【咲-Saki-】京太郎「みやながけ」和「のどっちスレ!!」咲「(否定できない……)」 (1000)


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 京太郎
 のどっち
 不定期
 非安価
 のどっち
 原作キャラ崩壊
 のどっち

 頂いた雑談から書きます
 リクエストOK。でも既存のカプしか書けない

 基本は単ヒロイン


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1468929553


 2/2

 ・前スレ


 【咲-Saki-】京太郎「みやながけ?」咲「京咲だよっ!」
 【咲-Saki-】京太郎「みやながけ?」咲「京咲だよっ!」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1443023066/)

 【咲-Saki-】京太郎「みやながけ」咲「京咲!」
 【咲-Saki-】京太郎「みやながけ」咲「京咲!」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1444022970/)

 【咲-Saki-】京太郎「一家団欒」咲「宮永家!」
 【咲-Saki-】京太郎「一家団欒」咲「宮永家!」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1444232227/)

 【咲-saki-】京太郎「みやながけ」照「京咲照」咲「京咲でしょ!」
 【咲-Saki-】京太郎「みやながけ」照「京咲照」咲「京咲でしょ!」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1445021542/)

 京太郎「みやながけ」咲「平行世界」
 京太郎「みやながけ」咲「平行世界」 - SSまとめ速報
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 【咲-Saki-】京太郎「みやながけ」淡「京淡!」咲「京咲だし!」
 【咲-Saki-】京太郎「みやながけ」淡「京淡!」咲「京咲だし!」 - SSまとめ速報
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 【咲-Saki-】京太郎「霞色の空」
 【咲-Saki-】京太郎「霞色の空」 - SSまとめ速報
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 【咲-Saki-】 京太郎「みやながけ」 淡「だったスレ」 咲「えっ!?」
 【咲-Saki-】 京太郎「みやながけ」 淡「だったスレ」 咲「えっ!?」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1462023444/)


 ※ 『みやながけ見てたけど霞色の空って何?』って人へ
   前シリーズで予告してた京霞。京玄の続きはそのスレで終わらせました

 スレ建て終わり
 wikiはちまちま更新しときます


 1/7

 【混線世界】-小ネタ-


 暗い部屋の中、電気もつけずにパソコンから離れない女性がいる。


 「……」


 彼女が集中してキーボードを叩いている音だけが部屋に広がる。

 若干クマになっているのだろうか、その顔には疲れが出ている。

 しかしそんなことを気にせず、彼女はパソコンから離れない。


 「起きているか?」

 「……」


 自分の部屋のドアを叩くものが現れたが、彼女は一瞥もしない。

 叩く主もそれがわかっているのか、ため息を一つ吐くだけで無理に入ろうとはしない。


 「ご飯、ここに置いておくぞ」

 「……」


 まるで引きこもりに対するお母さんのように優しい声をかけ、その場を後にする。

 自分の世界に入り込んでしまっている彼女に関わるとロクなことにならない。そうわかっていた。


 「……」


 ただひたすら自分の世界に入り続ける。

 そう、これは彼女にとっての戦いなのだーーー


 2/7


 ……
 …

 ・実体験を語るスレ


  名前:以下、名無しに変わりましてみやながけ次元がお送りします 投稿日: ****/**/ ** **:**:**: ID:kasumi

 「京くん、これ以上はダメよ……」
 「何がダメなんですか。そんなに物欲しそうな顔をしちゃって」


 そう言って京くんは私を無理やり壁に押し付けて、貪るように唇を奪った。
 大柄の男に両手を掴まれては抵抗できない。
 霞は好きな人からこんなことをされるとは思わなかったことに対する涙を流す。
 しかし、それと同時に嬉しさが胸に飛来する。
 こんな状況でも嬉しく思ってしまう自分が浅ましく思える。
 そうだ、こんな風にされても私は彼が好きだったのだ。


  名前:以下、名無しに変わりまして雀士がお送りします 投稿日: ****/**/ ** **:**:**: ID:???

 続きはよ


  名前:以下、名無しに変わりまして京照次元がお送りします 投稿日: ****/**/ ** **:**:**: ID:teru

 よびかたはきょうちゃんのほうがいい


  名前:以下、名無しに変わりまして魔王次元がお送りします 投稿日: ****/**/ ** **:**:**: ID:saki

 ↑はいいこと言うね。ヒロインは幼馴染だともっといいと思うよ!


  名前:以下、名無しに変わりまして京照次元がお送りします 投稿日: ****/**/ ** **:**:**: ID:teru

 ↑はわかってる。ヒロインはおさななじみのおねえさん


  名前:以下、名無しに変わりまして魔王次元がお送りします 投稿日: ****/**/ ** **:**:**: ID:saki

 ↑ は?
 幼馴染って言ったら同級生だよ!


  名前:以下、名無しに変わりましてみやながけ次元がお送りします 投稿日: ****/**/ ** **:**:**: ID:siromi

 描写がまだまだ甘い
 もっとねっとり描写するべき
 呼び方は京の方がいい
 やっぱり必要なのは姉妹モノ
 次の制作物の相談が必要


  名前:以下、名無しに変わりまして雀士がお送りします 投稿日: ****/**/ ** **:**:**: ID:???

 ↑ めっちゃ早口で言ってそう…


  名前:以下、名無しに変わりまして京白次元がお送りします 投稿日: ****/**/ ** **:**:**: ID:anesiromi

 ダル…
 早くして…


  名前:以下、名無しに変わりまして京咲照次元がお送りします 投稿日: ****/**/ ** **:**:**: ID:sumire

 素晴らしいSSだ
 この調子で次回は寝取られモノを頼む


  名前:以下、名無しに変わりまして京咲照次元がお送りします 投稿日: ****/**/ ** **:**:**: ID:takami

 このワンちゃんをペットにするSSはよ


  名前:以下、名無しに変わりまして無限獄からお送りします 投稿日: ****/**/ ** **:**:**: ID:harue

 私も×ν君と会ってみたいなぁ


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  名前:以下、名無しに変わりまして京和次元がお送りします 投稿日: ****/**/ ** **:**:**: ID:nodoka

 本当の恋愛も知らないスイーツ(笑)が書いている匂いがしますねwwwwwwwwwwww


  名前:以下、名無しに変わりましてのどっちスレがお送りします 投稿日: ****/**/ ** **:**:**: ID:???

 ↑ のどっちハウス


  名前:以下、名無しに変わりましてのどっちスレがお送りします 投稿日: ****/**/ ** **:**:**: ID:???

 のどっちのどっち暴れるなら自スレでよろ


  名前:以下、名無しに変わりましてみやながけ次元がお送りします 投稿日: ****/**/ ** **:**:**: ID:nodoka

 個人的にはこの男の子のお嫁さんも含めた夫婦丼でiPSプレイを希望します


  名前:以下、名無しに変わりまして京和次元がお送りします 投稿日: ****/**/ ** **:**:**: ID:nodoka

 iPSとかwwwwwwwww
 ワロタwwwwwwwwwwwww


  名前:以下、名無しに変わりまして京和次元がお送りします 投稿日: ****/**/ ** **:**:**: ID:???

 またのどっちが自演して…
 誰だお前!?


  名前:以下、名無しに変わりまして京咲照次元がお送りします 投稿日: ****/**/ ** **:**:**: ID:nodoka

 SOA!
 (縛られて 犯されるのも アリですね)


  名前:以下、名無しに変わりましてのどアコ次元がお送りします 投稿日: ****/**/ ** **:**:**: ID:nodoka

 このまま女子力アップを目指しましょう


  名前:以下、名無しに変わりまして雀士がお送りします 投稿日: ****/**/ ** **:**:**: ID:???

 のどっちのIDが増殖している!?


  名前:以下、名無しに変わりましてのどアコ次元がお送りします 投稿日: ****/**/ ** **:**:**: ID:ako

 この子はいくらでウリしてるのかな


  名前:以下、名無しに変わりましてのどアコ次元がお送りします 投稿日: ****/**/ ** **:**:**: ID:nodoka

 ウリって何ですか?


  名前:以下、名無しに変わりましてのどアコ次元がお送りします 投稿日: ****/**/ ** **:**:**: ID:ako

 えっ!?
 そ、その、確かメロンの東方品種群のことよ!?
 つまりこの後メロンを美味しく頂くってことよ!


 4/7


  名前:以下、名無しに変わりまして京和次元がお送りします 投稿日: ****/**/ ** **:**:**: ID:nodoka

 ここは自演が多いインターネッツですねwwwwwwww


  名前:以下、名無しに変わりましてみやながけ次元がお送りします 投稿日: ****/**/ ** **:**:**: ID:nodoka

 夫婦丼+親子丼のiPSプレイはまだですか?


  名前:以下、名無しに変わりましてのどアコ次元がお送りします 投稿日: ****/**/ ** **:**:**: ID:nodoka

 そんなことよりホ別苺ゴム有りの話が見たいです


  名前:以下、名無しに変わりましてみやながけ次元がお送りします 投稿日: ****/**/ ** **:**:**: ID:nodoka

 咲さんの苺をペロペロするんですか?
 個人的には京太郎君をペロペロしたいですね


  名前:以下、名無しに変わりまして京咲照次元がお送りします 投稿日: ****/**/ ** **:**:**: ID:nodoka

 そのオカルトamazing!


  名前:以下、名無しに変わりまして京和次元がお送りします 投稿日: ****/**/ ** **:**:**: ID:nodoka

 うはawwwwwwwwwwおkwwwwwwwwwwwww


  名前:以下、名無しに変わりまして竹井がお送りします 投稿日: ****/**/ ** **:**:**: ID:takei

 これだからデジタル(笑)は…
 時代は悪待ちよね


  名前:以下、名無しに変わりましてみやながけ次元がお送りします 投稿日: ****/**/ ** **:**:**: ID:nodoka

 悪待ち(笑)


  名前:以下、名無しに変わりまして京和次元がお送りします 投稿日: ****/**/ ** **:**:**: ID:nodoka

 悪待ち(笑)


  名前:以下、名無しに変わりまして京咲照次元がお送りします 投稿日: ****/**/ ** **:**:**: ID:nodoka

 悪待ち(笑)


  名前:以下、名無しに変わりましてのどアコ次元がお送りします 投稿日: ****/**/ ** **:**:**: ID:nodoka

 悪待ち(笑)


  名前:以下、名無しに変わりまして竹井がお送りします 投稿日: ****/**/ ** **:**:**: ID:takei

 何よ!!!!!!!!!!!


 5/7

 ……
 …


 ・恋人、想い人について語るスレ


  名前:以下、名無しに変わりまして京淡次元がお送りします 投稿日: ****/**/ ** **:**:**: ID:awai

 えっへへー
 好きな人ができると嬉しいよねっ


  名前:以下、名無しに変わりまして京穏次元がお送りします 投稿日: ****/**/ ** **:**:**: ID:sizuno

 う、うん
 ちょっと恥ずかしいけど


  名前:以下、名無しに変わりまして京淡ネリ次元がお送りします 投稿日: ****/**/ ** **:**:**: ID:nery

 別にアイツのことなんかどうでもいいし


  名前:以下、名無しに変わりまして京霞次元がお送りします 投稿日: ****/**/ ** **:**:**: ID:kasumi

 ふふっ、わかります
 とっても胸が温かくて、抱きしめて欲しくなりますね


  名前:以下、名無しに変わりましてみやながけ次元がお送りします 投稿日: ****/**/ ** **:**:**: ID:saki

 ふーんだ
 うちのなんて最近ご無沙汰だもん…


  名前:以下、名無しに変わりましてだるてる次元がお送りします 投稿日: ****/**/ ** **:**:**: ID:siromi

 だる……


  名前:以下、名無しに変わりましてだるてるがお送りします 投稿日: ****/**/ ** **:**:**: ID:teru

 きょうちゃんおかし
 どうやってかんじにすればいいの


  名前:以下、名無しに変わりまして京玄次元がお送りします 投稿日: ****/**/ ** **:**:**: ID:kuro

 えへへー
 私も大好きな人がいるんだ


  名前:以下、名無しに変わりましてのどアコ次元がお送りします 投稿日: ****/**/ ** **:**:**: ID:kuro

 どんな人なのかな?


  名前:以下、名無しに変わりまして京玄次元がお送りします 投稿日: ****/**/ ** **:**:**: ID:kuro

 とっても優しい人だよ!
 その人のためならなんだってしてあげたくなっちゃうんだ


  名前:以下、名無しに変わりましてのどアコ次元がお送りします 投稿日: ****/**/ ** **:**:**: ID:kuro

 あ、すごくわかるよ!
 えへへ、辛くなってたらどんなに遠くにいても駆けつけてあげたいんだ


  名前:以下、名無しに変わりましてみやながけ次元がお送りします 投稿日: ****/**/ ** **:**:**: ID:kuro

 同じ考えの人がいっぱいいてなんだか嬉しいな!


 6/7


  名前:以下、名無しに変わりまして京玄次元がお送りします 投稿日: ****/**/ ** **:**:**: ID:kuro

 あなたたちもそうなの?


  名前:以下、名無しに変わりましてのどアコ次元がお送りします 投稿日: ****/**/ ** **:**:**: ID:kuro

 うん!
 あの人のためならなんだってしてあげたい


  名前:以下、名無しに変わりまして京玄次元がお送りします 投稿日: ****/**/ ** **:**:**: ID:kuro

 私から離れちゃってもいいんだ
 ただ私がずっと思っていられたら幸せなんだ


  名前:以下、名無しに変わりましてみやながけ次元がお送りします 投稿日: ****/**/ ** **:**:**: ID:kuro

 えへへー、私の好きな人は既婚者だからそんな感じかなぁ
 一度会えただけで幸せなのに、たまに気にかけてくれるからとっても優しいんだ


  名前:以下、名無しに変わりまして京玄次元がお送りします 投稿日: ****/**/ ** **:**:**: ID:kuro

 すごく優しい人なんだね!
 私もフラれちゃったら邪魔にならないようにそっと見守っていられるかなぁ?


  名前:以下、名無しに変わりましてみやながけ次元がお送りします 投稿日: ****/**/ ** **:**:**: ID:kuro

 不倫は駄目絶対なのです!


  名前:以下、名無しに変わりましてのどアコ次元がお送りします 投稿日: ****/**/ ** **:**:**: ID:kuro

 私は別にあの人が望むなら他の人がいてもいいのです


  名前:以下、名無しに変わりまして京玄次元がお送りします 投稿日: ****/**/ ** **:**:**: ID:kuro

 わぁ、なんだか他人の気がしないよ!


  名前:以下、名無しに変わりましてみやながけ次元がお送りします 投稿日: ****/**/ ** **:**:**: ID:kuro

 えへへー、仲良くなれて嬉しいな!


  名前:以下、名無しに変わりまして京咲照次元がお送りします 投稿日: ****/**/ ** **:**:**: ID:awai

 なんだかすごく体が重くなってきたよっ!?
 


 7/7


 ……
 …

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     |:.|:.:.:.:.:.:.:\!  ,, ,,                /   i!: : : : : ::i:.i////  「ちょっとルーター再起動してきます!!!!!!」
     |:.|: : : : :.:.:.i i       r== "ヽ      /   i: : : : : :.:i:.|////
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               ,.ィ:、フ、: : \:`:ヽ.、
              / :ハ:!-‐i: 、:ヽヽ-、: ゙、
                / /:ハ: 、 }ハ:j!`、i!ト、:、\
             i.i : | __,...__ iリ _ル.._|:i:iー-ゝ

                 |:!_:i! rェ:ェ、,. /ィ:ェ、 };!!
              {^}j 、     i   !}
              !、_, i     ,. 〉   'i
                i: i !  , _.. .._  /      「(また自演失敗したのか……)」
               ゙i"\ ` 二  /
                 /i_   \___,.イ
             _/   \_  /,ノ\
          _,..-'′\    /―<    ト、_
     _,....-‐''"       \ ∧::_::;!\  |  `ー--、
    /'"               `′ヽ::::i  `゙′      \


 カン!

 収集つかなかった。反省


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 【妄想タイム】-みやながけ次元-


                _  -‐==‐-
             /. . . . . .      `
   -‐==ニ二      ‐‐- _         `ヽ
       /                : . . .
      /  /  /          `ヽ  : : : :

       /  /  .i     .ト           : : : . __ニ=-.
      ./ . :/    |      | ヽ      : : : :\
    / . :/    {      i‐-ヽ     : : : :._\       \
    ./  .: :{   i  ',       ! ___\   .: : :/ ヽ:\: : :ニ=- ̄ 
   /   : : :|  i : :|     | |≠r:::rュミヾ  i{ .ハ ∨:∨ミ、
  ./ /|: : :i  :.{ : : !`ヽ    !|  {つ:i!::::} `ヽ| 〉j. 〉: : :}
 //  |: : ', : :i: : :!ニミヽi\{   乂zzソ     /|: : !|
      |: :i:ヽ : ム:.:|fっi!:}             {: :i : :|‐-─ 、-
        |: ト: : \ヽ|匁ソ ,            / i/| : :|:.:.:.:.:./  ヽ
      |:.| }: : : :ゝ          ‐-    /   !/i|:.:.:/    i    「てるー!」
        t|ノノ~|/Vハ    くi    ノ /.     ヽ/       |ゝ、
              \    -‐  /. :    /          ヽ
                >‐──.、. : : :.   /        -‐‐、  /
                _,「  . : :): .   /       イ  ニ=-  ~
              / f .:|  : :r     /   //     ~ ‐-ヽ
            /  | : :ハ  : :!   /|  /           i
           /   __ i: . : :、/|__ ∠  / ‐  //          |
          /`-‐ /   / |  __ -‐/   /             |


  /  : : : : .:|:.:|: : :| : :./! :.,.'|: : : |',: : : : ト: : :ヾ::       ',
. /  : {   : !_,|.-‐|‐:.,' {: : :| |: : :ィ¨',゙ ̄:|ヾ、, : !:    |:: i
/: : : : |: : |: :ィ":,'マ:.!::,' .',.:.::| |: : : | _,.',: : | ヽ:`ト:. : : |:: |

: : : : : {: : { :,'.|:.| ',:レ   ヽ;| |: : : |  ,≧:|_  マ:|',:. :  |:: }
__,.ィ: : '.: :',:.{:.|/ _,.ィ==ミ   ヾ,: :! ィ ,..'⌒.ヾ、.ソ !!: : :リ::./
.  l: : : ',:.:.',', ィ".,' ⌒: ヽ    ヽj  i_::::::::: !ヽ .リ:.: :,'::/
.  |: : : : :,:.A | { :::::::::: }        .ィ゙::::::::: ノ / /: /!/
.  |: : : : /\'ヽ. 辷;;;;;ノ        `゙'''''´  .//ノ-‐''" ̄ ヾ
  .レi: : / ヽ∧ ⊂⊃   `     ⊂⊃  " /: : : :..: : : : ̄` ' 、  「!!」
ー==,.∨ ̄ミ=',      .___,   .    /≡ィ゙\: : : : : : :
_/      .: : ゙∧                /ヽ   `ヽ\: : : : :: : : : \
 _/ : : : : : : /{"゙,ヽ          ,   へ ::    - \: : : : : : : ヾ
/: : : : : :ィ‐'"__} ',:. >   . __, . - "〃ヽ \,.'       ヾ: : : : : :  ヽ
: : : : : __/      ' ,: : \      {__,.. '       ノ:\



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.     /                 ::::  /::/
    /             `、     :::∨::/           ∧


 2/10


 私は宮永照。

 今日は咲がはらむらわと遊びに行くから、子供達の面倒を代わりに見てあげることになった。

 咲と京ちゃんの子供の面倒を見ることは嫌いじゃない。

 私にとってもいい休養になる。

 それに京ちゃんポイントももらえて一石二鳥だ。


 「てるー!」

 「何して遊ぼうか」


 幼いながらに両親の面影を色濃く受け継いでいる子供達だ。

 こうして見ているだけでまるで二人が小さくなったような感覚すら覚える。


 「子供……」


 咲と京ちゃんに似ている。

 そんな二人を見て、ふと考えた。

 もし私に子供が出来たらどうなっているだろう。

 麻雀のプロは引退して、咲みたいにお母さんになれるのかな。

 ちょっと考えてみよう。

 相手は……、うん。やっぱり京ちゃん。


           -‐──‐-

       . ´          `ヽ、
      /
     /                 ,
   / /   /|    ト、        ′
 ∠._/   / i|    i \      〕
    〔  |/ 八〔\ .'   \   /
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    /::::入_           _  < / /| /    「それではVTRをご覧ください」
  /\ /∧ノ  へ ̄ ̄/  \リイ/ / 〔′
   ̄\\  r‐'   \/  //\ /
     \ヽーヽ └─ー/─'  \
      丶ー|   〉 〈   |  〈

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 3/10


 ……
 …


 「ただいまー」


 京ちゃんは夜遅くまで仕事をすることが多い。

 それはちょっと寂しいけれど、家族のために頑張ってくれていることはわかる。

 だから私もちょっと不満だけれど文句は言わず、京ちゃんが帰ってきたら精一杯の笑顔でお出迎えする。


        . :´: : : : : : : : : : : : : : : : :` 、
      /: : : : : : : : : / : : : : : : : : : : : : .

     /: : : : : : : : : : ,イ: : : : : : : : : : : : : ∧
    /: : : :/: : : | l: : :/ | : : : : |!: : |: :|: : : : : :,
    ̄ ̄ ̄| : : : N: :/__:| : : : : ト、__|: :|: : :|: : :′
       i| : : : | ∨ 八:ト、: : | N: リ: : :|l : : |
.        八: : { l  ____ ` \| ___|/ | : 八: : |l
      /:リ \N '~⌒``     ´⌒``〕/ ;__: :八
.     /:/: : : :ハ """"  '  """" '// /: 〔、: :、
    .: /:__: : : :圦 lヽ  r    ┐  // /: : /): :\
    /: l l\\: : : :| .!     ノ  .:'_/ 厶 "/: ト、: :ヽ
    .'  |八 :\\__| .!>  __ . イ´ 、__フ‐<ヽ.: :| \:|   「京ちゃんおかえりなさいっ!」
.     .′ V.rヽ _|___       |   /_〔 ̄ | V    〕
        //.へ`ー-:.、Υ   八      l  |
        |{/´ ̄〕    !、___/ヽ    /' \
.         八   '′   l    /  ∧  〈 、   \

                ,. --- 、        ____
                  /,  ´ ̄ ̄` '⌒´     \
           、_/_/⌒ヽ , /            ヽ
            ,---、  / //    :       ヽ :.
           ,  / ̄-/ /' {   | |       | :
          / __   ̄,./ /-' l| l | |___ l |    |
            .:' /   ,イ _| | |ア__l { { | / }`| |    |
       /       ,:´ | { | l\{从 ∨ィ斧ミ、 |    |
    /\'´        /{  | 从{__,. \∨Vソ }イ ト、 ∧{
    ////\ r---  ´八 !∧  ̄   ,:  :.:.:  }/ノ/ リ  「遅くなってごめん」
.   ///////\      \}∧         u 八/
  //////////〉        込、  __    ,.: /
  ///////// /          }>、   ` イ |从
 ,'//////// /   _      /--、l ` ̄ :,   |--、
.///////// /  イ/////\   {////}   /  「///|
'//////// /´// {////////ー '|////|   ,   |///l|
///////////// |l///////////ヽ// \    |////> 、
////////{/////{!/////////////////}--- /////////> 、



 そんな風に謝る京ちゃんに思いっきり抱きつく。


 「お、おい」

 「いつもお疲れ様」

 「いや、こっちこそ遅くなっちゃってごめん」

 「ううん。

  京ちゃんが頑張っているのはよくわかってるから」

 「照……、ありがとう」


 私が思いっきり抱きつくと、京ちゃんはそのガッシリとした体格で包み込んでくれる。

 最初は優しく、次第に強く抱きしめられてちょっと苦しくなる。

 それでもその拘束が嬉しくてはにかんでしまうんだ。


 4/10


 「京ちゃん、ご飯にする?

  お風呂にする?」

 「そーだなー」

 「どっちも用意できてるよ」

 「それじゃ……」

 「んっ!?」


 京ちゃんは悪戯っぽい笑みを浮かべて私の唇を奪った。

 私は顔を真っ赤にして抗議するが、京ちゃんは聞いてくれない。


 「こっちはまだ準備できてないんだ?」

 「むー!」

 「ごめんごめん。

  ほら、お風呂入ってくるよ」

 「……子供達が真似しちゃう」

 「大丈夫バレてないって」


 そんなことを言いながらも、娘は帰ってきた京ちゃんにおかえりのキスをしたがるんだ。

 もう、こんなことをする京ちゃんがいけない。


 「それじゃ、ご飯は用意しておく」

 「おう、ありがとう」

 「ゆっくりしてね」


 京ちゃんのコートを預かって掛ける。

 ちょっぴり京ちゃんの匂いが染み込んだコートにドキッとする。

 京ちゃんはずるい。


 5/10


 「照、幸せか?」

 「?」


 ご飯を食べていると、京ちゃんがいきなり呟いた。

 何を言っているのかよくわからない。


 「ほら、照は麻雀プロを続ける道もあったじゃないか。

  俺の稼ぎなんかじゃ照の稼ぎに全然追いつかないし、不満があるんじゃないかって」

 「むー……」


 京ちゃんが自信なさそうに言う。

 やっぱり京ちゃんはダメダメだ。


 「私はちゃんと子供達の側にいてあげたかった。

  それに、こうしてお嫁さんになりたかった」

 「照……」

 「だから今、とっても幸せだよ」


 そう言ってあげると京ちゃんは救われたような顔をする。

 そんな子供っぽい顔が可愛くて、母性をくすぐられる。


 「照さん……。

  ありがとう」

 「むー。

  その呼び方はやめてほしい」

 「あっ、ごめん」

 「……京ちゃん」


 ゆっくり京ちゃんの背中に回り込んで、後ろから抱きしめる。

 京ちゃんは私の方に振り向いて、ゆっくりと唇をーーー


 6/10


                     -=
             >  ̄`       `ヽ
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       _彡  / ./       /           \ ヽ
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     ///  , /  /  //   i     !         ',.  \
   /ニ∠ニ= イ/ ,/  // / イ     i     i  i ヽ ̄
  /ニ三三イイ/ //  ≠{‐y-/、|   i  i     |  i厂
  /三三三/∠ ィへ| /| .| /∨|{ i //.{ i /-.i_ i.   |  |!\
.../ニニ三三{ニニニi fヽ|/ !/iム_  i! ∨/| .!/|//i } .!  i i. |i‐-`-
イ三三三三{ニニ∧、〈i ≦ニ==ミ、  ∨i __|/ } ハ |  } |! ト!
ヽ三三三三{三Υヽ  ..:.:.:.:..     、!≠==ミ、 }| /! | |
 }、ニ三三三{三i  ト        ,   :.:.:.:.:.:.`/ }/.:| ハ|
 ニヽ三三三{三i‐-{∧   r-          /彡//!      「パパー、ママー!」
  ニニYニ三三寸  i∨ヽ  丶   フ    イ三// i
=ニニニ}ニ三三三\八ム、 \        イ三ニ// /
-=ニニ}三三三寸三\厶\ >   ≦ア. : .:{ニニ///
=ニ三}三三三ニ寸三ニヽ \{、  //. : . :/三/
ニ三三三三三三寸三ニ \ ヽ,/'. : . : . /三〈i

ニ三三三三三三三寸三三\. : . : . :./三/
ニニ三三三三三三三寸>-‐´: . : . :イ彡'



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       -─===‐-ミ
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: : / へ.゙、 :丶ヾヽ<´{::::i` ヽ! 1!|:/| :!ノ゙、リ

: :ヽ    \ : :!丶   ̄     Vイ:ハ |\:i
.: : 丶    \゙、        `> リ  `
ヽ: : :`┬ 、  ヾ          /
  i: ;ィノ    U     ,....-ィ /   「二人とも……いつから……」
,,:‐レリ    _       ̄ /
゛=!_    \ `ー-、_  _/
::::::゛== 、 \   / ̄ヽ、
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 8/10


 姉弟が後ろから見ていた。

 息子は娘に羽交い締めにされて動けないようになっている。


 「あっ、気にしないで続けて続けて」

 「続けられるか!」

 「お母さん、もっと押して押して」

 「……!?」

 「こら、おとーさん怒るぞ」

 「お気になさらずー」

 「お、おかーさんの威厳が……」

 「おかーさんの威厳なんて元からないでしょ」


 そう言って二人は退散していった。

 姉は京ちゃんに似たのかしっかり者の中学生。

 弟は元気いっぱいの小学生だ。


 「……行った?」

 「行った、みたいですね」

 「油断した」

 「本当、ビックリしましたよ」

 「……ん」

 「照さん、どうしたんですか」

 「……続き、しよ」

 「まったくもう……」


 京ちゃんは諦めたように私を抱きしめてくれた。

 時々素の口調がでるところがたまらなく可愛い。

 そしてそのままーーー


 9/10


 ……
 …

 「いい。とってもいい」

 「てるー?」


 二人に呼ばれて空想の世界から帰ってくる。

 ちょっと現実から離れすぎたらしい。


 「だいじょぶー?」

 「うん。てるてるは大丈夫だよ」

 「!」

 「ほら、遊んでていいよ」


 もし、私に子供がいたらこんな感じだろうか。

 ヨダレが出てしまうくらい楽しい。


                 _. . : :―――: . .
             ,. : :´: : : : : : : : : : : : : : :` : 、

            /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : \
           .:' : : /:,: : : : : : : : : 、: : : : : : : ヽ : : ヽ
           /: : :/: :/:/: :, : : : : : : |: : :!: : : |: : ∨: :∧
          , : : /: :/:/ : / 、: : : : :.ト、: |:|:{: :|: : :.| : |: : .
           /: : 〃:/:/|:从-、}:、: : : :.|-从}-Ⅵ : : | : |: : |
         /: : ィ: : :{: |r----从\: : |, ---- ミ: : :,: :/: : ,
          ̄´  |: }从:{   ⌒Y   ∨  ⌒Y }: :/}/Y : ′
           |: : : :/   乂_ノ     乂_ノ /:イ  /: :,′
           |: : : { ////        ////r-: ': : /
              从: : 乂      ^ー(    イ: : :/: :/
            ∨: {:从{¨¨, ィ「 ̄ 7¨´、_: 从:イ: :/   「(京ちゃんポイントで子供もらえないかな……)」
               \|  / \ ∨^/  />/' }:/
                 / |乂\∨_,イイ/  }
               {/⌒ア `ー介 -‐´ {__〉
               {`ー∧ /:∧:.、  |- r'

 今日もまた、言えもしない妄想をして過ごすのであった。


 10/10


. /: : : : : : : |: : .:i:.|:.:.:.:i| |:.:.:.:.:.:.|!:.:|i:.:| 、:.:.゙、::、   ゙、゙、:::::::::::;::イ/:::::::::::::::i:::::
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  ヾi 、:.\:.:\:.]〈  っ::::;:i    ̄`            _,∠|:|: : : : .:|:.|―-
    ヽ!:.i、`゙ー-r≧   >≠    ,      " "   /  |:! : : : :.:|:.!////
     |:.|:.:.:.:.:.:.:\!  ,, ,,                /   i!: : : : : ::i:.i////  「マスター!!
     |:.|: : : : :.:.:.i i       r== "ヽ      /   i: : : : : :.:i:.|////
     | |: : : : : :.:i:.:|\     ∨__ノ)   /    /: : : : : :.:i.:|////   夫婦姉妹親子丼一丁!!!!!!」
     |:| : : : : :.:.|:イ |:::|l`ー-..、    ̄ ̄   /     / : : : : : :.:|/////
      |.|: : : : : :.:|:∧ i:.:!i::::::::::::::`i ー-‐ '    ,..-‐:/: : : : : : :.:.i!/////


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         } /::::::::::::::::::|::::: / | ::|:::::::ト- ::|--∨\ ::::::::::::::::| {
       { /::::::::::::::::::/|::::::|ノ|:八 ::::| _..斗-=ミ\| ::::::::::|::::|
      /::::::::::::::| :: /-匕-=ミ\|\|  〃⌒゙ヾⅥ :::::::: |::::|  }
        ̄ ̄ |::::::|::イ /〃⌒ヾ     {{    }} }|/| ::::::|::::|  {    ビクッ!
      {  |:: 八ハ{ {{   }}     ゞ==(⌒) | :: /:::::|

       } |/|::: {. ハ (⌒)==''         ///  |/}:::::|
            |:::: ヽ_| ///              __,ノ :::::|  }
.          { |:::::::::八     _.. ‐~‐-、   イ:::::::::::::::|  {    「ヒィ!?」
.          } |::::::::::::个 .._ (_,,.. ‐~~' イヘ::::::::::::::::::|
           レヘ::::::::::::::::::::::_≧=一ァ  〔/⌒T:iT7ス::::/
            ∨\::/r ̄ ̄ ̄7____/    / ∧/  }
               {  ∧    |   /    /   / ∧ {
                } / {\/⌒)_∠__/|    / ∧
              /  ゙T{  二(__ `ヽ        _ヽ


      /      /  /|   | |    ヽ       \
.       /  /  / / / |  |. |   | |   |   ', ヽ    ∧
     /  /  /./ / |  | |   | _|L.--|.,,,_  |  |   :l ',
     /  /  |  ト|_,r|''´|`:|   |  |\ | `ト| :|    | :|
    /   |   | ィ| |─ト :|ヽ  | / ̄V|  | :| |   |  |
    /   |   レ´| \|_\|  ト、. |::::彡三=、 :| ./ / /   !
   /彡イ |    ト| 彡 ─ヾ:\|::::\::::/,'⌒ヽ \/ / /   |、
.      |  ヽ  ゝ///;'⌒',ヽ:::::::::::::::::::::|:!::::::::::!:| ||イレ' |  ハ!
.      |   ト、 || | ';::::::::!:|::::::::::   ヾ、;;;;;;;ノ  |/ ハ  / |
.      |    ハ, \:::ヾ.;;;;;...'   ,          ハ /  /
.      | /ヘ ヽ..ハ                  ハ// /    「ザラキ(物理)」
        /    \トハ      ー_,ア     ノ'´//
               |ゝ、           //イ/
              |人> ._       <:| / /
                \|\|  ー<   :|´
                     |        :|> 、
                   /|       /   \


 カン!

 ほのぼのでのどっち成分をリセット!


 1/10


 【世間の流行に乗ってみる】-みやながけ次元-


 のどっちです。

 今日はお仕事もなく、1日をゆっくり過ごしました。

 基本的に休日は家でダラダラしていることが多いんですが、今日はたまたま外に出ています。


 「家にいたら出会いのかけらもありませんからね……」


 このまま喪女道を突き進むわけにはいきません。

 なんとか出会いを見つけなければ、恩師である赤土先生と同じ目に遭ってしまいます。

 私としては須賀夫婦丼を頂ければ満足なのですが、最近は咲さんのガードが固くなっていますし。

 そろそろお見合い以外でも男性と知り合って見たいものですし。


 「それにしても、意外と外出している人が多いんですね」


 なにやらみなさんスマホを見ながら歩いています。

 歩きスマホはいけませんよ。危ないんですから。


 「これが噂のポケモンGOってヤツですか」


 ネットを見ることが人よりちょっと多いので、噂には耳にしています。

 なにやら世界的に流行っているそうですね。

 私だって可愛いもの好きですし、ポケモンに手を出してみるのも悪くないかもしれません。


 「そ、それにポケモンで出会いを求めるのも悪くないですよね。

  こう、共通の趣味から発展する恋愛……。

  ウオオオォォ! クッアアアアアア! 甘酸っぱいです!」


 歳を考えろ?

 知りません。


 2/10


 「ここは私のBB2C専用機であるiPhoneを使う日がきましたね……」


 私はネット中毒者ではありません。

 ただちょっと仕事の休憩中とか、出先とか、トイレの中でも使うことがあるだけで……。

 それに、もしポケモンGOをやれば『趣味はポケモンGOです』ってお見合いで言えるじゃないですか!

 今までは『趣味は麻雀です』って言っていましたが、その瞬間に男の人が引きつった顔をするんですよね。

 全く、麻雀が趣味の女の子が居たっていいじゃないですか。

 現に咲さんや染谷先輩は結婚してますし、麻雀が趣味だから結婚できないなんてオカルトはありません。

 ゆーきは仲の良い男の人がたくさんいますからね。

 竹井?

 休日は雀荘に篭っておじさんたちの相手で忙しいらしいですよ。

 このまま借金を作って薄い本コース一択ですね。

 恋愛に悪待ちなんてありえません。

 攻めて攻めて攻めきった者こそが勝者なんです。


 「さて、ポケモンはやったことがありませんがやってみましょう」


 学生時代にゲームなんて買ってもらえませんでしたからね。

 友達が最近の流行りものの話で盛り上がる中、私が出来たのは麻雀の話だけ……。

 あれ? やっぱり私が結婚できない理由って父が原因じゃないでしょうか?

 帰ったら父を締め上げておきましょう。


 「これは、モンスターボールで画面に映ったポケモンを捕まえればいいんでしょうか」


 歩いていればポケモンとエンカウントしてそれを追いかけてポケモンを捕まえる。

 なかなか面白そうじゃないですか。

 ダイエットにも向いてそうですし、流行る理由がわかった気がします。

 さて、早速ポケモンをゲットして……。


 3/10


                _  -‐==‐-
             /. . . . . .      `
   -‐==ニ二      ‐‐- _         `ヽ
       /                : . . .
      /  /  /          `ヽ  : : : :

       /  /  .i     .ト           : : : . __ニ=-.
      ./ . :/    |      | ヽ      : : : :\
    / . :/    {      i‐-ヽ     : : : :._\       \
    ./  .: :{   i  ',       ! ___\   .: : :/ ヽ:\: : :ニ=- ̄ 
   /   : : :|  i : :|     | |≠r:::rュミヾ  i{ .ハ ∨:∨ミ、
  ./ /|: : :i  :.{ : : !`ヽ    !|  {つ:i!::::} `ヽ| 〉j. 〉: : :}
 //  |: : ', : :i: : :!ニミヽi\{   乂zzソ     /|: : !|
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        t|ノノ~|/Vハ    くi    ノ /.     ヽ/       |ゝ、    「ピカチュウ!」
              \    -‐  /. :    /          ヽ
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                _,「  . : :): .   /       イ  ニ=-  ~
              / f .:|  : :r     /   //     ~ ‐-ヽ
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.  |: : : : :,:.A | { :::::::::: }        .ィ゙::::::::: ノ / /: /!/
.  |: : : : /\'ヽ. 辷;;;;;ノ        `゙'''''´  .//ノ-‐''" ̄ ヾ
  .レi: : / ヽ∧ ⊂⊃   `     ⊂⊃  " /: : : :..: : : : ̄` ' 、    「!」
ー==,.∨ ̄ミ=',      .___,   .    /≡ィ゙\: : : : : : :
_/      .: : ゙∧                /ヽ   `ヽ\: : : : :: : : : \
 _/ : : : : : : /{"゙,ヽ          ,   へ ::    - \: : : : : : : ヾ
/: : : : : :ィ‐'"__} ',:. >   . __, . - "〃ヽ \,.'       ヾ: : : : : :  ヽ
: : : : : __/      ' ,: : \      {__,.. '       ノ:\


           ,∠、  /            ヽ
            /   |: :/                  \へ
     / ̄¨ヽイ     |:/ / / /||:! ! | !         .|
     !:   〈〈:     /:{: ': ,': ':::|::|: l::l: l::l  ,ィ: ! l    ,!
     ∨   ノ¨ト==イ: :! l斗十ナナノ.:|: /::l. /十ト、l:     i〉
      ¨フ´/ !: : : :! 、トト、!ィチ^:丁:::}/ :::}'::::::!ノ :: !: l   リ
.     /: 〃 |: : : :|ミソ :::〈 l{::::::::| :::::::::::::::rf示、 ノ ノ/ /
     レイ ト、_|: : : :l ヽ  弋:zソ       !::::}l }イノイヽ
     |.: : :|: : : : .: |     ::::::::      ,  辷リ !:. :. :.:ト、 \
     |.: : :|: : : : .: ト、            :::::: |: : : : | ⌒
     / : : :|: : .: .:  lミ、Y       ‐ -    ノ: : :. :.|
.    /, : : : |: : .: .:  l   !  ヽ           イ|: : !:.|     「ゲットだぜ」
   //   : :|: : : :  :ハ  |   `  . _ x<: : |: :!: : :|:. :!
.  //  . :/!: : : :   ∧. !       |  |: : : :.|: :!: :. :.、|
  //   . ::/∧: : .:   ∧`ヽ.      l ヽl、:: : |: :l : : : : ト
. //  . ::/厶 ヘ.:     ∧  \   `ヽ.  ヽl : l : : : : | ヽ
//   , <   \      \  \    ∨  `|: :. :. :.|   \


 4/10


 「フォ━━━━ヽ(゚∀゚ )ノ━━━━ウ!!」


 このタイミングでお二人に会えるなんて運命としか言えませんね!

 見ている限り、二人ともポケモンを追いかけているみたいです。

 多分咲さんや照さんのスマホを使っているんでしょう。

 いえ、そんなことはどうでもいいんです。重要じゃない。

 私の目の前に二人がいて、今私はモンスターボールを持っている。

 この事実だけが確固として存在する!


 「ウォォォォォォ━(゚∀゚)━┥東│東│東│  │  │  │発│発│発│中│中│中│北┝┥北┝━(゚∀゚)━ン!!!!」

 「?

  原村!」

 「原村!」

 「ええ、そうですよー。

  原村ですよー」


 もうこの際呼ばれ方なんてなんでもいいです!

 合法! 合法です!

 私は教師として子供たちが歩きスマホをして怪我をしないか注意するためにここにいるんです!

 歩きスマホはダメ絶対!

 監視! 監視です!

 可愛い可愛い二人が怪我をしないように見届けるんです!

 怪我をしたら怪我した部分をペロペロして消毒するためにここにいるんです!

 教師だから仕方ないんです!


 「コヒュウウウウウ! コヒュウウウウウー!」

 「原村?」

 「もう、危ないじゃないですか。

  コフッ! デュフフフフ!

  そんな風に走ったら転んじゃいますし、事故にあったら駄目ですよ」

 「(´・ω・`)」


 アアァァァァァァッ!!

 (´・ω・`)ってしてるのカワイイヨォォォォーー!


 5/10



          ,>─.:::.──- .ィ─-、._
    __┌.、/          \/:::::|
    |:::::::∨′  .: : : : : : :. : : :.  ',::::::::}
.   ,ゝ::::/ : : : : : : : : : : :ト、:: : : :  :∨::::゙i
    {::::/  ,.! ! !:.:.|:.| :| :| ', :!:!:}: : : ',;;;;ィ゙
    ヽ ! .{: :{:| | | 」|:.| :|: :ィ‐十ト|:|:} : : }:::::\
   / |/{ |.!.| {斤人|ヽj\| .レ゙リリル: :ノ::::ィレ′

   ヽ:::::.{',从|レィ==、   ィ==x .リ/:|」|

     ├┤| :沁 ::::::::    :::::::: ノ/: : !
     |:.:.|',| : :人    r─‐┐  ハ/  /:|
     |:.:.|::| : : |> , `.-- ' ,∠// /! :|    「私が見ている前ならいいですよ♪」
     |:.:.|::|   .:|ィ‐=_,,} ー  {.__//゙ /_.| i|
     |...:|::| ! :リ.|::::{_   __.//゙ / ヽ!|
     |:.:.|:.| ! / /_,ヽ.∠ィ'/ /─=||
     |:.:.|:.| / /─'、,..ィ‐-、_,..|:|  |_    ||
     |:.:.|:.i!:../. :::      .:. . |:∨ ゙<  小.
     |:.:.|:.{ !      :∨:: . ヽ`>、 ∨ |. )
     |.:.:| | {     .:::      :} ! :!


                     -=
             >  ̄`       `ヽ
           /

          /                   ミ=‐
       _彡  / ./       /           \ ヽ
      >-/  /      /   i            ヽ \
     ///  , /  /  //   i     !         ',.  \
   /ニ∠ニ= イ/ ,/  // / イ     i     i  i ヽ ̄
  /ニ三三イイ/ //  ≠{‐y-/、|   i  i     |  i厂
  /三三三/∠ ィへ| /| .| /∨|{ i //.{ i /-.i_ i.   |  |!\
.../ニニ三三{ニニニi fヽ|/ !/iム_  i! ∨/| .!/|//i } .!  i i. |i‐-`-
イ三三三三{ニニ∧、〈i ≦ニ==ミ、  ∨i __|/ } ハ |  } |! ト!
ヽ三三三三{三Υヽ  ..:.:.:.:..     、!≠==ミ、 }| /! | |
 }、ニ三三三{三i  ト        ,   :.:.:.:.:.:.`/ }/.:| ハ|
 ニヽ三三三{三i‐-{∧   r-          /彡//!       「ありがとー!」
  ニニYニ三三寸  i∨ヽ  丶   フ    イ三// i
=ニニニ}ニ三三三\八ム、 \        イ三ニ// /
-=ニニ}三三三寸三\厶\ >   ≦ア. : .:{ニニ///
=ニ三}三三三ニ寸三ニヽ \{、  //. : . :/三/
ニ三三三三三三寸三ニ \ ヽ,/'. : . : . /三〈i

ニ三三三三三三三寸三三\. : . : . :./三/
ニニ三三三三三三三寸>-‐´: . : . :イ彡'


 アァァァァァァア!

 天使! 天使なのォォォ!

 天使がここにいるのォォォーーー!


 6/10


 だがちょっと待ってほしい。

 天使ってポケモンじゃないですか?

 もうポケモンでいいですよね?

 ポケモンだ(断言)


 私は歩いていたらポケモンにエンカウントしたんです。

 ポケモンにエンカウントしたらポケモントレーナーはどうしますか?

 それはもうゲットするしかないですよね?

 ポケモントレーナーの真理ですよね?

 むしろポケモンをゲットしないポケモントレーナーこそがポケモンを冒涜していますよね?

 私は自然の摂理に則って行動しているだけじゃないですか。


 つまり私は二人をゲットしてもいいってことですよね!?

 ゲットしたポケモンは私の好きにしていいってことですよね!?!?!?!?!?

 モンスターボールを投げればゲットできるんですよね!!!!!!

 キタ━━━ヽ( ゚∀゚)人(゚∀゚ )メ( ゚∀゚)人(゚∀゚ )メ( ゚∀゚)人(゚∀゚ )ノ━━━!!!!


 私の時代!

 私の時代!


 ふふっ、証明完了-QED-です。

 さて、皆さんを納得させたところでーー


. /: : : : : : : |: : .:i:.|:.:.:.:i| |:.:.:.:.:.:.|!:.:|i:.:| 、:.:.゙、::、   ゙、゙、:::::::::::;::イ/:::::::::::::::i:::::
./ : : : |: : :i:.|:.:.:.:i:.|:.:.:.i| |:.:.:.:.:.:.:.|!:.| i:.:i 、:.:.:、:.、::.:.:.!:.:iヽ/:.:.:.|/:::::::::::::::::i::::
i: |: : : |: :.:|:.|:.:.:.:i|:|:.:.:.| ! |  ..:|i. | .i: i ゙、:.:.i.;A-‐ハ:.!:.:.:.:.:.:.:..!:::::::___|::::
!:.i |: :.:| .:.:.i:.!:.:.:.|!.i! :l |:.:!:.:.:.:.:..i:.:.i ゙、! _/ハ:ハ/ |ィ;.:.,.-‐-、!:/.:.:.:.:.V/

i :|.| :.:.:i   i i_:|、!、:.:.! i:!、i:.:.:.:.:.:.i:.:.i _;彡';tr=、 ヾ、"' /ヽ |':.:.:.:.:.:.i:.:|:.:.:.:
. ! i:i!  | ..:i :i:.:.:i`iー>ト-!、丶:.:.:.:.:i:、^V i_;:::::::ヽ /      i: : : : :.:|:.:|:.:.:.:
 、:!:i、:.:.i:.:.:.:.|:.i:、:.7メ'f:::::::ヾー\:.:.:.:、`ヾ  <;;;:ン ′     ノ : : : :.:.:!:.|:.:.:.:
  ヾi 、:.\:.:\:.]〈  っ::::;:i    ̄`            _,∠|:|: : : : .:|:.|―-
    ヽ!:.i、`゙ー-r≧   >≠    ,      " "   /  |:! : : : :.:|:.!////
     |:.|:.:.:.:.:.:.:\!  ,, ,,                /   i!: : : : : ::i:.i////   「ポケモンッ!
     |:.|: : : : :.:.:.i i       r== "ヽ      /   i: : : : : :.:i:.|////
     | |: : : : : :.:i:.:|\     ∨__ノ)   /    /: : : : : :.:i.:|////    ゲットだぜ!!」
     |:| : : : : :.:.|:イ |:::|l`ー-..、    ̄ ̄   /     / : : : : : :.:|/////
      |.|: : : : : :.:|:∧ i:.:!i::::::::::::::`i ー-‐ '    ,..-‐:/: : : : : : :.:.i!/////


 7/10



      /      /  /|   | |    ヽ       \
.       /  /  / / / |  |. |   | |   |   ', ヽ    ∧
     /  /  /./ / |  | |   | _|L.--|.,,,_  |  |   :l ',
     /  /  |  ト|_,r|''´|`:|   |  |\ | `ト| :|    | :|
    /   |   | ィ| |─ト :|ヽ  | / ̄V|  | :| |   |  |
    /   |   レ´| \|_\|  ト、. |::::彡三=、 :| ./ / /   !
   /彡イ |    ト| 彡 ─ヾ:\|::::\::::/,'⌒ヽ \/ / /   |、
.      |  ヽ  ゝ///;'⌒',ヽ:::::::::::::::::::::|:!::::::::::!:| ||イレ' |  ハ!
.      |   ト、 || | ';::::::::!:|::::::::::   ヾ、;;;;;;;ノ  |/ ハ  / |
.      |    ハ, \:::ヾ.;;;;;...'   ,          ハ /  /
.      | /ヘ ヽ..ハ                  ハ// /    「ひとの ものを とったら どろぼう!」
        /    \トハ      ー_,ア     ノ'´//
               |ゝ、           //イ/
              |人> ._       <:| / /
                \|\|  ー<   :|´
                     |        :|> 、
                   /|       /   \


      / : :/: : |: ::|゙: : |:.:.:| |: VM、_|:.: | }: ト、_,.::|: : :ヾ: ',.   ∧∧
     ./  /  .! :i! : :N:.:| い: : : !/≧二]/"|´:.:|:. : |: !. ! <   >
    /   | |  |: ::|',/ ヽ| \: : |ィ/,ゞ..、\,!: :/: : :i! | :| < 誤 >
   ∧∧゙: : |::{: .: :!:/| 〉|-.     \!" {_::rj::::', :リ/}:.:. ノ|/゙.:| < 解 >
. < 誤 >∨\"| /,ィうヽ      ィ゙:`::::ソ i} |/: ': : :| <. !!! >

. < 解 > : : : |ヽ  {_,ィrj:::',       .`ー‐゙  ./: : : : : : |.   VVV
  < !!! >∨: : :ヽ{i ヾ,::::::ツ ::::::::::::::::: :::::::::  |: : : : : : |
   .VVV゙ .| \: : : \, `" ::::::::::::::::::::::_,,._ ::::::::: |: : : : : : {
.      'j  |: : ̄、 ̄ :::::::::::::: _,,. - "__\   {: : :  :'.,       ∧∧
         !: : : :.ハ.       { ./      〉 ./!: : : : \    <   >    「穏乃ごめんなさいっ!?」
        .|: : :リ`ヘ.       V     ./ ,ィ=、|: : : : ト、::ヽ  < 誤 >
.     ∧∧_.|: :  : : :`..、,    `ー  " ./ |/ \: : : . :| i: :}  < 解 >
.   < .誤 >゙ ,': : : : :/: : :/  ー, --‐'    /   ヽ: : ::ヽ ̄ `ヽ < !!! >
.   < .解 > /: : : : /: : :/: : :/ {/〉,    /     〉,: : : :\   \ VVV
   .< !!! >./: : : : /: : : _,.ィ={ :|/. !.    /    /| \: : : ::\   }
     VVV  : : ::/_,,.-/ / :| :|: :.   /    / :| | .\: : :  \/
     /:/} : : :/   / / .:| :|_.    /   /  .! !  .\: : :  ヽ,
.  /:/_,/゙:   ::/   / /  :| :|. ` ./  ./   .| | /  \: : : :`、


 8/10


 「アァァァァァーーー咲さん!?」

 「子供たちだけをスマホもたせて歩かせるわけないでしょ!」

 「違っ、違います!

  これは教師として歩きスマホを注意して事故らないようにしていただけです!」

 「じゃーなんで人の子供にスマホ向けてるの!」

 「こ、これは写真を撮ろうと思っただけです!

  アットホームな雰囲気を後で咲さんに転送しようと思って!?」

 「いや、和ちゃんが写真撮るのもNGだからね?

  ナニに使われるかわかったもんじゃないし」

 「それは流石に厳しくないですかっ!?」

 「残念ながら当然。

  と言うか明らかにポケモンGOのアプリを開いてるじゃん!」

 「こ、これは違いますよ!?

  咲さんは機械苦手だからわからないじゃないですか!」

 「子供たちの面倒を見てるんだから苦手なりに覚えたよっ!

  言い逃れが苦しいよ!」

 「ちょっと待ってください!

  いや二人に出会ったのは本当に偶然なんです!

  ポケモンGOを始めたのはついさっきですし!

  それは本当に偶然なんです!

  だから絶縁しないでくださいマジで!

  アアァァァァァァァァァァアア穏乃ごめんなさいっ!!」

 「高鴨さんに何したのさ……。

  いや、絶縁なんてしないけど……」

 「本当ですか!?

  咲さん天使! 咲さんも天使!

  天使のお母さんは天使だったんや!」

 「だって変態を世間に放っておくと危ないし。

  見えないところで手を出されるより見えるところで監視してた方が楽だもん」

 「あっ、そういう……」

 「(ていうか私も友達少ないし……)」

 「咲さん、ありがとうございます!

  最後に、最後にこれだけ聞かせてください!」

 「……なにさ」


 9/10


              -‐…‐-
         ´: : : : : : : : : : `` .
        /: : : : : : : : : : : : : : : : : :\ ___
     . : : ::/: : : : : : : : : : : : : : : : : : 〈i:i:〈

.     / : : :/ : : : :/ : : : : !: : |: : : : : : : :〈i:i:〉
    /:: : : : : : : : : ::∧: :/|:: ::|i: :|::| : : |: : ¨
   , : : : ||: : /!: / ∨|: :|i: :|::| : : |i: :|

.   ′: : :|: : :/ |/     |: ::八人| : : |i: :
.  ,: : : : : :|: Ⅵ斗ぅ气ト ムイ≫冬ト: :从/
  ′:: : : ::|: : | 乂rツ    ヒrツ.ムイ: ::|

  .: : : : : ::|: : |  ,.,.,.    、 ,.,. .′:: ::|
 ,:: : : : : : ::|: : |      、 ,    , : :|: : :|   「最後に京太郎君のポケットモンスターを見せてもらっていいですか?」
./:: : : : : : :::|: : |: :} iト       イ: : :|: : :|
:: : : : : : : ::|: : |::j{   うr≦: : : |: : | : |

::: : : : : :/|: : |:\   {`ヽ〕iト ..,,__|: : :|
: : : : /i:i:i|: : |:i:i:i:\    }:i:i:i:i:i:i:i:i|: : :|


.   / :.:.:.|:.:.:.: /^l:.: : ||:.:.:.:.:.:.:| ヽ:.:.:.:.:.ハ:.:.:|:.:.:.:.:.:.ヽ:.::.:.::.
  /  .:.:.:.|:.:.:.:.|  :.: : ||:.:.:.:.:.:.:| |:.:.\ | :.:|:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:.
  /  .....:.|:.:.:.:.| /: :.:|ト:.:.:.:.:.:.| |:./_\:/|:.:.:.:.:.:.:八:.:.:.:::
. /  .:.:.:.: |:.:.:.:.|  \||:.:\:.:.::. ィX笊竺心j:/|:.:.:./:.:.:.:.:.:.:.|

/    イ从:.:.:| ィ/笊匁、 \:.:..   ノ{:::::::ハ |:.:r-x:.:.:.:.:.: |

ー    |:.:.:.\| i| ノ{:::::ハ      乂ー-ソ j/  V:.:.:.:.:|
      |:.:.:.:.:.:. 从乂ーソ               .:.:.:.:ハ|
      |:.:.:.:.:.:.∧      ′    ""     /:.:.:./
      |:.:.:.:.:.:.:.:ハ ""             厂:.:.:/j/     「ポケットじゃないから見せなくていいね」
      |:.:.:八|:.:.八      r-,     /:.:.:.:/
      |:./  \:.:{\          /  |:.::/
      |:     \  >  .. _  イ   リ/
                  __]       {___
                _/三l       /三三三≧=-__
           _x<三ニ/´ /     /ニ三三三三三三三>

.         r≦三三ニニ/      /三三三三三三三>´
         /|三三三三ニ{____/ニ三三三三三三>´      \


       / /  ./  ,ィ          ヽ ヽ_
        / /  ./  //   /!  |l!   .lY'::::::::::)
      ; i  くlハ //,ィ  / .|  リ! j  l }::::::::::l!
      |イl!  ' _`Vメ、 l  / __.! ./_l/__ ノ l::::::i='ヽ
      ゝゝ| ;´んィ:!`    =j/__ノノイ /¨T ヽヽ

      ||  l 弋_丿     'んィ:!.ヽ// ,'   !  } }
      ||  l 、、、     弋_丿 // .,ヘ  .!   j/
      ||  l     '   、、、 // ./イ  |
      || ::ゝ.    __     // ./. !   |
      ||  | l > ´‐-'   _イ//∥| l  |
      |l!. l_L:;ノ:.ト!¨  T¨ェ:://.∥ll! l  |     「ほう……」
      l|-、 ヽ: : : :.l! ̄` |:.:.// /l!ll| .!   |
     /-、:::ヽ ヽ: : : l ̄ ̄l:.// /: :ヽ! .!   !
.    / | >ヽ ヽ:.:.:l    l;'///: :/\ .|   |
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   人.. V    } :!:ヽV/'/l;;;_/  Y ..人 !
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 10/10


 ……
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      /:./{ミミ:.:.:.彡≧:.:.\

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       ′ !   | / ̄`∨   |´ ̄Ⅵ    |     |
       |  |   r≠ミ、∨  | r≠ミx   |     |
       |  |  从 r':::::}!八  〃r'::::::}!》  |     |
       |  |  ハ弋)ソ   \{ 弋)ソ |   |     |
       {  |   :i ,,,  ,     ,,,, /  八   !
.        |   :}          /7 /     |    「(菫先輩って既婚者じゃ……)」
        八   人   v  フ   / /}    八
         \{\( >...       仏イ/    /:  \
.           /    ≧ー <    |/   /:    \
          /   厂 ̄ |      /   /:.      \
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     l(  /   /   /  /   /   /        \:..   |


 カン!

 スレが完全にのどっちに占領されてる気がしてきた


 1/10

 【乙女心は複雑怪奇!】-京優次元2-


 「優希!

  今日の帰りに1年三人でファミレス行こうぜ!」

 「いきなりどうしたー?」

 「三人しかいない一年生だし、もっと交流を深めてもいいと思ってな」

 「本音を言え!」

 「和も一緒に誘ってくれよ」

 「のどちゃん狙いか!

  これだから犬は発情していて困るじぇ」

 「ち、ちげーよ!」


 最初はちょっとドキッとした。

 京太郎から話しかけてきて、デートに誘ってくれたんだから期待してもいいはず。

 それなのに京太郎と言ったらのどちゃん狙いなのが丸わかりだ。


 「それならのどちゃんを一人で誘ってみればいいのに。

  のどちゃんも京太郎には心を許してるみたいだし」


 そう、あののどちゃんが名前呼びを許すくらい二人は親しい。

 私を介さない状態でもそこそこ喋っているのを見かける。

 人見知りののどちゃんをこれだけ口説き落とせる。嫉妬して当然だ。


 「頼むよ優希」

 「むー」


 自分の想い人が自分をダシにして他の人を誘おうとしているんだ。

 怒ってもいい。

 でも、誘われないのはもっと嫌だ。


 2/10


 「特別に!

  私が企画してやるじぇ!」

 「さすが優希!

  話がわかるぅー!」

 「ふっ……、今日の昼はタコスを買ってくるんだな!」

 「いいっ!?」

 「タダ働きをさせるつもりか!?

  いやん、DVよ!」

 「誰がお前と夫婦だ!」


 うぐっ、そんなに強く否定しなくてもいいのに。

 きっと漫才の一種で軽い気持ちで言っているんだろうけど、ちょっと傷ついた。


 「まぁ、タコスを買ってくるくらいはいいんだけどさ」

 「おっ、ほんとか!?」

 「ホントだよ。

  でも、昼飯代くらい自分で払え」

 「うむ!」

 「それで納得するんだ……」


 正直なところ、京太郎が私のために何かをしてくれるというだけで嬉しい。

 無理に奢らせようなんて本心じゃない。

 買ってきてくれる、というだけで嬉しかったんだ。


          ,.  -―‐-- 、
   ___    /: : : : : : : : : : : :\__
  彡 ': : _:ミC' ://: : : : : : : : : : : ヽ}-、
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   W//: : ,': : !:リxそト  |/レ⌒V: :!: |: :!: :! \/
    /: : : !: : !〈 ト!::リ      |/厶ハ/ V

    V!: :八: :!xx`¨    ⌒ヾ !: : :|

     Nハ:!ヽ|ゝ、  「  7 xx人: : |
         >‐:: > n/7hr<レイ|/   「~♪」
        厶ヽ:::::::Y   /::::7
       /! \>::.|  /:::::/|

       L|  ヽf^{ミニf フ! .|
        !  / `¨ハ. ! .|
        | \   /:::::! / |


 3/10


 ……
 …


 そして放課後。

 麻雀部の練習が終わった後に、私たち三人は集まった。


 「あんまり遅くまではいられませんよ?」

 「のどちゃんちは厳しいんだじぇ」

 「じゃあ早く行こうぜ」

 「その点、私なら遅くまで付き合えるじぇ!」

 「いや、お前も遅くなるとあぶねーだろ」

 「いやん、今夜は寝かせないぞ、って意味だと受け取った!」

 「ちげーよ!」


 そんな馬鹿なことを話しながらファミレスに向かう。

 しかし、のどちゃんが何やら考え込んでいる。


 「のどちゃん、どうした?

  京太郎がうざったいか?」

 「えっ、何その全否定」

 「いえ、そうではなく『ふぁみれす』というところに行ったことがないので……」

 「のどちゃん、深窓の令嬢か何かか?」

 「どこかに出かけた時に行ったりしなかったの?」

 「あまり両親と出かけることがありませんでした」

 「のどちゃんちは金持ちだからなー。

  京太郎の家とは違うんだじぇ」

 「いや、俺の家も割と」

 「着いたー!」

 「聞けよ」


 京太郎の話は無視して、到着!


 4/10


 「とりあえずドリンクバー三つでいいか」

 「ドリンクバー?」

 「ほら、のどちゃん。

  ここで好きな飲み物を入れていいんだじぇ」

 「えっと、お金は」

 「飲み放題!」

 「えっ、そうなんですか?」

 「ほほーぅ。

  これはこれは京太郎さんや、のどちゃんに色々と教えてあげるべきだじょ」

 「全くだ。

  ドリンクバーの楽しみ方を教えてあげないとね」

 「?」


 もちろん、学生のドリンクバーの遊び方と言ったら……。


 「ドリンクバーを頼めば飲み放題だから、好き放題ブレンドし放題なんだじぇ!」

 「混ぜるんですか?」

 「とりあえず炭酸!」

 「のどちゃん、コーラコーラ!」

 「えっと、コーラもあまり飲んだことがないんですが」

 「箱入り娘!」

 「今時珍しい!」

 「学生にとってのビールみたいなもんだじぇ」

 「とりあえずコーラ!」

 「そんなにいっぱい飲んだら太っちゃいますよ」

 「のどちゃんは胸に行くからヘーキだじょ」

 「ゆーき!」


 そう言いながらのどちゃんの後ろに回り込んでおっぱいを揉む!

 うむ、素晴らしい揉み心地。

 目の前で京太郎が悔しそうな顔をしているのが最高のスパイスだな!


 5/10


 「んぐ、んぐ……」

 「おお、のどちゃんは炭酸飲んでてもえろいじぇ」

 「んく。

  茶化さないでくださいよ、ゆーき」

 「お味はどーかな?」

 「なんというか、刺激的な味ですね」

 「そうだろー!

  まぁ私はタコスの方が好きだけどな!」

 「お前にとってのタコスは飲み物か」

 「血液だじぇ」

 「トルティーヤソースでも流れてんの?」

 「きょ、京太郎……。

  そんな、私の血を舐めたいなんて……」

 「い・ら・ねー!

  どんな変態だよっ」

 「須賀君……。

  血液を直接摂取するのは良くないですよ?」

 「和までっ!?

  こらっ、優希。お前のせいだぞっ」

 「うむ。のどちゃんも中々ノリがわかってきたようだな!」


 京太郎ものどちゃんも、私のこういうノリに付き合ってくれるのが嬉しい。

 いつもみんなを率先して引っ張るけれども、いつも不安。

 ウザがられてないか、迷惑なんじゃないかって考えることも多い。

 今まではそんなことを考えたこともなかったけれど、京太郎に会ってからは別だ。


 6/10


 いつもの私と違うみたい。


 気づけば視線が京太郎の方を向いている。


 ちらちらと見ているのに、アイツは全くこっちに気づかない。


 のどちゃんのおっぱいに釣られているのが丸わかりだ。


 のどちゃんに嫉妬して、その分京太郎を弄ってしまう。


 弄ってしまうたびに嫌われてないか不安になる。


 それでも京太郎はいつもと変わらずに私のことを構ってくれる。


 そんな京太郎のことがますます好きになる。


 だから私は、いつも元気いっぱいな私を演じる。


                  -‐……‐-
           __ .  '"           ``ヽ、
           __(_,:'     . : : : : : : : i : : : .   \  __
      , -=ニ(__)′ . : : : : : :/: : : :¦: : : .    〃ヽ_)ニ=‐-

     /   . : /   . : : : : : /: : : : : | : : : : .     乂ノ  ``ヽ、
   //  . : ,′ . : : /: : :/:{: : : : :i:| i : : :i: : .    i:    \\
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.    ;′ : /: : :i{ : : : :i{: :乂: |: |:{ : : |:¦: | :卞: : .   ;i | }: .    `、
   {  : i{: : 八 : : i{ { ,,ィ茨氷 : :l: ィ茨氷、}i: : }i | }: :

   乂_ : :{i : : i个ト:乂;《 {i _j゚} \j  {i _j゚},》}i: : 八:.|;゙: : /¦ }

      \{\ i|¦: : ::|  とつ'°    とつ'゚ 厶イ: :|:,厶イ  jノ
           〉|¦: : :i|ハ :':':'     '    :':':'  爪: : : | |
         |¦: : :ii込、          ;勹i : : | |

           八乂_: :乂: :>。.  ~~  ¨  イ: :八: :_人ノ   「……ずるいじぇ」
.                    r 〕=‐ :=夭=ァ
               _jI斗       :ト、__
             .斗=ニ  八__     _,/ ⌒ミトミ__


 惚れた弱みと言うやつだ。


 7/10


 「ん、どした?」

 「なんでもないじぇ」

 「(コーラとメロンソーダを混ぜるのは楽しいですね……)」


 そんな風に思っていても、京太郎と話しているだけで楽しいのだから現金なモノだ。

 他愛もない話をしているのが楽しい。

 漫才をしている時が楽しい。

 調子に乗って軽く小突かれた時はにやにやしてしまう。

 タコスを買ってきてくれる京太郎は大好きだ。

 ふとした仕草で男の子っぽさを見せる京太郎が好きだ。


 そんな思いはしたことがなかった。


 本当はもう少し近づいてみたい。

 恋人繋ぎて手を繋いでみたい。

 恋人のように腕を組んでみたい。

 軽い気持ちでほっぺたにキスをしてみたい。

 その大きな体で抱きしめて欲しい。


 たくさんの思いが飛来するけれど、今は我慢する。

 それを告げてしまえばきっと距離が離れてしまう。

 少なくとも、京太郎は今の私に異性としての感情を持っていない。

 のどちゃん相手ですらデレデレしているけれども、恋人になりたいという感情を持っているわけではなさそうだ。

: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :V /(__,ハ __
: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :V////}: : : : : : ̄: : .
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: : : : : : : : : :|  : : : : : }: : : : : : : : : : i: : : : : : :: : : : \ ̄ `ヾ
ハ.: : : : : : : :.|  } : : : :ハ: : : : : : : : : : !:.: : : : : : : : : : : :\

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 i: : : : : : : ;' ,斗: :./   : : : : :.:}.: : :,':.: :.\: : : : : : : : : : : : .
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 |: : : : ; /   j:/斗斧ミ、! : : / !.:/: : : :|‘: :i丶: : : : : : : : : :

 | : :/    xf": :::: r i ,イ: :, 'i :j/: : : : :.:| |: :l  \: : : : : : : .
 |/    ´ h:.::::.:.し'  |ィ行i: : : : : : : :.| |: :i   \: : : : : i
          乂 : :.:ノ   'た !| : : : :|i: : :.| |: :i     \: : : i
           ̄     _/ !: : : : !! : : ! |:/         \: i   「今は雌伏の時だじぇ……」
                 ,'::::::::|: : : : |i: : :.|               ヽ
                 /:::::::::|: : : :.:|i: : :,'
   _         イ:::::/i ;' : : : ノl: :/

  (  )      イ:::::::::/ :/ : ://j:/
       r< i i:/i:/ :/.:/                   _
≧ ‐-‐ ≦ | r'^ 7三二,/イ=-、      _  -‐ ニ二ニ=-

辷‐-~辷‐~^ /彡仁二ニニニニ>-= ニ二二二ニニニニニニ==-
≧=-      /ニニニニニニニ≦三三三二ニニニニニニニニニニニニニニ==-
三三二ニニニニニニニニニ≦三三三三二ニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニ=-


 少なくとももう少し、京太郎が私に振り向いてくれるまでは我慢するんだ!


 8/10


 「のどかー。

  あんまりドリンクバーでおいたしすぎると怒られるぞー」

 「ちょっと待ってください。

  今カルピスと炭酸を混ぜているんです」


 のどちゃんが羨ましい。

 異性としての眼差しを向けてもらえるのどちゃんが羨ましくて仕方ない。

 京太郎は優良物件だ。

 スケベでダメダメで麻雀も弱いけれど、格好いいところもいっぱいある。

 ……本人には絶対に言わないけど。

 そんな京太郎に好意を向けられているならば、のどちゃん側からもアプローチをかければ一発だじぇ。

 でも、私は私に出来ることをするんだ。

 こんなちんちくりんな私だけれども、私には私の良さがあるんだ。

 それをいっぱいアピールしていけば、京太郎だって振り向いてくれるはず。

 攻めて攻めて攻めまくる、それが片岡優希の恋愛スタイル!


 ……そこまで意識したのはいいけれど、やっぱり恥ずかしい。

 いつもさりげなくやっていることをするのがとっても恥ずかしい。

 好意を自覚するまでは出来ていたことが今はできない。


 例えば、今京太郎が飲んでいるジュースを分けてもらったり、だとか。


 ちょっと変態チックだけれど、乙女だって色々あるんだじぇ。


 「ちょっと行ってくる」


 そんなことを考えていると、京太郎がトイレに行ったようだ。

 のどちゃんはドリンクバーで格闘している。

 い、今がチャンス……。


 9/10


 「……あー!

  優希、俺のジュース飲んだな!」

 「器の小さい男だじぇ!

  もう一度注いでくるんだな!」

 「ドリンクバーなんだから自分で注げばいいだろー!

  クッソー!」


 そんなことを言いつつも自分で注ぎに行く京太郎はやっぱり優しい。

 すぐに行ってしまった京太郎を横目に、机に突っ伏す。


/r"´`ヽ ./   / /i  / / i   |  : : :!: ! : : : : :l O   l': :、: : ヽ、: .`ヽ
ハ 、  ノ/   /  l i  ,ハ ハ |  i.|: : |: :ハ : |.:!: : i: :ト.、._ ,.イ|i: : .\: :ヽヾ、:
: //:7:r' ヽ:i: : :i.!: : :|:!,.-|-|、.! !|i: : !.! :‐!-|-!、|_ト、: :!: ゙、: : : :|:|:、: : : :ヽ: : ゙、 ヽ

/ l:/: :ゝ イ!: : :|!: :/|i: : i-!-| !:、: |、!: :|;ナ |: ハ|`!、!|: : !: : : !:|: i: : : i ハ : : i

 |': : : :ト、!O: : !i: : :!:!ヽ、.! ヽ!   ヽ! ゙、!  |/ リ |:ノ !: /i: : :/:i: |: : : :i| i: : :|
 !: : : : |、/゙:\:! \:|   _,         、      リ |/ /: : : / /i : : :i|ヽ| : i|
 ゙、.:: : .レ: : : : :! ≡≡三彡       ミ三≡==、  /: : ノ ;/:/: : ///.!.: ;l
  i: : /; : : : :/ :::::::::::::::::         ::::::::::::::::::  //` ‐:´ / : :/'"//: :ハ
-- ヾ/ハ:i : : f  """"""          """"""  /ィ: : : : ノ,. イ://:,ノ  ゙、
__  |ハ:|、: :i.、                  /:/: : : イ´:i: :l.|――‐----    「~!!」

  ̄ ̄ ヽ、!w;丶、          ,.-、__,へ7 ソ/: : //: ノ;ノ'"__

           `ー-、_ ~~~'´     _ ノ-― ´'"´       ̄ ̄ ̄
                  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 今更になって恥ずかしさで顔が爆発しそうだ。

 きっと真っ赤になっているだろう。

 とても京太郎には見せられない。


 ーーか、か、間接キス!


 それに、京太郎がこれから飲むジュースは私が口をつけたコップを使うわけで……。

 京太郎も私と間接キスをするわけで!


 それを考えるだけでますます顔が赤くなる。

 ああ、もうダメだ。


 今日はもう、京太郎と普通に接せる自信がないじょーー


 10/10


 ……
 …

 ・後日

              -‐…‐-
         ´: : : : : : : : : : `` .
        /: : : : : : : : : : : : : : : : : :\ ___
     . : : ::/: : : : : : : : : : : : : : : : : : 〈i:i:〈

.     / : : :/ : : : :/ : : : : !: : |: : : : : : : :〈i:i:〉
    /:: : : : : : : : : ::∧: :/|:: ::|i: :|::| : : |: : ¨
   , : : : ||: : /!: / ∨|: :|i: :|::| : : |i: :|

.   ′: : :|: : :/ |/     |: ::八人| : : |i: :
.  ,: : : : : :|: Ⅵ斗ぅ气ト ムイ≫冬ト: :从/    ドヤァ
  ′:: : : ::|: : | 乂rツ    ヒrツ.ムイ: ::|

  .: : : : : ::|: : |  ,.,.,.    、 ,.,. .′:: ::|
 ,:: : : : : : ::|: : |      、 ,    , : :|: : :|     「一人ファミレスでドリンクバーを極めてきました!」
./:: : : : : : :::|: : |: :} iト       イ: : :|: : :|
:: : : : : : : ::|: : |::j{   うr≦: : : |: : | : |

::: : : : : :/|: : |:\   {`ヽ〕iト ..,,__|: : :|
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: : / へ.゙、 :丶ヾヽ<´{::::i` ヽ! 1!|:/| :!ノ゙、リ

: :ヽ    \ : :!丶   ̄     Vイ:ハ |\:i
.: : 丶    \゙、        `> リ  `
ヽ: : :`┬ 、  ヾ          /
  i: ;ィノ    U     ,....-ィ /     「一人で……ファミレス……?」
,,:‐レリ    _       ̄ /
゛=!_    \ `ー-、_  _/
::::::゛== 、 \   / ̄ヽ、
::::::::::::::::::::::゛===-、    >


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 | : : : |i::∧: : : : :!: : : : :\{:| 〈  {h:::iノ }       ん)ト |/!/ |: :∧ : : |
  : : ::|i::|.∧ : :: :|:: : : : : : : :,  .乂こン        {h:iノ}  ゚: : :| : : | : : :/
.  \八|  |:: :::|: : : : : : : : :,   .,.,.,.      , 弋こソ {: : : ::|: : ノ }/
       |: :\! : : : : : : : : :, U            ,.,.,  : : : : |/
       |: : : : : : : : : : : : : :,     ゝ    ,      } : : : |     「のどちゃんのどちゃん。
       |: : : : ::|i: : : : : : : : :              イ : : :/

       |人:: : :|i: :|: : :|:::|i: :}>            イ: :|: : :       一人ファミレスは難易度高いじぇ」
.           \八/\人八/}    ー┬‐ ≦: :人/|/
                 {^辷ー^ヽ/\/ヽア:/

.          ,r‐=ニニ二二二\           〈二ニニニニニニ┐ :/
.           /  -=ニニニニニニニ.\        ∧ニニニニニニニ.!∨ /
.       /      -=ニニニニニニ\ Y⌒Y⌒Y}ニニニニニニニj{. ∨

 カン!

 ネタがない
 シチュエーション募集


 1/10

 【爛れ続けるもの】-のどヒサ次元1-


 「……」

 「……」

 「空気が重いじぇ……」


 清澄高校の麻雀部の部室。

 今日は染谷まこが実家の手伝いということで、原村和、竹井久、片岡優希の三人で雀卓を囲んでいた。

 残り一人の部員が来るまでは三麻ということで卓を囲ったのだが、成果は芳しくない。


 「デジタル(笑)」

 「悪待ち(笑)」

 「二人とも仲良くしてほしいじぇ……」


 そう、この二人とても仲が悪い。

 喧嘩するほど仲が良いという部類の仲の悪さではなく、本当に仲が悪い。


 竹井久は理に合わない打ち方を主にする雀士。

 原村和は機械のように理を重んじる雀士。


 人は自分とは違う部分を持つ人と友人になるとは言うが、この二人にその言葉は当てはまらなかったようだ。


 「ロン」

 「……!

  またそんな打ち方を!」

 「そんなことを言っても上がっちゃうんだから仕方ないわよねぇ?

  これだからデジタルは……」

 「デジタルを馬鹿にするのは構いません。

  私を馬鹿にするのは許しません」

 「のどちゃん逆! 逆だじぇ!」

 「おっと口が滑りました。

  あなたが私を馬鹿にするのは許せません」

 「変わってないじょ!」


 部室内の空気がピリピリと震撼する。

 その中に巻き込まれている優希はたまったものじゃない。


 2/10


 「やぁーねぇー。

  人生なんて一回限りなのよ?

  そんな中でデジタルに徹していちゃ好きな人の心も掴めないわよ」

 「……ビキッ」

 「あっ」

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     |:.|: : : : :.:.:.i i       r== "ヽ      /   i: : : : : :.:i:.|////
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 〃 : . : . : .:/ ―ォュs、,,_ ``        '" _,,,..z=ュ、 i. : . :i: . :
 {i  , : . : .:∧ ,《  {   ヾ`ヽ      ,イ´{    }`》 i!: . :7: . }
 ii  ,: : : :,'ヽ, ヽ v   リ             v   ノ ′ i}. : /. : .,   「来いよ原村ィ!」
 i!  ,: : : :{、 ,    `¨¨´           `¨¨´   ノ: :/. : ..
 {  .∨: . :ヘ. ,                     ノ: イ: . : /

 ヽ  ∨: . : ヘ_,                     /イ: /: .:.,
     ヽ: . : .ハ           ’          〃´ノ: . : ノ


   / : : : : : : : /: |i: : : : : : : / : : /     | : : |\: : : :|: \: : ::∨: \
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.  .: : : / : : : :   | ::八 : : : : /{/,.斗=ミ.  |: : / |< ̄:|: : |:::∧: : : : :.
  ′: : : : : : : : : :|: : : : : : : / . ,ィ´ん):iト,   |/  .斗=ミ|::| : :Ⅳ ∧:: : :::|
 | : : : |i::∧: : : : :!: : : : :\{:| 〈  {h:::iノ }       ん)ト |/!/ |: :∧ : : |
  : : ::|i::|.∧ : :: :|:: : : : : : : :,  .乂こン        {h:iノ}  ゚: : :| : : | : : :/
.  \八|  |:: :::|: : : : : : : : :,   .,.,.,.      , 弋こソ {: : : ::|: : ノ }/
       |: :\! : : : : : : : : :, U            ,.,.,  : : : : |/
       |: : : : : : : : : : : : : :,     ゝ    ,      } : : : |     「(どうやって発音してるんだじぇ?)」
       |: : : : ::|i: : : : : : : : :              イ : : :/

       |人:: : :|i: :|: : :|:::|i: :}>            イ: :|: : : 
.           \八/\人八/}    ー┬‐ ≦: :人/|/
                 {^辷ー^ヽ/\/ヽア:/

.          ,r‐=ニニ二二二\           〈二ニニニニニニ┐ :/
.           /  -=ニニニニニニニ.\        ∧ニニニニニニニ.!∨ /
.       /      -=ニニニニニニ\ Y⌒Y⌒Y}ニニニニニニニj{. ∨


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 「貴女はいつもいつも須賀君に雑用ばかり命じてるから負け組なんですよ!」

 「あら、和は知らないの?

  好きな人に辛く当たってしまう現象をツンデレっていうのよ?」

 「(ツンデレ=暴力ヒロインなのは良くないじぇ)」CV釘宮

 「そんな恋愛感ありえません!

  常識的に考えてただの嫌な女じゃないですか!」

 「男の子はちょっと手の届かない女の子のことが気になるのよ!

  美人な先輩が年下の男の子に甘えるように『ねぇ、ちょっとお願いがあるんだけど……』ってしなだれかかるのよ!?

  これはもう須賀君の須賀君が大反応して天元突破してるに違いないわ!」

 「竹井ァ!

  そんなことをしてたんですかズルいです!」

 「これだからデジタル(笑)は……」

 「いや、のどちゃんの考えの方が正解だと思うじょ……」

 「ぐぬぬ……。

  私だって疲れている須賀君に慰労の言葉をかけたりお弁当を分けてあげたりしています!」

 「なっ、原村ィ!

  いつの間にそんなことをしているのよ!」

 「私と咲ちゃんも一緒だけどなー」

 「恋愛に、悪待ちなんて、ありえません(笑)」

 「ククク……やっぱり貴女は浅はかね。原村和ァ!

  今時尽くす系ヒロインなんて流行らないのよ!

  『お前恋愛対象としては見れないんだ』って言われて負けヒロインになるのがオチよ(笑)」

 「咲ちゃんにクリティカルヒットだじぇ……」

 「これだから現実を見れない喪女は……。

  そんなコトをして受けるのは二次元だけです!

  貞淑でお淑やかな女性がモテるに決まっています!」

 「のどちゃんが貞淑でお淑やかなのかどうかは疑問だじぇ……」

 「平行線ね……」

 「いつものことですが……」

 「もう普通に麻雀しようじぇ……」


 優希は一生懸命煽りながら仲裁するが、二人はどんどんヒートアップしていく。

 気づけば雀卓をひっくり返し、麻雀牌が飛び散り、二人とも取っ組み合いになっている。


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 「というか、二人はなんでそんなに京太郎に執着してるんだー?

  そ、そりゃ格好いいとは思うけど……」

 「ふふっ、聞いちゃいますか。聞いちゃいますか?

  聞かれたら仕方ないから教えてあげますね。

  あれは入学して間もない頃でした……」


 ……
 …


                     ____
               ,. ´ __    `¨¨ヽ

            ,   ̄`  /  ヽ       `ヽ
           /  _     ,:   ∨   、    :.
          / /,´      /    |    ヽ     .
       / //'  ' /  ' /   l| | :  :  ∨   :
       l// / , / ' l| | |     | | |  |   |   |
     _/ ィ / { l |__|_{ |∧   }/ ' / l  |   ∧
      ̄  {〃  Ⅵィ斧从 } /-}/-/、 , /-、 ∧}
          / ,  从 Vり ∨イ ,イ斧ミ、}/ /⌒ } | '
           / イ从 l ム        Vり ム'  ノ/}'   「消しゴム落としたよ?」
         ´    \∧  '        ,r ' /
               、  v   ァ    / 从/
                     \ `こ     イ  _|、
                  ` r  ´   //∧
                     /|     /////∧
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      / : :/: : |: ::|゙: : |:.:.:| |: VM、_|:.: | }: ト、_,.::|: : :ヾ: ',
     ./  /  .! :i! : :N:.:| い: : : !/≧二]/"|´:.:|:. : |: !. !
    /   | |  |: ::|',/ ヽ| \: : |ィ/,ゞ..、\,!: :/: : :i! | :|
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 5/10


 ……
 …

 「えっ、それだけ?」

 「それだけってなんですか!!!!

  私にとっては父以外の男の人と会話するなんてほとんど初めてなんですよ!!!!」

 「和ったら喪女を極めてるわねぇ。

  まともに会話できないとかwwwwwww」

 「うるさいです!!!!」

 「そういう部長はどうなんだー?」

 「聞いちゃう?

  聞いちゃう?」


 ……
 …

                ,.  ⌒ヽ、/⌒ 、-- 、
               /_,..-         ヽ  `  、
             / /´     /    ∨   \
                ,  ´      / ,'     :    、 ヽ
           /   ,    , / /|  |  :.  | | |    ∨
         _/   / /  |_|__'_|  |   _}_|_|_| |  | :
         ̄ ̄´/ イ '  { ´| |/__{  |: , ´/}/_}∧ |  | |
            / / , rⅥィ笊 从 {∨ /ィ笊_ヽ}/、 | |

            / イ ∧{ 从 Vり \∨' Vり /' / ∧{
            ´/イ }从lム     ; \     ,ノ /  \
                    | ∧          ∧,イ
                   Ⅵム    -  -    イ //   「麻雀部入りたいっす」
                _ヽl\       //イ__
                |////} `  ー  ´「////|
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 / ィf升ミュ、ヽ  .i: . : . : . ,
  〃ィf♀ミ,ヾ,  :i: . : . }: . ,
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           iヘ: . :/: . : .
  /i/i/i/   !} }:./: . : . }   「ニョ━━━( ゚∀゚ )━( ゚∀)━(  ゚)━(  )━(゚  )━(∀゚ )━( ゚∀゚ )━━━ウ!!!!」
         J i ノ: . : . : .:
          イ´: . : . : . :

         〃}: . : . : . :/

         / .ノ: . : . : ./
_ ,ィ~==ァ  {ノ.: . : . : ./
 ̄ ´     /: . : . : . /
      /: . : . : .ノ: .,'


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 ……
 …

 「あれ、部長って生徒議会長なんだから男の子と話し慣れてるんじゃ……」

 「うるさいわね!

  体型のいい金髪イケメンが廃部寸前の零細麻雀部に入部してくれたのよ!?

  これはもう私目当てで入部したとしか思えないじゃない!」

 「部長のその自信はどこから来るんだじぇ……」

 「二年間悪待ちしてたからイケメンをゲットできたのよ!

  だから私は悪待ちを信じるわ!」

 「ゲットできてませんからーwwwwww

  全然ゲットできてませんからーwwwww」

 「和うっざいわね!

  なんとでも言いなさい!

  今私の好感度がうなぎ登りなのよ!

