,!ニニニニニニニニ, ∥/ニニニニニニ=-,
,-=ニニ/ニニニニニニニ\ニム jニニニニニニニニ, ∥'ニニニニニニ=-
/ニニニ{ニニニニニニニ∧ニム /ニニニニニニニニ, ∥ニニニニニニニ!
京ちゃんの所望していたものとは違うかもしれないけれど。
これだって笑顔には違いない。
『小悪魔的な笑顔』と言ったっけ?
カン!
1/1
>>409 1レスAA劇場
. /: : : : : : : |: : .:i:.|:.:.:.:i| |:.:.:.:.:.:.|!:.:|i:.:| 、:.:.゙、::、 ゙、゙、:::::::::::;::イ/:::::::::::::::i:::::
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!:.i |: :.:| .:.:.i:.!:.:.:.|!.i! :l |:.:!:.:.:.:.:..i:.:.i ゙、! _/ハ:ハ/ |ィ;.:.,.-‐-、!:/.:.:.:.:.V/
i :|.| :.:.:i i i_:|、!、:.:.! i:!、i:.:.:.:.:.:.i:.:.i _;彡';tr=、 ヾ、"' /ヽ |':.:.:.:.:.:.i:.:|:.:.:.:
. ! i:i! | ..:i :i:.:.:i`iー>ト-!、丶:.:.:.:.:i:、^V i_;:::::::ヽ / i: : : : :.:|:.:|:.:.:.:
、:!:i、:.:.i:.:.:.:.|:.i:、:.7メ'f:::::::ヾー\:.:.:.:、`ヾ <;;;:ン ′ ノ : : : :.:.:!:.|:.:.:.:
ヾi 、:.\:.:\:.]〈 っ::::;:i  ̄` _,∠|:|: : : : .:|:.|―- 「須賀くん、みんなに手品を見せませんか?
ヽ!:.i、`゙ー-r≧ >≠ , " " / |:! : : : :.:|:.!////
|:.|:.:.:.:.:.:.:\! ,, ,, / i!: : : : : ::i:.i//// 手品はオカルトじゃないんです。種があるんです。
|:.|: : : : :.:.:.i i r== "ヽ / i: : : : : :.:i:.|////
| |: : : : : :.:i:.:|\ ∨__ノ) / /: : : : : :.:i.:|//// ちょっとみんなに見えないところで種を仕込みましょう!
|:| : : : : :.:.|:イ |:::|l`ー-..、  ̄ ̄ / / : : : : : :.:|/////
|.|: : : : : :.:|:∧ i:.:!i::::::::::::::`i ー-‐ ' ,..-‐:/: : : : : : :.:.i!///// 結果は十月十日後に出ますから!」
___,-、 _, ---- 、
, ´ / ` < ⌒\
/ | :. `ヽ、
/ / / l| V ` 、
.' / , { { | | | 、 、_ \_
| | | | |∧| { : ハ V 、\  ̄´
| | {/--{ 从 | , |-|、 | 、 \`
' | ,..- | | | ,ィtォ=ミ∧ |,ィtォ、} / |l ハ\_、
/イ{ { r 从 { Vソ ∨' Vソ/イ |∧}
∨乂 \ |/ j' リ
}∧ ー:. ` ムl/
/ 、 八 U _ _ 人 「手品?
}イ/|\ /
「<l| ` .__/_ 何を見せるんだ?」
|////>、 | 「/|
-=≦、[二]//l} |、}l∧_
-=≦///////////\ |/////≧=-
r-=≦//////////////////|___j\//////////≧=、
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,. . . -――- . . .、
,. :' : : : : : : : : : : : : : : : :>.、
./ : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : \
/: : : : : : : : : : : : : ,ィ: : : : : : : : : : : :ヽ
/. . . . . . . . / l: : : : : ト、 : : : : : :.
,' : : : : : : : : : : : : / l . . . . l .',: : : : : : : :.
,' : : : : : : :l: :,i : : / U l: : : : :! ',: : :l: : : : :.
i: : : : : : : :l /{ : /-一' レl: : ノー-,: : l: : : : : i
!: : : : ;、: :レ l〃⌒ヾ l/ 〃 ヾ: :l : : : : : !
',: : f⌒\{ {l l} {l l}Ⅵ : 、 : : !
',: { 乂_ノ 乂ノ .l: : :} \ノ
',:乂_ ` .!ヘ:ノ
',: : : : 丶、 U ,--、 u ノ
ヽ{\ : : ㍉  ̄ ,, '' 「(和ちゃんの早口は絶対ヤバいやつだ……!)」
`^≧| ┬ァiフ¨
///∧ Kヽ、
//////∧ }//> , 、
/ \//////∧ー―l///// }
カン!
1個目 京ちゃんの誕生日に投下する予定だったネタ
2個目 ブレーキかけたネタ
可愛い咲ちゃんとテルーのネタを募集したいです
京明華次元 咲は仲間を呼んだ照が現れた(姉妹たっぐふぉーす)
1/10
433
【みやながけの黒歴史】-みやながけ次元-
須賀咲ちゃんです。京咲スレです。
最近京咲分が少ないと思います。もっと京咲は流行るべきだと思います。
それはそうと、今日は家の大掃除。
「あっ、昔のアルバムだ」
「おおっ、懐かしいな」
古いものの整理をしている中、発掘されたのは昔のアルバム。
中学から高校時代に撮られた写真が多く貼られている。
「中学時代の咲はなんか懐かしいな」
「もー、当たり前でしょ?」
「いや、しかしまぁ首がすわってないな」
「どういうこと!?」
首がすわってないって生まれたばかりの赤ちゃんのことだよ!?
うちの子供たちでもすわってるよ!
「なんかロリロリしいって言うか」
「むー、そんなロリロリしいお嫁さんを捕まえたのは誰さ」
「悪かったって。
高校になったら……、首はすわったな」
「当たり前でしょ!」
私の性格が少し変わったのもこの時期だ。
誰とも関わらないような寂しいぼっち生活をしていたのに、だーれかさんには強気に出るようになっちゃった。
京ちゃんったら、こっちが断らないとどんどん無茶振りをしてくるんだもん。
まー、私にしか頼めなかっただろうけどねー? ねー?
「俺は誰かさんと違って友達多いし」
「何さ! 結局私にばっかり頼んでたじゃん!」
「うるせー」
友達の多さは関係ないでしょ、友達の多さは!
た、確かに高校三年間でも和ちゃんたちくらいしか友達できなかったけど!
和ちゃんは友達の輪から外れかけて優希ちゃんくらいしかいないけど!
……あれ、一人?
考えないようにしよう、うん。
2/10
 ̄ ̄ ̄
´: : : : : : : : : : : : : : : : : : : :`ヽ
/: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : .
: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :∧
/: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : .,
. /: : : : :〔 :/ !: : | : : :ト、: : : : | : : : : | : :i: : : ′
′: : : : ∨ | : i| : : :| ´ ̄ :}: : i| : }i: :|: : : : :.
.:: : |: : : : :〔´⌒ヽ八: : :| ∨リ : : |: :八_|: : : : : .
. /:: : :|: : : : i{ __ \{ ,イ庁不、〕/ }: : : : : :.
/__! ト、: : {ィ芹示、 乂:ソ ′ 人: : : : : :
八| \{ 乂ソ ,r: :´: :|: : : : : ::
/: : ∧ ` /: : i: : :|: : : : : :i
.′::/: : . _ _: : : :|: : j : :! : : l|
.: : :/: : :个 ` イ〔_: : リ: /|: : |: : ::リ 「昼間からイチャイチャしないの」
: : : :l/ i|: :! : : :≧. . .-r ´ ヽ\/: !: :ノ,イ:/
. / : | / {: : ∧: : :ト、=´〕 / =‐- .,_ '
〔′ ヽ〔 _,. -‐ ' | / γ⌒ヽ
∧ :|__,. イ /
/ 丶 :| /' / i
. / :.:.:.|:.:.:.: /^l:.: : ||:.:.:.:.:.:.:| ヽ:.:.:.:.:.ハ:.:.:|:.:.:.:.:.:.ヽ:.::.:.::.
/ .:.:.:.|:.:.:.:.| :.: : ||:.:.:.:.:.:.:| |:.:.\ | :.:|:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:.
/ .....:.|:.:.:.:.| /: :.:|ト:.:.:.:.:.:.| |:./_\:/|:.:.:.:.:.:.:八:.:.:.:::
. / .:.:.:.: |:.:.:.:.| \||:.:\:.:.::. ィX笊竺心j:/|:.:.:./:.:.:.:.:.:.:.|
ー |:.:.:.\| i| ノ{:::::ハ 乂ー-ソ j/ V:.:.:.:.:|
|:.:.:.:.:.:. 从乂ーソ .:.:.:.:ハ|
|:.:.:.:.:.:.∧ ′ "" /:.:.:./
|:.:.:.:.:.:.:.:ハ "" 厂:.:.:/j/
|:.:.:八|:.:.八 r-, /:.:.:.:/
|:./ \:.:{\ / |:.::/ 「あっ、お姉ちゃん」
|: \ > .. _ イ リ/
__] {___
_/三l /三三三≧=-__
_x<三ニ/´ / /ニ三三三三三三三>
. r≦三三ニニ/ /三三三三三三三>´
/|三三三三ニ{____/ニ三三三三三三>´ \
「イチャイチャするのは構わないけれど、大掃除を優先するべき」
「ム……京ちゃんのせいで怒られちゃったじゃん」
「俺のせいかよっ」
そーです京ちゃんのせいです。
古今東西こう言う時は男の人のせいなんです!
「お姉ちゃんもそんなこと言ってるとおやつのパンケーキ焼いてあげないからね」
「!?
そ、それは困る」
「ははは、ただでさえ夜のお菓子は没収されてますからね」
「だってもうアラサーなんだよ。
毎日お菓子食べてたら体に悪いもん」
「私はお菓子を食べないと公式戦で勝てない」
「それなら負けていいよ」
「!?」
だって、お姉ちゃんに早死にされるよりよっぽどマシだもん。
でもお姉ちゃんにプロ雀士以外の仕事ができるのかなぁ?
わ、私は専業主婦だもーん。主婦の仕事は大変なんだよー?
3/10
,..-、_,.ィ⌒:.ー-、
/:.:.ハ:.:..ハ::::i:::::::.::.:.ヾー:、
/.::::::::トヽYハ!:i:|::i:::::i:::::::|:.:.:.ヽ
!::|::|:::i| }:ハ:ハ:::!:}:::i|:::::::..:i
. ノ::|::i!::i:| ノ-j;!‐!:|:i:::i:|:::::::::.:i
人:i:::{:、ト|-_ r‐彳テiY |;:ィ::i,:_::::.::!
仟ィiテ)⌒ー―'′ハ!:i'^ヽ::::!
`┼'7 リ /::ト! 「おーい、この『†碧眼金髪剣士と文学少女†』って照と咲どっちのだー?」
. | ヽ ィイ:::::|
、 -―‐ / }:!:::トヽ_
丶 `゙ ,、 ゙ ′i リ!y′ |`ー-、_
"',、__,,、ヽ ! / | `ヽ
// \ i /_ ! _冫ー、
/ /n ハ | \. | / ヾ、
. / //ノ {_ ! /f'" \! / :/: i
/ レ \_ |` イ ′:!: |
ハ `ヽ ノ ハ / /: |
,. :' : : : : : : : : : : : : : : : :>.、
./ : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : \
/: : : : : : : : : : : : : ,ィ: : : : : : : : : : : :ヽ
/. . . . . . . . / l: : : : : ト、 : : : : : :.
,' : : : : : : : : : : : : / l . . . . l .',: : : : : : : :.
,' : : : : : : :l: :,i : : / U l: : : : :! ',: : :l: : : : :.
i: : : : : : : :l /{ : /-一' レl: : ノー-,: : l: : : : : i
!: : : : ;、: :レ l〃⌒ヾ l/ 〃 ヾ: :l : : : : : !
',: : f⌒\{ {l l} {l l}Ⅵ : 、 : : !
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',: : : : 丶、 U ,--、 u ノ 「……」
ヽ{\ : : ㍉  ̄ ,, ''
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-─===‐-ミ
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.: 八.: :|┬─┬}/ ┬‐┬‐ .:.:|`ヽ}
.:/⌒ヽ} | :::::: | 三 | :::::| .'.:.::|
.:{ '└─┘  ̄ └‐┘ l.: .:|
人_ u j.: .:|
i.:.: .: .> )‐┤ イ.l: ::' 「……」
i.: .: .:i .: : _;〕ト _/| h ≦.:.:.|: 八/
ト、.: .:|/⌒ 、_| | | | ト、`〉、|/
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/ ヽ > | ノ / ∧
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, ´ <⌒
,:' `ヽ、
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' , \
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{∧ 「ノ|/}/イ
' 、 | /`/ } '
} ∧ /イ / 「(碧眼は無理カナー)」
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4/10
「……(なんで娘二人とも反応してるの?)」
「……(あ、アレは封印したハズ)」
「……(なんでお姉ちゃんまで反応してるの?)」
「……(カラコンしてみようか?)」
先ほどまでの和やかムードが一転、お互いの鼓動が聞こえてきそうなくらいの沈黙に包まれる。
とりあえず私に心当たりは……心当たりは……。
/ :::::/::::::::::::::::::::.:.::::::::::::::∧:::::.:.:.:|:..:.:.:.|:.:.:::|i::.:.:|
/ ! / ::::::/:::::::::::::::::|:| |::::::|:::|:::::..:.:i:::::::|:i:.:.:l
. /............|........|..//.ハ.......:.ハ..:::| | !: : |:: |:::....:...|:::::::|::.:.:|
/.:.:::;:イ::|!:::::::l//メ、|::::::::!'i:::::|::| i:::::|i:::|::i:::::::::|:::::::::.:.:i゙、
/:.::/ .|::|:!:::://'´`ヽ!::::::| _、::|V-‐!::::|、::!|:::::::::|:::::::::.:.:|
// |/:::V::!| <ヽヽ:::| V'"´゛ヽ、!ヽi::::::::::ト、:::::./i|
!::::::::|:r-、弋ノ ヾ f´:i ヾ ゙、::::::/) }:ル'
r‐|::::∧:ト、.\ , _ゞ',、 / i:::/ ' /W
人:|i:/:.:.::゙、 \ `ー-、 `i. ヽ ,..N./:.:.:.:`ー-、
,イ ゙、゙、:.:.:.:.:.:\ ヽ `ー--‐' /_.ノ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:,,:.:-‐'´>、 「(心当たり、あります……)」
! ゙、 ゙、゙、:.:.:.:.:.:.:ヽ / /:.:.:.:.:.:,,:.:"_, -‐-´i::::|
. /i ゙、. iヽ\:.:.:.:.:.:.\ ,ク´:.:.:.,,:.:"´イ´/ i::!
i | ヽi: :\\:.:.:.:.:.!ヽ _, -‐'´i:.:/:./: / / i| リ
. i | i ヽ: : :.\\:.:.>'´:.:.:.:,; -=i:./: :/ / ハ |
| ゙、 ゙、 |\: : :\\i:.:.:/:.:.:.:.:.:..| : / / i | ノ
はい、若気の至りです。
小説好きなら誰でも通る道だよ!
人は失敗を重ねて強くなるんだよ!
失敗をしない人生なんてないんだよ!
これは誇るべき第一歩!!!!!!!
ーーーとまぁそれはそれとして?
/. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . \
. / . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .ヘ
. / .::: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ::: : i
/ .::::: .:/ . /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :\ .::::::: i
. / :::::/ .:::::/: : .::::..::::::::: : : :::::::::::::::::. :. : : . : ヽ:::::::. i
′ ./ .:::::/ .::::::/::::::::::: : :::::::::::::::::::::::::::::. : ::::. ハ:::::: i
′:. / ::::/ :::::::/:::::::::/ : ::::::::::::::::::::::::::::::::::, :::::::: i::::: |
. /:::::::: ′.:::/:::::::::/:::::::::/:从:::::::::::::::::::::::::::::::::::::. . ...i:::::.i
/::::::::::′:::::′ .′:::/:i:::i::i:::::::::::::::::::::::::: ...::::::::|::: :|
. /::::::::::::i::i::::::i:::::::::.i 从:: i::i :::: .::::::::::::::::::::::::::i:::::i::::::i
. /:::::::/.i::i::::::i::::::::::i:::::::i::::i:::i:::i::::::::i:::::::::::::::::::::::::::i::::::i:::::i::::::i 「(あ、あれは東京に持って行ったハズ……)」
/:::/ |::i:::::i:::::::::i:i::::::i:i::i:::i::::i::::::::l:::::::::::::::::::::::::::l:::::i::::::l:::::i
.// ヾi:::::i:::::::i:i:i:::::i:i:::i::|:::::i::::::::i'::::::i::::::::::::::::::′i:::::/:::::i
.´ 少:::::::',:::::l:i::i:::::i:゙、ト:|::::ヘ:::::::i:'::::|:゙::::::::::::/i::/i::/::::::::i\
/ |::::::::::、:ハ ヾ:i 、.i ヘ::::i::',::i ゙、:::::/ iノ. i/::::i:::::i \
/ |::::::::::ハ ヾ ゞ. ,丶i ゙:j ヘ/ / 厶::::ハ:::i 丶
∧ヾ |:::::::/ ヽ.、 ._ ヾ., イ /::/i::::′ ゝ_
../ ∧ヽ. |::::/. i > _  ̄ . r ./. // i:/ /.:/i_
.i ∧ヽ |:/ 丶  ̄ / / レ /.:// ヽ
なんでお姉ちゃんまで反応してるのー!?
だって金髪モノって……、アレ書いたの京ちゃんと初めて会ってからだし……。
お姉ちゃんと京ちゃんが会ったのってインターハイが初めてだよね!?
いや、別にキャラのモチーフが京ちゃんってことはなくてね?
そのままにすると恥ずかしいから碧眼にしたってこともなくてね?
5/10
「あー、俺さ、あっちで子供達が騒いでるから見てくるよ」
「きょ、京ちゃん。
俺はちょっとお隣さんに呼ばれてるから行ってくるよ」
まるで腫れ物を触るかのように二人ともどこかに行ってしまった。
残されたのは私とお姉ちゃんの二人だけ。
「お姉ちゃん」
「咲」
「このまま見ないで捨てるってのはどう?」
「……同意したい、けど」
「……うん、やっぱナシで」
そう、アレはーー
,. . : : :――: : . .
,. : ´: : : : : : : : : :_: : : :`: .、
, :´: : : : : : : : : : : : : : \: : : : :\
/: : :, : : : /: : : : | : : : : : : ヽ: : : : : ヽ
.': : : : /: /: :.|: |: : :|:|: : : |: : : : :.∨: : : : :.
/: : : : : |: ': :|: |: {:, -|:{---|、:|:|: : : |: : : : : : .
': : : : : : :|_{:__|: {: :V: :V\: }、:|:|: : : |: : : : : :.:|
/: :/: ,: : :´|:|V:{:从: { \}ィチ雫ミ: : : ,:_:_: : : : :|
|: :イ |: : :|:从ィ雫ミ \ _)::刈 }: : // V: : : |
' l |: : :乂{ _):::} Vzり/:イ } ノ : /リ
|: ∧:.∧ Vり _,..イ:/}/
|:/ V : :. ' イ:イ:/ / 「(割と自信作っ!)」
}' {/ 人 v ァ ..: |/ '
` イ |
`_ T´ |⌒\
r-,-、 _,....´./' /´............`:......_
/ / /`>、 _,.. <.........../-、 r/...................................>、
{ ' / ∨{...\.........../ `/......................_> ´ ̄ V..、
, 〈`、ノ,:|:.\.\_{ /---__,...>:.:.´/ , -- |...|
}\_∨/ 乂:.:.:.` ̄`Vイ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.> ´ | / ...|
|\_ ̄ 〉∨` ̄「 ̄ ̄/ ̄ ̄´==== ∨ |..|
|............. ̄}/ L__/ l { |..|
∧............... | /:./:.:.| | |..|
「 ` ̄ ̄ ̄} ,:.:./:.:.:.:| V} |..|
| | /:.:.:|:.:.:.: | | V〉
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./.:.i{.:. |.:.:.:.:|:.:.:.| \ " 乂ソ |.:./.:.:.:ハ.:.:.:.:.:.:.:.:.
. / .:八:.:{.:.:.:.:ト.:i:.| 斗=气 ´ "" }/ }/ |!.:.:.:.:.:.:.丶
.:.:.:.:.:.:.:.:.イ.:.:i|::乂〃 Уソ リ.:.:.:.:.:.:.:.:|
./.:. '" |i:.:.リ.:.:.:ハ ´"" ′ __/::}.:.:.:.:.:|:.:.|
´ |i:/.:.:.:.:.:::::::. /:::::i|::/.:.:.:.:.i|.:.:|
/.:.:.:.:.:.:.:.:.:込、 ´ ' イ:::::::リ/.:.:.:.:.:八:i|
i:.:.:.:.:.:|.:.:.:.:.:|:::::::..... /|::::::/.:.:.:./ :リ 「(麻雀より力を入れた)」
|.:.:.:.:.:.ト.:.:.:.:.|:::::::::::::>.、_ |:::::/.:.:./ ′
八.:.:.:|.:| \:|:::::::::|i::_, く} ト/.:/
\{──<´ ̄ \\ |:イ \_
/⌒ \ ::::\ |:::| } =- .,_
/ 丶 、::::、 }:::} } 、
. / :::: /::/
/ `、 :::∨::/ ∧
お、思い出の品だしね?
6/10
「お姉ちゃん」
「うん」
「単刀直入に言うけれど、どっちのだと思う?」
「わからない」
「二人とも心当たりはある。
そして捨てるのは惜しい、と」
「うん」
「そうなれば、答えは一つだよね」
_,.......---............_
,. : ´: : : : : : : : : : : : : :` : : . 、
/: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :\
. : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ヽ
': : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : .
/: : : / : : : : : : : : : : : |: : : :ヽ: : : : : : : : : : :'
.': : : /: : : : : :/: : : :/: :.| : : : : |: : : : : : : :、: : :.'.
|: : : |: : : : 、|__/_}__/Nノ: : N、|_}_,:|: : : : | : : :'.
|: : :ハ: |: : : ハ: / /:イ }: :/:/ }: ∧:/: : : : ト、}: :.|
{: : {-从: : :{/ ̄ テ雫ミ/イ /イ }イ雫}: : /:/:| リ\}
八:{、:、__ \:lヽ Vり ヒり/:イ:/: :|
`\}、: 、 /:/:/:/:/:/:/:/:/ ム:/:人: :{
, --r--,\ ,-- 、_____ 人: / \〉 「この場で読み合わせ……」
/ |::| |::::::> ____ソイ⌒∨
{ ,::, {::::::::::::∧-, r/:::::://| }
| \、\::::::::::∨- /:::::://:/
| { 、、\:::::::∨/::::://:∧ |
| | \__>、_}'__>´/} |
| | `ー=-r-- ´ ,: |
-‐──‐-
. ´ `ヽ、
/
/ ,
/ / /| ト、 ′
∠._/ / i| i \ 〕
〔 |/ 八〔\ .' \ /
. |∧ :| ┯:┯ V ┯:┯∧ / j
' ∧| 乂ノ 乂ノ ∨、 |
. /:Ⅴ "" ノ |
/::::入_ _ < / /| / 「そうするしかない」
/\ /∧ノ へ ̄ ̄/ \リイ/ / 〔′
 ̄\\ r‐' \/ //\ /
\ヽーヽ └─ー/─' \
丶ー| 〉 〈 | 〈
| .〈∧/ !__/
| | |
どちらかの趣味が暴露されるか、恐ろしいチキンレース。
これ、また姉妹喧嘩の原因になったりしないよね!?
「大丈夫。判明した時点で止めればいい」
「そ、そうだよね」
なんだか読み込んじゃう気がするけど……。
記憶も曖昧だけれど、なんとか思い出そう!
7/10
……
…
「ねぇ、ねぇ」
「なんだ?」
隣にいるのは私の王子様。
なんの取り柄もない私とは到底釣り合わないような幼馴染だ。
「今日、うちに来ない?」
「なんだ、そっちから誘うなんて珍しいな」
「う、うん。
だ、ダメかな?」
勇気を出して一歩進む。
そう、私と彼は幼馴染以上恋人未満の微妙な関係だ。
彼も憎からず私のことを想っているのは教えてくれた。
だけどーー
「(彼は、お姉ちゃんとも関係を持っている)」
それも私のようなピュアな関係ではなく、『そう言う関係』だ。
この前私の知らないうちに家に呼んでいたのを知っている。
忘れ物をして家に帰った時に気づいてしまった。
玄関にある男物の靴は、見慣れた彼のもの。
心臓をバクバクと鳴らせて家に入ってみれば、嬌声が聞こえてきた。
信じたくないと言う思いと裏腹に、目に入ってきたのは姉と彼が絡む姿。
あの時のキモチワルイ感覚を忘れはしない。
それでも私は彼を諦めたくなかった。
彼は私だけでなくお姉ちゃんも手篭めにしている。
もしかしたらお姉ちゃんもそれに気づいているのかもしれない。
それでも、彼に依存してしまっている。
姉妹揃って彼に抱かれるような歪んだ関係でも、彼を捨てられない。
「その、家に誰もいないから」
「それってーー」
「な、なんでもない。
約束、忘れないでねっ」
最後まで彼の顔を見て言うことはできなかった。
それでも視線の端で彼の口端が吊り上がったのが見えた。
もしかしたらこれも彼の思惑通りなのかもしれない。
それでも、絶対にお姉ちゃんには渡したくない。
8/10
……
…
私の想い人は妹のことが好きらしい。
そんな彼を誘って、そう言う関係になった。
彼は誠実な人だったけれど、年頃の男性。
年上のお姉さんの魅力には勝てなかったみたい。
自慢の胸を後ろから押し付けたら一発だった。
「ねぇ、今日は遊べる?」
「ご、ごめんなさい。
今日はちょっと予定が」
「……妹と?」
「……」
彼は嘘がつけない。
彼にとっての沈黙は肯定と同じだ。
「ねぇ、今日はここでしよう?」
「こ、ここって」
「うん、学校」
家に帰って妹に会うのはいいよ。
ただ、その前にたっぷりと印をつけておこう。
今まで姉としてたくさんのものを我慢してきた。
それでも、彼だけは妹に渡したくない。
「こ、こんなところでなんて危ないですよ」
「その方が興奮するんでしょ?」
「……」
沈黙は肯定。
彼は私に迫られると拒めない。
「少しくらい、帰る時間が遅れちゃってもいいよね?」
「……!」
親しいだけの関係なんてありえない。
どこかで必ず歪みがくる。
それならば、今欲しいものを手に入れたい。
「おいで」
そう言うと彼は私に抱きしめられる。
もう、離さないからーー
9/10
……
…
___
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}:/\:|: : : : : : : : / 人 「アレ、私のじゃない?」
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:||...|..人 , _ 人.......l..|: 「……えっ、私のでもないよ」
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|:::::::::::‘:::::::::::::::::::::|::| ` ´ イ:::_:_:__::::::::八 「白望ちゃーん……。
|:::::::::::::‘:::::::::::::::::::「:| ` ....::|:::::l:/ / /^Yヽ
|:::::::::::::::‘:::::::::::::::::|八 T7^\:::::|::: / / / /Y^, 私の次回作のR-18本の下書き知らないかしら?」
|:::::::::::::::::‘:::::::::::::::|\\ // `丶/ / / / | !
|:::::: -‐ ‘:::::::::::: | \\ .//. / / / / .八 |
-‐'^´ ‘:::::::::: | \\ // / / / / / ト、
/ / `ヽー、 ー、 `ー /´
_ -‐ァ'/ ´⌒ヽ 、 ヽ、_ 彡 ´
/⌒ィ'´ / ', \ ヽ
/´ア´ / / / ! ', ヽ
({ / ノ / / ! l \ 、 \
`Y ィ´ / / i l '. 、 ヽ. ',_ `ー-
/ / /イ/i{ j{ j 、 \ ヾ  ̄´
, ィア,' イ /`7~ヽ ハ 八 (ヽ ト、 } ー、
j/ / { { イzx、_エ、 j |~~、 ヽ Y`ヽ }! ソ \}⌒j
´ { ヽハ、{i 佞i「ヽ. ハ{\{zュ.jYハ } 〉ハ ヽ.
∨ ハ `  ̄ \{ ヽ `芒!リイ ノ /イ ハ
ヽ { j! ! 、 } ヽ! 〈 /フ j! / リ
`ヘハ ト U j /´j} ハ ノ
` \ ゚ ` / / ノ j_ノ ´ 「……変なとこに置かないの」
_ -=ニ7⌒ヽ __ .. イ / `7=ュ。_
イ 「ニニニ7 人j ハ 〈 /ニニニ´⌒ヽ
´ i ニニニ{ /l] `Y ', V /ニニ/ '.
l ニニニ、/! [! ( '. Vニニ7 }
/ ハ ニニニニニ| マ、 ィハ Vニ7 ′
/ ', ニニニニニ| マ、ィ´ 。 V /
―=ミ:....
\\
――=}: : ヽ__
. __ /: : : : : : : : : : :/: : : : . .
. /: : \ /: : :/: : : : : : : :/:: : : : : : :\
//⌒ヽ: : Y: : :/ : : : : : : :/7:r ヘ: : \ : : :.
//――|:.: :|:: :/: : : : : : / .::/ ∨: : \ : :.
/:: : : : :/: /: :.′: : : :/_ ;/ ´ ̄∨: : : : : :.
./: : :{:: :/: : /|: : : : : :x云ミ、/ x=ミ ∨:|: :ハ:.:|
′: : ∨: : : / : :| : : i{ r':c::;l゙ イr'c:;!ヽ:.:|: :| |:.|
{: : : : : ヽ : { |:.:|:: :/ ∨)ソ , ∨)ソノ i |: ; :.:!
.∨: : : : : : 八 リ从{ ∧:|/ リ
∨:: : : : :}:.:.| |: :|、 、 , 、 ム|:.|
. 〉: : : : /: :.| |: :| ヾ:\ U .. // 「(あれ、結界の外に出てたような……)」
/:.:.: :/:.:.: :| 乂{ V: :> __ イ:| //
./:: :/ |: : :/ イ: : : | |: : ト
: / j : / ムイ| / ̄>―――- 、
:{ // ,く7 / / \
カン!
京咲、京照、京咲照あればどうぞ
「淡ちゃんは見た!テルーに男の影!!」
他の虎姫を巻き込んで淡が奮闘(?)する一歩離れた視点の京照あるいは京咲照
みやながけ
なぜか京ちゃんを賭けて勝負することになった照とすこやん
飢えた狼相手に照(と陰ながら応援してくれる人達)は勝てるのか!?
1/10
455
【京咲照にバブみを感じる】-京咲照幼馴染次元、その後?-
/// 簡単なおさらい ///
京咲照は幼馴染
清澄、インターハイを蹂躙する
和は白糸台にいます。白糸台はいつも平和です
設定うろ覚え
/// おさらい終了 ///
「京ちゃん」
「お菓子ですね。
今日はパンケーキを用意してありますよ」
「ぱんけーき……!」
「照さん照さん。
幼児化してます」
「もー、お姉ちゃんったらー」
今回はあまり語られなかった清澄事情のお話である。
宮永照はインターハイを制覇するほどの麻雀の腕を持つ。
しかしそのプライベートは非常にぽんこつだ。
清澄のぽんこつ姉妹とその飼い主とは非常に有名である。
/ : : : : : : : /: |i: : : : : : : / : : / | : : |\: : : :|: \: : ::∨: \
. / : : : : : : : : : : : |i:: : : : : ::/ : : >ト ., | : : | |: : ∧ : : : : : :|: : : ::ヽ
. .: : : / : : : : | ::八 : : : : /{/,.斗=ミ. |: : / |< ̄:|: : |:::∧: : : : :.
′: : : : : : : : : :|: : : : : : : / . ,ィ´ん):iト, |/ .斗=ミ|::| : :Ⅳ ∧:: : :::|
| : : : |i::∧: : : : :!: : : : :\{:| 〈 {h:::iノ } ん)ト |/!/ |: :∧ : : |
: : ::|i::|.∧ : :: :|:: : : : : : : :, .乂こン {h:iノ} ゚: : :| : : | : : :/
. \八| |:: :::|: : : : : : : : :, .,.,.,. , 弋こソ {: : : ::|: : ノ }/
|: :\! : : : : : : : : :, ,.,., : : : : |/
|: : : : : : : : : : : : : :, ゝ , } : : : |
|: : : : ::|i: : : : : : : : : イ : : :/
|人:: : :|i: :|: : :|:::|i: :}> イ: :|: : : 「宮永先輩! タコスはどうですかー?」
. \八/\人八/} ー┬‐ ≦: :人/|/
{^辷ー^ヽ/\/ヽア:/
. ,r‐=ニニ二二二\ 〈二ニニニニニニ┐ :/
. / -=ニニニニニニニ.\ ∧ニニニニニニニ.!∨ /
. / -=ニニニニニニ\ Y⌒Y⌒Y}ニニニニニニニj{. ∨
 ̄ ̄ ̄
´: : : : : : : : : : : : : : : : : : : :`ヽ
/: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : .
: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :∧
/: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : .,
. /: : : : :〔 :/ !: : | : : :ト、: : : : | : : : : | : :i: : : ′
′: : : : ∨ | : i| : : :| ´ ̄ :}: : i| : }i: :|: : : : :.
.:: : |: : : : :〔´⌒ヽ八: : :| ∨リ : : |: :八_|: : : : : .
. /:: : :|: : : : i{ __ \{ ,イ庁不、〕/ }: : : : : :.
/__! ト、: : {ィ芹示、 乂:ソ ′ 人: : : : : :
八| \{ 乂ソ ,r: :´: :|: : : : : ::
/: : ∧ ` /: : i: : :|: : : : : :i 「ん、食べる」
.′::/: : . _ _: : : :|: : j : :! : : l|
.: : :/: : :个 ` イ〔_: : リ: /|: : |: : ::リ
: : : :l/ i|: :! : : :≧. . .-r ´ ヽ\/: !: :ノ,イ:/
. / : | / {: : ∧: : :ト、=´〕 / =‐- .,_ '
〔′ ヽ〔 _,. -‐ ' | / γ⌒ヽ
∧ :|__,. イ /
/ 丶 :| /' / i
照も最初は営業スマイルで会話していたのだが、須賀京太郎が潤滑油になってからは素の自分を見せるようになった。
照にとって、優希は非常に懐いてくれるとても可愛い後輩である。
2/10
/: . : . : .>イ:.イ: . ヽ: . : .\
/: . : . : / {/从ノヘ: .ヽ: . : . ,
/ィ'": . : /, ー - ,,__V: . : . : . ,
〃,: . : . // ,,, V: }. i: . :.
〃 . : .:.:/ ,ィf乏ォ、, V:!:リ. : . .
/ ,: . :/ ,イ禾ヾ ら::.リ } .}: /: . : . ,
,' ,: . :.A,{!乂:::リ `ー' ハ: . : . : .:
{ .i: . ,':..,` '" ' ,イ: . : . : . :.
,: .{: .ハ {: . : . 7: . ,
V: . : ハ _ -‐- V: . : {: . : 「須賀君がパパなのは確定として、
ヽ: . : .ヾヽ , <}: . : i: ./
ヽ: . :∧ヽ 、_n_, ィ |: .:ノ: . : {:/ 咲はママで照はお姉ちゃん属性が高いわね」
ノ: . : .∧ヘ}/^ヾ i: ./: . : . {
_/: . : .ノ:;:;{ イ/~ヽ, {゙7: . : ノ: ヘ
,’‐-{: ../:;:;:;:ム '".r、} {ヘ: へ: . :.}<_
7;/ =、 ヽ{`>、:;:;} } ’ ̄ ゙̄i ヾ:;:;ヘノ 〃/、
7;7´ \ _,,i__ i:;:;\ !:;:;:;:;:;:;:;:〃/ Y
,;;,' ', .\ {== ̄``ォ、:;:;ヘ !:;:;:;:;:// / .,
,;,'{ ヽ V:;:;:;:;:;:;:=7 \:ヘ|:;:> '" ヘ.ノ i!
,;,∧ \ r'"ー、_:;:;:;:;:;:;7 `}へ , ヽ
,;;,' .V } ー‐' ヽ {__} ノ
,;;' } / } ノ :|iiiii| } / V
77_ , / ヘ .イ iiiiiiii V
└―‐7 >' } ,' iiiiiiii ,' V
{/ i! 7 ノ:iiiiiiiii / ノ :}
-─===‐-ミ
´.: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: 、
/.: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: \
.: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: :ト、: .: .: .: .:`、
.: .: .: .: .: .: .: .: .|.: .: .: .:| \.: .: .: .: ',
.: .: .: .: .: .: .: : |.: .: .: .:| \|.: .: : :.
.: .:|.: .::| |.: :‐/、|.: .: :l .:| -‐.:|、.: .: ::.
.: .:|.: .::| |.: :/ |.: .:八ノ ハ:.:|::. :.
.: 八.: :|┬─┬}/ ┬‐┬‐ .:.:|`ヽ}
.:/⌒ヽ} | :::::: | 三 | :::::| .'.:.::|
.:{ '└─┘  ̄ └‐┘ l.: .:|
人_ u j.: .:|
i.:.: .: .> )‐┤ イ.l: ::' 「……」
i.: .: .:i .: : _;〕ト _/| h ≦.:.:.|: 八/
ト、.: .:|/⌒ 、_| | | | ト、`〉、|/
| \{ .,_ \| |/ ハ
/ ヽ > | ノ / ∧
,. . . -――- . . .、
,. :' : : : : : : : : : : : : : : : :>.、
./ : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : \
/: : : : : : : : : : : : : ,ィ: : : : : : : : : : : :ヽ
/. . . . . . . . / l: : : : : ト、 : : : : : :.
,' : : : : : : : : : : : : / l . . . . l .',: : : : : : : :.
,' : : : : : : :l: :,i : : / U l: : : : :! ',: : :l: : : : :.
i: : : : : : : :l /{ : /-一' レl: : ノー-,: : l: : : : : i
!: : : : ;、: :レ l〃⌒ヾ l/ 〃 ヾ: :l : : : : : !
',: : f⌒\{ {l l} {l l}Ⅵ : 、 : : !
',: { 乂_ノ 乂ノ .l: : :} \ノ
',:乂_ ` .!ヘ:ノ
',: : : : 丶、 U ,--、 u ノ 「……」
ヽ{\ : : ㍉  ̄ ,, ''
`^≧| ┬ァiフ¨
///∧ Kヽ、
//////∧ }//> , 、
/ \//////∧ー―l///// }
とても仲が良い部活だ。
もちろん、有名になってからは新入部員が殺到した。
なぜか部室に入って久を見た瞬間にみんな帰っていった。
3/10
「久、私が姉ってどういうこと?」
「私なんて年下なのにママだよっ!?」
「何かおかしいこと言ったかしら?」
そう、竹井久の様子がおかしいのだ。
インターハイを制覇するまでの竹井久は特におかしいところもなく普通だった。
しかし、インターハイを制覇してから何やら様子がおかしい。
パパ役の京太郎に問い詰めて見ても目を逸らすばかりだ。
「咲は確かに可愛い娘だけれども、それはそれとしてお母さん力も高いと思うの」
「は、はぁ」
「私だって年下に甘えたくなる時もあるのよ!!!!!!!!」
「!?」
「だって咲、インターハイ中に私にかわいいって言ってくれたじゃない!」
「そういえばそんなこともあったような……」
/: . : . : . : . : /〃 {:iヘ: .从:.:ノヽ: . : . : ',. : . : . : . : . : .}
イ: . : . : . : . :/〃 i! ヾ ヽ{ ヽ: . : . :}: . : . : . : . : . ,
/ {: . : . : . : .:/ .7 ヽ _,, -‐''''ヽ: . :.i: . : . : . : . : ..,
,' .: . : . : . : / { ´ V: .i: . : . : . : . : . ,
{ i: . : . : ../``'''{ー -‐ __,, Vリ: . : . : . : . : . :
: . : . : / ! _,ィf≦乏} }: . : . : . : . : . : .i
{: . :..:/ __,,.ィ 乂///ノ ,': . : . : . : . : . : . ,
,: . :7:ヘ 仟//ハ `¨ ハ: . : .7: . : . : . : . }
,:. : {: .ハ ゞvツ ハ: . : .:..{. : . : . : . : .:
.: . : . : ハ ' 7: . : . : ..i: . : . : . : . :.
V: . : . :', _ {: . : . : . i: . : . : . : . リ 「もーいっかい言って?」
V: . : . へ < ´::::::::ノ ',: . : . :.:.i: . : . : . : .ノ
ヽ: . : . : .:}> 、  ̄ ,ィヽ: . : . i!: . : . : .ノ
\: . : i: . :/` __ < iヽ: . i: . : ./
/==={ /} .|ノ}===ヘ
___
,. : : : : : : : : : : : : : : .、
/: : : : : : : : : : : : : : : : : `ヽ、
.': : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :、
': : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ヽ
.': : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :、: : :.
{: : ,: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :}: : l: 、
|: :,: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : /): :|: : |、: :.
|:∧: : : : : : : : : : : : : : : : : : : イ{∧:|:|: : | \〉
}' 、: : : : : : : : : : : : : : : : l: / Ⅵ/∧: :!
∨:、: : : : : : : : : : : : :/イ u |/ ∨ 「ぶ、部長はかわいいと思いますよ。
}:/\:|: : : : : : : : / 人
/ -从-----イ{ イ どちらかと言うと美人系じゃないかな……?」
_,.::―/:::::::::::::::::::::::::::≧≦--r---、
/:/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::://:/`ヽ
,::/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::{ {::{ ,:∧
/:{{:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::| |::|/' }
{::|| :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: | |::| |
|::|| :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: | |::| |
|::|| :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: | |::| |
|:::ー====================_'_」::| |
´ T T ―r――r、―――――‐ ' }
内心ドン引きしながらなんとか答える。
しかし久は俯いてしまった。
4/10
__ /: : :/: :/: : :/:/: : l: :\: : : : :\
、___厶斗匕: : /: : /:/i: |:l:.|: : : :∨: : : : :.
`¨777¨´∨:/: : /:/ 八:i:从: : : : :i: : : : : :.
/ i/ /∨/: : :/ ´i/ ヾ ∨ : : |: : : : : :.l
{ ∨/:_:_:/-‐/ ―--∨:._:|: : : : : :.|
__ノi ‘: :/:/ /-、 r‐ ∨:.|: : : : : :.ト、
`ー‐/|___ }/:/ __/_ __, ∨: : : : : : | \
i/二二Ⅵ: i 〃ヒ刎「` ´ ヒ刎「ヽ iリ: : : : : :|
/ニニニニ=-、:. .::.::. .::.::. /: : : :l: :l:.|
厂 ̄`マニニニニニ∧ ′ /: :/: : l: :lリ
/ / ∨二二二ニ∧ /: :/: : : l: / 「やだ。美人系よりかわいい系の方がいいもん。
___ノ ∨二二/: 込、 r ‐ 、 〃: :i : : : :!;′
∨ニ/\:i: : 介: .. ` ´ イ : : !: : : l/ それにかわいいって言いながら頭撫でて?」
Τ二二リ: /: i:_:_:〕 ‐-‐ ´ iヽ: :l: : : :{
ノ二二/: : : :/ニニ」 |ニ∨: : : 八
/二二ニ/イ: :l:/ニ「 //: : : :/: : ))
/\二二二八:.:i二ニ|--、 _ー=彡: : : :/彡ヘ{
/ \二二二ヾ二ニ「 ̄ - ´_ /:/: : :/二二ニ=-
__,. : : : ¨¨¨¨: : : . 、
,. :´: : : : : : : : : : : : : : :`ヽ、
/: ,: : : : : : : : : : /: : : : : : : : :\
.': : :/: : :,: : /: :/: /: : : : : :.|: : 、: : :ヽ
/: : :/: : :/: : ': : :': :i: : : |: ! : |: : : ,: : : : :.
.': : : ': : :.:|:{: :|: : :|: :{: : : |、|:_/: :|: :|: |: : : ::.
|: : : {: : :^{从ィ笊ミ、 ∨ ,ィ笊ミ/}: /: : | \}
|: : :∧: : | { ん::刈 ん:刈ムイ : : |
|: : :{ \:、 r弋こソ 弋zソcl:.|、: :|
从: : 、 ' 乂ノ:.:.:. ' :.:.: |/ \:}
Ⅵ、: ー: .、 ___ 人 ` 「お、おねえちゃーん!」
乢: : :| . (__,.---- 、_) イ
从 :| > __. ´
Ⅵ |、
/::::::\ ,::::\
/:::::::::::::::::\___{::::::::::\
「どうせ須賀君を膝枕してあげて耳掃除とかしてあげてるんでしょ?
同じことをしなさいよ!!!!!!! 部長命令よ!!!!!!」
「部長はわしじゃよ」
「先輩命令よ!!!!!!!」
「ほほーぅ。京太郎は咲ちゃんにそんなことやらせてるのかー」
「う、うるせーな。
断ると泣くんだもん、コイツ……」
「実は照先輩もやってたりとか!」
「……咲だけずるいもん」
「あっ」
優希は触れてはいけないことに触れてしまったようだ。
ばつが悪そうな顔をして目を逸らす。
しかし、久が首をグルンと勢いよく回して照の方を見た。
5/10
/: . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . \
, . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : ヽ
. : . : . : . : . : . : . : /:.イ: . : . : \: . : . : . : . : . ,
, : . : . : . : . : /: .//´ {: . : {ヽ: . : ヘ: . : . : . : . : .,
. : . : . : . : ..:/:/ ,' {ヘ: .:! ヽ: . :.ヘ: . : . : . : . : .
. : 〃: . : . :./´ 7 ’、ヾ \: ..V: . : . : . : . ,
!:.〃: . : ..:./ { _,,..ィ ` V: . : . : . : . ,
:〃: . : ..〃 ,.ィ'"´ __ ',: .}: . : . : . :.
〃: . : . /{‐- 、 ´ ,ィf升:芯ヾ !:リ: . : . : . :.,
〃: . : . 7 ヘ___`` ' ゙_) :::: ハ 7 !ソ: .i: . : . : .,
/ i: . : . :.{, イ {_笈沁 弋 :::,乂 .川: .!: . : . : .,
. / .!: . : . :iヘ ', v’:::: リ ¨´ ノ: . :.リ: . : . }:.:}
. ,' i: . : . :{: ヘ ゝ-'’ /: . : ./: . : . :i: .,
{ ',: . : .:.', :.ハ ' /イ: . : /: . : . :.リ: ,
’、 V: . : .ヘ: .ハ _, 〃´ハ: . /: . : . :.ノ:.7 「じゃあ照にやってもらうわ!!!!!」
∨: . : . : 込 ー '" .{! 人: .:7: . : ../:.:/
\: . : . : . :>. . _ イ ヘ: {: . : .,'. : .,'
. \: . : . : . : . : . : .‐..ォ- ' ',ヘ: . : .{: . (
> 、: . : . : ヽ: . :', ィ ヘ: . :ヽ: . \
): . : . : . }: .イ, / ノ: . : . :ヽ: . :\
/: . : . : . :ノイ i! / -‐': . : . : . : ノヽ: . :.}
/: . : .イ:// / ./ , ': . : . : . : >" ヽノ:_ノ
,': . :/ /'"/ /./ /: . : . : >" \
/{: ./ ./ ./ {: .>" \
, ' ヾ / ./ / ヽ{
-―――- ~
~ .....::::::::::::::::::::::::::::::::.::::::::::::`丶
/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\ }
} .:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::. {
{ /::::::::::::::/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.
.:::::::::::::::::::::::::::│::::::::::|\:::|\::::|:::::::::::::::::::::::. }
} /::::::::::::::::::|::::: / | ::|:::::::ト- ::|--∨\ ::::::::::::::::| {
{ /::::::::::::::::::/|::::::|ノ|:八 ::::| _..斗-=ミ\| ::::::::::|::::|
/::::::::::::::| :: /-匕-=ミ\|\| 〃⌒゙ヾⅥ :::::::: |::::| }
 ̄ ̄ |::::::|::イ /〃⌒ヾ {{ }} }|/| ::::::|::::| {
{ |:: 八ハ{ {{ }} ゞ==(⌒) | :: /:::::|
} |/|::: {. ハ (⌒)=='' /// |/}:::::|
|:::: ヽ_| /// __,ノ :::::| }
. { |:::::::::八 _.. ‐~‐-、 イ:::::::::::::::| { 「!?」
. } |::::::::::::个 .._ (_,,.. ‐~~' イヘ::::::::::::::::::|
レヘ::::::::::::::::::::::_≧=一ァ 〔/⌒T:iT7ス::::/
∨\::/r ̄ ̄ ̄7____/ / ∧/ }
{ ∧ | / / / ∧ {
} / {\/⌒)_∠__/| / ∧
/ ゙T{ 二(__ `ヽ _ヽ
/ ∨ハ. {_ / \/ _〉
. { /\ _ | ノ _) 人._ |_/|/ }
} \_____,|/ /i:i\  ̄ ̄`ヽ j {
∨ / /|i: ハ:i:\ |
/ /:i:i:i:ハ:i:i:i:i:丶 ... ______丿
〈 i:i:i:i/ :i:i:i:i:i| | }
、___/:i:i:i:i/ Ⅵ:i/ | {
なんだかめっちゃ飛び火した。
妹を生贄に捧げていた照からしてみれば予想外の話である。
「な、なんで私?」
「そ、そういえばお姉ちゃんは私の耳かきもやってたから耳かき上手でしょ!」
「咲! おねーちゃんを売らないで!」
「同級生でしょ!
なんとかしてー!」
「同級生だけど他人になった!」
「「「(友達ですらないのか……)」」」
京太郎、優希、まこの心の声が同じだった。
彼らは視線だけで握手した。
6/10
. . -――..、--- .、
. : ´: : : : :_:_:/: : \: : : \
/: :/: : / /:/リi:l: i\: : : :\
/: :/: : / i// 从ハ: :\: : : :.
/〃:./: : :./ノ  ̄ ‐‐- ∨: :.i: : : ::.
. // l/: : : /´ ‐‐ 、,__ ∨:.|: l: : ::.
// /: : : :/ ニ、 ィ斥心ヽi: :|:リ: : : :
i/ .: : ://ィ斥心 V沙゚ ノi: :l/ : : : |
l |: : |/从 V沙 , ,,, l〃: : : : :|
i |: : i:∧ ,,, /: : : : / : |
|: : |: ∧ 〈: : : : /: : :;
八: :i/: ∧ ´` 〉:l: :.i: : :/
ヾi/:/i:介: . .., .イi: :l: l:|: :/ 「照がやってくれないなら須賀君にやってもらおうかしら。
∨ノ: :i: :l:_:〕 -- i:.|:l:/:/:.|:/
〃: : :l:.ノ.:.:i ト〃:/: ノ:{ かわいいかわいいって言われながら頭を撫でてもらうの」
-=´i/:/:./ニニニ\ i/: /:./: : :ヽ
// ̄ ノ从ハニニニニニ\__i从i:/`ヽ: :l:.i=-、
. i/{ i \ \:::\二二二\ |二二二ニ/} ∧
. l/| 八 \ \:::`<ニニニニ\|二二>'"::// i
. / :.:.:.|:.:.:.: /^l:.: : ||:.:.:.:.:.:.:| ヽ:.:.:.:.:.ハ:.:.:|:.:.:.:.:.:.ヽ:.::.:.::.
/ .:.:.:.|:.:.:.:.| :.: : ||:.:.:.:.:.:.:| |:.:.\ | :.:|:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:.
/ .....:.|:.:.:.:.| /: :.:|ト:.:.:.:.:.:.| |:./_\:/|:.:.:.:.:.:.:八:.:.:.:::
. / .:.:.:.: |:.:.:.:.| \||:.:\:.:.::. ィX笊竺心j:/|:.:.:./:.:.:.:.:.:.:.|
ー |:.:.:.\| i| ノ{:::::ハ 乂ー-ソ j/ V:.:.:.:.:|
|:.:.:.:.:.:. 从乂ーソ .:.:.:.:ハ|
|:.:.:.:.:.:.∧ ′ "" /:.:.:./
|:.:.:.:.:.:.:.:ハ "" 厂:.:.:/j/
|:.:.:八|:.:.八 r-, /:.:.:.:/
|:./ \:.:{\ / |:.::/ 「お姉ちゃん、やれ」
|: \ > .. _ イ リ/
__] {___
_/三l /三三三≧=-__
_x<三ニ/´ / /ニ三三三三三三三>
. r≦三三ニニ/ /三三三三三三三>´
/|三三三三ニ{____/ニ三三三三三三>´ \
:_,. -─……─- :
:
.:´........................................................\:
:/.......................|........ト、..............................ヽ:
:/.........../ .....|.._|_八......| \__....|............i:
: ̄ ̄ ̄|...|....| [ \| \|....|............|:
:|...|....|┬─┬ ┬─┬ |............|:
: |...ト..| 乂:::ノ 乂:::ノっ|............|:
:i|...|....| |............|:
:||...|..人 , _ 人.......l..|:
八Λ.....> _ . <......../|/ 「はい……」
\|\_,ノ⌒ 〈___/ ⌒>‐-ミ:
;/ ̄ |:\ ∧ / /:::::/ \;
:/ |:::::::\ ∨_/:::::::::/ ハ:
:/ \:::::::Χフ:::::::::/
/  ̄/:Τ:< ̄ ',;
;\ | 〈::::∧:::〉 | /:
選択肢がなくなった。
京太郎は目を逸らしている。
優希とまこは京太郎に責めるような視線を向けた。
7/10
_,. =-―‐-= 、
,. <: : : : : : : : : : : :`ヽ、
/: : : : : : : : : : : :ー- 、 : :、 \
/ィ´ / : : : : : : : : : : : : \ \: ヽ
// イ : : : : : : : : : : : \: : : :ヽ: ヽ:ヘ
/;ィ" / : : : : : : : : j: :、 : : : : \: : :.';ヘ、ハ
. /:,.' .l :/:,': : : : : : :/|: : lヽ、 : : ヽヽ: : ';ヽミ '、
/:/ l/ ,': : : : : :,イι !ト、l `ミー-=ゝ.: : :',: : ヾ\
,':/ .l: :l: : : : : / ヽ ヾ _, -‐'' ヽ.: : :!: :゙l} ヾ:、
f:,' {: :! : : : :/ー- ´-‐,_-ュ、゙,: : l゙!: :{ ゙;
{f V{l: : : :,' ,_=ミ_ ,ィ7圭r`} l: :,!': : ! ,!
゙{ V!.: : :Kf'r伐ミ` ゞ=≠ リ:/j: : リ
`ー--' ゙',: : N゙ ゞ='-' , ////ィ'/: :.厶ィ スヽ 「てるおねーちゃん! てるおねーちゃん!
ヽ:.{ ト、/// (f´イ': : ;:' / \゙,
,rゝぃゝ、 ー~ー ' ィヽlェォ' / ゙; かわいいっていって! あたまなでて!」
_,. -―込_ノ~゙f' `≧,‐ - < /.,イ/i /リ ー- 、
, ';.ィ フ´ : :_:_:_;ノ {ー=ーt'`ー!:.f: :l、ヽ ム' 、! \
fi' f: :,r ´冫fハ、 弋 l. V、: :ゞヽ\ _ \ /
ぃ V: : :( 弋ミ\. ',. l );\: :X `i}/ ヾ
゙ーノ \: :\ ヾ三\. ', l ,.ィ彡ニ;ィヾ!ノ' ,r―=ァー- 〉
/ `ー-ぅヽ辷三\. V/ニニフ_,ム'ノ /|_ ' /
弋  ̄`ヽ `ー-= 、{ `ー=にニシ´ ̄ / _,.-ェ彡三| _,ノ
\ `,、_ l ノメメ| ヒf´  ̄`ヾニヨ ̄
//.: : : :′: : :/ i.: : : : : : |',: :i゙、: : : : : : ',: : : : : ',: : : : :.',
/ :/: : : : i: : : : :′l:',: : : : : :i ',: ',. 、: : : : : :i: : : : : :',: : : : :.',
/ ′ | : : : :i ',:',: : : : : i ',: ', 、: : : : :i: : : : : :.i: : : : : i
/ . : : :i.: : : : : :iハ : :i ',:ト: : : : :i ヾ_,‐弋: ̄:ハ.: : : : :.i: : : : : i
: : : : -|: : : : : :i. ',: i ̄` ',i ヽ.: : :i ´‐ 、 \:i i: : : : : i: : : : : |
´. |: i: : : :ハ ≧i ‐- \: i ‐彳干圷ヾ i: : : : :.リ: : : : : i
i:ハ: : : i: i 斤ハ ミ、 ゞi ち:::::::;ハ ゞ: : : :/ : : : : : :i
i:i .ト.: :i: :i. ', ⊃:::::ノ:i 弋:::::丿ソ i: : :./⌒ヾ: : : :.i
. ',} i:ヽ.:i: :i 弋二丿 ─ ´ j: : / i: : : :.|
i: : ヘ.: :i / ´ /: : : : |
i: : : : : ハ ' /.: :: : : :|
. i: : : : : : :、 r‐‐ ´ : : : : : : :|
. i: : : : : : : :.、 - ─ イ::::::::::::. : : : : : : : |
i: : : : /i::::::::::> / |:::::::::::::i: : : : : :./i | 「……かわいい、かわいい、かわいい、かわいい」
i: : : / i::::::::::::::::::::> __ ´ |:::::::::::::i: : : : :./. i i
. i: : / iハ:::::::::::::::::::::::::│ |__ .: : : : :/ . i/
. i: / ',::ゞ::::::::::: -┤ ゙y /: : :/
. i/ ヽi 、/ /.ノ / /: :/ゞ _
__ -‐  ̄ / / // ‐-
y ヘ i. __ / ´
ヘ ',::', i´ `/
/ ', ',::', i /
/ ' | ', :}∧∨',ヽ, / V | | ' /: : :ヾv v
' :| ', , } ! V / :| V | |{ ,: : / } ヽ v
' / ! :{ハ ハ ∧ } V| /{ V |_, v! | } ヽ
' :, ' , ' ∨∧ ' ,}イ' _j{≫!7:f心刈 V / {l 、|斗 ―――
/ ,∧ ∧ー=ミ{__ ヽ ', j{⌒'| 7/j' j'うゝ:ア | ' ' ' :{l ヽ! `ヽ
,' / ∧ ∧:、 {`~^ ー-- /: : j ^ ≫'’ V' _ノ {l | V
/ ,' / j{∧ ∧ヽ{ ,ィァ=v云| ': : : i| ~´ ' 「:\ } {l ,ヽ
,' ./:| / v∧ {ヾ八{ ヽぅ! /: : : U し :!: : : V:V , \
! ./ | / ヾ∧ ,、\: `: : : :|/: : : :、 }: : : : : ' ,
|/ :| ' )ヽ , \ヽ: : : :': : : : ノ! 八: : : :' ,
' } / / ヽ 丶: :.} !: : : `: .、 _ ': : : : : ' ,
j/ , \し: : : : : : :. _,. '" /: : : : : ' , 「(無表情で頭を撫で続けている……)」
, ヽ.,: : : : : :冖、 _ ,イ{: : : : :/ !
、 > .,: : : : : : ( /: U : : :./ |
| ヽ / :≧s。.,:ヽ _ ./\: : : : {「 \ |
8/10
「照おねーちゃん。
インターハイ頑張ってくれてありがとうね」
「と、特別なことはしていないから……(京ちゃん争奪戦だった)」
「私ね。
照おねーちゃんならきっと団体戦で勝てると思ってた。
私を全国に連れて行ってくれてありがとう」
「そ、それは咲ママのおかげだから咲ママに甘えて」
「こっちに振らないで!?」
「パパが咲を連れてきてくれたおかげね。
パパー!」
「うおっ!?
ぶ、部長、やめてくださいっ!?」
「ちょっ、何やってんですか部長!」
「部長はわしなんじゃが……」
「パパも頭撫でてー!」
「結局京ちゃんの方に来るんじゃないですか!」
「だってパパはひさのパパだもん!」
「子持ちになった覚えはないです!」
いつもの清澄の日常が始まる。
久は大学受験の合間に麻雀部に入り浸るつもりのようだ。
____
,. : :´: : : : : : : : : :` : : 、
, : ´: : : : : : : : : : : : : : : : : : \
/: : : : : : :,: : : : : : : : : : 、: : : : : : .
/: : : : : : : :/: : : : : : : : : : : ヽ: : : : : ::ヽ
:': : : : : /: /: /: :|: : : |: : : : : : : : ∨: : : : : .
/: : :,.:: :|:_:|__|:_ノ| : ||: |、|: |: : :|: | : : : | : : : : : |
/: ィ/|: : |: :|从:{∧: :|}/|:ゝ、_:/:.:| : : : | : : : : : |
l' |: : :V:,イて雫ミ:{ 从{/:_イ: :/|: : : :, : : : : l: |
|: : ,:从{cVり \ イて雫V}: : :/-、: : /}/
|: :ハ: { "" , Vzりつ': :/ }) }: /
|/ }:人 ムイ- く:/
' ヽ::っ イ: :/{∨ 「だめー! 京ちゃんとっちゃだめー!」
` . __ . ´ |/}'
/} /⌒\
/.../ /..................\
, ─ -
,.‐' : :.`゙ 、
/ : : : : : : \
/ : : : : : : _,.::‐: : : : : : :. ヽ
. / : : /: : : : :,,.-: :、: : : : . '
/: : : : : : ,ィ゙: : :__::// ソノリヽ .: :'
|: : : : : : :{: ,ィ示ハ`ヾ. ,,..._ `/| :.} !
l: : : : : : ::Ⅵ、tj::リ んリ`i/: |: :|
|: :!: : : : : ::\ー". {::ツ 〃:,.': /
∨: : : : : : : :ノ゙゙゙ 、 ~.../: //
. 〉: : |: : :i/ r‐‐-, /: : ! 「いいじゃない、ちょっとわけて♪」
f゙//ー{: 、:.\ , ‐.≦イ /"/\
r=≦= 、\: :.:.:ト、 {\:::::∨| /_. !
/ .\ヽソ::::\-ヽ:::リ:! i´∪
まこは考えた。
これでは、新入部員が入る隙がないのではないだろうか?
9/10
……
…
・ドアの外
,ィぃ
_, -――- ,_ ,ィマママム
, '": : : : : : : : : : : : : ` , ,イママママム
/.: : : : : : : : : : : : : : : : : : : :vママママママム
,: : : : : :/: : : :/: : : : : :ヽ: : : : /マママママママム
/: :/ : : //: : : :/: : : :ト、 : : 丶: :付寸ママママママム
/: :/.: : :///| : : |: : : : |: :丶 : :ハ: :寸マママママメメ、
|: :l : : _jレ代ト、: :ト、: : :.ト、 ,ハ: :ト、i: : 寸ママママママ
|: :| : : | ハ|∧ l ` 'l: :l: :l: : : 寸マママママ
人∧,ハl \l l: :i: :| i : : :.寸ママママ
l : : 刈,r==く ,zx、ノノイ / : ::/`マママ
| : : : :| l/l/ , ⌒ヽ. レ⌒Y
| : : : :| ┌ ―┐ l/l/l ノんノ
| : : ,仆、 マ. 丿 rく__/|
l : : !i ト、「>rf^h_, ィ ノ|人|: :/ 「須賀先輩はああいうキャラが好みなんですか!
/イ: :|寸〈V j i | i匕>、 レ′
人| ,rく〉V l i | ̄>′ \` マホわかりました!」
〉 i_〉⊥i, hく ∧
∧/ ,r一' |rヘ、 /ヽ',
/ r| 〈 / ̄ヽ >く l∧
/ 〈 \レ': : : :/ `ヽノj_, / !
/ | `ー\::/  ̄`ヽ ト一
V ∧ `|
V / \ |
〉ー< \ , イ
/ >---く |
/ / / / { } \ ヽ V V
_ ,.斗 // / ./! / ! :} } ' ヽ V', , ,
 ̄ ̄ / / / //_j_ ,' | |、 :} ' :| ,V斗=ミ{ , ,
/ / ' ,' ィ^~v{≧x、,ヽ,' /、ィ'"_j/ } /「 j |
/' / !/| /{ 斗-ミヽ ∨ / }/ア乏メヽレ } }レ
, | :| ハノ∥んr'j V / V' Vrソ 》 :} 八-、 '
/ >'/ ハ { :, ` ー≦' /' ヽ  ̄ /イ{/ヘ Yハ{
/ '" ∥ / ',从_}: 〈| } ! ∥ ヽ
7/ ヽ ' し /’
/’ ` _、 _ {ーイ/
、 f-――'ヽ 人レ'^ 「なんか、悪寒が……っ!?」
\ L∠二二ソ /|/
レ}h。 /r rー==ミ、
r「\__'}个 --- < | |ニニニヾ
|:| } | |ニ{1-B}ニ! __
|:| } / L!ニニニニ{ _,. 斗r≦ニニ=-ヽ
人:.、___」 ___/__/ニニニニニ7 ∥ニ/ニニニ=-,
, ‐ --、斗r≦ニ斗r'ニ7 ノ、 |ニニニニニニニニ/ .∥ニ'ニニニニ=-,
/ニニニニニニくニニニ/\ __ ,!ニニニニニニニニ, ∥/ニニニニニニ=-,
,-=ニニ/ニニニニニニニ\ニム jニニニニニニニニ, ∥'ニニニニニニ=-
/ニニニ{ニニニニニニニ∧ニム /ニニニニニニニニ, ∥ニニニニニニニ!
ーー特に問題はなさそうだ。
10/10
……
…
/:./{ミミ:.:.:.彡≧:.:.\
/:.:/´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.\i
/:./:./:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:\
′:.:/ :.:.:.:.:.:.:.:.:.:|:.:.:.:.:ヽ.:.:.:.:.:.:.:.:.
.:.|:.:.:.:.:|:.:.:.|:.:.:|:.|:.:.:.:.:.:|:.:.:|:.:.:.:.:.:.::.
i......:.:|.....:.:.|:.:.:.|:.:ハ|:.:.:.:.:.:| |:.|:.:|......... |
|:.:|:.八 :.:./7:/|/ ノ|:.:.:. /| |:.|:.:|:.:.:.:.:.ハ
|:.:|:.:.:.:.Tイ示气  ̄ 示气T:.:.:.:.:.:
|:.:|:.:.:.:.:. ` ヒ...リ ヒ..リ |:.:.:.|:.:.|
|:.:|:.:.:.:.:∧ :.:.::.|:.:.|
|:.:.\:.:.:.∧ ' .::\:|:.:.|
|:.:.:.:.:.:.:.:≧:.::..、 イ :.:.:.:.:.|:.:.|
|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.| > <| :.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.| 「淡、私の頭を撫でろ」
|:.:.:.|:.:.::.:.:>-j f\:.:.:|:.:.:.|:.:.|
|:.:.:.|>イ く }l |:.:.:.|:.:.|
|:/ \_ __|l i:.:.:.|\
/\ \ / |:.:. | \
/ ヽ \
/ ./ :.
/ ′ /| :∧ ::.
. / 7 | ./ ! | ∨ | |
′ ! | / ̄`∨ |´ ̄Ⅵ | |
| | r≠ミ、∨ | r≠ミx | |
| | 从 r':::::}!八 〃r'::::::}!》 | |
| | ハ弋)ソ \{ 弋)ソ | | |
{ | :i ,,, , ,,,, / 八 !
. | :} /7 / | 「(なんで……?)」
八 人 v フ / /} 八
\{\( >... 仏イ/ /: \
. / ≧ー < |/ /: \
/ 厂 ̄ | / /:. \
// / /| / ∧::.. ::.
. //' / ∧ // / \::. |
. // / / /\ / / / \::. |
l( / / / / / / \:.. |
/ / ./ ,ィ ヽ ヽ_
/ / ./ // /! |l! .lY'::::::::::)
; i くlハ //,ィ / .| リ! j l }::::::::::l!
|イl! ' _`Vメ、 l / __.! ./_l/__ ノ l::::::i='ヽ
ゝゝ| ;´んィ:!` =j/__ノノイ /¨T ヽヽ
|| l 弋_丿 'んィ:!.ヽ// ,' ! } }
|| l 、、、 弋_丿 // .,ヘ .! j/
|| l ' 、、、 // ./イ |
|| ::ゝ. __ // ./. ! |
|| | l > ´‐-' _イ//∥| l |
|l!. l_L:;ノ:.ト!¨ T¨ェ:://.∥ll! l |
l|-、 ヽ: : : :.l! ̄` |:.:.// /l!ll| .! | 「(そういえば憧は誰かをパパ呼びしているのがすごく似合いますね)」
/-、:::ヽ ヽ: : : l ̄ ̄l:.// /: :ヽ! .! !
. / | >ヽ ヽ:.:.:l l;'///: :/\ .| |
. / l . /ヽ:ヽ ';.:ヽ /:::////、 \ |
人.. V } :!:ヽV/'/l;;;_/ Y ..人 !
. / ヽl l ! [__] / .l i/ ヽ|
カン!
卒業しちゃうと話を作りにくいのでこんな感じで続く幼馴染次元
1/10
447
【髪を伸ばしたテルー】-京照次元-
「そういえば、照さんって昔は髪を伸ばしていたんですよね?」
「ん……?」
いつものように京ちゃんの家でダラダラしていると、京ちゃんが変なことを言い出した。
確かに高校一年生の頃は伸ばしていたけれど、京ちゃんが知る機会はないはず。
「菫?」
「あー、えーっと」
「……」
「さ、咲に聞きました」
「ふーん……」
微妙な沈黙が流れる。
京ちゃんが焦っているのを感じる。
別に何かやましいことがあるわけではないとは思う。
でもーー
「むー!」
「いえ、高一の頃のインハイが終わった後に咲が言ってたのを思い出しまして」
「そうなの?」
「最近は連絡取ってないですから」
「……ゆるす」
「はぁ……」
私は未だに咲に囚われている。
麻雀のことも、京ちゃんを巡ってのことも、全部だ。
京ちゃんのことは咲が何かしたわけじゃない。
でも、自分の好きな人が妹に好意を持っていたのはわかる。
複雑だ。
「それで」
「えっ?」
「髪の毛の話」
「ああ、その、なんとなく気になりまして」
「京ちゃんは長い方が好み?」
「あー、そうですね……。どうだろう?」
なんだか煮え切らない態度だ。
京ちゃんの好みの女性がよくわからない。
2/10
,. --- 、 ____
/, ´ ̄ ̄` '⌒´ \
、_/_/⌒ヽ , / ヽ
,---、 / // : ヽ :.
, / ̄-/ /' { | | | :
/ __  ̄,./ /-' l| l | |___ l | |
.:' / ,イ _| | |ア__l { { | / }`| | |
/ ,:´ | { | l\{从 ∨ィ斧ミ、 | |
/\'´ /{ | 从{__,. \∨Vソ }イ ト、 ∧{
////\ r--- ´八 !∧  ̄ ,: :.:.: }/ノ/ リ 「照さんの、ちょっと大人っぽいところが、いいなぁって」
. ///////\ \}∧ u 八/
//////////〉 込、 __ ,.: /
///////// / }>、 ` イ |从
,'//////// / _ /--、l ` ̄ :, |--、
.///////// / イ/////\ {////} / 「///|
'//////// /´// {////////ー '|////| , |///l|
///////////// |l///////////ヽ// \ |////> 、
////////{/////{!/////////////////}--- /////////> 、
-─===‐-ミ
´.: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: 、
/.: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: \
.: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: :ト、: .: .: .: .:`、
.: .: .: .: .: .: .: .: .|.: .: .: .:| \.: .: .: .: ',
.: .: .: .: .: .: .: : |.: .: .: .:| \|.: .: : :.
.: .:|.: .::| |.: :‐/、|.: .: :l .:| -‐.:|、.: .: ::.
.: .:|.: .::| |.: :/ |.: .:八ノ ハ:.:|::. :.
.: 八.: :|┬─┬}/ ┬‐┬‐ .:.:|`ヽ}
.:/⌒ヽ} | :::::: | 三 | :::::| .'.:.::|
.:{ '└─┘  ̄ └‐┘ l.: .:|
人_ u j.: .:|
i.:.: .: .> )‐┤ イ.l: ::' 「!?」
i.: .: .:i .: : _;〕ト _/| h ≦.:.:.|: 八/
ト、.: .:|/⌒ 、_| | | | ト、`〉、|/
| \{ .,_ \| |/ ハ
/ ヽ > | ノ / ∧
「年上の照さんが俺に甘えてるのとか……なんかいいなぁって……」
「ちょっ、ちょっと、京ちゃん」
「あの、咲の真似?っぽいのをしてた時とかですね。
別人のフリをしてキリッとした照さんが格好良くて、その照さんが俺に甘えてるんだなぁって」
「……!!?!!?」
今日はなんだか激しい。
でも、そういってもらえると嬉しい。
「ちょっと待っててね」
「?」
気持ちを切り替える。
初めての人と会う時の気分で、ひとつ深呼吸して京ちゃんの方に向きなおる。
3/10
. . .-‐…‐-. . .
... ´. . . . . . . . . . . . . \
/. . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
/. . ./. : : : : : : : : : : : i: . . . . ハ
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′ー―ァ: :/: :从: : : ト--ミ: i: : : :|: : :'
′: : : ://⌒/ }: : :リ }: :ハ:|ト: : :i: : : ,
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/: :从: : 八《´んハ. j/ r==ミ /: ::/| . . .|
// _ }ト: : :ハ 弋 ソ :::::: 厶イ: |: . . |
/^ / }|l: ≧ゝ} :::::: ′__ /-' i: :|: . . |
. ' .i / / }: : ::::::人 f ノ ./:::::: i: :|: : i | 「!」ニコッ
. i し' ./ .i} i: ::::i:::::>o。.. < i::::::::/::/: :/: |
ノir―-ミ |:∧:::八::::::::::r'ス´ / ゝ-、 :/}: / }/
f入 `ー 〉 /' V_ゝ/.〈 Ⅹ / i`/イ、_
辷ーく / / / rヘ/__rヘ_/ | ヽ
{ ̄` 入 i / | /:::| / . / ハ
. Y i 圦 |. `> 1 /::::|l ∧ _彡 /
ハ. // ‘, 」:::/ / |/::::::|l/ \ / |
. /八_// ‘ {:::;′〈 . |ト、/ 〉__ i \/
《`ーイ::: V:::{ ‘, |i i/ / | | 〉
ヽ:::::::::::::.. L::i ..........ゝ. У_彡 .........| | ./
マ:::::::::::. 八:::::::::::::\く L:::::::::::::| ′ {
`マ::::::::. :∧:::::::::: ヽ} ::::::::::::::::::::/ .j
マ::::::: }i :::i Oj ::::::::::: /
_, ⌒\/ ̄ ̄ \
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´ / \ `ヾ
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′ | l| } | |、 | |\ \ ̄ ̄´
. { 从 /-}/-Ⅵ { ヽ |
/ ,.-从 | }/ ィ≧、 { \ }'
/イ { ⌒\ { 、 Vj ∨、 \
八 、 \ ヽ  ̄
Ⅵ ,ー、 ,:'
ヾ\ / ∧ -,
ヽ /{/ 、 ' 「(あっ、珍しく笑顔に成功した)」
_从/____ > __ノ
|///////////l :l//|
|///////////| //|
/////////// ∧ :./|
, <////////////////\l/、
//////////////////////\l、
「こ、こんな感じ?」
「そうですね、とても綺麗だと思いますよ!」
「えへ、えへへへ」
「(あ、元に戻って来てる)」
今日の京ちゃんはなんだか積極的。
一体どうしたんだろう。
「そ、それじゃ京ちゃんは髪が長い方がいい?」
「えっ?」
「伸ばして欲しいなら伸ばす」
「そんな簡単に……」
「女の子だから、少しすれば伸びるよ」
お手入れは大変になるけれど、京ちゃんのためなら頑張れる。
咲に負けない(ムフー
4/10
: : : : :/ : : : : : :| : : : :|.. : :. ゙、: . ゙、゙、. \
: : : : : |. : : : : :i |: : : :i:|. : : : ∧: :、.i. .i: : . ` 、
.: : : : : !: : : : : | |、: : :| | : : i | !: :|:| : |:、: : : : : : >
: : : : : :| : : |: i 「! ヽート!、: : リ !: |ハ: ト : | ̄ ̄
.: : :,..-、|: : :i: :|: !゙、 _、!二゙、-| イ: リ ! |ヽ:|
: : / へ.゙、 :丶ヾヽ<´{::::i` ヽ! 1!|:/| :!ノ゙、リ
: :ヽ \ : :!丶  ̄ Vイ:ハ |\:i
.: : 丶 \゙、 `> リ `
ヽ: : :`┬ 、 ヾ /
i: ;ィノ U ,....-ィ / 「あ、写真か何か見せてもらえたらいいなぁって思ったんですが……」
,,:‐レリ _  ̄ /
゛=!_ \ `ー-、_ _/
::::::゛== 、 \ / ̄ヽ、
::::::::::::::::::::::゛===-、 >
_. . ----- . ._
,. : ´: : : : : : : : : : : ` : .、
,. :´: : : : : : : : : : : : : : : : : : :\
/: : : : : : : : : : : : : : : : : :ヽ: : : : : 、
.': : : : : : : ,: : : : : : : : : : : : :'. : : : : :\
|: : : : : : : |: : : : : : : : : : : : : |: : : : : : : ヽ
|: : : : : : : |: : : : : : : : : : : : : |: : : : :、: : : .、
|: : : : : : : {: : : : : : |: : : : : : :},、: : : ::l  ̄ `
|: : : : : : : :| : : : : : |: : :|: : : / {: :.|:|:.|
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|: :| : : : : : : : : : : : |: : :|: : : | |: : |
|: :,: : : : : :/: : : : : ,: : : : : : :|ィ}: : , 「!?」
|: :{: : : : :/: : : : : /: : : :|: : :.| , : /
|:/|: : : : ,: : : : : : {: : : :/: : //:イ_
|' ,: : : /: | : : : : | ̄ /: イ /::/ / ヽ
\: {/、: : :.从 / /::/ / :.
/ }/{ \{ /::/ / }
{ |::| /::/ / |
「だ、ダメですか?」
「い、いや、だって……」
昔の写真なんて恥ずかしい。
それこそ今と違ってお化粧や身だしなみも適当だ。
これでも京ちゃんに会いに行く時にはどんなにダラダラする日でも身だしなみには気をつけている。
お手入れの仕方を菫に聞いた時は顔から火が出るかと思った。
菫もニヤニヤしながら教えてくれたけれど、性格が悪い。
「そ、それはだめ。
京ちゃんが見たいなら髪を伸ばすから」
「いえ、今の照さんも可愛いからこっちがいいです」
「!?」
やっぱり今日の京ちゃんはおかしい!
いつもは冗談半分にお姫様扱いをしたりするけれど、自然に人を褒めるような言い方はしないもん。
「何かあった?」
「えっ」
「……」
京ちゃんをジッと見つめる。
京ちゃんは観念したようにため息をついた。
5/10
, ⌒ ー  ̄ ̄ 、
/_,. - \
/´ / /⌒\ ヽ
, ´ , V :.
/ / / / / | V : V |
/-- ´' / / / l|{ | l| | | {
/ イ { ':|_,斗| | 、_l__/_ィ |l∧
/ ,: ∧ | {∧{ { 、 /}/}/ } /∧|
/ イ / {∧{ 、__,.V {∨ 、_,/ イ}' `
 ̄´ V∨乂l \ ムイ/
从 ' 八/ 「ほ、ホワイトデー……、用意はしましたけど……」
-〈〈/\ v-っ イ》く__
/////∧\} > -- < |//}///> 、
/////////\} 「/〈////////\
/////////////|--、 r-|/ イ//////////\
//////////////∧、__「//////////////// \
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/: : : : : : : : : / : : : : : : : : : : : : . ニlニ
/: : : : : : : : : : ,イ: : : : : : : : : : : : : ∧ |
/: : : :/: : : | l: : :/ | : : : : |!: : |: :|: : : : : :, イ
 ̄ ̄ ̄| : : : N: :/__:| : : : : ト、__|: :|: : :|: : :′
i| : : : | ∨ 八:ト、: : | N: リ: : :|l : : |
. 八: : { l ____ ` \| ___|/ | : 八: : |l
/:リ \N '~⌒`` ´⌒``〕/ ;__: :八
. /:/: : : :ハ """" ' """" '// /: 〔、: :、 「!?」
.: /:__: : : :圦 lヽ r ┐ // /: : /): :\
/: l l\\: : : :| .! ノ .:'_/ 厶 "/: ト、: :ヽ
.' |八 :\\__| .!> __ . イ´ 、__フ‐<ヽ.: :| \:|
. .′ V.rヽ _|___ | /_〔 ̄ | V 〕
//.へ`ー-:.、Υ 八 l |
|{/´ ̄〕 !、___/ヽ /' \
. 八 '′ l / ∧ 〈 、 \
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/ -‐== / ∧ / / :_ :./⌒ヽ. >
\............./ =- V / -‐=':._ ∨ヽ__/
Υ⌒/ .′.:〔二〕´ :._ V´/
|ニ/ : ∧〔\ 八 ∨
|_V .! :/ N' \ 个:、_/
「ほんと!?」
「ほ、本当です。
だけどーー」
「嬉しい! 嬉しい!」
「ちょっ、照さん! 抱きつかないでください!」
感極まって京ちゃんに抱きついてみる。
普段はこうして抱きつくことがないけれど、京ちゃんの体は男の子らしくがっしりしている。
男の子の匂いを感じて、顔が赤くなった。
上を見上げてみると、京ちゃんも慌てている。なんだか可愛らしい。
「その、失敗しちゃって」
「失敗?」
「照さんはパンケーキ好きだって聞いて作ってみたんですけれど」
「ぱんけーき!?」
「よだれ、よだれ拭いてください!」
私の好みは菫から聞いたのかな?
長髪の話といい、そんな気がする。でも咲から聞いたとも言っていたし……?
6/10
「俺、男料理以外にはタコスくらいしか作れなくて、とても渡せるものじゃなくて……」
「……」
「良かったら何か買いに行きませんか?
その、当日になっちゃって申し訳ないんですけど」
「食べる」
「はい?」
「京ちゃんが作ったパンケーキがいい」
有無を言わせず京ちゃんを見る。
京ちゃんは観念したようで、ため息をつきながら用意してくれた。
「甘さが足りないんで、はちみつを多めにかけた方がいいですよ」
「ん」
歪な形のパンケーキ。
作る時に失敗してしまったのだろう。
でも、料理の苦手な京ちゃんが頑張ってくれたことが嬉しかった。
_. . : :―――: . .
,. : :´: : : : : : : : : : : : : : :` : 、
/: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : \
.:' : : /:,: : : : : : : : : 、: : : : : : : ヽ : : ヽ
/: : :/: :/:/: :, : : : : : : |: : :!: : : |: : ∨: :∧
, : : /: :/:/ : / 、: : : : :.ト、: |:|:{: :|: : :.| : |: : .
/: : 〃:/:/|:从-、}:、: : : :.|-从}-Ⅵ : : | : |: : |
/: : ィ: : :{: |r----从\: : |, ---- ミ: : :,: :/: : ,
 ̄´ |: }从:{ ⌒Y ∨ ⌒Y }: :/}/Y : ′
|: : : :/ 乂_ノ 乂_ノ /:イ /: :,′
|: : : { r-: ': : /
从: : 乂 ^ー( イ: : :/: :/ 「むぐっ」
∨: {:从{¨¨, ィ「 ̄ 7¨´、_: 从:イ: :/
\| / \ ∨^/ />/' }:/
/ |乂\∨_,イイ/ }
{/⌒ア `ー介 -‐´ {__〉
{`ー∧ /:∧:.、 |- r'
__________乂ノ 「iY{:/__}:./, -=- } _____
ゝ ――‐ '
,. ⌒ヽ、/⌒ 、-- 、
/_,..- ヽ ` 、
/ /´ / ∨ \
, ´ / ,' : 、 ヽ
/ , , / /| | :. | | | ∨
_/ / / |_|__'_| | _}_|_|_| | | :
 ̄ ̄´/ イ ' { ´| |/__{ |: , ´/}/_}∧ | | |
/ / , rⅥィ笊 从 {∨ /ィ笊_ヽ}/、 | |
/ イ ∧{ 从 Vり \∨' Vり /' / ∧{
´/イ }从lム ; \ ,ノ / \
| ∧ U ∧,イ
Ⅵム - - イ // 「(無表情……?)」
_ヽl\ //イ__
|////} ` ー ´「////|
|////| :. / |/[__}/|
,...<////∧ , |/////> 、
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7/10
はちみつをかける。
パンケーキを切り取り、舌の上に乗せる。
高校の時の先輩が作ってくれたものとは味が違う。
よく言えば甘さ控えめで、悪く言えば砂糖が足りていない。
きっと京ちゃんは私が甘いもの好きだと知っているから、失敗だなんて言ったんだろう。
京ちゃんがこれを作っているところを想像する。
京ちゃんの性格からして、いっぱい失敗したんだろう。
最初はお店に出てくるようなしっかりしたものを作ろうとしたのかもしれない。
でも、今私の前にあるのは簡単に作れるものだ。
京ちゃんの方を見る。
少し気まずそうに目を背けた。
「京ちゃん」
「な、なんですか?」
呼びかけて、こちらを向いてもらう。
私が言う言葉なんてたったひとつだ。
/ .:: : .:::::/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/::::::::::::::::::::: : : i
/ / . /::.::::: .:::;:イ :/:.::::::::::::::::! !
// ..::::_ /: .::::::::/::::::::::::;:イ::;ィ:::::::::::::::::://::/:::::::::::::::::/:: . : :!
/;/´ ̄ /: .::::::/:;:-‐/T77i ̄:::; -‐' /::7ナー-、_:::/:::レ::!: |
´ /: :.:::∠:::イ ___!:::/ /ノ!ナ|::::::://::::::::::::: :!
/.:::::::::::::::::;ヘ! ァ"7::::::::iヾ '´,;-ァ=!::;ィ、 /::::::::/::: : !
/;:イ::::::::::::::::{ヽ|.'{ b::::::::! h::::レ:::i>'::::::::/イ:: : !、
// /:::::::::::::/::| ! ` ゝ:::ン_ ,!'_::::;ン/:::::::/ i::: : 、ヽ、
.!/ !/:::::::::/:::::ヽ i , , , , , , , i:::::::/ /:::::: : : iヽヽ
/ /::::::::::/:::::::::::゙、_| |:|:::/_ノ:::::::::. : : ゙、 \ヽ
/:::::://::::::::::::::;ハ _ _ !:i:::、::::::、::::::::. : : :i ヽ! 「とっても美味しいよ」
∠./‐' /:::::::::::/ > 、  ̄ /v、::ヽ:::丶:::::::.. : :!
/::/::::/ _,ノ:::::::::` r 、 , イ、/ ' !::::/\::::.、: :!
/::/;/ `ヽ、__;ィ:|:ー-`〒´-‐:':´::| レ' ヽ;ハノ
// _,..-'´:|::::::::::::||:::::::::::::::::!丶,、
_,... -―'::´:::| :::::::::::::::::::::||:::::::::::::::::::::::::|:`ー-、
__,.ィ ̄ ̄`ヽ/ヽ__
> ´ ̄ / ` `、 、
、 - ´ / ' } ヽ ヽ\ \
`  ̄ >' / ,: | ∧/! | } ヽ ヽ
/,ィ / ' / /| _/,.ム斗}-/ ハ :.
{/.' ,| ,.|-}/-{ | / ,ィチ斧ミ }/ } | .
/ イ/{ : ! ィ斧从}/ Vzソ ノ /イ ,:
<__ ´// 从{ Vソ / / イ- 、 |
{'{ { , ' /' ⌒ } |
从Ⅵ /.: ノ |
叭 v_ ̄ヽ ,rー' 从
、 イj / /
:. < |' /}/ 「……!」
、__ ´ } イ从/
| |/
「 ̄| 「 ̄ ̄ ̄ ̄}
|//l| |//////// 、
,. <// ∧ |//////////> 、
京ちゃんがくれるものならなんだって嬉しいんだよ。
そう言う気持ち、伝わったかな?
8/10
「今度は私が何か作ってあげるね」
「えっ、照さんが?」
「私だって料理くらい作れる」
ムッとした顔で京ちゃんを見つめる。
京ちゃんは私をなんだと思っているのか。
私は咲ほどポンコツではない、はずだ。
さ、最近は少しだるがりすぎだけれど。
それも全部京ちゃんがやってくれるから悪い。
「照さんの料理かァ。
楽しみです」
「うん、明日お弁当を作ってあげる」
「明日ですか!?」
「うん」
やろうと思ったら早い方がいい。
今の私はすぐにだるだるしてしまうから。
京ちゃんに甘える前に、お姉さんらしいところを見せないと。
_. . : : : : ̄ ̄ ̄: : : : : . 、
,. : : ´: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ヽ
,. :´: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : \
/: :,: : : : : :,: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :ヽ
/: : :/: : : : : /: : ,: : : : : : : : : : : : :,: : : ヽ: : : : : : .
,: : : /: : : : : /: : /: : : : :|: : : : : : : : |: : : : :∨: : : : :.
/: : /:,: : :_:_:/: : /: : : : : :i: : : | : : : : l: : : : : :|: : : : : :
/: : :从|: : : :/|:`イ: |: : : : ∧: :.:|: : : : /: : : : : :|: : : : : |
/ : : : ィ: :{: : :/ィ-、 }:∧: : : | -}:|-|---く: : : : : : ,: : : : : :|
 ̄´ |: ∧: :| _)雫ミ从: : :| _}∧:_:/ }ヽ : : : /: : : : : :
|: : : Ⅵ V::ノ \|´_)笊雫ミ/: : : :/:/: : : : : : ,
|: : : ,: | , V:::::ノノ' : : イ:.イ: : : : : : ,′
|: : :j:从 /:/ /' ノ: : /: : :/ 「じゃあ、これから材料を買いに行くから」
|: : ,|: {: : . _ ´ ィ: ー ´: : :/: : :/
|: :/|: 从: : : . ‘ ’ イ |: :/ : : :/: : :/
|:/ 从{_r--'´` ー 、-=≦ ∨: : : /: : :/
}' / ||:| ∧ /,': : : /: : .イ
/ ||:| / _,./ / : イ:/\
/ ∧:{ /⌒\´/ ´ ´ 、
, {:.:\、 ,′ / ,. ---――‐`ヽ、
/ ∧:.:.:. ∨ /_,.:.―:.:.´:.:.:.// Ⅵ |
{__ , \:.:.:{_/-- ´:.:.:.:.:.:.:./ , マ |
//≧=- 〉介、______/_ / } |
//> ´ ` <≧=--r-- 、  ̄,:' | |
,く ̄´ ` / /^T \ { マ〉
r つ ` < / ∧__|>´| ∧ }
名残惜しいけれど京ちゃんから離れる。
そう、明日は一世一代の勝負だ。
男を落とすのは胃袋から、よく聞く話だもん。
9/10
/.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.\
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/.:′|.:.:.:.:|.:.:.:|'⌒ \.:.{ ,.斗==ミ|.:.:.}:.:.:.:.:|.:.:.:.:.:.:.
./.:.i{.:. |.:.:.:.:|:.:.:.| \ " 乂ソ |.:./.:.:.:ハ.:.:.:.:.:.:.:.:.
. / .:八:.:{.:.:.:.:ト.:i:.| 斗=气 ´ "" }/ }/ |!.:.:.:.:.:.:.丶
.:.:.:.:.:.:.:.:.イ.:.:i|::乂〃 Уソ リ.:.:.:.:.:.:.:.:|
./.:. '" |i:.:.リ.:.:.:ハ ´"" ′ __/::}.:.:.:.:.:|:.:.|
´ |i:/.:.:.:.:.:::::::. /:::::i|::/.:.:.:.:.i|.:.:|
/.:.:.:.:.:.:.:.:.:込、 ´ ' イ:::::::リ/.:.:.:.:.:八:i| 「もう、レディースランチなんて食べられなくなるくらい。
i:.:.:.:.:.:|.:.:.:.:.:|:::::::..... /|::::::/.:.:.:./ :リ
|.:.:.:.:.:.ト.:.:.:.:.|:::::::::::::>.、_ |:::::/.:.:./ ′ 美味しいのを作るから」
八.:.:.:|.:| \:|:::::::::|i::_, く} ト/.:/
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/⌒ \ ::::\ |:::| } =- .,_
/ 丶 、::::、 }:::} } 、
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⌒\ ∨ ヽ___
_, ----` ∨ `ヽ、
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/ イ / // : l | ' / ! 从 | : :.
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}' / |Ⅵ { 从 ' , }/ /イ } .
/ イ | l{ { ∨/ ' } ∧ : :.
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{从 | , ムイ r 、 }} /} \
| ノ ' }/イ/
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人 _,..::ァ r }/ 「スッゲー楽しみにしてますっ!」
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本当に嬉しそうな顔を浮かべる京ちゃん。
明日はちょっと早起きだ。
お弁当を渡したら、どんな顔をしてくれるかな?
10/10
……
…
・夜 電話
:_,. -─……─- :
:
.:´........................................................\:
:/.......................|........ト、..............................ヽ:
:/.........../ .....|.._|_八......| \__....|............i:
: ̄ ̄ ̄|...|....| [ \| \|....|............|:
:|...|....|┬─┬ ┬─┬ |............|:
: |...ト..| 乂:::ノ 乂:::ノっ|............|:
:i|...|....| |............|:
:||...|..人 , _ 人.......l..|: 「菫、京ちゃんの好きなものってなにかな?」
八Λ.....> _ . <......../|/
\|\_,ノ⌒ 〈___/ ⌒>‐-ミ:
;/ ̄ |:\ ∧ / /:::::/ \;
:/ |:::::::\ ∨_/:::::::::/ ハ:
:/ \:::::::Χフ:::::::::/
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/:./{ミミ:.:.:.彡≧:.:.\
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|:.:|:.:.:.:.:. ` ヒ...リ ヒ..リ |:.:.:.|:.:.|
|:.:|:.:.:.:.:∧ :.:.::.|:.:.|
|:.:.\:.:.:.∧ ' .::\:|:.:.| 「私に聞くな。妹さんに聞け。
|:.:.:.:.:.:.:.:≧:.::..、 イ :.:.:.:.:.|:.:.| (修羅場キタコレ)」
|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.| > <| :.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.|
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|:.:.:.|>イ く }l |:.:.:.|:.:.|
|:/ \_ __|l i:.:.:.|\
/\ \ / |:.:. | \
カン!
超忙しいので気長に待ってください…
最近咲AA増えてるけど、ネリーのAA増えないかなぁ
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前スレ925
【グラビティバレンタイン】-重力次元-
バレンタインとは、勝ち組の男と負け組の男が存在する日である。
イケメンで人当たりが良ければ多くのチョコをもらい意気揚々と凱旋し、人によっては母からのチョコ一つで終わる。
俺こと須賀京太郎はモテる方……? とは言い難いが、人付き合いは良かったので今までそこそこチョコを貰ってきた。
クラスの誰とでも話したし、高校時代には俺以外女の子しかいない部活にも入っていたのだ。
しかしーー、大学生にもなると話が違う。
正直、俺は慢心していた。
俺には何故か甲斐甲斐しくお世話を焼いてくれる女の子がたくさんいる。
この一文だけならば後ろから刺されかねないが、本当にそうだから仕方ない。
そんな彼女たちが今日という日に一体何をするのか、全く予測できなかった。
しかしまぁ、嫌われてはいないだろうと思っていたし、チョコくらいは貰えるかな、なんて思っていた。
今にして思えばなんという慢心した考えだろうか。というか、クズ男の考えそのものである。
そう、現実はーー
/ ' | ', :}∧∨',ヽ, / V | | ' /: : :ヾv v
' :| ', , } ! V / :| V | |{ ,: : / } ヽ v
' / ! :{ハ ハ ∧ } V| /{ V |_, v! | } ヽ
' :, ' , ' ∨∧ ' ,}イ' _j{≫!7:f心刈 V / {l 、|斗 ―――
/ ,∧ ∧ー=ミ{__ ヽ ', j{⌒'| 7/j' j'うゝ:ア | ' ' ' :{l ヽ! `ヽ
,' / ∧ ∧:、 {`~^ ー-- /: : j ^ ≫'’ V' _ノ {l | V
/ ,' / j{∧ ∧ヽ{ ,ィァ=v云| ': : : i| ~´ ' 「:\ } {l ,ヽ
,' ./:| / v∧ {ヾ八{ ヽぅ! /: : : U し :!: : : V:V , \
! ./ | / ヾ∧ ,、\: `: : : :|/: : : :、 }: : : : : ' ,
|/ :| ' )ヽ , \ヽ: : : :': : : : ノ! 八: : : :' ,
' } / / ヽ 丶: :.} !: : : `: .、 _ ': : : : : ' ,
j/ , \し: : : : : : :. _,. '" /: : : : : ' , 「朝から誰とも出くわしていない……」
, ヽ.,: : : : : :冖、 _ ,イ{: : : : :/ !
、 > .,: : : : : : ( /: U : : :./ |
| ヽ / :≧s。.,:ヽ _ ./\: : : : {「 \ |
のだ。
朝、目が覚めるとそこに竜華さんの膝枕はなかった。いや、当たり前なんだけどさ。
少しの安堵といつもと違う違和感に悩まされながらもキッチンに向かうと、いつものように朝食が出来ていた。
しかし、誰の気配もなかったのだ。
玄さん、竜華さん、ユキ、モモ、はやりさん、美穂子さん、霞さん……誰もいなかった。
自分で名前を挙げていてあまりの数の多さに頭痛がしたが、それは置いておこう
朝食をゆっくり味わい(今日の朝食の味付けは美穂子さんだろうか)、大学の講義の準備をする。
いつものようにカバンの中を確認すると今日受ける分の講義の教科書が揃っている。
そういえば今日はレポートの提出日だったなーーなんて考えてレポートを確認すると、レポートには付箋で誤字を指摘されていた。
なぜだろう。あたまがいたい。
2/10
しかしまぁ、俺一人になるのはそこまで珍しいことではないのだ。
ぶっちゃけちょっとムラムラしてきたな……なんて思った時にはササっとみんなは何処かへ行き、『一人の時間』を作ってくれる。
彼女たちによる俺のコントロールは完璧なようで、一切不快に思わされることがない。こわい。
だからまぁ、別に今日がバレンタインだからとそんなに気にはしていなかったのだ。
「やっぱり一人の日もいいもんだな」
「おっ、色男は違うねぇ。
そんなこと言ったら刺されるぞ」
「あー、揺杏がいたわ」
「失礼な奴だな、ホント」
昼休み、次の講義の教室に移って弁当を広げる。
この弁当ははやりさんが作ったんだろうな、可愛らしいデコレーション弁当だ。(当たり前のようにカバンに入っていた)
そんなことを考えながら呟いていると、気づいたら揺杏が隣に来ていたようだ。
どうやら俺の最低発言を聞かれたらしい。まー、揺杏ならいいか。
「それ、あいつらに作って貰ったのか?」
「多分、そうだと思う」
「多分ってなんだよ。
あっ、弁当作って貰ってる時に朝寝坊してるとか?」
「いや、気づいたらカバンに入ってるし……。
今日ははやりさんかなーって予想はできるけど」
「えっ、なにそれげっろ……」
揺杏がドン引きしている。うるせー、俺だって怖いわ。
しかし散々みんなに『俺は一人で大丈夫ですよ』と言ったところでなんやかんやされて終わるのは目に見えている。
「で、でもみんなのアイドル瑞原はやりの手作り弁当なんてファンに知られたら刺されるんじゃね?」
「そうだよな。
はやりさん、めっちゃ料理うまいし」
「うっ」
「実家がお菓子屋さんらしいんだよ。
だから小さい頃からお菓子を作ってたんだってさ。
ってコレ言っていいんだろうか」
「へ、へぇ、そうなんだ」
「ほーんとなんでも出来るよな。
麻雀強いし、家事も料理も出来るし、こんなデコ弁作るし」
「……私だってデコ弁くらい作れるし」
揺杏が俯いて何か呟いている。
やっぱり女の子同士だと対抗心が湧くんだろうか。
3/10
「そうだよな。
揺杏も手先器用だから、デコ弁くらい作れるだろ」
「!?
き、聞こえてたのかよ変態っ!」
「変態って……」
目の前でボソボソされれば聞こえるよ。
「そーれーにー、今日もそれ美味そうじゃん」
「ちょっ、人の弁当見んな!」
「はー? 揺杏だって俺の弁当見てたじゃん」
「それとこれとは話が別!」
「いいじゃん。
そのタコさんウインナーとかうまく作れてるじゃん」
「あっ、バカッ!」
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: :/ V/:., ' .,': : :./ ,乂zシ 三三三ーァ示三: }: : :′
:/ /:.人`l : : ,' / 三三 んr7マア: }: : , フ
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// ゞ| : ′ マ 、 ` /: : : :}: ′ `¨
./'' |: :l \ \ 、 /: : : : ': '
/ ,|: :{ \  ̄ ィ: l: : : // 「あっ、こらっ!!」
揺杏が静止するのを無視してウインナーに箸を伸ばす。
最初は抵抗していた揺杏だが、諦めたように弁当を机の上に戻した。
「あ、あんま期待すんなよ」
「何言ってんだよ。美味いじゃん」
「ほ、ホント?」
何やら自虐しているけれど、揺杏の料理は普通に美味しい。
昼食を一緒にするときはいつも食欲をそそるのだ。
いつか奪ってやろうと思っていたが、まさかこんなチャンスが来るとは。
4/10
「だってお前、いつも手料理食ってるじゃん。
それに比べりゃ私なんて」
「いやいや、俺が作ってるわけじゃないし、揺杏の料理も普通に美味しいよ。
料理作れる人ってすげーよな。俺、タコスしか作れないよ」
「まー、お前は舌がアレだからよくわかんないんだろ」
「アレってなんだ、アレって」
確かに料理は出来ないけれど、ここ最近は無駄に舌が肥えてるんだぞ。
変な場所で外食したら違和感を覚えるくらい。
……餌付けされてるっ!?
「まったく、色男さんはいいねー。
毎日女の子の手料理」
「……ホントだよな。なんかお返ししないと、っていうか止めないと」
「?」
「なんでもない」
「どーせ、今日もチョコいっぱい貰ったんだろ?
うらやましいねー、ちょっと分けろよ」
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|' ,} \__/イ__ / 「0個だけど?」
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∨:::::/ |:::// >。. |:::/) ∨::// .|/: : : : : : : : : : : : : 、
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./://: : : : : :| .∨ /ム |:l\マヽ: : : ; : : ゝ: : : : : : : : : : : : ,
ノ://: : : : : : :| ∨ ヽム . |:l ∨ ム: : i: : : : :∨: : : : : : : : : : :, 「冗談、だろ?」
./: : : : : :i: :| i >≦≧ ∨ ム:i!: : : : : : ≧i : : : : : : : : ,
/: : : : : : |: :| , ゞ: : ノ ∨ l}|: : : : : : : : : ` : : : : : : :}
,: : : : : : : : 、: :. l '; : ム ∨ |:}----: : : : : : : : : : : : ノ
/: : : : : : : : : :i、::::- , !: : ム ∨ .i: |  ̄ ̄ ̄
/: : : : : : : : : : :|∧::::.. l i: : :ム v.i}: |
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「冗談じゃねーよ。
あの人たち、俺に世話焼いてくれるけど恋愛感情はなさそうだし」
「お前、それはギャグで言っているのか?」
「ギャグなら良かったよ!」
誰も彼も今にも求婚したくなるように美少女ばかり!
玄さん、竜華さん、ユキ、モモ、はやりさん、美穂子さん、霞さん……スッゲー美人だよ!
だけど『俺の結婚相手を探す』とかやってるんだよ!?
脈なしにもほどがあるだろ!?
「とにかく、そういう関係じゃないから」
「そ、そうなのか。
まあ私には関係ないけどな」
「そりゃそうだ」
とはいえ、こんな話を聞いてもらえるのも揺杏だけだ。
揺杏とバカやってる関係の距離感が心地よい。
「それじゃ、他の人からは?」
「俺、大学じゃ鼻つまみ者……とまでは言わないけど引かれてるんだぞ」
「そうだったな……」
本人たちの考えはともかく、あんな美少女たちに囲まれていればやっかみの一つや二つどころか百はある。
高校からの友人、例えば高久田なんかはわかってくれるけど、基本的に俺は引かれている。
そりゃまぁ、女の子を囲っていれば当たり前か。
「そっか、貰ってないのか」
「連呼すんな」
「……そっか」
「なんだよ、その顔」
揺杏は安堵したような、バカにしたような、そんな複雑な笑みを浮かべている。
なんだよー、そんなニヤニヤすることじゃないだろ。
「そっかー。色男だと思ってたら、意外と」
「うるせーうるせー」
「じゃ、じゃあ仕方ないよな。
さすがに0個じゃかわいそうだし」
「?」
揺杏がなんだかもじもじし出す。
意を決したように鞄に手を入れて、ぞんざいにこちらに箱を渡してきた。
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. -──-.、
/ : : : : _r~-ゝ-、
.: : : : : : r' _ .-─┴‐-. _
/' //: : : :ノ /: : : : : : : : : : : `丶
l{ / : : : У: : : : : : : : 、 : : : : : : : :.
/ : : : /: : : : : : : : : j:.l `丶 : : : : : .
/: : : :/: : : : : : /: : :/ :| \ : : : : :.
.': l : :l{ : l: : : : :' : : / :' /⌒ヽ : : : :.
.': :.l: : i{ :|: : :_:|:_:_,' j/ ,ィ示く: : : l :.
{: : l: : i{ :|: :ハ| : {`ノ 尤j妁 |',: :l: :.
乂: : : :i{: :|: : |乂,ィ示ァ 乂ソ |}: |', :.
丶: : ヽ|: : lト、 Vzソ 、 ぃぃ }´l:.| ',:.l
ヽ : : |: /:|i、_, ぃぃ , ' l:.| ',| 「ホラッ、やるよ!」
: : |/: li : l ゝ _ ` ´ ィ .:,'
', : : : }\| ,アl ー ´ {^ゝ _/
} : : ノ ヽ、 7 丿 / Y *、 _
ノ:/、ヽ* ,' ヽ / l * ハ
ー‐''7 * i| ,イi、\/}.,i\ | * ′
ハ * i|' マL⌒l´ ,ilア `| * ',
, l * { マL l ,ilア | o* ',
.′ * ; `Y^Y | * l
,* | ヒlリ .| * }
__ /⌒ヽ
⌒\ ∨ ヽ___
_, ----` ∨ `ヽ、
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/// / | |l | : ヽ
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/ イ / // : l | ' / ! 从 | : :.
.'/ ' ' /-|-{ { | /}/ | / } } | .
}' / |Ⅵ { 从 ' , }/ /イ } .
/ イ | l{ { ∨/ ' } ∧ : :.
´ | {|从三三 / 三三三 / /--、| ∧{
{从 | , ムイ r 、 }} /} \
| ノ ' }/イ/
{ _,ノ
人 _,..::ァ r }/ 「……?
` ゝ - ' イ |/
` ーr ´ ___|_ これってまさか……!?」
___| |//////|
{|___ノ __|[_]//∧_
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//////////∨///////////////////////|
「ほ、ホラッ、早く仕舞えよっ!」
「チョコレートか!?」
「そうだよ!
ま、まぁ誰に渡すかとか決めてなかったんだけどさ。
ユキにでもやろうかと思ったんだけど、カワイソーだからやるよ」
「本当にいいの!?
返さないぞ!?」
「そ、そんなに喜ぶなんてダサいな!
そもそも返そうとするなよ!」
目の前にあるのは綺麗に包装されたチョコレートらしい。
一見するとまるで本命のように見えてしまうほど可愛らしいラッピング。
やっぱり揺杏って手先が器用だよな。
7/10
「いやいや……、綺麗な包装なことで」
「なんだよ……。
言っておくけど! 義理だからな!」
「わかってるよ。
単に手先が器用だなって思ってさ」
「あー、うるさいうるさい。
急に媚び始めるなよ気持ち悪いなー」
「ひどいっ!?」
確かにいつもはからかい半分もあるけれど、今日は本気で思ってるのに!
しかし本当に嬉しい。
男は単純なもので、義理とわかっていてもチョコが貰えれば嬉しいんだよ!
絶対に貰える……なんて安心感で胡座をかいていて貰えないとか、あるよね……。
「いつまで見てんだよー。
早く仕舞うか食っちゃえよ。
ゴミは持って帰ってやるから」
「いーや、昼食食べたばっかりに食べるのは勿体無い!
これは夜に腹をすかせてから食べる!」
「うわっ、キッモ」
「あー、聞こえない聞こえない」
耳を塞いで聞こえないフリをする。
揺杏には呆れられているようだが、それは仕方ない!
「今までチョコ貰ったことあるのか?」
「さすがにあるぞ。
高校時代は部員女子しかいなかったし」
「……やっぱ返せ、それ」
「やだっ。
ゼッテー返さねー!」
チョコを思いっきり抱きかかえると、揺杏は諦めたようだ。
本人は隠しているようだけれど、揺杏の料理が上手いことは知っている。
さっきのウインナーも美味かったし、こんなご馳走を手放すわけにはいかない!
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「そういや、ユキに渡す分はいいのか?」
「別に一個だけ作ってきたわけじゃないぞ(嘘だけど)
義理だって言ってるだろ」
「友チョコだっけ。
なるほどね」
女の子同士でチョコを渡す方が多いらしい。
清澄時代もそうだったなー。懐かしい。
部長に哺乳瓶を渡されて『ホワイトデーはこれでお願い』って言われて……ダメだ思い出せない。
/: : : /: : :ヾ:./: : :/: : : -<: : : : : : : : :}: : :
: : : /: l{ : : : /: /:/ : : /: : : \: : : ///: : : :.
: : / {: : ヾγ/: /':,: : :/垰ァミ-─'^ /:/| : : : :.
: : :、.{: : : / 7: /: :': :/ 'んぅ_r心ー /:/ .|: : : : :.l
: : : :\:.人/:./: : |:/ 乂zシ '’ / '⌒|: : : :}l:.{
: : : : : :ヽ:/:./从:ハ{ /:./:./ _/,ィfア丐|: : : ハ:.}
ヽ: : : ): :}l: ':.{ゝ:{ 丶 〉‐' ,イi:i|: : / }:}
}:./: :ノ|:.l八 |:ト r 、 /i:i:i:i:': :/ ノノ
/.: : :/r|:.| |:| ー ノi:i/i:/: /=‐'
,/ : : /_八:| ヾ、 >、 < ノノ|i/: /‐-、__
: : : /ノ ト、 {  ̄ ',``フ/ 7: / l´ __ ヽ
: : :.i{{ ', ', ``ニ、 マ 、 ', ̄ // (_⌒` }ヽ 「ホワイトデー、期待してるからな?」
`丶\ ', ハ‘, ‘, 、 ', /'| _(,.-、`` } }
||| `ヽ.', ∧ \, } }、 |ー'´', } 〔_,..--.、 / }\
||| ノ ', ∧∧ ,| } ト| ', | ./ ./、ュ¨ _}ュ
||| V V∧ \ } } ヾ{ {{人 / } ``ーゝ
||| ', VL // ヽl l ノ>' .,' `}
||| ╋ ', ヽヽ // \ { \__ノ ′ ,′
||| ┃ ', マ>'^i} ヽ ‘, ∥ / /
\\ ,ィ う__)-、 ∨厶( o ', , {し′ /
\ /⌒マ=ー-ノ、V/l/} ', ,ゝ、 /
ヽ/‐'─‐\ ヽ//} ', ,}}| ``ヽ_/
,イ} ─‐っ─> 、 }// }、 ,| l\
/ l/  ̄ つ、 \/// } l }}| | \
/\-――‐- 、
, --=7 丶 `ヽ
/, ヽ ヽ
∠/ / 、 、 丶 i
/ i ! l. l i. i |
/ ,/ ! ! l|| ! |、 ll ! | ヽ、
/_ -7 , | l ト、| |ヽ! N , 斗 r ,'_ ト--`
 ̄ //! ! Nヽ!\|,//l/ l/! N ,ハ !|
´ / ,i丶 {=== l/ == =l/ ' ノ リ
´ {ハ!ヽ{ ′ /!}/ ′ 「おー! 任せとけ!」
丶 ー ―‐ ' / |′
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__ i ー ' ! __
, ィ'´:.:/-‐ ´} / `Y´:.:.\
, -‐'' ´:.:./:.:.:./― - 、 ,/__ /:.:.:.:.:.:/`丶、
ハ:.:.:.i:.,:.:,′:.:i `  ̄ /:.:.:.:.:../:.:.:.:.:.:.:.丶、
/:.:.:.i:.:.:|,':.:i:.:.:.:.:! ヽ / /:.:.:.:.:.:/:.:.,:.:.:.:.:.:.:.:.:,.ヽ
さて、揺杏には何をお返ししたらいいんだろうか?
9/10
……
…
・後日
/ . . . . . . . : : : : : : : : . . . \
, . . . . : : .:. .:..:.:.:.:.:.:. .:. .:.:.:.:.:..ヽ:. . :. ヽ
/ . . . : .:.:.:.:.:.:.:′.:.:.:.:. i{:.:.:.:.:.:.:.:.:.:..:.:..‘. ∧
/ :/ :/:/ ..:.:.:.:.:.:.:.| :.:.:.:.:.:. | :.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∨. ‘.. .
/ .イ ′:.:.:.:.:.:{:.:.:.:,| ...:.:.:.: {∧:.:.:.:.:.:.:.:.:.:i:.:.:. :. i
././ ′:!.:.|.......:小:.:.ハ__ .:.:.:.:iハ 斗:十:.ト:. .|:.:... i:. :
i:.′} . :|. :! :.:.:斗{:.:「 丁i .:.:.:.ト:.V ヘ:.{\:.:.`!:.:.:. |: :|
|′.′::l .:|.ト:. .::| ヽ 气{\:.:{ \ ヽ. \} :. : |: :{
i . .:.|:八.:.|ヽ{ _ \ ,z≦ミ、| :.: :.!:. |!
| : /|.::.:.:.::! ,ァ= =ミ ´ `'^| :. : |:.小
|.:/ :! .:.:.:.ハ ′ /i/, | :. : |:.|i
|:′:} .:.: :| ∨ /i ' .:. :. :.!:. l: {
○: :′.:.:.ト. . , 八:.:..:}:. l:.‘
/:.{: :| .:.:.:. {:: 込 ` ´ /}::.:.:./::. :!:. ‘ 「はい、京太郎くんにチョコレートだよっ!」
/:;:.|:.::| .:.:.:. |:::::::个:..... .イ::∨:.:.:/:/.:.′:∧
i:/{:.! .:| .:.:.:. |:::::::/:::::::::ノ}≧ - ´ {入:/.:.:./i/:.:.′:. . ‘.
|{∧{..:.i:.:{:.:.:‘:.:.::::::::/ 乂 / /:.:.:/V:.:.:.{:.:.:. . . ‘.
.′..:.八:!ム:.七¨⌒} >t_ん /:./「/:.:.: 厂 ̄ ≧ 、
/ . rヘ´ ヽ \ | ∧ ∧'ィ斗v′:.:/ ヽ
. / . :′ 八_{ ̄≧ V__/イ´ {'リ:.:.:.:′ / }
/ . . {⌒ヽ 八 z__{ }___, {.':.:.:./ / |
.′. .:| \ 《 ハ下 . /.:.:.:.′ , 小
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.八::::::::::Λf笊心、 イ笊心rァ |::ハ|:::::::::::::: |
. \{\:::. Vり V/タ j/ ヽ::::::::::::: |
|:ハ , ,,. /:::::::::::::: |
|::::: r-イ:::::::::::::::::: | 「(他の人に)誤解されんように日付をずらしたんや!」
|:::::::::::>.. イ |:::::|:::: |:::::::::::::|
|:::::::::|三三=千 /=|:::: |:::::::::::::|
r|:::::::::|三ニニ/ | /三|::::::|=\:::::|
/| |::::::::ムニニ| /ニ三|::::::|ニニ>、|
. / V:::::/三三ニ|――- /=ニニ/:::::/ニ三三>
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( .fヽ/.:.:..:.:.:..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ) く.:.:.:.:\
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{.:.:{ !.:.::..{ |.:.:.:.∨:.| 込_ツ , xxx |.:.:..:.}.:.:::{ |:..:.:.:{
ヾ! i.:.:.:.:! |.:.:.:.:.:Y人xxx _ !:.:..:/.:.::..{ !:.:.:.::i
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{ ヾ.:.::| |.:.:.:.:.:.:.:∨:.>;.,,, /:.:.:ノ/.:.:.:.:.:.∧ }:.:./
. }.:.:| i:...:.:.:.:.:.:.:ヾミ/⌒ヾ≧=一=≦{:.:彡゙:.:.:.:.:.:.:.:.:∧|.:./
ハ.::.! !:..:.:.:.:.:.:.:.:../ ヘ;;;;;;\ /;王トミ.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:{ 「超高級なチョコと手作りチョコ、二つ用意したからねっ☆」
. }.:.! /.:.:.>-ryr| { ヽ\;;;;ヽ Y;;/;;;;;;;;;ヾ;;}乙)-、.:.:.:.:.:.ヽ
. |.:i/.:./ }冫ヽ i |;;;;;;| .|;;i;;;;;;;;;;;;;i;;jてヽ ヽ.:.:.::.:.:\
. ノ.:..:./ ヾミヽ∨´ .|;;;丿 ヾミ;王;彡"いソ ハ.:.:.:.::.:.:ヽ
/.:.:.:.:} (ソi i`ー´< ≧ |.:.::.:.:.:..:..\
/.:.:.:.:.:.| i y夕只、7ry=v=r- ,ィ^ \rv¨ゞ !..ヾ..:..::..:..:.:.\
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_ ,.斗 // / ./! / ! :} } ' ヽ V', , ,
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/' / !/| /{ 斗-ミヽ ∨ / }/ア乏メヽレ } }レ
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/ >'/ ハ { :, ` ー≦' /' ヽ  ̄ /イ{/ヘ Yハ{
/ '" ∥ / ',从_}: 〈| } ! ∥ ヽ
7/ ヽ ' し /’
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、 f-――'ヽ 人レ'^ 「ありがとう、ございます……?
\ L∠二二ソ /|/
レ}h。 /r rー==ミ、 あと霞さんそれはダメですからね!」
r「\__'}个 --- < | |ニニニヾ
|:| } | |ニ{1-B}ニ! __
|:| } / L!ニニニニ{ _,. 斗r≦ニニ=-ヽ
人:.、___」 ___/__/ニニニニニ7 ∥ニ/ニニニ=-,
, ‐ --、斗r≦ニ斗r'ニ7 ノ、 |ニニニニニニニニ/ .∥ニ'ニニニニ=-,
/ニニニニニニくニニニ/\ __ ,!ニニニニニニニニ, ∥/ニニニニニニ=-,
,-=ニニ/ニニニニニニニ\ニム jニニニニニニニニ, ∥'ニニニニニニ=-
/ニニニ{ニニニニニニニ∧ニム /ニニニニニニニニ, ∥ニニニニニニニ!
めちゃくちゃ豪華な包装のチョコをちゃんと七人分もらいました。
カン!
投下終了
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【新たな被害者】-重力次元-
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.八::::::::::Λf笊心、 イ笊心rァ |::ハ|:::::::::::::: |
. \{\:::. Vり V/タ j/ ヽ::::::::::::: |
|:ハ , ,,. /:::::::::::::: |
|::::: r-イ:::::::::::::::::: | 「怜、結婚する気あらへん?」
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|:::::::::|三三=千 /=|:::: |:::::::::::::|
r|:::::::::|三ニニ/ | /三|::::::|=\:::::|
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何 ヽ /.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:\/ ̄ \
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園城寺怜は知っている。
この親友は常に本気だとーー
「いきなり何言うてんねん。
久しぶりやのに」
「怜に縁談を持って来たんよ」
「えぇ……?」
怜が困惑するのも無理はない。
竜華の突拍子な発言に驚かないのは玄、ユキ、モモ、はやり、美穂子、霞くらいのものだ。……いっぱいいるな。
東京の大学に行った親友が大阪に帰って来たと言うから会いに行ってみればこのザマだ。
一体東京で何があったのか、あまり想像したくない。
「男でも出来たん?」
「まさかぁ、うちにそんな縁なんてあらへんよぉ」
「それならなんでウチにお鉢が回ってくるん?」
「京くんのお嫁さん探ししててなぁ。
怜の意見も聞きたいんや」
とりあえず園城寺怜の中で『京くん』の評価が最低に落ちた瞬間だった。
それはそれとして、親友は随分壊れてしまったらしい。
2/10
「あんなぁ……。
100歩譲って誰かを紹介してもらうにしても、や。
そんな他人に頼ってる男なんてやーな感じしかせぇへんで」
「ふふん、京くんはそんな子やないで?
これはうちらが勝手にやってることや。
京くんはやらんでええって言うんやけどな。
変な女に騙される前にいい子を見つけないとあかん」
「竜華が勝手にやってるんかい。
それに複数人ってどう言うことやねん」
「えっと、七人でお嫁さん探ししとるんやけどな。
これがイマイチ上手くいかないねん」
何 ヽ /.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:\/ ̄ \
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「七人、七人って言うたん?」
「そーやね。
うちやろ。玄ちゃんやろ、はやりさんにユキにモモ、美穂子に霞で七人やね」
「ちょー待ち。
はやりって、あのアイドルの?」
「?
なんかおかしいことあるん?」
「いや、もうええわ……」
親友は自分が言っていることが理解出来ているのだろうか。
少なくとも自分が知っている一般的な常識からは大きく外れてしまっているようだ。
「なんか七人の侍とか髑髏城の七人的に格好ええなぁ。
じゃ、ウチはこれで……」
「もー、怜ったら仕方ないなぁ。
これからが話の本番やん」
「あ、そうですか……」
竜華のために道頓堀で買って来たたこ焼きを渡さずに食べ始める。
どうせ益にもならない話が続くだけだろう。そう怜は考えていた。
3/10
「その『京くん』?
そんなに女の子を侍らせて随分なイケメンさんなんやなぁ」
「そうやね。
確かに男前やけど、アイドル的な格好良さとは違うんや」
怜が首を傾げる。
それだけ女の子にモテているならホストのようなイケメンかと想像したのだ。
「女の子に弱くて、尻に敷かれるタイプやね」
「へぇ、そうなん?」
「優しいと言うか甘いと言うか、女の子の頼みは聞いちゃう感じや」
「あー、良く『あの人いい人やね』って終わるタイプ?」
「それはあるなぁ。
まぁ、そーいう人は京くんの良さがわかってないんやけどな!」
怜はほとんど竜華の言葉を右から左に受け流す。
もし男に騙されているようならば東京に出向く必要もあるんかなぁ……などと考えている。
なんだかんだで竜華は親友だ。見捨てるわけにはいかない。
「なんやかんやで一生懸命なんや。
見えないところで努力して、失敗したら人一倍落ち込むんや」
「ほー、男らしくて格好ええやん」
「そうやろそうやろ。
そー言う男の子のプライドってかわええよなぁ」
「それで、竜華ともなんやかんやあったんか」
「それで助けてもらったから、しっかり借りは返そうと思ってなぁ」
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. ′.:: :::::::::::リ、:::::::;《 ん干ハ\ 〃 j\:::::イ::/::::::::::::. /|
. / .::: ::::::::/ ∨ | {:ト::::::ノ:' ,ノ /::::::ヾ }/}::::\ __/ .′
′:::: ::::::::{ ヽ{ ゝ:こソ =ァ=/:::/ ソ/::::::/::\ /
/ :::::! :::::::::∧ 。 ん干ハ㍉ /::::::/:::::: ヽ.′
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.....::::::::::i|.:::::::::::::::::::::|∧ ヘ:/:::::: / ノ
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::/::::::::::j|::::::::::::::::::::::l:::/ \ /::::::::: / / 「京くんに生涯支えようと思ってな?」
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何 ヽ /.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:\/ ̄ \
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4/10
「ん?」
「いやいやいや、おかしいやろそんなん」
「おかしないで?」
「その流れならもう、竜華がその男の子のこと好きになったんやないん?」
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|{: . :.|: . :/{: . : . : . : . 〃 ' --|:|‐∨…{: . :。: . : . : .i.: . ,
| ゝ.__|: . :| |,.斗-: . : //:/ |:| }: . 八: .:i: . : . : .|: . : ′
|/:. .|:.: .匕゚。: . : .//:/ jイ |/ }ハ|: . : . : .|: . :. :{
| | : . ト : .| い: ./ /ィ゚ ,ィ==≠=ミ:、|: . : . : .|: . : . 八
| l: . ∧ リ 斗-==ミ {_)゚:i:i:i:i:i:| / . : . : . :.|ヽ: . : :,
|:乂\ハ /{_)゚:i:i:i:i:i| ∨ゝイノ .|: . : . : .| }: . : i トヘ
|:| : . :.ヽい ∨ゝイ ノ `¨¨´ 1..: . : . :| /..: . : | | }i
|:|i : . : . ∧ `¨ ¨´ :':':':゚ |: . : . : .|′: . : .| | }| 「お、おう」
|:|{ : . : . : ∧゚:':':': ′ } |j: . : ..:, : .: . :. ..j│ }!
|:|o : . : . : .∧ し :゚|: . : ./: .:|: . : /./ /
|:| ゚: : . : . : .:∧ r‐ュ イ j.: .: イ : /} : /jイ
|:l ゚: : . : . : . : \ ´ / //∨イ//
l{ V: . : . :.ト : . :> 。.. __ ィ __,,,... -=ニニニニ=-
乂 \ : ト::} 乂: . :.{\:::{∨ _}/ニニニニニニニニニニ\
ヾ{ リ `ー /二ニニニニニニニニニニニニ\
園城寺怜も立派な女子大生だ。恋愛ごとに全く興味がないわけではない。
素直に異性のことを好きと言える、そんな親友のことを羨ましいと思ったのだ。
「ほんなら解決やん。
竜華がその男に告白すればええんや」
「?」
「クエスチョンマーク浮かべんなや。
その男のお嫁さんを探してるんやろ?
そんでもって、竜華はその男が好きなんやろ?
もう話は解決やん」
はいはい終わり終わり。ノロケ話ご馳走様と顔を背ける。
なんだ、結局この親友は恋愛相談をしたかったのか、そう考えてーー
5/10
-‐…‐-
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从:::::::::::\{‐- -‐\:::l:::::::}:::::|:::
\:::::::笊刋 笊刋ノ::/::::::! |
l\ Vツ Vツイ /、:::|::|
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|:::::| /__丿:::!::!
|:::::|\ ‘ ’ /::::/:::::/:::| 「せやから京くんに最高のお嫁さんを用意するんや」
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ここで会話が噛み合わない。
この友人は一体何を言っているのだろうか。
「竜華は付き合いたくないんか?」
「京くんと付き合えたらええなぁ。でもうちは今のままでも幸せなんや」
「お、おう?」
「うちよりももっとええ女はおるやろ。
その子とくっついて幸せになって欲しいんや」
「いや、竜華がそれでええならええけど……」
「それでな?」
「聞けよ」
自信満々な友人を見て間違っているのは自分ではないか、そう考えた。
すぐに却下した。汚染されてはいけない。
「京くんの好みを考えると、胸が大きくて家事が出来て露出が控えめじゃないとあかん」
「竜華でええやん」
この友人、やっぱり惚気に来たのではないだろうか。
6/10
「もうええわ。
とにかく嫁探ししとるんやろ?
なんか他に六人おるとか言うたやん。
その中の誰かおらんの?」
「それがなぁ……。
何人かお見合い形式で会わせたんやけどうまくいかなくてなぁ」
「やっぱり男に魅力がないんちゃう?」
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/.:.:.: __,._-‐─!.:.:.::{、 / ̄´.:.:.:..:: |:.::.:.:i 母親に天倪にはなってもらえたんやけど……」
. /.:.:/  ̄`!:.::.::| \ 〈 ___.:.:.:..::. /|:.::.:.:|
/.:./ |! :.::|// \⌒ヽ//`ー- |.:.:::.:|
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何 ヽ /.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:\/ ̄ \
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「あ、やっぱり天倪ってわからんよなぁ。
うちも最初なんのことやかわからんかったで」
「いや、そこもなんやけど奴隷とか母親ってなんやねん」
「うーん、説明しづらいなぁ」
悩ましげにため息を吐く知人。非常に色っぽい。
同性の怜から見ても色気を感じるのだから、その男はEDか何かではないかと考える。
しかし、今の知人の惨状を見て連れ合いにしたいかと考えて『無理』と言う結論に至った。
「結局みんなで嫁探ししとるんやけど」
「みんなって……」
変なのが7人も集まっていたら女の子なんて寄ってこないだろう。
喉元まで出かかった言葉を飲み込んだ。
7/10
「とりあえず、今度東京行くわ」
「へっ、怜?」
「元々竜華に会いに行こうと思ってたんやけどな。
折角やし、その男を一目見てみるわ」
「怜が来るなら部屋を掃除せんとあかんなぁ」
「竜華の部屋なんていつも綺麗なんやないか?」
「確かに物は少ないなぁ」
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/ .:.:.:..::.::.::.:.:.|:.:.:.:./ _ < :.:.:'
/.:.:.: __,._-‐─!.:.:.::{、 / ̄´.:.:.:..:: |:.::.:.:i
. /.:.:/  ̄`!:.::.::| \ 〈 ___.:.:.:..::. /|:.::.:.:| 「京くんのパチンコ代を毎朝渡すからなぁ……」
/.:./ |! :.::|// \⌒ヽ//`ー- |.:.:::.:|
. /:.:/ {:.:.::|\ //\ V ////|.:::.::.|
. /:../ ::..:.{ \ /∧ i}//// |:.:.:.::|
何 ヽ /.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:\/ ̄ \
言 | / .:.:/:.:.:.:/ :.:.:.:.:.:.:ト:.:.:.:ヽ:.:.:.:/ :
っ | .:.:.:.′:.:.′.:.:.:.:.:.:.| ヽ: |:.:.:.:| : |
て | |:.:.:.:.:.:/:.:.;.:.:.:.:.ー┼─:.:|:.:.:.:| :
ん | |:.::|:.斗イ:/:.:.:/:. / Ⅳ:.: 八 _ ノ
の | |:.:.|:.:.:|:.:/}:.::/7/ィ云斥、:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ
ー─イ ̄ :.:.::.:.《 廴ソ =¨´|:.:.:.:.:.:.:.ヽ:.{\
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「なんやそのクズ男の見本みたいな奴……」
「京くんが稼げるようにしてるんやけどなぁ。
受け取ってもらえんのや」
「そらそうやろ……」
「最近の京くんったらな。
受け取った振りをしてこっそりうちの財布に戻すか、うちらが渡すパチンコ代を別の財布にまとめてるんや。
わざわざ名前の書いたラベルまで貼って、几帳面やなぁ」
「……お、おう」
「もー、京くんったら優しいんやからな。
本人はうちらに気づかずに返せてると思ってるみたいやけどな。
かわいいやん?」
「(……京くんとやらに教えてやらんとあかんなぁ)」
この知人、ダメンズに引っかかりやすいと思ってはいたが自分から飛び込むとは……。
8/10
「あ、それとな!
こっちに来るなら先に来る時期言ってな!」
「そらそうやろ。
行っても竜華おらんかったら意味ないし」
「それもあるし、予約が必要やから!」
「予約?」
怜が訝しげに竜華を見る。
今更この知人が何を言い出しても驚かないつもりだったがーー
/..........::::::::::::/ |:::ハ::::::::::::::ハ:::::::::::::::::..ノヽ..∧
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'....../..{:::::::::〃:{ 弋{ 〃ヽ::::廴 \:::::::::::::::: |::::::∧
i...../...::|::::::::ト-|:{ \ ぅ 斗=ミ、 i:::::::::::::::::|::::/::∧
|... 7..::|::::::::| |:{_ ヽィ乏)::::ハ 入:::::::::::φ::::::/::∧
|ハ:::::::::ヽr ::y 弌 弋辷ツ ′ 〉::::::::/::::::::i::/::∧
|{ i::::::::::∧〃_)::ハ ` _厶ィ:::ハ:::::::|::::/::∧
|{弋:::::〈:::ハ ゞ -'' 、 ::::::::::: ´ }::::::|:::::::/::∧
` >へ::i ::::::::: u /:::::::|:::::::::/::∧
}.:. -‐- 、 rー ':::::::::::|:::::::::: /::∧ 「怜、急いで豊胸手術を受けなアカンで!
|.∧ V_ ノ イ:::::|:::::::::::|::::::::::::::/::∧
|...:::ゝ / |::::::|:::::::::::|::::::::::::::: /::∧ ほら、医者の立先生のトコ行くで!」
|...::::::::> < 八::: |:::::::::::|::::::::::::::::::::::::::\_
|...:::::::::::::i::::::::::`¨ハ 〉:|:::::::::::|/ ̄ ̄ ̄〃 へ ^ヽ
|...:::::::::::::|::::::::::::::::::〉 /::::|:::::::::::| // ⌒ヽ.∧
|...:::::::::::::|__// _/{:::::|:::::::::::| // V∧
r―|...:::::::::::/ ./---、 ' ./ {:::::|:::::::::::|_彡 ' V∧
. ∧ { |...::::::::/ // ̄ ̄ 7 |:::::|:::::::::::|=- / V
. / } ト|::::::::/ 〃 / |:::::|:::::::::::| ./ / V
何 ヽ /.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:\/ ̄ \
言 | / .:.:/:.:.:.:/ :.:.:.:.:.:.:ト:.:.:.:ヽ:.:.:.:/ :
っ | .:.:.:.′:.:.′.:.:.:.:.:.:.| ヽ: |:.:.:.:| : |
て | |:.:.:.:.:.:/:.:.;.:.:.:.:.ー┼─:.:|:.:.:.:| :
ん | |:.::|:.斗イ:/:.:.:/:. / Ⅳ:.: 八 _ ノ
の | |:.:.|:.:.:|:.:/}:.::/7/ィ云斥、:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ
ー─イ ̄ :.:.::.:.《 廴ソ =¨´|:.:.:.:.:.:.:.ヽ:.{\
,:.:.:.::.:. = ′ j:.:.:.:.:.:.:.:.:.ハ
ィ:.|:.:圦 _ _ /}/:.:.:.:ノ:.:.:.:.:.
/|:.|:.ハ:.:> ~ ̄ ///:.|:.:./:.:.:.:.:V
八:|:.{{\:.\:.:>-イ .// ̄)/⌒ll
\/ |i / __|
/ / / \
ーーああ、この他人は自分の知らないところまで行ってしまったんだなぁ。
とりあえず東京に行って、元凶の男をぶん殴ろうと決意した怜だった。
9/10
……
…
・同時刻
/ . . . . . . . : : : : : : : : . . . \
, . . . . : : .:. .:..:.:.:.:.:.:. .:. .:.:.:.:.:..ヽ:. . :. ヽ
/ . . . : .:.:.:.:.:.:.:′.:.:.:.:. i{:.:.:.:.:.:.:.:.:.:..:.:..‘. ∧
/ :/ :/:/ ..:.:.:.:.:.:.:.| :.:.:.:.:.:. | :.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∨. ‘.. .
/ .イ ′:.:.:.:.:.:{:.:.:.:,| ...:.:.:.: {∧:.:.:.:.:.:.:.:.:.:i:.:.:. :. i
././ ′:!.:.|.......:小:.:.ハ__ .:.:.:.:iハ 斗:十:.ト:. .|:.:... i:. :
i:.′} . :|. :! :.:.:斗{:.:「 丁i .:.:.:.ト:.V ヘ:.{\:.:.`!:.:.:. |: :|
|′.′::l .:|.ト:. .::| ヽ 气{\:.:{ \ ヽ. \} :. : |: :{
i . .:.|:八.:.|ヽ{ _ \ ,z≦ミ、| :.: :.!:. |!
| : /|.::.:.:.::! ,ァ= =ミ ´ `'^| :. : |:.小
|.:/ :! .:.:.:.ハ ′ /i/, | :. : |:.|i
|:′:} .:.: :| ∨ /i ' .:. :. :.!:. l: {
○: :′.:.:.ト. . , 八:.:..:}:. l:.‘
/:.{: :| .:.:.:. {:: 込 ` ´ /}::.:.:./::. :!:. ‘ 「おねーちゃん!
/:;:.|:.::| .:.:.:. |:::::::个:..... .イ::∨:.:.:/:/.:.′:∧
i:/{:.! .:| .:.:.:. |:::::::/:::::::::ノ}≧ - ´ {入:/.:.:./i/:.:.′:. . ‘. (京太郎くんと)結婚して!」
|{∧{..:.i:.:{:.:.:‘:.:.::::::::/ 乂 / /:.:.:/V:.:.:.{:.:.:. . . ‘.
.′..:.八:!ム:.七¨⌒} >t_ん /:./「/:.:.: 厂 ̄ ≧ 、
/ . rヘ´ ヽ \ | ∧ ∧'ィ斗v′:.:/ ヽ
. / . :′ 八_{ ̄≧ V__/イ´ {'リ:.:.:.:′ / }
/ . . {⌒ヽ 八 z__{ }___, {.':.:.:./ / |
.′. .:| \ 《 ハ下 . /.:.:.:.′ , 小
/ . . .:.{ ヽ } ∧__/ }ハ ≧7.:.:.:./ / {:∧
. / . ./..:.:} . | く / } ;:.:.:.:.:′ .′/ {:. .‘.
/ . ./..:.:.:.i ∨ } `≧-ヘ ∧ノ}:.:.:.:.{ . { .′ }:. . ‘.
/ . :/′:.:.:.} ‘. V| ∨ |:ノ}:.:} j / / {:.:. . ‘.
, r ───-- 、
r '´ : : : : : : : : : `ヽ、
./ : : : : : : : : : : : : : :\
/ : : : : : : : : : : : : ヽ : : : : : ヽ
./ : / : : / : : : : : :|: : : : : : :ハ: : :ヽ : ヽ :ヽ
/ : / : : : /: : : : :l: ::j: :|: : : : : | }: : : :ヽ: ::ヽ : ヽ
.{ : : | : : : 」; 斗七´/.}:/.}: : : :リノ }`ト;、: :}:}:: l ; ;} }
! { : :! : : : :!: : :ノ':/`/' .j: : : :// .リ |: 外|: :l: : ト|
.|::l : ::| : : : |:/,r=≠ミ /: : ノ ' ,r=≠ミ/ |リ:: :| :ハ}
.|::|: : :| : : : | 《{////゚} ´ .{//゚/}.ヾ|: : : :|/' '
.|::| : ::|: : : ::| ヾゝ//ソ リ゚/ソ∥!: : ::Y|
.|::|: : :l: : : : | , , , , , , , .j:::: : :|:|
!:l : : :{: : : :{ l: : : :|::!
}::l : : :l: : : ::{ .j : : :リ: |
.}::i : : :l: : : ::ト、. ⊂⊃ .ノ: : : ::j: :| 「玄ちゃん、病院行こう?」
.} :∧: : :W、: :ゝ、_.|_` ー __, ィr<、: |:/': : ::/ : /
ノ : : :ヽ: : :ヽ:\ヽ  ̄ ` ヽ、{ _, r' フ: ::/:: /
/ : : :r‐'ヽ: : : : ∧ /:/: : :∧、
,/': : : ::/ .∧: l: : ::ヽー- ./: : : : :∧: : \
//: : : , r'ー- ∧l: : : :ヽ ー-- j: : : : ::/ ) 、::ヽ::ヽ
/./::/ `> 〉: : : : } l: : : : /r'´ `ヽヽ:)
! {:/ヘ ノ:,: : : : :ト-- ___, -{: : : : { ハ V
V ∧ ノ' .|: : : : :} `ー-'´ ヽ、: : l:ゝ /.}
10/10
……
…
・同時刻
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|:::::::: l :::::::::::|:::::::::::::l:::::::::l:::|八::|:::l:::::::::::::|::|__, |:::::::|l:::::::::::| |
|:::::::: l :::::::::::|l::::::::::::|\从::l __}八{:::::::::::::l:ノ 从::::リ:::::::: 八 j
|:::::::: l ::::::::::八::::::::::| ,,xぅ斧笄ミ\::::::::|斗ぅ斧x )/:::::/:/ ノ
|:::::::: l ::::::::::::::::\::::| 《 h __j刈 `ー┘ h__j_| 》厶イ イ
|:::::::: | ::::::::::::::::::::个゙ 乂廴ソ 乂_ソ ,′:::::::|
|:::::::: | ::::::::::::::::::::::| , ,′:::::::::|
|::::::::┃ : :::::::::::::::::| `` `` ,′:::::::::::|
|:::::::::‘:::::::::::::::::::::::|\ r‐ ┐ 人::::::::::::: |
|:::::::::::‘:::::::::::::::::::::|::| ` ´ イ:::_:_:__::::::::八 「ほら初美ちゃん!
|:::::::::::::‘:::::::::::::::::::「:| ` ....::|:::::l:/ / /^Yヽ
|:::::::::::::::‘:::::::::::::::::|八 T7^\:::::|::: / / / /Y^, 神様にお願いして身長とおっぱいをもらいましょう!」
|:::::::::::::::::‘:::::::::::::::|\\ // `丶/ / / / | !
|:::::: -‐ ‘:::::::::::: | \\ .//. / / / / .八 |
-‐'^´ ‘:::::::::: | \\ // / / / / / ト、
<: : : : : : : : : : :>ュ
/: : : : : : : : : : : : : : : : : : :.\
_/: : : : : : /: : : : : : : : : : : : : : : :.ヽ
<: : : : : :jk : : /: : /: : : : : : : : : : : : : : : :ヽ
/: : : : : : /: :ノ: :/: : : /: : : : : : !: : : : : :!: : ヽ: : : ヽ、
/ィ "⌒/ イ: : : ::/: : :/: : : : : : :イ: : : : : : !、: : !: : : :!ヾ\
/ " / !: : : i{: : :/: : : : : /:/ !: : : : : :! i: : : i: : : : ! \ヽ
/ .i: : : :!: :/: : //: : // !: : : : :/ !: : :.!: : : : ト、 ヾ ヽ
! {: : : :!:/: : /`ー-- /: : : イ/ __j/!: /!: : : : ト、ヽ ヽ}!
!: :/^ヽi: /"芹三ミ/: :// "___,,,,i/ j: : : : / ヽ i}
!:∧ cッん;;;シ "芹ニミ/: : : : / i7
!:{ 弋-、 :::::: 、 ん;;cっイ}: : ! リ
ヾ i:\ ::::::: ! |: : |
ヾ ヾ}h。_ ~ー- 、 .。イ |: :.l
ィー -- -ィ. . . .>ー--< |: :.l
/. . . . .', ',` ー 、. .`ー-ィ  ̄.ヽ .|: / 「……」ムスー
/. . . . . .', ',. . . . . . . . . ..', ',. . . . .`, l/
/. . . . . . r、 ヽ. . . . . . . . / ',. . . . . .ヽ__
≦シ. . . . . /;;,i \___ _ノ ヽ!_,,,,,ィ `
}!`ー――--===ヽ / _,,',
}!_ \ / -ー" ̄ ゝ
i  ̄ ̄ ̄ ヽ \ / / .:;:, .,,ノ
カン!
哩→京太郎→姫子
揺杏→京太郎→爽
こー言うの見たい
1/10
561
【エイプリルフール】-重力次元-
日本人はイベント好きだ。
やれクリスマス、バレンタイン、ホワイトデー、数えればキリがない。
そのうちの一つがこの『エイプリルフール』だ。
端的に言えば『嘘をついても良い日』であり、概ねこの日に託けて弄り合うのが常である。
例えば、嘘をついても良いのは午前中だけだとか、ついた嘘は叶わないだとか。
そういう説もあるが、要するに『楽しければいい』のだ。
しかし相手が不快にならない程度の嘘ーーと言うと意外と難しい。
例えばーー
「どうしてこうなった……っ!!」
ちょっと背伸びしたお洒落な服を着て、駅前で待ち合わせ。
すでに揺杏の許容量はオーバーしていて、心がはち切れそうだ。
それは朝、揺杏がさり気なく送ったメールが原因だった。
……
…
『今日奢ってやるからデートしようぜ!』
揺杏にしてみれば今日はエイプリルフール。
奢ってやる、デートしようぜと言ってからかったつもりだ。
京太郎が恥ずかしがれば儲けもの、奢ってもらえると思って騙されたら弄ってやろう。
そんな軽い気持ちで送ったメールだった。そのはずなのにーー
『いいぜ。どこに行く?』
なーんて、素で返されてしまえばこちらとしても声をかけにくい。
デートに恥ずかしがるわけでもなく、奢ってもらえることを喜ぶわけでもない。
ただ普通に友達と遊びに行く感覚で了解されてしまった。
「どーっすかな……」
返信に困ってベッドで唸る。
まさか二人きりで出かけるわけにも……。
ーー二人きり?