  最後に立っている方が勝者なんだからね!!」

 「二人とも、せめて麻雀で喧嘩してほしいじぇ……」

 「……そうね。

  私としたことが焦っていたわ。

  ここは麻雀部。

  そうなれば決闘の方法は一つよ」

 「ええ、望むところです」

 「良かった……。

  それじゃ部室を綺麗にして、麻雀を……」


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                             ,从  , 从
           __            _, /圭7 /圭7 _ -‐' ニニ≧==ー――  ―  ー= ニ 三

        , '" 二ニ≧ー''  ,,。s≦壬圭7´ /圭7 /圭7" '"  ̄≫ '"´     __              ``
     <   / '" ̄ ,。s≦壬圭圭圭圭7  |圭7 〝〝 -- '´     , . : . : . : . : . : . : . : ..,
  /         イ圭圭≫'””¨´7圭圭7,' /'´             , . : . : . : . : . : . : . : . : . : ..\
./ク __,。、 ,ィニY'"Y ニ≫”´_, -‐7圭圭7,'              /: . :./: . : . : . : . : . : . : . : . : .\

/ /´ } .} ィ==t、./   イ ---7圭圭7              , : . : /: . : . : . .イ : . : . : . : . : . : . : ヘ

  ./ i i! , 「 ̄`i/ _,′  ーニ二7圭圭7` ー 二ニ=ー' "     , : . , ' : . : . : /: . : /: . : . : . : . : . : . : .,
  , .l ,' ,'.├‐ァイ  ̄´      7圭圭7__,>´         . : . /: . : . : , ' : . :./: . : . : . : . : . : . : . : . ト、
  { .V ./,ノ / 、_ __       7圭圭7 ̄             . : ../: . : . : /: . :., ' : . : . : . : . : ./}: . : . : . : .ヘ',
  i  {ソ  .ノ '´     ,。s≦壬圭≫”  ⌒` 、        7: .ノ: . : . :../: . :.//: . : . ; イ: .ノ .リ: . :}: . : ..i .i}
  ',    ノ    ィf壬圭圭≫'””´   _    \      7/: . : . : ., : . : /: . :>'"  '"´  ノ}: ./}: . : ..} .ii
  ヘ   〈ニ=-  >‐'””´ー ン´  , .':´. : . : . :`..‐-\__  _,ノ: . : . ノ: .ノ: . : . :./__`` 、     ノム !: . :.リ i!
.      、ー=‐ __,,> ´   /-‐ '' ‐- 、: . : . : . : . : . ヘヘ-‐'": . : . : .ノ{/ ィ芳㍉、     '"´  ノ: . :.,  ノ
   ∧   \ ̄ _ __     ノ'´     「 ̄>、ニニ : . : .ィノノ : . : .:_,/: .{ ‘ .乂,ュ;ノ`   ,ィf苅゙ア: . :./
    ∧       辷=―        i:;ii:;:;:;:;:;:;:;:;>‐- 、 \: . : . : . : 〈 i!     ´     ゞ-’イ: . ,
ヘ  ヘ ∧へ、   ニ=-` ‐- /二、 ‐- ヘ:ii:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:\ ` ー '' } }         ,   /: ../    「漢(オトメ)は拳で語るモノ!」
    ヽ. \ ` ̄   ― ‐‐    ヽ  ヽ  ̄ ⌒ ー≦、⌒ヽ‐-\   _,'ヘ   、_      ノ: . ,
  \   ヽ  、     ニ=―    :}   }       ヘ  マ:;:;:;:; ̄´:ムノ   \   ー ’  イ: .>
\.  \ ヽ   >  ,_        ::i   i!        ヘ  マ:;:;:;:;:;:;:;:;:;ム    ` - <:.ヾr ´
\\  へ  、     >  ,_   ..:::i!   }     ',      マ:;:;:;:;:;:;:;:;:;:ム   / ̄: . : . /‐-、
   ヾ、    >、       ヽ ‐-::{  .リ      ヘ   ',  乂:;:;:;>--゙: . ‐:.'"´: ..:./:;:;:;;ii:}`ヽ
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                              λ  / ∧
                                  〈-=彡' ∧
                               ∧__彡'   〉
                               {      {
                                ∨     ∧
                                |    / リ
                       __       |    ,/ /{
                 ----   〈:::::\     |   / / {
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          {/  / /   \\  ヽ\/:::::∧ ∨:.} /| {
.          ///|   |  | lト、  l l イ:::∧ ∨ } l|     /
         | l | |l l  |  | l| 八从li |:::::::∧ ∨     /
         | l | |l l\l\八从芹苅 i | ̄|l i/ ll     /
          八l | |l |芹苅     乂ツ 'l | l l||_// l|    /
.         /::\八从乂ツ     .::::::. l | レ´//   }   ,/   「望むところです!!!!」
.          ⌒/ / / ∧ .:::.  '__,    ∧l| |:./{   }  /
          / / / / 个ト .      イ| || l/ }    /
.         / / / /  l|| | 〕i千 /:.:| ||/ /    ∧
        / / / /   ||_|//-,/.:.: | || /   /  \
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.     / / / /  /人:.:.:.:{/:.:/    \ \{   -‐

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 / / // 八: : : /:.:.:.:.:.|: : : : : : : : : :/ {  |l | |\ \  \ \


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 「もう勝手にしろだじぇ……」


 それから始まるキャットファイト。

 お互い取っ組み合いの喧嘩を始める。

 髪を引っ張り合い、服を引っ張り合う。

 二人とも秀麗な顔つきをしているというのに、醜く歪ませて罵り合う。

 乙女が出していいとは思えない下劣な言葉の限りを相手にぶつけ続ける。

 もはや優希も手出しはせず、少し離れたところから見つめていると、その時は来たーーー



                  ___,-、 _, ---- 、

               ,   ´     /  `  < ⌒\
               /        |    :.   `ヽ、
             /     / /   l|    V     `   、
              .'     / , { { | |     | 、   、_ \_
              |     | | | |∧| {   :  ハ  V  、\  ̄´
               | | {/--{ 从  | , |-|、 |  、 \`

            ' | ,..- | | | ,ィtォ=ミ∧ |,ィtォ、} / |l ハ\_、
          /イ{ { r 从 { Vソ   ∨' Vソ/イ |∧}
            ∨乂   \            |/ j' リ
            }∧ ー:.          `   ムl/
            /  、 八    _ _   人   「遅れましたー」
               }イ/|\        /
              「<l|  `  .__/_
              |////>、     | 「/|
              -=≦、[二]//l}    |、}l∧_
         -=≦///////////\   |/////≧=-
     r-=≦//////////////////|___j\//////////≧=、
     |////\////////////////l}   |/////////////|//|
     l//////∨//////////////∧ /.イ////////////|//|
    {///////}////////////////∨'//////////////|//|

      |///////|///====//////l///////////////|//|
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      |///////|/////////////////l///////////////|//}


/r"´`ヽ ./   / /i  / / i   |  : : :!: ! : : : : :l O   l': :、: : ヽ、: .`ヽ
ハ 、  ノ/   /  l i  ,ハ ハ |  i.|: : |: :ハ : |.:!: : i: :ト.、._ ,.イ|i: : .\: :ヽヾ、:
: //:7:r' ヽ:i: : :i.!: : :|:!,.-|-|、.! !|i: : !.! :‐!-|-!、|_ト、: :!: ゙、: : : :|:|:、: : : :ヽ: : ゙、 ヽ

/ l:/: :ゝ イ!: : :|!: :/|i: : i-!-| !:、: |、!: :|;ナ |: ハ|`!、!|: : !: : : !:|: i: : : i ハ : : i

 |': : : :ト、!O: : !i: : :!:!ヽ、.! ヽ!   ヽ! ゙、!  |/ リ |:ノ !: /i: : :/:i: |: : : :i| i: : :|
 !: : : : |、/゙:\:! \:|   _,         、      リ |/ /: : : / /i : : :i|ヽ| : i|
 ゙、.:: : .レ: : : : :! ≡≡三彡       ミ三≡==、  /: : ノ ;/:/: : ///.!.: ;l
  i: : /; : : : :/ :::::::::::::::::         ::::::::::::::::::  //` ‐:´ / : :/'"//: :ハ
-- ヾ/ハ:i : : f  """"""          """"""  /ィ: : : : ノ,. イ://:,ノ  ゙、
__  |ハ:|、: :i.、                  /:/: : : イ´:i: :l.|――‐----    「京太郎~、遅いじぇ~……」

  ̄ ̄ ヽ、!w;丶、          ,.-、__,へ7 ソ/: : //: ノ;ノ'"__

           `ー-、_ ~~~'´     _ ノ-― ´'"´       ̄ ̄ ̄
                  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


 当人が来ても時すでに遅し。

 散々な状況になった部室とぐしゃぐしゃになった二人を見て幻滅するだろう。

 そう思って優希が顔を上げたその時ーー


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              -‐…‐-
         ´: : : : : : : : : : `` .
        /: : : : : : : : : : : : : : : : : :\ ___
     . : : ::/: : : : : : : : : : : : : : : : : : 〈i:i:〈

.     / : : :/ : : : :/ : : : : !: : |: : : : : : : :〈i:i:〉
    /:: : : : : : : : : ::∧: :/|:: ::|i: :|::| : : |: : ¨
   , : : : ||: : /!: / ∨|: :|i: :|::| : : |i: :|

.   ′: : :|: : :/ |/     |: ::八人| : : |i: :
.  ,: : : : : :|: Ⅵ斗ぅ气ト ムイ≫冬ト: :从/
  ′:: : : ::|: : | 乂rツ    ヒrツ.ムイ: ::|

  .: : : : : ::|: : |  ,.,.,.    、 ,.,. .′:: ::|
 ,:: : : : : : ::|: : |      、 ,    , : :|: : :|     「お疲れ様です、須賀君!」
./:: : : : : : :::|: : |: :} iト       イ: : :|: : :|
:: : : : : : : ::|: : |::j{   うr≦: : : |: : | : |

::: : : : : :/|: : |:\   {`ヽ〕iト ..,,__|: : :|
: : : : /i:i:i|: : |:i:i:i:\    }:i:i:i:i:i:i:i:i|: : :|


    ,..::::::::::::;::::::::::ハ;' \::;k;ヾxヘ⌒  ,,>、:ヽ;:::::::::::::::::::::::\

.    /::::::::::::/:::::::::イ  ヽ   ' 〆'  ,;;≠ヌミヾ;:!;::::::::::::::::::::::::::ヽ
   i:::::::::::/:::::::i::/i       /'   ;彳::::::::::::::ヽi! |::::::::::::::::::::::::::::ヽ
   |::::::::::i :::::::i::i:.|      "  斤ヾろ:::::::::c} |::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
.   !::::::::i ::::::::i:i. |         '  ゙ゝ;:::::::ノ  |::::::::::::::::::::::::::::::::}

    !::::::i ::::::::::レ|"`              // |::::::::::::::::::::::::::::::::}、
    .!:::::i ::::::::/i | _`__ _              i:::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ、
.    !::|| ::::::':!| レシ;キ=ミ;            {::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ゝ、_

     ゙:i|.::::::::::|, ;il゙ヘ;:::::::::::ヽ             ,  \::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::~ヽ,
      :iト::::::::::'l:;ゞ、 ゝう;:::゚ノ  ,      / l    `ヽ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
.     !| ゙、::::::::|ミ\.          /  /     / `ヽ、::::::::::::::::::i~\:::::|
       :i|. \::::|;::::::\ i l !     ー-  '           ゙ミ::::::::::::::|  ):/   「もう、遅刻しちゃダメじゃない!」
       'i!  \.{:::::::::::\               /       i:::::::::::ソ   '
       '!     ヾ; ::::::::::.ヽ.._____ , .イ"         ノ:::::/
.         \     \ ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\         {:::::/
           ヽ    ゞミ,;;;:::::::::::::::::::::::::::::ヽ::::/i\    , ヾ;:i|
                  ̄ ̄ ゙ ミ、::::::::::::Y ,イ  ヽ  ./ /j


 まさに、神業。

 優希が机に突っ伏しているうちに、京太郎が近づいてくるのを察したのだろうか?

 先ほどまで乱れきっていた髪の毛や服装がしっかり正され、荒らされた部室も元に戻っている。

 そして二人とも仲良く隣に座って京太郎を迎えている。


 「スンマセン。

  ちょっと咲を図書室まで送っていて……。あいつちょっと遅れます」

 「もういいんですよ。

  それより、お疲れですよね?」

 「えっ、いや別に……」

 「じゃあこの椅子に座っていいわよ。

  少ししたら須賀君の麻雀練習ね!」

 「まじすか。

  よっしゃ、がんばるぞっ」

 「……」

 「……」


 一見、おとなしくしているように見える。

 だが優希は見た。


 「後ろでめっちゃ抓り合ってるじょ……」


 清澄高校麻雀部。

 すでに瓦解寸前である。


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 ……
 …


        ,. . . -――- . . .、

      ,. :' : : : : : : : : : : : : : : : :>.、
    ./ : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : \
   /: : : : : : : : : : : : : ,ィ: : : : : : : : : : : :ヽ

   / : : : : : : : : : : : : / l: : : : : ト、: : : : : : :.
  ,' : : : : : : : : : : : : /  l . . . . l .',: : : : : : : :.
  ,' : : : : : : :l: :,i : : / U l: : : : :!  ',: : :l: : : : :.
  i: : : : : : : :l /{ : /-一' レl: : ノー-,: : l: : : : : i
  !: : : : ;、: :レ l〃⌒ヾ  l/ 〃 ヾ: :l: : : : : :l
  ',: : f⌒\{  {l   l}    {l  l}Ⅵ: :、 : : !
  ',: {      乂_ノ     乂ノ .l: : :}\ノ
   ',:乂_          `    .!ヘ:ノ( ヽ
   ',: : : : 丶、 U   ,--、 u  ノ .|てヽ)

    ヽ{\ : : ㍉      ̄   , イ|__|てヽ)  「京ちゃん、ここどこ?」
       `^≧|   ┬ァiフ¨  {|___| ノ
      ///∧   Kヽ、   乂   /
     //////∧    }//> , 、 }  l
    / \//////∧ー―l///// } .l  l


: : : : :/ : : : : : :| : : : :|.. : :. ゙、: . ゙、゙、. \
: : : : : |. : : : : :i |: : : :i:|. : : : ∧: :、.i. .i: : . ` 、
.: : : : : !: : : : : | |、: : :| | : : i | !: :|:| : |:、: : : : : : >
: : : : : :| : : |: i 「! ヽート!、: : リ  !: |ハ: ト : | ̄ ̄
.: : :,..-、|: : :i: :|: !゙、 _、!二゙、-| イ: リ ! |ヽ:|
: : / へ.゙、 :丶ヾヽ<´{::::i` ヽ! 1!|:/| :!ノ゙、リ

: :ヽ    \ : :!丶   ̄     Vイ:ハ |\:i
.: : 丶    \゙、        `> リ  `
ヽ: : :`┬ 、  ヾ          /
  i: ;ィノ    U     ,....-ィ /
,,:‐レリ    _       ̄ /     「あーもー、今すぐ行くから待ってろ」
゛=!_    \ `ー-、_  _/
::::::゛== 、 \   / ̄ヽ、
::::::::::::::::::::::゛===-、    >


         _/r了  /  /         ヾト、__
      '´  {__7 {   r¬ァri r‐i r‐!r-―-―‐' Ⅵ `ヽ
    〃/   ` 7  i └ァ/}7! ¬└介ー‐¬‐- 、i `ヾ.ヽ
..    / ′ ;  i  | ,仏厶イv'/ } }^iト、 }    '. ヽ Ⅵ
.    ′;   i l 人 T´{」Ljく レ' ノノ _}L Ⅵレ!  i }  '. '.
    { /{   |ハ.!   ト、Ⅳ≠ヾ、    ,ィ≠ヾく }! ル':  i ′
     ′ヽ. { 从    i((o:.:c))   ((o:.:.c))ルハ| /レ′
        `Ⅵ i   |⊆= '"    ` =⊇ {   | レ'
          N、  从 ' '  v‐―‐‐- 、 ' ' 人iハ{   「ここに私を置いてかないでくれ……」
            `ヾトN>x(__ . -―- 、_)..イ ノ}ノ
                  _ノ  ̄ 下、r、_
              ,イア´ ‐-  -‐ }  ト、
            xく  \      /  ;  \

 カン!

 京久次元はないけどのどヒサ次元はあるよ
 たくさんのシチュありがとうございます。可能な限り頑張ります


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 【毒の妃ヒサ】-のどヒサ次元2-


 拝啓、京太郎へ。

 本日もお日柄がよく、とても暑い日が続いています。

 とりあえず早く来てこの空気を浄化してほしいじぇ……。


 「ふっふふーん♪」

 「……ギリギリ」

 「部活、もうちょっと遅れてくれば良かったじぇ……」


 優希が部室に入ると、そこにはギリギリと歯噛みする和の姿と機嫌良さそうに鼻歌を歌っている久の姿。

 両者対照的な態度を取っており、その時点でロクなことが起こらないのを確信した。


 「一応聞いておくけど、何があったんだ?」

 「うふふ~、聞いちゃう? 聞いちゃう?」

 「ギリギリ」

 「聞かないとこの状況が変わらなそうだじぇ」

 「あのねー。さっき須賀君がねー?」

 「これは何かの間違いです。

  これは何かの間違いです」

 「ほら、のどちゃんがbotみたいになってるし……」

 「私のこと好きだってー! きゃー!」


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     |:.|: : : : :.:.:.i i       r== "ヽ      /   i: : : : : :.:i:.|////
     | |: : : : : :.:i:.:|\     ∨__ノ)   /    /: : : : : :.:i.:|////
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 2/10


 ……
 …

 ・30分前

 「竹井部長って生徒に人気あるんですね」

 「!?」

 「きゅ、急にどうしたの?」

 「いや、クラスメイトと話してたらそんな話になったんですよ。

  会長は美人で人気者なんだぜーって言われまして」

 「やぁねぇ須賀君!

  そんなに褒めても雑用しかさせないわよ?」

 「鬼ですか!?」

 「ぐぬぬ……、ちなみに内容はどんな感じでしたか!?」

 「お、おう。どうした和。

  そんなに鬼気迫る表情で……」

 「ぷくくくく……、嫉妬しちゃって!」

 「内容かァ……。

  本人がいる前で言うのもアレなんだけど」

 「えーっ、そんなに言いにくい内容なの?」

 「そうですねぇ……」


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               ,   ´     /  `  < ⌒\
               /        |    :.   `ヽ、
             /     / /   l|    V     `   、
              .'     / , { { | |     | 、   、_ \_
              |     | | | |∧| {   :  ハ  V  、\  ̄´
               | | {/--{ 从  | , |-|、 |  、 \`

            ' | ,..- | | | ,ィtォ=ミ∧ |,ィtォ、} / |l ハ\_、
          /イ{ { r 从 { Vソ   ∨' Vソ/イ |∧}
            ∨乂   \            |/ j' リ
            }∧ ー:.          `   ムl/      「とてもユニークでユーモアがあって面白い先輩だと……」
            /  、 八 U   _ _   人
               }イ/|\        /
              「<l|  `  .__/_
              |////>、     | 「/|
              -=≦、[二]//l}    |、}l∧_
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 3/10


 ……
 …

 「えっ、それだけ?」

 「それだけって何よ!!!!!

  愛嬌があって話していて楽しくて美人な先輩って意味じゃないの!!!!」

 「竹井フィルターはどうなっているんだじぇ?」

 「全部同じ意味です! ハイ論破! 竹井!」

 「ちょっ、どういう意味よ!」

 「どういう意味も何もありませんよ?

  須賀君が言葉につまってなんとか絞り出したのは確定的に明らかです。

  京久はありえない。時既に時間切れ。

  終わる頃にはズタズタにされた金髪の雑魚がいた」

 「京太郎に何があったんだじぇ!?

  ちなみにその京太郎はどこに行ったんだ!?」

 「全部この竹井がいけないんです」

 「仕方ないじゃない!

  その、照れ隠しに雑用を頼んだのよ!」

 「私も人のこと言えないけれど哀れすぎるじぇ……」

 「照れ隠しってレベルじゃありませんよ!

  周辺のポケストップを回ってモンスターボールを集めてこいだなんて!」

 「いや、京太郎もなんでOKしたんだじぇ……」

 「だってそんな毎日毎日雑用があるわけないじゃない……。

  理由を作り出すならちょうど良かったのよ」

 「というかポケストップの復活時間を考えると京太郎は帰ってこられないんじゃないか……?」

 「そ、そうよね。

  それなら須賀君に連絡してすぐに帰ってくるように言わなくちゃ……。

  でも私のスマホ渡しちゃったし……。

  二人とも、連絡してあげてくれない?」


       / /  ./  ,ィ          ヽ ヽ_
        / /  ./  //   /!  |l!   .lY'::::::::::)
      ; i  くlハ //,ィ  / .|  リ! j  l }::::::::::l!
      |イl!  ' _`Vメ、 l  / __.! ./_l/__ ノ l::::::i='ヽ
      ゝゝ| ;´んィ:!`    =j/__ノノイ /¨T ヽヽ

      ||  l 弋_丿     'んィ:!.ヽ// ,'   !  } }
      ||  l 、、、     弋_丿 // .,ヘ  .!   j/
      ||  l     '   、、、 // ./イ  |
      || ::ゝ.    __     // ./. !   |
      ||  | l > ´‐-'   _イ//∥| l  |    「私部長の連絡先知りませんし」
      |l!. l_L:;ノ:.ト!¨  T¨ェ:://.∥ll! l  |
      l|-、 ヽ: : : :.l! ̄` |:.:.// /l!ll| .!   |!
     /-、:::ヽ ヽ: : : l ̄ ̄l:.// /: :ヽ! .!   !
.    / | >ヽ ヽ:.:.:l    l;'///: :/\ .|   |
.     /  l . /ヽ:ヽ ';.:ヽ /:::////、   \  |
   人.. V    } :!:ヽV/'/l;;;_/  Y ..人 !
.  /  ヽl     l  ! [__] / .l     i/  ヽ|


 4/10


 「あれー?

  私ものどちゃんも初日に連絡先聞いてなかったかー?」

 「ええ、聞きましたよ」

 「……ちょっと待ちなさい和。

  私、心当たりがあるんだけど」

 「えっ、なんですか?」

 「スッとぼけないでよ!

  私、メールアドレス変える羽目になったんだからね!?」

 「ちょっ、ちょっと待つじょ。

  いったい何があったんだじぇ?」

      , ':::::::::::::::::::::::::::::::::;;:::::i:i::::ヽ\
.     /"::::::::::/:::::::::/:::::::/^i::l从ヘ::::::::ヽ.
    /::::::::::::/:::::::::/:::::;〃 lノ'"   \::::`、
    !:::::::::::::l:::::::::/:::,//    /_⌒ !ゝ;ミヽ
    |:::::::::::::|:::::::/-;サ=、   ,ィr^㍉.l::::::}゙i;|

    l:::::::::::::{ :::l;/;==;、    ゙、c.ノ' i::::::l l|
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     `、::::::::::::::`ヽ,゙ ‐'    `   ム::;!
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       \:::::::::::::::::ト}, _    _.、<;彡、
        \ヽ;;:::;ノ    ̄ K::: {:::::::ヽ._

          `゙Y彡ヽ、., ___ |,\:\:::::::::`ヽ.
           ∧::::::::::::::::::`ヽ._ノヽ::\;::::::::}
            /:::::\;心:::::::::::::}\ .|/∧.ヽ,ノ
         /==-、__:::::`ヽハノ:::::::Y〈 |

          /"     \ ̄`.==、/|:::l .|

              -‐…‐-
         ´: : : : : : : : : : `` .
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  ′:: : : ::|: : | 乂rツ    ヒrツ.ムイ: ::|

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 ,:: : : : : : ::|: : |      、 ,    , : :|: : :|   「記憶にございません」
./:: : : : : : :::|: : |: :} iト       イ: : :|: : :|
:: : : : : : : ::|: : |::j{   うr≦: : : |: : | : |

::: : : : : :/|: : |:\   {`ヽ〕iト ..,,__|: : :|
: : : : /i:i:i|: : |:i:i:i:\    }:i:i:i:i:i:i:i:i|: : :|


 5/10


 「ああ、だからのどちゃんは……」

 「ちょっとゆーき!

  それは秘密ですよ!」

 「いいから教えなさい!」

 「ほれ、これ……」


 私が見せたのは昨日のどちゃんから来たメールだった。


 ……
 …

 ・1

 差出人: 原村 和
 宛先: 片岡 優希

 須賀君のことなんですが
 20XX年X月X日 02時00分

 須賀君の金髪って地毛なんですか? それとも染めてるんですか?
 彼と仲が良いゆーきならばその辺に詳しいですよね?
 私としては地毛で不良と間違われてしょんぼりする須賀君も良いと思います。
 でもやっぱり染めていてちょっと悪ぶっていて不良っぽい須賀君も良いと思います。
 私としてはちょっと不良っぽい須賀君に深窓の令嬢の私を手篭めにされるシチュエーションって良いと思うんですよ。
 俺の尻の穴に貴方の野太いちんぽぶち込んでくれませんでしょうか?
 やっぱり須賀君のお相手はあの生徒議会長でなくて私しかいないですよね。
 その辺りゆーきの意見を聞きたいんですがどうでしょう?


 ・2

 差出人: 原村 和
 宛先: 片岡 優希

 すみません!
 20XX年X月X日 02時05分

 す、すみません!
 6行目に他スレに使おうと思ってた文章が入ってしまいました
 6行目だけ無視して読んでください
 誤爆すみませんでした!m(_ _)m


 …
 ……


 6/10


 ……
 …


   / : . : . : . : . : . : . : . : . :/:./ /:.イ: . : . : /: . :ヘ: . : . : . : . :∧

   . : . /: /: . : . : . : . : . :/: /  7:/ {: . : . /ヘ: . : .ヘ: . : . : . : . : .
   . : /: /: . : . : . : . : //:./    {:.{ i: . : .7  ',: . :}ソ∨: . : . : . : .
  {: ./:/: . : . : . : . :, ' ./:/     い i: . : {   }: .ノ 从: . : . : . : . .
  : .//: . : . : . : . :/.  //      ヾ、 \: .i  ノノ ノ ヘ: . : . : }: .:
  :.//: . : . : . : . /  〃          ヾ  '´     , : . : . i: ..|
  〃: . : . : . : , '、,,,__〃             _,,, -‐ ''  ̄ , : . : .i: . :
  〃, : . : . : .:/   {! ̄``丶       '' ´         } : . :.i: . :
 〃 : . : . : .:/ ―ォュs、,,_ ``        '" _,,,..z=ュ、 i. : . :i: . :
 {i  , : . : .:∧ ,《  {   ヾ`ヽ      ,イ´{    }`》 i!: . :7: . }
 ii  ,: : : :,'ヽ, ヽ v   リ             v   ノ ′ i}. : /. : .,
 i!  ,: : : :{、 ,    `¨¨´           `¨¨´   ノ: :/. : ..    「やっぱり和じゃない!!!!!」
 {  .∨: . :ヘ. ,                     ノ: イ: . : /

 ヽ  ∨: . : ヘ_,                     /イ: /: .:.,
     ヽ: . : .ハ           ’          〃´ノ: . : ノ


      / : :/: : |: ::|゙: : |:.:.:| |: VM、_|:.: | }: ト、_,.::|: : :ヾ: ',
     ./  /  .! :i! : :N:.:| い: : : !/≧二]/"|´:.:|:. : |: !. !
    /   | |  |: ::|',/ ヽ| \: : |ィ/,ゞ..、\,!: :/: : :i! | :|
    ,' /: : |::{: .: :!:/| 〉|-.     \!" {_::rj::::', :リ/}:.:. ノ|/゙.:|
.   i ィ: : :.∨\"| /,ィうヽ      ィ゙:`::::ソ i} |/: ': : :|

.   |:/.!: : |: : : : |ヽ  {_,ィrj:::',       .`ー‐゙  ./: : : : : : !
    ! |: : |∨: : :ヽ{i ヾ,::::::ツ ::::::::::::::::: :::::::::  |: : : : : : |
     ヽ:.| \: : : \, `" ::::::::::::::::::::::_,,._ ::::::::: |: : : : : : {

.      'j  |: : ̄、 ̄ :::::::::::::: _,,. - "__\   {: : :  :'.,
         !: : : :.ハ.       { ./      〉 ./!: : : : \   「ゆーき! なんでバラしちゃうんですか!!!!!」
        .|: : :リ`ヘ.       V     ./ ,ィ=、|: : : : ト、::ヽ
.        |: :  : : :`..、,    `ー  " ./ |/ \: : : . :| i: :}
.        リ: ,': : : : :/: : :/  ー, --‐'    /   ヽ: : ::ヽ ̄ `ヽ
.        /: /: : : : /: : :/: : :/ {/〉,    /     〉,: : : :\   \
       /: /: : : : /: : : _,.ィ={ :|/. !.    /    /| \: : : ::\   }
      /:/ : : ::/_,,.-/ / :| :|: :.   /    / :| | .\: : :  \/
     /:/} : : :/   / / .:| :|_.    /   /  .! !  .\: : :  ヽ,
.  /:/_,/゙:   ::/   / /  :| :|. ` ./  ./   .| | /  \: : : :`、


   / : : : : : : : /: |i: : : : : : : / : : /     | : : |\: : : :|: \: : ::∨: \
.  / : : : : : : : : : : : |i:: : : : : ::/ : : >ト .,   | : : |  |: : ∧ : : : : : :|: : : ::ヽ
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 | : : : |i::∧: : : : :!: : : : :\{:| 〈  {h:::iノ }       ん)ト |/!/ |: :∧ : : |
  : : ::|i::|.∧ : :: :|:: : : : : : : :,  .乂こン        {h:iノ}  ゚: : :| : : | : : :/
.  \八|  |:: :::|: : : : : : : : :,   .,.,.,.      , 弋こソ {: : : ::|: : ノ }/
       |: :\! : : : : : : : : :, U            ,.,.,  : : : : |/
       |: : : : : : : : : : : : : :,     ゝ    ,      } : : : |     「おう、のどちゃんは送信時間を良く見て反省するんだじぇ」
       |: : : : ::|i: : : : : : : : :              イ : : :/

       |人:: : :|i: :|: : :|:::|i: :}>            イ: :|: : : 
.           \八/\人八/}    ー┬‐ ≦: :人/|/
                 {^辷ー^ヽ/\/ヽア:/

.          ,r‐=ニニ二二二\           〈二ニニニニニニ┐ :/
.           /  -=ニニニニニニニ.\        ∧ニニニニニニニ.!∨ /
.       /      -=ニニニニニニ\ Y⌒Y⌒Y}ニニニニニニニj{. ∨


 7/10

 ……
 …

 「てっきりのどちゃんがウリを始めたのかと思って距離を置こうと思ったじぇ」

 「違いますよ!!!!

  憧じゃあるまいし!!!!!!」

 「(誰だじぇ……。っていうか知り合いにウリしてる人いるのか……)」

 「アレから大変だったのよ!!

  めっちゃメールくるし!!!」

 「しーりーまーせーん!」

 「のどちゃんが我関せずを貫くとあの文章はどこで使うつもりだったのかを問いたださないといけないじぇ」

 「ぐ、ぐぬぬぬぬ……」

 「なんか『価格破壊しないでよ!』なんてわけのわからない因縁までつけられたのよ!!

  いい加減認めなさい!!」

 「私は釣り目的でゲイサイトに行っただけです!!

  竹井部長のメールアドレスは知りません!!」

 「のどちゃん……」

 「竹井部長に屈するくらいなら釣りスレ行きますよ!!!!」

 「いやもうそれ認めてるじぇ……」

 「大体、私がそんなことをするには理由があるに決まってるじゃないですか!!!」

 「お、おう。

  聞くだけ聞いてやるじぇ」


           ,∠、  /            ヽ
            /   |: :/                  \へ
     / ̄¨ヽイ     |:/ / / /||:! ! | !         .|
     !:   〈〈:     /:{: ': ,': ':::|::|: l::l: l::l  ,ィ: ! l    ,!
     ∨   ノ¨ト==イ: :! l斗十ナナノ.:|: /::l. /十ト、l:     i〉
      ¨フ´/ !: : : :! 、トト、!ィチ^:丁:::}/ :::}'::::::!ノ :: !: l   リ
.     /: 〃 |: : : :|ミソ :::〈 l{::::::::| :::::::::::::::rf示、 ノ ノ/ /
     レイ ト、_|: : : :l ヽ  弋:zソ       !::::}l }イノイヽ
     |.: : :|: : : : .: |     ::::::::      ,  辷リ !:. :. :.:ト、 \
     |.: : :|: : : : .: ト、            :::::: |: : : : | ⌒
     / : : :|: : .: .:  lミ、Y       ‐ -    ノ: : :. :.|
.    /, : : : |: : .: .:  l   !  ヽ           イ|: : !:.|   「この女、あろうことかのどっちスレに現れたんですよ」
   //   : :|: : : :  :ハ  |   `  . _ x<: : |: :!: : :|:. :!
.  //  . :/!: : : :   ∧. !       |  |: : : :.|: :!: :. :.、|
  //   . ::/∧: : .:   ∧`ヽ.      l ヽl、:: : |: :l : : : : ト
. //  . ::/厶 ヘ.:     ∧  \   `ヽ.  ヽl : l : : : : | ヽ
//   , <   \      \  \    ∨  `|: :. :. :.|   \


 8/10


 「……もう勝手にやってろだじぇ」

 「わ、私とは限らないじゃない!!」

 「いいえ、わかります!

  のどっちスレと私は一心同体!

  というか特定班が清澄高校のIPだと特定してくれました!!!」

 「のどっちスレ怖いじょ……。

  というか部長も学校からアクセスすんなだじぇ」

 「そもそもゆーきもなんで知っているんですか!?」

 「グーグルトップに出てくるじぇ……」

 「ちなみに、それ以来スレに荒らしが沸くと『また竹井か』で団結することになりました」

 「良かったじゃないか。

  じゃあ私は京太郎と連絡とって一緒に帰るから好きにやってろだじぇ」

 「ちょっと待ってください!」

 「ちょっと待ってよ!」

 「なんだ?」

 「須賀君のメールアドレス知ってるんですか!?」

 「どうして優希が知ってるのよ!」

 「いや、アイツすぐに教えてくれたし……。

  むしろ友達なのになんで知らないんだじぇ」

 「そ、そんな。

  いきなり連絡先を聞くなんて恥ずかしすぎます!」

 「そうよ!

  貞淑さが欠けるわ!」

 「その自己評価の高さはなんなんだじぇ……」


 9/10


ヽ./ : : : : : : : : : : ,: : : : : : : : : : : : : : : ヽ    ヽ冫
:: |: : : : ::/::/: : : /」: : : /}: : : :}゙`「丁ヽハ:!:!: !:  }
-ィ: : : |_,'_,,|-‐''/ / / .}: : /.|: :|: |:::/. }:|:|:. リ !.|. ト.、
: :ト、::ィ゙ |: ::|\/ //.  /: :/ !: :!/!/  !从:/|:.| !∧冫
: :|人小|ヽ:!.ィ爪沁ヽ. /./ /,.イ爪心ヽ.! イ/.//′
: :l: : ヾ |/{:::::::::⊂ ::::::::::::::::::::: ! :::::ィ./ .ト,ムノ:!
:γ⌒ⅵヽ弋二;;ノ ::::::::::::::::::::::::':ゝ-.″ | }: : : :|

',:{ :::`               、       .レ′ : :!.
..',\                   ノ:   ::::!
: : :| `ー´\       ,____.,.      / !:! !  !   「ゆーき、もちろん?」
: : :|.     ` 、    `ーi!′  /|: :. !:! !  ::!
: : :|         }`   .. __ , イ  |::|: |:|: :|  |
: :: }     ィ‐┤.        ├ .、|::|: |:|: :|  {


   /: . : . : . : . : /〃   {:iヘ: .从:.:ノヽ: . : . : ',. : . : . : . : . : .}
   イ: . : . : . : . :/〃   i! ヾ ヽ{  ヽ: . : . :}: . : . : . : . : . ,
  / {: . : . : . : .:/ .7    ヽ  _,, -‐''''ヽ: . :.i: . : . : . : . : ..,
 ,' .: . : . : . : /  {       ´      V: .i: . : . : . : . : . ,
 {  i: . : . : ../``'''{ー      -‐   __,, Vリ: . : . : . : . : . :
   : . : . : /   !       _,ィf≦乏}  }: . : . : . : . : . : .i

   {: . :..:/   __,,.ィ        乂///ノ  ,': . : . : . : . : . : . ,
    ,: . :7:ヘ 仟//ハ         `¨   ハ: . : .7: . : . : . : . }
    ,:. : {: .ハ ゞvツ            ハ: . : .:..{. : . : . : . : .:   「教えてくれるわよね?」
    .: . : . : ハ       '        7: . : . : ..i: . : . : . : . :.
    V: . : . :',          _   {: . : . : . i: . : . : . : . リ
     V: . : . へ      < ´::::::::ノ   ',: . : . :.:.i: . : . : . : .ノ
     ヽ: . : . : .:}> 、      ̄    ,ィヽ: . : . i!: . : . : .ノ
       \: . : i: . :/`    __   <    iヽ: . i: . : ./
        /==={   /}        .|ノ}===ヘ


           ┃┃┃
        .....::┃┃┃┃
  ...........::::_,ィ´ ̄┃┃┃┃::.........
 :::⌒>(_/. . . .:.::┃┃: : (⌒)<⌒:::
  :::/: : /: : : : : : : : : : : : : : :ヽ: :ヽ:::
  ::{: : /: : : : : : : : : : : : :.,ィ: }ノ: : リ:::
  ::ヽィ{: : : |: : : : :/: : : : :リ: :|ムィ:::
     ::ヽリレ====、:_:_:/゙}::リ:::::::::
     :://___//´ヽー.彡:′:::::   「京太郎、ごめんだじぇ……」

     ::/ ̄ ̄ ̄≧、_〉:::::::::
     ::}======〈´〉:::::::::::::::.......
    ::/ / / l\尤/三三二∋:::::::

      ̄ ̄ ̄ ̄::::::::::::::::::::::::::::::::


 10/10


 ……
 …

 ・その頃

               __  /⌒ヽ
                 ⌒\ ∨   ヽ___
              _, ----`      ∨   `ヽ、
           /´               |     \
          / ____    /  l|     | :.     \
            ///    /   |     |l |  :       ヽ
              /  /   //  ,∧    / ,イ  l| :.  .  .
          / イ / // : l  |    ' / !  从 |  :   :.
         .'/  ' ' /-|-{ {  |  /}/  | / } }  |    .
         }'  / |Ⅵ { 从  '  ,     }/ /イ   }     .
           / イ | l{   { ∨/      '    }   ∧ :   :.
          ´  | {|从三三 /   三三三 /  /--、| ∧{
                {从 |     ,            ムイ r 、 }} /} \
               |                ノ ' }/イ/
                {               _,ノ
                   人       _,..::ァ       r }/    「やっべーポケモンGOたのしぃ~」
                     `     ゝ - '   イ   |/
                        `  ーr  ´  ___|_
                     ___|     |//////|
                   {|___ノ  __|[_]//∧_
                 /// |____|///////////> 、

                     ///// |   /////////////////> 、
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     /: : : : : : : : : : : : ,ィ: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ヽ : : : : : : ヽ
    /: : : :,: : : : : : : : : ://: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ∨: : : : : : : .
 _,. :´: : : : :/: : : : : : : :/:/ ': : : : : : : : : : : : : : : : | : : : : : : : : : ∨: : : : : : :.

 `   ー /: : : : : : :-/:/-|: : : |: : : : : : : : : :|--- 、: : |: : : : : : : :V: : : : : : |
       ': : : : : : : /|/  |: : : |: : : : : : l: : : |、: :|: :`ヽ、: : : : : : :.|: : : : : : :|
     /:,: : : : :,: / {  {∧: {: : : : : 从: : :| \{、: : :|: : : : : : ,: |: : : : : : :|

     ': |: : : :/: |       {从: : : : :'  \{    \: |: : : : : :/: |: : : : : : :
      |: |: : : ': /|    --    \: : |           V: : : : : :': .' : : : : : : |
      {八: : :|:,: :},ィ≠≠ミ     \|  --      从: : : :/}/: : : : : : ,: |
      l  、 : |: V            ィ≠≠ミ、 / |: : : イ/⌒V: : : :/:/
       \|: ,  :.:.:.:.     '             |:/ /⌒} }: : :/}/
         V{                  :.:.:.:.:.  /    ノ 人:,:' /    「私携帯持ってないから京ちゃんの見てるだけで楽しいよ」
         人      __              _ イ:/

           `      乂 ̄   ー‐ァ      イ: :/: : :/
           rrr==≧=- `  --  ´  r_:_´/|イ{: イ
             /|.||...................../ ̄| ̄´   7......`.. ̄ ̄≧=-、
          ,イ |.||.....................{---- 、  /...............///⌒ヽ
           /  |..V、.................|     /...............///   ∧}

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: : : : : |. : : : : :i |: : : :i:|. : : : ∧: :、.i. .i: : . ` 、
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: : : : : :| : : |: i 「! ヽート!、: : リ  !: |ハ: ト : | ̄ ̄
.: : :,..-、|: : :i: :|: !゙、 _、!二゙、-| イ: リ ! |ヽ:|
: : / へ.゙、 :丶ヾヽ<´{::::i` ヽ! 1!|:/| :!ノ゙、リ

: :ヽ    \ : :!丶   ̄     Vイ:ハ |\:i
.: : 丶    \゙、        `> リ  `
ヽ: : :`┬ 、  ヾ          /
  i: ;ィノ    U     ,....-ィ /
,,:‐レリ    _       ̄ /   「仮に持っていても迷子になるだけだろ……」
゛=!_    \ `ー-、_  _/
::::::゛== 、 \   / ̄ヽ、
::::::::::::::::::::::゛===-、    >

 リクエスト 90
 【ポケモンGOにハマる京ちゃん】

 カン!

 次は薄い本記念に霞さんのリク消化したい。電波な霞さん書く


 1/10

 リクエスト 92 霞さんネタ
 【魔法少女イワト☆カスミ!】-新訳・京霞次元1-


 小さな頃から修行の毎日だった。

 いつか『あの人』の元で天倪として生きることを宿命づけられていた。

 自分自身の人生なんてない、誰かのためにこの身を捧げることこそが私の人生、そう思っていた。


 「私、泣いてるの?」


 いつかお家のために誰かと結婚する時が来るのだろう。

 私は女の子としての幸せ一つ手に入れることができない。そう考えるだけで自然と涙が浮かんできた。

 だめだ。そんなことを考えていては、姫様のためにならない。

 自分にそう言い聞かせても、涙は止まってくれない。

 人並みの恋をして、普通の女の子として暮らしたい。

 そんな願いは叶うことなく、彼女にも婚約者が割り当てられる。

 お家のために、脂ぎった豚のような中年との結婚を強いられているのだ。

 そして断る権利などない。


 「いや、いや……」


 涙が浮かぶ。

 守るべき姫様は正式な血統と、彼女は家にお金を入れるために供物として。

 いつか自分を攫ってくれる王子様を夢見て、絶望の表情で窓の外を見つめた。


 2/10

 ……
 …

       /::.::.::.::.::.::.::.::.::.::ヽ::.:\
      /::.::./::./::.::.ハ::|::.|::.:|::.:i::.:::.. _ _
   ≦::.:,.........|::/|::.:: | |::|::.|::.:|::.:|::|::.:f::.::.::.::.::≧
  /::.::.j/::.::.::.:|;__jヘハ| j/)/j/jハノ::|::.:|\:\::.\
. /::.//イ/|::.:::Yう心   う心ヽ |/::.:ハ:| ヽ::|\::}

// ./  |八:{:ハ弋zソ   弋zソノ j^V |:| j/  jノ
.   {  |:|   } ,,,  '    ,,,   /  ::|
     |:|  人   r―,    - '  .::|
     |:|    > ...   イ     ::|
     i:{      |   |      乂    「何やってんですか霞ちゃん」
           イ     \_

       /  :  :. ̄` ´ ̄ ..: :  \
      __,   ::  :...............:  :
    ./V|  ヽ:          :ヽ   |__
    〈  \ |::          :./|__|_/|
    |\  \__       / ̄ ̄___/|
    |  \   |     ./  /T      |
    \  ハ  |     /  / |   / | /


                ...-―――-...
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           /::/::/:l::::l::::|l::l::::::::::::i‘:::::::ヽ::::ト、

           .:::::l::::l:l:l::::l::::リ:ハ:::::::::リ-‘:::|::|l:::|i|
            |:::::l::::l从/i::// }::::::/__ l::|::リ:::|i|
            |:::::l::::|,斗≠ト 厶イ,斗=ミル::::::|i|
            l::八:::l〈 V炒    V炒 〉|l::::::リ |   ドヤァ……
            |:::::个ト、 ,,    、  ,,, ,小::/ !
.          ‘::::::i:∧      __     //::/  ノ
             ‘::::i::::分、   ` '   ...:i/::/i
             ‘::∨:::::::i〕i=-  -≦::/::/:::|    「日記よ?」
            ‘::i:::::l:::|∧   l ∨:/::::::|

             /‘:::::l:::| ∧_// ∨:/::::|
            /  /‘卅li   ∨/  Ⅳ:::::::ト 、
        ∠   i  |:i::l|\   /  |‘::::::::|   \
.        ∧ `ヽ l _|:l::リ_ヽ./  / ‘:::::|\  i‘.
       ′'.   V´ ノ::/  / ̄\/   ‘:::\\i i
.           \ //:::/  /   /⌒ヽ   ゞ===ニ≧ミi
        i    \::::/  /   /     ∨/      ∨ノ
        i     -==ミヽ /_  /      }'         ‘.
        |  〃    / ̄ `丶       i         i
       〈  {i   〈 ,ィ  、   \  ノ        ノ
        |\八   ∨⌒ト、 〉 ! ! i/        /{
        |  \\   ヽ  }/}_j_j_,ノ⌒>=-- -=≦  |


 3/10


 「日記って……。

  いやそれ捏造じゃないですかー。

  妄想100%じゃないですか……」

 「あら、他人の日記を盗み見るなんて趣味が悪いじゃない」

 「誰かさんが相部屋なのに音読しながらそんなもん書いてるからいけないんですよー!

  聞いてくれって言ってるようなもんじゃないですか!!」

 「ふふふ、バレては仕方ないわね。

  この私の秘密を……、神代家に伝わる闇の話、はっちゃんにも知るべき時が来たのかしら?」

 「んなもんねーですよ。

  なんですか婚約者ってアホですか。

  誰ですか中年の男って、霞ちゃんってそんな趣味があったんですか?」

 「そんな趣味なわけないじゃない。

  これは不幸な少女に割り当てられたこの世の理不尽なの。

  私はお金のために中年の男と結婚させられてしまうんだわ……」

 「コイツ聞いちゃいねぇですよー」

 「でもそんな私にも一縷の救いがあるの。

  まるで王子様のような金髪、高身長、スポーツ万能、割とお金持ちな男の子と知り合いになってしまうの」

 「理想高すぎじゃねーですか。

  現役中二病には勿体なさすぎますよー」

 「あっ、足が長くてイケメンで私の我儘を聞いてくれて優しくて……」

 「はいはいうるせーうるせー」

 「そんな王子様が私のことを救いに来てくれるの」

 「あー、良かったですねー。

  じゃあ寝ますよー」

 「でも、それは罠だったの」

 「まだ続くんですか!?」

 「その王子様も私を嵌めるために遣わされた男の一人。

  あっ、ハメるためって意味で合ってるわよ?」

 「うるせーです!」

 「でもそんなことを知らずに私は恋に落ちてしまうの」

 「あっはい」


 4/10


 「攫われて助けられたその夜。

  私はその人のものになろうと夜中に忍び込むの」

 「ずいぶんアクティブですねー」

 「でも、王子様はまるで豹変したかのように私に飛びかかってくるのよ!

  急な豹変についていけない私。

  巫女服を破り捨てられ、生まれたままの姿を晒す私。

  恐怖で体が動かなくなって、それでも優しかった頃のあの人を思い出して。

  せめて初めてだけはこの人に捧げたいと抵抗を止めるの……」

 「なんですか?

  霞ちゃんはビッチなんですか?

  陵辱願望でもあるんですか?」

 「ないわよ失礼ね!!!!!!!」

 「説得力ねぇですよー」

 「ああ、私ったらなんて可哀想な悲劇のヒロイン……」

 「もう手遅れですねー……」


 初美は説得を諦めたように布団に潜り込む。

 麻雀のインターハイに来ている彼女たちは明日も早い。

 初美としてはとっとと寝たいのだが、霞が音読しながら日記(という名の黒歴史)を綴っている限り寝られる気がしない。

 なんとかして霞の熱を冷まさせて沈黙させるか、それが幼馴染としての腕の見せ所である。


 5/10


 「(思えばクッソ長い付き合いですねー……。

  小さい頃から色々ありましたし……)」


 六女仙として修行しつつ、同年齢であった二人は仲が良い。

 特に小さな頃から同じような立場であったから初美はよく声をかけていた。

 だが現在、こんな付き合いになったことを半分くらいは後悔しているのだった……。


 「(小さい頃から中二病を患っていましたが、なんでこんなんになっちゃったんですかねー)」


 『自分には特殊能力がある!』と断言して止まなかった霞を思い出して頭が痛くなる。

 よくもまぁ腐れ縁が続いているものだ。

 確かに神降ろしとしてのなんやかんやは持っているが、まさかリアル邪気眼キャラとして覚醒するとは思わなかった。

 神降ろしに失敗したと言って眼帯を付けて来た時には本気で心配したものだ。

 後日、ただ格好をつけたかっただけと聞いて本気で胸をひっぱたいた。


 「というか霞ちゃんは今回のインターハイの目的を聞いてるんですかー?」

 「?

  そんなもの決まってるじゃない」


           ,  ':.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ::::..ヽ
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        l::::::::::l             /l:::::::::: .|    「私がハイエースされるように仕組んだ実家の罠よね?」
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          l:: .:::.::/ ゝ´ll  /,':::::::::::::::::./> 、
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           ,':::l  ./      i:::::::::::: / /    / l! .l
        /::丿, '     /!:::::::::::;' /    /     !


 違ぇーですよ。


 6/10


            /    .:      \
         ―-′|   / ,.     ヽ

      /  ....,  ノ / /    |l  |  |
.     /  / / /|爪/ /__./ :;  |   |  | |!
     ′/  . :/f⌒彡/7  |ヽ/  ハ |  | :从
     |/   /.:/∧ |!Yん弐Ⅳ!//⌒!/}  |/
        . :/| | ∨ 弋炒`   rテミく/  ハ  }!
        | ||! ∧ト  "   ,  炒ノムイ  | /
        |リ    /  \ ー    イ7/|| j!/    「3年女子組は、
          ーイ   />ー 、   / }ノ
       /   `ー-  /  ヽ }ヽ            お家公認の男漁りですよ」
      /               | | (
.      八   ヽ          | | |\
    r<二ヽ__l!_      | | |  ー――――  、
    ∨        \    {八ト   \ー―    \
     \―――-    \   !\\    \__    \
      〕!      \  \/|::::::\〉  _____    \


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 7/10


 「ちょっちょっちょっと待って初美ちゃん!

  それはどういうこと!?」

 「やっぱあの時妄想世界にトリップして話聞いてませんでしたねー。

  じじばば様たちが言ってたじゃないですか。

  『普段女の里に住んでいて出会いがないからここで男をゲットしてこい』って」

 「そ、そんなフランクなこと言ってたの!?」

 「『今時婚約者とかねーよ』ってめっちゃ言ってましたよー」

 「そ、そんな……」

 「ちなみにこの機会を逃すと小鍛治プロみたいになるって神様を降ろした姫様が言ってました」

 「そんなことに神様を使ったの!?」

 「いや、神様からしても小鍛治プロ化は大問題じゃないですかー?

  跡継ぎ生まれませんしー」

 「ほ、ほらっ、血が薄くなったりとかで問題が出たり!?」

 「女流家系なんですから何処かで男を取り入れないと話にならないじゃないですか……。

  というか選ぶ権利があるのになんで文句タラタラなんですか?」

 「そ、それは私の(脳内)設定に支障が出るというかなんというか……」

 「霞ちゃんの脳内設定なんて知りませんよー。

  どうせ霞ちゃんなんて男のお友達のお世話になっているランキング三位くらいにいそうな見た目なんですから……」

 「どういう意味!?」

 「そのスイカが詰まってそうな胸と巫女属性で役満ですよー。

  姫様よりも人気ですよー」

 「ううっ、初美ちゃんが汚れちゃったわ……」

 「誰のせいですかコラ」


 8/10

 ……
 …

 ・余談

          . :´ . : . : . : .`: .

        /: . : . : . : . : . : . :\
       /: . : . : . : . : . : . :ヽ: . \
      /: . : . : . : . : . : . : . :‘。: . ノ:。
     .′ : . : / : . : . : . :ト : . :‘./-‐゚。    ←一位
     |__: . : . : .i: .|: . : . : .|: . : . : .| ゚,:}ヽ/:.‘。 :  ぃ
   /:.┼{ ―--..|:._|__ : //八: . : . :| 匕 }: . }: ゚: . }リ
 /: イ: .|∧ ミ . : |: .|: //フ7¬ }: . /| ィi爪㍉}:.:|:ハ /

/: ./ | : |: ∧\ : |: .|厶斗=ミ /イ 丿 |:il刈  :.:l/}/
 :./  : ..|: . ∧ . : |: .|斤:i:i:(_,      弋''ツ  |: |: .i  ( \    -‐ 、
: /  | : |: . : ∧: .ハ:卞::i:lil刈             |: |: .|   ヽ у´   ___}_
/    : . l: . : . ‘:,⌒!ム ゞ…″     `  :':':':゚|: |: .|   │ r  ̄     }
    |: . 。: . : . :∧ い  ゚:':':':     -┐   }: |i:∧    |    ――‐{
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. ! i:i!  | ..:i :i:.:.:i`iー>ト-!、丶:.:.:.:.:i:、^V i_;:::::::ヽ /      i: : : : :.:|:.:|:.:.:.:
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  ヾi 、:.\:.:\:.]〈  っ::::;:i    ̄`            _,∠|:|: : : : .:|:.|―-
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 …
 ……


 9/10

 ……
 …


 「ううっ、逆ナンなんてレベルが高いわ……」

 「霞ちゃんなんてまだマシじゃないですか。

  私なんて男誘ったらワンチャン補導されますよ。

  いや多分ワンチャンどころじゃなくて補導されます」 

 「で、でも男の人って怖いじゃない……。

  ああ、きっとハイエースされちゃうんだわ……。

  いきなりが複数人相手なんてダメよ……。

  そして快楽落ちさせられた私は仲間を裏切ってハーレム作成のお手伝いをさせられるの……。

  最終的には永水ハーレムを……」

 「ナチュラルに裏切らないでください。

  あと安心してください。

  霞ちゃんが捕まっても誰も助けに行かないで六女仙の意見は一致してます」

 「えっ?

  ちょっと待って?」

 「まぁでも男漁りが難易度高いのは同感ですねー。

  そもそも女子インターハイで男漁りっておかしくないですか」

 「ちょっと待って?

  私、スルーしちゃいけないことを聞いた気がするんだけど……」

 「いいから霞ちゃんも男漁りの手段を考えますよ。

  とりあえず合コンか何かで釣りますかー」

 「合コ……ッ!

  いきなりがカラオケボックスだなんて難易度高いわ!」

 「その発想の飛躍にドン引きですよー……」


 10/10


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        ‘:::::::::::::::::|:::::|              ′:::::::::::;
        ‘:::::::::::::::|:::::|\       、 _,     .イ::::::::::::::/   必ず金髪イケメン高身長スポーツ万能足が長くて優しくて
        ‘:::::::::::::|:::::|:::::l` .        . イ::::|::::::::::::/
.           ‘:::::::::::|:::::|:::r|   `  ┬=≦l |:::::|:::::::: /     割とお金持ちな王子様を見つけますっ!」
          \::八::::|:∧\     l| |\ノ |:::::|:::::::::|
              _\:::::|':::∧、\   l| |  ⌒i|:::::|:::::::::|
            /  \:::::::∧\\ l| |   八:: |:::::::::ト、
          /     \:: ∧ \ソ' |     \::::::: | \


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         /: : :从: : : : : |八人Nノ \: :l   ⌒|   |: : : : :!`丶     \
         /: : ://:/\ : 从   __,,.  \   ≦三≧ル^Y:.\|    \
       /: : :/ /:/  |: ∧l,r≦彡'´   ,       てノ| }|\: |
.      /:.:/   /:/   :|/〈∧てノ、、   ______   `` |_ノ  ‘:|
     //   ./:/    |\`∧    厂     `Y  人     |
.    /´    l:/    从: l ̄    〈__   -‐┘       |    「好きにしやがれですよー……」
            |      ‘:l    ≧=-  __  -=≦
                    |       |    ∨
                    . .-=≦___   __≧=- . .
                  / :  :    ` ´   :  ::  \
                 /   ::  :          :  ::    |
                --┤ Y::  : . . . . . . . . . .:  : Y   |‐―┐
                「 ̄ ̄ ̄ ̄\              l__, ┴― 1
                |            ー――――一        /|


 カン!

 咲さんは公衆電話使ったんだ。きっとそうなんだ…


 1/10

 【夢の中で会った、ような……】-新訳:京霞次元2-


 永水女子のまとめ役、クールビューティーな石戸霞よ。

 昨日初美ちゃんとお話しして、神代家の闇が明らかになったの。

 その内容とは、『インターハイ中に旦那様を見つけなければ行き遅れる』と言う壮絶な使命だったわ。

 ふふっ、やっぱり不幸のヒロインである私に自由意思なんてないのね……。


 「今度はそういう設定にしたんですかー?」

 「設定じゃないわよっ!」

 「でも霞ちゃんは理想が高すぎるから、放っておくと行き遅れ真っしぐらですねー」

 「失礼ね!」


 ああっ、友達にもこんな風に言われてしまって、やっぱり私に自由意思なんてないんだわ。

 やっぱりこれは実家の罠よ。

 このインターハイ中に見つけられなかったということで因縁をつけて、お金持ちの中年おじさんに私を売り払うつもりなのよ。


 「どんなゲスい思想ですか……。

  ドン引きですよ」

 「だっていきなりこんなこと言われたのよ!

  何か裏があるに決まってるじゃない!」

 「霞ちゃんの両親に伝えておきますねー」

 「待って。お願いやめて」


 私の中に中学生の頃に作ったノートを暴露された思い出が蘇ってくる。

 学校から帰るなり机の上に置かれたノート。

 ノートに書かれている物語は親を悪者にして悲劇のヒロインになる私。

 その夜、お父さんとお母さんに連れられて家族会議になった。

 大号泣するお父さん。

 泣きながら私をひっぱたくお母さん。

 あれは地獄絵図だったわ……。


 2/10


 「霞ちゃんは両親に弱いですよねー」

 「うぐっ」

 「これでしばらく大人しくしていてくださいねー」

 
 でもちょっと待ってほしいわ。

 もしかしたらあの出来事が原因で両親は私に普通の恋愛をしてほしいと思ったのかもしれないわね。

 そう考えるとやっぱり悪いのは老人たちです。

 このチャンスを逃す手はないわ。

 きっと私に相応しい王子様がいるはずよ!


 「ねぇ、どうすればいいかしら」

 「えー?

  霞ちゃんの相手とか、もう触手でいいんじゃないですかー?

  一時期ハマってたじゃないですか」

 「初めてが触手なんて嫌よ!?」

 「いきなり呼び出されたと思ったら友達の触手本を見せられた小学生の私に謝ってくださいねー」

 「だって巫女と言ったら触手じゃない!?」

 「知るか。

  もう中年おじさんでもショタでも捕まえてくださいよ」

 「初美ちゃん……、なんでそんな発想を」

 「誰かさんが小学生低学年の時に見せてきたのがトラウマなんですよー!

  初めて性を知ったのがアレなんですからねー!」


 でも、巫女と言ったら触手じゃない?

 もしくは退魔巫女として戦うけれどもおじさんの策に嵌められてハメられるタイプね。

 おねショタも多いけれども……。

 確かに私はしっかり者だから、年下相手がいいかもしれないわね。


 3/10


 「というわけで年下狙いがいいと思うのだけれども、どうかしら?」

 「どうしてその思考に直結したのかまるで意味がわからんぞ、ですよー」

 「ちなみに初美ちゃんはどういう恋を希望しているのかしら?」

 「えー……。

  石戸さんには教えたくないですねー」

 「なんで他人行儀になったの!?」


 もう!

 これでも小さい頃からの幼馴染なのに、酷いじゃない!


 「誰かさんと違って相手にどうこう言うつもりはないですよー。

  こんな体ですし、好きになってくれたならそれで十分です」

 「は、初美ちゃんったら大人ね……」

 「霞ちゃんはいつまで経っても中学生ですからねー」

 「どういう意味よ!」


 ちなみに私の理想はーーと続けようとしたら割と本気で腹パンされた。

 ちょっと泣いた。


 「まぁ私は霞ちゃんのお手伝いをするつもりですよー」

 「初美ちゃん……?」

 「早くくっついてくれないと、自分の男探しなんて出来そうにないですからねー」

 「初美ちゃん、ありがとう……」

 「それに彼氏の一人や二人でも出来れば縁も切りやすくなりますしー」

 「初美ちゃん!?

  そんな、いきなり二人がかりだなんて難易度高いわっ!?」

 「つっこむ所はそこじゃないですよー!?」

 「えっと、突っ込むところは三つくらいあるけれども、いきなりは難易度高いわ……」

 「(……だめだこれ)」


 初美ちゃんがなぜか私から少し離れて目線を逸らしている。

 そんな他人行儀にならなくてもいいのに。


 4/10


 ……
 …


               __  /⌒ヽ
                 ⌒\ ∨   ヽ___
              _, ----`      ∨   `ヽ、
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          / イ / // : l  |    ' / !  从 |  :   :.
         .'/  ' ' /-|-{ {  |  /}/  | / } }  |    .
         }'  / |Ⅵ { 从  '  ,     }/ /イ   }     .
           / イ | l{   { ∨/      '    }   ∧ :   :.
          ´  | {|从三三 /   三三三 /  /--、| ∧{
                {从 |     ,            ムイ r 、 }} /} \
               |                ノ ' }/イ/
                {               _,ノ      「すみませーん!
                   人       _,..::ァ       r }/
                     `     ゝ - '   イ   |/         (わー、すげー美人だ……)」
                        `  ーr  ´  ___|_
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        . :/| | ∨ 弋炒`   rテミく/  ハ  }!
        | ||! ∧ト  "   ,  炒ノムイ  | /
        |リ    /  \ ー    イ7/|| j!/
          ーイ   />ー 、   / }ノ      「ほう……?」
       /   `ー-  /  ヽ }ヽ
      /               | | (
.      八   ヽ          | | |\
    r<二ヽ__l!_      | | |  ー――――  、
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 5/10


 「どうしたんですかー?」

 「そこで財布落としましたよ。

  はい」

 「これは私のじゃないんで、霞ちゃんのですねー」

 「ハイ……カスミノデス……」

 「?」

 「(めっちゃわかりやすい反応してますねー……)」

 「(えっ、なんでこの人胸にスイカ入れてんの?

  これおっぱい? マジで? 人間? のどっち?

  ああでも和は人間じゃないし……)」

 「えっとこっちのに代わってお礼を言いますね。

  ありがとうございます」

 「(こっちの子はなんで半裸なの?

  なんで誰も通報しないの?

  ああでも和も捕まらないから大丈夫か……)」

 「ほら、霞ちゃんもちゃんとお礼を言いなさい」

 「アノ……ソノ……」

 「かーすーみーちゃん!」


 その瞬間、石戸霞の体が崩れ落ちた。

 突然の出来事で京太郎はもちろん、初美もついていけなかった。


 「あのっ、大丈夫ですか!?」

 「霞ちゃん!?」


 いきなり伏した霞を心配する二人の声。

 しかし霞はフラフラしながら立ち上がる。


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                ...-―――-...
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            |:::::l::::l从/i::// }::::::/__ l::|::リ:::|i|
            |:::::l::::|,斗≠ト 厶イ,斗=ミル::::::|i|
            l::八:::l〈 V炒    V炒 〉|l::::::リ |
            |:::::个ト、 ,,    、  ,,, ,小::/ !
.          ‘::::::i:∧      __     //::/  ノ
             ‘::::i::::分、   ` '   ...:i/::/i
             ‘::∨:::::::i〕i=-  -≦::/::/:::|   「我を呼び覚ましたのは貴様か、人間」
            ‘::i:::::l:::|∧   l ∨:/::::::|

             /‘:::::l:::| ∧_// ∨:/::::|
            /  /‘卅li   ∨/  Ⅳ:::::::ト 、
        ∠   i  |:i::l|\   /  |‘::::::::|   \
.        ∧ `ヽ l _|:l::リ_ヽ./  / ‘:::::|\  i‘.
       ′'.   V´ ノ::/  / ̄\/   ‘:::\\i i
.           \ //:::/  /   /⌒ヽ   ゞ===ニ≧ミi
        i    \::::/  /   /     ∨/      ∨ノ
        i     -==ミヽ /_  /      }'         ‘.
        |  〃    / ̄ `丶       i         i
       〈  {i   〈 ,ィ  、   \  ノ        ノ
        |\八   ∨⌒ト、 〉 ! ! i/        /{
        |  \\   ヽ  }/}_j_j_,ノ⌒>=-- -=≦  |

                ,.  ⌒ヽ、/⌒ 、-- 、
               /_,..-         ヽ  `  、
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                ,  ´      / ,'     :    、 ヽ
           /   ,    , / /|  |  :.  | | |    ∨
         _/   / /  |_|__'_|  |   _}_|_|_| |  | :
         ̄ ̄´/ イ '  { ´| |/__{  |: , ´/}/_}∧ |  | |
            / / , rⅥィ笊 从 {∨ /ィ笊_ヽ}/、 | |

            / イ ∧{ 从 Vり \∨' Vり /' / ∧{
            ´/イ }从lム     ; \     ,ノ /  \
                    | ∧ U         ∧,イ
                   Ⅵム    -  -    イ //      「」
                _ヽl\       //イ__
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. /::.//イ/|::.:::Yう心   う心ヽ |/::.:ハ:| ヽ::|\::}

// ./  |八:{:ハ弋zソ   弋zソノ j^V |:| j/  jノ
.   {  |:|   } ,,,  '    ,,,   /  ::|
     |:|  人   r―,    - '  .::|
     |:|    > ...   イ     ::|
     i:{      |   |      乂    「(やべぇ)」
           イ     \_

       /  :  :. ̄` ´ ̄ ..: :  \
      __,   ::  :...............:  :
    ./V|  ヽ:          :ヽ   |__
    〈  \ |::          :./|__|_/|
    |\  \__       / ̄ ̄___/|
    |  \   |     ./  /T      |
    \  ハ  |     /  / |   / | /


 7/10


 「よく見れば我の予知夢に出てきた男ではないか」

 「あ、あの、大丈夫、ですか?」

 「(頭が大丈夫じゃなさそうですねー)」

 「人の身にて我を心配するとはなかなか見込みがあるな。

  余が褒めてやろう」

 「はぁ……」

 「(一人称くらい安定させやがれですよー)」

 「あの、この人……」

 「ああ、発作みたいなものです」

 「発作って、危ないじゃないですか!?」

 「大丈夫ですよー。

  直ちに身体に影響を及ぼすわけじゃないですから」

 「ぐっ、やはり我が限界するには現世の空気は汚れすぎているな……。

  くぅっ、胸が痛むわ!」

 「あの、あんなこと言ってますけど……」

 「どうせおっぱいが重いだけですよー」

 「(あれやっぱりおっぱいなのか……)」

 「右腕が疼く……。

  ふふっ、やりすぎてしまうかもしれん」

 「あんなこと言ってますけど!?」

 「私は胃が痛いですよー……」

 「えっ、大丈夫ですか!?」

 「慣れてますから……」

 「我を放置するとはいい度胸だ、小僧」

 「あっはい。

  ごめんなさい……?」

 「何、もともとは礼を言おうと思っていたのだ。

  些細なものではあるが、プレゼントしよう」


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           ,  ':.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ::::..ヽ
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        /,'::.:::;'.:::::/.:::l!::::::::::;'  .';::::::::::l:::::::::l:::.:.:..i
        /.i::::::::|:::lL::-亠 : :::l  ̄丁T!::‐!::::::l:l:::::.:.::|
.       i !:、::::l::::l!、:_」L::::l:::l --+HL_:::l:::.;リノ:::.:.:...|
        ! .l:::::トゝ:!´__::_ヽ:川  ,,z=-zy/j;イ:::::::::::::::.|
        | .l :::::. lv'筰:卞 ヽ. ´ b::::::::jヽ .!l::::::::::::::.|
       l ::::::::l! .辷.ノ      ー.―   ll::::::::::::::.|
          l :::::: l. ,,,    '     '''    'l:.:::::::::: .|
        l::::::::::l             /l:::::::::: .|
.         l::::: :::.l.    ャー‐ッ     /:::l:/::: :.l   「この娘と結婚する権利を与えよう」
         l:::: ::::::>...            イ:::::/ :: ::::::l
.          l:::: :::::::::::::>.....___ <  |:l:/:::: ..::::::'
          l::: .:::::: :::::/:::::l     /:::::::::.:::::: /
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          l:: .:::.::/ ゝ´ll  /,':::::::::::::::::./> 、
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.          l=;/   l /   ,;:::::::::::::::,' /       ! l
           ,':::l  ./      i:::::::::::: / /    / l! .l
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              ⌒> ´  ´  ヽ  `ヽ、
                _,.   ´  ,  , 、   | 、 、 ヽ
                ̄7  / / 从  、 |  |  |  :.
                 /イ / /l/  | | | l}从}  |   {
               _/_ { 从ヽ、 { | |/ イ´∨}  :
                 ̄´ {∧ { ○ 从{  ○ }'⌒}、{
                 {从         r-く| \
                     叭   __   八}イ
                   、 └―┘ ィ/∨      「……!?!?!!??」
                  「¨>-- rく「 ̄ }

             , ------ ∨_」   :, ∨]/|ィ¨7ー-- 、
               ////////「//| ー- 」 }ヽ// ///////}
                {/{////// \∧ r'  ヽ }' {///////
                |l∧////////Ⅵ,〈      | |///////|
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 ……
 …

 初美は走った。

 友人を犯罪者にしないために、手を引いて走った。

 走る最中に少年に対する礼と謝罪を考えながら走った。

 何とかホテルにたどり着いた時には満身創痍だった。


 「……霞ちゃん?」

 「その、ね?

  知らない男の人と喋るのって緊張して、ね?」

 「『ね?』じゃないですよー!?

  やっぱり悪神様は憑依してないじゃないですかー!」

 「仕方ないじゃない!

  好みのタイプど真ん中だったんだもの!!」

 「散々陵辱趣味を語っておいてイケメンが出たら即オチ1レスですか!?」

 「女の子がイケメンに弱いなんて当たり前じゃない!!」

 「うわぁ、開き直りやがりましたよー……」

 「それでなんとか告白しようと思ったら、つい……」

 「『つい』で済まされるようなことですかー!?

  あれ告白のつもりだったんですかー!?

  第一印象最悪ってレベルじゃないですよー!」

 「ま、まだセウトくらいのラインで止まっているわよ!」

 「アウトライン超えて場外まで突き抜けているレベルですよー!

  まぁ、もう会うこともないでしょう。

  私の方から謝罪をしておきますから、これで少しは反省してくださいねー」


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   |:::::::::::::‘:::::::::::::::::::「:|    `       ....::|:::::l:/ / /^Yヽ     初美ちゃん、どうしましょう?」
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 カン!

 霞さん書いてるとシロも書きたくなってくる


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 【それはとっても嬉しいなって】-新訳:京霞次元3-


 「作戦会議よっ!」

 「一人でやってくださいよー」


 ホテルの一室を占拠して、霞と初美がベッドに腰掛ける。

 そう、これから戦いが始まるのだ。


 「友達の初恋を応援してくれたっていいじゃない!」

 「友達……?」

 「ひどいっ」

 「というか霞ちゃん、初恋だったんですか?」

 「だって男の人と出会うことなんてなかったし……」

 「そういや霞ちゃんってずっと女子高育ちでしたねー。

  周りにも男の人なんていませんでしたし」

 「だ、だからどうしていいかわからなくて……」

 「どうしていいかわからなくて神降ろししたように見せたんですかー?」

 「そ、その話はいいじゃない!」

 「いや、多分あの第一印象をどう覆すかが一番の論点になると思いますよー」

 「ああ、京太郎さん……。

  あなたはどうして京太郎さんなの……?」

 「ちょっと待つのですよー!?」

 「何よ」


 急に焦りだす初美を怪訝な目で見つめる霞。


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             /'.::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
            /:/:::::/::::::イ:::::;::::::::::ヽ:::ヽ
       ,r=ニ三三':::i::::_,'_:/__|l::::イ::::::}::l::::i:::::i
     /  .//-テ::::!:l/l/__;,:.|!:/:|::/T::ト、!:::l:l
          l:l  l::/:_',/ん心.:l/: :レチ=.、!/:::::ノミミ、、
          l:!   l:l .l:.i:.:弋_丿: : : :lr':沁}}イィト;:v`ミ,,
        l!   l:l ヽi: :''': : : : : : : ー:':ムソ!! | .l:l .Y!
          l:!   、 : : t ‐ァ: : : :./ // .∥  リ   「なんで名前を知ってるんですかー!?」
          ll    l> _: ;  ィ  // ./
              ._|: : : : :.|    '"
            ノ|-:'_: : _:_:_:'y'ヽ

          </  l: : : : : : :.:/  /`ヽ
        /  l  .,' : : : : /  /   \
         / |   /     ,'  /      .ヽ
         / l.|  ./     |  .|  {     i
       ./  .|l ./       .|  .|  l!     .|


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 「そういうところばかり動きが早いんですから……。

  その勢いで押し倒してくればいいじゃないですかー?」

 「もう!

  私だって女の子なんだから夜景の綺麗な場所でちょっと強引に告白されたいの!」

 「ダメだこいつ」

 「ああ……須賀京太郎様……。

  年齢は15歳。誕生日は2月2日。身長は182cm。

  家は割とお金持ちでカピバラを飼育している。

  麻雀部に所属しているものの、中学時代の運動神経は優秀でハンドボール部に所属。

  県大会決勝まで勝ち上がるエース的な存在だった。

  現在は高校一年生で清澄高校麻雀部に所属。

  その恵まれた体格と風貌からチャラチャラしていると思われがちだが、根は誠実。

  麻雀を始めたのは高校からで初心者。

  身の回りの麻雀部の雑用をこなして女子麻雀部員をサポートしている。

  異性に弱く、母性に溢れている子に弱い。

  ……と色々と情報を仕入れているのだけれど」

 「あっ、お巡りさんですか?

  こちらホテルにストーカーがいまして……」

 「ストーカーじゃないわよっ!?」

 「やかましいですよー!

  もう堪忍袋の緒が切れました!

  私たちだけならともかく他人に迷惑をかけるのはダメですよー!」

 「だ、だって……。

  巴ちゃんにお願いしたらたくさん調べてくれたんだもの……」

 「巴ちゃん何やってるんですかー!?」


 ……
 …

           /|   __
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 ' : : : |:l   __ 乂 : :|  ,イ示冬、〉:/ ミ:.:.:.:.,   「一晩でやりました」
 |l: : : |:l_ ,竹冬、\|  .乂:ン / }::|  〉:.:.:.:..

. 八: : :|:l〃乂ン/ ̄`ー─‐‐′|::|〉/.:.:.:.:.:..`、

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 ……
 …


 「しかしなんですかそのスペック。

  絶対に盛ってるじゃないですか」

 「いいじゃない!

  私の理想の王子様なのよ!」

 「そうやって理想を高くしていると実際に会った時に幻滅しちゃうんですよー。

  初恋は実らないってことで諦めましょうよ」

 「初美ちゃん辛辣すぎない!?」

 「だって仮にそのスーパースペックが当たっていたとしますよ?

  そんなスーパーマンがどうして霞ちゃんのことを好きになるんですかー?」

 「存在全否定!?」

 「じゃあ霞ちゃんは料理できるんですかー?」

 「お、お母さんがしてくれるし……。

  料理は巴ちゃんが得意だからいいのよ……」

 「せめて私くらいは出来てくださいよ……。

  家事は出来るんですかー?」

 「お、お母さんがいるし……」

 「結婚してもお母さんにやってもらう気なんですかー?

  もう諦めた方が早いですねー。

  当初の予定通り触手に貫通してもらってくださいねー」

 「ま、待って!

  待って! 一つだけ自慢できることがあるわ!」

 「なんですかー?」


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        . :/| | ∨ 弋炒`   rテミく/  ハ  }!
        | ||! ∧ト  "   ,  炒ノムイ  | /
        |リ    /  \ ー    イ7/|| j!/
          ーイ   />ー 、   / }ノ     「奇遇ですね。私も巫女なんですよー」
       /   `ー-  /  ヽ }ヽ
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.      八   ヽ          | | |\
    r<二ヽ__l!_      | | |  ー――――  、
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 「巫女さんと言ったら男子高校生の憧れの的でしょう!

  しかも年上の巨乳巫女!

  もうこれだけで勝ち確よ!

  ちょっと近くに寄って匂いを嗅いでもらいながら胸を触ってもらえば一撃よ!」

 「もうそれでいいんじゃないですか?

  私は知らねーです」

 「ご、ごめんなさいごめんなさい。

  お願いだから見捨てないで……」

 「もう巫女服でもメイド服でも着て誘惑すればいいんじゃないですかねー」

 「ううっ……。

  でも私の良いところってそれくらいしかないのよ……。

  そんな私でも受け入れてもらえたなら、それはとっても嬉しいなって」

 「自分から動かざるものに恋愛闘争に参加する権利なんてありませんよー。

  放っておけばイケメンや美少女が降ってくるなんて二次元だけです。

  攻めることが出来ない人は同じ土壌に立つことすらできないんですよー」

 「グッハァァァァ!

  初美ちゃんやめて。心がえぐられるわ……」

 「その乙女が出しちゃいけない悲鳴もなんとかならねーんですか……?」


 初美が呆れ果てていると、霞は拗ねてしまってベッドに潜り込んでしまう。

 顔だけ出して初美の方を伺うその格好はカタツムリのようだ。


 「私だって乙女ゲーならモテモテなのよ……」


 そう言ってシクシクと泣きだしてしまう。

 だが初美は容赦しない。

 これが異性ならともかく、同性でやられるとウザいことこの上ないのだ。


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 「とまぁ、いろいろとダメ出しをしてみましたが、諦められそうですかー?」

 「諦められるわけないじゃない……。

  ずっと夢見てきた理想の王子様なのよ……」

 「まぁ、そこで諦めないなら合格と言ってもいいんじゃないですかねー」

 「えっ?」


 ガバッと霞の布団を剥ぎ取る初美。

 霞は何が起こったかわからずにきょとんとしたままだ。


 「これで諦めるくらいなら本当にどうしようもなかったですね。

  でも、恋する乙女の第一条件は満たしているみたいですし」

 「ど、どういうこと?」

 「じゃあ須賀君と遊びに行きますかー」

 「!?」


 急に事を勧める初美に霞はついていけない。

 しかし初美は手慣れたように携帯を触ってメールを打っている。


 「ちょっ、初美ちゃん!?

  なんで京太郎様のメールアドレスを知っているの!?」

 「そんなもん昨日霞ちゃんが引きこもっているうちに謝罪に行ったからに決まってるじゃないですかー」

 「えっ、そうなの!?」

 「何年間幼馴染やってると思ってるんですかー。

  菓子折りの準備と謝罪テクニックは一級品ですよー」

 「そ、その、ごめんなさい?」

 「昨日のお礼と謝罪ってことでメールアドレスを聞いておいたんですよー。

  この機会を使えば一気に急接近することも出来るんじゃないですかー?」

 「即ハメ!?

  私即ハメされちゃうの!?

  ちょっとエッチな下着を買ってくるわ!」

 「くたばりやがれですよー」


 霞がいきなり起き上がり、財布を片手に部屋を飛び出していく。

 そんな霞を見て、初美はやはり早まったのかもしれない。と少し後悔するのであった。


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 ……
 …

 ・翌日

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         l:::: ::::::>...            イ:::::/ :: ::::::l    今日は我の奢りだ。存分に楽しむがいい」
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            / / , rⅥィ笊 从 {∨ /ィ笊_ヽ}/、 | |

            / イ ∧{ 从 Vり \∨' Vり /' / ∧{
            ´/イ }从lム     ; \     ,ノ /  \
                    | ∧ U         ∧,イ
                   Ⅵム    -  -    イ //      「は、はぁ……」
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// ./  |八:{:ハ弋zソ   弋zソノ j^V |:| j/  jノ
.   {  |:|   } ,,,  '    ,,,   /  ::|
     |:|  人   r―,    - '  .::|
     |:|    > ...   イ     ::|
     i:{      |   |      乂    「(なんで……?)」
           イ     \_

       /  :  :. ̄` ´ ̄ ..: :  \
      __,   ::  :...............:  :
    ./V|  ヽ:          :ヽ   |__
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    \  ハ  |     /  / |   / | /


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 「えっと、自己紹介しますね?

  俺は須賀京太郎って言います」

 「うむ、知っている?」

 「えっ?」

 「わ、私が教えたんですよー!

  恩人の名前くらい覚えるのは普通ですからねー!」

 「そんな、恩人ってほどじゃないですよ」

 「いえいえ、見知らぬ土地で財布を拾ってもらったわけですし。

  ……ですよね、霞ちゃん!」

 「うむ。

  我が名前は石戸霞。

  ーー神代家に尽くす天倪の一人。

  悪神、災厄をこの身に宿すもの」

 「あまが……えっ?」

 「ああああ!

  要するに巫女さんってことですよっ。

  すみません、すみません!」

 「ああいえ、お気になさらず。慣れていますし……」

 「(慣れ? えっ?)」

 「それにしても巫女さんなんて凄いんですねっ。

  やっぱり毎日が大変なんですか?」

 「(ほらっ、霞ちゃん!

  日常トークのチャンスですよっ)」

 「うむ。

  朝は日が昇る前に起き、滝行をこなし、瞑想し、皆の朝食を整える。

  その後は家事を行い、日々鍛錬あるのみ」

 「すっげぇぇぇーーー!

  本物の巫女さんだぁぁぁーーー!」

 「(嘘つけえぇぇぇぇぇーーー!!!)」

 「じゃあ、料理とかお上手なんですねっ!」


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                   |::::::|::/〈 |  ‐   |/`|:/::::|      良ければ明日にでも馳走しよう」
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          ´  | {|从三三 /   三三三 /  /--、| ∧{
                {从 |     ,            ムイ r 、 }} /} \   「マジですかっ!?
               |                ノ ' }/イ/
                {               _,ノ         やったァァァーー!
                   人       _,..::ァ       r }/
                     `     ゝ - '   イ   |/           綺麗なお姉さんの手作り料理だっ!!」
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.    /´    l:/    从: l ̄    〈__   -‐┘       |    「(どうフォローすりゃいいんですかー!)」
            |      ‘:l    ≧=-  __  -=≦
                    |       |    ∨
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                「 ̄ ̄ ̄ ̄\              l__, ┴― 1
                |            ー――――一        /|

 カン!

 霞さんはめっちゃ筆が進むわ


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 【もう何も恐くない】-新訳:京霞次元4-


 「霞ちゃん。正座」

 「はい」

 「何で正座させられてるのかわかりますかー?」

 「京太郎さんとの会話で盛り上がっちゃったからです……」

 「霞ちゃんの仲ではアレが盛り上がったに入るんですか!?

  ないことないこと吹き込んでめっちゃ誤解されてるですよー!」

 「う、ううっ、ごめんなさいごめんなさい!」

 「私に謝ってどうするんですかー!

  明日お弁当を渡すなんて無理ですよー。

  料理する場所もないですし、そもそも霞ちゃん料理できるんですかー!?」

 「か、形の崩れた目玉焼きくらいなら……」

 「どうやって目玉焼きで形を崩すんですか……。

  もうこうなったら最終手段しかないですね」

 「えっ、何か案があるの!?

  さすが初美ちゃん!」

 「料理上手な巴ちゃんに作ってもらって霞ちゃん作ってことにして渡しましょう。

  次に会うときまでに巴ちゃんのテクニックを学んでおけばいいはずです」

 「……」

 「どうしましたかー?」

 「ごめんなさい、初美ちゃん。

  折角の提案だけど、それは出来ないわ」

 「ど、どうしてですかー!?

  巴ちゃんは霞ちゃんの1000倍くらいお嫁さん適性が高いんですよ!

  そんな巴ちゃんの料理なら男の胃袋を掴むなんて一発ですよ!」

 「そ、その、確かに私はたくさん迷惑をかけているわ。

  でも、京太郎さんにそんな騙すようなことをしたくないの」

 「……えっ?」


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 初美は驚愕した。

 今目の前に座っているのが石戸霞だと信じられなかったのだ。

 いつもの霞ならば楽を出来る案に飛びついていたはずだ。


 「ああ、霞ちゃんを何倍しても0は0ですからねー」

 「初美ちゃん!?

  そ、そのっ、どうせ幻滅されるなら私自身で頑張ってみたいの」


 しかし納得できない。

 長年付き添ってきた霞のイメージとかけ離れた行動を取っている。

 もじもじと胸の前で指を弄る霞なんて見たことがない。


 「(これが恋する乙女の力ってやつなんですかねー)」


 長年の自分すら壊してしまう、人一人を変える力。

 中二病でグータラで邪気眼で中二病でドジっ子で人を巻き込んで中二病の霞。

 そんな霞が成長しようとしている。

 まるで雛鳥が巣立ってしまったような感覚すら覚えた。


 「(ちょっと寂しいですねー)」


 なんだかんだで初美は霞と一緒にいるのが嫌いではない。

 何より見ていて楽しい。他人事ならば……。

 そんな霞が、自分よりも優先するべきものが出来たことは祝福するべきなのだろう。

 しかし、やはり心のどこかで嫉妬する思いもある。


 「(まぁ、今までのことは許してやりますかー)」


 思えば、いろいろとあった。

 隠れんぼをしている最中に初美を見つけられなくて一人で帰ったこともあった。

 鬼ごっこをしている最中に霞を捕まえても『バー↑リヤー↓wwwヘイキダモーンwww』と言って逃げ続けられたこともあった。

 マリオカート64でジャンプした瞬間にサンダーを狙われたこともあった。

 スマッシュブラザーズ64をプレイした時には初美のドンキーをピカチュウで容赦なく潰しに来る。

 負けそうになれば神速でノーコンテストをするなんて朝飯前だ。

 格闘ゲームでは強キャラか中二病キャラしか使わない。

 北斗の拳ではトキ、戦国BASARAでは毛利しか使ってこない。

 初美が怒り狂っても何食わぬ顔でハメ続ける霞をリアルで叩き潰そうと思ったことは一度や二度ではない。

 しかし、そんな霞も今や恋する乙女なのだ。


 過去の諍いの一つや二つ、見逃してーー


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 許せるかバカ


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 ……
 …

 「ううっ、初美ちゃん……。

  いきなりおっぱいにビンタするなんて酷いわ……」

 「むしろその一発でチャラにしてあげたことに感謝してくださいよー」


 なんやかんやでお弁当作りの練習をすることにした。

 とは言ってもコンロ等がないのでロクな食材を用意できない。


 「よく考えればキッチンがないんだから仕方ないですよねー。

  須賀君ならそのあたりわかってくれますよー」

 「そう、かしら?」

 「料理のコツは変に背伸びをしないことですっ。

  ないものはない!

  作れないものは作れないっ。

  今は冷凍食品の詰め合わせくらいしか出来ませんから」

 「ううっ、いろいろと作ってあげたいけれど……」

 「そこまで作り込めるのは巴ちゃんレベルになってからにしてくださいねー。

  ちゃんと理由を説明して、ちゃんと誠意を持って作れば喜んでくれますよー」

 「そうかもしれないけれど、やっぱり不安なのよ……」

 「須賀君なら大丈夫ですよ。

  なにやら普段からいろいろと大変みたいですし、女の子の料理ってだけで喜んでくれますから」

 「は、初美ちゃん!?

  なんで京太郎さんとそんなに仲が良いの!?」

 「須賀君、すごく話していて楽しいんですよー。

  ついつい話し込んじゃいました」

 「は、初美ちゃんにだって渡さないんだからねっ」

 「はいはい。

  渡したくないと思うなら頑張って作ってくださいね」


 嫉妬丸出しで噛り付いてくる霞にほっこりする。

 これが乙女ゲーの神と呼ばれた霞と同一人物だと誰が思うだろうか?

 乙女ゲーを姫様に布教しようとしてガチ説教を受けた霞と同一人物だと誰が思うだろうか?

 余談だが、霞に布教された巴は乙女ゲーマスターに堕ちていった。

 なお、やっぱり霞は叱られた模様。


 5/10


 「明日の分は明日温めるとして、今日は今日で練習だけしましょうか」

 「そうね。

  お惣菜を詰め込むだけでもなるべく綺麗にしてあげたいし……」

 「まぁ流石の霞ちゃんもお惣菜を詰めるくらいなら失敗しませんよー」

 「い、いくらなんでも酷すぎない!?」

 「塩と胡椒を間違える霞ちゃんに発言権はありませんよー。

  せめて塩と砂糖を間違えてください」

 「今は間違えませんっ!

  塩と砂糖は怪しいけれど……」

 「本当ですかー?

  じゃあ、『料理のさしすせそ』を言ってみてください」

 「えーっと……」


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        ‘:::::::::::::::|:::::|\       、 _,     .イ::::::::::::::/     そ=そうめん
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          八:{   ‘:':':': :r―┐: : : : :イ:/    リノ    「消し飛びやがれですよー」
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 6/10


 「調味料の欠片も入ってねーですよー」

 「えっ……?」

 「いやもう霞ちゃんにその辺りの知識は期待していませんから……。

  今度ちゃんと覚えておくんですよー」

 「ううっ、知らないことは罪じゃないわ……。

  これから知っていけばいいんだもの」

 「口だけは達者ですねー。

  それはフォローする私が言う台詞ですよー」

 「そう思わないとやっていけないんだもの……」

 「まぁでも、覚える気があるならいいんじゃないですかー?」

 「そうかしら……」

 「良くある愛情をたっぷり込めて味を二の次にするような物は論外ですよー。

  本当に愛情がこもっているならば美味しく食べてもらいたいと思うはずですから」

 「グハァァァァ!

  漫画ゲームの知識しかない私の心はブレイクしたわ……」

 「背伸びしないで美味しく食べてもらうことが重要なんですよー。

  そのためには冷凍食品だって立派な食材です。

  今の霞ちゃんに出来る精一杯を食べてもらいましょう」

 「は、初美ちゃん……。

  なんだか初美ちゃんが大人みたい」

 「誰かさんと違って人並みの初恋はしたことありますからね」

 「え”っ”!?

  だ、誰っ!?」

 「いや、お父さんですよ……?

  霞ちゃんみたいな中二病じゃなければ、小学生の頃にお父さんのことを好きになるのはおかしくないですよー」

 「ひどくないかしら!?」

 「そういうのは恋の一つもしてから言ってくださいねー」


 そうは言うが、初美も本当の恋をしたかは怪しいものだ。

 偉そうに霞に説教をしているが、本人も喋っていて照れたのか顔が赤くなっている。

 もちろん、霞にバレないように隠しているが。


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 「わぁ、それなりに見えるのね」

 「そりゃ冷凍食品の詰め合わせと惣菜だってちゃんとした食べ物ですよー。

  全部一から作る主婦もいるかもしれませんが、大体は惣菜で済ませてるんじゃないですか?」

 「なんか憧れが壊れる話ね……」

 「巫女なのに料理できない霞ちゃんが言っていいことですか?」

 「ゴァァァァァァア!

  やめて初美ちゃん。

  その発言は私に効くわ」

 「ちゃんと食材と食材がくっつかないようにするんですよ?

  ぶっちゃけお米すら炊けませんから、ほとんどコンビニ弁当みたいになってますが……」

 「……ううん。

  これは背伸びしちゃった私への罰みたいなものよ。

  京太郎さんにはちゃんと本当のことを言って、謝るわ」

 「……これは本当に霞ちゃんですかー?

  『引かぬ、媚びぬ、省みぬ。決して謝罪をしない女』の名を欲しいままにしていた霞ちゃんが……」

 「私だって謝る時は謝っていたじゃない!?」

 「そうですねー。

  黒歴史ノートを両親に大公開した時は土下座してましたねー」

 「オボゥッ!

  もうやめて初美ちゃん!」

 「あと姫様に乙女ゲーを貸そうとしていた時とか……」

 「やめてっ!?