2/10
……
…
かくして、友達としての暇つぶしとちょっとの下心の前に揺杏は屈した。
本当は何もない1日になる予定だったのに、了解のメールを見てからは大忙し。
飛び起きてシャワーを浴びて、時間をかけてアイロンで整える。
適当に整えればいい男と違って女の子は大変なのだ。
綺麗に見えるように整えて、急ぎながらも丁寧に化粧をして、今日着て行く服を選ぶ。
揺杏は洋服に拘りがある。
自分でアレンジしたものも含め、家の中にはたくさんの服がある。
大体は『作ったはいいけれど自分には似合わない』なんて言ってそのまま仕舞っている服なのだが……。
「や、やっぱ冒険しすぎだったか……?」
なんとなく、そう、なんとなくだ。
他意はない。ちょっと可愛く見せようだとか、たまにはこう言うのを見せようだとか。
本当に気まぐれを起こしただけで、別にアイツに見せたかったわけではない。
普段よりちょっとだけ可愛い系の服を着て、ずっと時計とにらめっこ。
結局、待ち合わせ時間の一時間も前には着いてしまった。
「……まさかアイツ」
急に不安が押し寄せる。
最初に嘘をついたのは自分だ。ーー嘘ではなくなったが。
まさか最初にこれを嘘と見抜いて、あっちも嘘で返してきたなんてことはーー
,. ⌒ヽ、/⌒ 、-- 、
/_,..- ヽ ` 、
/ /´ / ∨ \
, ´ / ,' : 、 ヽ
/ , , / /| | :. | | | ∨
_/ / / |_|__'_| | _}_|_|_| | | :
 ̄ ̄´/ イ ' { ´| |/__{ |: , ´/}/_}∧ | | |
/ / , rⅥィ笊 从 {∨ /ィ笊_ヽ}/、 | |
/ イ ∧{ 从 Vり \∨' Vり /' / ∧{
´/イ }从lム ; \ ,ノ / \
| ∧ U ∧,イ
Ⅵム - - イ // 「おいおい、来るの早すぎだろ?」
_ヽl\ //イ__
|////} ` ー ´「////|
|////| :. / |/[__}/|
,...<////∧ , |/////> 、
, <///////////\ ///////////> 、
, </////////////////}____{/////////////////> 、
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「俺はちょっとその辺見て回ろうと思ってさ。
早めに来ようと思ったんだけど……」
「私だってそうだよ」
「いやいや、待ち合わせ場所にいるじゃん」
「うっ……」
困った。言い返すネタがなくなった。
3/10
「まぁいいや。
どこに行くんだ?」
「えっ、えーっと」
「奢ってもらえるなら荷物持ちくらいするぜ!」
そう言えばそんな話だった。
慌てて話を合わせることにする。
「そ、そーだよ。
荷物持ってくれるなら奢るよ」
「そんなにたくさん買う気なのか?」
「新年度に入るからね。
色々と入り用なんだよ」」
「そんなもんか」
チラッと京太郎の姿を見る。
いつも大学で見かける私服と何も変わらない。
もともと身だしなみが不潔と言うわけでもないから、外を出歩いていてもなんらおかしいことはない。
しかし、ちょっとだけ納得いかない。
こちらだけ一方的にお洒落をしているみたいじゃないか。
「そーいやさ」
「なんだよ」
「どーした、いきなり不機嫌になって」
「別に」
「まぁいいや。
その服、新しい奴?
似合ってるじゃん」
/: : : /: : :ヾ:./: : :/: : : -<: : : : : : : : :}: : :
: : : /: l{ : : : /: /:/ : : /: : : \: : : ///: : : :.
: : / {: : ヾγ/: /':,: : :/垰ァミ-─'^ /:/| : : : :.
: : :、.{: : : / 7: /: :': :/ 'んぅ_r心ー /:/ .|: : : : :.l
: : : :\:.人/:./: : |:/ 乂zシ '’ / '⌒|: : : :}l:.{
: : : : : :ヽ:/:./从:ハ{ /:./:./ _/,ィfア丐|: : : ハ:.}
ヽ: : : ): :}l: ':.{ゝ:{ 丶 〉‐' ,イi:i|: : / }:}
}:./: :ノ|:.l八 |:ト r 、 /i:i:i:i:': :/ ノノ
/.: : :/r|:.| |:| ー ノi:i/i:/: /=‐'
,/ : : /_八:| ヾ、 >、 < ノノ|i/: /‐-、__
: : : /ノ ト、 {  ̄ ',``フ/ 7: / l´ __ ヽ 「……えっ、あっ、そうか?」
: : :.i{{ ', ', ``ニ、 マ 、 ', ̄ // (_⌒` }ヽ
`丶\ ', ハ‘, ‘, 、 ', /'| _(,.-、`` } }
||| `ヽ.', ∧ \, } }、 |ー'´', } 〔_,..--.、 / }\
||| ノ ', ∧∧ ,| } ト| ', | ./ ./、ュ¨ _}ュ
||| V V∧ \ } } ヾ{ {{人 / } ``ーゝ
||| ', VL // ヽl l ノ>' .,' `}
||| ╋ ', ヽヽ // \ { \__ノ ′ ,′
||| ┃ ', マ>'^i} ヽ ‘, ∥ / /
\\ ,ィ う__)-、 ∨厶( o ', , {し′ /
\ /⌒マ=ー-ノ、V/l/} ', ,ゝ、 /
ヽ/‐'─‐\ ヽ//} ', ,}}| ``ヽ_/
,イ} ─‐っ─> 、 }// }、 ,| l\
/ l/  ̄ つ、 \/// } l }}| | \
くそう。自分がちょろくて悔しい。
4/10
……
…
「服買うの?」
「ああ、またユキに可愛い服着せてやろうと思ってさ」
「ホント裁縫得意だよなー。
ユキのフリフリの服、縫ったの?」
「ああ、全部一から作ったわけじゃないけど……」
有珠山の家事担当だ。
特に爽はまるっきしダメだったから、代わりによくやっていた。
そー言えば、爽は何をしてるかなぁ。
頼りになるけれど、割と抜けてるところがあるって言うか、リーダー気質だけど細かいことは苦手だったし。
-‐= :_: - . .
` 、: : 、
. . : : ¨¨¨ヽ: :≧: : . .、
,. 斗=: .、 ´: : : : : : : -‐: : : : : : : : `: . 、
/'´ ヽ: :. /: : : : : :>´: : : : : : : : : : :ヽ: : : : : ,
,. -──-. . . 」__レ´: : : : >´ : : : : : : : : : : イ: : : :‘.,: : : :
/: : : : : : : : : :-‐:7: : : : :/: : : : : : : : : : : : /: i : : : : :‘,: : : : ‘,
. /: : : : : : :, : ´: : //: : : /: : : : : : : : : : : : イ : ∧: : : : : ‘,: : : : ‘,
. /: : : : : : : :/: : : / ,′: :′:__: : : : : : :/ }: / ヽ__:‘,:゚。: : :‘
/: : : : : : : : : ‘,: / !: : ′:´ : : : : : : : >´ ,: :′´ ヽ: : :‘, ゚, : :
‘,: : : : : : : : : : Ⅵ Ⅳ : : : : : : : : >´ /:.' ゚。: : i: : ゚ : : !
. \: : : : : : : : : :‘, .i!: : : : : : :.> ¨¨ /'′ ¨¨ ゚。: !: : キ : !
. 〉: : : : : : : : : イ i! : : : : : 斗笊.示ト、 斗笊.示ト、、 ゚: : : :ハ: :! 「……」ヒョコ
. / : : : : : ィ: : : ′ i: : : :/ {{ { ト::リ } { ト::リ } }ト }:f´`! i: !
/: :斗 ´ |: : / !: : ∧ 乂 .ノ 乂 .ノ !:i / .レ
: : :∥: l: : : : : : : / : : : /: ─-く/: : : : : :/:ハ: : : :.
: : ;'{: : l: : : : : /: : :/:/-‐'三/: \: ;>''´ //三',: : : l | ┼``
: : | l : : : : :_, ': : :/: :/‐冬ミ/: : ,イ^ 三/'´三三 : : | l 丿
: : | ', : : /ア : /: : :/' ん//:圷ミ _、‐''゛ 三 ─-ミ}.: :.|
: :/ V/:., ' .,': : :./ ,乂zシ 三三三ーァ示三: }: : :′
:/ /:.人`l : : ,' / 三三 んr7マア: }: : , フ
./:/^', : |: : ,' u {zシ / : : } : ′ ⌒)
// ゞ| : ′ マ 、 ` /: : : :}: ′ `¨
./'' |: :l \ \ 、 /: : : : ': '
/ ,|: :{ \  ̄ ィ: l: : : // 「(なんかこっち見てる……)」
「どうした?」
「な、なんでもない」
とりあえず見なかったことにした。
爽は確かにリーダー気質で、みんなを引っ張って行く素質に溢れている。
しかし同時に、とてつもないトラブルメーカーなのだ……!
幼い頃から探偵の真似事、いわゆる『オカルト』を用いて様々な出来事を解決してきた。
だが、それは同時に爽にオカルトが引き寄せられていることも意味している。
5/10
「ん? 知り合いか?」
「あ、うん……」
しかしこうなってしまえば声をかけようと覚悟を決める。
だが、声をかけようと近づこうとしたところで爽は踵を返して何処かへ行ってしまった。
「あれ?」
「どうした?」
「いや……見間違えだったよ」
「そっか」
そういうことにしておこう。
久しぶりに会った親友とは言え、今はデート中なのだ。
なんとなく自分が友情よりも恋愛感情を取ったようで罪悪感が目覚める。
別に悪いことではないのだが、揺杏は精細なのだ。
「(気を遣ってくれたのか?)」
「この店でいいのか?」
「あ、うん……。
見てみるだけになるかもしれないけれど、いいか?」
「おー、慣れてるから大丈夫だ」
慣れてるの一言に邪推してしまう自分は面倒臭いかもしれない。
一体誰と買い物に行って、待たされていたのか。
あの美少女たちの中の誰かだろうか、だとしたらーー
「お、これお前に似合うんじゃないか?」
「俺?
俺は別に新しい服を買う気は無いけど」
「いーじゃん。
ちょっとはオシャレしろよー」
「うるせー。
男なんてシャツに適当に上着重ねておけばそれっぽいだろー」
「一応金髪なんだからこーいう冒険したの着ようぜ」
「それやると怖がられそうで嫌なんだよ」
確かに、この長身とガタイで革ジャンを着ていたら怖いかもしれない。
しかし揺杏はそういう『カッコイイ系』も好きだ。
試しに着せてみようと、無理やり後ろから羽織らせる。
6/10
「ほら、似合……」
「どした?」
「……なんでもない!」
ヤバイ、思った以上に似合っている。
金髪長身、ガタイが良くて……ビジュアル系(揺杏目線)
簡単に羽織らせただけなのに、好みど真ん中だ。
「こーいうの着ると怖がられそうでさー」
「まーな。
知ってるか?
そーいう服って着れる奴が限られてるんだぞ」
「えっ?」
「イケメンに限るってね。
ブサメンで着てる奴いるじゃん」
「うぐっ、お前容赦ないなぁ」
「身の丈にあった服を着ろってことだよ。
男なんてサイズ合わせて清潔感持ってれば悪くないんだから、女の子より楽だろ?」
「そりゃそっか。
んで、これは似合ってるのか?」
「そ、そーだな……。
似合って……るんじゃないかな?」
「なんだよ、歯切れ悪いな」
「うるさいな!
ほ、ほらっ買ってやるからレジ行くぞ!」
「い”い”っ!? いや、なんでそうなるんだよ!
これ結構するぞ!」
「あ、ホントだ……。
でも奢ってやるって言ったし、さ」
「それ忘れていいから!
本当は奢られるつもりもなかったし、むしろ男の俺が奢るつもりだったよ!」
「そ、そうか?」
「……まぁ、一応男だし」
女扱いされてるのだろうか。
ちょっと嬉しくなる。
しかしこれを着て欲しい気もする。
7/10
「気持ちは嬉しいけどさ。
お金関連とかはしっかりしないと行けないって。ホント、簡単にプレゼントとか良くないって」
「なんでそんな必死なんだ?」
「……なんでもない」
良く分からないが、革ジャンを元に戻されてしまった。
ああ、写メの一つも撮っておきたかったけれどマナー違反か。
脳内で思い出すだけで心が沸き立つ。
「つーか男物の店見てどうすんだよ。
ユキの服見るんじゃなかったのか?」
「あー、ほら、買い始めると止まらないだろ。
重いもの持たせたまま動きより、先にこっち見ようかなって」
「男物の?」
「さっきも言っただろ。
少しは格好に気を遣えって」
別に京太郎の服装が悪いわけではない。
ただなんでもいいから理由づけをしたかっただけだ。
「んー、じゃあ少し買って見ようかな。
安いやつでいいから」
「ばっか。
服は長持ちするし、しっかりした物を買えよ」
「学生の小遣いじゃ買えねーよー」
「そこを無理して大人ぶるもんだろー」
京太郎は変わらず値札と睨めっこして唸っている。
なんだか可愛らしくて笑ってしまう。
___
_ - /`ヽ´-<⌒
, ´ / 、 ヽ
/ / / | ヽ \
' | /|_,/l_イ| \ \_
} { | }/__ 从 、 |` ̄ ̄
,' | 芯 {、 从}
/イ {⌒Ⅵ 、\{
、ト 乂_ ノ `
}∧ /从 ー '
__/' ' _ / 「んー、どうすっかなぁ」
, - ≧=- 、 ,.:'  ̄
, ´ , ´: : : : : :ヽ / `ヽ、
/ /: : : : : : : : :}:、_ r-/:/ ハ
, l: : : : : : : : : :|、:`¨´:/ /: |
/ Ⅵ: : : : : : : : |  ̄ : : : |
/ } : : : : : : : : | / : : : : |
全く、自分は重症だ。
8/10
……
…
_ | |
\ヽ_-‐=ミ、│ │
/_∨:.:.:.:.:.、.:.:.: | │
〃.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:\:\ │
f ´ ̄ 7:.:.:.:./:.:.:メ、.:.:.:.:.:.:.\} |
从 {:.:.::{/{:.:/ _\.:.:.:.:.:| |__
ー=∧ .l{:.:.:.{-乂 _,,ヽ.:.:.:| | \
/:.∧ l{l:.:.:{ ._,, ´⌒ }ノ)|`ー─= 7
/_;/ :ハ八{:.ト⌒` _ '" 从:|l /
{:.:/. Уヽ人''' ∨ .ノ リ ./}
{:/ 〈 >‐ r<_/´} /.:}
ノ′ \ ( \ .|_/\_/ _丿
_, \ >:`ー┘フ | 「いっけー、パウチカムイ!」
/.: .: .: .:`: 〉:/⌒ ̄ / .|
{;/ ̄ ̄ ̄{ .:/ /|
{i \: /.:{
リ \ /.::j!
/__ /.:.:j!
〈 丿 `ー,-ミ.,_ :{!
_Уー─=ニ二>x、:{!
_,.ノ⌒ニ/ニニニ/ニニニニΧ
_, r<ニニニニ/ニニニニ/ニニニニニニニ、
_,. r≪ニニニニニニ/ニニニニニ/ニニニニニニニニ}
,. '⌒`ヽ二ニニニニ>'⌒ マ.ニニ/ニニニニニニニニリ
'′ ー=>'" \/ニニニニニニニニ/
/ _,.。z'′ 寸ニニニニニニニ'′
. / / / _,.。∨ニニニニ/
/ _,..。s≦ニニニⅤニ/
…
……
9/10
……
…
「今日はありがとな」
「アイスおごってもらったし、いいよ」
「なんだそれ。
ガリガリ君一個で満足するんだ」
「思ったより荷物少なかったしさ。
もっと持たされるかと思った」
「なんだそれ。
そんなたくさん買うお金はないよ」
昔は部員みんなで出し合ったりしていたけれど、今は趣味の範疇だ。
でも、一緒に出かける理由ができただけで嬉しいかもしれない。
「また裁縫でユキの服作るんだろ?
俺も見られるし、楽しみだよ」
「ああ、うん。それとさーー」
. -──-.、
/ : : : : _r~-ゝ-、
.: : : : : : r' _ .-─┴‐-. _
/' //: : : :ノ /: : : : : : : : : : : `丶
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.': l : :l{ : l: : : : :' : : / :' /⌒ヽ : : : :.
.': :.l: : i{ :|: : :_:|:_:_,' j/ ,ィ示く: : : l :.
{: : l: : i{ :|: :ハ| : {`ノ 尤j妁 |',: :l: :.
乂: : : :i{: :|: : |乂,ィ示ァ 乂ソ |}: |', :.
丶: : ヽ|: : lト、 Vzソ 、 ぃぃ }´l:.| ',:.l 「なぁ、また誘ってもいいか?」
ヽ : : |: /:|i、_, ぃぃ , ' l:.| ',|
: : |/: li : l ゝ _ ` ´ ィ .:,'
', : : : }\| ,アl ー ´ {^ゝ _/
} : : ノ ヽ、 7 丿 / Y *、 _
ノ:/、ヽ* ,' ヽ / l * ハ
ー‐''7 * i| ,イi、\/}.,i\ | * ′
ハ * i|' マL⌒l´ ,ilア `| * ',
, l * { マL l ,ilア | o* ',
.′ * ; `Y^Y | * l
,* | ヒlリ .| * }
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/ / - 、 :| x===ミx|‐-| |:`ー /x===ミノ// / :∧{
/ | :.八 _/ {::{:::刈`| | l: /´{::{:::刈\,_| イ /ー―‐ ..__
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. /.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:′_,ノ⌒ヽ::| 、 、 _ -‐' /:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./:.:/:.:.::/:.: 「荷物持ちならガリガリ君一個で!」
/\:.:.:.:.:.:.:r‐ ' ´ ∨\/ ̄ )  ̄ ̄ / /.:./:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. /:.:/:.:.:./:.:.:
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:.:.:.:/:.:.:.:.:.{ ---- 、 ‘, } /:.:.:} ̄ \ ̄ ̄ ̄/ ̄ /:.{/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:-<⌒:.:.:.:.:
:.:./:.:.:.:.:./ ‘, ‘,「l /⌒^\________/}/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/´ \:.:.:.:.:
:/:.:.:.:.:.:.{: . . : ‘, 人U{:.:.:.:.:.:.:.|:\ /:.|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.―‐┐:/ \:.:
:.:.:.:.:.:.:.: }: : : :--:/\: . ノ:r/ / .: .:.:.:.:.|:.:.:.:\ ,/:.:.:. |:.:.:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./
ーー大学の外で遊ぶ名実が出来たのは嬉しいな
…
……
10/10
……
…
/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ハ
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/:::::::::::::::::::::::::::::::::/l:::::::l:::::::::::;:::::::::::::::::
/:::::::::::::::::::l::::::::::::/ !::::ハ:::::::::l:::::::::::::::::,
/::::::::::::::::::::ハ:::::|::::|___}:::ム-';::::::::}:::::::::::::::::l
,イ::::::::::::::::::|斗':::::|ハ! l:/x==}:::::::|::::::::::::::::::
/ |:::::::::::::::::::!x=ミx| 〃ん刈::::::Yヽ:::::::::::::l
/ .!::::::::::/::::〃んハ ゞ|!'リ:::::::i j }::::l::::::|
/ .|::::::::/::::::::'.ヽゞ゚' ::.|!/}:::::::|彳:::::!:::::|
. / /::::::/:::::::::::{:ト、.::.:. ' |! /:::::::|::|:::::::|:::::|
/ /::::::/::::::/::::::込、 --‐ / /:::::::/:/::::::/:::八 「下手人を捕まえてきたっすよー」
/::/!::::::/!:::::/::::::个ト.... / ,/::::::/:/::/:::':::/ }
/:/ |::::/ '::::{:::l::::::lハ--≧彡!:::::ハ}::イ::/::/
. /:' |::/ ':::l斗<_,-ヽ__j |:::/ --ミx'::/
/ .|::| ヽ厂l:/ /.:.:./_,, !/´ ̄ ̄`ヽ
. { '::| _,.イ=.:'.:.// / ' ,
':! --<.:.:.:.:.イ// { \
. ′:::::′:::::::::′::::::::::::::::::::::::::|:::::::::::::::::::::::::::::/ ':::::::::::::::::::::::. \
|:::::::: l :::::::::::|:::::::::::::::::::::::::::::::|::::::::::::::::::::::::::::′ ':::::::::::::::::::::::.
|:::::::: l :::::::::::|:::::::::::::|::::::::::::::/|::::::::::::::::::::::::::′ '::::::: |::::::::::::| |
|:::::::: l :::::::::::|:::::::::::::l:::::::::l:::i-l:: l‐::::::::::::: |::| ---|:::::::|l:::::::::::| |
|:::::::: l :::::::::::|:::::::::::::l:::::::::l:::|八::|:::l:::::::::::::|::|__, |:::::::|l:::::::::::| |
|:::::::: l :::::::::::|l::::::::::::|\从::l __}八{:::::::::::::l:ノ 从::::リ:::::::: 八 j
|:::::::: l ::::::::::八::::::::::| ,,xぅ斧笄ミ\::::::::|斗ぅ斧x )/:::::/:/ ノ
|:::::::: l ::::::::::::::::\::::| 《 h __j刈 `ー┘ h__j_| 》厶イ イ
|:::::::: | ::::::::::::::::::::个゙ 乂廴ソ 乂_ソ ,′:::::::|
|:::::::: | ::::::::::::::::::::::| , ,′:::::::::|
|::::::::┃ : :::::::::::::::::| `` `` ,′:::::::::::|
|:::::::::‘:::::::::::::::::::::::|\ r‐ ┐ 人::::::::::::: | 「旦那様に攻撃するとはいい度胸ね!」ダバー
|:::::::::::‘:::::::::::::::::::::|::| ` ┃ イ:::_:_:__::::::::八
|:::::::::::::‘:::::::::::::::::::「:| ` ┃ ....::|:::::l:/ / /^Yヽ
|:::::::::::::::‘:::::::::::::::::|八 T7^\:::::|::: / / / /Y^,
|:::::::::::::::::‘:::::::::::::::|\\ // `丶/ / / / | !
|:::::: -‐ ‘:::::::::::: | \\ .//. / / / / .八 |
-‐'^´ ‘:::::::::: | \\ // / / / / / ト、
―=ミ:....
\\
――=}: : ヽ__
. __ /: : : : : : : : : : :/: : : : . .
. /: : \ /: : :/: : : : : : : :/:: : : : : : :\
//⌒ヽ: : Y: : :/ : : : : : : :/7:r ヘ: : \ : : :.
//――|:.: :|:: :/: : : : : : / .::/ ∨: : \ : :.
/:: : : : :/: /: :.′: : : :/_ ;/ ´ ̄∨: : : : : :.
./: : :{:: :/: : /|: : : : : :x云ミ、/ x=ミ ∨:|: :ハ:.:|
′: : ∨: : : / : :| : : i{ r':c::;l゙ イr'c:;!ヽ:.:|: :| |:.|
{: : : : : ヽ : { |:.:|:: :/ ∨)ソ , ∨)ソノ i |: ; :.:!
.∨: : : : : : 八 リ从{ ∧:|/ リ
∨:: : : : :}:.:.| |: :|、 、 , 、 ム|:.|
. 〉: : : : /: :.| |: :| ヾ:\ U .. // 「えっ、なんでカムイ効かなかったんだ?
/:.:.: :/:.:.: :| 乂{ V: :> __ イ:| //
./:: :/ |: : :/ イ: : : | |: : ト っていうかこの人なんで血ぃ吐いてるの!?」
: / j : / ムイ| / ̄>―――- 、
:{ // ,く7 / / \
カン!
ネタ切れでも定期投下は続けます
よければリクください
1/10
585
【ほのぼのお花見】-京初次元-
4月になれば桜が咲く。
俺の嫁さんはイベントには敏感で、気づけば桜を見に行くのが一年に一度のお約束になっていた。
「こーいうイベントはですねー。
子供にたくさん経験させてあげたいんですよー」
パタパタと忙しそうに子供の服を着替えさせている。
それと並行しながら朝食まで作ってしまうのだから頭が上がらない。
「小さい頃の経験が多いと感受性が豊かに育つんですよー?」
「そうなんだ?」
「はい。
どんなことでも小さい頃に経験しておかないと年を取ってから興味を持てなくなるそうです。
たくさん旅行に連れて行って、たくさん絵本を読んであげますよー」
そういえば初美さんはいつも寝る前に絵本を読み上げている。
貯金のために毎日節制している初美さんも、子供のことになれば一切節約はしない。
自分の読みたい雑誌はママ友に借りてしまうのに、子供の絵本はたくさん買ってあげるのだ。
そして毎日寝る前に読み聞かせる。気づけば俺も一緒に寝てしまうことが多い。
____
,. ´ __ `¨¨ヽ
,  ̄` / ヽ `ヽ
/ _ ,: ∨ 、 :.
/ /,´ / | ヽ .
/ //' ' / ' / l| | : : ∨ :
l// / , / ' l| | | | | | | | |
_/ ィ / { l |__|_{ |∧ }/ ' / l | ∧
 ̄ {〃 Ⅵィ斧从 } /-}/-/、 , /-、 ∧}
/ , 从 Vり ∨イ ,イ斧ミ、}/ /⌒ } | '
/ イ从 l ム Vり ム' ノ/}' 「それじゃ、今年の桜は霧島に観に行こうか」
´ \∧ ' ,r ' /
、 v ァ / 从/
\ `こ イ _|、
` r ´ //∧
/| /////∧
「 | //////////> 、
, </∧ / {///////////////> 、
, </////// ∨__∨//////////////////>、
/ .: \
―-′| / ,. ヽ
/ ...., ノ / / |l | |
. / / / /|爪/ /__./ :; | | | |!
′/ . :/f⌒彡/7 |ヽ/ ハ | | :从
|/ /.:/∧ |!Yん弐Ⅳ!//⌒!/} |/
. :/| | ∨ 弋炒` rテミく/ ハ }!
| ||! ∧ト " , 炒ノムイ | / 「……へっ?」
|リ / \ ー イ7/|| j!/
ーイ />ー 、 / }ノ
/ `ー- / ヽ }ヽ
/ | | (
. 八 ヽ | | |\
r<二ヽ__l!_ | | | ー―――― 、
∨ \ {八ト \ー― \
\―――- \ !\\ \__ \
〕! \ \/|::::::\〉 _____ \
2/10
……
…
「あ、あのー、本当に行くんですかー?」
「何を今更。
もう鹿児島着いちゃったじゃん?」
「うー、そのー、私にも覚悟というかなんというか……」
「ずっと前から決めてたのに?」
「うがー!
旦那さんのくせに生意気ですー!」
ぽかぽかと俺を叩いて来るけれど初美さんの体型では大したダメージにもならない。
こんな初美さんを見るのは珍しいな、などとほっこりする。
しかし子供にじっと目線を向けられていることに気づいてしまったのか、初美さんは姿勢を整えてしまう。
「だってさ。
たまには実家に顔を見せた方がいいだろ?」
「旦那さんはそんなこと気にしなくていいんですよー。
女の子が嫁に出るってのはそう言うことです」
「いやほら、親戚付き合いも大事だし」
「ぐぬぬ……」
「どうしてそんなに帰りたくないのさ」
「あのですねー。
女の子にとっては色々あるのですよー。
旦那さんだって両親のことをが面倒くさいと思ったことはあるはずですよー」
「それはまぁ、確かに……」
思春期はもちろん、今も子供についてあーだこーだ言って来るのは面倒くさいと思う。
心配してくれているのはわかるけれど、こっちにもこっちの生き方があるのだ。
「それに……、子供の教育に悪い人たちもいますし」
「えっ、なんのこと?」
「いや、さすがに落ち着いているはずですよー。
もういい歳ですし、結婚していてもおかしくないですね」
「初美さーん?」
「よしっ、旦那さん!
行きますよー!」
「わわわっ」
覚悟が決まったのか、初美さんはいつもの初美さんに戻っていた。
うん、恥ずかしいけれど、うちはこうやって初美さんが引っ張ってくれるんだ。
しかし嫌がっていた理由がわからない。なんでだろう?
3/10
___
<: : : : : : : : >. . .
. : : : : : : : : : : : : : : : : : : `ヽ
/: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : .
. ,: : : : : : : : : : : /}ハ: : :|: : : : : : : : : : : :.
/: : : :/|: : : : : : :{T} |: : ト}: : : : : : : : : : : :.
,: : : : {斗: : : : : : lノ / : ノ ハ: : : : : : : : : :∧
,: : : : :{.芹ハ`¨゙ {r': :リ }〉: : : : : : : : : /: :|
. {: : : : :} 弋ノ `¨´ ノ:: : : : : : : : : : : !
|l : : : :| ' ム:イ⌒Y: : : : : : !
. {ハ: : /{ } .リ: : : : : ハ{
. | ∨: :、 r , イ: : : : : / :l}
. 乂. ∨: \ イ: : : : : : : / ノ 「お久しぶりです。神代小蒔と申します」
`ヾ: : : . < ト : : : ::/
>: :`: :≦:} //: : :{
_ 。r≦: : : : : :r´ .ノ .//: : : : ∧
,r≦: : : : : : : >'´ // .//: : : : : :/ }!、
,イ /: : : > 7´ ィ////: : : : : :/ .リ \
. / {: : / / < /// / : : : : / / Y
l{ !: :{ // / / {: : /{: { <
ゝ_ゝ:乂 / / 乂 |: / .乂 |
/ - ‐アイ. / ゞ | |
. / ´-っ ././ }!
../ ィ7 / ノ r ミ ハ
/,' {. { ∨ / ∨ 〉
,. ⌒ヽ、/⌒ 、-- 、
/_,..- ヽ ` 、
/ /´ / ∨ \
, ´ / ,' : 、 ヽ
/ , , / /| | :. | | | ∨
_/ / / |_|__'_| | _}_|_|_| | | :
 ̄ ̄´/ イ ' { ´| |/__{ |: , ´/}/_}∧ | | |
/ / , rⅥィ笊 从 {∨ /ィ笊_ヽ}/、 | |
/ イ ∧{ 从 Vり \∨' Vり /' / ∧{
´/イ }从lム ; \ ,ノ / \
| ∧ U ∧,イ
Ⅵム - - イ // 「は、はい……」
_ヽl\ //イ__
|////} ` ー ´「////|
|////| :. / |/[__}/|
,...<////∧ , |/////> 、
, <///////////\ ///////////> 、
, </////////////////}____{/////////////////> 、
//////////////////////| |////////////////////∧
{/////////////////////∧ ,'//////////////////////}
|//////////////////////∧ ////////////////////////|
神代小蒔さんと会ったのは人生で二回。
一回は清澄高校が永水女子とインターハイでぶつかった時。
もう一度は初美さんを嫁にすると伝えに来た時だ。
以前会った時は年齢に比べて幼い雰囲気が合ったが、今の小蒔さんにそう言う風貌は見られない。
どこから見ても一人前の大人としての立ち振る舞いだ。
「姫様、お久しぶりですよー」
初美さんは気軽に挨拶しているようで、しっかり頭を下げている。
やはりそう言った作法が必要なんだろうか。
ヤバい。ちゃんと学んでくればよかった! ハギヨシさんとかに頼んで!
4/10
/:.:.:.:::::::::::::::::::::::::::\: :.::::::.::::::........ヽ
./:.:.:.:.:::::::::i ::.、 ::.丶:::::::::ヽ:::::::::::::::::::::::::.:.:、
i:.::/::/ i |、::::i、:::::::i、::::::::i::i::::::::::::::::::::::::::.:、ヽ
! ! |...::::i、-、:::i、::::::}ハ:::::::|::}:::::::::::::::::::::::::.:.}、|
i......!:::i:::::::::!>ィ!:}、!};ノ |:!:::}:ノ-、::::::::::::::::::::::::lリ
、:{、::{、\|´ !:::::i !ハ/ '^ ヽ::::::::::::::::::::::!
`丶` } <;ン /:::::::::::::::::::::/
ノ "" r<::::::::::::::::::::::/ 「そんなに固くならなくても平気ですよ」
\ / }::::://::::::/
ー' }:;/:/::/
\_,..-‐r、 //7"´ ̄`ヽ
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/::// ;ハ:.:./!{ _ ノ_ |
/::/'" /! !:/ |:!/ ̄ |
iハ// i! !:! !| |
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/ ::i! |
/ ::|ー--「`ヽrr'´ヽ |
f: ::|/´ ̄ ̄7ハ.!ヽノニニ|
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゙、::..... 丶_! i.:::::::::i/ | |
|丶:::::::::\ :゙、::::::| | |
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|:::::::| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| | !
神代さんが緊張している俺を見て言った。
なんだか年上の貫禄を見せつけられている気がする。
「お花見にいらしたのでしょう?
良かったら私たちもご一緒して良いですか?」
「へっ?
それはもちろん!」
「ちょっ、姫様!?
『私たち』ってなんですかー!?」
「ふふふ、初美ちゃんが来ると聞いて、みんなを集めちゃいました!」
「!?」
初美さんが体を強張らせている。
ただ花見に来ただけなのに、気を遣わせちゃったみたいでなんだか悪いな。
「私たちも楽しみにしていましたから」
「そうですか!」
「あのー、誰が来るんですかー?」
「えっと、霞ちゃんと春ですよ?」
「……あうあうあう」
初美さんが頭を抱えている。
やっぱり男を連れた状態で昔の友達と会うのは気まずいのかな?
その時はちょっと離れていた方がいいかもしれない。
しかしーー
5/10
____ _
/ ' Y __>
/ ゙、 \
/ | | `,=-
/ i _l,-|‐ | | -ト.|_| ヾ、
|/ __ ゙、 ハ,ハ|゙、 |/|ハ∧| / ゙、
___, -‐::´| /ヘ ゙、,|≡≡ Y ≡NV ___ ゙、
/:::::::::::::::::и{ 丶 | ハ|  ̄
// ̄ ̄\::::::::::゙、ィ-ャ r ----┐ ,ノ
//|::::::/::::::::::||::::::::::/\\_`ー-‐',...イ
|/:::|::::/::::::::/::|| /「:ト、:::》 T ≫:::::::| 「(巫女さんたち、美人になってるだろうなァ)」
/:::::::::::::::::::::::::/ ゙̄、::| `ー-,ァ ケ/「|`ーi、
|:::::::::::::::::::::::::/ |;;| o〈 // |;;|. / |
./:::::/ー-、:::/:::| ||;;| V |;;|. |
|::::/::o:::/ヘ|::::::| /:/ o |::| |
|=|===彳 ||::::/ /:/ レ |
|:::|::::::::::|:::イ、/ |´ o ,イ |
|:::゙、__;|:;/:::| / / | |
|::::::::::::::::::::::/ /_ | | |
!:::::::::::::::::::::| /―┤ o ┌┤| |
`ー-、::::::::::| / /| | | |
 ̄ ̄|o | / | | | |
<: : : : : : : : : : :>ュ
/: : : : : : : : : : : : : : : : : : :.\
_/: : : : : : /: : : : : : : : : : : : : : : :.ヽ
<: : : : : :jk : : /: : /: : : : : : : : : : : : : : : :ヽ
/: : : : : : /: :ノ: :/: : : /: : : : : : !: : : : : :!: : ヽ: : : ヽ、
/ィ "⌒/ イ: : : ::/: : :/: : : : : : :イ: : : : : : !、: : !: : : :!ヾ\
/ " / !: : : i{: : :/: : : : : /:/ !: : : : : :! i: : : i: : : : ! \ヽ
/ .i: : : :!: :/: : //: : // !: : : : :/ !: : :.!: : : : ト、 ヾ ヽ
! {: : : :!:/: : /`ー-- /: : : イ/ __j/!: /!: : : : ト、ヽ ヽ}!
!: :/^ヽi: /"芹三ミ/: :// "___,,,,i/ j: : : : / ヽ i}
!:∧ cッん;;;シ "芹ニミ/: : : : / i7
!:{ 弋-、 :::::: 、 ん;;cっイ}: : ! リ
ヾ i:\ ::::::: ! |: : |
ヾ ヾ}h。_ ~ー- 、 .。イ |: :.l
ィー -- -ィ. . . .>ー--< |: :.l 「……」ムスー
/. . . . .', ',` ー 、. .`ー-ィ  ̄.ヽ .|: /
/. . . . . .', ',. . . . . . . . . ..', ',. . . . .`, l/
/. . . . . . r、 ヽ. . . . . . . . / ',. . . . . .ヽ__
≦シ. . . . . /;;,i \___ _ノ ヽ!_,,,,,ィ `
}!`ー――--===ヽ / _,,',
}!_ \ / -ー" ̄ ゝ
i  ̄ ̄ ̄ ヽ \ / / .:;:, .,,ノ
わかりやすく、他の女に鼻を伸ばしている『フリ』をすると初美さんが耳を引っ張って来た。
あいたたた、なんてもう一つ演技をすると、初美さんはプイッと顔を背けてしまう。
機嫌が悪くなるのはわかっているが、嫁さんが嫉妬している姿を見たかったのだから仕方ない。
あとで子供と一緒に謝ろう。
「それでは参りましょう」
「えっ?」
「もう準備は万端ですから!」
そう言って先導する神代さんはまるで昔のように幼さを感じさせた。
そんな神代さんを見て、初美さんを少しだけ笑っていた。
6/10
……
…
桜の咲く季節の霧島神社と言えば有名な観光スポットだ。
正直、忙しくて俺たちに構っている暇はないのではないかと思うが、神代さんくらい上の立場になると逆に暇らしい。
神社ではバイトの巫女さんたちが一生懸命接客しているのが見受けられる。
「ここでは人が多いですし、専用の場所を用意してありますよ」
「なんだか申し訳ないです」
「いえいえ、私たちが好きでやっていることですから」
そうやってニコリと微笑む神代さんに不覚にもドキッとさせられる。
なんだこの妖艶な笑みは……本当に美人になったなぁ。
は、初美さん。御免なさいやめてください痛いです。
「ここは?」
「はい、神境の奥です。
本当は男子禁制なんですよ?」
「えっ、じゃあ俺がいちゃまずいんじゃ」
「今日は特別です!」
い、いいのかなぁ?
初美さんからは神代さんは神おろし出来るって聞いているし、そんな神代さんが言うなら大丈夫なんだろうけど。
意外と神様ってフランクなのか?
/ : : : : : : : : : : : : :\ : \
/ . : : : : : : :/: : : : : : : : : : : : : : : : : \: : : :.
′ .:.:.:/.:.:.:./:/.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ト、.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.
. i :::::::|::::::: |::l:::::::::::/:::::::/:::::::::::::::::::| ‘:::::::::::|::::::::|
. | :::::::::|::::::: |::l::::::::/l::::::/ |:::::::::::::::::::| ‘:::::::::|::::::::|
| :::::::::::|::::::: |::l:::::::l´l:::::l` |::::::::::: |:::/--、|::::::八:::::|
l :::::::::::::|::::::: |/\::|-\{- |::::::::::/l/ -、 И/::::::::::|
!::::::::::::::|::::::: | ,,xぅ气芹ミ,ノ::::/ 斗ぅ冬,, ノ:::::::::::::|
. !:::::::::/!::::: |〈 lh__,j刈  ̄ |h_j | 》/:::::::::::::|
. !::::::八 ‘:::::: | 乂辷ソ 乂_ソ ;:::::::::::::::;
. ‘:::::::::::::\}:::::| 、、、 , 、、 ,:::::::::::::::; 「初美ちゃん、久しぶりね」
‘:::::::::::::::::|:::::| ′:::::::::::;
‘:::::::::::::::|:::::|\ 、 _, .イ::::::::::::::/
‘:::::::::::::|:::::|:::::l` . . イ::::|::::::::::::/
. ‘:::::::::::|:::::|:::r| ` ┬=≦l |:::::|:::::::: /
\::八::::|:∧\ l| |\ノ |:::::|:::::::::|
_\:::::|':::∧、\ l| | ⌒i|:::::|:::::::::|
/ \:::::::∧\\ l| | 八:: |:::::::::ト、
/ \:: ∧ \ソ' | \::::::: | \
/:::::::::::::::>--- 、
/;;:::>":::::::::::::::::::::::::::::::\
./:::::/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
_j::::;//:::::::::::/:::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
j::i:::::::!:{7:::::::::://::::::::::/::::::::::::!:::::::::::::',:::::::',
r;;::j::!::::::V::::::::::://:::::::::/:::::/::::::,':::::::::::::::!:::::::i
r;;:::/^ヽ--t:::::::::/f云ミ `::;;:/:::::/ー-:;,::::::!::::::j
(ゞ^^ >=-ゝ !:::::::::! ん;;ソ `'''7:/::::/:::::/:::::/
/ 、 ヾ=イ')::::::::! f芯ミ'ゞ//:::::/
/ ,,_ \ } !:::::::::i ' んソ /:::::::/
ヽ__ ヽ_/" /ヽ::::::!>、 r ァ /:::::/ 「再会記念の黒糖……」
ヽ`-" ./ ゝ:::!ヽ \_____,,,,,,イ:::::::::/
!` '!-=イ ヾ \ i^ト,/:::::::::/
.j ! ヾ, ヽ ヾ!{:::::/
ィ," ! }i ヽ ヽj `!ヾ、_
./7 ト 、ィjj 丶 '} j ヾ, 丶
7/10
「(うわぁ、スッゲー美人……)」
これまた思わず見とれた。
前々から美人だった石戸さんはますます美しさに磨きをかけて、滝見さんもお大人の雰囲気を醸し出している。
もちろん俺にとっての一番は初美さんだけどな!
それならちょっと見くびられている気がする。俺は浮気なんてしないぞー!
「あらあら、子供も一緒で可愛いわね。
男の子なのに、目元が初美ちゃんの小さな頃にそっくり」
「旦那さんに似てイケメンに育つんですから。
私の体型には似ないでくださいねー」
「あらあら、惚気られちゃったわ」
牽制する初美さん可愛い!
なんだよー、そんなことか。浮気なんてしないのにさー。
まぁ、こんな初美さんを見れるのはレアだからしっかり思い出に収めておこう。
ト
∨\ -===: : _ ,イ
. ∨ > 。 <: : : : : : : : : : :>. _ ノ/
\ У: : : : : : : : : : : : : : : : : : :.__ 。r≦ /
`<./: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :∨_彡
/: : : : /} ト-∨: : : : : : :j 斗: : ::/: : }
,: : : : :/ .|/r==∨ : : : : / r=ォN ∨: :|
. {: : : ィ:} {//} ∨: /}:/ {//} }: ハ!
(\ N: : { |ハ ゞ ' `¨ ゞ ' ム/
ゝ \: : :ゝ , - 、 /:/ _ - ァ
/ /: :/ > _ イ:く<. /
./ {: : :/ T T `ヾ:ハ. く 「がおー!」
{. 乂/ У }::} \
.\ /.} / }. 乂 \
\ イ ゝ / ム /
`¨¨¨/ ` ¨¨¨¨¨¨¨¨¨ \\ /
. / \\/
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∨ /
ゞ < ___, ==-―=ミ ィ )
`¨´ `¨¨¨¨´ `¨´
_ -‐==‐-
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-‐==ニ二 ‐‐- _ `ヽ
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/ / / `ヽ : : : :
/ / .i .ト : : : . __ニ=-.
./ . :/ | | ヽ : : : :\
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./ .: :{ i ', ! ___\ .: : :/ ヽ:\: : :ニ=- ̄
/ : : :| i : :| | |≠r:::rュミヾ i{ .ハ ∨:∨ミ、
./ /|: : :i :.{ : : !`ヽ !| {つ:i!::::} `ヽ| 〉j. 〉: : :}
// |: : ', : :i: : :!ニミヽi\{ 乂zzソ /|: : !| 「わーい!」
|: :i:ヽ : ム:.:|fっi!:} {: :i : :|‐-─ 、-
|: ト: : \ヽ|匁ソ , / i/| : :|:.:.:.:.:./ ヽ
|:.| }: : : :ゝ ‐- / !/i|:.:.:/ i
t|ノノ~|/Vハ くi ノ /. ヽ/ |ゝ、
\ -‐ /. : / ヽ
>‐──.、. : : :. / -‐‐、 /
_,「 . : :): . / イ ニ=- ~
/ f .:| : :r / // ~ ‐-ヽ
/ | : :ハ : :! /| / i
/ __ i: . : :、/|__ ∠ / ‐ // |
/`-‐ / / | __ -‐/ / |
8/10
「あらあら、姫様も気に入っちゃったみたいね」
「まるで昔に戻ったみたい」
「……そーですねー(昔、ねぇ)」
さっきまでの大人な雰囲気は何処へやら、神代さんは息子と遊んでくれている。
しかしこんな年からこんな美人に囲まれるなんて、我が息子ながらけしからん!
羨ま……初美さん睨まないで睨まないで。
「あんまり意地悪しちゃうと拗ねちゃいますよー。
いくら嫉妬したところが見たいからって、限度はありますからねー」
「うげっ、バレてた?」
「当たり前ですよー!」
やはり初美さんに隠し事はできないらしい。
でも、このように尻に敷かれているとなんだか安心してします。
「ごめんなさいね。
私たちには子供がいないから、初美ちゃんの子供が可愛くて」
「えっ、そうなんですか?」
「私たちはまだ未婚」
「それはまぁ……。男も見る目がないですね」
こんな美人、どこに出しても声をかけられるだろうに。
やはり男も相当良い男じゃないとダメと言うやつだろうか?
神代さんなんか跡取りだろうし、やっぱり婚約者がいたりするのかな?
「まぁまぁ、今日はそんなことは忘れて昔に戻った気分で遊びましょう?」
「姫様はもう遊んでる……」
「そうですね。
初美さん、準備しよう」
「いえ、全てこちらで済ませてありますよ」
「えっ!?」
それはなんだか悪いな……。
でもまぁ、今日はお言葉に甘えちゃおうかな?
「ちなみに、なんの準備をしたんですかー?」
初美さんが聞く。
なんの準備も何も、そこにビニールシートが敷いてあるし、桜も満開だ。
何も問題はなさそうだけど……。
9/10
<: : : : : : : : : : : > .
イ: : : : : : : : : : : : : : : : : : `ヽ
.: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :ハ
/: : : : : : : : /: : : : : : : : : : : : : :/ : }
/ {: : : :/: : ::/-: : : //: :/!: : : : : : : |
,′!: : :/{ {: / { : / /: :ス }: : : : : : : :
|. |: : {! f : :r}` -=x :乂/: : : : : ::
{ 从: | ゞ-' r': : r∨: : : : : : |
∨{ , ゞ_:ン  ̄Y : : : :
>ゝ _ .イ : /}:リ 「それはもちろん、霞ちゃんの手作りのお弁当に」
/: / \ ‘' イ: : :_:>'
γ./: : / }` ---ァ<{ .Y: {、
. / /: : / / {! / / ヽ !: :!!
/ {从:{ {. l/ / .ノ: :|l、
. _{ , '∨. |./ / . / : : リ Y
< ィ / / / /: /
, ´ -=_彡 !
.: / / { ノ
i ,′ / :! }
: / ::} ノ
∧ / ト--==彡`>
/ .ゝ { { | ∨∧>
/ >--=x 人 ゝ'´}
. ′:::::′:::::::::′::::::::::::::::::::::::::|:::::::::::::::::::::::::::::/ ':::::::::::::::::::::::. \
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|:::::::: l :::::::::::|:::::::::::::l:::::::::l:::i-l:: l‐::::::::::::: |::| ---|:::::::|l:::::::::::| |
|:::::::: l :::::::::::|:::::::::::::l:::::::::l:::|八::|:::l:::::::::::::|::|__, |:::::::|l:::::::::::| |
|:::::::: l :::::::::::|l::::::::::::|\从::l __}八{:::::::::::::l:ノ 从::::リ:::::::: 八 j
|:::::::: l ::::::::::八::::::::::| ,,xぅ斧笄ミ\::::::::|斗ぅ斧x )/:::::/:/ ノ
|:::::::: l ::::::::::::::::\::::| 《 h __j刈 `ー┘ h__j_| 》厶イ イ
|:::::::: | ::::::::::::::::::::个゙ 乂廴ソ 乂_ソ ,′:::::::|
|:::::::: | ::::::::::::::::::::::| , ,′:::::::::|
|::::::::┃ : :::::::::::::::::| `` `` ,′:::::::::::|
|:::::::::‘:::::::::::::::::::::::|\ r‐ ┐ 人::::::::::::: | 「お菓子も作ってきたわ!
|:::::::::::‘:::::::::::::::::::::|::| ` ´ イ:::_:_:__::::::::八
|:::::::::::::‘:::::::::::::::::::「:| ` ....::|:::::l:/ / /^Yヽ 今日だけはダイエットも忘れましょう!」
|:::::::::::::::‘:::::::::::::::::|八 T7^\:::::|::: / / / /Y^,
|:::::::::::::::::‘:::::::::::::::|\\ // `丶/ / / / | !
|:::::: -‐ ‘:::::::::::: | \\ .//. / / / / .八 |
-‐'^´ ‘:::::::::: | \\ // / / / / / ト、
__
__ {::/⌒`ヽ
...:::´::::::::::::::::::::::`::::..<:: ̄:::ヽ
/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ:::::ハ
/::::::::::::::::::::::/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ:::::∨
./:::::::::::/:::::::::/::::::!::::::::::::::::::::,::::::,:::::::ハ:::ハ
'::::::!:::::;:::l::::::::!:::::::|::::::l:::l::::::::::!::::::|:::::::l::'::/
|:::::l::::十:|―:l!::::::||::::::|::;!:‐:!:十::::!:::::::!::}〈 ポリポリ
|:::::l::::::|:::|::::::l|::::::||::::::|/|:::::|:::|::::::|:::::::|::}:::〉
.├ ┤ ┬‐‐┬ー' ― '┬‐‐┬::_:!:::::/:/:/
..!::::::! .)///! ,)///! |::::::|:::〈
|:::::::| ゝ/_ノ ゝ//ノ |::::::|::::::} 「あと黒糖に……」
!::::从 ''' |::::::l::/
',::::::! \ -( ィニ|::::/´
l:::::| > _ _ < |::/::>
,:::| __ /| |ハ _ .|/::<
/∧ ', / ∧ヽ 〃
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10/10
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. /.:.:./.:. /.:..λ.:.:.:.:.:.:.:.. |i.:.:.:.:..i|.:.:.′’
. ..:.: /.:. /i|.: .| Ⅴ.:.:...:.:.. j.:ト、.:.:.i|.:.:.:.|.:.::,
. ,.:.:.:.i|.:.λ从i:| Ⅴ. : /|/,/ |/|/j {|.:.|.:.:.′
′.八.:.| Ⅴ/ | |.:.}.:.: |
|.:.:.:.:从ゝ ,.二 ,二..._ /./ . .:.|
|.:..:.:.:.| l.〃⌒^ ^⌒~ヾ .イ.:. .:.:.|
八.:.: ∧ム ' /ノ.:.:.:. / 「一番重要なのは薄い本ですね!!」
\.:.:.:込 v:::ァ ′.:.:.:/
\.: 、> イ /. /
/./ ノ` ‐‐ <\:≦
. ,.:.:.:./ / i| l} \. ′\
/7.:.;≦ 八. / ヽム.:.:′
,. ´;.:.:.′ \/′ / ′.|≧ 、
. ハ |.:.:| ∧ /. / |.:: | λ
/ i| 八.:.| ∧. . ′ ′. |.: ′/ Ⅴ
. /. i| 、{ ∧. ′. /. 八 / Ⅴ
/ ' | ', :}∧∨',ヽ, / V | | ' /: : :ヾv v
' :| ', , } ! V / :| V | |{ ,: : / } ヽ v
' / ! :{ハ ハ ∧ } V| /{ V |_, v! | } ヽ
' :, ' , ' ∨∧ ' ,}イ' _j{≫!7:f心刈 V / {l 、|斗 ―――
/ ,∧ ∧ー=ミ{__ ヽ ', j{⌒'| 7/j' j'うゝ:ア | ' ' ' :{l ヽ! `ヽ
,' / ∧ ∧:、 {`~^ ー-- /: : j ^ ≫'’ V' _ノ {l | V
/ ,' / j{∧ ∧ヽ{ ,ィァ=v云| ': : : i| ~´ ' 「:\ } {l ,ヽ
,' ./:| / v∧ {ヾ八{ ヽぅ! /: : : U し :!: : : V:V , \ 「!!?」
! ./ | / ヾ∧ ,、\: `: : : :|/: : : :、 }: : : : : ' ,
|/ :| ' )ヽ , \ヽ: : : :': : : : ノ! 八: : : :' ,
' } / / ヽ 丶: :.} !: : : `: .、 _ ': : : : : ' ,
j/ , \し: : : : : : :. _,. '" /: : : : : ' ,
, ヽ.,: : : : : :冖、 _ ,イ{: : : : :/ !
、 > .,: : : : : : ( /: U : : :./ |
| ヽ / :≧s。.,:ヽ _ ./\: : : : {「 \ |
_____
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/: : :从: : : : : |八人Nノ \: :l ⌒| |: : : : :!`丶 \
/: : ://:/\ : 从 __,,. \ ≦三≧ル^Y:.\| \
/: : :/ /:/ |: ∧l,r≦彡'´ , てノ| }|\: |
. /:.:/ /:/ :|/〈∧てノ、、 ______ `` |_ノ ‘:|
// ./:/ |\`∧ 厂 `Y 人 |
. /´ l:/ 从: l ̄ 〈__ -‐┘ | 「だから来たくなかったんですよー!!」
| ‘:l ≧=- __ -=≦
| | ∨
. .-=≦___ __≧=- . .
/ : : ` ´ : :: \
/ :: : : :: |
--┤ Y:: : . . . . . . . . . .: : Y |‐―┐
「 ̄ ̄ ̄ ̄\ l__, ┴― 1
| ー――――一 /|
ーー三人とも未婚、その理由がわかった気がする!
カン!
北海道組の飲み会書いてたけど難しい…
【1レスネタ】
. :´ . : . : . : .`: .
/: . : . : . : . : . : . :\
/: . : . : . : . : . : . :ヽ: . \
/: . : . : . : . : . : . : . :‘。: . ノ:。
.′ : . : / : . : . : . :ト : . :‘./-‐゚。
|__: . : . : .i: .|: . : . : .|: . : . : .| ゚,:}ヽ/:.‘。 : ぃ
/:.┼{ ―--..|:._|__ : //八: . : . :| 匕 }: . }: ゚: . }リ
/: イ: .|∧ ミ . : |: .|: //フ7¬ }: . /| ィi爪㍉}:.:|:ハ /
/: ./ | : |: ∧\ : |: .|厶斗=ミ /イ 丿 |:il刈 :.:l/}/
:./ : ..|: . ∧ . : |: .|斤:i:i:(_, 弋''ツ |: |: .i ( \ -‐ 、
: / | : |: . : ∧: .ハ:卞::i:lil刈 |: |: .| ヽ у´ ___}_
/ : . l: . : . ‘:,⌒!ム ゞ…″ ` :':':':゚|: |: .| │ r  ̄ }
|: . 。: . : . :∧ い ゚:':':': -┐ }: |i:∧ | ――‐{ 「京太郎は私のパパになってくれるかもしれなかった男性よ!」
| : ..。 . : . : ∧、vハ ゝ __ ノ / : |i: .‘ | ー―{
/: . : ゚: . : . : . ∧:vハ` ..,, / } |i: . :; ′ -- ′
. /: . : . : 。: . : . : .:∧vハ__  ̄{ ̄: .| }/}: . :.。 /\ }、
′: . : . : .。: . : . : . : .ⅵ\>―‐n: . :.{ / l: . : ∨/ / \ /:.入
/: . : . : . : ./\: . : . : . : \: \ |{x=xハ 乂: .:// / / / `¨¨´:.:}
/: . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . \
, . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : ヽ
. : . : . : . : . : . : . : /:.イ: . : . : \: . : . : . : . : . ,
, : . : . : . : . : /: .//´ {: . : {ヽ: . : ヘ: . : . : . : . : .,
. : . : . : . : ..:/:/ ,' {ヘ: .:! ヽ: . :.ヘ: . : . : . : . : .
. : 〃: . : . :./´ 7 ’、ヾ \: ..V: . : . : . : . ,
!:.〃: . : ..:./ { _,,..ィ ` V: . : . : . : . ,
:〃: . : ..〃 ,.ィ'"´ __ ',: .}: . : . : . :.
〃: . : . /{‐- 、 ´ ,ィf升:芯ヾ !:リ: . : . : . :.,
〃: . : . 7 ヘ___`` ' ゙_) :::: ハ 7 !ソ: .i: . : . : .,
/ i: . : . :.{, イ {_笈沁 弋 :::,乂 .川: .!: . : . : .,
. / .!: . : . :iヘ ', v’:::: リ ¨´ ノ: . :.リ: . : . }:.:}
. ,' i: . : . :{: ヘ ゝ-'’ /: . : ./: . : . :i: .,
{ ',: . : .:.', :.ハ ' /イ: . : /: . : . :.リ: ,
’、 V: . : .ヘ: .ハ _, 〃´ハ: . /: . : . :.ノ:.7 「須賀くんにバブみを感じてオギャる。
∨: . : . : 込 ー '" .{! 人: .:7: . : ../:.:/
\: . : . : . :>. . _ イ ヘ: {: . : .,'. : .,' 最高に尊い」
. \: . : . : . : . : . : .‐..ォ- ' ',ヘ: . : .{: . (
> 、: . : . : ヽ: . :', ィ ヘ: . :ヽ: . \
): . : . : . }: .イ, / ノ: . : . :ヽ: . :\
/: . : . : . :ノイ i! / -‐': . : . : . : ノヽ: . :.}
/: . : .イ:// / ./ , ': . : . : . : >" ヽノ:_ノ
,': . :/ /'"/ /./ /: . : . : >" \
/{: ./ ./ ./ {: .>" \
, ' ヾ / ./ / ヽ{
久のAAが一レスでオチが付いててどうやっても長くできなかった
1/10
【例えばこんな重力次元】-単発次元-
園城寺怜は良くも悪くも特殊な人生を送ってきた。
小学校の頃はクラスのカースト制度の底辺から、清水谷竜華と出会うことによって青春の楽しさを知った。
もし彼女がいなければ、彼女の青春はとても思い返せるものではなかっただろう。
やれ『二人組作って~』だの、役員決めだの、竜華と出会うまでは悲惨そのものだった。
しかし、そんな親友と言えども同じ人生を歩むわけにはいかない。
清水谷竜華がプロへの道を進むと聞いた時、怜は一つ決心をした。
『うちは東京の病院に移る』
その発言を聞いた時の竜華の顔は忘れられない。
社会人になって、あるいは怜が大学生に進んだとしてもその関係が崩れるとは思っていなかったからだ。
『寂しいけれど、それがうちのためにも竜華のためにもなると思うんや』
心配してくれた親友に笑いかけた。
本当は心細い。今の自分は竜華に頼っているのも自覚している。
しかしプロとして華々しくデビューする彼女の重荷にはなりたくなかった。
それにお互いの依存関係にどこかでケリをつけなければならなかったのも事実。
園城寺怜はそれだけ言い残して大阪の地を後にした。
/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::...,
/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\
, ":::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
/:::::::/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::!::::::::::',::::ヽ
/:::::::/:::::/::::::::/:::::::::::::i::::::::::::::::::::!',::::::::::',:::::i
,::::::::::i:::::/::::::::/:::::::::::::::l::::::::::::::::::::l ',::::::::::',:::::!
,;:::::::::::l::::l::::::::::l:::::::::::::::::l:::::::::::::::::::,' !:::::::::::!::::!
i::::::::::::!::::!::::::::,'::::::::::::::::/::::::::::::::::/ l::::::::::::!::::!
l:::::::::::l:::::l::::::::!::____/,/::/:::::::::/ _,,,,!;;;;___/:::::!
l:::::::::::!:::::!:::::::!:::/ //::::// / i:::::/::::::!
,':::::::::/!::::::ヽ::::!-t---t- t--t- !::/::::::::!
i::::::::::! !:::::::::::!ゝ ` -" `-" イ::::::::::::l 「(その後の二年間は、思い返したくない)」
l:::::::::::ヾ:::::::::::! .,.,.,.., , ,.,.,.,., /):::::::::::l
l/!:::::::::::!::::::::::! /::!:::::::::::::!
\::ィヾ::::::::i > ../ ≧‐―-≦ヾ:::/:::::::::/
_,,,,,,≦ニニヘ\::! ./ / ィヾゝ 彡= }/!::::/
\ニニニニ.ヘ‐- 、 i ィっ'ー≦ヽ 'イ/
\\ニニニニヘ,_,,,-,' /i イ'' 〉、
\\ニニニ.ヘ / / ヽ -ィ ! }
例えば講義で隣の席だとか、バイトが一緒だったとか、サークルに入っているだとか。
しかし園城寺怜は病院に通いながら大学にも通っていたのだ。
竜華と出会う前のぼっち気質まで戻ってきて、気づけば大学で自分以外の輪ができていた。
ーーこれでは本当に竜華と出会う前の自分だ。
そう後悔してももう遅い。
人生の最後の夏休み。怜の大学生活は灰色のまま終わるかと思われたーー
2/10
……
…
____
,. ´ __ `¨¨ヽ
,  ̄` / ヽ `ヽ
/ _ ,: ∨ 、 :.
/ /,´ / | ヽ .
/ //' ' / ' / l| | : : ∨ :
l// / , / ' l| | | | | | | | |
_/ ィ / { l |__|_{ |∧ }/ ' / l | ∧
 ̄ {〃 Ⅵィ斧从 } /-}/-/、 , /-、 ∧}
/ , 从 Vり ∨イ ,イ斧ミ、}/ /⌒ } | '
/ イ从 l ム Vり ム' ノ/}'
´ \∧ ' ,r ' / 「怜さん! 今日は暑いからアイス食べましょう!」
、 v ァ / 从/
\ `こ イ _|、
` r ´ //∧
/| /////∧
「 | //////////> 、
, </∧ / {///////////////> 、
, </////// ∨__∨//////////////////>、
/ : .:/: . : . : . : . :│∨: . : . : ‘。: . : . : . ゚, }
:゚ : . : /: . : . : . : . : . | Vト : . : . ‘。: . : . : . .゚, __,ノ
, { |: . : 〃: . : . : . : . j.:.:゚ }:い: . : . :‘。: . : . : . :。: . ´ ̄{
|{: . :.|: . :/{: . : . : . : . 〃 ' --|:|‐∨…{: . :。: . : . : .i.: . ,
| ゝ.__|: . :| |,.斗-: . : //:/ |:| }: . 八: .:i: . : . : .|: . : ′
|/:. .|:.: .匕゚。: . : .//:/ jイ |/ }ハ|: . : . : .|: . :. :{
| | : . ト : .| い: ./ /ィ゚ ,ィ==≠=ミ:、|: . : . : .|: . : . 八
| l: . ∧ リ 斗-==ミ {_)゚:i:i:i:i:i:| / . : . : . :.|ヽ: . : :,
|:乂\ハ /{_)゚:i:i:i:i:i| ∨ゝイノ .|: . : . : .| }: . : i トヘ
|:| : . :.ヽい ∨ゝイ ノ `¨¨´ 1..: . : . :| /..: . : | | }i
|:|i : . : . ∧ `¨ ¨´ :':':':゚ |: . : . : .|′: . : .| | }|
|:|{ : . : . : ∧゚:':':': ′ } |j: . : ..:, : .: . :. ..j│ }!
|:|o : . : . : .∧ し :゚|: . : ./: .:|: . : /./ / 「お、おう……」
|:| ゚: : . : . : .:∧ r‐ュ イ j.: .: イ : /} : /jイ
|:l ゚: : . : . : . : \ ´ / //∨イ//
l{ V: . : . :.ト : . :> 。.. __ ィ __,,,... -=ニニニニ=-
乂 \ : ト::} 乂: . :.{\:::{∨ _}/ニニニニニニニニニニ\
ヾ{ リ `ー /二ニニニニニニニニニニニニ\
何の因果か大学三年生の時に、イケメンに懐かれた。
思い返してもよくわからない。
「どうしたんですか?
顔色悪いですよ」
「いや、気色悪いんや。
アイスなんて頼んでないで?」
「まぁ俺が勝手に買ってきましたからね」
「意味わからんよ……」
しかもやけに献身的だ。
本当に意味がわからない。
「ほら、急に暑くなると水分不足になるじゃないですか」
「そうやな」
「コンビニ行ったらついアイス買っちゃって、一人で食うのも何だなぁと」
「冷凍庫にでも入れておけばええやん」
「そんで怜さんを太らせようと思いまして」
「なんでや!?」
そこの繋がりがよくわからない!
3/10
……
…
出会いは単純だ。
怜はそこそこの高いアパートを借りているのだが、その隣に引っ越してきた。
そうなれば朝の講義に向けて出る時間も同じで、顔を合わせることが多かった。
二、三度顔を合わせた程度だったが、いつだったか彼から話しかけてきた。
「園城寺怜さんですか?」
「なんで名前知っとるん?
ストーカー?」
「いえ、三年前のインターハイで活躍していたじゃないですか。
俺、清澄高校の部員だったので顔を覚えていたんですよ」
「たいした記憶力やなぁ」
怜は人の顔を覚えるのが苦手だから素直に感嘆した。
しかし、わざわざ高級アパートを借りたのもこう言った変な男から絡まれるのを防ぐため。
同じ大学生でも、男性と女性では一人暮らしの家賃は大きく違うのだ。
それでも隣の部屋にいるということは、この男はそれなりに……コホン。『割とお金持ち』なのだろうか?
「それで、なんか用?」
「いえ、普通に世間話なんですが、おかしかったですか?」
「そうやなぁ……」
周囲を見渡す。人影がない。
「君、チャラ男やね」
「えぇっ!?」
「最近、ちょっとした声掛けで通報されるんよ?」
「そんなぁ……。
ちょっと憧れてたんで声をかけたんですが、不味かったですか?」
「そーやね。
今から通報するわ」
「今からァ!?」
「ジョーダンや。いい顔するなぁ」
百面相を見せる『彼』を見て思わず笑った。
そういえば笑うなんて、人と喋るなんて久しぶりかもしれない。
「とりあえず不審者じゃないです!
えっと、とりあえず名前を……」
「いや、ええで。君はこれから『チャラ男』や!」
「ええっ!?」
自分が滅茶苦茶なことを言っているのは自覚している。
コミュ障が再来したのか、関西人のノリなのかよくわからなくなってきた。
4/10
, ⌒ ー  ̄ ̄ 、
/_,. - \
/´ / /⌒\ ヽ
, ´ , V :.
/ / / / / | V : V |
/-- ´' / / / l|{ | l| | | {
/ イ { ':|_,斗| | 、_l__/_ィ |l∧
/ ,: ∧ | {∧{ { 、 /}/}/ } /∧|
/ イ / {∧{ 、__,.V {∨ 、_,/ イ}' `
 ̄´ V∨乂l \ ムイ/
从 ' 八/ 「もうそれでいいです……」
-〈〈/\ v-っ イ》く__
/////∧\} > -- < |//}///> 、
/////////\} 「/〈////////\
/////////////|--、 r-|/ イ//////////\
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{//{////////////〈 ∧ }///////////////////}
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_人_/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\
Y/ :::::::::::::::::::::::::::::::∧ :::::::::\:::::::::::::::::::::. キリッ
/:::/::::::::::::::::::::::::::::/ ヽ:::\ :::|:::::::::::::::::::::.
:::/::::::| ::::| :|::::::::::/| \__ヽ|::::::::::::::::::::::
|::i| ::|:::|`ト|/| ::::/|斗テ气宀〉>|::::::::::::::::::::::|
|::i| ::|斗テ气{/ 辷_ソ / |::::::::::::::::::::::|
|:: V从 辷ソ |::::::::::::::::::::::|
|:::::iハ i::i::i:: |:::::i::::::::::::::::|
|:::::i:::| i::i::i /\ :|::::ii::::::::::::::::| 「決まりやな!」
|:::::i从 \/ .ィ|::::ii::::::::::::::::|
|:::::ii::个 ,イ<:|::::ii :::::::::i:::,゙
∨八 |\:::\>‐r‐ ´ / |/入::::::/|/
\ :::\ >'´ |¨¨¨7 |/\
怜としても久しぶりに会話できて嬉しい。
もっとも、今後関係が続くとは思えないがーー
「それじゃ、講義に行ってくるでー」
「俺も朝一からなんですよ。一緒に行きます?」
「送り狼?」
「どこでヤる気ですか!?」
「うわぁ……。セクハラやで?」
「どう足掻いても詰んでる!?」
そう、最初は会話の主導権を握っていた気がする。
それに彼との関係はこれで終わり。そう思っていた。
ーーそれが間違いだった。
5/10
……
…
, ´ / .' / .' ' | l | l | |
/ / ' | | | l| | l | , } l | |
_/ イ / l| |_,∧_{ :. ,-|-}-/、 , | { _ ___,-、 __
 ̄ ´ / / { |、{ l∧ {、 | }/イ/},イ / l_、 { Y´ / ' }- 、
{〃 r∧ |ィ斧ミ从 、Ⅵ , イ斧ミ、 } /l| l、r  ̄ { { | / _ }、
/ /{ 从{、 Vzリ \Ⅵ/ Vzり /イ } / | 乂_人_/、_/ / \
/ //从 l∧\ ,\ | /イ/ }==  ̄ ̄ ̄ ー く
/ イ' {/l∧ ∧ 、 ,イ/j' / \
 ̄ ̄ ー∧ _, 从 , \
ヽ 、 ` ¨  ̄ ィ }/ / / '
∧ \ / |/> , /
{(从_| -- ´ 「/// | {
|/ ̄}} |////|_ |
_,.:<|///|| l/////` |
_,.. -=<///// \//} ,r-/////// | 「怜さん! タコス作ったんですけど食べますか?」
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ハ ::::::::::l 乂 ,ノ 乂 ,ノ ,ソ:::::::::::!::::::: ハ
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lλ::::::::人 ,'::::::::::,::::! :::::λ}
|ハ:::::::::::: > ., 'ニヽ ィ:ノ::::::/!:/:::i::/' リ 「……」
\:::::ト,|、:::::|>= __ ィ ≦::/'!::,/l从::,ソ
\! \ :! >ノ , ィ≦ ̄{ !/. ノ )
`,.ィ ,// 人
,イ´ /゛/ , ィ≦´ ヽ、
事あるごとに絡んでくるようになった。
大学の食堂などで良く見かけるのだが、彼は男子女子関係なく人気がある。
大学での知り合いが一人もいない怜とは正反対だ。
それなのになぜ自分に構うのか。コレガワカラナイ。
「それ、手作り?」
「そーですよ?
高校時代に作ってて、最近もたまに作るんです。
自信作ですよ」
「形崩れてるやん……」
「……ご愛嬌です。美味けりゃいいんです!」
その辺が男の子らしいと言うかなんと言うか。
竜華は料理も美味いし、形も綺麗に添えるのだ。
6/10
「チャラ男はさぁ」
「チャラ男言わないでください。
俺の名前はーー」
「なんでうちに構うん?
うち、友達少ないで。って言うかこの大学ではいないし」
「……えっ。
俺って友達とは言わないけれど後輩くらいの立ち位置にいませんか?」
「うちの中ではチャラ男はストーカーの立ち位置におるで」
「まさかの犯罪者一歩手前!?」
「……ってそうやない。
今日はノセられんわ」
「……」
チャラ男の顔が神妙になる。
怜は良くも悪くも人の真意が見て取れる。
彼が怜と仲良くしているのも、別の『本心』があることになんとなく気づいている。
「なんか考えがあるんやろ?」
「そんな、俺は別に……」
「言い訳は見苦しいで。
ま、ええよ。聞かないでおくわ。
別に興味もないし」
「……」
「ただ、うちはなんもないんよ。
恩を着せても何も返せへんからなぁ」
「別に恩を着せてるわけじゃ……」
怜の目が『彼』を見据える。
1巡先の未来とは別。オカルトではない怜……、いや、女の子の直感だ。
そして、『彼』の次の行動を読む。
「浮気してええの?」
「うわっ!?
いえ、俺彼女のいませんけど……」
「そう?
やけに女の子の扱いに手馴れてると思うてなぁ」
「まぁ、女子しかいない部活にいましたからねぇ」
「……なるほど、それか」
「?」
怜は確信する。
7/10
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_,,,,,,≦ニニヘ\::! ./ / ィヾゝ 彡= }/!::::/
\ニニニニ.ヘ‐- 、 i ィっ'ー≦ヽ 'イ/
\\ニニニニヘ,_,,,-,' /i イ'' 〉、
\\ニニニ.ヘ / / ヽ -ィ ! }
/ / / / { } \ ヽ V V
_ ,.斗 // / ./! / ! :} } ' ヽ V', , ,
 ̄ ̄ / / / //_j_ ,' | |、 :} ' :| ,V斗=ミ{ , ,
/ / ' ,' ィ^~v{≧x、,ヽ,' /、ィ'"_j/ } /「 j |
/' / !/| /{ 斗-ミヽ ∨ / }/ア乏メヽレ } }レ
, | :| ハノ∥んr'j V / V' Vrソ 》 :} 八-、 '
/ >'/ ハ { :, ` ー≦' /' ヽ  ̄ /イ{/ヘ Yハ{
/ '" ∥ / ',从_}: 〈| } ! ∥ ヽ
7/ ヽ ' し /’
/’ ` _、 _ {ーイ/ 「……!!?」
、 f-――'ヽ 人レ'^
\ L∠二二ソ /|/
レ}h。 /r rー==ミ、
r「\__'}个 --- < | |ニニニヾ
|:| } | |ニ{1-B}ニ! __
|:| } / L!ニニニニ{ _,. 斗r≦ニニ=-ヽ
人:.、___」 ___/__/ニニニニニ7 ∥ニ/ニニニ=-,
, ‐ --、斗r≦ニ斗r'ニ7 ノ、 |ニニニニニニニニ/ .∥ニ'ニニニニ=-,
/ニニニニニニくニニニ/\ __ ,!ニニニニニニニニ, ∥/ニニニニニニ=-,
,-=ニニ/ニニニニニニニ\ニム jニニニニニニニニ, ∥'ニニニニニニ=-
/ニニニ{ニニニニニニニ∧ニム /ニニニニニニニニ, ∥ニニニニニニニ!
彼の表情が崩れた。
今までも百面相を見せてくれていたが、それとは違う表情だ。
「自分でも気づいてなかったんとちゃう?」
「俺は、別にそんなつもりじゃ……」
「ええよ。
別に怒っとるわけじゃないし」
「……えっ?」
「うん、うちも面倒見てもらって楽やしな。
怒ってない、怒ってない」
「あ、あの、俺……」
「何も言ったらあかんよ。
こう言う時の男は何を言っても無駄や」
酷い話だと思う。
だって、彼の意見は封殺して全て園城寺怜の予想だけで話しているんだから。
しかし、それが間違っていないと言う確信はあった。……オカルトによるものか、女性によるものかは本人もわからない。
8/10
「……確かに、そうかもしれません」
「お、認めた?」
「高校時代に雑用やってて、誰かの面倒を見ていないと何だか不安になって……」
「……そう言うことにしといたるわ」
おそらく、彼の感情は自分の方がよくわかっているな、と怜は感じた。
ただそれは言わない。言う義務も義理もない。余計な揉め事が起きるだけだ。
「ただ一つ、約束せえへん?」
「約束?」
「うちも個人的にチャラ男くんのこと気に入っとるで。
楽やしな」
勝手に話を進める。
もう彼の意見は聞かないし、仮にこれであちらがこっちを切り捨てるならそれも悪くない話だ。
ーーひとりは楽だから。
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,′ ::/::::/| ::::::Ⅳ笊示ミ、 厶イ i|:::::::::::::|
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' 八::::/i|::::::::ト、 _ '' /:::::i|:::::i|::::リ
∨从:::::::| \ , イ.!:::/i|::::/!::/ 「うちも君のこと、『別の人』と重ねさせてもらうで。
_.ノマ'\:| ーr: ≦/:::/|:/ |::/ |/
_,.‐=ニニニニニ\ ∧\::// _ノ'′ノ' そんで変わらず、この関係を続けるだけや」
∠ニニニニニニニニニ\ { ∨ニ=‐- .,_
./ `\ニニニニニニニニ丶 ‐=- Ⅴニニニニ7 、
i \ニニニニニニニニ\ 〕ニニニニニニ∧
: : : : :/ : : : : : :| : : : :|.. : :. ゙、: . ゙、゙、. \
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: : : : : :| : : |: i 「! ヽート!、: : リ !: |ハ: ト : | ̄ ̄
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: : / へ.゙、 :丶ヾヽ<´{::::i` ヽ! 1!|:/| :!ノ゙、リ
: :ヽ \ : :!丶  ̄ Vイ:ハ |\:i
.: : 丶 \゙、 `> リ `
ヽ: : :`┬ 、 ヾ /
i: ;ィノ U ,....-ィ /
,,:‐レリ _  ̄ / 「……?」
゛=!_ \ `ー-、_ _/
::::::゛== 、 \ / ̄ヽ、
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ーーその言葉の意味を、彼は知らない。
9/10
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/: :/: : ::::::::::/::::::::::::::::::::;:::::.:.:.:.ヽ: : ヽ
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'ヽ': : :::::/-!-',':::::::::::;:イ,'__|:_: !:::::::::!:.:.|: :.!
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j:´|:::::/リzチ=x|::/ /,===!x、|:/|::::':::::!: :.|
,': ハ:::l〈 tc::ij:::}´ ´{c::ij:::ヌ</:/::::::!: :.|
/:l:::::ヽ:! ゞー'' v_:''_;ノ〃::::::::,':: : :!
/: :!::::::::{.! ,, ,, , ,'|:::::::::!::: : :l
. /: :.:|::::::::`l " " ,'_j:::::::::!:::: : : 、 「お互い、『大切な人』にはならない。
/: : : |::::::::::::::、,r===~ ノ::,':::::::::l::::.: :ヽ:ヽ
.'::ハ: : |:::::::::::: '/≧:... .._:<::::/::::::::/::::::.:.::::|ヽ! 『大切な人』の代わりでいるだけや」
|:' l: :.!::::::::: '/::::::::λ! ー '´_,,レヽ::/:,':::::/L.::-─、! i!
|' |:,r=、:、:'/::::_:ノ >、 r<´ 7イ:::/;' /- 、 i!
/ ` `ヽ.、 ノ、 `ヾ >、 //:':::;' ハヽ li!
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/二ニゝ //「|:トヽ、7/:::::::::::| .,'l |
r'´-‐ 、\ ,.チ/|| |:| \'./|::::::::::::|.,' | |
,. ⌒ヽ、/⌒ 、-- 、
/_,..- ヽ ` 、
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, ´ / ,' : 、 ヽ
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 ̄ ̄´/ イ ' { ´| |/__{ |: , ´/}/_}∧ | | |
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/ イ ∧{ 从 Vり \∨' Vり /' / ∧{
´/イ }从lム ; \ ,ノ / \
| ∧ U ∧,イ
Ⅵム - - イ //
_ヽl\ //イ__ 「何だかよくわからないけれど、普通にしてればいいんですね?」
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彼に言葉の意味が伝わっているのかいないのか、わからない。
でも、それはどうでもいい。
怜はただ彼からの『お節介』を享受する。
彼は(自覚しているかわからないが)、怜を誰かの代わりにお節介を焼く。
そうやって、園城寺怜が壁を作れればそれでいいのだ。
「うちは軽い女やないで」
「いや、ナンパするつもりはなくてですね」
「冗談や♪」
先ほどの神妙な空気は何処へやら、怜は嬉しそうに笑っている。
怜がいきなり機嫌が良くなった理由もわからず、彼は途方に暮れていた。
10/10
……
…
すぐ隣の部屋に入って、鍵を閉める。
そして無造作にバッグを放り投げ、ベッドに飛び込む。
「俺が誰かを代わりにしてる……?」
心当たりを探る。
すぐに頭にとある少女の姿が浮かんで、頭を振って忘れようとする。
「俺は誰かの面倒を見たいのか」
中学生の頃から、それが普通になっていた。
でも、今はその普通がなくなってしまった。
彼女は、彼の手の届かないところまで行ってしまった。
スマホを開く。
連絡先を見る。
電話をかけようと思えばすぐにかけられる。
しかし彼はそれをせず、スマホの電源まで落としてしまった。
,. --- 、 ____
/, ´ ̄ ̄` '⌒´ \
、_/_/⌒ヽ , / ヽ
,---、 / // : ヽ :.
, / ̄-/ /' { | | | :
/ __  ̄,./ /-' l| l | |___ l | |
.:' / ,イ _| | |ア__l { { | / }`| | |
/ ,:´ | { | l\{从 ∨ィ斧ミ、 | |
/\'´ /{ | 从{__,. \∨Vソ }イ ト、 ∧{
////\ r--- ´八 !∧  ̄ ,: :.:.: }/ノ/ リ
. ///////\ \}∧ u 八/
//////////〉 込、 __ ,.: /
///////// / }>、 ` イ |从 「俺、最低だな……」
,'//////// / _ /--、l ` ̄ :, |--、
.///////// / イ/////\ {////} / 「///|
'//////// /´// {////////ー '|////| , |///l|
///////////// |l///////////ヽ// \ |////> 、
////////{/////{!/////////////////}--- /////////> 、
自分の心が見抜かれていたのだとしたら、最低な男だと思われているだろう。
それでも、彼女は許容してくれた。
おそらく彼女にも似たような存在がいたのだろう。それが男なのか女なのかはわからないけれど。
「大切な人にならない……」
きっと明日以降も彼は怜にお節介を焼くのだろう。
お互いの『大切な人』の、代わりとしてーー
カン!
こういうの誰か書かないかなぁ
積んでた怜外伝読んだけど大阪の重力半端ないですね。頑張ってもっと重くしていきます
そろそろ一ちゃんもやります。忘れてないよ
1/10
【タイセツナヒト】-単発次元-
園城寺怜の大学生活は変わった。
最初はそれこそ悲惨そのもの、大学と病院を往復するだけのThe・ぼっち生活だったものだ。
しかしひょんな事からイケメンを拾って懐かれて以来は生活が楽しくて仕方ない。
/: : : : : : : : : : : : : : : : : :ヽ
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'ヽ': : :::::/-!-',':::::::::::;:イ,'__|:_: !:::::::::!:.:.|: :.!
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j:´|:::::/リzチ=x|::/ /,===!x、|:/|::::':::::!: :.|
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/:l:::::ヽ:! ゞー'' v_:''_;ノ〃::::::::,':: : :!
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. /: :.:|::::::::`l " " ,'_j:::::::::!:::: : : 、 「アホー。シェイクと言ったらバニラやろ?」
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.'::ハ: : |:::::::::::: '/≧:... .._:<::::/::::::::/::::::.:.::::|ヽ!
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/ ` `ヽ.、 ノ、 `ヾ >、 //:':::;' ハヽ li!
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/二ニゝ //「|:トヽ、7/:::::::::::| .,'l |
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,. ⌒ヽ、/⌒ 、-- 、
/_,..- ヽ ` 、
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, ´ / ,' : 、 ヽ
/ , , / /| | :. | | | ∨
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/ イ ∧{ 从 Vり \∨' Vり /' / ∧{
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| ∧ U ∧,イ
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_ヽl\ //イ__ 「先輩がチョコ買ってこいって言ったんじゃないですか!」
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そう、イケメンを侍らせてパシッているのだ!
見よ、この羨望の眼差し!
彼は大学でもそこそこ人気のあるイケメンだ! ちょっと残念なところもあるけれど!
周囲からは噂話をされているが、怜は全く気にしない。
「大体ですね……。
この時間のマックってすごく混むんですよ」
「ハァ~~~!?
おー、もう一回言ってみ?」
「?
この時間のマックは……」
「これからマックって言うの禁止や。
男なら『マクド』で通せや」
「なんで!?」
2/10
東と西。
巨人と阪神。
微妙に東側の長野県民にはわからない拘りがあるようだ。
「と言うか、俺東京民じゃないですからね……。
一応長野県民ですよ」
「関係ないわ。
うちの舎弟ならうちに従わなあかんでー」
「いつ舎弟に……」
彼がブツブツと言い出すのを横目で見てニヤニヤする。
なんだかんだでどんなに困っても合わせてくれる。怜としては非常に居心地が良い。
「高校時代もそうだったん?」
「へっ?」
「清澄女子は五人。そこに一人だけ収まるハーレム。
このこのー、いい思いしてたんやろー?」
「そーですね……。
確かに雑用とかは率先して引き受けていました」
「ウンウン。そんな感じするわ」
「さすがに居心地悪くてですね……。
その、みんな気遣ってくれるんですが、逆にそれも辛いと言うか」
「ワガママやなー。
うちならセクハラしまくるで」
「追い出されますよ……」
頬に手をついてウンウンと頷く怜に、反応に困る京太郎。
清澄高校麻雀部は仲が良かったと言い切れるが、男として居心地が悪かったのも事実。
根っからの雑用体質だったため、率先して雑用を引き受けて誤魔化していたこともある。
「男としてどうなん?
ガンガンいかなあかんで?」
「そー言うもんなんですか?」
「あんなぁ。
女の子は『言い訳』が欲しいんやから、適度に押せ押せの方がモテるでー」
「ハァ……」
「やりすぎると捕まるからほどほどになー」
「どうしろと……」
「女の子次第やね」
ニカっと笑ってのける。
京太郎は女の子の気持ちはわからないな、などと呟いた。
3/10
「んで、どんなことしてたん?」
「基本的に買い出しですね。
あとはタコス作ったり買ったり……」
「おー、先鋒のタコス娘?
チャンピオンに泣かされてたなー」
「まぁ、アイツは頑張りましたよ」
「うちも泣かされたしなー。
気持ちはわかるで」
ウンウンと頷く。
京太郎は参加していないので反応に困っているようだ。
「まったく、姉妹揃ってバケモンやなー」
「……そーですね」
何の気なしに怜が呟いたが、京太郎の反応が遅かった。
これ以上突っ込んで聞いてはいけない。
そう、なんとなく、女の勘が告げていた。
「清澄の部長とか、原村とか、美人やろ。付き合いたいとか思わんかったの?」
「二人とも美人すぎて、俺には釣り合いませんよ」
_____
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|:.:.:.:八 |:.:.:.:|:.:.:.:| 「えっ、だから美人じゃないうちに目ぇつけたん?
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: : : : : :| : : |: i 「! ヽート!、: : リ !: |ハ: ト : | ̄ ̄
.: : :,..-、|: : :i: :|: !゙、 _、!二゙、-| イ: リ ! |ヽ:|
: : / へ.゙、 :丶ヾヽ<´{::::i` ヽ! 1!|:/| :!ノ゙、リ
: :ヽ \ : :!丶  ̄ Vイ:ハ |\:i
.: : 丶 \゙、 `> リ `
ヽ: : :`┬ 、 ヾ /
i: ;ィノ U ,....-ィ /
,,:‐レリ _  ̄ / 「誰もそんなこと言ってないじゃないですか……」
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::::::゛== 、 \ / ̄ヽ、
::::::::::::::::::::::゛===-、 >
4/10
……
…
・在りし日の清澄
__ /: : :/: :/: : :/:/: : l: :\: : : : :\
、___厶斗匕: : /: : /:/i: |:l:.|: : : :∨: : : : :.
`¨777¨´∨:/: : /:/ 八:i:从: : : : :i: : : : : :.
/ i/ /∨/: : :/ ´i/ ヾ ∨ : : |: : : : : :.l
{ ∨/:_:_:/-‐/ ―--∨:._:|: : : : : :.|
__ノi ‘: :/:/ /-、 r‐ ∨:.|: : : : : :.ト、
`ー‐/|___ }/:/ __/_ __, ∨: : : : : : | \
i/二二Ⅵ: i 〃ヒ刎「` ´ ヒ刎「ヽ iリ: : : : : :|
/ニニニニ=-、:. .::.::. .::.::. /: : : :l: :l:.|
厂 ̄`マニニニニニ∧ ′ /: :/: : l: :lリ
/ / ∨二二二ニ∧ /: :/: : : l: / 「須賀くん、悪いけれど買い出しをお願いしてもいいかしら?
___ノ ∨二二/: 込、 r ‐ 、 〃: :i : : : :!;′
∨ニ/\:i: : 介: .. ` ´ イ : : !: : : l/ そして帰ってきたらおっぱい吸ってもいいかしら?」
Τ二二リ: /: i:_:_:〕 ‐-‐ ´ iヽ: :l: : : :{
ノ二二/: : : :/ニニ」 |ニ∨: : : 八
/二二ニ/イ: :l:/ニ「 //: : : :/: : ))
/\二二二八:.:i二ニ|--、 _ー=彡: : : :/彡ヘ{
/ \二二二ヾ二ニ「 ̄ - ´_ /:/: : :/二二ニ=-
, ⌒ ー  ̄ ̄ 、
/_,. - \
/´ / /⌒\ ヽ
, ´ , V :.
/ / / / / | V : V |
/-- ´' / / / l|{ | l| | | {
/ イ { ':|_,斗| | 、_l__/_ィ |l∧
/ ,: ∧ | {∧{ { 、 /}/}/ } /∧|
/ イ / {∧{ 、__,.V {∨ 、_,/ イ}' `
 ̄´ V∨乂l \ ムイ/
从 ' 八/ 「……買い出し行ってきまーす」
-〈〈/\ v-っ イ》く__
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i: |: : : |: :.:|:.|:.:.:.:i|:|:.:.:.| ! | ..:|i. | .i: i ゙、:.:.i.;A-‐ハ:.!:.:.:.:.:.:.:..!:::::::___|::::
!:.i |: :.:| .:.:.i:.!:.:.:.|!.i! :l |:.:!:.:.:.:.:..i:.:.i ゙、! _/ハ:ハ/ |ィ;.:.,.-‐-、!:/.:.:.:.:.V/
i :|.| :.:.:i i i_:|、!、:.:.! i:!、i:.:.:.:.:.:.i:.:.i _;彡';tr=、 ヾ、"' /ヽ |':.:.:.:.:.:.i:.:|:.:.:.:
. ! i:i! | ..:i :i:.:.:i`iー>ト-!、丶:.:.:.:.:i:、^V i_;:::::::ヽ / i: : : : :.:|:.:|:.:.:.:
、:!:i、:.:.i:.:.:.:.|:.i:、:.7メ'f:::::::ヾー\:.:.:.:、`ヾ <;;;:ン ′ ノ : : : :.:.:!:.|:.:.:.:
ヾi 、:.\:.:\:.]〈 っ::::;:i  ̄` _,∠|:|: : : : .:|:.|―-
ヽ!:.i、`゙ー-r≧ >≠ , " " / |:! : : : :.:|:.!////
|:.|:.:.:.:.:.:.:\! ,, ,, / i!: : : : : ::i:.i////
|:.|: : : : :.:.:.i i r== "ヽ / i: : : : : :.:i:.|//// 「(つまりOKのサインですね!!!!!)」
| |: : : : : :.:i:.:|\ ∨__ノ) / /: : : : : :.:i.:|////
|:| : : : : :.:.|:イ |:::|l`ー-..、  ̄ ̄ / / : : : : : :.:|/////
|.|: : : : : :.:|:∧ i:.:!i::::::::::::::`i ー-‐ ' ,..-‐:/: : : : : : :.:.i!/////
……
5/10
「先輩も普通に可愛い部類に入ると思いますけど……」
「やめてぇな。
めっちゃキモいわ」
「ヒッデェ!?」
「女の子的には意中の人以外に可愛いとか言われるとめっちゃ気持ち悪いで」
「いや、それはわかりますよ。
でも、あの流れはフォローする流れじゃないですか!」
「知らんなぁ~♪」
京太郎を振り回してご満悦だ。
彼はなぜかわからないが怜にお節介を焼いてくれる。
そしてどんなに振り回しても嫌われない。……それどころか、どこか喜んでいるように思える。
彼がドMなのか……、いや、そうではない。
きっと、彼は振り回されたいのだ。
怜のオカルトではなく、直感が告げている。
「難儀やなぁ」
「何がですか?」
お互いに、と言う言葉は飲み込んだ。
怜も彼に『彼女』を重ねている。
どこまでもお節介で、怜のことばかり心配して、甘えさせてくれる『大切な人』だ。
「なぁ、小学生の頃どうだった?」
「小学生ですか?」
いきなりの話題転換。
それでも彼はついてきてくれるあたり、コミュ能力は高いのだろうか。
「普通の小学生だったと思いますよ」
「友達とかおったん?」
「そりゃいますよ」
「何人くらい?」
「えっと、クラス全員とそこそこ話すくらいには……」
/ : .:/: . : . : . : . :│∨: . : . : ‘。: . : . : . ゚, }
:゚ : . : /: . : . : . : . : . | Vト : . : . ‘。: . : . : . .゚, __,ノ
, { |: . : 〃: . : . : . : . j.:.:゚ }:い: . : . :‘。: . : . : . :。: . ´ ̄{
|{: . :.|: . :/{: . : . : . : . 〃 ' --|:|‐∨…{: . :。: . : . : .i.: . ,
| ゝ.__|: . :| |,.斗-: . : //:/ |:| }: . 八: .:i: . : . : .|: . : ′
|/:. .|:.: .匕゚。: . : .//:/ jイ |/ }ハ|: . : . : .|: . :. :{
| | : . ト : .| い: ./ /ィ゚ ,ィ==≠=ミ:、|: . : . : .|: . : . 八
| l: . ∧ リ 斗-==ミ {_)゚:i:i:i:i:i:| / . : . : . :.|ヽ: . : :,
|:乂\ハ /{_)゚:i:i:i:i:i| ∨ゝイノ .|: . : . : .| }: . : i トヘ
|:| : . :.ヽい ∨ゝイ ノ `¨¨´ 1..: . : . :| /..: . : | | }i
|:|i : . : . ∧ `¨ ¨´ :':':':゚ |: . : . : .|′: . : .| | }|
|:|{ : . : . : ∧゚:':':': ′ } |j: . : ..:, : .: . :. ..j│ }!
|:|o : . : . : .∧ し :゚|: . : ./: .:|: . : /./ / 「……」
|:| ゚: : . : . : .:∧ r‐ュ イ j.: .: イ : /} : /jイ
|:l ゚: : . : . : . : \ ´ / //∨イ//
l{ V: . : . :.ト : . :> 。.. __ ィ __,,,... -=ニニニニ=-
乂 \ : ト::} 乂: . :.{\:::{∨ _}/ニニニニニニニニニニ\
ヾ{ リ `ー /二ニニニニニニニニニニニニ\
6/10
一瞬声が出なくなった。
そう言った彼は、自分の大切な人そっくりだった。
「なんですか?」
「ぼっちにはリア中の光は眩しすぎんねん。
あー、どーせ『二人組作って~』とか言われてもなんとも思わなかったんやろ?」
「小学校はよく覚えてないですね・
中学はまぁ、よく組む奴がいたんで」
「へぇ?」
,. --- 、 ____
/, ´ ̄ ̄` '⌒´ \
、_/_/⌒ヽ , / ヽ
,---、 / // : ヽ :.
, / ̄-/ /' { | | | :
/ __  ̄,./ /-' l| l | |___ l | |
.:' / ,イ _| | |ア__l { { | / }`| | |
/ ,:´ | { | l\{从 ∨ィ斧ミ、 | |
/\'´ /{ | 从{__,. \∨Vソ }イ ト、 ∧{
////\ r--- ´八 !∧  ̄ ,: :.:.: }/ノ/ リ 「そいつはいっつも一人で本読んでて、友達いなくて……
. ///////\ \}∧ u 八/
//////////〉 込、 __ ,.: / みんなのペアが決まってから泣き出すような奴でした」
///////// / }>、 ` イ |从
,'//////// / _ /--、l ` ̄ :, |--、
.///////// / イ/////\ {////} / 「///|
'//////// /´// {////////ー '|////| , |///l|
///////////// |l///////////ヽ// \ |////> 、
////////{/////{!/////////////////}--- /////////> 、
/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::...,
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, ":::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
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/:::::::/:::::/::::::::/:::::::::::::i::::::::::::::::::::!',::::::::::',:::::i
,::::::::::i:::::/::::::::/:::::::::::::::l::::::::::::::::::::l ',::::::::::',:::::!
,;:::::::::::l::::l::::::::::l:::::::::::::::::l:::::::::::::::::::,' !:::::::::::!::::!
i::::::::::::!::::!::::::::,'::::::::::::::::/::::::::::::::::/ l::::::::::::!::::!
l:::::::::::l:::::l::::::::!::____/,/::/:::::::::/ _,,,,!;;;;___/:::::!
l:::::::::::!:::::!:::::::!:::/ //::::// / i:::::/::::::!
,':::::::::/!::::::ヽ::::!-t---t- t--t- !::/::::::::!
i::::::::::! !:::::::::::!ゝ ` -" `-" イ::::::::::::l
l:::::::::::ヾ:::::::::::! .,.,.,.., , ,.,.,.,., /):::::::::::l
l/!:::::::::::!::::::::::! /::!:::::::::::::!
\::ィヾ::::::::i > ../ ≧‐―-≦ヾ:::/:::::::::/ 「ぼっち検定一級やな」
_,,,,,,≦ニニヘ\::! ./ / ィヾゝ 彡= }/!::::/
\ニニニニ.ヘ‐- 、 i ィっ'ー≦ヽ 'イ/
\\ニニニニヘ,_,,,-,' /i イ'' 〉、
\\ニニニ.ヘ / / ヽ -ィ ! }
「なんですか、ソレ」
「ええからええから、続けて」
「続けるも何も、声かけて組むようになって、それからチラチラこっちの方を見てくるようになったんですよ。
だから自然と組むことが多くなったって感じです。
話すこともそれ以上ないって言うか……」
「リア充は余裕やなぁ」
「だから別にリア充では」
ーーなるほど、そっくりだ。
怜の中で合点がいった。
7/10
彼が見ているのはその人だ。
怜はその人が男か女かもわからないし、知りたくない。
しかしその面倒を見ていた頃の名残が抜けなくて、ついつい怜に構ってしまうのだろう。
まぁ、好都合かもしれない。
これ以上は深入りしたくないし、自分も彼に『大切な人』を重ねているのだ。
言葉にしようのない背徳感が身を包むが、忘れることにする。
お互い偽物の『タイセツナヒト』として関わるのがトラブルにならないだろう。
「(思ったより、竜華がいないのはしんどいなぁ)」
自分を救ってくれた恩人。
彼が見ている『誰か』と同じように、園城寺怜はぼっちだった。
二年に一度のクラス替えの度に新しい友達(……と怜は一方的に思っていた)を作るのは面倒で。
さらに『班分け』と言う今考えても残酷すぎるシステムのせいで自分がぼっちであることを自覚させられる。
誰にも選ばれない苦しさと悲しみ、あまり誰かと親しくなるのが怖いと言う感覚。
そんな怜に関わってくれたのが竜華だった。
クラスの人気者だった清水谷竜華は積極的に怜に関わった。
最初こそ竜華から逃げて、泣いてしまったこともある。
竜華から『お互い大切な人にはならない』と言われた時に、所詮その程度の関係だと苦しんだこともある。
でも、長く付き合うことによってその考えは変わっていった。
変わっていったはずだったのに、今また戻ってしまっている。
「先輩?」
「なんや?」
「いえ、俯いてしまっているので体調でも悪いのかな、と。
病院行きます?」
「ええからええから。
病院行っても薬出されて終わりやし。
体弱いなりにどれくらいが大丈夫かはわかっているつもりやで」
「それならいいんですけど」
「病弱には病弱なりの生き方あるんや。
過干渉は嫌われるで」
「あ、すみません」
少し機嫌が悪かったから当たり散らしたけれど、後悔する。
しかし、なんで謝る。
善意を踏みにじられれば怒って当然だ。
普通ならこれから関わらなくなってくるだろう。
でも、彼は本当にすまなそうに謝った。ーー彼女みたいだった。
8/10
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,′ ::/::::/| ::::::Ⅳ笊示ミ、 厶イ i|:::::::::::::|
:::::::/!:::八|::::::::| 乂:ソ ァ==、 ,i|:::::::::::::|
,/::|:::/ |::::::::i|::::::::| メソ' / |:::::::::::::|
l/ l|::::::::i|::::::::| '' , `¨ /::::|::::::::::::i|
' 八::::/i|::::::::ト、 _ '' /:::::i|:::::i|::::リ
∨从:::::::| \ , イ.!:::/i|::::/!::/ 「言いすぎたわ。悪かったなぁ」
_.ノマ'\:| ーr: ≦/:::/|:/ |::/ |/
_,.‐=ニニニニニ\ ∧\::// _ノ'′ノ'
∠ニニニニニニニニニ\ { ∨ニ=‐- .,_
./ `\ニニニニニニニニ丶 ‐=- Ⅴニニニニ7 、
i \ニニニニニニニニ\ 〕ニニニニニニ∧
___,-、 _, ---- 、
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/ | :. `ヽ、
/ / / l| V ` 、
.' / , { { | | | 、 、_ \_
| | | | |∧| { : ハ V 、\  ̄´
| | {/--{ 从 | , |-|、 | 、 \`
' | ,..- | | | ,ィtォ=ミ∧ |,ィtォ、} / |l ハ\_、
/イ{ { r 从 { Vソ ∨' Vソ/イ |∧}
∨乂 \ |/ j' リ
}∧ ー:. ` ムl/
/ 、 八 U _ _ 人 「いえ、こちらこそ……」
}イ/|\ /
「<l| ` .__/_
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「確かにちょっと体調悪かったんや」
「俺にできることがあったら言ってくださいね」
「んー、それじゃ晩御飯作ってやー」
「あの……。
俺料理ド下手なんですけど」
「ええからええから。
前作ってくれたタコス、美味しかったでー」
話題を変える。
暗い話ばかりでは滅入ってしまう。
まぁ、晩御飯を用意するのが面倒くさいと言うのも本音だ。
「あんなんでいいならいくらでも作りますよ」
「いややわー。
うちを肥やせてどうするつもりなん?」
「どうもしませんよ!?」
「ぽっちゃりの方が好みなん?」
「いえ、ああ、うーん……」
「真面目に考えんなや! ドスケベ!」
「あ痛っ!」
9/10
かなり強めに背中を叩いたためいい音がするが、言葉とは裏腹に彼は痛くなさそうだ。
大きな男の子の背中を見て、なんだか悔しくなる。
しかしそんな男の子が自分に尽くしていると言うのも、なんだか優越感に浸れる。
「(竜華なら料理も得意なんやけどなぁ)」
自分の親友は才色兼備、家事万能のお嫁さんレベルマックスだ。
ちょっと性格が重くて不思議ちゃん成分も入っているが、それを差し引いても優良物件だと思う。
目の前の彼も……、まぁ、正直顔は悪くない。
背も高いし、好みというか……、悪いとは思わない。
まぁ、竜華の代わりとしては十分。などと考えていると、彼が笑っていた。
/\-――‐- 、
, --=7 丶 `ヽ
/, ヽ ヽ
∠/ / 、 、 丶 i
/ i ! l. l i. i |
/ ,/ ! ! l|| ! |、 ll ! | ヽ、
/_ -7 , | l ト、| |ヽ! N , 斗 r ,'_ ト--`
 ̄ //! ! Nヽ!\|,//l/ l/! N ,ハ !|
´ / ,i丶 {=== l/ == =l/ ' ノ リ
´ {ハ!ヽ{ ′ /!}/ ′ 「あいつ……」
丶 ー ―‐ ' / |′
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__ i ー ' ! __
, ィ'´:.:/-‐ ´} / `Y´:.:.\
, -‐'' ´:.:./:.:.:./― - 、 ,/__ /:.:.:.:.:.:/`丶、
ハ:.:.:.i:.,:.:,′:.:i `  ̄ /:.:.:.:.:../:.:.:.:.:.:.:.丶、
/:.:.:.i:.:.:|,':.:i:.:.:.:.:! ヽ / /:.:.:.:.:.:/:.:.,:.:.:.:.:.:.:.:.:,.ヽ
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八:、{:::|::::チ芹苅 ムイ ノ'芹苅メ }:/:}::::::::|
.:::::::\:::: 《 乂.ツ ´ 乂.ツ 》/イ:::::::::::.
,ハ:::::::::::|ヽ〉 .: .:. .:. :. , |:::::::::::ハ
| |:::::::::::|:.、_ ' _ノ|:::::::::::|| 「何わろてん?」
|、:::::::::И八 , 、 八Ν::::::/::} |
\::、|7777> .. .. <77,厶イ/
,. ´//////∧ >-< ////////,` 、
∧//////////∧ __ __ ////////////∧
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視線を下げると、彼はスマホを弄っていた。
先ほどバイブが鳴っていたし、誰かから連絡が来たのだろうか。
「いきなり笑うなんてキモいわぁ」
「ちょっ、辛辣すぎません!?」
「面白いことはみんなで共有せなあかんでー。
どしたん?」
「それがですねー」
彼の表情が緩みきっている。
そう、怜が今まで見たことがないような嬉しそうな顔で笑っていた。
10/10
__ /⌒ヽ
⌒\ ∨ ヽ___
_, ----` ∨ `ヽ、
/´ | \
/ ____ / l| | :. \
/// / | |l | : ヽ
/ / // ,∧ / ,イ l| :. . .
/ イ / // : l | ' / ! 从 | : :.
.'/ ' ' /-|-{ { | /}/ | / } } | .
}' / |Ⅵ { 从 ' , }/ /イ } .
/ イ | l{ { ∨/ ' } ∧ : :.
´ | {|从三三 / 三三三 / /--、| ∧{
{从 | , ムイ r 、 }} /} \
| ノ ' }/イ/
{ _,ノ
人 _,..::ァ r }/ 「いえ、スマホ苦手な奴がライン送ってきたんですよ。
` ゝ - ' イ |/
` ーr ´ ___|_ 平仮名だけで笑っちゃいまして……」
___| |//////|
{|___ノ __|[_]//∧_
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|: : : : : : : : : : : : :./ /イ 〃 ,:ィ: : : :../ 〃 ,ノ : : : : : : : : : :.|
|: : : : : : : : :..:.ト、/___j!__,/__/ /: :../ /_,j!______ |: : : : : : : : : :|
|: : : : : : : : :..:i!〃つ。ノ.V/l|\-‐ ´ '´つ。ノ.V/l}㍉ |: : : : : : : : : ハ
,: : : : : : : : : :fヘヽ弋l(......)ツ 弋(......)lツ / ,:イ : : : : : : : : :.
. ′: : : : : : : : :| i ¨¨¨¨¨ ¨¨¨¨¨ / |: : : : : : : : :い
i.| : : : : : : : : :.| , ゚.:.:.:.:.:.:.: :.:.:.:.:.:.:.゚ , |: : : : : : :..:..| |i
|ハ: : : : : : : : : | ′:.:.:.:.:.:.:.: ' :.:.:.:.:.:.:. ′ノ: : : : : : : : :| ||
|| |: : : : : : : : :.\__j j_/: : : : : : : : :..:| ||
|| l: : : : : : : : : : : :.∧ /: : : : : : : : : : : : , l|
リ 乂: : : : : : : : : : : :个:.. ´  ̄ ` ..:个: : : : : : : : : : : : ゚ リ 「ほーぅ……」
\}: : : : : : :.ト、: : : : >... イ: : : : : : : : : : : : : : :./
\: : : : い乂: : : :..:.| > __ <│: :j: : : :./}: :/}: : : :/j/
`ー―ヘ ヽ}ィニ| |ニヽ:ノ}ノ/_,イノ ィ
__ -=ニニニニニノ ∨ニニ=- __
オカルトや、女の直感ですら必要ない。
彼の嬉しそうな表情が、全てを物語っていたのだからーー
カン
熱烈要望していた人がいて嬉しかったのでちょっとだけ
1/10
【あの人の代わりに】-単発次元-
『ごめんなぁ!
仕事が入ってもうて……』
「しゃーないしゃーない。
社会人になると大変やなぁ」
『今度埋め合わせするからなぁ』
「気にせんでええよ」
最近、竜華と連絡を取る事が少ない。
東京に越した初期は鬱陶しいくらい連絡が来たものだが、もうそれから二年以上。
竜華はプロ雀士。当然、社会人として激務に追われている。
関わりが少なく慣れば自然と疎遠になるもので、未だに交流がある事が奇跡かもしれない。
今回も少し前に竜華からお誘いがあったのだが、急な予定が入ってしまったらしい。
「(寂しいなぁ)」
複雑な感情だ。
世話焼き竜華を面倒臭く思ったことは一度や二度ではない。
しかしいざ離れられると、二年以上経った今でも寂しいという感情が抜けない。
「当たり散らしたろ」
だが、今の怜には代わりがいる。
竜華と同じようにお節介で、基本的に暇な後輩だ。
大学生活は最後の夏休みと言う。(もちろん、入学した大学や学部にもよるが)
リア充気質の後輩もまた、講義中以外は暇そうにしているものだ。
「なー、暇や」
『いきなりなんですか』
隣の部屋にいるはずの彼にLINEを送るとすぐにメッセージが帰って来た。
ほほぅ、やはり暇なのかと思えばやることは一つ。
この鬱屈とした気持ちを後輩を弄って晴らしてやろう。
「かまえーかまえー」
『どうしろってんですか』
「なんかおもろい話ないん?」
『そんないきなり無茶苦茶な……』
隣の部屋にいる彼が苦笑しているのが見て取れる。
無視してしまえばいいだろうに、しっかりと返信するあたり変に真面目な性格だ。
短い付き合いだが、濃い付き合いでもある。
怜はそれなりに彼の性格がわかってきていた。
2/10
「週末暇になってもーてなー。
ムカつくから弄ろうと」
『俺、そんなことで弄られるんですか!?』
「後輩の定めやで。
うちの高校時代にはもっとひどい弄られ方していた奴もおるでー」
『その人の心中察しますよ……』
『高一最強』なんて自負して心を砕かれていた後輩がいたことを思い出して笑みを浮かべる。
根っからの関西気質ということもあるが、あの子は弄っていていい反応をしてくれたものだ。
この後輩もそれに近い性格をしているかもしれない。
「だからー、暇つぶし出来るもんないん?」
『無茶言わんでくださいよ……』
「おもんないやっちゃなー」
『んー、じゃあ今度映画でも行きます?』
「ええよー」
流れるように、何も考えずに返信していた手が止まる。
了解した後に事の大きさに気づく。
「マジ?」
『マジですよ。
友達と行こうと思ってた映画があるんですけど、友達がその日を空けられないみたいで』
「お、おう」
『チケット余っちゃったんです。
キャンセルしようかと思ったんですけど、せっかくなら行きます?』
「おー、デートか。
しゃーないなー、付き合ったるわー」
『はいはいデートですよ。
準備しておきますね』
/ : .:/: . : . : . : . :│∨: . : . : ‘。: . : . : . ゚, }
:゚ : . : /: . : . : . : . : . | Vト : . : . ‘。: . : . : . .゚, __,ノ
, { |: . : 〃: . : . : . : . j.:.:゚ }:い: . : . :‘。: . : . : . :。: . ´ ̄{
|{: . :.|: . :/{: . : . : . : . 〃 ' --|:|‐∨…{: . :。: . : . : .i.: . ,
| ゝ.__|: . :| |,.斗-: . : //:/ |:| }: . 八: .:i: . : . : .|: . : ′
|/:. .|:.: .匕゚。: . : .//:/ jイ |/ }ハ|: . : . : .|: . :. :{
| | : . ト : .| い: ./ /ィ゚ ,ィ==≠=ミ:、|: . : . : .|: . : . 八
| l: . ∧ リ 斗-==ミ {_)゚:i:i:i:i:i:| / . : . : . :.|ヽ: . : :,
|:乂\ハ /{_)゚:i:i:i:i:i| ∨ゝイノ .|: . : . : .| }: . : i トヘ
|:| : . :.ヽい ∨ゝイ ノ `¨¨´ 1..: . : . :| /..: . : | | }i
|:|i : . : . ∧ `¨ ¨´ :':':':゚ |: . : . : .|′: . : .| | }|
|:|{ : . : . : ∧゚:':':': ′ } |j: . : ..:, : .: . :. ..j│ }! 「……えっ」
|:|o : . : . : .∧ し :゚|: . : ./: .:|: . : /./ /
|:| ゚: : . : . : .:∧ r‐ュ イ j.: .: イ : /} : /jイ
|:l ゚: : . : . : . : \ ´ / //∨イ//
l{ V: . : . :.ト : . :> 。.. __ ィ __,,,... -=ニニニニ=-
乂 \ : ト::} 乂: . :.{\:::{∨ _}/ニニニニニニニニニニ\
ヾ{ リ `ー /二ニニニニニニニニニニニニ\
3/10
……
…
言い出してしまえば止まらない。
やっぱりアレは無しで、なんて言ってしまえば後輩に舐められるかもしれない。
あのチャラ男、『デート』って単語を出したのに全くビビる様子がなかった。
やはり女と遊び慣れているに違いない。
それでもデートに付き合うことにしたのは、先輩としての小さなプライドのためだった。
「服とかどーすんのやろ……」
それなりにオシャレなものを選んだつもりだ。
大学生ともあり、普段から私服ではあるがデートならもう少し気合を入れたいところだ。
しかしあまり気合を入れすぎると楽しみにしていたと勘違いされる。
とはいえ、だらしない服装は女のプライドが許さない。
結局、前日に店員に勧められるがままに新しい服を買ってしまった。不覚だ。
「こんなんでえーんかなあ」
ワンピースにカーディガンを羽織った女の子らしいスタイルだ。
もっとカジュアルな服装で行こうと思ったが、店員にゴリ押しされるがままに買ってしまった。
それにしても、人生初デートがこれと言うのは納得がいかない。カウントしたく無い。
しかし言い出したのが自分だったから撤回することもできない。
____
,. ´ __ `¨¨ヽ
,  ̄` / ヽ `ヽ
/ _ ,: ∨ 、 :.
/ /,´ / | ヽ .
/ //' ' / ' / l| | : : ∨ :
l// / , / ' l| | | | | | | | |
_/ ィ / { l |__|_{ |∧ }/ ' / l | ∧
 ̄ {〃 Ⅵィ斧从 } /-}/-/、 , /-、 ∧}
/ , 从 Vり ∨イ ,イ斧ミ、}/ /⌒ } | '
/ イ从 l ム Vり ム' ノ/}'
´ \∧ ' ,r ' /
、 v ァ / 从/ 「おはようございまーす。
\ `こ イ _|、
` r ´ //∧ 怜さん早いっすね」
/| /////∧
「 | //////////> 、
, </∧ / {///////////////> 、
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,. :.´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:`丶
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′:.:.:.i:.:/斗ァl:.:.:.:.:/ト、__i:.:|__亅:.:.:.:.:.:.:.i
i:.:.:l:.:.:Ⅳ/ / :|:.:/ ノ レ'|/}/:.:.:|:.:.:.:|
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|:.:.:.:八 |:.:.:.:|:.:.:.:|
|:.:.:.:.:.:.:ヽ. r‐、 イ:.:.:.:|:.:.:.:| 「マイナス50点や」
. 八:.:.:.|:.|:.:|:.:i>ー┬─┬セ爪./}:.:.://Y
\|人乂|\|/, -‐' }/厶ィ'"
r‐'厂{/ -─\
/ {/ / ヽ
4/10
「なんでですか!?」
「フツー女の子を待たせないやろぉ?」
「あの、これでも10分前なんですけど……」
時計を見てみると確かに集合時間にはまだ早い。
怜は準備が早く終わりすぎて30分も前に来てしまったのだ。
「隣に住んでるんですから一緒に出ればいいじゃないですか」
「マイナス30点や」
「減点!?」
「デートなら待ち合わせやろ? トーゼンやん」
「はぁ……」
困ったように頭を掻いている。
もちろん隣に住んでいる以上、一緒に出発すればいい話だ。
しかし効率と乙女心は同居しない。
彼に恋愛感情は全く抱いていないが、仮にもこれは『デート』なのだ。
デートらしくするのがマナーと言うものだろう。
「(さて、服装は……)」
ジッと彼の服装を見る。
余りにいつも通りの服装を着てきたら減点してやろうと思ったところだ。
「(ジャケットにダメージジーンズ……)」
ーーうん
「中二病?」
「酷く無いですか!?」
「いやいや、そのタッパに髪の色にその格好はあかんやろ。
ぶっちゃけ怖いわ」
「マジすか。
これ、友達に選んでもらったやつなんですけど……」
, ⌒ ー  ̄ ̄ 、
/_,. - \
/´ / /⌒\ ヽ
, ´ , V :.
/ / / / / | V : V |
/-- ´' / / / l|{ | l| | | {
/ イ { ':|_,斗| | 、_l__/_ィ |l∧
/ ,: ∧ | {∧{ { 、 /}/}/ } /∧|
/ イ / {∧{ 、__,.V {∨ 、_,/ イ}' `
 ̄´ V∨乂l \ ムイ/ 「高かったのに……」
从 ' 八/
-〈〈/\ v-っ イ》く__
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5/10
彼が大きく肩を落としてしまう。
その姿がなんだか怒られた大型犬を思わせて、思わず?を緩ませた。
「(+10点やな)」
自分より大柄の男の可愛らしい点を見られて思わず胸がキュンとした。
大型犬を飼っている人はこんな気分なのだろうか。
「怜さん、その格好似合ってますよ」
「そか?」
ほう、ちゃんと服を褒めることは忘れないらしい。
もちろん当然なので加点も減点もなしだ。
「ええ、でも日焼けしたりしませんか?
首元とか気をつけてくださいよ」
「う、うん……」
ちょっとその気遣いは予想外だ。
怜は病弱になってからは肌も弱くなり、日差しに弱くなった。
最近よくいる日傘を持ち歩く女子と変わらない。
しかし男子がそれを指摘してくるとは思わなかった。
「(+10点やな)」
『可愛い』だの言い出したら減点してやろうと思ったけれど、こう言う細かな気遣いは高得点だ。
「今日はどうするん?」
「映画まで時間がありますし、適当に店を回りながら時間を潰しましょう」
「ほうほう、デートプランには期待してええんか?」
「あまり歩き回らないように考えてますけど……」
「歩き回らずに?」
「ええ、日差しも強いしショッピングモールにしましょう。
スイーツ食べ放題があるんですよ」
, -──-
(⌒ i / \
( ) / | ! \
/ l / /{ | _人_ l l ヽ :
./. | /ハ X.u| i `Y´ | | ヽ :
: / l. |レ_」上__\ l / . | | i l /
: / .| l.〃厂_人气ヽゞ /斗七チ} i||/
: /. | | ゞ乂`Y´ノ .芹人气ルr j |リ/ )
i | | | |.::::::::::: {:`Y´:}ノイメイ u /
l | | | | /\ ー - ' ./ l / :
| | | | | u ヽ / :::::::::: { |/l :
レ∨ル ヘ| lヽ __ u _ノ |ヽ} (⌒ ヽ
/!∨‐ !トL. ! ¬丁  ̄ ̄ノ イ ハ j/ ( ノ 「す、スイーツ!?」
/ j‐‐ 、 \ !⌒/ /⌒ レノ リ
\ {<i⌒ i 、ノ \__∨ __/ / :
< \! '⌒ヽ{⌒怜⌒} / :
 ̄ ̄ ̄ ̄ ⌒ー ' ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
6/10
スイーツが嫌いな女の子などいない……と思う。
怜も中高時代は竜華と食べに行ったものだ。
「お昼代わりにしようと思ったんですけど、いいですか?」
「もちろん!
わかっとるやんかー」
「俺も気になってたんですよねー。
ちょうど良かったです」
「スイーツ好きなん?」
「割と?
色んなものを摘むのが好きなんですよ」
「たくさん食べそうやけどなぁ」
「運動してた時は結構食べてましたけどねー。
それからはあんまり食べなくなりましたよ」
「運動?
なんか部活やってたん?」
「ええ、ハンドボールを……。
中学生の部活レベルですけどね」
「なんで続けなかったん?
その図体だともったいないやん」
「うーん、特に理由はないですね」
怜は身体が弱い。
皮肉にもそのおかげでオカルトに目覚めたのだが、身体が弱いことを嬉しいと思えるはずがない。
目の前の後輩はそう行ったことに悩みがなさそうで、非常に羨ましい。
「うちは運動出来へんからなぁ」
「あぁ……」
別に嫌味を言ったつもりはなかったのだけれど、彼は反応に困っている。
今日は意地悪をするつもりはないので、話題を変えることにする。
「あー、疲れてもうたから配膳は頼むわー」
「それ、絶対嘘ですよね」
「もー、イケズやなぁ」
「言われなくても取りに行きますよ」
「冗談やって。
もー、女の子に甘いなぁ」
今度は少し褒めてみる。
甘やかせ過ぎは悪いが、お姫様扱いされるのも悪くない。
女の子はワガママな生き物なのだ。
7/10
「今日の映画は何を見るん?」
「推理モノですよ」
「ミステリー?
そういうのが趣味なん?」
「いえ、一緒に行く予定だった奴が好きだったんですよ。
正直全くわかりません」
「なんやそれ」
確かに、目の前の後輩が本を読んだりドラマを見たりするのはイメージに合わない。
それこそ文化部に入っていた、というのもイメージの外だ。
きっとハンドボールの方がよっぽど彼に似合うのだろう。
「まぁ、わからんもの同士で見るのも悪くないかもなぁ」
「なんかすみません」
「ええよ。
チケット代くらい払うで?」
「いえ、たいした金額じゃないんで……」
「ダメや。
色々世話焼いてもらってるけど、お金に関してだけはしっかりせなあかんよ。
それは優しさやないで」
「は、はい」
そこだけはしっかりと言っておく。
この後輩はどこか危うい。誰かの面倒を見るのが当たり前で、自然と身体が動いてしまっているようだ。
/: : : : : : : : : : : : : : : : : :ヽ
, ': : : : : : :.:.:.: ::::::::::::. : : : : : : : : 、
/: :/: : ::::::::::/::::::::::::::::::::;:::::.:.:.:.ヽ: : ヽ
,': :/.:::::::::/::/:;ィ::::::::::::::::,'.|:::::|::::::.::!: : :.゙.
'ヽ': : :::::/-!-',':::::::::::;:イ,'__|:_: !:::::::::!:.:.|: :.!
| !>::|/ |'|'-l::::::::/;:/ l:::/!ヽ:::::!::.:|<!
j:´|:::::/リ |::/ / !x、|:/|::::':::::!: :.|
,': ハ:::l〈 ,ァ=ミ´ ,..‐==ミ /:/::::::!: :.|
/:l:::::ヽ:!′ ` `〃:::::::::,':: : :!
/: :!::::::::{.! ,, ,, , ,'|:::::::::!::: : :l
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/: : : |::::::::::::::、,r===~ ノ::,':::::::::l::::.: :ヽ:ヽ 「甘い物は別腹やなぁ!」
.'::ハ: : |:::::::::::: '/≧:... _ ,.._:<:::::/::::::::/::::::.:.::::|ヽ!
|:' l: :.!::::::::: '/::::::::λ! ´ _,,レヽ::/:,':::::/L.::-─、! i!
|' |:,r=、:、:'/::::_:ノ >、 r<´ 7イ:::/;' /- 、 i!
/ ` `ヽ.、 ノ、 `ヾ >、 //:':::;' ハヽ li!
/ \=X=K=、ニ_Y:::::::::::! ,' ! |
/二ニゝ //「|:トヽ、7/:::::::::::| .,'l |
r'´-‐ 、\ ,.チ/|| |:| \'./|::::::::::::|.,' | |
8/10
……
…
そんなこんなで、映画を見終わった。
本格ミステリーと銘打たれたそれは、まぁそれなりに面白かった。
と言ってもミステリーの違いなどわからないし、それなりにとしか言えないのだが。
「いやー、助かりました。
怜さんのおかげでチケットが無駄にならなくてすみましたよ」
「うちも楽しかったよ。
京太郎は話すの上手いなぁ」
「話すの?」
「話してて楽しいもん」
今日、少しだけ彼のことがわかった気がする。
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,′ ::/::::/| ::::::Ⅳ笊示ミ、 厶イ i|:::::::::::::|
:::::::/!:::八|::::::::| 乂:ソ ァ==、 ,i|:::::::::::::|
,/::|:::/ |::::::::i|::::::::| メソ' / |:::::::::::::|
l/ l|::::::::i|::::::::| '' , `¨ /::::|::::::::::::i|
' 八::::/i|::::::::ト、 _ '' /:::::i|:::::i|::::リ
∨从:::::::| \ , イ.!:::/i|::::/!::/ 「うちはあんまり話すの得意やないからなぁ」
_.ノマ'\:| ーr: ≦/:::/|:/ |::/ |/
_,.‐=ニニニニニ\ ∧\::// _ノ'′ノ'
∠ニニニニニニニニニ\ { ∨ニ=‐- .,_
./ `\ニニニニニニニニ丶 ‐=- Ⅴニニニニ7 、
i \ニニニニニニニニ\ 〕ニニニニニニ∧
, ´ / ` < ⌒\
/ | :. `ヽ、
/ / / l| V ` 、
.' / , { { | | | 、 、_ \_
| | | | |∧| { : ハ V 、\  ̄´
| | {/--{ 从 | , |-|、 | 、 \`
' | ,..- | | | ,ィtォ=ミ∧ |,ィtォ、} / |l ハ\_、
/イ{ { r 从 { Vソ ∨' Vソ/イ |∧}
∨乂 \ |/ j' リ
}∧ ー:. ` ムl/
/ 、 八 U _ _ 人 「……?」
}イ/|\ /
「<l| ` .__/_
|////>、 | 「/|
-=≦、[二]//l} |、}l∧_
-=≦///////////\ |/////≧=-
r-=≦//////////////////|___j\//////////≧=、
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「なんやその鳩が豆鉄砲食ったような顔は」
「いえ、怜さんって関西の人じゃないですか。
面白いことと言えば関西だと思って……」
「アホ! 関西人が全部そうだと思うなや!」
確かに、某プロになった愛宕の面白い顔の方はそうだったかもしれない。
しかし怜は小学生時代をほぼ友達なしで過ごしたほどのボッチ気質。
竜華や、親しい友達がいなければ新しく作るのは大の苦手なのだ。
9/10
「あんまうちに期待せぇへん方がええよ。
麻雀だってあんまりうまくないし」
「えっ、怜さんめっちゃ凄かったじゃないですか」
「あれはまぁ……」
オカルト、と言ってこの後輩は信じるだろうか。
清澄高校出身ならば何か感じるものがあるかもしれないが、わざわざ話すことでもないと思った。
「ま、病弱なだけじゃないってことや」
「???」
「わからんでええんやで。
乙女の秘密を詮索したらあかんよ」
『一巡先の未来を視る』
怜のオカルト能力。それは麻雀に限った話ではない。
一巡するものならばなんでも見通せる。一種のズルだ。
でも、怜はいつだって不安になる。
未来を視るなんて、そんなことが出来るとして、その代償が病弱ならば……
どれだけ、自分の体に負担をかけているんだろうか。
「怜さん、怜さん!」
「……ん、なんや?」
「なんや、じゃないですよ!
顔真っ青じゃないですか!」
「あー、平気や平気。
お願いだから、気にせんといて」
「気にしないでって……」
『お願い』という言葉を使えば彼は引き下がるしかない。そうわかっていた。
納得してないように見えるが、彼はこれ以上詮索してこない。
そう、『大切な人の代わり』と、予め断っているからだ。
「ちょっと無理させちゃいましたかね」
「もー、気にせんといてって。
減点やね」
「減点でいいですよ。
飲み物買ってきますね」
「あー、もー」
止める間も無く駆け出して行った。
怜としては曖昧な距離を保っていたいのに、彼は気づくと踏み込んでくる。
自分だって、彼にとっての誰かの代わりでしかないのに。
10/10
, ´ / .' / .' ' | l | l | |
/ / ' | | | l| | l | , } l | |
_/ イ / l| |_,∧_{ :. ,-|-}-/、 , | { _ ___,-、 __
 ̄ ´ / / { |、{ l∧ {、 | }/イ/},イ / l_、 { Y´ / ' }- 、
{〃 r∧ |ィ斧ミ从 、Ⅵ , イ斧ミ、 } /l| l、r  ̄ { { | / _ }、
/ /{ 从{、 Vzリ \Ⅵ/ Vzり /イ } / | 乂_人_/、_/ / \
/ //从 l∧\ ,\ | /イ/ }==  ̄ ̄ ̄ ー く
/ イ' {/l∧ ∧ 、 ,イ/j' / \
 ̄ ̄ ー∧ _, 从 , \
ヽ 、 ` ¨  ̄ ィ }/ / / '
∧ \ / |/> , /
{(从_| -- ´ 「/// | {
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_,.:<|///|| l/////` |
_,.. -=<///// \//} ,r-/////// | 「コンビニ行ってきましたー」
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|: : : : : : : : : : : : :./ /イ 〃 ,:ィ: : : :../ 〃 ,ノ : : : : : : : : : :.|
|: : : : : : : : :..:.ト、/___j!__,/__/ /: :../ /_,j!______ |: : : : : : : : : :|
|: : : : : : : : :..:i!〃つ。ノ.V/l|\-‐ ´ '´つ。ノ.V/l}㍉ |: : : : : : : : : ハ
,: : : : : : : : : :fヘヽ弋l(......)ツ 弋(......)lツ / ,:イ : : : : : : : : :.
. ′: : : : : : : : :| i ¨¨¨¨¨ ¨¨¨¨¨ / |: : : : : : : : :い
i.| : : : : : : : : :.| , ゚.:.:.:.:.:.:.: :.:.:.:.:.:.:.゚ , |: : : : : : :..:..| |i
|ハ: : : : : : : : : | ′:.:.:.:.:.:.:.: ' :.:.:.:.:.:.:. ′ノ: : : : : : : : :| ||
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リ 乂: : : : : : : : : : : :个:.. ´  ̄ ` ..:个: : : : : : : : : : : : ゚ リ
\}: : : : : : :.ト、: : : : >... イ: : : : : : : : : : : : : : :./
\: : : : い乂: : : :..:.| > __ <│: :j: : : :./}: :/}: : : :/j/ 「もぉ、大袈裟やなぁ……」
`ー―ヘ ヽ}ィニ| |ニヽ:ノ}ノ/_,イノ ィ
__ -=ニニニニニノ ∨ニニ=- __
やっぱり、どこか似ている。
自分の大切な人に、少しだけ似ている。
「強引だから減点なぁ」
「はいはい」
「……今日のデートは、40点ってとこやな」
「……?」
ーーあれ、最初にもっと減点されていなかったっけ?
彼がそう思っている最中に、怜は悪戯っ子のような笑みを浮かべていた。
「(竜華じゃないから、減点な)」
それでも、こうして誰かと話して遊んでいるだけで、自分は救われているようだ。
ーー私は今日、少しだけ彼と仲良くなった。
カン!
一気に続けちゃう系
やばい、スレ足りない
1/10
【ごっこ遊び】-単発次元-
竜華と離れてから夢を見る。
初めて竜華と出会った時の夢だ。
竜華から逃げて逃げて、気づいたら後ろにいた追いかけっこ。
「(やっぱホラーやな、アレは……)」
思い出してもあの時期の竜華は特別だったと思う。
自分はまぁ、若かりし頃のなんとか病とも言えなくはないが、竜華は天然の不思議ちゃんだった。
スタイルが良くて、運動神経が良くて、明るくて、誰からも好かれる。
思わず女性の自分ですら綺麗と思ってしまった。
『私たちはおままごことのお友達』
あそこから全ての関係は始まった。
今は後悔していない。
しかしまぁ、ぼっちの自分と人気者の竜華が一緒にいることを好まない人は多かった。
すぐ後にトラブルに巻き込まれて、それが麻雀との関わりだったな、などと思い浮かべる。
「(人気者、か……)』
そして今まさに、その時と同じ状況に追い込まれていた。
「アンタ最近須賀くんと仲良いみたいじゃない」
「どういう関係なの?」
「どーいう関係って……」
少しギャルのような雰囲気の二人に囲まれ、問い詰められる。
ここで『やれやれ面倒臭いな』などと思える体質ならばいいのだけれども、実際は普通に怖いのだ。
若干涙目になりながらもなんとかそれを見せないようにする。
こういう輩は弱みを見せるとつけこんでくるのだ。覚えがある。
「ただの先輩と後輩やで」
「あんた須賀くんのことをパシッてるんじゃないの?」
「先輩だからっていい気にならないでよ」
「(あー、否定できへん……)」
昼食を買ってきてもらったり、デートしたりと最近はよく連れ回していた気がする。
彼女たちが彼に対してどういう感情を持っているかは知らないが、好意を持っているならば気に入らないだろう。
しかし、それならば自分のことなど放っておいてとっとと想いを伝えて欲しい。
自分と彼は、そういう関係ではないのだから。
とはいえ、怜の体にこの状況は負担が強い。
なんとか切り返そうと思っても、頭がうまく働かない。
2/10
「(あ、アカン。目眩が……)」
相手が何か言っているが、耳に入ってこない。
体が弱い自分はこうして体調が悪い時に耐えるのはいつものことだ。
授業中よりはマシだな、と意識を別のところに逸らそうとした。
「怜さん、顔色悪いですよ」
「……へっ?」
女の子の声を聞かないようにしていたはずなのに、自分の意識を覚醒させたのは別の声。
いつも自分に懐いてくる後輩の姿がそこにあった。
「友達が怜さんの顔色が悪いって俺を呼んできまして」
「は、はぁ、そうなんか」
意外や意外だ。
少し遠くに目をやれば羨ましそうにこちらを見ている女子二人がいる。
思えば嫉妬で問い詰められていたのかもしれないが、まぁ彼の友達ならば根っから悪い人ではないのだろう。
堪忍な、などと心の中だけで謝罪する。
「ポカリ買ってきましたよ」
「ん……。ゆっくり飲むわ」
そう言うと彼は自分の隣に腰を下ろす。
そう、彼はいつもこうだ。
___
_ - /`ヽ´-<⌒
, ´ / 、 ヽ
/ / / | ヽ \
' | /|_,/l_イ| \ \_
} { | }/__ 从 、 |` ̄ ̄
,' | 芯 {、 从}
/イ {⌒Ⅵ 、\{
、ト 乂_ ノ `
}∧ /从 ー '
__/' ' _ / 「……」
, - ≧=- 、 ,.:'  ̄
, ´ , ´: : : : : :ヽ / `ヽ、
/ /: : : : : : : : :}:、_ r-/:/ ハ
, l: : : : : : : : : :|、:`¨´:/ /: |
/ Ⅵ: : : : : : : : |  ̄ : : : |
/ } : : : : : : : : | / : : : : |
/: : : : : : : : : : : : : : : : : :ヽ
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/: :/: : ::::::::::/::::::::::::::::::::;:::::.:.:.:.ヽ: : ヽ
,': :/.:::::::::/::/:;ィ::::::::::::::::,'.|:::::|::::::.::!: : :.゙.
'ヽ': : :::::/-!-',':::::::::::;:イ,'__|:_: !:::::::::!:.:.|: :.!
| !>::|/ |'|'-l::::::::/;:/_ l:::/!ヽ:::::!::.:|<!
j:´|:::::/リzチ=x|::/ /,===!x、|:/|::::':::::!: :.|
,': ハ:::l〈 tc::ij:::}´ ´{c::ij:::ヌ</:/::::::!: :.|
/:l:::::ヽ:! ゞー'' v_:''_;ノ〃::::::::,':: : :!
/: :!::::::::{.! ,, ,, , ,'|:::::::::!::: : :l
. /: :.:|::::::::`l " " ,'_j:::::::::!:::: : : 、
/: : : |::::::::::::::、,r===~ ノ::,':::::::::l::::.: :ヽ:ヽ 「(なんも言わないんやな……)」
.'::ハ: : |:::::::::::: '/≧:... .._:<::::/::::::::/::::::.:.::::|ヽ!
|:' l: :.!::::::::: '/::::::::λ! ー '´_,,レヽ::/:,':::::/L.::-─、! i!
|' |:,r=、:、:'/::::_:ノ >、 r<´ 7イ:::/;' /- 、 i!
/ ` `ヽ.、 ノ、 `ヾ >、 //:':::;' ハヽ li!
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/二ニゝ //「|:トヽ、7/:::::::::::| .,'l |
r'´-‐ 、\ ,.チ/|| |:| \'./|::::::::::::|.,' | |
3/10
居心地が良い。
彼は喋りが上手いが、黙るのも上手いのだ。
静かにしたい時、例えば本を読んでいる時などには声をかけない。
隣にいるのに鬱陶しくなくて、まるで背景のように同化する。
話題がなくても一緒にいて居心地が悪いと思ったことがなかった。
「(そら、人気出るわなぁ)」
「……」
「(むしろ黙っている方がイケメンなんやないか?)」
彼は『あえて道化を演じる』とまでは言わないが、冗談を言うことが多い。
その結果周囲の雰囲気をよくするが、彼に三枚目の印象を与えてしまう。
ここぞとばかりに黙っている彼の横顔をよく見る。
「(整っとるなぁ。
ズルいわ……)」
黙っていればイケメン、その通りだと思う。
別に口を開いたらダメというわけではないが、ガッシリとした背丈に健康的な肌、整っている顔。
そりゃモテるわな……などと考える。
「どうかしましたか?」
「?」
「いえ、ずっとこちらを見ていたので……。
アイスでも買ってきましょうか?」
「うちを肥やしてどうするつもりなん?」
そういう言い方をするのは減点だ。
こういう時は見られているのがわかっていても黙っているのが正解だ。
「本当にモテるなぁ」
「えっ、俺?」
「誤魔化さないでええよ」
「ほどほど、ですかね」
「あまり女の子を弄ぶのは良くないで。
うちに構っとるってことは、みんな振っとるんやろ」
「……」
バツが悪そうに目を逸らす。
こういうところは非常にわかりやすいなと可愛げを覚えた。
4/10
「独り言なんやけどな」
「?」
思い切って聞いてみよう。
こういうことが出来るのも、ある意味では雑な関係だからだろうか。
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,′ ::/::::/| ::::::Ⅳ笊示ミ、 厶イ i|:::::::::::::|
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l/ l|::::::::i|::::::::| '' , `¨ /::::|::::::::::::i|
' 八::::/i|::::::::ト、 _ '' /:::::i|:::::i|::::リ
∨从:::::::| \ , イ.!:::/i|::::/!::/
_.ノマ'\:| ーr: ≦/:::/|:/ |::/ |/ 「好きな人がおるんやないか?」
_,.‐=ニニニニニ\ ∧\::// _ノ'′ノ'
∠ニニニニニニニニニ\ { ∨ニ=‐- .,_
./ `\ニニニニニニニニ丶 ‐=- Ⅴニニニニ7 、
i \ニニニニニニニニ\ 〕ニニニニニニ∧
/ / / / { } \ ヽ V V
_ ,.斗 // / ./! / ! :} } ' ヽ V', , ,
 ̄ ̄ / / / //_j_ ,' | |、 :} ' :| ,V斗=ミ{ , ,
/ / ' ,' ィ^~v{≧x、,ヽ,' /、ィ'"_j/ } /「 j |
/' / !/| /{ 斗-ミヽ ∨ / }/ア乏メヽレ } }レ
, | :| ハノ∥んr'j V / V' Vrソ 》 :} 八-、 '
/ >'/ ハ { :, ` ー≦' /' ヽ  ̄ /イ{/ヘ Yハ{
/ '" ∥ / ',从_}: 〈| } ! ∥ ヽ
7/ ヽ ' し /’
/’ ` _、 _ {ーイ/
、 f-――'ヽ 人レ'^ 「……!!」
\ L∠二二ソ /|/
レ}h。 /r rー==ミ、
r「\__'}个 --- < | |ニニニヾ
|:| } | |ニ{1-B}ニ!
|:| } / L!ニニニニ{
「な、なんでっ!?」
「そら、乙女の目を甘く見たらあかんよ。
バレバレやで」
「うぐぐっ」
「何が『うぐぐっ』や」
とてもわかりやすい反応を見せてくれる。
ぼっちの自分でも女性の勘はしっかり働くようだ。
「いやまぁそれはどーでもええんやけど」
「純情を弄んどいてそう言いますか」
「だから言いよってきてる女の子を振っとるんやろ。
なるほどなぁ」
「別に、先輩には関係ないじゃないですか」
不味い、怒らせてしまったようだ。
さて、これから言うことを聞いたらどんな反応をするだろうか?
5/10
/:::/::::/:::::::::::::: ::::::::::::::::::|:::::::::::::::ハ::.
.:′′/:::::::::::::::} :::::::::::::|::::|\::::::::::::}::::.
:::::}::::::'::::::::::::::::::|:::::::::::::::|::::} ヽ::::::::|::::::
|:::|::::::|::: -―┼И:::::::::-――-::|:::::::,::::::{
|::::::|:::|::::/__/_}'|:::::/ }/____ }/|::::/:::::: |
八:、{:::|::::チ芹苅 ムイ ノ'芹苅メ }:/:}::::::::|
.:::::::\:::: 《 乂.ツ ´ 乂.ツ 》/イ:::::::::::.
,ハ:::::::::::|ヽ〉 .: .:. .:. :. , |:::::::::::ハ
| |:::::::::::|:.、_ ' _ノ|:::::::::::||
|、:::::::::И八 , 、 八Ν::::::/::} | 「うちと付き合わん?」
\::、|7777> .. .. <77,厶イ/
,. ´//////∧ >-< ////////,` 、
∧//////////∧ __ __ ////////////∧
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: : : : :/ : : : : : :| : : : :|.. : :. ゙、: . ゙、゙、. \
: : : : : |. : : : : :i |: : : :i:|. : : : ∧: :、.i. .i: : . ` 、
.: : : : : !: : : : : | |、: : :| | : : i | !: :|:| : |:、: : : : : : >
: : : : : :| : : |: i 「! ヽート!、: : リ !: |ハ: ト : | ̄ ̄
.: : :,..-、|: : :i: :|: !゙、 _、!二゙、-| イ: リ ! |ヽ:|
: : / へ.゙、 :丶ヾヽ<´{::::i` ヽ! 1!|:/| :!ノ゙、リ
: :ヽ \ : :!丶  ̄ Vイ:ハ |\:i
.: : 丶 \゙、 `> リ `
ヽ: : :`┬ 、 ヾ /
i: ;ィノ U ,....-ィ /
,,:‐レリ _  ̄ / 「……!!?」
゛=!_ \ `ー-、_ _/
::::::゛== 、 \ / ̄ヽ、
::::::::::::::::::::::゛===-、 >
「えっ、いや、どう言うことですか?」
「言葉のままやけど」
「さっきの流れでどうしてそうなるんですか!?」
説明を省いたのは彼のそう言う顔が見たかったからだ。
思った以上に面白い反応をしてくれる。関西人としては冥利につきる。
「さっきなぁ、君と一緒にいることが多いって絡まれたんよ」
「えっ、そうなんですか?」
「うちもそれだと困るし、君もあんまりモテるのは困るだろうし、折半案や」
「どう言うことですか」
「……『恋人ごっこ』ってことや」
竜華の顔が浮かんだ。
『友達ごっこ』をしていた時を思い出した。
「うちも君も良い虫除けになるやろ?」
「い、いやいやいや、おかしいですよ」
「別に今と関係が変わるわけやないで?
外面をそう言う体にするだけや」
「そんな簡単に……」
「うちらの関係は『大切な人の代わり』それだけやん」
自分でも少しズレたことを言っていると思う。
しかし、この関係にはこれが一番良いと、そう思ったのだ。
6/10
「練習にもなるし、ええやろ?」
「いやいや、そんなこと言われても」
「男やろ。遊び相手の女くらい作る、それくらいの甲斐性は見せぇや」
「……むっ」
彼の琴線のどこに触れたのか、ムスッとした表情を見せる。
そんな顔もするんやなぁ、などと俯瞰視点で見ていた。
「良いですよ。
今以上にお世話しますからね」
「良く言うたわ。それでこそ男やな。
まぁ『ごっこ』って事は忘れたらあかんで」
「……本当にやるんですよね」
「しつこいで。
君が好きな相手とくっつけたら、いつでも解消してええよ」
随分都合の良い関係だ。
普通の女の子ならば怒るのではないだろうか。
もっとも、周りにどうこうされたくない偽りの関係だから割り切れる、はずだ。
「そんなら呼び方を変えなあかんなぁ」
「俺はそのままでも良いですよね」
「んー、まぁええわ。うちは……」
_____
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′:.:.:.i:.:/斗ァl:.:.:.:.:/ト、__i:.:|__亅:.:.:.:.:.:.:.i
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|:.:.:.:.:.:.:ヽ. r‐、 イ:.:.:.:|:.:.:.:| 「君、名前なんやっけ?」
. 八:.:.:.|:.|:.:|:.:i>ー┬─┬セ爪./}:.:.://Y
\|人乂|\|/, -‐' }/厶ィ'"
r‐'厂{/ -─\
/ {/ / ヽ
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/ | :. `ヽ、
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.' / , { { | | | 、 、_ \_
| | | | |∧| { : ハ V 、\  ̄´
| | {/--{ 从 | , |-|、 | 、 \`
' | ,..- | | | ,ィtォ=ミ∧ |,ィtォ、} / |l ハ\_、
/イ{ { r 从 { Vソ ∨' Vソ/イ |∧}
∨乂 \ |/ j' リ
}∧ ー:. ` ムl/
/ 、 八 U _ _ 人 「須賀京太郎です……」
}イ/|\ /
「<l| ` .__/_
|////>、 | 「/|
-=≦、[二]//l} |、}l∧_
-=≦///////////\ |/////≧=-
r-=≦//////////////////|___j\//////////≧=、
7/10
そう言えば今まで名前で呼んでなかった。
まぁ、そんな事はどうでも良い。
これから対外的に横入りされないようにするだけだ。
さて、なんと呼べば恋人らしいだろうか?
無難に名前呼び、いやーーー
……
…
『怜ちゃん』
『竜華ちゃん』
…
……
_人_/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\
Y/ :::::::::::::::::::::::::::::::∧ :::::::::\:::::::::::::::::::::. キリッ
/:::/::::::::::::::::::::::::::::/ ヽ:::\ :::|:::::::::::::::::::::.