  人の黒歴史をほじくり返さないでちょうだいっ!?」

 「安心してくださいねー。

  現在進行形で黒歴史が量産されてますから」

 「何を安心すればいいの!?」


 霞が息をつく間もなくツッコミに明け暮れていると、初美がどこか遠い目をした。


 「問題は、明日霞ちゃんがちゃんと喋れるかってことですよー」

 「うぐっ」

 「またあの意味わからない喋り方をしたらどうしますかー?」

 「そ、それについては考えがあるわ」

 「何ですかー?」


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.    /´    l:/    从: l ̄    〈__   -‐┘       |    「(私は明日が不安で仕方ないですよー!)」
            |      ‘:l    ≧=-  __  -=≦
                    |       |    ∨
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                「 ̄ ̄ ̄ ̄\              l__, ┴― 1
                |            ー――――一        /|


 10/10


 ……
 …

 ・その頃の清澄


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    ヽ!:.i、`゙ー-r≧   >≠    ,      " "   /  |:! : : : :.:|:.!/////    し=しっぽりとセックスしましょう!
     |:.|:.:.:.:.:.:.:\!  ,, ,,                /   i!: : : : : ::i:.i////    す=須賀君セックスしましょう!
     |:.|: : : : :.:.:.i i       r== "ヽ      /   i: : : : : :.:i:.|////    せ=セックスしましょう!
     | |: : : : : :.:i:.:|\     ∨__ノ)   /    /: : : : : :.:i.:|////    そ=その前にセックスしましょう!
     |:| : : : : :.:.|:イ |:::|l`ー-..、    ̄ ̄   /     / : : : : : :.:|/////
      |.|: : : : : :.:|:∧ i:.:!i::::::::::::::`i ー-‐ '    ,..-‐:/: : : : : : :.:.i!/////    『のどっちさしすせそ』です!」


                  ___,-、 _, ---- 、

               ,   ´     /  `  < ⌒\
               /        |    :.   `ヽ、
             /     / /   l|    V     `   、
              .'     / , { { | |     | 、   、_ \_
              |     | | | |∧| {   :  ハ  V  、\  ̄´
               | | {/--{ 从  | , |-|、 |  、 \`

            ' | ,..- | | | ,ィtォ=ミ∧ |,ィtォ、} / |l ハ\_、
          /イ{ { r 从 { Vソ   ∨' Vソ/イ |∧}
            ∨乂   \            |/ j' リ
            }∧ ー:.          `   ムl/
            /  、 八 U   _ _   人
               }イ/|\        /
              「<l|  `  .__/_        「今日の分の薬は飲んだか?」
              |////>、     | 「/|
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 カン!

 霞さん次元は終わりまで突っ走る


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 【聖人へ至る道】-京和次元-


 須賀和です!

 まだ結婚してないけど須賀和でゴリ押ししています!

 最近は須賀君に無理やり結婚を迫ることもなく、『貞淑に!』努めています!

 ふふふっ、前に須賀君のお布団で須賀君パワーを吸収したのが大きいですね。

 しかし、そんな私にも悩みが一つあります。


 「須賀君は本当に何をしても怒りませんね……?」


 自分で言うのもアレですが、私はかなりアレな性格だと自覚しています。

 ええ、見て見ぬ振りをしていましたが少しは自覚していますよ!

 散々のどっちスレで煽られていれば省みる余裕もできます!

 しかし、だからこそ解せません。

 これだけ色々してきても須賀君は全く怒らないで余裕を持って対応してくれます。

 なんだか妹だか娘を見るような眼差しなのがアレですが、そこは許しましょう。

 のどっちスレで『聖人』とまで揶揄される須賀君。

 私の知る限り、高校生時代の須賀君はどこにでもいる普通の高校生でした。

 ちょっとエッチで背負いこんでしまうタチでしたが、その程度です。

 『大人になった』と言えばそこまでなんですが、やっぱり気になります。


 「……ううっ」


 正直、女の子の扱いに慣れてる感じがします。

 確かに高校生時代から咲さんやら優希やら竹井やらの相手をしていました。

 そんな須賀君が女性に物怖じしないのはおかしくないかもしれません。

 ただ、常識的に考えると……。


 2/10


 「やっぱり元カノとかいますよね……。

  イケメンですし……」


 私も須賀君もいい年です。

 喪女道を爆進し続けた私と違って、須賀君に彼女がいたってなんらおかしくはありません。

 それも須賀君は『元カノ』の存在を全く匂わせたことはありませんし、私に女性として何かを求めたりすることはありません。

 『出来過ぎ』とも言える立ち回り、それゆえに女性の扱いに手慣れていると言っていいでしょう。


 「こんなことを考える時点で面倒くさい女なんですけど……」


 喪女なんだから仕方ないですよ!!!!!

 何が悪いって言うんですか!!!!!


 でも常識的に考えるとこの年まで彼女無しとかないですよね……。

 それを気にする方もありえませんよね……。

 確かに男性は名前を付けて保存、女性は上書き保存と言います。

 しかしここまで喪女道を突き進みのどっちスレで煽り続けた私にはぶっちゃけ性別の境がなくなってます。

 二次元の可愛い女の子や可愛いコスプレイヤーを見れば画面の前でニヤけるなんて日常。

 新しい萌え豚用アニメを見ては『ブヒヒヒヒヒwwww』と化粧もしない顔で笑うのが日課。

 そのことをのどっちスレで話した時の反応は忘れられるものではありません。


 ……
 …

  名前:以下、名無しに変わりまして雀士がお送りします 投稿日: ****/**/ ** **:**:**: ID:???

 のどっちって喪女というより童貞だよね


  名前:以下、名無しに変わりまして雀士がお送りします 投稿日: ****/**/ ** **:**:**: ID:???

 あー、わかるわかる

 …
 ……


 3/10


 あの時こそルーターを再起動しまくって自己擁護していましたが、今この瞬間になってみるとその通り過ぎて笑えません。

 喪女は極めると童貞になる。のどっちの結論です。


 そしていざ考え始めてみると須賀君の元カノが気になって仕方ありません。

 これってアレですよね。

 いざ結婚しようってなった時に元カノが忘れられなかったってパターンですよね。

 やっぱり体も含めてよく理解している元カノと復縁するパターンですよね!?

 もしくは結婚後の生活がうまくいかなくて元カノと不倫されるパターンですよね!?!?!?

 ちょっとやめてください私はNTR好きじゃないですよ!!!

 不倫好きとか 通常の性癖では ありえません!!!!

 そんな人いるわけないです!!!!


 ……
 …

 ・平行世界


      /:./{ミミ:.:.:.彡≧:.:.\

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  i......:.:|.....:.:.|:.:.:.|:.:ハ|:.:.:.:.:.:| |:.|:.:|......... |
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  |:.:|:.:.:.:.:. ` ヒ...リ     ヒ..リ |:.:.:.|:.:.|
  |:.:|:.:.:.:.:∧           :.:.::.|:.:.|
  |:.:.\:.:.:.∧     '    .::\:|:.:.|   「新婚でラブラブの旦那様を寝取られたい」

  |:.:.:.:. \:.∧    --    ム:.:.:.|:.:.|
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  |:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.| > <| :.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.|
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 …
 ……


 4/10


 とかなんとか考えだすともう止まりません。

 のどっちスレで相談……いや、ロクなことにならないのは目に見えています。

 というかこの状況で煽られたらさすがの私も精神が持つ気がしません。

 相談できる相手……、相談できる相手……。


 ゆ、ゆーき……。

 いや、さすがのゆーきでも高校生時代から会ってない私にいきなりこんなことを相談したらブチ切れますよね。

 と言うか連絡先変わってる可能性高いですし……。

 変更連絡が来なかったのがちょっと泣きそうですが、変わってるかどうかを確かめることすら怖くて出来ません。


 それなら穏乃……。

 は一番ダメですよね……。

 再会した時に調子に乗ってたら割と本気でキレられましたし……。

 一説によれば哲学者としての人生を歩んているとか聞きましたし……。


 ……あれ、選択肢がない?

 そしてよく考えれば一人だけこの問題に立ち向える人がいました!!


 男女関係の経験豊富!

 突き合った男の数は数知れず!(本人談)

 ありとあらゆる男を貢がせて使い捨て!(本人談)

 あまりにも有名になりすぎてその知名度はのどっちスレと同格!(のどっち談)


 そして未だに私の友達でいてくれる唯一の人物!


 ーーそう、その名前は!


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  ′: . : . : .。: . : . : . : .ⅵ\>―‐n: . :.{   / l: . : ∨/ / \  /:.入
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 そう、男性経験豊富(本人談)な新子憧です!

 なんで私は最初に浮かばなかったんでしょうか!

 そもそも友達が一人しかいないんだから憧に聞けばよかったんです!

 まぁ憧は友達がいっぱいいて(本人談)、みんなにとても人気がある仕事をしていて(本人談)、忙しいらしいですし(本人談)

 そういう点では少し聞きづらかったというのがありますね。


 「というわけで、彼氏の元カノのことが気になるんです」

 「へ、へぇー?

  和ったら意外と純情なのね?」

 「ううっ、面倒臭い女だってことは自覚してますよ……。

  でも喪女を極めて童貞になった私としてはとても大事なことなんです」

 「えっ、喪女って極めると童貞になるの!?」

 「ええっ、間違いないです」

 「そ、そうなんだ……。ヤバイカモ……。

  で、でもまぁ私には関係ないけどね!?

  私には関係ないけどね!?!?!?」

 「そうですよね……。

  小学生時代から男を食いまくっている憧には関係ないですよね……」

 「小学生!?」

 「えっ?

  前にお酒を飲んだ時はそう言ってましたよ?」

 「あ、あはは?

  ソウダッタカナー?

  ほら、私と付き合った男なんて掃いて捨てるほどいるし!?

  いちいち覚えてないっていうか!?」

 「さすが憧です!

  そんな憧に彼氏の元カノについて悩んでいるときどうすればいいか聞きたいんです……」

 「そ、そうねぇ?」


 やっぱり憧は経験豊富で憧れます。

 もっとも、私は須賀君以外に抱かれるつもりはないですけどね!(ドヤァ!)


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          |: : : |  /. : : : :.|: : :.|\  ,|: |  ""     化リ,イ: :| jノj/
          |: : : | ./. : : : : :.|: : :.l: : :T´|: |        , /=|.:.:|^}、:\  「ほ、ほら、私そういうの気にしないタイプだから……」
          |: : : l ./. : : : : :.八: : : 、.:j |: |   ⊂フ   /=/|: :|^} l: : |
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     ′/ |: : : :\: : :\       |   j人  ヽV//ノ{      }


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: : : : : :,': : : : :: : : : ∠ィ、:::::::::| :|:::::::::}/: // リ
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:.:: : : : |: : : : : : : : : : / : : : :| : : |:////
,: : : : :.',: : :,,,_: : : :〃 : : : : | : :! ̄ /

ト、 ̄´: ',:.: : : : : : : :/ : :/: : |  !   ;   「やっぱりそうですよね……」
: :\: : : ヽ: : : : : : /  :./: : :.|  |   /
: ||: :\: : : : : : : :/  : /: ::|: i|  | /
: ||: : : :\/\:/  : /: : /!: i|゙  |′
: ||: : : : .リ   /  : /: : //!:.:i|.  |
: ||: : : ::/__./  : /: : //=!:.:.|.  |


 8/10


 「やっぱりって何よ!?」

 「えっ?

  憧は経験豊富ですからそういうのは気にしないのかと……?」

 「そ、そうだけどさ。

  ……そもそも、その人って元カノいるの?」

 「私の奇行を目にしても全く意に介さないんですよ」

 「そ、それはまぁ……。

  本当に人間?

  聖人じゃない?

  元カノいるからってレベルじゃないわよ」

 「そうですよね……。

  元カノが同じくらいの奇行をしていない限りありえませんよね」

 「(和レベルの人なんて世界に一人いるかいないかってレベルじゃないの……?)」

 「それで、どうしたらいいですか?」

 「え、えっと……。

  やっぱり、和の早とちりってこともあるかもしれないじゃない。

  自分一人で考え込むと悪いイメージが湧くし、だからーー」


         , r '´ ̄ ̄)`ヽ      ./´     .|     1    \
        /   , r ',´`ゝイ      /       i|     .|     ヽ
       ./  ,r'彳 /   .|     ./ ./    , /|     |   ヽ.  ヽ
      /// /  ./   ト、 ヽ   ./ /    / /|    i .ハ    1  ヽ
     ./  / ./  ./    |ヾ  ヽ / /i-、,_  /j ./ |    .ル.j |   .|1.   1
     ./  ./ ./  ./    .| ヾ  ヽj /.i  .>ト,/ j    /i j .|.ハ  | |.   |
    /  / j  i     |  ヾ /j j | / ./ '、` j   /ノ/ .|.j |  .j .|   .i |
    ./  / .|  .|    | |  >'´i |rt== ミ、 、 ./ / /' r t/'ー-/ |   .| |
   ./  .| .j  .|    | | V´  | .| .ク心:::::ミヾ ' '´   '  - ' j /j |   ルj
   j   .| .j  .|    .| |    | .| 毛:::::::ゝ       r==ミ,tノ/j j i  .从'
   /   .| /  .|    | |   | .| ヾ:::::リ'       .ク:::C }./イ .|.j //' 1
   |  | .| /   .|     i. |   | .| ,,,,,         .レ:::リ './ iイ i/ノ |'  ,1
   |  1 .|./   |     ヽ.ト   | .|           ''ヾ / |'j j´  |  |1   「彼氏と話し合ってみないと、追い込まれちゃうわよ」
  .|  1 |'    .1ヽ    ヽ》、  | .|         '  ,,,,, /  |j /   .|  |.|
  .|   、|    ヽ、ト    ヽ \| .|    ヽ、       /  .j ./    1 |.|
  .|   ,V     ゝ 、、    \ i .|、      ´    ノ   /./    .| | |
  .|   1、     .》、\ヽ    ゝ | ヽ、      , r ' ´   ././     | j |
  .|   .1ヽ    / `ー-ヽ、、_   ゝi、./ `ヽ- j ' ´  .i   ./.イ      |.j .|
  .|   1.ヽ  ./       ` ゝ 、 ` \'  ./ i   1  // 1|     .|.j  |


 9/10


 「憧……、ありがとうございますっ!」


 そうでした。

 私は須賀君の彼女で、婚約者なんです。

 もし、重い女だと思われても面倒な女だと思われてもそれが私です。

 須賀君を信じて、相談してみるのも一つの手ですよね。

 そもそも、本当に元カノがいたとして私の心の整理しか出来ません。


 「しっかし妬けちゃうわねー。

  あの和がここまでゾッコンになる相手なんて」

 「ふふっ、あげませんよ?」

 「い、いらないわよっ!

  ホシイケド……、ソウイウノハウンメイノヒトトッテイウカ……」

 「少しスッキリしました。

  それとなく須賀君と相談してみますね?」

 「……えっ、須賀?」

 「あっ、そういえば名前も言ってませんでしたね。

  言ってもわからないとは思いますが、そういう名前の人なんですよ」

              -‐…‐-
         ´: : : : : : : : : : `` .
        /: : : : : : : : : : : : : : : : : :\ ___
     . : : ::/: : : : : : : : : : : : : : : : : : 〈i:i:〈

.     / : : :/ : : : :/ : : : : !: : |: : : : : : : :〈i:i:〉
    /:: : : : : : : : : ::∧: :/|:: ::|i: :|::| : : |: : ¨
   , : : : ||: : /!: / ∨|: :|i: :|::| : : |i: :|

.   ′: : :|: : :/ |/     |: ::八人| : : |i: :    ドヤァ……
.  ,: : : : : :|: Ⅵ斗ぅ气ト ムイ≫冬ト: :从/
  ′:: : : ::|: : | 乂rツ    ヒrツ.ムイ: ::|

  .: : : : : ::|: : |  ,.,.,.    、 ,.,. .′:: ::|
 ,:: : : : : : ::|: : |      、 ,    , : :|: : :|   「ちなみにこれが私のマイダーリンの写真です!」
./:: : : : : : :::|: : |: :} iト       イ: : :|: : :|
:: : : : : : : ::|: : |::j{   うr≦: : : |: : | : |

::: : : : : :/|: : |:\   {`ヽ〕iト ..,,__|: : :|
: : : : /i:i:i|: : |:i:i:i:\    }:i:i:i:i:i:i:i:i|: : :|



 メールにプリクラ(いい年だからちょっとアレだけど無理やり撮ってもらった)を添付して送信!

 さて、憧にちょっと惚気を聞いてもらいますか。

 いつもは私が聞いていたんですし、たまにはいいですよね。

 そう思って憧の言葉を待っているとーー


 10/10


:.:.:.:| :.:. |:.:.:. I斗ヘ、/:.:.:/ { |:.:.:.:.:.:. /Χ}  ヽ:. | :.:.:.:. }{:.:|
:.:.:.:| :.:. |:./ / //>< j:.|:.:.:.:.:.:/´ V=㍉ i:. | :.:.:.:. }{:小、

:.:.:.:| :.: 」/:/ヱZた㍉ `7 | :. /  んヘ Ⅵ:.:|:i:.:.:.:.:}{:.:|:.∧
斗キ:.:.:Ⅳ jリ / ̄ヽ  j/|/   {{ {] } }}ヽ|:|i:.:.:.:.ハ∧:.:∧
V^ }:.:.:.:{  j「  { [] }        {  }  }:.:.||:.:.:/:.:i ∨:.∧
:.}  ] :. { 《   {    }        v ノ  }:.:.|l: /:.:. |   V:.:∧
: }  ] :. {     v ノ       , \i\i\i}:.:.lル1:.:. |   i:.:.:.:.i
:キゝ] :. { \i\i\i\            } :.:.:. |:.:.:.|  |:.:. |
:.:iヽ,_] :. {      Γ`^ー < ̄}      人:.:.:. |:.:. |  !:.:.:.|   「須賀と私は大学時代からの付き合いよっ!?」
八:.:.∧:. { し    {       ヽ }    ,ィ升:.:.:.:.:′八  ‘:.:.i.:|
:.:.:ヽ:.:∧ {       {        } , イ |i:.|:.:.:.:.}:.:.:{:.: ヽ   j:i| |
:. : ∧:.: j:.{   `` 、       , イ:.:.: |: |i:.|:.:.:. }:.:.:{:.:.:.∧ {:.i| |
:.:.:.:.:∧ 「Ⅵ丶、        r<:.: |:.:.:. |: |i:.| :.:. }:.:.:{:.:.:.:.: i {:.i| |


ヽ./ : : : : : : : : : : ,: : : : : : : : : : : : : : : ヽ    ヽ冫
:: |: : : : ::/::/: : : /」: : : /}: : : :}゙`「丁ヽハ:!:!: !:  }
-ィ: : : |_,'_,,|-‐''/ / / .}: : /.|: :|: |:::/. }:|:|:. リ !.|. ト.、           ,. ──‐、

: :ト、::ィ゙ |: ::|\/ //.  /: :/ !: :!/!/  !从:/|:.| !∧冫         //´ ̄ ̄ヽ',
: :|人小|ヽ:!.ィ爪沁ヽ. /./ /,.イ爪心ヽ.! イ/.//′           U     } }
: :l: : ヾ |/{:::::::::⊂. ′   ´ ! :::::ィ./ ト,ムノ:!                    , ,' '
:γ⌒ⅵヽ弋二;;ノ       ゝ-.″ | }: : : :|                 //
',:{ :::`    ::::::::::::::     、  ::::::::::  レ′ : :!.  ◯  ◯  ◯     { !
..',\     ::::::::::              ノ:   ::::!                   U
: : :| `ー´\       ,. ,      / !:! !  !
: : :|.     ` 、          ./|: :. !:! !  ::!                ◯
: : :|         }`   .. __ , イ  |::|: |:|: :|  |
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i :|.| :.:.:i   i i_:|、!、:.:.! i:!、i:.:.:.:.:.:.i:.:.i _;彡';tr=、 ヾ、"' /ヽ |':.:.:.:.:.:.i:.:|:.:.:.:
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 、:!:i、:.:.i:.:.:.:.|:.i:、:.7メ'f:::::::ヾー\:.:.:.:、`ヾ  <;;;:ン ′     ノ : : : :.:.:!:.|:.:.:.:
  ヾi 、:.\:.:\:.]〈  っ::::;:i    ̄`            _,∠|:|: : : : .:|:.|―-
    ヽ!:.i、`゙ー-r≧   >≠    ,      " "   /  |:! : : : :.:|:.!////    「突き合った仲!?!?!?!?!?!????」
     |:.|:.:.:.:.:.:.:\!  ,, ,,                /   i!: : : : : ::i:.i////
     |:.|: : : : :.:.:.i i       r== "ヽ      /   i: : : : : :.:i:.|////
     | |: : : : : :.:i:.:|\     ∨__ノ)   /    /: : : : : :.:i.:|////
     |:| : : : : :.:.|:イ |:::|l`ー-..、    ̄ ̄   /     / : : : : : :.:|/////
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 カン!

 霞さん次元を書けなかったので京和でお茶を濁す
 あわネリ書きたくなってきたけどどこまで書いたんだったか…
 リクも消化しないと……


 1/10

 89
 【スキでキライ】-あわネリ次元4-


 「なぁ須賀、なんかあそこに見慣れない美少女がいるんだけど」

 「んー?」


 教室の入り口を見てみると、体を扉に隠して顔だけ出している少女がいた。

 いつもとは違う黒をメインとした服。伸ばされた長い髪の毛は非常に整っている。


 「って、ネリーじゃん。

  いつも見てるだろ?」

 「イ”ィ”!?

  あれ、ネリーなのか?」

 「別に服装が変わったくらいで何言ってるんだよ……。

  何してんだろーな」

 「いや、あの子が此処に来るって言ったら須賀に用事があるんじゃないの?」

 「そっかァ?

  まぁ聞いてくるかー」


 軽い気持ちで席を立つ京太郎。

 それを見て、相変わらずだなと笑う高久田。


 「よっす、ネリー。

  ここになんか用かー?」

 「……っ!?」

 「あれ、どしたの」


 声をかけると、ネリーは非常に驚いたように京太郎を見ている。

 京太郎はネリーが何を考えているか読めず、困惑する。


 2/10


 「……なんでネリーってわかったの」

 「えっ、見りゃわかるじゃん」

 「服、いつもと違うし。

  帽子も被ってない」

 「いや、顔見りゃわかるから」

 「……」

 「(んー?)」


 ネリーはなんとも言えない苦渋に満ちた表情で京太郎を見ている。

 京太郎はコミュ力の魔王と持て囃されているが、自分ではそんなことはないと思っている。

 特に女心は全くわからない。

 かつて自分と親しかった女性たちの心境も知ることがなく、その関係は終わっていった。

 特に親しかった幼馴染の本質を見抜くことが出来なかった。

 未だにそのことを少し引きずっている京太郎からしてみれば、知らない人相手でもガンガン話しかけていくのは『普通』なのである。


 「まぁなんだ。

  似合ってるよ。

  買ったのか?」

 「……ネリーが服にお金を使うと思う?」

 「思う。

  ネリーは頭がいいから、身だしなみを整えれば最終的にお金に繋がるってわかってるんだろ?」

 「……っ!!」


 ネリーはいわゆる守銭奴だが、わざわざ日本に来ているだけあって頭がいい。

 『流れを読む』ことに長けているからこその力を持っている。

 それは例えば、目の前でお金を使うべき事象があれば使い、後々返ってくることがわかっている。

 正しくお金を使えば、お金は返ってくる。ネリーはそのことを知っているのだ。

 京太郎は経済論に詳しいわけではないが、ネリーのことはなんとなくわかるのだ。

 別にハズレていてもそれでいい、そう思って口に出した言葉であったが、ネリーの反応を見ると間違っていないらしい。


 3/10


 「これ、似合ってる?」

 「おお。

  一瞬ネリーだってわからなかったよ」

 「ウソツキ。

  さっきと言ってること違う」


 口では文句を言いながら、ネリーは顔を伏せた。

 背の高い京太郎からは見えるわけもないが、顔がにやけているのを必死に抑えている。

 最も、京太郎としては『なんか雰囲気軽くなったし、機嫌良くなったな』と察している。


 「キンパツと」

 「俺?」

 「違う、アイツとどっちがいい?」

 「えー?」


 これには京太郎も困った。

 ネリーが『名前を言わない』相手といえば大星淡で間違いない。

 こんなに対抗心丸出しな相手自体、大星淡しかいないのだから。

 しかしここでネリーを褒めれば、ネリーはそれを理由に淡に絡むだろう。

 そうなれば淡が大騒ぎするのは目に見えている。

 かといって淡と言うのは論外だ。

 目の前のネリーが不機嫌になるのは目に見えている。

 では、両方とも可愛いといえばどうなるか?


 ーー現実、女の子にそんな曖昧な対応をとればどうなるかわかりきっている。

 乙女心は複雑なのだ。

 もっとも、ネリーも淡も対抗心が先に出ている以上、京太郎にそう言った想いを抱いているわけではない、と考えている。


 「(もしかして、この前のこと気にしてんのかな)」


 4/10


 ……
 …

 それは三日前のことだ。

 いつもどおりネリーと淡を引っ張って麻雀部に行った。

 いつもと違う場所があれば、それは淡の格好だ。

 ネリーはいつもどおりの民族衣装だったが、淡は自信満々に京太郎の手を取った。


 「ねぇねぇキョータロー!

  今日のあわいちゃんは何か違うよ!」

 「服か?」

 「ピンポーン!

  さっすがキョータロー!

  わかってる!」

 「これ、この前買い物に行った時に見てたやつだっけ。

  わざわざ買いに行ったの?」

 「そうだよ!

  えっへっへー!

  似合うかなー?」

 「うん。

  すげー似合ってるじゃん。

  あわいって可愛い系の服似合うよな」

 「まぁ大学100年生だし?

  その辺のファッションを着こなすなんてお茶の子さいさいなのだー!」

 「淡って結構オシャレだよね。

  小物とかも気を遣ってるし」

 「おっ、キョータローのくせにわかってるじゃん!

  あんまりお小遣い貰えてないから、雑貨屋とかで安いの探してるんだよっ」

 「へぇー、なんか意外。

  淡ってブランド物とかに目がなさそうなのに」

 「おかーさんがね。

  淡は無駄遣いするからってお小遣い少ないんだもん」

 「あ~、それは仕方ないな」

 「あっ、キョータローまでそんなこと言うんだ!」


 5/10


 そんな風に喋っていると、隣のネリーがわかりやすく不機嫌になっている。

 ネリーが着ている服はいつもの民族衣装だ。

 他にも制服などを持っているらしいが、大学生活では着ることが少ない。

 この服装は、ネリーが母国を誇りに思っていることの証明だ。


 「ん、ネリー?」

 「……何さ」

 「いや、そんなふくれっ面になってるし」

 「なってないよ。

  キョウタロウがおかしなこと言ってるだけ」

 「んー。

  ネリーも今度一緒に買いに行くか?」

 「……行かない」

 「ほら、キョータロー!

  コイツは服にはお金を使わないんだから!」

 「お、おう?」

 「それより、また服選んでよっ。

  あわいちゃんが特別に! キョータローの選んだ服を着てあげる!」

 「何が特別だ、こら」

 「あうっ。

  ムー、こんな可愛いあわいちゃんを着せ替え出来て何が不満なのさ!」

 「はいはい、光栄ですよー」


           「 ̄`ヽ-―‐---、__

           {:.. ,..-f( ))-、       ̄}
              广}___クーく.___{ ̄`ヽ ..:::/
          / ,..-‐r:r―┬r::r--、  }!V、_
          /7'..:::i::|^!...:::i:| |:ヒjハi::ヽ|! ヾヽ
           {ハ:::::::f':n:i、:::::{"{::n:ヾi:::.:|!  }!'^゙
           |丶弋ツ `゙ 弋;ツ}::::.|!  }!
            |:::|:i| "  '_   " .!::::.{! o|!、   「……」
             |、::|ハ:.,、  、ノ ,..ィ:ノ::リ;》=《i ゙、
         /.:ヽハ!:r‐` T"´  !イ':":.:.:.:.:\i!
       r:<>、.:.:.:.:.:.ト--、   ,..-/:.:.:,:イス) >_>、
      ζ√ーァ\:.:.:.ヽ     /:fィ_トrJ しイ.,>イ

 …
 ……


 6/10


 「ほら、そんなことあったじゃん」

 「……知らない。

  覚えてないし」

 「(素直じゃないなぁ)」


 どうせ淡に対抗心が沸いたんだろう、と察しがつく。

 淡も淡で雑貨屋巡りをしてお小遣いを節約するなんて女の子らしくて可愛いし。

 そんな淡に感化されてオシャレをしてみたくなったネリーも女の子らしい。

 やっぱりこの二人は仲がいいな、などと思う。

 しかし、それだけでこの騒動が終わるはずもなくーー


     /                  \
 _人_ '                      ` 、  \
  Υ'/ /  /              ト、        丶
   / /  /         |    | | Χ     }
  .′   il  /   |  | \ | / `、  リ   |
  i | _|l__∧ト、八  |   メ´  ニニ  /   } |
  | |   ||  `>x、\|   斗チ芋ミ、∨   ,′j
  | |l   l|斗示芋ミ、    ''h!::::::::}  ,′    ,
  |l 八  И'h!::::::}      乂___ノ /     /

  ||  \| 乂__ノ       /i/i/ /     /l|

  .八   ゝ /i/i/i    i       / /  / / |   「キョータロー!
   ‘,\ ハ      r    ア  /l/ /  /:: |
     ト、  込、         _ノ   //  ,イ::: l|    あわいちゃん参上なのだ!」
     |l l\ \> .,_       /∨  /l|:  八_
 |ヽ.  八l_\ \-─=ー ァ--<  /   / 八 {  \ `ヽ
 | | ./ /´  ハ 〕     { 〉     ,′ /   ` ヽ  \∧
 | |/─、_ / |∨  __ Ⅴ__=|   /     〕\  \
 | | Y´ \\.ノ (`ヽ \\)     |  ,′         \ 丶


 爆弾が導火線に火をつけて飛び込んできた。


 7/10


 「……っ!」

 「あーっ!

  なんでそんな格好してるの!?」

 「ほら、ネリー。淡もすぐに気づいてくれたじゃないか」

 「う、うるさいな。

  関係ないでしょ」

 「関係なくなくないもーん!」

 「淡……、それどっちになってるのかわかってるのか?」

 「えっと……。

  わかんない!」

 「このおバカ……」

 「とにかくっ!

  なんでコイツがこんな格好をしてるの!」

 「いや、ネリーがどんな格好をしていてもネリーの勝手じゃ……」


         /               ヽ \
            /   ./              :.
        /   ′ /|     :∧         ::.
.       / 7  | ./ !     | ∨    |    |
       ′ !   | / ̄`∨   |´ ̄Ⅵ    |     |
       |  |   r≠ミ、∨  | r≠ミx   |     |
       |  |  从 r':::::}!八  〃r'::::::}!》  |     |
       |  |  ハ弋)ソ   \{ 弋)ソ |   |     |    「そうだった!」
       {  |   :i ,,,  ,     ,,,, /  八   !
.        |   :}          /7 /     |
        八   人   v  フ   / /}    八
         \{\( >...       仏イ/    /:  \
.           /    ≧ー <    |/   /:    \
          /   厂 ̄ |      /   /:.      \
         //   /   /|    /   ∧::..       ::.
.      //'    /   ∧   //   /  \::.      |
.     // /   /   /\  / /   /    \::.    |
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            ∨乂   \            |/ j' リ
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            /  、 八 U   _ _   人   「このおバカ……」
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              「<l|  `  .__/_
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 8/10


 「あっ、これこの前私が高くて買えなかったやつだ!

  かわいー!」

 「へ?

  これってそんなに高いやつなの?」

 「!

  キョウタロウには関係ないっ!」

 「あわいちゃんは安物セールでしか探さないもーん」

 「お小遣い少ないもんな……」

 「でもキョータローがジュース奢ってくれたからダイジョーブ!」

 「160円で機嫌が直るなら奢るけど……」

 「……キョウタロウ。

  私にも奢ってよ」

 「ジュースくらいならいいよ。

  しかし、ネリーは凝ったら気合入れるんだな」

 「……別に、安物じゃ甘く見られるし」

 「セール品を甘く見るなー!

  可愛い雑貨だっていっぱいあるんだからねー!」

 「……ふーん。そうなんだ」

 「(……ん?)」


 ここで京太郎は気づく。

 普段からネリーが買い物に慣れていなければ、店員に勧められるままに高いものを買ってしまったのではないだろうか。

 もっともネリーならばちゃんと選んだ可能性もあるが、日本に慣れていなければ安いお店もわからないだろう。


 「じゃあさ。

  淡がネリーに安くていいお店を教えてあげればいいんじゃないか?」

 「あわっ!?」

 「あー、ほら。

  センス対決だよ。

  安価でいいものを見つけた方が勝ち」

 「それならやるっ!

  へっへーん。

  あわいちゃんの女子力を見せつける時が来たのだ!」

 「……別にどうでもいいし。

  でも安いものが見つかるなら聞く」

 「キョータローももちろん来るんだよ!」

 「おお。わかってるさ」


 この二人だけにさせるのはさすがに危ないし。


 9/10


 「じゃあちょっとカバン取ってくるから待っててよ」

 「オッケー!」

 「……」


 相変わらず微妙に不機嫌そうなネリー。

 逆に何やら上機嫌な淡。

 それを見て満足そうに席に戻ると、高久田が怪訝な顔をしてこちらを見ている。


 「本当、須賀はよくあの二人を制御できるよな」

 「?

  別にフツーだよ」

 「いやァ……。

  須賀抜きにあの二人が一緒にいるってだけですごいじゃん」

 「そうかァ?」


 ーーほんの少し、キッカケが掴めないだけじゃないか?

 二人とも麻雀が強くて、親しい友達が少ない。

 ちょっと他の人と馴染むのが苦手なだけの似た者同士だ。

 他人との距離感を測るのが苦手だから、少しアタリがキツくなってしまう。

 普通の人はそういうのを嫌がるかもしれないが、京太郎としては特に困っていない。

 何せ、中学生時代からコミュ症の相手をしている。

 高校生時代にはもっとワガママな女の子の相手だってしてきた。

 咲と和だって最初は仲が悪かったけれど、すぐに京太郎抜きで遊ぶ仲になっていた。

 それを誰より近くで見てきた京太郎だからこそ、あの二人の仲が悪いとは思っていない。


 「へへーん。

  安物を甘く見ちゃダメなんだからねっ」

 「ネリーはそんないっぱい買わないよ」

 「それじゃ勝負にならないじゃん!」

 「……一個だけ、可愛いのがあったら買う」

 「うむっ、それでいーよ!」


 普段の喧騒が嘘のように喋っている二人を見る。

 それを見るたびに、京太郎は思うのだ。


10/10


                _, -──-  .,_
               '´         `丶、
            /              \

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         i     . /    」_ ′/  |   | i|  . i
.         i |   j/,    /イ`メ、   |  小 ||   ト.!
          j .|  ∨/    / |/ ヽ  |  ァT丁l   | |
         ノ i|  V    j 抖竿ミ    ノ ノ ,ノイjノ   | i
___ ____彡' , i|  i| j   八|:x:x:    /ィ竿ミ 刈    | }
 ̄¨ え≠  / 八 i|/l   |  |        :x:x:/ ノ    | ′
 /  -‐ '    ハ  八  ト、  ヘ.__ `  厶 イ   ノ     「よーし、負けないぞー!」
/    __,.斗‐=≠衣  ヽ八\ 丶.__ソ  . イ(⌒ソ  イく
     jア¨¨^\   \   \ >-=≦廴_  ア /ノヘ\
  斗ァ'′     \   \   ヾ. \___ ⌒ヾく<,_ `ヽ )ノ
/圦 |       、\   ヽ   、∨tl  `ヽ . ∨ V\ i
 { `|           Vi:\  ハ  i } |    } i }  ∨,} }
≧=- |         辻_V\`i}  i } |  /} iハ}   辻ノ
   ノ          ¨〕V//リ  iノ ////V〔    ¨〕

                ,.  ⌒ヽ、/⌒ 、-- 、
               /_,..-         ヽ  `  、
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         ̄ ̄´/ イ '  { ´| |/__{  |: , ´/}/_}∧ |  | |
            / / , rⅥィ笊 从 {∨ /ィ笊_ヽ}/、 | |

            / イ ∧{ 从 Vり \∨' Vり /' / ∧{
            ´/イ }从lム     ; \     ,ノ /  \
                    | ∧           ∧,イ     「(やっぱ仲いいよなァ?)」
                   Ⅵム    -  -    イ //
                _ヽl\       //イ__
                |////} `  ー  ´「////|
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 カン!

 あわネリー


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 【プールへ行こう!】-京照次元-


 「えっ、プールに行きたいんですか?」

 「ん」

 「ん、じゃないですよ。

  なんでまたいきなり?」

 「京ちゃんと夏のイベントをこなしていないことに気づいた」

 「そういやお祭なんかにも行ってませんね……。

  でも照さんって泳げるんですか?」

 「お、泳げるし……。

  すごく泳げる……」

 「あー……」


 いつものように京太郎の家でダラダラしていると、照が提案してきた。

 それは普通の恋人同士だったら特におかしいことではないが、発端が照となると話が変わる。

 咲と同じようなぽんこつさんに加えて天然要素を増したような照だ。

 案の定、泳げないらしい。


 「それに、照さん外に出ないから肌白いじゃないですか。

  日焼け対策もしないといけませんね」

 「むぅ……」

 「?」

 「京ちゃんは、そんなに私と出かけるのが嫌?」

 「いや、そういうわけじゃないですよ」


 ムスッとする照を見て京太郎は反省する。

 照にしてみれば未だに京太郎は咲のことを思っているのではないかと疑っていたわけだ。

 そんな照が恋人らしいことをしたいと思っても不思議ではない。

 京太郎も断ろうと思ったわけではないのだが、女の子相手の対応としては失格だった。


 2/10


 「じゃ、行きますか」

 「本当?」

 「断る理由なんてないですよ。

  照さんの水着も見たいですし」

 「きょ、京ちゃんのえっち」

 「はいはい」


 また拗ねて京太郎の裾を引っ張っている。

 京太郎としてはさっきまでの雰囲気を打ち崩したくて言った一言だったが、照は非常に嬉しそうだ。

 女の子はいつだってお姫様。

 好きな人に見られたいと言われれば嬉しいのだ。


 「それじゃ、水着でも買いに行きます?」

 「ううん。私は用意してある」

 「ありゃ、準備が早いですね。

  俺は最近着てないから買いに行かないと」

 「京ちゃんのを選びに行こう」

 「男の水着選んで楽しいんですか?」

 「?」


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               ̄´  |: ∧: :| _)雫ミ从: : :|  _}∧:_:/ }ヽ : : : /: : : : : :
                |: : : Ⅵ V::ノ   \|´_)笊雫ミ/: : : :/:/: : : : : : ,
                |: : : ,: |    ,      V:::::ノノ' : : イ:.イ: : : : : : ,′
                |: : :j:从            /:/ /' ノ: : /: : :/
                |: : ,|: {: : .    _      ´ ィ: ー ´: : :/: : :/
                |: :/|: 从: : : . ‘ ’      イ |: :/ : : :/: : :/    「京ちゃんと一緒なら楽しいよ」
                |:/ 从{_r--'´` ー 、-=≦   ∨: : : /: : :/
                }'   / ||:|       ∧    /,': : : /: : .イ
                  / ||:|    /   _,./ / : イ:/\
                   / ∧:{   /⌒\´/   ´  ´     、
                  ,   {:.:\、 ,′  /     ,. ---――‐`ヽ、
               /  ∧:.:.:. ∨  /_,.:.―:.:.´:.:.:.//    Ⅵ |
                 {__  ,  \:.:.:{_/--  ´:.:.:.:.:.:.:./ ,      マ |
              //≧=-  〉介、______/_ /       } |
            //> ´ ` <≧=--r-- 、     ̄,:'        | |
            ,く ̄´          ` / /^T \   {          マ〉
         r つ ` <        / ∧__|>´|  ∧          }


 ーーそれは反則じゃないか?


 いつもの照のように狙った発言ではなかった。

 しかし、こう言った何気ない一言のほうが男の子心を擽るものだ。

 少し照れて、顔をそらした。


 3/10


 ……
 …

 「京ちゃんを誘惑する」


 そう、プールに行こうなんて言い出したのは何も考えていなかったわけではない。

 照の友人である菫に『彼氏を誘惑するなら水着だろう』と吹き込まれてのことだ。

 照は普段からボーッとしているように見えて、京太郎を盗られないか不安で仕方ない。

 それは恋を経験したことがなかったゆえの心配であり、京太郎が咲のことを気にしていた過去から来るものだ。

 咲とは和解したとはいえ、以前苦渋を飲まされた関係であることに代わりはない。

 3つ子の魂100までと言うが、それに近い話として『小学生までに刻まれたトラウマは大人になっても変わらない』とある。

 照が咲を嫌っているわけではないが、無意識に怖がってしまうのは無理のないことだ。


 「私のこのナイスバディを見れば京ちゃんもメロメロ間違いなし」


 同じことを菫に行ったら遠くを見られた。なぜだ。

 咲よりはある。咲よりはあると言いながら水着に着替える。

 いざ着替え始めて一つ気づく。


 「京ちゃんに、見られる?」


 ボンッと音を立てて頭が沸騰した。

 今まではボーッと菫の言う通りにしていたが、思えば誘惑するということはそういうことだ。

 京太郎と出会い、甘えの限りを尽くしてきた照ではあるが、そういった行為に及んだことはない。


 ーーもし、誘惑に成功したらどうなるか?


 頭の回転が早い宮永照がたどり着いた結論は一つ。

                 _. . : :―――: . .
             ,. : :´: : : : : : : : : : : : : : :` : 、

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           .:' : : /:,: : : : : : : : : 、: : : : : : : ヽ : : ヽ
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           /: : 〃:/:/|:从-、}:、: : : :.|-从}-Ⅵ : : | : |: : |
         /: : ィ: : :{: |r----从\: : |, ---- ミ: : :,: :/: : ,
          ̄´  |: }从:{   ⌒Y   ∨  ⌒Y }: :/}/Y : ′
           |: : : :/   乂_ノ     乂_ノ /:イ  /: :,′
           |: : : { ////        ////r-: ': : /
              从: : 乂      ^ー(    イ: : :/: :/   「ちゅーされちゃうかもしれない……」
            ∨: {:从{¨¨, ィ「 ̄ 7¨´、_: 从:イ: :/
               \|  / \ ∨^/  />/' }:/
                 / |乂\∨_,イイ/  }
               {/⌒ア `ー介 -‐´ {__〉
               {`ー∧ /:∧:.、  |- r'

 ーー19歳にて、まだまだ初心である。


 4/10


 そう考えながらも意を決して外に出る。

 照は比較的早い方ではあるが、それでも女性の着替えは時間がかかる。

 髪を邪魔にならないように留めて、自慢の水着を着込む。

 なんだかんだでラインの出ないワンピースの水着を選んだあたりが照の限界だ。

 でも、きっと京太郎は褒めてくれる。

 ウキウキ気分で外に出ると、そこにはーー


               __  /⌒ヽ
                 ⌒\ ∨   ヽ___
              _, ----`      ∨   `ヽ、
           /´               |     \
          / ____    /  l|     | :.     \
            ///    /   |     |l |  :       ヽ
              /  /   //  ,∧    / ,イ  l| :.  .  .
          / イ / // : l  |    ' / !  从 |  :   :.
         .'/  ' ' /-|-{ {  |  /}/  | / } }  |    .
         }'  / |Ⅵ { 从  '  ,     }/ /イ   }     .
           / イ | l{   { ∨/      '    }   ∧ :   :.
          ´  | {|从三三 /   三三三 /  /--、| ∧{
                {从 |     ,            ムイ r 、 }} /} \
               |                ノ ' }/イ/
                {               _,ノ    「偶然ですねー」
                   人       _,..::ァ       r }/
                     `     ゝ - '   イ   |/
                        `  ーr  ´  ___|_



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            |.:/ :! .:.:.:.ハ ′             /i/, | :. : |:.|i
            |:′:} .:.: :| ∨ /i     '       .:. :. :.!:. l: {   「ビックリなのです!」
         ○: :′.:.:.ト. .           ,      八:.:..:}:. l:.‘
         /:.{: :| .:.:.:. {:: 込      `   ´   /}::.:.:./::. :!:. ‘
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        __ -‐   ̄  /       /   //      ‐-

 ーーなんかいた


 5/10


 「あっ、照さん!

  着替え終わったんですね。すごく似合ってます!」

 「宮永照さん、お久しぶりです!

  2年前のインターハイで同卓した松実玄です」

 「あ、うん。

  ……えっ?」


 思った通り京太郎は褒めてくれたが、それ以上に目の前の光景に翻弄される。

 水着に着替えた京太郎と、松実玄。

 照と玄は二回同卓しただけの間柄だが、一応覚えている。


 「それじゃあ、ご挨拶もしましたし、彼女さんのお邪魔にならないように失礼します!」

 「はい。

  今度は気をつけてくださいねー」

 「おまかせあれ!」

 「……ううむ、不安だ」

 「京ちゃん、どういうこと?」

 「ああ、さっきそこで偶然会ったんで挨拶をしてたんですよ。

  上京した友達に会いに来たらしいです」

 「ふーん……」


 照の胸中にモヤモヤとした感情が渦巻いている。

 京太郎のことは信じている。

 きっと彼の言っていることは本当で、ただ単に偶然会っただけなんだろう。

 でも、意を決して水着を着てきたのに別の女の子がいた。それが面白くない。

 恋愛経験のない照はこの感情をどうしていいかわからないのだ。


 「それでナンパされていて困ってたんでちょっと……」

 「むーっ」

 「照さん?」


 それは照が憧れていたシチュエーションだ。

 もちろん、現実で絡まれたらそんなことは言ってられないだろうが、自分だけの王子様に助けてもらいたい願望はある。

 そして目の前の京太郎はそんなところを見過ごさないだろう。

 しかし、感情が納得してくれない。

 なんで自分じゃないのか、そんな黒い気持ちが渦巻く。


 6/10


 さっきまでドキドキしていたのに、すごく落ち込んでしまった。

 京太郎は何も悪くない。

 別におかしなことはしていないし、照の水着を褒めてくれた。

 玄だって悪くない。

 彼女に悪いと、すぐに離れてくれた。すごく気遣いができる子なのはわかった。


 しかしそれが逆に照を追い詰める。

 それだけ『いい子』の二人に対して嫉妬しまっている自分への黒い気持ち。

 楽しくて楽しくて仕方がないはずの1日だったのに、と恨む気持ち。


 「照さん、行きましょうか」

 「?」

 「ほら、運動してから入りましょうね。

  1日は長いですから」

 「うん」

 「いっぱい取り戻しましょうね」

 「うん」


 そんな照のことをわかっているのかいないのか、京太郎は手を引いてくれた。

 変に謝らないで動いてくれることが嬉しかった。

 やっぱり目の前にいる人は、自分の好きな人だ。


 心は現金なもので、手をつながれただけで気分が上がった。

 そんな自分の単純さに感謝した。


 7/10


 「きょ、京ちゃん。

  浮かない……」

 「なんで浮かないんですかね……。

  普通にしていれば浮くと思うんですけど」

 「ここなら足つく?」

 「へーきですよ。

  流れるプールで流されてますか」

 「うん」


 ーーやっぱり泳げなかった!


 何かの天変地異が起こって泳げるようになっているんじゃないかと思っていたが、ダメだったようだ。

 用意していた浮き輪につながってゆっくりと水に流される。

 泳いではいないが、それでも十分楽しい。

 芋洗いのように人がいるのだけは大変だけれども……。


 「照さん、浮き輪使って泳ぎます?」

 「いい。

  うまく使えない」

 「何で浮き輪に掴まってられないんですかね」

 「でも、こっちなら掴まれるよ」


 そう言って京太郎の腕をとって胸の前に持ってくる。

 腕に抱きつくような形をとった。

 菫に教わった『あててんのよ』作戦だ。


 「きょ、きょ、きょうちゃん」

 「あ、あう、はい?」

 「あて、あててんのよ」

 「さ、さいですか」


 ほどよく筋肉がついた男の体に抱きつくのは初めてだ。

 否が応でも意識してしまう京太郎の腕の筋肉、目線を下げれば割れている腹筋。

 それら全てが『なんか良い』と思えてきてしまう。


 「(私だけ焦るなんて、京ちゃんはずるい)」


 恥ずかしくなって俯いてしまう。

 それでも、京太郎の腕を離すことはなかった。


 8/10


 ……
 …

 「(めっちゃ良い匂いがする!

   めっちゃ良い匂いがする!

   なにこれぇぇぇぇーーーっ!!)」


 もちろん、健全な男子大学生である京太郎が平気でいられるはずもない。

 シャンプーに凝っている照からは良い匂いがするし、恥ずかしげに俯いている姿もクリティカルヒットだ。

 普段の傍若無人でお菓子を要求して甘えている照とは全く違う。

 恥ずかしそうに腕を組んで赤くなって俯いている照だ。

 その姿をよく見てば、精一杯で選んだワンピースの水着にも気づいてくる。

 きっと一人で水着を選びに行って、どれにするか選んだんだろうな、だとか。

 どこまで頑張るか、考えたんだろうな、だとか。

 そう言ったことが頭を過って仕方がない。


 「(なにこれもーかわいいかわいいマジかわいいって)」


 惜しむらくは胸の感触が味わえないことだが、相手がEカップくらいでもない限りは味わえるものではない。

 胸を当てるなんて普通の人はできません。

 その辺りは京太郎の知識や経験のなさからくるものであったが、それ以上に『女の子』らしい照がクリティカルだった。


                    /\-――‐- 、
              , --=7   丶      `ヽ
         /,             ヽ  ヽ
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        /       i     ! l.  l i.  i |
       /  ,/  ! !  l||   ! |、 ll !  |  ヽ、
      /_ -7 , | l ト、| |ヽ!  N , 斗 r  ,'_  ト--`
     ̄  //!  ! Nヽ!\|,//l/ l/! N ,ハ !|
       ´ / ,i丶 {=== l/ == =l/ ' ノ リ  「(これ、俺の彼女なんですよっ!!)」

        // l i `i           _/,、/

        ´   {ハ!ヽ{    ′      /!}/ ′
              丶  ー ―‐ '  / |′
               \    /  |

                __ i ー '     ! __


 叫んで回りたい気持ちを必死に抑える。

 須賀京太郎。照が思う以上にスーパーちょろい男の子であった。


 9/10


 ……
 …

                     ( )
    i ニlニ○ _L/、     /   (⌒ ⌒)
    { cト  ´ | ノ ⌒ ーノ{__ノ  て人_)
         .   ――  ..
          / ..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: `:..、
       '       .:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:\  /
      / .:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:}::.:}:..  :/ }   ハ
    /::.:′. .: }::斗/L/!::.:.:. /::、i:.:.:.}......:.   ̄
    /::. |:...:.:/|::.:/ j/ |::.:.:/}:/リ|\|::.:.}.‘ ―
    {: /.! :|.:.:..::|:/ -- _}:/ノ' /十/,「:..ハ:.i
   rぅ' ,|::.|::.:.|:;{z≦三    三ミメ.|:/|:.ト{ \
   /:{ V:|::.|::.:.|´i             `|:: |:.|
   |:.|/::.:,::.:.::. l :|/// 、__   /// |::.i!:.!
   {i:{:: :ハ::.: 込{. __  (__ ノ    .ィ}:リ|:     「ナンパから助けてもらっちゃったのです!」
   乂:/:.:∧::.:.V/⌒ヽ.--r >ォ抓/:./ |′
 /:/.:.:.:.:/\:ハ´  ̄`V ´  ̄`∨:/|   ( )

イ.:/::.:.:.:. /  /\     {      {:小{  (⌒ ⌒)
://::.:.:.:.:.:.:{ fノ       |!    人.}:.{  て人_)
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          . :´ . : . : . : .`: .

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    | : ..。 . : . : ∧、vハ      ゝ __ ノ  / : |i: .‘    |       ー―{
   /: . : ゚: . : . : . ∧:vハ`   ..,,      /   } |i: . :;  ′     -- ′    逆ナンしちゃえば?」
.  /: . : . : 。: . : . : .:∧vハ__     ̄{ ̄: .|   }/}: . :.。 /\    }、
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        |::|l:{  i::::::l:::| 、、、、   ,   、、、、 |::::::::|/::::::::i:.:.:.l    「彼女さんがいたからダメだよっ。
         `O′ |::::::l从             j:::::::〃:::::::ィ::.:.:.l
        /::j  |::::::|::i::>   `   ′  . ィ:::::::/i::::::::::|::.:.:.:l     見るだけにしておくんだー」
          {:::/   |::::::|::|:::::::::|>     < {::::|:::::/:/::::::::::|:.:.:.:.:l
          |::{  .从:::Ⅵ:::::::|l:::: r‐}`´ __ ノ }/:::/:/:::::::/:::|:.:.:.:.:.l
          Ⅵ  /::::ヾ::::{:::::::|l::ノ ∧__∧ ∠::::/_'::::::::/:::::|:.:.:.:.:.:l
          /.::::::::::\r‐ '〃/レ  〃ヽ 厶イ /:::::::/\_|:.:.:.:.:.:.l
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 カン!

 97
 夏を満喫する京ちゃんの視界の端に常にいるクロチャー(京ちゃんはきづいてない)

 リク消化中
 咲ちゃんクイズよりシノちゃんクイズの方がエグいんだね…

 照が遅生まれだったから間違えちゃった
 京照次元は変わらず京太郎大学1年生の照が3年生


 1/10

 84:女同士のエグい話
 【アコチャーvsクロチャー】-のどアコ次元-


 「今日も須賀に女子力のなんたるかを教えてあげるわねっ」

 「お、おう。

  お手柔らかにな?」

 「えへへー、憧ちゃんとお話しするの久しぶりだなぁ」


 今日もなんやかんやで憧に連れ出されてファミレスに来た京太郎。

 いつもならば憂鬱な1日の始まりだが、今日は違った。


 「(今日は玄さんがいるから大丈夫!)」


 そう、何故かはわからないが地元から玄が来ているようだ。

 こんなに遠いのにわざわざ東京まで来るのは大変だろうが、こうして会えるだけで嬉しい。

 早めに来ていた玄は遅れてきた京太郎を見るなり、笑顔で手を振ってくれた。


 ーーすごく可愛かった! お嫁さんにしたい!


 「で、今日はどこでネタを探してきたの」

 「ふふーん。

  ズバリ、女の子の下着の話についてよっ」

 「ヤベェ!

  いきなりアウトだ!」


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         イO/:.:..:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:|////////////////{ :.:.:.:.|:.:.:.:.:.:..:..∧   「ふえぇっ!?」
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    /:..:..//:..:..:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:|:.\ ι   |         |        イ:|:.:.:.:.:.|:.:.:.:.゚:,:.:.:..:..∧
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  〃:..:/|〃 .:..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|:.:.:.:.:.:|:.:.:.:.ハ:.:.:.≧==- __  -==≦:.ハ.:.:j:.:.:.:.|:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:.:|i:..:.:.:.:.∧
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 ーーやばい恥ずかしがってる玄さんかわいい!


 2/10


 「おい憧ォ!

  玄さんがいるんだから手加減してやれよもっとやれ!」

 「本音でてるわよ」

 「しまった!」

 「きょ、京太郎君の前でそんな、恥ずかしいよぉ」

 「別にそんな恥ずかしがることでもないでしょ。

  いつも話してるじゃない」

 「きょ、京太郎君はいつも憧ちゃんとこんな話をしているの?」

 「それはちが……アレェ!? 違わない!?

  違うんです玄さん!」

 「ううっ、憧ちゃんと仲がいいんだね……。

  でも私だって負けないもん。京太郎君ともっと仲良くなるんだ」

 「玄さんかわいい」

 「憧ちゃん、やっぱり恥ずかしいよぉ」

 「玄、安心しなさい。

  私が女子力のなんたるかを教授すれば玄も一人前の女の子になれるんだから!」

 「(憧の間違った知識を玄さんに教えるのを止めるべきか。

  それとも憧の言うことに顔を真っ赤にする玄さんを眺めるべきか。

  俺はどっちを選べばいいんだ!)」

 「う、うん。

  憧ちゃんはかわいいもんね。

  昔から色々と知っていたし、よかったら教えて欲しいな」

 「ふっ、まっかせなさーい!」


                      -――-
                . . : : : : : : : : : : : : `丶、

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                  . : : :/:/::.::.::./::.::.::.::.::.::.::.:: : ヽ::.::.
            /::/::.:: /::.::.::./:|::.::.::.::.:|::.::.::.::.:i.::. ::.:

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             |::i::.::.:|::.|::`ト|  | :|::.::.::.L イ::.::|::.| ::.|
             |::i::.::.:|::从≫=ミ|八 .::. 抖=ミ从::| ::.|    「はい、先生!」
             |::i::.::.:|::.:|{ rJハ  \_{.rJハ }|::.:| ::.|
            V|::.::.|::.:| 弋ツ    弋ツ ::. | ::.|
            /Ⅵ:|::.:|'. ::、::、  '   ::、::、 /|: | ::.|
             ,::/゚|::.l :.仏     __     厶|: | ::.|
            .:/::.:|::.| :.|:个: . .  ‘ ’   . :介/::/::八
          /::{/{∧::.::.i.::|〈  {≧ ‐≦}  |/::.::.: /ヽ::..
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 ーー天使か?


 3/10


 「今回は勝負下着についての話よ!」

 「?」

 「(玄さんの下着!?
 
  クッソ気になるから止められない!)」

 「ふふっ、玄も好きな下着の一着や二着持っているでしょう。

  スケスケのエグいのかなぁ?」

 「う、うん?」

 「(玄さんのおっぱいを覆う下着だとっ!?

  けしからん!

  そしてこっちを不安げにチラチラ見てくる玄さんかわいい!)」

 「勝負下着はね?

  相手が彼氏とそうじゃないので分けるのが普通なのよ!」(新子憧のgoogle調べ)

 「?

  ??」

 「憧は詳しいなァ」

 「ふっ、任せなさい。

  彼氏が相手じゃなければシンプルなものが一番いいの。

  変に過激なものを着ている場合相手に勘違いさせやすいしね」

 「(普通の相手は下着を見るような事態にはならないと思うんだけど……)」

 「えぇっと?」

 「もちろん、相手が彼氏だったらセクシーのレースなんかを選ぶのもアリよ!

  レースが嫌いな男の子なんていないわ!」

 「はい!」

 「?

  ??

  ???」

 「そして下着は古くなったらちゃんと捨てること!

  あっ、でもゴムが緩くなったくらいなら部屋着として残しておくのもアリね。

  この節約術が女子力よっ」

 「今回は間違ってなさそうだな」

 「いつでもそれっぽいわよっ!」

 「(それを男がいる前で言っちゃうからダメなのでは……)」

 「え、えっとね、憧ちゃん」

 「あら、質問?」


 4/10


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.       / \__/: : :.ィ: /!: : : : :.ハ : : : : :‘:,:  ‘, ゚. 乂,ノ
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.     / : : | : : :|丁¨{丁{│:.:..: : i| ¨v:丁¨`:|: : : :|: :.゚
    i: i: : |: : : |ハ!ハl リ い、 :小 乂{\: |: : : :|: : i

    |:ハ :|: : : | ,ィ宍ミト } \:..゚。ィ宍ミトぃ..: : :|: : |
    || |: |: : : |〈 _)トJi:|    `¨ _)トJi:| 〉|: : : |: : |
    || |: |: : : l ,込rク      込rク  :.: :...|: : |
    リ |: |: : : |i 。            。 |: : : |: : |   「勝負下着って何かな?」

.       {: } : : ト:.:':':':     ′   :':':': イ: : :.l: : |
        C|: : : |:ハ      へ      /::|: : :。.: : !
      /:||i: : :{: 个: .     ̄       イ: :,゚: :.,゚: : :.|
       |: ||ハ: : :。: : : i >  ___  ィ: : : :i{: /: :/: : : j{
       |: ||: :゚。: :゚。: : i r‐|     |┐: : }/: :/: : : :ハ
       |: ||: : :゚。: :゚。/ \   / \:/: :/: : : :.,゚: :゚,
       |i ゚。>''ゞミ{    ,八八    ノイ、|: : : : |: : :|
     ィリゝヘ    r=====ミ___,ィ=====ュ  |: : : : ト、:..|


:.:.:.:| :.:. |:.:.:. I斗ヘ、/:.:.:/ { |:.:.:.:.:.:. /Χ}  ヽ:. | :.:.:.:. }{:.:|
:.:.:.:| :.:. |:./ / //>< j:.|:.:.:.:.:.:/´ V=㍉ i:. | :.:.:.:. }{:小、

:.:.:.:| :.: 」/:/ヱZた㍉ `7 | :. /  んヘ Ⅵ:.:|:i:.:.:.:.:}{:.:|:.∧
斗キ:.:.:Ⅳ jリ / ̄ヽ  j/|/   {{ {] } }}ヽ|:|i:.:.:.:.ハ∧:.:∧
V^ }:.:.:.:{  j「  { [] }        {  }  }:.:.||:.:.:/:.:i ∨:.∧
:.}  ] :. { 《   {    }        v ノ  }:.:.|l: /:.:. |   V:.:∧
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:キゝ] :. { \i\i\i\            } :.:.:. |:.:.:.|  |:.:. |
:.:iヽ,_] :. {      Γ`^ー < ̄}      人:.:.:. |:.:. |  !:.:.:.|   「玄、あんたノーパンなの!?」
八:.:.∧:. { し    {       ヽ }    ,ィ升:.:.:.:.:′八  ‘:.:.i.:|
:.:.:ヽ:.:∧ {       {        } , イ |i:.|:.:.:.:.}:.:.:{:.: ヽ   j:i| |
:. : ∧:.: j:.{   `` 、       , イ:.:.: |: |i:.|:.:.:. }:.:.:{:.:.:.∧ {:.i| |
:.:.:.:.:∧ 「Ⅵ丶、        r<:.: |:.:.:. |: |i:.| :.:. }:.:.:{:.:.:.:.: i {:.i| |


            _,...---、_,.、

           / : /: : / : : ヽー-、
            /. : :, !: iハ!/メ、.i | \
            イ : :{ ヽN  'i:!/!人iヽi
         _1: : :i(    _ 丶:\
        /   `Yリヽ   '、_)'´!`ー`
      /:::..     |  ,. _/        「!?」
.      /.::、::    ト、ィ'
      / ::::::|::    !;-!
    /  ::::|::     ! ヽ、        ,:-‐クヽ
    /    ::!::..   ⊥__!_      /  ..:ノ)
   /     |::::..         ̄`''''''' ′..::::::::::ノ
.  /:     |::::.....      ..............:::_,:::-‐'′
 /::      `ー‐┬---r―'''''''"" ̄__
./__       /!   i      / iu-゙、
/----、\   ::::/ |::  ⊥ __,...-‐'.i...:ヒノ
 ̄ ̄`ー`ー`ー-、/ |::.         _,.-‐'"


 5/10


 「ち、違うよぉ!?」

 「(良かった履いてるのか。

  履いてる方がエロい。間違いない!)」

 「もう、まずはそこからなのね。

  ほんっと玄は初心ねぇ。

  まっ、簡単に言えばお気に入りの可愛い下着のことよ」

 「?」

 「試験日だとか、好きな人を誘惑しちゃう日だとか……。

  そんな日に着る奴ね」

 「でも憧ちゃん。

  気に入った下着だから買うんじゃないかな?」

 「そりゃそーだけどさ。

  玄だって気を抜いた下着くらい履くでしょう」

 「(いざガチで女子トークが始まるとスッゲー気まずいのな……。

  本気で離れたい……)」

 「うーん?」

 「そんな可愛いやつばっかり履いてたらすぐにゴムが緩んでダメになっちゃうじゃない」

 「えっ?

  そんなに簡単に緩まないよ?」

 「洗濯機に入れたらすぐダメになっちゃうでしょ。

  だから気合いを入れてる時とそうでない時で分けるのよ」


          , ' / /        \  \   ヽ
       / / , '     /      \  ヽ   ゙.
        // .' /  / ./!        ヽ  ゙、  l
     //  ,.'   ,イ / i       |、 l  丶 |    !
     ,'/l| . l! __L!l._ !       |_L.L._  l  l   |
     li! |! ||、´ ,' {.| -| l、   l|l-ヽ|、 ` .| |   l
     || i!.|Yヽ|_,,,L_ lハ.   |l!=込_\ !  ||   | l
.      i! | | | /イ示ヾ  \ {イ示ヾミ |  .!|   |. !
.      } |  l!ヽ辷ソ    `ヽ辷ソ" .!  ll|  !. l
.        | /|  |l ,, ,,     ,    ,, ,,  ,!  |i|  ! |  「うん。
        fj. !  l.!            ノ|  l |  | l!
     / !. |  | ヽ    っ     ..ィヽ!  l !  !、. ゙、  だから手洗いしてるよ?」
    ,.'/{ | _!  l'´| >、.. _ .. ィク   ,' / トl.   |. \\
    !'/,l l'. ..ト ハ..l    ヽ、  ,<    / /!ノ/  .lヽ、ヽ \
   , 'K. ヽ!. . ヽ\ヽ!  , ヘ ゝl λ   ,'ノ. . /   |. . . `>、. \
.  / /. ヽ. . . . . . .  ̄! /\ヽ '// \ /. . .,'/   |. . ,.'. . .ヽ  ヽ
 / l. . . ヽ. . . . . ┌┴┴─┼|┴─┴-、,'/     .!. /. . . . .l   ヽ


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                -‐…‐-
            /: ∪: : : : : : : : : : :`丶、

           /.: : :/: : : :|: : : : : : \: : :ヽ-
           ,:': //: / :|:|: : : |'、: : : :\: :∨ Y\\
           i|: //: /  |:|: : : |: \: ノ :||: :|/ |: |:|\\
           i| i∧:{`ー\: : |  ̄\: ||: :| : |:.:|:|  ヽ:ヽ
         八|l: : l 〃ヽ \l 〃ヽ ヽ|: :|: :′|:|   ',: :
         |:| |l\| {{ }}     {{ }}  |: :|/: : :|:|   i: i
         |:| || .′ー' ///// ー'   |: :l: : : :l|   |: |
         |:| |l {   __,/⌒\ u |: :|: : :||   |: |
         |:| || 人 レ        \ |: :|: : : |: :   |: |    「」
         |:| |l / : `|/        \:!: : :.|: ∧   |: |
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         |:|/{: : : :/ゝイ ∨\      \\: :∨:/
          |/: : : /  イ {,∠‘,         \',:|:|
       //: : /  {⌒YY´   人        \|:|
.     /  ′:/   /l_/Т\_i: : :\         ̄ヽ
     /    |: : |{/   \/|/|_ | : : : ∧          |
.    /   八: :|′    o    八: : : { \        |
  _/_彡   ヽ{           \: :\ |:\       /
 /       人                ̄ |: : :l>―┬
./       /  }     o         |: : :l : : : : |


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               /_,..-         ヽ  `  、
             / /´     /    ∨   \
                ,  ´      / ,'     :    、 ヽ
           /   ,    , / /|  |  :.  | | |    ∨
         _/   / /  |_|__'_|  |   _}_|_|_| |  | :
         ̄ ̄´/ イ '  { ´| |/__{  |: , ´/}/_}∧ |  | |
            / / , rⅥィ笊 从 {∨ /ィ笊_ヽ}/、 | |

            / イ ∧{ 从 Vり \∨' Vり /' / ∧{
            ´/イ }从lム     ; \     ,ノ /  \   「」
                    | ∧          ∧,イ
                   Ⅵム    -  -    イ //
                _ヽl\       //イ__
                |////} `  ー  ´「////|
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       |//////////////////////∧ ////////////////////////|


 7/10


 「えっ、何かおかしいこと言ったかな?」

 「えっ、玄?

  毎回下着は手洗いしてるの?」

 「う、うん。

  お母さんが教えてくれたんだ。

  それならすぐには壊れないよ」

 「え、嘘、本当?」

 「ほんとだよ?

  あっ、それにしまうときには開けてない石鹸と一緒にしまうんだ!

  えへへ、いい匂いがするんだよ」

 「」

 「」

 「あ、憧ちゃん?

  京太郎君?

  ううっ、何かおかしかったかなぁ……?」

 「そ、そーね!

  玄の言ってることがいい感じよ!」

 「良かったぁ。

  お姉ちゃんにも物持ちがいいって褒められたんだ!

  だからいつも可愛いのを履いてるよ!」

 「ブフッ!」

 「……ぅぁ!?

  きょ、京太郎君は聞いちゃダメー!」

 「く、玄……。

  なかなかやるじゃない。

  私にも匹敵する女子力よ」

 「本当?

  えへー、オシャレな憧ちゃんに褒められると嬉しいのです!」


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          . :´ . : . : . : .`: .

        /: . : . : . : . : . : . :\
       /: . : . : . : . : . : . :ヽ: . \
      /: . : . : . : . : . : . : . :‘。: . ノ:。
     .′ : . : / : . : . : . :ト : . :‘./-‐゚。
     |__: . : . : .i: .|: . : . : .|: . : . : .| ゚,:}ヽ/:.‘。 :  ぃ
   /:.┼{ ―--..|:._|__ : //八: . : . :| 匕 }: . }: ゚: . }リ
 /: イ: .|∧ ミ . : |: .|: //フ7¬ }: . /| ィi爪㍉}:.:|:ハ /

/: ./ | : |: ∧\ : |: .|厶斗=ミ /イ 丿 |:il刈  :.:l/}/
 :./  : ..|: . ∧ . : |: .|斤:i:i:(_,      弋''ツ  |: |: .i  ( \    -‐ 、
: /  | : |: . : ∧: .ハ:卞::i:lil刈             |: |: .|   ヽ у´   ___}_   「ちなみに、今日はどんなの履いてるの?」
/    : . l: . : . ‘:,⌒!ム ゞ…″     `  :':':':゚|: |: .|   │ r  ̄     }
    |: . 。: . : . :∧ い  ゚:':':':     -┐   }: |i:∧    |    ――‐{
    | : ..。 . : . : ∧、vハ      ゝ __ ノ  / : |i: .‘    |       ー―{
   /: . : ゚: . : . : . ∧:vハ`   ..,,      /   } |i: . :;  ′     -- ′
.  /: . : . : 。: . : . : .:∧vハ__     ̄{ ̄: .|   }/}: . :.。 /\    }、
  ′: . : . : .。: . : . : . : .ⅵ\>―‐n: . :.{   / l: . : ∨/ / \  /:.入
 /: . : . : . : ./\: . : . : . : \: \   |{x=xハ    乂: .:// / / / `¨¨´:.:}


                     ( )
    i ニlニ○ _L/、     /   (⌒ ⌒)
    { cト  ´ | ノ ⌒ ーノ{__ノ  て人_)
         .   ――  ..
          / ..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: `:..、
       '       .:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:\  /
      / .:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:}::.:}:..  :/ }   ハ
    /::.:′. .: }::斗/L/!::.:.:. /::、i:.:.:.}......:.   ̄
    /::. |:...:.:/|::.:/ j/ |::.:.:/}:/リ|\|::.:.}.‘ ―
    {: /.! :|.:.:..::|:/ -- _}:/ノ' /十/,「:..ハ:.i
   rぅ' ,|::.|::.:.|:;{z≦三    三ミメ.|:/|:.ト{ \
   /:{ V:|::.|::.:.|´i             `|:: |:.|
   |:.|/::.:,::.:.::. l :|/// 、__   /// |::.i!:.!     「今日は白くて可愛いの……」
   {i:{:: :ハ::.: 込{. __  (__ ノ    .ィ}:リ|:
   乂:/:.:∧::.:.V/⌒ヽ.--r >ォ抓/:./ |′
 /:/.:.:.:.:/\:ハ´  ̄`V ´  ̄`∨:/|   ( )

イ.:/::.:.:.:. /  /\     {      {:小{  (⌒ ⌒)
://::.:.:.:.:.:.:{ fノ       |!    人.}:.{  て人_)
./::.:.:.:.:.:. 人       ,八      ノト{
'::.:.:.:.:./:.:.:.:ト、    /  乂   /:.:|


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  .i::|. .|:::::::::::i:::::::::::::::i. ヽ /∨⌒レヽ、. i::i   ヾ:::::|  r弋r::::.....レヽ、i::ノ. i.:.::::::::::::::::::::::::::::::|
  |:|  i:::::::::::|:::::::::::::::| /  f毛::::ミゝ i  i::i     ヾ|  i ん:::::::::::ヽ  レ、. |.:.::::::::::::::::::::::::::::::|
   |  i::::::::::i:::::::::::::::| く  i:::::::::::::::::::ii   `       i i..:::::::::::::::::ii  ,ゝ i.:.:.:i:::::::::::::::::::::::::::|
     i::::::::ii::::::::::::::::| 丶とつ::::::::o:::リ    .....     とつ:::::::o::リ ノ .|.:.:.:.::::::::::::::::::::::::::::|

      |::::::|:|:::::::::::::::|i   ヾ;_.._._彡  ...::.:.::::::::::::::...    弋;.;_;_彡     .i:.:.:.:.::i:::::::::::::::::::::::::|
      i::::|:|:::::::::::::::i.i     ....,,,,,;:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.:.::.......      i|.:.:.:.:.:.::::::::::::::::::::::::::|   「京太郎君は聞いちゃダメっ!」
      ヾ/:i::::::::::::::::|.i         ::::::::::::::  ,   :::::::::::::::::::         i i.:.:.:.:.:.:i::::::::::::::::::::::::|
       ○ |:::::::::::::::i i    xxxx               xxxxxx   .i |.:.:.:.:.:...::ハ:::::::::::::::::::|
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               __  /⌒ヽ
                 ⌒\ ∨   ヽ___
              _, ----`      ∨   `ヽ、
           /´               |     \
          / ____    /  l|     | :.     \
            ///    /   |     |l |  :       ヽ
              /  /   //  ,∧    / ,イ  l| :.  .  .
          / イ / // : l  |    ' / !  从 |  :   :.
         .'/  ' ' /-|-{ {  |  /}/  | / } }  |    .
         }'  / |Ⅵ { 从  '  ,     }/ /イ   }     .
           / イ | l{   { ∨/      '    }   ∧ :   :.
          ´  | {|从三三 /   三三三 /  /--、| ∧{
                {从 |     ,            ムイ r 、 }} /} \    「(玄さんは白!)」
               |                ノ ' }/イ/
                {               _,ノ
                   人       _,..::ァ       r }/
                     `     ゝ - '   イ   |/
                        `  ーr  ´  ___|_
                     ___|     |//////|
                   {|___ノ  __|[_]//∧_
                 /// |____|///////////> 、

                     ///// |   /////////////////> 、
               /////// { //////////////////////}
             //////////∨///////////////////////|



 10/10


 ……
 …

 ・京白次元


                    /\-――‐- 、
              , --=7   丶      `ヽ
         /,             ヽ  ヽ
        ∠/       /      、 、  丶  i
        /       i     ! l.  l i.  i |
       /  ,/  ! !  l||   ! |、 ll !  |  ヽ、
      /_ -7 , | l ト、| |ヽ!  N , 斗 r  ,'_  ト--`
     ̄  //!  ! Nヽ!\|,//l/ l/! N ,ハ !|
       ´ / ,i丶 {=== l/ == =l/ ' ノ リ

        // l i `i           _/,、/    「見えたっ!

        ´   {ハ!ヽ{    ′      /!}/ ′
              丶  ー ―‐ '  / |′      シロ姉のは黒!」
               \    /  |

                __ i ー '     ! __
          , ィ'´:.:/-‐ ´}     /  `Y´:.:.\
      , -‐'' ´:.:./:.:.:./― - 、   ,/__ /:.:.:.:.:.:/`丶、
      ハ:.:.:.i:.,:.:,′:.:i     `    ̄    /:.:.:.:.:../:.:.:.:.:.:.:.丶、
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      ', ! ', 、ー    >               |
       丶 丶、  \     >        イ  .!__
              ̄      -|  `  ‐      | 八
                  / ヽ!         /   ヽ
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             ,, - ''"|       ` ヽ  / 、         l:::::::::::::::::::...<


 カン!

 雑談に沿って人間代表のクロチャーをぶつけてみた

京咲照書きたい意欲が満ち溢れてる
書きたいだけだけど


 1/10

 98
 【京咲照次元の淡を全力で保護!】-京咲照次元-


 「お盆だー!

  ヤッホー、キョータロー!」

 「あれ、淡か?

  どうしてうちにいるんだ?」

 「えっへっへー!

  夏休みといえば親戚の集まり!

  お盆だよっ」


 京太郎が家に帰ると、そこには天真爛漫を絵に描いたような少女がいた。

 大星淡。今まで出会ったことはなかったが、遠い親戚らしい。

 インターハイが終わった後にさっくりと両親から紹介されたことは覚えている。

 そして、京太郎も淡も非常に活発な性格だ。

 少し喋っているだけでなんやかんや仲良くなり、たまにメールする程度の仲になっている。


 ーー余談だが、携帯を持っていない宮永咲はこの事実を聞いてすごく怒った。

 その怒りは宮永界にぶつけられ、携帯を買うことになるが今回の話には関係がない。


 「よくわからないけれどおとーさんとおかーさんがどこかに行くんだって。

  その間一人にできないからここにいろって言われた!」

 「なんて雑な説明……」

 「私は一人暮らしくらい出来るんだけど、どーしてもダメだって言われたんだもん。

  うーっ、高校100年生の超新星スーパーノヴァあわいちゃんなのに!」

 「うるせー。

  どうせロクなもん食わないからって疑われてるんだろ?」

 「なにそれひっどい!

  じゃあキョータローはできるの?」

 「ふっ……。

  自慢じゃないがタコスのアレンジすら出来ない」

 「えっ、具材変えるだけじゃないの……?」

 「うるせー!

  レシピ通りやれば美味いって言われるんだよっ。

  男なんだから料理できなくたっていいだろっ」

 「あーっ!

  差別だ差別だー!

  それ、テーシュカンパクって奴だよっ」

 「なんか違わないか……?」

 「わかんないっ」

 「このおバカ……」


 ーー実際に会って喋るのは二回目である。

 仲良すぎである。


 2/10


 「あーっ!

  バカって言った方がバカなんだよ!」

 「おう、この話を続けると終わらないからやめような」

 「じゃー何かしてあそぼーよ!

  麻雀?」

 「二人で麻雀って……」

 「あっ!

  じゃーキョータローがテルーとサキを連れて来ればいいんだよ!」

 「えっ、照さん・咲・淡・俺で麻雀やるの?

  ミンチにする気なの?

  勝てるわけねーだろ!」

 「ダイジョーブ!

  キョータローから一番毟り取れた人が勝ちってルールにするから!」

 「俺が勝てる条件がルールに無いよ!?」

 「勝った人がキョータローに好きな命令していいってルールにしよっ」

 「今話している時点で俺が何か命令されることが決まっちゃったよ!

  麻雀する前に罰ゲーム確定かよっ」

 「じゃーあわいちゃんの命令はアイス買ってこい! でいくよ!

  さーキョータロー早く買ってきて!」

 「ついに麻雀やることすら省略されちゃったよ!

  せめて一緒についてこいって!」

 「わかった!」

 「いいのかよ!」

 「でもー、あわいちゃんが行くからにはハーゲンダッツの一個や二個は覚悟してもらうからねっ」

 「ハーゲンは高すぎるだろっ。

  ってか俺の奢りかよ!」


 ーー二日目である。


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                        ____
                      ´      `丶

                    /              \
                        /        \    ヽ
                 /   ,イ            ヽ    .
                     // |  |   ' ト、           .
                 j/  ;  |  | │:!∧     i    :
                /  i |¬|ト│ |八--:一   i    i
                .:   Ν 八八 Ⅴ´\ハ         |
               i:  Λ x= ミ \ル‐ =ミV:| │  i │
               | i  iハ   .       |.:| │  i │
               | i  i:  :. "       ""  ; :| .:|  i :.    「ダブルソーダだー!」
               | i:. ∨込.  マ::::フ   / イ :リ  i  :.
               人八 ∨ 个ト  ,,_  <「∨ :/i   i  :.
                    /\[  |  __j_」   ∨∠:リ  リ   ::、
                /  リ jレ'´ 乂    У∨   ∧     \
                  /  /  /ー  --/ /  /⌒>、    \
                  / / /  /   广⌒゙ア  /  ///⌒\   \
            /     /   /  /   /  厶イ     ,  \ \
                 /   イ\   ,゙ /   __/   {//       |   \ \
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           \{    /   >::[_[\__;;;/    )У       〉   ト、 │
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                    [__∨::::::::∨| \::::::丶    込,,______ノ |  /  ∨
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              .'     / , { { | |     | 、   、_ \_
              |     | | | |∧| {   :  ハ  V  、\  ̄´
               | | {/--{ 从  | , |-|、 |  、 \`

            ' | ,..- | | | ,ィtォ=ミ∧ |,ィtォ、} / |l ハ\_、
          /イ{ { r 从 { Vソ   ∨' Vソ/イ |∧}
            ∨乂   \            |/ j' リ
            }∧ ー:.          `   ムl/
            /  、 八 U   _ _   人     「60円で元気になったな……」
               }イ/|\        /
              「<l|  `  .__/_
              |////>、     | 「/|
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 「見て見てキョータロー!

  これ棒が二本付いてるんだよ!」

 「まァ割って食べるもんだし」

 「ふっふっふー!

  キョータローはこれをどうやって食べるか知ってる?」

 「おっ、分けてくれるのか?」


        /   /  //  . :〃  . :iト、|:. |             ヽ    ヽ  ヽ
      乂 .′ / ,イ .:/ !   . :i| |:. |\: .                  ハ
      .′ i`ーァ′/ ! .:i |   . : | |:. |  \: .  ヽ: .  ____ i-‐ ´   .
     .′  !/ . : ′| .:| |   . : | |:. |   \: .        ̄| ̄ ̄ `ヽ:
        /i|  :|. :|  | .:| |   . : ! |:. |_,,-‐====‐\   . : :|   . :|: . i
    j〃 . :i|  :|. :|‐===┼-  | : j   -‐     \: .    . : |   . :|: . |
    /  . :i|  :{. :!  \八  . : | jノ   , -‐ __,,.⊥   . : }   . :|: . 人
   ′ . : 八  Ⅵ ≫=ミ、 . : !     ≫≦Y⌒'マハ:、  . : .′ . :|: . : .\
   i . :i    . :\{ハ 《  )i:::::::ハ\{     ″{ .)::i::::::::::}::} 》 . : /  . :/!: . \: .\
   | . :|   . :i   '. ヾ い;::::::jj         八∨乂 _;ノ:ノ  . :/  . :  |: .    : .`ー-
   | . :|   . :| . :| . :l'.   V辷ク            ゞ゚-‐ '  . :/   . :/ . :|: .  .
   | . :|   . :| . :| . :|ハ               /    . :/   . :/ .:.:|: .    : .
   | . :|   . :| . :| . :| :.       ,        /  . . : .′ . / . : :|: .     : : . .
   | . :|   . :| . :| . :|  :.             /  ,. : ,イ  . :/  . : 人: .       : : : . . .   「棒が二本で持ちやすいっ!」
   |..:i:|   . :| . :| . :|   ゝ.     、   ノ .′ // / . : : /  . :.:/  \: .\: .
   l :从  . : :| . :| . :{   / > .        { /'   / . : / . : : .:′    \: .\: .
   乂{: \. : :!\〉、:\_/   . : .:〕jッ。.     . ィV`ヽ /. :/ . . : :/       \: .\: . .
    `\ \{   \;/  . : .://{{   ` ´ | |│ ,// . : .:/             \: .\: . .


                ,.  ⌒ヽ、/⌒ 、-- 、
               /_,..-         ヽ  `  、
             / /´     /    ∨   \
                ,  ´      / ,'     :    、 ヽ
           /   ,    , / /|  |  :.  | | |    ∨
         _/   / /  |_|__'_|  |   _}_|_|_| |  | :
         ̄ ̄´/ イ '  { ´| |/__{  |: , ´/}/_}∧ |  | |
            / / , rⅥィ笊 从 {∨ /ィ笊_ヽ}/、 | |

            / イ ∧{ 从 Vり \∨' Vり /' / ∧{
            ´/イ }从lム     ; \     ,ノ /  \
                    | ∧ U         ∧,イ    「分けろよ!」
                   Ⅵム    -  -    イ //
                _ヽl\       //イ__
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 「ジョーダンだよっ。

  はい!」

 「おっ、本気で分けてくれるのか」

 「あわいちゃんだって鬼じゃないもーん。

  ほらほらー、お礼は?」

 「ははー。ありがたき幸せ」

 「うむっ」

 「(……あれ、これ俺の金だよな)」

 「ダブルソーダー、ダブルソーダー!

  一つになったらシングルソーダ!」

 「(でも30円で女の子の機嫌が良くなったならスゲー安上がりだよな……)」

 「やっばいキョータロー!

  暑くてもう溶け始めてる!」

 「おっ、本当だ。

  急いで食わないと溶けるぞー」

 「あむっ」

 「俺の方を食うんじゃねー!」

 「ひゅめたいよぉー!

  頭いたひ……」

 「あーもー口周りベタベタじゃんか。

  ほら、拭くから顔上げろ」

 「んっ」

 「全く……。

  年下みたいな行動するんだから」

 「むむむっ!

  それは聞き捨てならないよ!」


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     /                  \
 _人_ '                      ` 、  \
  Υ'/ /  /              ト、        丶
   / /  /         |    | | Χ     }
  .′   il  /   |  | \ | / `、  リ   |
  i | _|l__∧ト、八  |   メ´  ニニ  /   } |
  | |   ||  `>x、\|   斗チ芋ミ、∨   ,′j
  | |l   l|斗示芋ミ、    ''h!::::::::}  ,′    ,
  |l 八  И'h!::::::}      乂___ノ /     /

  ||  \| 乂__ノ       /i/i/ /     /l|

  .八   ゝ /i/i/i    i       / /  / / |    「私は12月15日生まれだよっ」
   ‘,\ ハ      r    ア  /l/ /  /:: |
     ト、  込、         _ノ   //  ,イ::: l|
     |l l\ \> .,_       /∨  /l|:  八
 |ヽ.  八l_\ \-─=ー ァ--<  /   / 八 {  \ `ヽ
 | | ./ /´  ハ 〕     { 〉     ,′ /   ` ヽ  \∧
 | |/─、_ / |∨  __ Ⅴ__=|   /     〕\  \
 | | Y´ \\.ノ (`ヽ \\)     |  ,′         \ 丶


                ,. --- 、        ____
                  /,  ´ ̄ ̄` '⌒´     \
           、_/_/⌒ヽ , /            ヽ
            ,---、  / //    :       ヽ :.
           ,  / ̄-/ /' {   | |       | :
          / __   ̄,./ /-' l| l | |___ l |    |
            .:' /   ,イ _| | |ア__l { { | / }`| |    |
       /       ,:´ | { | l\{从 ∨ィ斧ミ、 |    |
    /\'´        /{  | 从{__,. \∨Vソ }イ ト、 ∧{
    ////\ r---  ´八 !∧  ̄   ,:  :.:.:  }/ノ/ リ   「うぐっ。
.   ///////\      \}∧         u 八/
  //////////〉        込、  __    ,.: /       2月2日だ……」
  ///////// /          }>、   ` イ |从
 ,'//////// /   _      /--、l ` ̄ :,   |--、
.///////// /  イ/////\   {////}   /  「///|
'//////// /´// {////////ー '|////|   ,   |///l|
///////////// |l///////////ヽ// \    |////> 、
////////{/////{!/////////////////}--- /////////> 、



 7/10


 「やったー勝ったー!

  これで今日からキョータローは弟!」

 「おかしいだろぉ!?」

 「何言っても無駄だもーん。

  ほらほら、あわいおねーちゃんって言っていいよー」

 「言うかっ。

  というか淡だって早生まれじゃないだろ」

 「ふふふーん。

  それでもキョータローよりかは早いんだからおねーちゃんだよ!」

 「くそぅ……。

  俺より遅い誕生日なんて照さんしか知らないよ」

 「えーっ?

  テルーってそんなに遅いんだ?」

 「2月18日だね」

 「うむっ。ちゃんと女の子の誕生日を覚えてるのはポイント高いよっ」

 「そりゃ咲と照さんの誕生日はちゃんと祝わないと後で怖いから……」

 「でも女の子とのデート中に他の女の子の名前を出すのはNGだよ!」

 「デートじゃないデートじゃない」

 「私はキョータローのおねーちゃんだから許してあげるけど、サキとテルーとデートする時は気をつけないとダメだからね!」

 「つっても他の女の子の知り合いもほとんど共通の知り合いばっかりなんだけどな。

  麻雀部の人ばっかりだし」

 「それでもダメなのー!」

 「はいはい」

 「違う、もっと真剣に聞くのだ!

  こーなったら高校100年生のウルトラノヴァあわいちゃんがキョータローに乙女心を伝授してあげるよ!」

 「い・ら・ねー。

  なーに面倒なこと考えてんだ」

 「ぐえーっ。

  ほっぺた引っ張るなー!」


 8/10


 ……
 …

 「ところでキョータロー!

  今日の晩御飯は何を作ってくれるの!?」

 「俺が作ること前提かよぉ!?」

 「自慢じゃないけど私は料理できないよ!」

 「知ってる。

  いや知らないけど知ってる」

 「なぬー!

  キョータローはあわいちゃんのストーカーだった!?」

 「う・る・せー!

  今日はうちの両親が遅いっつって咲と照さんが飯作りに来てくれるんだよ」

 「むむむっ、これは姑としてちゃんとチェックしないといけないね!」

 「飯も作れないくせに何をチェックする気なんだ……」

 「ご飯は作れないけど身だしなみのチェックならできるよ!」

 「いや、幼馴染の家に来るのにそんな気合入れねーだろ……(咲と照さんだし……)」

 「甘いよ、キョータロー!

  女の子はいつでも臨戦態勢なのだ!」

 「淡に女の子がどうとか言われてもなー」

 「失礼だよ!

  そういうの女の子相手に言ったら減点だからね!」

 「淡にしか言わねーっての。

  『おねーちゃん』だろ?」

 「やったー! おねーちゃんだー!