:::/::::::| ::::| :|::::::::::/| \__ヽ|::::::::::::::::::::::
|::i| ::|:::|`ト|/| ::::/|斗テ气宀〉>|::::::::::::::::::::::|
|::i| ::|斗テ气{/ 辷_ソ / |::::::::::::::::::::::|
|:: V从 辷ソ |::::::::::::::::::::::|
|:::::iハ i::i::i:: |:::::i::::::::::::::::|
|:::::i:::| i::i::i /\ :|::::ii::::::::::::::::|
|:::::i从 \/ .ィ|::::ii::::::::::::::::| 「京ちゃん、でどうや!」
|:::::ii::个 ,イ<:|::::ii :::::::::i:::,゙
∨八 |\:::\>‐r‐ ´ / |/入::::::/|/
\ :::\ >'´ |¨¨¨7 |/\
,. ´ ̄ ̄ ` 、__
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/ / ,: | ̄\
.:' ' /__/ , | \__
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/イ ,.. 、イ /}/⌒ヽ、/´ // / 、 、
{ { Ⅵ / Vオ {从 /-}/-、 } 、 \
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/ 乂 u ::::::: Vソ' ,l ∧l |
/イ , 八 ,...、 ' /ムイ,'∧ |
/\ / 、 〈- 、\__ ム/ / \ 「ーーえっ!?」
>----イ///\ . ` ー ' イ/从
////////\/// 、 . ´
//////////\{ /`¨¨ 、
////////////>、 {、 〉
/////////////(_)} ∨、_,イ/\
「呼びやすくてええやないか!」
「え、マジでそれでいくんですか!?」
「ダメなん?」
「ダメ、じゃないですけど……」
なんだか歯切れが悪い。
しかしそれはどうでも良いのだ。
「なぁー、京ちゃん。晩御飯は何がえぇかなー」
「いきなりですね……。
本当に何も変わってないですし」
彼は振り回されたいタイプだ。
だから強引に押し通れば良い。
8/10
……
…
それから数日間。
怜と京太郎の関係は特に変わる事はなかった。
恋人らしく甘える事はないが、友人のように気軽な関係。
京太郎からアプローチをかける事はないが、怜からは良く連絡する。
例えば調子が悪い時だとか、暇な時だとか、何かをして欲しい時にLINEを送る。
京太郎はなんだかんだ文句を言いながらも怜に尽くしてくれる。
「恋人関係ってどんなんやろなぁ?」
この関係は確かに偽りの関係だ。
本当ならばもっと求められたりするものだろうか。
それこそキスや、もっと先の関係もーー
「(それはあかんあかん)」
枕に顔を埋める。
自分の部屋で彼との関係を考える。
ただの先輩と後輩、その上から偽りの恋人関係。
何でこんな風になってしまったのか、今思い返しても良くわからない。
あの時は雰囲気と謎の衝動に押されてそう言ってしまったのだ。
「別に京ちゃんが好きなわけやないしなぁ」
思い返してもそう言う感じはしないのだ。
確かに後輩としては好きだ。一緒にいて楽しい。
しかし『恋』と言えるような感情がわからない。
今まで初恋のはの字も知らない怜には恋がどんな感情かわかったものではないが、彼に抱いているそれは違うものだろうと予測する。
少女漫画や知識で得られるもののようなドキドキする感情は覚えないからだ。
「まぁ、意地かもなぁ」
あちらもこっちを意識していないのが丸分かりだったし。
それが女のプライドを刺激して、何となくイラついたとか。
竜華とおままごとの友達関係になった時と同じ感情だったとか。
ーー竜華って、後から思い出して恥ずかしくなったりせんのかなぁ
黒歴史だらけの怜からしてみれば羨ましいにもほどがある。
今まさに枕を抱えて足を振り回すような感情に悩まされているのだ。
しかし、あの時おままごとの友達を提案した竜華は高校までそれを恥ずかしそうに感じた事はなさそうだ。
全く、あの親友には参ったものだ。
9/10
「竜華とか、セーラとか、恋人できたんかなぁ」
セーラは想像できない。
周りで乙女セーラなどと囃し立てる事はあるが、本人の性格から一般的な恋愛ムードになる事はないだろう。
かの小鍛冶健夜のように行き遅れたら大変だろう。
では、竜華はどうだろう?
「竜華はいつできてもおかしないなぁ」
ちょっと不思議ちゃんな部分もあるが、家事万能、容姿端麗、性格良しとどこに出してもおかしくないお嫁さんだ。
それこそ自分が男だったら放っておかないだろう。
自分という枷が外れた今、言い寄られている事は想像に難くない。
「……実はもうできてるかもなぁ」
最近付き合いが悪いのもそれが理由ではないだろうか。
プロ雀士としてレベルの高い男との関わりが多くなる事は間違いない。
「これが寝取られの感覚かいな……」
恋人関係ではなくても、親しい友人に先を越されるのはとても辛いものだ。
それは男だろうが女だろうが変わらない。
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_,,,,,,≦ニニヘ\::! ./ / ィヾゝ 彡= }/!::::/
\ニニニニ.ヘ‐- 、 i ィっ'ー≦ヽ 'イ/
\\ニニニニヘ,_,,,-,' /i イ'' 〉、
\\ニニニ.ヘ / / ヽ -ィ ! }
ーーテレビの中で活躍する、元チームメイトが羨ましかった。
10/10
……
…
「……何でこうなった」
京太郎は怜が悩む隣の部屋でベッドに突っ伏していた。
偽りの大切な人の時も、今回の偽りの恋人の時も、怜は微笑を浮かべるだけだった。
確かに怜に迷惑をかけるのは嫌だったが、こう言う関係にする必要はなかったはずだ。
しかし、男としてのサガか、あるいは未練だろうか、受け入れてしまっている自分がいる。
「……」
誰かの側にいる時はいつも元気が取り柄だった。
一緒にいて楽しいと言われる事はいつものことだ。
しかし、一人になるとこうして色々と考えてしまう。
彼は部屋にいる時はいつもテレビをつけている。自然と目で追ってしまう。
___/ ̄ ̄\_
, ´ <⌒
,:' `ヽ、
, \_
\ } ̄´
' , \
/ , |/} ∧ }`ー`
{∧ 「ノ|/}/イ
' 、 | /`/ } '
} ∧ /イ / 「……咲」
|' ,} \__/イ__ /
//////////∧
-=≦//////|////////≧=-- 、_
r≦//////////////////////////////ヽ
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|/∧//////////l|///////////////|/////}
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|//// }////////l!///////////////}/////}
手が届かないほど遠くに行ってしまった彼女。
今の彼と彼女の距離は、そのテレビが間に入るほどに遠く、触れられない。
彼女がかつて隣にいたと言う事実を、彼自身ですら信じられなくなっていた。
カン!
そろそろ頭おかしいのが書きたくなってきた
箸休めにのどっち次元を!
京太郎「娘さんを僕にください」 ← 一度言ってみたかった
恵「まだまだ娘はやれんな!」 ← 一度言ってみたかった
1/10
【長野を筋肉で支配する】-筋肉次元- ※昔と細かい設定変わってるかもしれません
ーー江口セーラと謎の筋肉少年Aが出会う前の話だ。
須賀京太郎が麻雀部に入部し、咲が後を追って入部することによって清澄女子麻雀部は成立する。
初めての団体戦。竹井久は夢にまで見たそれを目の前にしてーー
/\-――‐- 、
, --=7 丶 `ヽ
/, ヽ: ヽ
∠/ / 、 、 丶 i
/ :i ! l. l i: i |
. / ,/ :! ! l || ! |、 ll ! | ヽ、
/_ -7 , :| lト、| |ヽ! N , 斗 r: ,'_ ト--`
 ̄ //! ! Nィ笊 \|,/ィ笊_ヽN ,ハ !|
´ / ,i丶 { Vり .l/ Vり l/' ノ リ
// l i `i _/,、/
´ {ハ!ヽ{ ′ ./!}/ ′ 「部長、応援してますから!」
丶 ー ― ' / |′
\ / |
´ . i ー ' \
__ ´ } / \__
__ , ´ , _ ` ー-、'/ -‐一 '' ゙ ´ \
/^、 \ / 〃 丶r‐ r ヽ ヽ
/f 、 ヽ l、 / / y \ { ',
. / r 、 ヽ. }ノノ , ' ―彳 / ゙、 j
. ! -ヘ. ヽ ノ゙‐' / / ′ \ {
. i 「. / , { , , i -、 ∧
} v‐ < ゝ { / 'l 、 ゙、
! | ヽ, -- / ト _,,. -- `'- 、_ / l l
'、 ′ ノ /_/. l __ ` ゙゙´ ハ l
ヽ /"´. l / 、 ヽ , ' l ! l
ゝ_,. '´ l ′ ! \ / 、 l 、!
v 〈 \ ′ 、 ノ ヾ
{ `‐ 个 、__, 丶 l ヽ ゙、
j , i / ヽ
,' ゝ-个 、__, : ,′ / イ
/: . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . \
/: . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : . ヽ: . : . :.\
. : . : . : . : . : . : . : . : . : . : イ/{:ヘ: . : ..ヽ: . : . : .
. : . : . : . : . : . : . : . : . :/ {ソ ,从:.V: . : .ヘ: . : . : .
. : . : . : /: . : . : . : . :./ {! ヾ: .V: . : . ヘ: . : . : .
. : . : . :./: . : . : . : ./ ヾ ヽ_V: . : . :', : . : . .
,': . : . :.7: . : . : .// ヽ: . : . : . : . : .,
. : . : . 7: . : . :/ .{ _,. - 、ヽ: . : . : . : . ,
{: . : . : {: . : . / _L,,_ '" ∨: . : . : . :}
: . : . : .i: . : .,'‐'" ヽ ` __ ∨: }: . : ..:
,: . : . :i: . :7 __ 、 ,ィチ示心ヾ ∨i: . : .
. : . : . : . :{ ,ィ'仍芝㍉、 / つ ::: } 〉、} ',i: . : .:
,: . : . : . :', {! ち .::: } ` 乂ュ少 ′ !〉}: . : .,
V: . : . : ..ハ ヽ 乂ュ;;ノ レク: . : 7
V: . :.ヘ: ..ハ 川: . : . 「(優勝できなかったら犯される……!!)」
V: . : ヘ: .ハ , ,': /: . :/
ヽ: . : . :..:ハ u ノ: . : .:./
\: . : . ヘ __ --、 /: ../: . ,
、: . : }>..、 イ、: . {/: .ノ
)===7`} 、 < { ヽ==ヘ
, イ: . : /: 7 .i ¨ i__}: . : . :\
/: .イ: . /: . : {‐-、! {:;:;:;i. : . : . : ..\
./:/ {: ./{: . : .ヘ:;シ 、7:;ヘ. : . : . : . : }
ーー何かこう、すごくブーストがかかっていた。
ちなみに基本的に京太郎は上半身裸である。
2/10
「京太郎は相変わらずがっしりしてるな!
ちょっと乗っからせろー!」
「おう、優希! いいぜ!
腕に乗ってみろ!」
「わぁぁ!?
ふ、振り回すなぁー!」
「優希は軽いなー。
もーちょっと肉をつけた方がいいんじゃないか?」
「優希ちゃんも筋肉つける?
昔使った京ちゃん用のトレーニングメニューあるよ」
「何でそんなもん持ってるんだじぇ……」
咲は京太郎の普段の立ち振る舞いに突っ込み一つ入れない。
優希はノリの良さで普段は乗っかるが、時々突っ込みを入れたくなる。
「というか、京太郎は何で上半身裸なんだー?
犯罪だじぇ」
「いや、この高校は上半身裸OKだぞ。
なんか校長先生直々にOK貰ったし」
「え、えぇー……」
ドン引きする優希。
なお咲は先ほどから京太郎の左肩に乗ったまま読書をしている。
……
…
/ _ ! _._ `ー=ニ ` 、
/ /ミミミ、 ! ////∧、 ヾミ三ニ─´ _ .
/ ノリ /ミミミミゞ ! l// `ミミヽ、 _ /
| // /ミミヾゞヾゞV ミミミ .、¨_¨─ ´ _
| /ミミヾゞヾゞ _..',Y ∧  ̄ ¨/
| /三ミ / ',Y 〉 ─ ´
ー .ヽ彡 i i イfェュf´ |) ./ミミミヾ、
ノノ〃ヽ´"fェュ、 ''"´ ノ|¨ゞゞ、三==
-=彡≡彡 `¨´ i / |ハゞゞニ='
ミ三=´川ゞ i / .| ヽ  ̄
川ゞゞ、 、 _ . / .∧ _ 「筋肉はOK」
ヾll| ゞゞヽ i` ._. / ./ ∧ヽ
ゞ ` ヽ、_¨-―- ./ ./ .|: :\
lハ 、_ .´ / l: : : :| ¨ ・ .
/| \ / l: : : :|: : : : : : `: ・ .
//: :|. `_´ /: : : ::|: : : : : : : : : : : :
…
……
この世界は国会にて日本筋肉法が可決された世界である。
詳細は各々で想像しよう。
3/10
さて、清澄麻雀部の京太郎に対する反応はいくつかに分かれる。
咲は中学時代から京太郎のマネージャーだ。
もはや京太郎がどんな行動に出ても驚くことはない。
むしろ嗜めることが出来る唯一の存在と言えるだろう。
/: : : : : : : : : : : : : `丶、 ---- 、
/: : : : : : : : : : : : : : : : : : : \ \
. : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : . / 楽 い
. : : : : : : : : : : : : .: : : .: .:: :. : : : : : : :. ′ し っ
. /: : : : : : : :i: ,:i: : : :ト、:,」L{i_:ハ:i: : : : : ::i も し
厶イ: : : : : .:|i:八: : :.|.:ハ:i: :l|ノ州: : : : : .:| う ょ
|.:: : : : :才Zノ\:|( 斗笊ミメ|: _: : -=j よ に
| i: : : : ;抖笊ミ Vーり l/ }: :/:八 !
l人: : : :::.乂_り  ̄ .ノ.:// 、
乂: {:八 、、 '__ ``.刈乂 ー-----‐
ヾ( ヽ ノ イリ
>r‐ 乂}ト。.
Y^} _./ 、 「京ちゃんが麻雀部に残れるようにインターハイで優勝するね!」
___ / |`` '"´ / __:.
. / 、Vn ∧ :|  ̄ ̄ / _/. ;ミメ、
〈 ュ`Yノ ノ ′ト、 :| / ..:::イ :!′ } Ⅵ \
. }⌒;´イ {:!.!:.\ ; ′ ....::::::/ ; | / ∨\ ハ
ハ 人 八 ;、:::.:\l 厶イ.:.::/---マ:!.:// . } ヾ|
[__フ_彡ヘ/ | ー‐ミ以r‐… ´ |// {:八
{ 【 ハト、 ! )___{ j/ ≧=- 、
∨\ } ⅵ /:.:.:.ハ 〈 \ }
つい先日、竹井久の企みで某プロ雀士と打って貰ったのだが一方的に叩きのめした。
最近は自分の弱点を補強するためにネット麻雀も始め、やる気満々だ。
最も、麻雀は京太郎のサポートの一貫程度にしか考えていないのだが。
「まだ本調子じゃないなぁ」
「藤田プロ、麻雀牌を見るたびに震えが止まらないって言ってるんだけど……」
「本番までにはもうちょっと調整しておきますね。
頑張りますから京ちゃんを麻雀部に残してあげてください」
「はい……」
麻雀部における竹井久の発言権はないに等しい。
なお、本人にも京太郎にも悪気はない模様。
「こんにゃろー。咲のくせに生意気だぞ」
「だって京ちゃんがよわよわなんだもーん」
「うるせー」
「京ちゃんもちょっとは強くなってよねー」
「一応筋トレしながら教本は読んでるんだけどなァ」
「それ、頭に入ってないでしょ」
「ぎくっ」
「もー、脳みそまで筋肉になっちゃってるんじゃないかなー?」
「「あっはっはっは!!」」
この部活において京太郎を制することが出来る唯一の存在。
悲しいかな。本人も若干サイコ寄りである。
4/10
/ : : : : : : : /: |i: : : : : : : / : : / | : : |\: : : :|: \: : ::∨: \
. / : : : : : : : : : : : |i:: : : : : ::/ : : >ト ., | : : | |: : ∧ : : : : : :|: : : ::ヽ
. .: : : / : : : : | ::八 : : : : /{/,.斗=ミ. |: : / |< ̄:|: : |:::∧: : : : :.
′: : : : : : : : : :|: : : : : : : / . ,ィ´ん):iト, |/ .斗=ミ|::| : :Ⅳ ∧:: : :::|
| : : : |i::∧: : : : :!: : : : :\{:| 〈 {h:::iノ } ん)ト |/!/ |: :∧ : : |
: : ::|i::|.∧ : :: :|:: : : : : : : :, .乂こン {h:iノ} ゚: : :| : : | : : :/
. \八| |:: :::|: : : : : : : : :, .,.,.,. , 弋こソ {: : : ::|: : ノ }/
|: :\! : : : : : : : : :, ,.,., : : : : |/
|: : : : : : : : : : : : : :, ゝ , } : : : |
|: : : : ::|i: : : : : : : : : イ : : :/
|人:: : :|i: :|: : :|:::|i: :}> イ: :|: : : 「咲ちゃんはすごいなぁ……」
. \八/\人八/} ー┬‐ ≦: :人/|/
{^辷ー^ヽ/\/ヽア:/
. ,r‐=ニニ二二二\ 〈二ニニニニニニ┐ :/
. / -=ニニニニニニニ.\ ∧ニニニニニニニ.!∨ /
. / -=ニニニニニニ\ Y⌒Y⌒Y}ニニニニニニニj{. ∨
そして比較的友好側に入るのが片岡優希。
ーー麻雀部に突撃したら上半身裸の男性が雀卓を持ち上げて筋トレしていた。
そんな境地を見てなおトラウマにならなかったのは、彼女の精神力の強さゆえか。
「優希、タコス買ってきてやろうか?」
「おっ、気がきくな!」
「おっしゃ。部長、雀卓借りますね」
「持ってくな持ってくな!
その間私たちが練習できないだろ!」
「あっ、そっか」
まだ比較的京太郎にツッコミを入れることが出来る人間だ。
恐る恐る、という形でツッコミを入れるが京太郎が気にする様子がないので最近は結構ツッコンでいく。
それでも京太郎や咲のぶっ飛んだ言動や行動を見ると一瞬頭が働かなくなるのは常識人故か。
友好側、という名の中立。深淵を覗いている一般人の感性だろう。
「京ちゃんがタコスを買いに行ってる間に打つ?」
「そ、そーだなー。
咲ちゃん手加減してな?」
「えー、だってインターハイにはお姉ちゃんも出るんだよ?
当たるかもしれないんだから慣れておかないと!」
「さ、咲ちゃんのお姉さん!?
もしかして咲ちゃんレベルに強いのか!?」
_
´ノ
______ つ
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. / \ \ \
′ / \
|: │ │ | | | ヽ
|:.:.. | '⌒| │|⌒∧ |  ̄ ̄ ` / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
|:.:.:.:.:.:.|i | |八/l /| 人|/ ハ | |
. '.:.:.:.:. 八 |八| - |/ x.=ミ { :. リ | どうかなー
. '.:.:. : r‐\ | x.‐=ミ . 、、、Ⅵ:/ | / 小さい頃はよく泣かせてたけど…
'.:.: 人て ⌒ 、、、 J}/:.: |  ̄| 今は強くなってるかもしれないし
、:.:个:ー:-、 _ ‐~ァ イ\:│ |
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5/10
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{′l::::::/:::/:/:::::::::::::::::∧彡三心‐- ,p´::::::} 〃:ヽV:::::〉 〉}
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ヽ::ヽ::::{:::::::{ヽ::::::::〈 P:::::::っ:リ ト=┤ `ー'" !:::〃ハ
ノ:ノヘ:ヘ::::ヘ `ヽNV弋ヒ::ソ / \ ww レ´/:..イ
 ̄/:..:..:..:`:`:.ー、ー 、 { ww / `  ̄ ̄ノ:../:../ | 「(いい筋肉じゃのぉ!)」
. /:..:..:..:..:..:..:..:..:.\ \ ゝ、 _ - ´_ /:../:..:/ }
/:..:..:..:..:..:..:..:..:..:..:..:\ \ `-ニ〃7''´ /:..:/:..// ハ
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∧==:.._.:..:..:..:..:..:..:..:..:..:..:\ /// /:..:./:../::ノ / /⌒ ー, '´ .ハ
{`r‐-:..:.:. ̄:==:.:_:..:..:..:..:..:..:\ -‐//./ //:..:/:::イ >'´,、`,、ー',、/ l
{:::| ` ー- :..:._:.. ̄:..:=====:./〃/ /:´:/:::∠:─:::/,、,、,、,、,,、,、,、/ l
染谷まこ。普段は空気のように会話に参加しないがその視線はいつも京太郎に向けている。
彼女は人当たりも良く、京太郎や咲相手にも普通に会話している。
竹井久が須賀京太郎を入部させると言ったときも眉一つ動かさずOKを出した。
しかしその実態はーー見ての通りだ。
「(やはり男はガッシリしているくらいが良かろうて)」
限度がある、というツッコミをするものはいない。
ちなみに彼女の実家はメイド雀荘だ。
ごく普通の雀荘、というのは表の顔だ。
裏では元総理大臣や裏の世界のトップクラス、伝説の雀士が出入りすることで有名だ。
卵焼きを食べながら高レート麻雀が行われる図は非常にシュールである。ちなみに卵焼きは超高い。
そんな彼女からしてみれば『筋肉がすごいだけ』というのは精々女の好みレベルの話でカタをつけてしまう。
「京太郎、筋肉をつけるのはいいが、ちゃんと中身も伴わないといかんぞ」
「そ、そうですよねぇ。
中身がスッカスカだとカッコ悪いですし」
「いい男になりんさい」
さて、いい男になった暁にはどうするのだろうか。
もうちょっと格が上がればーー彼女の守備範囲に入るのかもしれない。
____
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|ハN:::::::::::::::八 ,、 〉
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_,.K´/ 冫 、 / 「ほれ、卵焼きでも食べんしゃい」
_,..-‐.:´.:..:..:.\ イ、 `ー '
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__ノi ‘: :/:/ /-、 r‐ ∨:.|: : : : : :.ト、
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i/二二Ⅵ: i 〃ヒ刎「` ´ ヒ刎「ヽ iリ: : : : : :|
/ニニニニ=-、:. .::.::. .::.::. /: : : :l: :l:.|
厂 ̄`マニニニニニ∧ ′ /: :/: : l: :lリ
/ / ∨二二二ニ∧ u /: :/: : : l: /
___ノ ∨二二/: 込、 r ‐ 、 〃: :i : : : :!;′ 「(す、須賀くんの希望を叶えないと孕まされる……!)」
∨ニ/\:i: : 介: .. ` ´ イ : : !: : : l/
Τ二二リ: /: i:_:_:〕 ‐-‐ ´ iヽ: :l: : : :{
ノ二二/: : : :/ニニ」 |ニ∨: : : 八
/二二ニ/イ: :l:/ニ「 //: : : :/: : ))
/\二二二八:.:i二ニ|--、 _ー=彡: : : :/彡ヘ{
/ \二二二ヾ二ニ「 ̄ - ´_ /:/: : :/二二ニ=-
彼女は京太郎の見た目と行動に押し負けて完全に勘違いルートを進んでいる。
ーーいつかきっと、清澄にも新入部員が入ってくる。
そう淡い願いを抱いていた彼女の元に上半身裸の筋肉が現れたことは彼女の心に大きな傷を残した。
それ以来、トラウマになってしまったかのごとく京太郎を見るたびにビクビクしている。
別に京太郎が久に何か悪いことをしたわけではないのだがーーいやセクハラはしているがーー見た目に圧倒されているのだ。
「さ、咲。
インターハイ優勝なんて大層なことじゃなくてもいいのよ?」
「?
でも部長、インターハイ優勝したいって言ってたじゃないですか。
全国に京ちゃんの筋肉が映るわけですし。
私頑張りますよ!」
「ひ、ヒィッ」
咲も善意で言っているのだが、この会話の間に筋肉が挟まっていることを思い出して欲しい。
ーーインターハイ優勝できなければ、京太郎に恥をかかせればどうなるかわかっているな?
まるで咲が無言の圧力をかけているかのような状態になってしまっている。
「す、須賀くんはどうかしら?」
「東京まで雀卓を運ぶんですか?
任せてください!」
「(そ、そうじゃないのぉぉぉーーー!!)」
こっちとは話が通じない。とても怖い。
一度咲を冷静にさせようと思い藤田プロを差し向けたが見事に返り討ち。
返り討ちにしたのちに京太郎が上半身裸でやってきたことが藤田プロの心をさらに砕いた。
しばらくはプロ活動が出来ないほどに心を折られ、カツ丼に向かってブツブツと呟く様を見て久は恐怖する。
ーーき、筋肉に犯される!
一人でぐるぐると巡った思考の末に変な結論に達し、ビクビクと京咲コンビに怯えることになってしまった。
7/10
……
…
. /: : : : : : : |: : .:i:.|:.:.:.:i| |:.:.:.:.:.:.|!:.:|i:.:| 、:.:.゙、::、 ゙、゙、:::::::::::;::イ/:::::::::::::::i:::::
./ : : : |: : :i:.|:.:.:.:i:.|:.:.:.i| |:.:.:.:.:.:.:.|!:.| i:.:i 、:.:.:、:.、::.:.:.!:.:iヽ/:.:.:.|/:::::::::::::::::i::::
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!:.i |: :.:| .:.:.i:.!:.:.:.|!.i! :l |:.:!:.:.:.:.:..i:.:.i ゙、! _/ハ:ハ/ |ィ;.:.,.-‐-、!:/.:.:.:.:.V/
i :|.| :.:.:i i i_:|、!、:.:.! i:!、i:.:.:.:.:.:.i:.:.i _;彡';tr=、 ヾ、"' /ヽ |':.:.:.:.:.:.i:.:|:.:.:.:
. ! i:i! | ..:i :i:.:.:i`iー>ト-!、丶:.:.:.:.:i:、^V i_;:::::::ヽ / i: : : : :.:|:.:|:.:.:.:
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ヽ!:.i、`゙ー-r≧ >≠ , " " / |:! : : : :.:|:.!////
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|:.|: : : : :.:.:.i i r== "ヽ / i: : : : : :.:i:.|////
| |: : : : : :.:i:.:|\ ∨__ノ) / /: : : : : :.:i.:|//// 「須賀くん! また服を脱いでいるんですか!
|:| : : : : :.:.|:イ |:::|l`ー-..、  ̄ ̄ / / : : : : : :.:|/////
|.|: : : : : :.:|:∧ i:.:!i::::::::::::::`i ー-‐ ' ,..-‐:/: : : : : : :.:.i!///// セクハラですよ!!」
: : : : :/ : : : : : :| : : : :|.. : :. ゙、: . ゙、゙、. \
: : : : : |. : : : : :i |: : : :i:|. : : : ∧: :、.i. .i: : . ` 、
.: : : : : !: : : : : | |、: : :| | : : i | !: :|:| : |:、: : : : : : >
: : : : : :| : : |: i 「! ヽート!、: : リ !: |ハ: ト : | ̄ ̄
.: : :,..-、|: : :i: :|: !゙、 _、!二゙、-| イ: リ ! |ヽ:|
: : / へ.゙、 :丶ヾヽ<´{::::i` ヽ! 1!|:/| :!ノ゙、リ
: :ヽ \ : :!丶  ̄ Vイ:ハ |\:i
.: : 丶 \゙、 `> リ `
ヽ: : :`┬ 、 ヾ /
i: ;ィノ U ,....-ィ /
,,:‐レリ _  ̄ / 「げえっ、和!?」
゛=!_ \ `ー-、_ _/
::::::゛== 、 \ / ̄ヽ、
::::::::::::::::::::::゛===-、 >
ーーそして清澄麻雀部の良心がここに一人。
須賀京太郎筋肉反対派である原村和だ。
「女性の前で上半身裸にならないでくださいって言っているじゃないですか!」
「ご、ごめん。
和がいない間ならいいかなーって」
「私がいなければいいってものじゃないですからね!」
「えー、和ちゃん細かいよぉ。
いーじゃん、京ちゃんは身軽で私たちは眼福でしょ」
「(確かに眼福じゃなぁ)」
「一般的にはセクハラって言うんですよ!
露出魔と言わないだけマシだと思ってください」
京太郎が渋々服を着る。
それを見て和はため息を一つ吐く。
「あのですね。
別に筋肉は否定しません。
ただ場所を弁えて欲しい、それだけですよ」
「ご、ごめんな」
「そーだよー。他に迷惑かけなければいいでしょ。
ね、部長」
「ア……ハイ……」
久は目を合わさずに同意した。冷や汗が止まらないようだ。
8/10
,. . . ---. . . .,
_,,,,. '.: : : : : : : : : : : : :`゙'. , _
i/ ._,./::iヽ,
i'"~::/ . .; .i: : ; : : : : : : : : : : : ィ´::::`v":::ィ
i: :./: :.i : l: :l: : il: : : : i: : :.li: : ; i: ヽ::::;;:::i::i:::::|
冫/:./i: : li: i: : i:.|: : : |: : :|: |: :|i: i: :冫:::::/iヽ,l
!,::i: :i:.|: : |:| |: :.i|:.|: : :|i:、:.|: :.|: |:|: |; iゝイ:::i;::::\
./|:.|i:.|: : |:i-|─l.;イ: :.! l`|─l-l-:l|´l ||: リ::;,!l__/
く;;;|:|'|:.l: :.||'ャii;;;;;;;iィ\!' 'ヤi;;;;;;i;'ヤl|_,.! '´:|: :l: |
l! l!,\l !:ヽ辷ソ ヽ==ソ .! |: : :.|: :|: |
/|: |: :|i :::::::: 、 :::::::::: .;ィ'| : : :|i: :i: |
/ |: |: :|:ゝ ___ /" | : :.|:|: :|:.| 「まったく、須賀くんは普段の行いがいいのにこれで台無しです!」
. / /| |: :|: ||`ヽ 、 V ) , イ | : :|i |: :|:|
/ ./:|:l: : |: || | _,`,iー "´ ィ冫、.|i : |:| |: :.i';
;´ /:.i|i : :l_,..-‐'''´:/:イ /:::::::::::|:| . i|.,| |: : ハ
; /: :i:|: : :|:::::::::::::::iニ-ー,/::::::::::::::::|:| . :.l|;´ヽ,: : ハ
i /: :.l/|: : |::\::::::::| /:::::::::::_,.‐'_;i ; : : l; /`il: :i: :',
,': : :/.l: : |i.\;;:`ヽl /;;;.:-::':;´‐''~/;': : // :|i: :l: : i
. iil: :.i .l: : i .'._ .゙''.‐.,y,._≠'' ´,,..‐//: : / i |:l: :i :i: l
l!i :i; lil! l `゙''ー;-'‐;:-‐ ''´ //: : .;'`;.|. |::|i:|: .i |
', / l:!l:l l トーィ;" ;'/i:.i .i i| |::||:l: | l!
;' li l:l i / .i ,! ;' l:li :l '; i |::|: i:| !
限りなく一般人の感性を持ち、悪を許さない和としては京太郎のことが許せないのだ。
「ううっ、ごめんな」
「謝るくらいならしないでくださいよ。
もう、普段の須賀くんはとてもいい人なんですから」
「の、のどかぁ」
「ハァ……」
再びため息を一つ。
そう、意外なことに原村和は京太郎のことを嫌ってはいないのだ。
確かに常識外れなところはあるし、一般的に見たらセクハラと言える露出をしている。
しかし普段の京太郎はパッツンパッツンの服を着ながらも非常に有効的だ。
初対面が上半身裸だった優希と違い、和とは親しくなるまではそう言った行いをしていなかったことが大きい。
よって和としては『これさえなければ』となんとか修正する方向に持っていきたいのだ。
それに注意すればある程度は聞いてくれる。その修正がずれていたとしても、だ。
本人に改善の余地があるならばそれで良い、そう考えている。
人の見た目に惑わされない。原村和は良い子である。
「(それにまぁ、悩みはわかりますしね)」
100歩どころか10000歩ほど譲って、だが和にもコンプレックスはある。
大きすぎる胸のせいで辛い思いをしたのは一度や二度ではない。
それと同じように筋肉がつきすぎて大変なのだと言うならばそこを指摘するべきではないだろうーー和の考えだ。
微妙にズレてはいるが、和なりに心配しているのだ。
9/10
「そ、そうだじぇー。
まぁのどちゃんの前では控えろよー?」
「おう、気をつけるわ……。
でも最大サイズの服でもキッツイんだよ」
「でも上のAAだと細マッチョタイプだじぇ?」
「あの状態だと抑圧されてなぁ。
ちょっと気を抜いたらボンって弾き飛ぶぞ」
「ケンシロウか……。
ま、まぁのどちゃんもそんなに怒らないでやってくれな。
私たちは気にしてないから」
「もう、ゆーきがそうやって甘やかすからですよ。
……まぁ、サイズが合う服がない気持ちはわかりますし」
「のどちゃんもご立派だしなー!」
「セクハラですよ、ゆーき」
優希を嗜めながらも椅子に座る和。
久は唯一の助けが来たと内心は歓喜する。
,':.:.:.:.:': :.:. :.:.| , イ:.l | ̄`丶:.|:.: .| , -‐-、 | | :i:.:.:.:.:\
,' : : :! :.:.:.:.:.:/:.:.:.:!',| |:.:|__|:.:.:.j:.:.:j|:.:.:.:.:|:.:.|:.:\:|:... i ヽ
! : :.:.:.| :.:.:.:.: !:.:!:.:.:.:| i| ヽ| j:.:./|:./ !:.:.:.;'j:.,'|:./ |:.|:.:.:.:.|:.:. i
! .:.:.:.:.| : :.:.:.:.', |ヽ:.:ヒニ三≠/ j/ j:.:.///_j/ j/|:.:.:.:' i:.:.:. . i
| :.:.:.:.:.! : .:.:.: ヽイ X::::::::ハ ` / ///"ィハ,`ヽ f:.:.:/:.:i` 丶 、i
. !: :.:.:.:.:!:.:.:.:.:.\{{ {: {:::::::kd i{::::::r! }} /:.:/:.:.:i|
!:.:.:.:/ ヽ:.:.:.:.:.:!ヽ.マOイ ソ Y) イ!.ノ//:.:.:.:.:i
. ;.:.:.:{{ \:.:.ヽ `¨¨´ 、 `¨´ {:.:.:.:.:.:.:.:i
',:.:八 `丶\ ゙゙゙゙゙ ゙゙゙゙゙ l:.:.:!.:ト、:. i
ヽ|ヽヽ. !:::ハ| ヽl
. \.ー\ ⊂ニ つ .イj/ ! | 「和ちゃんは本当にしっかり者だねぇ」
ヽiヽ::}丶 , ---- 、 <
. ヽヽl ./ /\ \イ
l / / , ヘ.Y´
,xへ| // / ,.へ.\
: : : : /. . : /:/: : /:!: : : : : : :.|: : :゙、: : :!: : . . 寸三}
: : : /. . ://! !: :,':.:.|: :.:|: : : : :!: : : :ヽ: :l:| . . . ゙ニ7
: : / . .:Ll-┼┼-l、: :|: : : :.!|ヽ,r|''T:ーt、: : : :├'ヾ、
: :,'. : :.´!.! |:∧ | l.| ! ,'|:.l: : :|| |: !:||: |: : :.l: : ! ヽ、
: :l{: : : :|!| i' ヾ |! |/,'/|: :/|! |/|' |:./!|:.,イ: :.i! i!
: :l|ヽ: : | ┳━┳━/' /:/./'┳━┳' イ:/,': : ,'| ノ
: :.i!: :lヽl ┃//┃ /'´ ┃//┃ イ'l/: :,イリ
: : : : | ‘ ━ ’ ‘ ━ ’ '://: |
: : : : | ,':´:!: : . .!
: : : : L """ ' """ |: : |: : . .l
: : : : ト.ヽ イ: : l: : . ∧ 「咲さんも須賀くんの注意をしてくださいよ」
: : : : |ヽ|ヽ ⊿ .ィ´: !: : i: : . . .゙、
: : : : ト、l} ` _ _ ....:チ: : :.,':λ: :!: : . . . ト、
: : : : ゙、/ 7"/': : :.,': : :./:/ |: : !: : : . .ト、゙、
: : . : : lヽ ,'-.、_: : /: : :./!,' .!: :.|:. : : . .l ヾ.
: : . . : :゙、:\ ∧:::::::::::-.:_//' !: :.|: : : : . ! l:l
ヽ: . . . . ヽ、:`ヽ ヽヽ::::::::::::|!`! |: : !: : : : . | リ
「もうちょっとラインを下げてください」
「でも最近京ちゃんの筋肉の管理が難しくてーー」
さて、肝心のこの二人の関係だがーー
10/10
/ / ./ ,ィ ヽ ヽ_
/ / ./ // /! |l! .lY'::::::::::)
; i くlハ //,ィ / .| リ! j l }::::::::::l!
|イl! ' _`Vメ、 l / __.! ./_l/__ ノ l::::::i='ヽ
ゝゝ| ;´んィ:!` =j/__ノノイ /¨T ヽヽ
|| l 弋_丿 'んィ:!.ヽ// ,' ! } }
|| l 、、、 弋_丿 // .,ヘ .! j/
|| l ' 、、、 // ./イ |
|| ::ゝ. __ // ./. ! |
|| | l > ´‐-' _イ//∥| l |
|l!. l_L:;ノ:.ト!¨ T¨ェ:://.∥ll! l |
l|-、 ヽ: : : :.l! ̄` |:.:.// /l!ll| .! | 「仕方ありません。
/-、:::ヽ ヽ: : : l ̄ ̄l:.// /: :ヽ! .! !
. / | >ヽ ヽ:.:.:l l;'///: :/\ .| | 私が須賀くんの筋肉をデジタル的に管理しましょう」
. / l . /ヽ:ヽ ';.:ヽ /:::////、 \ |
人.. V } :!:ヽV/'/l;;;_/ Y ..人 !
. / ヽl l ! [__] / .l i/ ヽ|
_....................._
,. : ´: : : : : : : : : : `: : .、
, :´: ,. : : : : : : : : : : : : : : : :\
/: :/: : : :,: : ´: : : : : : : : : : : : :ヽ
/: :/ : : : /: : : ,: : : : ,: : : : : : : : : : .
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}'.': : :/^/: :/ {:/ {:/ /: /: :/: :}: :|: |: : :|: : :.
{: |: { |: ,: /' /' /イ//':-/、:': : : : :ト: : ::.
|:从::. :.:.:.:. _ /イ: :/: :,: :.|
/ Ⅵ ' `ヾ / イ: :/}: /
______| 、 「 v :.:. イ: :/:イ/イ 「和ちゃんがいれば安心だねっ!」
/<_:::::::::::::::::::\_ `ーr---- =彡j/
{¨7=ミ、< 、::::::::::::::\___〉>、
_| , ∨、:` < 、:::::∧ |::::::::::ヽ
/ ̄:::::::// | }、:.:.:.:\、::::::. |:::::::::::/〉、
\___ 〃 | / \:.:.:.\、::Ⅵ:::::/イ ∧
 ̄¨/ ∨ `ー ≧='-´:/ ハ :.
/ / {二「 } |
' ∧ /:.:∧ ,
/ / } /:.:.〈:.∧ { |
, / | /:.:.:.:.∧:.:| | |
/: . : . : . : . : . : . :-‐: . : . : . : . : \
. : . : . : . : . : . :イ: . : . : . :.,イ: . :、.ヘ: . : . ,
. : . : . : . : . :/: . : . : . : ./ /{: .: .ヘ:.ヘ: . : . ,
/: . : . : . : / : . : . : . /〃 { 从: . リV: . : . : .
. : . : . : . : . : . : . : . / 〃 ヽ ヽソ ∨: . : . : .
: . : . : . :/. :/: . :, ' / V: . :ヘ: .,
{: . : . : . : .レ': . : ./-‐''7 -‐'''゚'''ー∨: . :.Ⅳ,
: . : . : . : . {: . : , ,' }: . : .} い
: . : . : . : . :!: .:/zzzzュ、 ,ィ==ォ、 ∧: . :i }:}
: . : . : . : . :{: 《 ら :::.リ ` ら :::.} ノ ,: .}: . :} ii
,: . : . : . : .V 乂;;ノ ゞュノ ,:.:}: ..リ 7
,: ヘ: . : . : ..ヘ , ,: .:i: .ノ ,'
,: .ヘ: . : . : . ヘ ,: .:.レ'
.V: .ヘ: . : . : . ) __ ノ: . :/
\: ヘ: . : .:/个 , <: . : ノ 「(このまま清澄麻雀部全員孕まされるんだわ……)」
``}:==:{ .} ` __ ィ ' ゝ:==:{
7: . : .i ,ィ'} i__ {: . : . ',
_,,,>'" {: . : ..ヘム }:;:;λ: . : . ヘ<
ーー竹井久、味方はいない模様。
カン
筋肉次元用のAAがあったので…
ヒッサが割を食って大人しくしてる方がみんな幸せそうなのが何ともww
ヒッサ以外は仲良いし和気藹々とした素晴らしい次元だと思いますハイ
この筋肉を持ってしてもハンドは県大会止まりなのか…
1/10
【10レスでわかる長野編】-筋肉次元-
・衣編
/\-――‐- 、
, --=7 丶 `ヽ
/, ヽ: ヽ
∠/ / 、 、 丶 i
/ :i ! l. l i: i |
. / ,/ :! ! l || ! |、 ll ! | ヽ、
/_ -7 , :| lト、| |ヽ! N , 斗 r: ,'_ ト--`
 ̄ //! ! Nィ笊 \|,/ィ笊_ヽN ,ハ !|
´ / ,i丶 { Vり .l/ Vり l/' ノ リ
// l i `i _/,、/
´ {ハ!ヽ{ ′ ./!}/ ′ 「おっ、迷子かな?」
丶 ー ― ' / |′
\ / |
´ . i ー ' \
__ ´ } / \__
__ , ´ , _ ` ー-、'/ -‐一 '' ゙ ´ \
/^、 \ / 〃 丶r‐ r ヽ ヽ
/f 、 ヽ l、 / / y \ { ',
. / r 、 ヽ. }ノノ , ' ―彳 / ゙、 j
. ! -ヘ. ヽ ノ゙‐' / / ′ \ {
. i 「. / , { , , i -、 ∧
} v‐ < ゝ { / 'l 、 ゙、
! | ヽ, -- / ト _,,. -- `'- 、_ / l l
'、 ′ ノ /_/. l __ ` ゙゙´ ハ l
ヽ /"´. l / 、 ヽ , ' l ! l
ゝ_,. '´ l ′ ! \ / 、 l 、!
v 〈 \ ′ 、 ノ ヾ
{ `‐ 个 、__, 丶 l ヽ ゙、
j , i / ヽ
,' ゝ-个 、__, : ,′ / イ
|::::::::::::::::::::::/ / \::∧ ./:::/ ` 、 ∨::::::::::::::::∧
|::::::::::::::::/ / _\:∨::/_ \ ∨:::::::::::::::∧
|:::::::::::::/ / / ,_≦-―`^´―-≧x ヽ ∨:::::::::::::::::|
|::::::::::/ / / ´ ./ ヽ ` ヽ \::::::::::::::!
|:::::::/ ' .' / / ! i! | | .! ', ヽ. \!:::::::|
|::::/ .′ .' /i! _ハ― |-|! | |r―ト、! ! ', iハ ∨:::!
|:/ ! ! i/ | ', i!リ| .i! i!| ハ |\ | | | | Ⅵ
{' | | |从z|zzⅥ/ | /| ル}z/x从! , | | | } V
| | |〃ん¨ハ` .// /' ん¨ハヾ/./ ! i! /}'
| | |《 う::::::::} ´ う:::::::} 》イ / /'}'
| | | 乂__ソ 乂__ソ './イ, イ
| .ハ .i! ' ハ/' |
| / .! ト、 / i! !
/ .//| |ヽ\ ‘ ’ . イ i! ! 「…………!!!?!?!?!」
,/ / | |/〃> .__. -ァ´〉、|!/ ̄`ヾ.、
〃 / .| |ニニ≧ヽr―‐ ' // Y ヾ
.// .{ ! !: : : : : :/:7=ニニニ.ヽ} iヘ
// ∧ .| |: : : : こ{_{こ: : : : : : : :} ト.ヘ
./ / ∧ ./ /: : : : : :仆: : : : : : : : ;イ / \ヽ
ーーその日、天江衣は絶望を知った。
「な、何奴!?
正気か!?」
「迷子センターに連れて行くか」
「よせっ、衣は迷子じゃない!」
「大丈夫だよ、お兄さん怖くないから」
「こ、怖くない。衣は怖くないぞ!」
既に半泣きである。
京太郎は頭を掻きながらどうするか思案する。
このままでは犯罪者扱いされてしまいかねない。
咲と和から子供と接触するときには注意するように言われているからだ。
2/10
「衣は高校二年生だ!」
「えっ、俺より年上?」
「と、年下……。年下だとっ!?
えっ、なに、どういうことだハギヨシ!?」
思わず自分のお付きにヘルプを求める。
どんなことがあろうが呼べば側にいる、それがハギヨシという人物だ。
「彼は普通の人ですよ」
「ふ、普通!?
あれが普通なのか!?」
「ええ、普通の男子高校生です」
「あっ。ハギヨシさん!」
「お久しぶりです、須賀くん。
謙遜は忘れていないようですね」
「いえ、まだまだハギヨシさんには及びません」
| トハ._ト_ .ハ ./} / } ,! ! |/ | __.. ィ | | | | | }'
∨ N. ヽ!ヽ|`ト/_/' ./イ _/!斗七 「 ,イ | | | | |
∧ l>≠芹芯ミ、`¨ / / z≠≦xミx/ // ./ | | |
|`{/ /::::::::::::i / / i::::::::::ハ }〉// .イ ,イ/ /
| ヘ {::::::::::て / ´ {::::::::て /'/' //// /
| 弋壬沙 必壬ン / //´/_ .イ∧
| i 'イ/ | ∧
|ヘ }' | ∧
| i\ r―ュ イ ! ∧
| | >ト. イ ! | ∧ 「えっ、ハギヨシもそんなに筋肉があるのか!?」
| / / { |ニ≧ _ r< ノ .| l ∧
|/ \三三三三/ ` < ! l ∧
にっこり笑って答えない執事に恐怖する。
もしもハギヨシの言うことが本当だったとするならば、ここには筋肉男二人と幼女が一人。
どう考えても衣には絶望的な状況である。
「良かった。
ハギヨシさんがいるならば安心ですね」
「ええ、では私はこれで失礼します」
「ま、待てハギヨシっ!」
再びハギヨシが空気と同化してしまえば衣が追う術はない。
絶望の渦に取り残されたまま、目の前の筋肉男を見る。
「対戦相手の龍門渕って貴女だったんですか」
「そ、そうだ! 衣は年上だぞ! おねーさんだぞ!」
「そうですね?」
「だからお前なんて怖くないぞ!」
「……参ったなぁ」
未だに恐怖されていることはわかっている。
しかし京太郎の脳ではどうしたらいいかわからない。
3/10
「そうだっ!」
「ギャァァァァ!?」
「思いつきました!」
急に大きな声をあげたことで衣がキャラに似合わぬ悲鳴をあげてしまう。
そのまま京太郎は衣に近づく。衣は恐怖で動けない。
,. ' ´ ̄>、八 ,, テ彡',、 _`ヽ
/ 〃∠ ミy-'' ´7⌒Y ``゙`ヽ、
{ N、/i´⌒>y'′ ハ : } ハ
/´``-'y ミノ 八 ', ,.._,.._!
i / ~ヘ 〕 _, -へ、≫-‐、ノ ',ハ
ノく \、 ゝ、...ノヽ< , { ( n ハ
iー-、.. `〈^〉 ノ´-、`ヽ-‐‐´∧ヾ、. ハ }
} '` `` `>、.._ ` 彡´`ヽ>´^,' ⌒', ! ムキッ!
\``ー‐- -‐、 `` ヽ _./ _,..-‐-y ノ!
`丶--‐"て_⌒ハ. }. } }彡 _´,,.. '´/_ノ
(`´,... } } .!.ノ三三__,,..-‐'" 「ふんっ!」
`、-‐'"^^^'´ノ ', ∧
)-,..-‐'' ⌒', } ', i
ν´ / .ノ ,...、 }
/ ノ 〃 !
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ノ ノ / / /
∧ / /´` 7´
/ハ /,. '"´ ,/
} ` //ー-彡'/
{ , ' ,.-,..-‐"´:::/
ヽ _ ´ ヘ:::::::/
Y´ ', ` '<´
ーー衣は死を覚悟した。
目の前の男の衣服が全て弾け飛び、目の前は一回り大きくなった筋肉で埋め尽くされた。
視界が筋肉に覆われる、初めての経験だった。
「ほら、怖くないですよー。触ってみてください」
「ァ、ァァ……」
「ほれっ」
もはや抵抗できない衣は言われるがままに筋肉に手を触れる。
ーー
それは肉というにはあまりにも硬すぎた。
ぶ厚く重く、そして大雑把すぎた。
それはまさに筋肉であった。
ーー
固くしなやかな筋肉はまるで鉄板のようだ。
しかし、触れていて鉄板との違いに気づく、気づいてしまった。
4/10
「あ、あたたかい」
思わず口走った言葉は考えて発したものではない。
自然と口から漏れてしまったものだ。
鍛えられた筋肉は鉄板とは異なり人の体温を持っていた。
遥か昔、衣が父親や母親に抱いてもらった時に感じた体温。
人の体温というものは、人を安心させるものである。
「この暖かな筋肉を持った人間が、他人を傷つけるのだ」
「俺は筋肉に絶望してはいません。
筋肉は人を傷つけるものではありません」
「では、何のために筋肉を鍛えたのだ」
「ーー自分のためです」
/:::::::::::/ > 、:::::::::::::∧- .._/:::::::::::::::::::::::> ´
./:::/::/ ´ \::::::::::∧ /:::::::::::::::> ´
/:::/ ´ / >.、:::ハ_/::::::> ^ヽ
./:::/ , ' ./ x≦>――‐<≧x. \
/:::/ / / / ´ `ヾ. ヽ
.// / / // /
´ .′ / .// / // | | i
i i | i! | //! ハ .| | ! | !
| .! |Tト ._ハ | | | /.// ,イ ,イ ! ! !
|/ | ハ{\ {`≧ト{/'_/イ ,イ_i斗リ丁 / | | |
/ .| | ./ア圷.ヾ ///'衍圷ミx,イ / ,イ/
/ | | {' ら:::::リ ´ ら:::リ }'./ ,ィ //'
/ .| | 弋zン 弋ン 7´'イ |
/ | | `¨´ `¨´ ハ ! |
/ | ト、 ' / ∨| ∧ 「ーー衣はあまりにも小さすぎる」
/ | | r\ r:::ッ .イ Ⅵ. ∧
/ i! .レ ( > . . < i! ∧. ∧
/ __| i! `ー-ァ__7≦ヽr―‐ 、! ∧. ∧
/ / .| .i「 ̄ ̄\_У ̄ ̄ ̄ ̄}ヽ ∧. ∧
/ / | i!: : : : : : :}: : }: : : : : : : : / \ ∧. ∧
/ / / .! |: : : :こ≧!: ノ≦ニ: : : : :{ ∨ ∧. ∧
/ /::/ | |: : : : : /「ト、: : : : : : : / \ ∨ \ ∧
./ /^´ | |: : : /: :.| |: :\: : : : // \}. \∧
/ / | |=イ: : : :|!: : : |`ー' / \ \\
目の前の男に対して、自分が誇れるものがなかった。
衣は麻雀が得意だが、この男と対面すれば麻雀なんて関係なく押さえ込まれるだろう。
しかしこの男はそれをせず、ただ安心してほしいと述べたのだ。
「(人は生まれ、育ち、そして次代に繋げていく。
この男が暖かさを伝えるとするならば、衣は何を伝えるべきなのだ)」
「若いうちは楽しいことをして、経験を積むことが重要だと教わりました。
きっと衣さんも麻雀が楽しいんですよね」
その言葉を聞いて、衣の全てが壊れた。
今まで、衣が麻雀を楽しんでいたことがあっただろうか。
「衣は、無力だ」
胸中が迷いに包まれる。
今日、衣のオカルトが発動することはなかった。
5/10
……
…
・桃子編
/\-――‐- 、
, --=7 丶 `ヽ
/, ヽ: ヽ
∠/ / 、 、 丶 i
/ :i ! l. l i: i |
. / ,/ :! ! l || ! |、 ll ! | ヽ、
/_ -7 , :| lト、| |ヽ! N , 斗 r: ,'_ ト--`
 ̄ //! ! Nィ笊 \|,/ィ笊_ヽN ,ハ !|
´ / ,i丶 { Vり .l/ Vり l/' ノ リ
// l i `i _/,、/
´ {ハ!ヽ{ ′ ./!}/ ′ 「すみませーん。迷子の宮永咲知りませんかー?」
丶 ー ― ' / |′
\ / |
´ . i ー ' \
__ ´ } / \__
__ , ´ , _ ` ー-、'/ -‐一 '' ゙ ´ \
/^、 \ / 〃 丶r‐ r ヽ ヽ
/f 、 ヽ l、 / / y \ { ',
. / r 、 ヽ. }ノノ , ' ―彳 / ゙、 j
. ! -ヘ. ヽ ノ゙‐' / / ′ \ {
. i 「. / , { , , i -、 ∧
} v‐ < ゝ { / 'l 、 ゙、
! | ヽ, -- / ト _,,. -- `'- 、_ / l l
'、 ′ ノ /_/. l __ ` ゙゙´ ハ l
ヽ /"´. l / 、 ヽ , ' l ! l
ゝ_,. '´ l ′ ! \ / 、 l 、!
v 〈 \ ′ 、 ノ ヾ
{ `‐ 个 、__, 丶 l ヽ ゙、
j , i / ヽ
,' ゝ-个 、__, : ,′ / イ
j:.:.:.:.:.:::::::::::::::::::::::::::::://:::/:!l::::/!:/!::::;'!::::::/: : : :!:::::::::.:.:.:.!
,':.:.:.:.:.::::::::::::::::::::::::::::::j !V:!ヽ!:::! l:! !::;':!l::::::!: : : : !l:::::::::::::::!
j.:.:.:.:.::::::::::::::::::::::::::::::::l ,.ィ.,ニj!''ヽl! l:::! !ハ::::!: :-‐'j!l::::j::::::.:.!
j.:.:.:.:.:::::::::::::::::::::::::::::::::〈! ら:::! トヘ::! ! ヽ:!: :_,l!':/j::::::.:.!
!.:.:.:.:.:.:::::::::::::::::::::::::::::::!. 弋;;ノ . : :ヽ: : : : ィ'ニ`ヽ'/∧:::::l
j.:.:.:.:.::::::::::::::::::::::::::::::::::| -- : : : : : .fr':} }∧:::.:.:!
/.:.:.:.:::::::::::::::::::::::::::::::::::::| _`''′/.j:::::.:.:.j
/.:.:.::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::| ヽ .,::::::.:.:.!
../.:.:.::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::! ,::::::::.:.:!
/.:.:.:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|: . . r‐‐ュ ノ:::::::::.:.|
./.:.:.:.::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::!>、: : .  ̄ u., イ::::::::::::::.:!
}/!.:.::.:.:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::!:!: : :>. _ , ..<::::::::::::::::::::::ハ 「私のことが見えるっすか!?」
!.:.:.:.:::::::::::::::::::::::::::::::::::l:::::::::j::l、 : : : : : : >-‐'"::::::::::::::::::::::::::::::::::ハ
l.:.:.:.:::::::::::::::::::::::::::::::;;l:l::::::::/!:! >.、: : : ∧::::::::::::::::::::::::::::::::j:::::::::ハ!
_,,. -―='''" ̄ ̄ ̄7.:リ:::::::/ j! >-'_∧:::::::::::::::::::::::::::ハ::::::::! !
.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.j.:.:.:l:;イ.:.ヽ / ヽ::..::..:lハ ∨`ヽ、:::::/./ j:::/ ./
.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:V.:.:.:.:.:.:.:.:.ゝ、.:.:.:.:.:.:.:.\ !::..::.Vヽ!.:.:.:.:.:.:.:>メ、/:/
.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::V.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:>イ´.:.\ .l.::..::..:V l.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ノイ.ヽ、
ーーとある出会い、東横桃子の乙女心は粉砕された。
東横桃子は影が薄い。
それこそ『オカルト』と言われるほどに影が薄く、麻雀でもそれを利用している。
桃子としては自分の体質が大嫌いだ。
この体質のせいで友達は出来ず、麻雀部と関わりを持つまでは一人ぼっちだった。
今でこそこの体質を利用しているが、なくなればいいと思うのはいつものこと。
ーーそれでも、桃子には夢があった。
6/10
いつか自分のことを見つけてくれる王子様が現れる。
加治木ゆみのように、自分を見つけてくれて必要としてくれる男の子。
仮に加治木ゆみが男性だったら良かったのに、と思ったことすらある。
しかし、先輩とは別にちゃんと男の子と付き合いたいという女心だってある。
いつか、世界には自分を見つけてくれる人がいるはずだーー。
その日を夢見てきた、……はずだった。
「えっ、見えますけど……」
「そ、そんなはずは……」
「どうかされました?」
「こ、この人が……?」
王子様……?
「(そんなわけないっすよぉぉぉーーーっ!)」
叫び出さなかった自分を褒めて上げたい。
ついに自分を見つけてくれた男の子が筋肉モリモリの上半身裸。
「わ、私は影が薄くて……。
見えるはずないっす。
嘘をつくのはやめるっす!」
サササッと彼の背後に回る。
どうせ見えていないはずーー、その想いは届かない。
/_\:: `ニニ´ .:::/ `ー-、__
,. -‐'´.: : .:|!:.:ヽヽ、ニ__ ー ::|::...  ̄``ー-、
_,. --r'´.:.:.:.:: ..:.:∧:.:.:.: (__) ::::::::|:.:.:.:... r \
r‐'´ _:.:.:ヽ.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:l |!:.:: ハ ::: |;;;;:.:.:.:>....:.|:.. 、 ヽ
:.:.:.:.::.´:.:.:.:.:.:.:.:\_____ヾ:.:.:.:.:.| ∨ >:┴…'´ー‐-、|:.:.:.. \: |:.:.: |、
:. /了:.:.:.:.:.:.:.:.: /:.:.:.:.:.:.:. ``ー-、L.. __〉.'" \:.:.:.:.:.:.ヽ:.:./:.:.:/: \
/__/:.:.:./:.:.:.:/-、:.:.:... __ .:Y´:: _,. =ミ:.:\_;;;;;V;;;/ヽ l 「筋肉が君の場所を教えてくれるし……」
:.:.:.:.:.,.イ:.:.:.:.:.:ノ|! _}‐‐::.:.:.. ,r‐'´ ノ. . ::lr'´::" :;;;|:.:.`ー'⌒ | |
:.:.:.:厶;;辷==' /⌒|::.:_;. -'´...:/ :.:l!:.::: :;;;;;|:.:.: ', ∧
:.::イ:.:.:.:´ `ヾ|:: レ'ヽ:.:.:.:/ .:.:.:.:.:.:.:.:.|!:.:.:... rぅ...:.;;;;;:∧:.:.:. ヽ. |: \
:.:/:.:.: :.:.|::/ /r─  ̄〉.:.:.:.:.:.:.人;;;;;;;;;,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,;;;;;/::∧:.:.:.:...... ヾ \
:.:.:.:.:.: :.:/: :/.:.:/__ノィ' ̄〉‐一'´___  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄lヾ、:/ :::\_::::::.: . l| :ヽ
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|::::l:::|:!:ト、i八八::::::|:::::::|::{ }/::|:::/:::::::::|::::|:::|
|::::l::从{ 斗芹ミ\ト、:::斗芹ミ刈イl:::::::::::!::::!:::!
|::::l::::::::!'' ん心 ヽ{ ん心 リ::::::::::::::|::::|:::|
|::::l::::::::! 辻ツ 辷ツ '|:::|::::::!:::|::::|:::|
|::::|:::|:::l | |:::|::::::!:::|::::|:::|
|::::|:::|:::l l 、 |:::|::::::!:::|::::|:::| 「……!!?!!?!?!?」
|::::|:::l:∧ ! ‐― 、 |:::|::::::!:::|::::|:::|
|::::|:::|::::::\! ∨___) .::|:::|::::::!:::|::::|:::|
|::::|:::|:::::::::::|`:ト .._ _ イ:::|:::|::::::!:::|::::|:::|
|::::|:::l:::::::!:::|:::|::::::|:::} |::::|:::|::::::!:::|::::|:::|
|i:::|i::l:::::::!:::|:::|:::::/∧ 厂i|:::|::::::!:::|i:::|i::|
八八ト、从ノ!/i////∧ //,'八从ノiノハ八{
7/10
「人を見るんじゃなくて、筋肉で感じるんだ」
「は、ハァ!?
何言ってるんすか!?」
「筋肉に伝わる振動で大体の場所を把握できるし……」
/::::::::/:::::::::::::::::〃::::::::::::::::::::::\
/:::::::::::/::::::::::/:::://|:::::::::::::|:::::::::::::::.
/:::::::::::/:::::://i::::// |:::::::::::::::i::::::i::::::::::.
/:::::::::::/:::::://斗≠ミ i::/i:::::::/i:ハ::!:::i:::::::.
/:::::::::::/:::::://´斥心 ヽノ' /::/ ノ'ノ'1:::!:::::::i
/:::::::::::/}:::::::i | __):::} /´ -≦_ノ'ノi::::::i:!
〃::::::::::::`:|:::::::| | ゞ-゚' 斥ハ`ヽ:::::リ'
//:::::::::::::::::|:::::::| |、、、 _)リ /:::::::'
.. //:::::::::::::::::::|:::::::| | `¨ ,:::i:::::|
. { i:::::::::::::::::::::|:::::::| | ´ `` |i::i:::::|
i:::/::::::/:::/:|:::::::ト.! ⊂´ ̄`ー 、 八i:::::|
i/i:::::/:::/::::|:::::::i7 、  ̄`ー' /::::::::::::| 「何言ってんすかコイツ」
|i::/:::/i::::::|::i:::八 、__.......-<i::::::::::::::::
--―‐≠ ̄ ̄ ̄i !::!∧ `丶 /:::::::::::::::::|::::::::::::::/
/:/: : : \:.: : : : : : :.:.}:jノ': ∧ /='^ヽ:::::::::::::::::!:::::::::::/
{:/: : : : : : ヽ: : : : : : :.|: : :/: ∧ /:i:i:i:i:}i:ト、::::::::::/::::::::::/
/: : : : i: : : : : : }: : : : : : : : :`ヽ/:.∧i:i:i:i:ト、: : : }\/
./: : : : : |: : : : : : |: : : : : : : : : :./: /:.∧:i:i:ハ |\/: : :\
': : : : : : |: : : : : /: : : : : : : : : : :∨: :': ∧:i:i:i:|: : 〉: : : : ∧
: : : : : : :|: : : : /: : : : : : : : : : : : :.\: ': :Ⅵ:i:iⅣ: : : : :/: :.〉
: : : : : : :|: : : /: : : : : : : : : : : : : : : : \: :ⅥⅣ: : : :、::::/: i
桃子のツッコミも届かない。
京太郎は真っ直ぐ桃子を見据える。
桃子は初めて見られているのに怖くて怖くて仕方がなかった。
「君は影が薄いって言ってたけどさ」
「だ、だからなんなんすか!?」
「それは君が自分のことを認めてあげられないからだと思う」
「……?
…………!?」
「俺の筋肉もまだまだだけど、人に見せられる筋肉に育ててると思っているよ」
「……えっ、つまりどういう」
「自分に自信を持つんだ」
.... -―━―- ....
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|.:|:::::::l:|l:::l:|ー|:::l::::::l ̄`':::::八|::::::!::::::!
|::|:::::::l八从 ルヘ:::::| ール'__|::::!::::::!
|::|:::::::|,ィ芹苅` ヽ! ´芹苅刈:::::|::::::|
|::|:::l:::l V.:::ツ V.:::ツ '|::::::i〕::::!
|::|:::l:::| `~ 、 ~´,,, |::::::|::::::|
|::|:::l:::| し |::::::|::::::| 「自信を……」
|::|:::l:込、 ⊂⊃ 小::::|::::::|
|::|:::l:::|::个::.... ..:个|::::::|::::::|
|::|:::l:::|::::|:::::l::::〕 ー‐ 〔:::::|::|::::::|::::::|
|::|:::l:::|::::|:::::lノ\__,人:::|::|::::::|::::::|
. 八l:::l从:::l/:{ /∧ /\j:::::从::八
目の前にいる彼があまりにも自信たっぷりに言うものだから
なんか良いことを言っていると錯覚し始めたようだ。
8/10
,.--,- '" ̄``ヽ、
ノ′{´ /⌒ヽ ', ヽ
/ ∨.__ ∨ ,リ,゙i
ノ.-‐ ‐-/,' } ,/',´// リ 「俺は自分のことを恥ずかしいと思ったことなんてないっ!」
/´ { i { ( .>、.._}'´ ̄
/ ,..ハ : 人_,,._-``ー 、..__
i〃⌒''''"´ ! `ヽ‐-、..._ ``  ̄`ヽ、
.| '" 人_ ィヒ.. .ノ `ヽ-=...、
| ,ノ"´ ゙ヽ、_ _,,..ィ''">‐--、 \''"
! , '" -‐‐-'"⌒', ` ̄ ̄丁´ ,とノ´ `ヽ-'
{ ノ´ ,.. -- ゙レイ'⌒{ ゙Y
i /´ 爪,人 .ノ} }
.|/ 》 、 Yノ .リ
.{ 《 `ヽ.ノ} _ イヽ、
ノ `ヽ._ ヽ ノ′ヾ、 ヽ
/ , `ヽ`ヽ、 } \
i { \ ヽ}、 \
いきなり断言する。
桃子は考える。果たして今までの自分は自信を持てていただろうか。
見つからなくなってから、それが楽だと思ったことはないだろうか。
彼の体が大きく見える。
それは鍛えに鍛え抜いた筋肉に自信を持っているからなのだろうか。
「幻だ、こんなの幻っす。
目の前の筋肉が私を錯覚させているだけ!」
「違う、それは違うよ。筋肉は気持ちを増幅させるだけ……。
その気持ちは君の中から溢れてきている」
「そんな、それ以上、喋るなっす……」
「君の中にある可能性が叫んでいるんだ」
「私の、可能性……。
心が伝わる……」
「その生真面目な心ーー。
落ち着いて周りを見回してみよう。
世界はいくらでも広いんだ。
君の中の可能性がどこかにあるーー」
...-――━―-...
/::::::::::::::::::::::::::::::::::::\
/::::::/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\
/:::::::::/::/::/::::/::/::::::::::::∧::::::::::::.
/:::::::::::!:::!:::l::〃::l:|l::::::::::/ l:::::l:::::::::.
/:::::::::::::l从八{=ミl八:::::/ リ:::リ::::::::::l
/::::::::::::::::::::/ 芹刈` ヽ{ 厶仏イ::::::::
/:::::::::::::::::::::; V炒゙ 芹かノリ:::::::リ
/::/::::::::/::::::::i l V炒 '厶彡'
. /::/::::::::/:::::::l:::l l ' /::::::/
i::::i:::::::::i::::::::::i:::ト、 l - 、 /::::::::i
l::::l:::::::::l::::::::::l:リ、 ト、 .. イ:::::::::::|
__l:八从ハ八ハ/ \{ 〕=≦:::::l:::l:::::::リ:::! 「私の、可能性ーーー」
./: : : : :ヽ: : : : :.:/: : : :∨ /:i:i:i∨/\'::::/:::/
/: : : : : : : }: : : : :i: : : : : :∨ ヽ:i:i/i: : : :l:>、'
,′: : : : : : : : : : : : \: : /: ∨ |:i:l:l|: <: : :/: :.
,: : : : : : : : : :/: : : : : : :7: : : :.Ⅵ:i:i:l|: : : 〉:{: : : :i
ーーその日以来、桃子のオカルト体質は消えて無くなった。
9/10
……
…
. / :.:.:.|:.:.:.: /^l:.: : ||:.:.:.:.:.:.:| ヽ:.:.:.:.:.ハ:.:.:|:.:.:.:.:.:.ヽ:.::.:.::.
/ .:.:.:.|:.:.:.:.| :.: : ||:.:.:.:.:.:.:| |:.:.\ | :.:|:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:.
/ .....:.|:.:.:.:.| /: :.:|ト:.:.:.:.:.:.| |:./_\:/|:.:.:.:.:.:.:八:.:.:.:::
. / .:.:.:.: |:.:.:.:.| \||:.:\:.:.::. ィX笊竺心j:/|:.:.:./:.:.:.:.:.:.:.|
ー |:.:.:.\| i| ノ{:::::ハ 乂ー-ソ j/ V:.:.:.:.:|
|:.:.:.:.:.:. 从乂ーソ .:.:.:.:ハ|
|:.:.:.:.:.:.∧ ′ "" /:.:.:./
|:.:.:.:.:.:.:.:ハ "" 厂:.:.:/j/
|:.:.:八|:.:.八 r-, /:.:.:.:/
|:./ \:.:{\ / |:.::/ 「手応えなかったね」
|: \ > .. _ イ リ/
__] {___
_/三l /三三三≧=-__
_x<三ニ/´ / /ニ三三三三三三三>
. r≦三三ニニ/ /三三三三三三三>´
/|三三三三ニ{____/ニ三三三三三三>´ \
/ / ./ ,ィ ヽ ヽ_
/ / ./ // /! |l! .lY'::::::::::)
; i くlハ //,ィ / .| リ! j l }::::::::::l!
|イl! ' _`Vメ、 l / __.! ./_l/__ ノ l::::::i='ヽ
ゝゝ| ;´んィ:!` =j/__ノノイ /¨T ヽヽ
|| l 弋_丿 'んィ:!.ヽ// ,' ! } }
|| l 、、、 弋_丿 // .,ヘ .! j/
|| l ' 、、、 // ./イ |
|| ::ゝ. __ // ./. ! |
|| | l > ´‐-' _イ//∥| l |
|l!. l_L:;ノ:.ト!¨ T¨ェ:://.∥ll! l |
l|-、 ヽ: : : :.l! ̄` |:.:.// /l!ll| .! |
/-、:::ヽ ヽ: : : l ̄ ̄l:.// /: :ヽ! .! ! 「確率的にそういうこともありますよ」
. / | >ヽ ヽ:.:.:l l;'///: :/\ .| |
. / l . /ヽ:ヽ ';.:ヽ /:::////、 \ |
人.. V } :!:ヽV/'/l;;;_/ Y ..人 !
. / ヽl l ! [__] / .l i/ ヽ|
/: . : . : . : . : . : . :-‐: . : . : . : . : \
. : . : . : . : . : . :イ: . : . : . :.,イ: . :、.ヘ: . : . ,
. : . : . : . : . :/: . : . : . : ./ /{: .: .ヘ:.ヘ: . : . ,
/: . : . : . : / : . : . : . /〃 { 从: . リV: . : . : .
. : . : . : . : . : . : . : . / 〃 ヽ ヽソ ∨: . : . : .
: . : . : . :/. :/: . :, ' / V: . :ヘ: .,
{: . : . : . : .レ': . : ./-‐''7 -‐'''゚'''ー∨: . :.Ⅳ,
: . : . : . : . {: . : , ,' }: . : .} い
: . : . : . : . :!: .:/zzzzュ、 ,ィ==ォ、 ∧: . :i }:}
: . : . : . : . :{: 《 ら :::.リ ` ら :::.} ノ ,: .}: . :} ii
,: . : . : . : .V 乂;;ノ ゞュノ ,:.:}: ..リ 7
,: ヘ: . : . : ..ヘ , ,: .:i: .ノ ,'
,: .ヘ: . : . : . ヘ ,: .:.レ'
.V: .ヘ: . : . : . ) __ ノ: . :/
\: ヘ: . : .:/个 , <: . : ノ 「(全国に行った実感がないわね……)」
``}:==:{ .} ` __ ィ ' ゝ:==:{
7: . : .i ,ィ'} i__ {: . : . ',
_,,,>'" {: . : ..ヘム }:;:;λ: . : . ヘ<
何のドラマもありませんでした
10/10
……
…
´ ̄ ̄ `>:::´::::::〈 ̄ ̄ ̄ \::::_,.>――- 、
,.: ̄/::::::::::::::::::::〉' `ヽ} } _, 〉
/:::::::':::::::::::::::::::::,:〈 ´ ̄ ̄ _>ー' く_ 、{`::.、
,:´:::,. イ/::::::::::::::::::::/:::::::::::/::::/:::/:::::|:::::::::::::|::::`::ー:':::::::::::::::ヽ
/:::/ ,.:':i:::::::::::|:::::::/:::::::::::/::::/:::イ::::::,|:::::::::::::|ヽ:::::' :::|:::::、::::::::::::.
|:/ /:::::::::::::::::{::::/:::::::::::/l,:-|-- }:::/ ::::::::::::/ -|::、|::::|::::::::::,::::、:::|
{' /::::::::|:::::::::::∨:::::::::::/´:::::| /:/ |:::::::::,' |::/:ヽ|::::::,::::}:::ハ::!
.'::::::::/{:::::::::::/:::::::::::/ 从:{ /イ }::::::/ }/:イ/}::::/::/::::} }:|
|::::::/:∧:::::{l′ :::::: |ィ笊斧芹ヽ / イ ィチ斧ミ、 ム:::::/}::イ /'
|::::/イ 、::'::::::::::::: |{ 比し(_ ヒし(_ }/}:イ:/::::|
{:/ { ,:::::::::|::::::| Vこzソ Vこソ '::::::::::::::::|
| | |:::::::::|::::::| , , , , , , _ム:::::::::::|:::|
l |:::::::::|::::::|、 〉:∧|::::::::::|:::|
Ⅵ::::::::|::::::|、::,、 「 フ {:イ l::|::::::::::|:::|
|::::::::|::::::|Ⅵ ` ´ < ,:::|::::::::,:|:::|
_l∧:::|:::从ノ ` r-=≦-、_,.._/::イ::::::/ |:/ 「わぁ、すっごいファッションセンス!
/⌒:.{:.:.:\:{:.、 - _ |`¨ヽ:.:.:.:}:.:.:.:.:.〉/::::イ /
,:./⌒ヽ、:.:.:.:.:.\:.ヽ ` }:.:./:.:.:.:.//イ カッコいい!!!」
/:.:, `ヽ、:.:.:.\:.} |:./:.:./, |
. {:.:.:{ }:\:.:.:Ⅵ |':./∧{ |
/\-――‐- 、
, --=7 丶 `ヽ
/, ヽ: ヽ
∠/ / 、 、 丶 i
/ :i ! l. l i: i |
. / ,/ :! ! l || ! |、 ll ! | ヽ、
/_ -7 , :| lト、| |ヽ! N , 斗 r: ,'_ ト--`
 ̄ //! ! Nィ笊 \|,/ィ笊_ヽN ,ハ !|
´ / ,i丶 { Vり .l/ Vり l/' ノ リ
// l i `i _/,、/
´ {ハ!ヽ{ ′ ./!}/ ′ 「貴女もいいファッションセンスですよ!
丶 ー ― ' / |′
\ / | 似合ってます!!」
´ . i ー ' \
__ ´ } / \__
__ , ´ , _ ` ー-、'/ -‐一 '' ゙ ´ \
/^、 \ / 〃 丶r‐ r ヽ ヽ
/f 、 ヽ l、 / / y \ { ',
. / r 、 ヽ. }ノノ , ' ―彳 / ゙、 j
. ! -ヘ. ヽ ノ゙‐' / / ′ \ {
. i 「. / , { , , i -、 ∧
} v‐ < ゝ { / 'l 、 ゙、
! | ヽ, -- / ト _,,. -- `'- 、_ / l l
'、 ′ ノ /_/. l __ ` ゙゙´ ハ l
ヽ /"´. l / 、 ヽ , ' l ! l
ゝ_,. '´ l ′ ! \ / 、 l 、!
v 〈 \ ′ 、 ノ ヾ
{ `‐ 个 、__, 丶 l ヽ ゙、
j , i / ヽ
,' ゝ-个 、__, : ,′ / イ
ーーなんかめっちゃ意気投合した
カン!
スレタイ回収…
じゃないですよ…
1/10
【咲-muscle-全国編 そのいち】-筋肉次元-
夏のインターハイ。
麻雀に青春を捧げる女子高生たちの集い。
「暑いわね……」
彼女、石戸霞もまたその雀士の一人だった。
真夏のコンクリートジャングルに慣れていない彼女はタオルで汗を拭いている。
コンクリートに囲まれた中での蒸し暑さは地元の暑さとは違う嫌悪感を覚えさせる。
幼馴染の親友のような格好ならば涼しそうではあるが、霞があの格好をするわけにもいかない。
なんとか耐えて、後で海にでも行こうと前向きに考える。
. ...:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:\
/.:.:.:.:/ .:.:.:.:.:.: |.:.:.:.:.:.:.:.:.:\:.:.ヽ
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/.:.:.:.:.:./.:.:.:/:.:.:.:.:.:.|\.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:{{.:.:. \
.. / :.:.:.:. ∧.:.∧.:.:.:.:.:.:| ⌒.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.}:.|.:|\.:.\
//{.:.:.:.:/ ∨ .\ .:. | \.:.:.:.:.:.:.:.:.|.:| \.:.\
// .:.:./ xャ笊ト \| xャ笊て㍉ .:.:.:.: |.:| \.:
. |∨ 〈 r'i:i:ハ r'i:i:i:iハ }.:.:./.:/|.:|
. |.:| 小 乂こソ .乂こソムイヽ.||
. |.:| .Ⅵ ,.,. ′ ,.,.,., ノ |.:|
. |/ .圦 r イ¨ |/ 「霞ちゃん霞ちゃん!
. 个 V ノ イ
. ≧。.,_ < {.,_ 向こうにすごいイケメンさんがいますよー!」
-‐ ´j  ̄ ̄\
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. l::::: :::.l. ャー‐ッ /:::l:/::: :.l
l:::: ::::::>... イ:::::/ :: ::::::l
. l:::: :::::::::::::>.....___ < |:l:/:::: ..::::::' 「あらあら、初美ちゃんったら……」
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. l=;/ l / ,;:::::::::::::::,' / ! l
,':::l ./ i:::::::::::: / / / l! .l
/::丿, ' /!:::::::::::;' / / !
それはそれとして、親友の意外な一面を知って驚く。
男なんて尻に敷いてやりますよー、などと普段から豪語している彼女とは思えない台詞だ。
「ほら、見てください、ほら!」
「もう、ちょっと待ってね」
初美の指差す方を見てみるとーー
2/10
/\-――‐- 、
, --=7 丶 `ヽ
/, ヽ: ヽ
∠/ / 、 、 丶 i
/ :i ! l. l i: i |
. / ,/ :! ! l || ! |、 ll ! | ヽ、
/_ -7 , :| lト、| |ヽ! N , 斗 r: ,'_ ト--`
 ̄ //! ! Nィ笊 \|,/ィ笊_ヽN ,ハ !|
´ / ,i丶 { Vり .l/ Vり l/' ノ リ
// l i `i _/,、/
´ {ハ!ヽ{ ′ ./!}/ ′ 「俺に何か用ですか?」
丶 ー ― ' / |′
\ / |
´ . i ー ' \
__ ´ } / \__
__ , ´ , _ ` ー-、'/ -‐一 '' ゙ ´ \
/^、 \ / 〃 丶r‐ r ヽ ヽ
/f 、 ヽ l、 / / y \ { ',
. / r 、 ヽ. }ノノ , ' ―彳 / ゙、 j
. ! -ヘ. ヽ ノ゙‐' / / ′ \ {
. i 「. / , { , , i -、 ∧
} v‐ < ゝ { / 'l 、 ゙、
! | ヽ, -- / ト _,,. -- `'- 、_ / l l
'、 ′ ノ /_/. l __ ` ゙゙´ ハ l
ヽ /"´. l / 、 ヽ , ' l ! l
ゝ_,. '´ l ′ ! \ / 、 l 、!
v 〈 \ ′ 、 ノ ヾ
{ `‐ 个 、__, 丶 l ヽ ゙、
j , i / ヽ
,' ゝ-个 、__, : ,′ / イ
/.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ <.:.:.:.:.:.:.ゝ,,,_
/.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:,.:.:.:.:.:.:.:ヽ.:.:.:.:.:.ヽ:〉ッ.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:\
/.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:!.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:',.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ.:.:.:.:.:.';,:,〉-t==ミ-.:.:.:.:.:.:.:.:.:\
/.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:l.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:i.:.!.:.:_,,,,___.:.:i.:.:.:.:.:.:.',.:}!.:ヽ `ヽ.:ヽ `\.:.:.:ヽ
/.:.:.:.:.:.:l.:.:.:.:.:.:!i.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:lィ'!ヽ:.:.:.:.:.:.:.:!.:.:.:.:.:.:.:Y !.:.:} \ヽ \.ヽ
_,,,ィ=;:{.:.:.:.:.:.:.:.!:.:.:.:.:.:!`,.:.:.:.:.:.:.:.:.:.i ヾ ヾ!ヾ.:.:.:!.:.:.:.:.:.:.:.}! !.:.:! ヾ ヾ
/.:.:.:.:/.:.:.:.:.:.:.:.:_,,-'''"i` ヾi.:.:.:.:.:.:.:! ,'ィ示三V/'}.:.:.:.:.:.::リ l.:.:l "
.:.:.:.:.:.:.:.:.!.:!.:.:.:.:.:/!.:.:.:.い ヽ \.:.:.', "i;;;;;;;(` ゞj:.:.:.:.:.:/ ヘ:j
.:.:.:.:.:.:.:.:.:!.!.:.:.:.:.:.:.:.:iヾ.:.:yィf示 i;;::i::j::i /^i.:./i /j
.:.:.:.:.ィ''フ',',.:.:.:.:.:.:.:.::', ∥i;;;;;;;(` ヾ--" ∫ i /, '
.:.:/ /.:∧ヾ.:.:.:.:.:.:.:.《 i;;;:i:j;;;i , ,.,.,. ィ_,,ノ / i
/ // ヾ ヾ.:.:.:.:.:.:>、ヾ- " /" {:.:{
i ii /.:.∧--ゝ ,.,., 、 フ / ヾ 「あっ、いえっ、とてもいいファッションだったもので……」
i! /:/ ` 。_=ゝ イ
i.:! ゝー 、_,,, ,, ./.....i
i:i _, -- 、_,,ノ......................i
{{ /....................'..,`..,___................ゝ、
/...........................';, ' ;,...`''..-......`.ヽ
/...............................;; ` ,...............; '},
/.....................,,..........;; `'' ''" \
r-" ⌒ ヽ......./'".......;; \
/ `"ヽ,....;;" .ゞ、
/ ―― 、 \ ';ヽ\
t" \ \__ ';;〉 ヽ
/ ; \  ̄ヽ V }!
/ i > \ i ∧
/ ! ー`ー- \ / / i
いや、ちょっと待ってほしい
3/10
「いえいえ、あなたもその着崩し、芸術的ですよ」
「わかってくれますかー!?
貴方もその筋肉、いい鍛え方をしていますね!」
「あ、あのっ!?
初美ちゃんちょっとまってちょっとまって!」
「なんですか、もー」
自分の中で処理が追いつかないうちに意気投合し始める初美。
焦って思わず初美の腕を引っ張ってしまう。
「あ、あの人上半身裸よ!?」
「霞ちゃん、暑さで頭がやられましたかー?
見ての通りじゃないですかー」
「あ、そうね……。
いや、問題はそこじゃなくて……」
「裸ジーンズは立派なファッションじゃないですかー」
「いや、そういう雑誌ならばわかるけれど……」
チラチラと謎の男性の方を見てみる。
/ / | ハ | | i 、 ヽ \ \_
. i / | | | | | |、 i ゙、 、 \_ _>
| i | i | | | | ハ ハ _i!_ i \ ヽ` ̄ ̄
| | |+--|、_|! | | i! ,/.ィ'|"i´ ハ | i ヾ 、 ヽ
| | |.|ヽ |、_|王!ー |./i .;"´/=、!/ | ! | \ 、i 人
. !. r| i.|、!,,ィ'":::._iミi! |/ /彳:::: r:!ヽ,| ,イ | 、_ \ `Y´
. | |^!. N 《 _、o;;;;i_ 丶、/ / ┴゜‐'"´ !イ | λ i` ー--ヽ
! | i、i、 ゙、 ` ̄ ̄ メ( /^|イ `、|
ノi \ヾi:.、、 i! i ノリ `
| ヽ__i |イ|/
ヽ i、 i ____...., |/ 「?」ニコッ
ヽ!、 i\ `ー-- ―'´ /、!
i !i 、 \  ̄´ /!/ 人
|ハ,i、! 、 \ / ./.| `Y´
ト、! ゙、 `ー---'′ /|V
/: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : \ __,,,,,__ ___
/: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ヽ: : : :-==ニ`,,_
_/: : : : : : : : : :.," : : : : : ',: : : : : :',: : : : :.ヽ: : : : : : : : : : :ヽ
_,,, ィ: i{: : : : : :i : : : :,'!: : : : : : ,,!__: : : : : i : : : : :}!: : : : -==-,,,: : ヽ
<: : : : :.i{: : : : : :!: : : :_,ィi: : : : : : ! !`i''!'': : !: : : : :.!}ヾ"` ヾ\ ` ヾ
/: : : : :_,,-={: : : : : :}-'''"i ! ',: : : : :,' / /ノ: : : i: : : : : !:} ヾ', ヽ
/: : - '''"/: :ィ'{: : : : : :!i: : :{ ` `' 丶{ .ィテミヽ'; : : : ./ !:! }!
/ // ハ: : : : :! !ィfテミ` _こうソ_/:ィ_ :/ !:! /
/:/'}: : : : i〈 んう /;/;/,/;/;/;/;///,,_イ !:!/
i:{ !!ヾ: :iヾ/;/;/;/;/;/ィ^ ゝ''ト-,,_ / 川
i{ !! ゝ--ゝ u / `iJ j //イ /:/
ヾ >,,, / __ゞ=イ/ // 「(カッコいい…!)」キュン!
r-≦--ィ'''"7''` '''" ノ、 _,,,, ≠、
ィ^''''>-''''" { ィ- ''' "r- 亠," ,'...........ヽ
/-r''''" .}=="j.....................," ;;...............}
i / !;.;.;.;j..................," ;;..../........i
i / i;.;.;./- - - " `.,{..........ト 、
/ i;.;./ i...........! ≒-ュ
r" iメ、 r- 、,j_:::::::::j__,,/ /
正直、とても怖い。
しかしこの不審者を野放しにするわけにもいかない!
4/10
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|:::::::: l :::::::::::|:::::::::::::l:::::::::l:::|八::|:::l:::::::::::::|::|__, |:::::::|l:::::::::::| |
|:::::::: l :::::::::::|l::::::::::::|\从::l __}八{:::::::::::::l:ノ 从::::リ:::::::: 八 j
|:::::::: l ::::::::::八::::::::::| ,,xぅ斧笄ミ\::::::::|斗ぅ斧x )/:::::/:/ ノ
|:::::::: l ::::::::::::::::\::::| 《 h __j刈 `ー┘ h__j_| 》厶イ イ
|:::::::: | ::::::::::::::::::::个゙ 乂廴ソ 乂_ソ ,′:::::::|
|:::::::: | ::::::::::::::::::::::| , ,′:::::::::|
|::::::::┃ : :::::::::::::::::| `` `` ,′:::::::::::|
|:::::::::‘:::::::::::::::::::::::|\ U r‐ ┐ 人::::::::::::: |
|:::::::::::‘:::::::::::::::::::::|::| ` ´ イ:::_:_:__::::::::八 「あの……、公共の場でその格好は……」
|:::::::::::::‘:::::::::::::::::::「:| ` ....::|:::::l:/ / /^Yヽ
|:::::::::::::::‘:::::::::::::::::|八 T7^\:::::|::: / / / /Y^,
|:::::::::::::::::‘:::::::::::::::|\\ // `丶/ / / / | !
|:::::: -‐ ‘:::::::::::: | \\ .//. / / / / .八 |
-‐'^´ ‘:::::::::: | \\ // / / / / / ト、
「……?
ああ、ご心配なく!
鍛えていますから!」
「本当にすごいですよー……。
おいくつなんですか?」
「今年高校一年生ですね。
インターハイの付き添いで来たんです」
「私は高校三年生ですよー!
私の方が先輩ですねー」
「年上だったんですね。
先輩たちもインターハイに来たんですか?」
「そうですよー!」
一生懸命話しかけて見たがものすごい誤解をされた。
しかもすごい勢いで初美と仲良くなっていく。
止めようと思っても止める暇すらない。
「うちは清澄高校って所です」
「!!
次の相手ですよー!」
「あ、そうだったんですか。
俺が打つわけじゃないですけれど、よろしくお願いしますね」
「は、はい……。
そ、その、私も一生懸命打つので見ていてくださいねー」
「ええ、お互いベストを尽くしましょう!」
「!」キュン!
話が一息ついたのか、去っていく彼を呆然と見つめる。
正直別の意味で心臓がバクバク震えているのだが、俯いたままの初美が心配で声をかける。
5/10
「は、初美ちゃん……?」
「う、ううー。
情けないところは見せられないのですよー」
「そ、そうね」
「スポーツマンシップに溢れていましたし、本当にカッコいいのですよー」
「そ、そう……ね……?」
先ほどの筋肉を思い出す。
まぁ確かに、顔は整っていたような……いや筋肉しか思い出せない。
仮に整っていたとして、確かに筋肉質な男性の裸ジーンズはカッコいいとは思う。
……場所を弁えれば、の話だが。
「負けられない、ですよー」
「そ、そうね。
初美ちゃんがその気ならきっと勝てるわ」
「そうですかー!?
清澄高校の女子なんかに彼は渡さないですよー!」
「……!?」
あれ、何か話がズレているような……!?
「あの、麻雀の話……よね?」
「麻雀……?
まぁ麻雀も頑張りますけど、そんなことより恋ですよー!」
「恋!?」
「そーですよー!
さっき電話番号とメールアドレスは交換しましたし、頻繁にやりとりする予定です」
「ちょっ、いつの間に!?」
「油断したら清澄女子に持ってかれますよー。
そんなことはさせません!」
「あの、私たちは麻雀のインターハイに……」
/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:\::\:.:.:.ヽ_
/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: |::ヽ:.:.ヽ:.:ヽ:.:V:.:.:.:.:.:{\
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|::{|:::: | r=ミ>-:〃l{::.心 i}::V⌒ヽ:| ノ }:.:|
. 八:.\ ト:{i:.心:::::::::::::Vrり::::::::r::::::/:| j::/
| |:.| l(ハ:Vリ::::::::::::::;;;;::::::::::/_ノ/.|:| /
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八> -イ:::::::::| ノ
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. |: : : : : ::::::::::::::::: : 八:::::::|:::::|::::::::斤i「 ノ|/}/
. |: : : : ::::::::::::::::::::::::/|\八人:::: | ヒリ |
|: : : ::::::::::::::::::::::::::{ |:::::::::::::::|\| 乂_
. |: : : ::::::::::::::::::::::::::::\|:::::::::::::::| `` /
. |: : : ::::::::::::::::::::::::::::::::::|:::::::::::::::| U , j
|: : : ::::::::::::::::::::::::::::::::: |:::::::::::::::| /
. |: : : :::::::::::::::::::::::::::::: /:|:::::::::::::::|: : : . .__/ 「あっ、ええっ!?」
|: : : ::::::::::::::::::::::::::::_/: :|:::::::::::::::|/⌒|:::::::::
|: : : ::::::::::::::::::::::: /⌒゛┃ ::::::::: |-、从::::::::|
. |: : :::::::::::::::::::::::: / |::::::::::::::| | ト、\::::.
|: ::::::::::::::::::: -‐く ‘ :::::::::: ト、j_j \\:._
|::::::::::::::/ ゚'*。 ‘::::::::::::| ゚'*。 ヽ⌒\
|::::::::/ ゚'*。‘::::::::::| ゚'*。 ', }
|::: / -- 、 | ‘:::::: | ゚'*{ \\
|::/ \ l ‘:::: |゚'*。 ゚'*。\\
l/ 丶 ', l:::::| ゚'*。 ゚'* \\
「巫女なんてやってられませんよー!
私は恋に生きます!」
「初美ちゃん、正気に戻って!
コンクリートジャングルで上半身裸の男性よ!?」
「私だって似たような格好じゃないですかー?」
「そ、それはそうだけれども!」
困った。
それを言われると否定できないっ!
「大丈夫ですよー。
カッコいいとこ見せたいですから、試合では頑張りますよー」
「そ、そう。
それならいいけれど……」
/: : : : : : : : : : :.ヽ
_,,,,,,__/: : : : :/: : : : : : : \:ゝ_
ィ": : : :7{: : : : : : :!: : : : : : : : : :}: : : : : ヽ
ィ"::/ ̄/!: : : : : : : : : : : : : : : : : !: :ヽ ̄ヽ: :\
// / !: : : : : : :!: : : : : : : : : :!: !:/\ \: ヽ
/ ',: : : : : : :!: : : : : : : : r{::!' ヽ ヽ}!
i\: : : : :',: : : : : : : j{ .!::!
i:! ゝ" ヾ",/ !:!
i! _j. . . . . .!、 リ 「でも正直、あの筋肉を思い出して集中できそうにないですよー……」
__>.; ;.. . . . . . . . . ; ;. -. 、
/. . . ; ; . . . . . . . . ; ; . . .ヽ
i. . . . .; `,. . . . . ,. ., ' ;. .,. . .',
_j__ - "⌒` -ー-- -ー-- --- 、
〈 〉
〉 __,,,,,_,,,,__ 〈
( ィ7 ヽ,,,, )
ヽ///ゝ__;;;= = = =;;;___ノ \ ィ
ーー結果だけ言おう。
初美も霞も試合前に清澄を応援する彼を見つけ、筋肉が頭の中をよぎってオカルトが使用できなかった。
7/10
……
…
・???
/ \
/ .::::::::..::::::::. ::::::::::::.. ::::::::... ヽ
. / / .::::::::::::::::::::::::. :::::::::::::.::::::::::::. :. i
/ /;.:::::::::::;ィi::i:::i i:.|::: |::. ::::::..:: |
. / i | :.:ハ!_|.|.:|:::::i::|:::::::::::::::::::::::::::::. |
/ ..|.:|::!:::::'|´|_И:!::::i::|::::::::::::|::::::::::::::::: |
i/ |::::::};ハ{. Lン|:::::;ル'^ }::::::|::::::::::::::::::: |
|:::ノ "" j/ /::::::|:::::::::::::::: :: |
|::::.、 '^リ::::::!:::::::::::::::: : | |
|::::ハ` !:::::/:::i::::::::::::i: |ノ 「ーー清澄高校」
|/ ヽ.__,..::、 /::::/:::/:::::::/:/!: /
V | /::ノi!:/!:::::ノソ }ノ
,..-‐y/‐j/フ‐'" ̄\
,...-‐'" `ー- 、
r=、´ `ir、
/\ヽ、 ||.ト、
ハ | |:| ||.| |
. i ゙、 | |:| ||.|/!
| ゙、 !.i:i ||.||
/:./{ミミ:.:.:.彡≧:.:.\
/:.:/´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.\i
/:./:./:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:\
′:.:/ :.:.:.:.:.:.:.:.:.:|:.:.:.:.:ヽ.:.:.:.:.:.:.:.:.
.:.|:.:.:.:.:|:.:.:.|:.:.:|:.|:.:.:.:.:.:|:.:.:|:.:.:.:.:.:.::.
i......:.:|.....:.:.|:.:.:.|:.:ハ|:.:.:.:.:.:| |:.|:.:|......... |
|:.:|:.八 :.:./7:/|/ ノ|:.:.:. /| |:.|:.:|:.:.:.:.:.ハ
|:.:|:.:.:.:.Tイ示气  ̄ 示气T:.:.:.:.:.:
|:.:|:.:.:.:.:. ` ヒ...リ ヒ..リ |:.:.:.|:.:.|
|:.:|:.:.:.:.:∧ :.:.::.|:.:.|
|:.:.\:.:.:.∧ ' .::\:|:.:.|
|:.:.:.:.:.:.:.:≧:.::..、 イ :.:.:.:.:.|:.:.|
|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.| > <| :.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.| 「どうした?」
|:.:.:.|:.:.::.:.:>-j f\:.:.:|:.:.:.|:.:.|
|:.:.:.|>イ く }l |:.:.:.|:.:.|
|:/ \_ __|l i:.:.:.|\
/\ \ / |:.:. | \
「私の妹がいる高校、インターハイに出てるんだ」
「ほう……?
初耳だな」
「うん。喧嘩別れしちゃったから、縁を切ってたんだ」
「それはまぁ、随分と重い話だな」
菫は照とそこそこの付き合いになるが、照が自らの身の上話をすることはほとんどない。
親しいといえば親しいが、ある一定のラインから決して踏み入れさせようとしないのが宮永照だ。
そんな彼女がこういった話をしだすのは珍しかった。
「家族とは仲良くした方がいい……。
なんてのは月並みの言葉だな。
何か事情があるんだろう」
「うん」
だから菫も無理に聞こうとはしなかった。
そのちょうどいい距離感を保つことが照との信頼関係を表している。
そう思っていたのだ。ーーー今日までは
8/10
/. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . \
. / . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .ヘ
. / .::: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ::: : i
/ .::::: .:/ . /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :\ .::::::: i
. / :::::/ .:::::/: : .::::..::::::::: : : :::::::::::::::::. :. : : . : ヽ:::::::. i
′ ./ .:::::/ .::::::/::::::::::: : :::::::::::::::::::::::::::::. : ::::. ハ:::::: i
′:. / ::::/ :::::::/:::::::::/ : ::::::::::::::::::::::::::::::::::, :::::::: i::::: |
. /:::::::: ′.:::/:::::::::/:::::::::/:从:::::::::::::::::::::::::::::::::::::. . ...i:::::.i
/::::::::::′:::::′ .′:::/:i:::i::i:::::::::::::::::::::::::: ...::::::::|::: :|
. /::::::::::::i::i::::::i:::::::::.i 从:: i::i :::: .::::::::::::::::::::::::::i:::::i::::::i
. /:::::::/.i::i::::::i::::::::::i:::::::i::::i:::i:::i::::::::i:::::::::::::::::::::::::::i::::::i:::::i::::::i
/:::/ |::i:::::i:::::::::i:i::::::i:i::i:::i::::i::::::::l:::::::::::::::::::::::::::l:::::i::::::l:::::i
.// ヾi:::::i:::::::i:i:i:::::i:i:::i::|:::::i::::::::i'::::::i::::::::::::::::::′i:::::/:::::i 「ーーー筋肉をつければいいものじゃない」
.´ 少:::::::',:::::l:i::i:::::i:゙、ト:|::::ヘ:::::::i:'::::|:゙::::::::::::/i::/i::/::::::::i\
/ |::::::::::、:ハ ヾ:i 、.i ヘ::::i::',::i ゙、:::::/ iノ. i/::::i:::::i \
/ |::::::::::ハ ヾ ゞ. ,丶i ゙:j ヘ/ / 厶::::ハ:::i 丶
∧ヾ |:::::::/ ヽ.、 ._ ヾ., イ /::/i::::′ ゝ_
../ ∧ヽ. |::::/. i > _  ̄ . r ./. // i:/ /.:/i_
.i ∧ヽ |:/ 丶  ̄ / / レ /.:// ヽ
---、...--<¨\-...、
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八:::::::´:::l八|  ̄ =苧芹|::::::::::|:::::::
|`¨Τ=苧芹 V_ノ |::::::::::|:::::::|
|::::::::::. V_ノ l:::::/|:::::::|
|::::::::∧ ' イ::::::|:::::::|
. 八/i:::::::.、 rっ /|:::::::|:::::::|
|::::::::个::.... /|::::|:::::::|:::::::| 「ーーー?」
|::::::::::|::::::::::Τ ∨|:::::::|:::::::|
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|::|:: 斗{/-、 , -/|::::::::::| /-、
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{ `ト \ l / . -=/:::::::/´ / {
ノ |二ニ=- { -=ニ二/:::::::::{ / \
/ /\二二ニ、∠二ニ= i::::|::::::| }
/ / >‐〈ニニ/ニニ\ |::∧::::| \__/ /
. ∨ { /二ニ/¨¨゙\ニニニl/、∨| l「 ̄ ̄ ̄ `く
∨--/二ニ/ } `¨¨¨¨¨ /{ニニニニニニニ |
} 厶=イ 〉 /::|_ ┬―‐┬v'
/__} { /::::::`¨| :|¨′
最初はその言葉の意味が理解できなかった。
少なくとも菫が普段聴く単語ではなかったからだ。
「とある人の筋肉のつけ方で口論になった」
「お、おう?
筋肉のつけ方、か。
まぁ色々とあるだろうが……」
「妹はその人の言う通りにしてあげたいと言っていた。
私はそれが許せなかった」
「あ、うん……」
もうなんて反応していいかわからなくなって来た。
9/10
「あんなにカッコよかった京ちゃんがなんかすごいことになってしまった」
「すごい……こと……?」
「だから私は咲を否定する」
「ま、まぁ姉妹喧嘩はほどほどにな?」
「絶対に許さないーー!」
今まで照がここまで感情をあらわにしたことがあっただろうか。
しかし言っている内容がよくわからない。
簡単に想像するには、男の取り合いでもしたのだろうか?
_. . ----- . ._
,. : ´: : : : : : : : : : : ` : .、
,. :´: : : : : : : : : : : : : : : : : : :\
/: : : : : : : : : : : : : : : : : :ヽ: : : : : 、
.': : : : : : : ,: : : : : : : : : : : : :'. : : : : :\
|: : : : : : : |: : : : : : : : : : : : : |: : : : : : : ヽ
|: : : : : : : |: : : : : : : : : : : : : |: : : : :、: : : .、 ピキーン
|: : : : : : : {: : : : : : |: : : : : : :},、: : : ::l  ̄ `
_∧、_|: : : : : : : :| : : : : : |: : :|: : : / {: :.|:|:.|'_ ______
 ̄ ̄ ̄:|: : : : : : : :l: : : : : :.|: : :|: : : |_ノ: :从:j ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
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|: :,: : : : : :/: : : : : ,: : : : : : :|ィ}: : , 「咲、私の感情を感じて見せてーーっ!」
|: :{: : : : :/: : : : : /: : : :|: : :.| , : /
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|' ,: : : /: | : : : : | ̄ /: イ /::/ / ヽ
\: {/、: : :.从 / /::/ / :.
/ }/{ \{ /::/ / }
{ |::| /::/ / |
あの時は自分が負けて追い出されて、幼馴染を失った。
もう終わった話。照は自分に言い聞かせ続けた。
しかし、あちらからこの戦場に来たのならば話は違う。
「貴女が正しいと言うならば、私に勝って証明して見せてーー」
宮永照はそれを認めない。認めるつもりはない。
かつての須賀京太郎を取り戻すために、妹との真っ向勝負を挑むつもりだ。
「待っててね、京ちゃんーー!」
/.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.\
/.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:\:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:丶
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.//.:/.:.:.:..:.:.:.l:.:.::八.:.:.:.:.| ´ ∨ }.:ハ.:.:.:|.:.:.:.:.|:.:.:.:.丶
/.:′|.:.:.:.:|.:.:.:|'⌒ \.:.{ ,.斗==ミ|.:.:.}:.:.:.:.:|.:.:.:.:.:.:.
./.:.i{.:. |.:.:.:.:|:.:.:.| \ " 乂ソ |.:./.:.:.:ハ.:.:.:.:.:.:.:.:.
. / .:八:.:{.:.:.:.:ト.:i:.| 斗=气 ´ "" }/ }/ |!.:.:.:.:.:.:.丶
.:.:.:.:.:.:.:.:.イ.:.:i|::乂〃 Уソ リ.:.:.:.:.:.:.:.:|
./.:. '" |i:.:.リ.:.:.:ハ ´"" ′ __/::}.:.:.:.:.:|:.:.|
´ |i:/.:.:.:.:.:::::::. /:::::i|::/.:.:.:.:.i|.:.:|
/.:.:.:.:.:.:.:.:.:込、 ´ ' イ:::::::リ/.:.:.:.:.:八:i| 「今、助けるからーーっ!」
i:.:.:.:.:.:|.:.:.:.:.:|:::::::..... /|::::::/.:.:.:./ :リ
|.:.:.:.:.:.ト.:.:.:.:.|:::::::::::::>.、_ |:::::/.:.:./ ′
八.:.:.:|.:| \:|:::::::::|i::_, く} ト/.:/
\{──<´ ̄ \\ |:イ \_
/⌒ \ ::::\ |:::| } =- .,_
/ 丶 、::::、 }:::} } 、
. / :::: /::/
/ `、 :::∨::/ ∧
10/10
……
…
,. : : : ̄ ̄ ̄ ̄: : : : .、
/: : : : : : : : : : : : : : : : : :`ー: イ
': : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :<´
.': : : : : : : : : : : : : : : |: : : ,: : :、: : :
/: : : : : : : : : : : : : : : :{: : :ハ: |:|: : {:|
.' : : : : : : : : : |: : : : : : :Ⅳ:{´ 从}: : :\ ピキーン
___∧,、 |: : : : : : : : : : {: : : : : : :|ィ斧ミ Ⅵ:{ー'_ ______
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|: : : : : : : : : : :Ⅵ: : : :从 マソ 乂_〉  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
,: : : : : : : : : :r \∧: : \ }
|: : : : : : : : : 乂 `  ̄ /
Ⅵ:∧: : : : : : : : ー 、 ´, 「この感じ、お姉ちゃんーー?」
从{ 、: : ,: : : : :从 > ..___/
∨ `ヽ: : { ,
__}Ⅵ {
/ ̄一-- ̄ \ |`ヽ
/ ,..:::―- 、 \ \ ∨}∧
/ /::::::::::\:::\ \ \'/ }
{ /:::::::::::::::::::、:::::` 、 ヽⅥ
、 ,:::::::::::::::::::::::::}:::::::::::::..、 〉
Ⅵ::::::::::::::::::::::::::|:::::::::::::::r<_{:、
{::::::::::::::::::::::::::::|:::::::::::::::| |::::::::}
|::::::::::::::::::::::::::::|:::::::::::::::| |::::::::|
` T¨¨ヽ、:::::::_」::::::::::::::{__}::::::,
|  ̄| ::::::::::::::::::::::::::::::|
| | ::::::::::::::::::::::::::::::|
かつて相対した時を超えるほどのプレッシャー。
「お姉ちゃんも強くなってるんだね……」
あの時は退けた。今はどうだろうか。
麻雀でインターハイを目指すと決めた時に再び相対することは覚悟していた。
それに何より、咲自身が姉と和解したかった。
「お姉ちゃん、京ちゃんの筋肉は誰かに縛られるものじゃない。
京ちゃんのフルサイコ(パス)フレームは、お姉ちゃんにだって感じられるはずだよ!」
言葉でダメでも麻雀でならば語れるかもしれない。
須賀京太郎という存在を、姉に認めさせるための戦いだーー。
その前に、自分と姉の前に立ちふさがる全ての存在をーー!!!
. ¨  ̄ ̄ ¨ .
. ´ `ヽ
. ´ :.
′ :.
/ :.
,′ ;. ゴッ!
/ /
/ { ニニ二三三二ニニ /
/ \ ニ二二三三三二二ニ / イ
/\_ \ ___ ニニ二三三二ニニ ∠ イ |
/ ,ィ  ̄ ̄三三|:ニニ三王 三l 三|ニニニ= | | |
. 厶イ | i 二| 三トニ二三ト、三ト、 ト、ニニ= | |/ 「倒す!」
j j从| | |、 | | | ト、ニ王ニ{{ o }}ニ= | !
| ト、圦乂| 乂| \{ \| ヽ{ヽ{ イノ
乂_{ jハ 从イ/´
-=ニ`ト . - .イ二ニ=‐- 、_
r=ニ =ニ二|`ト _ . r |二ニ ニ7 }ニ〉
ハ マニ ニ二ハ !二ニ / / /ヽ
. / Vハ \ ニ二ハー- -一 j二ニ / / / ∧
′ \\\ ニ二ハ───‐/二ニ //イ /
| \\\ 二∧ /二ニ ///,/ ,/ 1
| }八 {\\\ 二∧ /二 /// // ∧ |
この後どうしよう
1/10
【咲-muscle- そのに】-筋肉次元-
新子憧は自分のことをとても付き合いが良いと思っている。
疎遠になった友達のために進路を変えたことは、自分でも少しやりすぎだとは思ったが。
しかしそのことを後悔はしていない。
当時の友達や、新たな仲間と全国を目指すことは楽しかった。
これはこれで青春をしているな、などと考える。
そう、新子憧は後悔していなかったのだ。
__
. : :´: : : : : : : : :`: .
/: : : : : : : : : : : : : : : : \
.´: :/: /: : : :∧: : :ヽ: : : : : ヽ
/: : / : :/ : : : / ヽ : : ヽ: : :',: :ハ
/: : :,': : /: : : /,′ }:i: : : !: : : i: : :';\
': !: : !: _ハ:{: : ハ! }ハ: :_:レ: :}}: : : ! : ヽ
{:i: : :{: :/Tニヽ {! jイ:ノハハハノ : !:}: :ヽ:ヽ
i:ハ: :ハ: i/ん:ハ` ゙ん:ハヽi: :i :ハ}i: : : ヽヽ
iハ: ハゝ 辷ソ 辷ソ "ハ:レ: ノ: : : : ヽ:ヽ
/人 ! ' /.ィ:}: : : : : : : ハ:.}
{:{ ', "" r――┐ "" ′V}: : : : : : : } }:}
{:{ ゝ, ヽ ノ イ ∧: : : : : : :/:/
,ヾく: ̄::i:::::ェ- --ェ彡!: ̄::::ハ}: : : : : //
. /:::i:::::::::::::ヽ\::YY:/:丿::::::::´::ハ} : : : // 「あ、あの人山登りに誘ってくる!」
/:::::::へ┐::::::\:::l l::::/::::::::::::::::j:::V : ノ
ノ:::/ヽ‐二>、:::::::::`:l l:´:::::::::::::::::::V:::::Vノ
ノ::ィ::ヽ::`<´,.)::::::::::::l l::::::::::::::::::::::::!:::::::ハ
/::/:::\:ヽヽ:::フ::::::::::::::l l::::::::::::::::::::::::}::::::::::ヽ
. /:ノ::::::::::::::::ー:Y:::::::::::::::::! !:::::::::::::::::::::::j:::::::i::::::ヽ
. /::/:::::::::::::::::::::::/::::::::::::::::::l l:::::::::::::::::::::::/:::::::i:::::::::ヽ
:.:.:.:| :.:. |:./ / //>< j:.|:.:.:.:.:.:/´ V=㍉ i:. | :.:.:.:. }{:小、
:.:.:.:| :.: 」/:/ヱZた㍉ `7 | :. / んヘ Ⅵ:.:|:i:.:.:.:.:}{:.:|:.∧
斗キ:.:.:Ⅳ jリ / ̄ヽ j/|/ {{ {] } }}ヽ|:|i:.:.:.:.ハ∧:.:∧
V^ }:.:.:.:{ j「 { [] } { } }:.:.||:.:.:/:.:i ∨:.∧
:.} ] :. { 《 { } v ノ }:.:.|l: /:.:. | V:.:∧
: } ] :. { v ノ , \i\i\i}:.:.lル1:.:. | i:.:.:.:.i
:キゝ] :. { \i\i\i\ } :.:.:. |:.:.:.| |:.:. |
:.:iヽ,_] :. { Γ`^ー < ̄} 人:.:.:. |:.:. | !:.:.:.| 「ちょっ、やめなさい!! やめて!!!」
八:.:.∧:. { し { ヽ } ,ィ升:.:.:.:.:′八 ‘:.:.i.:|
:.:.:ヽ:.:∧ { { } , イ |i:.|:.:.:.:.}:.:.:{:.: ヽ j:i| |
:. : ∧:.: j:.{ `` 、 , イ:.:.: |: |i:.|:.:.:. }:.:.:{:.:.:.∧ {:.i| |
:.:.:.:.:∧ 「Ⅵ丶、 r<:.: |:.:.:. |: |i:.| :.:. }:.:.:{:.:.:.:.: i {:.i| |
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/i:i:i:i:i:i:i:i:i:i;ハ:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i{i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:ハ
′i:i:i:i:i:i:i:|i| :i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:ヾ:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i|i:i:i:i:i:i:i:i゚,
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|i:|i:i:i:i:i/`|iト、 \i:i:i:i:i:斗匕i:i |i:i:i:i:i:i|i:i:i:i:i:i:i:i||i:.
|ハi:i:i:i{ _≧x \i:i:i:i| ヾ|i:i:i:i:i:iト:i:i:i:i:i:i:||i:|
|l ヾi:i:ヽ芹う峠 乍 う茅,》|i:i:i:i:i:i| }i:i:i:i:i:i:||i:|
. -‐=ミi:iハ. V)_ソ V)_ソ |i:i:i:i:i:i|イi:i:i:i:i:i:||i:|
/::::lー|ー|:::|i:i: /i/i/ , /i/i/ |i:i:i:i:i:i|i:i:i:i:i:i:i:i||i:|
./:::::|:::| l |:::「}i:八 ,|i:i:i:i:i:i|:i:i:i:i:i:i:i:|lリ 「関わるべきじゃないと思……」
_|:::::::レ'_ノ_ノノイ:i:i:父ト. ^,⌒ イ_|i:i:i:i:i:i|/|i:i:i:/
i圦::::::::::::r一 |i:i:i:|:i:i:才≧=‐ 一 __/ |i:/∨\¨
/::::::::::::=彡 ¨¨¨¨ / 厂}/ /¨ ゚,
ト:::::/⌒ ̄` 、 --‐==彡 /r:/ | /
. / ¨{ ト ___\__ 〈/:.l/:|彡' i
/ ーヘ / /:.:/¨¨ \ 广ヾ∠ }/ |
ーー今、後悔している!
2/10
新子憧にはわからないことだったが、彼にとってこの展開は何度目だろうか。
『宮永咲、私の倒すべきーー』と穏乃が呟いた次の言葉が発されることはなく。
咲を追いかけてきた半裸の男によって阿知賀メンバー一同が静まり返った。
,. ' ´ ̄>、八 ,, テ彡',、 _`ヽ
/ 〃∠ ミy-'' ´7⌒Y ``゙`ヽ、
{ N、/i´⌒>y'′ ハ : } ハ
/´``-'y ミノ 八 ', ,.._,.._!
i / ~ヘ 〕 _, -へ、≫-‐、ノ ',ハ
ノく \、 ゝ、...ノヽ< , { ( n ハ
iー-、.. `〈^〉 ノ´-、`ヽ-‐‐´∧ヾ、. ハ }
} '` `` `>、.._ ` 彡´`ヽ>´^,' ⌒', ! ドドドドドドド…
\``ー‐- -‐、 `` ヽ _./ _,..-‐-y ノ!
`丶--‐"て_⌒ハ. }. } }彡 _´,,.. '´/_ノ
(`´,... } } .!.ノ三三__,,..-‐'" 「こら、咲。迷子になるぞー!」
`、-‐'"^^^'´ノ ', ∧
)-,..-‐'' ⌒', } ', i
ν´ / .ノ ,...、 }
/ ノ 〃 !
/ / / /
/ / / / /
ノ ノ / / /
∧ / /´` 7´
/ハ /,. '"´ ,/
} ` //ー-彡'/
{ , ' ,.-,..-‐"´:::/
ヽ _ ´ ヘ:::::::/
Y´ ', ` '<´
ポージングを決めたまま全力疾走する男。
それに気づいて宮永咲は振り返り、一言二言会話しているのを見かける。
しかしその会話内容は耳に入って来なかった。
. /: : : : : : : |: : .:i:.|:.:.:.:i| |:.:.:.:.:.:.|!:.:|i:.:| 、:.:.゙、::、 ゙、゙、:::::::::::;::イ/:::::::::::::::i:::::
./ : : : |: : :i:.|:.:.:.:i:.|:.:.:.i| |:.:.:.:.:.:.:.|!:.| i:.:i 、:.:.:、:.、::.:.:.!:.:iヽ/:.:.:.|/:::::::::::::::::i::::
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!:.i |: :.:| .:.:.i:.!:.:.:.|!.i! :l |:.:!:.:.:.:.:..i:.:.i ゙、! _/ハ:ハ/ |ィ;.:.,.-‐-、!:/.:.:.:.:.V/
i :|.| :.:.:i i i_:|、!、:.:.! i:!、i:.:.:.:.:.:.i:.:.i _;彡';tr=、 ヾ、"' /ヽ |':.:.:.:.:.:.i:.:|:.:.:.:
. ! i:i! | ..:i :i:.:.:i`iー>ト-!、丶:.:.:.:.:i:、^V i_;:::::::ヽ / i: : : : :.:|:.:|:.:.:.:
、:!:i、:.:.i:.:.:.:.|:.i:、:.7メ'f:::::::ヾー\:.:.:.:、`ヾ <;;;:ン ′ ノ : : : :.:.:!:.|:.:.:.:
ヾi 、:.\:.:\:.]〈 っ::::;:i  ̄` _,∠|:|: : : : .:|:.|―-
ヽ!:.i、`゙ー-r≧ >≠ , " " / |:! : : : :.:|:.!////
|:.|:.:.:.:.:.:.:\! ,, ,, / i!: : : : : ::i:.i////
|:.|: : : : :.:.:.i i r== "ヽ / i: : : : : :.:i:.|//// 「ま、待ちなさい須賀くん!」
| |: : : : : :.:i:.:|\ ∨__ノ) / /: : : : : :.:i.:|////
|:| : : : : :.:.|:イ |:::|l`ー-..、  ̄ ̄ / / : : : : : :.:|/////
|.|: : : : : :.:|:∧ i:.:!i::::::::::::::`i ー-‐ ' ,..-‐:/: : : : : : :.:.i!/////
そしてそれを追いかけて原村和まで現れた。
正直、展開はすでに新子憧の脳内で処理できるものではなかった。
「……あ、のどか!?」
「……?
どちら様ですか?」
「私よ、新子憧よ!」
「憧、ですか?
憧はそんなギャルっぽい格好じゃなかったと思いますが」
「あんたにだけは言われたくないわよっ!」
昔から原村和との会話はどこかズレている。
本人が『自分の趣味は特殊』と自覚はしているのだが、会話もどこかぼんやりしているのだ。
3/10
「あの、すみません。
積もる話はあるんですが、まずは須賀くんを抑えないと行けないので……」
「えっ、あの筋肉は和の知り合いなのっ!?」
「ええ。とりあえずあの露出を抑えなければ……」
「和も成長したのね……」
一時期の和の私服はあの格好をバカにはできないものだった気がするが、和には常識が備わっている。
詳しいことは後で聞けばいいか、と肩を落とす。
. . . . . /. . . : :/: : :/: : : : : : : :ヽ: : : 、: . . 寸三ニ7
: : : : /. . : /:/: : /:!: : : : : : :.|: : :゙、: : :!: : . . 寸三}
: : : /. . ://! !: :,':.:.|: :.:|: : : : :!: : : :ヽ: :l:| . . . ゙ニ7
: : / . .:Ll-┼┼-l、: :|: : : :.!|ヽ,r|''T:ーt、: : : :├'ヾ、
: :,'. : :.´!.! |:∧ | l.| ! ,'|:.l: : :|| |: !:||: |: : :.l: : ! ヽ、
: :l{: : : :|!| i' ヾ |! |/,'/|: :/|! |/|' |:./!|:.,イ: :.i! i!
: :l|ヽ: : | ┳━┳━/' /:/./'┳━┳' イ:/,': : ,'| ノ
: :.i!: :lヽl ┃//┃ /'´ ┃//┃ イ'l/: :,イリ
: : : : | ‘ ━ ’ ‘ ━ ’ '://: |
: : : : | ,':´:!: : . .! 「せめて学ランは羽織ってくださいって言ったじゃないですか」
: : : : L """ ' """ |: : |: : . .l
: : : : ト.ヽ イ: : l: : . ∧
: : : : |ヽ|ヽ ⊿ .ィ´: !: : i: : . . .゙、
: : : : ト、l} ` _ _ ....:チ: : :.,':λ: :!: : . . . ト、
: : : : ゙、/ 7"/': : :.,': : :./:/ |: : !: : : . .ト、゙、
: : . : : lヽ ,'-.、_: : /: : :./!,' .!: :.|:. : : . .l ヾ.
: : . . : :゙、:\ ∧:::::::::::-.:_//' !: :.|: : : : . ! l:l
ヽ: . . . . ヽ、:`ヽ ヽヽ::::::::::::|!`! |: : !: : : : . | リ
,. --- 、 ____
/, ´ ̄ ̄` '⌒´ \
、_/_/⌒ヽ , / ヽ
,---、 / // : ヽ :.
, / ̄-/ /' { | | | :
/ __  ̄,./ /-' l| l | |___ l | |
.:' / ,イ _| | |ア__l { { | / }`| | |
/ ,:´ | { | l\{从 ∨ィ斧ミ、 | |
/\'´ /{ | 从{__,. \∨Vソ }イ ト、 ∧{
////\ r--- ´八 !∧  ̄ ,: :.:.: }/ノ/ リ
. ///////\ \}∧ u 八/
//////////〉 込、 __ ,.: /
///////// / }>、 ` イ |从 「悪い悪い!」
,'//////// / _ /--、l ` ̄ :, |--、
.///////// / イ/////\ {////} / 「///|
'//////// /´// {////////ー '|////| , |///l|
///////////// |l///////////ヽ// \ |////> 、
////////{/////{!/////////////////}--- /////////> 、
ーーあまり根本的な解決になってない!?
「ちょっと和! そういう問題じゃないでしょ!」
「何がですか?」
「なんかこう……、昔の番長みたいなスタイルになってるわよ!?
裸学ランで腹筋丸見え!」
「でも須賀くんですし、上を羽織ってくれるならまだマシじゃないですか」
「諦めないでよっ!?」
静観の眼差しで憧を見つめる和。
和が遠くの世界に行ってしまったようだ。
4/10
_/: :/: : .:/: : : : : : : : : : : : : : \
//: : /: : : :′ : : : : : : : ハ: : : : : ::\
. /.:.:/: : /: : : : |: : :./ }: : : :/ : : : : : : :ヽ\
/: : : :′:イ: : : : ∧: / /:: :/ |.: .: .:.:|: : :|
. /: : : : :|: : :|八: : | ィ存斥く jハ: : :|: : :|
/:: : : : : |: : : |: :\/r;....ハ x=ミ !: :ノ.: .::|
: : : : : : .:/⌒ヽ: : |弋 ソ r;..ハY: :|: : ハ
: : : : : .:∧ :: ::| ,,, , V ソノ: ムイ
: : : : : ,′ \ :.: ::. r- ''' 从 | 「すごい筋肉……! カッコいい!」
: : : : / `ヾ: : :. ノ イ: .:.:| _
: .: .:/ r::\:>... < |: : :八/ )r- 、
: : / |/:::≧:::::不、 .: / /:::::::::\{)
: / /:::::::::::::::::::\__] / r-::::::::::::::::ヽ
/ .::::::::::::::::::::::::::::::\ ノ::::::::\:::::/
,::::::::::::::::::::::::::::::::::::::厂:::::::::::::ヽ::::::Y
|::::::\::::::::::::::::::::::::/:::::::::::::::::::::|:::::ノ
/:..:..:..:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./ |:.:.:.ハ:.:.:.:j:.:.:.:.} ゚。:|\ :.:.:.:.:.|:..:。:..:..:..:.\
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/:..:..:..:/ :.i:.:.:.:i:.:/│:./ |:.′ |:.:.:.:.:.:./ Ⅵ :。:.:.:|:.:.:..:。:..:..:..:}ⅵ
/.......:.:.,:.:.:.:|:.:.:.:レ彡|:./三ミ:{、 | :.:.:.:./ 彡=リ三ミト、 :.:.|:.:.:.:.:゚:..:..:..:| リ
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/:..:./..:.:.:.|.:.:.:.:.:.| ミト、 ィj/ ミト、 ィj/ | :.:.:.:.|:.:.:.:..:.∧
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.:′. : . /: | . : .:|. : . :} : /|.||. : . |.: . ゚: .. ハ
゚ . : . 。 : .| . : . :|. : . 斗匕"「||. : . ト、 : :。_/i! :
.° . : . ゚ : /| . : . 斗匕´: ./: / j/1 . : / | |\: .! ̄`ヽ} }
′. : . |..: .|. : . : | . : イ:/ 〃 ′:../j:/ jノ |: .|: . || |
/ . : . : |...../|. : . : |_/ノ.-=示ミ / :/〃 :...j. :j :゚}.i
. : . : . | 〃:。 . : . : .| 〃|゚:i:i:i:i:i:i:|/イ 示ミ|ィ: . / / j:′
. : . 。 : .lー<゚. : . :.|《 ,)、:i:i刈| |爿∨/ィ′
. : . :°: |⌒ヽ゚: . : .l 込:.:.:.:ノ リ:!/|: . |
. : . :..゚, :.| :, : . :.:, ¨¨:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.¨:.: |: . |
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. : . : ..゚:|\__,゚. : . :, |: . |
. : . : 八.--〈 ゚, . : . ′ ( ー―ァ 丿.:..│ 「暖かそう……!!」
. : . : . : \. .\:,. : . ,  ̄ -=ニニニヽ:.ノ
\.. : . : . : \ . ゚, . : .′ __ ィニニニニニニム.―┐
. . .ゝ . : . : . : ヽ..゚,__/ヽ ¬/ ノイニニニニニニニニム 「ヽ
. . . . \> 。: . :/ ヽ ‘ , }ニニニニニニニニニニニ} } 「}、
. . . . . . \. . .}\ / \ ‘:, } ノニニニニニニニニニニニ|..ノ // 〉
:.:.:.:| :.:. |:./ / //>< j:.|:.:.:.:.:.:/´ V=㍉ i:. | :.:.:.:. }{:小、
:.:.:.:| :.: 」/:/ヱZた㍉ `7 | :. / んヘ Ⅵ:.:|:i:.:.:.:.:}{:.:|:.∧
斗キ:.:.:Ⅳ jリ / ̄ヽ j/|/ {{ {] } }}ヽ|:|i:.:.:.:.ハ∧:.:∧
V^ }:.:.:.:{ j「 { [] } { } }:.:.||:.:.:/:.:i ∨:.∧
:.} ] :. { 《 { } v ノ }:.:.|l: /:.:. | V:.:∧
: } ] :. { v ノ , \i\i\i}:.:.lル1:.:. | i:.:.:.:.i
:キゝ] :. { \i\i\i\ } :.:.:. |:.:.:.| |:.:. |
:.:iヽ,_] :. { Γ`^ー < ̄} 人:.:.:. |:.:. | !:.:.:.|
八:.:.∧:. { し { ヽ } ,ィ升:.:.:.:.:′八 ‘:.:.i.:| 「割と好評価っ!?」
:.:.:ヽ:.:∧ { { } , イ |i:.|:.:.:.:.}:.:.:{:.: ヽ j:i| |
:. : ∧:.: j:.{ `` 、 , イ:.:.: |: |i:.|:.:.:. }:.:.:{:.:.:.∧ {:.i| |
:.:.:.:.:∧ 「Ⅵ丶、 r<:.: |:.:.:. |: |i:.| :.:. }:.:.:{:.:.:.:.: i {:.i| |
5/10
憧は自分の感性が狂っているのかとすら思えた。
穏乃はそわそわした雰囲気を抑え切れずに、モジモジと体をこすり合わせている。発情でもしているのか!
玄は顔を両手で覆っているが、隙間からバッチリ見ている。隠す気はあるのか!
宥は隠すことなくジッと筋肉を見つめている。それはもう穴が開くかと思えるほどにガン見している。
灼は唯一まともなのか、呆れたように一歩下がった。
「和、これはどういうことなのっ!?」
「どういうこと、と言われましても彼は私の部活仲間ですとしか……」
「部活仲間っ!?
和、あんたウェイトリフティング部にでも入ったの!?」
「入っていませんよ!
私は麻雀部でインターハイのためにここに来たんです」
「まー、じゃん、ぶ……?」
憧の中の麻雀部の定義が壊れそうだ。
憧にとっての麻雀は四人で卓について打つ、それだけのことだ。
アレだけの筋肉を鍛えて上半身裸である必要はない。
「まぁ確かに須賀くんの趣味はマイノリティかもしれませんが……。
マイノリティだからと言って差別するのは良くないですよ」
「うぐっ、確かにそうだけれど……。
でも公共の場だし、そういうのは控えてくれないと……」
「だから私が注意しに来たんですよ……」
「和、大変ねぇ……」
「いえ……」
久しぶりに会った旧友の目がどこか疲れていたのはこれが原因だろうか。
「そういう憧たちはどうしてここに?」
「そ、そうだ!
ほら、しず!
せっかく和に会えたんだから挨拶しなさいよっ!」
,........-――--....、
,. : ´: : : : : : : : : : : : : `ヽ、- 、
/ : : : : : : : : ,: : : : : :\: : : :\: \
,:': , : : : /: : :/: :{: : : : : : ヽ:ヽ、: : :ヽ: :、
/: /: , : //: :/:/:∧: :ヽ: ', : |: :|:ヽ : ,:∧: :.
/: /: /: //: :/:/:/ マ: :|_:|__:|: :|: l:∨: :,:|: : .
|: ': /: //: ̄|`|' |:´}:∧: }: :,: }: |: :/:}: : :',
{:{: :{l: |:{从_:{__{ }/イ__}/: イ/:/:}:/ /: : : : .
从:八:{ム,イ _斧` イ _)斧ヽ}:イ/_: /: : : : : :.
\{从{ Vり Vzソ |:/ Y: : : : : : : |
|: } ' |:l 'ノ: : : : : : : :|
|圦 _ , ,ィ|:|イl: : : : : : : : |
|:/ . イ_,/イ |:|: : : : : : : : 「もう和と遊ぶとかどうでもいいかなって……」
}' `__-r-=≦__」'/::} |:|: : : : : : : : |
_,/:::::::「 ̄::::::::::_/|__|:|: : : : : : : :/
/:::::::|:`=={j====イ:::/::::`ヽ: : : : : ,
何言ってんだコイツ
6/10
「あっ、和!
そ、その……久しぶり!
よかったらあの人のこと紹介してくれないかな……?」
「はぁ……。
構いませんけど……」
「や、やった!」
「ちょっと! しず! 麻雀しに来たんでしょ!」
「あ、そうだ!
和、私たち和と会うためにインターハイまで勝ち上がって来たんだよ!」
「私と会うために、ですか?」
「うん!」
,. : : :  ̄ ̄ ̄: : : : : .、
,. : ´: : : : : : : : : : : : : 、: : : \
. ´: : : :,: : : _: : : 、: : : : : :\: : : ヽ
/: : : : :〃: :/ 、: : :ヽ: : ヽ: : : :ヽ : ∧
//: /: // : / ヽ_,.ム-:l:|: : : : |: :,イ|、
'/: /: /-{:、/ ーィ }/==ミ、|:/ : : |: : : ,|:ヽ
/:': : !: :| ,ィ= ミ て_刈 ヽ: :/: :}: : /:}: : :.
{/{: :|l: :| { l刈` Vzソ }イ:}:イ、 : /: : : :,
从{ 从 Vリ, |: | }: :/: : : : : .
{: | _ |: |イ:, : : : : : : :l
|: | v ´ ノ /|:/:イ : : : : : : : |
|: ト `こ ィ :从 |: : : : : : : : |
从{ ` . __,...:: _,.:-/、 |: : : : : : : : | 「和と会えばあの人を紹介してもらえるかなぁって……」
r<_}_/:::::::::::} |: : : : : : : : |
/|::::}/: ̄:::::::::/ ̄:::::`ヽ、: : : /
/:::::::`::l{--:::::::::´:::::::::::::::::::::::::\/
-――-
_/ \
//: :/ :| : : |: :│: : _/{⌒\
/: /i 仏ィ| : : |ー八-∨ j:|:ト、: : .
/ :/八i庁仆: : 斥允ヵ:∨リ:|い: :i
: : i |: i:代:ソ \|弋:::ソノ|Y^' |: :|: :|
: : | | 从 '__ u. |:|ノ: |: :|: :|
| : | |:V介: . ‘ ′ イj/: ; : :|: :|
| : | ∨!:.| i: ≧= ´ト、∨: /: : : :│
| : | |_|: リくΥ r'´ /7゙: /i: : :| :│
| : | /V: /L|人,,/}//: :/ `\l : :|
| : l |/: /〈 `YY⌒〉/: : : /│: :| 「しず、目的が変わってるわよ……」
| : |/|: :| く__ノ入,ノ>| : : | ' |: :│
| : |/|: :| / /` | : : |∨/ |: :│
| : i{ |: :| { {. \| : : |リ/ :|: :│
│:从|:八 ○、\八|_八i{ 八 : |
憧ももうツッコミきれなくなって来たのかキレが悪い。
幼い頃から穏乃とは長い付き合いだ。
単純明快な性格をしている穏乃の行動はよくわかる。
しかし、今の謎のテンションに入ってしまった穏乃は憧が理解できるものではない。
「一目惚れってやつかしら……」
ふと考える。
美容に無頓着な穏乃でも好きな人が出来れば変わるのかーー?
いや、これは違うだろう!!
7/10
ヽ./ : : : : : : : : : : ,: : : : : : : : : : : : : : : ヽ ヽ冫
:: |: : : : ::/::/: : : /」: : : /}: : : :}゙`「:|:::ヽハ:!:!: !: }
-ィ: : : |_,'_,,|―‐,'‐/-/|: :./|:-|―‐,'-}:|:|:. リ !.|. ト.、
: :ト、::ィ゙ |: ::|\/ // /.: :/ !: :!/!/ !从:/|:.| !∧冫
: :|人小|ヽ:!.ィ爪沁ヽ /.:/ /,.イ爪心ヽ.! イ/.//′
: :l: : ヾ |/{:::::::::⊂ ' ´ ! :::::ィ./ ト,ムノ:!
:γ⌒ⅵヽ弋二;;ノ ゝ-.″ | }: : : :|
',:{ :::` 、 レ′ : :!
..',\ ノ: ::::!
: : :| `ー´\ _ / !:! ! ! 「須賀くんは社交的ですから普通に話しかければ良いのでは?」
: : :|. ` 、 ./|: :. !:! ! ::!
: : :| }` .. __ , イ |::|: |:|: :| |
: :: } ィ‐┤. ├ .、|::|: |:|: :| {
o
○ o
゚ O
o
. . : ̄: ̄: :- .、 ゚
/: : : : : : : : : : : :`: 、
/: : : /: : : : / ヽ: : : : : ヽ
/: :!V: :/: : ハ: :{ V: }: : ハ:}
/: : :i :V:{:ハ: !\L /ハ:レ′
. /: : : ∧: ハ:N ○ ○ハ}
/: : : : : / \{:{"゙゙┌―┐゙゙):}
/:/: : : : / V ェ ゝ__ノ イ:j
/:/ : : : V -くヘ ート レ 「あっ、だってほら……、恥ずかしいし……」
{:ハ : : :V / ヽー、くハニ>、 r, r,
iハ : : ハ / i く: .V:ハ r、/ V /フ_
V: :ハ / / ヽ小イ \ { ヽ /
V:{ L二ー-/ } !'∧ ノ` _ノ
ヾ; / 7┘ ゚i K / /
/ く / i / ヽ /
\ `< ゚ i/ ー‐'
7―- _ヽ〃
なんということだろうか。
どんな相手にも話しかけて仲良くなって言った穏乃はどこへ行ったのか。
モジモジと恥ずかしそうに体を擦り合わせて和にお願いしている。
「それは構わないんですが、今はちょっと時間が押しているので後で良いですか?」
「あっ、うん……」
「お互いに勝ち上がれば決勝で当たるみたいですね。
待っていますよ」
「……うん」
穏乃の機嫌が一気に落ちる。
なんとまぁ、分かりやすい奴だ……。
「そんなに気を落とさないでください。
終わったら必ず連絡しますから」
「絶対、絶対だからね!」
「はい。それではーー」
和はそれだけ言うととっとと去ってしまった。
こう言うドライなところは和らしいと言うか……。
8/10
「憧」
「何よ……。
嫌な予感しかしないんだけれど……」
「私、勝つよ」
「ああ、うん……。
頑張ってね」
「今ならどんな相手とも戦える気がする。
すごく遠くの何かまで感じられるんだ」
「何言ってんのよ……」
穏乃に視線を向けてみると、確かに穏乃の雰囲気がおかしい。
言っていることは理解できないし、私と目線を合わせても私の後ろにある何かを見ているようだ。
「視えるよ。私にも敵が視える」
「いやまぁさっきの子でしょ?
宮永咲って言う……」
「うん、きっと彼女も私と同じだ」
「は?」
──── __ ─ 、
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{::::l!:::|:::八' {:::' ` |:/ !|::/j:/メ:::′::::::::| ピキーン!
八::{|!: !::| ,r_芋ミ !',r示/ミ' !::/:::::::′:
〉!.〉:乂' ト::::::} ん:::::::;ハ,':/:::::::/::::::|
_______∧,、______/':::〃:、_! 乂_ソ 乂__,ソ,jイ:::/`::}::::: |_ ______
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄'`'` ̄ ̄ ̄ ̄ ̄/:ノ:l:ハ :::|! ,,,,, ' ,,,,, /::::゙ ノ:''!::::::|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
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/::://:::::::|::ヘ:::::!::>.、 ゝ - ,イ/::/:::::/ ,':::::: |
// ,/'::::::::::::::∧:|:::::::::'> <ノ\/:/:::: / ':::::::::
r 、 r,_. 〃 ,/:::::::::::::,r七´ ̄' / ヘ ,r<´/ ,/''<:::::/ /:::::::/ 「私の進むべき道が視えるんだーー」
j ! /ノ } /::::::::::::::/ ! 〈. 〈 /⌒、 / `ヽ、':::::::/
{ .{/ / / /) ./:::::::::::::::::/ j ィ7`ヽ',Y /,∧,ノ / \:/
| / / ,//::::::::::::::::::::::::/ / ! { `-/´⌒} \ ヽ
ヘ (--`ヽ::::::::::::::Y{ / |〈! ノ-{ / / }
,人__ ,,,)〈' ∧:::::::::::ノ ! ′ .! 乂 / { ゝ イ) / /
/:>、 \ ヘ::::::ノ l ! `| ゝ- ' ´ ./ 〈
そう言った穏乃の目は今まで見たことのないドス黒さと純粋さを同居させていた。
暗い、今の穏乃の目を見ているとまるで吸い込まれていきそうなーー。
「ちょ、ちょっとしず!」
「うん、憧。
帰って牌譜を見るよ」
「しずが自分で勉強を!?」
新子憧の知らない高鴨穏乃。
その存在の前に、憧はツッコミを入れることしか出来なかったーー。
9/10
……
…
i 〉: : : : : : :.ヾ: : : : : : : : : : ヽ
/: `,: : : : : : : : ヽ: : : : : : : : : :.ヽ
//: : : : >: : : : : : : : :\: : : : : : : : : `,
//: : : : :/ \: : : : : : : : :`:-:,,: : : : :`,: !
/ イ{: : : : /`ーi->t、: : : : : : : >: : : i i
i{:/ /: : : :ハ: : : j ヽ!ヽ;;;;;;;;! ̄_ヽ: : : :\j
i/ ,': : : : i: :!ィ fテミ ィfテミ〉jゝ: : :\
!: : : : :!ヽ', 弋ソ 弋ソ ./: :;〉: :ヾ ゝ
!: : : : ハ ', ' i ノ"i:ヽ: :}! }
`,: : : ! ヾ: ', ,__, /: :/!/}: :リ
`,: :!{ \\. _ィ7:./ i / 「わ、私の姿が視えるの!!!?」
ヾ! ゝ> ,, <!/
/ /j !ヽ\
< トイ `}! \
-イ _,, j j、 \-- 、
/! \ / /\ ̄` " ̄/j \ > ス
/ ', / i;;;;;;;;;ゝ____ ィ;;;;;;;;! \" / }
/\-――‐- 、
, --=7 丶 `ヽ
/, ヽ: ヽ
∠/ / 、 、 丶 i
/ :i ! l. l i: i |
. / ,/ :! ! l || ! |、 ll ! | ヽ、
/_ -7 , :| lト、| |ヽ! N , 斗 r: ,'_ ト--`
 ̄ //! ! Nィ笊 \|,/ィ笊_ヽN ,ハ !|
´ / ,i丶 { Vり .l/ Vり l/' ノ リ
// l i `i _/,、/
´ {ハ!ヽ{ ′ ./!}/ ′ 「ええ、それが何か?」
丶 ー ― ' / |′
\ / |
´ . i ー ' \
__ ´ } / \__
__ , ´ , _ ` ー-、'/ -‐一 '' ゙ ´ \
/^、 \ / 〃 丶r‐ r ヽ ヽ
/f 、 ヽ l、 / / y \ { ',
. / r 、 ヽ. }ノノ , ' ―彳 / ゙、 j
. ! -ヘ. ヽ ノ゙‐' / / ′ \ {
. i 「. / , { , , i -、 ∧
} v‐ < ゝ { / 'l 、 ゙、
! | ヽ, -- / ト _,,. -- `'- 、_ / l l
'、 ′ ノ /_/. l __ ` ゙゙´ ハ l
ヽ /"´. l / 、 ヽ , ' l ! l
ゝ_,. '´ l ′ ! \ / 、 l 、!
v 〈 \ ′ 、 ノ ヾ
{ `‐ 个 、__, 丶 l ヽ ゙、
j , i / ヽ
,' ゝ-个 、__, : ,′ / イ
|: ヽ: : : : : : ヽ: : : : : : : : : : : : : : : : \
|: : 入: : : : : : :\: : : : : : : : : : : : : : : : \
|:/: :ヽ: : : : : : : :\: : : : : : : : : : : : : : : : :ヽ
j: : : : : ヽ: : : : : : : : ゝ: : : : : : : : : : : : : : : : :i
/: /: : : : : 入: : : : : : : : : ゝ-: : : : : : : : : : : : : :i
/:/: : : : : :/: : :`ー: : : : : : : : : :`:.ー: : : : : : : : : :i
i: i: : : : : : i: :!: : : : :! ̄!`ーー 、: : : : :` - 、: : : !i
!: !: : : : : Y: !: : : : : ! !: : : : : : j >-、: : : :\: :i !
Y:!: : : : : :l: :!"i ̄i`!` .!: ;;: __;;;!j" j: : ̄ゝ: : : ヾ,,、
リ: : : : :/: : ! " "  ̄ ^j: \: : \ヽ
{: : : :.イ: :/ヾ ,,___,,, ,,,___,, jィ: /!ヾ: :!ヾ}
!: : ! {: : i !  ̄  ̄ /i/ 〉: }: :.}
!: : ! !: : :\; ' j ノ: :!:ハ: :.!
i: : ! ヾj:\: i /: :./ イ .i: :! 「ああ、これで安心して(嫁に)行けるーー」
ヾ:i{ ゞ:\ ` " _,,,≦7ス" j: :!
ヾ / <ヾ__ >- ー ''''" | | i/
| ○ i |
〉 / /
__,,j { ト- 、
/ ̄ ` - ,,, 〉 _,,/  ̄ ` - 、
/ i ` ー-- -- ― t'''" /ヽ
/ ! ○ } / .}
10/10
……
…
・清澄
/: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :\_,. ≫‐=ミ
≫‐=ミ .,_..: : : : /: : : : : : : : : : : : : : :.:\: : : (___): : : : : :.\
/: : : : :.(___/:.:./: : : : :/:.: : : : : : : : : : :.:.|: :.:|: : : (___):. : : : : : :.:\
. /:. : : : : :.:(___{ ::/: : :|:.: : :.:|:.: : : :.:|.: : :.}i: :.|.: :.|i: : : : :.|^\: : : : : : : Ⅵ
. .:.:.:/:./ : : / ∨.: : :.|:.i.:|: :|:.:|i: : :.|:|i: :.}i: :.|.: :.|i: :}i |: :| ハ: : }.: :.八}
. {: /: : : : :/ .: : .:.:.:|:.i.:|: :|:.:|i: : :.|:|i: :从:∧:/|i: :}i |:.:.| ].:.: :.:./
Ⅵ:}i:. : :.′ i|:}i: : : |人|うト八.: :.|八/ji斗ヤ |i :从|: :.! ムイ:./ ゴゴゴゴゴゴゴ……
|八: : | i|八.: :.| ,.斗芸ミ \| 斗芸ミ.,/: : : : .:, |/
. \| ,: : : :\《 _j{゚i:ノ} _j{゚i::ノ} 》.: : : : .:,
.′:.:.:.:}i: . 辷rク 辷rク : i: : : : : ::|
|:.:.: : :.:}i小 ':':':' ′ ':':':' 从: : : : :.:.|
|:|i.:.: :.:}i: 込 , 、 ,:.:.:.|.:.: : : :.:| 「京ちゃん……、京ちゃん……」
|八∧从∧个 イ人∧/}八|
_________,/⌒ √〕≧ ー=≦⌒}^斗=ミ
. /:i:i:i:i:i:i:/i:i:i:i:i:j{ ,.斗*''“:i:i:i:i:i:i:i:\_,.ニ=ミ
〈:i:i:i:i:i:i:〈:i:i:i:i:i:i:j{,.斗*''“:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:,.斗*''“:i:i:i:i:i:i:}
. Ⅵ:i:i:i:i:i:Ⅵ斗''“:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:,.斗*''“:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:iⅥ
. ∧:i:i:i:i:i:i:i≧s,.,i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:〉/
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. : . : . : . : . : . : . : . : . :/ {ソ ,从:.V: . : .ヘ: . : . : .
. : . : . : /: . : . : . : . :./ {! ヾ: .V: . : . ヘ: . : . : .
. : . : . :./: . : . : . : ./ ヾ ヽ_V: . : . :', : . : . .
,': . : . :.7: . : . : .// ヽ: . : . : . : . : .,
. : . : . 7: . : . :/ .{ _,. - 、ヽ: . : . : . : . ,
{: . : . : {: . : . / _L,,_ '" ∨: . : . : . :}
: . : . : .i: . : .,'‐'" ヽ ` __ ∨: }: . : ..:
,: . : . :i: . :7 __ 、 ,ィチ示心ヾ ∨i: . : .