  特別扱いだー!」


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: : : : : :| : : |: i 「! ヽート!、: : リ  !: |ハ: ト : | ̄ ̄
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: : / へ.゙、 :丶ヾヽ<´{::::i` ヽ! 1!|:/| :!ノ゙、リ

: :ヽ    \ : :!丶   ̄     Vイ:ハ |\:i
.: : 丶    \゙、        `> リ  `
ヽ: : :`┬ 、  ヾ          /
  i: ;ィノ    U     ,....-ィ /      「ホンット元気だなァ……」
,,:‐レリ    _       ̄ /
゛=!_    \ `ー-、_  _/
::::::゛== 、 \   / ̄ヽ、
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         ,. : : :  ̄ ̄: : : : .
       ,. : ´: : : : : : : : : : : : : :`ヽ、
     / : : : : : : : ,: : : : : : : : : : ヽ:ヽ

     .': : :,: : /: :/: :|: : ||: :V: :V : |: :V:.
     ' : : /: /|:_/__ノl: : |{:、_|_|: : |: : |: :.
    /: : : :|: |:_V {:/:从: :| 、{ \:l从|: : | : i
   ': :,ィ/: |: |: ,イ_)笊 \  イ_)斧ミ|/: ,.: :|
  {:イ/ ': : Vl { Vzソ      Vzソ / : イ : |
    l' |: ,: {`\ `¨´  '  `¨´〈:イ )}: : ,
     |∧乂ム  ''''        '''' ムイ|: /    「(ううっ、京ちゃんと大星さん仲よさそう……)」
     '  }:∧个 r 、_- -   イ : /|/
       '  ヽ: :/ / }-、_,.ィ : /: イ
          _,..{   ' ' ノ {-く
     r<........../\___}__,/........> 、

     「\..、...rく\___,/ /.........../..>、
    /⌒ `ー{  \__/,イ......../イ´  ∧
     {    /     V--:.:.´:/ V / |


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.       i: : : : |:::::::ハ  气l∪iリ:::::::::::::::::::::::::::气l∪ikリ

.       l: : : : |:::::::i l{',、 乂Zソ          乂ZZソ
       |: : : : |:::::::j         ,
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.         i |   j/,    /イ`メ、   |  小 ||   ト.!
          j .|  ∨/    / |/ ヽ  |  ァT丁l   | |
         ノ i|  V    j 抖竿ミ    ノ ノ ,ノイjノ   | i
___ ____彡' , i|  i| j   八|:x:x:    /ィ竿ミ 刈    | }
 ̄¨ え≠  / 八 i|/l   |  |        :x:x:/ ノ    | ′   「(あわいおねーちゃんが
 /  -‐ '    ハ  八  ト、  ヘ.__ `  厶 イ   ノ
/    __,.斗‐=≠衣  ヽ八\ 丶.__ソ  . イ(⌒ソ  イく_     どっちがキョータローに相応しいか見極めるのだー!)」
     jア¨¨^\   \   \ >-=≦廴_  ア /ノヘ\
  斗ァ'′     \   \   ヾ. \___ ⌒ヾく<,_ `ヽ )ノ
/圦 |       、\   ヽ   、∨tl  `ヽ . ∨ V\ i
 { `|           Vi:\  ハ  i } |    } i }  ∨,} }
≧=- |         辻_V\`i}  i } |  /} iハ}   辻ノ
   ノ          ¨〕V//リ  iノ ////V〔    ¨〕


 10/10


 ……
 …

 ・白糸台

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    ヽ!:.i、`゙ー-r≧   >≠    ,      " "   /  |:! : : : :.:|:.!////
     |:.|:.:.:.:.:.:.:\!  ,, ,,                /   i!: : : : : ::i:.i////
     |:.|: : : : :.:.:.i i       r== "ヽ      /   i: : : : : :.:i:.|////   「くじ引きで長野旅行のチケットが当たりました!」
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     |:| : : : : :.:.|:イ |:::|l`ー-..、    ̄ ̄   /     / : : : : : :.:|/////
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  |:.:|:.:.:.:.:. ` ヒ...リ     ヒ..リ |:.:.:.|:.:.|
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  |:.:.\:.:.:.∧     '    .::\:|:.:.|    「淡は忙しいらしいし、残りの4人で遊びに行くか」

  |:.:.:.:. \:.∧    --    ム:.:.:.|:.:.|
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 カン!

 のど禁してたのに、あまりののどっち人気にのど禁解除

 >>351
 はよ はよ はよ


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 【有名人の結婚ニュースを見て誘惑する咲さん】-単発次元-


 「ねぇねぇ、京ちゃん。

  ◯代目牌のお姉さんが電撃結婚だって。

  私たちと同じ年齢だよ」

 「うげっ、俺もファンだったのに……」

 「ふーん?

  こーんな可愛い彼女さんがいて足りないんだ?」

 「あっ、それはその……」

 「京ちゃんのおっぱい星人!

  ばか!」


 宮永咲がプロ雀士になってから10年。

 須賀京太郎と宮永咲は慎ましやかな同棲生活を送っていた。

 咲がプロになると決めてから、京太郎は公私ともに咲の支えになると決めた。

 それは京太郎自身の生活を捨ててまで咲と一緒にいることを選んだのだ。

 最初は普通に就職し、サラリーマンとして生活していたが、咲のプロとしての活動が忙しくなってからはそれも辞めた。

 今はマネージャー業務を行いながら、パートをして過ごしている。

 確かに宮永咲は牌に愛されし子としてインターハイを輝かせたが、プロになれば話は別だ。

 同じように別の世代で『魔物』と扱われた者たちが集まる麻雀プロの業界では、思ったように稼げるモノではない。

 それこそ小鍛治健夜を始めとした『化物』たちを相手に成績を残さなければいけない。

 ただでさえ人慣れしないコミュ症である宮永咲は、最初の一年でいっぱいいっぱいになっていた。


 ーーそんな時だ。京太郎が仕事を辞めると言い出した。

 それからは咲の側で様々な業務を代行し、ずっと側にいてくれた。

 最初こそ高校時代のように友達以上恋人未満の関係を続けていたが、なし崩しに恋人関係になった。


 しかし関係が進んだのはそこまでだった。

 それから10年近く経っても恋人関係のまま、二人は一緒に過ごしている。


 2/10


 「京ちゃん、私に飽きちゃったのかなー」


 自分の人生を投げ捨ててまで付いてきてくれた京太郎に何も恩返しできていない。

 そう思うと憂鬱になってくる。

 普通これだけ長い付き合いならば結婚の話が出てもおかしくないだろう。

 しかし、アラサー間近になった今でもそういう話はしてくれない。


 「……ご飯作ろ」


 そう考えていてもどんどん憂鬱になってくるだけだ。

 体を動かせば気持ちも晴れるかと、夕食の準備を始める。

 家事は分担業だが、食事は咲の役目だ。


 『京ちゃんのご飯美味しくないんだもん』

 『うぐっ』


 本当は自分のために作ってくれただけで胸がいっぱいなのに、素直じゃない発言をしてしまったことを覚えている。

 同時に未だにハギヨシから習ったタコス(アレンジ不可)しか作れない京太郎にも問題はあるのだが。

 たまにはそれもアリなのだが、そもそもが優希のために習ったというのが咲の乙女心を刺激する。

 乙女心は複雑なのだ。

 何より、咲は父子家庭で育ったため家事自体は得意だ。

 京太郎のために作ってあげたい、そう思うのも乙女心だった。


 「京ちゃんはエビフライが好きだから……たまには作ってあげようかな」


 揚げ物は面倒臭いのだが、こういう気分の時は誰かのために作るのも悪くはない。

 京太郎は10年経った今でも咲の料理を美味しい美味しいと言って食べてくれる。

 素直になれない身としては、『そんなことを言ってないでよく噛んで食べる!』などと言ってしまうのだが。


 3/10


 「京ちゃん、いつも大変だもんね」


 プロをしている自分も大変だが、面倒な雑務を全て任せてしまっている。

 様々な準備やスケジュールの調整に加え、それだけではとパートまで頑張っている。

 最初はそれに加えて家事まで全部しようとしていたが、さすがに止めた。

 人には向き不向きがあるのだから、と説得してやっと聞いてくれた


 「お金はあるんだけどな……」


 時間はない。

 そして愛はあるのかな、などと考える。

 なし崩しに恋人関係になった時もそうだったけれど、忙しさに追われて甘酸っぱい恋愛なんて出来ていない。

 咲は文学少女だ。

 今はあまり本を読む暇もないけれど、小さな頃に読んだ本を覚えている。

 恋人同士で学校に通って、みんなにバレないところでは手を握ったりなんかして。

 帰りは一緒に帰って、ジャンクフードを買い食いなんかして、家まで送ってもらう。

 帰り際にちょっと背伸びしてキスなんかしちゃって、また明日って言ってもらう。

 帰ってからはメールなんかしちゃって、寂しくなったら電話をする。


 今は距離が近すぎるのかなー、なんて考える。

 もうそんなことを考えるような年でもないはずだが、やっぱり経験しておきたかった思いが強い。

 麻雀プロになってからは忙しすぎてそんなことが出来ない。

 たまの恋人イベントの日だって仕事なのが当たり前だ。

 咲が休みの日だって京太郎はパートだったりする。


 大人の恋愛ってこんなものなのかもしれないけれど、やっぱりすれ違っている気がする。


 4/10


 「ちゃーんと嫁さんを捕まえておかないと、元気が無くなっちゃいますよー」


 浮気するぞー、などとは冗談でも言わない。

 むしろ浮気されそうで怖い思いが強い。

 京太郎の好みと真逆なのは自覚している。

 これだけ甲斐甲斐しく世話を焼いてくれる京太郎がいなくなったらなんて、冗談でも考えたくない。


 『咲ちゃんはいい嫁さんだなァ』

 『嫁さん違います』

 『真っ向否定ですか』


 懐かしい会話を思い出す。

 麻雀部に入るまでは、中学生からずっとからかわれていたこともあったっけ。


 「嫁さんにしてくれてもいいんですよー」


 あの時、否定しなかったらどうなっていたのかな。

 中学生から付き合っていたら、甘酸っぱい恋愛が出来ていたのかな。

 そう考えるとちょっと泣けてくる。


 ーーもー、もっと素直にならないとダメなんだからね。昔の私

 もっとも恋愛感情があったかどうかは別問題だ。

 あの時こそ距離が近すぎて自覚出来なかった気がする。


 それでも、今よりは良かったのかな。

 京ちゃんに告白してもらって、麻雀部よりも恋愛を優先して。

 和ちゃんには真面目にやってくださいなんて怒られて、染谷先輩にはあきれられて。

 優希ちゃんにはからかわれて、真っ赤になりながらも京ちゃんに手を引かれる。


 そんな甘酸っぱい高校生活をして、一緒の大学に行って

 京ちゃんが就職して、結婚して、お嫁さんになって

 子供が出来て、いつも料理してあげて、笑顔で行ってらっしゃい何て言う

 そんな生活もあったのかな


 5/10


 ……
 …

 「はーい。

  今日はエビフライでーす」

 「おっ、うまそうじゃん!

  今日は豪華だね」

 「たまには京ちゃんの好きな物作ってあげないと、萎れちゃうでしょ?」

 「萎れないよ!?

  あっ、でも咲の料理食えなかったら萎れるかも」

 「はいはい。

  お世辞はいーからよく噛んで食べてね」

 「いただきまーす!」


 ーーもー、また素直になれないんだから

 素直になれない自分が嫌になる。

 もう中学生からの付き合いともなると、そんな乙女のような反応をするのは無理なのかなぁ。

 思い切って結婚の話、してみよーかな。

 でも拒絶された時が怖いし、それで家の中がギスギスするのも嫌だ。

 そうなると、やっぱり今日もいつもと変わらない。

 見たくないものに蓋をして、また明日が来るのをじっと待つ。

 そーいえば最近忙しいからって夜もご無沙汰だし……。


 うー、もー、京ちゃんのばか


 ジト目で京太郎を見つめていると、京太郎が挙動不審にこちらを見返してきた。

 なにやら落ち着きがなさそうにこちらを見ている。


 「なに、どーしたの?」

 「あー、その、な?」

 「今更言いづらいこともないでしょー」

 「今更だから言いづらいんだけどさ……」


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              「<l|  `  .__/_        結婚、するか」
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     ヽ|ヽヽ.                      !:::ハ| ヽl    「……っ!?」
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 「えっ、その、どーいうこと……?」

 「どーいうって言われても……。

  やっと結婚式するお金作れたし、プロポーズのつもりなんけど……」

 「お、お金!?

  お金なら私がいっぱい稼いでるのに、今までそんなこと言ってなかったじゃん!」

 「いや、ほら、やっぱり自分の稼いだお金で式挙げたいし指輪買ってやりたいし」

 「えっ、パートのお金で買ったの?」

 「家計に入れないでヘソクリにしてな……。

  やっぱり時間かかっちゃったけど」

 「……時間かけすぎだよ、ばかぁ!」

 「バカって……」

 「ばかだよ!

  ありえないくらいばか!

  そんなことしなくても、二人のお金から出してくれればいいのに」

 「いや、咲のお金で指輪を買って式を開くのは男のプライドが……」

 「私の仕事だって京ちゃんがいないと回らないんだから京ちゃんのお金だもん!

  ばかぁ!」

 「そんなバカバカ言うことないだろ!

  それで、返事はどーなんだよっ」

 「……やっぱり、京ちゃんはばか」


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    八:{、:、__ \:lヽ  Vり         ヒり/:イ:/: :|
      `\}、: 、    /:/:/:/:/:/:/:/:/ ム:/:人: :{
     , --r--,\ ,-- 、_____  人: /  \〉   「し、しばらくは新婚だからいちゃいちゃするんだからねっ」
      /  |::| |::::::>  ____ソイ⌒∨
    {   ,::, {::::::::::::∧-,  r/:::::://|   }
    |   \、\::::::::::∨- /:::::://:/

    |     { 、、\:::::::∨/::::://:∧    |
    |     | \__>、_}'__>´/}   |
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           /´               |     \
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            ///    /   |     |l |  :       ヽ
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          / イ / // : l  |    ' / !  从 |  :   :.
         .'/  ' ' /-|-{ {  |  /}/  | / } }  |    .
         }'  / |Ⅵ { 从  '  ,     }/ /イ   }     .
           / イ | l{   { ∨/      '    }   ∧ :   :.
          ´  | {|从三三 /   三三三 /  /--、| ∧{
                {从 |     ,            ムイ r 、 }} /} \
               |                ノ ' }/イ/
                {               _,ノ     「ーーーーーーッ!!」
                   人       _,..::ァ       r }/
                     `     ゝ - '   イ   |/
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 「いっつもそうやって、私の言うこと聞かないで勝手に決めちゃうんだから」

 「お、男のプライドって奴だよ。

  それに咲だって結婚雑誌置いたりとか芸能人の結婚ニュースとか言ってきてたじゃん」

 「そーだっけ。

  しーらない」

 「こ、こいつ……」

 「もう遅いもん。

  返品不可だもん」

 「いや、返品はしないから」

 「えへへ、じゃあ私はこれから須賀咲だね」

 「お、おう。

  登録名とか変えないとな」

 「京ちゃん、ありがとう」

 「いや、俺こそ待たせてごめん」

 「ほんとだよっ。

  もしかしてパートってそのためにやってたの?」

 「……うぐっ」

 「ばか。ばーか」

 「う、うるさいな。

  いーんだよ。結婚関連は全部俺がお金出すからっ」

 「私、お金より愛が欲しいなー」

 「愛って?」

 「うーん、そーだね。

  まずは……」


                  _........----......._
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             {: / : | : ィ´}//イ /}: / / }/`ヽ:イ: : ': : : : :
          〉,: :, {: : | ,ィ斧汽 /´ ィ斧汽、} : /:|\: : |

          {八:{ \:{とヒこソ       ヒこソっ: イ: :|  \}
          |   乂ム     :.:.:.:.:.:.:.、:.:.:.:  ムイl: /
             从{∧     _   _     人:∧{     「子供が欲しい、なー」
              |/ >:../^} /⌒l、` .イ }:./ リ

                ___/-'-'-- 、/〉「-、/ '
          ,.. <:::::::::::::::{======ミ`ヽ|〉::`::::...._
         /⌒\\:::::::/`ヽ:::::::::::∨, {::::::::::::::::::>-、

          {==、 {:\/   〈7 ー、{ ̄|:::::::::::://,ィ^.
            ,   \Ⅵ       /   | ,::::::::/イ:.:./  ∧


 10/10


 ……
 …

 ・公式試合にて


     /: : : : : : : : : : : : ,ィ: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ヽ : : : : : : ヽ
    /: : : :,: : : : : : : : : ://: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ∨: : : : : : : .
 _,. :´: : : : :/: : : : : : : :/:/ ': : : : : : : : : : : : : : : : | : : : : : : : : : ∨: : : : : : :.

 `   ー /: : : : : : :-/:/-|: : : |: : : : : : : : : :|--- 、: : |: : : : : : : :V: : : : : : |
       ': : : : : : : /|/  |: : : |: : : : : : l: : : |、: :|: :`ヽ、: : : : : : :.|: : : : : : :|
     /:,: : : : :,: / {  {∧: {: : : : : 从: : :| \{、: : :|: : : : : : ,: |: : : : : : :|

     ': |: : : :/: |       {从: : : : :'  \{    \: |: : : : : :/: |: : : : : : :
      |: |: : : ': /|    --    \: : |           V: : : : : :': .' : : : : : : |
      {八: : :|:,: :},ィ≠≠ミ     \|  --      从: : : :/}/: : : : : : ,: |
      l  、 : |: V            ィ≠≠ミ、 / |: : : イ/⌒V: : : :/:/
       \|: ,  :.:.:.:.     '             |:/ /⌒} }: : :/}/
         V{                  :.:.:.:.:.  /    ノ 人:,:' /   「今回から須賀咲です!」
         人      __              _ イ:/

           `      乂 ̄   ー‐ァ      イ: :/: : :/
           rrr==≧=- `  --  ´  r_:_´/|イ{: イ
             /|.||...................../ ̄| ̄´   7......`.. ̄ ̄≧=-、
          ,イ |.||.....................{---- 、  /...............///⌒ヽ
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             /:.:.:.:.:./:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:ハ:.:.iヽ.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:',
            .:.:.:.:.:.:.:|:.:.:.:./l:.:.レ'|:.:./  }:.:|  V:.:∧:.:|.:.:.:.:.:.:.:',
            ′:.:.:.:|八: :/ V  ヽ{  レ'   V  }/ヽ: :.:.:.:.:.:.
         i:.:.:.:.:.:.|  V                 i:.:.:.:.:.:.i
         |:.:.:.:.:.:.|/ ̄ ̄ ̄`       ´ ̄ ̄ ̄`ヽ|:.:.:.:.:.:.|
         |:.:.:.:.:.:.|    __       __    |:.:.:.:.:.:.|
         |:.:.:.:.:.:.| 斗ぅ芋ミ       抖ぅ芋ミ.  |:.:.:.:.:.:.|
         |:.:.:.:.:.:.l. {{ rJ●::ハ       rJ●::ハ }}. |:.:.:.:.:.:.|
         |:.:.:.:.:.小  V::::::ソ         V:::::::ソ  ′:.:.:.:.:|
         |:.:.:.:.:.:.| ',                   /.i:.:.:.:.:.:.|
         |:.:.:.:.:.:.ト、} :::::::::::::     '     :::::::::::: 厶:|:.:.:.:.:.:.|    「」
         |:.:.:.:.:.:.|:八               /:.:.:|:.:.:.:.:.:.|
         |:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:\       r‐、       イ:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:.|
         |:.:.:.:.:.:.|:.:.:i:.:.:.:.ゝ、       ィ:.:.:.:.:|:.:.:.:.:|:.:.:.:.:.:.|
         |:i|:.:.:.: |:.:.:|:.:.:.:|:.:.:|   ー    l:.: :i.:.|:.:.:.:.:|:.:.:.:.:.:.|
         |八:.:.:八: l:.:|:.:|:.:.:l         |/|:.:l:.:/:. |:.:.:.:.:./
             \:.:.乂人ィ¨ノ        >乂|/|/:.:./V
           ,. -‐ァ{                `¨''┬<_
        rく´ / / \                  /ヽ ヽ¨ヽ、

                  ...::´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:`::..、.  -――┐
           ┌―‐ 、/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:\:.:.:./- 、    /
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         //:.: : ∧ l:}八芹芋ミ  \ァ芋苧ミ |:.:|:.:.:|:.:..:. ||.:.:.:.:.:.|
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        { {:.:.:.:.:.:.:.| l:.:.:.| 乂_ツ      乂__ツ !:.:!ノノ:.: : :||:.:.:.:.:.:|
        { ∨:.:.:.:.:.| l.:.:.:l:. ,,,,   ' _  ,,,  |:.リイ|:.:.:.:.:||:.:.:.:. リ
        {  ∨:.: : :| {\{:.:.、   V  }   ...イ/:l:.|:|:.:.:.:.:||:.:.:.:/     「」
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           |//にニ=- / ∧_}  } : : -{  {   / }__{乙)':.
.             //ノ^ソ ,ノ/ /: : `ー': : : : :`ー`イ  {   {‐┴、) \        /i
.  \------=彡'//: : にソ 乂: : : : : } : : :__  ‐┘ ̄{\,ノ: : : :.   \____彡'
     ̄ ̄ ̄  /:{: 、/´      \: :./⌒´       \ノ: : : : /    ---- ´

 カン!

 最近京咲が足りない。もっと京咲は増えるべき
 だいたいリク消化したから霞さんに戻る


 1/10

 【こんなの絶対おかしいよ】-新訳:京霞次元5-


 「そ、その……初美ちゃん」

 「なんですかー?」

 「今日は私一人で行こうと思うの」

 「……!?

  ほ、本気ですかー!?

  いや、一人で行くのが普通なんですけど! 大丈夫なんですか!?」

 「ううっ、私だって二人きりになりたいし、初美ちゃんに頼ってばかりもいけないと思うの」

 「字面だけならすごく真っ当なこと言ってますよー。

  霞ちゃんが言うなら止めませんよー。

  横断幕作って待ってますね」

 「そ、そんな、気が早いわ」

 「『霞ちゃん、恋は初恋だけじゃないですよー。落ち込まないで』って感じの」

 「ダメな方の横断幕なの!?

  始まる前から負けちゃってるの!?」

 「まぁいつも通りからかうのはこれくらいにして、どういう心境の変化ですかー?

  今までは私についてくるようにずっと言っていたじゃないですか」


           ,  ':.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ::::..ヽ
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       l ::::::::l! .辷.ノ      ー.―   ll::::::::::::::.|
          l :::::: l. ,,,    '     '''    'l:.:::::::::: .|  「だってだって、
        l::::::::::l         U   /l:::::::::: .|
.         l::::: :::.l.    ャー‐ッ     /:::l:/::: :.l   一緒に行ったら初美ちゃんに惚れちゃうじゃない!」
         l:::: ::::::>...            イ:::::/ :: ::::::l
.          l:::: :::::::::::::>.....___ <  |:l:/:::: ..::::::'
          l::: .:::::: :::::/:::::l     /:::::::::.:::::: /
.           l::: :::::..:::/{:::::::|    /::::::::.:::::::::/
          l:: .:::.::/ ゝ´ll  /,':::::::::::::::::./> 、
         l: .::::::///  ! / /::::::::::::::: イ./   ヽ
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 2/10


 「(普通の男の人はこんな幼児体型と霞ちゃんのエロボディでこっちを選びませんよー。

  皮肉ですかー?)」

 「初美ちゃんったらいつもしっかり者で、私のミスをフォローしてくれるし。

  男の人にも物怖じせずに話しかけて、京太郎さんもすごく楽しそうだった。

  そんな初美ちゃんに取られちゃうのが怖くて……」

 「(……ま、霞ちゃんなりに不安なんですねー。

  でも現実は非情ですねー。あっちは確実に霞ちゃんのおっぱい見てますよー。

  こんなの絶対おかしいですよー)」

 「料理も出来て、元気が良くて、旦那さんのために何かできるんだもの。

  もう、嫉妬しちゃうわ」

 「私はこのおっぱいと梳いても引っかからない髪の毛の方が羨ましいですよー。

  願ったって手に入らないんですからね、このこの」

 「ちょっ、胸をつつかないで!」

 「そんな乙女な霞ちゃんが見られるなら、ここで待っているのも悪くないですね。

  恋する乙女の第一歩ですよー」

 「うん、私頑張るわ」

 「そんな霞ちゃんにアドバイスを一つ言っておきますね」

 「?」

.        ...:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:\
      /.:.:.:.:/ .:.:.:.:.:.: |.:.:.:.:.:.:.:.:.:\:.:.ヽ

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//   .:.:./ xャ笊ト  \| xャ笊て㍉ .:.:.:.: |.:|   \.:
.      |∨ 〈 r'i:i:ハ     r'i:i:i:iハ }.:.:./.:/|.:|
.      |.:| 小 乂こソ    .乂こソムイヽ.||
.      |.:| .Ⅵ  ,.,.  ′    ,.,.,.,     ノ |.:|   「霞ちゃんは黙ってればポイント高いんですよー」
.      |/ .圦    r        イ¨  |/
.        个    V  ノ   イ
.             ≧。.,_   < {.,_
           -‐   ´j          ̄ ̄\
       /                   \
      ___/   、               __    \ /\
   /{:::/     }                 {\   /   \
.  /.  \   /{              }  \/      \


 3/10


 「……ゑ?」

 「ほら、霞ちゃんって黙ってれば美人じゃないですかー。

  おっぱいも大きいし、黒髪の和服美人、おっぱい大きいし、おっぱい大きいじゃないですかー」

 「私の魅力っておっぱいだけなの!?」

 「ちょっと天然さんなところとかも好ポイントですよー。

  ただ口から吐きでてくる中二発言と喪女発言が全てを台無しにしているだけで」

 「うぐっ」

 「ということで口数を少なくして変なことを言わなければポイント上がるんですよー。

  やっぱりおっぱいは大正義ですねー」

 「そ、そんなにいいものなのかしら……。

  私としてはいくらなんでも困る大きさなんだけれども……」

 「晩年は確実に垂れますねー。

  ドンマイです」

 「やめて!?

  結構気にしてるんだから!」

 「小さい頃は私の方が大きかったのに……。

  どんな魔改造したんですかー」

 「ううっ、知らないわよ……」

 「と言うか、散々エロい妄想を口から吐き出してるのに実際に立場になってみるとダメダメですねー」


 霞はなんだかんだ言いつつ覚悟が決まっていないようだ。

 いつもはドン引きするような妄想を周囲に披露して巴を洗脳してしまっているくらいだ。

 そんな霞も一目惚れしてしまった相手の前では借りてきた猫のようだ。

 全く、乙女心とは面倒臭いなと思う初美であった。


 「……ま、さっき言ったように口数少なめで誤魔化す感じでいきましょう」

 「そ、それだと京太郎さんは楽しんでもらえるかしら?」

 「マイナスよりかはゼロを目指す感じでいいんじゃないですかー?

  須賀君は話題豊富ですから、流れに身を任せればいいと思いますよー」

 「り、リードしてくれるのね。

  わかったわ。霞、大人の女性になります!」

 「だからそれがダメなんですって……」


 とりあえず横断幕は成功バージョンと失敗バージョン、二つ作っておこうと思う初美であった。


 4/10


 ……
 …



               __  /⌒ヽ
                 ⌒\ ∨   ヽ___
              _, ----`      ∨   `ヽ、
           /´               |     \
          / ____    /  l|     | :.     \
            ///    /   |     |l |  :       ヽ
              /  /   //  ,∧    / ,イ  l| :.  .  .
          / イ / // : l  |    ' / !  从 |  :   :.
         .'/  ' ' /-|-{ {  |  /}/  | / } }  |    .
         }'  / |Ⅵ { 从  '  ,     }/ /イ   }     .
           / イ | l{   { ∨/      '    }   ∧ :   :.
          ´  | {|从三三 /   三三三 /  /--、| ∧{
                {从 |     ,            ムイ r 、 }} /} \
               |                ノ ' }/イ/
                {               _,ノ     「お待たせしましたー!」
                   人       _,..::ァ       r }/
                     `     ゝ - '   イ   |/
                        `  ーr  ´  ___|_
                     ___|     |//////|
                   {|___ノ  __|[_]//∧_
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                       -―――-
                        ..::´::::::::::::::::::::::::::::::::::::`::..
                 /:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\

                    //::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.
                / .:::::/::::::::/::::::::::::::::::::|:::::::::::::::::::::::.
                    ′:::|:::l ::::::/ l:::::::: /::::::::ト、:::::::::::|:::::::::.
                 |::::::::|:::|:::::::| _l:::::::::| |:::::::|_ '::::::::::|::::::::::|
                 |::::::::|:::|l::::::l´从 ::::| |:::::/ `l::l::: |::::::::::|
                 |::::::::|::八::::|-  \| l/-- |八::|::::::::::|
                 |::::::::|/斗:ぅ芹    芹ぅ外  リ::::::::::|
                 |::::::::|《 Vhソ     Vhソ 》厶::::::::八
                 ∨::::l:.   ´    ,     `  //::::::/
                 ∨::|:::.  ″            /´::::::/
                 ∨|::::::.、   ー ‐    ..:::::/::/    「カスミデス……」
                    ゙:|::::::介ト ..     .イ:l::::/::/
                   |::::::|::/〈 |  ‐   |/`|:/::::|
                      从:::::|″ ゙,.    //  |:::::: |
                 ´   }::八   ゙,    //   :|:::::: | `  、
             /  / 〈¨¨〉   ゙.___//   |:::::: |  |  \
            /    { /:::7      ∨/    /|:::::: |  |    /,
             /    {/::::/  \  /   /八:::::: \| 〉 / /,
          /    l /:/    } /  /   \:::::::∨     ',


 5/10


 「あっ、今日は石戸さんだけですか?

  薄墨さんはどうしました?」

 「アノ……カスミッテヨンデクダサイ……」

 「え、いいんですか!?

  それじゃ霞さん、今日1日楽しくしちゃいますからねっ!」

 「アト、ソノ……」

 「?」

 「こ、これどー↑ぞ!」

 「……ケータイ?」


 ……
 …

 ・通話

       /::.::.::.::.::.::.::.::.::.::ヽ::.:\
      /::.::./::./::.::.ハ::|::.|::.:|::.:i::.:::.. _ _
   ≦::.:,.........|::/|::.:: | |::|::.|::.:|::.:|::|::.:f::.::.::.::.::≧
  /::.::.j/::.::.::.:|;__jヘハ| j/)/j/jハノ::|::.:|\:\::.\
. /::.//イ/|::.:::Yう心   う心ヽ |/::.:ハ:| ヽ::|\::}

// ./  |八:{:ハ弋zソ   弋zソノ j^V |:| j/  jノ
.   {  |:|   } ,,,  '    ,,,   /  ::|
     |:|  人   r―,    - '  .::|
     |:|    > ...   イ     ::|
     i:{      |   |      乂    『(結局私が説明するんですかー?)』
           イ     \_

       /  :  :. ̄` ´ ̄ ..: :  \
      __,   ::  :...............:  :
    ./V|  ヽ:          :ヽ   |__
    〈  \ |::          :./|__|_/|
    |\  \__       / ̄ ̄___/|
    |  \   |     ./  /T      |
    \  ハ  |     /  / |   / | /


 6/10


 ……
 …

 『あー、いきなりすみません。

  私は所用で行けなくなってしまったので……』

 「そうなんですか。

  残念だなァ」

 『その代わりそこにいる霞ちゃんを好きにしていいですよー』

 「す、好きにって……」

 『かなり重度のシャイっ子ですけど、内心楽しんでるはずなんで好き勝手連れ回してください』

 「了解っス。

  薄墨さんもよければ今度遊びましょう!」

 『おっ、それは楽しみですねー。

  まぁひとまずは霞ちゃんのことを見てあげてくださいねー。

  すごく面倒臭いけど根はいい子ですから』

 「?

  はい。それは勿論です」

 『じゃあそろそろ霞ちゃんが面倒臭いモードに入ってると思うんで切りますねー』

 「はい?

  とりあえず、また今度」


 ……
 …

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::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ト、:::::::\::::::::::.
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::::::::l:::|::: /::::::::: /:::::l::::::::: |::|   ‘::|:::::::::::::|
::::::::l:::|::/ l/: /::::/:l::::::::: |::l __,  ‘|:::::::::::::|
::::::::l:::l::l'´|:::::/::::/ |:::::: /l/ ´ ,,____|:::::::::::::|  ←面倒臭いモード
::l:::::l:::l::l l: /l:::/  :|::/ ,x≦斧⌒|:::::::::::::|

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 …
 ……


 7/10


 「もしかして、学校自体が忙しかったりしました?」

 「イエ、ソンナコトナイデス」

 「良かったァー。

  てっきり、忙しいのに無理させちゃったかと思いました!」

 「……ヘァッ!」

 「(なんか初めて会った時の咲みたいな感じだなァ。

  前にあった時と随分イメージ違うぞ?)」

 「アノ……コレ……」

 「ん?」


 霞はしどろもどろになりながらもバッグからお弁当箱を取り出す。

 結局、キッチンもないのでロクなものは作れなかったが最近のお惣菜は悪くない。


 「あのっ!

  設備もなくて、あんまり美味しくないかもしれませんが!」

 「本当に作ってくれたんですか!?

  いやー、ああ言われたけれどキッチンもないから無理かなァと思ってました!」

 「我が力を以てすれば……ジャナイ。

  ホトンドオソウザイデスケド……」

 「それでも女の子にお弁当を作ってきてもらうってのは男の夢なんですよっ!

  それもこんな美人さんに作ってもらえるなんて思わなかった!

  財布拾っただけなのにこんなに幸せな思いができるなんて!

  雑用頑張ってて良かったァー!」


 そんなに喜ばれてしまえばなおさらお惣菜と冷凍食品の詰め合わせなことが心苦しくなる。

 霞は今度母親や巴に料理を習おうと決意した。


 8/10


 「(それにしても、初美ちゃんの作戦通りね)」


 昨日こそ『そういうキャラで突っ走ろう』と思ったが、寡黙な黒髪美人キャラ(※本人のイメージです)で通すのも悪くない。

 相変わらずちゃんと喋れてはいないのだが、ちゃんと聞き取ってくれる京太郎に胸がときめく。

 それでも喋ろうとすれば変な言葉が出てしまうから注意しなければならない。


 「(もっといっぱいお話ししてみたいけれど、まずは悪印象を与えないようにしないと。

  それに、もし仲良くなれたら是非文通から……!)」


 触手だのハイエースだの言っているが、いざ自分の身に降りかかればそうも言ってられない。


 「(今日の私は『奥ゆかしくておっとりしている石戸霞』よっ!)」


 初美の作戦がうまくいったせいか、だんだん調子に乗ってきているようだ。


 「(でも、会話を少なくしてどうやって仲良くなったらいいのかしら?)」


 変に喋らなすぎると『つまらない』と思われるかもしれない。

 『楽しんでいない』と思われるかもしれない。

 そしてなるべく早く仲良くならなければインターハイが終わってしまう。

 そうなれば彼は長野に帰ってしまうし、霞もまた実家に帰ってしまう。

 それは非常に困る。


 「(なんとか今日中に仲良くなって、そ、即ハボとは言わないけれど文通くらい……)」


 考えれば考えるだけどんどん迷ってくる。

 隣で京太郎が声をかけてくれているが、どうも上手く返事ができない。


 「霞さん?」

 「ハイ」

 「それじゃ、昼までの時間潰しにゲーセンでも行きますか?」

 「ゼヒ」

 「じゃ、出発!」

 「アノ、チョット……」


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 ・トイレ


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 カン!

 はやりんとハルちゃんはダメンズに弱そう
 シノチャーはきっと全次元でドイツ


 1/10

 【あたしって、ほんとバカ】-新訳:京霞次元6-


 出会って笑いかけたら胸を揉まれてラブホテルに直行!

 しかしこれは健全スレです。R-18はありません。


 ーーなーんて、もちろんラブホテルに直行なんてことはなく、京太郎さんは紳士的にエスコートしてくれました!

 初美ちゃんにアドバイスを求めたところ『黙って微笑みかけてればOKです。喋るな!』と言われました。

 なので我ながら一生懸命頑張って笑いかけていると、京太郎さんも楽しそうにしてくれています。

 ああ! やっぱり優しい人だわ!

 巴ちゃんの前調査通りね!


 「それでまぁ俺に出来ることをしようと思って雑用なんかやってるんですが、役に立ててるか不安なんですよ」

 「ダイジョウブデスヨ」

 「そうですか?

  そう言ってもらえると嬉しいです!

  うちにタコス好きがいるんで、今度タコスを作れるようになろうかなって考えてるんですよー」

 「ワタシガタベマス」

 「えっ、食べてくれるんですか?

  でもまだ練習中なんで、恥ずかしいなって……。

  料理なんてしたことないんで、酷いと思うんですよね」

 「!」

 「そうですね。

  霞さんみたいに料理がうまければいいんですけど」


 ごめんなさい! 初美ちゃんパワーを借りて作りました!

 でもでも、今度までに作れるようになればノーカンよね?

 ところで京太郎さん、私が表情しか変えてないのになんで伝わるのかしら?

 ハッ、これが噂の綾波系女子!?

 ふふっ、私も一時代を築くヒロインになってしまうのね……。


 2/10


 でもちょっと待って?

 巴ちゃんのサーチによると、清澄にいる男子部員は京太郎さん一人。

 その京太郎さんが誰のためにタコスを作るのか?

 巴ちゃん調べによると、タコス好きな女の子がいるって話ね。

 どうやら京太郎さんはその子のことをなんやかんや思いつつもお世話してあげているだとかなんとか。


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 好きな人が別の女の子のために料理を勉強するなんて、嫉妬しちゃうわ。

 もし私がそんなことをされたら犬みたいに尻尾を振って喜んじゃうのに。


 ーーハッ!?

 もしかしてこれは犬みたいに尻尾を振って媚を売れっていう京太郎さんのメッセージかしら!?

 そうよね。犬って言ったら雌犬のことよね(偏見)

 雌犬がご主人様に尻尾を振ってオネダリするなんて当たり前よね?

 それに巫女って言ったら雌犬調教よね!?(偏見)

 巫女拘束雌犬調教が好きなんて、さすが京太郎さん。

 いや、待って?

 もしかしたら犬じゃなくて猫かもしれないわ。

 犬耳より猫耳の方がメジャーなジャンルよね?(偏見)

 ああ、どうしましょう。これで京太郎さんが猫派だったら!

 くっ、ここは賭けに出るしかないわね。


 3/10


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 ーー違った?


 4/10


 「霞さんって猫好きなんですか?」

 「あっ、いえ、そういうわけでは……」

 「そうなんですか・

  俺、動物好きなんで猫も好きなんですよ」

 「今好きになりました!

  生まれた時から猫好きです!!」

 「は、はぁ……。

  実はですねー、俺って家にカピバラ飼ってるんですよ」

 「……えっ?」

 「あの動物園にいるやつですねー。

  結構自慢なんですよっ。これがもー可愛くて可愛くてっ」

 「(ふふっ、興奮する京太郎さんかわいいわ……。

  ヨダレでそう……)」

 「だから他の動物なんかも好きなんですよー。

  犬とか猫とか飼ってる人とは話が弾んじゃって」

 「(実家に帰ったら両親にペットを飼っていいか聞いてみるわ)」

 「えっと、何が言いたいかっていうと……。

  その、さっきの猫の鳴き真似、可愛かったなぁって……」

 「!!!?!?!?」


 ちょっ、ちょっと待って!?

 ここでかわいいって言われるなんて予想外よ!

 あああぁぁぁぁ首筋を掻きながら視線を逸らす京太郎さんご馳走様です!!


 でも本当、好きな人にかわいいって言われるのがこんなに嬉しいだなんて思わなかった。

 胸がドキッとして、頬のニヤけが止まらない。

 手でニヤけたのを隠すけれど、バレていないだろうか?

 ううん、きっとバレているわ。

 これだけ察しのいい京太郎さんだもの。きっとバレちゃっているわね。

 な、なんとか誤魔化せないかしら……。


 ーーっ! アレは!


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 京太郎さんの袖をあざとく引っ張って、指差した先はゲームセンター。

 ……の中にあるプリクラコーナーだ。

 実は夢見ていた普通の女子高生の日常。

 別に禁止されているわけではないけれど、やっぱり外に出てゲームセンターに行くなんてしたことはない。

 小さい頃から初美ちゃんと遊んでいる時は家でゲームもしていたが、普通の女子高生らしい毎日は送らなかった。


 「おも、思い出に」

 「いいですね!

  ぜひ撮りましょう!」

 「!」

 「あっ、プリクラって慣れてますか?

  俺、あんまり撮ったことなくて」

 「むっ」


 プリクラコーナーは男子禁制だ。

 正確に言えば、カップル以外で男子が入ることを禁止している。

 つまり京太郎さんは私以外の女の子とプリクラコーナーに来たことがあると言うことで……。


 「むすっ」

 「あ、あの、霞さん?」

 「……」ムスー

 「(やっべ、なんかしちゃったか?)」


 とりあえずムスッとした顔をしてみたら京太郎さんが困った顔をしてくれた。

 さっきまでリードしてくれた京太郎さんが困っているのを見るのはなんだか新鮮で、思わず笑ってしまう。


 「~♪」

 「(あれ、機嫌なおした?)」


 今度は機嫌が直って、京太郎さんがホッとしているみたい。

 こんなにコロコロと表情が変わるなんて初めてよ。

 いつもはもっと温和でニコニコしていた気がする(自己申告)

 京太郎さんといると新しい発見が多くて、なんだか幸せね。


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 「えっと、フレームはこれで……?

  あっ、制限時間が数秒しかないのかこれ!?」

 「!?」

 「か、勝手に決まっちゃった……。

  って次のもほとんど時間がないぞ!

  えっと、霞さん好きなのありますか?」

 「えっとえっと……(わ、わからないわ)」

 「あー、とりあえずこれで?

  なんか選ぶの多いな。

  美白? いや普通でいいよな、どうしたらいいんだ?」

 「ふ、ふつうで……」

 「よし、普通で……。

  えっ、もう一枚目撮るの?

  ちょっ、制限時間5秒ってちょっと待って」

 「あっ、あー!」

 「あっ……。

  って二枚目もう撮るの!?

  ああ……」

 「ううっ」

 「(これじゃまずいよな)

  霞さん、失礼しますっ」

 「ぇぁっ?」


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     ̄  //!  ! Nヽ!\|,//l/ l/! N ,ハ !|
       ´ / ,i丶 {=== l/ == =l/ ' ノ リ

        // l i `i           _/,、/    「どうだっ」

        ´   {ハ!ヽ{    ′      /!}/ ′
              丶  ー ―‐ '  / |′
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 強引に引き寄せられて、肩を詰めてカメラの中に収まって

 今まで経験したことがないくらい顔が近くて、京太郎さんの匂いすら感じられる

 外は暑いし、さっきまで汗をかいていたことを思い出したりして、少し離れたくなる

 でもこの距離を離すのがすごく惜しくて、京太郎さんの横顔を見てしまう

 強引にだったけれど、そんな強引さが格好良くて

 ああ、惚れた者負けって言葉はこういうときに使うんだなって思ったの


 9/10


 ……
 …

 「す、すみません。

  ちょっと時間がなかったから」

 「い、いえ、大丈夫よ」

 「よかったぁー」


 あれから少しの間、二人とも顔を真っ赤にして言葉にならなかった。

 でも写真が完成して落書きをする時間になればそうも言ってられない。

 なんだかんだで二人で落書きしているうちに、さっきまでの恥ずかしさは消えていった。

 思い切って初美ちゃんとしているみたいにおふざけの落書きをしていたら京太郎さんも笑ってくれた。


 ーー気づいたら、声のドモリも消えていた


 そういえば、初美ちゃん達や両親と話すときは大丈夫なんだから、あれは人見知りしているだけなのかもしれない。

 落書きして、現像して、こっそりスマホに貼り付けて。

 なんだか恋人みたいだな、と照れてしまう。


 「そ、それじゃ次の場所行きましょうか!」

 「ええ、そうね」


 最初とは違い、一生懸命笑うんじゃなくて自然に微笑めた気がする。

 初美ちゃんが言っていたのはこういうことだったんだなってわかったわ。

 今まで京太郎さんに抱いていた思いはきっと憧れが強かったんだと思うの。

 男の子と話したことがない私も、人並みの恋愛がしてみたいという夢。

 でも、こうしてたくさん喋ってみてわかる。

 本当にこの人が好きになってしまったんだなって。


 「あっ、霞ちゃんいました!」

 「ーーえっ?」


 でも、『変わった』なんて思えたのは自分だけ。


 ーー恐怖というものは、思いもよらぬ過去からやってくる

 過去は、バラバラにしてやっても石の下から、ミミズのように這い出てくる


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      |:::::::::::rヘ:{  .ィ竿弐  |/ ィ竓ミx ':::::::::::|
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      |ト、::::::::: 、    ̄        `¨゚  ':::::::::/:/
       \{、::::`ヽ /i/i    '   /i/i':::::/}/    「霞ちゃんの好きなBL本を見つけてきました!」

          >==>、    _ _    . イ/
     -= ニ::::::::::/ { ` .    . イ`'く::`ー=-_
   .ィ´:::::::::::_ イ {  ヾ 、`¨ァf´Y⌒T´\:::::::::-==-

  /::::::::-=     、  ヽ\ .//  |     \:::::::::::ミ、
. /:::::ィ´          、  \//   .l      \:::::::::::ヽ
// .ノ            \  ゙/   .l     /  \::::::::i
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 私って、ほんとバカ


 カン!

 わざわざ久しぶりにコミケ行って京霞分と京淡分を補給したから頑張る。お布施お布施

 グラビティクロチャー→自分からアクションは起こさずニコニコ待ってる
 グラビティシノチャー→気づいたら詰み状況になっててドイツする(動詞)

そういや外堀埋めていったキャラって今のところいなかったのか? 姪だから、と思考停止しているリチャと腹黒シノちゃんとか想像するだけでご飯三杯はいける


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 【もう誰にも頼らない】-新訳:京霞次元7-


 「こ、小蒔ちゃん?」

 「霞ちゃんの大好きな『ハンドボールの王子様』の推しカプですよ!

  霞ちゃんのために探してきました!」フンス

 「やめてぇぇぇーーー!

  カメラ止めてぇぇぇーーー!!」

 「?」


 何かが壊れる音がした。

 全ては自業自得だ。

 私が姫様に最近の推しを勧めようとした時、お爺様やお婆様にこっぴどく叱られた時の話。

 そう、あの時に私と巴ちゃんは結託して『第二の矢』作戦を始動していたの。

 私が叱られているうちに巴ちゃんが姫様に当たる、そんな作戦。

 ちなみにただ単にネーミングが格好いいからやっただけなの……。悪気はなかったの……。

 それに私は乙女ゲーを勧めるだけのつもりだったのに巴ちゃんが勝手に……。

 結果、姫様は神代の誇る『辛口BL評論家』として有名になっていったの……。

 でもそれは過去のこと、まさかこのタイミングで姫様が来るなんて……。

 ああ、巴ちゃんと秋葉原に行くって言っていたけどまさかこんなことになるなんて!

 せめて明日なら、明日ならデートは関係なかったのに!

 明日なら私も推しカプに存分に萌え……コホン。

 BLが嫌いな女子校生なんていません!(逆ギレ)

 大なり小なり女子校で育てばそういうものに憧れるものよ!(逆ギレ)

 女子校が清らかなものとかありえないわ!!


 「ひ、姫様ー?

  私が代わりに話し相手になりますから、今の霞ちゃんは放っておいてあげてくださいねー」

 「?

  よくわからないけど分かりました!

  ついにBLの良さをわかってくれるんですね!?!!!?」

 「い、いや私は……、ぐぬぬ……。

  わ、わかりましたよー。今日だけは姫様の話を聞いてあげますから、霞ちゃんだけは勘弁してくださいねー」

 「大丈夫です!!!!!

  最初は怖いと思うますがすぐに楽しくなりますから!!!!」

 「(うぐぐぐぐ……。霞ちゃん、もうちょっとフォローしてあげたいですけど私はここまでのようです。

  あとは自力でなんとかしてくださいね……)」

 「霞ちゃん!

  R-18モノもたくさん買いましたからね!!」

 「姫様黙ってくださいねー!?

  っていうか未成年ですよー!」

 「神様は何百年も生きてますから!」フンス


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 ……
 …

 嵐のようにやってきて、嵐のように去っていった。

 なぜ初美ちゃんが近くにいてくれたのかとか、迅速に対応してくれた喜びとかは感じられない。

 ただ、先ほどまでの『普通の女子高生』としての乙女心はどこかに吹き飛んでしまったわ。

 今はただ、後悔だけ。

 なんでこんなことになったのかとか、なんでこのタイミングなんだとか、色々な感情が渦巻く。

 デートをぶち壊すように乱入してきた姫様を責めたくなるが、そもそもそういう趣味に誘い込んだのは私と巴ちゃん。

 全ての因果は巡って自分の元に帰ってきただけだ。


 自然と涙が溢れてきた。

 すごく楽しいデートだったのに、なんだか全てぶち壊し。

 ええ、きっと京太郎さんはドン引きしてるに違いないわ。

 だって、私だったらこんな女の子嫌だもの。

 純情で世間知らずで胸が大きくてちょっと天然な、そんな女の子の方がいいに決まっている。

 でも、それにしてもこんな終わり方はあんまりよ。

 神様、神様、どうしてーー


                     ____
               ,. ´ __    `¨¨ヽ

            ,   ̄`  /  ヽ       `ヽ
           /  _     ,:   ∨   、    :.
          / /,´      /    |    ヽ     .
       / //'  ' /  ' /   l| | :  :  ∨   :
       l// / , / ' l| | |     | | |  |   |   |
     _/ ィ / { l |__|_{ |∧   }/ ' / l  |   ∧
      ̄  {〃  Ⅵィ斧从 } /-}/-/、 , /-、 ∧}
          / ,  从 Vり ∨イ ,イ斧ミ、}/ /⌒ } | '
           / イ从 l ム        Vり ム'  ノ/}'
         ´    \∧  '        ,r ' /      「『ハンドボールの王子様』、俺も読んでましたよ」
               、  v   ァ    / 从/
                     \ `こ     イ  _|、
                  ` r  ´   //∧
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                 ∨::|:::.  ″        U   /´::::::/
                 ∨|::::::.、   ー ‐    ..:::::/::/    「……えっ?」
                    ゙:|::::::介ト ..     .イ:l::::/::/
                   |::::::|::/〈 |  ‐   |/`|:/::::|
                      从:::::|″ ゙,.    //  |:::::: |
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 3/10


 「だって世代じゃないですか。

  アレのせいで中学校はハンドボール部に入る人が続出したんですよ」

 「えっ?」

 「あっ、俺ってハンドボール部だったんですけどね。

  やっぱりアレに憧れて入った感じで、まぁ今は辞めちゃったんですけど」

 「あの、その……」

 「?」

 「その、引かない、の?」

 「何がですか?」

 「だってあんな事大声で言われて……。

  私、そういう趣味なのよ?」

 「別にいいんじゃないですか?

  男がエロ本持ってるようなものですよね?」

 「えっ、そうなの?」

 「それに、何というか……。

  霞さんは恥ずかしがってたじゃないですか。

  ちゃんとTPOを弁えてればいいと思いますし、それに……」


             ___/ ̄ ̄\_
         ,  ´        <⌒
        ,:'            `ヽ、
       ,                \_
                      \ } ̄´
        '              ,  \
      / ,          |/} ∧ }`ー`

       {∧         「ノ|/}/イ
      '  、       | /`/ } '      「俺の知り合いより、よっぽど健全な趣味だから……」
         } ∧     /イ   /
         |' ,} \__/イ__ /
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 4/10


 ……
 …



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   , : : : ||: : /!: / ∨|: :|i: :|::| : : |i: :|

.   ′: : :|: : :/ |/     |: ::八人| : : |i: :
.  ,: : : : : :|: Ⅵ斗ぅ气ト ムイ≫冬ト: :从/
  ′:: : : ::|: : | 乂rツ    ヒrツ.ムイ: ::|

  .: : : : : ::|: : |  ,.,.,.    、 ,.,. .′:: ::|   「私の変態発言は綿密な計算の元です。
 ,:: : : : : : ::|: : |      、 ,    , : :|: : :|
./:: : : : : : :::|: : |: :} iト       イ: : :|: : :|    あえて変態発言を繰り返すことによって咲さんとゆーきをドン引きさせます。
:: : : : : : : ::|: : |::j{   うr≦: : : |: : | : |

::: : : : : :/|: : |:\   {`ヽ〕iト ..,,__|: : :|    これにより須賀君から咲さんを引き剥がします」
: : : : /i:i:i|: : |:i:i:i:\    }:i:i:i:i:i:i:i:i|: : :|



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  ヾi 、:.\:.:\:.]〈  っ::::;:i    ̄`            _,∠|:|: : : : .:|:.|―-
    ヽ!:.i、`゙ー-r≧   >≠    ,      " "   /  |:! : : : :.:|:.!////  「そして引き剥がした後に乙女のどっちに戻ります。
     |:.|:.:.:.:.:.:.:\!  ,, ,,                /   i!: : : : : ::i:.i////
     |:.|: : : : :.:.:.i i       r== "ヽ      /   i: : : : : :.:i:.|////   これによって須賀君はギャップでコロッといきます。
     | |: : : : : :.:i:.:|\     ∨__ノ)   /    /: : : : : :.:i.:|////
     |:| : : : : :.:.|:イ |:::|l`ー-..、    ̄ ̄   /     / : : : : : :.:|/////   これがデジタル恋愛計算式です!」
      |.|: : : : : :.:|:∧ i:.:!i::::::::::::::`i ー-‐ '    ,..-‐:/: : : : : : :.:.i!/////


 …
 ……


 5/10


 「そ、その、ほんとに?」

 「そりゃ、俺だって霞さんに隠し事の一つや二つ……。

  言えないことだってありますよ」

 「でも、でも!

  そんなの信じられないわ!」

 「えー……。

  あー、そのー……」


            _,...---、_,.、

           / : /: : / : : ヽー-、
            /. : :, !: iハ!/メ、.i | \
            イ : :{ ヽN  'i:!/!人iヽi
         _1: : :i(    _ 丶:\
        /   `Yリヽ   '、_)'´!`ー`
      /:::..     |  ,. _/         「俺、おっぱいが大好きですっ!」
.      /.::、::    ト、ィ'
      / ::::::|::    !;-!
    /  ::::|::     ! ヽ、        ,:-‐クヽ
    /    ::!::..   ⊥__!_      /  ..:ノ)
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         l:::: ::::::>...            イ:::::/ :: ::::::l
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 6/10


 「実は財布届けた時にこんな美人とお知り合いになれてラッキーって思いました!」

 「!!?」

 「正直好みのタイプど真ん中です!

  年上の美人で綺麗で華麗でお淑やかなお姉さん、サイコーです!!」

 「ぇぁっ!?」

 「誘ってもらえてマジで喜びました!

  ちょっとキザなセリフ回しは割といつものことなんですスミマセン!

  でも今日の静かに後ろをついてきてくれる霞さん超かわいかったです!

  袖を引っ張られた時とか本当可愛くて可愛くて!」

 「ちょっ、待って、待ってぇー!」


 京太郎さんの怒涛の告白に耐えきれなくなって思い切って京太郎さんに飛びかかる。

 身長差がある上に体格もしっかりしている京太郎さんは私を支えてくれる。

 でもこれ以上言葉が飛び出てこないように無理やり口を掌で抑えたの。


 「むぐっ」

 「待って、恥ずかしくて死んじゃう……」

 「むぐぐっ」

 「?」

 「胸が……」

 「……はっ!?」


 無理やり飛びかかるような格好になっていたから京太郎さんに胸を押し付けていたことに気づいた。

 普段ならこれで誘惑だーなどと考えているところだけれど、なんだか気恥ずかしくて離れてしまう。

 それと同時に京太郎さんのがっしりとした肉体と男の子の匂いまで離れてしまって、ちょっと寂しくなる。

 ううっ、これも全部京太郎さんのせいよ……。


 「スミマセン……。

  男は下心で動いてるんです……」

 「もう!

  いきなり何を言うの!」

 「あの、霞さんもそんなに気にしないで欲しいなって思って。

  友達ですから、BL好きでも気にしませんよ」

 「ぁぅ……」


 そんなこと言われても、全く格好良くないわ。

 ええ、もっとロマンチックな形を期待していたけれど。

 年下の彼なりに必死に私を励ましてくれていることが伝わってくる。

 それがなんだかかわいらしくて、ああ、やっぱり年下なんだなぁって思わされた。


 7/10


 「ドン引きしました?」

 「ええ、そうね……」

 「ううっ」

 「で、でも」

 「?」

 「と、友達だから、平気よっ」


 さっきまで京太郎さんが言ってくれたことを繰り返す。

 変なところがあっても、友達だから大丈夫。

 ふふっ、そういえばこんな私でもずっと一緒にいてくれた友達がいたわ。

 初美ちゃんはずっと助けてくれたもの。


 「良かった!

  友達!」

 「ええ、友達よ」


 ほ、本当は友達の一つ上くらいにはランクアップしたいんだけれども……。

 一つランクアップして即ハメでもセフレでも恋人でもお嫁さんでも肉奴隷でもいいんだけれども……。

 でも、今は友達になれただけで十分よね!?

 そもそもまだ会って三日目だもの。焦る必要はないわ!


 「それじゃあ、デートの続きをしましょう!」

 「え、ええ」

 「なんだか時間もいい感じになったし、霞さんに作ってもらったご飯を食べますか」

 「!?」

 「本当、キッチンもない中で無茶言ってゴメンなさい」

 「い、いいえ……」


 私から言ったことですし……。

 そ、その、私がほとんど作ってないことに関しては……。

 と、友達にだって秘密はあるわよ、ね?

 次までには作れるようにならないと!


 8/10


 ……
 …

 「そんなこんなで、メールアドレスを貰ったわ!」

 「良かったじゃないですかー。

  私はもうボロボロですよー」


 一日中遊んで、ちょっといい雰囲気にもなりながらようやくアドレス交換。

 京太郎さんにお弁当の器を返してもらって、スキップしそうな心持ちの中ホテルに帰宅する。

 するとそこには姫様の英才教育を受けた初美ちゃんが倒れていた。


 「そ、その、初美ちゃん。

  染まっちゃった?」

 「染まるわけないですよー!

  でも地獄でした……。

  なんで男と男がくっついて妊娠してるんですかー。

  私には理解できませんよー……」

 「そ、そこまで行っちゃうと私にも理解できないわ」


 私はあくまで男性同士の友情が好きなだけだから……。

 小蒔ちゃんの世界まで行っちゃうと私にも理解不能よ。

 いや、全部私がいけないんだけれども。

 ごめんなさい。反省してるわ。


 「霞ちゃんは中二病、巴ちゃんは乙女ゲーマスターで姫様は辛口BL評論家、はるるは黒糖を男性器に見立てて咥えてますし。

  永水にまともなのは私だけですかー!?」

 「いや、初美ちゃんも格好がまともじゃないと思うわ」

 「霞ちゃんだけには言われたくないですよー!

  私のこれはストレス発散なんです!!」

 「その、初美ちゃん。

  いつもありがとうございます」

 「?

  いきなりなんですか?」

 「これまで、すごくいっぱい迷惑かけてきたから。

  そのお礼よ」

 「やーっとわかってくれましたか。

  これで私も一安心ですよー」


 そう言いながら初美ちゃんはプイッと顔を逸らす。

 ふふっ、この動作は初美ちゃんが照れている証拠。

 幼馴染なんだから、それくらい私にだってわかるわ。

 でも、初美ちゃんに頼ってばかりはいられないわ。

 京太郎さんのことは、自分でなんとかしていかないといけない。


 9/10


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        ‘:::::::::::::::::|:::::|              ′:::::::::::;   「もう一人で大丈夫よ。
        ‘:::::::::::::::|:::::|\       、 _,     .イ::::::::::::::/
        ‘:::::::::::::|:::::|:::::l` .        . イ::::|::::::::::::/    私なりに頑張って、京太郎さんと距離を縮めて行くわ!」
.           ‘:::::::::::|:::::|:::r|   `  ┬=≦l |:::::|:::::::: /
          \::八::::|:∧\     l| |\ノ |:::::|:::::::::|
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            /  \:::::::∧\\ l| |   八:: |:::::::::ト、
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       /::.::.::.::.::.::.::.::.::.::ヽ::.:\
      /::.::./::./::.::.ハ::|::.|::.:|::.:i::.:::.. _ _
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. /::.//イ/|::.:::Yう心   う心ヽ |/::.:ハ:| ヽ::|\::}

// ./  |八:{:ハ弋zソ   弋zソノ j^V |:| j/  jノ
.   {  |:|   } ,,,  '    ,,,   /  ::|
     |:|  人   r―,    - '  .::|      「そーしてくれると助かりますよー。
     |:|    > ...   イ     ::|
     i:{      |   |      乂       頑張って彼好みの女性になってくださいねー」
           イ     \_

       /  :  :. ̄` ´ ̄ ..: :  \
      __,   ::  :...............:  :
    ./V|  ヽ:          :ヽ   |__
    〈  \ |::          :./|__|_/|
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    |  \   |     ./  /T      |
    \  ハ  |     /  / |   / | /




 ーーん?

 ーー京太郎さん好みの、女性?


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   |:::::::::::‘:::::::::::::::::::::|::|       ` ´    イ:::_:_:__::::::::八    「は、初美ちゃん。
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     //   ./:/    |\`∧    厂     `Y  人     |
.    /´    l:/    从: l ̄    〈__   -‐┘       |    「もう一人で大丈夫なんじゃなかったんですかー!?」
            |      ‘:l    ≧=-  __  -=≦
                    |       |    ∨
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 カン!

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 【わたしの、最高の友達】-新訳:京霞次元エピローグ-


 長く苦しい、戦いは終わった。

 姫様の秋葉原観光……もといインターハイも無事に終了し、地元に帰った。

 結局、霞は東京にいる間は京太郎にアピールを繰り返しまともに引率をしていなかった。

 だがその代わりに巴がしっかり夏コミ、もといインターハイを引率したから問題ないだろう。

 そしてそれから数ヶ月ーー


 「初美ちゃん!

  昨日も京太郎さんとお話ししたんだけれど」

 「いや、知りませんから。

  好きに話してくださいよー。

  いちいち経過報告なんていりませんから」

 「そ、そんなこと言わないで」


 霞は無事に京太郎とメールや通話を繰り返していた。

 初美としては驚くことに、最近の霞は非常におとなしい。

 今までのことが嘘のように実家の家事を行い、変な発言もかなり減ったのだ。

 変態本を読み漁ることも(少なくとも初美が確認できる限りでは)ほとんどなくなり、平和そのものと行った風景。

 後ろで相変わらず腐ったトークをしている巴と小蒔のことは一旦頭から外しつつ、デレデレになっている霞を見る。

 これが恋か、変わるものだなと思うと感慨深くもある。

 前の霞に戻って欲しいとは全く思わないが、まだ付き合ってもいないのにこのザマだ。

 もし振られたり付き合うなどと言ったらどうなってしまうのか、そんなところを考えて少し憂鬱になる。

 それでも友人が前に進んでいることは非常に好ましい。

 それを考えるだけで、『来年の姫様のインターハイに初美もついて行きなさい』と実家から言われたことを忘れられるのであった。


 ーー最も、本当に霞が改心したかどうかを判別する手段はない


 2/10


 ……
 …


 石戸霞ですっ。

 ああっ、今日も京太郎さんといっぱいメールをしたいわ。

 やっぱり気楽に会えないのってとっても苦しい。

 本当は毎日だって会いたいのに、そうすることができる距離ではない。

 もうこうなったら山ワープで会いに行こうかと思ったんだけれども、頻繁にオカルトを使っていたら怒られてしまったの。

 くうっ、これも私をハメる実家の罠ね!

 でも負けません! 霞は必ず京太郎さんと添い遂げるの!

 もう姫様の当て馬だとか融通の利かない悪役をする毎日は終わったわ!

 だって姫様に惚れて私が失恋する流ればっかりなんだもの!

 私はこのまま京霞本を増やし続けて京和本を超えるナンバー1カップリングとして夏コミに君臨するの!

 ふふふっ、同じ胸の大きさならば巫女属性を持っている私の方に需要があるのは確定的に明らか!

 待っててください京太郎さん! あなたの霞が今向かいます!


 「っとそういえば、初美ちゃんに聞きたいことがあって」

 「なんですかー。

  もう恋愛相談は嫌ですよー」

 「違うわよっ。

  その、初美ちゃんが夏に言っていたこと覚えてる?」

 「?」

 「『このインターハイで相手を見つけられなかったら小鍛治プロ化する』って話」

 「あー、そんなことも言ってましたねー」

 「その、私はまだ付き合ってないけれど京太郎さんを見つけたわ。

  初美ちゃんや巴ちゃんは誰か見つけられたのかなって」

 「自分に余裕が出来たからお節介ですよー。

  全く、これだから霞ちゃんは」

 「ち、違うわよっ。

  その、すごく力になってもらえてるし何か力になりたいなって」

 「その心配はないですよー」


 えっ?

 もしかして私の知らないところで誰かとランデブーしてるの?

 ううっ、私ってそれすらも教えてもらってないの?

 私だって初美ちゃんのことを心配してるのに……。


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.      |.:| 小 乂こソ    .乂こソムイヽ.||
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.        个    V  ノ   イ
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 「正確に言われたのは、『誰でもいいから霞をもらってくれそうな人を探してくれないか』ですねー」

 「えっ、私実家からそんなこと言われてたの!?」

 「まぁほぼ無理だと思うからって冗談で言われてただけですよー。

  姫様がそんなことに神様を使うはずないじゃないですかー」

 「そ、それもそうね。

  この前夏コミでどういうルートでブースを回るかを神様と相談してたけれど……」

 「姫様ェ……」

 「良かった。

  ずっと気になってたの」

 「私は霞ちゃんと違って適当に男を捕まえて結婚するから問題ないですよー」

 「そ、それもそうよね。

  初美ちゃんは私より出来る子だし……」

 「巴ちゃんは……、私にはわからないですよー……」

 「わ、私が聞いた時は二次元に行く機械を作りたいとか言ってたけれど……」

 「で、でもアレでお嫁さん適性は永水最強ですから。

  私たちが心配することじゃないんじゃないですかー?」

 「そ、それもそうよね」


 永水の闇って深いわ……。

 姫様の自作BL同人を読んだお婆様が『男性器の描き込みが甘い』って言ったあたりでヤバイ匂いはしてたの。

 そもそも女性の園ってロクなものじゃないわ。

 だから私は悪くないの(断言)


 「姫様は大丈夫?」

 「あんまり大丈夫じゃないですねー。

  来年は麻雀部じゃなくて漫画研究会として東京に行くって言ってましたよー」

 「えっ!?」

 「自分の趣味を本にするんだって元気でした」


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 姫様の趣味。

 そう、それは最近のBLの動向を統計にまとめて発表し、人気CPなどの考察をすること。

 その辛口かつ辛辣、しかし的を射たレビューはすでにネットで大人気のブロガーと化しているわ。

 今度はそれを半年ごとに本にするって……。

 ま、まぁ姫様にもいろんな経験は必要よね!?


 ーー余談だが大ヒットしてのちの壁サーになった


 「でも、私は本当に幸せ者ね」

 「本当ですよー。

  あーんな優良物件を捕まえちゃって、私も欲しいくらいですよー」

 「だ、だめっ」

 「はいはい」

 「って、そうじゃないの」

 「?」

 「その、ね?」


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 「今更何言ってんですかー?」

 「だって、小さい頃からずっと一緒だったじゃない。

  それに今回の件でもすごくお世話になったし」

 「性分ですよー」

 「京太郎さんのことだって、なんだかんだ言って取らないし」

 「いや、私と須賀君が一緒になったら身長差的に犯罪ですよー。

  さすがに横に立つと怖いんですよー」

 「そ、そうかしら」

 「そうです。

  だから礼なんて言わないでくださいよー」

 「ううっ、それでもお礼を言いたいの。だめ?」

 「……別にダメじゃないですけど」

 「初美ちゃんかわいいっ」

 「あー、胸が鬱陶しいですっ!

  身長も胸も分けてくださいっ」


 照れる初美ちゃんを無理矢理羽交い締めにして抱きつく。

 ふふっ、100本勝負の時に力の差はよくわかっているから抵抗は無意味よっ。

 初美ちゃんは私に対して『ツンデレ』なのね。


 「何考えてるかわからないですけど、それは絶対に違いますよー」

 「何で!?」

 「いや、なんか変なこと考えてる顔です」

 「ひどいっ!」

 「ま、まぁ友達ですから、とーぜんですよ」

 「!

  ええ、そうね」


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                 ∨::八    ┌‐┐    八:::/    「私の、最高の友達よっ!」
.             ∨::::::::...   ` ´   . イ::::::/
              ∨:::::|:::〕iト -- i〔|:::|::::/

                _|=ミl/´ |    ll |:/::/
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        八::::|::∧{\{\|: : :.ァ芹苧ミ∧::::/__::::: ト.   \:}
            ∨:/:∧芹ミ:.\: :. _)J刈〉:∨/´Y:.l:| |    リ
            /:/:∧从_,刈.: : : :. :.乂_ツ: : : 》ノ//l:| |   /
.           l/l:::{ )ハVシ:, : : : : : :':':': : : :/彡'' l:| |
          八:{   ‘:':':': :r―┐: : : : :イ:/    リノ   「……ま、話半分に聞いといてやりますよー」
                  `ト : : ー:': : : : : :.{′  /
                   八::{   ̄_{: : : : :.乂_
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 ……
 …


 ふふっ、これで誰もが認めるハッピーエンドね。

 本当に初美ちゃんには感謝してるんだから。

 でも、初美ちゃんがなんだか難しい顔をしている。

 どうしたのかしら……。



 「ところで、私も霞ちゃんに聞きたいことがあるんですよー」

 「何かしら?」

 「まぁ認めたくないですが永水は変態揃いですね」

 「そ、そうね」



 わ、私はTPOを弁えるようになったし、初美ちゃんも露出が減ったし……。



 「巴ちゃんは乙女ゲーマスターになりました。

  これは誰の影響ですか?」

 「わ、私、です……」



 「姫様は辛口BL評論家になりました。

  これは誰の影響ですか?」

 「巴ちゃんね……」



 「じゃあ、はるるが男性器代わりに黒糖舐めて遊んでいるのは誰の影響ですか?」

 「……えっ!?

  わ、私は知らないわっ」



 「それじゃあ最後にーーーー」


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// ./  |八:{:ハ弋zソ   弋zソノ j^V |:| j/  jノ
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     |:|  人   r―,    - '  .::|
     |:|    > ...   イ     ::|     「ーー霞ちゃんが影響を受けたのは、誰ですか?」
     i:{      |   |      乂
           イ     \_

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 ……
 …


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       ,                  ヽ    ハ  ',
       /     / / !          ',    , ハ
       / /    ./ / /|        |!    ',    '   !
     l' /{     ,' ,イ/__!__      !__  |   |  
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     /ヾ    {___|/   lヽ    /!/__   __|    |  |、 \
     ' /\    >_二ニ x,,\ _/  z ニ二__<   | ,' \ ヽ
   .//   |\\! {////}      {////イ !    |/     \ヽ      「残りの六女仙にもにもナウなヤングにバカウケな話題を
  〃     |   l ヽヘソ      ヽヘソ !     !      ヽヽ
  /        !    |',      '        |     |       ヽ}     ティーチしましょう」
        |    八      _       /!   /
        |   / .>     !_ヽ    イ|  /
        | |レ   / ,>     ィ'"|_ `.!//
        |/  ./-''" / | ¨:::   |ハ !\\

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        |:::::::|  ゝ/_ノ     ゝ//ノ  |::::::|::::::}    「(明星と湧……)」
      !::::从 '''             |::::::l::/
      ',::::::! \     -(     ィニ|::::/´
       l:::::|   >   _ _  <   |::/::>
       ,:::|   __ /|   |ハ _   .|/::<
          /∧  ',  / ∧ヽ  〃
          // / ',  ', / /  ', \

 カン!

 甘酸っぱい恋愛編、完
 次は短編書いたりあわネリ終わらせたり新訳京玄次元書いたりの予定


 1/10

 【夏コミだよ京ちゃん京ちゃん!】-魔王次元3-


 かわいいかわいい咲ちゃんです!

 ほら、咲ちゃんかわいい! さん、はい!


 「咲ちゃんかわ」

 「おーっす、咲ー」

 「うひゃぁぁぁあ!?」


 おバカなことを考えてたら後ろから京ちゃんに声をかけられました!

 あ、あれ? 京ちゃんなんで?

 気配がなかったよ!?


 「なんか失礼なこと考えてねーか?」

 「うっ、だって京ちゃん音もなく忍び寄るし……」

 「それはだなァ……。こうするためだー!」


         ,  ´    /V    <⌒`
        /,     /   ∨      ̄\___
       ' /       '     ∨   、 < ̄ ̄´
       / /    ,  |      V   l | V \
     '  .'  / l |  | l     | } 、 | }  、`
     |  |  { |{ |  {∧ l   |//V /   \
     } ∧ ∨从>-、从  |'___}イ }、r----

     /イ' 从 {  =====∨\ }  ̄  |ノ `\   ____
      乂  \           リ    |  ,. : :´: : : : : : : : : :`: : : .
       \__、              人/: : : : : : : /: : : : : : : : : :`: 、
     /⌒7/{込、  ,  ―--‐  イ/: : ,: : : : : :/: /: :/: : : : : : : : : : ヽ
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   ` <_////////////// |    〉               ヾ>jイ:イ: : /
      |//// -=<__()__ノ--≦:く     ,....::⌒\        /: : : : :,
      |////////////////////乢\  `ヽ、:.:.:У     ,:⌒V:∧: :{
      |////////////()//// ̄Vノ >,   __      ,イ_ノ/ \|    「もうバレてるよぉー!?」
      ////////rく(ヽr,// く...、......∧---/........\/: イ ̄ }://イ
      //////// し'--く/  {:.:`\....、 /........//r、/ )-、
      ,'/////////ノ---' \  ` ー-`、∨.....イ/r'-、 ーく
     //////////∧            [二] ̄  ∧_二}´


 2/10


 「と、とにかく!

  京ちゃんどしたの?」

 「おお、そうだ。

  咲に聞きたいことがあってさ」

 「私に、聞きたいこと?」


 きょ、京ちゃんが私のことを頼るなんてすごく久しぶりだよっ!?

 なにかななにかな。聞きたいことって言ってるからにはレディースランチじゃないよね。

 冷静に考えてみよう。

 聞きたいことって言葉を選ぶからには、多分勉強関連じゃないかな!?

 ふふーん。おバカな京ちゃんにかわいいかわいい咲ちゃんが教えちゃおうかな?

 これがよくある家庭教師ものだよね?

 咲ちゃん先生が家庭教師になって京ちゃんを誘惑……。

 後ろからおっぱいを当てて(できないです)、首に手を回しながら間違いを指摘してあげて……。


 『京ちゃん、また間違ってるよ』

 『咲、咲……、俺……!!』

 『きゃっ、もう。京ちゃんの京ちゃんは落ち着きがないね。

  仕方ないからこっちの授業もしちゃおうかな……?』

 『うおおおおおお! 咲ィィィィィーーー!!』


 こんな感じの展開を期待してるってことかな!?

 もー、仕方ないなぁ京ちゃんは!

 ふふふ、前回の睡眠薬作戦が失敗しちゃったけど京ちゃんからアピールされるとは思わなかったよ。

 京咲純愛委員会の皆さん! 宮永咲はここで純愛成立して解散の宣言をしますっ!


 「それでさ。

  ……聞いてる?」

 「聞いてるよ京ちゃん!

  それで、どんな服を着ていってほしいかな!?

  やっぱり胸元を強調できるスーツで、女教師っぽく……」

 「(ないものを強調……?)

  いや、話聞いてなかったでしょ」

 「えっ、なに?」

 「だからさ……」


 3/10


                ,.  ⌒ヽ、/⌒ 、-- 、
               /_,..-         ヽ  `  、
             / /´     /    ∨   \
                ,  ´      / ,'     :    、 ヽ
           /   ,    , / /|  |  :.  | | |    ∨
         _/   / /  |_|__'_|  |   _}_|_|_| |  | :
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            / イ ∧{ 从 Vり \∨' Vり /' / ∧{
            ´/イ }从lム     ; \     ,ノ /  \
                    | ∧          ∧,イ
                   Ⅵム    -  -    イ //     「咲って夏コミとか行くの?」
                _ヽl\       //イ__
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 4/10


 「きょ、きょ、京ちゃん……?

  青春ど真ん中スポーツ少年でクラスの中心人物みたいな京ちゃんがなんで夏コミなんて知ってるの?」

 「いや、友達と話してたら教えてもらってさ。

  なんか本とか売ってるんだろ?

  咲ならそういうの知ってるのかなーって」


 それは失礼でしょ!?

 本を読んでいる人が誰でもコミケに行くなんて思ったら大間違いだよ!

 そういう女の子がいるせいで私みたいな海外ミステリー好き正統派文学少女が風評被害に遭うんだからね!


 「んで、知ってるの?」

 「はい……」


 私は京ちゃんの前じゃ嘘をつけないんだよ……。

 恋する咲ちゃんは京ちゃんの前じゃ従順な女の子!


 「へー! そうなんだ!

  じゃあやっぱり行ったりするのか?」

 「えっと、その……」


 京ちゃんやめてぇー!

 多分詳細を知らない京ちゃんは純粋な興味で聞いているんだろうけど、一般人に根掘り葉掘り聞かれるのって辛いよ!

 しかもそれが好きな人(スポーツ少年)からなんだから被害も甚大だよ!

 こ、この状況をどうやって切り抜けたらいいの!?


 「あ、う……」

 「?」

 「参加、してるよ?」

 「おお、やっぱりそうなんだ」


 5/10


 参加してる(意味深)

 そう、参加してます……。サークル側として参加してます……。

 だ、だって京咲純愛委員会は文芸部だったし……。

 私は文芸部じゃないけれど、周りのみんなが何故か文芸部だったし……。


 「じゃあ咲の好きな本なんかもあるんだ?」

 「あ、るよ」


 ぶ、文芸部で出してる京咲本とか……。

 高久田くんとか>>438さんとかが『外堀から埋めるべき』って言ってたんだもん!

 だからまずはこう、周囲がそういう状況になるように外堀から……。

 ちょっと外堀が広すぎる気もするけど……。


 ちなみに売れ行きはそこそこで固定客も掴んでます。

 いつも来てくれるサングラスとマスクをしたお姉ちゃんそっくりな人には絶賛してもらってるもん!

 巫女さんのコスプレをした人には『これはNLですが流行りそうですね……』って言われたし!


 「へぇー、今度俺も行ってみたいな」

 「や、やめたほうがいいよぉ」

 「?」

 「だって、体力いるし……」

 「咲にでも出来るならヨユーだろ?」

 「いや、あれはちょっと普通の体力とは違うっていうか……

  そもそも京ちゃんは何の本を買うつもりなの!」

 「いぃ!?

  そ、それは企業秘密っていうか」

 「どーせおっぱいの大きい本ばっかり買い込む気でしょ!」

 「そ、そんなことねーし!」

 「だって京ちゃん、本なんて読まないじゃん!」

 「うぐぅ!」

 「それにおっぱいの大きいコスプレイヤーさんに会いに行くつもりでしょ!」

 「な、なぜわかったし」

 「連れてかないもん! ふーんだ」


 そんなにおっぱいが好きか!

 何で男の人ってこう……おっぱいが好きなんだろ?


 6/10


 「なんかフツーの本当は違う本売ってるんだろ?」

 「ちょっと京ちゃんにそのことを仕込んだ人を教えてくれないかな?」

 「?

  高久田だけど」

 「えっ?」


 高久田くんが私に不利なことをするわけがない……?

 それなら、何かしらの意図があるはず。

 ちらっと視線を向けてみたらガッツポーズされた。

 こ、これは何かしらの進展フラグ!


 「そ、そうだね。

  普通じゃない本も売ってるよ」

 「女性向けだっけ。

  それでちょっと気になったんだけどさー」

 「どうしたの?」

 「俺は別にそういうのに偏見持ってないんだけれど、そういうのにハマる人はどうしてハマるのかなーって」

 「……!?」


 あ、あれ? 京ちゃんの眼差しが遠い?

 ち、違うよ京ちゃん!


 「私は女性向け本なんて買ってないよ!」

 「お、おう。

  そうだったのか?」

 「失礼だよっ。

  私はノーマルラブ(っていうか京咲)一筋なんだからねっ」

 「?」

 「あと、どうやってハマるのかなんて……」


 うーん、私も友達が多いわけじゃないからわからないんだけれど……。


 7/10


 「女性向けの本って普通に本屋に置いてあるんだよ」

 「?」

 「それに気づかないでアンソロジーを買って、そこからズルズル堕ちていくって聞くかな……(現実調べ)」

 「お、おう」

 「だから私は違うからねっ!?」


 もー、女の子なら誰もがBL好きなんて思わないでよ!

 まぁでも京ちゃんの誤解が解けたなら良かったかな?

 うーん、でもこれで進展したのかなぁ?


 「まぁいーや。

  咲、今度一緒に行ってみよーぜ」

 「えぇー。

  あんなの二人で行くところじゃないよー」


 京ちゃんのこのバイタリティは何なの!?

 あんなところ二人で一緒に行けるわけないよ……。


 「別のところにしようよー」

 「頼むよー!

  あそこじゃなきゃいけないんだ」

 「京ちゃんはえっちな本買えないよ?」

 「そ、それはそれとしてって奴だよ!」

 「うーん?」


 でも、京ちゃんにこんなに頼られるなんて滅多にないし……。

 た、たまにはこういうのも悪くないかななんて……。

 お昼から行けば普通にするくらいは大丈夫だろうし。

 冬にすれば夏よりマシかな?


 8/10



                     ____
               ,. ´ __    `¨¨ヽ

            ,   ̄`  /  ヽ       `ヽ
           /  _     ,:   ∨   、    :.
          / /,´      /    |    ヽ     .
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     _/ ィ / { l |__|_{ |∧   }/ ' / l  |   ∧
      ̄  {〃  Ⅵィ斧从 } /-}/-/、 , /-、 ∧}
          / ,  从 Vり ∨イ ,イ斧ミ、}/ /⌒ } | '
           / イ从 l ム        Vり ム'  ノ/}'    「頼むよ咲。
         ´    \∧  '        ,r ' /
               、  v   ァ    / 从/       今度アイス奢るからさー」
                     \ `こ     イ  _|、
                  ` r  ´   //∧
                     /|     /////∧
                「  |   //////////> 、
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          〉,: :, {: : | ,ィ斧汽 /´ ィ斧汽、} : /:|\: : |

          {八:{ \:{とヒこソ       ヒこソっ: イ: :|  \}
          |   乂ム     :.:.:.:.:.:.:.、:.:.:.:  ムイl: /
             从{∧     _   _     人:∧{
              |/ >:../^} /⌒l、` .イ }:./ リ    「しょうがないなあ……(で、デート!?)」

                ___/-'-'-- 、/〉「-、/ '
          ,.. <:::::::::::::::{======ミ`ヽ|〉::`::::...._
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          {==、 {:\/   〈7 ー、{ ̄|:::::::::::://,ィ^.
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           / イ | l{   { ∨/      '    }   ∧ :   :.
          ´  | {|从三三 /   三三三 /  /--、| ∧{
                {从 |     ,            ムイ r 、 }} /} \
               |                ノ ' }/イ/
                {               _,ノ     「(これで俺もおっぱいさんと知り合える!?)」
                   人       _,..::ァ       r }/
                     `     ゝ - '   イ   |/
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    /   |   | ィ| |─ト :|ヽ  | / ̄V|  | :| |   |  |
    /   |   レ´| \|_\|  ト、. |::::彡三=、 :| ./ / /   !
   /彡イ |    ト| 彡 ─ヾ:\|::::\::::/,'⌒ヽ \/ / /   |、
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.      | /ヘ ヽ..ハ                  ハ// /
        /    \トハ      ー_,ア     ノ'´//    「やっぱりダメっ」
               |ゝ、           //イ/
              |人> ._       <:| / /
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 10/10

 ……
 …

 ・文芸部 京咲本作成中


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   _./:l "./ ヽ. ∟..二ニ7/     「トーン……っ!!」

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          /      _   !  _._  `ー=ニ ` 、
          /     /ミミミ、  ! ////∧、  ヾミ三ニ─´ _ .
        / ノリ   /ミミミミゞ ! l//  `ミミヽ、 _        /
      |  //  /ミミヾゞヾゞV      ミミミ .、¨_¨─ ´ _
       |    /ミミヾゞヾゞ        _..',Y ∧   ̄ ¨/
       |   /三ミ           /   ',Y   〉 ─ ´
      ー .ヽ彡     i   i   イfェュf´   |) ./ミミミヾ、
        ノノ〃ヽ´"fェュ、     ''"´    ノ|¨ゞゞ、三=='
      -=彡≡彡   `¨´ i         /  |ハゞゞニ='
        ミ三=´川ゞ   i      /   .| ヽ  ̄      「ベタ」
           川ゞゞ、   、   _ .     /  .∧ _
           ヾll| ゞゞヽ i`  ._.   /  ./ ∧ヽ
             ゞ  ` ヽ、_¨-―- ./ ./   .|: :\
                   lハ 、_ .´ /    l: : : :| ¨ ・ .
                      /| \   /      l: : : :|: : : : : : `: ・  .
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           ,!   ハ             ヽ
        ,,‐ ./   / 从|i、.|  |  r       \ `ー    / ̄
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:::::::::::::::yくヽ\l゙l.゙l.゙l  `  ── " ノ  )Τ  ―<////l l l::::::::::::::::\
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 /::::::::::::::::|゙!彡゜    U         l      /:::::―----ヽ、

彡ソ'/  i、 | く                l     /::::::::::`ニン
   l.::从,.弋 ヽ           ⌒ '"      ./::::::::::::ミ
   乂 l|lヽ  ヽ、     `''ニニ''''''''''''''''フ″  /: :lリ \l    「(単語だけで意思疎通してる……ッ!!)」

      |三:.\  ヽ         ̄ ̄ ,,.    /ソノ
      |三三 >,,, ヽ       ゙"''''""    /
     ノ三三三三>ミ\            イ
  斗≦三三三三三三三≧          付
≦三三三三三三三三三三三>     ノ三式_
三三三三三三三三三三三三三三三三三三|三三三≡≡==ー-



 カン!

 筆が進まず不調……
 優希次元は苦戦中。シノチャーはAAあれば一レス劇場できたのになぁ


 1/10

 【誰とでも親しいということ】-あわネリ次元5-


 「よーっし、麻雀でも勝つしこっちでも勝つぞー!」

 「麻雀は私の勝ちだし」

 「私の勝ちだよ!」

 「あーもう。引き分け引き分け」

 「キョータロー!

  私の勝ちだよね?」

 「キョウタロウ!」

 「じゃあ今日の勝負で勝ったほうってことで……」


 呆れながら二人を嗜めるのはいつものことだ。

 いつもと違うのはこれが休日だということ。

 わざわざ休日に三人で集まるなんてことはなかった。

 京太郎と淡とネリーの関係は大学の中だけでの微妙な関係。

 京太郎は仲が良いと言うが、淡とネリーは否定する。

 なんだかんだで三人でいるけれども、いつだって二人は険悪な雰囲気だ。

 そんな三人が自分の時間を割いて休日に集まった。


 「(なーんか、懐かしいな)」


 清澄高校に所属していたことを思い出す。

 まだ麻雀部に入りたての頃、優希と和を連れて三人で遊ぶことが多かった。

 それも咲が入ってからは男女の微妙な距離感の問題で避けることが多くなった。


 「(しっかし、男なんて連れてきても仕方ないだろう)」


 女の子同士で雑貨屋巡りをするのならば男に居場所はない。

 付き合いで一緒に居るけれど、さすがに居心地が悪いことは想像できる。


 「(まぁ、これで二人が仲良くなってくれれば儲け物か)」


 明らかに貧乏くじを引いてしまったが、それでも許容してしまう。

 それが須賀京太郎のお人好しっぷりだった。


 2/10


 「ところでキョータロー!

  なんか言うことあるよ!」

 「なんだ」

 「もー、前はちゃんと出来てたじゃん」

 「はいはい。

  今日も服、気合い入れてきたんだよな?」

 「50点!」

 「意外と低いな!?

  えっと、いつも大学で使ってるカバンと違う?」

 「70点!」

 「足りない!?

  もうわかんねーよ」

 「前髪切った!」

 「……えっ?

  全然そうは見えないんだけど」

 「ほんの少し!」

 「わかるかっ!」


 前回はちゃんと淡のオシャレに気づけた京太郎も今回はダメだったようだ。

 実際、淡のオシャレは前髪の毛先をほんの少し整えただけのこと。

 比較的そういうのに気づこうと注意している京太郎と言えど所詮は男の子。

 そういった些細な乙女心を理解するのは難しい話だった。


 「ビミョーに違うの!

  この違いは私にしかわからないんだ!!」

 「それじゃ俺がわかるわけねーだろ」

 「そうだった!」

 「このおバカ……」


 大星淡。高校100年生の頃から特に変わっていないようだ。


 3/10


 「……キョウタロウ」

 「ん?」


 か細く消えそうな声でネリーが京太郎のことを呼ぶ。

 顔を伏せ恥ずかしそうに京太郎の袖を引っ張っている。

 人によれば『あざとい』とも言える動作だったが、ネリーの童顔も相まって非常にマッチしていた。


 「こっちは?」

 「えーっと……」


 まるでデートの始まりに彼氏を困らせる彼女のようだ。

 『コミュ力の魔王』と呼ばれた京太郎でも、乙女心の理解はできない。

 理解は出来ないなりに頑張ろうとネリーを覗き込むが、ネリーは逃げるように顔を逸らしてしまう。


 「ネリー、逃げられたらわからないよ」

 「っ!」

 「よーし、あわいちゃんが捕まえちゃうぞー」

 「!?」


 後ろから捕まえる淡に対してネリーは抵抗するが、やはり体格差はどうしようも無い。

 ネリーは140cm。淡は156cmで一回り以上違うのだ。

 なお、182cmある京太郎はよっぽど屈んでも俯いたネリーの表情を伺うことは出来ない。


 「ーーっ!!」

 「観念しろーっ」

 「淡、あんまやりすぎるなよ……。

  って、ピアスしてるのか?」

 「う、うぅ」


 先ほどまでの虚勢がどこかに消え去り、いつもの帽子を深くかぶって顔を隠す。

 気づけば淡もネリーを離していた。


 「違うよキョータロー!