. : . : . : . :{ ,ィ'仍芝㍉、 / つ ::: } 〉、} ',i: . : .:
,: . : . : . :', {! ち .::: } ` 乂ュ少 ′ !〉}: . : .,
V: . : . : ..ハ ヽ 乂ュ;;ノ レク: . : 7
V: . :.ヘ: ..ハ 川: . : .
V: . : ヘ: .ハ , ,': /: . :/ 「優希の様子がおかしくない?」
ヽ: . : . :..:ハ u ノ: . : .:./
\: . : . ヘ __ --、 /: ../: . ,
、: . : }>..、 イ、: . {/: .ノ
)===7`} 、 < { ヽ==ヘ
, イ: . : /: 7 .i ¨ i__}: . : . :\
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./:/ {: ./{: . : .ヘ:;シ 、7:;ヘ. : . : . : . : }
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ー |:.:.:.\| i| ノ{:::::ハ 乂ー-ソ j/ V:.:.:.:.:|
|:.:.:.:.:.:. 从乂ーソ .:.:.:.:ハ|
|:.:.:.:.:.:.∧ ′ "" /:.:.:./
|:.:.:.:.:.:.:.:ハ "" 厂:.:.:/j/ 「あ、今お姉ちゃんと戦えるように強化している所です」
|:.:.:八|:.:.八 r-, /:.:.:.:/
|:./ \:.:{\ / |:.::/
|: \ > .. _ イ リ/
__] {___
_/三l /三三三≧=-__
_x<三ニ/´ / /ニ三三三三三三三>
. r≦三三ニニ/ /三三三三三三三>´
/|三三三三ニ{____/ニ三三三三三三>´ \
カン!
セーラと会うまでの辻褄合わせ中……
一ちゃん待ってた人ごめんなさい。今スレは無理です
代わりに筋肉を用意します
1/10
【京照書きたかった】-単発次元-
俺は須賀京太郎。
清澄高校を卒業した俺は何気なく東京の大学を選んだ。
インターハイで活躍した咲や和たちのように麻雀一本で生きるつもりはなかったからだ。
大学に入って、高校の頃の名残で麻雀サークルに入って、のんびり過ごすつもりだった。
しかしーーー
/:./{ミミ:.:.:.彡≧:.:.\
/:.:/´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.\i
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|:.:|:.八 :.:./7:/|/ ノ|:.:.:. /| |:.|:.:|:.:.:.:.:.ハ
|:.:|:.:.:.:.Tイ示气  ̄ 示气T:.:.:.:.:.:
|:.:|:.:.:.:.:. ` ヒ...リ ヒ..リ |:.:.:.|:.:.|
|:.:|:.:.:.:.:∧ :.:.::.|:.:.|
|:.:.\:.:.:.∧ ' .::\:|:.:.|
|:.:.:.:.:.:.:.:≧:.::..、 イ :.:.:.:.:.|:.:.|
|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.| > <| :.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.|
|:.:.:.|:.:.::.:.:>-j f\:.:.:|:.:.:.|:.:.| 「須賀、照のやつを知らないか?」
|:.:.:.|>イ く }l |:.:.:.|:.:.|
|:/ \_ __|l i:.:.:.|\
/\ \ / |:.:. | \
/ ' | ', :}∧∨',ヽ, / V | | ' /: : :ヾv v
' :| ', , } ! V / :| V | |{ ,: : / } ヽ v
' / ! :{ハ ハ ∧ } V| /{ V |_, v! | } ヽ
' :, ' , ' ∨∧ ' ,}イ' _j{≫!7:f心刈 V / {l 、|斗 ―――
/ ,∧ ∧ー=ミ{__ ヽ ', j{⌒'| 7/j' j'うゝ:ア | ' ' ' :{l ヽ! `ヽ
,' / ∧ ∧:、 {`~^ ー-- /: : j ^ ≫'’ V' _ノ {l | V
/ ,' / j{∧ ∧ヽ{ ,ィァ=v云| ': : : i| ~´ ' 「:\ } {l ,ヽ
,' ./:| / v∧ {ヾ八{ ヽぅ! /: : : U し :!: : : V:V , \
! ./ | / ヾ∧ ,、\: `: : : :|/: : : :、 }: : : : : ' ,
|/ :| ' )ヽ , \ヽ: : : :': : : : ノ! 八: : : :' ,
' } / / ヽ 丶: :.} !: : : `: .、 _ ': : : : : ' ,
j/ , \し: : : : : : :. _,. '" /: : : : : ' , 「今すぐ探して来ます!」
, ヽ.,: : : : : :冖、 _ ,イ{: : : : :/ !
、 > .,: : : : : : ( /: U : : :./ |
| ヽ / :≧s。.,:ヽ _ ./\: : : : {「 \ |
ーーそして現在は、インターカレッジ最強雀士である宮永照さんのお付きのマネージャーだ。
一体なぜこうなってしまったのだろうか。
咲と照さんが和解して、それを遠くからぼんやり眺めていた。
控室から見る咲と照さんは眩しくて、俺の知らない青春を歩んでいた。
俺も咲から離れた青春を送るんだな、なんて大学進学の時に思った覚えがある。
しかし気づけば入ったサークルは宮永照さんが在籍していた。
俺の手の届かない人だなーなんて遠くから見つめていた。
迷子になるたびに見つけてあげていた。
気づけば専門係になっていた。
これでは高校生活と何も変わらないぞっ!?
2/10
……
…
, ⌒ ー  ̄ ̄ 、
/_,. - \
/´ / /⌒\ ヽ
, ´ , V :.
/ / / / / | V : V |
/-- ´' / / / l|{ | l| | | {
/ イ { ':|_,斗| | 、_l__/_ィ |l∧
/ ,: ∧ | {∧{ { 、 /}/}/ } /∧|
/ イ / {∧{ 、__,.V {∨ 、_,/ イ}' `
 ̄´ V∨乂l \ ムイ/
从 ' 八/ 「照さん、こんなところにいたんですか」
-〈〈/\ v-っ イ》く__
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|::::.、 '^リ::::::!:::::::::::::::: : | |
|::::ハ` !:::::/:::i::::::::::::i: |ノ 「?」
|/ ヽ.__,..::、 /::::/:::/:::::::/:/!: /
V | /::ノi!:/!:::::ノソ }ノ
,..-‐y/‐j/フ‐'" ̄\
,...-‐'" `ー- 、
r=、´ `ir、
/\ヽ、 ||.ト、
ハ | |:| ||.| |
. i ゙、 | |:| ||.|/!
| ゙、 !.i:i ||.||
「あっ、京ちゃん」
「もうそろそろサークルの方に顔を出してください」
「もうこんな時間?」
「早めに講義が終わったから図書館にいたんですか?」
「うん」
毎回ではないが、照さんは図書館にいることが多い。
俺が迎えに行くといつも時間を忘れて本を読んでいるのだ。
照さんは海外ミステリーを好んで読む。
今日読んでいる本は「そして誰もいなくなった」。咲の好きだった本だ。
「咲と話を合わせているんですか?」
「うん」
「いいお姉ちゃんですね」
「今まで話せなかった分、たくさん話したいから」
とりとめのない話をしながら照さんをエスコートする。
目を離すと何処かへ行ってしまうから気をつける。
3/10
「今日はサークルに行きたくない」
「いきなり何言ってんですか!?」
「本の続きが気になる」
「後で読んでくださいよ……」
照さんは結構ワガママだ。
今みたいに本の続きが気になるからと言ってサークルに来ないことはザラだし。
食堂でスイーツを貪っていたこともある。
遠くから見ている『物静かな宮永照』のイメージとは真逆だ。
, ´ / .' / .' ' | l | l | |
/ / ' | | | l| | l | , } l | |
_/ イ / l| |_,∧_{ :. ,-|-}-/、 , | { _ ___,-、 __
 ̄ ´ / / { |、{ l∧ {、 | }/イ/},イ / l_、 { Y´ / ' }- 、
{〃 r∧ |ィ斧ミ从 、Ⅵ , イ斧ミ、 } /l| l、r  ̄ { { | / _ }、
/ /{ 从{、 Vzリ \Ⅵ/ Vzり /イ } / | 乂_人_/、_/ / \
/ //从 l∧\ ,\ | /イ/ }==  ̄ ̄ ̄ ー く
/ イ' {/l∧ ∧ 、 ,イ/j' / \
 ̄ ̄ ー∧ _, 从 , \
ヽ 、 ` ¨  ̄ ィ }/ / / '
∧ \ / |/> , /
{(从_| -- ´ 「/// | {
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_,.. -=<///// \//} ,r-/////// | 「実は今日はあっちにホットケーキを用意したんですが……」
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/ \ 〃 /:: :: :: :: :: :/:: :: :: :: :: :: ::ヽ :: :: :: :: :: , / \
/ , :: ::/:: :: :: //:/ :: :: :: /:: :: :: :: :: :: :: :: :: , } | え │
| 釣 そ 〃 / :: /:: :: : / / :: :: :: :: / |: :: :: l :: :: |:: :: :: | { < っ |
| ら ん | /:: :: i :: :: /|\|::|:: :: :: :/ :|: |: :: !:: :: :|:: :: :: | __) |
l れ な | |:: :: ::|:i:: ::i r灼トミ_:: :: : ト--|八:: :|:: :: リ : : : i| { / /
l る こ └─┤\爪 Vツ\|\|斗灼ァミ j:: ::厶 : :: :|i } | : ( ̄ ̄
| わ と | リ:: :: ::ト 、、 Vツ 从 ∧ }: :: |i | : │
l け で _> / : :: :i:| ' 、、、厶イ_/..:: ::|i | : │
/ ̄ ̄\| に │ / ::|:: :: ::ゝ ____ u/:::i ::i :: ::|i \___/
| : ´ は | /: /:| : /:: ::::丶 `~u イ ::::::::i ::i:: ::|i
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| : / /: // ̄ /´ │ \__/ |「>‐=ミ:::::|
\__/\____/ / :/∧ / |\ /∧ j | \ ハ八
しかし照さんは咲より単純である。
あちらは一度ゴネ始めると俺の言うことは全く聞かないのだが、照さんはお菓子で釣れば一発だ。
そのために毎回毎回違うお菓子を考案するのは少し骨だが。
なお、お菓子代はみんなのカンパで出ている。問題ない。
「わかった。
ホットケーキを食べに行く」
「照さんお菓子好きですよねぇ」
「そうでもない」
貴女がお菓子好きじゃなかったらお菓子好きはいないと思います。
しかしまぁ、なんだ。
お菓子で釣るなら俺じゃなくてもいいんじゃないか……?
4/10
まぁ、そう思っても口には出さない。
なんだかんだでみんなのアイドル宮永照の専属係みたいな立ち位置は嬉しい。
照さんからしたらただのGPS兼お菓子供給機なのかもしれないけれど、それでも十分嬉しいのだ。
咲や竹井部長相手にもそうだったけれど、誰かのためにお節介を焼くのが好きなんだ。
「照さんはどんなお菓子が好きなんです?」
「お菓子に貴賤はない。
なんでも好き」
「好き嫌いがなくていいですねぇ」
自分で言っててそう言う問題なのか? と疑問に思った。
「お菓子をくれるからって怪しい人についていかないでくださいよ?」
「京ちゃんは失礼。私は京ちゃんより年上」
「女性なんですから男より危ないですよ」
「ム……」
プイと顔を逸らされてしまう。
ちょっとからかったつもりだったけれど、どうやら怒らせてしまったらしい。
「照さん」
「……」
「照さーん」
「……」
呼びかけても反応がない。
仕方ないから奥の手だ。
/ / | ハ | | i 、 ヽ \ \_
. i / | | | | | |、 i ゙、 、 \_ _>
| i | i | | | | ハ ハ _i!_ i \ ヽ` ̄ ̄
| | |+--|、_|! | | i! ,/.ィ'|"i´ ハ | i ヾ 、 ヽ
| | |.|ヽ |、_|王!ー |./i .;"´/=、!/ | ! | \ 、i 人
. !. r| i.|、!,,ィ'":::._iミi! |/ /彳:::: r:!ヽ,| ,イ | 、_ \ `Y´
. | |^!. N 《 _、o;;;;i_ 丶、/ / ┴゜‐'"´ !イ | λ i` ー--ヽ
! | i、i、 ゙、 ` ̄ ̄ メ( /^|イ `、|
ノi \ヾi:.、、 i! i ノリ `
| ヽ__i |イ|/
ヽ i、 i ____...., |/
ヽ!、 i\ `ー-- ―'´ /、! 「実は今日はシュークリームも買ってあるんですよ」
i !i 、 \  ̄´ /!/ 人
|ハ,i、! 、 \ / ./.| `Y´
ト、! ゙、 `ー---'′ /|V
/: : : /.: :/: : ::j: :| ト :|. |: : : :|: :| _i: :∧: :|i: :
/: : : : /.: : :|: : : :i: :| |.:/ `ヽ |: : : |i: :| '´ |:/ V .|::
/: : : : : : !: : : :i: : : :|ヾ| , ィ, ニ、ヾ、 .|: : :八/ ,=ヾ,ニ、ヾ、 |::
/: : : : : : : : |.: : :八: : :| 〃 /少iハ ヾ|/ ミ、 /少L心 ヾ
. i: : : : |:::::::ハ 气l∪iリ:::::::::::::::::::::::::::气l∪ikリ
. l: : : : |:::::::i l{',、 乂Zソ 乂ZZソ
|: : : : |:::::::j ,
|: : : : |:::::::{
|: : : : |::::::::ヽ ,ィ⌒ー'⌒ヽ.
|: : : /|: |:::::::::::> . `-⌒ ⌒'‐′ . < 「……ゆるす」
|: : / 乂|:∧:::| 、::::≧= ___ <---
5/10
……
…
・翌日
,. -‐ 、
,. / ∠`ヽ 、‐= 、
/ / / `ヽハ
/ // / ’.
/ |─+ ミl / l|
/ .:,′ |_|_イイ |_ ’
.′ | |《ん㍉ミ`¨¨`jハ_` |
i | | ゞ-' ィ=r、`|_|!
| |└┬ー┘ ヒソ/ ′ |
.′ | ' : |
| l | l 小 _ i | 「また照はいないのか?
| l | | | ト、 ` 人___|
.′l | | | 丶. イ 須賀はーー」
. / l| l | | | r‐ ´ l|
/ l,.≦: V、 | i|
./ /ニ=-人 V\. | ||
´ ` 、
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/.: .: .: .: .: .:/.: .: .: .: .: ∧.: .: .: .: .: .: .: .: .: .:丶
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/.: .: ./.: .: .:/|.: .: .: .: .: .| : .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: :.
:′.: .:{.: .: .: | |.: :|.: .: |.: .| ___.: .:|:.: .: .: .: .: .: .: .: .:|
| \.: |.: .: .: | |.: l|.: .: |.: .| .:|:、 .: .: .: .: .: .: : : |
|l⌒.:人.: .:{.:| ̄八.: .:ト :{ }.;ハ.: .: .::| .: .: .: : |
. 八.: .: .: \乂 \{ ,イ芹宍气|.: .: .:ト、.: .: .: |
\ .: |.:{斗芹气. γ´ 乂ツ'} |.: .: .:| }.: .: .:.|
|.:\ト、{_,. ∨ツ Y⌒\ ´ _,.ノ |.: .: .:|_/ .: .: :i|
|.:.:.:.:.:.::( ノ '_ """ |.: .: .i|.: .: .:.}.:リ
|.:.:.:.:.:i.:.:. ̄/´: : : : :`ヽ |.: .: .リ.: .: /|/ 「今日は遅刻するそうです」
{.:i.:.:.:.|_::〉': : : : : : :`ヽ〉 ,イ.: .:/|.: .;/ '′
乂/ ─_う: : : : : `ヽ/ . |.: / :}/
/ /´ニつ: : : : : : : :/r< };/ヘ、
.′ ´ ̄.ノ ̄:``ヽ: : /ノ /  ̄ ̄ `>x、
| イ´八: r'⌒ヽ: :∨(` 、 / '"´ '⌒ヽ
| ヽ\`ヽ ノ } / ´::/ /
| 八 ヽ `ー ' ∨ /.:::::::/ / |
| / \ ` \/:::::::::/ / |
「そうなのか?」
「はい。少し用事があるそうで」
「なら仕方ない。
私が直接迎えに行くか」
「私たちが行きましょうか?」
「いいや、いいよ。
照の扱いは慣れてるつもりだ」
今日もいつものように照はいない。
照がいない理由は大体二つ。
他のことをしていて時間が過ぎ去ってしまっているか、道に迷ってしまっているか、だ。
もうすぐ成人なのに照の天然さは磨きがかかるばかりだ。
白糸台時代も大概だったが、ここ最近は更に酷い。
大学の単位を取り終わってしまったせいか、よく大学内でウロウロと徘徊する照の姿が目撃される。
6/10
そんな時、須賀が入部してくれて非常に助かった。
彼は照の妹さんの面倒を見ていたそうで、照の扱いにも慣れてしまった。
最初は『妹と仲が良い男の子』と言う形で関わっていたそうだが、気づけば照のお世話をするのは彼の役目になっていた。
高校時代から照のお世話がかりなんて呼ばれていた身としては少し悲しいが、楽にはなった。
「どこにもいないな……」
図書館と学食を回るが、照の姿は見えない。
昼頃には目撃したので大学にはいると思うのだがーー
「須賀ならすぐに見つけるんだがな……」
妙な嫉妬を覚える。
照の世話をしていた時間は私の方が長いのに、彼のほうが照のことをわかっているみたいじゃないか。
まぁこんなことを嫉妬しても仕方ないんだがーー。
____
´:::::::::::::::::::::::::::` 、
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i|:::::::::i|人|::::|::从::::儿;;八|::::::::::|::|
i|:::::::::i| /モテ モテハ::::::::::|::|
i|:::::::::i| , i|::::::::i|::|
.八::::::八 u リ ::::::リ::|
ヽ/:::i:::... r ュ ,.イ::::}/i:::| 「こんなところにいたのか……」
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|-=''" ノ 人 `'=-|
/、 ト=======/ \
/⌒\ ハ / /⌒ヽ、
 ̄ ̄ ̄
´: : : : : : : : : : : : : : : : : : : :`ヽ
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: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :∧
/: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : .,
. /: : : : :〔 :/ !: : | : : :ト、: : : : | : : : : | : :i: : : ′
′: : : : ∨ | : i| : : :| ´ ̄ :}: : i| : }i: :|: : : : :.
.:: : |: : : : :〔´⌒ヽ八: : :| ∨リ : : |: :八_|: : : : : .
. /:: : :|: : : : i{ __ \{ ,イ庁不、〕/ }: : : : : :.
/__! ト、: : {ィ芹示、 乂:ソ ′ 人: : : : : :
八| \{ 乂ソ ,r: :´: :|: : : : : ::
/: : ∧ ` /: : i: : :|: : : : : :i 「?」
.′::/: : . _ _: : : :|: : j : :! : : l|
.: : :/: : :个 ` イ〔_: : リ: /|: : |: : ::リ
: : : :l/ i|: :! : : :≧. . .-r ´ ヽ\/: !: :ノ,イ:/
. / : | / {: : ∧: : :ト、=´〕 / =‐- .,_ '
〔′ ヽ〔 _,. -‐ ' | / γ⌒ヽ
∧ :|__,. イ /
/ 丶 :| /' / i
結局、同じ場所を何回も探し回ったけれど大学内のベンチに座っていた。
本を読むのに夢中になっていたようで、私が近づくまで気づかなかったようだ。
何が恥ずかしいのか、読んでいた本ーハンドボール大全?ーを咄嗟に隠す。
7/10
「ほら、サークルは始まっているぞ」
「うん」
「うん、じゃない。
わかったなら早く行こう」
「……京ちゃんは?」
「須賀は遅刻するそうだ。
だから私が迎えに来たんだ」
「ム……」
なんだか不満そうな顔をしてカバンから本を取り出す。
今度は先ほどとは違うーアガサ・クリスティーを読み始めた。なんだ、知的アピールか?
「なんで読み始めるんだ」
「私も遅刻する」
「一応私たちが遅刻するのはマズイんだぞ」
「知らない」
最近の照はやけにワガママだ。
昔はこんなことなかったと思うんだがな。
ーーしかし、私も照の扱いには一日の長がある。
……
…
__,.ィ ̄ ̄`ヽ/ヽ__
> ´ ̄ / ` `、 、
、 - ´ / ' } ヽ ヽ\ \
`  ̄ >' / ,: | ∧/! | } ヽ ヽ
/,ィ / ' / /| _/,.ム斗}-/ ハ :.
{/.' ,| ,.|-}/-{ | / ,ィチ斧ミ }/ } | .
/ イ/{ : ! ィ斧从}/ Vzソ ノ /イ ,:
<__ ´// 从{ Vソ / / イ- 、 |
{'{ { , ' /' ⌒ } |
从Ⅵ /.: ノ |
叭 v_ ̄ヽ ,rー' 从 「照さんを釣るならチョコですかね?」
、 イj / /
:. < |' /}/
、__ ´ } イ从/
| |/
「 ̄| 「 ̄ ̄ ̄ ̄}
|//l| |//////// 、
,. <// ∧ |//////////> 、
!:.::.:::: :: ::|.....::::|::::::::::::::|:::|:!:|__!........|:. ゙、:、::ヾ、
| ..::::::::i::::::::::|:|::::::::::::|:::|:「!::::i:!:`ヽ!|::::::::::.:.i: i. ト、!
!....:::::::::::::::i::::::::::|:|:::::::::::::i::::|,rゥ-ニミ┘i__:::::::ノ|::|..i |
i:.:.::::::::::::::::i::::::::i::|:|::::::::::::::i:::|! ー-'..ヾ::::::::`iヽ!ノ;ノ:;i |
! ::::::::::::::::i|:::::::::|:|:|:::::::::::::::i::::! :::::::::::iァ::....!ヾノ
i.:::::::::::::::::i:|::::::::i::|:|:::::::::::::::::i:::i ヾ :::: |
|:::::::::::::::::i:i:::::::::i::|:|:::::::::::::::::::i:::i /::::.:.|
. !::::::::::::::::!:!:::::::::i:::|:|::::::::::::::::::::゙、i _,...._ l::::::.::|
. i::::::::::::::://::::::::/::/`ー^-、:」i_:::゙、 `" /:::::::.i.|
i::::::::::::::://; ' ´ ̄ ̄`ヽ  ̄ /:::::::::::|:!
/::::::::::::::://' \ r-、__ ノ:-、_;::|i|
/::::::::::::::::/ :::::::::...\::::|:::::::|:::| `ヾ! 「最終手段はパンケーキだな……」
/:::::::::::::::/ ::::::::::::...ヽ ::::::|:::|
../::::::::::::::/ :::.. \:::::::::::::.i ::::|:::!
/::::::::::::::/ :::::. \:::::::::! :/:/
::::::::::::::/ノ :::::::. \:::|i \
…
……
8/10
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/::::´:::::::::::`ヽ:::::\::::::`ヽ
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//イ::/⌒i:::|::|:::|i:::::l⌒|i:::::::::::}::::::::::::::::i
.'/:::∨ ,,__|i_|:」_八_/i::::リ:::::::::::}::::::::::::::::|
. 〔//::::〔 ̄` =ミ、/ :::::::::::}:::::::::::::::::
. //|::::::| ′ "" /:::::::::::::リ::::::::::::::::′
:/_:|:::从 /:::::::/:::/:::/:::::::::::/
〔 |_:/ハ t ァ /___::/:_/:::::':::::::::::/ .*゚
/::::::. ./::::::::,::::::::|i:::::::::′ ゚+'.
. /:::/:::::ーr‐ ´/:::::::::ハ:::::::|i:::::::::| '% 「照、今日のおやつはパンケーキだぞ」
/::::'::::::::_.ノ〕 .:::::::::://> :::::::::|
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':::::::〃 / /::::::::::' \
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´ |i:/.:.:.:.:.:::::::. /:::::i|::/.:.:.:.:.i|.:.:|
/.:.:.:.:.:.:.:.:.:込、 ´ ' イ:::::::リ/.:.:.:.:.:八:i| 「今はいい」
i:.:.:.:.:.:|.:.:.:.:.:|:::::::..... /|::::::/.:.:.:./ :リ
|.:.:.:.:.:.ト.:.:.:.:.|:::::::::::::>.、_ |:::::/.:.:./ ′
八.:.:.:|.:| \:|:::::::::|i::_, く} ト/.:/
\{──<´ ̄ \\ |:イ \_
/⌒ \ ::::\ |:::| } =- .,_
/ 丶 、::::、 }:::} } 、
. / :::: /::/
/ `、 :::∨::/ ∧
ーーーなん……だと……!!?
一瞬の迷いもなくお菓子への誘惑を断ち切る照。
私の知っている『そんな餌に釣られクマー!』を地でいく照の姿はそこには見えなかった。
「ど、どうした照!
お腹でも痛いのか!?」
「菫は私をなんだと思っているの」
「だってお前……。
須賀が連れて来るときにはお菓子に釣られているじゃないか」
「菫は私をなんだと思っているの……?」
二回も言われた!
よっぽど大事なことだったのか!!!?
「別に私はお菓子に釣られているわけではない」
「いや、お前が麻雀を再開した理由は……」
「……そ、それはともかく」
おい、ごまかすな。
9/10
_. . : : : : ̄ ̄ ̄: : : : : . 、
,. : : ´: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ヽ
,. :´: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : \
/: :,: : : : : :,: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :ヽ
/: : :/: : : : : /: : ,: : : : : : : : : : : : :,: : : ヽ: : : : : : .
,: : : /: : : : : /: : /: : : : :|: : : : : : : : |: : : : :∨: : : : :.
/: : /:,: : :_:_:/: : /: : : : : :i: : : | : : : : l: : : : : :|: : : : : :
/: : :从|: : : :/|:`イ: |: : : : ∧: :.:|: : : : /: : : : : :|: : : : : |
/ : : : ィ: :{: : :/ィ-、 }:∧: : : | -}:|-|---く: : : : : : ,: : : : : :|
 ̄´ |: ∧: :| _)雫ミ从: : :| _}∧:_:/ }ヽ : : : /: : : : : :
|: : : Ⅵ V::ノ \|´_)笊雫ミ/: : : :/:/: : : : : : ,
|: : : ,: | , V:::::ノノ' : : イ:.イ: : : : : : ,′
|: : :j:从 /:/ /' ノ: : /: : :/
|: : ,|: {: : . _ ´ ィ: ー ´: : :/: : :/
|: :/|: 从: : : . ‘ ’ イ |: :/ : : :/: : :/
|:/ 从{_r--'´` ー 、-=≦ ∨: : : /: : :/ 「京ちゃんが用意してくれるから嬉しいだけ」
}' / ||:| ∧ /,': : : /: : .イ
/ ||:| / _,./ / : イ:/\
/ ∧:{ /⌒\´/ ´ ´ 、
, {:.:\、 ,′ / ,. ---――‐`ヽ、
/ ∧:.:.:. ∨ /_,.:.―:.:.´:.:.:.// Ⅵ |
{__ , \:.:.:{_/-- ´:.:.:.:.:.:.:./ , マ |
//≧=- 〉介、______/_ / } |
//> ´ ` <≧=--r-- 、  ̄,:' | |
,く ̄´ ` / /^T \ { マ〉
r つ ` < / ∧__|>´| ∧ }
ーーいつもと変わらぬ表情でとんでもないことを言って見せた。
「……は?」
「私がワガママを言えば京ちゃんが来てくれるから」
「いや、まぁ、確かに須賀には迷惑をかけているが……」
「京ちゃんはお菓子を用意してくれる。
迷子になっても見つけてくれる。
昼食も晩御飯も用意してくれる」
おい、そんな自信満々な顔をして何を言う。
と言うかサークル以外でもこき使っているのか。
要するに、アレか。
私たちは照のちっちゃなワガママに振り回されていると、そう言うわけか。
「だから京ちゃんを待つ」
「あ、あのなぁ……。
あまりワガママを言いすぎると須賀も呆れるかもしれないぞ」
「他にどうしたらいいかわからない」
こ、子供かっ!
親の注意を引きたくていたずらをする子供そのものじゃないかっ!
「つまりまあ、須賀の興味を引きたいと」
「うん」
「……まぁ、好きにしてくれ」
「そうする」
それが照なりの幸せならば、言うことはないだろう。
些か納得のいかない部分が大きいけれど、な。
10/10
……
…
・数時間後
_ / , / //| , | ,: | V :.
` ̄ / ' | |∧ | / },l --| | |
/,イ { |-- 从 / /,ィrtォ、 , | |
/ ∧ |,ィtォ、∨ ' Vり {,イ /-、 }
/ イ{从{ Vり }/ |イ l) } 从
 ̄ Vr:l ' //
l叭 _ r ' /
、 `ー` イ {
\ / |∧」 「今日はドーナツに釣られてくれましたよー」
` r‐ ´「 ̄ ̄ ̄}
「 } | |///// ∧
|/|_,ノ /////////≧=-
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/ ヽ
/ ヽ
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/ / / / ! i V }! ! j }
/ i ij__j__,j,,,,j j ト-j-j‐-、ハ , '
/ ! ハ i ! ヾiヽ j !.ハ V } j;,, |
/ ィ .ハ ! ヽjz,,,,,,,, \ ,{_,,,j/ }/z、.} /;;,,,,, |
/_/ j ∧ j/"i。;;;;;;;;;! {。;;;;;;;;;` }!j /;;;;;;;,, |
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j ! } ' 3/;;;;;;;;; | 「ドーナツならば仕方ない」
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j iィ仁ニミ>''"::::::::::::::::ヽ__<ニニヽ _ イ / ヽ
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l ! !.l 丶 ⌒ .イ !
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l l ! ヽ 、 .! ! !
l /ヽ. ヽ \ l、 ! l
l./ 、 丶 ヽ. \ヽ` 、 l
,.' 丶ヽ ヽ \_.ヽ、 ノ
. l ヽ\ \ ヽ ヽ\ 、
l \ 丶 \ヽ ヽ
. l i ヽヽ. \、. ヽ . l
随分とまぁ、人騒がせなやつだとは思うが
とりあえず、照にやっと来た春を眺めようか
カン!
京照書きたい病の発作が
指摘助かります
『もうすぐ成人』→『もう成人』だと思って頂ければ幸い
1/16
1
【ハジメての約束】
少年ーー須賀京太郎は親に連れられ、色んな場所に出かけることが多かった。
それは水族館であったり、動物園であったり、遊園地であることもある。
時には山に登り、海で泳ぐこともあった。
幼い頃に磨かれた感性は大人になって初めて意味を成す。
幼少期に多くの経験をしていなければ、大人になってから物事の楽しさがわからなくなってしまうのだ
京太郎の親はそのことをよく知っており、可能な限り多くの経験をさせようと思っていた。
「今日は友達と遊ぶ予定だったのに」
もっとも、そんなことは少年にはわからない。
親の心子知らずとはよく言ったもので、少年時代には目の前の友達と遊ぶことの方が優先度が高いのだ。
しかし、京太郎も両親と出かけることが嫌いなわけではない。
両親は様々なところに連れて行ってくれるし、京太郎のことを必ず楽しませてくれた。
お土産に色々と買ってもらうこともあるし、口では文句を言っていても嫌ではなかったのだ。
「カピー大丈夫かな」
彼にとっての家族。カピバラは旅行には連れていけない。
家に置いておいて大丈夫かな、なんて心配するのはいつものことだ。
そんな風に呟くと温和な母親が「大丈夫よ」なんて言ってくれて頭を撫でてくれる。
何分か何時間か、父親の車に揺られると大きなテントが見えてきた。
「スッゲー! 何あれ?」
まだまだ子供の京太郎からしてみれば『とにかく大きいもの』と言うだけで興味を惹かれる。
それもそうだ。この年頃の男の子はとにかく大きいものに弱い。
京太郎も例に漏れず、巨大ロボットや合体ロボットのおもちゃが大好きだった。
2/16
しかし両親が連れて行ったのは隣の小さなレストラン。
あれは何? と何度も繰り返す京太郎に対して、両親は悪戯っ子のような笑みを浮かべるだけだ。
子供扱いされている対応にムスッとくるが、注文されて出てきたお子様ランチを見てすぐに機嫌を直す。
本当にお子様ランチが好きだね、なんて言われるとーー
「うん! たくさん食べられるから!」
などと返ってきた。
実際には普通の品より量が少ないのだが、少年にはわからないのだろう。
クスクスと嬉しそうに笑う両親を尻目に、美味しそうにお子様ランチを頬張る。
するとそこに長身の男が現れた。
大きな帽子(当時の京太郎は知らなかったが、マジックハットというらしい)を頭に被り、右手には杖を持っている。
何が何だかわからない京太郎はぽかんとその人を見つめることしかできなかった。
「やあ、須賀京太郎くんだね?」
「はい! 京太郎です!」
「元気な返事だ。ちゃんと挨拶できるなんていい子だね」
「すごいでしょ!」
エッヘンと大きく胸を張る京太郎。
様々なところに旅行しているだけあって、京太郎は人と接する時に物怖じしなくなったのだ。
運動神経も相まってクラスでは人気者、誰とでも仲良くなれると両親は嬉しそうに話していた。
「今日は少しおじさんに付き合ってくれないかな?」
「うん!
じゃあ外で遊ぼう?」
「あー、そうだね。
例えばこう言う遊びはしたことあるかな?」
「……おりがみ?」
京太郎は思い切り落胆する。
基本的に外で遊ぶのが性に合っているのだ。
3/16
「折り紙なんて女の子の遊びだよ」
「そうかなぁ?」
「うん。おじさんかっこ悪い」
「て、手厳しいな」
容赦のない一言に対して京太郎の両親が叱ろうかと思ったが、おじさんはそれを制止した。
あんなことを言われたのにおじさんはへらへらと笑っている。
京太郎は子供扱いされたと感じて、少し腹が立った。
「でも、折り紙って意外と難しいんだよ?」
「そんなことないよ。僕も出来るし」
「そっかぁ。
それじゃ、真似してもらおうかな」
「僕ね、意外とこう言うのだってーー」
おじさんが折った折り紙を受け取り、自信満々に開いた途端。
折り紙から小さな花が飛び出した。
京太郎は何が起きたのかわからずに、目をパチクリさせておじさんを見つめる。
おじさんはしてやったりと嬉しそうな顔を京太郎に向けた。
「どうかな?」
「……す」
「す?」
「スッゲー! おじさん、魔法使い!?」
「ははは、魔法使い見習いかなぁ?」
子供のキラキラとした眼差しに慣れていないのか、頬を掻きながら答えるおじさん。
どうやら照れているようだ。
「ねぇねぇ、他にもないの?」
「そうだなぁ、例えばカードを使った手品とかもあるよ」
「どうやるの!?」
「それはちょっと教えられないなぁ」
「えー、なんでー?」
「魔法使いは秘密を守らないと魔法を使えなくなっちゃうんだ」
「そっかぁ。それなら仕方ないね」
もっと食いついてくるのかと思ったが、意外と簡単に諦めてくれておじさんは安心したらしい。
手品師がタネを明かす時はもう引退する時なのだろうからある意味間違ってはいない。
そこまでの深い意味を幼い京太郎が理解するには早すぎるのだが。
4/16
「ねぇ、お父さん」
「一?
もう少し待っていてくれよ」
「女の子?」
「……君、誰?」
そこに一人の女の子が現れた。
ボーイッシュな服装はまるで男の子のようだけれど、前髪につけた可愛らしいリボンが特徴的だった。
「えーっとね、彼はお父さんがお世話になっている人の子供なんだ。
一、挨拶をしなさい」
「はじめまして!
僕の名前は須賀京太郎です!」
元気に名乗りをあげる京太郎。
彼にとっては知らない人相手でも物怖じせず仲良くなるのは得意だ。
特に近しい年齢であれば男女問わず仲良くなれる。
「ほら、一。
ちゃんと挨拶しなさい」
「ボクの名前は国広一、です」
「よろしくね!」
「う、うん」
グイグイ仲良くしようとする京太郎に圧されているのか、一歩引く一。
一も人見知りするタイプではないのだが、やはり同年代の男の子相手だと少し怖いようだ。
「ねぇ、一緒に魔法を見ようよ!
おじさん、すごいんだよ!」
「……お父さん、何見せたの?」
「あ、ああ。ちょっとね」
「……もう、こんな手品」
おじさんの胸ポケットから折り紙を取り出し、同じように折る。
そして開いてみると、先ほどと同じように花が出てきた。
「ボクにだって出来るよ」
「手厳しいなぁ。まずは小手調べでね?」
「お父さん、ロクなのできないくせに」
「うっ……」
ジト目で父親を見る一に対し、さらりと同じ手品を繰り返した一を凝視する京太郎。
じっくり見られることが落ち着かず、一歩下がる。
5/16
「な、何さ」
「すごい……」
「えっ?」
「すごい! 魔法使いだ!」
「こ、これは魔法じゃなくて手品……」
「すごいすごい!」
一の両手を掴み、嬉しそうに振り回す京太郎。
京太郎からしてみればおじさんが手品をするのは『大人』に見えたが、目の前の少女が同じ手品をすることはよりすごく見えたのだ。
興奮冷めやらぬ京太郎は一の手を熱く握る。
「ねー! 教えてよ!」
「だ、だめだよ。手品はーー」
「魔法使いは、魔法を教えたら魔法使いでいられなくなっちゃうだよ。
ごめんね」
「ちぇー」
「おとーさん。何言ってるんだか……」
先ほどのようにジト目でおじさんを見る一。
おじさんは額に汗を垂らしながらなんとか誤魔化そうとする。
「ごめんね。
ほら、おじさんが他にも魔法を見せてあげるからさ」
「うん!
他にはどんなのがあるの?」
「そうだなぁ」
そういうと迷ったようにおじさんは手持ちのバッグの中を漁り始めた。
こっそりバッグを覗こうかと思ったけれど、隣にいる一が京太郎のことを凝視していることに気づく。
6/16
「ねぇ!」
「な、なに?」
「君も他に魔法は出来るの?」
「で、出来るよ。
お父さんにだって負けないよ」
「こらこら、おじさんだっていくらなんでも娘には負けないさ」
「なにさ、さんりゅー手品師のくせに」
「ど、どこでそんな言葉を覚えたんだ……」
手厳しい一の発言に対しておじさんはたじろいでいる。
京太郎は言葉の意味がわからないようで、クエスチョンマークを浮かべたままだ。
「例えば、このトランプをよく見てごらん」
「うん!」
「まずはこのトランプをよくシャッフルしてーー」
そう言うとおじさんはトランプの山を二つに分け、パラパラと一つに重ね始める。
いわゆる『ショットガンシャッフル』と言うものだったが、京太郎にとってはこれだけでも物珍しいらしい。
次は何が起こるのかと目をキラキラと輝かせて見守っている。
一はどんな想いを持っているのか、父親ではなく京太郎のことをじっと見つめていた。
「一番上のカードをめくると……、何が出てくるかな?」
「えーっとね」
「ああ、言わなくていいよ?
君が覚えていてくれればいい」
「?」
「これから『僕の知らない、君が見たカードを当てて見せるよ』」
「えっ!?」
「この一番上のカードを……、真ん中に差し込んじゃおうか」
「どうするの?」
「さて、どうだろうね。
さぁおまじないをかけてみよう。
『この山の上に、君が見たカードが現れるおまじないだ』」
「そんなことできっこいないよ」
「そうだなぁ。
よし、それならーー」
おじさんは少し溜めて考える。
ふと思いついたように一を見ると、再び京太郎に視線を戻した。
7/16
「うちの娘と友達になってくれないかな?」
「えっ!?」
「?
もう友達じゃないの?」
「ちょ、ちょっと!」
「本当に京太郎くんはいい子だなぁ……。
じゃあ、今日一日うちの娘の面倒を見てくれるかな?」
「いいよ!」
「何言ってるのさ!」
「それじゃ、一番上をめくるよ」
山札の一番上をめくり、京太郎に見せる。
するとそこにあったのは……
「ハートマーク……。さっきのやつだ!」
「どうかな?」
「すごい! すごい!」
興奮が頂点に達したのか、京太郎ははしゃぎまわっている。
京太郎の両親もそんな息子を見て嬉しそうに拍手している。
一人だけ仏頂面をしているのが一だ。
「なにさ。いきなり……」
「そんなこと言うな。
一の方が一つ年上なんだから、今日は京太郎くんの面倒を見てあげなさい」
「ボクの方が年上なら、あんなこと言わないでよ」
どうやらヘソを曲げてしまったらしい。
しかし喜び回る京太郎を見ていると、一の頬が弛緩した。
「喜んでくれてる、のかな」
「ははは……、これくらいはね」
「でもお父さん。『二枚目のカードを山に戻す時に不自然だった』よ」
「……一はお父さんより手品の才能があるなぁ」
娘には何度も披露していただけあって手品のタネを完全に見切られているようだ。
ちなみにタネはとても簡単だ。
最初にカードをめくる際に『二枚同時に』カードをめくり、上から二枚目のカードを見せる。
山の真ん中に戻すカードは『上から1枚目』のカード。『上から二枚目』のカードはその際にさり気なく一番上に戻す。
あとは一番上のカードをめくれば『京太郎にとっての一番上のカード』が現れると言う仕組みだ。
手品の初歩の初歩である。
8/16
「それじゃ、そろそろ時間だ」
「……今日は舞台に出られるの?」
「お父さんはまだ下積みだからね」
「いつまで下積みなのさ」
「ほら、京太郎くん。
続きはまた今度見せてあげるから、一と遊んでくれないかな」
「うん!」
「もう!
ボクが遊んであげるんだからね!」
相変わらずその点は譲れないのか、一が父親に抗議する。
しかし父親はその抗議を一蹴して店の奥に去ってしまった。
「……もう」
「ねぇねぇ、君も魔法が使えるんでしょ?」
「つ、使えるけどさ。
今日はもっとすごい大魔法が見れるんだ」
「もっとすごいの!?」
「うん、隣でーー」
一が京太郎の手を引き、レストランの外に出る。
レストランの外には先ほど京太郎が興味を持った大きなテントが建っていた。
「あそこで、すごいものが見れるんだ!」
自分の好きなものを共有したい。
太陽のように眩しい笑顔を見せていた。
9/16
……
…
「人がいっぱい……」
「ほら、はぐれたら危ないよ」
「ま、待ってよ」
人混みの中、一に手を引かれる京太郎。
二人は先ほどのテントの中に入って行った。
入場口でチケットを求められたが、何故か二枚分のチケットを持っていた一のおかげで通り抜けた。
余談だが、後ろから京太郎の親が迷子にならないようについてきているのだが、二人は気づかないようだ。
「ねぇねぇ、これから何するの?」
「しっ、黙って」
「むぐっ」
京太郎の唇に人差し指を当て、静かにするように伝える。
一は気にしていないようだが、京太郎は初めて女の子が至近距離まで近づいたことに照れているようだ。
「魔法の最中は静かにしないといけないよ」
「う、うん……」
先ほどまでの元気は何処へやら。
京太郎は顔を赤くしてモジモジと顔を俯かせる。
一はどうしてそうなってしまったのかわからずに慌てるが、直後に照明が落とされた。
10/16
「わっ!」
「ほらっ、始まるよ!」
一の声に姿勢を正したその瞬間ーー
『Are you ready?』
スピーカーから大音量の声が響き渡った。
京太郎に英語の意味はわからなかったが、心が高揚するのを感じる。
『Ladies and gentlemen, boys and girls!』
言葉の意味はわからない。それでも胸を熱くさせた。
そこからの時間はまるで絵本の世界に飛び込んだような不思議の空間が広がっていてーー。
「す、すごい……」
声を失った。
呆気にとられて口が半開きになっていることにも気づかない。
人によっては見慣れているだろう、よくあるマジックも京太郎にとっては全てが初めてだった。
11/16
『さぁ。本日のゲスト参加型マジックをご覧あれ!
今回のゲストはーー』
「ゲスト?」
「しっ、静かに……」
「?」
『そこの女の子にお手伝いしてもらおうかな?』
「ボクだ」
「あ、危ないよ!?」
「大丈夫だよ。
ねぇ、ちゃんと見ていてね」
「う、うん……」
「さっきの約束、覚えてる?」
「えっ」
「『魔法の最中は……』」
「『静かにしないといけないよ』ってこと?」
「よく出来ました」
心配そうに見つめる京太郎に対し、笑顔を返す一。
自信満々に舞台に上がり、客席に会釈する。
12/16
『それでは、人体切断マジックの始まりです!
今回協力していただく勇気ある少女に拍手を!』
「えっ!?」
切断、と言う不穏な言葉に思わず声を漏らしてしまう。
京太郎の両親が後ろから宥めようとするが、京太郎は両手を口に当て、声を抑える。
『魔法の最中には静かにしないといけないよ』
どんなに怖いものでも、魔法ならば大丈夫。
先ほどおじさんと一が見せてくれた魔法を信じて、京太郎は口を押さえた。
手品の内容はとてもシンプルだった。
一の体が小さな箱に収まって横になり、顔と足だけが露出する。
箱は子供用なのか非常に小さなものだった。最初から子供を指名するつもりだったのだろうか。
一度布を被せ、胴体に鋭利な刃物を差し込んだのが見えた。
「ーー!!?」
京太郎は驚愕する。
思わず声を出してしまいそうになるが、その瞬間ーー。
「……」
「あっ……」
一と目があった気がした。
それはほんの一瞬のことで、瞬き一つした後には目を瞑って天井に向けている。
京太郎が混乱に包まれている中、切断した箱が戻された。
『勇気ある少女に、もう一度拍手をーー』
箱から出された一は元気よく飛び出し、客席に手を振っている。
先ほど切断されたとは思えない元気の良さだ。
再び客席に会釈すると、一は京太郎の元に戻ってきた。
13/16
「ど、どうだったかな?」
「う、うん。すごかった」
「……つまらなかった?」
「そ、そんなことないよ」
自信満々に声をかける一に対し、どこか煮え切らない態度を返す京太郎。
一は何が何だかわからず困惑する。
そんな一を見て京太郎も焦ったのか、無理に笑顔を作り出した。
「ほらっ、次の魔法が始まるよ」
「あ、うん……」
先ほどまでの曇り顔が嘘のように元気な顔を見せる京太郎。
今度は一の方が困惑に包まれる方だ。
その後、マジックショーはさらなる盛り上がりを迎えた。
最後には大脱出マジックと称して手品師が球体の中に封じ込められ、一瞬のうちに消えていった。
気づけば外も暗くなり、夢の時間が終わったようだった。
14/16
……
…
「ね、ねぇ。
ボク、ダメだったかな」
「そんなことないよ!」
「でも、さっきから、さ」
「……」
大きなテントから外に出て先ほどのレストランに戻ってきた。
テラスの席に座り、子供二人で会話している。
「怖かったから……」
「えっ?」
「すごかったけど、それより怖かった」
「そ、そっか」
子供なりに精一杯伝えた言葉なのだろう。
今まで京太郎が見ていた手品は人が傷つくこととは無縁のものだ。
手品に慣れている一と違い、『友達が死ぬかもしれない』なんて出来事は京太郎には早かったのだろうか。
「おじさんの魔法の方が好きだなぁ」
「……そんなことないよ。
お父さん、まだ下っ端なんだもん」
「そうなの?」
「いつまで経っても下っ端で、上手くならないんだ」
「そんなことないよ!
おじさんは十分すごいんだよ!」
おじさんの話になると、今度は一が寂しそうに俯く。
しかし京太郎はおじさんのことを精一杯フォローする。もっとも、京太郎本人にとってはフォローではなく紛れもない真実なのだ。
15/16
「ホントかな。
ボクのお父さん、すごいかな?」
「うん、すごいもん」
「……ボクも、ホントは好きなんだ。
家に帰ってきて、色んな手品を見せてくれたお父さんの方が、ずっと好き」
・。
?を染め、嬉しそうに答える一。
幼い京太郎には一の言葉の意味はわからなかった。
「ボクも魔法を使えるって言ったよね?」
「うん! 見せてよ!」
「と、特別だからね。
ちょっと待っててね」
一はポケットから小さなコインを取り出すと、手の中で弄くり回す。
「まずはこうしてーー」
指から指へ、跳ねるように移動するコイン。
京太郎にとってはそれだけでも十分魔法のように見えるのか、目をキラキラとさせて見つめている。
「これを……こう!」
「あっ!」
最後に手のひらの中に移動させたかと思うと、手のひらを強く握りしめた。
すぐに手のひらを開いて見せると、先ほどまで弄っていたコインが跡形もなく消えていた。
「スッゲー!
どうやったの?」
「それは秘密だよ」
抱きついて来そうなくらい迫る京太郎にウインクを返す一。
京太郎は先ほどのような『怖い手品』よりよっぽど気に入ったのか、興奮が冷めないようだ。
「実は、まだこれだけしか出来ないんだ」
「それなら、もっと出来るようになったら見せてくれる?」
「……見てくれるなら、君には特別に見せてあげようかな」
「やった! 約束だよ!」
「あんまり期待しないでね?」
幼い頃の、淡い約束。
続く
時間かかるのでのんびり待っててくだされば幸い
1/10
【憧ちゃんの日】-単発次元-
新子憧は夢見がちな少女である。
活発だった少女時代とは違い、中学からは見た目に気をつけ始めた。
同級生たちとコイバナをして、お洒落に気を遣って、恋に憧れた。
それでも自分が直接恋をすることがなかったのは如何せん女子校という環境のせいだ。
さらに麻雀部ともなれば合コンでも企画しない限りは男と接触する機会はない。
ゆえに、新子憧は大学生活に賭けていたのである。
今からでも遅くはない。周りの人のように恋をして、ちょっぴり背伸びした話ができるようになりたい。
大学生でも少女漫画のような恋が出来るはずーー。
そんな想いがあったからこそ、憧はわざわざ東京の大学に進学したのだ。
しかしーー
/ / | ハ | | i 、 ヽ \ \_
. i / | | | | | |、 i ゙、 、 \_ _>
| i | i | | | | ハ ハ _i!_ i \ ヽ` ̄ ̄
| | |+--|、_|! | | i! ,/.ィ'|"i´ ハ | i ヾ 、 ヽ
| | |.|ヽ |、_|王!ー |./i .;"´/=、!/ | ! | \ 、i 人
. !. r| i.|、!,,ィ'":::._iミi! |/ /彳:::: r:!ヽ,| ,イ | 、_ \ `Y´
. | |^!. N 《 _、o;;;;i_ 丶、/ / ┴゜‐'"´ !イ | λ i` ー--ヽ
! | i、i、 ゙、 ` ̄ ̄ メ( /^|イ `、|
ノi \ヾi:.、、 i! i ノリ `
| ヽ__i |イ|/
ヽ i、 i ____...., |/
ヽ!、 i\ `ー-- ―'´ /、! 「憧、今日もかわいいなっ」(精一杯のイケメンボイス)
i !i 、 \  ̄´ /!/ 人
|ハ,i、! 、 \ / ./.| `Y´
ト、! ゙、 `ー---'′ /|V
/ \
ヽ
_/: :/ / \
/:/: :/: : /: : :/ :/: : : : : : : : : . {{⌒丶
/: : ′ : : : i : : : :/|: |: : : : : : : : : : : : : : :⌒\: \
/: :/:|:i : |: i: i : : |!|: |: : : |: |: : : | : : :| : : : : : :|\: : .
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/: :,' |八:|: |八二|\|八 : : |/\:|: :|:│//: : : :| ; :│
: : | |:\ハ 《 _)汽 \イ忙汽トミ|:│7: : : : :| | : |
|: : | │:| :i 乂ツ 乂)ツ彳: |^| : : i : | | : |
|: : | │:| :ト i /::/ , /::/:: | : jノ| : : i : | | : |
|: : | │:| :|八 ___ |: : :│: : i : | | : |
|: : | 厶,| : : : 丶 ∨::::ノ ィリ /: :゙: : : i : | | : |
|: : | 〃 八: ∨: /i:i> _.. ´ Ⅳ:∧/ : : : :!: :| | : | 「はいはい、気持ちがこもってない」
|: : | / /i:i/\∨i:i/ } 厶イi:/ : : : : : : : . / :│
|: : | {∨|i/: : :/\/丶 /i:i:i:i:/ : : : : /: : : ∨: : :|
|: : | {│/: : :/i:i:i:i|\ { /i:i:i:i:i:i:/ : : : : / : : : / : : 丿
「これじゃだめかー?」
「アンタねぇ……。
もう少し言い方を考えなさいよ。
ものすごく気持ち悪かったわよ」
「えっ、気持ち悪かったの?」
「うん、気持ち悪い」
「連呼された!?」
しかしまぁ、大学に入ったのはいいけれど。
男性の交友関係は、結局あまり増えなかったのだ。
2/10
……
…
新子憧が大学に入って、女子麻雀サークルに入った。
サークルはすごく迷った。いわゆるテニサー等に入ろうかとも考えた。
結局、新歓の時点で憧の『男性苦手』が発揮されて入部することはなかった。
大学生活ならば合コンなんかが開かれることも多いだろうーーそう思って女子麻雀部に入ったのだ。
幸か不幸か、この大学の麻雀部は男子と女子の間に交流があった。
大学生ならば男子も女子も互いに下心があるのはもちろんで、なんだかんだでその間で付き合っている人が多かった。
酷いケースになると付き合いだしたと同時にサークルを辞めてしまう者もいた。
憧は高校生活で真摯に麻雀と付き合った身だ。
そう言う『出会い目的』な人と麻雀を打つのには抵抗があり、もうサークルを辞めてしまおうかと思っていた。
そんな時だったーー
,. --- 、 ____
/, ´ ̄ ̄` '⌒´ \
、_/_/⌒ヽ , / ヽ
,---、 / // : ヽ :.
, / ̄-/ /' { | | | :
/ __  ̄,./ /-' l| l | |___ l | |
.:' / ,イ _| | |ア__l { { | / }`| | |
/ ,:´ | { | l\{从 ∨ィ斧ミ、 | |
/\'´ /{ | 从{__,. \∨Vソ }イ ト、 ∧{
////\ r--- ´八 !∧  ̄ ,: :.:.: }/ノ/ リ
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//////////〉 込、 __ ,.: / 「あのっ、阿知賀の新子憧さん、だよな?」
///////// / }>、 ` イ |从
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| : : | /i|: : : : : /:i:i:i:i:i:i:i/ | /イ:i:i:i:i/: : : : : : : / : : : :| |: : : :|
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見知らぬ男性に声をかけられた。
もしかしたら男子麻雀部の方かも? なんて思う余裕すらない。
「俺、清澄麻雀部員の須賀京太郎って言います。
和の友達です」
「……和の?」
別に警戒する必要もないのだが、男性が苦手な憧はどうしても警戒から入ってしまう。
3/10
例えば、『清澄麻雀部』と『原村和』は有名な存在だ。ーーいろんな意味で。
それをダシにして声をかけてくるとなれば若干警戒してもおかしくないだろう。
「へぇ、そうなんですか」
「……あっ、警戒されてる?」
「いや、別に……。
本当に和の友達なのかなーって」
「おっ、じゃあ和について質問してくれよ。
大体当てられるくらい仲が良い自信はあるよ」
「それなら、和の麻雀のスタイルは?」
「デジタル麻雀、だろ?
『そんなオカルトありえません』とか、『非科学的です!』って良く言ってるよ」
「へぇ、それを知ってるってことは麻雀部員だったんだ」
和のスタイルは変わらないな、なんて苦笑する。
小学生の頃に言っていた台詞と全く同じ台詞を言っていたのか。
「それで、何か用?」
「いや、知らない人多くてさ。
ちょっとでも縁がある人なら話しやすいかなって」
「へぇ……?」
「あと、新子さんって麻雀すごく上手いだろ?
是非一緒に打ちたいなって」
「おっ、麻雀やる気勢?」
「まぁ、そこそこはね」
「いいわ。それならやりましょ」
あまり真面目にインカレを目指していないだろうサークルでもこう言う人はいるのか、と感心する。
それと同時に視線が気になってしまうのはーー流石に自意識過剰かもしれない。
しかし、男性慣れしようと思っていることは事実。
この人の雰囲気も悪くないし、ただ麻雀を打つくらいなら付き合ってもいいかな、なんて思った。
「和たちとやってたなら結構打てるタイプ?」
「はは……。もーボッコボコだよ」
「それもそっか。
清澄は規格外だもんね」
「当時は完全に初心者でなぁ。
今は普通くらいには打てるけど」
「おっ、言ったわね?
私だってインターハイ経験者よ?」
「お、お手柔らかに頼むよ」
いざ麻雀の世界に入ってしまえば、手加減は無用だ。
4/10
……
…
結果は言うまでもないがボコボコだ。
京太郎が振り込むことはそこまで多くなかったが、地味に削られて行って成績は優秀とは言えない。
サークルの人たちと何度か入れ替わった際に、憧は京太郎の打ち筋を後ろから見ていた。
「その……」
「わ、悪かったな! 弱くてさ!」
「いや、基本は出来てると思うわよ? ただ……」
絶望的に運がない、のだろうか。
麻雀は運ゲーと言ってしまえばそこまでなのだが、この世界にはその運を上回る打ち方とオカルトが存在する。
しかしインターハイを戦い抜いた憧にはわかる。彼からは魑魅魍魎のようなオカルトは存在しない。
いわゆる、『普通の人が運がない時の麻雀』を延々と繰り返しているのだ。
それなりに打ってきたからか無用な振り込みこそ少ないが、如何せん上がりに繋がらない。
「運がないわねぇ」
「いつもこんなんだけどな」
「いつもは言い過ぎでしょ。それは甘えよ」
「うっ」
ーー京太郎からすれば事実なのだが、会って1日目の憧にはわかるはずもない。
「それじゃあさ。
打ち終わったらアドバイスくれよ」
「それくらいならいいけどーー」
「よぉーし、燃えてきたぁー!」
「変なの……?」
憧からアドバイスを貰えるとわかったら何やらやる気が出てきたようだ。
憧としてもこのサークルに麻雀やる気勢がいるとわかっただけでも少し落ち着けた。
ずっと在籍しているかはまだ迷っているが、少しくらい口を出しても構わないだろう。
, . : ´: : : : : : 、: : : : : :r_:_: : : `ヽ
, : : : : : : : : : : : : ヘ: : : 彡}i!:.ヾ`ヽ: :ヽ
, : : : : : : : :{!: : : :i、: :ヘ: : : :〃:ミ: ヘ `゙ 、:.ヽ
,ィ:/: :{、: : : : :{ヘ: : : !ヽ: :ヘ: : ノ: ::} : :ヘ ヾヽ
/: i!: : :iヘ: : : : :{ ヾ,ィチニゞ:ヘ: : : : i}: : :ヘ ヾヽ
,': ,ィ: : : {ニュ、: : ヘ イら::::v ト,:ヘ、/^ヾ: : :.ヘ ヾヽ
7: { レヘ: .仍㍉ヾ: :ヽ 乂;シ'' ヾヘ} 9 }: }: : ヘ ヾヽ
{: :i .{ ヾ:{ v::リ `゙`^ , , , i!:}冫ノ:.7: : : , }:}
i: :i ヾ `} `” 丶 i!:iノ: :7: : : : ., .i: :i
l: :l ', ' ' r-、 ,i!:i: : 7: : : : : : , i: :i
l: :l , v_ソ / i!:i: 7: : : : : : : : , i: :i
l: :.l }: : . , / /i!:i:7: : : : : : : : : i i: :i 「って、それを切るのはないでしょ!」
ヘ: :i i: : : : /`ー ' //: i!i`ー- ,_; : : : i .i: :i
ヾ:.i }:/: /:./ゝ} r、 7: : i:i `゙ 、 i: :i
ヾヽ ソ: :., イ{/ヘ,,,ノ }.7: : /ii / , i: :i
ヾヽ /: : :/-、7ヽ/≦7: : , i , ' } i: :i
ヾ.∨: : /;;;;;;;ゝ=;;;;;;;;}7: : :, { , ノシ
/: : :./{;;;;;;;ンニ、;;;;;;7: : :{ { ,' l‐'"
,ノ: : :ノヾヘ;;;ノ ヾヽ;;{: : : { ヘ/ ,
, ': : :, `゙^〃 `'"ヽ: : :i ミ{i
ノ:´:イ: : :, 〃 ヽ: { ゝ} ,
5/10
……
…
それから憧と京太郎は友人としての交流を深めていった。
京太郎が人懐っこい性格だからか、憧を見かけるたびに声をかけてくるし。
鬱陶しいほど付きまとってくるタイプでもないから、憧も気軽に接することができた。
「なに? 須賀って彼女いないの?」
「できたことないって。募集中」
「へえー。だって清澄なんて女子しかいなかったんでしょ?
誰か好きになったりとかなかったの?」
「女子しかいない中の誰かと付き合える度胸はないよ……」
「でも、和とか優良物件じゃない。
男の憧れじゃないの?」
「憧れには手が届かないもんさ……」
「なにそれっ。ヘタレ!」
「う、うるせー!」
京太郎はちょっと突っ込んだ話をしても乗っかってくれて、憧としても付き合いやすかった。
最初は『もしかしたら和といい感じになってるのかな?』なんて思ったけれど、そうでもないみたい。
それどころか、友人として付き合うのはいいけれど女の子を落とすには向いてなさそうだな、なんて思ってしまった。
「和なんて告白された回数すごいでしょうね」
「何度も俺伝いで紹介してくれって頼まれたよ。
和に止めてくれって言われてたから断ってたけどさ」
「それはそうよ。
自分の力で話しかけないなんてその時点で論外じゃない」
「それに、和にも好きな人がいたような気がする。ーー多分?」
「昔はお嫁さんが夢、なんて言ってたわよ」
「そーだったのか」
「須賀は女の子を口説くのが苦手そうね」
「そーなんだよな。
仲良くはなれるんだけど、そこから先に行けないって言うか」
「あっ、それすごくわかる」
「なんだと!?
じゃあ今から口説いてやるからな!」
「ふきゅっ。
ちょ、ちょっと待ってーー?」
……
…
なーんて流れから一番最初に繋がったのだ。
なんと言うか、結構イケメンなはずなのに普段の三枚目な印象が何処となく拭えないイメージを覚えた。
6/10
: : : : :/ : : : : : :| : : : :|.. : :. ゙、: . ゙、゙、. \
: : : : : |. : : : : :i |: : : :i:|. : : : ∧: :、.i. .i: : . ` 、
.: : : : : !: : : : : | |、: : :| | : : i | !: :|:| : |:、: : : : : : >
: : : : : :| : : |: i 「! ヽート!、: : リ !: |ハ: ト : | ̄ ̄
.: : :,..-、|: : :i: :|: !゙、 _、!二゙、-| イ: リ ! |ヽ:|
: : / へ.゙、 :丶ヾヽ<´{::::i` ヽ! 1!|:/| :!ノ゙、リ
: :ヽ \ : :!丶  ̄ Vイ:ハ |\:i
.: : 丶 \゙、 `> リ `
ヽ: : :`┬ 、 ヾ /
i: ;ィノ U ,....-ィ /
,,:‐レリ _  ̄ / 「じゃ、じゃあ、憧が口説き方を教えてくれよ」
゛=!_ \ `ー-、_ _/
::::::゛== 、 \ / ̄ヽ、
::::::::::::::::::::::゛===-、 >
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/: ∪: : : : : : : : : : :`丶、
/.: : :/: : : :|: : : : : : \: : :ヽ-
,:': //: / :|:|: : : |'、: : : :\: :∨ Y\\
i|: //: / |:|: : : |: \: ノ :||: :|/ |: |:|\\
i| i∧:{`ー\: : |  ̄\: ||: :| : |:.:|:| ヽ:ヽ
八|l: : l 〃ヽ \l 〃ヽ ヽ|: :|: :′|:| ',: :
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|:| || 人 レ \ |: :|: : : |: : |: |
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|:| ||'/ : |/ , < \:ノ: : ∧ ,: :′ 「ーーーーえっ!?」
|:|/{: : : :/ゝイ ∨\ \\: :∨:/
|/: : : / イ {,∠‘, \',:|:|
//: : / {⌒YY´ 人 \|:|
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. / 八: :|′ o 八: : : { \ |
_/_彡 ヽ{ \: :\ |:\ /
/ 人  ̄ |: : :l>―┬
./ / } o |: : :l : : : : |
「そう言うの、女の子に聞く!?」
「た、頼むよ。憧にしか聞けないんだ」
「もー……」
新子憧の須賀京太郎に対する評価は『残念イケメン』である。
コミュニケーション能力も高いし、誰かのために何かをやるときにはそれなりにカッコイイ。
しかし自分のことになると途端に無頓着になるのだ。
対する憧もまた、面倒見が良い性分だ。ダメンズウォーカーの素質があると自覚している。
だが、須賀京太郎のおかげで大学生活が充実したものになったのも事実。
「仕方ないわねぇ」
「やった!
頼むぜ!」
心底嬉しそうにガッツポーズを取る京太郎。
呆れ果てているが、憧もまた少し嬉しそうな表情をしていた。
7/10
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:.:./:.:.:.:.:./ ‘, ‘,「l /⌒^\________/}/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/´ \:.:.:.:.:
:/:.:.:.:.:.:.{: . . : ‘, 人U{:.:.:.:.:.:.:.|:\ /:.|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.―‐┐:/ \:.: 牌譜見てくれ!
:.:.:.:.:.:.:.: }: : : :--:/\: . ノ:r/ / .: .:.:.:.:.|:.:.:.:\ ,/:.:.:. |:.:.:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./
, r '´ ̄ ̄)`ヽ ./´ .| 1 \
/ , r ',´`ゝイ / i| .| ヽ
./ ,r'彳 / .| ./ ./ , /| | ヽ. ヽ
/// / ./ ト、 ヽ ./ / / /| i .ハ 1 ヽ
./ / ./ ./ |ヾ ヽ / /i-、,_ /j ./ | .ル.j | .|1. 1
./ ./ ./ ./ .| ヾ ヽj /.i .>ト,/ j /i j .|.ハ | |. |
/ / j i | ヾ /j j | / ./ '、` j /ノ/ .|.j | .j .| .i |
./ / .| .| | | >'´i |rt== ミ、 、 ./ / /' r t/'ー-/ | .| |
./ .| .j .| | | V´ | .| .ク心:::::ミヾ ' '´ ' - ' j /j | ルj
j .| .j .| .| | | .| 毛:::::::ゝ r==ミ,tノ/j j i .从'
/ .| / .| | | | .| ヾ:::::リ' .ク:::C }./イ .|.j //' 1
| | .| / .| i. | | .| ,,,,, .レ:::リ './ iイ i/ノ |' ,1
| 1 .|./ | ヽ.ト | .| ''ヾ / |'j j´ | |1
.| 1 |' .1ヽ ヽ》、 | .| ' ,,,,, / |j / .| |.|
.| 、| ヽ、ト ヽ \| .| ヽ、 / .j ./ 1 |.| 「一回だけでしょ?
.| ,V ゝ 、、 \ i .|、 ´ ノ /./ .| | |
.| 1、 .》、\ヽ ゝ | ヽ、 , r ' ´ ././ | j | しょうがないわねぇ……」
.| .1ヽ / `ー-ヽ、、_ ゝi、./ `ヽ- j ' ´ .i ./.イ |.j .|
.| 1.ヽ ./ ` ゝ 、 ` \' ./ i 1 // 1| .|.j |
それはいつしか憧の口癖になっていった。
例えば、京太郎が麻雀で失敗したとき。
大学の講義のレジュメを忘れたとき。
レポートを作るのに困ったとき。
女の子の口説き方を教授しているとき。
自然と口から出てきてしまった。
「本当はね。女の子は男の子の一生懸命なところが見たいの」
「一生懸命ところ?」
「サプライズのために頑張ったりね。
物自体じゃなくて、迷って考えて、女の子のために頑張ってるところが見たいのよ」
「うーむ……」
「だから本当は女の子に聞くものじゃないのよ。
ーーまっ、それも頑張ってるのうちに入るんだけどね」
「でもなぁ。女心って複雑だし、わかんねぇよ」
「それはそうよ。ずーっと男には理解できないものだからね」
「そんなもんか?」
「いきなり不機嫌になったりしても、しっかり受け止めてあげてね」
そう言ったところも含めて、『女の子』なのだ。
8/10
……
…
・翌日
_,...---、_,.、
/ : /: : / : : ヽー-、
/. : :, !: iハ!/メ、.i | \
イ : :{ ヽN 'i:!/!人iヽi
_1: : :i( _ 丶:\
/ `Yリヽ '、_)'´!`ー`
/:::.. | ,. _/ 「憧ォォォーー! 好きだァァーー! 付き合ってくれェェーー!」
. /.::、:: ト、ィ'
/ ::::::|:: !;-!
/ ::::|:: ! ヽ、 ,:-‐クヽ
/ ::!::.. ⊥__!_ / ..:ノ)
/ |::::..  ̄`''''''' ′..::::::::::ノ
. /: |::::..... ..............:::_,:::-‐'′
/:: `ー‐┬---r―'''''''"" ̄__
./__ /! i / iu-゙、
/----、\ ::::/ |:: ⊥ __,...-‐'.i...:ヒノ
 ̄ ̄`ー`ー`ー-、/ |::. _,.-‐'"
: |: : |: : : |/:. : : : :.X :/}: :/:. :.://}:./ 〈 : /| : : : i : |、
: |: : |: : : |:, :./)/)/ ̄}:/}: : / ≠ミ ∨:.| : : : | : |: \
: |ミ |: : : |//ア⌒ヾ / :}: / '|: r :| : :.| : : : l: /\: :\
: |、 |: : : | : 「 :| }/ | 」:l {: :| : : /|/ 丶: :丶
: | |: : : | | 」 :| 乂シ {: :| : /: | : : ::
: | |: : : l 乂__,ソ /////,: : イ: : | |: : :| [] 〔rァ〕
: |丶|: : : |////// ′ ′: |: : :| |: : :| o o′
: |ゞ |: : : | ~ ー~ヘ⌒ 从: |: : :| |: : :|
: l:.〕i|: : : | .′ \| /:. : :.|: : :| |: : :|
八:.:.|: : : ト l | /:|: : : : :|: : :| |: : :|
: : \: : 八 〕ト ! ノ. . : : : |: : : : :|: : :|\ |: : :| 「ふきゅっ」
: :. : :.\: : \ ≧=- r<:. : : : : : :.|: : : : :|: : :|:. :.\ |: : :|
翌日、いきなりぶっこまれた。
最初は一体何を言っているのかわからなかった!
「な、な、な!?
また口説く練習!?」
「ち、違う!
憧が言ってた通り考えたんだけど、めっちゃ考えたんだけど浮かばなくて……」
「……えっ?」
「ずっと、ずーっと、最初から好きだったんだ。
初めて会った時から気になってて、友達になってもっと好きになった」
「さ、最初からっ!?」
「し、下心あったのはダメかもしれないけど……。
これが俺の精一杯考えた結論だ。もう思いつかない」
「あ、あのねぇ……」
最初こそ赤面したけれど、少しずつ冷静になってきた。
それもこれも目の前で顔を真っ赤にしてこちらを見据える男がいるからだろうか。
憧本人も恋愛経験がないはずなのに、自然と落ち着いていた。
「だから私に口説き方なんて聞いてたのね……」
「い、いやっ、話の流れで聞いてたってのもあるけどさ」
「本当に、もう……」
本当に呆れてしまう。しかし何故だろうか不快感はなかった。
9/10
-―――-
/: : : : : : : : : : : : : :\
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/:./: : l: : : :l: : : : : |:|: -‐:.(厂\: \
. /: :l:|: | l: : : :l\:.\: |:|: /: | : : : :\: \
/ : |:l:|: | ト、: : |/\ N:| : /:| : : :|:.:l \: :.
|: |:.|:l:|八{ \{x仡心 |:lY: :_:_| : : :l: :| '; ::.
八{:.|从x心 乂炒 |:|ル' / | : : :|:.:.| | |:.
.: Ν:∧ 炒 ,,,, |:| | : : l|:.: l |: :| |
. .: / |: 沁 ,, ′ u|:| _,ノ| : : l|: : l :|: :| |
|: | |: |从 _ |:| /: : l| : : l|:.:.:.| |: :| |
|: | |: | l込、 ´ |:| `1.:リ : : リ: :.:.l |: :| |
|: | |: | |: : : 〕iト ... イノ'____|/: : :./:|: : :.l :|: :|ノ:
|: | 八{└‐ ┴v'´ ̄`丶_/:./: /: :| : : :| |: :|: :| 「本当に、私がいないとダメなんだから……」
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|: / ===/=== ∨ / ̄ ̄ ':.l :!: :!: :!
|/ ===/>┬┬ァ ∨/ l:| l: : : :|
/ く>‐=チ:.:./「/人 {/ l:| /:/}:.:.|
/ / /7´:.:./ {:.:.:.:{\ 〉 ,:.|{:/八: |
. / {/{<_/ /|:.:.:.:| ∧ /: |{ }:|
/ / / l /  ̄| ,/ /: : l }:|
. / / 0 / l| / | /: : : | ノ'
__ /⌒ヽ
⌒\ ∨ ヽ___
_, ----` ∨ `ヽ、
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/ ____ / l| | :. \
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/ / // ,∧ / ,イ l| :. . .