  これはピアリング!」

 「?」

 「耳に穴を開けないピアスみたいなイヤリングなんだよ。

  へぇー、結構お洒落じゃん」

 「う、うるさい」

 「ねえねえ!

  これどこで買ったの!?」


 狼狽えるネリーに対してくるくる回って聞きにまわる淡。

 いつもの険悪なムードは何処へやら。立派な女子大生同士の会話である。

 思えば、争いの種である麻雀がない。

 京太郎は考えていたよりもこの休日は有意義なものになるかもしれないと考えるのであった。


 4/10


 ……
 …


     /                  \
 _人_ '                      ` 、  \
  Υ'/ /  /              ト、        丶
   / /  /         |    | | Χ     }
  .′   il  /   |  | \ | / `、  リ   |
  i | _|l__∧ト、八  |   メ´  ニニ  /   } |
  | |   ||  `>x、\|   斗チ芋ミ、∨   ,′j
  | |l   l|斗示芋ミ、    ''h!::::::::}  ,′    ,
  |l 八  И'h!::::::}      乂___ノ /     /

  ||  \| 乂__ノ       /i/i/ /     /l|

  .八   ゝ /i/i/i    i       / /  / / |   「ねぇねぇ!
   ‘,\ ハ      r    ア  /l/ /  /:: |
     ト、  込、         _ノ   //  ,イ::: l|    次はスタバで甘い物食べよーよ!」
     |l l\ \> .,_       /∨  /l|:  八_
 |ヽ.  八l_\ \-─=ー ァ--<  /   / 八 {  \ `ヽ
 | | ./ /´  ハ 〕     { 〉     ,′ /   ` ヽ  \∧
 | |/─、_ / |∨  __ Ⅴ__=|   /     〕\  \
 | | Y´ \\.ノ (`ヽ \\)     |  ,′         \ 丶


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                   Ⅵム    -  -    イ //    「(めっちゃ打ち解けてる……)」
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 京太郎の心配はなんのその。

 いざ買い物が始まると、淡はネリーにまとわりついて様々な雑貨を漁っていた。

 淡もかなりセンスはいいのだが、ネリーが手に持ったものはより安価でセンスがいいものが多い。

 色々なものを漁って好きなものを探す淡と、直感でコーナーに向かっていいものを見つけるネリー。


 「センスいいじゃん!」

 「う、うん」


 淡は『認めた相手』に関しては非常に懐くタイプだ。

 その分『認めない相手』には素直になれず、辛辣な部分が目立つ。

 これは京太郎も予想外だったのだが、その『認める』とは麻雀に限らないらしい。

 ネリーの『安価で良いものを選ぶ』センスを認めたのか、いつもと全く違う笑顔を向けていた。

 そしてネリーも気難しいが決して『悪いやつ』ではない。

 一切の悪意がなく、天真爛漫な笑顔を向ける淡に対していつものような悪態を吐くこともない。

 しかし淡と違ってその距離感がむず痒いのか、少し驚いている。

 なんにせよ、いつものいがみ合う二人と違って非常に仲が良さそうだ。


 「(やっぱり『キッカケ』なんだよね)」


 後ろから眺めている京太郎は結論づける。

 最初こそお互いのことをよく知らなかったから麻雀でいがみあっていた。

 淡も自分と同年齢で同格の者を認めたくなかったし、ネリーもそれに近いものがあっただろう。

 お世辞にもコミュニケーション能力が高いと言えない二人は最初から敵対していた。

 でも、麻雀と関係ない趣味を見つければそれは変わる。


 ーーぼっちは気心知れた仲には親しくなる。

 京太郎の幼馴染が教えてくれたことだった。


 「キョータロー!

  早く早く!」

 「キョウタロウ。ここ高い」

 「あー、スタバはちょっと高いぞ」

 「じゃあマックでソフトクリーム食べよう!」

 「ずいぶんグレードが下がったぞ……。

  ネリー。マックなら(商品を選べば)安く食べられるから」

 「?

  マックって高いよ?」

 「セットで頼むと700円くらいするんだけど、100円マック単品で頼めばそれだけで済むのだ!」

 「クーポンで150円のポテトL頼むのもいいよな」

 「キョータローやるじゃん!

  ソフトクリームなら100円だし、飲み物はどこかで買ってこ!」

 「じゃあついてく」


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                _, -──-  .,_
               '´         `丶、
            /              \

           ,          /         \
.           /     .   /            ヽ
           ′     / /              `、
.          .' /   /,     // /|   |       `
         i     . /    」_ ′/  |   | i|  . i
.         i |   j/,    /イ`メ、   |  小 ||   ト.!
          j .|  ∨/    / |/ ヽ  |  ァT丁l   | |
         ノ i|  V    j 抖竿ミ    ノ ノ ,ノイjノ   | i
___ ____彡' , i|  i| j   八|:x:x:    /ィ竿ミ 刈    | }
 ̄¨ え≠  / 八 i|/l   |  |        :x:x:/ ノ    | ′
 /  -‐ '    ハ  八  ト、  ヘ.__ `  厶 イ   ノ   「よし行こっ。
/    __,.斗‐=≠衣  ヽ八\ 丶.__ソ  . イ(⌒ソ  イく
     jア¨¨^\   \   \ >-=≦廴_  ア /ノヘ\   ネリー!」
  斗ァ'′     \   \   ヾ. \___ ⌒ヾく<,_ `ヽ )ノ
/圦 |       、\   ヽ   、∨tl  `ヽ . ∨ V\ i
 { `|           Vi:\  ハ  i } |    } i }  ∨,} }
≧=- |         辻_V\`i}  i } |  /} iハ}   辻ノ
   ノ          ¨〕V//リ  iノ ////V〔    ¨〕

           「 ̄`ヽ-―‐---、__

           {:.. ,..-f( ))-、       ̄}
              广}___クーく.___{ ̄`ヽ ..:::/
          / ,..-‐r:r―┬r::r--、  }!V、_
          /7'..:::i::|^!...:::i:| |:ヒjハi::ヽ|! ヾヽ
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      ζ√ーァ\:.:.:.ヽ     /:fィ_トrJ しイ.,>イ
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   ヽ:::::.{',从|レィ==、   ィ==x .リ/:|」|

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     |...:|::| ! :リ.|::::{_   __.//゙ / ヽ!|
     |:.:.|:.| ! / /_,ヽ.∠ィ'/ /─=||
     |:.:.|:.| / /─'、,..ィ‐-、_,..|:|  |_    ||
     |:.:.|:.i!:../. :::      .:. . |:∨ ゙<  小.
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 …
 ……


 8/10


 とりとめのない日常。

 初めてお互いの名前を呼んだ淡とネリー。

 とても喜ぶべきことのはずなのに、『コミュ力の魔王』なんて言われてるのに。


 ーーああ、あいつらも最初は仲が悪かったな。なんて思った。


 いつも誰かの仲裁を頼まれる。

 仕方ないな、なんて思ってお節介を焼く。

 うまくハマって仲裁ができて、お礼を言われる。


 それほど深く関わりを持とうとしないから、それで終わる。


 たくさんの人と仲が良いから、特別親しい人もできない。

 そんな中、一人だけ特別親しい少女がいた。

 そいつはコミュ症で、誰かと関わろうとしないで、誘っても本ばっかり読んでる奴だった。


 「(あ”ー)」


 女々しいったらありゃしない。

 そいつは中学校から一緒で、高校も一緒だった。

 どれだけ世話を焼いても体質が変わることはなかったし、気軽に誘えた。

 そいつには友達も少なかったから、女性同士でつるんでることもなかった。

 さすがの京太郎も女性同士で集まっているところに紛れ込むことは難しい。

 女の子には女の子なりの友人関係があるわけで、そこに関われば空気が読めないこと請け合いだ。


 「(だからアレでよかったんだよ)」


 ずっと一人でご飯を食べていたあいつが友達とご飯を食べるようになって。

 その女の子の集まりに参加する気なんてなくて。

 みんなが集まって屋上でご飯を食べている中、誘いを断って男友達とご飯を食べることにした。


 一度そうすればどんどん疎遠になっていく。


 ずっと一緒にいた女の子は、気づけば『出会えば挨拶するし、部活でも話す』

 そんな『普通の女友達』に変わっていった。


 9/10


 「(我ながら女々しすぎだろ)」


 男は名前を付けて保存。女は上書き保存。

 そんな話を聞いたことはあるけれど、間違いなく名前を付けて保存したな。などと考えた。

 自分だって原村和に現を抜かしていたり、片岡優希と絡んでいたりしたのに勝手な話だ。

 気づけば一番大事な人はどこか遠くに行ってしまっていた。


 それからだ。

 自己防衛か、同じくらい大切な人は作らなくなった。

 誰とでも親しくして、男女問わず仲良くなる。

 それでもそれ以上に親しくなる前に付き合いをやめる。

 そんなこんなで誰とも仲良くなっていった結果が『コミュ力の魔王』なんてよくわからないあだ名だ。


             ___/ ̄ ̄\_
         ,  ´        <⌒
        ,:'            `ヽ、
       ,                \_
                      \ } ̄´
        '              ,  \
      / ,          |/} ∧ }`ー`

       {∧          「ノ|/}/イ
      '  、       | /`/ } '
         } ∧     /イ   /    「(こっから二人で仲良くするんだろうな)」
         |' ,} \__/イ__ /
         //////////∧

        _,.{///////////|

     -=≦//////|////////≧=-- 、_
  r≦//////////////////////////////ヽ
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 今回みたいに女の子のお店巡りになれば京太郎はお役御免だ。

 そうすれば誘われることも少なくなるだろう。

 女の子同士の方が居やすいだろうし、二人はどんどん仲良くなるだろう。

 そしてきっと、『前のように』なる。

 だからその前に少し距離をとる。

 自分が傷つかないように、逃げるんだ。


 10/10


            -‐==‐-
         ´            `
      /             ヽ

     / ,      !   :  |   |     i
.    / |i  , ‐‐i|  .:ト、_|‐‐ |  :i|  |
    l :/:|i  | |/八 .:|     | |  :i|  |
    |/ :〔!|  N ○ \|  ○ |ノ  ,リ
.   〔 八! l圦 ,,   '   ,, l //  |   「キョータロー?」
       N |  .  v ァ  . ∨/  .:|
        ヽ|:| l_≧=ァ≦ト /_,′  八
       ノ厂| l  〔,   / / `丶、 `

      /∧ i| |  「⌒ / /  /∧
    / イ′ j ト、∧  / ′´ .イ
   :'  /    | |\ハヒ/| |ニニ/   〉    :
  /  ノ〈    i i   >ニ| |  ´y'    !     |
  .' /   〉  / j / ノ<i| |  〔___!   ト、〕
. 〔′|  `ー‐'  ///  | |  i| Υ─|  | .′


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           、_/_/⌒ヽ , /            ヽ
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       /       ,:´ | { | l\{从 ∨ィ斧ミ、 |    |
    /\'´        /{  | 从{__,. \∨Vソ }イ ト、 ∧{
    ////\ r---  ´八 !∧  ̄   ,:  :.:.:  }/ノ/ リ   「……ん?
.   ///////\      \}∧         u 八/
  //////////〉        込、  __    ,.: /       ああ、行くか」
  ///////// /          }>、   ` イ |从
 ,'//////// /   _      /--、l ` ̄ :,   |--、
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///////////// |l///////////ヽ// \    |////> 、
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 そんな彼が、胸の内を明かすことはない。


 カン!

 すこやん次元はともかく、はやりんはいいお嫁さんできそうだなぁって思う


 1/10

 【過去との再会】-あわネリ次元6-


 「キョータロー!

  次はこっち!」

 「はいはい。ちょっと待ってなー」


 元気に飛び跳ねる淡とネリーを保護者のような視点で見る。

 どこからどう見ても昨日まで険悪な関係だったとは思えない。


 「キョータロー! これ買って!」

 「なんでカップ麺を買うんだ……?」

 「私が好きだから!」

 「そんなドヤ顔しても買いません!

  ってかカップ麺よく食べるのか?」

 「なんとなく!」

 「ああ、そうですか」


 ダメだ。このテンションになった淡と会話してもついていけねぇ。

 そんなことを考えながらネリーに視線を移すと、こちらはなんとカップ麺を転がしていた。


 「ネリー……さん?」

 「うん?」

 「何してんの?」

 「回すと美味しくなるんだよ?」

 「カップ麺を!?」

 「なにそれすっごい!

  まわれまわれー!」

 「おいししくなーれっ」

 「やめろっ。やめてくださいっ!

  それ商品だから!?」


 さすがに申し訳なくなって買った。


 2/10


 ……
 …

 「全く……。

  急に仲良くなるんだからなぁ……」


 淡とネリーが子供のように走り回るのに付き合うのには少々疲れた。

 普段ならどちらか片方でいいのだが、二人になれば相乗効果で何倍にも疲れる。

 ネリーはいつもの脹れっ面は何処へやら、本人曰く『臨海で得た知識』を淡に披露してはドヤ顔している。

 その『外国人による間違った日本人感』を淡は素直に受け入れて遊び出す。

 カップ麺を回すと美味しくなるだとか、カンケリが楽しいだとか。

 少なくとも女子大生がやるようなことではないが、本人たちがそれでいいならいいか。


 「こっちがダウンだー……」


 先に心労で倒れたのは京太郎だった。

 本来ならば男であり運動経験もある京太郎の方が体力はあるのだが、こと遊びに関しては別だ。

 というか、遊んでいる間は体力無限大とは小学生かとツッコミたくなる。


 「……須賀君?」

 「ほぇ?」


 そんな中、名前を呼ぶ声が聞こえる。

 淡とも、ネリーとも違う呼び方。

 非常に懐かしい、耳に残る声。


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 3/10


 「えっ、和?」

 「はい、高校卒業以来ですね」


 振り返ってみると、そこにいたのは高校の時の同級生、原村和の姿だった。

 あまりに急な事態で頭の中が混乱している。


 「うわー、すっごい偶然だな。

  和も遊びに来たのか?」

 「はい。今日は休みですから」

 「そっかぁー」


 ーー気まずいっ!

 当たり障りのない話をするが、どうも距離感がつかめない。

 高校卒業の時までは普通に話していたし、それからまだ数ヶ月しか経っていない。

 懐かしがるも何もないはずなのだが、緊張してしまう。


 「(数ヶ月なのに変わったな……)」


 和は高校卒業と同時に偏差値の高い有名な大学へ向かった。

 もともと頭も良いし、一時期は東京に引っ越すかどうかの話も出ていたくらいだ。

 そして、京太郎も東京の大学にいる。

 今は都内で遊ぶことは珍しくないとはいえ、たまたま遊びに行った先で出会う確率と言ったらどれくらいだろうか。


 「俺と和がたまたま出会うことってあり得るのか?」

 「どうしたんですか?

  確率的にはゼロではありませんよ」

 「ほら、俺と和が謎のオカルトで引き合わされた可能性とか」

 「全く、須賀君ったら……」


              -‐…‐-
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   , : : : ||: : /!: / ∨|: :|i: :|::| : : |i: :|

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.  ,: : : : : :|: Ⅵ斗ぅ气ト ムイ≫冬ト: :从/
  ′:: : : ::|: : | 乂rツ    ヒrツ.ムイ: ::|

  .: : : : : ::|: : |  ,.,.,.    、 ,.,. .′:: ::|
 ,:: : : : : : ::|: : |      、 ,    , : :|: : :|   「そんなオカルト、ありえませんっ」
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:: : : : : : : ::|: : |::j{   うr≦: : : |: : | : |

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 4/10


 「出た出た。

  和の決め台詞!」

 「もう、わざと言わせるような言い回しをするからですよ」

 「ありゃ、バレた?」

 「いつもの須賀君なら、『運命の赤い糸で結ばれている』くらいは言いそうですよ」

 「俺、そんなキザだっけ」

 「お姫様扱いされた人が怒っちゃいますよ?」

 「そりゃそっか」


 なんだかんだで3年間の付き合いだ。

 咲や優希には劣るとは言え、部活内では十分親しくしていた。

 こんな軽口を言い合える程度には仲良くなっていたと思うと嬉しくなる。


 「しかし、須賀君はどうしてここへ?

  女の子向けのお店ですが……」

 「ワガママ娘の付き添いでさ。

  今は疲れたから休憩中」

 「須賀君のことですから、またお節介を焼いているんですね」

 「そんなんじゃないよ」


 クスクスと笑う和は今まで見たことがないくらい色っぽかった。

 確かに仲良くなっていたけれど、こんな笑い方なんてしてたっけ?

 なんだか女の子っぽくてドキドキしてしまう。

 初めて和にあった時にはあまりの可愛さにビックリした。

 今は可愛いというよりも美人になっている。

 ほんの数ヶ月なのに、身近にいなかったらこんなに変わるものなのか。

 もしかしたら男でも出来たのかもしれないななどと邪推する。

 ちょっと落ち込んだ。


 「ちなみに彼氏はいませんよ?」

 「ふぁっ!?」

 「そんな顔をしてましたから」


 ニコっと笑う和。

 なんだか小悪魔的な笑みに驚かされる。

 なんで考えが見破られたんだろう?


 5/10


 「今は麻雀を続けてるんですか?」

 「相変わらず弱いけどな。

  楽しいよ」

 「それは良かったです」

 「和はどうなんだ?」

 「サークルで続けていますよ?

  全く、須賀君がいないから変な男の人たちが寄ってきて大変なんですよ」

 「え、ええっ?」


 ーーなにこれ、アタックされてるの?

 今までの和とは思えないほどグイグイ来られて困惑する。

 3年間も友人として付き合っていなかったら確実に勘違いしていただろう。


 「(まぁ、高校時代も男に寄られて困ってたしな)」


 なんだかんだでいい防波堤になっていたのかもしれない。

 防波堤扱いで止まってしまうのが微妙に悲しいところだけれども。


 「須賀君は彼女いるんですか?」

 「残念ながらいないよ」

 「意外ですね。そのキザな言葉でいろんな女の子を手篭めにしていると思いましたが」

 「ひどいっ!?」

 「冗談です」


 なんだか今日の和は意地悪だ。

 でもそんな意地悪な和を見ていると翻弄されているようでドキドキする。

 普段と違った一面を見るだけでこうなるというか、全く男は単純なものだ。


 「まぁ、それなりに楽しくやってるよ」

 「ふふっ、彼女はいないんですね。

  それならーー」


 6/10


           「 ̄`ヽ-―‐---、__

           {:.. ,..-f( ))-、       ̄}
              广}___クーく.___{ ̄`ヽ ..:::/
          / ,..-‐r:r―┬r::r--、  }!V、_
          /7'..:::i::|^!...:::i:| |:ヒjハi::ヽ|! ヾヽ
           {ハ:::::::f':n:i、:::::{"{::n:ヾi:::.:|!  }!'^゙
           |丶弋ツ `゙ 弋;ツ}::::.|!  }!
            |:::|:i| "  '_   " .!::::.{! o|!、
             |、::|ハ:.,、  、ノ ,..ィ:ノ::リ;》=《i ゙、
         /.:ヽハ!:r‐` T"´  !イ':":.:.:.:.:\i!     「きょ、キョウタロウの彼女だよっ」
       r:<>、.:.:.:.:.:.ト--、   ,..-/:.:.:,:イス) >_>、
      ζ√ーァ\:.:.:.ヽ     /:fィ_トrJ しイ.,>イ
        ∀  ! `Zf┬‐-≧ーイ:.:r'´       |_)i::}
      / .,.:彡ミy' /_,.-< ̄`ヽ::::..       !::、:::i!
      <  ̄  ノ''"   ...::::..... ::::::::.   ,.ィ:::::i!:::|
     ,.へ  / ........:::::::::::: ::::.   ::: ,:<_,.ノ::::::|:i::|
     `>'"           ::::: :::..:/  \:::::|::i:|



     /                  \
 _人_ '                      ` 、  \
  Υ'/ /  /              ト、        丶
   / /  /         |    | | Χ     }
  .′   il  /   |  | \ | / `、  リ   |
  i | _|l__∧ト、八  |   メ´  ニニ  /   } |
  | |   ||  `>x、\|   斗チ芋ミ、∨   ,′j
  | |l   l|斗示芋ミ、    ''h!::::::::}  ,′    ,
  |l 八  И'h!::::::}      乂___ノ /     /

  ||  \| 乂__ノ       /i/i/ /     /l|    「キョータローの彼女参上!」

  .八   ゝ /i/i/i    i       / /  / / |
   ‘,\ ハ      r    ア  /l/ /  /:: |
     ト、  込、         _ノ   //  ,イ::: l|
     |l l\ \> .,_       /∨  /l|:  八_
 |ヽ.  八l_\ \-─=ー ァ--<  /   / 八 {  \ `ヽ
 | | ./ /´  ハ 〕     { 〉     ,′ /   ` ヽ  \∧
 | |/─、_ / |∨  __ Ⅴ__=|   /     〕\  \
 | | Y´ \\.ノ (`ヽ \\)     |  ,′         \ 丶


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                ,.  ⌒ヽ、/⌒ 、-- 、
               /_,..-         ヽ  `  、
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                ,  ´      / ,'     :    、 ヽ
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            / / , rⅥィ笊 从 {∨ /ィ笊_ヽ}/、 | |

            / イ ∧{ 从 Vり \∨' Vり /' / ∧{
            ´/イ }从lム     ; \     ,ノ /  \    「」
                    | ∧ U         ∧,イ
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     イ ′ / | { | 从、|  } |彡' /|:.:i:.:.|,∧
.     { | l |ィ爪 {(リ八「了 メ、 彡个rイト、

      リ、_! l リィチfト   '行タト、彳,ィl |:.:| |:.:i
      l_,以 { ヒtリ    ヒztリ  |f リ| |:.:| |:.:|
      「 l 「ト'"   '     '""'  _,イ | |:.:| |:.:|
      } } ハ    tっ     ィ' ) ,j リ 刀 「      「二人?」
     / /,イ| |l>、    ,ィ |ノイイ / リ |
      / /リ |:! !仏ィ_〕¨     》,// / /| !
.    / / r廾 .|「{: |-、  __ / // ,ヘ〔 .j {
    〈 イ ∧V /:.:.: :|__´_./: :./ /:.:.:.:.>))
    } } /`Y'| {:.:.:.:.:.l    /: : 〈 〈:.:,イ´ /{,
    j/ }`ー冫j\:.:.:|  /: : : :___)ノ/i´r‐'='}
      ト ン′`ヾ >-r'< ̄ _彡冫=v'   人
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 8/10


 「えっ、なんですか?

  堂々と二股してるんですか?」

 「い、いやっ!?

  ちょっと待てお前らなんで!?」

 「もー、キョータローったら彼女を置いて他の女の人と喋ってるなんてポイントマイナスだよっ」

 「原村和……」

 「ああ、二人ともインターハイの……」


 和が我に返り、二人の姿を思い出す。

 相変わらず京太郎は困惑している状況だが、淡はそれを見逃さない。


 「キョータローっ!」

 「淡お前なんのつもりで……!?」


 京太郎が全てを口にする前に、淡は京太郎の頬にキスをした。

 ある意味親愛の表現とも言える軽いキスだが、彼女などいたこともない京太郎にしてみては衝撃の瞬間だった。


 「!!!?!?!?」

 「こういうことだから!」

 「アワイ!」

 「早い者勝ちだもん」

 「きょ、キョウタロウ!

  あっ、届かない……。屈んで!」

 「えっ、なんで」

 「早く!」

 「おいちょっとネリーまで何を……っ!!」


 ネリーも負けじと頬にキスをする。

 身長差がありすぎるために無理矢理屈んでもらって飛び移るようになってしまった。

 終わったと同時に少し離れて帽子を深く被る。


 「か、海外では普通だから!」

 「なにそれずっこい!」


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     |:.|:.:.:.:.:.:.:\!  ,, ,,                /   i!: : : : : ::i:.i////   「デジタルで完璧な計画がっ!!」
     |:.|: : : : :.:.:.i i       r== "ヽ      /   i: : : : : :.:i:.|////
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 9/10


 ……
 …

 その後、和は逃げるようにどこかへ行ってしまった。

 相変わらずポカーンとした状態で二人を見つめる京太郎。

 淡はやってやったぞとドヤ顔で、ネリーは帽子を深く被って俯いてしまっている。

 ああ、ネリーは恥ずかしがると帽子で顔を隠すんだななんて今更思った。


 「勝った!」

 「いやいや、お前何を……」

 「キョータローが悪いっ!

  女の子とデートしている最中に他の女の子と喋るんだもん!」

 「ええっ……。

  二股しているクソ野郎に評価が落ちちゃったんだけど……」

 「じ、自業自得だよ。

  キョウタロウが悪い」

 「民主主義により有罪っ!」

 「数の暴力反対っ!」


 言いたいことは山ほどあるが、淡もネリーも聞き入れてくれそうにない。


 「きょ、キョウタロウは」

 「ん?」

 「ネリーを見捨てるの?」

 「えっ……」


 見捨てる、と言われてドキッとした。

 そのつもりはなかったが、女子同士で仲良くなれば自分はいらなくなると思っていた。

 だが、ネリーはまるで麻雀をしている時のような真剣な表情でこちらを見てきた。


 「散々弄んで、キョウタロウ無しじゃいられなくしておいて逃げるんだ」

 「おまっ、人聞きの悪いっ」

 「ここで大声出しちゃおうかな」

 「わー、事案だよキョータロー!」

 「淡は黙ってなさい」

 「むぎゅっ」


 淡の?をムギュッと掴む。

 本人は不服そうだが、黙ってくれた。


 「ネリーたちのこと、ちゃんと見てよ」


 吸い込まれるような瞳で、まっすぐこちらを見据えられた。

 もう、逃げられそうにない。


 10/10


        /   /  //  . :〃  . :iト、|:. |             ヽ    ヽ  ヽ
      乂 .′ / ,イ .:/ !   . :i| |:. |\: .                  ハ
      .′ i`ーァ′/ ! .:i |   . : | |:. |  \: .  ヽ: .  ____ i-‐ ´   .
     .′  !/ . : ′| .:| |   . : | |:. |   \: .        ̄| ̄ ̄ `ヽ:
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    j〃 . :i|  :|. :|‐===┼-  | : j   -‐     \: .    . : |   . :|: . |
    /  . :i|  :{. :!  \八  . : | jノ   , -‐ __,,.⊥   . : }   . :|: . 人
   ′ . : 八  Ⅵ ≫=ミ、 . : !     ≫≦Y⌒'マハ:、  . : .′ . :|: . : .\
   i . :i    . :\{ハ 《  )i:::::::ハ\{     ″{ .)::i::::::::::}::} 》 . : /  . :/!: . \: .\
   | . :|   . :i   '. ヾ い;::::::jj         八∨乂 _;ノ:ノ  . :/  . :  |: .    : .`ー-    「ちゃんと話してよ、キョータロー!」
   | . :|   . :| . :| . :l'.   V辷ク            ゞ゚-‐ '  . :/   . :/ . :|: .  .
   | . :|   . :| . :| . :|ハ               /    . :/   . :/ .:.:|: .    : .
   | . :|   . :| . :| . :| :.       ,        /  . . : .′ . / . : :|: .     : : . .
   | . :|   . :| . :| . :|  :.             /  ,. : ,イ  . :/  . : 人: .       : : : . . .
   |..:i:|   . :| . :| . :|   ゝ.     、   ノ .′ // / . : : /  . :.:/  \: .\: .
   l :从  . : :| . :| . :{   / > .        { /'   / . : / . : : .:′    \: .\: .
   乂{: \. : :!\〉、:\_/   . : .:〕jッ。.     . ィV`ヽ /. :/ . . : :/       \: .\: . .
    `\ \{   \;/  . : .://{{   ` ´ | |│ ,// . : .:/             \: .\: . .


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         ,  ´        <⌒
        ,:'            `ヽ、
       ,                \_
                      \ } ̄´
        '              ,  \
      / ,          |/} ∧ }`ー`

       {∧          「ノ|/}/イ
      '  、       | /`/ } '
         } ∧     /イ   /    「……幻滅するぞ?」
         |' ,} \__/イ__ /
         //////////∧

        _,.{///////////|

     -=≦//////|////////≧=-- 、_
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  |/∧//////////l|///////////////|/////}
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 カン!

 投下終了


 1/10

 【はっちゃんの1日】-新訳:京霞次元-


 薄墨初美の朝は早い。

 やんごとなき事情でみんなの朝食を担当しているからだ。


 「眠いですよー……」


 二度寝の誘惑にも負けず、なんとか台所に立つ。

 今まではローテーションだったのだが、数年前からそれが崩れてしまった。

 ちゃっかり者でいいとこ取りだった自覚はあるが、まさか一人でやることになるとは思わなかった。

 とにかく早く起きたからにはちゃんとお勤めを果たさなければならない。


 『みなさん、聞いてください!』

 「あー、朝から姫様の演説が……」


 なぜか日課になってしまった小蒔の演説を聞き流す。

 言っていることはいつもと変わらないのだが、毎日繰り返されるとさすがに辟易する。


 『日本は様々な文化を編み出してきました!

  それらは決して恥ずべきことではないのです!

  そう、BLもその一つだから!』

 「そこは恥じといてくださいよ……」


 語尾を伸ばす元気も出ない。

 なんやかんやあってBLにハマってしまった姫様は絶賛布教中なのだ。

 それこそ最初は老人たちにめちゃくちゃ怒られた。

 なんとか再洗脳しようと目論む人たちはたくさんいた。

 初美もそう思っていた。

 しかしそこは神代小蒔である。

 まさかのカウンター。仲間がいなければ仲間を作ればいいじゃない。

 気づけば女性を中心に神代家はBLの渦に包まれていた。


 2/10


                  ___
               <: : : : : : : : >. . .
            . : : : : : : : : : : : : : : : : : : `ヽ
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         /: : : :/|: : : : : : :{T} |: : ト}: : : : : : : : : : : :.
        ,: : : : {斗: : : : : : lノ / : ノ ハ: : : : : : : : : :∧

        : : : :从_乂: :_:_: (ィ斧芋ミ、|: : : : : : : : / :∧
         ,: : : : :{.芹ハ`¨゙   {r': :リ }〉: : : : : : : : : /: :|
.       {: : : : :} 弋ノ     `¨´  ノ:: : : : : : : : : : : !   「確かに一般的な趣味ではありません。
          |l : : : :|   '        ム:イ⌒Y: : : : : : !
.       {ハ: : /{              } .リ: : : : : ハ{    しかし、何を以て一般的とするのか?

.       | ∨: :、   r ,         イ: : : : : / :l}
.        乂. ∨: \          イ: : : : : : : /  ノ    他人に迷惑をかけず、自らの内で完結する。
           `ヾ: : : .      <   ト : : : ::/
             >: :`: :≦:}    //: : :{          そもそも男色趣味は古来から続く由緒正しいものなのです」
         _ 。r≦: : : : : :r´ .ノ  .//: : : : ∧
      ,r≦: : : : : : : >'´ // .//: : : : : :/ }!、
     ,イ /: : : > 7´  ィ////: : : : : :/  .リ \
.    /  {: : /  / < /// / : : : : /  /    Y
    l{   !: :{  //   / /   {: : /{: { <
    ゝ_ゝ:乂 /  /   乂  |: / .乂         |
  /   - ‐アイ. /       ゞ   |        |

. /   ´-っ ././             }!
../   ィ7  /               ノ     r ミ  ハ
   /,' {.  {               ∨    /  ∨  〉


            /    .:      \
         ―-′|   / ,.     ヽ

      /  ....,  ノ / /    |l  |  |
.     /  / / /|爪/ /__./ :;  |   |  | |!
     ′/  . :/f⌒彡/7  |ヽ/  ハ |  | :从
     |/   /.:/∧ |!Yん弐Ⅳ!//⌒!/}  |/
        . :/| | ∨ 弋炒`   rテミく/  ハ  }!
        | ||! ∧ト  "   ,  炒ノムイ  | /   「ダメだこれ……」
        |リ    /  \ ー    イ7/|| j!/
          ーイ   />ー 、   / }ノ
       /   `ー-  /  ヽ }ヽ
      /               | | (
.      八   ヽ          | | |\
    r<二ヽ__l!_      | | |  ー――――  、
    ∨        \    {八ト   \ー―    \
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 3/10


 とりあえず全てを聞かなかったことにする。

 そう、今はご飯を作らなければいけないのだ。


 「ハッちゃん、ご飯は?」

 「働かざるもの食うべからずですよー」


 のそのそとゾンビのような顔で現れたのは狩宿巴。

 永水女子の中で一番料理がうまいお嫁さんのしない女の子No.1だ。

 もともとは彼女を中心にみんなでご飯を用意していた。

 しかし、それはもうできない。


 「日光が眩しい……」

 「夜型生活をしてるからですよー。

  何時に寝たんですかー?」

 「まだ寝てないからこれから……」

 「何言ってやがるんですかー!?」


 そう、巴は徹夜で乙女ゲーをしていた。

 自他共に『乙女ゲーマスター』と呼ばれる彼女はありとあらゆる乙女ゲーに手を出している。

 最初こそ買いすぎてお小遣いがなくなっていたが、小蒔が神代家の実権を握ってからはゲームし放題だ。

 しかし、こんなになってもたまにする料理の腕は相変わらずとても美味しい。

 世の中理不尽だと初美は憤った。


 「まーた新作でもやってるんですかー?」

 「うん。

  新しいソフト」

 「よくもまぁ飽きずにそれだけ出来ますねー」

 「高難易度モードが難しくて……」

 「?

  ああ、攻略が難しいキャラがいるんですか?」


 本人の名誉にかけて言うが、初美は乙女ゲーをやっていない。

 巴がやっている横で見たり、一晩中巴が語っているのを(強制的に)聞かされたりする程度だ。

 なので『難易度』と言われてもイマイチよく分からない。


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 「新作は難易度を選択できるから」

 「キャラごとの難易度じゃないんですかー?」

 「うん。

  どのキャラにも難易度があるんだ」

 「へぇ、珍しいですねー」


 ほとんど聞き流しているが、適当に相槌だけうっておく。

 巴も器用に喋りながら味付けを手伝っている。

 少しお味噌汁の味を変えているあたり、やっぱり料理はうまい。悔しい。


 「今作は『原村和モード』っていうのがあって」

 「ちょっと待て」


 思わずいつもの口調が崩れた。

 原村和。

 初美にとっては忘れられない名だ。

 そう、インターハイで苦汁を飲まされた相手の一人。


 ーーではない。

 霞の想い人である須賀京太郎が弱った時に原村和の珍行動を相談してくるからだ。

 どれもこれも初美の常識を崩すようなことばかりだ。

 最近では握手した手を目の前でしゃぶり始めたと言っていた。

 前は宮永咲相手にやっていたのにどうして俺なんだと困惑していた。

 それでも宮永咲が被害にあうよりはマシと自分を慰めていた。

 うん、やっぱりわからない。


 5/10


 「っていうかなんで原村和なんですかー?」

 「そこまでは……。

  とにかく、今回の恋のライバルは原村和って設定。

  難易度はベリーイージーからハードまで選べるんだ」

 「ああ、見た目はいいですからね。

  それなら難しいのも納得です」

 「ベリーイージーはクレイジーサイコレズのどっち」


 ん?


 「え、えっ!?」

 「基本的にこちらの行動は妨害してこない初心者向けのモード。

  男性に興味はないからね。幼馴染の女の子は食べられるけど」

 「なにそれこわい」

 「イージーは淫乱レズピンクのどっち。

  TPOを弁えない奇怪な行動で妨害してくる」

 「妨害って物理的なんですか!?」

 「下手をすると狙っていた男の子と原村和のNTRシーンが」

 「それ本当に本人の許可を取ったんですかー!?

  私は絶対にとってないと思いますよー!!」

 「ノーマルモードはオチ村さん。

  普通だけどドジっ子でみんなに大人気のヒロイン」

 「お、おう。ってか乙女ゲーなんですよね?」

 「ハードモードは純愛のどっち原村和。

  凄まじい勢いで恋愛対象とのフラグを構築して結ばれる強敵」

 「いや、そのモードだけでいいと思いますよ?

  さすがの原村和も激怒しますよねそれ……」

 「なんとかハードモードを攻略してブログにレビューを書かなきゃ……」

 「が、頑張ってくださいねー」


 初美は考えるのをやめた。

 その瞬間、後ろに気配を感じた。


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 見なかったことにした。


 7/10


 ……
 …

 「はい、霞ちゃん。

  ご飯ですよー」

 「あら、ごめんなさい。

  明日は私がやるわね?」

 「いいえ、こうして一緒に食べられるだけで十分ですから」

 「?」


 結局みんな部屋にこもってご飯を食べているのでご飯も初美と霞の二人で食べることになる。

 なんだかんだで食べ方のお行儀は二人とも良い。


 「は、初美ちゃん」

 「なんですかー?」

 「京太郎さんの話をしてもいい、かしら……?」

 「なーにを今更遠慮してるんですかー」

 「ありがとう!」


 最近の霞は非常におとなしい。

 気を遣っているのか京太郎の話をする前には必ず許可を取るようになった。

 特に初美から言ったわけではないのだが、そういう気遣いが出来るようになったのはとても嬉しい。


 「だいたい、須賀君は私にとっても友達なんですから気にしなくていいんですよー。

  それで今回はどうしたんですか?」

 「実は、最近無料通話を覚えたからちょっと電話しすぎちゃって」

 「ああ、怒られてましたねー」

 「気をつけるようにはしてるんだけれど、京太郎さんったら話題が豊富だからつい喋りすぎちゃうの」

 「それはわかります。

  私もすごいと思ってますよー」

 「でも、ちょっとエッチなのよ」

 「そりゃ霞ちゃんのドスケベボディ見ていれば誰だってそーなりますよー」

 「ぇぁっ!?」

 「なーにを今更カマトトぶってるんですかー?

  散々触手巫女調教とか言ってたくせに」

 「ご、ごめんなさい許してっ!?」


 そういえば、なんだかんだで霞だけは初美の言うことを聞いてくれた気がする。

 暴走こそしていたが初美が叱れば少しは聞いてくれていた様な気がする。

 まぁ、初美もなんだかんだで霞と話すのが楽しいのだ。


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      { i:.{   ;;;:::'::::::::::::::::::::::::/::/ .|:|      「(全く、乙女になっちゃって……)」

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.      |.:| 小 乂こソ    .乂こソムイヽ.||
.      |.:| .Ⅵ  ,.,.  ′    ,.,.,.,     ノ |.:|      「やっぱり霞ちゃんが一番マシですねー」
.      |/ .圦    r        イ¨  |/
.        个    V  ノ   イ
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 |: : : :|\|'⌒ | l: : :|   \|  ∨: :八:.:.:.,
 ' : : : |:l   __ 乂 : :|  ,イ示冬、〉:/ ミ:.:.:.:.,    「ちなみにクレイジーサイコレズのどっちを攻略すると
 |l: : : |:l_ ,竹冬、\|  .乂:ン / }::|  〉:.:.:.:..

. 八: : :|:l〃乂ン/ ̄`ー─‐‐′|::|〉/.:.:.:.:.:..`、   のどっちエンドの特典CGを見ることができます」

   \{:|i:ハー‐"  '       r|::| '.:.:.:.:.:.:.:.:.:.\
     |:| 人"     __     ,イ_}∧.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:、:..\
    ':}         ‘ ′ ...:  |八:∧:::|.:.:.:.:.:.:.:.ト、.:.:..
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         /: : :从: : : : : |八人Nノ \: :l   ⌒|   |: : : : :!`丶     \
         /: : ://:/\ : 从   __,,.  \   ≦三≧ル^Y:.\|    \
       /: : :/ /:/  |: ∧l,r≦彡'´   ,       てノ| }|\: |
.      /:.:/   /:/   :|/〈∧てノ、、   ______   `` |_ノ  ‘:|     「攻略対象変わってるじゃないですかー!?」
     //   ./:/    |\`∧    厂     `Y  人     |
.    /´    l:/    从: l ̄    〈__   -‐┘       |
            |      ‘:l    ≧=-  __  -=≦
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                「 ̄ ̄ ̄ ̄\              l__, ┴― 1
                |            ー――――一        /|


 カン!

 あわネリ次元完成しなかったんだ。ごめんね


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 【咲-Saki-】みやながけでギャルゲー【安価】


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     /:,: : : : :,: / {  {∧: {: : : : : 从: : :| \{、: : :|: : : : : : ,: |: : : : : : :|

     ': |: : : :/: |       {从: : : : :'  \{    \: |: : : : : :/: |: : : : : : :
      |: |: : : ': /|    --    \: : |           V: : : : : :': .' : : : : : : |
      {八: : :|:,: :},ィ≠≠ミ     \|  --      从: : : :/}/: : : : : : ,: |   「もー、京ちゃんは仕方ないなぁ」
      l  、 : |: V            ィ≠≠ミ、 / |: : : イ/⌒V: : : :/:/    参戦:みやながけ次元
       \|: ,  :.:.:.:.     '             |:/ /⌒} }: : :/}/     難易度:E
         V{                  :.:.:.:.:.  /    ノ 人:,:' /
         人      __              _ イ:/

           `      乂 ̄   ー‐ァ      イ: :/: : :/
           rrr==≧=- `  --  ´  r_:_´/|イ{: イ
             /|.||...................../ ̄| ̄´   7......`.. ̄ ̄≧=-、
          ,イ |.||.....................{---- 、  /...............///⌒ヽ
           /  |..V、.................|     /...............///   ∧}


 みんなのヒロイン須賀咲ちゃん!

 ぽんこつでドジっ子のコミュ症です!

 旦那さんにはちょっとキツいことを言うけれど、その実すごく大事に思っています!

 貧乳はステータスだ! 咲ちゃんはいい嫁さんだ!


. /: : : : : : : |: : .:i:.|:.:.:.:i| |:.:.:.:.:.:.|!:.:|i:.:| 、:.:.゙、::、   ゙、゙、:::::::::::;::イ/:::::::::::::::i:::::
./ : : : |: : :i:.|:.:.:.:i:.|:.:.:.i| |:.:.:.:.:.:.:.|!:.| i:.:i 、:.:.:、:.、::.:.:.!:.:iヽ/:.:.:.|/:::::::::::::::::i::::
i: |: : : |: :.:|:.|:.:.:.:i|:|:.:.:.| ! |  ..:|i. | .i: i ゙、:.:.i.;A-‐ハ:.!:.:.:.:.:.:.:..!:::::::___|::::
!:.i |: :.:| .:.:.i:.!:.:.:.|!.i! :l |:.:!:.:.:.:.:..i:.:.i ゙、! _/ハ:ハ/ |ィ;.:.,.-‐-、!:/.:.:.:.:.V/

i :|.| :.:.:i   i i_:|、!、:.:.! i:!、i:.:.:.:.:.:.i:.:.i _;彡';tr=、 ヾ、"' /ヽ |':.:.:.:.:.:.i:.:|:.:.:.:
. ! i:i!  | ..:i :i:.:.:i`iー>ト-!、丶:.:.:.:.:i:、^V i_;:::::::ヽ /      i: : : : :.:|:.:|:.:.:.:
 、:!:i、:.:.i:.:.:.:.|:.i:、:.7メ'f:::::::ヾー\:.:.:.:、`ヾ  <;;;:ン ′     ノ : : : :.:.:!:.|:.:.:.:
  ヾi 、:.\:.:\:.]〈  っ::::;:i    ̄`            _,∠|:|: : : : .:|:.|―-
    ヽ!:.i、`゙ー-r≧   >≠    ,      " "   /  |:! : : : :.:|:.!////
     |:.|:.:.:.:.:.:.:\!  ,, ,,                /   i!: : : : : ::i:.i////   「須賀君のお嫁さんですっ!」
     |:.|: : : : :.:.:.i i       r== "ヽ      /   i: : : : : :.:i:.|////    参戦:京和次元
     | |: : : : : :.:i:.:|\     ∨__ノ)   /    /: : : : : :.:i.:|////    難易度:A
     |:| : : : : :.:.|:イ |:::|l`ー-..、    ̄ ̄   /     / : : : : : :.:|/////
      |.|: : : : : :.:|:∧ i:.:!i::::::::::::::`i ー-‐ '    ,..-‐:/: : : : : : :.:.i!/////

 人気ナンバー1ヒロイン原村和!

 心優しくて料理も上手なとってもいい子!

 なんと、この情報社会でネットが得意な長所もあり!

 みんな大好きのどっち! 結婚することは出来るのか!?


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./.:.  '"   |i:.:.リ.:.:.:ハ ´""  ′        __/::}.:.:.:.:.:|:.:.|    参戦:京照次元
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 天然ぽんこつお菓子大好きお姉さん宮永照!

 実はそこそこなんでもこなせるけれどもちょっと天然で重いところもあるぞ!

 妹の代わりでもいいと思って尽くしてくれます!

 そんなお姉ちゃんを救えるか!?
 

                _, -──-  .,_
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         i     . /    」_ ′/  |   | i|  . i
.         i |   j/,    /イ`メ、   |  小 ||   ト.!
          j .|  ∨/    / |/ ヽ  |  ァT丁l   | |
         ノ i|  V    j 抖竿ミ    ノ ノ ,ノイjノ   | i
___ ____彡' , i|  i| j   八|:x:x:    /ィ竿ミ 刈    | }    「マネージャーになるんだっ」
 ̄¨ え≠  / 八 i|/l   |  |        :x:x:/ ノ    | ′    参戦:京淡次元
 /  -‐ '    ハ  八  ト、  ヘ.__ `  厶 イ   ノ      難易度:B
/    __,.斗‐=≠衣  ヽ八\ 丶.__ソ  . イ(⌒ソ  イく
     jア¨¨^\   \   \ >-=≦廴_  ア /ノヘ\
  斗ァ'′     \   \   ヾ. \___ ⌒ヾく<,_ `ヽ )ノ
/圦 |       、\   ヽ   、∨tl  `ヽ . ∨ V\ i
 { `|           Vi:\  ハ  i } |    } i }  ∨,} }
≧=- |         辻_V\`i}  i } |  /} iハ}   辻ノ
   ノ          ¨〕V//リ  iノ ////V〔    ¨〕


 プロ雀士を目指すスーパーノヴァ大星淡!

 高校時代に友達関係でトラウマを抱えているらしいぞ!

 一度デレさせれば献身的に尽くしてくれるマネージャールート解禁!

 大星淡をプロ雀士にすることは出来るのか!?


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   |:::::::::‘:::::::::::::::::::::::|\        r‐ ┐    人::::::::::::: |     「私のために、無理をしないでくださいね?」
   |:::::::::::‘:::::::::::::::::::::|::|       ` ´    イ:::_:_:__::::::::八     参戦:京霞次元
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   |:::::::::::::::‘:::::::::::::::::|八       T7^\:::::|::: / / / /Y^,
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 みんなの憧れる黒髪ロング大和撫子巨乳巫女さん石戸霞!

 しかしその境遇はとても過酷なものだ。

 そんな中、貴方と出会った霞は新たな感情を覚えていく。

 全てを捨てて彼女を救うことができるのか!?




      //ア    /  / イ   :ト、    \      \        \   \
.     // /     /  /  |    | \    \      \       \   \
.      /′i    /  /i   |    │  \      `ヽ      `ー- 、      Y⌒ヽ}
     {  |  ,:イ   :ハ`¨´`T´   |  、  \ト、  ヽ `ー- 、    \_   }
         |  | |  ト、ハ≫=zzz、   !   `¨´`¨´`¨´`¨´   |  |\    ヽ`ヽノ\
.      人  | |  |  代 {  __} \|    ィ=- ..,,__\ト、 j │ \    }     \
         \! 〉、 !  :. 乂_フ     ´下¨¨“_卞ゝ  jイ  ノ    ヽ  ノ      i
           /  ヽ ハ             弋  `フ ノ  j/`ヽ    j/       |
.           / /   / :.    ,      `¨¨´        ノ      ト、   ト、  }   「……京は生意気」
         i  |  i :从                       /  ト、   | ヽ.  ; } /    参戦:京白次元
         l 人  ト、  ト、    _          rー-イ  イ ! \ !   } / j/     難易度:A
         ∨  \! ∨V .>   `       イ {ス人jヽノ jノ    jノ  j/
               , ´∠ニニ>、 _ ... イ   /  \
                  / /ニニニニニ7   λ    /    /入
              /  {ニニニニニ7/「八.  /     //二\

 だるだるお世話されたい系お姉ちゃん小瀬川白望!

 意外とサッパリしてそうで一度迷い込んだら執着心は強いぞ!

 いつもお世話されている白望が自分からお世話してあげる人を見つけた!?

 白望の心の闇を祓うことが出来るのか!?


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                            /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::`>、::ヘ
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                      /,イ::::::::::::::/::/ :::/ ∨::::|::::::::::|:::::::::::::::∧:',

                       //:::::::::::::::/::/:::::/  ∨::j,:::::::: |: l!::::::::::::::}:::l
                       / ′::::::::::ムム:::/    }::::ト::::::〈!::イ:::::::::::: |:::|
                        {::::l!:::|:::八' {:::' `   |:/ !|::/j:/メ:::′::::::::|
                     八::{|!: !::| ,r_芋ミ    !',r示/ミ' !::/:::::::′:

                       〉!.〉:乂' ト::::::}       ん:::::::;ハ,':/:::::::/::::::|
                       /':::〃:、_! 乂_ソ       乂__,ソ,jイ:::/`::}::::: |
                    /:ノ:l:ハ :::|! ,,,,,   '     ,,,,,  /::::゙ ノ:''!::::::|
                   /::/::::|!::!::∧    ー─,     /:::/'':::/j:::::: |   「一緒の大学、行けたらいいなぁ」
                  /::://:::::::|::ヘ:::::!::>.、  ゝ -    ,イ/::/:::::/ ,':::::: |   参戦:京穏次元
                    // ,/'::::::::::::::∧:|:::::::::'>    <ノ\/:/:::: / ':::::::::   難易度:D
        r 、  r,_.    〃 ,/:::::::::::::,r七´ ̄' / ヘ ,r<´/ ,/''<:::::/ /:::::::/
        j ! /ノ }    /::::::::::::::/ !   〈.  〈 /⌒、  /    `ヽ、':::::::/
        { .{/ / / /) ./:::::::::::::::::/  j ィ7`ヽ',Y /,∧,ノ   /   \:/
        | / / ,//::::::::::::::::::::::::/   / ! {   `-/´⌒}   \     ヽ
          ヘ    (--`ヽ::::::::::::::Y{  /  |〈!  ノ-{    /    /       }
        ,人__ ,,,)〈' ∧:::::::::::ノ !  ′ .! 乂 / { ゝ イ)  /      /
      /:>、    \ ヘ::::::ノ   l   !  `|  ゝ- ' ´ ./       〈


 元気いっぱいな天真爛漫少女高鴨穏乃!

 今まで覚えたことのない感情、あの穏乃が恋をした!?

 様々な試練(意味深)が穏乃を襲う中、穏乃なりに頑張ってアタックを開始する。

 乙女穏乃と一緒の大学に向かうことはできるのか!?


                   -―……―-
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        |::|l:{  i::::::l:::| 、、、、   ,   、、、、 |::::::::|/::::::::i:.:.:.l    「京太郎君のために可愛い女の子を捜すんだっ」
         `O′ |::::::l从             j:::::::〃:::::::ィ::.:.:.l     参戦:京玄次元
        /::j  |::::::|::i::>   `   ′  . ィ:::::::/i::::::::::|::.:.:.:l     難易度:●×★▲;;;;;;
          {:::/   |::::::|::|:::::::::|>     < {::::|:::::/:/::::::::::|:.:.:.:.:l
          |::{  .从:::Ⅵ:::::::|l:::: r‐}`´ __ ノ }/:::/:/:::::::/:::|:.:.:.:.:.l
          Ⅵ  /::::ヾ::::{:::::::|l::ノ ∧__∧ ∠::::/_'::::::::/:::::|:.:.:.:.:.:l
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 お嫁さんにしたい女の子ナンバー1松実玄!

 ギャルゲーの親友キャラポジションとして、様々な女の子の情報をくれるぞ!

 しかしその実態は誰よりも闇を抱えた一人の少女。

 他のヒロインとくっつかないと強制玄ルートだが、ちゃんと彼女の心を救えるハッピーエンドを目指そう!

 今日は投下予定なかったけど、雑談を拾ってみた

 需要があったら書いてみたいけど難易度高い奴(notキチガイ次元)
 ・霞色の空世界で霞さんと明華のドタバタコメディ後日談
 ・千里山で(無自覚な)妨害に遭いつつ一人だけで頑張って恋愛する泉
 ・主従逆転京ちゃんのごり押し求婚メイド透華
 ・『もしも新訳:京霞次元で初美とくっついたら』一発ネタ


 1/10

 【特別はっちゃんルート】 -単発次元- AASS

                     ____
               ,. ´ __    `¨¨ヽ

            ,   ̄`  /  ヽ       `ヽ
           /  _     ,:   ∨   、    :.
          / /,´      /    |    ヽ     .
       / //'  ' /  ' /   l| | :  :  ∨   :
       l// / , / ' l| | |     | | |  |   |   |
     _/ ィ / { l |__|_{ |∧   }/ ' / l  |   ∧
      ̄  {〃  Ⅵィ斧从 } /-}/-/、 , /-、 ∧}
          / ,  从 Vり ∨イ ,イ斧ミ、}/ /⌒ } | '
           / イ从 l ム        Vり ム'  ノ/}'
         ´    \∧  '        ,r ' /      「初美さんのことが好きです」
               、  v   ァ    / 从/
                     \ `こ     イ  _|、
                  ` r  ´   //∧
                     /|     /////∧
                「  |   //////////> 、
              , </∧ /   {///////////////> 、
            , </////// ∨__∨//////////////////>、


       /::.::.::.::.::.::.::.::.::.::ヽ::.:\
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   ≦::.:,.........|::/|::.:: | |::|::.|::.:|::.:|::|::.:f::.::.::.::.::≧
  /::.::.j/::.::.::.:|;__jヘハ| j/)/j/jハノ::|::.:|\:\::.\
. /::.//イ/|::.:::Yう心   う心ヽ |/::.:ハ:| ヽ::|\::}

// ./  |八:{:ハ弋zソ   弋zソノ j^V |:| j/  jノ
.   {  |:|   } ,,,  '    ,,,   /  ::|
     |:|  人   r―,    - '  .::|
     |:|    > ...   イ     ::|
     i:{      |   |      乂     「……ひょぇ?」
           イ     \_

       /  :  :. ̄` ´ ̄ ..: :  \
      __,   ::  :...............:  :
    ./V|  ヽ:          :ヽ   |__
    〈  \ |::          :./|__|_/|
    |\  \__       / ̄ ̄___/|
    |  \   |     ./  /T      |
    \  ハ  |     /  / |   / | /


 2/10


 それはifの次元の話。

 霞は財布を落として、京太郎に拾ってもらった。

 そのときに霞が一目惚れしなかった、そんなifの話。

 その後、初美は何度か京太郎と接触していたが、次第に初美は京太郎と愚痴を言い合える仲になった。

 非常に活発でコミュニケーション能力が高い二人だ。

 初美としてはあくまで『友達』の範囲内での付き合いのつもりだったが、どうやら京太郎は違ったらしい。


 「えっと、言う相手間違えてますよー?」

 「間違えてませんよ!?」

 「いやいやいや、何がどうしてそういう結論になるんですかー!?」

 「そ、それはダメってことですかね……。

  わかりました首吊ってきます」

 「告白で脅迫するんじゃねーですよー!?」


 京太郎の軽口はあくまで『いつものじゃれあい』の範囲内だったが、どうも内容は深刻らしい。

 もうちょっとムードや雰囲気のある場所で告白したのならばまた違う話だったろうが、残念ながらここはファミレスだ。

 ムードもへったくれもない上に、先ほどまではいつも通り世間話をしていた。

 『ちょっとドリンクバー行ってくる』と言ったノリで告白されても冗談か何かとしか思えない。


 「なんですかー?

  罰ゲーム告白ですかー?

  それはいくら私でも怒りますよー」

 「い、いや、本気なんですけど……」

 「時間と場所をわきまえてくださいよー。

  何が悲しくて昼間のファミレスで告白されてるんですか……」

 「そ、それはまぁ……。

  言いたくなったら口からぽろっと出てきたというか何というか」


 ーーダメだこいつ、意外とダメな子だ。

 この瞬間、割としっかり者という初美の判断は覆され、若干ではあるが霞側に寄った。


 3/10


 ……
 …

 「一体何のつもりなんですかねー」


 とりあえずその場は保留にしてホテルの一室に帰る。

 未だに京太郎の狙いが読めないのだ。

 短い付き合いだが、お互いに何かと苦労しているようで気は合う仲だったと自負している。

 だがそれが男女関係に繋がるかというと、初美は首を傾げざるをえない。

 そもそも初美と京太郎が出会ったときには霞がいたのだ。


 「いや、私と霞ちゃんなら霞ちゃんを選びますよね……」


 中身はともかくとして、と心の中で続ける。そこは譲れない。

 かたや男のロマンが詰まった豊満な肉体。かたや犯罪一歩手前のロリコン真っしぐら。

 実際にロリコンに狙われたら股間を蹴り上げるつもりだが、このように真正面から告白されるとは思いもよらなかった。


 「えぇー。ロリコンなんですかねー」


 ボフンと枕に顔を突っ伏す。

 冷静に考えて欲しい。

 京太郎の身長は182cm(巴調べ)

 初美の身長は139cmだ。


 ーーそれはヤバイだろ


 思わず口調すら忘れて心の中でツッコミを入れる。

 100歩譲ってこちらが惚れるならわからなくもないが、一緒に並んで歩いていると見下ろさないといけない男側が惚れるものだろうか?

 初美はその辺りの男の嗜好はわからないが、まともな性癖ではない。

 というか、初美側からしたら京太郎と並んで歩いているとちょっと怖い。


 以前、霞に聞かれたことがある

 好みのタイプとはどんなものか。

 そのときに、私を好きになってくれたならそれでいいと答えた。

 しかし、いざこの状況になってみるとその通りの考え方ができない。


 ーーロリコンだったら嫌だな


 そんな考えが初美を支配する。


 4/10


 「(私、意外と面倒臭かったんですねー)」


 サバサバしていると自負していた。

 好きな人ができたら、簡単に尻に敷いてやると思っていた。

 だから誰でもいいと思っていた。

 でも、それは違ったようだ。

 自分の体へのコンプレックスから、『そう思わないとやっていけなかった』だけかもしれない。

 いざ好意を見せられても、それを素直に受け取れない。

 いろいろと裏を考えてしまったり、このロリ体型目当てだったら嫌だな、なんて考えてしまう。

 霞だったらどうだろうか。あのグラマラスボディ目当てで好きになられたら、どう考えただろうか。


 「(好きな人にだったら、いいって言えるんでしょうか)」


 初美にはわからない。

 所詮は生娘。色恋沙汰には疎いのだ。

 自分の持てる武器は全て使う、そんな恋愛の駆け引きとは無縁である。


 「(じゃあ私は、どんなところを好きになってもらいたいんでしょうか)」


 考えこめば考え込むだけわからなくなる。

 誰かに相談しようにも、そんな相手はいない。

 何より、初美のちっぽけなプライドがそれを許さない。


 「(あっちは年下なんですよー。何で私がリードされてるんですかー!)」


 そう考えると何だかむかっ腹が立ってくる。

 そうだ。私は旦那を尻に敷くような嫁になりたかったんだ。

 年下にいいようにされるなんて、私らしくない。


 「(とりあえず、明日会って聞いてみましょう)」


 明日、同じファミレスに来るようにメールを送る。

 時間とファミレスの場所だけ書いた簡素なメールを送ると、携帯を放り投げた。

 それを京太郎が返信するかすら確認しようとしないで、布団に潜り込んで毛布を被る。


 数分後、携帯が震える音にビクッと反応させられた。

 しかし頑なに携帯を見ずに、そのまま眠りについた。


 5/10


 ……
 …

 「のこのこやってくるとはいい度胸ですよー。

  ここがあなたの墓場です」

 「えっ、あのメールって果たし状だったんですか!?」

 「内容は指定していませんよー」

 「いやいやいや!?

  あの流れでそれはないだろ!?」

 「おや、年上に敬語を使わないとはいい度胸ですねー。

  ちょっと神様呼んでフルボッコにします」

 「神様呼べるんですか!?

  ってかフレンドリーですね!?」

 「呼べませんけど」

 「呼べねーのかよ!」


 京太郎が来るなり、初美は考えていたセリフをブチまけた。

 その反応は上々だ。いつも通り初美に振り回されている。

 そうだ、これでいい。私たちの関係はこうだったはずだ。年下に振り回されてなるものか。

 もっとも、予定の時間より一時間ほど早く来ていたことはバレてはいけない。


 ーーそもそも、須賀君も須賀君ですよー!


 普通、意中の人に誘われたなら予定時刻より早く来るものではないか。

 確かに15分前行動は立派だが、勝手に緊張して一時間も早く来たのが馬鹿らしいではないか。

 絶対に言わないが、絶対に許さない。


 ーーあーもう、私って面倒臭いですねー


 いやだ。心が掻き乱される。

 薄墨初美はこうじゃない。

 もっとこう、京太郎を手玉にとるようなお姉さんであるべきだ。

 あの永水女子をかろうじてまとめているお姉さんだ。

 たかが年下の告白で胸をときめかせるわけにはいかない。


 「そ、それじゃ単刀直入に言いますよー」

 「?

  あ、告白の返事ですか?」

 「(な・ん・で、そんな余裕なんですかー!?

  散々女の子は食い物にしてきたってことですかー!?

  私はそんなちょろくないです!

  そんな態度をとったことを後悔させてやりますからねー!)」


 やっぱり振り回されてる。

 だめだ。この感覚は慣れない。


 6/10


 「……私のどこが好きになったんですかー?」


 意を決して聞いてみる。

 そうだ、お姉さんなんだから余裕を持って本人に聞けばいいのだ。

 胸がドキドキしていることは絶対にバレてはいけない。

 こっちだけときめいているなんて、許せないからだ。


 「うっ……」


 直球で聞いたのが堪えたのか、京太郎は言葉に窮しているらしい。

 先ほどまでの余裕は何処へやら、だ。

 僅かな優越感を持って、先を促す。


 「その、初美さんってすごくしっかり者じゃないですか」

 「そうですよー。お姉さんですから!」

 「昨日話していてすごくいいなって思って、気付いたら好きだなぁって伝えてました。

  好きっていうか、一緒にいたいっていうか……。

  ああ、もちろん好きなんですけど。クッソ、何言ってんだ俺」

 「……ぷくく」

 「あっ、笑いましたね」

 「もーちょっと言葉を詰めてきてくださいよー?

  もーっとロマンチックじゃないと乙女はときめかないんですから」

 「ちなみに、何点ですか?」

 「すごく譲歩して7点です」

 「一桁!?」

 「乙女を舐めんじゃないですよー」


 だめだ。笑みが止まりそうにない。

 先ほどまで余裕綽々だった京太郎が、うまく言葉を発せていないのだ。

 そんな拙い言葉でも一生懸命思いを伝えようとしているのがわかる。

 母性本能だろうか。そんな京太郎を見ていると胸が温かくなる。

 先ほどまでのドキドキとは違って、包み込んであげたくなるような感覚だ。


 「そ、それで」

 「?」

 「返事は、どうですか?」

 「……うーん、そうですねー」


 意地悪するつもりはなかったのだが、少し溜める。

 自分の考えをまとめたかっただけだ。


 7/10


 「最初に一つ、私はこれ以上成長しないと思いますよー」

 「?

  それはまぁ知ってます」

 「それはそれでぶん殴りたいですよー」

 「どうしろと!?」

 「次に一つ、私は旦那を尻に敷きますよー。

  亭主関白を希望なんて言ったら……」

 「いや、俺もその方が……」

 「ロリコンの上にドMですか。

  救えませんねー」

 「どう答えればいいんだ!?」

 「あと、これは昨日わかった話です。

  私、意外と面倒臭いですよー。

  サバサバしてる人がお好みなら別を当たってくださいねー」

 「そうなんですかー?」

 「口調真似んじゃないですよー。

  もう、本当に仕方ないですねー」

 「初美さん、それを聞いてくるってことはつまり……」

 「……まっ」

               ,....-::::::::::::::-.、
             /'.::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
            /:/:::::/::::::イ:::::;::::::::::ヽ:::ヽ
       ,r=ニ三三':::i::::_,'_:/__|l::::イ::::::}::l::::i:::::i
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          l:l  l::/:_',/ん心.:l/: :レチ=.、!/:::::ノミミ、、
          l:!   l:l .l:.i:.:弋_丿: : : :lr':沁}}イィト;:v`ミ,,
        l!   l:l ヽi: :''': : : : : : : ー:':ムソ!! | .l:l .Y!
          l:!   、 : : t ‐ァ: : : :./ // .∥  リ
          ll    l> _: ;  ィ  // ./
              ._|: : : : :.|    '"     「わ、私を飽きさせないように頑張ってくださいねー」
            ノ|-:'_: : _:_:_:'y'ヽ

          </  l: : : : : : :.:/  /`ヽ
        /  l  .,' : : : : /  /   \
         / |   /     ,'  /      .ヽ
         / l.|  ./     |  .|  {     i
       ./  .|l ./       .|  .|  l!     .|


 8/10


 それは初美なりの精一杯の強がり。

 本当は嬉しい。自分を好きになってくれる男の子なんて想像したことがなかった。

 でも、それを素直に表現するには経験が足りなすぎた。

 だからこそこんな物言いになってしまう。

 だが、許してほしい。

 京太郎だって拙い言葉で一生懸命伝えたのだ。


 ーーそれなら、私だって今できる言葉で伝えますよー。


 「そ、それじゃこの後デート行きましょうよ!」

 「うわぁ、いきなりホテルに連れ込む気ですかー?

  男は野獣ですねー」

 「ち、違ーよ!?」 

 「……まっ、それはもうちょっと待ってくださいね。

  ちゃーんと来年から長野に行きますから」

 「えっ?」

 「なんで鳩が散弾銃食らったような顔してるんですか?」

 「それ死んでるからっ!?

  死んだ魚の眼的な何か!?」

 「残念ですが、もう逃げられませんよー。

  来年にはお嫁さん修行でそっちに行きます。

  遠距離恋愛なんて真っ平御免ですから」

 「うへぇ」

 「あれ、もう幻滅しましたかー?」

 「まさか。

  その、うまく伝えられなかったけれど、初美さんのことが好きなんです。

  どんとこいですよ」

 「もう、すがく……」

 「どうしました?」

 「きょ、京太郎はちゃんと大学出て、いい仕事を見つけてくださいねー。

  子供だっていい学校に行かせたいですし、ちゃーんと私を幸せにするんですよー」

 「そ、それはもちろん頑張ります!」

 「ふふふ……」


 9/10

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.      |/ .圦    r        イ¨  |/     「後悔したって、遅いですからねー?」
.        个    V  ノ   イ
.             ≧。.,_   < {.,_
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         }'  / |Ⅵ { 从  '  ,     }/ /イ   }     .
           / イ | l{   { ∨/      '    }   ∧ :   :.
          ´  | {|从三三 /   三三三 /  /--、| ∧{
                {从 |     ,            ムイ r 、 }} /} \
               |                ノ ' }/イ/    「後悔させてみてくださいよ!」
                {               _,ノ
                   人       _,..::ァ       r }/
                     `     ゝ - '   イ   |/
                        `  ーr  ´  ___|_
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 10/10


 ……
 …

 ・帰宅後


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       |::{|:::: | r=ミ>-:〃l{::.心 i}::V⌒ヽ:| ノ  }:.:|
.      八:.\ ト:{i:.心:::::::::::::Vrり::::::::r::::::/:|   j::/
      | |:.| l(ハ:Vリ::::::::::::::;;;;::::::::::/_ノ/.|:|    /
      { i:.{   ;;;:::'::::::::::::::::::::::::/::/ .|:|

       乂  人:::::V_ ノ:::::::::::::|/   ;'      「あっ、霞ちゃん。

            八> -イ:::::::::|    ノ
             \{ _j::::::::::::`:::::⌒ヽ      私は彼氏が出来たんで長野に嫁に行きます。
               /::::ノ ̄  .:::::::::::::::::VL_
             __ /:::     .::::::::::::::::::::| <´|  卒業後は永水をお願いしますねー」
             //     ..::>< ̄ ̄  >- 、
           //     /  /  ̄ ̄    /
            //{,    /  /   /     {
.          {| i   /  /    、{:.  ヽ


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   |:::::::: l :::::::::::|l::::::::::::|\从::l __}八{:::::::::::::l:ノ    从::::リ:::::::: 八 j
   |:::::::: l ::::::::::八::::::::::|  ,,xぅ斧笄ミ\::::::::|斗ぅ斧x )/:::::/:/  ノ
   |:::::::: l ::::::::::::::::\::::| 《 h __j刈   `ー┘ h__j_| 》厶イ イ
   |:::::::: | ::::::::::::::::::::个゙  乂廴ソ        乂_ソ ,′:::::::|
   |:::::::: | ::::::::::::::::::::::|               ,      ,′:::::::::|
   |::::::::┃ : :::::::::::::::::|    ``         `` ,′:::::::::::|
   |:::::::::‘:::::::::::::::::::::::|\  U     r‐ ┐    人::::::::::::: |     「工エエエエエエェェェェェェ(゚Д゚)ェェェェェェエエエエエエ工工工!?」
   |:::::::::::‘:::::::::::::::::::::|::|       ` ´    イ:::_:_:__::::::::八
   |:::::::::::::‘:::::::::::::::::::「:|    `       ....::|:::::l:/ / /^Yヽ
   |:::::::::::::::‘:::::::::::::::::|八       T7^\:::::|::: / / / /Y^,
   |:::::::::::::::::‘:::::::::::::::|\\     //  `丶/ / / / | !
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 -‐'^´     ‘:::::::::: |   \\ //    / / / /  /   ト、


 カン!

 次こそあわネリ次元完結させるんだ…


 1/10

 【ライバル!】-あわネリ次元7-


 「とまぁ、あんまり親しい人と付き合いが続かなくてさ」

 「……」

 「……」

 「なんだよ」


 京太郎が軽く語ると、淡とネリーは上目遣いで京太郎を見つめる。

 バツが悪くなって視線を逸らそうとするが、二人ともくるくる回って囲んでくる。


 「キョータローってさ、意外と面倒臭いね!」

 「自覚してるよっ!」


 淡は悩まずに呆れたように口に出した。

 京太郎としては自覚している内容なので耳が痛い。

 しかし、呆れているがバカにしているのとは少し違った。


 「淡はどーなんだよ」

 「うーん?

  わかんないっ」

 「わからねーのかよ!」

 「そんなこと気にしたことないもん」

 「うるせーな。

  どーせ女々しいですよー」


 答えを返してくれることを期待したわけじゃない。

 京太郎が勝手に気にしすぎているだけの話なのだ。

 別に咲だって京太郎が誘えば何も変わらずに接してくれる。……はずだ。

 だけど、どこか寂しい思いをしてしまって以来、小さなトラウマのようなものになっているだけだ。


 「……ネリーは」

 「ん?」

 「ネリーは、ちょっとわかるよ」

 「へ?」


 ぽつりと呟いたその一言。

 ネリーが自分のことを喋るなんてほとんどない。

 相当厳しい環境で生きてきたことは想像できるが、彼女が不幸自慢することはなかった。


 2/10


 「こっちに来るまでの友達、もういないから」

 「あっ……」


 その一言にどんな思いが篭っているのだろうか。

 高校一年生で留学し、ずっとお金を稼ぐために麻雀をしてきた。

 臨海で出来た友達だってネリーにとってはライバルだ。

 表面上仲良くはしてきたし、裏があって関わってきたわけじゃない。

 しかし、心の内を出すことはなかった。


 「でも、キョウタロウなら大丈夫だった」

 「そうなのか?」

 「だって麻雀弱いから」

 「何の関係がっ!?」

 「プロにならないから、手を隠す必要がない」

 「あー、そういうこと……」


 最初こそ意味がわからなかったが、最後まで聞いてようやく察せた。

 ネリーにとって麻雀は命そのものだ。

 例え淡が麻雀を失っても死ぬことはないだろうが、ネリーの場合は生活に直結している。

 だからこそ自分の手の内は決して晒さないし、自分の心だって見せはしない。

 場合によっては勝敗すら拘らない。それがネリー・ヴィルサラーゼだった。


 ーーだった、そう、過去形だ。


 「でも、アワイには負けたくなかったんだもん」

 「あわっ?」

 「友達を取られたくなかったから」


 恥ずかしそうに、帽子で顔を隠した。


 ……
 …

 『今日の流れは打つ日じゃない』


 …
 ……


 ネリーは事あるごとに流れを読んできた。

 場合によっては麻雀を打つ事を拒否すらしてきた。

 だが、そんなネリーも淡とだけは麻雀を打ってきた。


 「アワイに勝ち越してるから」

 「私の方が勝ってるもん!」

 「はいはい、引き分けだってば」


 淡にだけは負けたくなかった。それは計算抜きでのネリーの感情。

 絶対に『友達』を譲らないための示威行為。


 3/10


 「だから、ネリーはキョウタロウのことバカにできない」

 「ネリー」

 「???」

 「なんだ、淡」


 ネリーが恥ずかしそうに顔を伏せている。

 京太郎もそれを察せないほど鈍感ではない。

 初めて麻雀以外で出来た友達、それがネリーにとっての京太郎だ。

 だからこそ、これまで懐いてきたんだろう。

 自分の力を見せても大丈夫、自分の人生に影響を与えることのない。ライバルではない存在。


 だが、淡はそんな二人を見て大きなクエスチョンマークを浮かべていた。


 「ねぇねぇ」

 「だからどうしたんだって」


      ∧  ト、\ヽ   ヽ  〃⌒》
  /ハ/  } |ヽ , -‐ !  l    《
 ハ_」/   .|  | /Vり  l  |  __  o
ィチ∨_ ̄`|  l ィ巧ミ< |  | ⌒》   /
 |ァ豸坏| ソ ' i::::::} 〉| !   ヽ。  /
 l〈 {:::::::j レ'   -‐'' リ 八     /
 ト `  ̄     '  "" ノ ハゝニニ二!
 ヽ ""   ∧    ノ人\ヽ    |    「私は二人の友達だよ?」
.\\ゝ    し'  /     } \\ <
\ \ ヽ ー- r i, --  / \ヽ! \ |

  \ } }-、  r‐/ /   \  ヽ!ヽ |
ヽ.  ト j !` ̄ / /      \  | }

: : : : :/ : : : : : :| : : : :|.. : :. ゙、: . ゙、゙、. \
: : : : : |. : : : : :i |: : : :i:|. : : : ∧: :、.i. .i: : . ` 、
.: : : : : !: : : : : | |、: : :| | : : i | !: :|:| : |:、: : : : : : >
: : : : : :| : : |: i 「! ヽート!、: : リ  !: |ハ: ト : | ̄ ̄
.: : :,..-、|: : :i: :|: !゙、 _、!二゙、-| イ: リ ! |ヽ:|
: : / へ.゙、 :丶ヾヽ<´{::::i` ヽ! 1!|:/| :!ノ゙、リ

: :ヽ    \ : :!丶   ̄     Vイ:ハ |\:i
.: : 丶    \゙、        `> リ  `
ヽ: : :`┬ 、  ヾ          /
  i: ;ィノ    U     ,....-ィ /
,,:‐レリ    _       ̄ /    「は?」
゛=!_    \ `ー-、_  _/
::::::゛== 、 \   / ̄ヽ、
::::::::::::::::::::::゛===-、    >


 4/10


 「キョータローもネリーも友達じゃないの?」

 「いやそりゃまぁ、友達だと思ってるよ」

 「……」

 「ネリーは?」

 「……ぅ、ぅるさい。

  ともだちでもいいよ」


                        ____
                      ´      `丶

                    /              \
                        /        \    ヽ
                 /   ,イ            ヽ    .
                     // |  |   ' ト、           .
                 j/  ;  |  | │:!∧     i    :
                /  i |¬|ト│ |八--:一   i    i
                .:   Ν 八八 Ⅴ´\ハ         |
               i:  Λ x= ミ \ル‐ =ミV:| │  i │
               | i  iハ   .       |.:| │  i │
               | i  i:  :. "       ""  ; :| .:|  i :.
               | i:. ∨込.  マ::::フ   / イ :リ  i  :.    「じゃあ解決だねっ!」
               人八 ∨ 个ト  ,,_  <「∨ :/i   i  :.
                    /\[  |  __j_」   ∨∠:リ  リ   ::、
                /  リ jレ'´ 乂    У∨   ∧     \
                  /  /  /ー  --/ /  /⌒>、    \
                  / / /  /   广⌒゙ア  /  ///⌒\   \
            /     /   /  /   /  厶イ     ,  \ \
                 /   イ\   ,゙ /   __/   {//       |   \ \
             //  /イ 「\\_/  .:::´:::八 ∨ ′     | \      ヽ
              (/ ノ   人;::::\[__/ ::::::/::/ \∨{        人     ∨)_ノ
           \{    /   >::[_[\__;;;/    )У       〉   ト、 │
                 \__{ /::::::::几::::::\      〈          /|   |ハ |
                    [__∨::::::::∨| \::::::丶    込,,______ノ |  /  ∨
                   |__7 :::::::: ノ│  〈:::::::::|    〈 [_____________〕 |  ,   /


 「おいおい……」

 「キョータローもネリーも考えすぎたよっ」

 「そりゃ自覚してるけどさぁ」

 「私は今まで、ネリーに手加減なんてしたことないよ」

 「……いきなりどうしたの」


     /                  \
 _人_ '                      ` 、  \
  Υ'/ /  /              ト、        丶
   / /  /         |    | | Χ     }
  .′   il  /   |  | \ | / `、  リ   |
  i | _|l__∧ト、八  |   メ´  ニニ  /   } |
  | |   ||  `>x、\|   斗チ芋ミ、∨   ,′j
  | |l   l|斗示芋ミ、    ''h!::::::::}  ,′    ,
  |l 八  И'h!::::::}      乂___ノ /     /

  ||  \| 乂__ノ       /i/i/ /     /l|

  .八   ゝ /i/i/i    i       / /  / / |   「だって大学100年生だしっ!」
   ‘,\ ハ      r    ア  /l/ /  /:: |
     ト、  込、         _ノ   //  ,イ::: l|
     |l l\ \> .,_       /∨  /l|:  八_
 |ヽ.  八l_\ \-─=ー ァ--<  /   / 八 {  \ `ヽ
 | | ./ /´  ハ 〕     { 〉     ,′ /   ` ヽ  \∧
 | |/─、_ / |∨  __ Ⅴ__=|   /     〕\  \
 | | Y´ \\.ノ (`ヽ \\)     |  ,′         \ 丶


 5/10


 「プロになるまで手を隠さなくたって、あわいちゃんは負けないのだー!」

 「……だってさ」

 「……生意気。

  負け越してるくせに」

 「勝ってるってば!」

 「引き分けだって……」

 「それに、キョータローから離れるつもりだってないよ」

 「?」


        /   /  //  . :〃  . :iト、|:. |             ヽ    ヽ  ヽ
      乂 .′ / ,イ .:/ !   . :i| |:. |\: .                  ハ
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   | . :|   . :| . :| . :|  :.             /  ,. : ,イ  . :/  . : 人: .       : : : . . .   「キョータローと一緒にいると楽しいもんっ」
   |..:i:|   . :| . :| . :|   ゝ.     、   ノ .′ // / . : : /  . :.:/  \: .\: .
   l :从  . : :| . :| . :{   / > .        { /'   / . : / . : : .:′    \: .\: .
   乂{: \. : :!\〉、:\_/   . : .:〕jッ。.     . ィV`ヽ /. :/ . . : :/       \: .\: . .
    `\ \{   \;/  . : .://{{   ` ´ | |│ ,// . : .:/             \: .\: . .


 「理由なんてそれだけだよっ」

 「……そっか。

  まぁ淡ってこんな性格だよな」

 「褒められたー!」

 「うん、褒めてるよ」

 「お?

  キョータローが素直になった!

  私に惚れちゃった?」

 「ああ、惚れちゃいそーだぜ」

 「やったー!」


 自分の思う通りに突き進む。それが大星淡だ。

 その結果が失敗でも、反省してテクニカルになったスーパーノヴァあわいちゃんになる。(本人談)

 二人にとって、天真爛漫さがとても眩しい。


 「……」

 「どした、ネリー」


 ネリーが京太郎の腕の袖を引っ張る。

 相変わらず片手で帽子を深く被らせている。

 しかし意を決したのか、上目遣いで強い眼差しを向けた。


 6/10


 「……わ、私もキョウタロウと一緒にいると、楽しい」

 「へ?」

 「なんでもないっ」


 それだけ言うと、また帽子を深く被ってそっぽを向いてしまった。

 ネリーなりの精一杯だと、京太郎にも伝わった。 



 「(なーにが仲裁役だよ)」


 笑ってしまう。

 二人が京太郎に依存しているんじゃない。

 京太郎が二人に依存していただけの話だった。


 「……それじゃ、お姫様たちに感謝しないとな」

 「そーだそーだ!」

 「……そーだそーだ」

 「じゃあお姫様方の機嫌を直すために、まずはアイスでも奢ってやろうか」

 「ほんとっ?

  食べる食べる!」

 「奢りなら食べるよ」

 「おう!

  今日はダブルでもトリプルでもいいぞ!」

 「店員さん!

  ここにあるアイス全部!」

 「加減しろこのおバカ!」


 先ほどまでの雰囲気が嘘のように明るくなる。

 ネリーも心なしか楽しそうにアイスを選んでいる。嗜好品を買うことなんてほとんどなかっただろう。


 「ったく、女の子二人連れてきてくだらない話をしちゃったよ」

 「それなら私たちを満足させるのだー!」

 「はいはい、任せとけって」

 「キョウタロウ、どれがお勧め?」

 「んー、ネリーってどんな味が好きなんだ?」

 「キョウタロウが好きなものが食べたい」

 「それじゃ、チョコレートミント」

 「じゃあ三人ともトリプルで!」

 「俺はシングルでいーって。

  そんなに食えないよ」


 やはり女の子はアイスが好きなのか、二人とも元気になったようだ。

 しかし、ネリーは先ほどからアイスと京太郎を交互に見つめている。

 少し待って、アイスが届くと淡は嬉しそうに食べ始めた。


 7/10


 「頭がキーンってする!」

 「一気に食べすぎだ、このおバカ……」

 「えっへっへー。あまーい!」

 「淡って甘いもの好きそうだもんな」

 「女の子はみんな甘いもの好きだよ!」

 「そりゃそっか」


 一気に食べようとする淡に対して、少し食べたらじっとアイスを見つめ始めるネリー。

 少し考えたと思うとまた食べて、京太郎の方をじっと見たと思ったらアイスに視線を移す。


 「トリプルなんだから早めに食べないと溶けるぞ?」

 「……し、知ってる」

 「冷たいのがダメだったり?」

 「それは大丈夫」

 「?」

 「きょ、キョウタロウ!

  屈んで!」

 「?」

 「あ、あーん」


 するといきなりチョコレートミントを京太郎に押し付けた。

 普通にしているとネリーの身長では届かないため、屈んだ一瞬を狙って口の中に放り込む。

 もちろんいきなりだったため、京太郎の顔面に盛大にアイスがくっつく。


 「冷ァァァーー!?」

 「ちょ、チョコレートミントが好きだっていうからわけてあげるよ」

 「あー! ネリーずっこい!」

 「めっちゃベタベタする……」

 「ほら、私のもわけてあげる!

  あわいちゃんは優しいのだ!」

 「グハァ!

  口の中に無理やり突っ込むのはやめろよォ!」

 「ねぇねぇ美味しい?

  大学100年生のあわいちゃんと間接キスできるなんてキョータローはついてるよ!」

 「か、間接キス……!?

  ね、ネリーはそんなつもりじゃ……」

 「もっと食べていーよ!」

 「だから押し込むなァ!?」


 嬉しそうに京太郎にアイスを押し込む淡とネリー。

 同じようにアイスを食べている人たちから奇異の目線で見られる。

 だが、京太郎はそれでもいいかと少しの幸福を感じていた。


 8/10


 ……
 …


 それからデートは終わり、淡とネリーは二人で帰宅していた。

 京太郎が送るつもりだったが、『女の子の話があるの!』と言われてすごすごと帰って行った。


 「ネリーはキョータローのこと好きなの?」

 「……わからない」


 直球で聞く淡に対して、曖昧な返答を返すネリー。


 「私は好きだよっ」

 「うん」

 「ネリーはどう?」

 「キョウタロウは、ダメダメだね」

 「そうだよ!

  すっごく面倒くさいし!」

 「私たちのこと面倒見てるみたいな感じが嫌だ」

 「キョータローのくせに生意気だよね!」

 「今回のことまで、自分のこと話してくれなかったし」

 「ずーっと人の話を促してばっかりだったよね」

 「アイス、苦しそうだったし。

  もっと喜べばいいのに」

 「美少女との間接キスなのに、キョータローはワガママだよ!」

 「でも、嫌いじゃないよ」

 「それじゃ、私が貰っちゃうよ?」

 「それはダメだね」


 ネリーが不敵な笑みを浮かべる。

 かつて臨海に所属していた時にメグに向けたような、自信満々の笑いだ。

 もう、大学になって不安を覚えていた二人はいない。


 「麻雀だって、恋愛だって、アワイには負けない」

 「へっへっへー」


 淡も嬉しそうに笑う。

 弱者をただ蹂躙することは淡の望むところではない。

 そう、大星淡もまた相手が強ければ強いほど燃えるタイプだ。


 9/10


                _, -──-  .,_
               '´         `丶、
            /              \

           ,          /         \
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         i     . /    」_ ′/  |   | i|  . i
.         i |   j/,    /イ`メ、   |  小 ||   ト.!
          j .|  ∨/    / |/ ヽ  |  ァT丁l   | |
         ノ i|  V    j 抖竿ミ    ノ ノ ,ノイjノ   | i
___ ____彡' , i|  i| j   八|:x:x:    /ィ竿ミ 刈    | }
 ̄¨ え≠  / 八 i|/l   |  |        :x:x:/ ノ    | ′
 /  -‐ '    ハ  八  ト、  ヘ.__ `  厶 イ   ノ    「ネリー、負けないよっ!」
/    __,.斗‐=≠衣  ヽ八\ 丶.__ソ  . イ(⌒ソ  イく
     jア¨¨^\   \   \ >-=≦廴_  ア /ノヘ\
  斗ァ'′     \   \   ヾ. \___ ⌒ヾく<,_ `ヽ )ノ
/圦 |       、\   ヽ   、∨tl  `ヽ . ∨ V\ i
 { `|           Vi:\  ハ  i } |    } i }  ∨,} }
≧=- |         辻_V\`i}  i } |  /} iハ}   辻ノ
   ノ          ¨〕V//リ  iノ ////V〔    ¨〕



           「 ̄`ヽ-―‐---、__

           {:.. ,..-f( ))-、       ̄}
              广}___クーく.___{ ̄`ヽ ..:::/
          / ,..-‐r:r―┬r::r--、  }!V、_
          /7'..:::i::|^!...:::i:| |:ヒjハi::ヽ|! ヾヽ
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           |丶弋ツ `゙ 弋;ツ}::::.|!  }!
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.      | /ヘ ヽ..ハ                  ハ// /    
        /    \トハ      ー_,ア     ノ'´//
               |ゝ、           //イ/      「ちょっと京ちゃんのところに行ってくる!!」
              |人> ._       <:| / /
                \|\|  ー<   :|´
                     |        :|> 、
                   /|       /   \

 カン!

 難産

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 【再び】-あわネリ次元エピローグ-


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   ',: : : : 丶、 U   ,--、 u  ノ .|てヽ)

    ヽ{\ : : ㍉      ̄   , イ|__|てヽ)   「京ちゃんここどこ……?」
       `^≧|   ┬ァiフ¨  {|___| ノ
      ///∧   Kヽ、   乂   /
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    / \//////∧ー―l///// } .l  l


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: : : : : |. : : : : :i |: : : :i:|. : : : ∧: :、.i. .i: : . ` 、
.: : : : : !: : : : : | |、: : :| | : : i | !: :|:| : |:、: : : : : : >
: : : : : :| : : |: i 「! ヽート!、: : リ  !: |ハ: ト : | ̄ ̄
.: : :,..-、|: : :i: :|: !゙、 _、!二゙、-| イ: リ ! |ヽ:|
: : / へ.゙、 :丶ヾヽ<´{::::i` ヽ! 1!|:/| :!ノ゙、リ

: :ヽ    \ : :!丶   ̄     Vイ:ハ |\:i
.: : 丶    \゙、        `> リ  `
ヽ: : :`┬ 、  ヾ          /
  i: ;ィノ    U     ,....-ィ /      「久しぶりに電話がかかってきたと思ったら……」
,,:‐レリ    _       ̄ /
゛=!_    \ `ー-、_  _/
::::::゛== 、 \   / ̄ヽ、
::::::::::::::::::::::゛===-、    >


 咲から電話がかかってきました。

 最近、ちょっとナイーブになっていたこともあって出るのに躊躇する。

 意を決して通話してみたところ、まさかの迷子宣言。

 ああ、俺の悩みってなんだったんだろうなぁ……。

 淡の言う通り、俺がアホなだけだったのかもしれない。


 「いや、ホントどこだよ。

  近くに何がある?

  っていうか長野なのか? 東京なのか?」

 「か、カラスが三羽いるよ」

 「それでわかったらニュータイプ的な何かだよ」


 なんとか合流できました。


 2/10


 ……
 …

 「お世話をかけました」

 「そんなペッコリンって頭下げても許さねーぞ」

 「ほっぺた引っ張らないでぇー」


 久しぶりに出会ったと思えば、咲は全く変わってなかった。

 むしろ麻雀部に入る前のような感覚を覚えた。

 思えば麻雀部に入ってからは何かしらのイベントがあってまともに話さなかったかもしれない。

 やれ咲と話していれば和が来るし、和と話していれば咲が来るし……。


 「んで、どーしたんだ」

 「えっとね。

  京ちゃんの家に行こうと思って」

 「……咲、東京にある俺の家わかるのか?」

 「と、東京で一人暮らししていることくらいはわかるよっ」

 「OK咲者。それ何もわかってない」


 うん、本当にポンコツぶりが麻雀部に入る前に戻った気がする。


 「俺の家なんか来ても面白くないぞ」

 「面白いよ。

  京ちゃんの実家の家に行ってた時も面白かったもん」

 「そりゃカピーがいたからだろ?」

 「京ちゃんのベッドの下とか探すの」

 「そうやって俺のプライベートを破壊するのやめろよ!?」

 「すぐ見えるような場所に置いておく京ちゃんが悪い」


 まるでレディースランチを頼んでいた時のようなジト目でこちらを見てくる。

 そう言われると少し分が悪い。

 隠しておこうと言う気持ちもあったが、同時にこのちんちくりんを困らせたいという気持ちがあったのも事実。

 見つけてアワアワしているところを写メってやろうと思ったら、真顔でがっつり見始めたときには驚いた。

 こちらの方が慌ててしまい、頑なにエロ本を離そうとしない咲とプロレス状態になった思い出もある。


 「大体、机の上に日記を置いておいて二重底で隠すなんてポピュラーすぎるよ。

  デスノートでも読んだの?」

 「それ、明らかに偶然で見つかる場所じゃないよな!?」


 うん、どう考えても家捜しする気満々だったようだ。

 このちんちくりんめ……、背の縮むツボを押しておこう。


 「やめてぇー」


 やめない!


 3/10


 「それで、なんで俺の家に来ようと思ったんだ?」

 「だって京ちゃんが二股してるって聞いたから」

 「……和か」


 淡ー! ネリー! お前らのせいで俺の旧友の評価がドン底だぞォォォ!

 ジト目でこちらを見られると心が痛い。


 「誤解だって」

 「それも白糸台の人と臨海の人だなんて、京ちゃんの節操なし」

 「だからそーいう関係じゃないって」

 「じゃあどういう関係なの?」

 「どーいうって……、悩みを聞いてやって、悩みを聞いてもらった関係?

  友達だよ、友達」

 「京ちゃんに悩みなんてあったんだ?」

 「失礼な」


 なんでこう、浮気した亭主みたいな扱いを受けなければならないのだろうか。

 でも、こうして昔のように咲と話せるのは楽しい。


 「でも、ちょっと安心したかも」

 「?」

 「最後に会った時の京ちゃん、なんかおかしかったから。

  今は前の京ちゃんみたいだよ」

 「そうか?」

 「そーだよ!

  京ちゃん、麻雀部に入ってから付き合い悪かったし」

 「いや、そんなことは……」

 「お昼ご飯誘っても友達と食べるっていうし。

  ケーキバイキング誘ってもこないし!」

 「いやまぁ、いくら俺でも女の子三人以上の集まりに参加するのは難易度高いぞ」

 「ヘタレ」

 「うっせー!

  それに、女の子同士で楽しんでいるところに割り込むわけにもいかないよ。

  咲と話してたら和が来るし、和と話してたら咲が来るし」

 「あ、あれはその……」

 「?」

 「なんでもないの!」

 「それに、咲もなんだか昔みたいだよ。

  中学生の頃というか、高校初期みたいな感じだ」

 「だってもう邪魔する人はいないし、私だって寂しかったんですよー、だ」


 言い方は不貞腐れているが、顔は笑っていた。そんな咲を見ていたら、なんだか俺まで笑えてきた。


 4/10


 ……
 …

 ・在りし日の青春


                     _....................._
                ,. : ´: : : : : : : : : : `: : .、

                , :´: ,. : : : : : : : : : : : : : : : :\
               /: :/: : : :,: : ´: : : : : : : : : : : : :ヽ
            /: :/ : : : /: : : ,: : : : ,: : : : : : : : : : .

            .': :/ : : : : /: :/: :/: : ,.イ: /: : : : :|: |: : : :.
            |:〃: : : : /: :/-:/-、/ ': :': : ': |: :|: | : : :∧
            }'.': : :/^/: :/ {:/ {:/ /: /: :/: :}: :|: |: : :|: : :.
            {: |: { |: ,: /' /' /イ//':-/、:': : : : :ト: : ::.

            Ⅵ : 、{/ィ=ミ、   /' / イ: :/: :,: : : | \|

             |:从::.  :.:.:.:.      _ /イ: :/: :,: :.|
             / Ⅵ      '   `ヾ / イ: :/}: /
        ______|  、 「  v    :.:. イ: :/:イ/イ    「抜け駆けなしでどっちが告白されるか勝負だよっ」
       /<_:::::::::::::::::::\_  `ーr---- =彡j/
       {¨7=ミ、< 、::::::::::::::\___〉>、
     _| ,   ∨、:` < 、:::::∧  |::::::::::ヽ
 / ̄::::::://     |  }、:.:.:.:\、::::::. |:::::::::::/〉、
 \___ 〃     | / \:.:.:.\、::Ⅵ:::::/イ ∧
     ̄¨/       ∨    `ー ≧='-´:/ ハ :.
      /      /           {二「   } |
    '      ∧         /:.:∧    ,
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   ヽ:::::.{',从|レィ==、   ィ==x .リ/:|」|

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     |:.:.|::| : : |> , `.-- ' ,∠// /! :|    「お互い妨害なしで悔いのない戦いにしましょう!」
     |:.:.|::|   .:|ィ‐=_,,} ー  {.__//゙ /_.| i|
     |...:|::| ! :リ.|::::{_   __.//゙ / ヽ!|
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       |: : : : ::|i: : : : : : : : :              イ : : :/    「あっ……(察し)」

       |人:: : :|i: :|: : :|:::|i: :}>            イ: :|: : :
.           \八/\人八/}    ー┬‐ ≦: :人/|/
                 {^辷ー^ヽ/\/ヽア:/

.          ,r‐=ニニ二二二\           〈二ニニニニニニ┐ :/
.           /  -=ニニニニニニニ.\        ∧ニニニニニニニ.!∨ /
.       /      -=ニニニニニニ\ Y⌒Y⌒Y}ニニニニニニニj{. ∨


 …
 ……


 5/10


 ……
 …

 「お前、本当に来るの?」

 「別にいーでしょ」

 「いいけど、なんもないぞ?」

 「ちゃんといい奴履いてきたし……」

 「靴か?」

 「そこは聞こえてなくていいの!

  ほら、入るよ!」

 「おい、待てって」


 制止を振りほどいて咲は俺の家に入っていった。

 一人暮らしの大学生向けの、家賃が安くて住めればいい部屋だ。

 何をそんなに急いでいるのか……。


 ーーあれ、ちょっと待て?

 俺、鍵開けてないんだけど!?


        /   /  //  . :〃  . :iト、|:. |             ヽ    ヽ  ヽ
      乂 .′ / ,イ .:/ !   . :i| |:. |\: .                  ハ
      .′ i`ーァ′/ ! .:i |   . : | |:. |  \: .  ヽ: .  ____ i-‐ ´   .
     .′  !/ . : ′| .:| |   . : | |:. |   \: .        ̄| ̄ ̄ `ヽ:
        /i|  :|. :|  | .:| |   . : ! |:. |_,,-‐====‐\   . : :|   . :|: . i
    j〃 . :i|  :|. :|‐===┼-  | : j   -‐     \: .    . : |   . :|: . |
    /  . :i|  :{. :!  \八  . : | jノ   , -‐ __,,.⊥   . : }   . :|: . 人
   ′ . : 八  Ⅵ ≫=ミ、 . : !     ≫≦Y⌒'マハ:、  . : .′ . :|: . : .\
   i . :i    . :\{ハ 《  )i:::::::ハ\{     ″{ .)::i::::::::::}::} 》 . : /  . :/!: . \: .\
   | . :|   . :i   '. ヾ い;::::::jj         八∨乂 _;ノ:ノ  . :/  . :  |: .    : .`ー-
   | . :|   . :| . :| . :l'.   V辷ク            ゞ゚-‐ '  . :/   . :/ . :|: .  .
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   | . :|   . :| . :| . :|  :.             /  ,. : ,イ  . :/  . : 人: .       : : : . . .   「キョータロー! おっかえりー!」
   |..:i:|   . :| . :| . :|   ゝ.     、   ノ .′ // / . : : /  . :.:/  \: .\: .
   l :从  . : :| . :| . :{   / > .        { /'   / . : / . : : .:′    \: .\: .
   乂{: \. : :!\〉、:\_/   . : .:〕jッ。.     . ィV`ヽ /. :/ . . : :/       \: .\: . .
    `\ \{   \;/  . : .://{{   ` ´ | |│ ,// . : .:/             \: .\: . .


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 「……えっ?」

 「淡ィィィーーーっ!?」

 「あれー、サキ?

  おひさー!」

 「何でここに!?」

 「合鍵!」

 「自慢するとこじゃねーぞ!?」


 なぜか家に上がりこんでいる淡を発見。

 まるで自分の家のようにゴロゴロしている。

 それもちょっと目に困るようなネグリジェまで着てお泊りオーラ全開だ。


 「キョウタロウ。

  ご飯作っておいた」

 「ああ、ネリーありがとう……。

  ってネリー!?」

 「ネリーだってご飯くらい作れる」

 「いや、そうじゃなくてさぁ!」


 ひょこっと顔を出したのはネリー・ヴィルサラーゼ。

 淡とは違い、まるでぬいぐるみのようなパジャマを着ている。

 それはそれでネリーの魅力を引き出すには十分なものだ。


 「やっぱり二股じゃん!」

 「ち、違っ!

  これは違うんだ咲!」

 「どこからどう見ても誤解に見えないよっ」

 「うわー、キョータロー。

  これ、どう見ても修羅場ってやつだよ!」

 「まるで浮気相手を家に連れ込んだら彼女が家にいたってやつだね」

 「京ちゃんのばか! 不潔!

  大星さんの格好とかどう考えてもそうじゃん!」

 「違うって!

  淡、事情を説明しろ!

  咲だけじゃなくて俺にも説明しろ!」

 「うーん?」


 なんだか少し考え込んだあと、ニヤリと笑った。


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     /                  \
 _人_ '                      ` 、  \
  Υ'/ /  /              ト、        丶
   / /  /         |    | | Χ     }
  .′   il  /   |  | \ | / `、  リ   |
  i | _|l__∧ト、八  |   メ´  ニニ  /   } |
  | |   ||  `>x、\|   斗チ芋ミ、∨   ,′j
  | |l   l|斗示芋ミ、    ''h!::::::::}  ,′    ,
  |l 八  И'h!::::::}      乂___ノ /     /

  ||  \| 乂__ノ       /i/i/ /     /l|   「彼氏の家に泊まってたら元カノがやってきた、的な!」

  .八   ゝ /i/i/i    i       / /  / / |
   ‘,\ ハ      r    ア  /l/ /  /:: |
     ト、  込、         _ノ   //  ,イ::: l|
     |l l\ \> .,_       /∨  /l|:  八_
 |ヽ.  八l_\ \-─=ー ァ--<  /   / 八 {  \ `ヽ
 | | ./ /´  ハ 〕     { 〉     ,′ /   ` ヽ  \∧
 | |/─、_ / |∨  __ Ⅴ__=|   /     〕\  \
 | | Y´ \\.ノ (`ヽ \\)     |  ,′         \ 丶

              _____
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    ' __,./_/___/_/|:|__|--==: V : : : V: ::.

    /: :,: : : l : |: :|{ -| |-:l:| : : |l{,:-|--:|、|: : : :V: :
   ' : /:/: : : : |´八: { {: 从: : :{ \} 、}|:∧: : : | : |
  / イ|:l': : : :{: | ,ィチ雫ミ  \_:、 ィチ雫ミ: |: }: :| : |
     l'|: : : :∧{{ _)::刈      _):刈 V|/: /: : |
     |: : :,: :{人 弋zり     弋zり ノ'}: /}: ,: |
     |: :∧:乂l}         ,         /イ ノ/}/   「……京ちゃん?」
      l/ \叭                 ムイ://
           ゝ     ´`      イ}: /}'
            \>       </|/
            从 :|  `´  |: :/
             /⌒ |      |⌒\
           /.........∧     /...........\


                ,.  ⌒ヽ、/⌒ 、-- 、
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                ,  ´      / ,'     :    、 ヽ
           /   ,    , / /|  |  :.  | | |    ∨
         _/   / /  |_|__'_|  |   _}_|_|_| |  | :
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            / / , rⅥィ笊 从 {∨ /ィ笊_ヽ}/、 | |

            / イ ∧{ 从 Vり \∨' Vり /' / ∧{
            ´/イ }从lム     ; \     ,ノ /  \
                    | ∧ U         ∧,イ      「誤解です」
                   Ⅵム    -  -    イ //
                _ヽl\       //イ__
                |////} `  ー  ´「////|
                |////|  :.   / |/[__}/|
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 「誤解だよ。

  アワイはキョウタロウの彼女じゃない」

 「ネリー……。

  お前ってやつは……」

 「わ、私のだもん」

 「ネリー!?

  淡、お前ネリーに何を仕込んだ!?」

 「ちょっと小悪魔的な女子力アピール!」

 「京ちゃん!」

 「いや、だから誤解だって……」

 「この状況で誤解なんて言っちゃうヘタレなのも問題だよっ」

 「詰んでるじゃねーか!

  まぁ確かに美少女に迫られて役得だけど、何でこうなった!」

 「えへへー! 美少女だって!」

 「べ、別に嬉しくないし、でももっと言ってもいいよ」

 「ほら!

  また口説いてる!」

 「ちなみにハーレムはダメだよっ、キョータロー!」

 「あっ、今日は泊まるよ。

  ネリーもアワイも泊まる準備OKだから」

 「そのパジャマ姿を見りゃわかるって……。

  この狭い部屋のどこにいる気だ」

 「ムー!」

 「どしたの元カノのサキ!」

 「咲は別に元カノじゃねーって……」


            _,.......---............_
         ,. : ´: : : : : : : : : : : : : :` : : . 、
         /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :\
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    |: : : |: : : : : /: : : ,イ: : ,:|: : : : :ハ: : :l: :|: : : :V: : '.
    |: : : |: : : : 、|__/_}__/Nノ: : N、|_}_,:|: : : : | : : :'.
    |: : :ハ: |: : : ハ: / /:イ  }: :/:/ }: ∧:/: : : : ト、}: :.|
    {: : {-从: : :{/ ̄ テ雫ミ/イ /イ }イ雫}: : /:/:| リ\}

    八:{、:、__ \:lヽ  Vり         ヒり/:イ:/: :|
      `\}、: 、    /:/:/:/:/:/:/:/:/ ム:/:人: :{
     , --r--,\ ,-- 、_____  人: /  \〉    「私も泊まるっ!」
      /  |::| |::::::>  ____ソイ⌒∨
    {   ,::, {::::::::::::∧-,  r/:::::://|   }
    |   \、\::::::::::∨- /:::::://:/

    |     { 、、\:::::::∨/::::://:∧    |
    |     | \__>、_}'__>´/}   |
    |     |    `ー=-r-- ´ ,:   |


 9/10


 「いや、咲まで何言ってんだ」

 「そーだよ。

  サキはパジャマないからパジャマパーティーできないよ!」

 「お前は俺の家で何をする気なんだ」

 「ぱ、パジャマなんかなくたって京ちゃんのTシャツでいいもん!

  むしろそれがいい!」

 「!?」

 「あーっ! サキーずっこい!

  私もそっちがいい!」

 「ネリーもそっちがいい!」

 「(うわぁ……、本当なら美少女に迫られて嬉しいはずなのに……、うわぁ……)」


 寂しさなんて感じる暇もない。

 女三人揃えば姦しいというが、その通りだ。

 でも、なんだかこの空気が嬉しくなる。

 まるで清澄一年生が揃った時のような感覚だ。


 「(っていい話風に〆ようとしてるけど、こいつらどうしよう……)」

 「そーいえばこのメンツってインターハイ決勝と同じだよね! 一人足りないけど!」

 「懐かしいなぁ。

  あの時は私が勝ったけど」

 「ムー!

  もっともっと反省して強くなったテクニカルウルトラノヴァあわいちゃんなら負けないよっ」

 「今日は流れもいいし、宮永咲には絶対に負けない」

 「おいおい。

  仲良くしてくれよ」

 「これくらいじゃれ合いだよ!」

 「このメンツが揃ったならやることは一つ」

 「そうだね、みんなで仲良く!」


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     /: : : : : : : : : : : : ,ィ: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ヽ : : : : : : ヽ
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 `   ー /: : : : : : :-/:/-|: : : |: : : : : : : : : :|--- 、: : |: : : : : : : :V: : : : : : |
       ': : : : : : : /|/  |: : : |: : : : : : l: : : |、: :|: :`ヽ、: : : : : : :.|: : : : : : :|
     /:,: : : : :,: / {  {∧: {: : : : : 从: : :| \{、: : :|: : : : : : ,: |: : : : : : :|

     ': |: : : :/: |       {从: : : : :'  \{    \: |: : : : : :/: |: : : : : : :
      |: |: : : ': /|    --    \: : |           V: : : : : :': .' : : : : : : |
      {八: : :|:,: :},ィ≠≠ミ     \|  --      从: : : :/}/: : : : : : ,: |
      l  、 : |: V            ィ≠≠ミ、 / |: : : イ/⌒V: : : :/:/
       \|: ,  :.:.:.:.     '             |:/ /⌒} }: : :/}/     「麻雀しよっか!」
         V{                  :.:.:.:.:.  /    ノ 人:,:' /
         人      __              _ イ:/

           `      乂 ̄   ー‐ァ      イ: :/: : :/
           rrr==≧=- `  --  ´  r_:_´/|イ{: イ
             /|.||...................../ ̄| ̄´   7......`.. ̄ ̄≧=-、
          ,イ |.||.....................{---- 、  /...............///⌒ヽ
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         i     . /    」_ ′/  |   | i|  . i
.         i |   j/,    /イ`メ、   |  小 ||   ト.!
          j .|  ∨/    / |/ ヽ  |  ァT丁l   | |
         ノ i|  V    j 抖竿ミ    ノ ノ ,ノイjノ   | i
___ ____彡' , i|  i| j   八|:x:x:    /ィ竿ミ 刈    | }
 ̄¨ え≠  / 八 i|/l   |  |        :x:x:/ ノ    | ′
 /  -‐ '    ハ  八  ト、  ヘ.__ `  厶 イ   ノ    「今度は負けないぞー!」
/    __,.斗‐=≠衣  ヽ八\ 丶.__ソ  . イ(⌒ソ  イく
     jア¨¨^\   \   \ >-=≦廴_  ア /ノヘ\
  斗ァ'′     \   \   ヾ. \___ ⌒ヾく<,_ `ヽ )ノ
/圦 |       、\   ヽ   、∨tl  `ヽ . ∨ V\ i
 { `|           Vi:\  ハ  i } |    } i }  ∨,} }
≧=- |         辻_V\`i}  i } |  /} iハ}   辻ノ
   ノ          ¨〕V//リ  iノ ////V〔    ¨〕


           「 ̄`ヽ-―‐---、__

           {:.. ,..-f( ))-、       ̄}
              广}___クーく.___{ ̄`ヽ ..:::/
          / ,..-‐r:r―┬r::r--、  }!V、_
          /7'..:::i::|^!...:::i:| |:ヒjハi::ヽ|! ヾヽ
           {ハ:::::::f':n:i、:::::{"{::n:ヾi:::.:|!  }!'^゙
           |丶弋ツ `゙ 弋;ツ}::::.|!  }!
            |:::|:i| "  '_   " .!::::.{! o|!、
             |、::|ハ:.,、  、ノ ,..ィ:ノ::リ;》=《i ゙、
         /.:ヽハ!:r‐` T"´  !イ':":.:.:.:.:\i!     「ネリーが一番強いよ」
       r:<>、.:.:.:.:.:.ト--、   ,..-/:.:.:,:イス) >_>、
      ζ√ーァ\:.:.:.ヽ     /:fィ_トrJ しイ.,>イ
        ∀  ! `Zf┬‐-≧ーイ:.:r'´       |_)i::}
      / .,.:彡ミy' /_,.-< ̄`ヽ::::..       !::、:::i!


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      / ,          |/} ∧ }`ー`

       {∧          「ノ|/}/イ
      '  、       | /`/ } '
         } ∧     /イ   /    「(あと一人って俺ですよねェェェーーー!)」
         |' ,} \__/イ__ /
         //////////∧

        _,.{///////////|

     -=≦//////|////////≧=-- 、_
  r≦//////////////////////////////ヽ


 カン!

 反省点は多いですが、あわネリ次元完結。お付き合いして頂きありがとうございました


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 【テルー、初めてのお酒にチャレンジ】-京照次元-


 「京ちゃん、私たちの関係がマスコミにリークされた」

 「はぁそうですか……。

  ハァ!?」

 「ほら、『ついったー』の『とれんど』に上がってる」


 いつものようにだらけきっている照を甘やかしていると、衝撃的な発言が飛び出した。

 思わず耳掻きしている手を止めてしまう。


 「もう結婚するしかない」

 「いや、何の情報が漏れたんですか。

  っていうかどういうことです。

  一応照さんって大学生……、ああでもアイドル的な人気もあるし」

 「ほら、『てるてる家族』って入ってる」


 自信満々にスマフォを掲げる照に対して頭を抱える京太郎。

 心なしか嬉しそうで、頬も赤くなっている。


 「ついに私と京ちゃんの娘と息子がバレてしまった。

  京ちゃん、認知して」

 「あのですね……。

  いったい何がどうなってそう考えてるんですか。それ俺と照さんの子供じゃないですからね」

 「京ちゃんひどい。さいてい」

 「あっ、照さんに最低って言われるとめっちゃ傷つく……」


 決して自分が悪いわけではないのに何だか傷ついてしまう。

 天然さんである照に罵倒されるというのは存外ダメージが大きいものだった。

 須賀京太郎。思ったよりも打たれ弱いことに気づいたようだ。


 2/10


 「って、それってドラマの話じゃないですか。

  俺も見たことないから詳しくないですけど」

 「むすー」

 「なーんで、口でふくれっ面表現してるんですか」

 「ひょうちゃんいたひ」


 全く心当たりがないのに一瞬ドキッとしてしまった。

 照の口から『私の子供』なんて単語が出てきたことがなんというか背徳感を覚える。

 なんだかんだで照は色っぽい。

 本人が全く気を遣っていないのとお世話されたがりだから普段は気づかないが、アイドル的な人気すらある。

 起伏がないといえば悪く感じるが、顔も可愛くスレンダーなのだ。

 お風呂上がりの髪の毛を拭いている様や蒸気している顔にドキッとさせられたのは一度や二度じゃない。

 しかし、付き合い始めるより先にお世話する関係になってしまった都合上いつ手を出していいのかわからないのだ。

 それに照自身もいつでもポーカーフェイスで甘えっぱなし。

 どこでOKサインが出ているのか全くわからず、ヘタレルートを爆進している。


 「(この人はもー、人の気も知らないで……)」


 こうして頬を引っ張っているだけでいい匂いがしてくるのだ。

 健全な男子大学生には些か衝撃が強すぎる。

 まともなお姉ちゃんモードに入った照は京太郎の好みどストライクである。

 さらに言えば、いつものだらしない天然照さんモードも庇護欲が湧いてくるからやっぱりストライクだった。


 「そこで私は考えた」

 「あっ、まだ話続くんですね」

 「うん、お酒を飲む」

 「……は?」


 うん、とりあえず話が何もつながっていないことだけはわかった。

 どうやら照の中では完結しているらしいが、何を考えているのかさっぱり読めない。


 3/10


 「私も二十歳になったからお酒を飲んでもいい」

 「そーいえば照さんってお酒飲まないですよね。

  お菓子ばっかり食べてるし」

 「私は大人の女性だからお酒くらい飲める」

 「そこで変な対抗心を抱く必要はないと思う……」


 しかし照が一度言い出したら聞くはずがない。

 京太郎の膝に頭をぐりぐりと押し付けたかと思うと、未練を断ち切りフラフラと立ち上がる。

 どこか不安になりながら成り行きを見ていると、トテトテと戻ってくる。

 可愛いな畜生という気持ちを抑えながらどや顔を抑えない照を見据えた。


 「ビールを買ってきた」

 「ああ、だから今日冷蔵庫を開けさせてくれなかったんですね」

 「京ちゃんは私が大人になるところをしっかり見届けるべき」

 「(なんでこう、そんな危ないセリフをポンポン言うのかなぁこの人は!)」


 俺が大人にしてやるぞ! と言えたらまぁこんな関係になってないんだろうなぁ。

 あくまで照が信頼して体を預けてくれたからこういう関係になれたわけだ。

 だからこそ、何かとタイミングが難しいわけだが……。

 とりあえず不用意なセリフは心臓に悪い。


 「さきいかも用意した」

 「そういうのは覚えたんですね」

 「菫がさきイカとサラミをツマミながらビールを腰に当てて飲むのが美味しいって言ってた」

 「(ゴメンなさい先輩。今聞いちゃいけないことを聞きました)」

 「では、いざ」

 「あっ、照さん。

  ちょっと待ってください」

 「?」

 「よし、これでいいですよ」

 「なんだかわからないけれど、飲むね」


 京太郎がお風呂場に行ってとあるものを取ってくると、照は意を決してビールを飲み始めた。


 4/10


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      {  |:: 八ハ{ {{   }}     ゞ==(⌒) | :: /:::::|

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            ' | ,..- | | | ,ィtォ=ミ∧ |,ィtォ、} / |l ハ\_、
          /イ{ { r 从 { Vソ   ∨' Vソ/イ |∧}
            ∨乂   \            |/ j' リ
            }∧ ー:.          `   ムl/
            /  、 八 U   _ _   人     「タオルっす」
               }イ/|\        /
              「<l|  `  .__/_
              |////>、     | 「/|
              -=≦、[二]//l}    |、}l∧_
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 5/10


 案の定すぎる展開。

 京太郎は照がビールを口に含んだ瞬間にタオルを下に敷いておいた。


 「なんでみんなこんなものを飲めるの……」

 「俺もよくわかんないですけど、大人の味ですから」

 「私だって大人だもん……」

 「はいはい。チョコレートでも食べますか?」

 「せっかくだからさきイカとサラミを食べる……」

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:|: : :八: : : : :|: {                ノ'/
:|: : : : :l : : : 从|   、             /   ぱ
从 : : ∧: : :| }'    \       ,ィ-く       く
{ \:.{ \:j     ∧、`: .     イ¨´ゝ \ ,rー---- 、        「ん」
  | \  \   / ノ }: : /:7´: :/    `\乂_   \
  | ̄ ̄\  --/  ` <:∧:{     ( ̄ ̄`ヽゝ、  `ー--
  |     \ /       `<      `T¨¨¨¨ヽ `
  |      /             >- 、   乂二二フ
  |   , -/       ,. <>´/⌒,ム    乂__フ   __
  |   /      ,. <> ´ イ     マム          ` ̄´
  |_/     ,. <>´> ´:.:.:/     マム
 ィ介ヽー― ´> ´イ:.:.:.:.:.:./        ∨}

 「こっちは美味しい」

 「そりゃ良かったです」


 片手で器用に照に餌付けしながら、もう片方の手でタオルを使って照を拭く。

 この辺りの動作が非常に手馴れていた。


 「あんまり服にかからなかったみたいで良かったですね」

 「うん。

  京ちゃん、ありがとう」

 「いえ、可愛い照さんが見られたからいいですよ」

 「……京ちゃん!」

 「ハハッ、じゃあこのビールは捨てちゃいますねー」


 恥ずかしがって暴れる照を横目に、京太郎は席を立つ。

 照が飲めない以上、家には未成年の京太郎しかいない。

 そうなればもったいないが捨てるしかない。もう口もつけてしまったことだ。


 「(でも、勿体ないよなぁ)」


 だが、京太郎もそんな優等生ではない。大人に憧れる子供の年齢だ。

 捨てる直前、ゴクリと喉を鳴らした。


 6/10


 ……
 …

 「京ちゃん、遅い?」


 ビールを捨てに行っただけなのに、と照はクエスチョンマークを浮かべる。

 このままでは一人でさきイカとサラミを食べつくしてしまう。

 そうなれば夕食を食べれなくなって京太郎に怒られる。

 しかし手は勝手にサラミに伸びていく。


 「こっちは菫がハマるのも納得」


 モグモグと咀嚼しながら京太郎を待っていると、フラフラとよろけながら現れた。

 本当はお酒の勢いで思いっきり甘えて『そっちの意味でも』大人にしてもらおうかなんて強かに考えていた。

 その辺りは天然さんでもしっかり女性である。しかしこうなったらもう普段通り甘えるしかない。

 口の中の苦味が取れるくらいに京太郎に甘えようと立ち上がったその瞬間ーー


               __  /⌒ヽ
                 ⌒\ ∨   ヽ___
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          / ____    /  l|     | :.     \
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              /  /   //  ,∧    / ,イ  l| :.  .  .
          / イ / // : l  |    ' / !  从 |  :   :.
         .'/  ' ' /-|-{ {  |  /}/  | / } }  |    .
         }'  / |Ⅵ { 从  '  ,     }/ /イ   }     .
           / イ | l{   { ∨/      '    }   ∧ :   :.
          ´  | {|从三三 /   三三三 /  /--、| ∧{
                {从 |     ,            ムイ r 、 }} /} \
               |                ノ ' }/イ/
                {               _,ノ       「照さん好きだー!」
                   人       _,..::ァ       r }/
                     `     ゝ - '   イ   |/
                        `  ーr  ´  ___|_
                     ___|     |//////|
                   {|___ノ  __|[_]//∧_
                 /// |____|///////////> 、

                     ///// |   /////////////////> 、
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      :|...|....|┬─┬    ┬─┬ |............|:
      : |...ト..| 乂:::ノ     乂:::ノっ|............|:
    :i|...|....|                 |............|:
     :||...|..人     , _       人.......l..|:    「!?」
      八Λ.....>      _   .   <......../|/
      \|\_,ノ⌒ 〈___/ ⌒>‐-ミ:

      ;/ ̄ |:\ ∧ /  /:::::/  \;
       :/   |:::::::\ ∨_/:::::::::/   ハ:
      :/     \:::::::Χフ:::::::::/
     /        ̄/:Τ:< ̄        ',;
     ;\   |    〈::::∧:::〉       |  /:


 ーーいきなり抱きつかれて舌を入れられた。


 7/10


 「んっ、京ちゃ……!?!?」

 「口の中苦いだろ、照。

  俺が溶かしてやるよ」

 「ん……っ!

  やっ……!!」

 「嫌じゃないでしょ?」


 今までポッキーゲームの要領で恋人っぽく触れるだけのキスをしたことがある。しかし照にはそれが精一杯だった。

 今日も覚悟こそしてきたが実際にやられてみると予想外すぎる。

 先ほどまでのお酒の苦味を忘れるような情熱的なキス。

 しかしどこか酒の匂いは増している。


 「(きょ、京ちゃん。

  お酒のんだ……?)」

 「照って無防備でエロいよな……。

  誘ってるんだろ?」

 「さ、誘ってない」

 「でも嬉しそうじゃんか」

 「んっ!?」


 素直じゃない口は塞いでしまうと言わんばかりにもう一度塞がれる。

 ドンドンと強めに京太郎の胸板を叩くが体格のいい京太郎はビクともしない。

 それどころかより強く抱きしめられて拘束される始末だ。

 もはや照は自分の意思で動くことすら出来なくなった。


 「(痛いけど気持ちいい?)」


 まるでマッサージをされている時に痛いくらいが気持ちいい、という感覚に近いだろうか?

 体は間違いなく痛がっているのに、脳内から麻薬のような何かがドバドバと出ていて『気持ちいい』と感じてしまう。

 少しずつ体は押されていき、ついに壁と京太郎にハサまれる形になって下がることすらできなくなった。


 「(こ、これが壁ドン……)」


 破壊力恐るべし、と冷静に脳内で分析する。

 とろけるような感覚の中、逆に冷静になっていく部分も強かった。


 8/10


 「てる、さぁん……」

 「……ぅぇ?」


 しかしそこまで行って京太郎が力尽きた。

 照にもたれ掛かるように脱力し、壁に押し付けながら倒れていく。

 胸の中で赤ちゃんのように寝息を立て始める京太郎。

 そしてそれを母性愛で受け止める照。

 照は火照りきった顔を慌てて落ち着かせる。


 「(なんだかよくわからないけど、すごかった)」


 ある意味では作戦成功かもしれない。

 いつもとは逆に抱きついてくる京太郎の頭を優しく撫でてあげる。

 とてもではないが動かすことは出来そうにないため、近くにあった毛布をかけてあげる。


 「(あ、あとは一緒に寝ればいい)」


 菫から断片的に聞かされた恋人の営みを一生懸命再現する。

 だが悲しいかな、いろいろと保健体育の知識が足りていなかった。


 「や、やっぱりお姉さんキャラの方が好きなんだね」


 胸が大きくて家庭的な女性。なんとなくそういう人が好みだと聞いたことがある。

 胸は残念ながらどうしようも無いので諦めてもらうとして、一応途中から母子家庭で育ったので家庭的な面には自信がある。


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               ̄´  |: ∧: :| _)雫ミ从: : :|  _}∧:_:/ }ヽ : : : /: : : : : :
                |: : : Ⅵ V::ノ   \|´_)笊雫ミ/: : : :/:/: : : : : : ,
                |: : : ,: |    ,      V:::::ノノ' : : イ:.イ: : : : : : ,′
                |: : :j:从            /:/ /' ノ: : /: : :/
                |: : ,|: {: : .    _      ´ ィ: ー ´: : :/: : :/
                |: :/|: 从: : : . ‘ ’      イ |: :/ : : :/: : :/    「子供出来ちゃったら結婚しないと……」
                |:/ 从{_r--'´` ー 、-=≦   ∨: : : /: : :/
                }'   / ||:|       ∧    /,': : : /: : .イ
                  / ||:|    /   _,./ / : イ:/\
                   / ∧:{   /⌒\´/   ´  ´     、
                  ,   {:.:\、 ,′  /     ,. ---――‐`ヽ、
               /  ∧:.:.:. ∨  /_,.:.―:.:.´:.:.:.//    Ⅵ |
                 {__  ,  \:.:.:{_/--  ´:.:.:.:.:.:.:./ ,      マ |
              //≧=-  〉介、______/_ /       } |
            //> ´ ` <≧=--r-- 、     ̄,:'        | |
            ,く ̄´          ` / /^T \   {          マ〉
         r つ ` <        / ∧__|>´|  ∧          }


 ーー須賀京太郎に逃げ場なし!


 9/10


 ……
 …

 ・後日
                 _. . : :―――: . .
             ,. : :´: : : : : : : : : : : : : : :` : 、

            /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : \
           .:' : : /:,: : : : : : : : : 、: : : : : : : ヽ : : ヽ
           /: : :/: :/:/: :, : : : : : : |: : :!: : : |: : ∨: :∧
          , : : /: :/:/ : / 、: : : : :.ト、: |:|:{: :|: : :.| : |: : .
           /: : 〃:/:/|:从-、}:、: : : :.|-从}-Ⅵ : : | : |: : |
         /: : ィ: : :{: |r----从\: : |, ---- ミ: : :,: :/: : ,
          ̄´  |: }从:{   ⌒Y   ∨  ⌒Y }: :/}/Y : ′
           |: : : :/   乂_ノ     乂_ノ /:イ  /: :,′
           |: : : { ////        ////r-: ': : /
              从: : 乂      ^ー(    イ: : :/: :/    「昨日の京ちゃん、すごかった……」
            ∨: {:从{¨¨, ィ「 ̄ 7¨´、_: 从:イ: :/
               \|  / \ ∨^/  />/' }:/
                 / |乂\∨_,イイ/  }
               {/⌒ア `ー介 -‐´ {__〉
               {`ー∧ /:∧:.、  |- r'


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: :ヽ    \ : :!丶   ̄     Vイ:ハ |\:i
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ヽ: : :`┬ 、  ヾ          /
  i: ;ィノ    U     ,....-ィ /     「(いったい何をしたんだ俺ェェェーーー!?)」
,,:‐レリ    _       ̄ /
゛=!_    \ `ー-、_  _/
::::::゛== 、 \   / ̄ヽ、
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 10/10


 ……
 …

 ・電話


       -─===‐-ミ
   ´.: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: 、
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.: .:|.: .::| |.: :/  |.: .:八ノ    ハ:.:|::. :.
.: 八.: :|┬─┬}/  ┬‐┬‐ .:.:|`ヽ}

.:/⌒ヽ} | :::::: |   三 | :::::|  .'.:.::|
.:{    '└─┘    ̄ └‐┘ l.: .:|
人_    u              j.: .:|
i.:.: .: .>      )‐┤    イ.l: ::'    「私の彼氏は超絶論かもしれない……」
i.: .: .:i .: : _;〕ト  _/| h ≦.:.:.|: 八/
ト、.: .:|/⌒ 、_| | | | ト、`〉、|/

| \{ .,_  \|     |/ ハ
  / ヽ >   |    ノ / ∧


        ,. . . -――- . . .、

      ,. :' : : : : : : : : : : : : : : : :>.、
    ./ : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : \
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   / : : : : : : : : : : : : / l: : : : : ト、: : : : : : :.
  ,' : : : : : : : : : : : : /  l . . . . l .',: : : : : : : :.
  ,' : : : : : : :l: :,i : : / U l: : : : :!  ',: : :l: : : : :.
  i: : : : : : : :l /{ : /-一' レl: : ノー-,: : l: : : : : i
  !: : : : ;、: :レ l〃⌒ヾ  l/ 〃 ヾ: :l: : : : : :l
  ',: : f⌒\{  {l   l}    {l  l}Ⅵ: :、 : : !
  ',: {      乂_ノ     乂ノ .l: : :}\ノ
   ',:乂_          `    .!ヘ:ノ( ヽ
   ',: : : : 丶、 U   ,--、 u  ノ .|てヽ)   「それを聞かされた私はどうすればいいの……?」

    ヽ{\ : : ㍉      ̄   , イ|__|てヽ)
       `^≧|   ┬ァiフ¨  {|___| ノ
      ///∧   Kヽ、   乂   /
     //////∧    }//> , 、 }  l
    / \//////∧ー―l///// } .l  l


 カン!

 一年大将ズはめっちゃ好きだけど>>1の実力では表現しきれないんだ…
 SSでネリーを表現するのがムッズい

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 【限界チャレンジ!】
 【咲ちゃんの好みの男性像】
 【新訳:乙女のどっち次元】(仮)


 1/10

 【限界チャレンジ!】-単発次元-


 全国大会が終わって祝賀会。そして宮永咲と宮永照の和解。

 なんやかんやで大会参加者が朝から雀荘に行って麻雀を始めました。

 細かい理屈は無しにして始まった麻雀練習。


 「あと一人」

 「誰か相手はいないものか」

 「誰もこないね……」


 咲、照、衣の三人は卓に腰掛けたままもう一人を待っていた。

 『おーい四人組作ってー』と言われたが残り一人が足りないようだ。

 最初は何の因果か照や咲に興味を持った赤土晴絵が打つ予定だったのだが、『ちょっと小鍛治プロにリベンジしてくる』と言ったきり帰ってこない。

 仕方なく他の人を募って始めようとしたが、既に他の卓で始まってしまっている。

 見学している残りの面子も『お腹が痛いからそこの卓には入れない!』と言い出して拒否してくる始末だ。


 「おーっす、咲。

  あれ、まだ一人足りないのか?」

 「京ちゃん」

 「清澄の男子か……?」

 「初めまして京ちゃん。結婚してください」

 「はえっ!?」

 「お姉ちゃん!」

 「冗談。妹の彼氏を取ったりしない」

 「か、かかかか彼氏違いますっ!」


 そんな中、カモがネギ背負ってやってきた状態の須賀京太郎。

 彼は裏方としてハギヨシと共にセッティングしていたため、麻雀を打っていなかった。

 もっとも彼の性格からして最初からこの場にいたとしても『女子しかいない中に混ざるのはハードル高いっす』と言っただろう。


 「良かったら彼氏くんが卓に入ればいい」

 「だから彼氏違いますっ!

  ……ってお姉ちゃん、なんてこと言うの!?」

 「?

  別に麻雀を打つだけなんだから誰でもいい」


 2/10


 「(有象無象の一人にしか見えないが……。

  だが、衣すら支配しかねないこのオーラはなんだ?)」

 「マジっすか!?

  あっ、でも……」

 「?」

 「インターハイチャンプと打てる機会なんてもう一生ないだろうけど、俺弱いから足引っ張っちゃいますよ。

  それに咲と衣さんまでいたら一瞬で吹っ飛びます」

 「大会でもない麻雀で気にする必要なんてないよ。

  麻雀を楽しく打つのが麻雀部」

 「で、でもやめた方がいいんじゃないかなぁって」

 「衣に麻雀の楽しさを教えてくれたのは咲だろう。

  案ずるな、初心者を一方的に伏すほど今の衣は鬼ではない」

 「それに、咲だって彼氏くんと同じ麻雀部なんだからいつも打ってるはず」

 「(い、いつも打ってるから止めてるんだよぅ……)」

 「じゃあお言葉に甘えます!

  うわぁ、インターハイチャンプと打てるなんて夢みたいだ」

 「ふふっ、咲と結婚したらいつでも家族麻雀できるよ」

 「お・ね・え・ちゃ・ん!」

 「お姉さんは冗談が上手いっすね!

  でも俺はお姉さんの方が好みですよ!」


                 _. . : :―――: . .
             ,. : :´: : : : : : : : : : : : : : :` : 、

            /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : \
           .:' : : /:,: : : : : : : : : 、: : : : : : : ヽ : : ヽ
           /: : :/: :/:/: :, : : : : : : |: : :!: : : |: : ∨: :∧
          , : : /: :/:/ : / 、: : : : :.ト、: |:|:{: :|: : :.| : |: : .
           /: : 〃:/:/|:从-、}:、: : : :.|-从}-Ⅵ : : | : |: : |
         /: : ィ: : :{: |r----从\: : |, ---- ミ: : :,: :/: : ,
          ̄´  |: }从:{   ⌒Y   ∨  ⌒Y }: :/}/Y : ′
           |: : : :/   乂_ノ     乂_ノ /:イ  /: :,′
           |: : : { ////        ////r-: ': : /
              从: : 乂      ^ー(    イ: : :/: :/     「!?」テルーン
            ∨: {:从{¨¨, ィ「 ̄ 7¨´、_: 从:イ: :/
               \|  / \ ∨^/  />/' }:/
                 / |乂\∨_,イイ/  }
               {/⌒ア `ー介 -‐´ {__〉
               {`ー∧ /:∧:.、  |- r'


         ,. : : :  ̄ ̄: : : : .
       ,. : ´: : : : : : : : : : : : : :`ヽ、
     / : : : : : : : ,: : : : : : : : : : ヽ:ヽ

     .': : :,: : /: :/: :|: : ||: :V: :V : |: :V:.
     ' : : /: /|:_/__ノl: : |{:、_|_|: : |: : |: :.
    /: : : :|: |:_V {:/:从: :| 、{ \:l从|: : | : i
   ': :,ィ/: |: |: ,イ_)笊 \  イ_)斧ミ|/: ,.: :|
  {:イ/ ': : Vl { Vzソ      Vzソ / : イ : |
    l' |: ,: {`\ `¨´  '  `¨´〈:イ )}: : ,    「ム……」
     |∧乂ム  ''''        '''' ムイ|: /
     '  }:∧个 r 、_- -   イ : /|/
       '  ヽ: :/ / }-、_,.ィ : /: イ
          _,..{   ' ' ノ {-く
     r<........../\___}__,/........> 、

     「\..、...rく\___,/ /.........../..>、


 かくして、凡人の限界チャレンジが始まった!


 3/10


 ・一局終了


  /           ∠  -───-ヽ \
  /     /     ´              ヽ
. /      /      /          \  \   、
/      /      /   /     l     \ヽ、\  ハ
     .′   | /  / ,イ   |   }  } ハ  ヽ  !
     l     | {  ハ/ |   ,!   ノ Xハl | l } |
      ′    { 「¨丁≧ト、/|   イ小 } | } イ ′
    /       `ト ァ=テ≠ミ、7}  .;ィ≦ア// /レ }/
    /      /《  ん.:cl  // !:cjレイ / /
   ,/       ∨    ヒ'tツ    ┴'イ/ィ′
   ハ      l   : :::::: :    ' :::::八 |     「(複雑怪奇。果たしてこれは麻雀なのか……?)」
  〃イ      ; ト 、 u    __ _  イ   !
  l| |     l |  丶、  ´    <「|  |
\|| |     | |>  、 7lー≦}|-─‐'、  |
  || |     | |__/`Yヽ、 }}」- ─┐∧
  || |     | l─ >r─r≦─── | ヽ'.
  || |     | |  -‐}  j二ヽ、    /   ハ 、
  || |     l∧/ _ノハーf ̄   \ イ   l: | \


v       -─===‐-ミ
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.: .: .: .: .: .: .: : |.: .: .: .:|   \|.: .: : :.

.: .:|.: .::| |.: :‐/、|.: .: :l .:|   -‐.:|、.: .: ::.
.: .:|.: .::| |.: :/  |.: .:八ノ    ハ:.:|::. :.
.: 八.: :|┬─┬}/  ┬‐┬‐ .:.:|`ヽ}

.:/⌒ヽ} | :::::: |   三 | :::::|  .'.:.::|
.:{    '└─┘    ̄ └‐┘ l.: .:|
人_    u              j.: .:|
i.:.: .: .>      )‐┤    イ.l: ::'    「(なんかすっごく打点が上がる……)」
i.: .: .:i .: : _;〕ト  _/| h ≦.:.:.|: 八/
ト、.: .:|/⌒ 、_| | | | ト、`〉、|/

| \{ .,_  \|     |/ ハ
  / ヽ >   |    ノ / ∧


        ,. . . -――- . . .、

      ,. :' : : : : : : : : : : : : : : : :>.、
    ./ : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : \
   /: : : : : : : : : : : : : ,ィ: : : : : : : : : : : :ヽ

   /. . . . . . . .    / l: : : : : ト、 : : : : : :.
  ,' : : : : : : : : : : : : /  l . . . . l .',: : : : : : : :.
  ,' : : : : : : :l: :,i : : / U l: : : : :!  ',: : :l: : : : :.
  i: : : : : : : :l /{ : /-一' レl: : ノー-,: : l: : : : : i
  !: : : : ;、: :レ l〃⌒ヾ  l/ 〃 ヾ: :l : : : : : !
  ',: : f⌒\{  {l   l}    {l  l}Ⅵ : 、 : : !
  ',: {      乂_ノ     乂ノ .l: : :} \ノ
   ',:乂_          `    .!ヘ:ノ
   ',: : : : 丶、 U   ,--、 u  ノ         「(京ちゃんェ……)」

    ヽ{\ : : ㍉      ̄   ,, ''
       `^≧|   ┬ァiフ¨
      ///∧   Kヽ、

     //////∧    }//> , 、
    / \//////∧ー―l///// }


 4/10


 「あーもー!

  勝てないってわかってるけど、やっぱり盛大に吹っ飛ばされたー!」

 「き、清澄の……。

  これはわざとやっているのか?」

 「?」

 「自覚なし、だと……?」


 結果はもちろん、跳満倍満三倍満の乱舞で京太郎が振り込んで終了。

 照は照魔鏡を使っている東一局で聴牌する始末で混乱し、衣の一盃口地獄すら突破して残り三人が聴牌していた。


 「こ、衣の支配を上回る男児がいるとは」

 「咲、これはどういうこと……?」

 「わからないよぅ……。

  というか京ちゃんも京ちゃんだよ。

  前に打った時よりおかしいよ!」

 「?」


 だが打っている京太郎本人には自覚がない。

 本人としてはこの三人と打てただけでも奇跡だと感じているし、もともと女子相手に自分の実力が通じると思っていない。

 『やっぱこの三人はすげーな!』ぐらいで思考が止まっている。


 「作戦ターイム!」

 「お、おう?」


 咲が珍しく声を上げたかと思えば、照と衣もすごい勢いで頷いた。

 そそくさと三人集まって屈んで作戦タイムを開始する。

 京太郎は何が起こっているか全く理解していない。


 「咲」

 「そんな顔で見られてもわからないよぅ。

  そういうのを調べるならお姉ちゃんの方が得意でしょ」

 「あれがオカルトであることは間違いない。

  彼氏くんと同卓した途端、私の支配が上書きされた」

 「衣も同じだ。

  全ての牌が、そう、まるで衣の手の中に流れてくるようになった」

 「前はここまでじゃなかったんだけど、それでも『こういう感じ』はあったよ」


 三人ともチラチラと京太郎を見る。

 京太郎は一局打てたことで満足したのか、他の人たちにお茶を注いで回っている。


 5/10


 「確か『須賀京太郎』と言ったな」

 「そうだよ」

 「名は体を表す。

  須賀の池とは須佐之男命の安住の地。

  そして『京太郎』とは日本の中心。彼に須賀の血筋が流れてるのは思えないが……」

 「うん。須賀の地なら自分ではなく同卓している人の力を増しているのかもしれない。

  それこそ『清々しく』麻雀を打てるように」

 「(どうしよう、お姉ちゃんと衣ちゃんが何を言っているのかわらかない)」

 「なるほど、こじつけのように思えるが須佐之男命ならば天照大神が敵わぬのも道理」

 「困らされて天岩戸に隠れちゃうね」

 「(どうしよう……。

  久しぶりに再会したお姉ちゃんが中二病になっちゃったよぅ)」

 「それに天照大神と須佐之男命は姉弟。

  奇稲田姫に値する咲と彼氏くんが結婚したら私と彼氏くんが姉弟になる。

  あながち間違ってなさそう」

 「私と京ちゃんがけっこ……ぅぇぇぇぇぇ!?」

 「嫌だった?」

 「い、嫌じゃないけど……、だから彼氏じゃないもん!」


 周りからすれば本当に何を言っているのかわからないトークではあったが、本人たちは真剣だ。

 なお、本来の須佐之男命の逸話はとんでもないものが多いので調べてはいけない。


 「しかし、それならば衣たちのやることは一つ」

 「うん、そうだね」

 「えっ、お姉ちゃん何考えてるの?」


 ギラリと目に火を灯す衣と相変わらず無表情の照。

 相対的な二人だったが考えたことは一緒らしい。


 「彼氏くんに麻雀の楽しさを教えてあげよう」

 「支配されたままというのは性に合わない」

 「はい……?」


           -‐──‐-

       . ´          `ヽ、
      /
     /                 ,
   / /   /|    ト、        ′
 ∠._/   / i|    i \      〕
    〔  |/ 八〔\ .'   \   /
.     |∧ :| ┯:┯  V ┯:┯∧ /   j
    ' ∧|  乂ノ     乂ノ   ∨、   |    「役満を上がってもらう」
.     /:Ⅴ         ""  ノ   |
    /::::入_           _  < / /| /
  /\ /∧ノ  へ ̄ ̄/  \リイ/ / 〔′
   ̄\\  r‐'   \/  //\ /
     \ヽーヽ └─ー/─'  \
      丶ー|   〉 〈   |  〈

           |  .〈∧/    !__/
           |        | |


 6/10


 「工エエエエエエェェェェェェ(゚Д゚)ェェェェェェエエエエエエ工工工!?」

 「咲、そんなに驚くことじゃない」

 「あ、あのお姉ちゃん。

  それは手加減するってこと?」

 「違う。

  やっぱり麻雀は大きな役を上がると楽しい。

  それを彼氏くんにも味わってもらおう」

 「衣が咲に教えてもらった麻雀の楽しさ、彼にもわかってもらうのだ」

 「(多分、私たちと打たないほうが楽しいと思うケド……。

  でも京ちゃんだし大丈夫かな?)」

 「それに弟の面倒を見るのはおねーちゃんの役目」ムフー

 「衣はおねーさんだからな!」ドヤァ

 「(あっ、そっちが本音……)」

 「嫁さんの咲は彼氏くんが私たちを強姦しないように気をつけて」

 「ごうか……っ!?」

 「うむ。須佐之男命は天照大神に対する強姦疑惑もあるからな!」

 「だから!

  京ちゃんは!

  そんなことしませんっ! あと嫁さんじゃないですっ」

 「でもさっきは私たちのことを支配して、気持ちよくしてくれた」

 「誤解を生む言い方しないでよっ」


                    \::.::.:::.\   /.::.::.::/
                    \:.:::.::.::.  /.::.::.::/
                 .  '" ̄\::.::.∨.::.::/ ̄` 、
.               /    _,. ‐====‐ 、   \
            /      ´                 ヽ
.            / /         /         ':, \  ゙:,
           / /    /     ,'     /    :,  ':,   ',
.          ' ,′   /    ,゙i:i    ハ   i  }   }  l
         | |    :{ _, 'T丁`{   jj ~丁T''ト、|  リ l  l
         | |  : {:{´ i i 八ハ   iい i iノV|  / |  l
         |八  { ',',\|_,」.ニ、 \l  ,ニ.」_/|/ハノ| │
.             |\|\| =‐'" ゙̄`      ~ ̄`'ヾ/  | │
           | │ '. :::::::::       __  ::::::::: /l   | │   「衣はスサノオなんかに負けたりしないぞっ」
             j  リ  ハ´     「      }     ハ    | !
             / /  ,' /ゝ、   {     j   人|   |   ',
         / /   /   > .._、   ノ.. イ   |    |   ':,
           / /   /  /  _r}   ̄  {ュ { ヽ│   l    :、
        / /   / / ̄ ̄~` ミーrz=彡'  ̄ ̄ヽ、  ヽ    ':、
.        / ,′  /⌒| : : : : : : : : Y^Y : : : : : : : : |ハ   ',    ':、
      /  l   ,′ │: : : : : : : :フしヘ.: : : : : : : : | ,   ト、 \  \
    /    /|   |   { : : : : : /:││:\ : : : : :亅│   | ,  \  \
.   /  / 《 |   |   l个ー=イ_:_:_:││:_:_:`ト--</ |   | 》   丶  ヽ
   /  /  )|   |  }ノ   厶-─┘└- .」     { |   |彳    ヽ  }


 7/10


 ……
 …

 ・数百局後


 「衣は……無力だ……」

 「(彼氏くんの余波で私がトバされたりしている。

  なんかこう……すごい……)」

 「お姉ちゃんがトんでるとこなんて初めてみた……」

 「クッソー! 何回やっても勝てないなー!」


 すでに何時間が経過しただろうか。

 そんな簡単に役満が出るはずもなく、そもそもこの三人相手にまともに戦える相手自体が早々いない。

 その状況でトバされ続け、余波で宮永照もトバしつつ須賀京太郎は全く折れる気配がない。

 もともと女子と打ったらこんなもんだと妙な達観をしているところもある。

 むしろ気力だけで打っている女子三人が疲労困憊だ。

 ハギヨシお手製の栄養ドリンク、濡れタオルなどで耐えているがそれもそろそろ限界だ。


 「私は高卒でプロになるのに……、このザマじゃ……」

 「衣は来年も咲に勝てないのか……」

 「(でも、ずっと京ちゃんといられるのは役得かも。えへへ)」

 「せめてまともな役を1回くらい上がりたいなー。

  というか、そろそろ辞めにしましょうよ。みんな疲れてますし」

 「こ、衣は子供じゃないから大丈夫だ!」

 「いやでもさっきから限界そうじゃないですか」

 「お姉ちゃんだから、お姉ちゃんだから大丈夫……」

 「(お姉ちゃんは心の方が折れそうになってるよ……)」


         ,. : :´: : : : : : : : : : : : : `ヽ、
      ,. : :´: : : : : : : :/: : : : : : : : : : : : ヽ

     --/: : : : : : /: : ': : : : : : :V: : : ∨: : ',
     / : : : /: ': /l:|: :|:!: : :!: :、: |: : l: : :V: : :
   /': : : /: ': :{:/ハ七从: : |\:`lー/: : : | : : |

    /: :イ7: :{: :从{ __ {/\{  _从ハ : : /: : :.|
   '´   |: 八: :| ((__))     ((__)) |: :/} : ハ:|
       |: 人\〉:.:.       :.:/:イ ノ: , }'  「(もうこうなったら点数操作して京ちゃんを一位にしてうやむやに……)」
       |/  `ム U , ‐--‐、   ムイ: /
          个 . ー― ‐'   个从{
           \:}`}>-<{:/}/

           _,..イ,'    V:\
        r<:´::::::::::::{--、 , -|:::::::::`ーr-、

                     ____
               ,. ´ __    `¨¨ヽ

            ,   ̄`  /  ヽ       `ヽ
           /  _     ,:   ∨   、    :.
          / /,´      /    |    ヽ     .
       / //'  ' /  ' /   l| | :  :  ∨   :
       l// / , / ' l| | |     | | |  |   |   |
     _/ ィ / { l |__|_{ |∧   }/ ' / l  |   ∧
      ̄  {〃  Ⅵィ斧从 } /-}/-/、 , /-、 ∧}
          / ,  从 Vり ∨イ ,イ斧ミ、}/ /⌒ } | '
           / イ从 l ム        Vり ム'  ノ/}'
         ´    \∧  '        ,r ' /      「おっ、珍しく上がれたぞ」
               、  v   ァ    / 从/
                     \ `こ     イ  _|、
                  ` r  ´   //∧
                     /|     /////∧
                「  |   //////////> 、


 8/10


  ./  ̄/  ̄   / _|__ ___|_
    ―/     /   |/   /|
    _/   _/     |  ._/|

                      ,.  ⌒ヽ、/⌒ 、-- 、

                     /_,..-         ヽ  `  、
                    __../´     /    ∨   \
                      ,/ `i      / ,'     :    、 ヽ
.        Y ヽ        //   i   ., / /|  |  :.  | | |    ∨
        |  ‘,  .._/  i   i   . | |..|...|  |   _} | | | |  | :
        i   ∨    ̄ ̄.|   .i .{ ´| |\.{  |: , ´//}∧ |  | |
        ‘,   ∨     .|   .i , rⅥィ笊 从 {∨ /ィ笊_ヽ}/、 | |
.        ∧  .‘,     .i   i . { 从 Vり \∨' Vり /' / ∧{
r <                  i   i.}从lム     ; \     ,ノ /  \
.', .\               _ .j   i  | ∧          ∧,イ
 ',   <    .∧         .i  Ⅵム  .-===-  ...イ //
.  ヽ    ` ─ .´ヽ        ∨  ヽl\       //イ
.     >                ‘ ,  |.≧` .ー . ´.≦|
     >  ´     /          ̄ ̄ ̄ ̄)三三└x
 > ´     _             __  ≦i.iミ&三三三ニ≧ -   _  、
(_  <   ∧           ィマY三三三三i.i三三三三三三三三三三.iニ',

           〕 ─  ´ ´/ィ三ミi i三三三‘,○三三三三三三三三三三.i三i
           i三.ミ x\ //三ニ/三三三三.i三三三三三三三三三三三i三.i
           i三三三≧彳三ニ././三三三三i三三三三三三三三三三三i三.i
           ∨三三三三三,///ニ,’三三三.i三三三三三三三三三三ニ.i三ミi

.            ∨三三三三/.//ニ/三三三三三三三三三三三三三三三三.∧
             ∨三三三ニノ/ニ/三三三三ニ.Yヽ三三三三三三三三三三三ミi
              マ三三三 /ミ/三三三三三ニ`´三三三三三三三三三三三ニi
  .__________________________  __
 │二│三│四│二│三│四│二│三│四│◎│◎│◎│伍│|伍|

 │萬│萬│萬│萬│萬│萬│萬│萬│萬│◎│◎│◎│萬│|萬|
 └─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┘└─┘


 9/10


 「タ」

 「ン」

 「ヤオ!?」

 「いやー、このメンツだとたまに上がれるだけで嬉しいですよ」

 「京ちゃんそれ四暗刻!!」

 「ほぇ?」

 「役満だよ! やーくーまーん!」

 「マジで!? やったぁ! 麻雀って楽しいな!」

 「ほらお姉ちゃん! 衣ちゃん!

  京ちゃんもこう言ってるよ!」


           :_,.  -─……─-  :
       :
      .:´........................................................\:
   :/.......................|........ト、..............................ヽ:

 : /....................| |...i|........| \...........|....|............
:/.........../ .....|.._|_八......|   \__....|............i:   ←何回もトんだ
: ̄ ̄ ̄|...|....| [   \|    \|....|............|:

      :|...|....|┬─┬    ┬─┬ |............|:
      : |...ト..| 乂:::ノ     乂:::ノっ|............|:
    :i|...|....|                 |............|:
     :||...|..人     , _       人.......l..|:    「私はプロになる資格なんてない……」
      八Λ.....>      _   .   <......../|/
      \|\_,ノ⌒ 〈___/ ⌒>‐-ミ:

      ;/ ̄ |:\ ∧ /  /:::::/  \;
       :/   |:::::::\ ∨_/:::::::::/   ハ:
      :/     \:::::::Χフ:::::::::/
     /        ̄/:Τ:< ̄        ',;
     ;\   |    〈::::∧:::〉       |  /:

              \ ゙、   /  /
                   \ヽ_/ ./
           ,..-‐'''' 二ヽV/__`ー-、

         /   ∠......-―--、_ヽ   \
          /   /    | |  ゙、   ゙、     ヽ
        /  i  / ,   | |    ゙、 i ゙、     、 、
      i  | .! |   |__! |     .! |_゙、. i  |. ゙、
        !   ! | ,.+i‐'´|_ハ |    i i_|__ i`iー.|  | l   ←支配破れず
      |   |  | |.|  |リ_.|ハ   ! ! !__ノ!ハ. |  | |
     i   i.|.  ゙、|,ィf∀:ヾ! |ノ /イrレヽヾ!ノ ./! /
      |   !|   |、b.::::::..|/_..ノ  b:::::..l }' ,イ//
.      i   i |    | 弋-、ン       ゝニノ'イ,ノ.イ    「衣は男に勝てなかった……」
     |   | |   |  |.|,,::,,   '  ,,::,,  イ  |
     .i  i.|   ト、 ||    ,..、    / !| |
    /  | |     i ` |ト 、   `´ ,..イ  | |  ゙、
    /  i.| | i   V \  ` ー'|`i__|  ,..!、|  ゙、
  ./   ! レ| |    ゙、__ \___ノ ヽ ̄ヽ \.  ゙、
  /    |/  | |i    V-‐--<⊥r'´ ̄ ̄`ヽ 丶  ゙、
. /   /   .i i !    !  ,..-┤ ト-、    /  ゙、   ゙、


: : : : :/ : : : : : :| : : : :|.. : :. ゙、: . ゙、゙、. \
: : : : : |. : : : : :i |: : : :i:|. : : : ∧: :、.i. .i: : . ` 、
.: : : : : !: : : : : | |、: : :| | : : i | !: :|:| : |:、: : : : : : >
: : : : : :| : : |: i 「! ヽート!、: : リ  !: |ハ: ト : | ̄ ̄
.: : :,..-、|: : :i: :|: !゙、 _、!二゙、-| イ: リ ! |ヽ:|
: : / へ.゙、 :丶ヾヽ<´{::::i` ヽ! 1!|:/| :!ノ゙、リ

: :ヽ    \ : :!丶   ̄     Vイ:ハ |\:i
.: : 丶    \゙、        `> リ  `
ヽ: : :`┬ 、  ヾ          /       「?」
  i: ;ィノ    U     ,....-ィ /
,,:‐レリ    _       ̄ /
゛=!_    \ `ー-、_  _/
::::::゛== 、 \   / ̄ヽ、
::::::::::::::::::::::゛===-、    >


 ーーのちにプロになった宮永照と天江衣は語る。

 どうしても勝てない相手がいる、とーー


 10/10


 ……
 …

 ・みやながけで限界チャレンジ!


. /: : : : : : : |: : .:i:.|:.:.:.:i| |:.:.:.:.:.:.|!:.:|i:.:| 、:.:.゙、::、   ゙、゙、:::::::::::;::イ/:::::::::::::::i:::::
./ : : : |: : :i:.|:.:.:.:i:.|:.:.:.i| |:.:.:.:.:.:.:.|!:.| i:.:i 、:.:.:、:.、::.:.:.!:.:iヽ/:.:.:.|/:::::::::::::::::i::::
i: |: : : |: :.:|:.|:.:.:.:i|:|:.:.:.| ! |  ..:|i. | .i: i ゙、:.:.i.;A-‐ハ:.!:.:.:.:.:.:.:..!:::::::___|::::
!:.i |: :.:| .:.:.i:.!:.:.:.|!.i! :l |:.:!:.:.:.:.:..i:.:.i ゙、! _/ハ:ハ/ |ィ;.:.,.-‐-、!:/.:.:.:.:.V/

i :|.| :.:.:i   i i_:|、!、:.:.! i:!、i:.:.:.:.:.:.i:.:.i _;彡';tr=、 ヾ、"' /ヽ |':.:.:.:.:.:.i:.:|:.:.:.:
. ! i:i!  | ..:i :i:.:.:i`iー>ト-!、丶:.:.:.:.:i:、^V i_;:::::::ヽ /      i: : : : :.:|:.:|:.:.:.:
 、:!:i、:.:.i:.:.:.:.|:.i:、:.7メ'f:::::::ヾー\:.:.:.:、`ヾ  <;;;:ン ′     ノ : : : :.:.:!:.|:.:.:.:    ←下家
  ヾi 、:.\:.:\:.]〈  っ::::;:i    ̄`            _,∠|:|: : : : .:|:.|―-
    ヽ!:.i、`゙ー-r≧   >≠    ,      " "   /  |:! : : : :.:|:.!////
     |:.|:.:.:.:.:.:.:\!  ,, ,,                /   i!: : : : : ::i:.i////
     |:.|: : : : :.:.:.i i       r== "ヽ      /   i: : : : : :.:i:.|////
     | |: : : : : :.:i:.:|\     ∨__ノ)   /    /: : : : : :.:i.:|////
     |:| : : : : :.:.|:イ |:::|l`ー-..、    ̄ ̄   /     / : : : : : :.:|/////
      |.|: : : : : :.:|:∧ i:.:!i::::::::::::::`i ー-‐ '    ,..-‐:/: : : : : : :.:.i!/////


          . :´ . : . : . : .`: .

        /: . : . : . : . : . : . :\
       /: . : . : . : . : . : . :ヽ: . \
      /: . : . : . : . : . : . : . :‘。: . ノ:。
     .′ : . : / : . : . : . :ト : . :‘./-‐゚。
     |__: . : . : .i: .|: . : . : .|: . : . : .| ゚,:}ヽ/:.‘。 :  ぃ
   /:.┼{ ―--..|:._|__ : //八: . : . :| 匕 }: . }: ゚: . }リ
 /: イ: .|∧ ミ . : |: .|: //フ7¬ }: . /| ィi爪㍉}:.:|:ハ /

/: ./ | : |: ∧\ : |: .|厶斗=ミ /イ 丿 |:il刈  :.:l/}/
 :./  : ..|: . ∧ . : |: .|斤:i:i:(_,      弋''ツ  |: |: .i  ( \    -‐ 、    ←上家
: /  | : |: . : ∧: .ハ:卞::i:lil刈             |: |: .|   ヽ у´   ___}_
/    : . l: . : . ‘:,⌒!ム ゞ…″     `  :':':':゚|: |: .|   │ r  ̄     }
    |: . 。: . : . :∧ い  ゚:':':':     -┐   }: |i:∧    |    ――‐{
    | : ..。 . : . : ∧、vハ      ゝ __ ノ  / : |i: .‘    |       ー―{
   /: . : ゚: . : . : . ∧:vハ`   ..,,      /   } |i: . :;  ′     -- ′
.  /: . : . : 。: . : . : .:∧vハ__     ̄{ ̄: .|   }/}: . :.。 /\    }、
  ′: . : . : .。: . : . : . : .ⅵ\>―‐n: . :.{   / l: . : ∨/ / \  /:.入
 /: . : . : . : ./\: . : . : . : \: \   |{x=xハ    乂: .:// / / / `¨¨´:.:}


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          ′:.:|/{ V       ヽ{  Vレ'}ノ|:.:.:.:.:.:.: :|:.:.:.:.:.:.:.:i
       i:.:.:.:.|                      |:.:.:.:.:.:.: :|:.:.:.:.:.:.:.:|
       |:.:.:.:.| __,ノ´      廴___ |:.:.:.:.:.:.: :|:.:.:.:.:.:.:.:|
       |:.:.:.:.|   __        ___   l:.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:.:.:|
       |:.:.:.:.| ィfチ芋ミ     ィfチテテ芋ミ:.:.:.:.:.:.:.:.:|:.:.:.:.:.:.:.:|
       |:.:.:.爪〈 し:::::::i}        し::::::::::i} 〉:.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:.:.:|
       |:.:.:.:.|: 弋辷ソ      乂辷ン |:.:.:.:.:.:.:.:.:|:.:.:.:.:.:.:.:|

       |:.:i:.:.|:.|                  |:.:.:.:.:.:.:.:.:|:.:.:.:.:.:.:.:|
       |:.:l:.:.|:.|/:/:/:/: '    :/:/:/:/:/ |:.:.:.:.:.:.:.:.:|:.:.:.:.:.:.:.:|    ←対面

       |:.:|: :|:.}                  /:.:.:.:.:.:.:.: :|:.:.:.:.:.:.:.:|
       |:.:|:.:.:人       r‐、         /:.:.: :|:.:.:.:.:.:|:.:.:.:.:.:.:.:|
       |:.:|i:.:.:.:.:.\     ー'       ′: : :|:.:.:.:.:.:|:.:.:.:.:.:|: |
       |:.:|l:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ           ィリ: :|:.:.:.:|:.:.:.:.:.:|:.:.:.:.:.:|: |
       |:.八:.:.:.:.: i:.:.:.:.:.个ー‐┬ ´  |:.:.|:.:.:.:|:.:.:.:.:.:|:.|:.:.: :|: |

       |:.:|: \:.: :|\{ヽ从:.:|:.:.|      |:.i:|:.:.:.:|:.:i:.:.:八{:/八|
       |:.:|:  \|      ヽー:}      |:八:.:.:.|/}/
         ヾ  ,. -‐ァ…'厂  ′     ノ   \| `丶、
           / / ./   /          //     /⌒トミ


 ・クリア条件
  勝利せよ!


 カン!

 優希次元はちゃんと終わるよ。穏乃受験ネタもリクきてるからやるよ

すまない…どうしてこんなミスをしたのかわからない…


 1/10

 【穏乃の受験勉強!】-京穏次元-



        . . :´:_: : : : : : : :`\: : : \
       /: : : : : : : : ̄: : 、:/: /: :ヽ: : : \
     /: : : : : : : : : : : : : : :\: : : :/: V : : : \
     /: /: : : : : \/ヽ: : : : :ヽ: :/: : :ヽ: : : : : ヽ
    /: :.{: : ハ: : :イVハ-、ヽ: : }-、: : : :ハ: : : : : ハ

    /: : :i: : :i ヽ: :}-r⌒ヽ VV  }: : : } V: : : : :ハ
   /i: : : V: rく レV  \::ノ ハ:} イ: : : }  /: : : : :ハ}
   ハ: : : V:ハ rへ    ''/ i: }  ヘ∠、/: : : : : ハ!

   { ヽ: :ハ: :ヽ\:)     ′}: ! /://: : : : : /――-...、
       八ハ:ゝゝ\,,′ っ j://::/::::/: : : : :/::::::::::::::::::::\     「もうダメだ……」
       ` `  V:}  、_ ///::::::/: i: : : V::::::::::::::::::::::::::ヽ::ヽ
           ノ:ノ      レ 〉:::/::::::V: : :ヽ:::::::::::::::::::::::::::';:::::ヽ
            //       /:::::(::::::::::::\: : :ミー::::::::::::::::::::ヽ:::::::ヽ
         (          /:::::::::::::::::::::::::::`ヾミゝ:::::::::::::::::::::ヽ::::::::ヽ
                  i:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ:::::::ヽ


                         , : : ´: : : : : : : : : : : : : : : `丶、
                        /.: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :\
                  / : / : : : : : : : : : : : : : ヽ: : : : : : : : : ‘,
                 _,: : : :./: : : : : : : : : : : : : : : : ∨: : : : : : : : :‘,
                   /:/.: :.:./:/: : : :.:/: : : : : : : : : : ', ∨: : : : : : __ _:l
               /.:_/: : : :′ : : : : ′: : : |: : |: : : : :', ∨: : : : /ートミ 、
                 / /.′: : i: :|:.l: : |:.:| :|: : : :|: :!: : : : :', :l/: :.:|: : |: :|\\
.               |: ||: : : |: :Ll_: :|:.:| :|: : : :|', : ',: : : : : |: l: : /|: : l : |  \\
              |: | :|: : : :l|: :|:l|: `ト:| :|: : : :| ',.:斗-‐¬|: |/ :|: :| : |   ',: ヽ
                |: |.八: : ::l|: :|:|x=ミ. |八: :.:| \l\: : :|: lV/:|: : :|: :.|    i: : ',
            |: |   \:.l|: :|,《 _)_ハ  \ |     \|: | レ^| : : l: : |    |: : :|
              |: |:    ト|: :|:', 乂zリ    ` ≠===‐ |: | ´ l: : : |: : |    |: : :|
                |: |     |:|: :|: i                 |: |  |: : :.:|: :|    |: : :|    「力尽きるの早すぎよ……」
            |: |:    ,' |: :|叭    ′          |: |r‐':|: : : :l: : :|    |: : :|
              |: |     ,: 八 |: 込、    、__   u  |: l: : :| : : : | : !    |: : :|
.             | :|   ,':/ : : |: | : : >       . イ ||:/: :|: : :.:|: : !   :|: : :|
           /:|  // : : : l: |: : : : : : /=n<  __/〃ヽ /: : : : ハ: :.!  | : |
.          /:.:.:|  //: : : : : : |-――/  ,\_rく  /'   /: : : : /=ミ: !  :|: : :|
.            |: : :|  //: : : : : : :/   / /|   }∧     / : : : :/    `ヽ、 :|: : :|


 2/10


 「だって勉強なんてわからないよ」

 「しずは思い立ったら即行動よね……。

  そのせいで持続力がないのよ」

 「だってすぐに出来るようにわーってやってガーって終わらせたいからさ」

 「受験勉強はもっと長期的に見るのよ。

  1日に何十時間勉強して次の日休んでってやるより、1日に数時間ずつこまめにやるべきなの!」

 「ま、毎日勉強?」

 「そう!」


 穏乃が根を上げて机に寝そべっていても憧は容赦しない。

 何せ『ここの大学に行きたい』と言う明確な目標がないのだ。

 それとなく和に探らせてはいるが、やはり高校一年生の段階では京太郎も明確なイメージなどない。

 ならば京太郎が決めた時にその大学を狙えるようにあらかじめ準備しておくほかない。


 「須賀君が二年の後半辺りに大学を決めたらもう勉強なんて間に合わないんだから。

  今のうちにある程度の大学までは行けるようにしておくしかないの!」

 「う、うぐぅー」

 「特に重要なのは暗記科目じゃなくて継続能力が必要な科目よ。

  文章理解、数的処理、英文ね。

  この辺りは一気にやっても身につかないけれど、毎日こなすようにすれば力が落ちないから。

  逆に一気にやっちゃうとすぐに忘れちゃうの。

  だから1日1問だけでもいいから解いて、解き方を忘れないようにするよーに」

 「毎日数学……」

 「須賀君と同じ大学、行きたいんでしょ?」

 「う、うん……」


 どんなに穏乃が文句を言ってもこの一言でやる気を出してくれるのだから簡単なものだ。

 憧は学力が高く、教え方も上手い。

 伊達に晩成高校を狙っていたわけではないのだ。

 麻雀もそうだが、物事を理屈的に教えるのが得意だ。

 さらに穏乃の性格も熟知しており、その気にさせるのが上手い。

 穏乃専用の家庭教師として最高の立場だった。


 ーー余談だが、関係ない人にも家庭教師を頼まれることが多い(意味深)


 3/10


 「(それでも限界はあるわよねぇ)」


 穏乃に限らずモチベーションの持続は非常に難しい。

 人によって持続のさせ方は違うが、多くの人はモチベーションを持続できずに脱落してしまう。

 例えば勉強ならば狙っている大学の判定を上げることでモチベーションの維持に取り組むこともあるが、今回はそれも使えない。

 ゴールの見えないマラソンほど辛いものはない。

 いくら恋を原動力にしていても、穏乃が力尽きてしまうことは明白だった。


 「(なんとかしてあげたいけれど、こればっかりは……)」


 志望大学さえ聞き出せればある程度は出来る。

 だがそれも京太郎次第である以上、和に期待するのも酷な話だ。

 急に志望大学が変わってしまった、あるいは京太郎が志望大学に落ちてしまうことすら考えられる。

 最悪のケースが高校生活中に京太郎に彼女ができることだ。


 ーー幸い、和が聞いた限りでは現状好きな人はいない、とのことだ。


 が、そんなものは一瞬で吹き飛ぶ。

 次の日に可愛い子に屋上で告白されてお試しで付き合っちゃいましたー、ってことだって考えられる。

 そしてそのまま若さに任せて屋上で……。


 「ふきゅっ」

 「憧?」


                -‐…‐-
            /: ∪: : : : : : : : : : :`丶、

           /.: : :/: : : :|: : : : : : \: : :ヽ-
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              |: }      '         |:l 'ノ: : : : : : : :|
              |圦    _  ,    ,ィ|:|イl: : : : : : : : |   「(また変なこと考えたんだろうなぁ)」
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                 --……--
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        || |/: :.:.:∧}リ≫┘o。v――'’xr示=ミト、:.:.\}、
        リ {: :.:.:.:.|!:‘, ィ芹≧ュ    ’|イi//| 》、:。:.:.:.ぃ、
           |:.:.:.:.:.「`ヽ《乂_゚ツ        ゞ= '゚ :リ/リ゚。:.:.ト、i
           |:.:.:.:.小   , ,    '    , ,  : /:.:.:.∧:.} リ    「呼ばれて飛び出て私参上っ!」
           l.:.:.:.:.:| }ゝ-!            jハ:.:.:.:j/}:.|
          :。.:.:.:{ {:j:八    -==ァ     イ }/ j:ノ
            ゚:。.リ  \{≧ュ。.    ィ:jソ  ″ /
           ゞ    イニ}  ` ´  {ニヽ

              ィニ//      ゝ|ニ\_

        ┬==≦ニ/ニ7____    __,.|ニニムニニニニニlヽ
       /ニ|ニニニ/ニニニ|`-―――‐一´|ニニニムニニニニ|ニム
.      /ニニ:|ニ7ニニニニニ|          |ニニニニ}ニニニ=|ニム


  /: :/: : /: : :/: : : : /: /   ヽ: : : : : : ヽ: : : : : :V: : :V: : : : :ヽ
  /: :/: : /: : :/ : : : /: :/    ヽ:、: : : : : i : : : : : : V: : V: : : : : ヽ
 /: /: : :/: : :/< : : ハ: !     }:ハ: : : : :ハ: : : : : :ヽ: : } : : : : : : ハ
 : // : /: : :ハハ:\:! {:{     }:レイ: :√}: : : : : i: }: : !: : : : : : : :ハ
. {:ハ: : l: : : ハハ: : i ̄{{     ̄/ ハ:ノ  !:!: : : :ハj : ;′: : : : : : : ハ
 Vハ: :ハ: : ハ〃rV/云       〒冗示ミ j:ハ: : /: : : ': : : : : : : : : : :}
    ∨ V: ハヾ{7///}      {7///} 〉 /:/ヽ: :/: : : : : : : : : : : }
        ハ:ハ 弋//ソ       弋//ソ イ: !  }:/: : : : : : : : : : :}: :}
       {: :ハ ,:,:,:,:,        ,:,:,:,:,  }: :} /: : : : : : : : : : : : ハ: }
       |: :| !      ′       u }: jイ: : : : : : : : : : : : : :} }:j
       |: :| ヽ     、_,、_,        /}:.j ヽ: : :! : : : : : : : : : ! i:}   「(いつの間に……?)」
      l: :l   >    ヽ ノ      ´ト //  !: : j: : : : : : : : : : Ⅳ
      ヽ:ヽ   r≧....._  <..-‐: ̄//}  }: : ハ: : : : : : : : : :}
       ヽヘ   〉::::::::゙Y ̄::::::::::::::::::::彡::ヽ j: :ノ }: : : : : : : : : :}
      __ゝ.イ:ヾ===ハ====:::"//::::/::::::::<__: : : : : : :j

    /  ll::::::::::::::::::::::::::::〃::::::::::::::::::::::´:/::::::::::::::::/  ̄ \: : :/
.   /    ll:::::::::::::::::::::::::::《::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/     V:/
   ,     ll::::::::::::::::::::ー::《:: ̄:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/      V


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 「最初からいたよ?」

 「(気配なかったのに!?)」


 穏乃のあずかり知らぬところでいきなり晴絵が横に現れた。

 憧はそのことは特に気にせず、次に穏乃に教える参考書を読んでいる。


 「うむうむ。

  勉強のモチベーション管理は大事だからね」

 「まだ何も言ってないんだけど」

 「さっきからここにいたでしょ?」

 「(いや、ここでモチベーションの話もしてないよ……)」

 「ズバリ、モチベーションの管理にはご褒美をあげるのが一番!

  『ここまで出来たら自分へのご褒美をあげよう』ってやるのが一番なんだよ」

 「赤土先生が先生らしいことを言ってる……!?」

 「おう、誰がインターハイに連れてったと思ってるの?」

 「ゴメンなさい」

 「なるほど、ハルエ。

  言いたいことはわかったわ」

 「さすが憧。

  言わずとも伝わったようだね」


                _. .-. . . . ̄. .゙. . . 、
             , '´: . . . . /. . . . . . . . . .ヽ

            /:;ィ´: : : : :/: : : : : : . . . .ヽ. .\
        _,-─tァヽゝL:_/_:,': : : : : :|: : : : . . .゙ . . ヽ
      ,〃,r‐'7ハ: レ!__,'_ : ;イ | : : : /!!: : : : : ヽ. l . . .、

      /:〃  l: ト、|:.|: ハ Tハ!:|: : : :{ ||: : : :.|: |:゙. .!_l |ミヽ、
     ,':./   !: |: :|::LL_ヽ| !:||: : : ! |'T:‐:-|、: :|: ト、 !| \:ヽ

     ,':/    .|:.:|: :| ハチ≧ト、|ハ: : :!土_ヽ: :|: |: !:.|. .ヽ!!  ヾ.、
    ,'/     λ:.r=|: |.{:;;::Cヾ  ヽ|チ不≧!/! |: !. ./,'|    ヾ:、
    |l     ハ: | (!: !`ー''     { {゚:;;:C |>|:.!:.|,:'./|j     ヽl
    ||    |: :|ヽト、!:.!"""   '   ` ー'' ,イハ|: |:/.:l      ||
    |:!.    |N:l:.ミト、!:.|  、     """ /ノノ !:.|: _;|      |:!
    |:l  r、 .N:.ト {ヽ: !、    ー    ,イf.l´.:.:|:.j//ハ      l:.|   「穏乃が勉強できたら須賀君と会えるようにするのね」
     i!:|  \\:|:゙、| |:ヽ:|:>、_ .... -≦|:.:.:.| !:.:.:.|,.'/:.:∧      .|:.|
.    从!   l\\:| |: :l: !:|      |ヽ|: !:.:.:.| |: :/ ,イ|:゙、:ヘ      !:.|
    ハ:ト:l   Lf~ヽ `_ヽ_:!|ヽ    ||、-、ヽ:_L`_r"∠!: :!:∧    |:.:!
   ,' :|::!ミ、 | >、ゝ.|´ヽ ヽヽ:ヽ-、 ,.r!::>‐'{ | |ノ|ノ7: |:.:.ヘ.   ,':.:|!
   |,' |!| ヾ,へ.ヽハノ、/ ̄`ヽヾ´ ̄`|::::\_ヽ_!__! .| /|: :.!:.: ∧ ./:.:.:!i!

   |i| !:|  |\,ゝ       |: :ヽ  |::::/´   /` ̄ヽ: |:.: :.∧/:.:.:.:||i!

       ,. :´: : : : : : : : : : : : :`:ヽ、-.、

      /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : :ヽ:\
    /: : : : : : : : ∧: : : : : : : : : : 、 : : :ヽ:ヽ
   / : : : : : : : : : / ヽ: : : }: : : : : : ヽ: : : ヘ: ヽ
  /: :/ : : : : / : /  ヽ: : :}: : : : : : :ヽヽ: : }: : :ヽ

  {: /: : : ト、ハ: /    '; :人: :_レ: : : ',V/: }: : : :ヘ
  {:ハ: : : :i: i`'ト:L__  vi:,レへ:{\: : : }:!: :/: : : : :ヘ

   ハ: : :ハ! V      レ   ` V: /:}:./: : : : : : ハ
    ヽ: ハ 三三      三三三 i:V: :.ハ: : : : : : : : :ヽ
     V: } ww       ww   }: : : レi: : : : : : : :ハ:ヘ
       i:{     、_,、_,、_,    u イ: : :/ !: : : : : : : :ハ:i
      V>. 、_ ー―'  z≦  !:. :/  }: j : : : : : :} ヽ    「!?」
        ヽヽ: ヽ {::::エニ彡:::::ニ:}_/l: :/  |:∧: : : : /:}
          _ゞくトニiiニニ-:´ノ::::レく   レ i: : : :ハi
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 「そのとーり!」

 「わ、わ、わ!

  そ、そんなこと言ってもあっちに迷惑かもしれないし!」

 「友達同士にそんな遠慮いらないわよ?」

 「そうそう」

 「それに、もし何か言われたら『お金の関係です』って言えばいいじゃない」

 「それじゃ何も解決してないじゃないか!?」

 「ちなみに憧。

  苺で相手をするのは価格破壊らしいよ?」

 「あ、相手してないわよ!」

 「(苺……?)」


 憧と晴絵が謎の会話を繰り広げる中、穏乃は考える。

 最近憧に貸してもらった少女漫画のワンシーンだ。

 その少女漫画は遠距離恋愛を描いていて、途中で女の子と音信不通になってしまう。

 心配する男の子、外は雨の強まる中で携帯をじっと見つめる。

 インターホンが鳴り響くと、そこには雨に濡れた女の子の姿があった。


 『来ちゃった……』

 『バカ、お前なんで……』


 そこから始まる初々しい展開をまっすぐ見られなかった覚えがある。

 男の子はどこか京太郎に似ていて金髪の好青年だった。

 女の子側は残念ながら穏乃に似ているとは言い難いが、同じように長い髪の毛という点で少し感情移入をしていた。

 穏乃より身長があって、胸も女の子らしい点は少し羨ましかったが、今では穏乃は作家さんの大ファン。

 『K・K先生』の続編を今か今かと楽しみにしている。


 「(って、そうじゃないんだよ!)」


 自分が同じように京太郎の家に転がり込んだ状態を妄想してしまう。

 さすがに迷惑だと思うだろうか? いや、でも別に家のことで何かあって転がり込んだわけではない。

 でも京太郎の家には行ってみたい。

 いやいや、そもそもそういう意図で行くわけじゃないし。

 京太郎だってカピバラを見ていいと言っていたから、それで行くだけならきっと嫌がらないだろうし……。


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.           ハ ,,, ′ ,. -- 、   u | : |_/.: : : : : : : : : : : : : : :.
        __| |   「/    }     ,|: /  | : : : : : : : : : : : : : : : :.   「わぁ!?」
      _┌〈__|: :ト    、   _ノ   / j∧  |: : :/| : : : : : : : : : : : : :.
    { (「_}_ノ |: :l n >  ̄ _,. <ニ//l  |: :/ :|: : : : : : : : : : : :|: :|
.    ∧ \ 〈\l.ノ }   「冂ニニ//ニ/⌒丶 |: : : : : : : : : : : :|: :|
   {  \ \| |  ノ7ニ|{_}二二/ニ//    ',: : :.|: : : : : : : : :|∨
   ト、      |//ニニⅥ{ニニニ∠ニ/     } : : |.: : : : : :/: :;
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 8/10


 「今すっごいメスの顔してたわよ!」

 「め、メスの顔ってなんだよ!」

 「恋する乙女ねぇ。

  あのしずが赤くなったり慌てたり、いいもの見られたわ」

 「ううっ。

  た、確かに恋愛経験は憧の方が上だろうけど」

 「ふきゅっ!?」

 「い、いいじゃんか……。

  なんだか胸が熱くなったり痛くなったりするんだよ……」

 「(あっ、なんだか罪悪感が……)」

 「ほら、からかいすぎちゃダメだって。

  憧だって恋愛経験豊富ならメスの顔の一つや二つするでしょ?」

 「し、しないわよっ!?」

 「それに穏乃も、頑張ったご褒美で行くんだからね。

  頑張らないとご褒美はないよ」

 「そ、そーだった。

  ううっ、勉強するのかぁ」

 「なーに言ってんのよ。

  須賀君と会いたくないの?」

 「あ、会いたいけど、あっちが迷惑だったりしないかなって」

 「その辺りは私に任せて。

  ちゃーんと先生として交渉するからさ」

 「いや、ハルエじゃ色々と無理でしょ。

  私が和経由で約束くらい取り付けるわよ」

 「(´・ω・`)レジェンドーン……」

 「あ、憧ぉ……」

 「そんな顔しないの。

  私たちをインターハイに連れてくって決めた時だってもっとシャキっとしてたでしょ?」


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          . :´ . : . : . : .`: .