/ イ / // : l | ' / ! 从 | : :.
.'/ ' ' /-|-{ { | /}/ | / } } | .
}' / |Ⅵ { 从 ' , }/ /イ } .
/ イ | l{ { ∨/ ' } ∧ : :.
´ | {|从三三 / 三三三 / /--、| ∧{
{从 | , ムイ r 、 }} /} \
| ノ ' }/イ/
{ _,ノ
人 _,..::ァ r }/ 「ってことは!」
` ゝ - ' イ |/
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{|___ノ __|[_]//∧_
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//////////∨///////////////////////|
「ちゃ、ちゃんと青春っぽくさせなさいよ!」
「わかった! 頑張る!」
「頑張るだけじゃダメなんだからね!」
「おう!」
「こ、声だけは元気なんだから……」
なんだかんだで流されてしまう。
「いい?
他の女の子に色目使わないでよ?」
「ヘーキヘーキ! 憧がいれば大丈夫!」
「もう……」
『もう』、『仕方ない』と自分に言い訳をつける。
女の子は、言い訳が欲しい生き物だ。
なんだかんだで、新子憧も須賀京太郎のことを気に入っているのである。
10/10
……
…
・電話中
/ / ` 、
-'‐┬i / / \
'´ ,ィ 7¨ト、 : :. :./ .: /. . . . . . . .l i
/:.:.// :/ .: |: :\ / .: / : : i!: : : : :.: :.:. l |
/ .: :/ / : ′.: ト、: : :′:/: : `メ!. :./:./: : ,/: :.|:.:. l
. / .: :/ / : |: :. :.|: :\|.:./: :./ノ_X. /!: :〃:.:l:.|:.:.:. |
,′ ′,′.:. :.|. : : .l | | {k:ノン ィか:.l:.|: :.ハ/
. ′ : / .::. :.|: : :.:.ト、. | | ,,`¨´ .んク |:.|:ムイ
| | ′.:.:.:./|:. :.:.:.|__.l | | ,`¨ォュ|:.ハ : |
| レ′.: : /:.:|:. :.:.:.l\ | | 、 ( ` ./iiry: ハ{l: :|
| | : | .:/. x<..| : : :.: | | > _ x升z7 / /.!: :!
| | :.:∨:.//⌒^l: :ト、:.ヽ..i人 ヽ{: : :├─v /イ |: :| 「それでね! それでね!
l : ト、: :∨,′ ̄ l:.:| ヽ:l ∧、 ハ、: : :、 ///! /: : |
∧:.|: :\:\ l: ト、 .jノ、\ ∧⌒! \:.{ イヽ .|\. :.l 須賀ったら本当は最初から私のことが好きだったんだって!
./: ∧!: : : :ヽ: : j/ ヽ. ト、、\ 、| / .ハ | | ∨
.:.:/!: :\: : :| |::| \ .ⅵ、 \レ'/ イ } ヘタレよね! カッコいいけど! もー!」
`¨¨¨ ´`
,. : ´: : : : : : : : : : : : : `ヽ、- 、
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{:{: :{l: |:{从_:{__{ }/イ__}/: イ/:/:}:/ /: : : : .
从:八:{ム,イ _斧` イ _)斧ヽ}:イ/_: /: : : : : :.
\{从{ Vり Vzソ |:/ Y: : : : : : : |
|: } ' |:l 'ノ: : : : : : : :|
|圦 _ , ,ィ|:|イl: : : : : : : : |
|:/ . イ_,/イ |:|: : : : : : : : 『その話毎日聞いてる。
}' `__-r-=≦__」'/::} |:|: : : : : : : : |
_,/:::::::「 ̄::::::::::_/|__|:|: : : : : : : :/ もう108回目だよ』
/:::::::|:`=={j====イ:::/::::`ヽ: : : : : ,
ーー最も、そのデレは京太郎に発揮されることはなく
遠くにいる親友が被害にあうことになったーー
カン!
だめんずうぉーかーあこちゃん
京憧スレ復活しないかなぁ。すごく丁寧で可愛かった
ぐうかわ!
1/10
【京ちゃん聖人化の過去】-京和次元-
大変なことがわかりました。
なんと、私の旧友の新子憧と私の未来の旦那様の須賀くんが♂付き合った仲♀だと言うのです。
そこまでは言っていなかった気もしますが、高校で再会した憧はすごく手が早そうな見た目になっていましたし。
大なり小なり一夜の過ちを行なっていてもなんらおかしくありません。
いいえ、行なっているに違いありません。
そう考えるとなんだか胸が痛くなってきました。
勿論、私が須賀くんの過去を縛っていいはずがありません。
過去に嫉妬するのがみっともないこと、と言うのは理屈ではわかります。
しかし、それで済めば乙女心は複雑にはならないのです!
……
…
名前:以下、名無しに変わりまして雀士がお送りします 投稿日: ****/**/ ** **:**:**: ID:nodoka
と言うわけなんですが、どうしたらいいでしょう?
名前:以下、名無しに変わりまして雀士がお送りします 投稿日: ****/**/ ** **:**:**: ID:???
のどっちは童貞厨なの?
名前:以下、名無しに変わりまして雀士がお送りします 投稿日: ****/**/ ** **:**:**: ID:???
のどっちの旦那さん(仮)は同い年なんでしょ
冷静に考えて28まで経験なしはないだろう
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どうしたらいいも何も、どうにもならねぇよ!
名前:以下、名無しに変わりまして雀士がお送りします 投稿日: ****/**/ ** **:**:**: ID:???
別に旦那さん(仮)が浮気しているわけでもないし、どうでもいいのでは……
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のどっち……。俺ら童貞と絡み続けたせいで頭の中が童貞になったのか……
名前:以下、名無しに変わりまして雀士がお送りします 投稿日: ****/**/ ** **:**:**: ID:nodoka
なんですか! 私はうら若き乙女ですよ!
それに婚約者でもないのに身体を差し出すなんて不潔です!
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のどっちのその考え、俺は嫌いじゃないぜ
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そもそも恋愛とか幻想だからwwwwwww
やっと二次元から三次元に戻ってきたの?wwwwwww
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やべーぞ。のどっちが弱体化したからすこやんが復活した!
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すこやん代表戦あるんだからネットやってないで寝てください
2/10
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要するにのどっちは昔の彼女は抱いたのに自分が抱かれないから不満なんでしょ
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ああ、それは不安になるかも
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昔の彼女とヤった時にトラウマになったとか?
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それは結婚生活にも支障が出るな……
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そうなんですよ!!!111!!!!!
イチャイチャすっぽりするつもりだったのに!!!111!!!
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そっちかよ!
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いや、違うな
のどっちガチ凹みしてるでしょ
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べ、別に私の知らない誰かなら構わないんですよ
ただ知り合いだったのがなんかこう辛いんです
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恋愛wwww結婚wwwwwそんなオカルトありえませんwwwwww
子供はコウノトリが連れてくるんだよ。お母さん言ってたもん!!!11!!!1
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すこやん、あまりお母さんを泣かせないであげて……
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まぁ、知り合いと穴兄弟だったらすごく複雑だよな……
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↑も似たようなことあったの?
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今の彼氏と昔の彼氏とトライアングル穴兄弟だったんだけどさ
やっぱり複雑だよ
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ん……? んんっ!?
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のどっちスレにはホモもいるのか……
3/10
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と言うかさ旦那さん(仮)ってこのスレ見てるんじゃないの?
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そ、それはやめてって言いましたし!
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まぁほら、匿名掲示板ならTwitterとかでネットの知り合いと話してるようなものだと思えば……
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のどっちの過去をぶっぱしてもいいけど旦那さん(仮)はやめたげでよぉ
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もう直球で聞いちゃえよー
ずっと心にシコリを残したままじゃ結婚生活もうまくいかないだろう
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シコシコシコシコシコ!!!111!!!!
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でも、怖いんです……
名前:以下、名無しに変わりまして雀士がお送りします 投稿日: ****/**/ ** **:**:**: ID:???
め、面倒くせぇ……
名前:以下、名無しに変わりまして雀士がお送りします 投稿日: ****/**/ ** **:**:**: ID:???
じゃあその女の子の方に聞けばいいんじゃないの
名前:以下、名無しに変わりまして雀士がお送りします 投稿日: ****/**/ ** **:**:**: ID:???
別に男を巡って仲が悪くなったわけじゃないんでしょ
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き、聞いても大丈夫なんでしょうか
名前:以下、名無しに変わりまして雀士がお送りします 投稿日: ****/**/ ** **:**:**: ID:???
どっちに聞くにしろ、のどっちの心次第でしょ
名前:以下、名無しに変わりまして雀士がお送りします 投稿日: ****/**/ ** **:**:**: ID:???
今のままが嫌なら聞くしかないし……
…
……
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,. ´ __ `¨¨ヽ
,  ̄` / ヽ `ヽ
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/ /,´ / | ヽ .
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l// / , / ' l| | | | | | | | |
_/ ィ / { l |__|_{ |∧ }/ ' / l | ∧
 ̄ {〃 Ⅵィ斧从 } /-}/-/、 , /-、 ∧}
/ , 从 Vり ∨イ ,イ斧ミ、}/ /⌒ } | '
/ イ从 l ム Vり ム' ノ/}' 「憧と話したんだって?
´ \∧ ' ,r ' /
、 v ァ / 从/ なつかしーなぁ……」
\ `こ イ _|、
` r ´ //∧
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「 | //////////> 、
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i :|.| :.:.:i i i_:|、!、:.:.! i:!、i:.:.:.:.:.:.i:.:.i _;彡';tr=、 ヾ、"' /ヽ |':.:.:.:.:.:.i:.:|:.:.:.:
. ! i:i! | ..:i :i:.:.:i`iー>ト-!、丶:.:.:.:.:i:、^V i_;:::::::ヽ / i: : : : :.:|:.:|:.:.:.:
、:!:i、:.:.i:.:.:.:.|:.i:、:.7メ'f:::::::ヾー\:.:.:.:、`ヾ <;;;:ン ′ ノ : : : :.:.:!:.|:.:.:.:
ヾi 、:.\:.:\:.]〈 っ::::;:i  ̄` _,∠|:|: : : : .:|:.|―-
ヽ!:.i、`゙ー-r≧ >≠ , " " / |:! : : : :.:|:.!////
|:.|:.:.:.:.:.:.:\! ,, ,, / i!: : : : : ::i:.i////
|:.|: : : : :.:.:.i i r== "ヽ / i: : : : : :.:i:.|////
| |: : : : : :.:i:.:|\ ∨__ノ) / /: : : : : :.:i.:|//// 「ヴォワアアアァァァァァァーーー!!!????」
|:| : : : : :.:.|:イ |:::|l`ー-..、  ̄ ̄ / / : : : : : :.:|/////
|.|: : : : : :.:|:∧ i:.:!i::::::::::::::`i ー-‐ ' ,..-‐:/: : : : : : :.:.i!/////
まさかの須賀くんから話題を振られて死ぬほどびっくりしてしまいました。
変な声出てませんよね!? 出てません!! セーフ!!
「ま、まさか憧と須賀くんが知り合いだと思いませんでしたよ」
「そーいや話してなかったなぁ。
ごめんごめん、別に隠してたわけじゃないんだけどさ」
「そ、そうなんですか?」
「うん。
憧が和に話してるかと思ったよ」
隠してたわけじゃないんですか。良かった……。
って、須賀くんからも『憧』呼びで仲良さげじゃないですか!?
あ、でもそういえば私も昔から名前で呼ばれてましたね……。
「仲良かったんですか?」
「まぁ、それなりに?
講義が一緒になってからは割と一緒にいた気がするよ」
「そ、そうなんですか」
ま、マズイですよ。
これは憧が体を使って籠絡していた可能性が高いです。
ダメです。不潔です!
5/10
……
…
. :´ . : . : . : .`: .
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|__: . : . : .i: .|: . : . : .|: . : . : .| ゚,:}ヽ/:.‘。 : ぃ
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/: イ: .|∧ ミ . : |: .|: //フ7¬ }: . /| ィi爪㍉}:.:|:ハ /
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:./ : ..|: . ∧ . : |: .|斤:i:i:(_, 弋''ツ |: |: .i ( \ -‐ 、
: / | : |: . : ∧: .ハ:卞::i:lil刈 |: |: .| ヽ у´ ___}_
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|: . 。: . : . :∧ い ゚:':':': -┐ }: |i:∧ | ――‐{ 「女子力を高めにスイーツ巡りの旅に行くわよっ!」
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/\'´ /{ | 从{__,. \∨Vソ }イ ト、 ∧{
////\ r--- ´八 !∧  ̄ ,: :.:.: }/ノ/ リ
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//////////〉 込、 __ ,.: / 「俺、男なんだけど……」
///////// / }>、 ` イ |从
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「細かいことはいいの!」
「つーかさ。
憧のネイル、なんか武器みたいになってんだけど……」
「最近はネイルがモテるらしいわよ?
お化粧とネイルは女子力に必須よ」
「限度があるだろっ!
それ危ないって!」
「あ、最近は水筒女子が流行っているらしいわね」
「ああ、だから肩にそのレジャー用の大型水筒なんかぶら下げてるのか……」
「お、重いわよ。
でも女子力は我慢らしいわ!」
「あー……。
はいはい、俺が持ちますよ」
…
……
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} ∧ /イ / 「色々あったなァ……」
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{少′ / ,i l ト、 i ,ィマ、
Y / /// | l| | ハ 辷='/|:..ヽ\
イ ′ / | { | 从、| } |彡' /|:.:i:.:.|,∧
. { | l l―‐ {(リ八「―‐メ、 彡个rイト、
リ、_! l リィチfト '行タト、彳,ィl |:.:| |:.:i
l_,以 { ヒtリ ヒztリ |f リ| |:.:| |:.:|
「 l 「ト ' _,イ | |:.:| |:.:|
} } ハ _ ,ィ' ) ,j リ 刀 「
/ /,イ| |l>、 ,ィ |ノイイ / リ |
/ /リ |:! !仏ィ_〕¨ 》,// / /| ! 「(すごく遠い目をしてますね……)」
. / / r廾 .|「{: |-、 __ / // ,ヘ〔 .j {
〈 イ ∧V /:.:.: :|__´_./: :./ /:.:.:.:.>))
} } /`Y'| {:.:.:.:.:.l /: : 〈 〈:.:,イ´ /{,
j/ }`ー冫j\:.:.:| /: : : :___)ノ/i´r‐'='}
ト ン′`ヾ >-r'< ̄ _彡冫=v' 人
. }/:.:. . :.:.[二]-:.―'´. : :.:.:.:.:V / ∧
i':.:.:.. . . .: : :∧Ⅵ:.:.. . . : :.:.:.:.:.:i // ,/ イ
{ : : : : : : }:.:|:.i:{:.:.:.: : :.:.:.:.:.:.:.:.:.:|r<´ _.!
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∧ヽ { >=-.¨|:.:.:.:.:|==-__--,イ}:{ 丶、._〉
〉ヘ ':;:...| //´ |:.:.:.:.:|: : `¨ー= イ{l! ';:.. {
「そんな感じでさ。
大学デビュー? したがりの憧が色々勘違いするんだよ」
「そうだったんですか。
須賀くんは面倒見がいいから大変だったのでは?」
「そりゃ、もー……。
咲の面倒を見てた時より大変だったよ。
咲は一人で自爆するけど、憧は他人を巻き込むからな」
「あぁ……」
憧が勘違いして突っ走る様が容易に想像できます。
小学生の頃の憧は私より常識的だったと思いますが、高校で再会した時にはギャルデビューしていましたし。
でも根が真面目なので変な方向に突っ走る。そんなイメージがあります。
7/10
でも、色々と納得がいきました。
私が変な方向に突っ走っても動じずに見守ってくれるのは、咲さんや憧と関わることによって須賀くんが慣れたからなのでしょう。
もっとも、心の中は複雑です。
「須賀くんはーー」
「何?」
「……」
これを聞いてしまえばもう戻れない。
憧のことを話す時の須賀くんはとても楽しそうで、今の須賀くんは咲さんのことを話そうとしません。
おそらく、彼の中で整理がついているものとついていないものなんでしょうか。
私は須賀くんのことが好きです。
好きだからこそ、よく見てしまうからこそ、彼が何を考えているかなんとなくわかってしまう。
:::::::::/: : : : : :,: : : :ヽ/::::::::::::::\ /::::::::::|
:::/: : : : : :/: : : : : :}:::::::::::::::::::「.|::::::::::::::ト、
/: : ‐--: :/: : : : : : : :|::::::::::::: >!ノ_:::::::::::/ ',
: : : : : : ::,': : : : \: : :!::::::::_//|:\:::::::::::〉 : :',
: : : : : : :.:: : : : : : : : : 7 ̄::: :ィ .}::::::\/. !
: : : : : :,': : : : :: : : : ∠ィ、:::::::::| :|:::::::::}/: // リ
: : : : :.:|: : : : : : : : : : : / \_| :|/^リ/// /
:.:: : : : |: : : : : : : : : : / : : : :| : : |:////
,: : : : :.',: : :,,,_: : : :〃 : : : : | : :! ̄ /
ト、 ̄´: ',:.: : : : : : : :/ : :/: : | ! ;
: :\: : : ヽ: : : : : : / :./: : :.| | / 「憧と、付き合っていたんでしょう?」
: ||: :\: : : : : : : :/ : /: ::|: i| | /
: ||: : : :\/\:/ : /: : /!: i|゙ |′
: ||: : : : .リ / : /: : //!:.:i|. |
: ||: : : ::/__./ : /: : //=!:.:.|. |
/ ' | ', :}∧∨',ヽ, / V | | ' /: : :ヾv v
' :| ', , } ! V / :| V | |{ ,: : / } ヽ v
' / ! :{ハ ハ ∧ } V| /{ V |_, v! | } ヽ
' :, ' , ' ∨∧ ' ,}イ' _j{≫!7:f心刈 V / {l 、|斗 ―――
/ ,∧ ∧ー=ミ{__ ヽ ', j{⌒'| 7/j' j'うゝ:ア | ' ' ' :{l ヽ! `ヽ
,' / ∧ ∧:、 {`~^ ー-- /: : j ^ ≫'’ V' _ノ {l | V
/ ,' / j{∧ ∧ヽ{ ,ィァ=v云| ': : : i| ~´ ' 「:\ } {l ,ヽ
,' ./:| / v∧ {ヾ八{ ヽぅ! /: : : U し :!: : : V:V , \
! ./ | / ヾ∧ ,、\: `: : : :|/: : : :、 }: : : : : ' ,
|/ :| ' )ヽ , \ヽ: : : :': : : : ノ! 八: : : :' ,
' } / / ヽ 丶: :.} !: : : `: .、 _ ': : : : : ' ,
j/ , \し: : : : : : :. _,. '" /: : : : : ' , 「……はいぃ!?」
, ヽ.,: : : : : :冖、 _ ,イ{: : : : :/ !
、 > .,: : : : : : ( /: U : : :./ |
| ヽ / :≧s。.,:ヽ _ ./\: : : : {「 \ |
あれ?
予想していた反応と違いますよ!?
「いや、付き合ってなかったよ?」
「あれ、そうなんですか!?」
「どうしてそうなったんだ……。
いや、男女が親しかったらそう思うのも仕方ないのかな?」
それを言い出したら清澄は須賀くんのハーレムになってしまいますよ!?
そういえば、憧は別に『付き合っていた』とは言っていなかったような……?
8/10
「まぁ、そうなるのかなーって思ったことはあったけどさ」
「あ、やっぱりそうなんですか」
少し胸が痛む。
自分で聞いたことなのに、やっぱり辛い。
「いや、こいつの面倒俺が見ないと誰が見るんだって」
「……」
「でも、そうはならなかったな。
就活で忙しくなって、それっきりだ」
「そう、なんですか」
「はは、人脈って切れる時は一瞬だよなぁ」
ちょっと寂しそうな顔をする須賀くん。
庇護欲なのか、愛情だったのか、私にはわかりません。
しかし須賀くんにもそう言う時期があったのでしょう。
「だから俺は、和と再会できてよかった」
「うひぇ!?」
「高校の頃好きだった和と再会してさ。
今の自分なら和と見合うと自信を持って、告白できたんだ」
「ーーーーー!!!!!」
そ、それはマズイです。
顔が赤くなってるのがわかります。
もう、なんて恥ずかしいことを言いだすんですか! 嬉しいです!!
「で、でも他の人と遊んだりしたんでしょう!?」
「あ、あはは?
社会人になったら付き合いでね?」
「も、もう。
別に怒ってはいませんがーー」
ふ、ふふふーーー
なんてことはないです。原村和大勝利! そう言うことですね!!
-‐…‐-
´: : : : : : : : : : `` .
/: : : : : : : : : : : : : : : : : :\ ___
. : : ::/: : : : : : : : : : : : : : : : : : 〈i:i:〈
. / : : :/ : : : :/ : : : : !: : |: : : : : : : :〈i:i:〉
/:: : : : : : : : : ::∧: :/|:: ::|i: :|::| : : |: : ¨
, : : : ||: : /!: / ∨|: :|i: :|::| : : |i: :|
. ,: : : : : :|: Ⅵ斗ぅ气ト ムイ≫冬ト: :从/
′:: : : ::|: : | 乂rツ ヒrツ.ムイ: ::|
.: : : : : ::|: : | ,.,.,. 、 ,.,. .′:: ::|
,:: : : : : : ::|: : | 、 , , : :|: : :|
./:: : : : : : :::|: : |: :} iト イ: : :|: : :| 「(新婚初夜は須賀くんの凄テクで乱れまくりですね!!!!11!!!)」
:: : : : : : : ::|: : |::j{ うr≦: : : |: : | : |
: : : : /i:i:i|: : |:i:i:i:\ }:i:i:i:i:i:i:i:i|: : :|
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/ / ./ ,ィ ヽ ヽ_
/ / ./ // /! |l! .lY'::::::::::)
; i くlハ //,ィ / .| リ! j l }::::::::::l!
|イl! ' _`Vメ、 l / __.! ./_l/__ ノ l::::::i='ヽ
ゝゝ| ;´んィ:!` =j/__ノノイ /¨T ヽヽ
|| l 弋_丿 'んィ:!.ヽ// ,' ! } }
|| l 、、、 弋_丿 // .,ヘ .! j/
|| l ' 、、、 // ./イ |
|| ::ゝ. __ // ./. ! |
|| | l > ´‐-' _イ//∥| l |
|l!. l_L:;ノ:.ト!¨ T¨ェ:://.∥ll! l |
l|-、 ヽ: : : :.l! ̄` |:.:.// /l!ll| .! | 「ぶっちゃけ、結婚前に私に手を出さないのはなんでなんですか?」
/-、:::ヽ ヽ: : : l ̄ ̄l:.// /: :ヽ! .! !
. / | >ヽ ヽ:.:.:l l;'///: :/\ .| |
. / l . /ヽ:ヽ ';.:ヽ /:::////、 \ |
人.. V } :!:ヽV/'/l;;;_/ Y ..人 !
. / ヽl l ! [__] / .l i/ ヽ|
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/ | :. `ヽ、
/ / / l| V ` 、
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| | | | |∧| { : ハ V 、\  ̄´
| | {/--{ 从 | , |-|、 | 、 \`
' | ,..- | | | ,ィtォ=ミ∧ |,ィtォ、} / |l ハ\_、
/イ{ { r 从 { Vソ ∨' Vソ/イ |∧}
∨乂 \ |/ j' リ
}∧ ー:. ` ムl/
/ 、 八 U _ _ 人 「いや、和のお父さんって厳格な人だろ? ちょっと怖いし。
}イ/|\ /
「<l| ` .__/_ 誠実なお付き合いしたほうがいいと思ってさ」
|////>、 | 「/|
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,∠、 / ヽ
/ |: :/ \へ
/ ̄¨ヽイ |:/ / / /||:! ! | ! .|
!: 〈〈: /:{: ': ,': ':::|::|: l::l: l::l ,ィ: ! l ,!
∨ ノ¨ト==イ: :! l斗十ナナノ.:|: /::l. /十ト、l: i〉
¨フ´/ !: : : :! 、トト、!ィチ^:丁:::}/ :::}'::::::!ノ :: !: l リ
. /: 〃 |: : : :|ミソ :::〈 l{::::::::| :::::::::::::::rf示、 ノ ノ/ /
レイ ト、_|: : : :l ヽ 弋:zソ !::::}l }イノイヽ
|.: : :|: : : : .: | :::::::: , 辷リ !:. :. :.:ト、 \
|.: : :|: : : : .: ト、 :::::: |: : : : | ⌒
/ : : :|: : .: .: lミ、Y ‐ - ノ: : :. :.|
. /, : : : |: : .: .: l ! ヽ イ|: : !:.| 「……なるほど(クーリングオフとか言ってましたしね)」
// : :|: : : : :ハ | ` . _ x<: : |: :!: : :|:. :!
. // . :/!: : : : ∧. ! | |: : : :.|: :!: :. :.、|
// . ::/∧: : .: ∧`ヽ. l ヽl、:: : |: :l : : : : ト
. // . ::/厶 ヘ.: ∧ \ `ヽ. ヽl : l : : : : | ヽ
// , < \ \ \ ∨ `|: :. :. :.| \
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……
…
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i/ ._,./::iヽ,
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i: :./: :.i : l: :l: : il: : : : i: : :.li: : ; i: ヽ::::;;:::i::i:::::|
冫/:./i: : li: i: : i:.|: : : |: : :|: |: :|i: i: :冫:::::/iヽ,l
!,::i: :i:.|: : |:| |: :.i|:.|: : :|i:、:.|: :.|: |:|: |; iゝイ:::i;::::\
./|:.|i:.|: : |:i-|─l.;イ: :.! l`|─l-l-:l|´l ||: リ::;,!l__/
く;;;|:|'|:.l: :.||'ャii;;;;;;;iィ\!' 'ヤi;;;;;;i;'ヤl|_,.! '´:|: :l: |
l! l!,\l !:ヽ辷ソ ヽ==ソ .! |: : :.|: :|: |
/|: |: :|i :::::::: 、 :::::::::: .;ィ'| : : :|i: :i: |
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. / /| |: :|: ||`ヽ 、 V ) , イ | : :|i |: :|:|
/ ./:|:l: : |: || | _,`,iー "´ ィ冫、.|i : |:| |: :.i'; 「と言うわけで整形してきてください!!!!」
;´ /:.i|i : :l_,..-‐'''´:/:イ /:::::::::::|:| . i|.,| |: : ハ
; /: :i:|: : :|:::::::::::::::iニ-ー,/::::::::::::::::|:| . :.l|;´ヽ,: : ハ
i /: :.l/|: : |::\::::::::| /:::::::::::_,.‐'_;i ; : : l; /`il: :i: :',
,': : :/.l: : |i.\;;:`ヽl /;;;.:-::':;´‐''~/;': : // :|i: :l: : i
. iil: :.i .l: : i .'._ .゙''.‐.,y,._≠'' ´,,..‐//: : / i |:l: :i :i: l
l!i :i; lil! l `゙''ー;-'‐;:-‐ ''´ //: : .;'`;.|. |::|i:|: .i |
', / l:!l:l l トーィ;" ;'/i:.i .i i| |::||:l: | l!
;' li l:l i / .i ,! ;' l:li :l '; i |::|: i:| !
,.ィ:、フ、: : \:`:ヽ.、
/ :ハ:!-‐i: 、:ヽヽ-、: ゙、
/ /:ハ: 、 }ハ:j!`、i!ト、:、\
i.i : | __,...__ iリ _ル.._|:i:iー-ゝ
|:!_:i! rェ:ェ、,. /ィ:ェ、 };!!
{^}j 、 i !}
!、_, i ,. 〉 'i
i: i ! , _.. .._ / 「!?
゙i"\ ` 二 /
/i_ \___,.イ しかし和を嫁にもらってくれるなら整形くらいならば!?」
_/ \_ /,ノ\
_,..-'′\ /―< ト、_
_,....-‐''" \ ∧::_::;!\ | `ー--、
/'" `′ヽ::::i `゙′ \
カン!
お待たせしました。京太郎の過去話
咲ちゃんへの未練が微妙に断ち切れないまま揺杏と結婚した京太郎ください
乙
変えるべきは顔より声だと思う
1/10
【何時ぞやのリクエストの小蒔ちゃん】-単発次元-
___
<: : : : : : : : >. . .
. : : : : : : : : : : : : : : : : : : `ヽ
/: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : .
. ,: : : : : : : : : : : /}ハ: : :|: : : : : : : : : : : :.
/: : : :/|: : : : : : :{T} |: : ト}: : : : : : : : : : : :.
,: : : : {斗: : : : : : lノ / : ノ ハ: : : : : : : : : :∧
,: : : : :{.芹ハ`¨゙ {r': :リ }〉: : : : : : : : : /: :|
. {: : : : :} 弋ノ `¨´ ノ:: : : : : : : : : : : !
|l : : : :| ' ム:イ⌒Y: : : : : : !
. {ハ: : /{ } .リ: : : : : ハ{
. | ∨: :、 r , イ: : : : : / :l}
. 乂. ∨: \ イ: : : : : : : / ノ 「須賀様。お久しぶりです」
`ヾ: : : . < ト : : : ::/
>: :`: :≦:} //: : :{
_ 。r≦: : : : : :r´ .ノ .//: : : : ∧
,r≦: : : : : : : >'´ // .//: : : : : :/ }!、
,イ /: : : > 7´ ィ////: : : : : :/ .リ \
. / {: : / / < /// / : : : : / / Y
l{ !: :{ // / / {: : /{: { <
ゝ_ゝ:乂 / / 乂 |: / .乂 |
/ - ‐アイ. / ゞ | |
. / ´-っ ././ }!
../ ィ7 / ノ r ミ ハ
/,' {. { ∨ / ∨ 〉
/ ' | ', :}∧∨',ヽ, / V | | ' /: : :ヾv v
' :| ', , } ! V / :| V | |{ ,: : / } ヽ v
' / ! :{ハ ハ ∧ } V| /{ V |_, v! | } ヽ
' :, ' , ' ∨∧ ' ,}イ' _j{≫!7:f心刈 V / {l 、|斗 ―――
/ ,∧ ∧ー=ミ{__ ヽ ', j{⌒'| 7/j' j'うゝ:ア | ' ' ' :{l ヽ! `ヽ
,' / ∧ ∧:、 {`~^ ー-- /: : j ^ ≫'’ V' _ノ {l | V
/ ,' / j{∧ ∧ヽ{ ,ィァ=v云| ': : : i| ~´ ' 「:\ } {l ,ヽ
,' ./:| / v∧ {ヾ八{ ヽぅ! /: : : U し :!: : : V:V , \
! ./ | / ヾ∧ ,、\: `: : : :|/: : : :、 }: : : : : ' ,
|/ :| ' )ヽ , \ヽ: : : :': : : : ノ! 八: : : :' ,
' } / / ヽ 丶: :.} !: : : `: .、 _ ': : : : : ' ,
j/ , \し: : : : : : :. _,. '" /: : : : : ' , 「ここどこぉぉぉーーーッ!?」
, ヽ.,: : : : : :冖、 _ ,イ{: : : : :/ !
、 > .,: : : : : : ( /: U : : :./ |
| ヽ / :≧s。.,:ヽ _ ./\: : : : {「 \ |
須賀京太郎。
彼は清澄高校に所属する一部員。……のはずだ。
しかし、そんな彼に最近悩みが出来た。
「落ち着いてください。
ここは私たちの地元です」
「地元ォ!?
俺、長野にいたはずなんだけど!?」
「えっと、攫わさせていただきました」
「またァ!?
一昨日も攫いましたよね!?」
ーー最近巫女さんに拉致される。
彼の悩みはそれだった。
2/10
……
…
出会いはインターハイだった。
買い出しに出かけた須賀京太郎は唐突に意識を失った。
起きたら目の前に巫女さんがいた。
「姫様が男を攫ってきたのですよー」
「ここどこ!?」
明らかにインターハイの会場とは思えないビーチ。
水着を着た美少女たち。
いくら京太郎が女性に弱いとはいえ、はしゃぐには状況が悪すぎた。
「あ、あのー。
これはどういうことで……」
「ふんふむ。
どうやら神様に憑依された姫様が彼を攫って来てしまったみたいね」
「何か惹かれるものでもあるんでしょうかねー?」
「……供物」
「誰か説明してくださいよっ!?」
よく見れば美少女たちはつい先日清澄と対決した永水女子の方々だ。
普段の京太郎ならば鼻を伸ばしてデレデレとするところだが、生憎今日はそんな余裕はない。
彼女たちもなんだか集まってヒソヒソと話し出す。
なにやら自分が悪い気がして来てしまう。男のサガだった……。
「ええっと、貴方の名前は?」
「(この人胸デカすぎだろ……)
す、須賀京太郎です」
「ふんふむ、須賀ねぇ。もしかしたら何か関わりがあるのかしら?」
「お家が神社ってことはないですかー?」
「そういうことは特にないですが……」
特異な状況ゆえに相手の話に付き合うしかない。
少し落ち着いて来たので美少女の水着姿を堪能させてもらう。
うむ、眼福だ。
「もしかしたら薄まった血がなんやかんやして反応したのかもしれないわね」
「そうですね。なんやかんやして隔世遺伝が起きたのかもしれません」
「なんやかんやですか」
「なんやかんやです」
なんやかんやはなんやかんやです。
3/10
「ううぅ、すみません須賀様……。
私のせいで……」
「あぁ、いえっ!?
貴女のせいじゃないですよきっと!」
やっとお目通しが叶ったようで、神代小蒔が目の前に現れる。
いきなり謝罪されたが、京太郎からして見れば特異な状況ではあるが恨みはない。
むしろ慣れてしまえば水着美少女に囲まれたパラダイスだ。
礼こそ言っても恨むことはないのだ。
「ですが、お忙しいのでしょう?」
「いいえっ!?
そんなことないですよ! ちょっと哺乳瓶を買いに行っていたくらいで……」
「哺乳瓶?」
「ああいえ、なんでもないです!
とにかく暇で暇で、俺選手じゃないから別に大丈夫ですよ!」
ここぞとばかりにポイントを稼ごうとしてしまうのは悲しいサガだ。
半分は生来のお節介気質、半分は下心である。
「本当ですか……?」
「はい! むしろ貴女たちとお知り合いになれて得しちゃったな! なーんて……」
「あ、ありがとうございます!」
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|:::::::::::l `'. { ら-リ .l::ーリ}}.'::::::::::: |
|ト、::::::::: 、  ̄ `¨゚ ':::::::::/:/ 「ご迷惑をおかけいたしましたが、仲良くしていただければ……」
\{、::::`ヽ /i/i ' /i/i':::::/}/
-= ニ::::::::::/ { ` . . イ`'く::`ー=-_
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/::::::::-= 、 ヽ\ .// | \:::::::::::ミ、
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// .ノ \ ゙/ .l / \::::::::i
/ / | ハ | | i 、 ヽ \ \_
. i / | | | | | |、 i ゙、 、 \_ _>
| i | i | | | | ハ ハ _i!_ i \ ヽ` ̄ ̄
| | |+--|、_|! | | i! ,/.ィ'|"i´ ハ | i ヾ 、 ヽ
| | |.|ヽ |、_|王!ー |./i .;"´/=、!/ | ! | \ 、i 人
. !. r| i.|、!,,ィ'":::._iミi! |/ /彳:::: r:!ヽ,| ,イ | 、_ \ `Y´
. | |^!. N 《 _、o;;;;i_ 丶、/ / ┴゜‐'"´ !イ | λ i` ー--ヽ
! | i、i、 ゙、 ` ̄ ̄ メ( /^|イ `、|
ノi \ヾi:.、、 i! i ノリ `
| ヽ__i |イ|/
ヽ i、 i ____...., |/ 「お安い御用ですっ!! こちらこそ!!」
ヽ!、 i\ `ー-- ―'´ /、!
i !i 、 \  ̄´ /!/ 人
|ハ,i、! 、 \ / ./.| `Y´
ト、! ゙、 `ー---'′ /|V
4/10
……
…
「粗茶です」
「ああ、はい。
いつもありがとうございます」
「いいえ、こちらこそ姫様の我儘に付き合っていただきありがとうございます」
「ハァ……」
ーー冒頭に戻る。
その後清澄はインターハイを優勝し、長野に凱旋した。
そこまでは良かったのだ。
しかし、物語はここから始まる。
定期的に、それこそ二日三日ごとに須賀京太郎は行方をくらますようになった。
行方をくらます、と言っても行き先は一つしかない。
「あの、俺どうやって運ばれているんですかね?」
「さぁ……。
量子ワープ論がどうとか言っていましたが」
「そこは科学的なんですね!?」
「最近ガンダムを見たそうですから……。
実際には神の力を行使していると思いますが」
もっとオカルティックな何かかと思ったら、思いの外近代的な単語が出て来た。
いつものように永吸いに来たらお世話してもらっているのが彼女、狩宿巴である。
/| __
{.:| /: :_⌒ヽ
-─……─‐-: : `∧
/: : : : : : : : : : : : : : : : :.\:.
/: : : : : : : : : : : : : : : : `ヽ:.:.:.ヽ
:' : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :.,:.:.:ハ
|: : : :i: : l / l!: : : ト、 : : : :ト、 : : : : |:.::.,
|: : : :|: : |' |: : : :|'´\: : |‐-: :}: :|i.:.::.,
|: : : :|\|'⌒ | l: : :| \| ∨: :八:.:.:.,
' : : : |:l __ 乂 : :| ,イ示冬、〉:/ ミ:.:.:.:.,
|l: : : |:l_ ,竹冬、\| .乂:ン / }::| 〉:.:.:.:..
\{:|i:ハー‐" ' u r|::| '.:.:.:.:.:.:.:.:.:.\ 「まぁ、精々体が量子に分解されて一から構築されているだけですよ」
|:| 人" __ ,イ_}∧.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:、:..\
':} ‘ ′ ...: |八:∧:::|.:.:.:.:.:.:.:.ト、.:.:..
>-<:: / 〉-}/|.:.:.:.:.:.:.:.| \|
/ ∧:: / / \.:.:.:.:.:.:.| }
: : : : : |. : : : : :i |: : : :i:|. : : : ∧: :、.i. .i: : . ` 、
.: : : : : !: : : : : | |、: : :| | : : i | !: :|:| : |:、: : : : : : >
: : : : : :| : : |: i 「! ヽート!、: : リ !: |ハ: ト : | ̄ ̄
.: : :,..-、|: : :i: :|: !゙、 _、!二゙、-| イ: リ ! |ヽ:|
: : / へ.゙、 :丶ヾヽ<´{::::i` ヽ! 1!|:/| :!ノ゙、リ
: :ヽ \ : :!丶  ̄ Vイ:ハ |\:i
.: : 丶 \゙、 `> リ `
ヽ: : :`┬ 、 ヾ /
i: ;ィノ U ,....-ィ /
,,:‐レリ _  ̄ / 「ものすっごい不穏な単語が聞こえて来ているんですが!?」
゛=!_ \ `ー-、_ _/
::::::゛== 、 \ / ̄ヽ、
::::::::::::::::::::::゛===-、 >
5/10
京太郎としても美人なお姉様方とたまに遊ぶのであれば歓迎する。
それこそ土下座してお願いする話だ。
しかし、誘拐の頻度は二、三日ごと。
姫様ーというか神様ーが満足したら返してもらえるが、日常生活に支障をきたすレベルである。
「もうこちらに移り住んでしまったらどうですか?」
「嫌ですよ!?」
美人の方々は好きだが、それはそれとして、という話だ。
長野で普通の高校生活を送るのになんの不満もないし、青春を楽しんでいる。
いきなり人生を捨てて永水に来てくれと言われても首を縦に振ることはできないのだ。
「私たちとしても殿方が一人いると何かと便利ですし」
「便利!?
便利って言いましたよね!?」
「雑用などをお任せするわけじゃありませんよ。
なんやかんやです」
「なんやかんや!?」
不穏な単語しか出てこない!
恐怖する京太郎をよそに、巴は席を外してしまう。
,.....──......
,ィ::::::::::::::::::::::::::::::`ヽ
,ィ:::::::::::::::/::::::::::::::',:::::::::',ヽ
,':::::/::::::::,イ:::::::::::::::::ハ::::::::::',ム
. ,':::::::{::::::ハ‐{ハ:::::,'.}:::,'-:::::}::::::',::',
ハ::::::::ハ从 ', 乂| リイ ,'::イ:::::::,'::::',
V:::::::::{ 「l 「l 'ノ::::/:::::::l
ム:::⌒l. l」 l」 'イ⌒,:::::}
{{.!::',. } 〃 〃 .} /::ハ}
',乂::ヽ、 ⊂ニ⊃ U .イ-'::ノ }! 「あの、いつもすみません……」
゙ゝ::;> _ .<::,イ ノ′
/:::}/、ヘ/'ヽ、 {::ヽ
/:::ツ ヽ ≠ /` ',::::ヽ
,イ:::::イ 〉′ / )::ハ::)
,イ (::,' / /. Vイ ヽ
r-',__/ヾ / , ′. ',__ ノ_
7_}-.{. / ./ }─ヘ┤
. 7 人 { 〈 人 ',
. / ヽ-=ニニニニニ=──く ',
/ }={ニニニ只ニニニニ7{_ ',
/. ノニ{ニニリニマニニニ}ニ', ',
. /. /ニニ≧=ニニニニ=≦ニ', ',
代わりに出て来たのは彼女たちの主人、神代小蒔だ。
一連の騒動の主犯にして原因らしいのだが、本人に自覚はあまりない。
何せ眠っている間に神様が拉致してしまうというのだから仕方ない話だがーー。
6/10
「ああ、うん……。
小蒔さんに悪気がないことは何度も聞いていますから」
「ううっ、私が神様をちゃんと抑えていれば」
「神様はなんで俺なんて攫うんですかね……」
「なんか『気に入った』とかなんとか言っていましたが……」
はた迷惑な話である。
目の前の小蒔は申し訳なさそうに小さくなっているから許せるが、神様は目には見えない。
不満を向ける先としてはちょうど良いのだ。
「ハハハ……。神様に気に入られるとかすげーな、俺」
「本当ですよ!
普通ならすごく光栄なことなんですよ」
「へ、へぇー……」
オカルト、と言うものを自分の身で体験してもイマイチ納得ができない。
相手が可愛い女の子でなければ怒っていたかもしれない。
「でも、須賀様は非常に穏やかで話していて楽しいですから、神様が気に入ってしまうのもわかる気がします」
「ぞ、俗な神様ですねぇ……」
「神様だって何千年も存在していれば変わりますよ。
最近はスマホゲーにハマっているらしいですから」
「神様もスマホ持ってんの!?」
「人間が変わるのならば神様が変わるのもおかしくないのでは?」
「問題はそこですか!?」
ーーそしてスマホにハマってるなら俺を連れてこないでくれ!
「あっ、それはそれとして側に置いておきたいらしいです」
「あのっ、ナチュラルに心の中を読まないでくれません?」
果たして、今目の前で話している存在が神代小蒔なのか神様なのかわからなくなる。
こんな俗な神様がいてたまるか! と思うが変に考えるとまた心を読まれかねない。
「で、でもっ。
私は須賀様のこと、すごいお人だと思っています!」
「はい?」
「こんな状況になっても私のことを怒りませんし、とても優しい方だと」
「それは……」
目の前に実るたわわな果実のおかげです。
一瞬心の中に浮かんだ言葉をすぐに打ち消した。
7/10
「まぁ、最近慣れましたしね……」
「霞ちゃんも須賀様のことを褒めていましたよ!」
「ハァ……」
やはり女所帯の中での男は警戒されるようで、実際に褒められたことなど一度もないのだが。
現に今も神代小蒔と一対一ではなく、先ほどから空気と化している滝見春が側にいる。
__
__ {::/⌒`ヽ
...:::´::::::::::::::::::::::`::::..<:: ̄:::ヽ
/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ:::::ハ
/::::::::::::::::::::::/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ:::::∨
./:::::::::::/:::::::::/::::::!::::::::::::::::::::,::::::,:::::::ハ:::ハ
'::::::!:::::;:::l::::::::!:::::::|::::::l:::l::::::::::!::::::|:::::::l::'::/
|:::::l::::十:|―:l!::::::||::::::|::;!:‐:!:十::::!:::::::!::}〈 ポリポリ
|:::::l::::::|:::|::::::l|::::::||::::::|/|:::::|:::|::::::|:::::::|::}:::〉
.├ ┤ ┬‐‐┬ー' ― '┬‐‐┬::_:!:::::/:/:/
..!::::::! .)///! ,)///! |::::::|:::〈
|:::::::| ゝ/_ノ ゝ//ノ |::::::|::::::}
!::::从 ''' |::::::l::/ 「……」
',::::::! \ -( ィニ|::::/´
l:::::| > _ _ < |::/::>
,:::| __ /| |ハ _ .|/::<
/∧ ', / ∧ヽ 〃
// / ', ', / / ', \
めっちゃ黒糖食べながらこっちを見張っている。
見張り役は交代制なのか、来るたびに人が変わっている。
「まぁ、そんなに悪い気はしないですよ。
ほら、美人さんたちに呼ばれるなんて男の本望というか!」
「美人だなんて、そんな……」
いつも咲をからかう時のように軟派な口調になる。
意外と言われ慣れていないのか、小蒔は頬を染めている。
「(この人、男耐性なさすぎだろ……。
女の園ならこんなもんなのか?)」
「えへへ、美人……」
「……迂闊な発言は死に繋がる」
「ヒィ!?
ごめんなさい!」
滝見春の口出しに思わず恐怖する。
しかし春は少し迷ったようで、それ以上突っ込んではこなかった。
「……違う。そういう意味じゃない」
「???」
イマイチ理解できなかった。
8/10
「美人だなんて、霞ちゃんの方が美人ですし」
「いえいえ、神代さんも可愛げがあってすごくいいじゃないですか」
「えへへ」
「……もう知らない」
わかってはいるがついつい口から口説き文句が出てしまう。
この神代小蒔、年上なのだが妹属性のようなものが付与されている。
からかえばいい反応をしてくれるし、庇護欲を擽られる。
京太郎にとって親しみやすい咲とよく似ていて、ついついからかってしまうのだ。
「須賀様は私のことを可愛いと思ってくれるんですか?」
「はい! とっても可愛いと思いますよ」
「かわいい……。かわいい……。えへへ……」
須賀京太郎は自分が的確に地雷を踏み抜いていることに気づかない。
「そういえば、今日はそろそろ終わりですか?
神様、満足されました?」
「あ、はい。
満足されたようなのでお送りしますね」
「良かったァ。
そろそろなんとかならないと、出席日数足りなくなっちゃいますからねー」
「出席日数、ですか?」
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i......!:::i:::::::::!>ィ!:}、!};ノ |:!:::}:ノ-、::::::::::::::::::::::::lリ
、:{、::{、\|´ !:::::i !ハ/ '^ ヽ::::::::::::::::::::::!
`丶` } <;ン /:::::::::::::::::::::/
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\ / }::::://::::::/ 「ふふん♪」
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/ ::|ー--「`ヽrr'´ヽ |
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京太郎は忘れていた。
目の前にいるのは、どんなに若くても神代の主人なのだということをーー!!
9/10
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. ,.:.:.:.i|.:.λ从i:| Ⅴ. : /|/,/ |/|/j {|.:.|.:.:.′
′.八.:.| Ⅴ/ | |.:.}.:.: |
|.:.:.:.:从ゝ ,.二 ,二..._ /./ . .:.|
|.:..:.:.:.| l.〃⌒^ ^⌒~ヾ .イ.:. .:.:.|
八.:.: ∧ム ' /ノ.:.:.:. /
\.:.:.:込 v:::ァ ′.:.:.:/ 「清澄高校は買収済みですからお休みは気にせずゆっくりしてくださいね」
\.: 、> イ /. /
/./ ノ` ‐‐ <\:≦
. ,.:.:.:./ / i| l} \. ′\
/7.:.;≦ 八. / ヽム.:.:′
,. ´;.:.:.′ \/′ / ′.|≧ 、
. ハ |.:.:| ∧ /. / |.:: | λ
/ i| 八.:.| ∧. . ′ ′. |.: ′/ Ⅴ
. /. i| 、{ ∧. ′. /. 八 / Ⅴ
/ / / / { } \ ヽ V V
_ ,.斗 // / ./! / ! :} } ' ヽ V', , ,
 ̄ ̄ / / / //_j_ ,' | |、 :} ' :| ,V斗=ミ{ , ,
/ / ' ,' ィ^~v{≧x、,ヽ,' /、ィ'"_j/ } /「 j |
/' / !/| /{ 斗-ミヽ ∨ / }/ア乏メヽレ } }レ
, | :| ハノ∥んr'j V / V' Vrソ 》 :} 八-、 '
/ >'/ ハ { :, ` ー≦' /' ヽ  ̄ /イ{/ヘ Yハ{
/ '" ∥ / ',从_}: 〈| } ! ∥ ヽ
7/ ヽ ' し /’
/’ ` _、 _ {ーイ/
、 f-――'ヽ 人レ'^ 「(あっーー!!)」
\ L∠二二ソ /|/
レ}h。 /r rー==ミ、
r「\__'}个 --- < | |ニニニヾ
|:| } | |ニ{1-B}ニ! __
|:| } / L!ニニニニ{ _,. 斗r≦ニニ=-ヽ
人:.、___」 ___/__/ニニニニニ7 ∥ニ/ニニニ=-,
, ‐ --、斗r≦ニ斗r'ニ7 ノ、 |ニニニニニニニニ/ .∥ニ'ニニニニ=-,
/ニニニニニニくニニニ/\ __ ,!ニニニニニニニニ, ∥/ニニニニニニ=-,
,-=ニニ/ニニニニニニニ\ニム jニニニニニニニニ, ∥'ニニニニニニ=-
/ニニニ{ニニニニニニニ∧ニム /ニニニニニニニニ, ∥ニニニニニニニ!
滝見春の忠告を理解する。
『死に繋がる』
それは永水にお仕置きされるのではなく、神様に捕まると言うことだったーー!!
10/10
……
…
・清澄
. /: : : : : : : |: : .:i:.|:.:.:.:i| |:.:.:.:.:.:.|!:.:|i:.:| 、:.:.゙、::、 ゙、゙、:::::::::::;::イ/:::::::::::::::i:::::
./ : : : |: : :i:.|:.:.:.:i:.|:.:.:.i| |:.:.:.:.:.:.:.|!:.| i:.:i 、:.:.:、:.、::.:.:.!:.:iヽ/:.:.:.|/:::::::::::::::::i::::
i: |: : : |: :.:|:.|:.:.:.:i|:|:.:.:.| ! | ..:|i. | .i: i ゙、:.:.i.;A-‐ハ:.!:.:.:.:.:.:.:..!:::::::___|::::
!:.i |: :.:| .:.:.i:.!:.:.:.|!.i! :l |:.:!:.:.:.:.:..i:.:.i ゙、! _/ハ:ハ/ |ィ;.:.,.-‐-、!:/.:.:.:.:.V/
i :|.| :.:.:i i i_:|、!、:.:.! i:!、i:.:.:.:.:.:.i:.:.i _;彡';tr=、 ヾ、"' /ヽ |':.:.:.:.:.:.i:.:|:.:.:.:
. ! i:i! | ..:i :i:.:.:i`iー>ト-!、丶:.:.:.:.:i:、^V i_;:::::::ヽ / i: : : : :.:|:.:|:.:.:.:
、:!:i、:.:.i:.:.:.:.|:.i:、:.7メ'f:::::::ヾー\:.:.:.:、`ヾ <;;;:ン ′ ノ : : : :.:.:!:.|:.:.:.:
ヾi 、:.\:.:\:.]〈 っ::::;:i  ̄` _,∠|:|: : : : .:|:.|―-
ヽ!:.i、`゙ー-r≧ >≠ , " " / |:! : : : :.:|:.!////
|:.|:.:.:.:.:.:.:\! ,, ,, / i!: : : : : ::i:.i////
|:.|: : : : :.:.:.i i r== "ヽ / i: : : : : :.:i:.|//// 「須賀くんがまた攫われました!」
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\ 人{: : : { マi:i:`マニハ ムニア´i:i:i:>、: :} / ___
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|人:: : :|i: :|: : :|:::|i: :}> イ: :|: : : 「ここはこの世の地獄だじぇ……!」
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{^辷ー^ヽ/\/ヽア:/
. ,r‐=ニニ二二二\ 〈二ニニニニニニ┐ :/
. / -=ニニニニニニニ.\ ∧ニニニニニニニ.!∨ /
. / -=ニニニニニニ\ Y⌒Y⌒Y}ニニニニニニニj{. ∨
カン!
ピーチ姫状態の京ちゃん
おいおい子持ち(バブみ)がいる人を攫っちゃダメだろ…
1/10
【大阪からの襲撃】-重力次元-
「ほな、行こか……」
あまりにも気乗りしない東京旅行。
以前インターハイで向かった時とは大きく違う。
あの時とは違い、友人の元に遊びに行くだけーーそのはずだった。
しかし、園城寺怜の表情は暗い。
「竜華を正気に戻さんとあかんな……」
そう、自分の親友がなんか大変なことになっているのだ。
悪い男に騙されたのか、竜華は一度思い込むと行動力が凄まじい。
聞いている限りテンプレ的なダメンズウォーカー一直線である。
それが親友の幸せならば口を出さないのも一つの手だが、なんとかしてやりたいと思う友達心は残っている。
「それに、もう惚気を聞くのは嫌やわ……」
事あるごとに電話して来て何度も同じ話を繰り返されるのは本当に辛い。
なお、この前「同じ話ばっかやん」と言ったところ一晩かけて『違う話』で惚気られた。
もうこの件に関してはなんとかしなければ怜の身がもたないのだ。
「さて、気合い入れて行こか」
竜華の家の最寄駅にまで着き、一つ気合いを入れ直す。
最近はオカルトの頻度を減らし、体調もそんなに悪くない。
だからこそこんな遠征を一人で出来たとも言える。
. / .::::::::::::::::::::::|::::::::::::::::::::::::::::::ヽ:::::::::::::::..
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.八::::::::::Λf笊心、 イ笊心rァ |::ハ|:::::::::::::: |
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|:ハ , ,,. /:::::::::::::: |
|::::: r-イ:::::::::::::::::: |
|:::::::::::>.. イ |:::::|:::: |:::::::::::::|
|:::::::::|三三=千 /=|:::: |:::::::::::::| 「怜、久しぶりやなぁ!」
r|:::::::::|三ニニ/ | /三|::::::|=\:::::|
/| |::::::::ムニニ| /ニ三|::::::|ニニ>、|
. / V:::::/三三ニ|――- /=ニニ/:::::/ニ三三>
/ /::::/三三ニニ| /==ニ/:::::/三三/ |
. / /::::/三三ニニ| /ニ三/:::::/=三/ / |
とりあえず元気な親友の姿を見て安心する。
いや、元気すぎるのが困りものなのだが。
「久しぶりやなぁ。元気そうで何よりや」
「怜こそ。一人でここまで来るなんて危ないやん」
ぱっと見、いつもの竜華と変わらない。
しかし安心はできない。
2/10
「しかしあんなにお見合い嫌がってたのに来てくれるとはなぁ」
「わかってたんなら何回も誘うなや……。
ま、竜華がお熱になってるやつを一目見たかったんや」
そして叶うのならばぶん殴りたかった。
怜視点では『七人の女の子を侍らせて選ばない男』である。
ビシッと一発締めあげたい気分だった。
「いややわぁ!
お熱やなんて!
そんなんやないってぇ」
「お、おう……」
お熱でなければなんなのだろうか。
他の言葉が思いつかない怜だった。
「(……ま、最後には竜華を選ぶやろ)」
自分の親友が女性としてどれだけ魅力的か、怜はよく知っている。
確かに自分の好みに当たらない男性かもしれないが、竜華には幸せになってほしいのだ。
「じゃ、早速行こか!」
「えっ、竜華と東京観光するんやないの……?」
「重要なことははよ終わらせんと!」
「……あ、あかんな」
事態は怜が思っているより深刻らしい。
まさか親友の自分よりも優先させて来るとは思わなかった。
-―……―-
...:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. ヽ
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`O′ |::::::l从 j:::::::〃:::::::ィ::.:.:.l
/::j |::::::|::i::> ` ′ . ィ:::::::/i::::::::::|::.:.:.:l 「予約席はこちらになりまーす!」
{:::/ |::::::|::|:::::::::|> < {::::|:::::/:/::::::::::|:.:.:.:.:l
|::{ .从:::Ⅵ:::::::|l:::: r‐}`´ __ ノ }/:::/:/:::::::/:::|:.:.:.:.:.l
Ⅵ /::::ヾ::::{:::::::|l::ノ ∧__∧ ∠::::/_'::::::::/:::::|:.:.:.:.:.:l
/.::::::::::\r‐ '〃/レ 〃ヽ 厶イ /:::::::/\_|:.:.:.:.:.:.l
'::::::::::::::/ ` 厂 ̄`r=く  ̄}/ /::::::::/ ⌒ヽ:.:.:.:.:l
/::/:::::::::/ 廴_ 八 { /::::::::/ / V.:.:.::l
/:ィ:::::::::/ く __ ノ 辷=- _〉/::::::::/ / V:.:.:.l
/〃 j::::::::/ レ } /  ̄ ./::::::::/ / }:.:.:.:.l
ーーどこかで見たことがある人がいる!?
と言うか園城寺怜にとって忘れられない一戦の相手だった。
しかし、あちらが反応してこない以上こちらも声をかけづらく、言われるがままに席に着いた。
3/10
……
…
/ / / / { } \ ヽ V V
_ ,.斗 // / ./! / ! :} } ' ヽ V', , ,
 ̄ ̄ / / / //_j_ ,' | |、 :} ' :| ,V斗=ミ{ , ,
/ / ' ,' ィ^~v{≧x、,ヽ,' /、ィ'"_j/ } /「 j |
/' / !/| /{ 斗-ミヽ ∨ / }/ア乏メヽレ } }レ
, | :| ハノ∥んr'j V / V' Vrソ 》 :} 八-、 '
/ >'/ ハ { :, ` ー≦' /' ヽ  ̄ /イ{/ヘ Yハ{
/ '" ∥ / ',从_}: 〈| } ! ∥ ヽ
7/ ヽ ' し /’ 「あ、あのっ! 本日は遠路はるばる申し訳ないです!
/’ ` _、 _ {ーイ/
、 f-――'ヽ 人レ'^ 旅行費はなんとか俺が出します!
\ L∠二二ソ /|/
レ}h。 /r rー==ミ、 き、気軽にご飯だけ食べると思って、
r「\__'}个 --- < | |ニニニヾ
|:| } | |ニ{1-B}ニ! __ 俺のことは空気だと思ってください!」
|:| } / L!ニニニニ{ _,. 斗r≦ニニ=-ヽ
人:.、___」 ___/__/ニニニニニ7 ∥ニ/ニニニ=-,
, ‐ --、斗r≦ニ斗r'ニ7 ノ、 |ニニニニニニニニ/ .∥ニ'ニニニニ=-,
/ニニニニニニくニニニ/\ __ ,!ニニニニニニニニ, ∥/ニニニニニニ=-,
,-=ニニ/ニニニニニニニ\ニム jニニニニニニニニ, ∥'ニニニニニニ=-
/ニニニ{ニニニニニニニ∧ニム /ニニニニニニニニ, ∥ニニニニニニニ!
何 ヽ /.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:\/ ̄ \
言 | / .:.:/:.:.:.:/ :.:.:.:.:.:.:ト:.:.:.:ヽ:.:.:.:/ :
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いきなりものすごい勢いで謝罪された。
大阪からここまで持続した怒りも、他の感情も全てが何処かへ飛んで行った。
そして『最近これ口癖になってるわぁ……』などと呆然と考え出した。
「あんなぁ……。
せめて自己紹介を、な?」
「あ、俺は須賀京太郎って言います」
「園城寺怜や」
少し落ち着いたのか、彼は深呼吸をし始める。
見た目こそ怜の想像していたチャラ男そのものだったが、精神はまるで蚤のようだとイメージを受けた。
ーー最も、彼が今まで受けた経験からくる謝罪だと想像できるはずもないのだが。
「まぁ、お互い座って腹を割って話し合おうや」
「あ、はい。
ではお先にどうぞ」
「……?
はよ座れや。てか何しとん?」
「あ、俺はちょっとやることがありまして……」
何もない空中を何かを探すかのように手を振り回している。
挙動不審にしか思えない。
4/10
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∨乂 \ |/ j' リ
}∧ ー:. ` ムl/
/ 、 八 U _ _ 人 「すみません。友人がステルスで隠れていないか探してから座ります」
}イ/|\ /
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八:|:.{{\:.\:.:>-イ .// ̄)/⌒ll
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頭が急速に冷めていく。
自分はなんのために東京まで来たのだろうか。
「あ、意味わからないですよね。
すみません、すぐ終わりますんで」
「いやいやいや、君大丈夫?
見えちゃいけないものが見えとるん?」
「逆です。見えなきゃ行けないものが見えないんです!!!!!」
「お、おう……・」
今までの情けなさとは違い、明確な断言に怜はドン引きする。
もう関わっては行けない人の様相を醸し出している。
「すみません。隠れていないようなので……」
「ああ、うん。君が満足したんならええんちゃう?」
もう帰りたくなってきた。
5/10
「まぁ、なんや」
「はい」
「実はうちはなぁ、お見合いに来たんじゃないんや」
「!?」
彼が驚愕の表情を見せた。
確かに、まさか文句を言われるために東京まで来たとは思わないだろう。
さあ、ガツンと言ってやろうと構えたところ……。
/ ' | ', :}∧∨',ヽ, / V | | ' /: : :ヾv v
' :| ', , } ! V / :| V | |{ ,: : / } ヽ v
' / ! :{ハ ハ ∧ } V| /{ V |_, v! | } ヽ
' :, ' , ' ∨∧ ' ,}イ' _j{≫!7:f心刈 V / {l 、|斗 ―――
/ ,∧ ∧ー=ミ{__ ヽ ', j{⌒'| 7/j' j'うゝ:ア | ' ' ' :{l ヽ! `ヽ
,' / ∧ ∧:、 {`~^ ー-- /: : j ^ ≫'’ V' _ノ {l | V
/ ,' / j{∧ ∧ヽ{ ,ィァ=v云| ': : : i| ~´ ' 「:\ } {l ,ヽ
,' ./:| / v∧ {ヾ八{ ヽぅ! /: : : U し :!: : : V:V , \
! ./ | / ヾ∧ ,、\: `: : : :|/: : : :、 }: : : : : ' ,
|/ :| ' )ヽ , \ヽ: : : :': : : : ノ! 八: : : :' ,
' } / / ヽ 丶: :.} !: : : `: .、 _ ': : : : : ' ,
j/ , \し: : : : : : :. _,. '" /: : : : : ' , 「奴隷とか母親とか守護者とか天倪とか
, ヽ.,: : : : : :冖、 _ ,イ{: : : : :/ !
、 > .,: : : : : : ( /: U : : :./ | 出資者とかもう十分ですから!」
| ヽ / :≧s。.,:ヽ _ ./\: : : : {「 \ |
言 | / .:.:/:.:.:.:/ :.:.:.:.:.:.:ト:.:.:.:ヽ:.:.:.:/ :
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ものすっごく怯えられた。
ガツンと言う前に怜の方がしてやられた気分だ。
「あんなぁ。うちは親友の竜華を弄んでる君に文句言いに来たんや」
「弄んで……?」
「竜華から聞いたで。
随分色ボケた生活を送っとるみたいやないか」
「……(竜華さんから話を聞いた。つまり)」
「確かに君くらいの年齢ならハーレムを目指したくなるかもしれんよ。
でも、うちは親友が泣いてるとこなんか見とぉないんや」
「(竜華さんの話す内容ーーわかった!)」
説教を続けようとしたところ、彼がいきなり立ち上がった。
6/10
__ /⌒ヽ
⌒\ ∨ ヽ___
_, ----` ∨ `ヽ、
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/// / | |l | : ヽ
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/ イ / // : l | ' / ! 从 | : :.
.'/ ' ' /-|-{ { | /}/ | / } } | .
}' / |Ⅵ { 从 ' , }/ /イ } .
/ イ | l{ { ∨/ ' } ∧ : :.
´ | {|从三三 / 三三三 / /--、| ∧{
{从 | , ムイ r 、 }} /} \
| ノ ' }/イ/
{ _,ノ
人 _,..::ァ r }/ 「まともな人だ!!!!!!!」
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言 | / .:.:/:.:.:.:/ :.:.:.:.:.:.:ト:.:.:.:ヽ:.:.:.:/ :
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怜は思う。
こんな口癖を覚えたくはなかったな、と。
「俺の状況、おかしいですよね!?」
「お、おう。控え目に言って最低だと思うわ」
「ですよね!?」
罵倒しているのに彼はどんどん歓喜の表情を見せている。
一瞬そう言うタイプの人かと思ったが、少し冷静になる。
「……まぁ、ちょっと状況を整理しようや」
「あ、はい。
そうですよね。きっと園城寺さんには訳がわからないと思いますし」
「もう頭がパンパンや……。
わかりやすく教えてぇな」
理解するのを諦めた怜は、とりあえず彼の話を聞くことにする。
もう持って来た怒りはどこかへ霧散してしまった。
7/10
「つまり、なんや。
大学入ってから竜華とその他大勢に何故か気に入られて。
別に恋人でもないし、恋人関係は相手にも拒否されているけどお世話されて。
なんとか拒否しようとしてもやんわりと拒否できない間合いを維持されて。
もう本当にどうしようも無い状況に置かれていた、と……」
「……情けないですけど」
「うん、まぁな……」
怜は溜め息を一つ吐いて言った。
何 ヽ /.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:\/ ̄ \
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: : : : : :| : : |: i 「! ヽート!、: : リ !: |ハ: ト : | ̄ ̄
.: : :,..-、|: : :i: :|: !゙、 _、!二゙、-| イ: リ ! |ヽ:|
: : / へ.゙、 :丶ヾヽ<´{::::i` ヽ! 1!|:/| :!ノ゙、リ
: :ヽ \ : :!丶  ̄ Vイ:ハ |\:i
.: : 丶 \゙、 `> リ `
ヽ: : :`┬ 、 ヾ /
i: ;ィノ U ,....-ィ /
,,:‐レリ _  ̄ / 「ですよねー」
゛=!_ \ `ー-、_ _/
::::::゛== 、 \ / ̄ヽ、
::::::::::::::::::::::゛===-、 >
さっき君がステルスとか言ってたのはそう言うわけか!」
「俺だってわかんないですよ!」
「オカルトはまぁ……。うちも持ってるしな。
竜華の性格もよくわかるし……」
怜は気づいてしまった。
ーー彼の状況を非難できない!
怜ならばどうだったろうか。
竜華がお世話をしてくれて、仮に自分の未来予知のようなオカルトに囲まれていたら。
それはもう、逃げられない状況なのでは無いか!?
「君はなんかオカルトないの?」
「ないと思います……。竜華さん、俺がやりたいことを完璧に読みきってまして」
まさしく捕食者と被捕食者の関係だった。
オカルトもない一般人がオカルト持ちから逃げられるはずもなかった。
8/10
/ : .:/: . : . : . : . :│∨: . : . : ‘。: . : . : . ゚, }
:゚ : . : /: . : . : . : . : . | Vト : . : . ‘。: . : . : . .゚, __,ノ
, { |: . : 〃: . : . : . : . j.:.:゚ }:い: . : . :‘。: . : . : . :。: . ´ ̄{
|{: . :.|: . :/{: . : . : . : . 〃 ' --|:|‐∨…{: . :。: . : . : .i.: . ,
| ゝ.__|: . :| |,.斗-: . : //:/ |:| }: . 八: .:i: . : . : .|: . : ′
|/:. .|:.: .匕゚。: . : .//:/ jイ |/ }ハ|: . : . : .|: . :. :{
| | : . ト : .| い: ./ /ィ゚ ,ィ==≠=ミ:、|: . : . : .|: . : . 八
| l: . ∧ リ 斗-==ミ {_)゚:i:i:i:i:i:| / . : . : . :.|ヽ: . : :,
|:乂\ハ /{_)゚:i:i:i:i:i| ∨ゝイノ .|: . : . : .| }: . : i トヘ
|:| : . :.ヽい ∨ゝイ ノ `¨¨´ 1..: . : . :| /..: . : | | }i
|:|i : . : . ∧ `¨ ¨´ :':':':゚ |: . : . : .|′: . : .| | }|
|:|{ : . : . : ∧゚:':':': ′ } |j: . : ..:, : .: . :. ..j│ }!
|:|o : . : . : .∧ し :゚|: . : ./: .:|: . : /./ / 「ーーあっ」
|:| ゚: : . : . : .:∧ r‐ュ イ j.: .: イ : /} : /jイ
|:l ゚: : . : . : . : \ ´ / //∨イ//
l{ V: . : . :.ト : . :> 。.. __ ィ __,,,... -=ニニニニ=-
乂 \ : ト::} 乂: . :.{\:::{∨ _}/ニニニニニニニニニニ\
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怜は竜華のそのオカルトに心当たりがある。
と言うか、それはもともと自分のもの? である。
『怜ちゃん』。竜華の進むべき道筋が見える代物だ。
「(もしかして、彼の状況はうちにも責任の一端があるんちゃう?)」
冷や汗を掻く。
もしかしなくても、彼の状況の一端を握っているのだ。
文句を言っていい立場ではなかった。
「ま、まぁ、なんや。
元気出してぇな」
「はい。元気です。
体調管理も万全ですし……」
「そ、そうやったな……」
「園城寺さんこそ、体調が悪い中こんなところまでお疲れ様です。
その、俺はまぁいないものとして、美味しいものだけでも食べて行ってくださいね」
「あぁ、うん。
そう言ってもらえると助かるわ」
ここまで卑屈になったのも自分のせいなのかと思うと、胸が痛む。
「まぁ、そんなに卑屈にならんでや」
「ありがとうございます。
じゃあ普通にしてますね」
「それが一番や」
彼が安堵の表情を浮かべる・
少し胸が楽になった。
9/10
「まぁ、それにしてもいつかはなんとかせなあかんよ?」
「……わかってます」
神妙な顔を浮かべるのを見て、安心する。
どうやら、親友はダメな男に惹かれたわけではないらしい。
それなりの理由があるようだ。
ほんの少し興味があって、彼の一巡先を視てみた。
本来ならば一巡するものでないと視えないから、軽い気持ちだったのだ。
ーー見なかったことにした。
怜の自己防衛本能がその未来を忘れることに決めたのだ。
「な、なぁ。
良かったら東京観光に付き合ってくれへんか?」
「へっ? 竜華さんと行くんじゃないんですか?」
「どうせ君と行ったら竜華もついてくるやろ」
「……それもそうですね」
「それともなんや。うちじゃ美少女レベルが足りないとか?」
「はいィ!?」
「冗談やって」
ケタケタと笑いながらからかう。
後輩にするには丁度いい。とても弄りやすい性格をしていることに気づいた。
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/: : : |::::::::::::::、,r===~ ノ::,':::::::::l::::.: :ヽ:ヽ 「年上のお姉さんとデートして、少しは気を紛らわしぃや」
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/ ` `ヽ.、 ノ、 `ヾ >、 //:':::;' ハヽ li!
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/二ニゝ //「|:トヽ、7/:::::::::::| .,'l |
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ーーまぁ、自分の能力が彼の負担になっているのはわかったことだし。
自分に出来るくらいのことならばしてやろう、そう思った。
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・デート中
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l/ l|::::::::i|::::::::| '' , `¨ /::::|::::::::::::i|
' 八::::/i|::::::::ト、 _ '' /:::::i|:::::i|::::リ
∨从:::::::| \ , イ.!:::/i|::::/!::/ 「ま、相談くらいなら乗ったるわ。
_.ノマ'\:| ーr: ≦/:::/|:/ |::/ |/
_,.‐=ニニニニニ\ ∧\::// _ノ'′ノ' 気軽に連絡してぇな」
∠ニニニニニニニニニ\ { ∨ニ=‐- .,_
./ `\ニニニニニニニニ丶 ‐=- Ⅴニニニニ7 、
i \ニニニニニニニニ\ 〕ニニニニニニ∧
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// ゞ| : ′ マ 、 ` /: : : :}: ′ `¨
./'' |: :l \ \ 、 /: : : : ': '
/ ,|: :{ \  ̄ ィ: l: : : // 「あいつまた女の子と親しくなってる……」
カン!
京咲書きたいけどネタがない
みやながけのまとめWiki、もう長いこと更新されてないけど、まとめさんどうしたんだろう・・・。
【咲-Saki-】京太郎「みやながけ」咲「重力には負けないもん!」
【咲-Saki-】京太郎「みやながけ」咲「重力には負けないもん!」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1496329077/)
スレタイ募集できなかった…
新スレです。リクエストかなんかで埋めていただければ幸いです
>>984
自分で見直すためにまとめていたのですが、まとめ作業とAASS執筆作業に時間かかるようになってから難しくなりました…
申し訳ないです
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