        /: . : . : . : . : . : . :\
       /: . : . : . : . : . : . :ヽ: . \
      /: . : . : . : . : . : . : . :‘。: . ノ:。
     .′ : . : / : . : . : . :ト : . :‘./-‐゚。
     |__: . : . : .i: .|: . : . : .|: . : . : .| ゚,:}ヽ/:.‘。 :  ぃ
   /:.┼{ ―--..|:._|__ : //八: . : . :| 匕 }: . }: ゚: . }リ
 /: イ: .|∧ ミ . : |: .|: //フ7¬ }: . /| ィi爪㍉}:.:|:ハ /

/: ./ | : |: ∧\ : |: .|厶斗=ミ /イ 丿 |:il刈  :.:l/}/
 :./  : ..|: . ∧ . : |: .|斤:i:i:(_,      弋''ツ  |: |: .i  ( \    -‐ 、    「ほら、須賀君目当てに長野に行くんでしょ?」
: /  | : |: . : ∧: .ハ:卞::i:lil刈             |: |: .|   ヽ у´   ___}_
/    : . l: . : . ‘:,⌒!ム ゞ…″     `  :':':':゚|: |: .|   │ r  ̄     }
    |: . 。: . : . :∧ い  ゚:':':':     -┐   }: |i:∧    |    ――‐{
    | : ..。 . : . : ∧、vハ      ゝ __ ノ  / : |i: .‘    |       ー―{
   /: . : ゚: . : . : . ∧:vハ`   ..,,      /   } |i: . :;  ′     -- ′
.  /: . : . : 。: . : . : .:∧vハ__     ̄{ ̄: .|   }/}: . :.。 /\    }、
  ′: . : . : .。: . : . : . : .ⅵ\>―‐n: . :.{   / l: . : ∨/ / \  /:.入
 /: . : . : . : ./\: . : . : . : \: \   |{x=xハ    乂: .:// / / / `¨¨´:.:}


                    ___
                / ̄`ヽ ´         `
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.  /  . : : : : : : : :′ |: :ト、  /      \   //     、  \      「め、目当てって言うなぁー!」
  ′ ..:..: : : : : : : i    :.:| \ ゝ ___,,-----ノ   \   \   }
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 ……
 …

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: : : : : :| : : |: i 「! ヽート!、: : リ  !: |ハ: ト : | ̄ ̄
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: :ヽ    \ : :!丶   ̄     Vイ:ハ |\:i
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  i: ;ィノ    U     ,....-ィ /      「と、東京とか?(阿知賀の方とは言えねーよな)」
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゛=!_    \ `ー-、_  _/
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      ||  l 、、、     弋_丿 // .,ヘ  .!   j/
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      ||  | l > ´‐-'   _イ//∥| l  |
      |l!. l_L:;ノ:.ト!¨  T¨ェ:://.∥ll! l  |    「わかりました(ふふふ、こっそり穏乃に教えてあげましょう)」
      l|-、 ヽ: : : :.l! ̄` |:.:.// /l!ll| .!   |
     /-、:::ヽ ヽ: : : l ̄ ̄l:.// /: :ヽ! .!   !
.    / | >ヽ ヽ:.:.:l    l;'///: :/\ .|   |
.     /  l . /ヽ:ヽ ';.:ヽ /:::////、   \  |
   人.. V    } :!:ヽV/'/l;;;_/  Y ..人 !
.  /  ヽl     l  ! [__] / .l     i/  ヽ|


 カン!

大学編はまぁネタがあれば


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 【みんなの好み】-単発次元-


 今日もお昼は清澄一年生四人組で食べている。

 麻雀部に入る前こそ京太郎と咲の二人で食べていたのだが、咲が麻雀部に入ってからは一年生で集まることが多い。

 それもこれも『咲がいれば合法的に和と昼ご飯を食べられる!』と言い出した京太郎のせいだ。

 優希は盛大に笑った。和はポカンとした目で京太郎を見ていた。

 咲はジト目で京太郎を睨んでいた。


 「今日も購買のタコスだじぇ!」

 「本当にいつもタコスばっかり食ってるのな」

 「うむ。

  京太郎が友人にタコスを普及してくれたおかげでメニューから消滅することも無くなりそうだじぇ!」

 「そんなことのために昼に電話してくるんだもんな……(咲日和)」


 遠い目をする京太郎にいつも通り抱きつく優希。

 食べるかー? などとタコスを押し付けるが京太郎は首を横に振る。

 優希にとってはタコスを分けてあげることは最大級の愛情の表れなのだが、どうやら伝わっていないらしい。

 見えない犬耳と犬の尻尾が垂れ下がったように見えた。


 「京ちゃんも一緒に食べてたの?」

 「俺はあの時限定メニュー食べてたし」

 「ふーん?」


 咲は『自分は関係ないし』という風を装っている。

 しかしなんだか面白くないようで、非難めいた目を京太郎に向け続ける。


 「(前はレディースランチのために連れ出してたのに……)』


 複雑な乙女心だった。

 レディースランチを頼まれて、嫌そうにそれに付き合って、京太郎が食べている横で本を読んでいるのが好きだったのだ。

 ぼっち空間を脱出して優希や和とご飯を食べるのもいいが、あの喋らなくとも伝わる空間がなくなったのはなんだか悲しい。

 それを伝えようとじっと見つめているが、悲しいかな京太郎は全く気付く気配がない。

 それどころか彼の目は和の胸に注がれているのがよくわかる。


 「(私だって成長すればあのくらい……は無理でもお姉ちゃんくらい……)」


 悲しいかな、姉も絶壁である。


 2/10


 「和は相変わらず自作の弁当なんだな」

 「ええ、父の分も作る必要がありますから」

 「くぅー、和のお父さんが羨ましいぜ。

  毎日和がご飯を作ってくれてるんだもんな」

 「いえ、父は遅くなることが多いのでご飯は別々です」

 「もったいないなぁ」


 和と楽しそうに会話する京太郎を見て嫉妬する。


 ーー私と一緒にいるときは黙々と食べてるくせに!

 さっきは何も言葉のない空間が心地よいと言ったが、それはそれこれはこれだ。

 中学の頃から淡い想いを寄せ続けた相手がぽっと出の女の子に惹かれているのが面白くない。

 やはり幼馴染ものは大正義であるべきだ。NTRなんて許されてはいけない。


 「こらー! 犬!

  発情してるんじゃないじぇ!」

 「してねーよ!」

 「須賀君にも発情期ってあるんですね」

 「のどかっ!?」

 「そーだじぇ。

  京太郎は年中発情期だからのどちゃんは気をつけないとダメだじぇ」

 「このタコス娘ー!」

 「きゃー!

  このナイスバディーが襲われちゃうじぇ」

 「い・ら・ねー!

  せめてDを超えてから出直してくるんだな!」


 D、Dか……。

 咲は自分の胸をじっと見つめる。

 今からでも栄養をたっぷりとれば間に合うだろうか。

 そもそもDカップとは実在するのだろうか。

 原村和が女性の突然変異種として考えればそれは男の夢の中にしか存在しないのではないだろうか。

 非難の言葉は沢山浮かぶが、口に出すことは叶わない。

 だいたい考えているうちに優希が次の会話に進めてしまうからだ。


 ーーあの立ち位置は私だったのに!


 そうは思うがそれを言い出せない。

 中学からの腐れ縁とは思った以上に面倒くさい関係なのだ。


 3/10


 「ほう、京太郎の好みはD以上と」

 「ゆーき、こっち見ないでください」

 「ちなみに他にはどんな好みなんだ?」

 「他かー?」


 優希の目配せに反応して、京太郎はニヤリと笑う。

 そして二人して和の方に向き直った。


 「やっぱり家庭的だといいよね」

 「男の夢だな!」

 「!?」

 「(私は父子家庭だから家庭的だよ京ちゃん!)」

 「将来の夢がお嫁さん! って言ってそうな女の子とか好きだぜ」

 「ほうほう、いかにも童貞の考えそうなことだじぇ」

 「ゆーき! そんなこと言ってはいけません!」

 「(将来の夢は京ちゃんのお嫁さんだよ!)」

 「髪の毛は長くて、両方で結んでいるといいかな」

 「あ、え、あの……」

 「(京ちゃんがそう言うなら伸ばすよ!

  きっと文学少女っぽくて似合うよ!)」

 「あとはそーだなー。

  露出の控えめで貞淑な格好をしていたりとか」

 「あ、私は関係ないですね」

: : : : :/ : : : : : :| : : : :|.. : :. ゙、: . ゙、゙、. \
: : : : : |. : : : : :i |: : : :i:|. : : : ∧: :、.i. .i: : . ` 、
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/    イ从:.:.:| ィ/笊匁、 \:.:..   ノ{:::::::ハ |:.:r-x:.:.:.:.:.: |

ー    |:.:.:.\| i| ノ{:::::ハ      乂ー-ソ j/  V:.:.:.:.:|
      |:.:.:.:.:.:. 从乂ーソ               .:.:.:.:ハ|
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      |:.:.:八|:.:.八      r-,     /:.:.:.:/     「ざまぁ」
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                  __]       {___
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           _x<三ニ/´ /     /ニ三三三三三三三>

.         r≦三三ニニ/      /三三三三三三三>´
         /|三三三三ニ{____/ニ三三三三三三>´      \


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 ……
 …


 「京太郎には過ぎた幻想だじぇ」

 「梯子外された!?」

 「もう、須賀君もあまり人をからかうようなことを言ってはいけませんよ」


 ーー京ちゃんのばーか

 自分の好みぱっかり考えてないで少しは周りの女の子を見ればいいのに。

 優希ちゃんだって間違いなく京ちゃんのことを好きだろうし、わ、私だってそうだもん。


 「じゃあ優希はどーなんだよ」

 「じぇ!?」

 「人の梯子外しといて逃げられると思うなよー」

 「わ、私は……」


 ほら、優希ちゃん京ちゃんのコトじっと見てるよ。自分の好みじゃないからってそのスルーっぷりは酷いんじゃないかな。

 男の人って本当に乙女心がわからないんだから。いざ自分の大切な人がわかった時に、見捨てられてたって知らないよーだ。


 「す、少なくとも京太郎とは真逆の人間だな!」

 「須賀君と真逆となると、草食系で大人しいタイプですか?」

 「確かに優希は元気だから、割と相性がいいかもな」

 「う、ううっ」


 あっ、優希ちゃん泣きそう。ツンデレも過ぎたるは及ばざるが如し。

 でも好きな人に誤解されちゃって、違う人とくっついているところを想像されるのは辛いかも。


 「ほ、ほら、京太郎とは違って麻雀が強い人がいいんだじぇ!」

 「そーいや前にもそんなこと言ってたなー」

 「ちなみにのどちゃんも麻雀が好きな人が好みなんだじぇ!」

 「ゆ、ゆーき!」


 あ、和ちゃんが顔を真っ赤にしてる。

 ずるいなー。そんな顔しても可愛いんだもん。

 ……あっ、この順番だと私のことも聞かれちゃう!?

 ど、どうしよう。変にツンデレると優希ちゃんの二の舞になっちゃうし!

 でもでも、二人のいる前でわかりやすいようなこと言えないし!

 あー! でもこーいう雰囲気の時じゃないと爆弾発言する勇気もないから、ちょっと冗談っぽく……。


 「それでさー」

 「……えっ?」

 「なんだ、咲」

 「そこは私にも聞く流れじゃないの!?」


 なんでナチュラルに私を省いてるの!? 京ちゃんの方が優希ちゃんと和ちゃんに馴染んでてびっくりだよ!

 しかし、京ちゃんはなぜか怪訝な顔をしていた。


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                ,.  ⌒ヽ、/⌒ 、-- 、
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            ´/イ }从lム     ; \     ,ノ /  \
                    | ∧ U         ∧,イ     「咲って麻雀強い人が好みなんだろ?」
                   Ⅵム    -  -    イ //
                _ヽl\       //イ__
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       |: : : : ::|i: : : : : : : : :              イ : : :/

       |人:: : :|i: :|: : :|:::|i: :}>            イ: :|: : :    「おう、風評被害やめるじぇ」
.           \八/\人八/}    ー┬‐ ≦: :人/|/
                 {^辷ー^ヽ/\/ヽア:/

.          ,r‐=ニニ二二二\           〈二ニニニニニニ┐ :/
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 8/10


 「そうだったのか!?」

 「だって女の子の方が麻雀が強いって言われてるこの時代、麻雀が強い人が好みってことはそういうことだよ!」

 「い、言われてみれば理屈は……。

  あれ、それじゃ咲も……?」

 「わ、私はほら!

  家庭の事情があるから麻雀が強い人じゃないとダメってだけで!」

 「お、おう。そうなのか?」

 「おう咲ちゃん一人だけ逃げるんじゃないじぇ」


 も、もうこうなったら勢いで乗り切るしかない!


 「わ、私は結婚したら旦那さんのお小遣いは麻雀で決めるから!

  私に勝てなかったらいつまで経ってもお小遣い0円だよ!」

 「咲に勝てるやつなんているのか……?」

 「だから私に勝てるくらいじゃないとダメなの!」

 「それに麻雀が強い人じゃなかったらお姉ちゃんに搾取されちゃうから!」

 「咲のお姉さんにも搾取されるの!?」

 「そうだよ!

  お菓子代と称してお小遣いを根こそぎ奪われちゃうよ!」

 「そ、それは困ったな。

  せめてポッキーくらいで勘弁してほしい」

 「京太郎もツッコミどころがおかしいじぇ」

 「お正月には家族麻雀を強いられるからやっぱり強くないとダメだよっ」

 「そうだよな。

  自分の子供にあげるお年玉くらい守ってやらなきゃ」

 「あの……、咲ちゃん……。

  家庭崩壊してるのにまだ家族麻雀やる気なのか……?」

 「だから私の旦那さんは金髪で高身長で割とお金持ちで面倒見が良くて迷子にならない人じゃないとダメなの!」

 「おおう、咲の旦那さんになる人は大変だなぁ」


      /: : : :.:.i:.:.:.i:|.:.:.:.i、:.:.:.:i.:.: |i   !  i i   i |:.:.:\:.:.:.:.:.ヾヽ: i
   f''⌒ヽ:.: :.:.:.:|:.:.:.|:! :.:.:.i!.i:.:.:.:|!.:..!i:.:.:.|:.:.:.|:.:|:.:.|:.:.!ト、:.:.:.:.゙、.:.゙、:.:i ヽ!
,.:-―!、   ノ: |  :.| :.:.:i!i:.:.:.::i! |:.:.:ハ:.:川_/|:.:.ノ:イ:.:.|:. |!|、:!:.:.:.:.:i:.:.:i:.:.l リ
: : .: :.:.:i7'":.: :|...::.:|、:.:.:i! 、:._ノ!^!:ノ V |レ'_]フーノ!:.ノ:./リ、!:!:.:.:.:.!i:.:.!:/

:./.:.:.:.:.i|:.:.:.:. .:i:.:.:.:|_,x‐|ヒ´ー┘"     r'´ `ヽ レ!レ:.:.: :.!ハ:.:.:.ハ./:/
/:.:.:i:.:.:|l:.:.:.:.:.:.:、:、:.V'"´`゙ヽ        ゙!、_ノ  !: : : : . :i iノ ソ
/:.:.:l:.:.:i!:.:.:.:.:.:.:.:\:.{、    ノ        、 ヽ  `、: :i : |:|
!:.:.:.:i:.:.::!、:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.i ゙ー''"、     _.,.へ     ノi: |: :iリ    「(麻雀が強い人って部分が消えてるじぇ……?)」
|、:.:.:.i\:丶:.:.:.:.:.:.:.:.:.゙、 `   rv‐'"´  `ヽ!  /V|;ハノ
:!\:.丶i`ー!:.:i:.:.:、:.:.:、:丶   !         |/;/ヾ:、
、!  \:.ヽ:.!、:.\:゙.、:.:゙:、:.:、:ー{__,....-―'";::イ   i:.!
    `゙ー丶、_:\:>、_>\::::V;;::=彡''":/     ヽ,
             <ー--i\ヽ'"r―‐'"\!       /〉


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      /:.:.:.:::::::::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:、:.:.:.ヽ:.:.、:.:.:`ヽ

      /:.:.:.:/:.:.:.:.:....i:.::::::|、:::..::i、::.:.i::::::..ヽ:::ヽ:.:.:.:ヽ
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   i:.:.:.:.i.|:::|  i| ||i..::::|:i  i:::| |::ハ:|:::::::::::|::::::i::::::::|
  i   |.| i |il..:::::i::|゙、::::i゙、__.i::| |ハ||:::::::::::|::::::|::::::::゙、
  i    | .!:::i::::|!゙、;::::::i ヽ:! ヽヾ ̄ ̄ |::|:::::::|-、::|:::::::i、i
 i  ,,,::::|:::i::::|゙、|メヽ::::i  ヽ'´_,........_ |:i|:::::/`ヽ.}::::: i リ
. i ..::;::-|::i:::゙、:|'´ ー ヾ   彡‐'´ ̄`ノ'i::::/  /:::::i::|
..|/   |:::゙、::i゙、 .;==、       ,,,,,   i::/   ノ:::::/V    「(もっと嫉妬してくれてもいいのに!)」
     i:::::::ヾ::、´,,,,, ,      """ u レ /i´:::::/゛
.     i::::::;w、:゙、""                 V'"`
      ゙、/  \丶   ー'´`   ,     ゙、ー-、______
          ヽ!`ー- __    , ´    /:.:.:.:.:.:.:.:.:/:.:./<ヽ
            ___`フ´_ヽ    /:.:.:.:.:.:.:.:.:./:.:/ ,;===、ヽ
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         ,  ´        <⌒
        ,:'            `ヽ、
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                      \ } ̄´
        '              ,  \
      / ,          |/} ∧ }`ー`

       {∧          「ノ|/}/イ
      '  、       | /`/ } '
         } ∧     /イ   /      「(もーちょっと麻雀、頑張るかぁ……)」
         |' ,} \__/イ__ /
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ト、 ̄´: ',:.: : : : : : : :/ : :/: : |  !   ;
: :\: : : ヽ: : : : : : /  :./: : :.|  |   /    「私の将来の夢って、お嫁さんなんですよ……」
: ||: :\: : : : : : : :/  : /: ::|: i|  | /
: ||: : : :\/\:/  : /: : /!: i|゙  |′
: ||: : : : .リ   /  : /: : //!:.:i|.  |
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/r"´`ヽ ./   / /i  / / i   |  : : :!: ! : : : : :l O   l': :、: : ヽ、: .`ヽ
ハ 、  ノ/   /  l i  ,ハ ハ |  i.|: : |: :ハ : |.:!: : i: :ト.、._ ,.イ|i: : .\: :ヽヾ、:
: //:7:r' ヽ:i: : :i.!: : :|:!,.-|-|、.! !|i: : !.! :‐!-|-!、|_ト、: :!: ゙、: : : :|:|:、: : : :ヽ: : ゙、 ヽ

/ l:/: :ゝ イ!: : :|!: :/|i: : i-!-| !:、: |、!: :|;ナ |: ハ|`!、!|: : !: : : !:|: i: : : i ハ : : i

 |': : : :ト、!O: : !i: : :!:!ヽ、.! ヽ!   ヽ! ゙、!  |/ リ |:ノ !: /i: : :/:i: |: : : :i| i: : :|
 !: : : : |、/゙:\:! \:|   _,         、      リ |/ /: : : / /i : : :i|ヽ| : i|
 ゙、.:: : .レ: : : : :! ≡≡三彡       ミ三≡==、  /: : ノ ;/:/: : ///.!.: ;l
  i: : /; : : : :/ :::::::::::::::::         ::::::::::::::::::  //` ‐:´ / : :/'"//: :ハ
-- ヾ/ハ:i : : f  """"""          """"""  /ィ: : : : ノ,. イ://:,ノ  ゙、    「iPSとか言い出したんだから自業自得だじぇ」
__  |ハ:|、: :i.、                  /:/: : : イ´:i: :l.|――‐----

  ̄ ̄ ヽ、!w;丶、          ,.-、__,へ7 ソ/: : //: ノ;ノ'"__

           `ー-、_ ~~~'´     _ ノ-― ´'"´       ̄ ̄ ̄
                  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 カン!

 清澄一年生ズ好き


 6/10


 宮永咲ちゃんです。

 意中の人がいきなり爆弾発言してきました。

 なんなの、新しいプレイなの!?


 「どーしてそんなこと言い出したの?」

 「なんか前に言ってたじゃん。

  ふと気になってさ」

 「あー……」


 そんなことを言った様な気がする。

 正直そんなに深く考えて言った発言じゃない。

 そもそも高校に入るまで麻雀嫌いだったし、他人の麻雀に興味はないし。

 はっ、逆に考えればこれは京ちゃんが私にアピールしているんじゃないかな!?

 でも、どうしよう。優希ちゃんのことを何も笑えないよ!

 あっ、優希ちゃんが私のことを同情的な目で見てる!

 やめて! 自分で自分が居た堪れないよ!


 「そ、そーだよ!

  最近の女子高生はみんな麻雀が強い男の人が好みなんだよ!」

 「そ、そーなのか?

  そんな流行り聞いたことないんだけど」


            _,.......---............_
         ,. : ´: : : : : : : : : : : : : :` : : . 、
         /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :\
        . : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ヽ
      ': : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : .
     /: : : / : : : : : : : : : : : |: : : :ヽ: : : : : : : : : : :'
    .': : : /: : : : : :/: : : :/: :.| : : : : |: : : : : : : :、: : :.'.

    |: : : |: : : : : /: : : ,イ: : ,:|: : : : :ハ: : :l: :|: : : :V: : '.
    |: : : |: : : : 、|__/_}__/Nノ: : N、|_}_,:|: : : : | : : :'.
    |: : :ハ: |: : : ハ: / /:イ  }: :/:/ }: ∧:/: : : : ト、}: :.|
    {: : {-从: : :{/ ̄ テ雫ミ/イ /イ }イ雫}: : /:/:| リ\}

    八:{、:、__ \:lヽ  Vり         ヒり/:イ:/: :|
      `\}、: 、    /:/:/:/:/:/:/:/:/ ム:/:人: :{
     , --r--,\ ,-- 、_____  人: /  \〉 「和ちゃんも優希ちゃんも麻雀強い人が好きすぎて男に興味なくなっちゃったの!」
      /  |::| |::::::>  ____ソイ⌒∨
    {   ,::, {::::::::::::∧-,  r/:::::://|   }
    |   \、\::::::::::∨- /:::::://:/



            ,.  ´ ̄ ̄ `  、__
          /   ,      / /⌒Y
         /    /    ,:       | ̄\
        .:'    '  /__/   ,      |   \__
       /    /  ///\/ /   .'   '    {` ̄
     /イ ,.. 、イ /}/⌒ヽ、/´   // /   、   、
       { { Ⅵ /   Vオ {从 /-}/-、  }  、 \
       | |  {/       ∨ィ=、}/  ,  |、 }  ̄
       / 乂   u      ::::::: Vソ' ,l ∧l |
        /イ , 八   ,...、    '   /ムイ,'∧ |
      /\ /  、 〈- 、\__     ム/ /   \
>----イ///\   .  `  ー '  イ/从        「!?」
////////\///    、   .  ´
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 オチ部分を貼り忘れるとか…すまぬ…


 1/10

 768ベース
 【海だ、水着だ、霞さんだ!】-新訳:京霞次元- (※サイコ要素アリ)


 石戸霞です!

 ふふふ、今日は巫女の秘術を使って京太郎さんとデートよ!

 それも海に行く予定なの!

 やはり巫女といえば海……、大人のお姉さんの魅力で京太郎さんにアタックよ!


 「というわけで山ワープの使用許可をお願いしてくるわ!」

 「そんなことで許可を申請しないでくださいよー」

 「大丈夫!

  永水女子みんなで行った時は許可が出たじゃない!」

 「永水女子や宮守の人と行くのと、個人的なデートに使うのは話が違いますよー!」

 「だってここから長野は遠すぎるんだもの!

  片道五万円もかかったら私のお小遣いじゃ京太郎さんに会いに行けないわ!」

 「あっ、ちゃんと調べたんですねー」

 「いえ、今までのお年玉全部つぎ込んでもう帰ってこなければいいのかしら……。

  初美ちゃん! 私は実家の追っ手から逃れるために駆け落ちします!」

 「もう好きにしてくださいよーって言いたいですが、せめて須賀君が18歳になるまで待ってあげてくださいねー」

 「はっ、初美ちゃんが追っ手としてやってくる気ね!?

  ダメよ、そんな、親友同士で戦えないわ!」

 「いいえ、知人です」

 「!?」


 そんな、初美ちゃんったら照れ屋さんなんだから……。

 照れてるだけよね!? 本気じゃないわよね!?


 「まぁ、事情も考えずに長野に突貫しなかったことだけは褒めてやりますよー」

 「そんなことで褒められるレベルなの!?」

 「よしよし、ちゃんと『待て』が出来ましたねー」

 「犬レベル!?

  いくら私でも片道5時間以上の日帰りなんて出来ないわよ……」

 「そんなことできる人いるわけないじゃないですかー。

  おバカですねー……」


 2/10


 ……
 …

 ・のどアコ次元


                   -―……―-
                ...:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. ヽ

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           ′::::i::::::|\:|.{:|  ::ト::::::::ト、 \::/:i::::::::|::|::::::::|:.:.|
        |:: '::: i:::::乂:::ト{:|_、{ \::{__ 斗へ:::::i::::::::|::|::::::::|:.:.|

        |::|l:::::i:::::::::ト::{ `   \. ヾ      ヾ|::::::::l::|::::::::|:.:.|
        |::|l::::ハ::::::::ハ  ___-     、___ ,、|::::::::|イ::::::::|:.:.|
        |::|l::/ ::::::l:::} ´` ̄´      ̄´ .|::::::::| }::::::::l:.:.:l

        |::|l:{  i::::::l:::| 、、、、   ,   、、、、 |::::::::|/::::::::i:.:.:.l
         `O′ |::::::l从             j:::::::〃:::::::ィ::.:.:.l   「京太郎君のところに行ってくるね!
        /::j  |::::::|::i::>   `   ′  . ィ:::::::/i::::::::::|::.:.:.:l
          {:::/   |::::::|::|:::::::::|>     < {::::|:::::/:/::::::::::|:.:.:.:.:l   明日には帰るよ!」
          |::{  .从:::Ⅵ:::::::|l:::: r‐}`´ __ ノ }/:::/:/:::::::/:::|:.:.:.:.:.l
          Ⅵ  /::::ヾ::::{:::::::|l::ノ ∧__∧ ∠::::/_'::::::::/:::::|:.:.:.:.:.:l
          /.::::::::::\r‐ '〃/レ  〃ヽ 厶イ /:::::::/\_|:.:.:.:.:.:.l
             '::::::::::::::/ ` 厂 ̄`r=く  ̄}/  /::::::::/  ⌒ヽ:.:.:.:.:l
           /::/:::::::::/   廴_ 八    {  /::::::::/   /  V.:.:.::l
        /:ィ:::::::::/   く __ ノ 辷=- _〉/::::::::/  /     V:.:.:.l
      /〃 j::::::::/ レ        } /   ̄ ./::::::::/  /     }:.:.:.:.l


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  l: : : : : : : : :|: : |: : : : : |r=チテ心ミ、 /' /: : : : /.// /`メ、j: :/j: j: : : :|: : : : |
  l: : : : : : : : {:/!: : : : ::| ん∥:::::: リ  ノ_: :/ ノ' ./' .j:/j`Xj::/: : : }: : : }!::|
  !: : : : : : : ::|r' Y: : : : ::| つ::::::::o'::メ        rチテミ、/./' .//: : : : j: : : jl: l
 .!: : : : : : : : |  |: : : : : | ゝミ :::乂        .ん/:::::::リ ヽ./: : : : : ::j: : ::ノ!:j
 .!: : : : : : : : |  |: : : : : |        ::::::::::::::  {っ:::::o::メ 〉/: : : : : :/: :ノ.j/
´ !: : : : : : : : |_ .|: : : : ::|.  ' ' '    :::::::::::::::::::: ゝ:::__ソ  /!: : : : : :l:/
 |: : : : l: : : : | ` |: : : : ::| U                  ./:l: : : : : :Y!

 |: : : : ゝ: : : |  .|: : : : :ト、               ' ' '  /::j: : : : : : !:!   「家のことは気にしないで一週間くらい泊まっていいよ……?」
 |: : : : ::ヽ: : :|  .|: : : : :|  `ヽ、  r─-‐、_        ./ ::l: : : : : :j::!
 |: : : : : :ヽ: : :!  .!: : : : !、    ` `─- 、_ )      ./:j: l: : : : : :}::}
 |: : : : : : :ヽ: :!  !: : : : ! \    ` ヽ、       .ノ`ゝ}: : : : ::/:j
 .{: : : : : : : :ヽ:!  {: : : : {          \---‐' ´ _.ノ: : : : :/::j

 .ゝ: : : : : : : :ヽ{.  ゝ: : : ヽ           ` ヽ、   j: : : : :/: /
  : : : : : : : : : : ゝ  ヽゝ: :\              `ゝ/: : : ::/: 〈
、 __ ヽ: : : : : : : : : ゝ 、   ゝ::\           _ ,,,ノ: : :,r.〈ノ. ヽ


 …
 ……


 3/10


 ……
 …

 ・なんやかんやあって


                ...-―――-...
               /:::::::::::::::::::::::::::::::::\
             /::::/:::::::::::::::::::::::::ト:::\::\
           /::/::/:l::::l::::|l::l::::::::::::i‘:::::::ヽ::::ト、

           .:::::l::::l:l:l::::l::::リ:ハ:::::::::リ-‘:::|::|l:::|i|
            |:::::l::::l从/i::// }::::::/__ l::|::リ:::|i|
            |:::::l::::|,斗≠ト 厶イ,斗=ミル::::::|i|
            l::八:::l〈 V炒    V炒 〉|l::::::リ |
            |:::::个ト、 ,,    、  ,,, ,小::/ !
.          ‘::::::i:∧      __     //::/  ノ
             ‘::::i::::分、   ` '   ...:i/::/i
             ‘::∨:::::::i〕i=-  -≦::/::/:::|     「海に来たわっ!」
            ‘::i:::::l:::|∧   l ∨:/::::::|

             /‘:::::l:::| ∧_// ∨:/::::|
            /  /‘卅li   ∨/  Ⅳ:::::::ト 、
        ∠   i  |:i::l|\   /  |‘::::::::|   \
.        ∧ `ヽ l _|:l::リ_ヽ./  / ‘:::::|\  i‘.
       ′'.   V´ ノ::/  / ̄\/   ‘:::\\i i
.           \ //:::/  /   /⌒ヽ   ゞ===ニ≧ミi
        i    \::::/  /   /     ∨/      ∨ノ

                     ____
               ,. ´ __    `¨¨ヽ

            ,   ̄`  /  ヽ       `ヽ
           /  _     ,:   ∨   、    :.
          / /,´      /    |    ヽ     .
       / //'  ' /  ' /   l| | :  :  ∨   :
       l// / , / ' l| | |     | | |  |   |   |
     _/ ィ / { l |__|_{ |∧   }/ ' / l  |   ∧
      ̄  {〃  Ⅵィ斧从 } /-}/-/、 , /-、 ∧}
          / ,  从 Vり ∨イ ,イ斧ミ、}/ /⌒ } | '
           / イ从 l ム        Vり ム'  ノ/}'    「霞さん、お久し振りです。
         ´    \∧  '        ,r ' /
               、  v   ァ    / 从/       水着とっても似合ってますよ」
                     \ `こ     イ  _|、
                  ` r  ´   //∧
                     /|     /////∧
                「  |   //////////> 、
              , </∧ /   {///////////////> 、
            , </////// ∨__∨//////////////////>、


       /::.::.::.::.::.::.::.::.::.::ヽ::.:\
      /::.::./::./::.::.ハ::|::.|::.:|::.:i::.:::.. _ _
   ≦::.:,.........|::/|::.:: | |::|::.|::.:|::.:|::|::.:f::.::.::.::.::≧
  /::.::.j/::.::.::.:|;__jヘハ| j/)/j/jハノ::|::.:|\:\::.\
. /::.//イ/|::.:::Yう心   う心ヽ |/::.:ハ:| ヽ::|\::}

// ./  |八:{:ハ弋zソ   弋zソノ j^V |:| j/  jノ
.   {  |:|   } ,,,  '    ,,,   /  ::|
     |:|  人   r―,    - '  .::|
     |:|    > ...   イ     ::|
     i:{      |   |      乂    「(永水女子全員を巻き込むことで許可を下りさせるとは……)」
           イ     \_

       /  :  :. ̄` ´ ̄ ..: :  \
      __,   ::  :...............:  :
    ./V|  ヽ:          :ヽ   |__
    〈  \ |::          :./|__|_/|
    |\  \__       / ̄ ̄___/|
    |  \   |     ./  /T      |
    \  ハ  |     /  / |   / | /


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 「でも、いいんですか?

  みんなと楽しんでいるだろうに、俺まで一緒なんて」

 「これはあくまで永水女子の息抜きなの!

  だから大丈夫よ」

 「あのー、部屋から出る気が無かった巴ちゃんが溶けてますよー」

 「日光を浴びないとダメになっちゃうわ。

  これは私の好意よ」

 「まぁ一理ありますけど……」

 「それに姫様だって楽しそうじゃない」

 「なんか男性客をガン見してますよー……。

  あれ、誰が止めると思ってるんですかー」

 「私は京太郎さんとデートしてくるわっ」

 「あー……」


 そう、私は引率をしている余裕なんてない!

 京太郎さんの手をとって海に向かって走り出したわ。


 「あっ、危ないですよ」

 「平気よ……、きゃっ」

 「あー、もう」


 急いで浜辺を歩いていたら砂に足を取られてしまった。

 あわや転んでしまうかと思ったけれど、京太郎さんが強く引っ張って支えてくれた。


 「あわわわわ」

 「へへっ、霞さんって意外にドジなんですね」

 「もう! そんなこと言わないで!」

 「(意外でもなんでもないけどここは黙っておいてやりますよー)」


 そしてくり広がるラブコメ空間!

 ああ、京太郎さんの厚い胸板が近いわっ。

 がっしりした男の子っていいわね……。いいわ……。

 ふふふっ、私だって誘惑されてばかりじゃないの。


 5/10


 「えいっ」

 「!?」


 思い切って京太郎さんの腕をとってみた。


 ーーこれぞ秘技、パイスラ!

 バッグの紐なんかで自然にそうなることはあっても、男の人の腕でやるのが効果的って聞いたの!

 普通の人はここで胸を押し付けるらしいけれど、幸か不幸か押し付けなくても勝手に当たってくれている。

 ちょ、ちょっと恥ずかしいけれど重要なアピールチャンスよ!

 もう使えるものはなんでも使うわ!


 「そ、その、霞さん。当たってます……」

 「きょ、京太郎さんの腕をとると当たっちゃうの」

 「そ、そうですか」

 「それとも、嫌?」

 「嫌じゃないですっ!」


 あっ、なんだか私がリードしているみたい。

 ふふふっ、普段は京太郎さんに押されっぱなしだからなんだか新鮮。

 こうしてみるとまだまだ私より年下なのね。

 なんだか可愛いっ。


 「え、永水女子の皆さんは……」

 「もう、私がいるんだから他の人は気にしないでください」

 「あ、えっと……ゴメンなさい」

 「罰として、私に泳ぎを教えてくださいね?」

 「は、はい。喜んで!」


 や、やった!

 これで合法的に京太郎さんとくっつけるわ!

 女の子だって好きな男の子とくっつきたいって思っているんだから!


 ーーあれ?

 も、もし京太郎さんが京太郎さんが発情してしまったらどうすればいいのかしら!?

 やっぱり処理してあげないといけないわよね!?

 で、でも初めてが露出しながら海の中なんてさすがに恥ずかしくて……。

 あ、でも京太郎さんが望むなら……、私は別に露出拘束調教なんて興味はないけれど、ないけれど!

 今日はもしかしてチャンスなのかもしれないわ!

 ああ、お父様、お母様。霞は女になります!


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               V/,.:.:入     ,,    ん;.:.:ノ
             ー爻-}       ,..:イ:.:イ
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   /     /∨ /     \           }` .      「……」プカー
. /      '"  ,' /           ヽ  :    /  ゚.。
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>----イ///\   .  `  ー '  イ/从      「人が流れてきたっ!?(浮き輪つけてるのに!?)」
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   |:::::::::::‘:::::::::::::::::::::|::|       ` ´    イ:::_:_:__::::::::八   「小蒔ちゃん!?」
   |:::::::::::::‘:::::::::::::::::::「:|    `       ....::|:::::l:/ / /^Yヽ
   |:::::::::::::::‘:::::::::::::::::|八       T7^\:::::|::: / / / /Y^,
   |:::::::::::::::::‘:::::::::::::::|\\     //  `丶/ / / / | !
   |:::::: -‐ ‘:::::::::::: |  \\   .//.     / / / / .八 |
 -‐'^´     ‘:::::::::: |   \\ //    / / / /  /   ト、


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 とかなんとか思っていたら、小蒔ちゃんが流れてきた。

 も、もしかして水に浸かりながら寝ちゃったのかしら!?

 ううっ、連れてきた私の責任よね。

 京太郎さんには悪いけれど、一先ず姫様を介抱しないと……。


 「俺が運びますよ。男ですから。

  あっ、触るところは注意しますから」

 「そんな」

 「へーきですって」


 そう言うと京太郎さんは恐る恐る小蒔ちゃんをお姫様抱っこした。

 もう、本当は私だってしてもらいたいのに……。

 でも京太郎さんだけは小蒔ちゃんにも譲らないわよ!

 本家だからと当て馬にされたり悪役にされたりなんかしないっ!

 ……とまぁ言ってるけれど、小蒔ちゃんが心配なのも本当。

 大丈夫かしら……?


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                  ,...---ミ  //∧.:ハ_〉ぅ `l.:.:{/.:.:.:,'斗―|.:.:.:.:.リ.:.:′
             / ̄ ̄⌒>=弍犲ハ 斧ミメ乂: 彡イ ./::/.:.:.:.:/.:/
              /      /   ` ̄`} `''’    f斧ミメ::イ/./:}
                        _  -―へ    '   `''”.∠/// /
                 / /  / . 个   ー     <r<  /    「人間、人工呼吸しろ」
                   /  .{  / j i  { ¨¨´/'  /j:「 \
              r'⌒   |  //  |  ヾ  〃_彡リ |  ヽ
      / ̄` ー--rヘ {    乂〃.   ヽ/ ̄/ ̄ ̄`7 /   ∧
     /       /⌒ヽ __/        У /   /Y   ./
    /       /     У /      ./ /      ト、 /   〉
.   /    r'  ̄    / /  {      / /       } V    厂ヽ
  厶斗- '  __彡  /  乂   / /        /  ト---<ソ⌒
 ./               /      }ト、/ /         /   〉
こ{              /        }三ニ=--   --=≦    /     }


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: :ヽ    \ : :!丶   ̄     Vイ:ハ |\:i
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 ーー大丈夫だけど大丈夫じゃない!


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 「目が覚めたみたいですよ。

  一緒に違うものにも目覚めちゃってる気がしますけど……」

 「あ、あの、私とか小蒔ちゃんは神様を降ろしちゃうことがあるから」

 「あ、初めて会った時のアレですね。

  なるほど、それで溺れちゃったのか」

 「(ごめんなさい神様っ!!)」


 もちろん嘘。

 初対面の時のアレは私の暴走だし、どう見ても小蒔ちゃんは神様を降ろしていない。

 というか神様を降ろしていても溺れていたら喋れないでしょう!


 「何を戸惑っている」

 「いや、起きたならもう大丈夫なんじゃないですかね」

 「そ、そうよ!

  もう大丈夫、早く日陰に」

 「目の前に気を失った美少女がいるんですよ!

  これはもう目隠しして人工呼吸しながらハイエースしないなんて嘘ですよ!!」


 ーーやっぱり起きてるじゃないの!


 「(何で目隠し……?)」

 「小蒔ちゃんはBLにしか興味がなかったんじゃないの!?」

 「当たり前です!」


 ーーあっ、そこは断言するんだ


 「ですがこのシチュエーションを逃す手はありません!

  自分で経験することで漫画やSSはより詳細になっていくんです!」

 「だ、ダメっ。

  いくら小蒔ちゃんでもそれだけはダメよ!」

 「(素人がやる人工呼吸は危ないだとか、やるなら同性の霞さんがやるべきでは……?)」

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      |: : : :: l  ゞ- '      ゞ- ' ノ: : : : :リ   「甲斐性なしに霞ちゃんはあげられませんよ!」
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       `<: ゝ    __     /: :>´
         >: :>  `´    ィ:: :く
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     /:/: : :/   / ∧ イ  /    }: : | :| 、


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 「京太郎さんは甲斐性なしじゃないわよっ!

  真面目で素敵な人なんだから!」

 「でも、女の子が倒れているのにハイエースしないんですよ?」

 「普通の人はハイエースしません……」

 「そ、そうよっ。

  普通の人はハイエースしないの!」

 「えっ、でも霞ちゃんが教えてくれたことですよ?」

 「(そうだった)」

 「霞ちゃんは今日のためにこっそり水着や下着を選んでいたんです!

  知ってますか!?

  女の子の水着や下着はEカップまでしかお店に置いてないんです!

  それなのに頑張って可愛いものを探した霞ちゃんをもっと褒めてあげるべきです!」

 「言わないでぇぇぇぇ!」

 「(そうだったんだ……)

  その、そこまでしてくれるなんて嬉しいです」

 「だって京太郎さんに会えるから……」

 「はいそこ!

  ラブラブ空間を出さないでください!

  疼きます!!!!!!!」

 「(どうすればいいんだ……)」


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               イ: : : : : : : : : : : : : : : : : : `ヽ
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           ,′!: : :/{ {: / { : / /: :ス }: : : : : : : :

           {. |: : :|, ===ミ. ∨ // /: : /: : : : :|
           |. |: : {! f : :r}`   -=x :乂/: : : : : ::

           { 从: | ゞ-'     r': : r∨: : : : : : |
              ∨{    ,    ゞ_:ン  ̄Y : : : :   「そこのギャル男と濃厚な一夏の過ちを過ごしてきたら許しましょう」
                >ゝ          _ .イ : /}:リ
            /: / \ ‘'      イ: : :_:>'
          γ./: : /   }` ---ァ<{ .Y: {、
.          / /: : /  /  {! /  / ヽ !: :!!
         / {从:{  {.  l/  /    .ノ: :|l、

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.    /´    l:/    从: l ̄    〈__   -‐┘       |    「今回収しますねー……」
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         ,: : : : :{.芹ハ`¨゙   {r': :リ }〉: : : : : : : : : /: :|
.       {: : : : :} 弋ノ     `¨´  ノ:: : : : : : : : : : : !
          |l : : : :|   '        ム:イ⌒Y: : : : : : !
.       {ハ: : /{              } .リ: : : : : ハ{   「須賀京太郎様!

.       | ∨: :、   r ,         イ: : : : : / :l}
.        乂. ∨: \          イ: : : : : : : /  ノ    私はまだ認めませんからね!」ズルズルズル……
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 カン!

 優希次元他を練り直している間に小ネタ募集

乙です。

どの次元でもいいので、十五夜の影に隠れて忘れられてる十三夜をお願いします。


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 813
 【海の話の続きで濃厚な京霞と春の様子】-新訳:京霞次元- ※サイコ要素アリ ※サイコ要素マジ注意


 初美ちゃんのどこにそんな力があったのか、小蒔ちゃんはずるずると引きずられて行ってしまった。

 その様子をポカンとしながら見つめる私と京太郎さん。

 せっかく京太郎さんに親密なアタックを繰り返していたのに、なんだか全て台無しよ。


 「(これくらいでは負けていられないわ)」


 でも私は諦めません!

 だって、永水女子全員を巻き込んだ時点でこうなることは予測していたもの!

 そのために初美ちゃんと密約を交わして止めてもらうようには言ったけれど、そうそう上手くいくなんて思っていないわ。

 ちなみに初美ちゃんの報酬を聞いたところ、『三日間の有給をくださいよー』と言われたわ。

 その点は私が頑張るとして、初美ちゃんばかりに頼ってはいられない。

 私は私なりに頑張らないと!


 「あの、京太郎さん」

 「……はっ、すみませんボーッとしてました。

  その、神代小蒔さんも個性的ですね」

 「わ、悪い子じゃないのよ。

  その、きっと私のことが心配だったんです」

 「はい、それはすごく伝わってきました。

  いつか認めてもらえるといいですね」

 「認めて……って……」


 京太郎さんがそっぽを向いて頭を掻いている。

 どう見ても照れているようにしか見えない。

 も、もしかしてそういう意味なのかしら!?

 私の前だとあまり弱みを見せてくれない京太郎さんが、こんな風に照れているなんて珍しい。

 それに私よりも大きくて、体格も良い男の人が照れているのがなんだか可愛らしい。


 「……」

 「……」


 二人とも顔を真っ赤にして目を背ける。

 でも、私は京太郎さんの様子をチラチラと見てしまう。

 今の私、すっごくラブコメしているわよね!?

 これはもう次スレは『京太郎「須賀家」霞「お嫁さんですっ」』として建てるしかないわね!


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 ……
 …


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            ,   ̄`  /  ヽ       `ヽ
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     _/ ィ / { l |__|_{ |∧   }/ ' / l  |   ∧
      ̄  {〃  Ⅵィ斧从 } /-}/-/、 , /-、 ∧}
          / ,  从 Vり ∨イ ,イ斧ミ、}/ /⌒ } | '
           / イ从 l ム        Vり ム'  ノ/}'
         ´    \∧  '        ,r ' /     「霞、俺の子を孕め」
               、  v   ァ    / 从/
                     \ `こ     イ  _|、
                  ` r  ´   //∧
                     /|     /////∧
                「  |   //////////> 、
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 …
 ……


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 ……
 …


 「と、とにかく泳ぎませんか?」

 「そ、そうね」


 そんな妄想は置いておいて、そう言いながら少しずつ海に浸かっていく二人。

 京太郎さんに手を引いてもらいながら、ゆっくりと深くまで歩く。

 やっぱり暑いと海やプールって気持ちいいわね。

 水着を探すのがすごく大変だったけれども、来て良かったわ。


 「霞さん……、その……」

 「何かしら?」


 京太郎さんが目を背ける。

 でも何やらこちらをチラチラ見ている。その視線の先を見ると……。


 「あっ!」

 「す、すみません。つい視線が」

 「京太郎さんのえっち!」


 どうやら京太郎さんは私の胸を見ていたらしい。

 も、もう! 確かに見てもらうために海に来たようなものだけれども、ちゃんと顔を見てください!


 「う、浮くんですね……」

 「ううっ、意外と大変なんですよ?」

 「そうなんですか?」

 「そうですよ。

  胸に2リットルペットボトルをつけているようなものなんだから」

 「うぇっ、そんなに重いんですか?」

 「Gカップで1キロぐらいだから、私は……」

 「ゴクッ」

 「お、教えません!

  それに大きいと下着や水着だってお店に置いてないんだもの」

 「へぇ」

 「だから特注で頼まなければいけないし、可愛いものなんてないし……」

 「でも、今着ている水着は可愛いですよ」

 「も、もう!」


 京太郎さんったらニブチンなんだから!


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        ‘:::::::::::::::|:::::|\       、 _,     .イ::::::::::::::/    「京太郎さんに褒めてほしくて、頑張ったんですっ」
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 「京太郎さん?」

 「ぃゃ、その……。

  ちょっと待ってください」

 「ど、どうしたの?」

 「霞さんが、可愛くて……」

 「!?」


 何やら京太郎さんが俯いていると思ったら、衝撃的発言が飛び出してきた!

 か、かわいいって! 京太郎さんが私のことをかわいいって!

 きゃー! そんなこと言われたら嬉しくて倒れてしまいそう!


 「(選んだ甲斐があったわ!)」


 海に来た甲斐があったわ。

 こんな風にラブコメできるなんて、石戸霞は幸せです!

 あっ、訂正するわね。

 須賀霞は幸せです!

 だってもう予約済みよ! 間違っていないわ!

 石戸家は父上と母上がもう一人くらい頑張ればいいのよ!

 私はお嫁に行きますっ!


 「わ、私のを見るのはいいけれど」

 「は、はい?」

 「他の人はなるべく見ないでくださいね?」


 いつも悩みの種だった大きな胸も、好きな人に見てもらえるならばうれしい。

 さっきも言ったけれど、まともに下着は買えないし、毎日肩こりは酷い。

 歳をとったら垂れてしまうことだってとても怖かった。

 それでも、好きな人が見てくれるというだけで自分も好きになれる気がした。


 「京太郎さん」

 「霞さん……?」


 あっ、今の私のヒロイン力高いわ!

 ヒロイン力が高まってきたわ! 今日はこのまま……。


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     .├ ┤ ┬‐‐┬ー' ― '┬‐‐┬::_:!:::::/:/:/   チュパチュパ ペロペロポリポリチュパチュパペロペロペロチューペロ
       ..!::::::!  .)///!     ,)///!  |::::::|:::〈
        |:::::::|  ゝ/_ノ     ゝ//ノ  |::::::|::::::}    「貴方も見せるべき……」
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            / / , rⅥィ笊 从 {∨ /ィ笊_ヽ}/、 | |

            / イ ∧{ 从 Vり \∨' Vり /' / ∧{
            ´/イ }从lム     ; \     ,ノ /  \
                    | ∧ U         ∧,イ
                   Ⅵム    -  -    イ //    「(何を……?)」
                _ヽl\       //イ__
                |////} `  ー  ´「////|
                |////|  :.   / |/[__}/|


 7/10


 「女の子だけ見られるのは不公平」

 「だ、ダメよ春ちゃん!

  京太郎さんの胸板は私の!」

 「(あっ、意外と恥ずかしいなこれ)」

 「大丈夫、胸板に興味はない」

 「えっ?」

 「じゃあ何のことなんです……?」

 「それはもちろん」


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 :::';:::::丶、!:::::::::::::::::!/::::::/:::::::::/::::::::::,' l:::::::,':l::::::::::l:::::::!::::::::}l:::;
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 ::::∧:::γ!:::::::::::::::::| .斗均弍ミ、-' ' /_:_:/ ./::::///:::/::::::/ 〃
 ::::::::ヽ::{ !::::::::::::::::|,《   )::::::::汽    戔芝ミt-'-- '  '
 /::::::ヽ, l::::::::::::::::!  ..{::::::::::リ      )::::灼:::::::::!

 ::::::::::::くヽ l:::::::::::::::|.   ゝ =='      {:::://::::::::::l
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  \::::::::/. ,:::::::::::::!           '   /::::::::::::l    「下を脱いで」
  /:::<  .',:::::::::::|ヽ        __    ィ:::::::::::::!
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: : / へ.゙、 :丶ヾヽ<´{::::i` ヽ! 1!|:/| :!ノ゙、リ

: :ヽ    \ : :!丶   ̄     Vイ:ハ |\:i
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  i: ;ィノ    U     ,....-ィ /   「冗談……ですよね……?」
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 8/10


 「女の子の大きなものを見たんだからあなたの大きなものも見せるべき。

  これは立派な等価交換。

  女の子だけ見られるなんてズルい。

  早く」

 「口数少ない春ちゃんが早口で長文を……!?」

 「ツッコミどころはそこじゃないですよ!?」

 「そう、こんなところで女の子に突っ込んでる場合じゃない」

 「やばいこの人、和クラスだ!」

 「は、春ちゃん!

  公共の場なんだから自重しなさい!

  それに男の人ならいっぱいいるでしょう!」

 「もう吟味は済ませた」

 「!?」

 「実物は見られなかったけれど、布ごしでなんとなくわかる。

  私”は”透過出来ないから推測」

 「そんなこと出来るの!?」


 /: :/ : /: : : : |: : : : : :∨: : : : |∨: : : : :|: : : : : :l : |: : |
./: : :l: : |: : :||V: : : : : :∨: : 斗-l: : : l: |: : : :/  ̄ \
i/: : :|: : |i|: : :| l ∨: : : : : l\: : | l: : :|:l:|: : /
||!: : :|: : |l|: :⊥ヽ ∨: : : : :\\l └‐' ||: :l  自 そ

||l: : :l: : ぃイ: : :l \\>‐'´ x-‐==气: :|   慢 れ
.l |l: :l : : ぃヽ ´       ‐'´勹:::::::::::|」: :l   :  が
{ l ヽ斗< x_=气       ∨二ノ|: 〉

   |i: : 〈'´ ):::::::|        /// |://\ _ /

   |i: : :∧ 乂ン               |:l: : : : : :|: : :
.(つ li: : : ∧ ///   ′         |:|: : : : : l: : :
lニ⊇|i: : : : ∧         . ‐ ァ   / |:|: : : :|/ ̄
└ュ | |i: : : : : :ヽ        `        |:|: : : |l  /
└‐┘|i: : : : : : ||  ̄ ¨  ―-<   /|:|: : :八



 「そんな私のセンサーが言っている。

  あなたのは極大」

 「!?」

 「そ、そうなんですか京太郎さん?」

 「霞さんまでノらないでくださいよ!?」


 ……はっ!?

 油断していたら昔の私みたいなことを考えていたわ!

 いや、女の子だってそういうことに興味があるのは仕方ないわよね!?

 と言うより、春ちゃんってこんなにハッキリと早口で喋れたのね……。


 9/10

                     _____
                 . : ´: : : : : : : : : : : : :`: .

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          /: :|: : : : : :|: l: :|:.l |八: : : :|  |八:.|‐-\: : : : ∨\ ̄ ̄`丶
         /: : :从: : : : : |八人Nノ \: :l   ⌒|   |: : : : :!`丶     \
         /: : ://:/\ : 从   __,,.  \   ≦三≧ル^Y:.\|    \
       /: : :/ /:/  |: ∧l,r≦彡'´   ,       てノ| }|\: |
.      /:.:/   /:/   :|/〈∧てノ、、   ______   `` |_ノ  ‘:|
     //   ./:/    |\`∧    厂     `Y  人     |
.    /´    l:/    从: l ̄    〈__   -‐┘       |   「こっちも回収しにきましたよー……」
            |      ‘:l    ≧=-  __  -=≦
                    |       |    ∨
                    . .-=≦___   __≧=- . .
                  / :  :    ` ´   :  ::  \
                 /   ::  :          :  ::    |
                --┤ Y::  : . . . . . . . . . .:  : Y   |‐―┐
                「 ̄ ̄ ̄ ̄\              l__, ┴― 1
                |            ー――――一        /|


            ,/: :/ : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ハ
         //: :': : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :’

         /: :l:./: : : : : : : : : : /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : .'
       .  ',: |/:./: : : : : : : : :/: : : : : : : : : : : : : | : : : l: : : : : : : : : ',
         ヽ': : : : : : : : : : :/: : /: : : : l : : : : : : ! : : : |: : : : : : : : : :',

          ' イ : : : : : : : : /: : :l: : : : : l : : : : : : |: : : : l : : : : l : : : : }
          { l : : : !: : : ::!/―: ト : : //!: : : : : :/.!: : : : !_: : :!: : : !: !
          { |: : : :| l : : l | | : ll : : 〃/ : : : : 斗.}  ̄/:|: : : : :!: : : l ,'
           ー-': --:' └ -' /‐- !:_:_:_:/ /l:_:_/i/:/: : : l/: ://

            V: : : :| .Z竓芸ミx       x=芯ミ、/_:_:_:/:_://
           /:|: : : :l弍 {  o :!ヾ    ィf o  灯》: : : T

           ヽ!: : : :|   廴 _ ノ      弋 _ ソ 〃 : : : !
            .l: : :∧    , ,         ¨   ./ : : :
           /!: : : | ヽ         '       / : : : ,'
          /´ .|: : : :! ._\     __       イ: : : :,'    「私は何度でも蘇る」
             l: : : ! /ヽ .\    ´ .'     < |: : : : ,'
             ',: : :!   ヽ   ヽ ___   <     !: : : :,'
        ,, -''"" .', : !   \     /| ヽ\-、 | : : :/
     > '"   ヽ  ',: !',     ヽ    .!  ヽヾ Y: : :/
    /"     ヽ ヽ | ',:| ',     ヽ   .|   } ヽ :l : /
    /        \ |  !. ',     ヽ   !   !   l::/ \


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   |:::::::: l :::::::::::|:::::::::::::l:::::::::l:::|八::|:::l:::::::::::::|::|__,  |:::::::|l:::::::::::|   |
   |:::::::: l :::::::::::|l::::::::::::|\从::l __}八{:::::::::::::l:ノ    从::::リ:::::::: 八 j
   |:::::::: l ::::::::::八::::::::::|  ,,xぅ斧笄ミ\::::::::|斗ぅ斧x )/:::::/:/  ノ
   |:::::::: l ::::::::::::::::\::::| 《 h __j刈   `ー┘ h__j_| 》厶イ イ
   |:::::::: | ::::::::::::::::::::个゙  乂廴ソ        乂_ソ ,′:::::::|
   |:::::::: | ::::::::::::::::::::::|               ,      ,′:::::::::|
   |::::::::┃ : :::::::::::::::::|    ``         `` ,′:::::::::::|
   |:::::::::‘:::::::::::::::::::::::|\  U     r‐ ┐    人::::::::::::: |
   |:::::::::::‘:::::::::::::::::::::|::|       ` ´    イ:::_:_:__::::::::八   「(後で春ちゃんに大きさを聞いても平気、よね?)」
   |:::::::::::::‘:::::::::::::::::::「:|    `       ....::|:::::l:/ / /^Yヽ
   |:::::::::::::::‘:::::::::::::::::|八       T7^\:::::|::: / / / /Y^,
   |:::::::::::::::::‘:::::::::::::::|\\     //  `丶/ / / / | !
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 -‐'^´     ‘:::::::::: |   \\ //    / / / /  /   ト、


 10/10


 ……
 …

. /: : : : : : : |: : .:i:.|:.:.:.:i| |:.:.:.:.:.:.|!:.:|i:.:| 、:.:.゙、::、   ゙、゙、:::::::::::;::イ/:::::::::::::::i:::::
./ : : : |: : :i:.|:.:.:.:i:.|:.:.:.i| |:.:.:.:.:.:.:.|!:.| i:.:i 、:.:.:、:.、::.:.:.!:.:iヽ/:.:.:.|/:::::::::::::::::i::::
i: |: : : |: :.:|:.|:.:.:.:i|:|:.:.:.| ! |  ..:|i. | .i: i ゙、:.:.i.;A-‐ハ:.!:.:.:.:.:.:.:..!:::::::___|::::
!:.i |: :.:| .:.:.i:.!:.:.:.|!.i! :l |:.:!:.:.:.:.:..i:.:.i ゙、! _/ハ:ハ/ |ィ;.:.,.-‐-、!:/.:.:.:.:.V/

i :|.| :.:.:i   i i_:|、!、:.:.! i:!、i:.:.:.:.:.:.i:.:.i _;彡';tr=、 ヾ、"' /ヽ |':.:.:.:.:.:.i:.:|:.:.:.:
. ! i:i!  | ..:i :i:.:.:i`iー>ト-!、丶:.:.:.:.:i:、^V i_;:::::::ヽ /      i: : : : :.:|:.:|:.:.:.:
 、:!:i、:.:.i:.:.:.:.|:.i:、:.7メ'f:::::::ヾー\:.:.:.:、`ヾ  <;;;:ン ′     ノ : : : :.:.:!:.|:.:.:.:
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    ヽ!:.i、`゙ー-r≧   >≠    ,      " "   /  |:! : : : :.:|:.!////
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     |:.|: : : : :.:.:.i i       r== "ヽ      /   i: : : : : :.:i:.|////   「ちなみに塩分が多い海水だと胸が浮くんですよ咲さん!」
     | |: : : : : :.:i:.:|\     ∨__ノ)   /    /: : : : : :.:i.:|////
     |:| : : : : :.:.|:イ |:::|l`ー-..、    ̄ ̄   /     / : : : : : :.:|/////
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                       .  ¨  ̄ ̄ ¨   .
                . ´              `ヽ
               . ´                  :.
                ′                         :.
            /                        :.
            ,′                       ;.
            /                         /
              / {         ニニ二三三二ニニ       /
          /  \     ニ二二三三三二二ニ    /  イ
            /\_ \ ___   ニニ二三三二ニニ   ∠ イ |
        /  ,ィ   ̄ ̄三三|:ニニ三王 三l 三|ニニニ= | | |
.        厶イ |  i  二| 三トニ二三ト、三ト、 ト、ニニ= | |/
         j  j从|  | |、 | | | ト、ニ王ニ{{ o }}ニ=  | !     「貧乳の人は浮かば(れ)ないって?
                 |  ト、圦乂| 乂| \{ \| ヽ{ヽ{   イノ
                 乂_{ jハ               从イ/´       胸が浮く浮かないはきのこたけのこ並の戦争なんだよ?」
               -=ニ`ト .    -    .イ二ニ=‐- 、_
              r=ニ    =ニ二|`ト   _ . r |二ニ   ニ7 }ニ〉
             ハ マニ   ニ二ハ         !二ニ    / / /ヽ
.            / Vハ \     ニ二ハー-  -一 j二ニ   / / / ∧
            ′ \\\   ニ二ハ───‐/二ニ  //イ /
            |      \\\  二∧    /二ニ ///,/ ,/  1
            |   }八  {\\\ 二∧  /二 /// // ∧   |


 カン!

 リク消化中。誰かクロチャーネタください

 >>810
 調べてもよくわからないので教えてもらえれば


 ・久しぶりの京玄次元おさらい

 大学の写真サークルの新入生歓迎会で絡まれていたクロチャーを京ちゃんが助ける
 クロチャー、いろいろと尽くしながら京ちゃんはのどっちのことを好きだと勘違い
 なんやかんやあってくっつく
 グラビティ


. /: : : : : : : |: : .:i:.|:.:.:.:i| |:.:.:.:.:.:.|!:.:|i:.:| 、:.:.゙、::、   ゙、゙、:::::::::::;::イ/:::::::::::::::i:::::
./ : : : |: : :i:.|:.:.:.:i:.|:.:.:.i| |:.:.:.:.:.:.:.|!:.| i:.:i 、:.:.:、:.、::.:.:.!:.:iヽ/:.:.:.|/:::::::::::::::::i::::
i: |: : : |: :.:|:.|:.:.:.:i|:|:.:.:.| ! |  ..:|i. | .i: i ゙、:.:.i.;A-‐ハ:.!:.:.:.:.:.:.:..!:::::::___|::::
!:.i |: :.:| .:.:.i:.!:.:.:.|!.i! :l |:.:!:.:.:.:.:..i:.:.i ゙、! _/ハ:ハ/ |ィ;.:.,.-‐-、!:/.:.:.:.:.V/

i :|.| :.:.:i   i i_:|、!、:.:.! i:!、i:.:.:.:.:.:.i:.:.i _;彡';tr=、 ヾ、"' /ヽ |':.:.:.:.:.:.i:.:|:.:.:.:
. ! i:i!  | ..:i :i:.:.:i`iー>ト-!、丶:.:.:.:.:i:、^V i_;:::::::ヽ /      i: : : : :.:|:.:|:.:.:.:
 、:!:i、:.:.i:.:.:.:.|:.i:、:.7メ'f:::::::ヾー\:.:.:.:、`ヾ  <;;;:ン ′     ノ : : : :.:.:!:.|:.:.:.:
  ヾi 、:.\:.:\:.]〈  っ::::;:i    ̄`            _,∠|:|: : : : .:|:.|―-
    ヽ!:.i、`゙ー-r≧   >≠    ,      " "   /  |:! : : : :.:|:.!////
     |:.|:.:.:.:.:.:.:\!  ,, ,,                /   i!: : : : : ::i:.i////    「始まりますっ!」
     |:.|: : : : :.:.:.i i       r== "ヽ      /   i: : : : : :.:i:.|////
     | |: : : : : :.:i:.:|\     ∨__ノ)   /    /: : : : : :.:i.:|////
     |:| : : : : :.:.|:イ |:::|l`ー-..、    ̄ ̄   /     / : : : : : :.:|/////
      |.|: : : : : :.:|:∧ i:.:!i::::::::::::::`i ー-‐ '    ,..-‐:/: : : : : : :.:.i!/////


 1/10

 839
 【クロチャーと1日デートでホラー映画!】-京玄次元-


 京太郎君と会ってから最近まで、大学生活に色を感じていた。

 それは阿知賀を卒業してからどこかセピア色になってしまった人生を色付かせるモノ。

 それだけでも十分だったのに、京太郎君は私なんかのことを好きだと言ってくれた。

 勝手に奔走して勝手に誤解して泣いている私を抱きしめてくれた。

 それからの毎日、幸せすぎておかしくなってしまいそう。

 そしてそして! なんと今日はーー


            '' _.――  ....
        / ..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: `:..、..
     . '       .:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:
     / .:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:}::.:}:..  :/ }     ヽ
   /::.:′. .: }::斗/L/!::.:.:. /::、i:.:.:.}......  ',
  /::.:′. .: }:  ヽ ,斗‐|-  .::| `ト-  | |.!
. /::. |:...:.:/|:.  ..:l\ ! ヽヽ .::l /! ..l | | l

. {: /.! :|.:.:..::|:.. ...:|.〒弐オ`\.l/〒テ...|./|.:i

...rぅ' ,|::.|::.:.|:;{.  ,.::| ト'::ィ;リ      トィリ .|:ノl:ノ
./:{ V:|::.|::.:.|´ii ..:::| `ー'     .゙-' |/
.|:.|/::.:,::.:.::. l :|.i ',.:::|  xxx    ` xx',.!.:}    「きょ、京太郎君との初デート……」
.{i:{:: :ハ::.: 込{.::l :'.,l.      _ _  _,ノ./|.
.乂:/:.:∧::.:.V.i::ヽ_.::!ヾ=<>‐、‐ T´|..小{

  / .:: :::::::: ル´}::.从`⌒H⌒´}.丿. }:.{
. / .::: .:;へ/` '、l::..<__/八_,>.l. .}:.{
/ .:::::::///;;`ヽ',`..〈   ./ .|  } |  }:.{


 恋人になってから初めてのお出かけ。

 今までも二人でいろんなところに行ったけれど、京太郎君の彼女としてお出かけするのは初めてだ。


 「(京太郎君の彼女としてふさわしい立ち振る舞いをしないと!)」


 昨日から沢山準備をしてきたけれど、心が落ち着かない。

 いつだって京太郎君といると楽しいし、ドキドキが収まらない。

 そんな気持ちがとっても嬉しいけれど、やっぱり緊張する。


 「えっと、ハンカチにお弁当に……」


 バッグに入れたものを確認する。

 何度も何度も確認したけれど、心配は尽きない。


 「あっ、そろそろ行かないと!」


 お化粧を確認して、身だしなみを整える。

 今から出れば集合の2時間前には着くはず。

 これなら絶対に遅刻はしないよね!


 「行ってきますっ!」


 誰もいない家に声をかけて気合いを入れる。

 今日は絶対に失敗しないよっ!


 2/10


 ……
 …

 ・集合時間1時間前


            /   . . . . . . . : : : : : : : : . . .   \
             ,  . . . . : : .:. .:..:.:.:.:.:.:. .:. .:.:.:.:.:..ヽ:. . :. ヽ
          /  . . . : .:.:.:.:.:.:.:′.:.:.:.:. i{:.:.:.:.:.:.:.:.:.:..:.:..‘. ∧
            / :/ :/:/ ..:.:.:.:.:.:.:.| :.:.:.:.:.:. | :.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∨. ‘.. .
         / .イ ′:.:.:.:.:.:{:.:.:.:,| ...:.:.:.: {∧:.:.:.:.:.:.:.:.:.:i:.:.:. :. i
        ././ ′:!.:.|.......:小:.:.ハ__ .:.:.:.:iハ 斗:十:.ト:. .|:.:... i:. :
        i:.′} . :|. :! :.:.:斗{:.:「 丁i .:.:.:.ト:.V ヘ:.{\:.:.`!:.:.:. |: :|
        |′.′::l .:|.ト:. .::| ヽ 气{\:.:{ \  ヽ. \} :. : |: :{
            i . .:.|:八.:.|ヽ{  _    \   ,z≦ミ、| :.: :.!:. |!
            | : /|.::.:.:.::! ,ァ= =ミ     ´   `'^| :. : |:.小
            |.:/ :! .:.:.:.ハ ′             /i/, | :. : |:.|i
            |:′:} .:.: :| ∨ /i     '       .:. :. :.!:. l: {    「おはようございますっ」
         ○: :′.:.:.ト. .           ,      八:.:..:}:. l:.‘
         /:.{: :| .:.:.:. {:: 込      `   ´   /}::.:.:./::. :!:. ‘
          /:;:.|:.::| .:.:.:. |:::::::个:.....       .イ::∨:.:.:/:/.:.′:∧
       i:/{:.! .:| .:.:.:. |:::::::/:::::::::ノ}≧ - ´ {入:/.:.:./i/:.:.′:. . ‘.

       |{∧{..:.i:.:{:.:.:‘:.:.::::::::/ 乂    / /:.:.:/V:.:.:.{:.:.:. . . ‘.
         .′..:.八:!ム:.七¨⌒}     >t_ん /:./「/:.:.: 厂 ̄ ≧ 、
         / . rヘ´ ヽ \  |   ∧   ∧'ィ斗v′:.:/       ヽ
.        / . :′       八_{ ̄≧ V__/イ´  {'リ:.:.:.:′      / }
       / . . {⌒ヽ       八  z__{ }___,  {.':.:.:./      /   |
      .′. .:|    \      《    ハ下  . /.:.:.:.′   ,    小
      / . . .:.{     ヽ   }  ∧__/ }ハ ≧7.:.:.:./     /     {:∧
.     / . ./..:.:}      . | く    /  }  ;:.:.:.:.:′ .′/     {:. .‘.
    / . ./..:.:.:.i      ∨ }    `≧-ヘ ∧ノ}:.:.:.:.{ . { .′     }:. . ‘.
  / . :/′:.:.:.}  ‘.     V|         ∨   |:ノ}:.:}  j /    /  {:.:. . ‘.


                ,.  ⌒ヽ、/⌒ 、-- 、
               /_,..-         ヽ  `  、
             / /´     /    ∨   \
                ,  ´      / ,'     :    、 ヽ
           /   ,    , / /|  |  :.  | | |    ∨
         _/   / /  |_|__'_|  |   _}_|_|_| |  | :
         ̄ ̄´/ イ '  { ´| |/__{  |: , ´/}/_}∧ |  | |
            / / , rⅥィ笊 从 {∨ /ィ笊_ヽ}/、 | |

            / イ ∧{ 从 Vり \∨' Vり /' / ∧{
            ´/イ }从lム     ; \     ,ノ /  \
                    | ∧ U         ∧,イ
                   Ⅵム    -  -    イ //      「(1時間早く来たのにっ!)」
                _ヽl\       //イ__
                |////} `  ー  ´「////|
                |////|  :.   / |/[__}/|
                ,...<////∧  ,     |/////> 、
          , <///////////\   ///////////> 、
        , </////////////////}____{/////////////////> 、
      //////////////////////|    |////////////////////∧
       {/////////////////////∧  ,'//////////////////////}
       |//////////////////////∧ ////////////////////////|


 3/10


 「お、おはようございます」

 「京太郎君、早いね?」

 「まぁ、玄さんなら早く来るだろうなと思って」

 「そんなことないよ。

  私も今来たところなんだ」

 「(絶対に嘘だけど何時に来たかは教えてくれないんだろうなぁ)」

 「……京太郎君?」

 「それにしても……、玄さん綺麗です。

  いつもと違う雰囲気ですね」


       ≦:: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: ヽ:: :: ::.::.::ヽ
      ク:.:::.:::.::: : :: i: :: :: :: :: :: :: :: : : :ヾ: : :.::.::.ハ
     /::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::i
     /  ヾ:::::::::::i i:::::::::::::::::| |::::::::::::::::::::::::::::::::::ヒ.i
    /ソ|`::::::::::∥::i |:::::::::::::::;| .i::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|
 .  ∥ |::::::::::::ハ::|. {:::::::::::::::|  ヾ::::::::::::::::::::::::::::::::::|

      |::::::::ヾ|`|/ヽ|ソヾ:::::ハ|ー≦\::::::::::::::::::::::::::::|
      |::::::::ハ ィ.爪ハ  .ヾ:i  イ斤心 }:::::::|ヽ::::::::::::::|
.     |::::::::::::i 弋っリ       込:::リ.|:::::::i |:::::::::::::::|
      i:ハ:::::::::| xx  ,     xx .,i:::::::ヒ」:::::::::::::::|
      o .i:::::::::i              u |::::::::|:::::::::::::::::::|    「ふえっ!?」
      i::| ト::::::ヽ.    _      i::::::::|:::::::::::::::::::::|
     ノ:|:| |.:.ヾ::::::::ゝ 、   .,孑≦|::::::::|;;;;;;::::::::::::::::|
     /ノ |  |.:.:.:i::::::::::::::::ソ` 夭  /|::::::ソ:::::,:::::::::::::::::::|
        |ゞ:::::i::::::::/ ゝ仆'   i:::ソi|/|.:.:.:.:.:.i:::::::::::::|
       |:.:.:ヾ、:广 レへ /ヽ .i:// ノ.:.:.:.:./::/ヽ、::|

        |.:.:.:i:::::| 尸ヽ一イ ̄刀  /.:.:.:.:./:::/  .ヽ|
       |.:.:.:i::::::|  >  ,卅   /  ノ.:.:.:.:/:::::/   /`.i
      |.:.:.i:::::::/. <ヽ イ  ト-匕ヽ/.:.:.:.:/:::::/   /   .|

 「そんなことないよ!

  ほ、ほら、あそこにいるおもちお姉さんの方が綺麗だよっ」

 「いえ、俺には玄さんしか見えないです!

  玄さんかわいい! 玄さん綺麗です!」

 「お、お姉さんをからかっちゃダメだよっ」

 「玄さんかわいいっ! 大好きですっ!」


              /:..:..:..:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./ |:.:.:.ハ:.:.:.:j:.:.:.:.} ゚。:|\ :.:.:.:.:.|:..:。:..:..:..:.\
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              /.......:.:.,:.:.:.:|:.:.:.:レ彡|:./三ミ:{、  | :.:.:.:./ 彡=リ三ミト、 :.:.|:.:.:.:.:゚:..:..:..:| リ
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           /:..:./..:.:.:.|.:.:.:.:.:.|  ミト、     ィj/     ミト、     ィj/ | :.:.:.:.|:.:.:.:..:.∧
         j:./ .:..:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:|   ゞ=====彡       ゞ=====彡  │ :.:.:.|:.:.:.:.:..: ∧
         イO/:.:..:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:|////////////////{ :.:.:.:.|:.:.:.:.:.:..:..∧    「うぇぇぇぇ!?」
      /:..// .:..:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:|、         r――――― 、    ι  ノ :.:.:.:.|:.:.:.:.:.:.:.:.. ∧
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 4/10


 「……」

 「(やりすぎてしまった)」


 その後も褒め倒してくる京太郎君にムッとする。

 う、嬉しかったけどやりすぎだよぅ。

 だからこうしてじっと睨んでいるけれど、京太郎君は笑っている。


 「もう!」

 「いやー、玄さんが可愛くて。

  まずどこに行きます?」

 「京太郎君の行きたいところでいいよ?」

 「うーん、それじゃあ順番に決めましょう」

 「えっ?

  ずっと京太郎君が決めてもいいのに……」

 「ダメですよっ。

  それじゃあ玄さん、自分の行きたいところを言わない気でしょう。

  ぜーったいに決めてもらいますからね」

 「……えへへ。

  京太郎君って優しいね」


 まるで私の考えなんて見抜いているかのように考えてくれる。

 でもね、京太郎君。それは少し違うよ。

 私にとっては京太郎君と一緒にいるだけで楽しいから、決して自分の意見を押し殺しているわけじゃないんだよ?


 「それじゃまずは軽くウインドウショッピングでもしましょうか。

  話しながら見て、何か欲しいものがあったら帰りに買いましょう!」

 「うんっ」


 私の初めての彼氏。大好きな人。

 自然と腕を組んでみた。

 なんだか恥ずかしくて顔が赤くなってしまう。

 ふと、自分のおもちが京太郎君の腕に当たっていることに気づいた。

 ううっ、私が未熟なばかりに……。ごめんね?


 5/10


 ……
 …

 それからデートは続いて、軽くお散歩してカフェなんかにも行ってみた。

 京太郎君は私にたくさんの『楽しい』をくれた。

 今まで味わったことのない幸福感が私を包む。

 こんなに幸せな気持ちになれるなんて知らなかった。

 京太郎君が私のお弁当を美味しいと言って食べてくれるだけで嬉しい。

 私が写真好きなのを知っているからか、店員さんに頼んで二人の写真を撮ってもらうように伝えてくれる。

 恥ずかしくて恥ずかしくて仕方ないけれど、写真の私は笑っていた。


 「それじゃ、次は映画でも見ましょうか」

 「うんっ」

 「最近新しいのをやっているんですよ。

  なんでもこの夏イチオシの映画だとか!」

 「そうなの?」

 「玄さんはあまり映画を見ないんですか?」

 「う、うん。

  おかしいかな?」

 「そんなことないですよ。

  えっと、恋愛モノらしいですけど大丈夫?」

 「ドラマみたいなのかな?

  それなら大丈夫だよっ」

 「俺も内容は詳しくないんですけれど、あの牌のお姉さんが出るって話題になってましたよ」

 「おもち!?」

 「そう、おもちです!

  玄さんなら喜ぶかと思って!」

 「うんっ。

  えへへー、私のことを考えてくれただけで嬉しいなっ」


 京太郎君が私のことを思ってくれているのが伝わる。

 今まで人のために何かをしてきてばかりだったけれど、今日は違う。

 それが何だか恥ずかしくて、むず痒いけれど嫌いな想いじゃない。

 でも、牌のお姉さんが出るなんてどんな映画なのかな?


 6/10


 ……
 …

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        {  ∨:.: : :| {\{:.:.、   V  }   ...イ/:l:.|:|:.:.:.:.:||:.:.:.:/     「(男の人)みぃーつけたぁ……」
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      /.::::::::トヽYハ!:i:|::i:::::i:::::::|:.:.:.ヽ
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.     ノ::|::i!::i:|   ノ-j;!‐!:|:i:::i:|:::::::::.:i
    人:i:::{:、ト|-_ r‐彳テiY |;:ィ::i,:_::::.::!

       仟ィiテ)⌒ー―'′ハ!:i'^ヽ::::!
         `┼'7        リ  /::ト!    「誰か女の人呼んでっ!!」
.          | ヽ        ィイ:::::|
         、  -―‐    / }:!:::トヽ_
           丶  `゙  ,、 ゙ ′i リ!y′ |`ー-、_
          "',、__,,、ヽ     ! /   |     `ヽ
           // \     i /_    !     _冫ー、
           / /n  ハ    | \. |   /   ヾ、
     .   /   //ノ  {_ !  /f'"   \!   / :/:       i
      /    レ \_ |`  イ        ′:!:       |
      ハ         `ヽ  ノ       ハ /  /:  |


 7/10


 れ、恋愛映画……?

 そう思って見たこの作品は、始まりから何かおどろおどろしいBGMが鳴り響いていた。

 そして出てくるタイトルのフォントはどう見てもホラー映画。

 京太郎君の横顔を見てみると、呆然としていた。


 「大丈夫だよっ。

  ホラーも見られるから!」

 「ご、ごめんなさい。

  怖かったら俺の手を握ってくださいね」

 「えへへ、頼りにしてるよー」


 お姉ちゃんがホラー系をたまに見るから付き合いで見てるんだ。

 夏はホラーで涼しくさせるんだよね。

 でも、この映画はなんだか毛色が違う……?


 『独身も既婚者も逃げろっ!』


 どうやら牌のお姉さんは貞子のような驚かせ役らしい。

 うむ、素晴らしいおもちなのです。

 もう30代なのにまだまだ若々しくて凄いなぁ。

 張りのあるおもち……。私もこれくらい大きかったらなぁ。

 京太郎君も大きい方がいいのかな、なんて思って横を見るとなんだか汗を掻いている。

 どうしたのかな、そう思って映画を見直すと……。


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         |:.:.:.:.:.:.| 斗ぅ芋ミ       抖ぅ芋ミ.  |:.:.:.:.:.:.|
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         |:.:.:.:.:.小  V::::::ソ         V:::::::ソ  ′:.:.:.:.:|
         |:.:.:.:.:.:.| ',                   /.i:.:.:.:.:.:.|
         |:.:.:.:.:.:.ト、} :::::::::::::     '     :::::::::::: 厶:|:.:.:.:.:.:.|    「カップルで見に来ている人はいないよね?」
         |:.:.:.:.:.:.|:八               /:.:.:|:.:.:.:.:.:.|
         |:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:\       r‐、       イ:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:.|
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        rく´ / / \                  /ヽ ヽ¨ヽ、


 8/10


 ……
 …

 「こ、こわかったよぉ……」

 「ごめんなさい……。

  ちゃんと事前情報で確認しておくべきでした」

 「ううん、私が勝手に怖がっているだけだから京太郎君は悪くないよ」


 あの宮永照さんと相対した時の感覚。

 それと比べ物にならないような圧力がかかってきた。

 赤土先生はこんなものを受けてあんな風になっちゃったんだね……。


 『小鍛治さんと対局してね、頭ン中掻き乱されてね。それからなんだよ。
  特に五感がね。もうダメなんだよ。男の人が目の前にいても認識できない。漫画だろ?
  もう君に、女子力を教えてあげることはできない』


 乾いた笑いを浮かべる赤土先生を思い出して身震いする。

 わ、私もああなったりはしないよね?

 なんだか怖くて、まるで京太郎君が離れていってしまう感覚。

 もうダメ。最初から手が届いてないなければ想っていられる。でも、こんな風に幸せを味わってしまってはダメ。

 京太郎君がいない生活なんて考えられないよ……。


 「玄さん」

 「わふっ」


 そうやって涙を浮かべていると、京太郎君は抱きしめてくれた。

 さっきまでの不安がどこかに飛んでいくようだった。

 筋肉質な男の体。女の人のおもちみたいに柔らかくはないけれど、とっても安心する胸板。


 「少し落ち着くまでゆっくりしましょうか」

 「で、でも、せっかくのデートなのに悪いよ」

 「二人で楽しめないと意味がないですよ。

  ほら、彼氏っぽいところをアピールしますから」

 「……うん、うん」


 そう言って京太郎君は強く抱きしめた。

 少し小柄な私は京太郎君の胸の中にすっぽり収まってしまう。

 なんだか、とても安心した。


 9/10


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          / ,  从 Vり ∨イ ,イ斧ミ、}/ /⌒ } | '
           / イ从 l ム        Vり ム'  ノ/}'
         ´    \∧  '        ,r ' /      「玄さんの気がすむまで、抱きしめていますよ」
               、  v   ァ    / 从/
                     \ `こ     イ  _|、
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 |::.∧::..::..::./::..l!::..::..|、 >    ̄  ....<!::..:リ::..::/!::..:!   「……うん!」
 |::..:∧::..::/:!::..|.',::..::.| \   7 = 爪::..::..::.|::../:::../ .!::..:!

 |::..>'',:::.{/!::..{∧::..:!  ,ヽ_ / .n  |∨::..::.|:/::./:! .|::..:!
/   .∧::八.::| ∧::.!    ヽ_ハ | ∨::..::!/::..::| |::..:!
      ∨::.ト!  ',|へ\  | / | ∨::..l  \:| |::..:|


 10/10


 ……
 …

 ・二時間後


: : : : :/ : : : : : :| : : : :|.. : :. ゙、: . ゙、゙、. \
: : : : : |. : : : : :i |: : : :i:|. : : : ∧: :、.i. .i: : . ` 、
.: : : : : !: : : : : | |、: : :| | : : i | !: :|:| : |:、: : : : : : >
: : : : : :| : : |: i 「! ヽート!、: : リ  !: |ハ: ト : | ̄ ̄
.: : :,..-、|: : :i: :|: !゙、 _、!二゙、-| イ: リ ! |ヽ:|
: : / へ.゙、 :丶ヾヽ<´{::::i` ヽ! 1!|:/| :!ノ゙、リ

: :ヽ    \ : :!丶   ̄     Vイ:ハ |\:i
.: : 丶    \゙、        `> リ  `
ヽ: : :`┬ 、  ヾ          /
  i: ;ィノ    U     ,....-ィ /    「あの、後どれくらい?」
,,:‐レリ    _       ̄ /
゛=!_    \ `ー-、_  _/
::::::゛== 、 \   / ̄ヽ、
::::::::::::::::::::::゛===-、    >


                     ( )
    i ニlニ○ _L/、     /   (⌒ ⌒)
    { cト  ´ | ノ ⌒ ーノ{__ノ  て人_)
         .   ――  ..
          / ..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: `:..、
       '       .:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:\  /
      / .:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:}::.:}:..  :/ }   ハ
    /::.:′. .: }::斗/L/!::.:.:. /::、i:.:.:.}......:.   ̄
    /::. |:...:.:/|::.:/ j/ |::.:.:/}:/リ|\|::.:.}.‘ ―
    {: /.! :|.:.:..::|:/ -- _}:/ノ' /十/,「:..ハ:.i
   rぅ' ,|::.|::.:.|:;{z≦三    三ミメ.|:/|:.ト{ \
   /:{ V:|::.|::.:.|´i             `|:: |:.|
   |:.|/::.:,::.:.::. l :|/// 、__   /// |::.i!:.!    「えへへ、もーちょっと!」
   {i:{:: :ハ::.: 込{. __  (__ ノ    .ィ}:リ|:
   乂:/:.:∧::.:.V/⌒ヽ.--r >ォ抓/:./ |′
 /:/.:.:.:.:/\:ハ´  ̄`V ´  ̄`∨:/|   ( )

イ.:/::.:.:.:. /  /\     {      {:小{  (⌒ ⌒)
://::.:.:.:.:.:.:{ fノ       |!    人.}:.{  て人_)
./::.:.:.:.:.:. 人       ,八      ノト{
'::.:.:.:.:./:.:.:.:ト、    /  乂   /:.:|


 カン!

 リクいっぱい来てとってもうれしい
 可能な限りやります。よくわからないけど要求された京穏もやります


 1レスでわかるのどアコ次元のまとめ


 京ちゃんは大学生です 
 京ちゃんは玄ちゃんといい感じです
 玄ちゃんはわざわざ東京まで京ちゃんに会いに行ってます
 京ちゃんは玄ちゃんが阿知賀からわざわざ来ていると気づいていません。



            /   . . . . . . . : : : : : : : : . . .   \
             ,  . . . . : : .:. .:..:.:.:.:.:.:. .:. .:.:.:.:.:..ヽ:. . :. ヽ
          /  . . . : .:.:.:.:.:.:.:′.:.:.:.:. i{:.:.:.:.:.:.:.:.:.:..:.:..‘. ∧
            / :/ :/:/ ..:.:.:.:.:.:.:.| :.:.:.:.:.:. | :.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∨. ‘.. .
         / .イ ′:.:.:.:.:.:{:.:.:.:,| ...:.:.:.: {∧:.:.:.:.:.:.:.:.:.:i:.:.:. :. i
        ././ ′:!.:.|.......:小:.:.ハ__ .:.:.:.:iハ 斗:十:.ト:. .|:.:... i:. :
        i:.′} . :|. :! :.:.:斗{:.:「 丁i .:.:.:.ト:.V ヘ:.{\:.:.`!:.:.:. |: :|
        |′.′::l .:|.ト:. .::| ヽ 气{\:.:{ \  ヽ. \} :. : |: :{
            i . .:.|:八.:.|ヽ{  _    \   ,z≦ミ、| :.: :.!:. |!
            | : /|.::.:.:.::! ,ァ= =ミ     ´   `'^| :. : |:.小
            |.:/ :! .:.:.:.ハ ′             /i/, | :. : |:.|i
            |:′:} .:.: :| ∨ /i     '       .:. :. :.!:. l: {   「今日も京太郎君に会いに行くよー」
         ○: :′.:.:.ト. .           ,      八:.:..:}:. l:.‘
         /:.{: :| .:.:.:. {:: 込      `   ´   /}::.:.:./::. :!:. ‘
          /:;:.|:.::| .:.:.:. |:::::::个:.....       .イ::∨:.:.:/:/.:.′:∧
       i:/{:.! .:| .:.:.:. |:::::::/:::::::::ノ}≧ - ´ {入:/.:.:./i/:.:.′:. . ‘.

       |{∧{..:.i:.:{:.:.:‘:.:.::::::::/ 乂    / /:.:.:/V:.:.:.{:.:.:. . . ‘.
         .′..:.八:!ム:.七¨⌒}     >t_ん /:./「/:.:.: 厂 ̄ ≧ 、
         / . rヘ´ ヽ \  |   ∧   ∧'ィ斗v′:.:/       ヽ
.        / . :′       八_{ ̄≧ V__/イ´  {'リ:.:.:.:′      / }
       / . . {⌒ヽ       八  z__{ }___,  {.':.:.:./      /   |
      .′. .:|    \      《    ハ下  . /.:.:.:.′   ,    小
      / . . .:.{     ヽ   }  ∧__/ }ハ ≧7.:.:.:./     /     {:∧
.     / . ./..:.:}      . | く    /  }  ;:.:.:.:.:′ .′/     {:. .‘.
    / . ./..:.:.:.i      ∨ }    `≧-ヘ ∧ノ}:.:.:.:.{ . { .′     }:. . ‘.
  / . :/′:.:.:.}  ‘.     V|         ∨   |:ノ}:.:}  j /    /  {:.:. . ‘.


 1/10

 833 837 853 857
 【お姉ちゃんの誘惑】-のどアコ次元-


 「お姉ちゃん!

  東京に行ってくるね!」

 「ちょ、ちょっと待って玄ちゃん」

 「?」


 今日も東京まで京太郎君に会いに行こうかと思ったけれど、なぜかお姉ちゃんに止められた。

 いつもならばなんだかんだ言いつつも見送ってくれるのに、どうしたんだろう?


 「早く行かないと今日や明日に帰ってこられないよ?」

 「どうせ行くならもっと長く滞在してほしいよ……。

  そうじゃなくて、ちょっと待ってね」

 「うー」


 早く京太郎君に会いに行きたいのになぁ。

 お昼を作ってあげて、お夕飯も作ってあげて……。

 もっと近くに住んでいれば毎日ご飯を作ってあげられるのに。

 あっ、引っ越しちゃおうかな?

 そうすれば毎日会えるもんね。えへへー。

 そうと決まればお姉ちゃんの目を盗んで今のうちに……。


           ,  ⌒ ー   ̄ ̄  、
         /_,. -            \
        /´ /     /⌒\      ヽ
        , ´ ,         V     :.
       /  /  /  / /      | V : V |
     /-- ´' / /  / l|{     | l| | | {
        / イ  {  ':|_,斗| |  、_l__/_ィ  |l∧
         /  ,: ∧ | {∧{ {  、 /}/}/ } /∧|
       / イ / {∧{ 、__,.V {∨ 、_,/ イ}' `
       ̄´ V∨乂l      \    ムイ/     「やっと着いたァー……」
               从      '     八/
           -〈〈/\  v-っ  イ》く__
        /////∧\} > -- < |//}///> 、
       /////////\}     「/〈////////\
      /////////////|--、  r-|/ イ//////////\
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       ≦:: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: ヽ:: :: ::.::.::ヽ
      ク:.:::.:::.::: : :: i: :: :: :: :: :: :: :: : : :ヾ: : :.::.::.ハ
     /::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::i
     /  ヾ:::::::::::i i:::::::::::::::::| |::::::::::::::::::::::::::::::::::ヒ.i
    /ソ|`::::::::::∥::i |:::::::::::::::;| .i::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|
 .  ∥ |::::::::::::ハ::|. {:::::::::::::::|  ヾ::::::::::::::::::::::::::::::::::|

      |::::::::ヾ|`|/ヽ|ソヾ:::::ハ|ー≦\::::::::::::::::::::::::::::|
      |::::::::ハ ィ.爪ハ  .ヾ:i  イ斤心 }:::::::|ヽ::::::::::::::|
.     |::::::::::::i 弋っリ       込:::リ.|:::::::i |:::::::::::::::|
      i:ハ:::::::::| xx  ,     xx .,i:::::::ヒ」:::::::::::::::|
      o .i:::::::::i              u |::::::::|:::::::::::::::::::|
      i::| ト::::::ヽ.    _      i::::::::|:::::::::::::::::::::|    「ふえっ!?」
     ノ:|:| |.:.ヾ::::::::ゝ 、   .,孑≦|::::::::|;;;;;;::::::::::::::::|
     /ノ |  |.:.:.:i::::::::::::::::ソ` 夭  /|::::::ソ:::::,:::::::::::::::::::|
        |ゞ:::::i::::::::/ ゝ仆'   i:::ソi|/|.:.:.:.:.:.i:::::::::::::|
       |:.:.:ヾ、:广 レへ /ヽ .i:// ノ.:.:.:.:./::/ヽ、::|

        |.:.:.:i:::::| 尸ヽ一イ ̄刀  /.:.:.:.:./:::/  .ヽ|
       |.:.:.:i::::::|  >  ,卅   /  ノ.:.:.:.:/:::::/   /`.i
      |.:.:.i:::::::/. <ヽ イ  ト-匕ヽ/.:.:.:.:/:::::/   /   .|


 2/10


 扉を開けるとそこには京太郎君がいた!?

 えっ、夢じゃないよね?


 「あっ、玄さんおはようございます」

 「???」

 「良かった。もう帰省していたみたいですね」

 「須賀君おはよう。早かったね」


 私の知らないところでお姉ちゃんと京太郎君の会話が進んでいる。

 どういうことだろう?


 「いつも玄さんが会いに来てくれてるんで、今回は俺が来たんですよ」

 「……もう! ダメでしょ!」

 「へ?」


 京太郎君、それはダメだよっ。


 「東京からじゃ遠いんだから、危ないよっ」

 「いいじゃないですか。

  わざわざチケットまでもらっちゃいましたし、松実館を楽しみますよ」

 「ううー」


 会いに来てくれたのはとてもうれしい。

 でもここまで来る大変さを考えると胸が痛くなる。

 ううー!


 「そんな膨れないでくださいよ」

 「むー!」

 「ほっぺた突つきますよ」

 「わふっ」


 精一杯の抗議は頬っぺたをつつかれたことで霧散してしまった。

 えへへ、やっぱり京太郎君って優しいなぁ。


 「それじゃ、私がたっぷりサービスするね!」

 「玄ちゃんはお客さんとして須賀君と一緒にいてね」

 「ううん、松実館の娘として恥ずかしいことは出来ないのです!」


 急いでみんなのお手伝いしなきゃ!

 京太郎君、楽しんでくれるといいなぁ。


 3/10


 ……
 …

 もう、玄ちゃん。

 せっかく彼氏さんが会いに来てくれたんだからちゃんと対応してあげないとダメだよ。

 張り切りすぎちゃって焦っちゃったのかな。

 いつもの玄ちゃんならそれくらいわかると思うのに。

 それにしても須賀君かぁ。


 「あはは、行っちゃいましたね」

 「うん」


 上から下までしっかりと見る。

 玄ちゃんの言っていた通り、結構格好いいなぁ。


 「いきなり相談してごめんなさい。

  いつも玄さんに迷惑をかけているので、お礼をと思って」

 「そんなことないよ」

 「わざわざ憧に取り次いでもらった甲斐がありましたよ。

  あっ、俺の名前は須賀京太郎って言います。

  対面して挨拶するのは初めてですよね」

 「うん。私は松実宥。よろしくね」

 「宥さんのことは玄さんからよく聞いていますよ」

 「私も……」


                        __
                  _ -‐. : : : : : : : : : : : . .、

                 /: : : : : : : : : : : : : : : : : : :\
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              /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :',

                /: : : : : : {: :{ : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :',
              ': : : :| : : ハハ : : : i{: {: : : : ,: : : ,: : : : : : l
                 | : : : |: :斗r七И: : :',V\{\', : : ',: : : : : :! ガクガクブルブル
             И: : :lハ斗==ミ \__}斗==ミxl: : : }',: : : : :|
              |: : : : :| (::{}:)      (:{}:::) l: : : }ハ : : : :!
              |: : : l: | ===     ===  l: : : }):} : : : |
              |: : : l: l               ': : :/:/ : : :/l
              |: : : l八         __/: : :,_/{: : : ': :',
                  vハ: : :个s。  ‘ ’/  ,': : ://: : : /: : : :',
                  ∧: : 「⌒ ≧=‐´   /: : :, ,': : : /{: : : : : ',
                / : l\j\      /: : ://: : : /  、 : : : : \
                /: : /!: : {   、__ i{/{://: : : /_ -=\: : : : : : .、
.            / : : : {/!: : {\        /: : : /⌒/   ',⌒\: : :\
         /: : : : : / / : /  T T⌒ ̄ 7: : : ,'       ',    、: : }
        ,: : : : :/{/{ ': : /{_ 人_ノ⌒  〈{: : : :{ /      }\   \}
         /: : :/{: \_/: : / /⌒/Vl\   ノ{: : : :{ 〈      }: : : .、   \


 「(須賀京太郎。
  声は福山潤に似ていて2月2日生まれ。身長182cm。
  宮永咲さんとは中学時代から現在に至るまでのクラスメイトであり、仲がよい。
  元清澄麻雀部唯一の男性部員。
  高校生時代には片岡優希とは漫才コンビのような関係で、所構わずよくいじられたり、ツッコミを入れたりしていた。
  カピバラという珍しいペットを飼っている。
  とっても優しくて割とお金持ち。好みの女性のタイプは露出が控えめで胸が大きくて家庭的な人。
  得意料理はタコス。片岡優希さんのために龍門渕のハギヨシさんから習った。
  中学時代はハンドボール部で、県予選の決勝まで行った。高校生インターハイ県予選個人戦では午前中で敗退……。
  現在は原村和さんと憧ちゃんと同じ大学に通っていて、二人のお世話がかり。
  二人絡みで穏乃ちゃんとも交流がある)」


 4/10


 「あ、あの、とっても震えてますけれど大丈夫ですか?」

 「だ、大丈夫だよ。お姉ちゃんだもん。

  お姉ちゃんは妹の話をちゃんと聞いてあげなきゃ」

 「そ、そうですか?」


 玄ちゃんからは同じ話を耳にタコができるほど、を通り越して完全に暗記できるほど聞かされている。

 そんな玄ちゃん視点ではとっても優しい人らしいけれど、本当にそうかはわからない。

 玄ちゃんは好きになった人の悪いところも我慢しちゃうから、私がお姉ちゃんとしてちゃんと見極めなければいけないよね。

 もし須賀君が玄ちゃんを騙すような悪い人だったら、ちゃんとだめっって言わないと!

 そのためには……。


        /:/: : : : : /:. :. : : : :.八:. :. :. : :. :.| |: : : : : : : : |:. : : : :|: : |: : : : : :‘,
       ' /: : : : |: :|: : : :|:. : :.| |: : : : : : : | |\: :_: : : : |:. : : : :|: : |: : : : : : :‘,
.      i ハ: : : : |: :| : : ∧: : :l ハ: : : : : : T〔 ̄「 :|: : : :|:. : : : :|: : |:. :. : : : : :.|
.      | | |:. : :| |: :无Τ: :Г| ト、: : : : :N  ヽ|\: :|:. : : : :|: : |:. :. : : : : :.|
.      | | |:. : :| |: :| V \ l |/  \: :| ,ィ㌘宥ミx |:. : : : :|: : |:. :. : : : : :.|
.      | | V:. : :|: :V |〃示芯ミx    \| ♭  Л Ч: : : : :|: : |:. :. : : : : :.|
      ヽ| V: : |: :ヽ癶{ ♭_,Л         乂こシ 个: : : : |\|:. :. : : : : :.|
          \ |: : : :メゝ弋こソ             |:. : : :.| |:. : : : : : : :.|
             |: : : :ハ     ,      /i/i/i/i  |: : : : : | |:. :. : : : : : :′
             |: : : : :} /i/i/i             |:. : : : :.|ノi : : : : : : : ,
             |: : : : :.                 |:. :. : :/: :/:. :. : : :. :./
             |:. : : :込、       .--         |:.:. :.:/: :/ : : : : : : イ   「(誘惑しなきゃ!)」
             |: : : : : :兮 、              /|:. : /: :/: : : : : : : : |
             |:. :. : : : : :. :.>            イ__,./:. :厂7:. : : : : : : : :.|
             |:. : : : : : : :.「 ̄. . ≧=一≦¨´.. .. ../:. :// : : : : : : /ヽ|
             ヽ:. : : : : : :.|.. .. . . . . . . . . . . . .. ../:. :〃:. :. : : : :./. . . . \
              ∧: : : : : : |.. .. . . . . . . . . . . .. ../:. :/!:. :. : :. :./ー───‐\
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: : : : : |. : : : : :i |: : : :i:|. : : : ∧: :、.i. .i: : . ` 、
.: : : : : !: : : : : | |、: : :| | : : i | !: :|:| : |:、: : : : : : >
: : : : : :| : : |: i 「! ヽート!、: : リ  !: |ハ: ト : | ̄ ̄
.: : :,..-、|: : :i: :|: !゙、 _、!二゙、-| イ: リ ! |ヽ:|
: : / へ.゙、 :丶ヾヽ<´{::::i` ヽ! 1!|:/| :!ノ゙、リ

: :ヽ    \ : :!丶   ̄     Vイ:ハ |\:i
.: : 丶    \゙、        `> リ  `
ヽ: : :`┬ 、  ヾ          /
  i: ;ィノ    U     ,....-ィ /
,,:‐レリ    _       ̄ /    「(……悪寒が?)」
゛=!_    \ `ー-、_  _/
::::::゛== 、 \   / ̄ヽ、
::::::::::::::::::::::゛===-、    >


 ーー浮気性かどうかチェックしないと、ね?


 5/10


 「あの、本当に大丈夫ですか?

  そんなに寒くないと思うんですけど、風邪を引いていたりだとか」

 「ううん。

  私って寒がりだから……」

 「(寒いって季節じゃないような……)」

 「だからね……」

 「!?」


 須賀君に体を寄せる。

 私の身長は玄ちゃんより少し大きいくらいだから、須賀君とは30cm近く差がある。


 「須賀君って、おっきいね……」

 「えっ、あっ、はぃ!?」


 それとなく腕を触ってみる。

 頭を須賀君の胸元に寄せる。

 予め男の人が嫌がらない程度に香水は付けてある。

 須賀君は真っ赤になってあたふたしている。

 このくらいで赤くなるなんて、これは由々しき事態かもしれない……!


 「須賀君ってハンドボールやってたんだよね……?」

 「あっ、はい。

  中学生の頃っすけど……」

 「わぁ、腕が太いんだね。

  触ってもいいかな……?」

 「い、いいですけど……。

  男の腕なんて触っても面白くないですよ」


 許可をもらってしまった。

 上目遣いでにっこり笑うと、須賀君は慌てて目を逸らした。

 むむっ、玄ちゃんがいるのにそんな反応しちゃ『めっ』だよ!


 6/10


/  /  . : . |  . : |. : . : . :.|.|| . :  ゚,: . 。: .   ゚。
  .:′. : . /: |  . : .:|. : . :} : /|.||. : . |.: . ゚: ..  ハ
  ゚ . : . 。 : .| . : . :|. : . 斗匕"「||. : . ト、 : :。_/i! :
 .° . : . ゚ : /| . : . 斗匕´: ./: / j/1 . : / | |\: .! ̄`ヽ} }

 ′. : . |..: .|. : . : | . : イ:/ 〃 ′:../j:/ jノ |: .|: .  || |
/ . : . : |...../|. : . : |_/ノ.-=示ミ / :/〃    :...j. :j :゚}.i
 . : . : . | 〃:。 . : . : .| 〃|゚:i:i:i:i:i:i:|/イ     示ミ|ィ: . / / j:′
. : . 。 : .lー<゚. : . :.|《  ,)、:i:i刈|        |爿∨/ィ′
. : . :°: |⌒ヽ゚: . : .l  込:.:.:.:ノ      リ:!/|: . |

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. : . : ゚,:.|     :, . : .:′  i::i::i.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ:.i::i:.|: . |
. : . : ..゚:|\__,゚. : . :,                |: . |
. : . :  八.--〈 ゚, . : . ′     ( ー―ァ    丿.:..│     「わぁ、太くて固いんだね……」
. : . : . : \. .\:,. : . ,        ̄  -=ニニニヽ:.ノ
\.. : . : . : \ . ゚, . : .′   __   ィニニニニニニム.―┐
. . .ゝ . : . : . : ヽ..゚,__/ヽ ¬/ ノイニニニニニニニニム  「ヽ
. . . . \>  。: . :/  ヽ  ‘ , }ニニニニニニニニニニニ} } 「}、
. . . . . . \. . .}\ / \   ‘:,  } ノニニニニニニニニニニニ|..ノ // 〉


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               /_,..-         ヽ  `  、
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            / イ ∧{ 从 Vり \∨' Vり /' / ∧{
            ´/イ }从lム     ; \     ,ノ /  \
                    | ∧ U         ∧,イ
                   Ⅵム    -  -    イ //    「(なにこれなにこれなにこれ……)」
                _ヽl\       //イ__
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 7/10


 須賀く……、京太郎君が顔を真っ赤にして逸らしている。

 こんな誘惑で照れちゃうなんて……。


 「京太郎君は悪い子だね……」

 「!?」

 「ふふふっ」

 「あの、なんで名前呼び……?」

 「だって、須賀だと二人になっちゃうから」

 「えっ、二人!?」

 「(玄ちゃんが結婚したら須賀になるから)」

 「(誰か知り合いにいるのかな?)」

 「ねぇ、京太郎君」

 「な、なんでしょうか」

 「うふふ、なんだか畏まっちゃってかわいい」

 「(何が起こっているのかわからない)」


 京太郎君の腕をすっと撫でると、大きな体をビクッと震わせた。

 自分よりも大きい人を自由にしている感覚が何だか面白い……。

 ふふっ、何だか楽しくなってきちゃった。


 「悪いお姉ちゃんだね」

 「えっ、宥さんはいいお姉さんだと思いますよ。

  ……あっ、ごめんなさい。松実さんだと玄さんと被ってしまうので」

 「?」

 「玄さんがいつも褒めていますから。

  いいお姉ちゃんだって自慢してますよ」

 「それは、このことかな?」

 「!?」


 京太郎君の腕をとって抱きつく。

 玄ちゃんと言ったら胸が大好き。きっとこのことを言っているに違いない。


 「どう、かな?」

 「な、なんでこんなこと!?」

 「ふふっ、残念。もう終わり」

 「……!?」


 目をパチクリさせている。かわいいなぁ。

 ーーでもね?


 8/10


 ……
 …
             r ' ´: : : : : : : : : : :`ヽ..、
          ./: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :\
         ./: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ::\
        /: /: : : : :::::::::::/::::::::::::::::::: !::::::: : : : ::ヽ::ヽ
       /: :/: : ::::::::::::::从:::j::::::::::::::::::|:::::::::::::: : : ヽ: ヽ
      ./: :/: ::::/::::::::::://!::!|::::::::::::::::::!:::::::::::::::::l: : `: :ヽ
      i: : l: :::::i::::i::::::::j::i l:::||:::::|:::::::::|:|!::|::::::::::::::l: : ::!: : :!

      .!: : l::::::::|:::j!_:_:::!!j. !::l.!::::!::::::::::!:!!::!:_:_:::::|:::::: !: : !
      !: : |:::::::::!:ナ!::::`!'!ー!-!.!:::|::::::゙卅!フ´!::::::::ヽ|:::::: !: : |
     .|: : :|:::::::::ト:!.ヽ:::| .! ヾ.ヽ:!ゝ::::| 〉_ヽ\::::::::!:::::::|: : :l

     .!: : :|:::::::::!〉!,rチテ心ヽ`' Y. \::!フテ亦ヽ、::::!:::::: !:::: :!
     |: : ::|:::::::::!∥{::::::::::::}      {:::::::::::::}ヽ 〉::::::::|::: ::|
     |: : ::|::::::::ト! ゝ)::::oノ      〉.):::oノ Y!:::::::::!: : ::|

     |: : ::!:::::::::!}.   ̄ ̄   ,     ̄ ̄  l'|:::::::::|:::: ::|
     .|: : :|::::::::ト !  '''''    __    '''''''  ! !::::::::j:::: ::j
      }: :::::!:::::::!、l      /´  ヽ      .j/!::::::::l:::: :/    「玄ちゃん!
     .ヽ::::::!::::::::!::\    {    j     .ノ::j::::::::j::: :/
      〉、: ::!::::::!:ゝ、 ゝ、  ゝ-- ' ___ r '_/::/:::::::/::::人     京太郎君は浮気性だよっ!」

     ./: ::〉、::V,:::!::ヽ` ー'`- ' ´     ./::j: :://:/:::: ::ヽ
    ノ'´´/ \:::ヽ::r-っ       rv-、/::/:ノ::/.〉`ヽ: ::\

  ,/::/   ` ゝ 、.}::/__./_ )-、_   rヘ´ヽ. ヽ::::::::/ r'´  .ヽ: : : :ゝ
../:r ‐'       ./ ̄   ` '' 、)_.r´)r ' ̄ ̄`ヽ:/      `ー-: :
': {  ゝ      l        ).ノ'       Y     , r'   .}:::
: ノ    \   .j        j.{        { __,, r '´     }::
Y      ` ./ ` ヽ、 __   l l __  ,, '  ヽ         }/
 \      {       ゙゙゙  { ノ        .|         }



                 ____             ___
            ,, :´ : : : : : `: .          /    \
            . : : : : : : : : : : : :\     {___j⌒ヽ  ゚。
          /: : : : : : : : : : : : : :.ヽ     ___,ノ  ノ
       { : : /: : : : : /: : : : : |: : : : : : : : い   /  --- ´
.       / \__/: : :.ィ: /!: : : : :.ハ : : : : :‘:,:  ‘, ゚. 乂,ノ
      /ー―――:{ |: i |: : : : : | ∨:.:|: : : |: : : :|: ゚◯
.     / : : | : : :|丁¨{丁{│:.:..: : i| ¨v:丁¨`:|: : : :|: :.゚
    i: i: : |: : : |ハ!ハl リ い、 :小 乂{\: |: : : :|: : i

    |:ハ :|: : : | ,ィ宍ミト } \:..゚。ィ宍ミトぃ..: : :|: : |
    || |: |: : : |〈 _)トJi:|    `¨ _)トJi:| 〉|: : : |: : |
    || |: |: : : l ,込rク      込rク  :.: :...|: : |
    リ |: |: : : |i 。            。 |: : : |: : |

.       {: } : : ト:.:':':':     ′   :':':': イ: : :.l: : |   「ふえっ?」
        C|: : : |:ハ      へ      /::|: : :。.: : !
      /:||i: : :{: 个: .     ̄       イ: :,゚: :.,゚: : :.|
       |: ||ハ: : :。: : : i >  ___  ィ: : : :i{: /: :/: : : j{
       |: ||: :゚。: :゚。: : i r‐|     |┐: : }/: :/: : : :ハ
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       |i ゚。>''ゞミ{    ,八八    ノイ、|: : : : |: : :|
     ィリゝヘ    r=====ミ___,ィ=====ュ  |: : : : ト、:..|


            ,.  ´ ̄ ̄ `  、__
          /   ,      / /⌒Y
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        .:'    '  /__/   ,      |   \__
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     /イ ,.. 、イ /}/⌒ヽ、/´   // /   、   、
       { { Ⅵ /   Vオ {从 /-}/-、  }  、 \
       | |  {/       ∨ィ=、}/  ,  |、 }  ̄
       / 乂   u      ::::::: Vソ' ,l ∧l |
        /イ , 八   ,...、    '   /ムイ,'∧ |
      /\ /  、 〈- 、\__     ム/ /   \
>----イ///\   .  `  ー '  イ/从      「工エエエエエエェェェェェェ(゚Д゚)ェェェェェェエエエエエエ工工工!?」
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 9/10


          , ' / /        \  \   ヽ
       / / , '     /      \  ヽ   ゙.
        // .' /  / ./!        ヽ  ゙、  l
     //  ,.'   ,イ / i       |、 l  丶 |    !
     ,'/l| . l! __L!l._ !       |_L.L._  l  l   |
     li! |! ||、´ ,' {.| -| l、   l|l-ヽ|、 ` .| |   l
     || i!.|Yヽ|_,,,L_ lハ.   |l!=込_\ !  ||   | l
.      i! | | | /イ示ヾ  \ {イ示ヾミ |  .!|   |. !
.      } |  l!ヽ辷ソ    `ヽ辷ソ" .!  ll|  !. l
.        | /|  |l ,, ,,     ,    ,, ,,  ,!  |i|  ! |   「私は浮気されても待ってるよ?」
        fj. !  l.!            ノ|  l |  | l!
     / !. |  | ヽ    っ     ..ィヽ!  l !  !、. ゙、
    ,.'/{ | _!  l'´| >、.. _ .. ィク   ,' / トl.   |. \\
    !'/,l l'. ..ト ハ..l    ヽ、  ,<    / /!ノ/  .lヽ、ヽ \
   , 'K. ヽ!. . ヽ\ヽ!  , ヘ ゝl λ   ,'ノ. . /   |. . . `>、. \
.  / /. ヽ. . . . . . .  ̄! /\ヽ '// \ /. . .,'/   |. . ,.'. . .ヽ  ヽ
 / l. . . ヽ. . . . . ┌┴┴─┼|┴─┴-、,'/     .!. /. . . . .l   ヽ


              , r ───-- 、
           r '´ : : : : : : : : : `ヽ、

         ./ : : : : : : : : : : : : : :\
        / : : : : : : : : : : : : ヽ : : : : : ヽ
       ./ : / : : / : : : : : :|: : : : : : :ハ: : :ヽ : ヽ :ヽ
      / : / : : : /: : : : :l: ::j: :|: : : : : | }: : : :ヽ: ::ヽ : ヽ

      / : :{ : : : ::{: : : : :ノ:ノ}:::ル: : : : リ、}::ハ: : ヾ,: ::}: : ハ
     .{ : : | : : : 」; 斗七´/.}:/.}: : : :リノ }`ト;、: :}:}:: l ; ;} }

     ! { : :! : : : :!: : :ノ':/`/' .j: : : ://  .リ |: 外|: :l: : ト|
     .|::l : ::| : : : |:/,r=≠ミ /: : ノ ' ,r=≠ミ/ |リ:: :| :ハ}
     .|::|: : :| : : : | 《{////゚} ´    .{//゚/}.ヾ|: : : :|/' '
     .|::| : ::|: : : ::| ヾゝ//ソ       リ゚/ソ∥!: : ::Y|
     .|::|: : :l: : : : |  , , ,      ,   , , ,  .j:::: : :|:|
     !:l : : :{: : : :{                l: : : :|::!
     }::l : : :l: : : ::{               .j : : :リ: |
     .}::i : : :l: : : ::ト、.     ⊂⊃    .ノ: : : ::j: :|

      l: 〉: : :〉: : : :V>、         rl'´リ: : : :/: リ     「(私がお姉ちゃんとしてしっかりしなきゃ!)」
     .} :∧: : :W、: :ゝ、_.|_` ー __, ィr<、: |:/': : ::/ : /

     ノ : : :ヽ: : :ヽ:\ヽ   ̄ ` ヽ、{ _, r'  フ: ::/:: /
   / : : :r‐'ヽ: : : : ∧           /:/: : :∧、
 ,/': : : ::/  .∧: l: : ::ヽー-        ./: : : : :∧: : \


                  ___,-、 _, ---- 、

               ,   ´     /  `  < ⌒\
               /        |    :.   `ヽ、
             /     / /   l|    V     `   、
              .'     / , { { | |     | 、   、_ \_
              |     | | | |∧| {   :  ハ  V  、\  ̄´
               | | {/--{ 从  | , |-|、 |  、 \`

            ' | ,..- | | | ,ィtォ=ミ∧ |,ィtォ、} / |l ハ\_、
          /イ{ { r 从 { Vソ   ∨' Vソ/イ |∧}
            ∨乂   \            |/ j' リ
            }∧ ー:.          `   ムl/
            /  、 八 U   _ _   人
               }イ/|\        /     「そもそも浮気なんてしないっすよ……」
              「<l|  `  .__/_
              |////>、     | 「/|
              -=≦、[二]//l}    |、}l∧_
         -=≦///////////\   |/////≧=-
     r-=≦//////////////////|___j\//////////≧=、
     |////\////////////////l}   |/////////////|//|


 10/10


 ……
 …

 ・阿知賀の山


. /: : : : : : : |: : .:i:.|:.:.:.:i| |:.:.:.:.:.:.|!:.:|i:.:| 、:.:.゙、::、   ゙、゙、:::::::::::;::イ/:::::::::::::::i:::::
./ : : : |: : :i:.|:.:.:.:i:.|:.:.:.i| |:.:.:.:.:.:.:.|!:.| i:.:i 、:.:.:、:.、::.:.:.!:.:iヽ/:.:.:.|/:::::::::::::::::i::::
i: |: : : |: :.:|:.|:.:.:.:i|:|:.:.:.| ! |  ..:|i. | .i: i ゙、:.:.i.;A-‐ハ:.!:.:.:.:.:.:.:..!:::::::___|::::
!:.i |: :.:| .:.:.i:.!:.:.:.|!.i! :l |:.:!:.:.:.:.:..i:.:.i ゙、! _/ハ:ハ/ |ィ;.:.,.-‐-、!:/.:.:.:.:.V/

i :|.| :.:.:i   i i_:|、!、:.:.! i:!、i:.:.:.:.:.:.i:.:.i _;彡';tr=、 ヾ、"' /ヽ |':.:.:.:.:.:.i:.:|:.:.:.:
. ! i:i!  | ..:i :i:.:.:i`iー>ト-!、丶:.:.:.:.:i:、^V i_;:::::::ヽ /      i: : : : :.:|:.:|:.:.:.:
 、:!:i、:.:.i:.:.:.:.|:.i:、:.7メ'f:::::::ヾー\:.:.:.:、`ヾ  <;;;:ン ′     ノ : : : :.:.:!:.|:.:.:.:
  ヾi 、:.\:.:\:.]〈  っ::::;:i    ̄`            _,∠|:|: : : : .:|:.|―-
    ヽ!:.i、`゙ー-r≧   >≠    ,      " "   /  |:! : : : :.:|:.!////
     |:.|:.:.:.:.:.:.:\!  ,, ,,                /   i!: : : : : ::i:.i////
     |:.|: : : : :.:.:.i i       r== "ヽ      /   i: : : : : :.:i:.|////   「わざわざ阿知賀まで来たのに遭難しました!」
     | |: : : : : :.:i:.:|\     ∨__ノ)   /    /: : : : : :.:i.:|////
     |:| : : : : :.:.|:イ |:::|l`ー-..、    ̄ ̄   /     / : : : : : :.:|/////
      |.|: : : : : :.:|:∧ i:.:!i::::::::::::::`i ー-‐ '    ,..-‐:/: : : : : : :.:.i!/////


          . :´ . : . : . : .`: .

        /: . : . : . : . : . : . :\
       /: . : . : . : . : . : . :ヽ: . \
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     .′ : . : / : . : . : . :ト : . :‘./-‐゚。
     |__: . : . : .i: .|: . : . : .|: . : . : .| ゚,:}ヽ/:.‘。 :  ぃ
   /:.┼{ ―--..|:._|__ : //八: . : . :| 匕 }: . }: ゚: . }リ
 /: イ: .|∧ ミ . : |: .|: //フ7¬ }: . /| ィi爪㍉}:.:|:ハ /

/: ./ | : |: ∧\ : |: .|厶斗=ミ /イ 丿 |:il刈  :.:l/}/
 :./  : ..|: . ∧ . : |: .|斤:i:i:(_,      弋''ツ  |: |: .i  ( \    -‐ 、
: /  | : |: . : ∧: .ハ:卞::i:lil刈             |: |: .|   ヽ у´   ___}_
/    : . l: . : . ‘:,⌒!ム ゞ…″     `  :':':':゚|: |: .|   │ r  ̄     }   「まぁしずもいるし、なんとかなるっしょ!」
    |: . 。: . : . :∧ い  ゚:':':':     -┐   }: |i:∧    |    ――‐{
    | : ..。 . : . : ∧、vハ      ゝ __ ノ  / : |i: .‘    |       ー―{
   /: . : ゚: . : . : . ∧:vハ`   ..,,      /   } |i: . :;  ′     -- ′
.  /: . : . : 。: . : . : .:∧vハ__     ̄{ ̄: .|   }/}: . :.。 /\    }、
  ′: . : . : .。: . : . : . : .ⅵ\>―‐n: . :.{   / l: . : ∨/ / \  /:.入
 /: . : . : . : ./\: . : . : . : \: \   |{x=xハ    乂: .:// / / / `¨¨´:.:}


                 ,........-――--....、
            ,. : ´: : : : : : : : : : : : : `ヽ、- 、

           / : : : : : : : : ,: : : : : :\: : : :\: \
          ,:': , : : : /: : :/: :{: : : : : : ヽ:ヽ、: : :ヽ: :、
            /: /: , : //: :/:/:∧: :ヽ: ', : |: :|:ヽ : ,:∧: :.
        /: /: /: //: :/:/:/  マ: :|_:|__:|: :|: l:∨: :,:|: : .
        |: ': /: //: ̄|`|'   |:´}:∧: }: :,: }: |: :/:}: : :',    ゴゴゴゴゴゴゴ……

        {:{: :{l: |:{从_:{__{    }/イ__}/: イ/:/:}:/ /: : : : .
         从:八:{ム,イ _斧`    イ _)斧ヽ}:イ/_: /: : : : : :.
          \{从{ Vり       Vzソ  |:/ Y: : : : : : : |
              |: }      '         |:l 'ノ: : : : : : : :|    「(今のうちに玄さん頑張れ……!)」
              |圦    _  ,    ,ィ|:|イl: : : : : : : : |
              |:/  .        イ_,/イ |:|: : : : : : : :
             }'    `__-r-=≦__」'/::} |:|: : : : : : : : |
               _,/:::::::「 ̄::::::::::_/|__|:|: : : : : : : :/
            /:::::::|:`=={j====イ:::/::::`ヽ: : : : : ,

              ∧::::::::::\:::::l|:::::::::::::イ::::::::::::::::∧: : :/

 カン!

 一人クロチャー祭り超たのしい。みんなの妄想素晴らしい
 入れ替わりネタ楽しそうだなぁ


 1/1

 【みんなお金持ち!】-1レスネタ-

 ・社交界にて

      /:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\
      /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::',
    /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::',

    |:::::::| \:::::::::::,__::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::l
    {:::::::{ヽ /\::::|ヽ∨:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::',

    ∨::∧/  _,ヽ| ヽ.!:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::',
     ∨:::∧ /灯  /}::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::',    「生き恥を晒すつもりはない、くっ、殺せ」
     \\∧∨   ∨::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\ __

       \. 〉      ∨::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::>、
          ノ       |::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ、
          ヽ -    /::::/ \:::::::::::::::::::::::::::::::::::::: \ ̄ `ヽ::::::',
            ` - ./::::∧ //\:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\  ヽ::::',

               {/|::} 〉/////\::::::::::::::::::::::::::::::::::',\  〉::}
               |} |///////// \:::::::::::::::::::::::::::::::', ヽ }:/
                  |/////////////ヽ:::::::::::::::::::::::::::::',


      /:./{ミミ:.:.:.彡≧:.:.\

     /:.:/´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.\i
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     /    |,⊥ミ∨/l|      ト、  └ユ
     !    .i    ト、  ヘ ヌ二¨   ヽ   !
     l    |L_   ゝヽ_/>ャ=ヽャ‐   \-、
     i   '7_,.≧=- }} ′ `   ヘ.    \ヽ

     j   ff'"⌒ヽ ノ   、_,.ィi レ、    l ヘ!

.      ノ   7弋   , ,    爪从 . i    l
.    イ    ハ  tt彳′        l j    ∧
   //   ! ト、       _   ‐ュ   /7   ∧ヘ    「これは一体なんなんですの?」
.  /,ハ    ヽヽヘ   f二´-‐'' "   / /    / ヘ ヘ
  { { ヘ    丶 ゝ _       /∨  /   ヘ ヘ
  ヘ!  ゝ     \  `  ┬-‐'  /!  ィ′     ヘ ヘ
       丶、_  \  广弌irく  l l 〉────'┼‐-、
         !| \   Y/ /V ≦ヽl ∨       l   ト
         !|   ハ l| ィイ' 7ソトミ、 ヽヽ ヽ.       l   l
        厶イ  j ∧/ //ハヽ\∨lルl       l
       f´ i   ノ/ ∧∨//  ヾ 、 ゝ'.ノ         l


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: : : : : |. : : : : :i |: : : :i:|. : : : ∧: :、.i. .i: : . ` 、
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: : : : : :| : : |: i 「! ヽート!、: : リ  !: |ハ: ト : | ̄ ̄
.: : :,..-、|: : :i: :|: !゙、 _、!二゙、-| イ: リ ! |ヽ:|
: : / へ.゙、 :丶ヾヽ<´{::::i` ヽ! 1!|:/| :!ノ゙、リ

: :ヽ    \ : :!丶   ̄     Vイ:ハ |\:i
.: : 丶    \゙、        `> リ  `
ヽ: : :`┬ 、  ヾ          /
  i: ;ィノ    U     ,....-ィ /    「いいからみんな帰りますよ……」
,,:‐レリ    _       ̄ /
゛=!_    \ `ー-、_  _/
::::::゛== 、 \   / ̄ヽ、
::::::::::::::::::::::゛===-、    >

 お金持ち軍団
 リクが溜まってて書けないから誰か書いてください。待ってる


 1/10

 【世にも奇妙な出来事】-のどアコ次元-


 どこかでとある事件が起こっていたその時の話。

 世にも奇妙なで出来事が彼らの身に降りかかっていた。


 「あれ、俺……?」


 布団の感覚がいつもと違うことに気づいた。

 ああ、そういえば先日は松実館に泊まったんだと思い出す。

 玄さんに会いに来たのはいいけれど、宥さん浮気性だなんだと言われたんだった。

 全く失礼だ! いや、確かにあの胸の感覚は色々と惜しかったけれども!


 「朝から旅館の料理が食べられるなんて幸せだなぁ」


 起きて身だしなみを整えていると、扉を叩く音が聞こえる。

 玄さんが来たのかな? 起こしてもらえるなんて嫁さんみたいだね。

 玄さんが嫁さん……。最高すぎるだろ!

 そんな妄想に浸っていると、扉が開いた。


                 ......-‐……‐-.....
               .......................................................、
            /...........................................................\

            /.........................:.:.:.:....:.:.:..............................\
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        ...........:.::l::::::::::l |::::::::::::::::::|:::_::::::::::::::::::::::::::i:::::::::::::
        ;..../|::::i:::|:::::i斗‐|::{ :::::::::i:::「\:::\::::::i:::::::::|::|:::::::::::::i
        |:/ :|::::i::l|:::::i:::| |八 :::::::i:::|   \:::\|:::::::::|::l:::::::::|:::|
        |i  |::::l::l|:::::iΝ:   \:::∨ ≫ぅ弌ミj|:::::::::|::l:::::::::|:::|
        {;  |::::|八::::i≫ぅ斥   \  r'::ノrい》:::::::::Ll:::::::::|::::
         |::::|:::::ヽ《 r'::ぃ       ∨:.(ソ |::::::::::ト|:::::::::|:::::,
         |::::l::::::::::  V(ソ          |::::::::::|:!:::::::::|:::::′
         |::::i::::::::小 ,,,   ,     ''''  |::::::::::|j::::::::::|::::::::    『おはよう、京太郎君』
          乂j::::::::::い                |::::::::::|:::::::::::l:::::::::
          [_] :{::::::::i:人      ー  '     |::::::::::}:::::::::::}::::::::|
         /:::{ :{i:::::::i:::::::>...       /  }::::://::::::::::/:::::::::|
         |:::{ 八:::::{::::::::::::i::::::≧ァr     /::://::::::::::/::::::::::::|
         |::::::\|\:::::::::::::i::::::::/{_j _/厶イ,::::::::::::::|::::::::::::::|
         ∨\;;|::i:::\:::::/::::::// 廴厂〉    :|::::::::::::::l\:::::::::|
             |::i::::::::::厶イ /| |  :/∧   |::::::::::::::|  ニ=-
             |/::::::::/   ∨ | |  厶=ーx' |::::::::::::::|      \
            /::::::::/ 厂 ̄ ̄ア7゙     ノ |::::::::::::::|       ⌒`:.
.             i ::::::::/  〉   《__jヽ    |  |::::::::::::::|    /    .
           | |::::::|   {     ノ八    |  |:i::::::::::::|.    /      i
           | |::::::|  ∧_/ /| \__,ノ  |:i::::::::::::||  /        |
           | |::::::|: /     // :|     }  |:i::::::::::::||  ,         |


 なんだろう、気のせいだろうか?

 目の前にいる彼女がやけに大人びて見えた。


 2/10


 ……
 …

 ・少し前


 『た、た、大変だよぉ、お姉ちゃん!』

 『ん……。

  どうしたの玄ちゃん』

 『ほら、目を覚まして!』


 玄ちゃんは私よりも早起き。

 きっと今日も京太郎君のために張り切って早起きしたんだろう。

 でも、私まで起こす必要はない気がする。

 一体何があったのかな?


    /. . . . /. . . ///.ハ. {. . . . .l. .ハ. . . ヽ. . . .ヽ. . . .}/i`ト,__. . .
   /./. . ./. . . /./// レ{. . . . .lート、; . . .ハ . . . .!. . . /⌒ヽ、' ' トァ.}
   l./. . ./. . . .i!.レイ´ヽヽ. . . .ヽヽ.ヽー‐.ト、._L.-./      ∨ .}
   l.ハ. . .{. . . iイハ{  {ハ. . . .ヽヽゝzニゝ_\.}. ./      ヽ. !

   {レ!. . .{. . . {,_z三ミミ \. . .ヽ""んo//77;レ ̄⌒\    ∧|
.   /ハ. .ハ . .ハ⌒んo//ハ   ー- ゝ {///////       ヽ  /. . .ヽ
  /    V. .\.ゝ V////:}       ゞ/とつ´      ∨―:、. . )
  /     !. . . . . ゝとつ‐'´ 、         ""/       〈: . : . : ̄:ヽ
. /      |. . . . .!. j              /        /:ニ: .⌒: . : )   『お姉ちゃぁぁぁん!!』
/     {. . . . .!: (""   ┬一⌒_ユ. .―.:{        /:_: . \. . 〈

l      l. . . . .|/: >. . _ >:´: . : . : . :/.l        l   ヽ: . :ヽ. }
'      {. . . . .ハ:―:´: . : . : . : . : . : ./. . {         ∧   '; . : . ヾ
       ヽ.、. . 、. ヽ: . : . : . : . : . : . :/. . ./!        { ヽ  i: . : . : ヽ


       ≦:: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: ヽ:: :: ::.::.::ヽ
      ク:.:::.:::.::: : :: i: :: :: :: :: :: :: :: : : :ヾ: : :.::.::.ハ
     /::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::i
     /  ヾ:::::::::::i i:::::::::::::::::| |::::::::::::::::::::::::::::::::::ヒ.i
    /ソ|`::::::::::∥::i |:::::::::::::::;| .i::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|
 .  ∥ |::::::::::::ハ::|. {:::::::::::::::|  ヾ::::::::::::::::::::::::::::::::::|

      |::::::::ヾ|`|/ヽ|ソヾ:::::ハ|ー≦\::::::::::::::::::::::::::::|
      |::::::::ハ ィ.爪ハ  .ヾ:i  イ斤心 }:::::::|ヽ::::::::::::::|
.     |::::::::::::i 弋っリ       込:::リ.|:::::::i |:::::::::::::::|
      i:ハ:::::::::| xx  ,     xx .,i:::::::ヒ」:::::::::::::::|
      o .i:::::::::i              u |::::::::|:::::::::::::::::::|
      i::| ト::::::ヽ.    _      i::::::::|:::::::::::::::::::::|   『……私?』
     ノ:|:| |.:.ヾ::::::::ゝ 、   .,孑≦|::::::::|;;;;;;::::::::::::::::|
     /ノ |  |.:.:.:i::::::::::::::::ソ` 夭  /|::::::ソ:::::,:::::::::::::::::::|
        |ゞ:::::i::::::::/ ゝ仆'   i:::ソi|/|.:.:.:.:.:.i:::::::::::::|
       |:.:.:ヾ、:广 レへ /ヽ .i:// ノ.:.:.:.:./::/ヽ、::|

        |.:.:.:i:::::| 尸ヽ一イ ̄刀  /.:.:.:.:./:::/  .ヽ|
       |.:.:.:i::::::|  >  ,卅   /  ノ.:.:.:.:/:::::/   /`.i
      |.:.:.i:::::::/. <ヽ イ  ト-匕ヽ/.:.:.:.:/:::::/   /   .|


 そこには毎日鏡で見る自分がいた。

 何が何だかわからないけれど、大変なことになっているのはわかった。


 3/10


 『えっ、これは……?』

 『私、お姉ちゃんになっちゃったよぉ!』

 『うん。すぐに赤土先生に連絡を取ろう』

 『それが……、赤土先生が小鍛治さん・瑞原さんと女子力勝負のリベンジをしたら世界の女の子が入れ替わっちゃったんだって』

 『ちょっと何を言っているのかわからないよ玄ちゃん』

 『私だってわからないよ!』

 『そうだよね。

  京太郎君が来ているタイミングでこうなったのは、玄ちゃんがかわいそう』

 『あっ、でもお姉ちゃんのおもちの方が京太郎君は喜ぶかな!?

  ちょっと行ってくるね!』

 『ま、待って玄ちゃん!

  それは困るよ!』

 『なんで?』

                   __
              . -'" ̄     ̄`   、
            /              ヽ、
            /      .  . . . : : : : : : . . .  \
           /    .:r . : ! : : : |: : : : : :゙.: : : : ヽ:.\
        /    .: :| . : : !.: : : :| : : |: : : l!: : : :ハ.:l: : .ヽ

        ,'     ..: :|. : : :l: : :∠L: :l|: : :l:|l: |: :l :| :!: : l:ハ
         !   . :l.. : :|. : : :|:///:/:/|: :/l/リTTヽ: !: :.i!:.|
       ,  l  . .:|.. : :!: : : :!/ "´'" '" ´  l从:!: |: :,'l: !
        |  l . : :|: : :.|: : : :l  ,ィ==、    ,ィ=、リ!: :l:/ l/
         l.  ! . :.:|: : λ: : : !           {: :.| ´
         !.  l . :.:|: :/ |: : : :.l """     , "" l: :.:!
       ,  .| .:.:.|:k  !: : : :.l      ___     |: : |
      ,   .:! : : :!:ハヽl: : : : |    r.{_::::;ノ   ..イ: : :l
       .  : : !: : :|:ハ: :!.: : : :ト 、  \ヾ _..ィ´: |: : :j    『玄ちゃんに任せたら私の膜がなくなっちゃうよ』
        .: : :l : :|'\∨l:ト: : :l   ` ァ、 ヾ.:.:!: :.:|: :./
      '  . : : :.! : : : :.`゙、ヾ\ヾー‐ァtノニヽ: |: :_!_,':!
     .  . ;.r‐''ヽ: : : : : :ヽ、r''ヾ!ヽ'_/─, | ト-y'/_: |

        /    \\: : : : ヘ\:::::::〈 ‐(_!ノ'゙ Y /  ヽ
     ,'  .!     ヽ.\: : :∧<:_:/l  ヽ   .|   λ
     /  .:l         Yヽ: : :K_::::}、  } ノ    l ゙.
    ,  .: l         } ヽ: :.ヽ. Y \  /   Y   !
.   /  . : ハ       ∨  ヽ: ,L/   ヽlヽ   ヽ  !
  /  . :/: :.ヽ       ヽ   Y      `l    丶 l

                 _,,  ----- _
             , r : : ´: : : : : : : : : : : : : :`:ヽ.、

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      ./: : : : :/: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :ヽ
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     ./: : : : ::j: : : ::|: : : : : : : ::ハ: : | |: : : : : : : |: : : : : ::|: : : ::|: : : : :ヽ
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    |: : : : ::|:|: : : ::|: :::/r'   ノ' ヽ  |: :/ i/  r'´ y ヽ|:::イ: : : : :::|i::::|
    |: : : : ::|:|: : : : |/.{      .} レ     {    .レ'/: : : /::/|:リ
    .〉: : : : :|´|: : : ::|.  ゝ    ノ       、    .ノ./: : :/|::/ レ
   /:|: : : : :|. !: : : : !   ゝー''´         ゝ _.ノ /::::/:ノ'  '
   /: :|: : : : :|ゝi: : : ::|  \ \ \ \ \ \ \ \ \/::ノ: ::|:イ      『な、何言ってるのお姉ちゃん!?』
   〈: :|: : : : ::|: :|: : : ::|                   ´ i: : ::j::|
   .ゝ:::|: : : : :|: :ヽ: : : |、       / ̄ ̄ ̄ヽ     ノ: : :ノ::|
    ヽ:|: : : : :|: : ヽ: : ::|.ゝ、     ゝ-------'__ -- ' /: : /: : ヽ、
    〉::!: : : : :|: : :>: : ::i  ` ヽ------- ' ´  __, --/: : :/: : : : : :ヽ
    /: !: : : : :i: :/ ヽ: ::i、        __ - '   ,,ノ::/::<: : : : : : :i:::ヽ
   ./: : :ヽ: : : :Y   〉、:ヽ、__,     ´    _ -´ // .ヽ: : : : ::iヽリ
  /: : : : :ヽ: : : ::|  ./ \ゝヽ      _, r ´      r⌒ヽ: : ::ノ レ

 /: : : : : : :ヽ: : : :|  |  `]-___, r ' ノ        /   ヽノ


 4/10


 『違った?』

 『ち、違うよぉ!

  私よりお姉ちゃんの方が可愛いから、京太郎君が喜ぶかなって』

 『もう、めっだよ。

  玄ちゃんはちゃんと自分の幸せを掴まなきゃ』

 『う、うん……』

 『だから今日は私に任せて?』

 『えっ?』

 『ちゃーんと、京太郎君を骨抜きにしてあげるから、ね?』

 『ねっ、じゃないよ!

  な、何をするつもりなの!?』

 『既成事実?』

 『お、お姉ちゃん!?』

      ,.': :/:/: : /!|: : ;' |: :__: : :.|: : : :|: :l: . . .ヽ
.     /:, :,': :!:,': ! ||i: : | !l_、:ヽ ̄:ト: : : |.: :l: . : . .゙、
    /:,1:,'.: :|:レ|´l|ヽ: ゙、 ヽ_\l\!: : : :!.: :|: : : . |. l
   ,':/ !:l: : :!:| リニ、 \!イ斥"寸、!: : : :!:ヽ!: : : . !. .!

   {:| |:l: : :|:i:斥寸    弋しソノ|: : : :|:ヽ|: : : : |:. .|
   ヾ !:|: : :抖乂ソ    `""  !: : : :!=、l.: : : :.|. . !
     | !: : :l:! ,, ",         ""|: : : :| |!: : : : .!: . l
     |λ: :l:l            |: : : :| ,ィ.: : : : :|: . .!
      jt |: : |l   _ っ        !: : : j´:|: : : : : |: . .!
    / :| ゙: : |:ヽ/ノ      .ィ.: : :,': :,'.:/: : : :|: . .|    『大丈夫、ちょっと男の人が喜ぶことをしてあげるだけだよ』

    ,'/l | ゙: :y' ,ィl>... _ ..  ´ l: : /: :/:/: : : : :!: : ハ
    lj ヾ、 ∨/>!: : |: : :}   //|: /´: : : : : ノ: : : .ヽ
         ,'  ´-ヽ:.:|: : :|    "  У: :_ - "´ `ヽ: . .゙、
          l   -テ!:,': _ノ     /: /        \ ハ
       /|   l´/ニ__   /: : ,'          ヽ∧
     ,'  !   !'   `  ,.': : : : :|           ,'. . ヘ
     l.  ノ   ∧ァ__r‐-/: : : : ;ィ             /: . . . \


 ペロリと指を舐める動作が妙に女性の魅力を引き立てた。

 それは同性で姉妹である玄でさえドキッとしてしまうほどだった。

 だが、このまま姉を放っておくとマズイ。それだけはなんとなくわかった。


 『待って、お姉ちゃん!』

 『でも、玄ちゃん。その体じゃ動きづらいでしょ?』

 『……?

  あっ、なんだか寒いよっ!?』

 『そんな薄着じゃ動けなくなっちゃうよ。

  大丈夫、私はちょっとあったかーくなってくるね?』

 『お姉ちゃぁぁぁぁぁぁん!!!?』


 玄の慟哭が響くが、宥は楽しそうにその場を後にする。

 宥にも悪気はないのだ。玄が京太郎のために身を粉にするように、宥も玄のために動いているだけだ。

 ただ、それがあまりにも違う方向にぶっ飛んでいるだけなのだ……。


 5/10


 ……
 …

 松実宥です。……今は松実玄かな?

 あのヘタレ玄ちゃんじゃいつまでたっても関係が進展しないよね。

 ここはお姉ちゃんとして、ちゃんとしてあげないと!


 『京太郎君、お布団はどうだった?』

 「なんだか高級感溢れていて落ち着かなかったです。

  でも、すごく気持ちよく眠れました!」

 『それは良かった』


 なんだか興奮しているみたい。もう、興奮するのは少し早いよ……?

 そんな京太郎君をやんわりと制し、お布団に座らせる。

 キョトンとした顔を見せる。やっぱり年下なんだね。


 「玄さん?」

 『せっかくの休みなんだからもう少しゆっくりしてもいいよ?』

 「え、ええ?

  でもせっかくですし、どこかに行きましょうよ」

 『その前に、疲れをほぐしてあげるから横になって?』

 「えっ!!?」

 『くすっ、何を考えちゃったのかな?』

 「な、何も考えていませんよ!?」

 『私のマッサージテクニックをお見せするよ…・・。コホン。

  松実館に伝わるマッサージテクニックを披露しますですのだ!』

 「(……ですのだ?)」

 『ほら、京太郎君。横になって?』

 「あっ、はい」


 そう言うと京太郎君は素直に横になる。

 よく見ると顔を赤くしている。

 ふふふっ、見た目に似合わず、意外と押せ押せに弱いのかな?

 女の子に押されるとついつい従っちゃうタイプなんだ。

 それなら、話は簡単だよね?


 『まずは首筋からマッサージするね』

 「はい」

 『わぁ、体が硬い。

  やっぱり男の子なんだね』

 「は、はぁ」


 触れた先から緊張しているのが伝わってくる。

 ふふふっ、かわいい。


 6/10


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       { { Ⅵ /   Vオ {从 /-}/-、  }  、 \
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>----イ///\   .  `  ー '  イ/从       「わひゃぁぁ!?」
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 7/10


 耳元に息を吹きかけると、京太郎君は体をびくりと震わせた。


 「ちょっ、玄さん!?」

 『びっくりしちゃった?

  ごめんね。ゴミがあったから……』

 「あ、いえ、それなら」

 『うん。それで気持ちはどうかな。

  やっぱり少し力が弱いかな?』

 「気持ちいいですよ。

  まぁ男なんで、もっと強くても大丈夫ですけれど」

 『もっと強く、だね。

  わかった。京太郎君。お願いがあるんだ』


          /      . . : : : : : : : : . . . .      \
         /    .: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : .      ヽ

.        /    .:.:.:.:.:.:.: .:./.:.:.:.:.: .:.:.:.:.:.:.: .:.:.:.:.:.:.: .:.:.:.   ∧
.         /  /   .:.:.:.:.:.::.:.| .:.:.:.:.:.:.: .:.:.:.:.:.:.: .:.:.:.:.:.:.: .:.:.:.:.   .
       / ./  // .:.:.:|.:.::斗| .:.:.:.:.:.:.:.:i .:.!:.:.:.:.:.: .:.‘. .:.:.:.:.: .:.:.  .!
.        / | .:.!.!.:. .:.:.|:.::./|:.| .:.:.:.:.:.:.:..! .:!:.:.:.:.:.: .:.:‘. .:.:.:.:.:..; :.. .:

       ;. / .:.|.:.:!.! .:.:.:/!:./ |:.! .:.:.:.:.:.!:|l:.:ト:..!:!:!:.:.:.:.:‘. .:.:.:.:.:.; :.:. |
       |/! .:.:|.:.!!|:.:.:./ |/  !ハ .:.:.:.:..!:||:.:!|:.|:.!| .:.:.:.:‘. .:.:.:.:.:.; :.  |
       |i ! .:.:|.:.从:./x==ミリ ∨:.:.:||:.|:.:!|:.|:.!| .:.:.:.:‘. .:.:.:.:.:; :.:  |
       {;.| .:.:.!:.:.: |}|《 {h//}   ∨:.:|V x==ミ .:.:‘. .:.:.:.:.:; :.   |
        | .:.:.!:.:..:.:!.  Vrツ    \|  {h//} 》 l. .:.:.:.:..; :.::.  ;
        | .:.:,|:.:.::.:.:, :.:.:.:          Vrツ  /. .:.:.:.:.;. :..:  :
        `O:.|:.:.::.:...     '      :.:.:.:   /. .:.:.:.:.:;. :.: ; !
         |:.|:.!:.:.:.:八              ./. .:.:.:.:.:;. :.:. ; |   『服を脱いで?』
      イ  !:.!:V:.:.:.:个 、            人. .:.:.:.;. :.:  ; |
    / l   /ト:.!:.V::.:.:.:.|  ト、 `  ̄    イ./. .:.:.:.:.;. :.: :.:. ;  !
.    ; ∧ l |:.リ:.:.:リ.:.:.:.:.! ∧ 、_ イ ´ ./. .:.:.:.:.;. :.: :.:. / ト、
.    ;  ∧! |:.:.:.:.:.:..fi___.!   ヽ ィ ´   ./. .:.:.:.:.;. :.::..: /   ヽ
.    ;    |jr-―二___ヽ / ` ´¨l   __/. .:/ノ. .:.:.:.:.:/     ∧
    ;    ',.!   ___.ヽ |≧--≦l_∠_ ヽ//. .:.:.:.:.:/  ,  '   |
   ;    !  ___ ヽ」'ノl__ノ l_______   ` 、:.:.:.//      .;
   ;    |   __ .ヽ」  / !\!,----     l:.:/ /     ∨
.   ,   7|   (__ノ!___/ .!  !、        !:ノ/      /
    ,  ! l::!      /:7`!  .! 〉-l      /ヽ       ./
.    ,  V≧ 、___/イ  !  ノ/ l::::::!     .j::/ |      ハ
    ,  V         !_/ V \.:!    l:イ .!       l
.    ,  /ト、____ イ!   !    ` ‐‐‐´  !、      /
     ,  !        V   l ヽ       / l      /


                ,.  ⌒ヽ、/⌒ 、-- 、
               /_,..-         ヽ  `  、
             / /´     /    ∨   \
                ,  ´      / ,'     :    、 ヽ
           /   ,    , / /|  |  :.  | | |    ∨
         _/   / /  |_|__'_|  |   _}_|_|_| |  | :
         ̄ ̄´/ イ '  { ´| |/__{  |: , ´/}/_}∧ |  | |
            / / , rⅥィ笊 从 {∨ /ィ笊_ヽ}/、 | |

            / イ ∧{ 从 Vり \∨' Vり /' / ∧{
            ´/イ }从lム     ; \     ,ノ /  \
                    | ∧ U         ∧,イ      「ヘアっ!?」
                   Ⅵム    -  -    イ //
                _ヽl\       //イ__
                |////} `  ー  ´「////|
                |////|  :.   / |/[__}/|
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 8/10


 『ごめんね。

  服の上からじゃ難しいから……』

 「そ、そこまではいいです!

  ほら、早く遊びに行きましょう?」

 『もう、言わせないで』

 「へ!?」

 『玄ちゃ……、私はおもちが好きなんだから、京太郎君のおもちを触りたいんだよ?』

 「なんでぇぇぇぇ!?」

 『ダメ、かな?』

 「今日の玄さんはなんかおかしいですよ!?」


 あ、なんだか違和感を覚えているみたい。

 うんうん。玄ちゃんの彼氏になるんだったらそれくらいはわからないとね?

 それに私としても男の人の裸には興味があるから、ね?


 『マッサージするだけだよ?』

 「胸板をマッサージっておかしいですよ!?」

 『玄ちゃ……私的にはおかしくないよ?』

 「(絶対に何かがおかしい!

   でも、そんなマンガみたいなことあるわけないだろ!?)」

 『それじゃ、いただきまーす』

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 :′:.:.___@∨:.:.:.i| .:.:.:.:.:.:     ′ .:.:.:.:.:  ::::::::|::|
/:.:.:.: ´  ハ 。:.:.八      /ー―‐1      {::::::/ :|
:.:.:./   、|::ヘ ゚。:.:/ )、   {      }     ィ:::: ∧; ┐   『おもち……』
:. /     / ̄)/ /:.:、 > ゝ--- ′< ノ:::::///:
: ′  _ | 丁 | |` ミ  \ ̄/,,_  |彡"彳/ /::::::::.___
:   | 、__) ー  | ,.:┐t'⌒{ }   入 |  r v // r―::′
! r‐、} '^    | | {ニ=- ∨ _ノ┴ュ'′/ }   〈_/ \

  し        ー  |ニニニ{ニ}ニニニニ} / ,ノ、     rヘ,_〉
   }       /    ニニニィ¨ト=ニニ7 {   ‘,      ̄}::.
. イ∧        /ニニニ/ マニニニ\ :,        /し':::::::.
  / ゝ     /'⌒ヽ/   マ> ´  \     /::::::::::::i::}


 9/10


                       ´ ̄ ̄ `   、 ‥
              .  /             \  .
               :  /  /             ヽ :
              . /  /|   | 、    !        :
            :  ′ 斗匕  :! ` ー-|  i     .
                i /===ヘ. |r==弋 乂爪   i :
           :  l Ⅳ/:::::::Ⅵ/:::::::`ーl | `   | :    ガラッ!
              : | }込////ノ込////少リ   川
             | { 三 ̄    =ニ三 /  ./ リ
                 〉 廴_ -=====- /   /イ{_ :
          .  ∧  i 「:::::::::::::::::::::::/   ./:::::::::::| :
             :  /::::\ ヽ::ミ==彡:::/   /:::::::::::八 .
               ∧::::::::::ヽ Y:::::::::::::イ  /::::::::::::/::::へ :     『待ってお姉ちゃん!
             /ヽ:\__:::::::Ⅵ::::::::::::::| ./::::-=≦く::::::/:::::::〉 .
         /::::::::::\:/⌒ヽ/⌒ヽV::::_/::::::\{::::::/  :     京太郎君のおもち(胸板)はダメっ!!』
          : |:::::::::::::::/    〃    ∨  /\::::::::::::\{  :
         L:::::::::::::{     {{      〉●}_  >=-:::::::}
        : 丁¨¨¨\   辷才  イ /       >::| .
         : |   / > ./   /\{   _  ∧:}| :
.         : 八  ∧__  >=く  _.ノ\/   / }:l|  :
.          〈   ∧ @ ) }   「@  / ̄ヽ /  l::l|  .
          j/ /  ` ̄  入     ̄ ̄ 〉  /  j::l| :
           〃〈        ∧        /  {:::l|
         ∧       ...:/=}\      /    |:::{|  :
        /{::廴      /  |´   __/    |:::||
        〈::|:::/ `¨¨¨¨¨´     !           |:::}|

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    |_ ノ:::::::|:::::::::::::::|/|::::::|:::::::::::::|_彡 〃__/::::/ ィ:::::/}|
    |::::::::::::::|:::::::::::::::|/|::::::|:::::::::::::| ィ芹刈`;/ f竏;' 〃

    |::::::::::::::|:::::::::::::::f^Y::::::::::::::::: | 《 乂 _ソ   ソ
.     ' ::::::::::::|:::::::::::::::| ^|::::从:::::::: |        乂
     ' :::::::::::|:::::::::::::::| 圦::ハ::::::::::::|   ```    ′
      i:::::::::::|:::::::::::::::|`ーo{ ;::::::::::|      _
      i:::::::::::|:::::::::::::::|::::::|:|. ':::::::::|      ´’ィ    『これでわかったかな?
      |:::::::::::::::::::::::::::|l:::::|:|   ';:::: |`  .   イ::|
      |::::::::::::::::::::::::::八:_圦  ';:::::. 厂::{ l::::|:::|     玄ちゃんはこれくらい積極的でいいんだよ?』
.     ′:::::::::::';::::::::::::〈./  \ 弋「./:::::::: j:::::〃
.    /::::::::::::>ヘ::::::::::::∧   ヽ_ヾ \::V::/

   /:> ´   V:::::::::::∧  /^' { ト  _入:〈
.  /〃 =- 、   ヽ::::::::::∧/\ .Ⅵ /}}\}:::`ー 、
  /:,′     \   \::::::∧ { ̄`ヽ〃/ ̄}:i  i
. /:::|            ヽ::::∧i    } 」   i::| l|


: : : : :/ : : : : : :| : : : :|.. : :. ゙、: . ゙、゙、. \
: : : : : |. : : : : :i |: : : :i:|. : : : ∧: :、.i. .i: : . ` 、
.: : : : : !: : : : : | |、: : :| | : : i | !: :|:| : |:、: : : : : : >
: : : : : :| : : |: i 「! ヽート!、: : リ  !: |ハ: ト : | ̄ ̄
.: : :,..-、|: : :i: :|: !゙、 _、!二゙、-| イ: リ ! |ヽ:|
: : / へ.゙、 :丶ヾヽ<´{::::i` ヽ! 1!|:/| :!ノ゙、リ

: :ヽ    \ : :!丶   ̄     Vイ:ハ |\:i
.: : 丶    \゙、        `> リ  `
ヽ: : :`┬ 、  ヾ          /
  i: ;ィノ    U     ,....-ィ /
,,:‐レリ    _       ̄ /     「何が何だかわからない」
゛=!_    \ `ー-、_  _/
::::::゛== 、 \   / ̄ヽ、
::::::::::::::::::::::゛===-、    >


 10/10


 ……
 …

. /: : : : : : : |: : .:i:.|:.:.:.:i| |:.:.:.:.:.:.|!:.:|i:.:| 、:.:.゙、::、   ゙、゙、:::::::::::;::イ/:::::::::::::::i:::::
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!:.i |: :.:| .:.:.i:.!:.:.:.|!.i! :l |:.:!:.:.:.:.:..i:.:.i ゙、! _/ハ:ハ/ |ィ;.:.,.-‐-、!:/.:.:.:.:.V/

i :|.| :.:.:i   i i_:|、!、:.:.! i:!、i:.:.:.:.:.:.i:.:.i _;彡';tr=、 ヾ、"' /ヽ |':.:.:.:.:.:.i:.:|:.:.:.:
. ! i:i!  | ..:i :i:.:.:i`iー>ト-!、丶:.:.:.:.:i:、^V i_;:::::::ヽ /      i: : : : :.:|:.:|:.:.:.:
 、:!:i、:.:.i:.:.:.:.|:.i:、:.7メ'f:::::::ヾー\:.:.:.:、`ヾ  <;;;:ン ′     ノ : : : :.:.:!:.|:.:.:.:
  ヾi 、:.\:.:\:.]〈  っ::::;:i    ̄`            _,∠|:|: : : : .:|:.|―-
    ヽ!:.i、`゙ー-r≧   >≠    ,      " "   /  |:! : : : :.:|:.!////
     |:.|:.:.:.:.:.:.:\!  ,, ,,                /   i!: : : : : ::i:.i////
     |:.|: : : : :.:.:.i i       r== "ヽ      /   i: : : : : :.:i:.|////   『しずに女子力を教えるわ!』
     | |: : : : : :.:i:.:|\     ∨__ノ)   /    /: : : : : :.:i.:|////
     |:| : : : : :.:.|:イ |:::|l`ー-..、    ̄ ̄   /     / : : : : : :.:|/////
      |.|: : : : : :.:|:∧ i:.:!i::::::::::::::`i ー-‐ '    ,..-‐:/: : : : : : :.:.i!/////


          . :´ . : . : . : .`: .

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 /: イ: .|∧ ミ . : |: .|: //フ7¬ }: . /| ィi爪㍉}:.:|:ハ /

/: ./ | : |: ∧\ : |: .|厶斗=ミ /イ 丿 |:il刈  :.:l/}/
 :./  : ..|: . ∧ . : |: .|斤:i:i:(_,      弋''ツ  |: |: .i  ( \    -‐ 、
: /  | : |: . : ∧: .ハ:卞::i:lil刈             |: |: .|   ヽ у´   ___}_
/    : . l: . : . ‘:,⌒!ム ゞ…″     `  :':':':゚|: |: .|   │ r  ̄     }   『都会で培ったんですよ!』
    |: . 。: . : . :∧ い  ゚:':':':     -┐   }: |i:∧    |    ――‐{
    | : ..。 . : . : ∧、vハ      ゝ __ ノ  / : |i: .‘    |       ー―{
   /: . : ゚: . : . : . ∧:vハ`   ..,,      /   } |i: . :;  ′     -- ′
.  /: . : . : 。: . : . : .:∧vハ__     ̄{ ̄: .|   }/}: . :.。 /\    }、
  ′: . : . : .。: . : . : . : .ⅵ\>―‐n: . :.{   / l: . : ∨/ / \  /:.入
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.    ,′::::从 、、、         ゝ辷 ノ / }:::::: |:::::::::
    {::::::::::::l i     ゙       、、、   / j::::::::i::::::: l    『(この二人が入れ替わってる気がしないよ……)』
.    、:::::::::::込             ィ::::/:::::::::i::::/::|
     ヽ:::::::::r >  <ヽ     <:::j::/::::::::::/::/ リ
      ` ̄`   八>- <八   〈::::::::::/::/イ
            /  ヽ  ./  \  ー--‐'
    __,. '7     几ハ     7 ー-
   /     {   /   ヽ   /     `ヽ
.  ∧      乂/{ i   / へ/         ハ


 カン!

 あれ、もしかして今スレのみやながけ次元の京咲って0回……? スレタイとは


 1/10

 930
 【みやながけレクイエム】-みやながけ次元-


 須賀咲ちゃんです。ここは京咲スレです。須賀咲ちゃんです……。

 ううっ、なんだか嫌な夢を見ていた様な気がするよ。

 どう考えても原作が京咲でしかありえないのに作品の接点皆無な人の薄い本ばっかり出る夢だったよ。

 ううん、夢は夢。

 よしっ、私は主婦なんだから早起きしてみんなのご飯を作らないとね!


 『……あれ?』


 なんだか違和感がある。

 いつも隣にいるはずの京ちゃんがいない。

 おかしいなぁ。京ちゃんはお寝坊さんだから私より先に起きるなんて珍しい。

 それに今日は休みの日だからお昼近くまで寝ていたっておかしくないのに……。


 『って、ここお姉ちゃんの部屋だ』


 あれ?

 昨日はお姉ちゃんの部屋で寝ていたっけ?

 うーん。昨日は普通に京ちゃんとごにょごにょして寝ていたような気がするんだけど……。

 なんだか頭がボーッとする。

 とりあえず起きて、身だしなみを整えて朝食を作らないとね。


 『……?』


 なんだか見える風景に違和感を覚える。

 色々なものを取るのに違和感があるんだ。

 なんだろう。まるでヒールでも履いているような……。


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    /..: i: .:i:::::i::::::::::::;:::}i:::::}:i::::. i:::.
   /.:: :: :i: :::i::ーi!;:!:: :::i!::}´:::}i:!:: ;::i:: !
 /.: :: :::ノ!:: :ハ:: i!:iヽ::::iリ-‐ノi:}:: :::i:: :i

  ̄  ̄  ヽ!::!仡弐゙ ヽ:}佗弐 ノ.::/.: :::i

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       '  iハ::ハ-‐‐'' ∧  /  ///  ヽ    『……!?』
             ハ i!   !チ=ミ/   ///,    i
         ノ  iヽ   ! /  ノ/ /     冫
        〈 ヽ iヾヽ ∨イィ.::/〈     /
            }  ヾ ! ヾー只ー ‐''  {===ソ
         '===i!  /.:ハ::.     i二二ソ
         i _ ∧ {:;:i !::.    ゙!   !ハ
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         i   i  i::::リ ヽ:::} /   ソ /  ヽ


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 『ほぎゃぁぁぁぁぁあ!?』


 思わず女の子にあるまじき悲鳴を上げてしまう。

 なんだこれ! なんだこれ!

 なんで鏡にお姉ちゃんが映っているの!?

 えっ、なにこれこわい!

 パントマイムのように体を動かしてみると、鏡の中のお姉ちゃんも同じように動く。

 あれ、どういうこと!?

 これは漫画でたまに見るような入れ替わり現象!?

 そんなオカルトありえません!

 思わず和ちゃんの真似をしてしまった。ノーカン!


  『……えー、今日のニュースです。

   現在、世界中の女の子の姿が入れ替わる事件が発生しており……』


 ニュースから流れてきた言葉に思わず飛びつく。

 そのニュースはいつものようなアナウンサーが流しているのではなく、子供たちがよく見ている……。

                    .. ------ ..

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        {  ∨:.: : :| {\{:.:.、   V  }   ...イ/:l:.|:|:.:.:.:.:||:.:.:.:/  『あっ、ちなみに私は福与恒子だよ。
        \ ∨:.:.:.| |:.:.:.|.:.个::.... _  ̄ _   {-/ 、:l:.|:|:.:.:.:.:||.:.:/
.            ∨:.リリ:.:.:リ:.:.:|:./⌒ヾく{___/ /⌒'i:.|:|:.:.:.:.:|八:.:{    どうやらすこやんがアラフォーを拗らせて
.             |:.//----、:.l∧‘,‘,: : : {  {   } -=ニ二乙':.{
           |//にニ=- / ∧_}  } : : -{  {   / }__{乙)':.     こんなことが起こったみたいです!』
.             //ノ^ソ ,ノ/ /: : `ー': : : : :`ー`イ  {   {‐┴、) \        /i
.  \------=彡'//: : にソ 乂: : : : : } : : :__  ‐┘ ̄{\,ノ: : : :.   \____彡'
     ̄ ̄ ̄  /:{: 、/´      \: :./⌒´       \ノ: : : : /    ---- ´


 牌のお姉さんがそこにいた。

 そしてなんだか衝撃的な発言をしていた。


 『えっ、何どういうこと……?』


 そんなマンガみたいな……。いやでも実際に起こっているし……。

 それに小鍛治プロがやったって言うなら何となく信頼性もあるし……。

 でもこれは大変な事態だと思うんだけど!?

 公共機関とか大変なことになっているんじゃないの!?


 3/10


        ,..-、_,.ィ⌒:.ー-、

        /:.:.ハ:.:..ハ::::i:::::::.::.:.ヾー:、
      /.::::::::トヽYハ!:i:|::i:::::i:::::::|:.:.:.ヽ
       !::|::|:::i|     }:ハ:ハ:::!:}:::i|:::::::..:i
.     ノ::|::i!::i:|   ノ-j;!‐!:|:i:::i:|:::::::::.:i
    人:i:::{:、ト|-_ r‐彳テiY |;:ィ::i,:_::::.::!

       仟ィiテ)⌒ー―'′ハ!:i'^ヽ::::!   「おーっす照。
         `┼'7        リ  /::ト!
.          | ヽ        ィイ:::::|     いや、その反応は違うな。かーさんか? 咲か?」
         、  -―‐    / }:!:::トヽ_
           丶  `゙  ,、 ゙ ′i リ!y′ |`ー-、_
          "',、__,,、ヽ     ! /   |     `ヽ
           // \     i /_    !     _冫ー、
           / /n  ハ    | \. |   /   ヾ、
     .   /   //ノ  {_ !  /f'"   \!   / :/:       i
      /    レ \_ |`  イ        ′:!:       |
      ハ         `ヽ  ノ       ハ /  /:  |

 『おとーさん!

  私は咲だよ。これはどーいうこと!?』

 「いや、俺に聞かれても……。

  ニュースでやっていた通りじゃないか?」

 『何で落ち着いているの!?』

 「まーまー。

  さっき聞いた限りじゃ今日1日で治るって言ってたし、不思議体験を楽しめよ」

 『父親としてあるまじき発言だよっ。

  おとーさんの朝食抜きだからね!』

 「えっ、何で!?」


 ケタケタと笑っているおとーさんを脅す。

 もー、あんまりからかうようなら毎食カップ麺にするんだからねっ。

 栄養バランス崩れて体壊しちゃえ!


 「それより咲。いーのか?」

 『何が?』

 「いや、咲の体と京ちゃんがまだ起きてないぞ」

 『……!?』


 そ、そうだ! 思い出した!

 確か昨日はにゃんにゃんしてそのまま寝たから下着姿で寝たんだった!

 私の体に誰が入っているのかわからないけれど、それは大問題だよっ。

 京ちゃんの浮気者ー!


 『ちょっと京ちゃん叩き起こしてくる!』

 「おー。

  夫婦喧嘩から仲直りするのはいいけど、その体でするのは照に悪いからやめてやれよ?」

 『おとーさんは三食カップ麺!』

 「やめろよ!?

  最近カップ麺食べると体調おかしいんだぞ!」


 これだから更年期は……。

 じゃない! おとーさんはどーでもいいけど、問題は京ちゃんだよっ!


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 ……
 …


                    /\-――‐- 、
              , --=7   丶      `ヽ
         /,             ヽ  ヽ
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      /_ -7 , | l ト、| |ヽ!  N , 斗 r  ,'_  ト--`
     ̄  //!  ! Nヽ!\|,//l/ l/! N ,ハ !|
       ´ / ,i丶 {=== l/ == =l/ ' ノ リ

        // l i `i           _/,、/

        ´   {ハ!ヽ{    ′      /!}/ ′     「……zzz」
              丶  ー ―‐ '  / |′
               \    /  |

                __ i ー '     ! __
          , ィ'´:.:/-‐ ´}     /  `Y´:.:.\
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   /. . . . . . . .    / l: : : : : ト、 : : : : : :.
  ,' : : : : : : : : : : : : /  l . . . . l .',: : : : : : : :.
  ,' : : : : : : :l: :,i : : / U l: : : : :!  ',: : :l: : : : :.
  i: : : : : : : :l /{ : /-一' レl: : ノー-,: : l: : : : : i
  !: : : : ;、: :レ l〃⌒ヾ  l/ 〃 ヾ: :l : : : : : !
  ',: : f⌒\{  {l   l}    {l  l}Ⅵ : 、 : : !
  ',: {      乂_ノ     乂ノ .l: : :} \ノ
   ',:乂_          `    .!ヘ:ノ
   ',: : : : 丶、 U   ,--、 u  ノ        『(朝起きたら京ちゃんと下着で抱き合って寝ていた……)』

    ヽ{\ : : ㍉      ̄   ,, ''
       `^≧|   ┬ァiフ¨
      ///∧   Kヽ、

     //////∧    }//> , 、
    / \//////∧ー―l///// }


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 何が何だかわからない。

 とにかく、今の状況に頭が沸騰しそう。

 体を見られてしまったことによる恥ずかしさや、京ちゃんの筋肉質な裸を見てしまっている恥ずかしさ。

 思わず目を手で覆い隠す。隙間から見えてしまっているのは断じて私の意志ではない。

 きょ、京ちゃんってこんなに体が固いんだ……。

 でも、本当にどうしてこんなことになってしまったんだろう。

 昨日は普通に夜眠っていたはず。

 きょ、京ちゃんに抱かれた記憶はない。どうせなら初めての記憶は覚えていたいのに。

 そもそも、酔っ払っていても咲と私を間違えない京ちゃんが私を抱くのは考えられない。


 『……(咲に怒られる)』


 いや、怒られるでは済まないかもしれない。

 また絶縁なんてことになったら非常に困る。

 あんな経験は二度としたくない。

 でも本当に記憶がない。

 どうしたらいいんだろう。


 『(とりあえず京ちゃんの体を見て落ち着こう)』


 うん、これは不可抗力。

 京ちゃんに抱きしめられたのは私のせいじゃないし、こうなったのも考えてわかるものじゃない。

 それに京ちゃんが離してくれないんだから仕方ない。

 京ちゃんは今日休みだからゆっくり眠るべき。

 私はやることがないから京ちゃんの体を見て過ごす。

 うん、何も間違ってはいない。


                  _........----......._
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          〉,: :, {: : | ,ィ斧汽 /´ ィ斧汽、} : /:|\: : |

          {八:{ \:{とヒこソ       ヒこソっ: イ: :|  \}
          |   乂ム     :.:.:.:.:.:.:.、:.:.:.:  ムイl: /
             从{∧     _   _     人:∧{
              |/ >:../^} /⌒l、` .イ }:./ リ    『えへへ、京ちゃん……』

                ___/-'-'-- 、/〉「-、/ '
          ,.. <:::::::::::::::{======ミ`ヽ|〉::`::::...._
         /⌒\\:::::::/`ヽ:::::::::::∨, {::::::::::::::::::>-、

          {==、 {:\/   〈7 ー、{ ̄|:::::::::::://,ィ^.
            ,   \Ⅵ       /   | ,::::::::/イ:.:./  ∧
         {      `|  、      |_/= ´イ:.:.:,イ  /  }
         |     Ⅳ    \      | ̄´:.:.:.:/= }イ   |
         |    /     }    /-r  ´    |
         ∧   ,       |    /__」        ,    |
        {:::,   /       |   ,:.|:.:|      {
        L∧ /      /   /:.:|:.:..        |    |
          、 '         /:.:.:.|:.:.:|      |    |


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 「ううん……、咲?」

 『あっ』


 ほっぺを弄っていたら起こしてしまったらしい。不覚。

 とりあえず京ちゃんが起きたらなんでこうなっているのか聞こう。

 きっと何か超常現象が起こったということになるはずだ。そうに違いない(逃避)


 「何だよ、咲。寝かせてくれよー」

 『?』

 「どした、寝ぼけてるのか?」

 『寝ぼけているのは京ちゃん』

 「変な咲」


 そう言うと京ちゃんは私の胸の中に頭を潜り込ませてきた。


 『きょ、京ちゃん!?』

 「休みなんだし甘えさせてくれよー」

 『だ、だめ……っ』

 「……?」

 『う、ううっ』


 は、恥ずかしい……。

 色々と聞かなければいけないことがあるはずなのに、全部頭から吹っ飛んでしまった。

 咲は毎日こんなことをしているのかな。ずるい。


 「……咲?

  なんかおかしいな」

 『……?』

 「熱でもあるのか?」

 『京ちゃんこそ』


 むぅ。人の胸の中に飛び込んでおいて別の女の子の名前を出すのは良くない。


 「なんか、今日の咲は照さんっぽいぞ」

 『それはそう、だって私はーー』


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         /.::/.: :,'.: :: ;:;イ:: :: ::i:: :: :: :: :: :: :: ::ヽ
.        /.::/.: :: i:: :: ::i/i:: :: ::i!iハ:: :: ::i:: :: :: :: ::::.
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       /.: /.: :: ::i!:: :: ::!::::i!:: :: iィ!厂ヽ:: :ii:::i:: :: i:: :::.
     .:::.: ::!i:: :: i:i:!:: :i::!::::.ハ:: ::i:::ヽ茫弐::ゝ:!:: :: :i:: :i::.

    .:::::.: :::i!i:: ::イ:i:i:: ii::!::::::: ヽ::!゛゛:::.-・゙'ヽ!i!ヾ:: ::!:: :. :.

.   .:::: ::: イ !:: :/i:!ハ:: ハi::   ' ヽ      i/i:!:: :!:: :::. :.
   .:::::/  !/!:::!::i:ハヽヽ            /'i::!:i:::i:i:: ::. :.
       /.::ヽi:: !':: ::ヽ     , ‐ -    /.: :i:: ::!ハ:!:: :::. :.
     /.: :: :: .: :: :: :: ::>    ´     ,イ:: /.: :::i:: :!i:: :::  :.
    / .: :: /.: :: /.: :/.: ::>     / !:/.: :: ::i:: ::i!:: ::   ::
  / .: ::イ.: :: ::/.: :: :/.: :/ ヤ  `     / ヽ:: :: :i:: :::i:: ::  .:     『そこまでだよ、お姉ちゃん!』
 /   .::: /.: :: :/.: :: ::/.::ノ 乂 }     /iヽ } `ヽ:: :: }:: .: .::
/  .::  /イ:: :/.::;; -゙ ニ  ヘ } ヽ   .: :: :::}   ヽ;;_ノ.::

  .::  { !ィ 二         ヘ   ヽ  .: :: :;;}      ニー._
  .::   / ヽ ヤ:.         ヘー-、  .: ::':: :}     〃/ ヽ
     /   ヽヤ:.         ヘ _ - ‐ 、::}     〃/  .ハ
.    /    ィ  ヽヤ::.        ヘ    :: }     〃/     ヽ


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      /::::::::::::::| :: /-匕-=ミ\|\|  〃⌒゙ヾⅥ :::::::: |::::|  }
        ̄ ̄ |::::::|::イ /〃⌒ヾ     {{    }} }|/| ::::::|::::|  {
      {  |:: 八ハ{ {{   }}     ゞ==(⌒) | :: /:::::|

       } |/|::: {. ハ (⌒)==''         ///  |/}:::::|
            |:::: ヽ_| ///              __,ノ :::::|  }     『ヒィ! 私悪いことしてない……!』
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           }   ∨个 .._ (_,,.. ‐~~' イヘ:::/|/∨
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,,:‐レリ    _       ̄ /     「あっ、あっちが咲だ(直感)」
゛=!_    \ `ー-、_  _/
::::::゛== 、 \   / ̄ヽ、
::::::::::::::::::::::゛===-、    >


 8/10


 『人の旦那さんに裸で抱きつくなんて何を考えてるの!』

 『こ、今回は本当に誤解……!』

 「咲、照さんの体に入って何やってんだ?」

 『京ちゃんも京ちゃんでなんでこの現象を受け入れているの!?』

 「いや、なんか違和感あったし……」

 『……?

  あれ、私の体がそこにある?』

 『おねーちゃんも今更気づいたの?』

 『何か違和感はあったけれど、京ちゃんに羽交い締めにされていたから気づかなかった』

 『京ちゃん……!?

  浮気だよー浮気!!』

 「ま、待て待て待てぇ!

  昨日のまま寝ていたんだから仕方ないだろォ!?」

 『お姉ちゃんの前で何を言うの!

  旦那さんなら中身が違うことくらい気づいてよ!』

 『(き、昨日の咲と京ちゃんは何をしていたんだろう……)』

 「いや、気づいてたぞ。

  寝起きだからちょっとアレだったけど、おかしいとは思ってた」

 『も、もー!

  そんなにデレても今の体じゃちゅーしてあげられないんだからね!』

              _____
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        ,. :´: : : : : : : : : : : : : : : : : : ヽ、
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     |: : :,: :{人 弋zり     弋zり ノ'}: /}: ,: |
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      l/ \叭                 ムイ://    『それじゃ私が代わりにちゅーしてあげる』
           ゝ     ´`      イ}: /}'
            \>       </|/
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     |: :| : : : : : : : : : : : |: : :|: : : | |: : |
     |: :,: : : : : :/: : : : : ,: : : : : : :|ィ}: : ,     『ぜ、絶対にダメっ!』
     |: :{: : : : :/: : : : : /: : : :|: : :.| , : /
     |:/|: : : : ,: : : : : : {: : : :/: : //:イ_
     |' ,: : : /: | : : : : | ̄ /: イ /::/ /  ヽ

         \: {/、: : :.从 /   /::/ /    :.
       / }/{  \{     /::/ /       }
       {  |::|           /::/ /      |


 9/10


 『でも、これは咲の体なんだから浮気にならない』

 『浮気だよっ! 中身が違うなら浮気!』

 『それなら咲が私の体を使ってちゅーすればいい』

 『そ、それもダメっ!』

 『むぅ。咲はわがまま』

 『お姉ちゃんが抜け目なさすぎるの!

  体が元に戻るまでデレは抜きですっ!』

 「えっ、そんなぁ」

 『我慢してよっ!』

 『……子供達にどう説明しよう。

  今日は私がママをやろう』

 『うぐっ、変に説明すると混乱するだろうから、それは仕方ないかな……?』


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/    イ从:.:.:| ィ/笊匁、 \:.:..   ノ{:::::::ハ |:.:r-x:.:.:.:.:.: |

ー    |:.:.:.\| i| ノ{:::::ハ      乂ー-ソ j/  V:.:.:.:.:|
      |:.:.:.:.:.:. 从乂ーソ               .:.:.:.:ハ|
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      |:.:.:.:.:.:.:.:ハ ""             厂:.:.:/j/
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      |:./  \:.:{\          /  |:.::/       『それにしてもこの体は胸がなくて動きやすい』
      |:     \  >  .. _  イ   リ/
                  __]       {___
                _/三l       /三三三≧=-__
           _x<三ニ/´ /     /ニ三三三三三三三>

.         r≦三三ニニ/      /三三三三三三三>´
         /|三三三三ニ{____/ニ三三三三三三>´      \



     /: : : /.: :/: : ::j: :| ト :|.     |: : : :|: :|   _i: :∧: :|i: :
   /: : : : /.: : :|: : : :i: :| |.:/ `ヽ  |: : : |i: :|  '´ |:/  V .|::
  /: : : : : : !: : : :i: : : :|ヾ| , ィ, ニ、ヾ、 .|: : :八/ ,=ヾ,ニ、ヾ、 |::
/: : : : : : : : |.: : :八: : :| 〃 /少iハ ヾ|/ ミ、 /少L心 ヾ

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|: : : : |:\{ !  {斗ニ刀:::::::::::::::::::::::::::{斗ニj匀
.       i: : : : |:::::::ハ  气l∪iリ:::::::::::::::::::::::::::气l∪ikリ

.       l: : : : |:::::::i l{',、 乂Zソ          乂ZZソ
       |: : : : |:::::::j         ,
        |: : : : |:::::::{
        |: : : : |::::::::ヽ      ,ィ⌒ー'⌒ヽ.
        |: : : /|: |:::::::::::> .   `-⌒ ⌒'‐′      . <     『たいして変わらないでしょ!』
       |: : / 乂|:∧:::| 、::::≧=   ___   <---



 10/10


 ……
 …

. /: : : : : : : |: : .:i:.|:.:.:.:i| |:.:.:.:.:.:.|!:.:|i:.:| 、:.:.゙、::、   ゙、゙、:::::::::::;::イ/:::::::::::::::i:::::
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     |:.|:.:.:.:.:.:.:\!  ,, ,,                /   i!: : : : : ::i:.i////   「咲さんがお姉さんでお姉さんが咲さん!?
     |:.|: : : : :.:.:.i i       r== "ヽ      /   i: : : : : :.:i:.|////
     | |: : : : : :.:i:.:|\     ∨__ノ)   /    /: : : : : :.:i.:|////    これぞまさに一粒で二つ美味しいってやつですね!」
     |:| : : : : :.:.|:イ |:::|l`ー-..、    ̄ ̄   /     / : : : : : :.:|/////
      |.|: : : : : :.:|:∧ i:.:!i::::::::::::::`i ー-‐ '    ,..-‐:/: : : : : : :.:.i!/////



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  .//   |: 八: : | 乂_弋ツ>\: : :|<弋ツ.ノ .:::∧: リ.: :|

  ′    |: : : \|:ハ::::::: ̄:::::::::::: \{:::::::: ̄´:::::::/: ::∨: : |
        |l: : : : : : λ       ,        ハ: : : : : : :|
        i|: : : : : : :込、   __   __,.   ,イ: ! : : :、 : :|    『誰の胸が小粒だって?』
       __|: : : : : : : : :|__,.    ー‐ ´  ./|:|: : : : : ハ: :|
-‐= '      |: : :.l| : : : : | .::/>       . イ.>|: : |: : :/ ‐ :|
          |l : :八: : : : |.:::′          /:::::|: /|: :/_   '}
        八:/  \: : |:::|-- 、     --/ .:::::|:/ |:/
               \|:::ト-========イ    }' .ノ'


         ,. : :´: : : : : : : : : : : : : `ヽ、
      ,. : :´: : : : : : : :/: : : : : : : : : : : : ヽ

     --/: : : : : : /: : ': : : : : : :V: : : ∨: : ',
     / : : : /: ': /l:|: :|:!: : :!: :、: |: : l: : :V: : :
   /': : : /: ': :{:/ハ七从: : |\:`lー/: : : | : : |

    /: :イ7: :{: :从{ __ {/\{  _从ハ : : /: : :.|
   '´   |: 八: :| ((__))     ((__)) |: :/} : ハ:|
       |: 人\〉:.:.       :.:/:イ ノ: , }'
       |/  `ム   , ‐--‐、   ムイ: /     『なんではらむらは入れ替わってないの……?』
          个 . ー― ‐'   个从{
           \:}`}>-<{:/}/

           _,..イ,'    V:\

        r<:´::::::::::::{--、 , -|:::::::::`ーr-、
       / ∨:、::::::::::∧, ---、/::::::::::::::/::/∧
       ∧ \:\:::::::∧  /:::::::::::///
        l  ヽ \ー<、_∧ ,:::::::::> ´ィ´   }
        |   } \//ヽ、∨/´/// }     |

 カン!

 これで完璧な京咲スレ……?
 次スレタイ募集

京太郎「まつみかん」玄「良い所ですのだ!」咲「みやながけだよ!?」

乙です

京太郎「みやながけ」和「とは限らない」咲「みやながけだよ!」

京太郎「のどアコ」和「シズは犠牲になったのだ」憧「長くから続くオチの犠牲にね」

京太郎「みやながけ」淡「はおまけ!」咲「おまけじゃないよ!」

京太郎「みやながけ」淡「衣はお姉さん!」衣「キョータロー入れ替わっちゃたよー!」

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